環境を考慮した学校づくり検討部会(平成20年度まで)(第7回) 議事要旨

1.日時

平成20年10月14日(木曜日)

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 今後の推進方策の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

藍澤部会長、伊香賀委員、和泉委員、大塚委員、小澤委員、小峯委員、新保委員、長澤委員、中村委員

文部科学省

(文教施設企画部)長坂施設企画課長、山本施設企画課専門官その他関係官

オブザーバー

(環境省環境教育推進室)大河原係員

5.議事要旨

・「中間報告の整理事項等」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

・学校施設起因のエネルギー消費量/CO2排出量の実態把握について

○学校施設起因のCO2排出量の将来予測を行う上で前提条件が重要である。条件設定においては、少子化による学校数の減少、改築時の床面積の増加をどのように捉えていくか検討する必要がある。

○前提条件については、将来の学校施設の室内環境水準をどう設定するかという課題もある。

○学校施設で消費するエネルギーの大部分を占める照明は、運用エネルギーに対して影響が大きい。

○学校施設は局所的に冷暖房を利用していることが多いため、冷暖房の条件設定が運用エネルギーに大きな影響を与える。

○気候別の地域区分に加え、都市部、農村部といった立地条件も考慮した方がよいのではないか。

○将来予測は、学校施設の建設から解体までCO2をどの程度排出しているか、どこに重点をおいた対策を取ればよいかを示していくことが重要である。

 

・学校施設のエネルギー消費量の推移について

○2005年実績は1990年度と比較して+1.4%でほぼ横ばいであったが、2006年実績では-2.6%となっていることについて、要因を整理した方がよい。

○2006年度の学校施設の床面積を見た場合、1990年度と比較して+14.7%となっていることを考慮すると学校におけるエネルギー総消費量は増加していてもよいと思われる。この調査はサンプル調査の上、様々な仮定において算出されていることから、傾向をつかむことはできるが、学校だけを取り出して数値が正確であるかという議論は難しい。

 

・「今後の推進方策の検討について」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

・今後の推進方策に関する考え方等について

○最終報告に向けて二つの課題があると思われる。一つ目は、エネルギー消費原単位が小さい小・中学校施設の地球温暖化問題に対する目標であり、二つ目は、教育の場である学校施設の活かし方である。

○一つ目の地球温暖化問題に対する目標については、学校施設は、より快適に、より健康的な環境をつくり、教育活動あるいは社会活動を活性化することに寄与していくことが求められている。そのため、学校施設はエネルギーを使用することになるが、エネルギーを使用することについての考え方を整理すべきではないか。

○また、無駄なエネルギー消費は無くすとか、自然エネルギーを活用する等のための設計技術に関することを整理すべきではないか。

○二つ目の教育施設としての捉え方、活かし方については、環境に対する意識を育てていく場として学校をどのように造っていくかということを考えていく必要がある。

○環境を考慮した学校施設づくりの過程やできあがった施設・設備は、子どもたちから家族や地域の人々に情報発信され、持続可能な社会の形成に向け、大きな波及効果がある。

○また、黒松内中学校では、自然採光により中廊下を照らし、そこに置く家具は地域材のブナで造るなど、子どもたちの生活の場として上手く空間づくりができていた。

○学校施設の環境対策は、コストベネフィットだけではなく子どもたちの未来をきちんと考えていくという視点を打ち出せるとよい。 

○学校施設そのものが省エネモデルになるなど、子どもたちが学ぶ場として身近なモデルになっていくことが望ましい。

○学習指導要領の改訂により1年で約1週間分の学習時間が増加することになる。このため、夏季に学校施設を利用する機会が増え、これまで以上に快適な室内環境の確保を求められるのではないか。

○学校施設は教育機関であり、また子どもたちの生活の場であることを踏まえ、エコスクールの基本的な考え方等を再整理する必要があるのではないか。

 

・具体的な推進方策について

○「低炭素社会づくり行動計画」等において、2050年までの長期的な展望に基づく検討が行われている。本調査研究の具体的な推進方策の検討は、どの時期をターゲットにするのか検討が必要である。

○2050年までの長期的な展望に基づく検討は避けては通れない課題と思われるが、確定的なことを書ける段階ではない。どのように触れていくか検討が必要である。

○学校設置者や学校において具体的な施策を検討しやすくするためには、短期的な推進方策を示すことが効果的である。

○今後急速に進められる学校施設の耐震化や学習指導要領の改訂に連携していくためには、10年程度を見越した検討がよい。

○この部会で整理している関連データは、環境教育の教材として有効に活かせるのではないか。

○推進方策の「比較的費用を掛けずにできることから取り組む」については、子どもたちと先生が日常すぐに取り組めることから行う、といったように学校施設であることを意識して記述すべきである。

○児童生徒が学校施設を使いながら環境について考えるようにするためには、自ら行った省エネルギー活動の効果を数値的に把握することができるようにしておくことが重要である。例えば、省エネナビなどを貸し出すなどして効果の「見える化」を支援してはどうか。

○学校現場は、いじめ問題への対応、防犯対策など様々なことに取り組んでおり多忙な状況に置かれている。また、多くの学校を所管する教育委員会では、学校に対して十分に支援できないところもある。そのため、環境対策に関心のある地域住民等と連携して取り組むことができれば、学校の負担が軽減され、環境対策が進んでいくと思われる。

○環境を考慮した学校施設づくりは、自然との共生や環境負荷低減に関する取組には事例が多いが、温熱環境に着目したものは少ないと思われるため、温熱環境に関する取組を強調した方がよい。

○太陽光発電の導入する際にも環境負荷が少ないパッシブ型の建物を目指した設計とすることが望ましいことを強調するべきである。

○再生可能エネルギーなどの環境負荷の少ないエネルギーを採用することを示してはどうか。

 

・「既存学校施設の環境対策支援事業」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

○学校施設におけるエネルギーの使い方の特徴に即した運営面の改善点を提案することも含めた方がよい。

○既存学校施設については、地球温暖化対策と併せ居住性の改善についても検討していくことが重要である。

 

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

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