学校施設評価システム検討部会(第7回) 議事録

1.日時

平成20年7月16日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

央合同庁舎第7号館 西館 14階 共用会議室1

3.議題

  1. 今年度の調査研究の進め方について
  2. その他

4.出席者

委員

(協力者)上野淳、海野剛志、小松郁夫、佐古順彦、新保幸一、長者美里、檜山幸子、屋敷和佳、山口千代已、山重慎二、山西潤一(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)岡技術参事官、長坂施設企画課長、笠原企画調整官、瀬戸専門官、木村指導第一係長、野口専門職

オブザーバー

(文教施設企画部)保坂施設助成課法規係長

5.議事録

【資料】
 資料1 学校施設評価システム検討部会(第6回)議事録
 資料2 学校施設評価システム検討部会(第6回)における主な意見
 資料3 学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第56回)における主な意見
 資料4 学校施設の評価の在り方について(最終報告に向けた主な検討課題)(案)
 資料5 今後のスケジュール(案)
 参考資料1 学校施設整備指針策定に関する調査研究について
 参考資料2 学校施設の評価の在り方について(中間報告)
 参考資料3 学校施設の評価に関する手引き
 参考資料4 学校評価における施設の評価に関するアンケート調査結果報告書
 参考資料5 幼稚園、高等学校及び特別支援学校の特性を踏まえた検討
                  ・ 幼稚園における学校評価ガイドライン(抜粋)
                  ・ 学校評価ガイドライン[改訂](高等学校・特別支援学校関連部分抜粋)
                  ・ 学校施設整備指針の総則の比較
 参考資料6 今後の調査研究スケジュール(案)

 【議事】(○:委員の発言、●:事務局の発言)
 ・  事務局から資料3に基づき、第56回調査研究協力者会議議事録と主な意見について説明。

 (1)   今年度の調査研究に進め方について
 ・ 事務局から資料4、参考資料2、5に基づき、最終報告に向けた検討課題について説明。

○ 今年度の課題は、前年度の部会で積み残しになっていた幼稚園、高等学校、特別支援学校について取り組み、ブラッシュアップするとともに、パイロットスタディーをしながら精度を高めていくこと。

○ パイロットモデル事業を早速スタートさせる。実際に評価のパイロットモデルを実施していただき、その報告を受ける。

○ パイロットモデルでは自治体、あるいは教育委員会が設置している学校数が小さいところから大きいところまで、学校施設の評価が進んでいないところから先進的なところまで、様々なタイプのデータが集まると良い。小さい自治体ではなかなかサイクルがうまく回せないのではないかという危惧がある。大きいと大きいで、たくさんの数の対応をしなければいけないため、大変な状況が起こると考える。

○ 評価システムがうまくいくかどうかを確認する上では、評価システムを作成した意図がよく分かっている人たちが事業に介在することが重要ではないか。

○ モデル事業をただ実施してもらって、報告を求めるだけよりも、評価システムの意図やシステム構築にあたり実際にあったネック・苦労を分かっている部会メンバーが、アドバイザーとして事業に参画したり、または、取材に行ったりすることが必要ではないか。

○ 立ち入り過ぎて自治体の自立性を阻害するのも問題だと思うが、何らかの形で関わり課題等を部会として十分承知しておくことは重要。

○ 委員が少しコミットするような形のものを考えないと、昨年から今までの議論とパイロットモデル事業がうまく連動しない。

○ 施設の評価に関しては、一般の学校評価よりも、専門的な知識がないと難しい。以前文教施設センターの専門家の方に同行いただき学校評価を行ったとき、施設の専門家も交えて学校評価を行うと違った観点の評価ができるという意見が随分出た。評価体制に専門家も入れると、質の違った評価ができると考える。

○ モデル事業を受ける側はどういう気持ちで受けるのか少し気になるところ。なぜ受けるのか、この事業を実施することで、現在の施設整備の体制等のどこをどう変えたいのか聞いていただけると、全体の施設整備の中でこの評価がどういうふうに位置づけられるかが分かって、よいのでは。

● 何らかの形で委員の方々に参画していただいたほうが、意図も説明できるし、何が課題かということも抽出できると考える。

○ 例えば古い学校であっても、それを工夫しながら教育活動に使用している。しかし、学校施設を評価することで、もっとこんな施設になればいいという、自分たちで学校施設は変えていけるんだという啓発につながればと考えるが、そういったことも施設評価の一つの目標にあるのではないか。

○ 一定水準による評価と学校ごとの個別目標に対応した評価両方が大切。例えば耐震性能のような一定水準が当然評価されるとともに、ある固有の教育目標を持っていて、それについて固有の調査項目を立てそのPDCAサイクルを回すことによって、学校が全体として向上していくということも、施設評価の一つの大きい目標。一律の評価ということだけでとどまらないように注意する必要がある。

○ 施設評価を実際現場で実施していただく際に、一体現場は何を契機として、施設評価を必要とするのか。おそらく、喫緊の問題がない場合は、あまり用いられることはないのではないか。そうすると、例えば、改築をすぐ必要としているとか、あるいは今、この学校で解決しなければいけない問題があるとか、そういうようなモーメントのある学校にとって、すぐ生かせるモデルあるいは尺度があれば、それは非常に意味があるものになると考える。学校施設評価システムには、必要なときに役立つというような性格が求められるのでは。

○ 評価システムの問題点として1点目に、実施するほうにインセンティブがないと、なかなか始めてくれない。どういうインセンティブを与えるのかというのは今後検討していく必要がある。現場ではなかなか実行に移す環境ではなく、それに対してどうインセンティブを与えるかということが課題である。

○ 2点目に「評価」という言葉は、実施するほうに良いイメージを与えない。「評価」がポイントではなく、いかに「改善」していくかということがここで考えられているシステムのポイントなので、学校施設の「改善」システムという言葉の方が良いのでは。

○ 学校施設評価システムという表題をどうするかについては、今後の課題にしたい。

○ 点数をつけることが役割ではないということは、これまで繰り返し議論されてきたこと。PDCAサイクルが回って、いかに改善に結びつくかというところを十分考え、また、現場が受けとめるためのインセンティブもよく考えながら、いかに魅力を持ったものとして受けとめていただけるものにするかというのは工夫を要するところ。

○ 幼稚園には幾つか特徴がある。幼稚園は私立が多く、設置者イコール教育現場になる。子どもたちの状況だけでなく私立が多いといった経営母体の特徴も評価するときに考えなければならない大きな要素になる。発達段階によって施設がどう使われるかということは議論すべき。高等学校もかなり多様性があるので、その目的に合った施設になっているのかどうか、それが運用されているのかどうかというようなことは、小・中学校より変化が激しいという特徴がある。

○ 特別支援学校については、障害種によらない従来の肢体不自由と知的養護を総合化した特別支援学校が出てきている一方、例えば肢体不自由の養護学校を総合支援学校というふうに、名前を変えただけの学校もまだまだあるので、どのように実態を評価できるかということも大きな課題。

○ 特別支援学校というのは障害の種別によって違う。利用者、生活者、児童・生徒に意見を聞く、あるいは満足度をはかることは難しい。その中で、教育関係者だけで評価を行ってしまうと偏ったものになるのではないか。福祉的な面の関係者の意見を聞く場があっても良いのではないか。

○ 京都市は、地域性、総合性の養護学校に改変されており、京都市の中で4つの学校に分けてある。障害種別ではないので、1つの学校にどの障害を持った児童もいて個別の教育を受ける。医療、福祉、専門家等を加え一人一人に総括支援プランのようなものをしっかりつくっている。その一つがコミュニティスクールとなっており、保護者がいつも参画しているから、評価システムを一緒に構築できるいい事例。今後はこういう形がどんどん広がっていくのでは。

○ 今、普通学校でも、特別支援学級の数が非常に増えているという状況。普通学校で、学校施設評価を行うと、大多数の保護者、大多数の児童・生徒の声ということで、普通教室のほうに目が行ってしまいがちになる。

○ 利用者の評価が教員だけの評価に偏ると、特別支援学校は思いがけない問題を見落とす可能性がある。関係者評価のところでどんな仕組みを取り入れていくかということは少し議論をする必要がある。

○ 幼保一元とは別に、いわゆる認定こども園まで踏み込むのか。

● 幼保一元の話や、認定こども園という話については、政府全体で様々な議論がまだあるところなので、最終報告では幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校という学校制度の枠組みの中で整理を考えている。

○ 幼稚園は、学校評価のほうではかなり検討が進んでいるのか。小・中とは違う仕組みの評価項目例というところまで検討が進んでいるのか。

○ 学校評価では、幼稚園における学校評価ガイドラインを策定しており、その際は、小・中と共通した部分と、違う部分という形で議論した。

○ 幼稚園の先生方は学校評価に対する感覚が小・中学校の先生と違っていた。学校評価は、教育活動その他の学校運営の状況について評価をするというのが法規上のきまりだが、その他の学校運営の状況については、幼稚園は園長がリーダーシップを発揮し、それ以外の先生は若い人が多く、マネジメントの部分については園全体で議論するという方向にならない。 

○ 幼稚園の先生たちは、教育活動についての評価、授業評価に近いものが学校評価のイメージとして強く、小・中学校で議論した、学校という組織全体の評価という関心が薄かった。

○ 実験器具や薬品を設備の一つとして管理するということがあると思うが、それも学校施設の中に入れて評価されると考えるのか。

○ 例えば地震が起こったときに、危険なものが散乱するという可能性もある。それから、免震性があるような保管庫にするとか、あるいは耐震化の設定されたようなところで保管するとか、そういうのも学校における安全という面からいえば施設・設備だが、トータルに見ていくほうが施設評価ということでは重要なポイントになってくると考える。

○ 快適性では、室内設備の整備状況(机、椅子、家具、収納、掲示板など)という項目があって、学習活動への適応性ということで言うと、教育用・校務用コンピュータ、校内LANの整備などという項目がある。高等学校の例えば工業、農業だと、実習、実験室はウエートを占めるし、総合制高校などでも同じことが言える。全く扱わないというよりも、それらがトータルな教育環境として安全かつ効率的、適切に環境が整えられているかというところで、取り扱っていくことになると今のところ考えている。

○ 学校施設利用者満足度調査については、小・中それぞれ100校ぐらいを目途に、候補校のリストをつくっている。パイロットモデルをやるに当たって、規模の大小や人口の多い少ない等、分析のときにグループが形成されるようにサンプルを選び、最低でも100校ぐらいのリストをつくってみて、うまくグルーピングができるかどうかを調べている。

○ 昨年の中間報告で示された学校施設利用者満足度調査というのは、教員の方々が対象。例えば児童・生徒についてはどうなるのか。何か検討することになるのか。

○ 小学校で児童を相手に質問をするときに、果たしてうまく答えが返ってくるか。仮に実施するとすれば、先生用につくった質問と全く別の質問項目というか、別の聞き方をしないとうまく答えが返ってこないのではないか。好き嫌いのような返事ばかりでは調査の趣旨に合わないということで、とりあえず、先生を対象とする調査から始めているところ。

○ 本満足度調査で、施設利用者として教師による評価は、かなり安定的なサンプルが示せると考えるが、もう一方の利用者である児童・生徒による評価をどうすべきか検討が必要。

(2)その他

・事務局から資料5に基づき今後のスケジュールについて説明

以上

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

電話番号:電話番号:03-6734-4111(代表)、03-6734-2291(直通)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)