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感染症研究の推進の在り方に関する検討会(第4回) 議事録

1.日時

平成31年4月8日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室

3.出席者

委員

味戸委員、荒川委員、石井委員、石川委員、岩田委員(主査)、川名委員、佐藤委員、俣野委員、横田委員、脇田委員(副主査)

文部科学省

吉田研究振興戦略官、岩﨑先端医科学研究企画官、田川研究振興戦略官付専門官、田邉研究振興戦略官付係長、野田研究振興戦略官付専門職

オブザーバー

磯﨑厚生労働省結核感染症課主査、宮川日本医療研究開発機構感染症研究課長

【発表者】
舘田東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授

4.議事録

【岩田主査】  それでは、少し定刻より早いんですけれども、本日御出席の予定の委員の先生方全員おそろいになられましたので、ただいまから第4回感染症研究の推進の在り方に関する検討会を開会したいと思います。司会は、主査を務めさせていただきます国立がん研究センターの岩田が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は本当にお忙しい中、また年度初めということでいろいろ行事がある中、御出席いただきましてありがとうございます。今日は、また後で御説明があるかと思いますけれども、日本感染症学会の理事長の舘田一博先生においでいただいて、いろいろお話を伺って、ディスカッションするということを最初にさせていただく予定です。事務局から、まず委員の出席状況と配付資料の確認などをお願いいたします。
【田邉係長】  出席状況ですが、本日は齋藤委員、山崎委員より、御欠席の御連絡を頂いております。また、先ほど主査からも御案内がありましたとおり、本日は日本感染症学会理事長をされております東邦大学医学部微生物・感染症学講座の舘田一博教授に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【舘田教授】  お願いします。
【田邉係長】  また、AMED感染症研究課から宮川課長、厚生労働省結核感染症課から磯﨑主査にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。
 先端医科学研究企画官の高城の後任として、岩﨑が着任しております。
【岩﨑企画官】  岩﨑でございます。よろしくお願いいたします。
【田邉係長】  次に、研究振興戦略官付専門職として、野田が着任しております。
【野田専門職】  よろしくお願いいたします。
【田邉係長】  よろしくお願いいたします。
 最後に、資料の確認をさせていただきます。資料は全てお手元のタブレットに格納しております。本日の資料といたしましては、資料1、2-1、2-2の計3種類です。このほか、参考資料1から3を参考資料のフォルダに御用意しております。
 事務局からは以上です。
【岩田主査】  ありがとうございました。資料は大丈夫でございましょうか。
 それでは議事に入りたいと思いますが、本日は、先ほど御紹介させていただきましたとおり、日本感染症学会の理事長でいらっしゃいます舘田一博先生にお越しいただいておりますので、まずは舘田先生から、今後の感染症研究の推進の在り方についての御意見ということで、お話を伺いたいと思います。
 早速ですけれども、舘田先生、よろしくお願いいたします。
【舘田教授】  御紹介いただきました東邦大学の舘田ですけれども、東邦大学の微生物・感染症学講座の教授とともに、日本感染症学会の理事長と、日本臨床微生物学会の理事長を拝命しております。
 御存じのように、日本感染症学会の理事長に関しましては、岩田先生の後を受けての担当ということで、基本的には岩田先生のお考えと一緒なんですけれども、今日は東邦大学における研究の在り方と、今ありますように医療の現場、感染症研究が抱える問題点、日本感染症学会の視点から見てどのような状況で、今、何が問題となっているのか、それと、日本の感染症研究の施策に期待したい方向性ということで、少しまとめてきました。
 まず、私どもの教室を1つの例として見ていただければと思って用意してきたんですけれども、東邦大学の医学部微生物・感染症学講座というのは、私の前が山口惠三先生、その前が五島瑳智子先生、そして桑原章吾先生という、非常に恵まれたお教室であって、それを私が継がせていただいているんですけれども、大きな方向性は微生物・感染症における研究なんですが、基礎と臨床とが連携する教室作りというのがずっと続けられているような1つの例になろうかと思います。
 皆さん、私の前の教授もずっとMDだということもあって、微生物・感染症学講座としての感染症の発症病態・機序の解明であったり、診断・治療法に関する研究であったり、耐性菌の疫学、耐性機序に関する研究であったり、普通はこれが微生物学講座の1つの研究の方向性、大事な柱になると思いますけれども、と同時に、病院の感染管理部の部長を私は兼任していまして、院内感染対策、感染症のコンサルテーション、あるいは院内の職員教育等にも関与しています。またもう一つは、病院の微生物検査室の責任者もしていますので、病院全体における耐性菌情報であったり、感染症のサーベイランスであったり、あるいは新しい検査法の導入であったりと、そういったところにも関わる教室になります。
 恐らく今、大学における微生物学講座とか細菌学講座というと、本当に基礎だけという教室と、最近増えてきているのは、こういうふうに基礎と臨床にも貢献するような形で、感染対策にも関わるような教室も増えてきているんじゃないかなと思います。
 私どもは、今お話ししたように、基礎研究というのは1つの大事な柱ですけれども、臨床とのつながりの中でというところで、もちろん耐性菌は大事な1つのテーマですけれども、耐性とともに病原性を見ながら、その耐性菌が将来どうなっていくだろうかということを見ようとしたり、もちろんvivo・vitroでの評価があったり、臨床を意識した疫学・病態、あるいは診断・治療というところで検討を行っています。そういう意味では、テーマが多岐にわたるということから、一つ一つ、なかなか深めるのが大変なんですけれども、ただ、いろいろな視点で、広い視野で感染症を見ていくということはやりやすい教室になっているのかなと思っています。
 我々の教室のテーマは、臨床医にとって面白いトランスレーショナル・リサーチということを考えているんですけれども、スタッフは7人与えられています。非常に恵まれている教室で、多分、微生物学講座というと、2人とか3人ぐらいでやっている教室が多いんじゃないかなと思うんですけれども、臨床への貢献ということもありまして、7人がいるわけですけれども、基礎研究を臨床にどうやって応用するかという、いわゆるトランスレーショナル・リサーチというところよりも、臨床からたくさんMDが大学院生・研究生で来てくれていますので、そういった先生方が臨床で遭遇した疑問をうちの教室に持ってきてくれて、それを基礎的な考え方や技術を用いて自分なりに解決させていくような研究、あと、リバース・トランスレーショナル・リサーチと言われていますけれども、症例の疑問を研究に持っていくような教室作りを行っているところです。
 そういう意味では、何でもそうですけれども、症例の中の真実を見逃さないような目を育てようということ、そしてそれを、リサーチマインドを持った医師の育成につなげていこうという方向性を考えています。自分も臨床からスタートしましたけれども、何げないちょっとした現象でも、なぜということを考えていくと、その中にいろいろな面白い研究のテーマが出てきますし、面白いだけじゃなくて、大事な研究になっていく可能性があるテーマがあろうかと思います。そういうものを、まずは見逃さないような目を育てるということを大事にしたいと思っているところです。
 そういう意味で、リサーチマインドを育てるというあれなんですけれども、ただ、実際にはなかなか総論的、総花的で、真実を追求する研究にまでは深めにくいというか、深められていないというのが、僕たちの中での今の大きな課題になっています。スライドをお願いします。
 医療の現場、感染症研究が抱える問題点、どのような状況で、今、何が問題となっているのかということを、私どもの教室、あるいは日本感染症学会という臨床医が中心となっている学会ですけれども、そこでの問題点というものを幾つかまとめてみました。
 1つは、感染症に興味を持っている若手医師は、恐らくここ10年、20年で増加してきているんじゃないかなと感じています。それは、耐性菌の問題が広く取り上げられるとか、グローバル化の中で、ボーダーレス化の中で、世界の感染症が見えるようになってきているということもあるのかもしれませんけれども、感染症に興味を持っている若い人たちは増えてきているのではないかなと感じています。
 ただ、感染症専門でやっていこうとは決断しにくいような状況があるのも事実かと思います。感染症、これは臨床ですけれども、臨床の感染症医でやっていこうと、感染症医という形で標榜しても、なかなかそれだけでは医師として生活できないというところもあるんじゃないかなと思います。例えば、これは今、先生方御存じのように、院内感染対策加算というサポートが付いて、感染対策をやろうとする方向性はできているんですけれども、ただそれが、感染症医イコール感染対策加算というところにつながっていないので、なかなか本当に感染症だけで、臨床でやっていこうというドクターが育っていきにくい状況があるのかなと感じています。
 もう一つは、これはどこの分野でもそうだと思うんですけれども、ガイドライン医療の弊害というか、何でもかんでもガイドラインで片付けられるような傾向があって、非常にこれは心配されているところかと思います。ガイドラインはミニマムリクワイアメントとして、非専門の先生方が参考にするようなもののはずなのが、専門医までもがガイドラインで思考停止してしまうという傾向がある。これは長い目で見ると、リサーチマインドが薄れていってしまって、日本から新しいデータが出てくるということが滞ってしまうんじゃないかという方向性が考えられます。学会の中でもこれを意識して、ガイドラインを超える、ガイドラインを変えるエビデンスを出していくのが、我々専門医の立場なんだということを、今、強調し出しているところです。
 リサーチに興味を持つ医師の減少。これはどこの分野もまたそうですけれども、忙し過ぎる診療であり、若い先生方はQOLを大事にする。それが時代の流れなのかもしれませんけれども、どうしても私どもの世代、20年、30年前の世代に比べると、リサーチに興味を持つ医師というのが減少しているのではないかなと感じています。
 リサーチマインドを持った医師をどう育てるかというのが、日本感染症学会の中でも非常に大きなテーマになっているわけですけれども、それ以外にも、学部や卒後教育、そして学会も含めながらですけれども、どうやってこれを育てようかというところで、いろいろな工夫をしているところです。
 臨床現場と基礎研究に見られるギャップというところもあるわけですけれども、これは、例えば感染症領域ですと、日本感染症学会というのは、今から出てきますけれども、大体学会会員数が1万1,000人いるんですが、一方で、例えば日本細菌学会という基礎系の学会もあります。そうすると、基礎の日本細菌学会というのは、一時非常に増えていた時期もあるんですけれども、今は数もかなり少なくなってしまっているという状況があって、しかしレベルは高い研究をやろうという志があるわけですけれども、なかなか数が増えてこないというところのジレンマに、私も両方の学会に入っていますので、よく分かるんですけれども、そういう状況がありますし、臨床は臨床で、臨床だけで研究をやらないという、そのギャップがますます大きくなってきてしまっているんじゃないかということを感じているところです。
 そういう意味では、臨床医をどうやって感染症研究に導いていくのか、あげられるかということが、学会としての大きなテーマとなってきているところで、正にこれが人材の育成と誘導の施策というか、そういう方向性で行政と一緒に連携していけばいいんじゃないかなと感じているところです。スライドをお願いします。
 日本感染症学会に関しましては、こういう歴史がある、非常に歴史のある学会の一つになります。大正の15年に日本伝染病学会として設立されたんですけれども、今年で93年目になるというところで、もうすぐ100年の記念を迎えるような学会なんですけれども、もちろん、昔は伝染病としての役目が多かったわけですが、スライドをお願いします。
 学会会員数も、今お話ししましたように、現在1万1,000人ぐらい、少し頭打ちになっているのかもしれませんけれども、このくらいの会員数を持って、そのうちの医師が80%ぐらいはMDという学会であって、ある意味、非常にこの力を感染症研究に、どういうふうに使っていくのかということは、いろいろ考えてもいいんじゃないかなと思えるような、そういった団体じゃないかなと感じています。スライドをお願いします。
 だから、いろいろ問題がありまして、ここに会員数1万1,306、医師が8,952ということなんですけれども、ここにありますように、他の学会に比べると専門医の数が12.1%という形で少ないというのも、日本感染症学会の1つの特徴であり、ちょっと弱いところであり、困っているところでもあるというところがあります。専門性というか、感染症というのはどこの科でも、メジャーでもマイナーでも、外科でも内科でも小児科でも、どこでも遭遇するという意味から、広くお勉強しなければいけない疾患の一つになるわけですけれども、感染症だけを専門にやろうとする人というのは、どうしても少ない。例えば日本消化器病学会のときの専門医が56%、日本循環器学会が52%に比べると、少ないというのがある。それがこの学会の1つの特徴になるわけですけれども、ただ裾野としては、かなり広く持っている学会であるということが言えるかと思います。次、お願いします。
 これはよく出すスライドですけれども、今、医師の数が約32万人いる中で、医療機関で勤務している処方を担当する、抗生物質を処方するドクターが30万人ぐらいいる。そういう中で、日本感染症学会員は1万1,000人で、感染症専門医は1,300人ということですから、感染症は本当にどこの科でも診る、そして、どこの科でも抗菌薬を処方するし、その患者さんに対して治療を行うんですけれども、その中では、この割合というのは少ないし、まだまだもっと増えていくポテンシャルのある学会だなと感じているところです。
 そういう意味では、日本感染症学会は、感染症領域における中心をなさなければいけない学会なんですけれども、スライドは次に移りました。感染症学分野の学際的発展の必要性と書かせていただきましたけれども、日本感染症学会と、例えば化学療法に関する日本化学療法学会との連携、これは薬剤師の先生方が多い学会。日本臨床微生物学会は、臨床検査技師の人たちが多い学会でありますし、日本環境感染学会というのは看護師さんが多いような学会。それ以外に、小児科、外科などの臨床系の学会や、日本細菌学会、日本ウイルス学会などの基礎系の学会と連携しながら、活動をしていこうとしている学会ですけれども、ただ、まだまだ学際的な連携というものにおいて、できていない部分があるんじゃないかということを感じていますし、日本感染症学会が中心となりながら、学際的な発展、連携というものを進めていくことによって、新しいアイデア、発見等も、まだまだたくさん出てくるんじゃないかなということを感じているところです。次、お願いします。
 そんな中で、日本の感染症研究の施策に期待したい方向性ということで、私なりの幾つかの視点をまとめさせていただきました。
 1番が、臨床医ですね。8,000人いるような感染症の臨床をやっているドクターを、どうやって感染症研究に導いていくか。なかなか忙しいという中で、臨床だけに追われているドクターに、どうやって臨床研究というか、リサーチマインドをどうやって育成していくかというところが大事な方向性で、ここを期待したいところですけれども、例えば学会もそうですが、文部科学省が、国が臨床研究を強くサポートするというメッセージを発信していただくことによって、臨床だけじゃなくて、研究的な視点で考えることの重要性とかいうものを、また改めて認識してもらえるような方向性を考えていただければいいんじゃないかなと思います。
 臨床医は忙しいといいながらも、感染症研究をスタートアップするような助成。だから、なかなかこれは臨床の中での研究のスタートですから、確率もよくないし、大きな研究にはつながらないのかもしれないけれども、症例の中の真実を見逃さない目、そこの中での研究をスタートさせるような、その中から次の時代の感染症研究のリーダーが生まれてくるような、そういった育成プログラムがあってもいいんじゃないかなと思います。
 大学教育、卒後研修におけるリサーチマインド育成指導/カリキュラム。これに関しましては、既に文部科学省中心に、いろいろな意味でリサーチマインドということを意識したカリキュラムが組まれているのかもしれませんけれども、残念ながら先ほど話したように、少なくとも日本感染症学会の中では、なかなか臨床家がリサーチマインドを持って診療しながら研究をしていくという状況は、難しいようになっているというのも事実かと思います。
 感染症研究のリサーチマインド育成拠点のようなもの。例えば臨床家の疑問、そして臨床家のアイデア、ヒントみたいなものを、どこかの拠点ベースで受け入れてあげて、そしてそれを研究まで発展させてあげるような仕組みがあればということも思います。こういう考え方は、実は前回のJ-PRIDEのときにも、リサーチマインドの育成拠点みたいなものを作って、日本の中で幾つかの拠点の中で、臨床医を受け入れながら、そこで臨床の視点でのヒントを基にした研究をサポートするような仕組みを作ったらどうかということを提案させていただいたところです。
 2番が、感染症研究における異分野の融合、学際化の促進ということに関しては、先ほども申しましたように、いろいろな分野の先生方との融合を能動的に引き起こしてあげて、そこで化学反応を起こさせて、新しい発想、新展開、新しいプロジェクトを作り出すような仕組みがあってもいいんじゃないか。それは僕たちの中では、例えば日本感染症学会と、今やろうとしているのは、総合診療、プライマリ・ケアの連合学会の先生方との連携であったり、救急救命の先生方との連携であったり、検査関係の連携であったりといったところで、学際的な交流を強く、学会が主導で作り出して、そしてそこを進めるような方向性を考えています。
 それと、劇症型、難治あるいは慢性感染症の病態解明と新しい治療法に関する研究の促進というところは、今はどうしても劇症型、難治、慢性というところがなかなか治療が難しくなって、抗菌薬だけでは助けられない感染症の症例がある。しかし、そういう症例というのはそんなに多くはないわけです。例えば、劇症型で有名なA群の溶連菌の劇症型感染症、壊死性筋膜炎というようなものがあるわけですが、そんなに多くはないけれども、死亡率は今でも30%、40%に達するような感染症がある。そういった抗菌薬では助けられない感染症を、どうやって助けられるかというところに関して、もっと新しい発想でのアプローチが要るんじゃないか。
 それは、例えばたまたま助かったという症例の中に、なぜそれが助かったのかというところを、真実を求めていくような研究であったり、あるいは、例えばDrug-repositioningなんかもそうだと思うんですけれども、たまたまの一例の中で使われたある薬が、もしかしたら次の新しい治療のヒントになるかもしれないとか、例えばDrug-repositioningでいえば、今盛んに開発されている生物学的製剤で分子標的治療薬を、どういうふうに感染症領域に応用していくのかという発想であったり、それ以外にも、いろいろなところの薬を感染症治療に応用するような気付きを大事にする、そういったプロジェクトというのがあってもいいんじゃないかなと思っています。
 また、ビッグデータ解析。先ほどから出ている日本感染症学会員1万1,000人、ドクターが8,000人いる中で、そのデータをどういうふうに使って、そして新しい研究につなげていくのかというところでありますし、さっき言ったような重症化、劇症化、それが菌だけじゃなくて、宿主側との反応の中で重症化あるいは難治化、慢性化が起きるわけですから、その病原体と宿主側の遺伝子との関係で見ていく。それはなかなか大きなNが取りにくいわけですけれども、学会をマスとして、学会のビッグデータを使うことによって、そういう研究を進めていくという方向性も考えていいのかなと思います。
 感染症治療薬の創薬の促進プロジェクトに関しましても、正にこれはAMEDとも相談をしているところですけれども、日本感染症学会のネットワークを用いた臨床試験や研究促進ということで、耐性菌感染症というのも、日本は余り多くないと。非常に有り難いことなんですけれども、耐性菌感染症はそんなに多くない中で、日本ではなかなか臨床試験が進みにくいという状況があるわけですけれども、学会のネットワークを使って、学会全体で症例登録をしていくような仕組みを動かすことによって、これは企業にとっても非常に連携がしやすいような、そういった仕組みを作って、それを研究に応用していくような動きがあってもいいんじゃないかなと思います。
 産官学の連携のプロジェクトとして、感染症治療の創薬促進検討委員会みたいなのがあるわけですけれども、日本の製薬企業というのは、これまでに世界標準の抗菌薬をたくさん出してきた。そういう企業が日本は多いわけですけれども、そういった企業も今、なかなかそれを続けにくい状況がある中で、もっとアカデミアが産業と連携しながら、行政と連携しながら、それを進めるような工夫が研究プロジェクトとしてあってもいいのかなと思います。
 既存の化合物の再スクリーニングとここに書きましたけれども、これは今、感染症の研究で、創薬というところはなかなか進まない分野になってしまいましたけれども、ただ、診断法に関しては非常に大きな変化がありまして、昔は診断が、培養して菌種を同定して薬剤感受性をやるのに、2日も3日も掛かっていた。そういう状況だから、とりあえず治療するのはブロードな、広域な抗菌薬で治療しなければいけないという構成があったわけですけれども、今は診断法が、20分、30分で診断ができるような検査法が出てきた。そうすると、その原因菌だけに効けばいい薬が臨床で応用できるような時代になってきたということがあります。
 ですから、恐らく近い将来はナローなもので、ただし非常に強い抗菌活性があるようなものが、臨床の現場で使われる時代になってくるんじゃないか。だから、そういうものを探していくような臨床研究というものが、あってもいいんじゃないかなと思います。
 以上、日本感染症学会としての中でいろいろ議論されていること、それと私の教室、東邦大学の教室の中で考えていることを中心にお話させていただきました。
【岩田主査】  舘田先生、どうもありがとうございました。
 舘田先生はもともと内科のドクターでいらっしゃって、それから基礎の方へ来られたということで、臨床のマインドと基礎のマインドを両方お持ちですし、東邦大学の微生物の講座は以前から臨床に直結、治療に直結するような基礎的研究をなされてきたところですので、そういった立場からもいろいろお話していただいたと思います。日本感染症学会あるいは感染症専門医の立ち位置とか、そういったところを基に最後にまとめていただき、感染症研究に期待したい方向性ということで御意見を頂きました。
 せっかくの機会ですので、舘田先生からお話していただいたことを基に、少し意見交換をしたいと思いますけれども、委員の先生方、何か舘田先生にここのところをお聞きしたいとか、あるいはコメント等ありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。臨床医を研究の方になるべく取り込んでいきたいという気持ちを、御説明いただいたと思いますが、委員の先生方は基礎の先生方も非常に多いので、そういった立場から、また御意見を逆に頂ければ有り難いと思います。
 いかがですか。石井先生、何かございますか。
【石井委員】  本当に臨床の立場から見られた感染症研究の問題点を鋭くつかれていて、恐らく、特にこのリストにしていただいた問題点は、基礎研究の感染症研究からも、裏返して同じ問題点を指摘できると思いますし、非常に重要なポイントを指摘してくださったと思います。
 特に、まず簡単な算数から話題として申し上げますと、感染症の学会会員数が増えているにもかかわらず、その研究をする日本細菌学会の会員数は減っていると。これはどの領域も、臨床と基礎で同じような傾向が見られていると思うんですが、僕が覚えているのは、2004年辺りに研修医の制度が変わった辺りから、MDが基礎研究に来づらいというか、来やすい状況が少し変化したきっかけがあったと思うんですけれども、その後、いわゆる感染症の臨床医が基礎研究に移る、若しくは同時に進行させるときの隘路といいますか、問題点というのは、今、解決可能なポイントというのはございますか。これは制度上の変更・変革も含めてコメントしていただければ、非常に幸いです。
【舘田教授】  石井先生ももともとは臨床ですよね。
【石井委員】  そうです。
【舘田教授】  だから、先生なんかは臨床をやっていて、ひょんなことから基礎に入って、今は基礎でやっているわけですけれども、あの頃というか、先生は20年前とかですか。
【石井委員】  はい。
【舘田教授】  そんな感じでやれたし、僕も25年、30年ぐらい前ですけれども、そういうあれが行きやすかった。たまたまなんですけれども、そういうあれがありましたが、今は何でですかね。その構造。どうしてなのかな。何でですかね。行きにくくなっちゃって。
【脇田副主査】  私も経験あるんですけれども、僕も30年前ですが、当時は、少なくとも我々の大学では全員が臨床に出て、戻ってきて、ティーテルアルバイト(Titel Arbeit)をやらなきゃいけないということで、多かれ少なかれ研究にエクスポージャーしていたわけですね。少なくとも2年間。その中で、学生のときはそんなに基礎研究に興味はなかったけれども、やってみたら面白いと。自分が臨床をやったときの疑問が解決できる方策があるということで、基礎研究に入ってきたということがあると思うんです。私もそうなんですけれども。
 ですので、臨床にリサーチマインドを持ち込むというのは非常に大事ですから、あの当時、全員がそのように、多かれ少なかれ基礎研究にエクスポージャーする機会があったということが、非常に大事だったわけですけれども、現在も医局の縛りが強いところというのは、結構そういうのが強いんですよね、僕らの肝炎研究とかの領域を見ていても。ですから、ある程度は強制的に、臨床の医師が研究に一度エクスポージャーする機会があるというのが大事なことだろうと私は思います。
【舘田教授】  今、先生のお話を聞きながら思ったのは、今は昔より専門医制度がすごく発達してきたから、どっちが大事となったら、専門医の資格を取る方が大事になっちゃっているかもしれないですね。学位よりも専門医をまず取ってという。どうですかね。そういうのが1つあるんじゃないかなと思いますけれども。
【岩田主査】  いかがですか。
 大学によっても、感じがかなり違うとは思うんです。例えば、学位を取る方が多いような大学だと、臨床に行っても、ある時期、例えば基礎の研究室にお預けして基礎研究をするとか、その辺、臨床と基礎がうまくタイアップしていないと、なかなかできないところはあるんですけれども、そういう中で基礎研究に暴露するというのはあるので、そういう体制を取っているところでは、実際、臨床から基礎に人が行きやすいところはあるのかもしれません。
 ただ、確かに初期研修の制度が始まってからは、どうしても最初は2年間初期研修して、その後、臨床に進む人が多くなってということもあり、先生がおっしゃるように難しいところはあるかなと思います。学生の頃から研究室に入って、少し早めに学位が取れるような制度を仮に作っても、結局卒業したときには、みんなが初期研修に行くので、自分だけそのまま初期研修を延ばして基礎の研究を続けるのに、すごく抵抗があったりして、ですから、その辺の仕組み、どの辺で基礎研究へ暴露していくかという流れをうまく作ってあげないと、なかなか難しいのかなと思います。
【舘田教授】  そういう意味では、先ほどもちょっと言わせていただきましたけれども、MDで基礎研究をやる人が減ってきちゃうということは、すぐには余り効果が明らかにならないけれども、長い目で見たときには、日本の基礎研究、感染症研究において、物すごくダメージが大きくなってくる。ですから、今の段階で、どうやってそれを維持していくような施策を取っていくのかということは、すごく大事じゃないかなと改めて思います。
 そのときに、さっきもちょっと言いましたけれども、国が、文部科学省が、そこを強く推しているんだということ、臨床研究を強くサポートしているんだというメッセージがしっかりと若い人たちにも伝わると、専門医を取るだけじゃなくて、そういう新しいことをやっていかなければいけないんだというマインドを、もっと訴えていただければいいんじゃないかなと思います。
【脇田副主査】  すいません、また感染症研究所の脇田ですけれども、基礎研究は非常に重要だと思うんですが、僕も自分の経験でしか、教育者じゃないので、教育機関にいるわけではないので、言えないんですけれども、自分が研究に興味を持ったというのは、メンターの力が非常に大きいんですね。僕は臨床で研修をやっていたときに、メンターが、ちゃんとこの症例はどこかで発表しなさいということを、きちんと指導してくれたというところから始まっているような気がしますので。
 ただ、今、専門医のお話があったんですけれども、専門医でもいいと僕は思うんですね。専門医を取るときに、必ず学会発表を何回かするとかという条件が、多分あるんだろうと思います。ですから、そういうところをもっと活性化していって、臨床で得た疑問点とかをきちんと解決するような、あるいはそういうことをパブリックに発表していくというところを動機付けるということを、もっとやっていっていただいて、臨床医になったら、きちんとそういったことを学会で発表をやっていくということを広くやっていくと、そういったことが活性化されていく。
 余りスペシャルな基礎研究に行く人というのは、そんなに数は多くはないと思うので、もっと広く臨床研究をサポートするという舘田先生からのメッセージがございましたけれども、そういうところをサポートするために、どういうことが文部科学省あるいは学会からできるかということも、考えていく必要があるかなと思います。
【川名委員】  臨床の教室をやっています立場から、日大の産婦人科の川名です。
 今の臨床研究のサポートという話なんですけれども、臨床が、例えば学位を取るために二、三年、基礎の先生のところにお邪魔してというのは、昔からずっと続いていて、もちろんそれぞれコンセプトがあって、臨床に戻るわけですが、1つは、今も脇田先生がおっしゃられたコラボレーションの活性化という意味では、臨床と基礎の活性化という意味では、顔が見えない人と一緒にコラボレーションなんかできるわけなくて、信用もできない人と組む基礎の先生はいらっしゃらないと思うんですね。
 ですから、そうやって、たった2年でもずっと一緒に仕事をしていると、それは当然、信頼関係も生まれてくるわけですので、そこは大事かなとは思うんです。ただ、戻ってみると、そこの強いきずなをずっと維持するのは、実際問題、臨床家としてはなかなか厳しい今の仕事環境がありますので、そうなると、臨床に戻ったときの臨床研究というと、3番目に書かれているビッグデータというか、もちろんこれも信頼関係が必要ですけれども、データを共有するチャンスが与えられれば、臨床情報とデータベース、ゲノムでもエピゲノムでもいいんですけれども、それを使ったデータベースを使って、臨床で起きている現象を深められるというチャンスが、我々臨床家にも与えられるというか、チャンスが生まれてくるのかなと。
 もちろん、我々が臨床サンプルを基礎の先生にお渡しして解析してもらうというのは、もちろん1つのスタイルで、ずっと今もやっているわけなんですけれども、それはどうしても基礎の先生に単なるお手伝いというか、提供するだけとなってしまいますので、臨床家がより感染症の研究にガチッと入っていくためには、そういう使えるデータベースがもしあれば、それを使った解析だったら、我々もこの中でもできるのではないかなと感じております。
【舘田教授】  いいですか。ありがとうございます。その方向性で、岩田先生から私がバトンを受けまして、日本感染症学会の強みは、さっきから出ている1万1,000人、8,000人というMDであると。そうすると、そのネットワークを使ってデータを集めて、そしてそれを疫学的に解析して何かというところは、これをやろうと。日本感染症学会として、サポートするお金はすごく少ないんですけれども、学会としてサポートしますよと。
 ただ、疫学情報を集めるのに、お金は掛からないわけですよね。ある意味ボランティアで、みんなのネットワークを使ってそれを集めて、それを基にまとめて論文を書くというのを、臨床疫学データとして学会でやろうというのは、今、幾つか動き出していて、だから、1つそんなことでちょっと勉強してもらって、それが自然に、もっとたくさんのいろいろなのが動き出すようになれば、それが活性化につながってくるんじゃないかなと思っています。
【岩田主査】  いいですか。
 俣野先生、お願いします。
【俣野委員】  この手の問題は、体制の問題とかがあって、余り小手先でどうこうと言ってもそんなに変わらないと思うんですね。それで、よくこういう議論のときに、今、まとめて議論していますけれども、MDの中でメーンに議論しているのは、多分、臨床研究をそれなりにやられて、また臨床に戻られる方をメーンに話をしていると思うんですけれども、それなりにMDから基礎の研究の方に行って、基礎を中心とされる、少なくてもいいんですけれども、そういう方のことも考える必要があるし、それから、研究といっても、かなり臨床寄りと基礎寄りもありますし、ドライとウエットの問題もあります。
 それから、臨床の中でも、科によって大分状況も違いますので、余り全部一括して、平均値みたいなところでディスカッションすると、結局はうまくいかない、一面しか見ないと思うので、そういうのを含めて、もし本気で議論するのであれば、しっかり情報を集めて議論すべきではないかと思います。
【岩田主査】  確かに、研究にもいろいろありますからね。
 石井先生。
【石井委員】  俣野先生の意見のつなぎのコメントとして、せっかく舘田先生が来てくださっていますので、特に感染症の中でも細菌学、そして先生の専門でもあります抗菌薬、そして、それに一番の課題はAMRだと僕は思っていまして、それをどのようにして基礎研究者と共同・協調して対応していくかというのは、基礎研究の側からすると、まだいろいろ越える壁がたくさんありまして、そういうポイントといいますか、課題を、基礎研究でこういうことが必要だということを、舘田先生から幾つか。
 今これでいうと、3番目のスライドに、いろいろなファクターというか、先生のキーワードがちりばめられていますけれども、このようなところからでも構わないんですが、先生から、これは文部科学省の感染症の基礎研究をどうしたらいいかという検討会ですので、そういうところで、もしコメントや御意見がありましたら。
【舘田教授】  ありがとうございます。やはりAMRというのは1つのキーワードで、大事なテーマですけれども、耐性だけじゃなくて、病原性と併せて見ていかなければいけないというのが、これからの方向性だと僕は思います。今までは耐性というのは、そういうところで追い掛けていったけれども、結局それは後追いにならざるを得ないわけですよね。疫学が出てきてから初めてなんですけれども、病原性も一緒に変化してくるというところを考えると、耐性であって病原性を併せ持つようなものが将来増えてくるでしょうという。そういうところをつなぐ研究をサポートするというのが、僕は将来的なことも含めて、非常に大事な方向性になるだろうと思います。
【石井委員】  おっしゃることはよく分かります。特に病原性を決めるのは、病原体の因子よりも、宿主の因子がその病原性、若しくはバリエーション、バラエティーを決定しているのであって、そういう意味では細菌だけを見ていたら、病原性の対応、対策というのはできないという理解でよろしいですか。
【舘田教授】  そうですね。
【石井委員】  そうすると、いろいろなマルチディシプリナリーな研究領域、若しくはフォーカスキーワードとして、今おっしゃったのはスライドでいうと、基礎・臨床だけでなくて……。ごめんなさい、今、スライドが見当たりませんけれども、いわゆる研究のキーワードではなくて、劇症型とか難治性とか、そういった病態に応じた研究領域分野が必要だということなんですか。
【舘田教授】  これは、先生、僕は今の、2つ入っちゃってすいません。1つは病原体側からのアプローチとして、耐性とともに病原因子というものを、病原体の中で見ていくということが1つの方向性と、もう一つは、病原体に対して、先ほどの劇症型の例にしても、何で劇症型を起こすのかというのは、恐らくそれは菌の病原性だけじゃなくて、宿主の反応性が1つ大事ですから、今度は、その菌と宿主の遺伝的なバックグラウンドの何がというところ、分からないわけですけれども、そこが恐らくこれからの研究のテーマ。症例数としては少ないのかもしれないけれども、そこを見付けて、そこに対する新しい治療法を考えていくというのが、大事な方向性なんじゃないかなと思います。
【俣野委員】  すいません、先ほどちょっとウエットとドライの話をしたんですが、今、臨床研究で比較的、データの取り扱いとかそういうのも含めて、ドライの臨床研究を非常にやれるような教育というのは、前よりちょっと進んでいると思うんですね。その研究の方は多分、幅は広いと思うんですけれども、ウエットとドライ、両方分かっているMDとかがいると、非常に強いと思うんですね。
 そこに向けての1つの解決策は、医学部の大学生の間に、できるだけそういう経験をさせるという手があるんですが、一部というか、大学によっては、そういう機会を与えるようなところに少し力を入れているところもあるんですが、大学全体を見ると、今度は逆に、学生のうちに臨床で非常に学ぶことが多いというので、大学3年間はいなくても、2年とかその辺りにできるだけ前倒しして、臨床的なものをどんどん、これは言葉遣いは悪いですが、詰め込んでいくような教育になっている部分もあるので、もしかしたら医学部の大学教育のところから議論しないと駄目なのかもしれないと思います。
【岩田主査】  荒川先生、どうぞ。
【荒川委員】  私は基礎の、ずっと細菌学で、臨床研究は1年半ぐらいやって、すぐに研究をやっていますので、当時としても異端児だったかもしれませんけれども、結局、我々の頃は医師資格を持った人の進路というのは非常に多様で、いろいろな進路が選択できた。その分、ファジーだったということなんでしょうけれども、今は卒業した後に臨床研究、あと、専門医の資格を取る勉強をしなきゃいけないというので、かなりコースがきちっと作られ過ぎてしまって、若い学生さんが卒業しても、そこからはみ出すことはなかなかできない。研究をしたいと思っていても、なかなかその路線から外れることに対して勇気が要ると。臨床家として生きていくという路線から外れて研究をやろうというのは。
 これは、基礎の細菌学に限らずほかの科目でも、病理でも、神経でも、生理でも、生化学でも起きていて、極端な話、厚生労働省の医系技官になる人も最近減ってきちゃっている。そういう制度の問題として、医師資格を持った人が、臨床医として活躍する人も当然必要なんですけれども、もっと多様な分野で働けるように、もうちょっと制度的な改革をしていく必要があるんじゃないかなと。医学部を出たら、みんな医者にならなきゃいけないというような雰囲気じゃなくて。
 私が属している大学は大昔から、私がまだ助手になる頃か、もうちょっと前かもしれませんが、基礎医学セミナーというのをやっていまして、当時はM2セミナーといって、医学部に入って4年生の後期に時間を作って、そこで学生に研究的なことにエクスポージャーするということをやっていて、今は基礎医学セミナーは3年生になってからやるんですけれども、そうすると、100人いるうちの数人ぐらいは、基礎の研究室に残って研究を継続している人がいるんですよね。
 だから、100人が100人、全部基礎の研究にいる必要はないんですけれども、100人いたら数人ぐらいは、基礎の研究室に残って研究分野でやれるような、それをサポートするような制度的な体制と、そういう意欲を持っている人をエンカレッジするような政策があるといいかなという気がしますね。
【舘田教授】  先生、正に僕もそう思います。それが最後のスライドで、国が感染症の臨床研究を強くサポートするというメッセージを、どうやって発信するかということが大事だなと思うんですけれども、さっきもちょっと出ましたが、今の若い子たちは専門医なんですよ。専門医、専門医で、専門医の資格を取るのがまずは大事ということで、そのうちに何となく研究というのから遠くなっちゃう、そういうものがあるんじゃないかなと僕は個人的には思います。
 だから、そのときに国が、やはり研究をやるというところに、強くここをサポートするんだというメッセージを出して、それで、もちろん学会も一緒になってそれを進めるんだという、そこが一緒になれば、恐らくパーセンテージは増えて、臨床研究をやろうとする子たちが増えてくるんじゃないかなと思いますけれども、甘いでしょうか。
【岩田主査】  そうですね、荒川先生がおっしゃった、学生のときに臨床研究なり基礎研究なりにエクスポージャーするというのは、多分、いろいろな大学でされているとは思うんですよね。
【舘田教授】  やっているんですけどね。
【岩田主査】  私が所属している慶應義塾大学でもそういう形で、自主研究という形で学生さんが研究室に来て、実際に学会発表とか論文をまとめたりもしているので、そういう取り組みというのは、もっとサポートしてもらえれば、もっと大々的にやったりできるかもしれないです。そういうことは1つ、医学教育の中でできることかなとは思いますが。
 横田先生。
【横田委員】  もちろんそうやって、今の学生さんは結構基礎研究配属とかをある時期やって、実験を覚えたりとかしています。そういう機会に、基礎にすごく目覚めるという人もいるかもしれませんが、大抵の人は最初は臨床の方に興味を持って、まずは臨床に行ってから、今の基礎研究をやっている。私もそうなんですけれども、臨床をやっているうちに基礎のこういうところを明らかにしたいと思うようになる。そういうモチベーションができたのは、やはり臨床をやってからなんですよね。
 だから、医者が基礎研究をやるとすると、臨床を経験する時期があってから、初めてその方向が見えてくるのかなと思います。私自身は学生のときに基礎研究の方が面白そうだと思ったことはないです。だから、ちょっとそこは違うかなと思うのと、これは感染症研究に特化しているので、感染症研究の専門医というものを、もっとクオリティーを上げるとか、何かプラスアルファのメリットをたくさん付ける。感染症研究に臨床から入ってくる人が、その中でちょっと疑問に思ったことを、基礎研究をここでやろうかとかいう方向に行く方が、より自然かなと思いました。
【岩田主査】  そこは舘田先生、いかがですか。多分、そのとおりだと思いますけれども。
【舘田教授】  ですよね。みんなそうですよね。僕たちだって医学部に入ったとき、研究をやろうなんて絶対思っていないですもんね。医者になってというように、僕は少なくともそう思っていたけれども、たまたま会った先輩の先生に、ある意味、うまくだまされましたよ。しかし、だまされたけれども、すごく面白いなと思って、よかったなと思っているわけですよね。そういう体験で僕たちはやっているんですけれども、今の子たちはちょっと違うのかもしれない。何が違うのか、よく分かりませんけれども。
【俣野委員】  すいません、臨床医の方とかはもう少しリサーチマインドを持ってもらうとか、そういうことは全く意見は同じなんですけれども、ここから今度、一般の方々とか国に発信する際に、MDの方の臨床研究を活性化するメリットは何かということを、もっと分かるように説明した方が。その一番の理由は何かというような、そういうのがないと、社会がなかなか受け入れてくれないというのがあるので、そういうのを是非、日本感染症学会の立場から御説明いただけるといいんですが。
【舘田教授】  そうですね。日本感染症学会として、AMRの問題にしても、日本の創薬の歴史をもって、ビジネスとして成り立たないからといって、それをやめていい問題じゃないし、だから、今までのノウハウがあるし、いろいろな人材であったりリソースがある。それをもっと生かして次に。それは、自分たちは耐性菌が多くないからいいというんじゃなくて、世界のために我々がやっていかなければいけない方向性ですよということでしょうし。
【俣野委員】  いや、おっしゃるとおりだと思うんですけれども、MDじゃない研究者にそれを活性化させるのではなくて、MDの臨床医にそういうのをできるだけ活性化してもらう。ちょっと説明が違うかもしれませんけれども、それを社会に、「やっぱりその方がいいよね」と言ってもらえる説明というのは、どういう説明がいいんでしょうかね。
【舘田教授】  どうなんですかね。結局、感染症領域で日本からノーベル賞が、大村先生もそうですし、大隅先生もそうですし、いろいろなところで、免疫なのかもしれないけれども、出ていたけれども、恐らくこのままいったらというところは、皆さん心配しているわけですよね。それは、基礎研究をやる人が、Nが少なくなってくると、当然確率的にも低くなってくるし、だんだんそこが衰えていっちゃうんじゃないかというところをみんな心配しているから、そこを増やそうとするというのは当然。
【脇田副主査】  ごめんなさい、私が思っているのは、医者というのは教科書があって、診断・診療のガイドラインがあって、ただそれにフォローしてやっているだけの診療ロボットみたいなものだったら、誰でもできるかもしれないけれども、そうじゃなくて、臨床医にしても、きちんと今、目の前にある症例のことをきっと考えて、常に新しい病因・病態のこととか、治療のこととか、診断のことをきちんと考えられる医者を育てなきゃいけないと。そういう意味で、リサーチマインドというのは、常に医者は持っていなきゃいけないということが大事だと私は思っております。
 だから、ただ教科書に書いてあることだけをやるんじゃなくて、新しい教科書を作るために何をやるかということを、みんなで考えていくということが、日本の医療をよくしていくことじゃないかと思っています。
【舘田教授】  そこが、さっき僕がちょっと言ったガイドラインですよね。僕が本当に心配するのは、日本感染症学会の感染症専門医が、感染症のアメリカから出たガイドラインでこうなっているからというので、思考が止まるんですよね。これは問題ですよね。ガイドラインを変えるような、何か新しいことをやっていくのが僕たちの責任なのに、みんなそうなっちゃうというのは、ここが物すごく大きな問題で、何とかしないといけないという思いにつながります。
【岩田主査】  感染症研究の推進の在り方に関する検討会ということで、多分、俣野先生がおっしゃったのは、今日は舘田先生から、臨床医がもうちょっと基礎研究、あるいは臨床研究でもいいと思うんですけれども、そういうものにリサーチマインドを持って取り組んでいけるような仕組みを作っていかなくてはいけないというメッセージだったかと思うんですけれども、そのことに、どういうメリットがあるか。臨床医があえてそういう研究をすることのメリットはどういうところにあるのかというのが、俣野先生の。
【俣野委員】  あると思って聞いているんです。
【岩田主査】  もちろん、あるんです。
【俣野委員】  あるとは思っているんですけれども。
【岩田主査】  なぜということですよね。
【俣野委員】  いや、そうじゃなくて、それを一般の方に。
【舘田教授】  説明をですね。
【俣野委員】  説明して、みんなもそうだと思ってもらった方が、きっといいんじゃないかと思うんですけれども、その説明は意外と難しいですね。本当にそうですかということになるとは思うので、意見ももしかしたら分かれるかもしれないので、だから、何か決定的に、こうですよと言えるものがあるのは、何かないでしょうかということなんですけどね。
【岩田主査】  どうですか、舘田先生。
【舘田教授】  多分、この辺の人たちはみんな分かっているわけですよね。
【岩田主査】  はい、荒川先生。
【荒川委員】  結局、ガイドラインというのは非常に重宝なものなんですけれども、日本から出た論文で、そういったガイドラインに採用されるものがほとんどないという悲しい現実があるんですよね。だから、海外のガイドラインでエビデンスとして引用されるような研究を、どんどん推進していくというところが、当面は1つの目標かなと思うんですよ、臨床の研究としては。
 一方、基礎の研究は、まだ誰も知らない、誰も分からないことを、どんどん掘り下げてやっていかなきゃいけない。だから今は、例えば基礎の研究で、ゲノム解析は誰でもできる時代になったので、片っ端からゲノム解析をしてデータベースに登録している先生もいるんだけれども、それでは新しい遺伝子は見付からないんですよね。やはり、一つ一つの遺伝子がどういうフェノタイプを与えているかをきちっと掘り下げながら、どういうファンクションを持っているかを押さえながらやっていかなきゃいけない。
 だけど、ゲノム解析して、データベースに登録して、既に報告された遺伝子がありましたとか、ありませんでしたとか、そういうレベルの仕事では、基礎の方でも太刀打ちできないので、臨床の研究もそうだけれども、基礎の研究も、もっと深く掘り下げた研究ができるような環境とか体制を、大学、学会、あるいは国として用意していくということをしてもらわないといけないでしょうね。
【岩田主査】  具体的には、例えばどんなことを先生は思い描いていらっしゃいますか。
【荒川委員】  具体的にですか。私は安倍総理じゃないので、硬いことを言ってもあれなんでしょうけれども、それぞれの学問というのはきちんと歴史があって、それで、例えば遺伝子の解析でも、僕らの頃は一つ一つの遺伝子をクローニングして、機能を押さえて、それから先に進めていくという研究をしていましたけれども、今は逆に便利過ぎて、余りにも研究が便利過ぎて、みんな、ざっと横に地びき網でさらうような研究が多いんですけれども、一匹一匹の魚を、この魚は何だとか、この魚は毒があるのか、ないのかとか、そういう研究をなかなかしづらい。だから、地びき網みたいにわっとやってみたら、こういう魚が3匹、こういう魚が10匹、こういう魚が50匹いましたとか、そういう研究は多いんですけれども。
 そういう意味では、大学の基礎研究室あるいは国立感染症研究所みたいな研究オンリーのところは、一番の研究を狙って、2匹目、3匹目の仕事は、誰かほかの人にやってもらえばいいので、とにかく1匹目の魚を釣り上げるという研究がもっとできるように、やっていく必要があるかなと思うんですよね。
 学会としては、非常に著しい研究をやっている人に対しては、きちんと学会として評価する。今でもいろいろな賞がありますけれども、非常に注目されているとか、引用されているとか、そういう研究をやった人には、ちゃんとそれなりの日本の感染症学会とか細菌学会とかそういうもので、若いうちに。年を食って定年になる間際に賞を上げても仕方がないので、若いうちに賞というか、エンカレッジする賞をたくさん用意して、今はそんなに多くないでしょう。だから、それをもうちょっと増やすとか。
 あと、国としても、いろいろな研究費の採択をするときに、どうしても若い人の面白いアイデアというのは、実際にパブリケーションのリストの数が少ないとか、あるいは、本当にこれがうまくいくのかどうか分からないというところがあって、どうしてもある程度、実績のある先生のところに予算というか、研究費が付きやすい体質になっているんですけれども、これまであった萌芽みたいなやつもそうですが、新しい芽を伸ばしていけるような研究課題を、若手の研究、若手(A)とかそういうものでもいいと思うんですけれども、もうちょっと手厚くしていって、功成り名を遂げたという人たちの研究費は多少削ってでも、そういうことを言うと叱られるかもしれませんけれども、もう少し若い人たちに厚い研究費を配分していくという調整が必要かなという気がしますね。
【石井委員】  よろしいですか。これはJ-GRIDとJ-PRIDEの次の予算のための議論の糧となるために、舘田先生のスライドを利用させていただくと、また算数に戻るんですが、感染症って、僕の若い時代は終わった学問だと思われていて、特にそれに入ろうとも、専門にしようともする医師が少なかった状況でしたのが、今は逆にブームになり、いろいろな感染症の重要性、それから感染症が撲滅してなくなるものではない、共生していく生き物で、それもたくさんの病原体が世界中に散らばっているという状況が理解されている上で、優秀な医師の感染症に興味がある方々を、基礎研究に来ていただくというか、興味を持っていただくためのインセンティブは何かということが必要だと。
 私自身が今、基礎研究に戻った人間として、若い人と話すと、医師からそちらに行くのに制度上のパスウエーがない。それから、金銭的なインセンティブが非常に低い。だから、医師からすると基礎研究に、臨床をやめて学位を取りに4年、5年行くというのは、ほとんど出家するようなもので、出家すれば、たとえば私自身のときは、(基礎)研究は何でも好きなことができるという自由度というのが高かったんですけれども、今は全てが報告書やマイルストーンとか、そういうところに縛られているというところが問題で、医師が来ないのではと考えます。
 制度上と金銭的なインセンティブを、例えば学位を取ったら、欧米、特に米では給料がそれに応じてかなり高額になるとか、そういう分かりやすいインセンティブがあればいいのではと感じます。また、1980年代に3,000人規模だった日本感染症学会員数が、今は1万1,000人いるわけですよね。この方々が感染症の基礎研究に興味ないわけはないわけで、こういう方たちがどうやって基礎研究の教室に配属されたり、臨床検体を持ってきたりするというシステムをそろえることが、我々の義務であり、そのための予算は、J-GRIDとかJ-PRIDEで算定、若しくはプランを立てることが非常に重要じゃないかなとおもいます。
 もう一点、J-GRIDでは、これは今日、議論にのらなかったですけれども、感染症はボーダーレスであるという観点に立った場合に、なぜ日本のガイドラインが世界に普及しないかというと、その情報とかデータとかが英語になっていないんですね。これが全ての共通言語でデータベースが語れなければ、日本はまたデータベースを作ってもガラパゴス化してしまって、外に発信しないということであれば、世界中に拠点があるJ-GRIDが、共通言語が日本語であればいいですけれども、そうじゃない今、英語でこのレポートとかディスカッションが発信されない限り、いつまでたっても日本がこれをリードするということにはならないだろうと感じました。
 以上です。
【岩田主査】  貴重な御意見をありがとうございます。
【味戸委員】  先ほどの俣野先生の御質問ですが、お医者様方だけの御研究ですと、ある意味、皆様同じ環境だと思うのですけれども、メーカーと医師の先生方との共同研究、また論文執筆準備を考えますと、論文が出るような研究をやっている訳ですから、当然スピードが勝負なのですけれども、そのメンバーの中に臨床の先生がいらっしゃるのといらっしゃらないのとで、インフォメーションのフィードバックのスピードが我々にとって全く違っています。ですから、こういう点でも、臨床の先生が入ってきてくださるというのは、スピードという点でまずは違うのではないかというのが1つ目です。
 もう一つは、これは創薬研究ですとあてはまらないのですけれども、市販薬の関係の研究ですと、研究の結果、1つの流れが出たとします。そうしますと、臨床の先生が入っていてくださいますと、その研究から出た成果を、すぐにまたフィードバックしてもらえるのですが、我々だけでやっていても、なかなかそのフィードバックが実際にはできなくて、もう一段階、次のハードルがあると感じています。以上のように2つぐらい難しさがあると思っております。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 俣野先生、何か数学的に。
【佐藤委員】  ちょっとよろしいですか。すいません。私は理学部出身で、全く臨床研究じゃないということで、その立場からのコメントを申し上げます。なかなか基礎研究に臨床の方が入ってこないというのが、今に始まった問題だとすると、制度の問題じゃないかと思います。それで、先ほど何人かの先生がおっしゃったように、制度を見直さないと、そういう傾向は止まらないのかなと。
 それから、俣野先生がおっしゃったような国民に説明していくという部分というのは、私は医者ではない立場から見たときに、感染症をコントロールするというのは誰でも大事だと、国民の方は皆さん思っていると思います。そのときに、感染症そのもの、それから病原体のことをきちんと理解した上で、整理をしていくというのは、これも大多数の方が納得できるんじゃないかと思います。その意味で、そういう部分をきちんと作っていく基礎研究というのは大事であるというのは、別に一般の方々はそういう形で了承されると思うんですね。
 あとは、さっき言った制度の問題かなと思います。私自身はこの研究フィールドに、全くもって興味・好奇心から入ってきました。ただ、それをやればやるほど、やはり感染現象に興味を持ちました。細胞レベルでの感染とか複製の機構、個体レベルでの宿主との相互作用、病態の発症、集団レベルでの感染症の流行、そういったものを考えようとしていくときに、やはり臨床の先生方、サーベイランスの先生方と一緒にやることは、必然的な流れになっております。
【舘田教授】  これ、いいですか。制度ですよね。だから、そのときに、これは行政の持っているお金を最先端の研究にやるというやり方、それがJ-PRIDEとか、そういうやり方もあるし、裾野を広げるための制度というところで、先生がおっしゃったようなやり方で、学位なり研究なりというところに、広くそういうふうにやる。両方とも多分必要なんじゃないかなと思うわけですけれども、どっちかというと、最先端のところという形になっていますよね。なりがち。その方が分かりやすいし、ある意味、業績があるし。
 だから、当たるか当たらないか分からないし、どこまでつなげるかどうか分からないようなところに、ある意味、ばらまきになっても、それもちょっと効率もよくないかもしれないし、しかしそれは長い目で見れば、そういうふうに裾野を広げるということは大事なんじゃないか。どういうバランスの中でそれをやっていくのかというところを、少し考えてもいいんじゃないかなと思います。
【岩田主査】  以前、J-PRIDEに持っていくときの議論の中では、感染症研究に携わる人材を育成していくという話がたしかあって、実際には、長崎大学のBSL-4のところでの人材育成という形になってしまいました。J-PRIDEとしては先端研究の方に、そこは若い人もたくさん入っていると思うのですけれども、予算を付けたという形になって、それはそれで、またある程度継続されるんだと思うのですけれども、その中に、以前に話題に上ったような感染症研究に入ってくる人を増やせるような仕組みに予算を付けるとか、そういうことがあってもいいのかなと。そういうことでしょうか。どうぞ。
【石川委員】  岩田先生の御意見に近いんですけれども、一応、舘田先生は日本の感染症研究の施策に期待したい方向性として、11ページにきれいにおまとめいただいて、私はこれを拝見して正に思ったのは、3番目に書いていますけれども、基礎研究も含めて入っていくためには、症例の中の真実、疑問、ここが原点だと思うんですね。
 こういったものにたどり着けるように、どうしたらそういう研究者が増えるかということなんですけれども、J-PRIDEのときですか、話したかと思いますけれども、基本的に、感染症に対する知識、啓蒙は確かにできているということで、学会員も増えているようですけれども、基本的に医学の今の感染症の教育というのは、私は十分存じ上げませんけれども、その辺をもう少し、歴史も含めて、詳細に興味が持てるような教育というのも必要ではないかなと間接的には聞いております。
 例えば、既に天然痘なんかは撲滅されているということで、一切そういうのは教科書の中に出てこないという教育もあるやに聞いていますし、正に岩田先生がおっしゃったように、そういうベースを、マスコミも含めながら啓蒙していくのが大事かなとは思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 舘田先生、何かございますか。
【舘田教授】  学部教育も含めて、確かに僕も反省するところはあるなと思います。その魅力を伝え切っていないからなのかもしれないなと思います。そこは僕たちがもっと真摯に反省しながら、やっていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
【岩田主査】  予定の時間を少し過ぎているのですけれども、もしほかにもっと舘田先生の今日のお話に対して議論したい点があれば、是非おっしゃっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。よろしいですか。また何か気が付いたら、少し戻っていただいてもいいとは思いますが。
 そうしましたら、舘田先生からのお話に関する議論は、一応ここで一段落ということにさせていただいて、次の議題に進みたいと思います。舘田先生には、今日は最後まで引き続き御出席いただけるということですので、この後の議論にも、もちろん御参加いただければと思います。
 それでは、次は資料2-1になるのかな。これについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【岩﨑企画官】  それでは、資料2-1を御準備ください。よろしいでしょうか。第1回の検討会におきまして、石井委員により、海外の研究ファンドについて、少し情報収集した方がいいんじゃないかという御意見を頂きましたので、今般、厚生労働省とGHITファンドの担当者に話を伺ってきましたので、その御報告をさせていただきます。
 ページをお進みください。最初に、感染症流行対策イノベーション連合、CEPIについて御説明いたします。CEPIは、感染症流行に備えまして、コマーシャルベースで乗りにくい、乗るのが難しい感染症のワクチンを開発するために、国際連携を促進することを目的として設立されました。日本をはじめとしたドナー各国と慈善団体からの拠出金を基といたしまして、ワクチンの開発資金を援助しております。
 支援の対象ですけれども、クリミア・コンゴ出血熱やエボラ出血熱などのWHOのブループリントに基づく10の疾患に対するワクチン研究開発の第2相試験までを援助しております。発足以来の公募状況は、記載のとおりでございます。
 続きまして、ページをお進みください。次に、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金、ファンドについて御説明いたします。GHITファンドは、日本が有する新薬開発技術を活用しまして、日本の国際貢献を強化するとともに、感染症に苦しむ途上国の保健医療問題を解決することを目的といたしまして、日本政府が創立した国際的な官民パートナーシップでございます。政府と国内製薬企業等からの拠出金を原資といたしまして、マラリア、結核、NTDsを対象として、探索研究から臨床試験まで、幅広く開発途上国に対する医薬品を開発する目的として、助成を行っております。
 特徴といたしましては、日本の企業・大学と海外の企業・大学とのパートナーシップが前提となっている点、それから、プライベートセクターのようにマイルストーンを設定して進捗管理を行っている点でございます。2013年から2017年度の助成の実績は、下段に記載のとおりでございます。先日来、御意見を頂いておりますとおり、安定的な国際拠点の継続や研究の推進におきましては、このような研究ファンドを活用していくことが考えられております。
 事務局からは以上でございます。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 これまでの検討会の議論の中で、こういう国際的な研究ファンドというものを活用できないかという御意見が、たしか石井先生からでしたかございまして、それで今回、実際にどういった仕組みがあるのかということについて、2つの仕組みについて説明していただいたということでございます。先生方から今の御説明に関しまして、何か御質問とかコメントはございますか。
 石井先生、何か。
【石井委員】  よろしいですか。まず、これを調査いただいて、ありがとうございました。
 CEPIの方ですけれども、今回この検討会で検討している主題でありますJ-PRIDEのBSL-4の長崎大学の施設が、そのBSL-4を使う感染症は何かといったときに、突然世界のどこかで起こるような特殊な感染症に対するワクチンの開発を、CEPIはサポートしていまして、かなりの額が短期間で強力に開発できるようなシステムを、いろいろなPDP、つまり実際にワクチンを作れるNPOや団体と組んで、かなり戦略的にそれを進めていらっしゃいます。
 我々もBSL-4が長崎大学、それから国立感染症研究所にもあって、これからできるという状況で、これに応じて何か感染症をフォーカスするなり、病原体にフォーカスを置くなり、それから感染症対策上重要なものをこれと比較しながら、日本でもどのような協力若しくは対応ができるかということを、連携して、若しくは競合することも念頭に置いて、しっかりここを調査してフォローしていくべきだと考えました。
 それからGHITファンドの方も、これも日本の予算が入っている上に、日本人の特にアカデミアの先生方がかなり参画されている事業でありまして、ここでどのようなことが研究として行われているか、若しくは開発として行われているかというのは、J-PRIDEではなくて、今度はJ-GRIDの方で、情報として共有されるべきだと思いますし、いいものがあれば、お金がないとよく言う議論の中で、こういった2つの多額の、それもプロ集団で開発が進むというところを出口戦略として、1つのグラント、予算で全てを包括して、最初から最後まで面倒を見るという時代はもう終わっていますので、こういうところに導出できるようなシステム作りといいますか、少なくとも情報共有が非常に重要だと思いました。
 以上です。
【岩田主査】  ありがとうございます。ワクチン関連の話題が結構含まれていますけれども、石川先生、何かございますか。
【石川委員】  私は、この検討会に出させていただいてつくづく思うのは、基本的に、感染症を解析するに当たっては病原体の側、宿主の側で解析を進めていく中に、治療薬なりワクチンが発展していくんだと思うんですけれども、これまで議論していますように、疫学情報というのが、J-GRIDも含めて流行地でないと取れないデータがたくさんあるわけですから、その辺のデータはかなりデータベースがちゃんとできてきつつあると承っていますけれども、以前もありましたように、そこに臨床のデータが入っていったり、基本的には将来的な治療薬、ワクチンを想定したときに、安全性は評価できるとしても、有効性をどう評価していくかというのが、今後製品開発のためには一番重要ではないかなと思います。
 そういった中で、将来、それを評価するためのサロゲートになるような、何が効くから発症が防げるということを突き詰めていくようなデータベースの構築、あるいは活用の仕方というのが必要かなと思います。
【岩田主査】  具体的には、J-GRIDとかJ-PRIDEで実施いることと、そこを結び付けるとしたら、どんなところになりますでしょうか。
【石川委員】  例えば、1つはインフルエンザがテーマであれば、世界的にJ-GRIDでやられている拠点の中で、インターナショナルにインフルエンザの解析をするとか、あるいはデングですと、具体的に言いますと、過去から言われていますけれども、病態と遺伝子の関係は本当にどうなっているのかというのが、いまだに結論には至っていないなという気もしますし、なおかつデングの場合、重症化する場合のDHFになるのは、果たしてそれは、ADEと言われていますけれども、どの抗体がどう作用して重症化につながっているのか、その辺は現場でなければ分からない症例がたくさんあると思いますので、その辺をデータベース化していって活用できれば、いい方向に進んでいけるのではないかと思います。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。俣野先生、何かございますか。
【俣野委員】  いや、すいません。資料を用意していただいて、これは別にここで議論する必要は全然ないんですけれども、情報として確認しておきたいんですが、1つは、多分ウェルカム・トラストは両方に出していると思うんですけれども、片方にしか書いていなくて、事情がよく分からないのと、あと、こういうのって日本と、外務省から直接行くんじゃないかと思うんですけれども、厚生労働省が拠出とかいう記載は、CEPIとかGHITファンドって、みんな厚生労働省の方が非常に関与されているのは存じているんですけれども、拠出自体は多分、国がしているという考えでいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
【岩田主査】  じゃあ、事務局からお願いします。
【田邉係長】  CEPIに関しましては、厚生労働省から拠出されていると聞いております。
【俣野委員】  そうですか。
【田邉係長】  GHITファンドに関しましても、直接ではないのですけれども、UNDPを介して、外務省と厚生労働省から拠出されていると聞いております。
【岩田主査】  よろしいですか。
【俣野委員】  ウェルカム・トラストは、多分かなりGHITファンドも入っていると思うんですけれども。
【田邉係長】  恐らく資料上の漏れであり、GHITファンドの方は、今ここに記載のある外務省、厚生労働省、ビル&メリンダ・ゲイツ財団だけではなくて、ほかからの拠出も入っていると聞いております。すいません、私の記憶ではすぐ出てこないのですけれども、ウェルカム・トラスト等も入っていたかと思います。
【岩田主査】  ほかに何か御質問とかはございますか。
【田邉係長】  すいません、ウェルカム・トラストは入っているということが確認できました。
【岩田主査】  CEPIの方は、日本の方も公募で採択されている方はいらっしゃるんですか。
【田邉係長】  はい。先日報道解禁されていると思いますが、東京大学医学研究所の甲斐先生がニパウイルスの研究で獲得されています。
【岩田主査】  多分、途中からの導出先としてということですよね。そうではなくて、もっと早くからこういうものを導入した方がいいのではないかということでしょうか。
【石井委員】  ええ。J-GRIDのときに議論になったと思うんですけれども、一番最初にJ-GRIDではいろいろな病原体を、いろいろな世界中のところから、集めるという言い方は語弊があるかもしれませんが、題材にして研究するというのがポイントであり、その後、病原体が絞られましたけれども、要は感染症がボーダーレスに、どこから何が出てくるか分からないという状況を想定して、それに対して、多分CEPIは目標としては、数十の感染症のワクチンをもともと用意して作っておこうという。ニパなんていうのは、多分どこでいつかかるか分からないですけれども、甲斐先生が今回それで開発のための資金を取られたということになります。それはまず1つ、J-GRIDとして非常に重要だと。
 あと、感染症研究としては、三大感染症であるマラリア、結核、HIVと、それ以外のNeglected Diseaseといったものを、ここでGHITファンドの2番目の目的の右の赤に書いてある「購入しやすい価格」で届けると。いわゆる公衆衛生の一環として、これは利益と関わらず、医療として届けるということを目標にしていますので、ここは多分、我々と目標と目的は非常に合致して、特に、導出すると企業が営利目的に物を進めるということで、我々と目的が合致しない場合が時々あるんですけれども、今回の場合にはそれが全くないということで、導出先と連携して、情報を共有して。
 つまり、何が言いたいかというと、新しい病原体を見付けましたとか、ワクチンのターゲットを見付けましたというのは、本当に基礎研究の最初の端なんですが、そこから一気にワクチンまで、数年で持っていくシステムがここにあるということで、AMEDをスキップしたらまた怒られそうですけれども、AMEDも一緒になって、GHITファンドとCEPIと連携してできるはずですので、そこは重要な制度上のポイントだと思います。
【俣野委員】  あと、補足ですけれども、CEPIはかなり先っぽというか、本当の臨床試験のところという形をあれにしているので、かなりそれの手前から取ろうと思うと、それなりにきっちり説得するものがないと、なかなか厳しいと思いますけれども、額としては、多分CEPIの方がかなり大きい。だから、臨床試験までちゃんとやる。フェーズ2ぐらいまで行くんですよね。
【石井委員】  フェーズ2を終わらせるのが目的です。
【俣野委員】  だから、割と基礎的な部分は余りない形で、GHITファンドは最近、探索研究とかも付くようになって、いろいろな段階のものがあるんですけれども、額的にはCEPIと比べると、先っぽに行ったやつは別ですけれども。それと、両方ともそれなりに対象疾患を限ったりしているので、そこはちょっと難しいかもしれない。
 GHITファンドは先ほど説明があったとおり、必ず海外の、GHITファンドの取り柄はパートナーにもちゃんとお金が行くシステムでできるということ。CEPIもそうですけれども、そこが取り柄は取り柄だと思います。
【岩田主査】  追加のコメント、ありがとうございます。こういった形も利用しようということを書き込んでいくということですよね。
【石井委員】  そうです。J-GRIDの拠点、それからJ-PRIDEのBSL-4施設というのが、このグローバルファンドとつなげるキーワードになっています。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 こちらについては、ほかによろしいですか。企業の観点からは特によろしいですか。
【味戸委員】  今のお話の中にもあったかもしれないのですけれども、この2つの活動から実際にお金が出ている具体的な疾患を拝見しますと、今、先生がまとめて下さった通りで、いわゆるAMR関係がむしろ少ないですよね。そこが問題というほどではないのですけれども、これから何の疾患に関して、どこと組んでいくかというときに、考えるべきことと思っております。
【岩田主査】  AMR関係もターゲットには入っているんですか。
【石井委員】  入っていないです。
【岩田主査】  入っていないんですか。
【俣野委員】  マラリアは、今、動いているやつは入っていますけれども、もう新たな募集はないですね。
【岩田主査】  それでは、こちらはよろしいですか。一応、御説明いただいたということで、またどういう形で入れ込むかは、これから考えたいと思います。
 それでは続いて、次の資料に進みたいと思います。資料2-2になるかと思いますけれども、まず事務局から御説明をお願いします。
【岩﨑企画官】  それでは、資料2-2を御準備ください。これまでの検討会における議論や、J-GRID、J-PRIDEの暫定的事後評価、中間評価につきましては、参考資料1、2、3としてお付けしておりますが、本日はこれらを踏まえました取りまとめの骨子案を事務局で作成いたしました。
 取りまとめの構成でございますけれども、最初に事実関係として、研究推進の現状や、J-GRID、J-PRIDEの成果と、明らかになった課題を挙げております。
 次に、今後の感染症研究推進の在り方についてで、事業の目的、中長期的な目標、推進すべき基礎的研究、研究成果の実用化やそのほかの社会還元に向けて必要な措置・取組、国内研究者の育成、他事業との連携を項目立てしております。特に検討会において御指摘いただきました点や御意見は、下線を引いてございます。
 今後はこの骨子に基づき、肉付けをしていく形で報告書を取りまとめていくことになりますけれども、本日は本骨子案について御意見を頂ければと思っております。
【岩田主査】  ありがとうございました。これまでのいろいろな議論を踏まえて、取りまとめをしていかなくてはいけないのですが、それの骨子案ということで、主に項目立てでしょうか、こちらを今日は御紹介いただきました。
 すごく細かいところまでは、もちろん今日は決める必要はないということだと思うのですけれども、こういった形の骨子案でいいかどうか、特に下線の部分とかはこれでいいのかとか、もっと加えておきたいものが必要かというのを、今日の議論の中で、お伺いしておきたいということだと思うのですけれども、いかがでしょうね。何か御意見あればお願いします。
【俣野委員】  感染症研究の推進とか課題とか、その中で一番、まず感染症研究の目的とか課題が何かというのを、もう少ししっかり大きく構えた方がいいのではないかと思うんです。つまり、ここに書いてあることって、ちょっと中期的な視点で、基本的に短期的視点で脅威となる感染症に備えるとか、感染症対策とか、なぜ感染症の研究が重要かというのをもっと大きく構えて、簡単に言うと、生物の進化において、微生物と感染症って物すごく影響を与えてきて、その相互作用で生物は進化してきて、人類もそういう状況にあるけれども、人類自体はそれに対してある程度、感染症に対して対策を取るから、人類が感染症によって取捨選択されなくなってきているわけですね。そこをうまくやりながら共生していくみたいなことも含めて、未来に向けてどうやってやっていくかということになると思うんです。
 そうすると、いろいろな社会の進歩で、グローバル化も含めて、いろいろな活動がどういうふうに感染症に影響するかとか、そういうのを含めて、そういうことをちゃんと分かるには、感染症という学問をしっかり分かっておかないと、そういうものに対応できないというような、感染症の学問の重要性をしっかり、なぜやるかという課題をもっと大きくしっかり書いて、その中で、例えば現代の感染症の対策を取るためにどうすべきかと、未来予測みたいなものをどうするかというのに分けて、個別のを書くというふうにしないと、すごく小さく構えているように思うんですけれども、いかがでしょうか。
【岩田主査】  各論的な内容だけになってしまいます。
【俣野委員】  はい。
【岩田主査】  そうすると、最初の方にそういった形、ここでいうと「はじめに」のところに背景とかありますけれども、それをもう少し大きく捉えて。
【俣野委員】  何か一言、二、三行でいいから、まずこういうことが基本で、そのために以下のようなという形にすべきだと。せっかく感染症研究の在り方ということをやるのであれば。
【岩田主査】  感染症とはというところから始まってということになりますね。研究の必要性のようなことについて、それを大きく捉える。
【俣野委員】  はい。感染症研究の課題とは何かというのを、二、三行でびしっと書いた方がいいかと思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 ほかには何か、今日この場で話しておきたいことがあれば、お聞きしますけれども。
 荒川先生、どうぞ。
【荒川委員】  今回の取りまとめは、飽くまでも文部科学省の守備範囲というか、視点の範囲での取りまとめになるのか、もうちょっと文部科学省や厚生労働省や農林水産省とか、いろいろなところが感染症に絡む省庁として存在するんですけれども、そういうところも含めた全体的な、グローバルな感じの取りまとめで、その中でJ-GRIDとかJ-PRIDEがどういう役目を果たしてきているのかとかいう話にまとめていくのか。それによってちょっとずつ、検討の背景とか、健康医療戦略や関連事業の概要とか、それの書きっぷりが変わってくるかなという気がするんですけれども、いかがでしょう。
【田邉係長】  すいません、最終的に、基本的には文部科学省の事業の今後の方向性ということになりますので、内容としては、J-GRID、J-PRIDEをこれまで進めてまいりましたことを踏まえて今後、もちろん背景としては、グローバルな感染症の対策が必要だということは当然ありますけれども、この取りまとめの中で軸になってくるところは、文部科学省の研究事業として何をやっていくのかというところになろうかと考えております。
【石井委員】  よろしいですか。せっかく俣野先生が大きく出ていただいたら、また細かいデマケとか、専門用語の話になってしまうかもしれませんが、でも、これはJ-GRIDとJ-PRIDEがある程度の評価を持って、継続若しくは発展させるべきというところから、この研究を、つまり無から来ているわけではないので、それをどのようにして、少なめの予算で、あるものを壊さず生かしていくというのは、どのようにしたらいいかという議論をさせていただきたい。
【岩田主査】  そうですね。
【石井委員】  そうすると、やはりキーワードとしては、グローバルでボーダーレスなところに世界の拠点を文部科学省として、J-GRIDとして持っていると。これをいかに生かすべきかというところのイントロから、細かい分け方をするのが多分ベストでしょうし、あとは、逆にそういうネットのように、いろいろな感染症や病原体をひっかけながらも、最先端の研究をしている感染症の研究もサポートしていますと。これが多分、文部科学省の次の一番の売りで、それがJ-PRIDEで、非常に若手のいい、それもぴかぴかのサイエンスが、どこに行くかは分からないけれども、研究者を集めました。これをどのようにしてつないで、次の発展形に持っていくかということが、これは感染症研究全体から見ると、すぽっと収まるところはないのかもしれませんけれども、前提としてはそういうところになるんじゃないかと思います。
 だから、これですと、関連事業のところをもう少し、概要というところが、そこと何が違うかと何がかぶっているかが、逆に分かるようになれば、あとが書きやすくなると思います。
【岩田主査】  何か事務局から、今のコメントについて何かありますか。よろしいですか。
【吉田戦略官】  補足なんですけれども、今、今後の事業概要についての御意見を頂いたところですが、もう一つ我々として気にしているのは、健康医療戦略が今、改定時期を迎えていて、次の健康医療戦略が、内閣官房を中心に議論が始まっているのですけれども、今、我々の方で聞いている感じですと、今は9プロジェクトという形で分かれているのですが、それを再編し直していこうと考えているようです。その1つのキーワードになっているのが、いわゆるモダリティ別ということで、医薬品、創薬、医療機器開発とか、あるいは研究基盤という形で、幾つかそういったものを立ててやっていこうということを、考えているようなことを聞いております。
 当然これから、この感染症の事業を我々も予算を獲得していかなければいけないので、ここでまとめていただいている報告書が、そのための材料にならなければいけないのですが、ちょうど正に今、政府全体の健康医療戦略の見直しの時期と重なっているので、そちらの動きも見ながら、我々もどういう方向性がいいのかというのを考えていかなければいけないと考えております。
 特に感染症の部分については、我々文部科学省のスタンス、立場では、当然基礎研究を中心に、どうやって感染症の研究を幅広く進めていくかというところと、海外の拠点をしっかり、どうやって活用していくのかというところが大きなポイントだと思うんですが、その辺りの研究基盤作りとか、創薬という大きな柱が立ったときに、その中にどういうふうに位置付けていくのかということも、もう少し我々も情報収集して、この会議で可能な範囲で情報提供をしながら、御意見を頂き、まとめていければと思っているところでございますが、そうした動きも見据えながら御議論をしていただけると有り難いと思っております。
【岩田主査】  ありがとうございます。教育に関する研究というのは、前からいろいろ話題にはなってくるのですけれども、余りこの中には含めにくいテーマなのでしょうか。
【吉田戦略官】  ここの場は、先ほど申し上げましたとおり、ツールとして研究ファンドを使わざるを得ないということがありますので、そのファンドの中でどういったものが実現できるのかが、まずはミッションだと思っています。
 ただ、その中で、先ほどから御議論いただいているように、どうやって若手を引き寄せるようなファンディングの仕方があり得るのかということは、手法としては非常に大事なところだと思いますので、そうしたところをどういうふうに工夫していくのかということをこの中に書き込んでいくことは非常に大事だと思っています。
 あと、もう一つ、これは単なる参考情報としてお聞きいただければと思うのですが、研究力向上というのは非常に大事だと思っていまして、今、省内でもタスクフォースを作っていまして、そこでも若手の研究者をどうやって育てていくのかという、これはもちろん医療分野だけではないのですけれども、議論がされていて、間もなく出ると思うのですけれども、そういう部分になっております。
 それは、大学の改革も当然必要になりますので、大学院を含めて、その辺りをどうしていくのか。それから、研究費、研究環境、人材育成といったところをどういうふうに連携させて、研究全体を活性化させていくのかというところを議論しているので、それは大きな議論としてされています。正に議論いただいたようなところと関連するところはありますので、そうした動きは、この報告書の中にも少し関連情報として入れ込んでいくことはできるのではないかなと思っています。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 ほかには何か御意見。
【味戸委員】  よろしいでしょうか。
【岩田主査】  どうぞ。
【味戸委員】  まとめてくださって、ありがとうございます。下のページに、出口の考え方というところがありますが、我々ぐらいの中規模の会社ですと、出口を考えるのはすごく大事です。これまでの議論の中にもありましたとおり、なかなか感染症で、特に耐性菌という問題になってきますと、海外を無視してはおけないということで、「海外マルチへの導出」ということが1つのキーワードになってくると思います。というのは、事業採算性が難しいので、大きい会社でないとできないと思いますし、また、そのくらい大きい会社でも、実はどこかからバジェットを得ているというのが実情ですね。
 それからもう一つは、下線が引いていないので、ここで申し上げるべきかどうか分からないのですけれども、前々回の神田先生の話にもあったと思うのですが、2ページ目の頭の方の「人材」というところで、幾つかのコラボしていく研究者の方々の分野が書かれていると思います。1つ提案があります。これからのサイエンスに重要だと思うので、薬物をデザインする研究者を追加していただけないでしょうか。そういう研究者の育成もすごく重要だと考えています。
 以上です。
【岩田主査】  貴重な御意見をありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょう。どうぞ。
【荒川委員】  最後の2ページ目の「まとめ」の1つ上の、他事業等との連携について。これは要するに、文部科学省以外のほかの省庁の感染症対策、感染症研究に関する事業との連携という理解でよろしいですか。分かりました。
【岩田主査】  ほかには、何かここでお気付きの点等あれば、お伺いしていきたいと思いますけれども。重点疾患の設定とか、その辺はいかがですか。これまでも御意見は出たので、それを入れ込んでいけばいいのかなと思いますけれども。
【佐藤委員】  すいません。
【岩田主査】  どうぞ。
【佐藤委員】  文部科学省の方に教えていただきたいんですが、「中長期的な目標(5年後、10年後)」についてお尋ねします。これの辺りは、国としてはどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。
【田邉係長】  すいません、この骨子にこうしたところを書かせていただいている意図といたしましては、今、私の方からこういうビジョンがあるというのは申し上げられないのですけれども、今後の事業としてなにを目指すのかという中で、例えば5年後、10年後というときに、どのようなことを目標としていくことが必要なのかというところを、少し具体的に掘この中で議論していただければと思い、記載させていただいたところです。
【岩田主査】  この点に関しては、特に今までの検討会では議論していないですね。これから議論する項目ということでしょうか。
【田邉係長】  そうですね。そのように考えております。
【岩田主査】  ほかには何か、項目立て、大枠についてでも結構なんですけれども、余り細かいところは、ちょっと今日は議論できないかなと思うんですが、お気付きの点はございますか。
 舘田先生、何かありますか。せっかく今日はいらっしゃっていただいたので。
【舘田教授】  ありがとうございます。先生方の議論を聞いていないから分からないんですけれども、たしかJ-GRIDの反省会のときに、幾つか意見が出たのを僕は覚えているんですけれども、それぞれの地域で、同じ病原体でやっていたじゃないですか。インフルエンザなり、AMRなり。そのそれぞれ別々の地域で、同じ病原体をやることによって初めて見えてくることは何なのかという、そういうまとめ方というのは、ここに出てくるんですよね。そういう解析の仕方がですよ。
 同じものを見ることによって初めて見えてきたのは何なのかという、統合的な解析の仕方というのは、当然あるということの理解と、もう一つ、あのとき僕が覚えているのは、ゲノムのデータベース化は当たり前と。どこかに登録して、できましたという形で終わるんじゃなくて、登録したデータベースがどれだけ広く使われたのかということを評価していくような方向性があってもいいんじゃないかということが、たしか出ましたよね。そういうのを具体的に、登録して終わりじゃなくて、本当にそれが広く使われるような仕組みをやっていくという方向性は大事なのかなと思います。
【田邉係長】  今頂いた2つの点に関しまして、まず1点目についてですが、資料上「推進すべき基礎的研究」の中で、J-GRIDをイメージして書かせていただいている「海外の感染症流行地に常駐して実施する研究」部分ですけれども、その中で2つ目の中項目として、「複数地域での共同研究」ということを挙げさせていただいております。これは、舘田先生がおっしゃられたことも念頭に置いて書いている部分です。
【舘田教授】  そうですか。ありがとうございます。
【田邉係長】  もう1点に関しまして、「ゲノムデータベースの構築の方向性」というところも、項目として入れさせていただいております。ここの問題意識としては、現在、情報が貯められてきておりますけれども、実際に活用するデータベースとしては、どういうふうに考えていくことが必要なのかということを念頭に置いて、記載させていただいております。
【岩田主査】  例えば、さっきの病原性と宿主の関係とかいうところも、なかなか今、ゲノムレベルでそういうことは、感染症では余り分かっていないところも多かったりするので、そういう研究なんかも面白いのかななどと思ったりしています。
【石井委員】  感染症のインターベンションとか治療においては、今はもうホストをターゲットとするという方に、ウイルスだけじゃなくて、細菌、寄生虫もシフトしていますので、研究の内容の方向性としては、そういうことをここに記載するのはいいことというか、方向性としては間違っていないと思います。
 ただ逆に、予算額を知ってしまっている私としては、何でもかんでもここに、特に基盤とかデータベースとか拠点とか、聞こえはいいんですけれども、この額では私はできないと見込んでいます。特に、データベースもゲノムと書く時代はもう終わっていて、いわゆる情報共有と、それから個別化、つまりホストの関係もあるので、そういうところにどう対応するかというアルゴリズムの方が大事で、拠点を作って人を集めたり、ばらばらにいろいろなところにお金をまいてみても、この額では多分、有効なペイバックが来ない投資になってしまうリスクが高いので、逆にインフラがあるという条件で、そこに何をアドオンすれば最大限の、利益という言葉はちょっと語弊があって、成果が得られるかというところは、やはりキーワードとして、そういうキーワードをちりばめた方が、私としては感染症研究の在り方からすると、ちょっとテクニカルになってしまうと思うんですけれども、そこは重要なポイントだと思います。
【俣野委員】  いいですか。今おっしゃったこととも関係するんですけれども、感染症研究推進の在り方という項目をせっかく作ってあるので、この事業に限らず、全体のことをまず書いて、その中でこういうことをやっていく必要があるというのをリストアップして、その中で、まずこれとこれをやるために、J-PRIDEとJ-GRIDがあるというような書き方をして、ほかにも、これだけのことをまだできないけれども、これは次だよというのを書いておいていいと思うんですけどね。
 だから、まず感染症研究全体のことを、私は書いていただいた方がいいんじゃないかと思います。
【岩田主査】  項目4のところにということでしょうか。
【俣野委員】  どこに割くかはお任せしますけれども。
【岩田主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【宮川課長】  後で事務的に文部科学省の方ともお話したらいいのかもしれないですが、2ページ目の最後の辺りに丸が3つございまして、社会への還元と研究者の育成についてというところで、支援体制に必要なこととかというのが2か所ございます。
 AMEDができて4年余りですけれども、J-GRID、J-PRIDEも、AMEDでいろいろと工夫をしてやってきたわけですが、研究の在り方で、特に研究を支援するということであれば、特にAMEDでこういうところで工夫をするべきだとか、例えば社会に導出するのに当たっても、いろいろと工夫が必要なわけです。単にお金の問題ではなくて。
 ですから、そういう観点で、例えばこの検討会の中で、AMEDの役割として、特にJ-GRIDやJ-PRIDEのような事業の後継として考えられるような研究事業において、AMEDがどんな役割を担うべきなのかという部分を、これまでのやり方はまだ4年余りしか経験がないわけですけれども、そういう点についても、もし御意見が頂けるのであれば、大変参考になるのかなと思います。
【岩田主査】  ありがとうございました。またその辺は、今後の議論の中で、是非検討させていただければと思います。
 そうしたら、あとはよろしいですか。脇田先生、何かございますか。
【脇田副主査】  大丈夫です。
【岩田主査】  よろしいですか。
 どうぞ。
【荒川委員】  推進すべき基礎的研究の一番最後のところに、ゲノムデータベース構築の方向性というのがあるんですけれども、文部科学省は既に三島の遺伝研という、すごくゲノム関係のデータベースが構築されていますけれども、そこでは研究用の細菌とか、研究用の菌株のデータベースとか、あと、菌株運用の事業なんかもやっておられると思いますけれども、ゲノムデータベースというのは病原体あるいは耐性菌も含めた新たなデータベースを構築していこうということだと思うんですけれども、その場合は、これは三島の遺伝研とはどういう関係になっていくのか、なっていかないのか。病原体ゲノムは厚生労働省の国立感染症研究所にかなり蓄積があるので、そういうものとの協力関係とか、その辺がどういうふうになっていくかということを、ここで検討するという理解でいいんですか。
【田邉係長】  すいません、1つJ-GRIDの中で現在、4大重点課題に関してゲノムのデータベースを構築しておりますので、基本的には文部科学省の事業の中で構築されているというものを、今後どう発展させるかというところを最も念頭に置いているところではあります。また、その中で大阪大学の薬剤耐性菌のデータベースに関しましては、遺伝研のデータベースに情報を公開するという形で連携が取られていると承知しております。
【岩田主査】  よろしいですか。
【荒川委員】  はい、分かりました。
【岩田主査】  そうしましたら、お時間がちょうど来たようなので、今日いろいろ頂戴した御意見は事務局で整理していただいて、報告書の内容に生かしていただきたいと思います。
 本日まだこの場で発言が十分できなかった委員の先生方、あるいは、これからまた何か気が付いた点等ございましたら、後ほど事務局に追加の御意見でお寄せいただければと思います。
 それでは最後に、事務局から連絡事項について、もしございましたらお願いいたします。
【田邉係長】  本日は貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 次回の検討会ですが、5月7日火曜日17時からを予定しております。少し遅い時間からの開催となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【岩田主査】  次回は5月7日火曜日の17時からということですので、また連絡が行くかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 本日の議事につきましては以上で終わりになりますが、今日はお忙しい中、ありがとうございました。舘田先生、お忙しい中、ありがとうございました。
 それでは、これで終了にしたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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