競争的研究費改革に関する検討会(第4回) 議事録

競争的研究費改革に関する検討会(第4回)議事録

1.日時

平成27年4月14日(火曜日)15時15分~17時15分

2.場所

東海大学校友会館「望星の間」(霞が関ビル35階)

3.議題

  1. 間接経費の今後の改善方策について
  2. 競争的資金における使用ルールの統一・使い勝手の向上について
  3. 科学技術・学術政策研究所における調査結果について
  4. その他

4.出席者

委員

濵口主査、井関委員、甲斐委員、小安委員、角南委員、橋本委員、藤巻委員、若山委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、常磐研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、村田科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、松尾振興企画課長、豊岡高等教育局国立大学法人支援課長、行松基礎研究振興課長、牛尾学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、富沢科学技術・学術政策研究所科学技術・学術基盤調査研究室長、中野振興企画課学術企画室長、髙山振興企画課競争的資金調整室長、岩渕基礎研究振興課基礎研究推進室長、前澤学術研究助成課企画室長、近藤科学技術・学術政策局人材政策課長補佐

5.議事録

【濵口主査】
 それでは、おそろいですので、少し早いですが、競争的研究費改革に関する検討会を開始させていただきます。委員の先生方におかれましては、御多用中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、最初に事務局から配付資料の確認をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 議事次第が1枚紙でございまして、その後にA4縦のもので、資料1、資料2、資料3、ちょっと分厚いもので資料4、そして資料5がございます。その後、参考資料といたしまして、A4横の資料でございますが、参考資料1、1枚紙ですが参考資料2、A4縦で参考資料3、縦のままで参考資料4、最後、1枚紙で参考資料5となってございます。欠落がございましたら、おっしゃっていただければと思います。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。それでは、今回の議論でございますが、前回の本検討会で示しました論点整理の中で、特に論点1の競争的研究費に関する総論のうち、間接経費の今後の改善方策について、特に深く御議論いただきたいと思っております。
 まず、間接経費の今後の在り方について、資料1により事務局から説明していただき、議論を進めたいと思います。それでは、事務局、お願いいたします。

【松尾振興企画課長】
 それでは、資料1の御説明を申し上げたいと思います。「間接経費の充実に向けて」というタイトルのものでございます。
 (1)「現状分析」でございますが、となりに※で書いてございますとおり、ここの現状分析のところは前回の資料を組み合わせて作って、繰り返しておるところでございまして、一からの御説明は省略をしたいと思いますが、エッセンスだけ、もう一回復習をさせていただきますと、過去の間接経費の導入の経緯を踏まえて、1ページ目の真ん中ちょっと下に書いてございますが、「間接経費導入の趣旨」ということで黒ポツで2つ書いてございます。1つ目が管理等に必要な経費を一定比率で手当てするということと、2つ目のポツで、競争的資金を獲得した研究者の研究開発環境の改善や研究機関全体の機能の向上に活用する、この2つの趣旨があるということでございます。
 2ページ目、裏のページに参りまして、このような性格の間接経費なのですが、一番上の方に記載しております。2行目からごらんいただけるといいのですが、間接経費30%というものが措置をされない研究費制度が多く見られるようになって、その結果といたしまして、間接経費で行われるべき内容が基盤的経費によって行わざるを得なくなったということがあり、基盤的経費及び外部研究費の双方の取組がともに効果を十分発揮できなくなっているのではないかという現状分析をしたものであります。
 ここに参考として、前回もお示ししましたけれども、今回も用語の定義がはっきりしないと、なかなか議論がしづらいかなということで、ここにもう一回、この図を持ってきております。(2)の上の白丸のところで、このため、間接経費について具体的な改革方策を実行していくことが必要である。これが、前回までの資料に書いてあった内容の繰り返したものでございます。
 (2)からが、前回の資料を深掘りして、さらに書き下したということでございまして、項目自体は前回の資料の「間接経費の意義・必要性の再確認・徹底」、そして、後で出てまいりますが、間接経費の30%というか、間接経費を措置する対象の拡大という、前回の資料で挙げた2つの論点についてさらに深掘りして、詳細な記述を試みたというのが今回の資料になります。
 (2)に入ってまいりますけれども、1つ目の白丸に書いてございますとおり、間接経費は今申し上げたような性質のものなんですけれども、近年におきましては、2行目に参りまして、産学官連携とか、そして3ページ目に行きまして、知財の管理でありますとか、利益相反への対応でありますとか、2行目に行って、不正への対応といった研究に付随する業務範囲が拡大していることと、その必要性が増しているということなんですけれども、3行目にありますとおり、外部資金によるプロジェクトが実施される際にもこれらの活動は当然必要だということで、間接経費により賄うべき費用が増大している傾向にあると考えられます。また、研究活動に不可欠な光熱水料についても全国的に増加傾向にあると。この辺の事実関係につきましては、後で別紙で簡単に補足を申し上げたいと思います。
 3ページ目の1つ目の白丸の「さらに」というところですけれども、さらに、学際的・分野融合的な研究の拡大ということであるとか、研究費の効率的・効果的利用という観点から、大型研究設備の共用の促進でありますとか、ICT環境とか論文データベースとか基盤インフラ、こういうようなものに掛かる経費は今後も一層増加することが見込まれると考えております。これらにつきましては、ある特定のプロジェクトごとに措置をするよりも、複数のプロジェクトや研究グループ・部局の組織を超えて措置をする方が効果的・効率的である場合が多いのかなと思っております。
 したがいまして、2つ目の白丸にございますとおり、間接経費を適切に措置することが必要である。ただ、次の白丸に書いてありますとおり、「この際、以下の点に留意が必要である」ということで、2つほど黒丸で記載しており、1つ目は我が国の研究開発投資の話でございますが、日本では研究開発投資は増加傾向にございますけれども、例えば、対GDP比で言いますと、2012年で約0.8%を切っているわけでございまして、アメリカやドイツが約0.9%、中国は1%を超えている、韓国が約1%だということから見ても、対GDP比でも低くて、その伸び幅は相対的に弱いことがあるかなと思っております。このため、一定の枠内でのやり繰りではなくて、研究開発投資の総額自体を伸ばす発想が不可欠であると考えております。
 2つ目の黒ポツでございますけれども、途中、いろいろと書いておりますが、間接経費が十分に措置をされないと、期待した研究パフォーマンスが十分に発揮されない可能性が当然出てくると思っております。したがいまして、各研究機関における研究開発力の低下を招くことになるのではないかとも考えております。
 次の白丸に参りますけれども、「また」のところですが、また、間接経費というのは、民間からの受託など外部研究費においても必要経費として当然に発生するものだということですので、大学などが産業界を中心とした外部のステークホルダーとの対話を含めて財源の多様化を図る中で、民間からの受託等についても間接経費が措置をされることが期待されると考えております。
 したがいまして、その次ですけれども、そのためということで、各研究機関、大学等は間接経費の重要性・合理性などにつきまして、もちろん機関の内部に対して周知徹底を図るとともに、特に産業界をはじめといたしまして、ステークホルダーの理解を得る必要があるということで、そのためには、より一層の財務状況の透明性向上に努めるべきであると考えております。
 「また」の後、4ページ目に入っておりますけれども、文科省におきましては、間接経費のグッドプラクティスについて周知を行うなどして創意工夫を促すということと、本検討会での御議論を踏まえて、透明性向上の観点から、間接経費の執行に係る共通指針というのを内閣府が全府省共通で作っておりますが、それについての所要の見直しについて提案することを検討していってはどうかと考えております。
 (3)がもう一つの論点でございます、いわゆる30%の普遍化といいますか、30%を措置する対象経費の拡大という論点について、少し詳しく書き下してみたものであります。
 最初の白丸でございますけれども、ここまでに確認した間接経費の趣旨を鑑みまして、競争性の有無に関わらず、あらゆる研究費について30%の間接経費を措置することを原則化することを検討するということであります。その上で、文科省としては、まず、これについて取り組むべきであると思っております。
 「さらに」の段落ですが、研究費以外の経費、これには教育関係でありますとか、テニュアトラックを含めたシステム改革経費などがございます。これらについても、一定の管理的経費が発生するのは当然のことでございますので、そのパーセンテージをどうするかという問題はありますけれども、どこまで間接経費を措置するのか。措置する場合には、それを何%にするのかということについては別途の検討が必要かなと思っております。
 「同時に」という段落ですけれども、大変恐縮でございますが、他府省とか民間に対しまして、CSTIのイニシアチブにより措置を働き掛けていくことが適当かなということで御提案を申し上げたいなと思っております。
 4つ目の白丸、「上記の取組を」というところですけれども、ただ、そういう取組を行う前提として、ステークホルダーに対して説明責任を果たすことが不可欠だと。3行目ですけれども。説明責任をしっかり果たすことが不可欠だと考えております。したがいまして、各研究機関は財務状況の透明化でありますとか説明責任の明確化に関して、次のような取組を行うことが求められるということで、黒ポツ2つの取組を書いてございます。
 1つ目が間接経費の使用方針や使用実績について、ホームページでしっかり公開をしていただくと。この使用方針というものの中で、経営戦略上などで間接経費をどう位置付けて、これにより研究力はどのように向上するのかについて明確に記述をしていただきたいというのが1つ目の案でございます。
 もう一つ目は多少事務的なものなのでございますけれども、欄外に小さい字で、7番ということで、「執行実績報告書は現在も作成されているが」と書いてございますが、外部資金の配分機関に対して、今でも行っておりますけれども、執行実績報告書を提出していただくときに、少しその内容を、今は予算項目ごとの羅列の報告書という感じになっておりますので、使用目的とその予算項目がちゃんとリンクして、マージする形で、いい報告書になるように、少し様式を考えてはどうなのかなということであります。
 次に、「なお」の段落でございますけれども、ステークホルダーの理解を得る上では、間接経費を含めて、経営が戦略的に実施されていることを明らかにすることが有効であると考えられます。このため、例えば、次の5ページ目の上の方に「取組例」ということで4つほど、あくまでも例でございますけれども、若手研究者の雇用の話とか研究者の多様性の話でありますとか、それが1つ目。2つ目が研究者データベースとか研究成果のデータベースの話であります。3つ目が、研究支援と言ってもいいし、研究マネジメントと申し上げてもいいんですが、研究マネジメント人材の話でありますとか、4つ目、共同研究インフラの話でありますとか、そういった、あくまでもこれは例でございますが、前のページに戻っていただきまして、こういうような例で自立的に創意工夫を図ることが望ましいわけなのですが、そういったことを図っていること、そういう取組をしていること及びその取組実績を、先ほど申し上げたような間接経費の使用方針とか使用実績をホームページで公開していただきたいというのに併せて、一緒に全体像を公開していただけることが望ましいということを記載しております。
 最後、5ページ目の(4)のところですけれども、その他ということで、以下の論点については引き続き検討が必要ということで、研究者と所属機関の適切な関係の話でありますとか財源の話は引き続き検討させていただきたいということであります。
 次、別紙を何点か触れたいと思うんですが、6ページ目に別紙1ということで、米国の状況が書いてございます。米国の間接経費のことについては、この検討会でも資料をお出ししたことがあるんですが、特に3つ目の丸に書いてございますが、文科省の担当官が、真ん中辺から後の方に書いてございますが、カリフォルニア大学サンディエゴ校に行ったりメリーランド大学に行って調査をしてまいりましたけれども、そこにおいては、ここに書いてありますとおり、連邦政府が認めた間接経費比率以下の間接経費比率を民間企業から受託するプロジェクトで設定することは認めてないでありますとか、メリーランド大でありますと、一番最後の行あたりになりますけれども、2回目以降の契約については、連邦政府が認めた間接経費比率に合わせることとしているなどの、3つ目の白丸の1行目に戻りますが、基本的に連邦政府から認められた間接経費比率以上に民間企業からの資金の間接経費を設定するように交渉がなされている例がございますということが別紙1でして、別紙2、別紙3でございますが、これは大学において間接部門がどれだけ増えているかというサポートのデータになるかなと思って挙げてございますが、別紙2が、まず知財の活動についてでございまして、上側の方が、左側が主に民間との共同研究の実績、そして、右側が民間等からの受託研究の実績でございまして、件数は増えているということがあるというのと、それから、下側の方でございますけれども、特許の出願でございますが、左側が特許の出願なんですが、下線を引いておりますけれども、海外申請が一貫して増加傾向にあることと、右側のグラフを見ていただきますと、これは特許の実施件数ですけれども、ここも棒グラフを見ていただきます。これが件数の伸び、件数を表しているわけですが、3,532件から8,808件と2.5倍に件数が増えているということで、これに関する間接業務は当然増えているだろうと類推できるということです。
 それから、別紙3でございますけれども、これは特許でございまして、上のグラフが、資産としての特許権がどれだけ増えているかというのを表しておりますが、これだけ特許が実際増えて、保有特許が増えていますということと、下側は「特許権仮勘定」なんていう、ちょっと専門用語が出ちゃっていますけれども、要は、特許になる前の経費を積んでいる勘定のことであって、大学が特許化に向けて、どれだけのお金を使おうとしているか、使っているかということを表しているんだと思っていただければそれでいいと思うのですが、その活動も増えているということで、特許については、成立の後も、それから、成立を目指して取りに行く取組をしているところも、いずれにしても増えているということで、ここについても、この部分の間接業務が当然増えているだろうと思われるということであります。
 別紙4が水道光熱費でありまして、ごらんになっていただくと一目瞭然に、これだけ必要になっているということであります。
 駆け足でございましたけれども、資料1の御説明は以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、資料1に関して、1時間ほどをめどに、しっかり御議論いただければと思いますが、御自由に発言いただければと思います。
 (1)に関しては、大体コンセンサスのある前回までの議論だと思いますので、(2)以降について特に御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、先生。

【橋本委員】
 どうもありがとうございます。お話を伺い、私の頭の中も整理できました。3点申し上げたいと思います。
 まず第1点目ですが、特に、実際に研究費をもらって行う研究者に対してのメッセージという意味で、しっかりと説明するといいますか、考える必要があると思います。間接経費を増やすことには大きく分けて2つの視点があると思います。1つは研究そのものが効果的、効率的に行われるようにするために必要な経費ということです。実際、今の説明にあったのは、そういった視点かと思います。研究資金を得た人の研究が、効果的、効率的に進むために、間接経費が重要なんだということかと思います。もう1つは、学術の発展のためにこの措置が必要であるということです。こういう視点からの検討も大変重要じゃないかなと思います。というのは、やはり国の施策として、限りある予算を有効に使うとの観点からどうしても研究の集中化という方向は避けられないというか、そのような大きな方向性が示されているわけですね。しかし、優れた学問成果というのは集中したその中から出てくるとは限らなく、それ以外の分野からも出てくる可能性が常にあるわけです。そのための財源を一部確保しておくことが学問、学術の発展はもちろん、イノベーションの芽の育成という観点からも重要です。この2つの視点、それぞれ、別の軸でしっかりと整理する必要があるんじゃないかなと思います。最初に申し上げましたように、これらは研究者の理解を得るために必要だと思います。
 第2点目は、他省庁とか産業界に向けてのメッセージです。私はこれまで、個人レベルで他省庁の方や産業界の方と随分、この間接経費の件について意見交換をしてまいりました。わかったことは皆さんほとんど同じことを懸念されています。すなわち、大学の運営費交付金が減っているのを補うために、間接経費を30%とか20%とか一律で乗せて、掴み金的に出して欲しいと言われても、それはとっても納得できません、ということです。
 一方で、研究に必要なものであることのしっかりとした裏付けがあるのであれば、出すのは当然ですよね、という言い方も皆さんされます。特に産業界の方は、その辺、明確におっしゃられています。会社だって、どこかに委託をするときには、直接経費以外に間接経費というかそういうお金が必要ですと言われたら、これは出すのが当たり前という文化なので、大学の場合も、必要なものをしっかり積み上げてこれだけ必要ですと言われたら、当然出します、という訳です。逆に言うと、今までそういう裏付けなしで、つかみ金のように言われるから出せなかっただけであって、算出根拠を明確にしていただければ、ネゴシエーションはあるけれども、当然必要経費として出しますということを言っておられました。
 なので、やはりここが大変重要かと思います。さきほど、30%という言葉が出てきましたけれども、科研費とそれ以外の研究費も含めて、現在間接経費が付いているものには一律30%となっているわけですが、これは1つの目安として出されたものがそのまま残っているのだと思います。文科省予算の中ではそれでいいのかも分からないですが、他省庁や産業界に広げていくのは、その論理ではなかなか苦しいのかもしれません。ただ、急に必要経費を積み上げろと言われても、各大学ではそのベースができておらず、困難でしょうから、当面の目安としての数値と位置づけるべきではないでしょうか。言い換えるなら、当面はそれでよいとしても、今後、他省庁や産業界の理解を得るためには必要経費の積み上げをしっかりとすることは極めて重要であるという印象を持っております。
 3番目は制度的なものといいますか、ここでも出てきておりますけれども、装置の共有化の話です。装置の購入や維持管理を間接経費に移すということを原則として行うのか否か、明確に議論していただきたいなと思いました。私自身の考えで申し上げますと、ある一定額以上の装置は全て間接経費に移すべきと思います。研究をやる立場からは不便になると言う人も多いかと予想します。確かに自分の研究室で装置を持っている方が便利ではありますが、しかし、それらが共有化されていても、共有化のシステムがしっかりしていれば実際に研究を行う上においてはほとんど影響なくて、むしろ自分の持っていない装置も使えるわけですから、かえって研究が円滑に進むことも多いわけです。これは、先日、熊本大学の大変すばらしい事例を御紹介いただけましたけれども、そこでは、自分で研究資金をたくさん取っている人たちは共有化に参加されないという話がありました。逆に言うと、これの制度を入れると言ったときに、現在たくさん研究資金を稼いでおられる方が反対される可能性があるということだと思います。しかし、それはこれまでの議論をしっかり積み重ねることによって、説得できるのではないでしょうか。つまり、何を言いたいかというと、装置を共有化し、その維持費とその装置を運転する方の人件費等々を間接経費でしっかりとサポートするというシステムは、資金の有効活用に加え、資金を十分得られない人も研究の機会が増すことにつながり、学術界全体において大変有効なことだということです。その辺は是非、検討していただく必要があるのではないかなと思います。
 以上、3点です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。ポイントを突いていただいたと思いますけれども、ほか、いかがでしょうか、御意見。どうぞ、若山先生。

【若山委員】
 橋本先生のお話で、確認したいのでお伺いするんですけれども、最初に研究者に向けてという2点をおっしゃって、その後、他省庁、産業界というところで、産業界は出す必要がある、直接研究に関係して出す必要があるものは、それは出すのが当然でしょうと産業界も認識しているとのことでした。しかしながら、文科省のつかみ金は駄目とおっしゃったわけですね。最初の研究者に向けてと言ったときの、個々の研究を効果的にするというのは産業界も合意しているとうかがえたんですけれども、間接経費の負担のような大学や学術の発展への貢献といったところは、やはり産業界から見ると、文科省のつかみ金に似ていると認識をお持ちだと考えてよろしいんですか。

【橋本委員】
 よろしいですか。

【濵口主査】
 お願いします。

【橋本委員】
 私の認識は、あえて先ほどのような整理をしましたが、多くの産業界の方と話したときに言っておられたのは、つかみ金的に何十%と要求されるのではとても出せませんということです。しかし、当然、研究として必要なことを積み上げているのだったら大丈夫ですということの意味は、大学の研究に期待しているということでしょう。一方で、大学に対しては目先の研究を求めているわけではありませんということも言われます。産業界は今、目先の投資しかできなくなっているので、大学にはぜひ長期的視点で研究をやってもらいたい、それを大学に対して期待していると。そういったことも我々は読み取って、制度を作るべきじゃないかなというのが私の考えです。

【濵口主査】
 ありがとうございます。角南先生、どうぞ。

【角南委員】
 やはりここに書いてあるように、総合科学技術・イノベーション会議が本当にリーダーシップを発揮しイニシアチブを取っていく必要があると思うんですね。だから、実際に具体的に総合科学技術・イノベーション会議のイニシアチブとして何ができるのか考えないといけません。

【濵口主査】
 松尾さん。

【松尾振興企画課長】
 後からの議題と思っていたのですが、実は資料5で御報告申し上げようと思っていたCSTI等の動きについて、今御質問があったので触れさせていただきますと、資料5を出していただきたいのですが、CSTIでありますとか産業競争力会議での本件に係る議論で最近どういうことが起きているかというのをまとめたというか、そのときの資料を添付しているという、全体、資料構成なんですが、この通しページの、下側にずっと通しページが打ってあるんですけれども、ここの22ページを開けていただきたいのですが、通しページの22ページ前後の資料が、CSTIの専門調査会の事務方が出した資料でありまして、通しページの22ページ以降が競争的資金等の改善の話になっているんですが、ここを1枚開けていただいて、通しページの24ページの下半分のところに、「具体的には」ということで、CSTIとしての検討項目が書かれ始めている状態になっています。
 この中に、間接経費の適切な措置とともに、(2)のところに民間資金の活用の促進、その意味での間接経費について、「柔軟な対応」という表現を今、CSTIはされていて、今の時点でCSTIとして具体的なアクションまで踏み込んで案が書かれているわけではないのですが、ここはもし可能であれば、文科省とCSTIで連携させていただいて、具体的な中身をこれから考えていくフレーズになるのかなと思っています。

【濵口主査】
 小安先生、どうぞ。

【小安委員】
 産業界の方といろいろお話しされたということで、橋本委員にお伺いします。間接経費の比率がどう決まっているかということに関する質問ですが、自分がアメリカにいたときには、大学によってNIHから来る間接経費の比率というのはまちまちでした。確か、各大学がNIHと交渉して、間接経費の比率を決めて、私がいたハーバードだと、その頃たしか71%というすごい額だったと思います。交渉の過程で恐らくきちんとした積み上げの方式があるのだと思いますが、産業界の方とお話しになったときに、きちんとした積み上げというお話があったということですが、その比率に関しては何か御意見があったのでしょうか。それとも、きちんと積み上げていくのであれば、それはそれで比率の問題ではなくて、積み上げたものを出しますという、そういうお話だったのか、そこら辺のニュアンスを教えていただきたいのですが。

【橋本委員】
 私が話した方々はそこまで詰めてはいなくて、ちゃんと積み上げられたものについて必要なものだったら当然出しますねと、こういう話です。今おっしゃったように、アメリカは積み上げをしっかりしていて、これは上山委員が何度かこの会でも言っておられます。そういうのは必要だと思うのですけれども、我が国でもすぐに同じようにやれと言われてもできないですよね。なので、過渡的な段階なのかなと思っています。産業界の方が言っているのは、今申し上げたとおりです。

【濵口主査】
 どうぞ、有信委員。

【有信委員】
 大分前の話なので、今もそうかどうか分かりませんけれども、産業サイドでこういう研究資金を積み上げるときは、例えば委託研究なんかで、具体的に必要経費から順番に積み上げていくわけですね、人件費を含めて。そして最終的に、これに対して総額の何割かを一般管理費という形で上乗せをしています。したがって、通常、直接的に掛かる経費以外に、一般管理費という名目で、様々な管理上の費用が掛かるというのは産業界では常識なんですね。ですから、産業サイドとしては、そういうことに対しては抵抗がないというのが1つ。
 もう一つは、一般管理費というのは、少なくともその時々で、その企業が行うに当たって、その企業の持っているインフラというか、管理体系によって違いますし、そこでまた具体的な設備等々を使うとなると、またそれも違ってくると思います。それから、国の資金でも、多分、JICAなんかが外部に委託するときは、恐らく一般管理費というものの取り扱いは認めていると思います。ということで、私は、ここに書かれてあることの大半は全く異論はないんですが、逆に、余り事細かに、先ほど橋本委員が言われた、文科省のつかみ金という捉え方をされるような、事細かな説明を産業界に対してする必要があるのかどうかについては多少疑問があります。
 つまり、一般管理費という形で、ざっくりと必要な費用について、受ける大学そのものの性格で、要求をすればいいのではないかという気がしていて、事細かに一般管理費をこう使いますというようなことを詳細に説明されても、多分、産業サイドとしては余りうれしくない。そのとおり使っているかどうかって証拠もないわけだし。ただ、効果的に使われた成果が示されて、ここの部分についてはこういう競争的研究費の費用でこれだけのことができましたという、そういう説明文を付けていただく方が、むしろうれしいんではないかという気がします。

【濵口主査】
 後半のところで書いてありますけど、細かい説明よりも、グッドプラクティスがある程度見えるようにして、透明性を高めて、間接経費というのは有効に使われていますねということを大学側が公開する必要があるんではないかというふうに、私は考えています。

【有信委員】
 いや、だから、公開してくれてもいいんだけど、この間接経費はここから、これはここからって事細かに書いてもらっても、多分、そんな分解能は受け取る側にはないので、出した人は出した自分のお金がどう使われたかということには興味があるんだけど、だから、例えば、そういう意味で、何か幾つかのものを……。

【濵口主査】
 大筋として、間接経費トータルとしてこれだけあって、こういうふうに使われたということが大学全体の経費の中で示されればよいと思います。

【有信委員】
 列挙して、こうこう、こういう外部資金でこういうことが行われましたというレベルでいいような気もしています。その辺はよく分かりませんが。

【濵口主査】
 そこは、もう少し検討させていただきたいと思います。
 角南先生のさっきのCSTIの話は後でやるということでよろしいでしょうかね。
 じゃ、佐藤先生、お願いします。

【佐藤委員】
 民間からの話なんですけれども、これは本当に何とかして手当てしてくれるとありがたいんですけれども、私、民間の財団とか助成財団に関係しておりまして、そこの議論は明らかに、我々の企業が頑張って貴重なお金を出して、我々は選ぶ、個別の研究に対してすごく援助しているんだと。それをほかのことに使うなどとはけしからんと。もちろん、ここに書いているように、当然ながら電気代も要るし、そういうことで、当然、すごく要求して、説得する必要はあるんですけれども、企業サイドの立場は明らかに、これをまさに助成しているんだから、この研究だけに使えということは盛んに言われると思うんですよね。この点、やはり助成財団、全国いろいろありますけれども、そのあたりの幹部を上手に説得するような、何か試みも必要かと思いますし、この点ではそういう意味での、産業界のトップだけではなくて、助成財団の立場というか、よく聞きながら、やはり何とか説得していくような試みをしていただきたいと思うんですけれども。
 以上です。

【有信委員】
 一番の問題が少し分かりました。私が今説明をしたのは、事業サイドの話なんですね。だから、事業サイドではそういうことは全く常識で、一定の事業を行うときにはそれぐらいのお金が掛かるというのは、みんな分かるんです。だけど、助成財団というのは、企業がお金を出してやっていて、その間に1つ溝があるんですね。だから、受けた側は、そのお金を正当に使っているという証拠を、今度はそのお金を出している企業に対して説明をしなければいけないということがあって、その説明が一番面倒くさいものだから、できるだけ説明しやすい格好で使うようにという意識が多分働くんだろうと思います。したがって、そこの部分は、やっぱり切り分けて、企業で実際に事業を進めているサイドと、いわゆる財団の側のところで意識のずれが出てきちゃっているので、その意味で、きちんと手当てをすれば、ある程度解決がつくような気もします。そこは多分、ちょっと努力が必要だと思います。

【濵口主査】
 具体的に考えて、例えば100万円、財団から出していただいて、そこの30万円を間接経費だと言って取って、70万円で実験やれと言うと、これ、過酷な感じもしますね。それから、実際にマネジメントに30万円も掛かるのかと。そこは、もう少し議論が要るようにも思います。ただ、やっぱりマネジメント料、人件費というのは一定掛かるので、そこの御理解を図らないかんと思います。今の現状は、ステップワイズに、まず文科省の予算で確実にきちっと間接経費を手当てしていただくというステップが実現できるかどうかということがまず課題としてあります。それがないと、財団にお願いをしても、まず、おまえのところがやれというようなお話になるんじゃないかと思います。そこができるかどうかというのが、実は今、かなり大きな課題ではないかと。
 2ページ目の用語の整理のところで、いわゆる研究費以外の競争的経費とか、ここのところも全部含めてできるかどうかということではないかと思うんですが、もう少し御議論いただけたら。
 どうぞ、佐藤先生。

【佐藤委員】
 その件で言いますと、4ページの(3)の丸の2番目に、研究費以外の経費として、「教育関係経費」と書いてあるんですよね。これがやっぱり文部省に直接関係することだと思いますけれども、これ、どの程度のことを考えておっしゃっているのか。例えば、リーディング大学院のプログラムにもそういうことを言うのか、グローバル何とか大学院とか高等局絡みはいろいろ、教育関係の大学のために出していますけれども、一体どの程度までそういうことを考えているのか、お聞きしたいと思うんですけど。

【濵口主査】
 松尾さん、いかがでしょう。

【松尾振興企画課長】
 今、どこまで考えているかというと、なかなかお答えが難しいのですが、前の会議のときに申し上げていましたとおり、リーディングとか高等局の競争的な、主に教育支援のための経費を視野に入れて、これは書いています。2ページ目の図で言えば、競争的研究費の外にある競争的経費の中にそれが入っていて、ここを指して、教育経費とかシステム改革経費と言っていますので、この前、ざくっと数字を申し上げましたけれども、リーディングとかも含めて、文科省の26年度予算で言えば500億から700億、それがここに入っていて、それを対象として、どこまで、何%書けるのかどうかという議論をしようという趣旨で書いております。

【濵口主査】
 論理としては、先生、これ、そこに入っとるのかではなくて、この委員会では、それに入れろと、間接経費をちゃんと手当てしていただきたいという意見を出せるかどうかだと思うんです。

【佐藤委員】
 私はやはり、大学は教育するのが本来のミッションであって、それをこれで出しているわけなので、このあたり、論理をよっぽど知らないと難しい話だと私自身は思いますね。有信先生も、リーディング大学やっていますけれども、これで間接経費を出す、今のここの論理だけで十分、それはいいでしょうとはなかなか言いにくい感じがします。

【有信委員】
 ただ、受けている側は、実は物すごく手間が掛かっているんですね、実行するのに。ところが、間接経費が一切出ないので、大学側の職員、今度、私は企業の立場じゃなくて、大学にいる立場としてお話ししますけど、大学サイドでこれを実行するのを目の当たりに見ていると、物すごく手間が掛かっていて、ここで間接経費が全く処置されないために、大学としては相当苦労してやっています。だから、私はむしろ、教育経費に関しても、全く同じとは言えませんけれども、必要な間接経費が処置されるべきだろうと思っています。

【佐藤委員】
 あえて反対のことを言っていますけど、これは議論していただくために言っていることで、本当に反対とかとは別ですけれども、こういうプロジェクトのお金というのは、それなりに事務経費に対応するようなものも、ある意味では手当てされているわけですよね。いろいろ雇用することもできますし、そういう意味で、結構フレキシブルに、人件費にも使えるようになっていますし、配分したお金の中で十分やっていけるんじゃないかという反論もあると思うんですけど、いかがでしょうか。

【濵口主査】
 学長の立場で言いますと、これ、全部、札が付いているんです。だから、リーディングのことにしか使えない、COEのことにしか使えない。大学全体としては、周辺領域のところもコストを掛けて実は動かしている。ところが、枠をはみ出たところは一切使えないというのが非常に苦しいところですね。それから、リーディングのときにあったんですけれども、これは教育予算ですからというので、マネジメント、学生指導のために助教を雇用しても、その助教は研究してはいけませんと言われるんです。これでは研究者としての能力が磨かれませんので、私どもは、週のうち1日は外して、別経費で雇用して、そのときに研究をやりなさいとしました。で、科研費の申請資格もちゃんとそれで保障しますと。結果として、非常に複雑な構造になってしまいました、現実的には。これは、財務省からそういう厳しい指摘があったんだと思うんですけれども。そこを現場としては複雑な、ツイストするようなマネジメントをやらなくていいようなシステムが実は欲しいなというのは、学長の率直な実感ですね。

【佐藤委員】
 よく分かります。(笑)

【濵口主査】
 どうぞ。

【藤巻委員】
 私もまさにリーディングプログラムに関わっている一人なんですが、今、濵口先生がおっしゃったように、やはりプログラムに関わることにしか予算を使ってはいけないという縛りが物すごく厳しいというのが実感です。間接経費の方で手当てをしていただけると、非常にフレキシブルに対応できるだろうと思っております。以上が教育的経費に関わるお話です。
 話を戻して申し訳ないんですが、橋本委員にお伺いしたいんですけれども、産業界に向けての話です。産業界も研究に必要であれば間接経費を出すのは当たり前とおっしゃっているようですが、やはりここをうまく利用して科研費と同じ程度間接経費を出していただくように、説得をしなきゃいけないんだろうという気がします。では、何をどうすれば納得してもらえるのか。例えば、共同研究を実際に企業と行いますと、装置だけでなく、大学が持っている財産、たとえば図書や文献といったものもいろいろ使っていくわけですね。こういったようなものを全然経費として認めていただけないのか、一般管理費という形でも認めていただけるのか。この辺の感触はいかがでしょうか。

【橋本委員】
 それは、私には分かりませんので、有信委員に聞いた方が良いかと思います。でも、きちっとした議論の中で落とすところに落とすものなんじゃないでしょうか。私はフレキシブルに対応すべきだと考えていますので、産業界が認める範囲内のことをしっかり積み上げるべきだと思いますが、それはケース・バイ・ケースといいますか、具体的な交渉の中で起きることだと思います。

【濵口主査】
 小安先生。

【小安委員】
 間接経費を付けるということに関しては、恐らく皆さん、全く反対されないのではないかと思います。逆に、先ほど、松尾さんがおっしゃった、2ページのこの図の部分ですね。文科省に関して言うならば、全部付けたらいいのではないかと思います。ここで皆が賛成意見を言ったら、その準備はできているのでしょうか。せっかく土屋さんがおられるので伺いたいのですけれども、いかがでしょうか。

【橋本委員】
 済みません、ちょっと横で口を挟みます。財源をほかから持ってきて間接経費を付けるというのだったら、財務省以外は誰も文句を言わないですよね。でもそうではなかったら、今度は研究者というか、実際直接経費が減ることになる人たちはみんな文句を言うわけですよ。だから、しっかりとした理論武装が必要になるのではないでしょうか。

【小安委員】
 もちろんそうです。それは研究者向けですね。だから、制度としてどうなのかということで、伺いたいと思います。

【松尾振興企画課長】
 先ほど申し上げたように、研究費のところは、制度としてそれをやっていこうということは、おおむね省内ではコンセンサスをとれていると思っています。ただ、先ほど申し上げたように、教育でありますとか、ちょっとパーセンテージが違うと思われる、この前、農工大のヒアリングのときに、テニュアトラックもスペースが要るという、そこは間接経費的にちょっと大きいとおっしゃっていましたけれども、そういったシステム改革のところをどうするかというところは、まだこれからの議論ということでして、研究費のところに30%の措置、財源の問題をどうするかは置いておいて、それを何らかの形といいますか、研究費においては30%の間接経費のルールを普遍化しろという方向で考えるのがコンセンサスだと思っています。

【小安委員】
 分かりました。

【濵口主査】
 土屋さん、よろしいですか。

【土屋文部科学審議官】
 発言の機会を頂きましたので、この場で、じゃ、そうしましょうと言うわけにはなかなかいかないと思うんですが、結局、全ての予算はそうですが、投資効果を見ていくことが必要だろうと思っています。特に日本の中で、みんなが仲よく暮らせばいいという時代は既に終わって、世界とどう闘うか、どう勝つかが我々に求められておりますので、そのためには、今、小安先生がおっしゃられたような方法の方が、より国益にかなうということであれば、政策としてそういうことを取り得ることは当然あっていいんではないかと思います。その辺は、これから慎重に議論をしていくことになると思いますが、基本的にはそのように考えております。よろしくお願いします。

【濵口主査】
 ありがとうございます。甲斐先生、きょうは静かですね。

【甲斐委員】
 私も、ここに書いてあることは、皆さん、反対しないんじゃないかなと思っておりました。文科省が率先して間接経費を全ての研究費に30%付ければ、ほかの省庁や企業も次第に付けると思います。実際に最初に科研費に30%の間接経費を付けたときに、ほかの省庁はまだ付けていませんでした。その後次第に、そうするべきだという国からの助言が出まして、それに対して他省庁のグラントの対応がどうであったかというと、総額は変えないで、公募要領に30%を上限に付けてよいという文章を入れました。そのような対応であれば、各省庁も財源的には困らない。あとは機関との交渉です。最初、10%などから次第にあげられて、結局30%になったんですけど、総額は変わらないで、研究者側からは減っていくだけでした。
 でも、研究者は提示された条件を受け入れるしかないんですよ。大学を使わせていただいて、研究を進められているのですし、足りなかったら、ほかのグラントに申請しようとか、そういうふうになります。今、科研費が採択された場合、大体申請額の7掛けぐらいで配分額が決まっていますね。限られた財源の中で、採択率を上げるために、充足率を落とさざるを得ず、7掛けくらいに落ち着いていることは研究者は皆知っています。しかし現在でも他省庁の種目によっては、ほぼ満額を出しているところがあります。ただ、最近、複数の省庁の研究資金が集められた機構ができました。それに継続課題が移行されたら、途端に、研究費が7掛けに変わってしまうということが起きました。そういうものなんですね。受け取る研究者側に理解を求めるかではなくて、制度が変われば、研究者は受け入れざるを得ない。「それでは、要りません」とはとても言えないので、その配分額の中で一生懸命頑張ります。研究者はそうやって何とかやってきたので、全てに間接経費を30%とする制度にするなら、まず制度設計をきちんとして、ここによく書かれているように、何に使えるかという使途も明記して、使用する機関側も間接経費の使途を公開するようにすれば、それで良いと思います。ただし、どの間接経費でどれを購入したなどのように詳細に記載させない方が良いです。それでは機関としての自由度が制限されてしまいます。
 橋本委員がおっいましたが、共通機器というのを買っている機関は結構あると思います。私の部局でも、皆さんの間接経費などを集めて、余裕があった年度末などに、大きな共通機器を買います。お金持ちは自分で買うって言いますけど、生命系の機器は高額なものが出てきていて、通常の1人の科研費では買えないような、1億円くらいかかるような機器があります。そういう場合、共通機器のアンケートなどを行って相談の上決めて購入し、技術者が管理をします。だから、そういうこともできるようにしていただきたいので、この間接経費ではこの機器を買いましたと個々の使途を明記させないほうが良いと思います。皆さんの間接経費を集めて共通機器にも使える。それを維持管理することにも使えると書く方が良いと思います。先ほど間接経費の使途の例として書かれていた条項は、全部良いと思いますし、それにプラスして、共通機器も是非書いていただきたいです。そのようなシステムであれば、機関としての運用もやりやすいですし、ステークホルダーも、高額な機器の一部として有効利用されたと理解して納得するのかなとも思います。私は大まかには賛成です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。5ページの取組例のところへ、「共通研究インフラ」と書いてあるけど、ここに共通機器も入れておいた方がいいですね。

【甲斐委員】
 是非入れてください。

【濵口主査】
 はっきり明示した方がいいですね。大型研究機器というので。
 あと、ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体この文書に関して合意ができたと確認させていただいてよろしいでしょうか。文部科学省の内部の方は、これから調整だと思います。委員側としては、この方向でやりたいということでよろしいでしょうか。(3)のあたりは大丈夫でしょうか。
 30%の検討、CSTIに頑張っていただきたいところ、こういうところでありますが、説明責任ですね。御意見なければ、暗黙の了解が取れたということでよろしいでしょうか。はい、それでは、この文書の内容までは合意ができているということでまとめさせていただきます。

【小安委員】
 そのことで1つ。

【濵口主査】
 どうぞ。

【小安委員】
 今、甲斐さんがおっしゃったこと、私も賛成です。橋本委員が心配された、取り分が、直接費が減るのではないかということに関しては、科研費の充足率がずっと7割できていることから考えると、それで良いのではないかと思います。

【橋本委員】
 小安委員と甲斐委員からそういう声が出たので、大変安心しました。本当によかったと思います。私がありがとうございますと言う話ではないでしょうけれどもね。

【濵口主査】
 松尾さん。

【松尾振興企画課長】
 文科省としては、直間比率の見直しとかということ、資料の中には書いてありますけど、ということだけではなくて、ちゃんと研究費を増やすという大方針の基に取り組んで検討していきたいとは思っています。

【濵口主査】
 3ページの3つ目の丸のところに書いてあります黒ポツ1点目ですけれども、諸外国と比べて、全体として研究開発投資が低いというリアルな現実があります。その中で直間比率を見直して、直接経費をどんどん減らすことだけやると、さらに研究体力の低下を招くという現実があります。ここは何とか突破していただきたいなというのが思いでありますが。

【甲斐委員】
 1点、いいですか。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【甲斐委員】
 直間比率を変えるとか減らすとかという議論ではないということだけ、確認させてください。全部の研究費に間接経費を30%つけるために、それまで間接経費がついていなかった研究費の直接経費の中に、一過的に、間接経費が入れられて、結果として直接経費が3割減らされても新制度として発足するのであれば、仕方なく受け入れられるとは思います。しかし、それでは、その研究費資金制度の目標達成のためには無理なくらい低い額になってしまうのであれば、これを上げていこうという議論をするべきであって、あくまで過渡期の話です。この制度変更以降の、直接経費を減らすとか、直間比率を変えようとか、ここではそういう議論ではないということを確認させていただきたいと思います。済みません。

【濵口主査】
 ありがとうございます。

【小安委員】
 この話は、最終的には全体を増額する方向に進めていただくことが大切です。

【甲斐委員】
 そうですね。

【濵口主査】
 ほか、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 じゃ、資料1に関しては、おおむね御理解いただけたとさせていただきたいと思います。
 次の議題に入りたいと思います。次は、「競争的資金における使用ルールの統一・使い勝手の向上について」であります。資料2について説明をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 資料2の御説明を申し上げます。「競争的資金における使用ルールの統一・使い勝手の向上について」ということで、まず、(1)でございますが、全体の枠組み、検討の枠組みとして、CSTIといいますか、旧CSTP、総合科学技術会議の中で、平成22年7月にアクション・プランというのをお決めいただいております。その中身が、点線の四角で囲って丸3つで整理されていますけれども、まず一番上の丸の2行目に書いてありますが、各種ルール等の統一化及び簡素化・合理化を行うということと、それから、丸の2つ目で、これによって使い勝手が向上して、2行目に行きますけれども、同じ研究資金から、より多くの、よりすぐれた研究成果を期待できるという、この方針で検討が具体的にスタートしたということでございます。
 (2)「これまでの具体的な取組」ということで、あくまでも先ほどの分類でいう競争的資金というものを対象にしているわけでございますけれども、順次、統一化、使い勝手の向上を進めてまいりました。平成22年12月には費目構成の設定、備品とか消耗品の対象の範囲を、異なる制度間であっても同じものにして、経費の取り扱いを統一して使いやすくした、分かりやすくしたということ。それから、平成24年10月には、繰り越し制度の手続の簡素化・統一化を実施した。26年3月には、費目間流用のルールの統一を改めて徹底していったというような段階を踏んできていまして、白丸の2つ目ですが、文科省におきましては、内閣府の全府省統一的な申し合わせのほかに、先行して報告書の提出期限の延長などを順次図ってきたところでございますけれども、政府全体での検討を促進する中で、平成27年3月には新たな申し合わせを、政府全体として、内閣府が中心になっていただいていますけれども、決定をしたところまで来ております。その中身が、1ページ目の下の方からの黒ポツの4つの内容と1つの体制のことに集約されます。
 まず1つ目の黒ポツですが、各種報告書の提出期限、これを基本的に年度末としていたものが多かったんですか、これを5月末までに延長して統一をしたということと、2つ目の黒ポツが、研究機器について、他の研究での一時的な使用が可能となるようにルールを統一したということ。それから、3つ目の黒ポツが、旅費とか消耗品につきまして、合算使用が可能となるようなルールで統一をしたと。2ページ目に行きまして、4つ目の黒ポツですが、買えるもの、買えないものというものの使用ルールなどを統一し、また報告書の様式を統一させていただいた。最後の黒ポツが体制のことでございますけれども、こういった中身の改革に加えまして、平成27年3月に、内閣府に使い勝手の改善に関する意見・相談を一元的に受け付ける窓口を設置したということであります。ここまで進みまして、研究現場の、こうしたら使い勝手がよくなるのではないかと言われている、おおむね、その声には政府全体として応えることができてきているのかなと、少し時間が掛かったところはあるかもしれませんが、そう思っております。
 ただ、(3)「今後の課題」ということで、先ほど申し上げましたように、この措置というのは、あくまでも競争的資金というものに、科研費とか戦略創造とか、文科省でいうと、26年度予算で約3,500億円ですけれども、もう27年度になってしまって言うのも何ですが、そういう約3,500億円の競争的資金に限定をされているルール統一でございますので、2つ目の白丸に書いておりますが、文科省としては、競争的資金以外の競争的研究費についても同様のルールで統一できるように検討していきたいと思っていますし、他の府省におきましても、内閣府にまたできれば旗を振っていただいて、このルールの統一をさらに拡大していって、使い勝手をよくすることを提案していきたいなと思っております。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。この点、研究費、使用ルールの統一・使い勝手の向上に関して、さらにこういうことがあるんではないかとか。有信委員、お願いいたします。

【有信委員】
 随分いろいろ努力をしていただいていると思うんですけれども、前にもちらっと申し上げましたけど、あくまでも、やっぱり費用進行基準の考え方で物事を処理しているので、どうしても箸の上げおろしの部分だけをきちんとやらなきゃいけない、こういう話になるんだと思うんですね。今、独立行政法人の会計処理基準を費用進行基準から業務達成基準に変える話が進んでいて、基本的には管理会計的な考え方を入れようという話になってきていますよね。これは競争的資金、あるいは、ある目的を達成するために投入される資金については、その目的達成のコストと使用される資金との関係がリーズナブル、説明可能性があって正当であればいいという考え方からすると、管理会計的な考え方で処理ができると思うんですよね。だとすると、ここでかなり自由にはなっているんですけれども、使用目的等々に関しては、運営費交付金ほどざっくりとは言わないまでも、もっとざっくりと区分けをして、事細かに、備品の範囲がどうとか、そういうところで細かな規定を緩める話よりは、もう少し使用範囲を緩くする。ただ、運営費交付金と同じぐらいの自由度を持たせることに対して抵抗があるのかどうか分かりませんが、基本的には運営費交付金ぐらいの自由度を持たせて、目的達成とそれに関わるコストという考え方をきちんと明確にすれば、もっと自由に使えるようになるのではないかと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。松尾さん……、じゃ、お願いします。

【髙山競争的資金調整室長】
 御存じのとおり、運営費交付金は使途不特定ということになっておりますけれども、国は補助金若しくは委託費でプロジェクトを進めていくので補助金であれば目的に縛られて、委託費ですと契約という中で縛られ、所有権の移転という大きな問題もあります。各省庁は、個別の、それぞれの、いろいろな政策を実現するために、国の予算を計上していきます。その中で、研究という大きなカテゴリーというか、土俵を作って、資金形態などを統一することが仮にできてくるならば、有信委員がおっしゃったようなことも出来るんじゃないかなと思います。現状は、それぞれの省庁に、それぞれの事業、政策を実現するためにある研究資金は、現行の予算制度の縛り、性格で差別化されてしまいます。なので、競争的資金が、委託費も補助金もありますけど、できることは、なるべく統一しようという努力を重ねてきております。ですから、夢物語かもしれませんけれど、着手するためには、1つの土俵の上に、全ての研究資金が乗って、改革を進めていければいいなというようなことを、イメージで恐縮ですけれども、持っています。ルールの統一とか間接経費も含めまして、統一というのは非常に大事なことと思っております。

【有信委員】
 分かります。だから、そのとおりで結構だと思うんですけど、そのための第一歩は第一歩でいいと思うんですけども、ただ、向かっていく方向をやっぱり明確にしておく方が良い。例えば、目標達成のために補助金を出すんだけど、その目標とは何ぞやというときに、例えば研究開発の目標であれば、要するに、研究開発成果の達成が目標になるわけですよね。しかも、研究成果を達成する――成果を達成するというのは、ちょっと言葉がおかしいんですけど、研究目的を達成するということで、研究目的を達成することのために必要な業務区分ということで考えると、結局、考え方はだんだん変わってくるんですよね。つまり、使用基準で考えるから、例えば、備品だとか設備だとか、そういう区分になるんだけど、目的のために行うべき業務基準で考えて、その中のどの業務にどれぐらいという、業務達成基準の考え方で、いわゆるセグメンテーションをきちんとやりなさいという話が出ていますけれども、むしろそういう方向を眺めながら変えていく方が全体の流れには合ってくるし、恐らく対財務省に対する説明もだんだん整合が取れてくるような気がします。
 つまり、費用進行基準で必要だと言っていたお金が、これだけ掛かりましたという分だけ費用として収益化するという考え方で言うと、その手続がどれだけ正当であったかということだけが問われるわけですよね。したがって、使い方が本当に決められたとおりに使っていますかということだけ、ぎゅうぎゅうやられる。つまり、目的とは別に手段のところで責めているわけで、その考え方を変えていくという方向性をきちんと持っていただくのがいいんじゃないかと思うんですけど。

【髙山競争的資金調整室長】
 先ほど、事業サイドと助成財団のお話がありましたけれども、まさにそういう部分が国の中にもありまして、要は、国としての説明責任をどう果たすかということです。また、費用進行基準を使う独立行政法人、研究開発独法もありますし、国立大学は、期間進行基準も使えますので、それぞれの研究機関のいろいろな性格なり制度もございます。なので、特定のところに偏った考え方はできませんけれども、やはり多くの研究機関のこと、日本国のことを考えていくところでは、そういう方向性は必要なのかもしれません。

【濵口主査】
 角南先生、何か御意見ないですか、政策的にこれを考えた場合。

【角南委員】
 まさにイノベーションという観点を、これから入れるわけですから、有信さんのおっしゃったように、やはり成果は非常にハイリスクで、そこに失敗も伴うことを前提に進化させていくことが、求められていると思います。日本の場合特にどうしても硬直感が残ってしまう。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 ほか、御意見ございませんか。藤巻先生。

【藤巻委員】
 この前の議論ともちょっと関連するんですが、大型研究設備の共用化というようなことを進めていただきたいと思います。例えば、大きな研究費を取ってきた場合に、これまでは代表の方のグループが大体は設備を専有で使っていたわけですが、約束した目的が達成さえされれば、共有しても良いのではないかと思うわけです。是非そのような方向で進めていただければと思うわけです。
 そうすると、所属する機関、あるいはほかの研究機関の方がその設備を使うことができるわけです。結果としてこれは、ほかの分野の研究成果にも貢献することになりますし、ひいてはイノベーションにも繋がるのではないかと思います。それを達成するためには、有信委員がおっしゃったように、これに使いなさいとか、あれに使いなさいとか、間接経費の使途は余り明確にはしないで、フレキシビリティーを保って、成果の方で、すなわち目的の達成度で評価をしていただく方が良いのではないかと思っております。

【角南委員】
 この資料の中で出てくる内閣府の悩み相談室というか、現場レベルで使い勝手の悪さがあれば、情報を集めるようなどんなシステムなのでしょうか。

【濵口主査】
 髙山さん、お願いします。

【髙山競争的資金調整室長】
 正直、システムというほどのものはまだありませんが、競争的資金は内閣府が中心になって各省の資金を取りまとめているので、ワンストップというか、一元的な相談窓口ということで、今回作らせていただきました。そこに入ってきた意見や相談を、内閣府が、これ、文科省の問題だからといってただ投げるとかというようなことにならないようにはしましょうということを、担当者の中では話をしてはいます。まず作ろうということで、今回、申し合わせをして実施したところです。

【濵口主査】
 こういうシステムって本当に大事だと思うんですね。病院であるんですけど、いわゆるヒヤリハット集というのがあって、リスク管理のところにリアルタイムで、大学病院の場合は、事故にはならなかったけどドキッとするようなケースとか、危なかったケースとか、もうちょっとでトラブルになったケースというのをどんどん挙げるんですね。そうすると、それによって問題点が明らかになり、システム改革がどんどん進むんですね。そういうのを今作らないと、組織が硬直化していくのを変えられないように思います。是非よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。井関先生。

【井関委員】
 今、頭の中で具体的にどうなるのかなと考えていたのですけれども、使い勝手をよくするといいましても、研究費を申請するときには、必ず人件費ですとか物品費だとか、そういった形で一応お金を大まかに予算として計上する。それに対して、先ほど有信委員がおっしゃったように、運営費交付金みたいに自由に使えるようにしましょうと。最終的に目的が達成されていればいいじゃないか。実際、そういうケースは多々あると思います。例えば、機械が壊れちゃったから直さなきゃいけない。そうしないと、この目的が達成できないんだと。何とか修理費用を捻出したということに対して、それに対しては説明責任を果たせれば、もっと運営費交付金のように自由に使用できるほうがいいということを有信委員は想定されているということでよろしいでしょうか。

【有信委員】
 そうです。

【井関委員】
 そうですか。

【濵口主査】
 多分、そこのときに議論となってくるのは、コスト計算、どうやって申請のときに出してきたんだというのが出てきますよね。

【井関委員】
 そうです。

【濵口主査】
 なぜ500万円必要だという、この論理が必要でしょうね。300万じゃいかんのかとか。

【井関委員】
 私も自由になる方がいいとは思っています。ですから、先ほど申し上げたように、途中で目的達成のための機械が壊れたから、何とかその修理費用を出せないかということは起き得るわけですし、あと、目的達成のために、途中で違う実験方法を使うということもあるわけです。そのときに、説明責任さえ果たせれば変えていいんだよという規則にした方がいいということでよろしいのですよね。

【有信委員】
 だから、今、委員長が言われたように、要するに、コストが成果に見合うということをきちんと説明するのが説明責任だし、認める方は、この成果に対してこのコストが妥当であるという形で認めるということなんですね。企業の中で研究開発費を申請するときには、この成果が出たときには、何年後にこれだけの事業になって、これだけのリターンが何年後にありますという説明をする。したがって、今これだけの投資は十分に見合うという意味で、必要なコストを説明するわけです。
 基礎研究に関しては、ここの部分が非常に難しいんだけれども、そこはやっぱり研究者としてきちんと説明をする。それを認める側は、いわばピアレビューによって、その正当性をきちんと承認するという関係がきちんと成り立っていれば、これは成り立ってくるような気がするんですけど、ステップバイステップでそういう仕組みをきちんと作り上げていくことが重要だろうと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。大分イメージがよく分かってきたような気がします。
 ほか、御意見、もうよろしいですか、この件に関しては。よろしければ、いろいろまだ考えていかなきゃいけないことはあると思いますが、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 先日、科学技術・学術政策研究所より、次回以降の議論の参考となる調査結果が公表されましたので、資料3と4により御説明をいただきたいと思います。それでは、お願いいたします。

【近藤人材政策課長補佐】
 それでは、資料3に基づきまして、まず人材政策課から御説明させていただきます。「大学教員の雇用状況に関する調査」ということで、本日の御議論にありましたような財務状況について、教員の人件費という観点からの切り口で調査した結果ということで、先月31日に速報版を公表しておりますので、内容を簡単に御説明させていただきます。
 ページをめくっていただいて、3ページのところに全体の数字が書かれております。平成19年度と平成25年度のRU11の教員の全体の数ということで調査した結果としては、Nのところに書かれてあるとおり、2万6,559人から2万9,421人に増加しております。ただ一方で、青字の部分が、いわゆる承継ポストと呼ばれる任期なしの教員の数なんですけれども、1万9,304人のところが1万7,876人と減っています。任期付きの教員の数が大分増えていて、その割合も27%から39%ということで増えているのが概要でございます。
 中身をもう少し細かく見ていくと、まず7ページの図4をごらんください。これで、雇用財源の調査と年齢別のところが見て取れます。青いところが基盤的経費、赤いところが競争的資金、緑がその他の競争的な経費ということで分けさせていただいております。
 まず、任期なし教員のところは、シニアのところが少し増えている一方で、若手のところは任期なしが減っていると。任期付きのところは、若手のところを中心に競争的資金で雇われているような教員が増えているといったところが見て取れるかと思います。
 また、ページをめくっていただいて、9ページの図6にございますように、きょうの御議論でもありましたけれども、間接経費で雇われている教員ということで見ましても、平成19年度、21名だったのが、平成25年度には171名ということで増えてきていると。ただ、これはほとんどが任期付きの教員で、研究プロジェクト推進を目的として雇用されるような、特任教員と呼ばれるような形で雇われている場合が多いということが見て取れるかと思います。
 図7のところには、今御説明したところの教員のタイトルがどういう状況になっているかということで、例えば、濃い紫色のところが助教というタイトルで雇われている教員なんですけれども、19年度、上の方では任期なしで助教というポストで雇われている人が多かったのに対して、25年度については、助教の任期付きというところが多いと。薄い紫色のところが特任助教と呼ばれるところなんですけれども、それも25年度には任期付きのところで増えているといったようなことが見て取れます。今後、この詳細、もう少し分析して、報告させていただければと思っております。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 次、4の方をお願いします。

【富澤科学技術・学術基盤調査研究室長】
 引き続き、資料4について説明いたします。私、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の富澤と申します。よろしくお願いいたします。
 資料4、ちょっと厚いんですけれども、ページでいいますと1ページから7ページが概要になっておりますので、そこに絞って説明を申し上げます。
 この資料の背景を申し上げますと、文部科学省が実施しました「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」という調査が過去に3回実施されておりまして、これはもともと研究者数を測るときに国際基準に沿って、フルタイム換算という測り方で測る、そのためのデータを取るための調査でありますが、大学の研究者の活動内容がよく分かる調査ですので、それについて当研究所で分析をしまして、3時点について分析をして示したのがこの資料であります。
 1ページの概要図表1ですけれども、これは、3時点の大学等教員の職務活動時間割合を示しております。これで見ますと、2002年から2008年にかけて、赤い色のところ、一番左側の部分ですけれども、46.5%から36.5%と教員の研究従事割合が非常に減ってしまったということが起きました。その代わりに、教育の時間であるとか社会サービスの割合が増えたということが起きております。
 次に、2008年から2013年にかけては、研究時間割合の減り方は少なくて済んでいるんですけれども、その分、例えば、右から2番目のカテゴリーにあります社会サービス・その他、これは実質的には大学の医学部の先生などの診療時間がほとんどですけれども、その部分が増えているということが起きております。ただ、これは日本の大学全体の平均のデータでありまして、これをもう少し中身を見ますと、属性によって違ったことが起きております。それを示したのが2ページの概要図表2であります。この図、表が右側と左側、2つに大きく分かれております。左側の方は、研究時間割合のみに注目して、各種のカテゴリーごとにどういう変化が起きたかを示しております。右側の方は、研究時間の差分を取ったものが示しておりますので、そこで見ますと、2002年から2008年調査は、みんな真っ赤で示されておりますが、あらゆるカテゴリーで研究時間割合の減少が起きました。
 ところが、2008年から2013年にかけては、日本全体で一様ではなくて、ある部分では研究時間割合が増えているところもある。特に学問分野別で見たとき、保健のみは大幅な減少がありましたが、ほかの学部等では余り減少が起きてない。むしろ増えているところもあると、こういうことが起きております。
 それで、保健とそれ以外の違いということで、それを示すために、3ページの概要図表3では、保健に絞って教員の活動時間割合の変化を示しております。これを見ますと、2002、2008、2013と一様に研究時間割合が減っている。その分、社会サービス・その他、すなわち診療活動等の割合が増えている。特に、その下の方のグラフで職位別に見ますと、若手であります助教のところが大幅に診療時間割合が増えていることが示されております。
 次のページに参りまして、理工農系ですけれども、こちらに関しましては、2008で研究時間割合が減少しましたが、2013にかけては、わずかでありますが、その割合が増えています。ただ、これは上がったといって喜んでいいというわけではなくて、2002年から見ると減少した状況が続いていることではあります。
 次に5ページに参ります。概要図表5ですけれども、先ほど、任期付きのデータが出ておりましたけれども、この調査でも、任期のある教員、ない教員に分けて活動時間割合を調べております。これを見ますと、任期ありの教員の方が研究時間が多いという傾向が出ております。それから、下の方のグラフはもう少し詳しく、教育専任の方とか研究専任の方とか、そういった内訳も調べて、研究時間割合等を調べております。
 次に参りまして6ページですが、それでは、こういった研究時間の減少とかいうことが起きている中で、一体それがどういう背景で起きているのかとか、それから、それが研究パフォーマンスにどう影響するのかということを探る手掛かりとして、2013年調査では、研究時間を増やすための有効な手段と研究パフォーマンスを上げるための有効な手段という2つのことについて質問しております。それぞれの質問に関して、17の同じ選択肢を用意しまして、それぞれ2つ、1位のものと2位のものを1つずつ選択してもらうという調査になっております。
 これで、上の方のグラフ、研究時間を増やすための有効な手段ですけれども、1位と2位、合わせて、回答者の60%の方が、研究時間を増やすためには、「大学運営事務・学内事務手続きの効率化」が一番有効であると答えています。2番目に回答割合が多かったのは、「教育専任教員の確保による研究活動の負担の低減」、3番目が「事務従業者の確保」となっております。
 次に、研究パフォーマンスを上げるための有効な手段、下の方のグラフに移りますと、これにつきましても、「大学運営業務・学内事務手続きの効率化」というのを挙げた方が一番多いのですが、その割合は、さきのグラフに比べると下がります。その分、左側の17の項目を3つのカテゴリーに分けておりますけれども、特にその真ん中の部分が研究関連人材に関する選択肢なんですけれども、そこの部分が増えております。中でも、その中では下から2つ目、「研究補助者・技能者の確保」というのが高い割合を示しております。
 それから、3つ目のカテゴリーである研究基盤のところで、「研究の継続性に配慮した研究資金制度」というのも比較的高い回答割合を得ているということが言えるかと思います。
 概要図表7ですけれども、先ほどの6ページの図は日本の大学全体の平均の値ですので、属性ごとの違いを見る必要があるということで、こちらではもう少し内訳を見ております。
 まず、大学グループ別といっておりますけれども、第1グループ、第2グループ、第3グループ、第4グループとありますけれども、これは単純に研究論文のシェアが大きく、5%以上あるような4つの大学が第1グループ、第2グループはそれに続くようなグループということで、これはほとんど研究の規模で分けているようなものです。これで見ますと、研究パフォーマンスを上げるために有効だと考えられる手段ですが、第1グループでは、真ん中ぐらいにあります「若手研究者(ポスドク等)の確保」というのを挙げている方が一番多い。ところが、第2グループから第4グループの方に関しては、「大学運営事務・学内事務手続きの効率化」ということを回答している方が多いというふうに、比較的規模の大きい大学では、学内事務の効率化というよりは、むしろ若手研究者がいた方がいいという違いが表れております。
 それから、右側、職位別で見ますと、一番上の「大学運営事務・学内事務手続きの効率化」に関しては、教授、准教授、講師といった、どちらかといえばシニアな方に関しては、そこを挙げる方が多いですが、一番若い助教の方に関しては、「研究補助者・技能者の確保」というのを挙げる方が多い、こういう結果になっております。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。大分情報が多いと思いますが、この2つの報告に関して、何か御意見、御質問ございますか。よろしいでしょうか。どうぞ、角南先生。

【角南委員】
 富澤さんにちょっとお伺いしたいんですけど、FT Equivalentsのサーベイをされて、OECDのなかで日本がどういう状況にあるのかお伺いします。

【富澤科学技術・学術基盤調査研究室長】
 ちょっと説明が難しいんですけれども、そもそもFTEを測定するための調査というのは、ほかの国がむしろ先行して、日本が一番遅れていたんですが、日本は後発の優位といいますか、後から調査をやったので、このように活動内容がよく分かる調査というのは、余りほかの国ではやられてないという状況です。
 ただ、この結果をほかの国の方に見せると、びっくりしまして、皆さん、2002から2008の間にこんなに変化が起きたのかと。ただ、日本では、その時期、国立大学の法人化をはじめとする大きな変化の時期だったので、そういうことを説明すると、何とか納得してもらえる状況です。御質問の日本の状況ですが、すごく大きな変化があったということでは、各国の中でも特異な状況かと思います。

【濵口主査】
 ほか、ございませんか。医学系ではリアルにあるんですけど、診療時間が物すごく増えていますね。それと反比例で、発表論文が急速に減っています。法人化以降、ぐっと減っている状況があります。競争力がちょっと落ちているというのは、はっきり見えます。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、最後に参考情報として、総合科学技術・イノベーション会議や産業競争力会議における最近の検討状況を、資料5により事務局から報告いただきます。

【松尾振興企画課長】
 先ほどもちょっと触れましたけれども、資料5について御説明申し上げたいと思います。
 まず、(1)、先ほども出てまいりましたが、CSTIの専門調査会での検討状況でございますが、もう一度、通しページ番号での22ページをお開けいただきたいんですけれども、先ほどの御議論で、この記載内容も含めて1つ補足をさせていただければと思うのですが、通し番号の22ページのところに、丸の2つ目のところに、使い勝手の向上のところで、「使い勝手の改善やシームレスな接続について、更に検討を進め、対応可能なものから速やかに実行していく」と。CSTIは、今、こう考えているんですけれども、実際、文科省も、ある意味、その方針に沿って一緒にやってきているということなんですけれども、先ほどの有信先生からの御議論、御提言を踏まえると、やはり対応可能なものからやっていくということもそうですし、その意味でバグをつぶしていくという、そういう作業もすごく大事なのですが、全体的、中長期的にどこに向かってこの改革をしていくのかという、ある意味、理念というものを少し内閣府とも相談をしていかなければならないのかなと、先ほどの御議論を聞いて思っておりまして、可能であれば、少し考えさせていただいて、可能ならばこの検討回でもお諮りさせていただければなと思った次第です。
 戻らせていただいて、具体的には、通し番号の24ページを開けていただいて、先ほど触れたところなんですが、2つ目の白丸で、「具体的には」というところでCSTIの方向性が書いてありまして、繰り返しになりますけれども、(1)のところに、間接経費の適切な措置の話、使い勝手の改善の話、(2)のところで民間からのものについての間接経費の措置、現時点では「柔軟な対応」という言い方ですけれども、ということ。3番が、PIへの人件費の措置の話。(4)が若手人材の雇用の在り方、テニュアトラック制の徹底。(5)がシステム改革を持続的に行うにはどうしたらいいのか。(6)が、研究費の過度な集中というのがあるのであれば、どうしたらいいのかという、そういう論点が提示をされておりまして、文科省、私どもといたしましては、この検討会で整理をいただいている論点とほぼ共用していただいているのかなと現時点では思っている次第であります。
 次に、産業競争力会議でございますが、通しページの33ページを開けていただきたいのですが、先週木曜日、約1週間ほど前に、産業競争力会議の下で、橋本先生が主査をされておられるワーキンググループがありまして、そのワーキンググループに文科省から、競争的資金で言えば常盤局長なのですが、局長レベルから文科省の検討状況を報告した資料が、この33ページから始まっている、これは競争的研究費の部分ですけれども、その資料でございます。ここについて、今までこの検討会で御検討いただいてきた内容につきまして、産業競争力会議のワーキングで御報告をさせていただいたということであります。
 産業競争力会議側がどうかということなのですが、通しページの58ページが、先週木曜日の産業競争力会議の下のワーキンググループでの橋本主査が提出されたペーパーでありまして、2.に「競争的資金等との一体改革」ということで、この検討会との関係のことが書かれております。
 (1)でありますけれども、既に文科省内で検討の場が設けられているということで、この検討会を指しておられるんだと思いますけれども、もちろん高等局のやつもありますけれども、年央までに結論を得るべく検討を一層加速させることが必要だということと、(2)で、中身の話といたしまして、間接経費の話、直接経費の使途、要するに、人件費等への柔軟化の話が前面に位置付けられておられるのと、それから、(2)の最後の方で、運交金と間接経費の使途・使用実績の透明化などを整理することが必要である、こういうことも書いていただいております。
 (3)、システム改革事業の継続性の話も論点として挙げておられます。
 ちょうど1枚おめくりいただいて、右側の、通し番号で言いますと61ページのところに、同じワーキンググループ、先週木曜日のワーキンググループで、CSTIの議員である原山先生が出されたペーパーもここに付けさせていただいております。ただ、原山先生のペーパーはCSTIとしてですので、先ほど御紹介申し上げた専門調査会の議論をベースとした内容になっていると勝手に思っているのですけれども、61ページの下のところに書いてございますが、運交金の役割を明確にしつつ、以下のような改革を速やかに実行するとともに、その進展を前提として、研究資金の改革を進めていくことが重要だという認識が書かれております。黒ポツで3つほど、大学改革としてやるべきことが書かれた上で、具体的にはということで62ページの方なのですが、それを前提とした上で研究費の改革の方の話といたしましては、(1)の2行目ですが、使い勝手の改善、間接経費の適切な措置、(2)のところで、財源の多様化の促進、民間資金に対する間接経費について柔軟に対応、(3)でPIへの人件費の措置、(4)で若手人材、(5)でシステム改革の継続性の話、(6)で研究費の過度な集中があれば、それへの対応という、先ほどの専門調査会の論点と同じ論点が挙げられている。
 最後、62ページの一番下のところでございますけれども、文科省における、この検討会、競争的資金等の検討状況って、この検討会のことを指しておると思いますけれども、その状況を見ながら、CSTIとしても検討を進められて、第5期の策定に反映させていくと書いていただいておりまして、文科省といたしましては、トータルとしてCSTIや産業競争力会議と方向性をうまく何とか共有しながら、今、検討を進めている状況にあるかなと受け止めております。
 今後とも、事務レベルはもちろんですけれども、よくCSTI等々、調整、相談をしながら、方向性をしっかり共有して、1つの出口といいますか、1つの検討の出口に向かって、余りばらけることのないように検討が進むように、しっかり事務局として取り組んでいきたいなと思ってございます。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。この件、何か御意見、御質問ございますか。橋本先生、コメントございませんか。

【橋本委員】
 特にありませんが、どういう構造になっているかと整理いたしますと、産業競争力会議としては、文部科学省に大学改革の話と運営費交付金の一体的改革を進めてくださいという依頼をしております。一方、CSTIに対しては、競争的資金改革の方向性を検討してくださいというお願いをしております。そして、今年の6月に予定しております成長戦略に書き込むためにも、それらを年央までに行っていただきたいというのが産業競争力会議の立場であります。
 一方、CSTIの議員としての立場で申し上げますと、それを受けてCSTIとしては、競争的資金改革について議論を進めているところであります。また、私はこの会議のメンバーでもありますので、ここでの議論というのは、もちろんCSTIにしっかりと伝えているところであります。CSTIとしては、それを競争力会議に戻すと同時に、ここに書いてありますように、科学技術イノベーション総合戦略、これは成長戦略と一緒に6月に作られる予定のものですけれど、これに反映するとともに、現在策定を進めております第5期の科学技術基本計画の中にしっかりと書き込むということでやっております。文部科学省も事務局としてしっかりと、内閣府、内閣官房の方ともやっていただいておりますし、それから私自身もこれらの会議に入っておりますので、ここでの議論をできるだけ反映すべくやっているところであります。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
 以上で、きょう準備した議題は終わりましたが、ほか、よろしいでしょうか。
 なければ、以上できょう準備した議題は終わりましたので、きょうの会議はこれまでとさせていただきたいと思います。
 最後に、事務局から第5回会議の予定について連絡をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 恐縮でございますが、参考資料5で、最後、1枚紙で今後のスケジュール、あくまでも現時点の見込みでございますが、これを配らせていただいております。次回は4月28日の午前中ということでお願い申し上げたいと思いますし、次回、次々回以降の日程をそこに書いてございます。先ほど、橋本先生からも科学技術イノベーション総合戦略でございますとか、そういう話もございましたので、政府全体の動きの中で、この検討会がしっかりアウトプットを、大変苦しい日程で恐縮ですけれども、出していただきたいということで、現時点では6月10日を目標に中間取りまとめの御審議をいただけるように事務局としても準備を頑張っていきたいなと思ってございます。もちろん予備日もございますので、状況に応じて臨機応変には事務的にも対応していきたいと思っておりますが、とりあえず、このような予定を考えてございます。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。6月上旬には中間取りまとめをきっちり出したいと思いますので、大変お忙しい中、恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、きょうの検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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