特別支援学校施設部会(平成19年度まで)(第10回) 議事要旨

1.日時

平成19年5月21日(月曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

キャンパス・イノベーションセンター 2階 多目的室3

3.出席者

文部科学省

(文教施設企画部)
 舌津文教施設企画部長、岡技術参事官、長坂施設企画課長、笠原企画調整官、森文教施設環境対策専門官、笠井施設助成課長補佐、廣田指導第一係長
(特別支援教育課)
 新谷特別支援教育企画官、宍戸視学官、池尻特別支援教育調査官、石塚特別支援教育調査官、樋口特別支援教育調査官、

オブザーバー

[協力者]
 飯塚哲、岩井雄一、岩本弘子、上野淳、神尾裕治、黒川君江、古瀬敏、新保幸一、高橋儀平、田中良広、成田幸夫、林茂和、平根孝光、宮崎英憲(敬称略)

4.資料

  • 資料1 特別支援学校施設部会(第9回)議事録(案)
  • 資料2 特別支援学校施設部会(第9回)における主な意見
  • 資料3 学校施設整備指針の改訂等について(案)
  • 資料4 今後のスケジュール(案)

5. 会議概要

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)報告案について
    • (2)その他
  3. 閉会

6.議事要旨

 事務局より配付資料の確認

 事務局より資料1及び資料2に沿って説明

  • 先週WGリーダーにお集まりいただいていろいろ議論をした結果を、資料3に取りまとめている。資料3のうち、まず、第1編の特別支援学校施設編について、事務局から説明を受けた後、このカテゴリーについての議論をさせていただきたい。

 事務局から資料3「第1編 特別支援学校施設編」について説明

  • 109ページに及ぶ膨大なものになったが、かなり精査が進んだように思われる。表紙の次の「はじめに」の下から18行目、「と」が1個多いので、削除願いたい。
  • 今回の修正の特徴は、例えば1‐8ページの「特別支援学級」や、1‐9ページの「訪問教育」等々について、用語解説を加えていただいたところであり、これらを加えたことにより、大変読みやすくなったと考えている。
  • 例えば1‐8の「特別支援学級」に関する記述中の「障害の比較的軽い」としている部分について、「軽い」と書いてよいかどうかは、かなり議論があったところであるが、もしご意見があればお願いしたい。
  • 1‐12ページの用語について、「学生支援員や特別支援教育支援員」というのが追加されているが、これは、既に一般に理解されている言葉なのか。
  • この表現に関しては、特別支援教育課と調整して、もし、この表現が一般的にはまだ浸透していないということであれば、注釈をつけるなど、対応させていただきたい。
  • 学生支援員と特別支援教育支援員であれば、特別支援教育支援員のほうが先に来るのではないか。
  • 1‐24ページ(6)で、「情緒障害、自閉症又はADHD等の障害との重複に対応する場合」と、「言語障害との重複に対応する場合」というように記述しているが、この書き方で整理できていると考えてよいか。
  • 前回は、言語障害という書きぶりだけであったところ、重複の障害ということと、「主となる障害の特性に配慮しつつ」という内容を追加したので、より具体的に理解できるのではないか。
  • 前回の部会で議論となった、「発達障害」と「軽度発達障害」の言葉の整理ができているかどうか確認してほしいという点について説明いただきたい。
  • 前回、高橋先生からご指摘をいただき、全体の整理を行ったところ。その結果、今の「第1編 特別支援学校施設編」には、発達障害あるいは軽度発達障害という表現は一言も出てきていない。
  • 小学校編には、「発達障害」という表現が入っており、具体的に注釈を加えて「発達障害」が何を指すかを明確にしている。
  • 1‐50ページに「教室の構造化」についてコメントが書いてあるが、大体このような書きぶりでよろしいか。
  • 特に問題はないと思われる。
  • 1‐12ページの、「特別支援教育支援員」と「学生支援員」について、特別支援教育支援員は、小中学校に主に配置されているので、特別支援学校編にこれを入れるというのは、どんな状況が想定されるのか。むしろ、小中学校でこういった方々の居室が必要になると理解している。
  • 前回の部会において、ボランティア、保護者以外にも、こういった諸活動を支援するための部屋というものを考えたほうがよいというご指摘があり、それを明文化したものであるが、やや事実誤認の部分もあるようなので、適正化を図らせていただきたい。
  • 1‐3ページで「通級による指導」について用語説明があり、また、2‐2ページに同じように「通級による指導」の用語説明がある。この2つの記述に相違点があるが、その内容について説明願いたい。
  • 通級による指導の場合、お子さんのほうから出向いて通級するケースと教員が出向いていくというケースがあるが、全国的にはどのようになっているのか。
  • 用語解説中の相違点は、指導形態の後段の記述かと思う。2‐2ページの小学校の指針には、「通級による指導の形態には、当該児童生徒が在籍する学校内での実施だけでなく」ということで、校内通級と校外通級、あるいは校外の場合に特別支援学校に出向く形態等、さまざまな形態があるということを補足させていただいている。
  • 一方、特別支援学校の指針には、校内の通級がおよそ想定されないので、小中学校に在籍している生徒が特別支援学校に出向く形態もあるということを書けば、それで足りるという判断もあり、異なる記述としている。
  • 例えば聾学校であれば、聾学校に通級に来る子供もいるが、聾学校の先生がある地域の公民館に出向いて、そこに何人かを集めて指導するという形態もある。ここは同じ記述の方がよいと思う。
  • 関連して1‐8ページ、1‐9ページに「通級による指導や、いわゆる『巡回による指導』等の有無にかかわる」という記述もリンクしているので、精査をしていただきたい。
  • では、特別支援学校の通級と小中学校の通級が、どういう関係にあるかをもう一度整理して、ご懸念がないように文章化したいと思う。
  • 1‐23ページ、「動線等」の(4)と(5)に関して、「明瞭で規模に応じた動線を設定できるよう」と書いて、「避難経路を設定することが重要である」としている。この2つのつながりが、間が何となく抜けているような、接続詞がどういうニュアンスなのかわからない。あまりに簡単に記述され過ぎていると思うので、表現を工夫していただきたい。
  • 1‐23ページ(4)については、日常動線と避難動線を同じパラグラフで書こうとしているところがちょっと無理かもしれない。
  • 1‐8ページの特別支援学級の用語解説について、「障害の比較的軽い児童生徒のために小・中学校に」とありますが、これは、高等学校にも設置することができるので、「小・中学校等」として「等」を入れたほうがよいのではないかと思う。
  • 確かに規則上は高等学校にも設けることができると書いてあるので、そのことを示すのであればここはそのようになるが、実際の運用で書くのであればまた別な表現としてよいのではないかと思う。
  • これはちょっと預って検討することとしたい。「小・中学校等」と書くと、高等学校の指針のほうも、相当いじり始めなければならない。
  • 1‐24ページ「学習関係諸室」の「共通事項」(6)について、「当該地域の気候風土や気候の季節的変化も考慮し」とあって、3行目に「情緒障害」以下、「ADHD等の障害との重複に対応する場合は」と書いてあり、その次も「言語障害との重複に対応する場合は」とある。この「共通事項」の記述は、必ずしも重複だけに限らないような気がする。重複に対応する場合だけが、「可能な限り騒音や雑音を避け得る位置に計画する」ということだけではないと思うし、何らかの刺激を避けたほうがよいという考え方は同じだと思う。ここで「重複」と出てくる意味がよくわからない。
  • もともと5つの障害の程度に合致するということで特別支援学校に通学しているので、それに加えてということを説明しないと、自閉症だけの単独ということで誤解されてはいけないということで、このように「重複」と書いている。
  • すべての障害に共通するものとして、最初の1パラを書いており、その次の「情緒障害」と書いてあるところからは、5障害以外に情緒障害、自閉症等との重複がある場合、その次のパラグラフは、通常の5障害のいずれかに加えて言語障害との重複に対応する場合ということにしている。
  • そもそも特別支援学校の指針では、冒頭の表紙の裏書きで書いてあるとおり、学校教育法において規定している5つの障害を対象とした特別支援学校に関する留意事項をまず示している。
  • 5障害のほかに重複という形で整理すべきものについては、すべて「重複に対応する場合は」ということで、主となる障害に加えた記述であることがわかるように、性格を整理させていただいている。
  • 皆さんがそのようにイメージをしているのであれば構わない。
  • 1‐33ページの「第4 動線空間」の2の「昇降口等」について、「また、各部又は各障害の雰囲気づくりを行う上で、各部又は各障害に応じて昇降口を計画することも有効である」という記述の「各部又は各障害の」という部分が追加されているが、なぜ「各障害の雰囲気づくりを行う」というような表現になるのかわかりにくい。
  • これはもともと「各障害種」という表現が当初は入っていたものであるが、知的障害と肢体不自由というように複数の障害を対象とした学校とする場合など、知的障害の雰囲気づくり、あるいは肢体不自由の雰囲気づくりということが考えられ得るだろうということで記述している。
  • そういう各部または各障害種に応じた形で計画することも、場合によっては有効であるという記述をさせていただいている。この部分は、表現をまた再検討させていただきたい。
  • それでは、次に第2編の小学校と第3編の中学校について検討したいと思いますので、事務局からまず説明をお願いしたい。

 事務局から「第2編 小学校施設編」及び「第3編中学校施設編」について説明

  • 2‐3ページ(8)については、前回は「落ち着きを取り戻すことのできる小規模な空間との関係を考慮して」と書いてあったが、少々唐突ではないかというご意見があったので、今回は、「特別な支援を必要とする児童のための指導上必要なその他の空間」として、2‐5ページの6パラで、その空間はどのようなものかということを記述することとしている。
  • 2‐5ページの6と2‐3ページの(8)について、どこかで「通常の学級に在籍する」という言葉を入れるべきではないか。
  • 一応2‐3ページの記述は、普通教室についての解説文だから、通常学級に在籍する一般の児童生徒の中にも、情緒障害、自閉症、ADHDなどの障害がある児童がいるかもしれませんよという文脈で書いているつもりである。
  • 小学校整備指針の全体の中に埋め込んで不都合がないか確認をしないと、今のような疑念が生じる。だから、小学校の整備指針、中学校の整備指針をずっと読んでいって、普通教室があって、そのあとに、最後に特別な支援を要するというような文脈だとわかりやすいかもしれないし、なお全体を通じて読むと、やっぱり先生がおっしゃるように、通常の学級に在籍する情緒障害、自閉症云々と書いたほうがよければ、それはそれで考え直すこととする。
  • 2‐3ページ(8)は、「その他の空間」を設けることを前提とした記述なのか。そのあたりのことがわかるように記述するとよいのではないか。
  • これは、「特別の支援を必要とする児童のための指導上必要なその他の空間」を設ける場合には、普通教室等を置く位置や並びやデザインを考えたほうがよい、という意味である。こういう小部屋のようなものを必ず設けなさいという趣旨で書くと、全体に非常に大きい影響があるので、このような感じでよいのではないか。だから、こういう部屋が必ず一般的な小学校、中学校に設けられることを前提にして書いているわけではない。
  • 空き教室とか、これから新しく学校を計画するに当たって、6.数パーセントという特別な支援を要する児童生徒の出現率等々も考慮して、いわゆるデンと言われているようなスペースを設けるような場合には、普通教室の関係とかにいろいろ考慮して計画することが大事ですよというような、現在のところはそういう気持ちでよいのだろう。
  • 私は、もう少し積極的な意味合いを込めて、このくだりを普通教室のところに入れろと主張している。これまでは、普通教室を設計するときに、ワンセットとして「その他の空間」をつくっていなかったし、設置者もあまりそういう意識はなかった。ところが、今現実には、そういう部屋を設けてくれないと、例えば高機能自閉症の子たちに対応することができない。
  • 特別支援学級がある学校、あるいは通級指導学級がある学校、それを除いて、何もない通常の学級の中で、LD、ADHD、高機能自閉症の子たちのいわゆる非常に大変な時期や、あるいは個別に対応しなければならないときに、そのような学校でどのようなことに困っているのか、それにこたえるものが、ここの施設整備指針に書き込もうとしている部分だと思う。
  • しかも、ますますそういった子供たちが増えてきている。今後、より一層の対応が要求されるだろうというところを見越した指針としなければならない。そのような点を考えると、例えば小中学校で困るのは、やはり非常に興奮したときなどに、その子たちをどこで落ち着かせるのかということが一つである。
  • もう一つは、その子たちの学習支援という大きな点があると思う。通級や特別支援学級の先生方あるいは養護学校の先生方がすごく努力して、地域の小中学校に出向いて指導している。どこに出向いて指導しているかというと、例えば2年何組という教室がいなくなったときに、その教室につい立てを置いて、教室の机を外に出して行っている。これからはそんなところでお茶を濁していくべきではないと思う。
  • 2‐5ページの6を加えていただき、落ち着きのある空間、落ち着ける空間と個別指導ができる、あるいはほかの子との関わりを学べる場に関する記述が加わったと思うが、「考慮してくださいよ」というよりも、もう少し踏み込んでイメージしてもらえるような記述ができないかと思っている。この部分が小中学校の施設整備指針の改訂で一番大事なところであるのでできるだけ目立たせたいという思いがある。
  • 気持ちは同じであるが、まず、小学校、中学校整備指針にこういうパラグラフが新しく登場したことは、相当な前進だと思う。成田先生のご指摘のように「望ましい」を、「重要である」とするとか、あるいは「有効である」を「望ましい」に格上げするかどうかについては、行政的な判断を要するところなので、預からせていただいて、検討させていただきたい。
  • ただ、これをすべての小中学校にこれから設置を義務づけるというところまで、状況が整っていない。いずれその方向に行くことは当然だろうと思うが、このようなパラグラフが新しく書き加えられ、かつ普通教室というところにも(8)が加わったということは、今度の小・中の整備指針を改訂するということの一つ大きい成果だというふうには理解している。その辺、部長、何かご意見があればいただきたい。
  • 大変重要なご指摘をいただいたと思っており、上野部会長とも相談して、適切に対応させていただく。
  • 用語解説をしていただいて、特別支援学級や通級指導について、大変丁寧に対応していただいていると思うが、2‐2ページの前段にある「認定就学」というような部分をあえて用語解説に加えていない。認定就学のことを言い出せば、要求される施設設備について、歯どめがきかなくなるというような思惑があったのか、その辺について何か理由があれば、お聞かせいただきたい。
  • 認定就学に関しての用語解説は、特段これを排除する検討をしたわけではなく、基本的な用語として特別支援学級あるいは通級というのは入れたほうがいいだろうという検討の中で、認定就学というところまでは検討は至っていなかったということである。その部分の用語解説をどうするかは再度検討させていただきたい。
  • 一般に「教室の構造化」と言ったときには、特別支援学級の中だけに対して使われている言葉なのか。
  • 特別支援学級の中だけということではなくて、自閉症に対応する指導を行う場合の教室等の使い方と考えていただければよいかと思う。
  • それでは、小学校を中心に見ていただいているが、中学校もほぼそれに同等の修正をしているので、一応これで小学校、中学校の検討は、ご意見を承ったということにさせていただきたい。時間の関係もあるので、次は、幼稚園施設編及び高等学校施設編に進みたいと思う。

 事務局から「第4編 幼稚園施設編」及び「第5編高等学校施設編」について説明

  • 当初、特別支援学校及び小中学校をずっと検討してきたが、幼稚園、高等学校は一体どうなっているのかというご指摘が、部会及び親委員会でも出て、検討を行ってきたところであるが、一旦、「総則」にこのような記載をさせていただいて、諸情勢が固まり次第、引き続き、なるべく精力的に早く、幼稚園・高等学校についても検討をすることとしたい。
  • それでは、第6編施設整備関連方策について、事務局からご説明をいただきたい。

 事務局から「第6編 特別支援教育を推進するための施設整備関連方策について」について説明

  • 特別支援学校及び小学校、中学校の整備指針で、施設水準や内容などについてはかなり具体的な記載において前進を見ることができそうであるが、なお一部の特別支援学校では非常に学校規模が大きくなり過ぎているのではないかとか、あるいは教室数が不足していて、相当手狭なところで特別支援教育を行うことを余儀なくされている状況があるのではないかとか、あるいは小中学校においても、特に通級等に関する施設数が足りていないのではないかという指摘がされている。
  • これは人的な配置とも当然密接に関連しているわけであるが、第6編は、それらについて財政支援も含めた施策の前進を整備指針会議として提言するというパラグラフである。
  • とりわけ前回と変わったのは、6‐2ページ(2)のセンター的機能とは別に、(3)を新しく起こして、小中学校の通級のスペースをつくることが、大事なカテゴリーとしてありますよということを浮上させたというところである。
  • 整備指針会議からこのような関連方策についてという提言が出されると、文部科学省として、または文教施設企画部としても、動きやすいというか、具体的な施策の立案等に着手しやすくなるということはあるのか。
  • 施設整備指針の協力者会議で、このような形で財政支援のことまでお触れいただくというのは2度目であり、1回目は学校施設の耐震化の問題であった。それから、2つ目がこの特別支援ということである。この特別支援教育制度、確かに法律上は制度が改正されて、スタートはしているわけであるが、施設のみならず学校現場そのものが、制度が変わればころっと変わるわけではない。それは、建物はもちろん、ソフトの面でもそうである。
  • そのようなことから、このたびは、単に建物の内容を規定するだけではなくて、幅広い行政を行っていく必要があるという認識をいただいた。私どもはそういうご提言を踏まえていろんな各種施策を打っていくというのが当然の職務であり、謹んでお受けをするという姿勢である。今後、これを有効に活用させていただきたい。
  • 今回の改訂の中で、学校のバリアフリー化についての考え方がかなり充実してきているような感じがする。特別支援教育のための施設環境整備のベースになるようなバリアフリー化ということになると、特に既存の学校施設関係については、より多くの財源の確保などを推進していただけないだろうかと思う。
  • 確かに、バリアフリー化を図るというのは基本的に非常に大事なことである。しかし、市町村、自治体では財政的なこともあって、目標として指針を出しているが、なかなかはかどらないという面もある。これはこれで別途、文教施設企画部としても努力していただいているわけなので、それらを参考にしながら、最終的にまとめを考えたい。
  • 今ほどの学校施設のバリアフリー化にもかかわる話で、第2編、3編、4編等々にもかかわるが、例えば2‐1ページ、小学校、中学校、高校のそれぞれにバリアフリー対応について書いてあるが、この中に「スロープ、手すり、便所、出入口、また必要に応じエレベーター等の計画に配慮することが重要である」とある。この「また必要に応じ」という文言をとるのは、かなり難しいのか。
  • やはりエレベーターが設置されているかどうかというのは、車いすの方の移動にとっては非常に大きい問題になる。これは、子供も大人も共通することである。
  • この先、今つくっている指針をもとに学校が整備されることを考慮しなければならない。また、さまざまな人たちが学校教育に参加するということ、それから、おそらくノーマライゼーションの進展で、この後車いすを利用する、そして知的な遅れのない子供たちが小学校、中学校、高校へ就学する、入学するということが今よりももっと増えていくのではないかということを考えたときに、これに「また必要に応じ」という言葉がないほうが、おそらく小中学校設置者である市町は、もう一歩進んだ形でエレベーターの設置を考えるのではないかと思う。
  • 今、バリアフリー指針をなお一層前進させるために、市町村自治体に向けてどういう施策を打っていったらいいかという解説書を書く仕事を、新保委員の研究所に拠点を置いてしているが、その一環で、実はある東北の県庁所在地のある小学校、バリアフリー化をかなりやったというふれ込みの学校を、先般、成田先生と一緒に見学をしてきたが、エレベーターはなかった。そういう市町村の財政事情や、そもそもの意識の問題もある。
  • バリアフリー新法でも必置義務はない。それで、私どもの前に出したレポートでも、「必要に応じ」という表現になっているので、それをどう強めるかというのはなかなか難しい問題はあるが、上野部会長とも相談して、どのような表現にするのがよいのか、考えさせていただきたい。
  • 部会長の提案で第6編が書き込まれたわけであるが、若干追加の検討をしていただきたいところがある。まず、量的な整備のために、学校規模がある意味で過大になっていく可能性が非常に高いというおそれがある。特別支援学校であれば、1ないし複数の障害に対応した学校づくりということが想定され、その複数の障害というのは、2つでも3つでも、場合によっては5つでもあると読める。
  • そうした場合に、学校規模を適切に処理していくということが非常に重要なことであり、その点を例えば計画的な整備の中に、量的な整備とともに適切な規模を念頭に入れて計画的に整備をするというようなことを、どこかで書き込んでいただくことが望ましいと思う。現に、かなり大規模校ができそうな動きがあるので、その点をぜひお願いしたい。
  • 以前、教室数の不足とともに、大規模校になるおそれというのがあるということをちょっと申し上げたが、私もそういう意味では問題意識は同じであり、どこにどういう文言を入れるかということは、直ちにはお答えできないが、事務局と諮りながら、その件についても入れさせていただきたい。
  • 第6編は、明らかに第5編までと中身が異なっており、政策への提言ということになると思う。課題のところで、「児童生徒数が増加する傾向にある」とか、「施設の量的整備が十分に追いついているとは言い難い」という記述があるが、最終的にこれが製本して世間に出回る際に、何かこういったことに関する参考データのようなものをつける考えがあるかどうか、お聞かせ願いたい。
  • 現時点で、具体的にどのデータということはまだ念頭に置いていなかったが、関係機関の中で相談させていただき、適切に対応させていただく。
  • 例えば耐震化のときは、ある都道府県は耐震化って非常に熱心にやっているけれども、ある都道府県は全然熱心ではないとか、そういうデータも示しながら整備指針会議で議論された。当然、エビデンスというか、状況データ、逆に言うと、グッド・プラクティスのような事例も紹介しつつ、これから事務局も精力的にやっていただけると思う。
  • 小学校施設編の2‐3ページについて、普通教室に(8)という形でつけ加わった。これは非常によいと思うが、これの並びで、次の第4章の各室計画の第2の2の普通教室のほうにも何らかの記述があってもよいのではないかという気はする。
  • 例えば、この2‐3ページには、「落ち着きを取り戻すことができる小規模な空間」というような、割と具体的な備えが書かれていたが、それはどこかに行ってしまった。例えば、それを各室計画のほうに、「…も有効である」とか、そういうような形で、全体的な並びからしても、ここに1つ付け加わるというのがあるのではないか。
  • ご指摘いただいた2‐3ページのところで、(8)として入れた内容というのは、普通教室内の記述ではなく、普通教室を計画する場合に他の空間との関連を考慮するという、平面計画上の留意事項を示させていただいたものである。
  • 普通教室の中にその他の空間に関する記述を入れるということになると、入れどころが少し違うということで、我々として今回、2‐6ページの第2の2(1)「また、児童にとって安心して落ち着くことのできる場として計画することも重要である」との記述を追加している。
  • 普通教室内の記述に関してはここで整理し、その他の空間に関しての各室の内容については、2‐8ページの6として、情緒障害、自閉症等への対応ということで、「安全性を十分考慮した面積、形状等とすることが重要である」という形で整理をさせていただいたところである。
  • 6‐1から6‐3の中で検討すべき点として、特別支援学校の特別支援教育に対する貢献度ということが1つ。それと、小・中学校における特別支援学級だとか通級による支援が1つ。最後に、6.3パーセントの子どもたちを考えると一番大事である通常の学級の視点というのがある。
  • 例えば、特別支援教育の視点を入れた施設整備の計画が今後は必要であるといったことが、ぼやっとしたことでもいいから入れることができないかと感じた。
  • 今おっしゃっているのは、6編の中の特別支援学校と小中学校の通級については記述されているが、一般の学級に在籍する6.3パーセントの子たちのための施設的な手当てのことも、何かストレートでなくてもいいから書けないかということか。
  • そのとおり。例えば通級にしても特別支援学級にしても、全校の中で特別支援教育の視点を加えるということが、なかなか今までなかったように思う。結局、第6編のどこかにちらっと入るのがいいのかなと思ったが、どこに入れるべきかよくわからない。何かぼやっとした視点でもいいので、通常の小中学校の施設設備を設計する際に特別支援教育の視点がこれからは大切になってくるといった感じの1行が入らないものだろうかと感じている。
  • 預からせていただいて、事務局と相談させていただきたい。
  • 多分、次回また小学校、中学校の整備指針を、例えば5年から10年後に改訂するときには、その辺をかなり強烈に書くことになりそうな気もするが、現段階で、一般的な小中学校の普通教室のところまで書き込むのはできるかどうか、事務局と相談させていただきたい。
  • 今日いただけなかったご意見については、また後で、もしどうしてもこの点はということがあれば、ぜひ事務局までメール、電話、ファクス等でご意見をお寄せいただきたい。
  • 今日もかなりたくさんご意見をいただきましたが、これについて再度部会を開くという時間的ゆとりもないため、今日いただいたご意見、ご指摘は、事務局と部会長である私とに預からせていただいて、最大限努力して、最後まで、ベストの状況になるまで精査を続けたいと思うので、ご一任をいただきたい。

(「異議なし」の声あり)

  • それでは、そのように今後図らせていただく。
  • おおむね1年間、10回に亘り、非常に精力的かつ真摯にご意見をいただいた。自画自賛であるが、相当前進したと考えているが、ただ、やっぱりもっと書くべきだということは、まだいろいろあるかと思う。諸情勢の中でそれをどのくらいまで前面に出して書けるかどうかというあたりは、最終的な行政判断もあるが、私も一生懸命前進させたいと思うので、どうぞよろしくお願いしたい。
  • それでは、今後のスケジュールについて、事務局からご説明をいただきたい。

 事務局より資料4について説明

 舌津文教施設企画部長より挨拶

  • 本当に1年間のご協力に感謝申し上げる。また再びお会いしていろいろご協力をいただく機会があると思うので、その節はどうぞよろしくお願いしたい。1年間、ありがとうございました。

以上

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課