「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会(第2回)議事録

1.日時

令和5年10月19日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 新しい「デジタル・ライブラリー」の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

竹内主査、林主査代理、石田委員、大山委員、杉田委員、西岡委員、日向委員、松原委員

文部科学省

藤澤学術基盤整備室長

5.議事録

【竹内主査】  それでは、時間になりましたので、ただいまより、第2回「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会を開催いたします。
 本日は、オンラインでの開催となりました。報道関係者も含め、傍聴者の方にはオンラインで参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じるなど、続行できなくなった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了解いただきたいと思います。
 まず、事務局より、本日の委員の出席状況、また配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  では、事務局からお伝えいたします。
 本日は9名中、小山委員が欠席でございます。杉田委員、日向委員、松原委員がオンラインでの出席となっております。
 また、配付資料に関しましては議事次第以下、資料1から資料4を用意しております。御確認いただければと思います。
 オンラインでの御参加の委員への注意事項でございます。通信の安定のため、御発言の場合を除き、常時「ミュート(マイクOFF)」としていただき、ビデオは「開始(ビデオON)」としていただきます。御発言する場合は、「手のアイコン」または「挙手」をクリックして連絡くださるようお願いします。指名された委員は御自身で「ミュートの解除(マイクON)」の操作をしていただきます。御発言の際は、最初にお名前をおっしゃっていただき、ゆっくり御発言いただければと思います。御発言の後は、先生御自身で「手のアイコンを非表示」、「ミュート(マイクOFF)」に戻していただきます。トラブル発生時には、電話にて事務局のほうに連絡くださるようお願いいたします。以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の傍聴登録について、事務局より御報告をお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  本日の傍聴登録は126名でございます。報道関係者の方からも登録がございます。なお、本日は録音・録画が入りますので、御承知おきください。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。今回は、まず、事務局より、前回の議論を踏まえ再度構成した「新しい『デジタル・ライブラリー』の実現に向けて検討すべき課題等」について説明があり、続いて、京都大学附属図書館の杉田茂樹委員より、京阪神3大学図書館の連携・協力活動について、また、九州大学の石田栄美委員より、研究データ管理に係る専門人材の育成について、それぞれ御発表いただき、その内容を踏まえてデジタル・ライブラリーの実現に向けた課題等について議論を進めていきたいと考えております。
 それでは、資料1に基づきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  では、資料1に基づき、御説明させていただきます。
 まず、前回との大きな違いでございます。左のほうから「理念」、「2030年の望ましい大学図書館の姿」、「実現に向けて検討すべき課題」ということで示しておりますが、この(1)では、「理念」に対して6つ項目がありますが、「2030年の望ましい大学図書館の姿」というのが1対1対応になっていなかった、同じく「実現に向けて検討すべき課題」についても1対1対応になってなかったということで、そちらを整理させていただいております。
 では、最初に「(1)教育・研究支援機能、新たなサービス」というところで、特に追加があった部分について御説明させていただきます。
 この中の左側の2番、審議のまとめの中では「機関リポジトリ等を通じてオープンアクセスを推進し、永続的なアクセスを確保」、さらに「専門書等の電子書籍化が遅れている領域の雑誌論文、図書等のデジタル化・オープン化を担う」というところでございますが、その隣の「2030年の望ましい大学図書館の姿」の一番上、「OAポリシーの策定・改訂や論文投稿システムの改善等を通じて、セルフアーカイブを促進し、安定的な保存と公開を担保する」という部分ですが、小山委員、竹内委員の御意見を踏まえて入れております。
 さらに右に行きまして、「実現に向けて検討すべき課題」というところで、「国際動向も踏まえ、OAポリシーの策定及び機関リポジトリの活用状況の改善」、「エディトリアルとパブリッシングの分離など、OA出版をベースとした新しい流通形態を視野に入れつつ」という文言を事務局、竹内委員の御意見を踏まえて入れております。
 次は左側の3番目の欄でございます。こちらは「分野の特性に十分対応し、研究データから始まる知識の再構築に対応しうる、研究者の立場に立った研究データ管理環境・支援体制を構築」というところでございますが、隣の「2030年の望ましい大学図書館の姿」というところで、「研究データポリシーや研究者のニーズに沿った大学全体の支援体制を構築し、メタデータ付与やデータ公開の支援体制が整備されている」という文言を竹内委員の御意見を踏まえて入れております。
 その下、4番目でございます。「学内の様々な部署との役割を明確にした上で緊密に連携・協力し、研究者にとって効果的な支援対策体制を構築」というところでございます。「2030年の望ましい姿」というところでは、「部署間の連携が必要な業務フローが整備され、研究データの管理・公開や研究成果の即時公開等、研究支援に係るサービスが円滑に遂行されている」ということで、こちらは松原委員の御意見を踏まえて入れております。
 さらに、その下ですが、基本的には言葉の整理をさせていただいております。
 次に、「(2)情報科学技術及び「場」としての大学図書館の効果的な活用」というところでございます。「理念」の1番目、「各大学図書館が扱うコンテンツを、利用者がその所在に関わらずアクセスできる環境が整備され、情報アクセスの格差の解消」というところですが、「2030年の望ましい大学図書館の姿」において、「コンテンツや空間のデジタル・トランスフォーメーションに合わせ、利用者がその機能を十分に活用できるよう、シームレスでシングルサインオンが可能な情報システム環境が整っている」ということを入れております。
 さらに、その横に行きまして「実現に向けて検討すべき課題」の部分ですが、2つ目の丸、「新たなデジタル技術の導入や認証システムの見直しが必要」ということで、こちらは西岡委員の意見を踏まえて入れております。
 さらにその下、2番目の「2030年の望ましい大学図書館の姿」、「教育DXの進展などに合わせ、バーチャルリアリティやオンラインツール等の活用により、現行の対面サービスを遠隔サービスとしても実施できる」という部分、「実現に向けて検討すべき課題」というところで丸の1番目、2番目になりますが、「デジタル技術の活用により高度化できる可能性のある人的支援サービスや、教育・研究のDXに即した新たな機能の検討」、「大学図書館が導入できる最新の技術やシステム、2030年の大学におけるペルソナ像についての調査を実施し、新たな支援の方策を検討」ということで、こちらは林委員、杉田委員、竹内委員の意見を踏まえて入れております。
 さらに、実現すべき検討課題の一番下のところでございます。「各大学図書館が『ライブラリー・スキーマ』に基づくサービスのデザインを可能とするため、関係者間における『ライブラリー・スキーマ』概念の明確化と、その理解を促進するための周知・共有」が必要であるということで、こちらは竹内委員の意見を踏まえて入れております。
 さらに、その下の3番目のところでございます。「2030年の望ましい大学図書館の姿」で「キャンパス全体のデジタイゼーションが進み、大学図書館が物理的な場の域を超え、学内のいたるところへコンテンツを提供できる環境が整備されている」について、その横、「実現に向けて検討すべき課題」において、「現在の教育・学修環境の整備・利活用状況を把握し、これまでの活動の評価等を踏まえ、改善点や今後の在り方等を整理。また、大学図書館以外の他部署のサービスとどのような連携が可能か検討」するべきということを入れております。
 その下の4番目ですが、「実現に向けて検討すべき課題」というところで、審議のまとめにおきましては、「大学図書館は、物理的な空間と仮想的な空間が融合する場、あるいは仮想的な空間に対する高度なインターフェースといった付加価値を持つ場として発展」という部分ですが、こちらは「既存のデジタル機器等を整理し、今後どのような設備が必要となるか、設置可能か等、先行事例の調査研究を含め検討」が必要だということを書かせていただきました。
 続きまして、「(3)今後の大学図書館の機能やサービスの実現に求められる人材」のところでございます。まず、1番目の「理念」におきましては、「研究のライフサイクルを生かした人材を育成」するということが書かれておりまして、「2030年の望ましい大学図書館の姿」では、「研究データ管理、各研究分野の研究のライフサイクル等の基礎的な知識は各大学図書館職員が把握・理解していることを前提とし、更に高度な」という文言を付け加えました。
 さらにその横、「実現に向けて検討すべき課題」というところでございますが、「研究データ管理に係る研究推進系、情報系の人材の役割を明確にするとともに、大学図書館職員が理解するべき研究のライフサイクル及び研究データ管理に関する基礎的な知識、専門人材が習得するべき高度な知識について整理・検討」が必要ではないかということを書かせていただきました。
 その下の2番目「理念」の一番上の丸、「マネジメントレベルの業務に従事しうるようなキャリアパスを構築」について、一番右の「実現に向けて検討すべき課題」という部分で、「全ての機能を一人でカバーする『ジェネラリスト型』から『ジョブ型』の職制への検討に向けた調査」が必要ではないかということで、こちらは竹内委員の御意見を踏まえて記入させていただきました。
 それから、同じく2番目の専門人材のところでございますが、「2030年の望ましい大学図書館の姿」の2つ目の丸、「専門人材の新規雇用、複数館での業務従事が可能な、より柔軟な人材確保・配置の制度が整備されている」ということを、松原委員、竹内委員の御意見を踏まえて記入させていただきました。
 さらにその下、3番目のところでございます。真ん中の「2030年の望ましい大学図書館の姿」の「また」以降で「部署間の部分的な融合、研究室や学外組織との相互協働等の柔軟な組織連携が実施されている」ということを、竹内委員の意見等を踏まえて記入させていただきました。
 その横の「実現に向けて検討すべき課題」ですが、「学内の部署間での連携体制の状況を確認し、先行的に取り組んでいる大学等のノウハウも参考として、部署間連携促進に向けた隘路を把握・解消する」必要があるということを書かせていただきました。
 最後、「(4)大学図書館間の効果的な連携について」です。こちらの2番目の「理念」「『デジタル・ライブラリー』実現に向けて、大学間で連携して取り組むべき課題」ということに対し、「2030年の望ましい大学図書館の姿」というところで「デジタルコンテンツを扱うプラットフォームの共有化、異なるプラットフォームの相互連携、コンテンツ利用契約の統合化、図書館システムの共同運用等の連携に基づく合理的なサービス体制が実現している」ということで、こちらは竹内委員からのコメントでございます。
 さらに、それに対する「実現に向けて検討すべき課題」ということでございますが、「連携を進める際に生じる課題の洗い出し」が必要であるということを書かせていただいております。
 さらに、その下、3番目でございます。こちらの「2030年の望ましい大学図書館の姿」のところでは、「大学規模・分野・地域等それぞれの事情に留意した最適な専門人材の流通ネットワークが確立され、大学間での格差が小さくなっている。またその際、国際的な人的交流の連携も視野に入れ、デジタル技術も活用した、地理的・時間的な制約にとらわれない専門人材による支援が展開できている」ということを、小山委員、林委員、竹内委員の御意見を踏まえて記入させていただきました。
 さらにその横、「実現に向けて検討すべき課題」ということで、「大学職員が複数大学で勤務する際に生じる課題の整理。できること、できないことを明確にし、解決策を検討」しましょうということを書かせていただきました。
 以上でございます。
【竹内主査】  御丁寧な説明ありがとうございました。
 いろいろと前回の資料からの変更点について、事務局から御説明をいただきましたけれども、基本的には前回の議論の際に委員の皆様方からいただいた意見を落とし込んでいくということをやりつつ、また全体としては一番左端の理念、そして望ましい姿、そして実現に向けて検討すべき課題というのを、なるべく1対1でずっと横につながって見られるような形で整理していただいたものでございます。
 恐らくこれに質問をしたいという委員の方がもう既にいらっしゃると思うんですけれども、今日はこの中身が議論の中心になりますので、その前に杉田委員、石田委員からのプレゼンテーションをお願いして、それらのプレゼンの中で示されるアイデアも盛り込むような形でこの検討すべき課題の表がアップデートされていくという形にしたいと思いますので、議論はもうしばらくお待ちいただきたいと思います。
 それでは、お待たせいたしました。京都大学の杉田委員より御発表をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
【杉田委員】  よろしくお願いします。
京都大学附属図書館に勤務しております。京阪神すなわち、京都大学、大阪大学、神戸大学の3つの大学の図書館の連携・協力ということを今年度の6月からスタートしましたので、事例紹介ということで今日は少しお話をさせていただきます。
 連携・協力活動に係る協定書のさわりの部分を今映しています。目的というところ、「本協定は、三館が連携・協力し、オープンサイエンス時代に即した大学図書館機能を創出・展開するための活動を行うことで、三館のみならず国内大学図書館の充実・活性化に寄与することを目的とする」ということで、ちょっとふわっとした書き方になっておりますが、具体的にこういったことをお互い助け合ってやっていきましょうということで、第2条のところに3点プラス1を挙げています。学術情報資源の確保、学術情報資源の創出、研究成果発信の支援と、漢字で難しい言葉で書きましたけども、電子ジャーナルに関すること、それからデジタルアーカイブに関すること、機関リポジトリに関すること、これらを私ども3大学それぞれがやっておりますので、助けられるところは助け合っていこうと。あと、その他というのも入れています。目的というところに「三館が連携・協力し~これこれの活動を行うこと」というふうに書きました。何か具体的な目標を立ててこれをやっていこうというプロジェクトというよりも、友好協力協定のようなものだというように私どもは認識しています。
 この連携・協力で何を成し遂げようということはあらかじめ決めておりません。連携することそのものを目的としています。先ほど申しましたとおり、同じテーマの業務、事業を3館ともにやっていますので、それごとの担当者同士がまるで隣にいるかのように知恵を出し合える環境をつくる、関係をつくる。実際の仕事に当たっては、やっぱり3館同じようなこと、似たようなことを進める必要があるときに、まちまちに重複した作業をするよりも一緒にやる、分担してやる、あるいはここで何かできたものを向こうでも使うということで、スライドにある「文殊の知恵+省力化」といったあたりを狙いとしています。
 実際、3大学の電子ジャーナル、デジタルアーカイブ、機関リポジトリは、京都大学では研究支援課、大阪大学では学術情報整備課、神戸大学では情報管理課が担当しています。これらを結んで、最初はZoomで常時接続して、本当に隣にいるような環境をつくろうかと言ったんですけども、担当者から「それは勘弁してくれ」と言われまして、そこまではまだできていない。まずはお互い知り合いになりましょうということでキックオフミーティングを行い、何でも書き込めるようなコミュニケーションツール、具体的にはSlackを置きました。この2つだけでスタートしました。コミュニケーションツールの中では、今ここに挙げたようないろいろな話題提供であったり、「これについてはどうやってるの?」とお互いに尋ね合ったりということが始まっているところです。こういった中から、「じゃあ、一緒にこういうことをやろうや」ということが出てくるといいなと思っています。
 このように始まったんですが、周りの情勢などもあって、ややプロジェクト的な、トピカルな活動を2つスタートしていますので御紹介します。
 1つは、内閣府から「統合イノベーション戦略2023」が出ました。大部にわたる戦略ですが、その中の、特に私ども図書館の京阪神連携で言えば研究成果発信の支援というテーマの活動に強く関わるところで、2025年度新規公募分から学術論文をオープンアクセス化していくという方向性が示されています。これについて、3大学は相当の公的資金を得て研究活動を行っていますので、それなりのボリュームの事業になることが予想される。そこで、同じようなテーマ意識を持って活動しているJPCOAR、それから国立大学図書館協会資料委員会オープンサイエンス小委員会、この両者と協働しまして、このことにどう対応していくかという対策、つまり、「大学図書館が果たすべき役割は何か」、それから「2025年までにそのためにどんな準備をしていかなければいけないか」ということを3者で協議したり、あと、緑で囲みましたが、10月17日から19日にJPCOARを主催団体として、国内の大学の図書館の方々にこの情勢を共有する会というのを行って、3日間で450人ぐらいの参加をいただきました。
 JPCOAR、国立大学図書館協会はそれぞれ多数の大学から成る大きなコンソーシアムであったり、協会であったりして、その検討チームも委員会組織としてある。一方、私ども京阪神連携は、直接京都大学、大阪大学、神戸大学というボディを持っている連携体ですので、実践的な部分、各大学の研究推進担当と情報共有したり、実践的なシミュレーションを行ったりというところを持ち分と考えております。
 もう一つは、「大学図書館の本質的機能とオープンサイエンス時代におけるその表現についての検討」と言っておりますが、審議のまとめでライブラリー・スキーマという言葉が出ていました。それにそのまま相当するかどうか分からないんですが、我々のやっている仕事の根っこは何であって、それがどう根っこから枝までつながっているかというところを、京阪神版として、我々のものとして考えてみようということで、左のほうにコンセプトイメージとしてチャック・ベリーの「ベートーヴェンをぶっ飛ばせ」というレコードのジャケットを貼りましたが、そのもじりで「Write over Ranganathan」としてみました。ランガナータンというのは、本日の委員の先生方には釈迦に説法だと思いますが、図書館学者で図書館学の五法則というのを書いた人で、我々がこれまで非常に大事にしてきたものです。それを書き換えるような、ケイハンーシンの五法則とでも言うべきような、これとこれとこれに基づいて、どの業務もやってるんですと説明できるような原則を見つけられないか、アウトプットが五法則という形になるか、どんな形になるかは別として、ちょっと考えてみましょうということで、3大学から4名ずつが集まってワーキンググループをつくりました。現在、全員が「私が考えるライブラリー・スキーマ」というのを1枚ずつ提出して発表し合って、若手と中堅を中心にこれをたたいて、アウトプットをしていこうということをしているところです。京阪神連携の中におけるこの取り組みの位置というのは、協定書に挙げた学術情報資源の確保、創出、それから成果発信というのが、図書館活動全体の中でどこに位置するのだという理論的土台を与えるものになるといいなというふうに思っているところです。
 以上が、京阪神連携の現在のところです。
 次の2枚は、私個人の私見です。連携のモデルイメージとして念頭にあるのは、ひとつにはイギリスのホワイトローズコンソーシアムです。英国中部のリーズ、シェフィールド、ヨークの3大学が連携しています。Googleの地図を同じ縮尺でイギリスと日本を比べてみたら、何とシェフィールドとリーズとヨークは、京阪神と割と距離感の近い位置関係にある。ということで、こういった地理的なところも生かせるのかなと思っています。
 以前、ホワイトローズコンソーシアムのリーズ大学へ話を伺いに行ったんですけども、こういうことを話していました。コンソーシアムとして共同機関リポジトリを運営している、リーズ大学に専門スキルを持ったリポジトリマネジャーがいる。このリポジトリマネジャーの謂わば顧客は3大学にいるんですが、シェフィールドやヨークの先生方に対しては、先方の大学図書館のサブジェクトライブラリアンにも手伝ってもらって一緒に話をしに行くと、連れ立って行くというようなことをおっしゃっていました。例えばこのようなある大学に非常にパワフルな専門家がいて、その人がほかの大学の世話をする、何かを手伝うというような連携といいますか、融合といいますか、そういった将来もあり得るんじゃないかなということを、これは個人的に思っているところです。
 以上、私からの御報告を終わります。
【竹内主査】  杉田委員、ありがとうございました。大変興味深いお話をいろいろと聞かせていただきました。
 議論は、最終的には先ほど事務局からプレゼンいただいた理念、望ましい姿、そして検討すべき課題というところにまとめていきたいと思うんですけれども、とはいえ、それぞれの御発表にいろいろと委員の皆様方から確認したいというようなことがあるかと思いますので、ここで比較的短い時間のディスカッションをしたいと思っております。
 ただいまの杉田委員からの御発表に対しまして、御意見とか御質問がありましたら挙手でお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 石田委員、どうぞ。
【石田委員】  九州大学の石田です。ありがとうございました。
 お聞きしたいことは、この2つの主なプロジェクトを既になさっているということですけれども、それに対する参加者の反応みたいなものを教えていただければと思います。
【杉田委員】  統合イノベーション戦略への対応については、実際、数年後に我が身に降りかかってくることでありますので、現実のものとして取り組んでもらっているものと思います。
 もう一つのライブラリー・スキーマというところは、「君、これをやってみないか」とみんなに言ったら、みんな目を丸くしてギョッとしていたんですけども、実際、「ランガナータンをぶっ飛ばせ」ぐらいまで言っているので、3大学の若手同士でいろいろとディスカッションしてもらっているんですけども、平板な業務分析にとどまらないところまで突っ込んで話をしてもらっているものというようにちらほら伺っているところです。
 以上です。
【石田委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 大山委員、どうぞ。
【大山委員】  杉田部長、御報告ありがとうございます。3大学は地理的にも、規模的、目指している方向的にもまとまりもつきやすくて、非常にモデルになるような取組かなというふうに感じました。
 その中で、スライドの4枚目でしょうか、各大学の組織、図書館の中の組織がそれぞれ対応してみんなで一緒にやろうよということで、とても風通しよくやっているということだったんですけれども、これを発展していくと、今日の最初の資料1の3ページのところ、実現に向けて検討すべき課題の真ん中あたりですか、学内の部署間での連携体制というところにも割とつなげられるかなというふうに思ったんですが、今、図書館の中でのこういう連携モデル、各部署を結びつけていますけれども、それぞれの大学の中で図書館以外の部署もここに巻き込んでいこうとか、大体ここはここに当たるという想定とか、そういったプランはお持ちでしょうか。
【杉田委員】  すみません、プランはありません。考えたこともありませんでしたので、考えたいと思います。ありがとうございます。
【竹内主査】  大変率直な回答、ありがとうございます。
 日向委員、先ほど手を挙げていらしたようですが、手を下ろされたでしょうか。よろしいですか。
【日向委員】  大山委員と同じことを聞きたかったので、同じことでした。
【竹内主査】  分かりました。ありがとうございます。
 では、松原委員、お願いできますでしょうか。
【松原委員】  松原でございます。貴重な取組についてお聞かせいただき、ありがとうございました。
 今お聞きして、地域というところが一つのキーワードになるかなと思ったのですが、例えばオンラインでいろいろな知見を共有し合うということであれば、必ずしも地域ということでなくても、全国の図書館と連携できるように思います。今ここで地域ということを掲げられているとき、どういった形態の連携を検討されているのか、つまり地域であることにどういった意義があるのかということについて、お考えがありましたら教えていただければ幸いです。
【杉田委員】  ありがとうございます。
 地域ということは、先ほどの英国の例と割と近いところにあるなと。ある大学の人がこっちの大学へ出張っていって何か手を動かすということもあるなということを、これは後づけで考えました。もともとは京都、大阪、神戸というのが地理的にも近いことに加えて、割と大学の規模であるとかが似通っている、粒がそろっているなというところで、取りあえずこの3つでというふうに発想したものです。
 一方では、私、京都大学へ勤務する前に上越教育大学というところに勤務していました。そちらでは教育大学同士の全国的な連携もあったので、地理的側面は必ずしも連携活動を立ち上げるときの制約条件にはならないし、それこそオンラインですので、あまり地理、地理と言わなくてもいいのかなというふうに、先ほど地図を出しながらこんなことを言うのはあれですけども、思っています。ありがとうございます。
【松原委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 それでは、西岡委員、お願いいたします。
【西岡委員】  国立情報学研究所の西岡と申します。杉田委員から非常に興味深いお話、ありがとうございました。
 協定書は今年の6月からスタートされたということなのですが、今のところ、いつぐらいまでを考えていらっしゃるのでしょうか。もし中長期的なものであれば、将来的にデジタルアーカイブ、機関リポジトリといったプラットフォームの連携や共有といったところまで、ぼんやりでもいいので視野に入っているかということや、電子ジャーナルの契約は、現在は大学が個別で出版社さんと契約しているケースがほとんどだと思いますが、京阪神の連合みたいな形で契約を進めるといった連携など、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
【杉田委員】  うまくいかなかったらやめることにして、年限は決めておりません。ちょっとやってみようかというところで始めたものですので、成果といえるような思わしい何かにつながらなければ、やめればよいと思っています。
 システムの導入ということについては、今あるものをくっつけるというのは難しいかもしれないけど、新たなものを入れるときに一緒にというのはあるかな、相乗りというのはあるかなと思っています。例えば研究データの管理というところの何かの機能、何かの部分は共通化できるところもあるんじゃないのか、みたいなことを学内の理事から言われたりもしております。
 最後の電子ジャーナル契約ですが、これは私個人の感覚ですけども、京阪神の3大学ではスケールメリットがあまり出ないんじゃないかなというように思っておりまして、ここはあまり攻めどころとしては、すみません、今のところ考えておりませんでした。
【西岡委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしいですか。
 では、また後ほど、「デジタル・ライブラリー」の実現に向けて検討すべき課題のディスカッションの中で個別的な質問もあるかと思います。そういうときには杉田委員からの御対応をお願いするということにしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、九州大学の石田委員よりプレゼンテーションをお願いしたいと思います。研究データ管理に係る人材の育成ということでございます。
 石田委員、よろしくお願いいたします。
【石田委員】  九州大学の石田でございます。
 では、研究データ管理に係る人材の育成ということで、今年の学期から九州大学統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻では、研究データ管理支援人材育成プログラムというのを立ち上げましたので、それについて少し御紹介させていただきたいと思います。
 私自身は、教員としての所属はデータ駆動イノベーション推進本部というところにございますけれども、教育担当としましてはライブラリーサイエンス専攻というところに籍を置いておりますので、そこのお話ということでお聞きいただければと思います。
 まず、研究データ管理支援人材育成の必要性ということで、もう既に政府等の動きというのは皆様も御承知のとおりだと思いますので割愛させていただきますけれども、現在、研究データ管理にも積極的に関わって支援していく、環境整備をしていくということが重要な課題となっております。
 そういった整備に関しましては、情報の基盤的な整備というものと、研究者の研究データ管理を支援する人的支援という意味での人材が必要だと我々は考えております。この人材育成プログラムのほうは、この最後にあります研究データ管理を支援する人材の育成に着目しております。
 九州大学になぜこれを設置したかというところでございますけれども、先ほども御紹介しましたように統合新領域学府というところにライブラリーサイエンス専攻というものがございます。これは、ユーザーの視点に立った新たな情報の管理と提供の場を研究するというのが専攻のミッションになっております。そこで高度な情報専門職の育成をしております。
 さらに、2022年4月から、私が所属しておりますデータ駆動イノベーション推進本部というところに研究データ管理支援部門というのが設置されました。こちらは情報的な基盤、それから人的支援をするものですし、また、ここで研究データ管理を支援する人材の実践の場を提供できるのではないかということで、この2つが連携することで研究データ管理支援人材の育成が可能ではないかということで、2023年10月から人材育成プログラムを始めることにいたしました。履修証明プログラムとして、履修証明書も発行するという形になっております。
 では、次に、プログラム構築に関して検討した点というのを少し御紹介させていただきたいと思います。どういう人材を育成するかというのは、我々関係者で話し合いました。これはもちろんうちの専攻の教員もですけれども、ここにいらっしゃる千葉大学のアカデミック・リンク・センターの竹内先生、それから、國本千裕先生にも多大な御協力をいただきまして、みんなで連携しながらどういったプログラムがいいかということを考えました。
 構築に当たっていろいろ考えた点として幾つか例を挙げておきたいと思いますが、研究データ管理支援人材というと研究者の育成なのか、学生の育成なのかとか、いろいろお立場によって考え方が異なる場合もあるんですけれども、我々の場合はあくまでも研究者が研究データ管理をする際にそれを支援する人材、支援人材が自ら研究データ管理をするという立場ではなくて、あくまでも支援する人材を育成するというところに焦点を置くことにいたしました。
 初心者向けにするか上級者向けにするかというところでは、現在の状況を考えて初心者向けとしました。
 実務志向/研究志向というのもございますが、こちらもニーズが高いのはやはり実務志向ではないかということで、こちらに焦点を絞ることにいたしました。
 それから、後で申し上げますけれども、ネットワークが構築できるような仕組みも整えたいと考えました。
 カリキュラムとしては、我々ライブラリーサイエンス専攻では情報管理の理論も当然扱っておりますので、せっかくこの専攻でやるのであれば理論も少し含めたいということで、割合としては少ないですけども理論、それからあとは実践力という意味で実践の両方を含めております。
 それから、皆様も御存じだと思いますけれども、既存の研究データ管理に係る教材というのは、今たくさん提供されていて非常に有効なものだと思っておりますので、それ以外というか、そこからだけでは学べない内容というのを積極的に取り入れるということにいたしました。これは、例えば既に研究データ管理支援を行っている人からのお話であったり、実習それから議論などを多く含めるということがこれに該当いたします。
 そのほか、海外・国内の動向の最新のものを積極的に取り入れる。
 研究データ管理支援も多分日々変化することになりますので、それに応じて柔軟に変更できるような構成にしようと考えております。
 履修証明プログラムですので社会人の方が多く受けるのではないかというように考えまして、1年間というミニマムな形で履修できるプログラムとして設計いたしました。
 それから、授業に関しましても、対面授業とオンライン授業を取り入れるということにいたしました。本当はオンラインで全部やるというのもいいのかなと思ったんですけれども、これは千葉大学からのお勧めもありまして、一度全員顔を合わせてお互いが知り合いになって、そこからネットワークをつくるということも重要だというような御意見もいただきましたので、九州まではちょっと大変なんですけれども一度は来ていただくというようなプログラムにいたしました。
 名称は研究データ管理(RDM)支援人材育成プログラムというもので、詳しくは、ここにお示ししましたURLにございますので御覧いただければと思います。プログラムの概要としましては、先ほども言いましたようにミニマムということで5科目5単位です。
 1年間で履修可能ということ。
 それから、これも先ほど申しましたが対面とオンラインで、対面のほうは集中講義という形で構成いたしております。
 育成する人材像に関しましては、一つは当然ながら支援ができる人材、それから支援や体制を設計できる人というのも含めております。
 3つ目は、ネットワークを構築できる人材というのも育成したいと考えております。
 さらに、これをお示しするとすごく理想が高そうに見えるんですが、研究データ管理支援に何らかの貢献がしたい人は誰でも歓迎したいと我々は思っております。
 想定する履修者は、大学をはじめとする研究機関の大学図書館職員、URA、研究推進に関わる部署等の実務家ということで、ここでは特に大学図書館の職員に限っているというわけではございません。
 それから、大学院に設置しておりますので、大学院生も制度上取れるということになっております。
 募集した際の呼びかけとしてここに書かせていただきましたけれども、結構御質問があったのは、「私、何も知らないんですけど大丈夫でしょうか」とかいろいろ御不安を持っていらっしゃる方がいましたので、知識がなくても、何か始めてみたいという方でも大丈夫ですよという形で、このようなことをお知らせいたしました。
 カリキュラムについて、先ほど5科目5単位と申し上げましたけれども、上段の「研究データ管理基礎」、それから「研究活動の変化と情報管理の理論」というところが、どちらかと言いますと研究データ管理に関する背景と、それから先ほど申しましたように少し理論的な面というのを含めたいということで、上段の2科目がこれに該当いたします。
 下の「研究データ管理支援1と2」、それから「研究データ管理支援演習」、これは実習なんですけれども、これに関しましては、実際にどういうサービスをしていくかというところ、実際に皆さんで手を動かしていただくというところが含まれます。
 科目の詳細ということで、簡単に御紹介させていただきます。研究データ管理基礎は研究データ管理の背景、それから大学等の研究機関における研究データ管理の意義や支援の必要性を理解するための科目となっております。
 「研究活動の変化と情報管理の理論」は、前半が研究活動の変化ということで、データ駆動型研究を中心としたデータのライフサイクルですとか、学術情報とデータの流通等を学んでいただくということになっておりますし、後半は図書館情報学、それから我々の専攻ではアーカイブズ学・記録管理学の先生もいますので、その方たちが伝統的に図書館や文書館が扱ってきた情報管理の原則というものを講義するという科目になっております。
 それから、「研究データ管理支援1」、「研究データ管理支援2」という科目です。こちらは、研究のライフサイクルによってどんな支援が必要なのかというのを学んでいただく科目になっております。
 次のスライドでより詳細な項目が出ておりますが、研究前・中・後という形に区切って、ライフサイクルに合わせてどのようなものが必要かというのを学んでいただく科目です。
 最後の科目として実習も取り入れております。これは、図書館の方々の話を聞くと、研究者と実際に話をしたりインタビューをするという機会がなかなかなくて、非常に敷居が高いというお話を聞いたりしますので、ここではうちのほかの専攻の教員にも協力いただいて実際にインタビューをしてもらうとか、そういったところを含めた実習を考えていって、その中でどういう支援サービスが可能かというのを考えていただくという科目になっております。
 授業スケジュールは、先に申し上げましたように集中講義として九州まで来ていただきまして対面で講義を受けて、その後は全てオンラインで行うということになっております。ちょうど先週末、14、15日で授業がございましたので、少し授業の内容について御紹介させていただきたいと思います。
 先週は研究データ管理基礎として、先ほども申し上げましたように研究データ管理に関する背景等を御説明いただく、それから大学の情報ガバナンス、それからデータポリシーの関係として九州大学の冨浦先生に講義をしていただきました。これに関してはより経験談といいますか、どのような形でデータポリシーを構築したかというようなお話もしていただきました。
 今回は、特別に米国のイリノイ大学図書館の研究データサービス部門で働いている3名の職員が来てくれました。これは九州大学とイリノイ大学で特別なパートナーシップがございまして、その関係であちらが来てくださるということで特別にお招きしたものでございます。彼らはMorrow Plotsというプロジェクトでデータセットを作成しておりますので、それを事例に、Morrow Plotsのデータセットを例にしたデータキュレーションを我々が実際にやってみる。これは例えばリードミーファイルとか実際のデータセット、それからコードブックなどを見ながら、これでデータ公開していいかどうかというデータのチェックをするというようなエクササイズですけれども、そういったことを含めてやっていただきました。英語での講義だったんですけれども、非常にいろいろ具体的なイメージが分かるようなよい授業であったのではないかと個人的には思っております。
 履修者としては13名が科目等履修生で申込みがございました。これはほとんどが大学図書館に現役でお勤めの方々でございます。
 履修の動機を、個人が分からない形で私のほうでまとめさせていただきました。やはり勤務している部署、それから大学等で研究データ管理の何かをやらなければいけないんだけれども、どうしていいか分からないという非常に大きな危機感を持っていらっしゃるという方々が多いという印象を受けました。
 これは私見になりますけれども、これらを通して今後の方向性と課題というのをお示しいたしましたので、課題のところだけ少し説明させていただきたいと思います。学びたい人への支援体制の構築というのが必要かなと考えております。今回、何名かというのは確実には分からないんですけれどもほとんどの方が個人で参加されていて、例えば大学図書館から派遣されて来たという方は数人はおりましたけれども、全員ではないというところでございます。費用面に関しましては10万円以上かかりますし、ほとんどが関東からいらしているので1泊2日ないし2泊3日の九州への旅費というのを考えると相当な負担になる。先ほどの履修の理由に関しては、別に個人で勉強したいというよりは職場のために何か貢献したいという思いから来ているので、それを個人的に負担させるというのは私としては非常に心苦しい感じがしましたので、この辺りが何とかなるとよいかなと思いました。
 それから、あとはスキルアップに対する評価というのも何かあってもいいのではないかというふうに思っております。
 それから、先ほど杉田委員からのお話にもありましたがネットワークの構築というのは非常に重要かなと思いますので、実務的なことを情報交換できる場の構築というのが、こういう履修証明プログラムを通してつくれればいいかなと考えております。
 以上でございます。
【竹内主査】  石田委員、ありがとうございました。
 ただいまの御発表に対する御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。挙手をお願いします。いかがでございましょうか。
 では、大山委員、どうぞ。
【大山委員】  東京大学附属図書館の大山です。
 石田先生、お話ありがとうございました。まさに大学として求めている人材を育てるという感じでぴったりのタイミングで、さらに九州大学さんならではの取組なのかなと感じました。
 一番思ったのは、参加している人たち、最後のほうで御説明がありましたけれども個人の強い気持ちで今参加されている方が多いのかなというのが思ったところで、さらに参加のための支援というのも、我々図書館事務部の管理職としては考えなきゃいけないかと思った次第なんですけれども、さらに最後に、これを履修された人たちが、これを履修して、それをもって大学の中で何か居場所をどうつくっていくのかと、そこも我々は強く考えなければいけないかなと思ったところで、どうしたものかなというところなんですが、何か九州大学さんのほうでこの出口に対する考えとか、実際に私たちが考える中で参考になるような情報がありましたら御提供いただけますでしょうか。
【石田委員】  ありがとうございます。
 うちの専攻としては履修証明書という形で証明書をお出しするということしかできないので、何か職の口利きをするとかそういうことはできないわけなので、修了の証明書があれば、それを働いているところの図書館の方が何らかの評価をしていただけるというようなことにしていただける、これは別にこのプログラムだけではなくてほかの別のプログラムでもいいと思うんですけども、職員の方々が何かしら自分で勉強されたものがあれば、それを認めるという方向のポジティブな受け止め方があるといいなというように、反対にこちらは勝手に思っております。
 一つ、今回、大学院生もここで取れるので、1人、大学院生の方が言っていたんですけれども、こういうプログラムの履修証明書があると、将来勤めるときに、就職するときに何らかのプラスになるんじゃないかというようなことをおっしゃっていたので、そういうところで、どちらかというと入り口のところでも何か評価してもらえるようなものがあるといいなと思っております。具体的なアイデアではなくて申し訳ないんですけれども。
【大山委員】  ありがとうございます。考えなければいけない課題として受け止めました。
【石田委員】  よろしくお願いします。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 では、お待たせしました。西岡委員、お願いいたします。
【西岡委員】  2点質問がありまして、1点目はとても単純なことをお伺いします。最後のスライドに検定料というものがありますが、これはプログラムを履修するに当たって何らかの試験やそれに相当するものが必要ということでしょうか。
【石田委員】  では、先にそこからお答えします。
 この履修証明プログラムは、外部の方が入る場合、大学の制度としては科目等履修生ということになるんですが、申し込むときに出願理由といったものを書いていただいたり、あと、こちらは大学院なので大学卒業資格と同等のものがあるかといったようなことを調べたり確認したりするものなので、一応書類審査といいますかそういうものがあるので、そのための検定料ということになります。
【西岡委員】  ありがとうございます。
 2点目の御質問なんですけれども、先ほど履修者は図書館の関係者が多いといったことをおっしゃっていただきました。本日の資料のデジタル・ライブラリーの実現に向けて検討すべき課題でも、今後、部署間の連携や部署間での研究データ管理や、そのほかの部署とのオープンサイエンスに関する共通意識の形成が非常に重要になってくると思います。今後、現在行われている履修証明プログラムを積極的に図書館以外の関係者、例えば研究推進部門でしたり、そういったところに広めていくといった展望はございますでしょうか。
【石田委員】  我々としては別に図書館関係者に限っているというわけではなくて、広く広報しているわけなんですが、実際に応募していただいた方は図書館の方がほとんどなので、我々としてはURAの方々とか、それから研究推進に係る部署の方たちにもぜひ受けていただきたいと思っているので、我々のほうとしてもどのように広報していくか、御案内するかというところは課題だと思っています。
【西岡委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 どうぞ、林委員。
【林主査代理】  非常にすばらしいまとまったプログラムの御紹介、ありがとうございました。
 それで素朴な疑問で、今の議論とちょっと関連して、(図書館関係者に加えて)ポスドクの方を積極的に入れると将来性が高まるかなと思って聞いていました。これは大学の人とかURAの方々、あるいは実務の方を募集する、それはそれでやっていただくとして、やっぱりドメイン知識の必要性を踏まえるとか、あともう少々具体的なイメージで言うと、URAになる過程においてポスドクからURAになるパスもある中で、その間にこのプログラムを通すと(必要な知識やスキル等を)先に取り込めることになるので、そのルートというのを積極的に開拓されると先取りできるのではないかということを素朴に思いました。質問というよりはコメントになりますね。
【石田委員】  ありがとうございます。私も、先ほど院生の方が、博士課程の学生さんだったんですけれども、就職にもしかしたらちょっとプラスになるかなとおっしゃっていたので、そういう形で少しアピールしていきたいなと私たちも考えています。確かにおっしゃるようにURAの方とかポスドクの方は、ドメイン知識はもともとあるので、それにプラス研究データ管理支援の要素が加われば、それはさらに強いことになりますので。
 ただ、どのように具体的に広報とか案内を、学内的にはできるんですけれども、ほかの大学までとかに広げてというところがちょっと課題になるかなと思っております。図書館関係者の方々には、実はいろいろな図書館のネットワークを通じて案内させていただいたので、今回いろいろな方が来ていただいたんだと思うんですけれども、なかなかパスがうまくできていないというところが、そこから含めて課題かなと思っているので、そこは反対に皆様のお力をお借りできればよいかなと思っております。
【林主査代理】  そうですね。だから、まずは図書館クラスターのネットワークができて、URAとの接続ができた後の話を私はしているのかもしれないです。そのうえで、恐らく2030年ないしは2040年のライブラリーを考える上で必要なプロセスというか、そのために大事な最初の一歩をつくられているような気がしてコメントさせていただきました。
【石田委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 お待たせしました。松原委員、お願いいたします。
【松原委員】  名古屋大学の松原です。
 石田先生、どうもありがとうございました。非常に興味深いプログラムで、こういったプログラムを提供できるというのはすばらしいことですし、13人が科目等履修生として受講されたということに関しても、これはすばらしい成果であると思いました。
 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、ここでは1つだけお尋ねします。このようなプログラムでは、座学的なところはある程度教えられると思うのですが、一方で、演習を準備して提供するというのはかなり難しいことかなと思います。先生のお話の中では、現場の方々の協力を得ながらということでしたが、大学でこのようなプログラムを提供するときに、どのようにして現場の先生方の協力を仰げるのかということは重要な課題としてあるのかなと思います。そのようなことができる仕組みというのが大学の中にあるのか、あるいは個人的な関係性によって依頼されているのか、その辺りの御知見とか、あるいは、仕組みなどがあれば、お教えいただければ幸いです。
【石田委員】  分かりました。御質問ありがとうございます。
 本学は、先ほど申しましたように研究データ管理支援部門というサービスを提供する部門がございます。そこに所属している教員の特に人的支援をする側というのは、私も含めてですけれども、ほぼ全員がライブラリーサイエンス専攻に関わっているということがございますので、実践も含めた上で教育もしなければいけない、それから、研究データ管理支援部門としても人材育成というのが一つの目的になっておりますので、教える教員側の職務として、我々は実際にやらなきゃいけないということになっております。
 そのほか、学府のほうは様々な分野の教員が集まっているうちの3つの専攻からなるんですが、このプログラムを立ち上げるときに学府長等と相談しまして、ぜひ学府のプロジェクトとして考えていただいて、ほかの分野の先生にもインタビュー等で御協力いただくということをぜひお願いしたいという交渉をいたしまして、来年になると思いますが、そういった形で御協力いただくということになっております。ですが、それは個人的にお願いしているので、まだフォーマルな形で何か仕組みなり、ルールとか規定をつくるというところには関係しておりません。
 それから、外部の教員として竹内先生も加わっていただいているんですけれども、外部の先生方に関しましては、関係している分野の先生ですと、ぜひ御協力いただきたいというお願いをすれば、ほぼ皆様、意義を理解してくださっているので御協力いただくということになります。私が無理やりお願いしているせいもあるかもしれませんけれども、そこは特にあまり困ることなくということになります。
 なので、最初のスタートとしてはそれほど困ってはいないんですが、個人的なつながりから始まっておりますので、ちゃんと安定した形で継続するということになりましたら、もう少し仕組みとしてきちんと整える必要があるかなと考えております。
 以上です。
【松原委員】  どうもありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 関わった者として一言余計なことを申し上げれば、今回の14日、15日の2日間のプログラムの中では、実際に研究データ管理をやっていらっしゃるイリノイ大学の方々がいらして、その中で実際的なデータを使ってエクササイズをやったというのがものすごく大きかったんじゃないかなというふうに個人的には評価しているところでございます。
 ありがとうございました。
【石田委員】  ちょっと一言だけ補足で。
【竹内主査】  どうぞ。
【石田委員】  今回はたまたまイリノイ大学の方が来てくださったんですけれども、本来、我々はこのプログラムを動かすための資金がございませんので、実はこれは今年だけのもので、来年度まで継続できるかどうかというのは、個人的には分からないところでございます。何とかできるようにしたいというふうに思っているんですが、そういう意味で、これはレギュラーの授業ですのでそれほど潤沢な資金がないというところも、実は我々のプラグラムとしては問題もございますというところだけ補足させてください。
【竹内主査】  ありがとうございました。何か余計なことを言ってしまったようで、申し訳ありません。
 ほかに何か御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、杉田委員、石田委員の御発表も踏まえつつ、先ほど事務局から御説明いただきましたデジタル・ライブラリーの実現に向けた課題ということに基づきまして議論を進めさせていただきたいと思います。
 具体的には、この資料をいかにブラッシュアップしていくかということになるわけでございます。先ほど事務局から御提示いただきましたものは、前回のこの会議の質疑を踏まえての改訂というか修正というものでございますので、一定程度までのブラッシュアップというのはもちろんされてきたということになりますけれども、今日、杉田委員、そして石田委員から御説明いただいたような内容も踏まえつつ、またこの領域は大変動きが早うございますので、前回からでもひょっとしたら新しい動きというのがあるかもしれないというようなこともあります。ですので、ぜひ皆様方から積極的に新しいアイデアというのを盛り込んでいきたいと考えておりますので、ぜひとも積極的に御意見をいただきたいと思います。
 主査の仕切りが悪かったもので委員の皆様方への資料の提示が遅くなってしまいまして、まだ十分御検討いただいてない部分もあるかもしれませんけれども、ぜひいろいろと御意見をいただければと思います。
 御意見をといっても、どこから手をつけていいのか、少し皆さんも戸惑われるかもしれないので、まずは(1)教育・研究支援機能、新たなサービスというタイトルがついております6つの理念、そして望ましい大学図書館の姿、そして実現に向けて検討すべき課題というところからまず行きたいと思いますが、いかがでございましょうか。ささいなことでも構いませんので御意見をいただければと思います。
 では、日向委員、お願いいたします。
【日向委員】  都留文科大学の日向です。
 まず、(1)教育・研究支援機能、新たなサービスの3番の実現に向けて検討すべき課題で、「リテラシー支援やデータキュレーション支援に関する、より実務に近い形の研修・教育内容等の検討が必要」ということで、先ほどの石田先生の発表を聞いていて思ったんですが、やはり実例や実務の、これは著作権も含めてなんですが、実際にデータ管理の現場でどんなことがあったのかとか、あとは実務的な教育をするための実際の実例みたいなものを収集して共有するようなデータベースみたいなものが必要なんじゃないかなというのは、自分がもし学内でデータ管理の研修するときに、他大学でこういうことがありましたとか、実務的なといった場合にはそういう研修、実務事例の収集が必要なのではないかなというのが、課題のプラスアルファとして感じたというのが一つになります。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。どなたからでも結構でございますが、ございませんでしょうか。いかがでしょうか。こんなことも考えないといけないんじゃないかとか。
 松原委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【松原委員】  松原でございます。
 4番目のところに部署間の連携というのがございます。大学における研究支援業務のフローを考えるときには、研究者側における作業のフローを見える形に整理する必要があると思っています。例えば、研究データを大学で公開するという作業と研究公正のために研究データを保管する作業があるとします。大学における研究支援としては、管轄する部署も違いますので異なる業務となるのですが、研究者側から見たときは、それらの間には重複する作業が結構あるわけです。研究支援業務のフローを、研究者側の作業のフローを効率化するという視点でまとめていくことが、部署間の業務連携の鍵になると考えています。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。今の御発言は、多分望ましい大学図書館の姿というのは、恐らくこれは業務ベースで考える視点でございますので、ここでは「業務フローが整備され」という言い方になっておりますけれども、その一歩前といいますか、全体を理解する枠組みとしては研究者とか研究データを実際に扱っている方々のデータのフローというか、あるいは研究のライフサイクルに沿った形での研究のデータフローみたいなものがきちんと理解されているということが大前提だということをこの文章の中に少し見える形で入れるほうがいいというのが、恐らく今の松原委員の御指摘だったかなというように理解させていただきました。
【松原委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ほかはいかがでございましょうか。
 では、石田委員、どうぞ。
【石田委員】  6番目の最後の課題のところに「著作権の専門人材が現場でアドバイスを行いながら人材を養成していくようなリカレント教育」となっています。これは非常に重要だというのは理解しているんですけれども、少し気になりますのが、著作権の専門人材というのがどのぐらいの専門人材というのをイメージされているのかというのがあって、もしこれがそれこそものすごい法律の専門家のような方々ですと、現場にそれぞれ配置するというのはかなり難しいかなと思うので、その辺りの、ここで言う専門人材というのは、今アメリカなんかであるコピーライト・ライブラリアンみたいな形なのか、そこはどの辺りをイメージされているのかが少し気になりました。
【竹内主査】  これは多分、私が何かこの辺で加筆したところかもしれないと思うんですが、著作権の専門人材とここで言っているのは、アメリカで言うところのコピーライト・クリアランス・ライブラリアンのような人をイメージしていて、いわゆる著作権法の専門家を意味しているわけではございません。
【石田委員】  よかったです。分かりました。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。今御質問があったようなことでも、御意見とか御質問でも構わないのですが。
 では、林委員、どうぞ。
【林主査代理】  2つあって、今の件に関連するほうから申し上げますと、著作権の話は、それはそれとして、さらに付加して研究データの権利関係のことを考えると著作権だけでは処理し切れない話があるので、ライセンスとか、その関連の契約に関することというのが加わっていくともう少し深みが出るのかなと、今さらながら今の議論を聞いて思いました。
 あと、もともと手を挙げた理由は、多分誰かが言わなきゃいけないので言うのですが、新たなサービスということで生成系AIの活用というキーワードを入れる必要があると思います。これは、はやりに乗るというよりは、より重要な話をすると、生成系AIというのは最強のレファレンサーだと思うんです。インターネットの世界全体を巨大な図書館と見たときの最強のレファレンサーが生成系AIで、そこにプロンプトを投げると何でも答えてくれるという、その辺の文脈でもう一回見直すというところは必要なプロセスかと思って申し上げました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 恐らく著作権の話と、研究データを知財として見た場合の話というのは非常にオーバーラップする部分がある意味ではあるんですけれども、この表の見方としては、実は左側の理念から右に展開していくということがございまして、一番下の著作権の部分というのは、教材といったような教育のコンテクストをどちらかというと重視した話で述べております。なので、今、林委員から御指摘のあったような話を言葉として盛り込んでいくとすると、どこに入れることになりますか。ひょっとすると理念のところからいくと3とか4というところに関わってくるのかなというふうに思いますので、その辺りは事務局とも御相談しながら……。
【林主査代理】  うまくお収まりのいいところに。
【竹内主査】  ええ、収まるところに今の知財という観点、キーワードを入れていきたいと思います。
 あと、それから生成AIの問題をどのように盛り込むといいのかというのは非常に難しいところで、図書館情報学でどういう議論があるのかというのも、まだ私もきちんと把握しているわけでありませんけれども、確かに将来の可能性ということを考えて2030年ということを考えれば、生成AIが極めて強力なレファレンスツールであると言える段階になっている可能性は十分にあるというように思います。
 であるとすると、サービスとしてのレファレンスの在り方というようなことを考えたときに、生成AIによる支援というのを望ましい姿として入れるかどうかというところは、まず一つあると思うんです。
【林主査代理】  そもそもその議論がまだされてないというのは正直あると思います。
【竹内主査】  その辺はいかがですか、皆様、これは入れて当然というようにお考えか、それとも、まだちょっと無理なんじゃないというようにいろいろお考えがあるかと思うので、自由に御意見をいただければと思うんですが。
 日向委員、どうぞ。
【日向委員】  情報提供ということで、私、たまたま今月初めの日本図書館情報学会にオンラインで参加させてもらいました。このシンポジウムのテーマが生成系AIと図書館員というテーマで、図書館員の仕事が生成系AIにどう変わっていくのか、もしくは、そのときの図書館員の役割というのはどういう役割なのかということを、予測がかなり大部分を占めてはいるんですが、ある程度現状を踏まえながらお聞きしたということでした。
 その中で、まず、今現状の生成系AI、特にChat GTPみたいなものについては、日本語コンテンツの学習が少なくて、なかなか日本語の例えば固有名詞とかに対する返答が難しいんで、そこのシンポジウム参加者の方々は、今回のデジタル・ライブラリーみたいな話なんですが、これから図書館の日本語コンテンツがオープンになって、それを生成系AIが学習することで現在の回答の精度を非常に高めることができるだろうと。そうなると、その時代の図書館員のお仕事というのは、例えば生成系AIに学習させるためのデータを一生懸命アップロードしたり、またメタデータとして「このデータはこういうデータですよ」みたいなものをつけてアップロードするのが図書館員の役割で、実際に利用者がいろいろな情報を交換するのは生成系AIがインターフェースとして機能するんじゃないかというのが私の理解した、何年後とは言ってはなかったんですが、生成系AIが一般的に社会で利用され始めたときの図書館員の姿だとなると、今後ライブラリー・スキーマを考える上で、もしかしたらこのシンポジウムで出た話というのは非常に参考になるんじゃないかなということを考えました。
 ただ、もちろんそれに対して、そこまでいかないんじゃないかという話も、もちろん幾らでもそれはできるんですけど、非常にそういう生成系AIの可能性を感じたようなシンポジウムだったということをちょっと情報共有させていただきます。
 以上です。
【竹内主査】  大変貴重な情報共有、ありがとうございます。
 では、石田委員、どうぞ。
【石田委員】  これは多分、今の段階で使う、使わないというのは当然決められないお話だと思うんですが、かといって、はなから使わないとしてしまうのはさすがに無理があるので、その可能性がどこまであるのかというのを検討するということぐらいは入れてもいいのではないかなというふうには思いました。
【竹内主査】  ありがとうございます。多分そうですね。だから、望ましい姿の中に生成AIを全面的に活用した図書館が実現しているというようなことを書くのがどうかというところではあると思うんですけれども、やはり生成AIのインパクトの大きさを考えれば、当然我々が考える望ましい大学図書館の姿の何らかの部分というのを担う可能性というのは極めて高いわけですので、そこに言葉は出てこないとしても、これが本当に図書館サービスの高度化ないしはエンドユーザーに対する支援の高度化ということにつながっていくツールであるのだとしたらそれをフルに使うというのは当然であるということに多分なっていきますので、当然そういう方向での検討をきちんとしないといけないということは実現に向けて検討すべき課題というところに盛り込みたいと思います。
【石田委員】  その場合、どこに入れればいいのかなというのは、(1)なのでしょうか。
【竹内主査】  新たなサービスというのが一応大きな枠としては(1)のところにありますので、そこに入れるかなというところになるかと思います。ただ、それは全体のバランスを見て、事務局とも協議しながらやっていきたいと思います。
【藤澤学術基盤整備室長】  そこは、整理させていただければと思います。
【石田委員】  多分、新たなツールという形を大きく出して(生成AI)みたいな形にしておいて、この後、また数年で変わる可能性もございますので。
【竹内主査】  そうですね、また別のものが出てくる可能性もありますので、情報科学技術の発展に伴って生まれてくる様々な新しいツールという形でまとめさせていただければと思います。ありがとうございました。
 (1)のところについて、何かほかに御意見はございますでしょうか。
 では、西岡委員、どうぞ。
【西岡委員】  国立情報学研究所の西岡です。
 非常に細かい点なのですが、研究データについてです。1を見ていると基本的に研究データは公開という表現が使用されています。公開というのは一般に誰でも使えるというような状態を指していると理解していまして、オープン・クローズ戦略の中で限定公開とか、そのことは多分共有というように言及されていると思いますが、そういった一般的に誰でも使える状態ではないことにも対応していく必要があると思います。ですので、オープン・クローズ戦略の中での共有といったことにも対応できるような、想起させるような表現になればより分かりやすいと思った次第です。
【竹内主査】  ありがとうございます。確かにその辺りはスペースの問題とかいろいろな理由でかなり乱暴にまとめている部分がないわけではございませんので、その辺りは誤解を生まないようにはしたいと思っております。ありがとうございます。その辺は、また事務局と相談させていただきたいと思います。
 (1)のところはよろしゅうございますでしょうか。
 よければ、次のページの(2)情報科学技術及び「場」としての大学図書館の効果的な活用というところに移らせていただきます。ここではいかがでございましょうか。
 では、西岡委員、どうぞ。
【西岡委員】  すみません、またとても細かい点ですが、(2)の中で、理念として2番目に記載されているライブラリー・スキーマを明確化というところが非常に肝要だと私は捉えております。ですので、この1、2、3、4というのは順不同で並んでいるように思いますが、これをもう少し上のほうに持っていってアピールするなど、肝要であるということがより伝わりやすくなるといいと、少し感想も入っているのですけれども思いました。
【竹内主査】  いえいえ、大丈夫です。
【西岡委員】  2番目の、しかも2行目にあると目につきにくいかなというところも感じましたので、意見を述べさせていただきました。
【竹内主査】  ありがとうございます。多分、これはもとの審議のまとめの順番に……。
【藤澤学術基盤整備室長】  こちらは、審議のまとめの順番で書いているということでございます。
【西岡委員】  なるほど、分かりました。ありがとうございます。
【竹内主査】  おっしゃるとおりで、審議のまとめのほうはライブラリー・スキーマの議論に至るまでの一応のプロセスがあって、そこでやっとライブラリー・スキーマというのがその段階でようやく出てきたというような筋が見えるんですけれども、ここでは表の形にまとめる上である部分を切り出しているのでその文脈が見えなくなってしまっておりますから、そういった意味では一番重要な部分がなぜか埋もれて見えるということだと思います。ライブラリー・スキーマの重要性というのは恐らくもう多くの方が納得されているところではないかと思いますので、この部分が少し見えるようにちょっと工夫させていただきたいと思います。
 ここは重要なので、右のほうの望ましい大学図書館の姿とか、実現に向けて検討すべき課題のところがほかと比べて膨らんでいるという状況に多分ありますので、その辺りは工夫させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 林委員、どうぞ。
【林主査代理】  審議のまとめに戻るような議論になってしまって恐縮ですが、「場」として見たときに、あと杉田委員の発表を聞いて改めて思うのですが、大学図書館と地域の関係、それから、それと関連して市民との関係というこの2つのキーワードをどこかに入れておいたほうが発展的に読みやすくなっていいかなと思いつつ、その議論がされてないまま無理やり入れるのもどうなのかなという、寝た子を起こしたら申し訳ございませんが、ちょっとコメントしたくなりました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。地域性の問題というのは、結局のところ地域と大学の関係というものの中に大学図書館をどういうふうに考えていくかという話になると思うんですけれども、単純な大学図書館の地域開放というのは、これはもういろいろな経緯があって既に行われていることであって、それはもう今さら多分議論する余地のところはあまりないんじゃないかなと思っております。
 ただ問題は、大学と地域というコンテクストは非常に重要な話としてあるわけであって、とりわけ大学にとっての社会貢献といったようなことは、もちろん教育研究と並ぶ非常に大きな役目であるということがありますので、じゃあ、それに大学図書館は全く何も貢献しないのかというように受け取られてしまうことは決してプラスではないだろうと思います。ですので、これにつきましては恐らく個々の大学の性格というか、何をミッションとしているかということと大きく関わってくる話だろうとは思うのですが、そういう話をどこかにうまく入れられればいいかなというふうに思います。
 ただ、その考え方でいうと、例えば1ページ目の1番のところに戻って考えると、国立国会図書館を中核としたようなデジタルアーカイブの進展、発展ということがあるわけですけれども、ここで想定されているような国立国会図書館を中心としたデジタル化コンテンツの提供システムということを考えれば、当然これは全ての国民に対してコンテンツは公開されていくという形で、直接的ではないにせよ、大学がどういうふうに国全体や地域に関わっていくかということを実はかなり意識しているものには多分なると思います。
 ですので、必要があればちょっと言葉を補うような形でその辺りが少し見えるようなことで、林委員のお立場からすれば当然オープンサイエンスと言えばシチズンサイエンスにつながっていくというのが今の林委員のご意見の一つだと思いますので、ぜひそういうキーワードは入れていきたいと思います。
【林主査代理】  ありがとうございます。あえてそれは言いませんでしたが。
【竹内主査】  確かに世界的な潮流で言えばオープンサイエンスという言葉とシチズンサイエンスというのは極めて近いところにあるのですが、これまでの、少なくとも2014年、2015年から始まったオープンサイエンスの議論の中では、まだそこまで入っていなかったというのが日本の現実で、ようやく最近いろいろな形でシチズンサイエンスという要素がオープンサイエンスの中に入ってきたという段階かというように私は理解しております。
 ですので、望ましい大学図書館の姿、あるいは実現に向けて検討すべき課題の中でそのニュアンスは加えさせていただくというようにしたいと思いますが、具体的にはどこが可能でしょうか。
【林主査代理】  そうなのです。場合によっては、さっきの生成系AIもそうなのですけれども、なお書きの外枠というのもあり得るのかな、くらいに思い始めてきました。これは審議のまとめをベースにしているので、なかなかアリバイ的に最低限のキーワードを入れるやり方と、なお書きにしてその差分を補足しておくということの……。
【竹内主査】  そっちのほうがいいですかね。
【藤澤学術基盤整備室長】  そういう意味では、これはあくまでも審議のまとめをベースに整理していますので、今、林委員がおっしゃったような感じでその後に出てきているいろいろな課題とか、さらに社会状況を踏まえて、こういったことも考えられるのではないのかというのを別に入れるというのも一つの手かも知れません。
【竹内主査】  もちろんこの検討会は審議のまとめをベースにしていますけれども、当然その後出てくる様々な課題というものに対応していくという性格がありますので、そういったまとめ方でよければ外枠というか、新たな社会的な動向あるいは技術環境に対する対応というような形で新しいツールとしての生成系AIの話、そして今お話があったような市民を巻き込んだ新しい科学への対応を少し加えるというようにしましょうかね。
【藤澤学術基盤整備室長】  そこは主査と相談させていただければと思います。
【竹内主査】  では、一応方向性としてはそのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【林主査代理】  その上で、ちょっと戻って1点だけ補足させていただきます。大学図書館、地域性、市民と考えたときのキーワードが社会課題解決なのです。その課題解決がグローバルなものもあればローカルなものもあるというようにして、その社会課題解決に対してそれぞれの大学のディシプリンや地域性がどう役立っているか(が改めて問われている)という、デジタル・トランスフォーメーションが起きているのもオープンサイエンスの一つの潮流です。先程のコメントのメタレベルではその文脈があった上で今の議論をさせていただいたということを念のために補足させていただきます。
【竹内主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。それはいろいろなところで言われている大学の役割ということと密接に結びついているものですから、大学というコンテクストを決して外すことができない大学図書館ということで考えれば、当然そういったものは課題になってくるということは言っておかないといけないことだと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
 大山委員、どうぞ。
【大山委員】  東大図書館の大山です。
 すみません、ちょっと話が戻ってしまいそうなんですけど、ここでライブラリー・スキーマが非常に気になっていまして、「各大学図書館が『ライブラリー・スキーマ』に基づくサービスのデザインを可能とするために、関係者間における」と、この書きぶりとしてはこのとおりで、これ以上どう書いたらいいのかなというアイデアはないんですけれども、何かもうちょっと踏み込んだ表現というか、誰がやるのかというところ、関係者間というところをもうちょっと主体的な何かというのが書けるといいのかな、なんて思ったんですが、特にアイデアはないので、感想なんですけど。
【竹内主査】  いえいえ。大山委員の立場から、ぜひ国立大学図書館協会で、と言っていただければそれはすばらしいことです。
 実現に向けて検討すべき課題というところで、これは課題だということを言ってはいるんですけれども、具体的に誰がということまでは書いていないことのほうが実は圧倒的に多いです。これについては、この検討会の役目としてあるのは、国レベルで検討しなきゃいけないものは何かということは特定していかないといけないと思うんですけども、それ以外の事柄につきましては、誰がやるかというのは、非常に無責任な言い方をすれば、これをやってみたいと思った人がまずやるというのでいいかなと思っていて、先ほど杉田委員から京阪神の3大学連携の話がありましたけれども、あれは別に誰かが頼んでやったわけでは決してないわけです。しかしながらそういった動きというのが出てくるので、そういった自発的な動きを待つためにも、我々はまずは課題をきちんと述べるというようにしておくのがいいかなと思っております。
 その上で、優先順位というか重要度というのは多分あると思いますので、これは国がちゃんとやるべきだということ、これについては既に審議のまとめの中でも、こういった課題については国が責任持って検討するということを言っているわけですが、それがどれになるかということについてはここで少し意見をまとめて、国として検討すべき、優先すべき課題はこれというのはある程度明確にしていく必要があるだろうと思っております。
 ライブラリー・スキーマについては、これはもう国でやれというご意見ですか。
【大山委員】  いや、そうは思っていないんですけれども、必ず興味を持つところも出てきて、いろいろな段階、大学単体でもありますし、今出ました国立大学図書館協会的なところでも当然それぞれが動くとは思うんですけれども、何かそこでもう一つ踏み込んで全てのところでやるんだというか、「そこの全員が当事者なんだ」みたいなことが表されているといいかなというふうに感じました。
【竹内主査】  分かりました。それについては、今後この検討会がどういう形でライブラリー・コミュニティに対して情報発信していくかということはあると思うんですけれども、この表だけをただ「こんなことを検討しました」というふうに提示しても要素としては見えてくるかと思うんですが、議論全体の方向性というのは多分見えないと思いますので、ある種のステートメントみたいなものをもし出したほうがいいのであれば、例えばこれの前にそんなに長くないものを1枚つけて、この委員会ではこういう検討をしたということともに、大学図書館の関与者に対してはこういった方向で考えてほしいというある種のメッセージを出すといったことはあるかなと思います。
 その辺、事務局はいかがでしょうか。
【藤澤学術基盤整備室長】  確かに、今竹内主査がおっしゃったようなステートメントを出し、方向性を示したほうがいいというのは、ありかと思います。
 ただ、実際これをどれだけ整理するかというところもあります。なるべく早めにそういったところをお見せできればとは思っておりますが、そこはまた主査と相談させていただきます。
【竹内主査】  そうですね、はい。
【林主査代理】  よろしいですか。
【竹内主査】  どうぞ。
【林主査代理】  実はそれをどこかで申し上げたかったわけで、この表を見ていくときにもう一個、こっち側(表の左側)の0番目の理念というか、メタ理念が見えないとコメントしづらいなと思いながら正直やっていたのが実際で、それは審議のまとめの中で、Ranganathanをぶっ飛ばさなくてもいいので、少なくとも2030年までは変わらないであろう図書館の理念みたいなものは多分書いたほうが論理的に、建設的に議論しやすいのかなということを言おうと思っていたところで議論が始まったので申し上げました。
【竹内主査】  恐らく今、林委員がおっしゃった部分というのは、審議のまとめの「はじめに」というところで一応書いてあるんです。
【藤澤学術基盤整備室長】  前回も、たしかその辺の話が出ていたかも知れません。
【林主査代理】  なので、そこを今のコンテクストで、2020年あるいは2030年を見越したコンテクストで再整理して、なるべく普遍のものとして改めて表現し直すという、見ようによっては作業なのかもしれないですけれども、それをやったほうがいい気はしております。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 というわけで、今この表を見ていただく委員の皆様方にも、一応審議のまとめの「はじめに」という部分を含めて一応全体は見ていただいているということを前提として議論は進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 というところで、(2)のところはライブラリー・スキーマという非常に大きな問題をどのように扱うかというところがありますので、ほかのところもそうなんですけれども、ひょっとするとこういうように事項として取り出して横に並べてしまうとその辺のコンテクストが見えなくなってくるというきらいがないわけではないので、見せ方の問題だと思いますが、そこは全体として工夫させていただきたいと思います。事務局と相談させていただきます。
 では、(2)について特に中身のところがなければ(3)のほうに移らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 石田委員、どうぞ。
【石田委員】  2点あるんですけど、まず一つは1番目の項目で、ここに書かれている課題に関しては特に異論はないんですけれども、先ほど私の発表のところでも申し上げましたように、実際に多分2030年までにはサービスも始まっているんじゃないかと思うんです。なので、ネットワークの構築といいますか、アメリカであるようなData Curation Networkのような、実際に仕事をしている人たちが情報交換できたり、お互いに助け合うというような、それはメーリングリストでも何でもいいと思うんですが、大学を超えて情報交換もしくは相互に助け合うというような枠組みがあるといいかなと思います。
 これはもしかしたら大学間の効果的な連携のほうに入るのかなとも思うので、どっちに含めたほうがいいのかは分からないんですけれども、多分(4)のほうに含めるともうちょっと大きな枠組みになっちゃいそうなので、実際的な形で言えば(3)のほうかなと思って、今ここで申し上げました。
【竹内主査】  ありがとうございます。入れようと思うと(4)の第3項目にも入れられるかなと思いますが、非常に重要なポイントで、確かに横のつながりで相互にいろいろ助け合いのできる専門家の体制をつくるというのは、これはいろいろな専門的な仕事をやっている方からすれば当たり前にあるようなもので、始まっていけば自発的につくられるかなという気はしますけれども、でもそれをうまく機能させるためのメカニズムというか、スタートアップみたいなものはやはりきちんと検討していく課題としてあるということは十分理解いたします。ぜひその辺は加えさせていただきたいと思います。
【石田委員】  ありがとうございます。
 もう一個あるのですけれども、いいですか。
【竹内主査】  どうぞ。
【石田委員】  2つ目の項目で、これは言葉の問題なのかもしれないんですけど、全ての機能を1人でカバーするというところに「検討に向けた調査」となっているんです。ここは検討のためにまず調査が必要ということなのですけど……。
【藤澤学術基盤整備室長】  すみません。言葉が足りませんでした。
【竹内主査】  ちょっと言葉が足りないですね。
【石田委員】  検討まではできないかもしれないけど調査だけはするというお話なのか、それとも、検討もしますよということにするのか、かといって、調査と言われると、じゃあ、これは何を調査するのかなというのが実はあまりうまくイメージできないので、もうちょっとここは何らかクリアにしないと……。
【藤澤学術基盤整備室長】  すみません。そこはこちらのほうで……。
【石田委員】  すみません、言葉の問題かもしれません。
【藤澤学術基盤整備室長】  申し訳ございません。
【竹内主査】  これは現実的な問題で言えば、まだ日本の多くの組織体というのは、特に大学、高等教育機関というのはまだまだジェネラリスト型というかメンバーシップ型というか、その性格が非常に強いんです。ところが、一部の大学ではジョブ型的な職員の専門職化ということを意識している大学もないわけではないです。そうなってくると、できているところはどうやってそれがうまくいっているのか、なぜそれができたのかといったようなことをある種調査していくというか、実例をきちんと明らかにしていくことが必要なんですね。なので、ある種の調査というのは多分必要だと思います。
 ただ問題は、その調査ができたからといって、全ての大学ですぐにそれができるわけではないということであって、なので、検討も必要なんですよというようなところが、多分言葉のつなぎ方が適切ではなくなってしまっている面がちょっとあるんですけれども、そういうことです。先行するグッドプラクティスをいかに我々としてはきちんと把握するか、問題は、それをどうやったらそれぞれの組織でインプリメンテーションできるかという、そういう二段構えが多分必要なので、その辺りだというふうに御理解いただければと思います。表現は変えます。ありがとうございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ほかはいかがでございましょうか。
 西岡委員、どうぞ。
【西岡委員】  国立情報学研究所の西岡です。
 先ほど、石田先生のお話で、最後のスライドに課題として支援体制の構築でしたり、スキルアップに対する評価でしたり、そういったことに触れていただきました。スキルアップに対する評価は一番下の項目の評価システム等の検討というところで入っているかもしれませんが、支援体制の構築というところが今後検討すべき課題に入っていないように思いましたので、ぜひとも盛り込んでいただけたらいいなと考えた次第です。
【竹内主査】  ありがとうございます。多分、言葉としては3ページの項目の2のところの研修制度というところにざっくりとは入っているかなというように理解いたしますが、もうちょっとその辺を明確に見えるようにという形かなと思います。この辺りは、職員のいわゆる研修という話になってくると、組織が職員に対してという話になるわけなんですけれども、もう一つ必要なのは職員の自律的な自己研さんとか自己啓発と言われるような領域も必要で、それに対する支援ということもありますので、そこは少し分かるようにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。
 松原委員、どうぞ。
【松原委員】  松原でございます。
 表のすべてを把握できていないので、すでにどこかに記載されているのかもしれないのですが、ここでいう専門人材というものが、どのようなキャリアパスを経て成立することになるのかということで言いますと、2つのケースがある気がしています。1つは、図書館員の方、あるいは図書に関わる資格をお持ちの方が、研究データ管理等の様々な経験を積まれて専門人材として活躍されるケースで、もう一つは、先ほど林先生もご指摘されたように、研究者としてドクターを取って、その後に専門人材となるというケースです。後者のキャリアパスがこの先、有望ではないかと思っておりまして、そういったパスを経た専門人材が大学図書館に所属するという、新しい雇用の在り方まで踏み込んだ記述があってもよいのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
【竹内主査】  ありがとうございます。どういう人材をということを考えたときは、もちろん今いる人材が変化していくということと、新しい人材が入ってくるというのは、多分両にらみで考えていかないといけないところだと思います。これはどういう制度の下でそういう人材が入ってくるかというところで若干変わってくるところかなと思うんですが、例えばURAを見ても、現在研究職というカテゴリーで勤務されているケースと、高度な事務系職員という形で雇用が出ているケースというように大学によっていろいろ事情が変わってきているところがあると思います。
 ですので、そういった場合には入ってくる方が、そこが最終的なキャリアの終着点なのか、実はそこは通過点であって、さらに先を考えていらっしゃるのかといったようなことで受け止め方が違ってくるようなケースもあったりして、かなり複雑な問題かなと思います。
 ですので、この辺りをどこまでうまく書くか、細かく書くかというのは少し難しいところはあるんですけれども、多様な人材を受け入れるだけの柔軟な制度とキャリアパスみたいなものをどのように維持できるか、つくり上げることができるかといったようなことについては検討課題として入れてもいいかなと、今の松原委員のお話を伺いながら考えた次第です。そういう感じでよろしいでしょうか。
【松原委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。
 大分時間もなくなってきたので、なければ(4)のほうの確認もお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 この「デジタル・ライブラリー」の実現に向けた検討すべき課題というところでまだ御発言いただいてない委員の方もいらっしゃるかと思いますが、いかがでしょうか。
 杉田部長、何かございませんか。
【杉田委員】  (4)のところではなくて(1)なのかもしれないですけど、ちょっとメタな話ですが、今回の審議のまとめに対して2030年の大学図書館像をということで、前の部会で取り上げられていた電子ジャーナル関係のことが全体にこの真ん中の列には結果的に入ってこないことになるんですが、ここはどう考えたらよいのかなということを思っておりました。
【竹内主査】  電子ジャーナルのことを検討部会で取り上げなかったのは、それは電子ジャーナルについては既に1年前に独立の検討部会で検討したからということになっておりました。
 ですので、この「2030デジタル・ライブラリー」の中に、もともと検討しないということになっていた電子ジャーナルのことを入れたほうがいいというのが杉田委員の御意見ということでしょうか。
【杉田委員】  考えどころかなと思います。
【竹内主査】  もちろん、電子ジャーナルの問題というのは関係ないわけではないというのは十分理解はしているんですけれども、ただ、検討部会でも別に進んでいるので別に考えましょうといったようなところになっているし、また、実際にジャーナルに関する動きも大学図書館の枠を超えて、内閣府等で様々な国の政策が今動いているという状況なので、そこは具体的には入れづらいなというように思っています。
 なので、もしも入れるとしたら、コンテンツのデジタル化の問題の中で当然これは考えないといけないところですので、実現に向けた検討すべき課題というところで、電子ジャーナルの問題については、この検討会以外のところで既に進んでいる議論と十分連携させる形で、大学図書館の利用者から見たときにコンテンツのデジタル化という観点からシームレスに利用できる統合的なプラットフォームを検討する際に十分考慮すべきものというようなことで、留意点としてはきちんと書いておくということは必要かと思います。
【杉田委員】  そのように思いました。2030年の大学図書館像というところに電子ジャーナルについてのことが一言もないのは、この3年間の検討体制の推移を知っている我々は理解できますが。
【竹内主査】  なるほど、よく分かりました。それについても、先ほど来話がありますけども、この表形式の中に入れるかどうかということはちょっと別の問題として、これを発信するときにつけるであろう表書きのところにそういったことについて触れるかということも手としてあるとは思いますので、そのことについて誤解を受けないような対策というのはさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 日向委員から手が挙がっておりました。よろしくお願いいたします。
【日向委員】  この表の記述自体は、私としては特に問題ないのですが、石田先生の発表でお聞きしたいのが、異なるプラットフォーム上のデータ共有化の中で、データ管理のデータセットの実習をカリキュラムの中でやるというお話があったと思います。たしか実習の中ですか、スライドの中で。こういうデータ管理のためのデータセットというのは、例えば世界的な標準のものでよく使われているものがあるのかというのを情報共有として教えていただければ、今後そういうものがあればというのはあるんですが、何かあるんでしょうか。
【石田委員】  すみません。ちょっと御質問の意味が私のほうで理解できないんですけれども、メタデータのお話ですか、それとも……。
【日向委員】  Morrow Plotsデータセットを例にしたキュレーションエクササイズというのが研究データ管理基礎というカリキュラムの中に、石田先生の発表の中にあったと思うんですけど、ああいうものって、例えば日本国内でよく使われているものがあるのか、そういうデータセットというのがあるんですか、もしくはつくらなきゃいけないのかというのは、今後これを具体的に検討する中で気になったところですが、ちょっと教えていただけるとうれしいです。
【石田委員】  データセット、そういったようなものはないということだと思います。
【日向委員】  ないんですね。
【石田委員】  もちろんそれぞれデータというのは各研究者が作成して、データ公開のために図書館に送ってくるものをデータキュレーションという形で公開につなげるということですので、それぞれ何か共通のデータがあるというわけではないです。ただ、データを公開に導くためのフローとしての一般的なやり方、一般的なやり方というとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、よく使われているフローはあると言えるかと思います。すみません、お答えになっているかどうか分からないんですけど。
【日向委員】  本学でデータ管理のいろいろなルールを決めるときに、文学研究だと奥付的な決まったところがなかなかなくて、何をどのように整理するときのメタデータみたいなものをどうつくっていくかとか、その項目をほかの大学のデータと共通して使う場合にどういうところを注目すればいいかというのが複雑過ぎて見えなかったんで、そういうものがあるんだったら教えていただけたらなと思って質問させていただきました。今見ているこの表の課題はこれで、今後検討するときに結構そういうところが面倒くさいのかなと思って質問したわけです。
 以上です。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 すみません、もう時間が過ぎてしまいまして、御発言は以上とさせていただきたいと思います。
 本日いただきました御意見については、事務局のほうでまた整理した上で、このデジタル・ライブラリーの実現に向けた検討すべき課題のアップデートをさらに進めていきたいと考えております。
 あと、今日御意見いただけなかった分については事務局のほうにお寄せいただければということでよろしいでしょうか。
【藤澤学術基盤整備室長】  本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきます。
 次回、第3回につきましては、日時等が決まり次第御連絡します。開催方法等につきましては、改めて御連絡させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。予定の時間を数分延びてしまいました。大変申し訳ございません。
 それでは、これで本日の検討会は閉会とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

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