競争的研究費改革に関する検討会(第2回) 議事録

競争的研究費改革に関する検討会(第2回)議事録

1.日時

平成27年3月4日(水曜日)17時00分-19時00分

2.場所

東海大学校友会館「望星の間」(霞ヶ関ビル35階)

3.議題

  1. 競争的研究費改革に関する検討会の検討対象について
  2. 関係者からの意見聴取について
  3. その他

4.出席者

委員

濵口主査、大垣主査代理、有信委員、井関委員、、上山委員、佐藤委員、角南委員、知野委員、橋本委員、藤巻委員、若山委員

文部科学省

常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、義本大臣官房審議官(高等教育局担当)、村田科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、松尾振興企画課長、豊岡高等教育局国立大学法人支援課長、行松基礎研究振興課長、鈴木学術研究助成課長、中野振興企画課学術企画室長、髙山振興企画課競争的資金調整室長、岩渕基礎研究振興課基礎研究推進室長、前澤学術研究助成課企画室長 

オブザーバー

日本経済団体連合会永里産官学連携推進部会長、続橋産業技術本部長、科学技術振興機構中村理事長、日本学術振興会勝木学術システム研究センター副所長、村松学術システム研究センター副所長

5.議事録


【濵口主査】
 お時間ですので、会議を開始させていただきたいと思います。競争的研究費改革に関する検討会、第2回でございます。委員各位におかれましては、御多用中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、議事に先立ちまして、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 配付資料の確認をさせていただきます。一番上に議事次第が乗っておりまして、それから資料1から資料6まで、そして参考資料の1、2というものがございます。そして、ファイルにとじておりますが、これは前回の配付資料、もう公開されておりますけれども、その資料をまたデータ集を含めまして、そのままファイル化して机上資料として置かせていただいております。不足がございましたら、途中でも結構ですので、お教えいただければと思います。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。本日は、議事に入る前に、前回、検討会において委員から御要望がありました大学改革の検討状況について事務局から説明をしていただこうと思っております。本検討会の直接のスコープの範囲ではありませんが、前回もかなりこの問題に関しては議論があったところで、競争的研究費を議論する際に、大学改革の検討状況を共有しておくことは有益であると考えておりますので、参考までに、まず御紹介させていただくものであります。
 それでは、説明をお願いいたします。

【義本大臣官房審議官】
 失礼いたします。文部科学省高等教育の担当審議官の義本と申します。よろしくお願いいたします。
 クリップを外していただきまして、参考資料1というのを用意しておりますので、それに基づきまして、前回の会議でお話がございました大学改革の現状、後ろの方でございます。高等教育局提出資料となっている資料でございますが、横のパワーポイントのスライドの資料でございます。失礼いたします。
 それで、前回の中においては、大学改革の状況、それから運営費交付金の今の状況も含めまして、この資料に基づいて御説明させていただきたいと存じます。よろしくお願いいたしたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、国立大学の法人化以降の流れでございます。現在、第2期の中期目標期間の27年度は最終年度ということになっておりますけれども、この期間、平成25年に今後の国立大学の機能強化に向けての考え方というのをお示しさせていただきまして、各86大学、それぞれについての学部ごとにミッションの再定義というのをやらせていただきまして、それにより各大学の強み、特色というのを明らかにし、第3期に向けて改革を進めていこうという内容でございます。
 2ページにその概要がございます。真ん中の方に書かせていただいておりますけれども、自主的・自律的な改善・発展を促す仕組みの構築。第3期におきまして、国立大学法人運営費交付金や評価の在り方につきまして、平成27年度までに検討し、抜本的な見直しをしていこうという内容でございます。特にポイントは、この真ん中の方にございますように、学長のリーダーシップによりまして、より強み、特色を盛り込んだ中期目標、中期計画に基づきまして、組織の再編、あるいは資源配分の最適化を図っていただこうと。
 特に各大学においての機能強化の方向性ということで、ここにございますような3つの観点をお示しするとともに、当面の目標としまして、ここにございますように、第3期におきましては教育研究組織や学内資源の配分について、強み、特色に基づきまして恒常的に見直しをしていくような環境を作っていこうということでございます。特に全学的に理工系、人文系、等しくその見直し、環境を作っていくということでございます。
 めくっていただきまして3ページでございます。その見直しの流れということでございます。この吹き出しにございますように、文科省におきましては有識者会議を昨年の10月に設置いたしまして、平成27年の年央までに一定の結論を得るという形で、それによりまして平成28年度以降の予算ですとか中期目標についての対応を図っていこうという内容でございます。
 ここから、特に運営費交付金の現状について4ページ以降でお話しさせていただきたいと存じます。4ページについては、算定方法ですから省かせていただきます。
 予算額の推移というのが5ページにございます。前回の会議でもございましたように、法人化以降、運営費につきましては毎年1%程度削減して、その積み上げで大体1,300億円強の減になっているという状況でございます。
 6ページを省きまして7ページでございます。86大学につきましては財務状況が異なります。ここの青いところで運営費交付金の収益、学生納付金、附属病院、それから外部資金の状況についてでございますが、こういう形で、費用、収益にとりましても財政構造が違っているということでございます。こういう点も着目しながら、どういう形で資源の再配分、最適化を図っていくかという課題でございます。
 8ページが運営費交付金、基盤経費をめぐる現状でございます。先ほどごらんいただきましたように、運営費交付金につきましては大幅な減になっているということでございます。特に対象経費をごらんいただきますと、その状況がより明確になるところでございます。平成16年と平成25年を比較したものでございますが、上の方がいわゆる運営費交付金、学生納付金、雑収入ということでございますが、全体としてこれだけ減っている。下の方の対象経費というのは、この収益合計の入りの方に対応した形でどれだけの対象にお金を充ててというか、費目でございますが、ピンクの教育経費から、いわゆる承継職員の提出しますテニュアの人件費、それから支援経費、一般管理費、水道光熱費、その他としているところでございますが、上の括弧書きをごらんいただきますように、水道光熱費、一般管理費の削減、合理化は取り組んでいただいておりますけれども、光熱水道費の単価と電気代も含めて、より支出が上がっているという状況でございます。
 それから、基盤的経費を支えますテニュアのポストでございますが、入りのピンクの方の平成25年をごらんいただきますと8,759億円でございますが、それに対応する緑の平成25年を見ていただきますと8,881億円ということで、出の方が多いということで、運営費交付金だけでは人件費が賄い切れないという状況も見えるところでございます。
 その他の経費、この資料でいいますと、右端の濃い青いところでございます。この中には、いわゆる基盤的な研究に充てるための経費ですとか、マネジメントの強化とか、研究力の向上のインフラ整備、あるいは若手の研究者支援ということにも使っているわけでございますが、平成16年が633億円でございましたのが261億円という形で大幅に減になっているということでございまして、この点もかなり課題になっているところでございます。加えまして、平成26年以降につきましても、今後電力代が値上がりするということが見込まれておりますが、高熱水料の単価の増の改定、あるいは電子ジャーナルの経費の増、消費増税への対応、あるいは人事院勧告への給与増等、さらなる支出増が見込まれる中において、ますます厳しい状況が見られるところでございます。
 めくっていただきまして9ページでございます。基盤経費と併せて、それを支えます競争的資金ですとか、あるいは受託・共同研究費等の教育研究資金についての現状を見ているところでございます。外部資金の受け入れの推移をごらんいただきまして分かりますように、大幅には増えているところでございます。
 一方、間接経費、これはサンプリングとして17大学につきまして、ちょっと小さい字でございますけれども、比較的多くこの資金を獲得している大学の17をサンプリングしまして、その合計をしたところでございます。左の方が直接経費、青いところが科研費、科研費以外の競争的研究費、それから緑が受託・共同研究費ということでございますが、直接経費に対応しまして、この右の方が間接経費ということでございます。間接経費につきましては、特にピンクの部分、科研費を除く競争的資金全体として間接経費は大幅に減少している。これは民主党政権時代の事業仕分けということも、1つの影響の要因かと思っているところでございます。
 それから、併せてでございますが、教育研究の資金の受け入れ増に伴いまして、受け入れ側のインフラの整備、例えば資料ですとか、あるいは施設・設備の運転もそうでございますが、そもそも研究のマネジメントですとか知財の管理等々、インフラの基盤を整備することが必要になってまいりますが、教育研究を行うに当たりまして必要となるインフラの基盤整備が、先ほどもごらんいただきましたように、その他経費が落ちている中において、かなり大学においても頭を抱えているという現状でございます。
 それから、ここには資料としてはございませんけれども、特に大学においては教育研究資金を一定の5年とかの形で予算の期限がございますが、予算措置が終了後の対応ということで、本来であれば運営費交付金の中で財源を捻出するということが筋でございますが、それがなかなか先ほど見ていただきましたように困難だという状況にあるところでございます。
 いずれにしましても、インフラの環境整備、あるいは終了後の話も含めまして、研究コストをどういう形で分担し、誰が分担していくのか、この点が運営費交付金の問題と競争的資金の問題、非常に大きなポイントになっているところでございます。この背景全体としましては、大学が地域とか産業界への社会還元を見越してどういうビジョンを学長を中心に作っていくのか、それが前提になるところでございますが、その点についても御議論をいただければありがたいと思っているところでございます。
 10ページ以降が、戻りまして運営費交付金の見直しの状況でございます。先ほど申しましたような検討会で検討の論点整理をまとめたところでございます。10ページにございますように、国立大学の果たすべき役割ということで確認した上で、11ページでございますけれども、基本的な見直しの考え方ということを押さえているところでございます。
 1つ目の丸は、運営費交付金につきましては、着実に展開する基盤的な経費であることが前提でございます。財政状況が厳しい中でございますけれども、その総額をいかに確保していくのかということについては、文科省としましても政治も含めた社会的な理解、あるいは支持も頂きまして、その確保ということを最重要課題として取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 その上で、2つ目以降でございますが、外部資金の獲得によりまして資金の増額を得られた場合においても、運営費交付金を減額せずに増収の努力を考慮していくということ。
 それから、3点目にございますように、各大学の強み、特色を踏まえた機能強化をさらに進めていくために、一定の比率について係数を設けて財源を確保して、その上で各大学の機能強化の方向性、あるいは特定課題の対応ということで、改革について重点支援を行っていくというふうな仕組みを整えたいと思っているところでございます。
 4つ目の丸にございますように、ガバナンス改革によりまして、学長のリーダーシップをしっかり確立してビジョンを明らかにしていくということがベースでございますけれども、それを予算面で支えるという観点から、運営費交付金の中に学長の裁量により学内の資源の再配分を行うための経費の区分を新たに設けるということでございます。
 12ページがその申しましたような機能強化の方向性への重点支援、それから、学長のリーダーシップによる学内の資源の再配分を行うための係数の在り方について示しているところでございます。
 めくっていただきまして13ページでございます。機能強化の方向性の重点支援の仕組みということについてでございます。先ほどごらんいただきましたように、3期においては3つのお示ししたような改革の機能強化の方向性に応じた形で、きめ細かく支援していくという観点から、予算の重点支援の枠組みとして、この下の升にございますような3つの区分のカテゴリーを設けて具体的な重点支援を行っていこうということでございます。
 地域活性化・特定分野の重点支援を行う大学ということですと、特定分野の重点支援を行う大学、それから世界最高水準という形でございますが、あくまでも重点支援の枠組みでございまして、これは機能を大学ごとに分類するものではございません。あくまでも各大学の実質的な取組を、その重点を置いて支援するための枠組みとして設定するものでございます。右にございますような評価指標について今後さらに詰めた上で、各大学の強み、特色がしっかり生かされて取り組んでいくような支援の仕組みということを考えていきたいと思っているところでございます。
 5番は、先ほど申し上げましたような、学長の裁量経費の新設のところの章でございます。
 以上、今後3期の6年間を通じましての取組ということで、先ほど、冒頭申し上げましたように、年央に一定の考え方を検討会でお求めいただいて、それに基づいて進めていこうと思っているところでございます。現状においては、こういうふうな検討会の検討と併せまして、各大学の学長先生に来ていただきまして個別に意見交換をさせていただいて、その中での御要望、御指摘等も踏まえながら、さらに検討を進めていきたいと思っているところでございます。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。まず、先ほど申し上げたことと関連しますが、本検討会の検討対象を明確にするため、事務局に資料を作成していただきましたので、これについて事務局より、まず説明をお願いします。
 また、前回の会議で議論の一部となりました若手研究者のデータについても、併せて事務局から説明をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 資料があっち行ったりこっち行ったりで恐縮でございますが、議事次第のすぐ後ろについてございます資料1をごらんいただければと思います。A4横の1枚紙でございます。数学のベン図みたいな形になっているものでございます。座長の御指示がございまして、このような紙を作ってみました。左側の黄色いところが、この検討会で議論をいただいております競争的研究費改革における論点。まず、欄外、下に書いてございますが、ここに書いてある論点というのはあくまでも例示でございますけれども、黄色の部分が研究費改革における論点でございます。右側の青いところが、大学改革における論点ということであります。その重なったところが重なった色になっているということでございます。
 一番左の黄色のところから重なったところ、ここが赤で囲っておりますけれども、この検討会の検討対象かなと思っております。一番左の黄色のところでございますが、競争的資金の定義の再整理と、これとある意味同じカテゴリーというか、同じ意味にもなりますけれども、全てのいわゆる競争的な研究型経費に対する間接経費の措置というものが大きな論点かなと。
 そして3つ目、競争的研究費の充実とその使いやすさの向上のための方策。そして、一層の可視化と事業間のシームレスな連携のための方策というものが、主なユニークな論点としてあり得るかなと。まず右に行きまして、大学改革における論点というところ、これは今御説明がございましたとおり、主に運営費交付金を中心としたところに幾つかの論点があるのかなと思っております。
 そして、重なったところでございますけれども、1つ目のキーワードが若手研究者でございます。その安定的なキャリアパスでありますとか、チャレンジを促す環境整備をいかにするのかということ。そして、2つ目が施設・設備の共用化をどう促進できるのかということ。3つ目が、システム改革をどう持続可能にやっていけるのかということ。そして、4つ目、その他。こういったところが主なところかなということであります。
 この重なったところにつきましては、この検討会でも御議論いただきまして、この前御紹介申し上げましたけれども、副大臣にヘッドになっていただいております省内タスクフォースで一体的改革の議論をする中で持ち帰らせていただいて、全体で整合化を図った上で、ここにまたフィードバックというか、お諮りさせていただく。真ん中につきましては、そういうような扱いをさせていただければなと思っております。資料1は以上でございます。

【濵口主査】
 資料2もお願いします。

【片岡科学技術・学術政策局人材政策課長】
 続きまして、資料2、若手研究者に関するデータでございます。1ページをおめくりいただきまして、1ページ目、これは博士号取得者の卒業後の状況でございます。左側の棒グラフが年ごとの推移で、大体毎年1万5,000人から1万6,000人の修了者がございますが、そのうちの一番下の水色の部分が就職した方、大体7割弱になります。その内訳を示しておりますのが右側の円グラフで、大学教員、医師等がそれぞれ4分の1ずつぐらい、研究者等になる方が44%、その他、研究以外の方が8%という状況でございます。
 2ページ目でございますが、左側のグラフが大学本務教員の年齢階層構造でございます。赤い線が39歳以下の若手教員の割合でございます。1986年には40%近くありましたけれども、現在では25%ぐらいまで下がってきていると。それに対して、50歳以上の教員の割合が増加傾向であるということでございます。右側のグラフが異動状況を示していまして、年齢ごとの異動状況でございます。採用、転入、離職でございますが、25歳から30歳未満をピークに、年齢が上がるにつれて異動者数の割合が減少するということで、若手教員の流動性は高いが、シニア教員の流動性は低いという状況でございます。
 3ページ目でございますが、ポストドクターの主な雇用財源を示しております。円グラフの右側の方の点線で囲っております部分が競争的資金、あるいはその他の外部資金ということで、この部分が42.9%ということになっております。その他の財源では、運営費交付金等の自主財源が33%といったところが大きくなっております。
 最後、4ページ目でございます。こちらの方は研究大学(RU11)を対象にしまして昨年末に調査させていただいたデータでございますが、任期付きの教員、任期なしの教員について、雇用財源を平成19年度と25年度と比較したものでございます。青い部分が基盤的経費、赤い部分が競争的資金、緑の部分がその他ということでございます。これを比較していただきますと、25年度のような赤丸で示しておりますように、任期なし教員のポストのシニアの部分が増えているということ。それから、若手の部分が減っていること、それから、任期付きの方については、若い方の増加が顕著であるということ、任期付きの雇用財源は競争的資金等の外部資金の割合が増加しているという状況が見てとれるかと思います。
 簡単でございますが、以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。確認のため、もう一度よく資料をよく見ていただいて、なるべく本検討会の検討対象のところから議論がずれないように、今日はお願いしたいと思っております。
 それから、若手研究者、前回御指摘ありましたが、やはりかなり厳しい状況にあるということはデータで御理解いただけたかと思います。
 それでは、本日は関係者の方々からの御意見をお聞きするということで、まずは産業界から、日本経団連の永里産官学連携推進部会長にプレゼンテーションをお願いしております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。それでは、短い時間で恐縮ですが、10分ほどでお話をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【永里産官学連携推進部会長】
 ありがとうございます。経団連の永里です。机上にお配りしました資料に沿って説明いたします。資料3です。競争的研究費改革に関する検討会ということで、競争的な研究費の在り方を中心に、ひいては産業界からの大学への期待といったお話をいたします。本日は、議論の活発化のためにあえて先鋭的な提案もさせていただきますが、本日の提案が今後本検討会での議論のたたき台となればと思ってのことですので、御了承願います。
 表紙をおめくりいただき、1ページをごらんください。まず産業界としての基本的な考え方をお話しいたします。産業界といたしましても、大学への運営費交付金が毎年減額されているなど、財政的な厳しさは数字も出ていますから十分に理解しております。その上で、ここであえて投資先という言葉で書かせていただきましたが、共同研究や寄附講座による産学連携の相手として大学が魅力的な特色ある機関となることを大いに期待しております。
 このため、競争的資金と基盤的経費の一体的な改革が必要不可欠であることを申し上げたいと思います。こうした改革によって3類型に従った大学の機能強化、様々な学際領域におけるイノベーションの創出、研究成果の有効活用などが実現できると考えております。
 ここからは競争的資金と基盤的経費の具体的改革の中身についてお話をいたします。2ページをごらんください。競争的資金の改革。制度全体を俯瞰した、競争的資金制度全体の戦略的な再編が必要です。学際領域、融合領域の分野への誘導に向けて科研費制度の大くくり化、科研費の採択結果を活用した研究成果の可視化などを実行すべきです。
 科研費について申し上げます。科研費制度における過度の細分化が学問領域の細分化につながっているとの指摘があります。科研費を大くくりすることで、学際領域、融合領域などの新たな学問分野への誘導を可能な仕組みにすべきです。科研費による研究成果が見えないとの指摘があります。科研費の採択結果を活用し、研究成果の可視化及び国際的研究者ネットワークの構築につなげるべきだと思います。
 3ページをごらんください。競争的資金の改革について。制度全体について。科研費などの純粋基礎研究の成果を目的志向型基礎研究へと展開する際、その初期段階から決め打ちの大型ファンディングになっているものもあります。初期は少額にして量の充実を図り、その後、ステージゲートを設けて、徐々に対象を絞る仕組みを導入すべきだと思います。現状、産業界が期待する分野と大学や研究開発法人が興味を持つ分野に乖離があります。分野のマッチングを図る仕組みの導入を期待します。イノベーションは組織で起こすものと思います。現在、研究者個人へのファンディングが中心なところですが、特に研究開発法人を中心に組織向けのファンディング制度を充実させるべきだと思います。様々な競争的資金の役割を明確化し、相互連携させることで、競争的資金制度全体を基礎から応用・実用化までシームレスなものにすべきです。会計処理や繰り越し手続等の簡略化・標準化を図り、研究者の負担を軽減すべきです。科研費では大幅に改善されたとの指摘があります。
 基盤的経費の改革について申し上げます。学生数や職員数などにより機械的な配分がなされていた基礎的経費を、学長のリーダーシップによる機能強化や改革を進める大学に対して重点配分できる仕組みにすべきだと思います。
 運営費交付金について。運営費交付金の三、四割を教育、研究、地域貢献といった大学の機能別の評価に応じて配分できる仕組みとし、「競争的性格」を持たせて大学改革のインセンティブにすべきです。学長のリーダーシップによって機能強化や改革を進める大学に対して重点配分をすると。年俸制やクロスアポイントメント制度の本格導入、混合給与の活用などにより、運営費交付金の約9割を占めている人件費の割合を下げた大学へ重点配分し、大学の裁量余地を拡大するということを考えております。
 基盤的経費の改革について申し上げます。5ページです。人件費について。研究の担い手として若手研究者の雇用の安定化は重要です。民間の事例を踏まえ、人件費削減のため、例えば役職定年制の導入などを実施してはどうかと思います。民間においては、例えばの話ですが、55歳で役職定年とし、後は給料が下がって60歳まで勤めると。60歳以降は再雇用で65歳まで勤めるというような仕方で人件費を削減していると同時に、若手を登用しております。
 6ページをごらんください。最後に、競争的資金と基盤的経費の一体的な改革に向けて、参考として、我が国同様、財政難の英国の大学における資金制度について紹介いたします。英国の資金制度については2013年3月に経団連として調査ミッションを実施して、私も団長として参加してまいりました。
 イギリスにおける大学への交付金は、運営費交付金と日本の科研費に当たる研究助成金に分かれており、それぞれの配分を決定する組織が、いわゆる日本で言う文科省から独立しており、独立性を持っております。運営費交付金は学生数などに応じて機械的に配分する教育交付金と、学部単位で研究業績を評価した結果に応じて傾斜的に配分する研究交付金の2つから構成されております。運営費交付金全体の約4分の1が競争的に配分されており、およそ9割が非競争的で機械的な配分がなされている日本とは大きく異なっております。
 なお、研究交付金や研究助成金の配分に際しては、研究の社会、経済、文化へのインパクトが考慮されており、企業や自治体との連携へのインセンティブとなっております。この資金制度導入の後、企業や自治体との連携強化などに重点的に取り組む動きが顕著になったとの話を、調査ミッションで実際に伺いました。
 紹介した英国の例を1つの参考としていただき、今後、国立大学に対してもある程度の競争原理を導入することによって、冒頭申し上げたように大学が魅力的な特色ある機関となることを期待しております。私からは以上です。御清聴ありがとうございました。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、永里部会長はこの後退席されると伺っておりますので、ここで一旦質疑に入りたいと思います。10分程度の質疑を行いたいと思いますが、御自由に質問、御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。ございませんか。
 どうぞ。

【若山委員】
 よろしいですか。今の英国の運営費交付金の研究交付金というところなのですけれども、日本の科研費だと3分の1弱の採択となっていますけれども、この研究費交付金というのは大体どういう感じの配分に結果としてなっているのでしょうか、英国の場合は。ある程度安定的なのか、かなり競争的なのかということですけれども。

【永里産官学連携推進部会長】
 これは、配分決定者としての英国高等教育財政カウンシルがやっていて、この部分に関しましては、常に競争的にやっているというふうに聞いております。研究成果の評価を基に算定していますので、その点において競争的であると。

【若山委員】
 どうもありがとうございます。

【濵口主査】
 どうぞ、有信委員。

【有信委員】
 競争的資金、基盤的経費についての産業界の基本的な考え方を示していただいたと思っていますけれども、例えば今一番競争的資金の中で問題にしようとしていることの1つに、いわゆる間接経費の問題があります。間接経費についてのお考えを併せてお聞きできると。というのは、競争的資金制度に対して、産業サイドは間接経費30%を取るべきだという主張をもともとしていたように記憶しています。
 これの一番の根拠は、ドクターコースに行くような学生が経済的な理由で進学を諦めるというようなことがないように、基本的にはアメリカで行われているように、様々な経済的援助にも使えるようなフリーハンドのお金を持つべきであると。これは、学生が集まるような非常に優秀な先生のところに競争的資金が集まって、したがって、そこで間接経費を使うということも考えていたように思うのですが、現在、どういうふうにお考えでしょうか。

【永里産官学連携推進部会長】
 御存じのとおり、実はアメリカにおいては米国のファンディングエージェンシーと大学が間接経費についてネゴしていて、例えば50%以上間接経費とかいうようなことが行われているのです。それに比べて、日本については、そこまでぎりぎりするようなことが今までなかったので、これは非常に言いにくい、つかみとして30%というような感じで言っているような感じですね。だから、とりあえず30%の間接経費にしようかという、1つの考えです。
 あと、これが熟してくると、本当はもっともっと積み上げて、大学の側でももっとたくさんしてくれとか何とかということが言えるのではなかろうかと思うのですが、そういう実績がまだないと思いますので。

【有信委員】
 それで例えば間接経費というか、競争的資金の中に産業界から出るようなお金もあるわけですね、いわゆる共同研究費だとか、委託研究費だとか。そういう部分についても、当然間接経費については考えているという理解でいいのですね。

【永里産官学連携推進部会長】
 そうですね、ケース・バイ・ケースで考えたいと思いますけれども。当然間接経費が必要であるということは分かります。

【濵口主査】
 是非そこをお願いしたいと思います。高熱水料から、リスク管理から、全て自前でやっておりますので。

【永里産官学連携推進部会長】
 はい。

【濵口主査】
  ほか、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。

【佐藤委員】
 どうもありがとうございました。簡単な話を質問させていただきたいのですけれども、3ページに書いていることですが、大型ファンディングになっているものもあると、初期段階からそうなっていると、このあたりが具体的なことがよく分からないのですけれども、基礎研究から目的志向に移るときに実際このようなことが起こっているか。私、よく知らないので、1つ、教えていただければありがたいと思います。
 それから、4ページでございますけれども、下の方に人件費の割合を下げた大学への重点配分というのをおっしゃっていただいております。混合給与をしますと、確かに減るときもありますけれども、逆に研究を強化してもらうために呼んだ場合は、自分の方からまた混合給与を払わなければなりません。そういう意味では、混合給与は純粋に人件費を下げるということではないと思うのですね。まさに研究の内容とか、そういうことを、改革を進めることによってしなければ、やはり人件費削減というのは難しいのではないかと思うのです。
 それから、次の5ページですけれども、役職定年、これもなかなかのアイデアだと思いますし、そういうことをしている大学もあるわけでございますけれども、最近私たちは、文部省のいろいろな指導もありまして年俸制を採用しておりますね。そのことに関しての産業界の御意見をお伺いしたと思います。

【永里産官学連携推進部会長】
 いや、年俸制についてはその方向でいいと思いますが、役職定年制というのは産業界にやっていますので、参考にしてくださいということで、若手を活用する意味においてそれを言っております。それは5ページの話です。
 4ページの話で、4ページ、何とおっしゃいましたっけ。混合給与でしたね。

【佐藤委員】
 混合給与は増える場合もあるわけです。

【永里産官学連携推進部会長】
 そうですね。これは、実はクロスアポイントメント制度について、いわゆる政府といいますか、大学と、例えば産総研とか、あるいは理研とかいうところにおいてのそういう話ではなくて、むしろ産業界の研究機関との話というふうに解釈してください。

【佐藤委員】
 3ページの。

【永里産官学連携推進部会長】
 3ページは、もう一回おっしゃってくださいますか。

【佐藤委員】
 つまり、ここに書いてある初期段階から決め打ちの大型ファンド云々というのがちょっとよく理解できませんので、教えてください。

【永里産官学連携推進部会長】
 我々としては、初期の段階においては、いろいろな研究にチャンスを与えるために、余り大型にしない方がいいのではないかというつもりで書いております。以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございました。ほか、よろしいですか。
 はい、どうぞ。

【橋本委員】
 もう一ついいですか。今の件で、私もこれ、同じように感じているものですから、佐藤先生、御存じないとおっしゃったので。たまたま私、今こういうところの審査を物すごくやっているのです。多分日本で最もやっているのではないかと思うのですけれども。それで、そのときすごく感じるのは、研究というのは、もちろん大型の大きなお金が必要な研究もありますが、多くはそうではないですね。基礎研究で積み上がっていって、科研費が典型ですけれども、科研費でだんだん増えていったと。そこは自由発想型基礎研究だから、あるレベルなのですけれども、そこから先、次のイノベーションに向けた研究、要するに資金が変わっていくときに、どんと10倍ぐらいになるケースが結構多いのです。そうすると、10倍になるために、まずすごく採択数が減ります。
 しかも、その研究というのはやはり最後につながる確率というのは極めて低いですね。採択数が少なくて、それで確率が低いので、なかなか出ないと。一方で、一遍にどんと増えても、そんなにお金というのは実は研究が必要な場合もありますけれども、多くは余裕があるので、それがどうなっているかというと、人件費にどんどん回っているというのが今実態だと思うのです。
 そういうのを考えたときに、私は常々これを感じているのですけれども、やっぱりもっと数を採ってほしいと。例えば10倍になるのではなくて、そのままで10個増やしてもらって、そうすると10個のプロジェクトが走るわけですので。その中で、ある目的の方向に向かって行っているかどうかということを途中でステージゲートを入れて、例えばそこで半分にステージゲートにしたときに額が2倍になれば、額は変わらないわけです。例えばそういったメカニズムを入れたらいいのではないかなと常々思っているものですから、よくそういうことを産業界の方ともお話ししたりしているので、それが反映されてきているのかなと思いましたので、ちょっと。

【佐藤委員】
 橋本先生、意味、よく分かりました。ということは、科研費から次のステップへ行く段階、例えばJSTからのお金とか、そういうことでございますね。それをもう少し出だしを工夫せよということでございますね、きっと。

【有信委員】
 ちょっと補足しますけれども。通常は、例えば会社の中で考えると、会社の本社研究所でやっているような研究の中から、具体的にある開発目標が定まって、事業化のための開発をやろうとすると、研究にかかった費用の大体10倍ぐらい費用が掛かるのです。それの位置がどこになるか。今橋本先生がおっしゃったのは、むしろ科研費から次のステップに行くところぐらいは、まだ会社でいえば本社研究所でやっているような段階だと。
 したがって、すぐ10倍という発想は必ずしも常には成り立たないという理解だと思うのです。その先の、実際には産業化に向けてある程度目的が明確になると、当然必要な資源というのは急速に増えます。だから、そこは多分ここで議論している研究費というところからは少しずれるかもしれないということだろうと思います。その辺が多分だんだん明確になってきたということですね。

【濵口主査】
 1点、ちょっとお伺いしたいです。御発表の件から少し離れるのですけれども、私、仕事柄、中国とかアメリカへ行きますと、日本の企業の方々がすごい投資をしてリサーチバンクを作って、ビルも建ててやっておられるのですね。それと比べると、日本の大学はどうも投資しにくい環境があるのではないかと。産業界から見て、どこに投資しにくいバリアがあるのか。中国的なリサーチパークを作るぐらいの勢いがあれば、もっと大学も勢いが出てくるのではないかなと思うことがときどきあるのですけれども、いかがでしょうか。

【永里産官学連携推進部会長】
 非常に申し上げにくいことを言いますと。

【濵口主査】
 是非率直に。

【永里産官学連携推進部会長】
 実は私もある会社の方に属していますが、その会社も日本の大学よりも外国の大学とやりたいというのは偽らぬところです。結局、やっぱりやりにくい部分があるのです。要するにいろいろがんじがらめになっているような。これは文科省の方も研究なさった方がいいかもしれませんけれども。

【濵口主査】
 規制の問題があるとか。

【永里産官学連携推進部会長】
 その辺は緩やかにしてということが1つあるのですけれども、本当の理由は、我々から見ていい研究をしているのが日本よりも外にあると。言いづらい話なのですけれども、我々から見てそういう魅力的なことがあるということです。

【藤巻委員】
 ちょっとよろしいですか。済みません、今の関連で、この3ページの2つ目のところに、産業界が期待する分野と大学・研究開発法人が興味を持つ分野に乖離があると記載がされています。今ですと、大学の少なくとも理系の先生は、企業がどういうことを求めているか、産業界がどういうことを求めているかというのは、関心は持っていると思うのです。ただ、それをどこで調べればいいのか、どうやって知ればいいのかというのが、逆に分からないということを聞くこともあります。
 そうすると、ですから、このマッチングを図る仕組みというのは非常に重要だとは思うのですけれども、産業界の方から大学の方に発信をしていただくとか、そういったことはあるのでしょうか。

【永里産官学連携推進部会長】
 産業界の方も、実は自分たちがやりたい研究はどこの大学のどの研究室なのだろうかということは知りたいのです。それは、大学の方からいきますと、データベースでちゃんと出ていますよとおっしゃるのです。おっしゃるのですが、産業界の我々が不勉強なのかも知らないけれども、そこはなかなかぴたっと分からないのです。ですから、もっともっと可視化できるようにというか、コミュニケーションよくできるようなことを、そういう新しいシステムを作った方がいいと。それは金を掛けるのではなくて、やった方がいいと思うのですね。

【藤巻委員】
 逆に言うと、どうして外国は分かるのですかということですね。

【永里産官学連携推進部会長】
 それは、向こうの発信力があるのではないでしょうか。

【有信委員】
 というか、具体的に、たしか政策研か何かが調べたデータがありますけれども、IEEEというアメリカの電気電子学会の論文の分野別のシェアを10年間追いかけたやつがあって、世界のシェアはこの10年で大きく変わっているけれども、日本から発表される論文のシェアだけはほとんど変わっていないというのが、多分その乖離ということ。これは、今の御質問にあったような何ゆえかという意味で言うと、大学の先生はニーズを知りたがっているのだけれども、現実に多分コミュニケーションが十分でないのだろうと思うのです。
 現実にアメリカの大学の先生は、企業を経験した人も多いし、現実に想像力の範囲が多分違うということもあるかもしれない。その辺をもう少し活発にする必要があると思います。

【濵口主査】
 どうですか。

【佐藤委員】
 ちょっとよろしいですか。簡単な質問ですけれども、産業界はいろいろな研究助成財団を作ったりして、自然科学の研究を始めいろいろな分野の援助をされておりますけれども、この場では間接経費が問題になっています。いろいろな財団からいろいろな援助をもらっておりますけれども、間接経費については、企業が作った財団の中で付けるということは非常に難しい状況になっています。それについては、企業の観点ではどうお考えになりますでしょうか。できれば、増やしていただければありがたい話ですけれども。

【永里産官学連携推進部会長】
 大学側のそういう要望があることは存じております。ですが、我々は非常に効率を重要視するので、先ほども言いましたケース・バイ・ケースで考えさせてください。

【濵口主査】
 じゃ、上山先生、手短にお願いいたします。

【上山委員】
 私のようにアメリカを中心にした大学と、日本と比べながら思っていることの一番大きなところは、根本的に日本の大学でなぜ産学連携が進まないのかとか、あるいは産業界との間のコラボレーションも含めた人的、あるいは研究上の交流が起こらないのかというのは、大きなところで言うとアカデミアの側に責任があると基本的には思っているのです。責任があるというよりは、アカデミアというものの捉え方に大きなそもそもの問題点があると。
 というのは、アメリカを中心とした諸外国のアカデミアは、むしろ大学とかいう形では捉え切れないようなところに性格が変わっているのです。むしろ僕は知識産業だと言った方がいいと。知識というものに基盤するような様々な付加価値のあるようなものを社会に提供していくようなものというふうに大学自身が捉え直さないと、アカデミアというものが様々な形で、経団連も含めて関わっていくことはなかなか難しいと思うのです。
 というのは、マインドセットがそこにないものですから、どういう形で支援をしてくれるかとか、どういうような情報を提供すればというところにとどまっているのですけれども。考え方の根本的に、やはり我々は教育と研究を通して新しいものを創り出し、それによって社会に貢献することで何がしかの資金を得て生きていく、そういう組織体だという形で大学そのものを捉え直さないと、やっぱりいくら産学連携のシステムを入れたところで、知財の形を入れたところで、それは絶対動いていかないのです。
 そこの捉え方を、まずやらなければいけないのだろうなと思うのです。そこが、根本的にアメリカの大学に産業界の人がアクセスしやすいと。それはそうで、向こうはそういうふうに思って手を出していますから、手を出しているところには行きやすいわけです。そこが全くないのです。だから、その捉え方をまずするということが大きい出発点だろうなと、常々思っています。

【濵口主査】
 済みません。時間も限られておりますので、次に移らせていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、科学技術振興機構の中村理事長と、日本学術振興会学術システム研究センターの勝木副所長、村松副所長にプレゼンテーションをお願いしております。大変お忙しい中、ありがとうございます。続けてお話を頂いた後、まとめて質疑応答、フリーディスカッションを行いたいと思いますので、よろしくお願いします。大変短い10分ということで申し訳ございませんが、中村理事長、どうぞよろしくお願いいたします。

【中村理事長】
 それでは、私、中村の方から最初お話しさせていただきます。戦略的なファンディングをやっておりますJSTの立場ということになりますが、でも、JSTを代表するというより、私、個人的な発言になりますので御了解いただきたいと思います。
 今日お話ししたいことはいろいろあるのですけれども、少しかいつまんで飛ばしながらやりたいと思います。最初にマル1のところ、3ページ目でございます。研究開発に関わる総予算の拡充とあります。我が国は科学技術のリーディングカントリーになろうとしているのか。そうであれば、相当の投資は必要不可欠である。第4期のときにGDPの1%相当というのを大変な議論の末入れたわけですけれども、やはりそれに向けた努力が必要だと思います。ただし、本日はこういうことを議論する場でないということもよく知っております。
 5ページ目に行きます。2番目、戦略的な研究開発の充実でございます。今、どちらかというと、基盤的な経費並びにボトムアップ型の研究開発の在り方についていろいろ議論されておりますけれども、世界は研究開発、イノベーション重視型にシフトしております。基礎研究の成果をイノベーションにつなげる戦略的な取組が必要でございます。IGZOの話を見ても、あるいはiPSの話を見ても、あるいは青色発光ダイオードの話を見ても、全て科研費の成果をうまく戦略創造、ないしは産学連携につなぐというこの日本のシステムが機能しているわけで、私は一方的な議論にならないように常にバランスをとって進めるべきだと思います。
 また、大学の改革に関しましては、大学の中で基盤的経費、ボトムアップの研究資金があればできるというようなトーンが感じられますけれども、WPIを見ても、最近始めたCOIを見ても、戦略的な研究資金を投入して、それを活用して外部の力も得ながら大学を改革するという気持ちも大学の学長さんには必要なのではないかなと思います。そのあたりはいろいろ図面とか何かありますが、全部飛ばします。
 次の3番目、それでは、具体的にファンディングの在り方の提案を10個ほど書いております。1ですが、私は研究開発には分厚い重層的な支援が必要だと信じております。重複はけしからんということは全然思っておりません。しかしながら、一方で、いろいろなプログラムが単純に次から次へと作られる。これはやはり研究現場に混乱を引き起こしております。プログラムの大括り化、私はブランド化と言っておりますが、それと安定化がやはり重要ではないかと思います。
 それから、競争的資金、非競争的資金、府省直轄資金、あるいはプロジェクト型資金、こういうものがよく分からない。とりわけ各府省が直接実施する研究開発事業は、政策的なものに限定すべきだと思います。ファンディング機関でできることはファンディング機関に任せた方が透明性も上がり、橋渡しやプロジェクト間の連携もうまくいくと、私は信じております。
 次に、2の安定化。これはここに書いてあるとおりでございます。とりわけ拠点形成型、組織的なファンディングというのは5年では短過ぎます。少なくともWPIのように10年程度ないと定着しないと、これもよく知られていることで、改善が必要だと思います。
 11ページ目、3です。プログラム運営手法の改革でございます。先ほどからいろいろな貴重な御意見を頂いておりましたが、プロジェクトを開始する前の準備期間、これが今非常に短いという状況です。新しい予算が決まって領域を立ち上げるのに半年以下である。これでは十分な事前調査もできないし、作り込みもできないということで、1年から1年半掛けて準備するということが必要であると。これは世界的には常識になってございます。
 間接経費の拡充です。これは先ほどからいろいろ議論が出ています。ファンディング機関として見ますと、私ども全く同意見なのですけれども、運営費交付金以外の研究開発資金は競争的資金であれ、府省直轄資金であれ、産業界の委託開発であれ、およそ大学等の研究者を活用するものは間接経費をきちんと、基本的には同率で支払うべきであると思います。そうしなければ、大学の人材消費型と言われる、そういう研究開発になってしまいますし、大学は疲弊する。今日のような人材消費型の研究開発システムは長続きしないということが、今まさに我々の目の前にあると思っております。
 5番目、研究基盤構成経費(仮称)とあります。研究の成果は社会との関係においてできるだけ還元される、あるいは蓄積される必要がございます。国の税金で行われた研究開発の成果というのは、その研究分野のみならず異分野、あるいは社会も含めて共有するのが21世紀の新しい研究文化でございます。世の中ではサイエンス2.0とか、オープンサイエンスと言われているのはまさにこのようなことを背景に言っているものと思います。
 このための研究開発基盤にはジャーナルとかデータのオープンアクセス化、オープン化、科学コミュニケーション、ELSIなど、いろいろなものが含まれておりますが、これが個々の大学等の努力ではとても対応できないと思います。国のリーダーシップで、すなわち総合科学技術イノベーション会議やこの文部科学省が大きな方針を出して、ファンディング機関がファンディング資金の一定比率をとっておくと、そういうシステムを国として作る必要があると思います。
 6番目、予算執行の柔軟化であります。これはJSTの場合かなりこういう考え方でやっているつもりでありますが、個々に見ますと研究現場からかなり要望を頂いています。例えばPIに人件費を払おうとしますと、そんなに予算が余っているなら予算を減らすというような言い方をされて担当者が縮み上がってしまうと。JSTは、したがって現在PIさんには人件費を払っておりませんが、別にそれを払ってはいけないというルールは何もございません。
 7番目、我が国のイノベーション創出能力の強化。先ほどから出ています組織的なファンディング、あるいは組織改革ですけれども、企業の場合を見ますと、企業の業績を決めるのはトップの力量であるということは明らかであります。大学におきましてもトップのリーダーシップが今問われていると思います。やはり大学として強い分野を育て、若手研究者を厚く処遇し、世界から学生の獲得に懸命になると、やるべきことは大して多くなくて、このあたりに絞られているわけでございます。
 先ほど話がございましたが、1980年代に米国から、1990年前後に英国から一流大学の幹部が日本の企業を回りまして、産学連携の重要性が説いて回り、自分たちの大学がいかにすぐれているかと言ったのは今から20年前でございます。日本の10年以上先をやっております。現在そういうことは大分共有されてきたと思いますが、今大事なのは組織改革だろうと思います。大学が今後社会が必要とする分野、あるいは学術が発展する分野に思い切ったシフトをするとか、あるいはシステム化、統合化の研究開発活動を行うための研究センターを作るとか、いろいろなアクション、アイテムが目白押しに目の前にあるわけでございます。
 これをトップの裁量経費だけでやるのも結構でございますけれども、加えて選択的なファンディングを獲得して外部の経営的な支援も併せて導入するということが、私はいいのではないかと。WPIはそのようにやってきましたし、今のところ予算も少ないところですが、COIもそのようにやりたいと思っております。
 8番、研究開発人材の育成確保でございます。若手人材の処遇全般についてはいろいろ議論するところでございますが、ここでは特に最近議論になっておりますインフォマティックス、データサイエンティストの育成についても挙げてございます。これについても、各プログラムレベルではやれることは限度がありますので、国として大きな方針を出して、インフォマティクス人材をどう育成するかということを具体化すべきだと思っております。
 9番目、ファンディングプログラム及びファンディングエージェンシーの連携強化でございます。JSTとAMEDは今回新しい関係を作りたいと思っておりまして、具体的には緊密な姉妹関係を続けたいと考えております。これはなぜ可能かといいますと、JSTから多くの職員が異動したからでございます。出向で70名、80名が異動するということになってございます。既存のファンディング機関との間はどうするのかということですが、ちょっとミーティングを持ったぐらいで改善されると私は思っておりません。人材のローテーションを義務づけるのがいいのではないかと。必要ならば、理事長や理事を交換したらどうか、そういうふうに思います。そうしないと進まないです。私、4年間やってきましたけれども、ほとんど拡大していません。
 10番目、審査・評価体制の拡充でございます。ピアレビューに加えて、今や社会的インパクトを重視するのが世界的な動きでございます。ピアレビューのみに頼っていると、我が国は、私は世界から遅れてしまうと思います。関連して、英語の学術論文の引用数というのが大変な指標になっておりますが、これはワン・オブ・インデックスにすぎないということは、これも世界常識であります。
 JSTではWeb of ScienceやScopusに加えて、これらが対象としない英語の学術論文や和文学術論文、企業の技報などのデータを集めまして、引用頻度を知るためのデータベースを現在構築しているところでございます。こういういろいろな軸で評価するということが最低限必要だろうと思っております。それでも限界があると思います。異なった視点の評価者を数多く入れるということしか、もう後はないかなと。
 最後です。論文、データのオープン化、第4の科学への対応ということでは、現在JSTは学術論文のオープン化については強く推奨しておりまして、義務化までは行っておりません。現在7、8%のJSTから生まれた論文はオープンなベースに見られるようになっております。これ迄エルゼビアとは、グリーン型をベースに最大限いいところを落ち着かせようという話を延々と続けておりまして、近く合意できると思っております。エルゼビアと合意できれば、その後ほかの出版社に同様な条件で決めていこうと、論文についてはそういうことでございます。データについては、先ほど言いましたように国としてきちんとした方針を出し、研究基盤の構成経費を確保することが必要だと思います。
 少し長くなりましたが以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして勝木副所長、村松副所長、10分という短い時間ですが、恐縮ですがお願いいたします。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 科学研究費の改革につきましては、後ほどお話しいたしますけれども、私ども、こういう競争的資金の改革についての会議に初めて出席いたしますので、むしろ科研費の性格というものを是非皆さんに本質的に理解いただいた上で、どこを改革しなくてはいけないのかということにつなげてお話をしたいと思います。
 まず、科学研究費補助金というのは、学術研究に与えられる、これは世界標準の基礎研究に与えられる研究費でございます。それはどういうものかと申しますと、科学技術基本法に平成7年に議員立法で制定されたものでございますが、科学技術の振興に関しまして、特に国が施策の策定等に当たって配慮する必要のあることとして、第5条に、赤で示してありますが、基礎研究が新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、その成果の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結びつくものではないこと等の性質を有するものであることに鑑み、基礎研究の推進において国が果たす役割の重要性に配慮しなければならないという、配慮事項がございます。
 これは、基礎研究といいますか、学術研究の性格を端的に表しておりまして、これが基本法として、つまり何か政策を遂行するためには、研究の主体である研究者の自由な発想に基づいて、それをきちんと評価して配分すべきであるということが読み取れるわけでございます。
 と同時に、学術を基本的に中心として担うものとして大学がございます。大学等と書いてありますが、大学及び大学共同利用機関のことを大学等と申しますけれども、科学技術の振興に関する施策で、大学等に係るものを策定し、及びこれを実施するに当たっては、研究者等の自主性の尊重、その他大学等における研究の特性に配慮すべきであるということが書かれております。
 つまり、大学の研究について、もちろん今論じられているような、大学をどのようにして社会に取り出していくか。先ほど指摘がありましたように、知的な中心として、それから産業や社会に貢献していくかということも含めてでございますが、大学の機能としては一番重要なことは、次に、つまり高等教育システムとして教育するという、これを研究者養成の立場から考えますと、学士、修士、博士、そういうことがあるわけですが、一番右に書いてありますように、学を修め、修練をしてどういうことを作っていくかといいますと、最終的には知の創造。
 今までにない新しいものを学術的に積み上げていく、そういうことを教育し訓練していくというのが最大のことでございます。そして、その上に科学技術の研究をする、そういう役目がございます。大学等の研究というのは、きっと教育や人材養成を含めてのことを視野に入れなければ大学がどういうことをすべきだ、どうすべきだというようなトップダウン的な議論に陥りやすいかと思います。
 ですので、ここにありますように、もちろん読み書き、算数(リテラシー)から始まって、我々は知の常識、あるいは知とは何かということから徐々に徐々に積み上げていって、そして、知の創造に至って博士の学位を取得するという課程を経て、やっとスタート地点に立てるような存在が研究者の姿であります。
 この人たちがどの分野にも、どのような研究開発の分野、目的を達成することが遥かに難しい、研究開発の分野に行くにしても、ここを通らない人はほとんどいない。多分ほとんど全部と思いますが、この大学での学士から博士までの課程は科学技術を実践するプレーヤーを配電盤のように分配しているところです。ですから、科学研究、学術研究を推進するだけではなくて、研究開発、あるいはよく言われますイノベーションというものにつなげるのは全て人ですから、その人材を毎年毎年滞ることなく送り出している重要で、しかも唯一の役割を担っているのが大学です。ですから、科研費の構造をどうするか、配分の評価をどうするかということは、同時に大学の研究と不可分に関わっているわけでございます。
 次に、科研費の特色でございますが、自然科学から人文、社会科学に至る学術の全ての分野を支援する研究費でございます。これは、それぞれの個人が自らの修練を積んである知の限界にまで到達したときに、それを超える新しい課題を設定し、科研費に申請することから始まる競争的資金なのであります。自由な発想でという意味は、いいかげんということではありません。知の限界の限界に挑戦して、そこまで達した人が初めてできる自由な発想という、極めて質の高いものであります。しかも、個人の独自性がある。
 独自性があるということは、すべての人が人まねでない独自性を発揮すれば、結果としては多様なものになる。多様性、多様性と言われますが、外から見てこれが欠けているから、ここをやるべきだという多様性では力の弱いものです。そうではなくて、多様性というのは独自性(オリジナリティー)からできているということが科研費の本質であります。したがって、科研費は個人研究を基本といたしますが、基盤研究を基といたしますけれども、様々な研究者の状況に応じて柔軟に対応できる種目を構成しております。
 次の科研費の評価システムのことがときどき問題になりますので、科研費に関して言えばピアレビューが基本です。これは世界のスタンダードです。なぜそうかと申しますと、先ほど申しましたように、非常に大きな、広い学術の領域の上に新しい知が出てくるときに、それに挑戦しようとするならば、それまでの知をよく知った人がそれを建設的批判を持って審査すること、これがピアレビューの基本です。学術研究の評価や審査の方式として世界標準の方式として定着しており、我が国でも学術の審査には科学技術・学術研究者によって支持され、信頼されている方式であります。
 ですから、これはほかの有用性とか、社会的貢献とかが、審査にとって必要な要件となる競争的資金とはまったく異なるものであります。科研費に関してはピアレビューが命です。もし改革するとすれば、そのピアレビューのシステム、あるいはピアレビューの範囲をどうするかということを我々は検討しております。
 科研費改革の1つの大きな観点になります。
次に科研費の成果についてお話します。これはどれ1つをとっても新しい知を加えているわけですが、「科研費ニュース」を皆さんのお手元に机上配付しておりますけれども、科研費の成果についてそれぞれ書いていただくというものでございます。「科研費ニュース」は年4回出しております。
 その中でも、特に大きな展開を見たものについては、科研費から生まれたものという欄を作りまして特集をしております。我が国の超電導研究、リニアモーターカーの原理になっているものですけれども、それが科研費によってどのように発展したかが書いてあります。これは総合研究Bから始まりまして、一般Bなど比較的少額の資金から始まりました。そういうものから始まりまして、特定領域研究まで20年間にわたってずっと続いてまいりました。それは総合研究のときはまだまだ成果トピックスに出るようなものであったわけです。さらにJSTその他で展開されている。すべて、科研費に始まり、基礎研究の展開の結果、JSTにバトンが継承されたものであります。このような研究は、きわめて多いのですが、多くを語る必要がないと思いますので1例を上げました。
 それから、一番下に科研費からの成果展開事例として書いてございますが、科研費から展開したものも、この中でニュースに載せております。それから、成果トピックスはまさに草の根の、あるいはこういう大きなものに展開する段階のものがたくさんあります。例えばO-157の研究などは、O-157事件が起こることを予想してやっているわけではなく、大腸菌の分類をしていたのです。
 事件が起こった途端に、基礎研究が生きて、即座に対応が出来ました。この事件が起こった当時、大蔵省はこういう基礎研究があったからこそ助かったのだと、科研費の宣伝をしてくださったそうでございます。そのように、草の根の学術研究の成果は、いわゆる知の安全保障に貢献しているわけです。もしこれがなかったら、これほどの基礎研究の情報を得るために、どれだけのお金が掛かるか、どれだけの時間と人が必要か、そういうことを考えますと、全てを投資効果として勘定すれば、計り知れないものと思われます。
 長くなって、村松先生の順番ですけれども、科研費の改革、これまでに既に大きな取組をしてきております。それで、学術分科会からの諮問がございまして、時限付き細目について、つまり新しいものをどうやって取り上げるかということがございました。これについては特設分野研究というものを作りまして、新しく非常に大きな問題が現実社会に存在する。例えば人口問題、農業問題、食糧問題、その他で存在する。そういうものについて、そこに徹底的に知を集める。そこが新しい学術を作って、さらにその解決に向かっては別のところで展開するというものを作りました。
 それから、もう一つは、先ほどから知のピアレビューというのが細目の細分化ということが指摘されています。平たく言いますとタコつぼ化ということが指摘されております。これにつきましても、現在改革を進めております。

【村松学術システム研究センター副所長】
 私でよろしいですか。

【濵口主査】
 済みません、簡潔にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【村松学術システム研究センター副所長】
 やっぱり数分は掛かりますので御容赦願います。私は人文学、社会科学の視点から意見を申し上げます。私自身の専門は政治学でございます。前半については、人文社会科学の役割とその業績について、皆さんがお聞きになっていると、それなりにやっているという主張になっているかと思うのですけれども、後半について、やはり大きな問題も抱えておりますので、そのことについて触れたいと考えております。
 まず、資料を見ることから始めたいと思います。資料1-1、これは人文社会科学の採択件数、金額が示されています。今の科学技術法の中で出ているぐらいでありまして、それなりにそう大きくはないという感じになっていると思います。配分額が低いのは自然科学ほど金がないからと、基盤B、Cが圧倒的に多いということであると思います。
 資料1-2では、地方国立大学の申請件数、採択件数がともにかなり多いし、増加しているということが、特に下の方の県の名前などで見ていただくとお分かりいただけると思いますけれども、伸び率の高いのが地方国立大学であります。こういうふうに地方国立大学が申請件数が多いというのはいろいろな解釈があり得て、評価を意識したリーダーシップが働いているというような皮肉な解釈もあります。現在、地方創生ということが言われている折でございまして、地方国立大学はそういう課題を担えるかということに関心を持って、私ずっと調べていたのです。やはり地方国立大学は、主要な県と市役所、県庁で働く人々の人材を提供しているし、自然科学の方はここは省かせていただきますけれども、地方文化の明らかに中心をなしていて、地域を支える存在であります。
 次に、人文学と社会科学がどういう性格の議論をしているか、どういう研究であるかというのを見ていきたい。資料の2がその1つであります。これは最近、東京芝浦会社、東芝が課長研修で使ったカリキュラムでありますけれども、哲学、歴史学、日本文化論、こういう領域の方をお呼びして缶詰にして、泊まり込みで3日間やっておられるわけであります。それはここでは申しませんが、その後の事業評価のようなものを持っておりますけれども、大変におもしろかった、意義が深かったと好評のようであります。
 こういう交流もあるということであります。人文学、社会科学などでは、特に人文学では、放っておけば自分は象牙の塔的にやるのが一番おもしろいのだと思っていく可能性のある人たち、その中に優秀な人がいると、企業は探し出して、こういう場に出していくということで興味あることだと思いました。
 資料3をごらんください。稲村さんという東京教育大学出身の方の「倭寇史跡の研究」が昭和32年に出版されておりますけれども、これを紹介したいと思います。必ずしも有名人ではない研究者の重要な研究であります。この研究は当時、というのは昭和23年当時、アメリカ側で、沖縄は日本の一部かという議論がありました。恐らくこれに対してそういう議論はおかしいという主張をしたかったと思われるこの人は、10年間島を一つ一つめぐって、言葉と生活道具などを調査して、日本、特に九州ですが、同じであるということを示し、アメリカ側にあった疑問を一掃いたしました。この研究がなかったときどうなったかと考えると、その重要性は分かるわけですけれども、人社のこの種の個々の着実な研究が突然に重要性を帯びるということはまれではありません。
 私は続いて、この後、本当は中東などの話もしようと思いましたけれども、やめまして、資料の4-1、4-2、4-3をごらんいただきたいと思います。外国文学者が並行的に翻訳をしております。その翻訳のリストを見ると、どれだけ我々が若いときに読んだ本が並んでいるかということが分かります。これらは企業の人であれ、官界の人であれ、世界に向かって、あるいは国内に向かって人々と議論するときの栄養のようなものであります。これは省きますけれども、法学部、経済学部というのはかなり実学であって、必要とあれば別の機会に話します。

【濵口主査】
 先生、競争的資金の改革に焦点を絞って御結論をいただけないでしょうか。

【村松学術システム研究センター副所長】
 そうしたら、ちょっともう一点だけ申し上げさせていただいて、改革問題へ飛びます。
 私、このように人社のことを一生懸命言っておりますのは、実は2014年9月9日、国立大学法人支援課長から評価担当理事宛てに事務連絡が行きました。教育系と人社系は効率を考えれば縮減が可能である。それを学長がリーダーシップでやってもいいのではないでしょうかと読むことができる文書でございます。私は、隣に座っておりますから申し上げにくいのですが。

【濵口主査】
 その点はここでは議論する問題ではないので。

【村松学術システム研究センター副所長】
 そうですか。

【濵口主査】
 あくまでも競争的資金をどう改革するかという点で御議論をいただければと。

【村松学術システム研究センター副所長】
 私は「なぜ人社」かという疑問を持ちました。競争的資金の改革に関しては、私は圧倒的に人社について課題であるのは国際発信であると思っております。そして、そのために国際発信に関わるデータを用意してきましたけれども、一々読むのは時間的に無理だと思いますので、結論だけ1つずつ申し上げます。
 例えば、東洋史は割合強くて、日本語で書いても読まれる。しかし、社会学などはそれほど熱心ではない。経済学についても、アメリカのPHDがやや減少している。そして、政治学について言えば、資料5-5ですけれども、3年前、4年前にやった調査と比べて人に関する調査ですけれども、引用、インパクト係数のようなものをGoogle Scholarでやってみると、どの人も上昇しているということでございます。人社のここのあたりは、亡くなった方のものも上昇しているものでありまして、特質かなと思っております。
 改革の問題に行きますけれども、やっぱり人社についてはいろいろな方から少しタコつぼじゃないですかとかいう御批判を頂いております。そこで、私も随分考えましたけれども、やっぱり重要なことは国際舞台にどうにかして出て行くということであって、そのための改革という方向を考えたいと思います。
 そして、先ほどおやめになりましたけれども、学振では特設分野というのを従来の細目に加えて、新しくいろいろな人が異分野融合的に参加できる分野をどんどん広げておりまして、人社系も関係しております。

【濵口主査】
 先生、それはもうお話しいただいたので、大変失礼なことを申し上げるようですけれども、研究費の改革についての議論を開始したいと思います。

【村松学術システム研究センター副所長】
 最後に研究費の問題については、私はちょっと少数の大学に集中し過ぎていて、アメリカやその他の先進諸国のようにもう少し東大、京大、阪大に集中するのではなく、フラットに行った方が、6大学とかイレブンとかいうのがありますけれども、そのあたりまでやった方が、むしろ人社の問題の社会構造の問題だということだと、突き上げられるように広がっていくのではないかと思っております。

【濵口主査】
 ありがとうございます。大変恐縮です。お時間、大分押してしまいましたが、これだけは聞きたいということを、研究費の改革に絞って。
 若山先生。

【若山委員】
 1つだけ、特に中村先生にお聞きしたいのですが、10ページのところにございますが、ファンディングプログラムの大くくり化と明確化というのがございます。これ、冒頭に私、経団連の方にも御質問差し上げたのですけれども、それが科研費であるのか、JSTのファンディングか――自治体のファンディング化ということはないと思いますが、あるグループ、例えば教室とか、そういう個人ではないところに特定の研究課題ではなく、もう少し広い研究課題というか、そういうものであって、競争的ではあるけれども、今の科研費よりは採択はされる率が高く、しかもある程度長期間という、そういうファンディングもお考えになっておられますか。ちょっと長くなりましたが、それを御質問したいのですけれども。

【中村理事長】
 これまでのJST等のファンディングは専ら研究者個人、ないしは研究リーダーでございます。CRESTの場合はPIさんを十数名集めて、POさんが全体を統括するという意味で、我々はバーチャルネットワーク型と言っておりますが、しかし、個別に見ますと、やはりPIさんを中心にしたファンディングだと思います。
 組織に対するファンディングは、今回のCOIがかなりそれに近いと思います。WPIはもともとそういうものだったと思います。そういうものがこれから増えていくのではないかと思っております。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 科研費の方からもお答えいたしますと、そういう今御質問のような内容のものは新学術領域というものがございます。そこでは、組織ではなくて、全体の組織の中であるテーマに、かなり大きなテーマですが、それに対してファンディングするというシステムがございます。

【若山委員】
 一応私は存じ上げていますし、それもそうなのですけれども、例えばある大学のある教室というふうな、教室でなくてもいいのですけれども、ある種のグループ、そういうことをすることによって若手人材の育成にも資するのではないかと。それを、運営費交付金が減っていますので、これ以上減ってもらっては困るのですけれども、そういう競争的な中で、モデレートな競争で長期間サポートするというグループ型のファンディングというのがあると、少し安定して先を見ていきやすいのではないかとことで御質問差し上げました。

【濵口主査】
 ありがとうございました。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 かつては総合研究というのがございましたけれども、今いろいろ考えているところです。

【濵口主査】
 もう一人、是非聞きたいという方。
 どうぞ。

【藤巻委員】
 よろしいですか。私も3年前まで学術システム研究センターの方でお世話になっておりましたので、そこでの経験も踏まえてちょっとお伺いしたいといいますか、御提言といいますか、そういったことをお話ししたいと思います。実は科研費の件数というのは、先ほど書いてありましたが、申請も含めると1年間数万件の申請があるかと思うのです。これをどう生かしておられるか。実は物すごくいいデータベースになっているはずで、イノベーションのもとは実はそこに全てあるのではないかと。
 それを生かさない手は本来はないはずで、今までは、少なくとも私のいた3年前までは全部そのまま捨てられていっていたというか、採択されないものも含めて何も活用されていなかった。採択されたものはある意味では活用されているのかもしれませんが、そういう意味で、その宝の山を何か生かすということを是非お考えいただきたいと思っております。もし、もう取り組まれておられるのでしたら、御紹介いただければと思います。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 それにつきましては、まさにおっしゃるようなことが根底にございまして、JSPSにグローバル学術情報センターというのができまして、所長が学術システム研究センターの副所長も兼ねるということでございます。今おっしゃることを、根拠となるデータベースを下に研究に取り掛かっている最中でございます。

【中村理事長】
 ちょっと今のに。科研費の方はKAKEN(科学研究費助成事業データベース)を持っておられます。JSTの方はFMDB、ファンディング・マネジメント・データベースを今作って、所内的に運用して非常に有効であることを確認しています。NEDO、AMEDO等もFMDBベースのものを作る話がありますので、これは全部合わすとつながります。そういうのを国として大きな財産にしたらいいと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございました。お時間押していて大変失礼なことを申し上げましたが、御容赦願えればと思います。
 時間を押しておりますが、ここで少しフリーのディスカッションに入りたいと思います。事務局から資料6を準備していただきました。当初、論点1、論点2、分けて議論をしたいと思いましたが、お時間が押しておりますので、まとめて。特に、この御説明いただいた後、この点に関して異論がある場合に、その異論を中心に御意見を頂ければと思います。それでは、お願いします。

【松尾振興企画課長】
 資料6として、A4の縦型1枚紙を配付させていただいております。主査から今お話がございましたとおり、論点1、論点2、そして、その他というふうに分けさせていただきますが、今回論点1、論点2をまず御説明申し上げたいと思います。
 一応、論点1が競争的研究費に関する総論。実はここに書いてございます内容は、今日の資料1のベン図、そして前回の検討会の資料、そしてこれまでの科学技術・学術審議会の学術分科会からのレポート等から引いてきているものでございますので、まずそれを新たに申し上げた上で、最初に論点1の箱です。これはベン図と繰り返しになりますので、最初を飛ばしますけれども、2つ目の丸に書いてありますとおり、全てのいわゆる競争的性格を有する研究型経費に対する間接経費の措置を行うべきではないか。そして、3つ目が使いやすさの話、4つ目が過度の偏在集中の排除。そして、最後の丸が、さっき中村理事長からお話がございましたけれども、政府投資の強化が必要ではないかという論点でございます。
 それから、論点2でございます。競争的研究費改革を通じた若手といいますか、人材育成の方策ということで整理をさせていただきました。大きく2つの丸に分けてございますが、1つ目の丸がベン図にも出てまいりましたけれども、若手のための安定的なキャリアパスということと、それからチャレンジを促す環境をどう作るかということであります。総合政策特別委員会の報告書から具体的なものを抜き取らせていただいておりますけれども、例えば研究代表者等への人件費支出の話、そして、2つ目の黒ぽつが人件費に関しての合算使用、3つ目が、競争的経費の中に、要するに雇用する若手人材の育成環境とかキャリアパスの確保についてのをちゃんと入れ込んでいただくような審査をしていく、そういう意味が3つ目。4つ目が、競争的経費で雇用するポスドクとか博士課程の学生の処遇の充実。最後の黒ぽつが、特に機関を異動した若手研究責任者向けの研究費を充実すべきではないのかという点でございます。
 大きな2つ目の丸、白丸でございますが、これは学術分科会の御指摘です。競争的経費における任期付きの雇用と、その後の基盤的経費による雇用を合わせることによって、中長期のキャリアパスをしっかり示して、一定の期間、若手研究者を安定的に雇用するといった仕組みを考えるべきではないかと、こういう御意見でございます。
 3つ目の箱は、最後、その他ということで、今後整理が必要な項目ということで、前回の資料のものでございますので、ここに書いてあるようなことがあり得るかなということで、整理をさせていただいたものでございます。以上でございます。

【濵口主査】
 済みません、急がせました。いかがでしょうか、御意見を頂ければと思いますが。
 御意見がないようでしたら、まず口火ですけれども、さっき中村理事長もおっしゃっておられた科研費、競争的資金の大くくり化、あるいはここ、論点1で書いてありますが、全ての研究経費の間接経費を処置すべきであるとか、資金の効率的配分、こういう問題というのはかなり文部科学省も超えたような大きな課題であると思うのですけれども、それを実現するようなロードマップというものは描けるものなのかどうか。これはなかなか困難な作業で、しかも時間的にも厳しいものではあると思うのですけれども。いかがでしょうか。

【松尾振興企画課長】
 よろしゅうございますか、済みません。ここの検討会は文部科学省の検討の場なのでございますけれども、もし先生方の御意見がございますれば、総合科学技術イノベーション会議等と連携させていただきながら、政府全体のところへの提言ということもさせていただければというふうに思います。

【橋本委員】
 よろしいですか。今、松尾課長がおっしゃったとおり、ここでは文科省の中での話をしていただく。だから、ここでしっかり議論していただくのは極めて重要で、私は総合科学技術イノベーション会議の方で議論しておりますけれども、そのときに、やはり文科省でしっかりやっていただくというのが前提で、それがあって、ほかの省庁に広げ、さらに今日も議論がありましたけれども、産業界に広げ。これは、そこの役割はCSTIの方が担っているという認識を持っているのですね。
 そういう議論を今しているのですけれども、やはりまずは文科省の中でちゃんとやってくださいねと、この議論がすごくあるので、ここでの議論は大変重要だということを申し上げるとともに、是非それは文科省の方からCSTIの方に正式に出していただくということも大変重要だと思います。ただ、今は既に議論しておりますので、ここの議論をしっかりと上げていただくことが重要かなというふうに思います。

【濵口主査】
 ほか、いかがですか。
 どうぞ。

【上山委員】
 今橋本先生がおっしゃったこと、本当にそのとおりだと思いますし、私もそこに関わりながらここの議論は上げていきたいと思うのですけれども。そのときにもいろいろ申し上げたいなと思っていることは、大学の間接経費も含めた競争的資金をどう動かしていくかということをまず考え、それの運営費交付金への連動みたいなことを考えていくときには、まず大学の財務会計をきちんとやることを文科省として何かやってほしいなと。
 各大学、この間も東京大学のところにちょっと行ってきましたけれども、どう見ても余っているお金もある。これ、財務の会計がきちんとできていないために、競争的資金として入ってきたものがどのように使われるかに関して、非常にブラウンなところがあるということを思わざるを得ないのです。
 だから、ここのバジェットの組み方をきちんと一遍整理した方がいいのではないかと、本当に強く思っています。というのは、間接経費が入っていたときに、今よくあるのは、間接経費というものが実際にはその研究者のものになってしまうというような意識があるわけです。この論理もなかなか崩せないのです。ということは、研究者は間接経費なり、競争的資金を取ってきたときに、自らがやっている研究のコストというのがどれぐらい、どういう形で使われているかということを意識してもらわなければいけないのです。
 取ってきた競争的資金の中で、自分たちは施設を使っているためにこれこれの予算が必要だと。これは間接経費から当然支払われますね。その予算というのは、自分のものではなくて大学の本部に向かって行くものだという意識がそこで生まれてくる。そういう意味では、個々のプロジェクトごとのPIが、自分のやっている研究にどのような細目があって、どういう形でコストが使われているかという意識をまずはっきり持ってもらうことから始めないといけない。そこから立ち上がってくるような財務会計の在り方をもう一度考えないと、それはなかなか間接経費を様々な形で使うという形にはいかないと思います。
 だから、そういう意味で、財務のバジェットの組み方を、もう一度ちゃんと各大学にきちんとした基準でやるということの議論をまず始めてほしいなというふうに思っています。

【橋本委員】
 関連して。

【上山委員】
 もう一ついいですか、済みません、先に。それで、僕は、実はさっきの人文社会の話もあったのですが、これだけの大きな改革をやるときに、僕はもともと基本的には科学技術が専門ですけれども、アカデミア全体の意識がそこの中に入っていかないといけないということで、第1回目のときにも見せましたけれども、アメリカの大きな研究大学は必ず大型の予算で取ってきたものが、人文社会も含めたところに大学は循環しているという論理をちゃんと説明しなければいけないのです。
 ハーバードの出てきているアウトプット見ると、ほとんど医学系です。トップ20ぐらいの論文のうちのほとんどは医学の論文なのです。ということは、ハーバード大学は医学系の大学なのです、あれは。だけれども、我々はハーバードをそういうふうには見ないですね。非常に豊かな人文社会系の分野があるということをはっきり認識している。それは、その中で資金の循環が行われて、総合大学としてのハーバードのレピュテーションを必ず担保しようとしている。
 人文社会系ってそんなにお金は要らないですけれども、やっぱり時間が必要なのです、この分野は、先ほどもちょっと出ましたけれども。しかも、アカデミアには非常に大きな貢献をしている。それは科学技術に関わる人たちも意識しながら、そこで大きなアカデミア全体の資金の循環を生み出していって、アカデミアのレピュテーションを高めていくという形に使われていくという。
 その意味では、この競争的資金というものも、必ずしも科学技術だけではなくて、人文社会の基盤になるようなところになっていくという意識も、やっぱり訴えないとアカデミア全体として意識ががちっと固まらないと思うのです。そういうことを、ちょっと僕は申し上げたいなと思います。

【濵口主査】
 それでは、橋本委員。

【橋本委員】
 簡単に申し上げます。今の上山先生のお話と最初は同じで、間接経費の措置、私は絶対必要だと思うのです。ただ、重要なのは、ただ増やすだけでは財務当局の了解、あるいは社会の理解を得られないと思うのです。これを増やすことによって、それだったらもっと何かを減らすという話に必ずつながっていきますので、この間接経費をどのように使うのかということをかなりしっかりと議論して、理論武装しておく必要があるというふうに思います。それは今、上山先生が言われたようなことだと思います。
 それから、2点目は、この論点2の方の最初のぽつの研究代表者等への人件費支出の一層の促進を図る。これは中村理事長もおっしゃいましたけれども、これは混合給与のことを言っているのです。これは大変重要な施策で、政府の方で作るときに私は関わって、これを是非とも入れてほしいということで、これが今前面に出ておりますけれども。これも、ただ、今の人事制度に混合給与を入れただけでは社会とか財務当局の理解は得られません。これは、今の人件費制度、人事制度を変えるということとペアしないと。具体的には、先ほど経済界の方から役職定年という言葉は言われましたけれども、役職定年という言葉が大学にとってどうなるかというのはあれなのですが、少なくとも今のように、ずっと年齢とともに上がっていって、あるところからは減らないで、ずっと65歳まであると。
 私もこの前申し上げましたけれども、私も今年60歳ですから、60歳になって給料を下げられたら個人的には困ります。しかし、社会的にはやっぱり世の中そうじゃないのです、減っていくのです。そこの減った部分を、混合給与とかで稼げる人はアドオンしていくとか、こういう制度とカップルさせないと、とても財務当局とか社会の理解は得られないと思うのです。
 ですので、ちょっとそこもやはり自分に対して厳しく言うのはつらいのですけれども、それはしっかりと議論していただく必要があるかなと思います。

【濵口主査】
 大垣先生。

【大垣主査代理】
 資料6について、座長が何か不満な点をということですので、論点2の人材育成方策に関して、これ自体はこのとおりなのですが、基本的な考え方として、競争的資金を実施するためには、個人の研究者、あるいは1研究室がやるわけではなくて、そこが所属している組織全体が支援するわけですね。先ほど上山さんからも出ていたように、光熱費に始まり、そのベースになる施設にしろ、維持管理にしろ。
 そういうことがありますので、ここの人材育成のところで、単に競争的資金の使い方ではなくて、同時に間接経費的な、その競争資金を受ける組織に、ある種の資金を入れないと組織は回転しないということをもう少し概念として強調してはどうなかと思います。
 それに関連して、実は単に費用が掛かるからではなくて、大学の場合は学部教育まで含めて動いているわけですから、そこに対する長期的な投資であると。先ほど勝木先生の2ページ目にありましたけれども、学部学生の上に大学院があるわけで、その学部学生に対する投資も含めたような意味の概念も、ちょっとここの範囲を超えるかも分かりませんが、必要ではないかなと思います。
 前回もちょっと申し上げたのですが、大学の学部教育に一切触れていませんけれども、学生数は黙っていると減るわけです。現在49%ぐらいの4年制への進学率ですが、実はそれでは多分科学技術立国として不十分です。例えばこれから40年後ぐらいには、56%ぐらいの進学率にしてちょうど現在と同じぐらいの学部生数になるのです。多分それでは少なくて、もっと増やすと、そういう国全体の方針があって、そこに大学を維持するというか、大学で研究もし、教育もする仕掛けをやるという形で、競争的研究費の対としてある基盤経費の費用の必要性を社会に理解していただくというようなこともあり得るのではないかと思います。ちょっと範囲を逸脱しますが、私の感想です。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 委員以外でもよろしいですか。

【濵口主査】 ちょっと。有信先生。

【有信委員】
 今の話にも絡みますけれども、先ほどの経団連の説明でもありましたけれども、最終的に間接経費はどうですかというと、ケース・バイ・ケースというふうに腰砕けになっちゃうわけです。もともと議論していたときには、そんなはずではなかった。現実問題として、日本の様々な仕組みの中で、いわゆる直接経費に集中するというか、先ほども上山先生の指摘がありましたけれども、それに付随する様々な間接的な費用に対する配慮が基本的にはないという問題があります。
 したがって、例えば経費削減ということになると、どこから切るかというと間接部門から切るわけです。今の大学も全くそうなっていて、間接部門が切られるために、実際にはいわゆる雑用の負担が教員にかかって研究時間がどんどん少なくなる。これは逆に言うと教員の側にも問題がある。教員は、研究は教員がするものだと思っているわけです。ところが、実際には研究をやるためには様々な付随する設備が必要だし、サポートする人材も必要です。
 たまたまこの前、ちょっと逸脱しますけれども、ファーストプロジェクトの評価をやったときもその話が出て、A、B、Cという費用区分けの中でB費用というのが極めて効果があったという評価もある。つまり、サポート的に使われる費用が重要であるという評価はあるのだけれども、結局運営費交付金の削減が、教員を切らないで事務職員をどんどん切ってしまって、結果的に教員の研究時間がなくなっていると、こういう状況にもなっています。
 言いたいのは、1つは、いわばそういう日本の中のマインドセットというか、研究者のマインドセットを変えるという意味で、先ほど大垣先生が言われたように、そういう部分の書き込みを何らかの格好で入れる必要があるということ。
 それから、上山先生が先ほど言われた、これは明らかに会計基準の問題で非常に難しい話ですけれども、今の国立大学会計というのは、運営費交付金については費用進行基準という、これは企業から見ると全く分かりにくい会計の処理をやっているわけです。つまり、運営費交付金負債というのがあって、お金を使った分だけこれを交付金収益として計算に入れる。つまり、簡単に言うと、使った分だけお金をもらっていると、こういうふうに考えるのが一番分かりやすくて、こういうお金のもらい方をしているものだから、先ほど言われたようなことがうまくいかない。
 だけれども、これは場合によっては非常にいい場合もあるわけです。研究の内容によっては、やっぱり費用進行基準的な経費処理の方が向いている場合もある。だけれども、基本的には、日本の企業会計は管理会計を基準にしてやっていますから、今問題になっている業務達成基準に変えるかという話の問題と絡んでくるわけです。管理会計基準の在り方も、企業会計をそのまま持ってくるというのは難しいかもしれませんが、いわゆる管理会計的な考え方を一部に入れるというのは、やっぱり今言ったマインドセットを変える上でも必要だし、全体に教育・研究というのは教員だけがやっているわけではないということも含めてきちんと考えなければいけないということだと思います。
 そこの部分が何らかの格好で入るといいかと思いますけれども。

【濵口主査】
 これは難しい課題ですね、そこの会計基準を変えるというところは確かに一番重い問題でありますが。
 勝木先生。

【勝木学術システム研究センター副所長】
 よろしいですか。間接経費のことが議論されておりますので。間接経費の役割というのは、やっぱり科研費を対象といたしますと、それについて措置されるものだと思うのです。しかし、科研費が取れるかどうかというのは不安定なものでありまして、非常に挑戦的なものをして、いいものができるというまでには、必ずしもその場で採用されるとは限らないということがあるわけです。そうなりますと、大学などを運営するときに、そんな不安定なもので運営するということが本当にいいかどうかと私は心配です。
 ただ、間接経費が必要なのは、そのことによって大学に新しい特色を加えるわけです。だから、つまり最低限というか、ミニマムな運営費交付金が足りないなら、運営費交付金をどうしても増やすあるいは減額を止めるということがまずあって、その上で間接経費というものを考えるべきだと、私は思います。
 ですから、間接経費はそういう意味で、非常にすばらしい特色を出すためにそこに出すという意味で私は機能するというふうに思いますけれども、貧しくなったから、それを不安定なものを何とか一時的にでも救って行こうとすると、今度は間接経費を取るために、通りやすい科研費申請を出すというようなことになりかねないと思うのです。今、科研費の申請者が莫大に増えているのは、大学が何でもいいからとにかく科研費に申請せよ、そこで付いてくる間接経費が重要だと。そうは言いませんけれども、現実にはそういうふうになっています。ほとんどの大学では、科研費がとれれば、何らかの経済的優遇をするとして、大学の方針として堂々とホームページに載っております。
 そういうことを考えますと、やはり間接経費を取るために科研費を獲得しなければならないということになると、それは大きな問題になります。むしろ、科研費を取って間接経費が付く、それはプラスの何か特色を与えるものだというふうに我々は考えてきました。以上です。

【濵口主査】
 どうぞ。

【井関委員】
 済みません、私、ちょっと先ほどまで手を挙げていたときには、間接経費のことを、上山先生のように研究基盤を整備するためのお金なのだということ、すなわち、いわゆるなかなかお金が取れないような研究領域も含めて、研究基盤を整備するためのものであるから、すべての競争的資金に間接経費をつけるべきであると考えていました。ただし、今勝木先生がおっしゃっていたのもまったくで、今後、間接経費を取るために、科研費を申請しなさいという命令が出てしまう可能性があります。そうすると、確かに先生のおっしゃるように、取りやすいテーマ、この内容だったら取れるよねとか、そのように科研費を申請するようになって、挑戦的でなくなってしまうという問題があります。
 今、そのお話を聞いた瞬間に、じゃ、私は何を発言したらいいのだろうと思ってしまったのですけれども。となると、間接経費は付くけれども、たとえば、科研費なら科研費で出した業績とともに何かしらの評価をコンバインした形で出すというような方策というのはあるのかなという気もいたします。
 先ほどおっしゃったように、なかなか科研費が取れないという分野もあると。そういう場合に、でも、その研究を担保するというか、そこを最低限サポートしてあげるのはどういうお金なのだろうと考えたときには、やっぱり間接経費というのは必要なのではないかなというふうには感じております。
 この論点2のところはとてもいいと思うのですけれども、若手に関しては、非常に今、大学院大学が増えまして、いわゆる博士を持った人たちが以前より増えているわけです。ところが、人口というのは今先細りになっていますし、実際キャリアパスの多様性というものは必要なわけで、ここの今の論点というのはちょっとアカデミアに集中し過ぎていないかなと思います。
 私は博士課程を取った後に、普通でしたら、いわゆるポスドクと言われるような有期の雇用というのはありえると思っています。1回、2回、計6年ぐらいまでと思います。普通だろうと思っています。でも、その先に、アカデミアに残る人、そうではなくていわゆる企業に入っていく人、アカデミアから途中で企業に入っていく人。そこの人材育成というものも考えていかないといけないと思います。それは先ほどの経団連の方ではないですが、やはり経済界というか、企業が欲しい人材をある程度育成する。そのためだけの教育はしませんけれども、最低限その考えを頭の中に入れおく状態というのは必要なんじゃないかなというふうには考えています。

【濵口主査】
 御指摘のとおりで、これ、最近セクター間の異動がどんどん細っている。特にアカデミアから産業界に行く人はほとんどいない状態です。新卒一斉採用以外は、もう入口がない状態。それがポスドクの高齢化にもつながっている。ただ、大学側の人材育成のモデルが、研究者の後輩を作るというところに絞り過ぎていて、結局それは産業界が必要としていないという問題があります。ここをどうかみ合わせるかが大きな問題ですけれども、競争的研究費の課題とはちょっと遠いところにあります。

【井関委員】
 そうですね。

【濵口主査】
 それでは、角南先生。

【角南委員】
 この改革の検討会の論点というところで、もう一つ入れてもらいたい点があるのです。それは、中村理事長がいらっしゃっているので、いろいろJSTの方での経験というのは重要になってくるのだと思うのですが、それが国際的な共同研究をやる場合に、日本のファンディングシステムがどういう状況にあるのか。つまり、我が国に何か制度を改革するときに、やっぱり外圧的な要素というのは非常に効くのだと思うのです。
 そういうことを考えると、今日本の研究開発能力を高めていくときに、海外との共同研究というのはすごく重要になってくる。ところが、我が国のファンディングのシステムがよその国のファンディングとうまくマッチングするときに、接続が非常に悪いような。これ、会計基準をいろいろ議論すると、すぐそういう話になって、割とグローバルに企業が展開していくためにはこれは絶対変えなければいけないという議論は、非常に通りやすい。
 じゃ、これから日本の研究が世界で一体となって、そしてリードして、研究力を上げていくために国際的な共同研究をますますやっていかないと、取り残されていきますと。そのときに、例えば戦略国際もそうですけれども、国際的に一緒にマッチングをやる中で、日本の研究資金の制度がネックになってうまくいかないというケースがどれぐらいあるか。つまり、その接続のところをどう考えるかということが1つ。
 もう一つ、国際という視点を考えると、例えばサイエンス2.0もそうですけれども、クラウドファンディングとか、新しいファンディングとの接続が世界で動いていることに対して、じゃ、我々の研究費の改革をしているときに、新しいものとの接続をちゃんと視野に入れた議論になっているのかということも非常に重要な視点だと思うのです。そうしないと、どうも我が国の独特な閉ざされた問題だけで議論していると、これはやっぱり国家戦略のところにはなかなか議論が上がっていかなくて。
 だから、もう周回遅れなのだと。これを取り戻す改革をしないと、多分今また間接経費をやったとしても、また世界から見れば周回遅れの立場は余り変わっていないというふうになってしまうと、やっぱり将来的な本当の意味での若手を育てるようなものにもならないしと。この資料6の中に割と国際的な部分の検討というのがない、比較みたいな。これは中村理事長が一番、多分よその国のファンドの理事長と交流があっていろいろな情報を持っていらっしゃるので、その辺のところは是非提供していただいて、改革の視点に入れていただければと。

【濵口主査】
 中村理事長、お願いいたします。

【中村理事長】
 大変貴重な点を今御指摘いただいたと思います。確かに国際的な連携のためのファンディングの在り方というのは、1つ、大きく取り上げていただきたいと思います。今、幾つか言われたとおりなのですが、例えば直近で問題になっているのは、欧州でHorizon 2020という年間1兆円を超えるようなプロジェクトがこれから7年動くわけですけれども、これに対して日本がほとんど参加できない。テーマの決め方から、お金のつけ方が日本のシステムと合わないのです。というようなことが今、私から見ると一番大きな問題になっています。
 それ以外にも、全体に国際共同研究に関する予算は減る一方で、非常に国全体としての方針が定まっていない等とありますが、ちょっとそれをやると長くなりますので。
 私、1つだけ。30秒で終わりますが、論点2の若手研究責任者向けの研究費とか、あるいは若手をこれから育てるというときに、先ほど橋本先生が言われたのと私は通じると思うのですが、もしパイが同じだとすると、その分どこから持ってくるのかというのはきちんと書いた方がいいと思うのです。
 そうしないと、夢のような、こうあればいいというのが列挙してあって、そのために何を犠牲にしてこれをやるというところまで書かないと、現実がないのです。もっと、給与システムを若い人は厚くすると。あるいは、もっとテニュアトラックを作るとしたときには、当然年長者の人、年配の人の給与を下げる、あるいは上昇を止める、いろいろなことをやらなきゃいけないわけです。そこまで考えてこの1行1行を書かないと、非常に迫力がないなと思います。

【濵口主査】
 松尾さん、何か意見ありますか。

【松尾振興企画課長】
 御指摘、ごもっともでございます。最初のフェーズところには、もちろん競争的研究費の充実というのはしっかり訴えてやっていかなければいけないと思いますけれども、とはいえ右肩上がりのことばかり言っていてもしようがないというのもありますので。今後の具体的な設計の中で、おっしゃることはごもっともでございますので、役所の政策としてそういうことはちゃんと盛り込んで、企画していかなければならないというふうに思っております。

【濵口主査】
 2人の会話をばらしてしまうといけないのですけれども、間接経費を新たに今付いていないところへ付けるとしたらどれぐらい掛かるというと、松尾課長は200億プラス必要であると。

【松尾振興企画課長】
 文科省の今あるものの中で、いわゆる30%の競争的研究費でないものと言った方がいいのですかね、それがざっくり申し上げて800億、1,000億と、それぐらいの感じでございますので、そこに3割。そこの中でも大体1割ぐらいで一般管理費みたいなものが付いているものも多いので、間接経費的な性格ですら全くゼロということはないと思うのですけれども。それで考えると、そこに30%のものをそのまま素直に措置をしようと思えば、プラス措置をと思えば、200億とかそういう単位のものになり得るかなという感じです。

【濵口主査】
 かなりのボリュームなのですね。これ、簡単に実現するとは思えない。じゃ、どこから削るかという話もなかなか難しい。かなりいろいろな議論が必要なところであります。だけれども、当面は正面突破したいというのが、大学の学長の立場としては率直な意見ですが、これはなかなか難しいというふうにいろいろ思います。
 論点1、2、異論のある方はございませんか。少なくとも、これ共通認識としてここまでいいかどうかということでございます。よろしいでしょうか。
 先生、どうぞ。

【佐藤委員】
 橋本先生、最初におっしゃったことですけれども、間接経費の使い方、意義、これについての議論がここでも非常に大事な議論だと思います。これ、論点の中には書いてありませんけれども、やはり基本的に大きな大事な問題だと思います。間接経費を増やしていくこと、それは大学にとっても必要だし、それが必要なことは分かりますし、そういうことで、この論点の1の中の1番になっている競争的資金の定義の問題は大事な問題です。2番目も同じように、間接経費を増やすための方策でありますから、当然のことですけれども、やはり間接経費は一体どう使われるべきかという問題は、一番本質的な問題だと思います。
 勝木先生からもおっしゃったように、いろいろ間接費を取るために科研費を取るなんていうことは筋違いであるわけです。逆に、間接経費は全部研究者のものだという立場も全く間違っています。また、上山先生がおっしゃったように、文科系の方の人件費までこれでカバーするとなると、これもやっぱり大きな問題だと思いますし、そのあたりは、やはりこの場ですごく議論を進める必要があると思います。
 私自身は、やはり研究とか教育の基盤を支えるようなものに使うというのは分かるのですけれども、上山先生のおっしゃったアメリカのシステムにはちょっと賛成しかねるところがあります。人文系の人の給料までこの経費から出るとなると、それは文科系の方々にしても幸せではないと思うのです。やはり、ちゃんと自分で科研費を出して研究をやるべきだと思いますし、人件費はちゃんと運営費交付金で手当てするべきだろうし。
 もちろん、人文系の場合でも整理統合は必要で、カレントな今の段階の本当のすぐれた学術研究ができる分野を選ぶようなことは一段と努力は必要だと思うのです。これはありますけれども、その間接費の使い方については、この場でも合意を図った方がいいと思っております。

【濵口主査】
 ありがとうございます。それでは、お時間となりましたので、間接経費の使い方等の議論については、次回さらに深めたいと思います。
 1点だけ、最初に大学改革の検討状況について御報告いただいたところで、それの7ページ目を見ていただくと、ここに選ばれたいろいろな階層の大学全てにおいて、もう既に運営費交付金では承継職員の給料は払えない状態に入っているということを御了解いただきたいと思います。科学技術・学術審議会の中ではデュアルサポートの必要性をずっと言ってこられたのですけれども、デュアルサポートもできない状態になっております。これが現実であります。
 200億とか、例えばどこから出すかという議論のときに、それがネットで増えるようなお話が構築できれば、これは別に矛盾はありませんが、間接経費を200億付けるとしたら、運営費交付金をさらに削るのかと。これ、自己矛盾でありまして、給料が払えないから間接経費が欲しいといって、また給料が払えない無限地獄へ入っていきます。ここは、しっかりよく考えていただかないといけないと思います。
 それから、もう一つの点は、基盤運営費交付金というのは大学の骨格を支えるような経費であります。その骨格の中には、基盤的な機能を果たしているスタッフ、教員、職員の給料が入っているはずなのです。そこに競争的資金から給料を払うということは、これは競争的な研究費と基盤的な経費との概念的な混同が起こります。混同が起これば、当然財務省は「それは一緒だね」と言って、もっとカットするに決まっております。そこもしっかり議論していただかないと、理想論を述べてこれを議論しても、私たちの期待とは全く真逆の結果になるリスクがありますので、是非次回はもう一段深めた話を御議論いただきたいと思います。
 済みません、お時間押してしまいました。定刻となりましたので、本日はここまでとさせていただきます。
 最後に事務局から第3回の会議の点について、連絡をお願いいたします。

【松尾振興企画課長】
 次回は、一応参考資料2に今後の予定が書いてございますけれども、次回は3月13日、来週の金曜日、午前中10時から12時、この場所を予定しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。それでは、次回では、その後の検討に向けて御意見、論点の整理を試みたいと思いますので、今日はどうもありがとうございました。長時間ありがとうございます。

 

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研究振興局振興企画課競争的資金調整室

(研究振興局振興企画課競争的資金調整室)