国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議 人材の確保・育成方策検証作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年11月18日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 15階 15F特別会議室

3.議題

  1. ILCに関する有識者会議人材の確保・育成方策検証作業部会の議事運営等について
  2. 人材の確保・育成方策に関する課題等について
  3. 国際リニアコライダー技術設計報告書(TDR)における人材の確保・育成について
  4. その他

4.出席者

委員

中野座長、小関座長代理、浅井委員、池田委員、大熊委員、岡本委員、中家委員、山本委員

文部科学省

小松研究振興局長、生川大臣官房審議官(研究振興局担当)、行松基礎研究振興課長、萩原素粒子・原子核研究推進室長、吉居加速器科学専門官

5.議事録

【吉居加速器科学専門官】  それでは、時間となりましたので、始めさせていただきます。これから、国際リニアコライダーに関する有識者会議、人材の確保・育成方策検証作業部会(第1回)を開催させていただきます。私は基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室の吉居と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。国際リニアコライダー計画につきましては、昨年5月に文部科学省に国際リニアコライダーに関する有識者会議を設置し、その下に、素粒子・原子核物理作業部会、技術設計報告書(TDR)検証作業部会の2つの作業部会も設置し、議論を進めてまいりました。本年6月25日の有識者会議では、これらの約1年間の議論をこれまでの議論のまとめとしまして取りまとめ、その際、人材の確保・育成方策については新たな作業部会を設置し、議論を深めるということが決定されました。

本日は、その第1回の会合となりますが、まず開会に先立ちまして、事務局より2点、御連絡させていただきます。

1点目、本会議の座長は、6月25日の有識者会議で指名されました大阪大学核物理研究センター長の中野先生にお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。

また、委員の選考についても、有識者会議で作業部会の座長に一任されておりましたので、中野先生との相談の上でお願いしたところでございます。

2点目でございますが、後ほど本会議の議事運営等について議題とさせていただきますが、座長とも事前に相談の上、本日の会議は公開とさせていただきます。

それでは、中野座長に進行をお渡しいたしますので、よろしくお願いいたします。

【中野座長】  それでは、国際リニアコライダーに関する有識者会議、人材の確保・育成方策検証作業部会(第1回)を開会いたします。

本日は御多忙のところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本会議の座長を務めます中野でございます。委員の選出に私も関わっておるんですが、結果的に武闘派の委員の方々が集まられたということで、激しい議論の中でも最終的に建設的な結論が導き出せたらと思っています。

では、本日、御出席いただいております委員の皆様及び文部科学省からの出席者について、事務局より紹介いただければと思います。第1回ですので、委員の皆様は、紹介されましたら、一言ずつ御挨拶をお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  それでは、本日御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。お手元の資料2に委員の名簿がございますので、御参照いただければと思います。

それでは、御紹介します。東京大学の浅井委員でございます。

【浅井委員】  浅井と申します。よろしくお願いします。LHCを主にやっておりまして、ちょっと要らない発言が多いかと思いますけれども、お許しください。よろしくお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  続きまして、三菱重工メカトロシステムズ株式会社、池田委員でございます。

【池田委員】  三菱重工メカトロシステムズ、池田でございます。当社は、この10月に三菱重工から加速器事業の移管を受けまして、主に三菱重工時代から加速器コンポーネント、常伝導加速管及びILCに採用される超伝導加速空洞、などの製造を担当しております。よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  高輝度光科学研究センター、大熊委員でございます。

【大熊委員】  大熊でございます。よろしくお願いいたします。高輝度光科学研究センターと書いてあります。分かりやすく言うとSPring-8、SPring-8の建設時期にいろいろなコンポーネントの担当をいたしまして、1年半ほど前に定年になりましたが、加速器の部門長としていろいろ務めさせていただきました。多少でもお役に立てればと思ってきょうは参加させていただいております。是非よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  広島大学、岡本委員でございます。

【岡本委員】  大学院の先端物質科学研究科にビーム物理研究室というのがあるんですけれども、そこの教授を務めている岡本と申します。専門は加速器寄りなんですけれども、加速器自体というよりも、加速器の中を回っている荷電粒子ビームのダイナミクスを主に研究しています。よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  高エネルギー加速器研究機構、小関委員でございます。

【小関委員】KEKの小関です。J-PARCセンターの現在副センター長をしておりますが、もともとは加速器が専門です。よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  京都大学の中家委員でございます。

【中家委員】  京都大学大学院理学研究科の中家です。現在、先ほど小関さんが紹介したJ-PARCでニュートリノ振動実験、T2Kを遂行しています。よろしくお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  高エネルギー加速器研究機構、山本委員でございます。

【山本委員】  山本でございます。本日はどうもありがとうございます。高エネルギー研のリニアコライダー計画推進室の室長を務めております。また、国際的な研究連合体としてのLCCと書いてございますが、リニアコライダーコラボレーションの委員を務めております。よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  本日、住友重機械工業株式会社、熊田委員、総合科学研究機構、横溝委員、東京大学、横山委員におかれましては、所用により欠席でございます。

なお、出席は8名であり、当作業部会の定足数は6名ですので、会議は有効に成立しております。

続きまして、文部科学省からの出席者を紹介いたします。研究振興局長の小松でございます。

【小松研究振興局長】  よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室長、萩原でございます。

【萩原素粒子・原子核研究推進室長】  よろしくお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  このほか、大臣官房審議官、生川と基礎研究振興課長の行松につきましては、所用のため、後ほど出席と伺っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【中野座長】  ありがとうございました。第1回作業部会の開会に当たり、小松研究振興局長より一言御挨拶をいただきます。よろしくお願いします。

【小松研究振興局長】  それでは、一言御挨拶申し上げます。先生方にはILC有識者会議の人材作業部会の委員をお引き受けいただきまして、どうもありがとうございます。また、きょう、お忙しいところ、御出席いただきまして、お礼を申し上げます。

先生方が10分前に集まっていらっしゃったにもかかわらず、私たち、遅れて、しかも来てない者がおり、私もちょっと別の会議が途中から入っていまして、入れ代わりになってしまうことを最初におわびしたいと思います。

この作業部会で御議論いただきますILC計画は、素粒子物理学の未知の領域を切り開いていくということで、非常に夢のある壮大な計画です。素粒子物理学では梶田先生が今年ノーベル賞を受賞されたということで、本当に国民全体に夢を与えてくれたと思っています。

ただ、壮大であるがゆえに、検討しなければいけない、解決しなければいけない課題もたくさんございます。これまで有識者会議の方で、全体会議の方で、科学的意義とか、コスト、それから、技術面などについて御検討をいただいてまいりました。今回は人材ということで、大型加速器に係る技術系の人材につきましては、慢性的に不足しているというふうに聞いております。ですので、この人材をいかに確保するか、育成していくか。育成・確保しても、その後またちゃんと仕事していけるのかという、そういったところまで考えていく必要があると思っています。

それから、ILCについての人材が問題だということは、すなわち、大型加速器全体の人材の不足ということにもつながっていると思いますので、この会議はILCに関する人材の問題点について御検討いただく会議ではありますけれども、そのことが今後の我が国の大型加速器研究全体の人材の確保・育成等にもつながっていくと思いますので、そのあたりも視野に入れてお話合いをいただければ有り難いと思っております。

非常に限られた期間内での御議論になると思いますけれども、どうぞ忌たんのない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【中野座長】  ありがとうございました。それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  資料の確認をいたします。お手元の資料をごらんください。1点目が本作業部会の設置についてでございます。資料の2が委員名簿、資料3が本作業部会の議事運営規則(案)でございます。資料の4点目が、本作業部会における論点(イメージ)、それから、資料の5点目が今後のスケジュール予定としてございます。6点目が本日プレゼンいただきます山本委員からの御提出資料でございます。本資料は以上でございます。

このほか、参考資料としまして、机上にファイルを置いておりますので、目次のほうをごらんいただければと思います。1点目が、ILCの概要でございます。2点目が日本学術会議からの国際リニアコライダー計画に関する所見でございます。3点目が科学技術・学術審議会でまとめました学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップでございます。4点目がILC立地評価会議でまとめられました立地評価の結果、それから、5点目が、高エネルギー加速器研究機構内部の委員会でまとめられました高エネルギー物理学将来計画検討小委員会の答申でございます。6点目がCERNの概要、7点目が素粒子物理学における欧州の未来戦略、8点目がアメリカの素粒子物理学プロジェクト優先順位付け委員会E5報告書の概要の和文でございます。9点目が、同じ文章の英文でございます。10点目が国際リニアコライダー計画の概要、それから最後が、先ほども申しましたこの親会議でまとめましたこれまでの議論のまとめでございます。これまでの議論のまとめにつきましては、ごらんいただくとおり、青いタグを付けまして、その報告書に含まれております素粒子・原子核作業部会とTDR作業部会、それから、野村総合研究所にお願いをしてまとめていただきました調査の概要も分かるようにとじてございますので、適宜ごらんいただければと思います。

以上、不足の資料がございましたらお知らせ願います。以上でございます。

【中野座長】  どうぞ。

【中家委員】  今、5番の資料の説明がちょっと違っていました。高エネルギー物理学将来計画検討小委員会は、実は高エネルギー加速器研究機構の下ではなくて、高エネルギー物理学研究者会議というコミュニティのもとで作られた将来計画委員会の答申です。

【吉居加速器科学専門官】  大変申し訳ございませんでした。

【中野座長】  ありがとうございます。それでは、議事に入ります。議題1として、本会議の公開の在り方と議事運営の方法等について事務局から説明をお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  御説明いたします。資料の3をごらんいただきたいと思います。資料3では本作業部会の運営規則を案として提出しております。

1条から読み上げてまいります。第1条で、「本作業部会の議事の手続きその他作業部会の運営に関しては、この運営規則の規定するところによる」としております。

第2条で、「作業部会の会議は、座長が招集する」。第2項で、「座長は、作業部会の事務を掌理する」。第3項で、「座長が作業部会に出席できない場合は、あらかじめ座長の指名する委員が、その職務を代理する」としております。

第3条で、「作業部会は、作業部会委員の過半数が出席しなければ、作業部会を開くことはできない」。第2項で、「作業部会は、関係機関に対して必要な協力を求め、調査・検討に参加させることができる」。第3項は、作業部会で「必要があると認めるときは、参考人を招いて意見を聴くことができる」としております。

第4条で、「作業部会に属する委員が作業部会を欠席する場合は、代理人を作業部会に出席させることはできない」。

それから、第5条で、「作業部会は原則として公開とする。ただし、座長が会議を公開しないことが適当であるとしたときは、この限りではない」。第2項で、「前項ただし書の規定により作業部会を公開しないこととした場合は、その理由を公表するものとする」としております。

第6条で、「座長は、作業部会における審議の内容等を、議事概要の公表その他の適当な方法により公表する。ただし、座長が審議の内容等を公表しないことが適当であるとしたときは、作業部会の決定を経てその全部又は一部を非公表とすることができる」としております。

第7条で、「この規則に定めるもののほか、作業部会に関し必要な事項は、座長が定める」としております。

運営規則の案については以上でございます。

【中野座長】  ただいまの説明に対し、御意見、御質問等ありますか。

御異議ありませんね。

(「異議なし」の声あり)

【中野座長】  それでは、本会議の議事運営につきましては、資料3のとおりで決定させていただきます。

また、座長代理につきましては、運営規則第2条第3項に基づき、座長が指名することになっております。つきましては、小関委員にお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【小関委員】  御指名ですので、お引き受けいたします。よろしくお願いいたします。

【中野座長】  ありがとうございます。

(小関委員、座長代理席へ移動)

【中野座長】  なるべく休まないようにします。

【小関座長代理】  お願いします。

【中野座長】  それでは、次の議題に入ります。本日は第1回でございますので、まず本作業部会でどのような議論やまとめを行うかについて、参加者で共有したいと思います。この作業部会では、ILCの建設及び運転等に必要となる人材の確保と育成方法について検証し、留意すべき点について専門的見地から検討を行うことを目的としていますが、そのための検討の際の論点と今後のスケジュールについて事務局にイメージを作成してもらいました。それでは、事務局より御説明をお願いします。

【萩原素粒子・原子核研究推進室長】  それでは、御説明を申し上げます。資料の1が6月に有識者会議を開いたときにこの部会を設置する際の設置ペーパーになってございますが、その中の検討事項2ポツのところに(1)から(5)で5つ並べておりますけれども、これをさらにかみ砕いて、今後この作業部会でどういった御議論が展開されるのかということを事務局の方で座長とも御相談しながらまとめたものが資料4になります。この資料4に基づいて御説明をさせていただきます。

まず1つ目のTDRにおける人材に関する記述の検証ということで、こちらは、これまでの議論の中でも何度か話題にはなっているんですが、この後山本先生から御説明をいただきますように、TDRの中でもどれぐらいの人が要るのかというところが表れてくるところがありまして、それが本当に妥当なのかどうかというのをまさに検証していくということが必要だと考えております。やはりお金があっても、技術が成熟していても、人がいなければできないということなので、ここが一番大事な点だろうということで、この作業部会が設置されているということですので、まずこの部分、しっかり詰めていくというのが1つ目の検証項目です。

2つ目が、大型加速器における人材に関する検証ということで、国外のLHCのような大型の加速器の製造であるとか、建設、運転、メンテナンスの各段階でどういった人材の確保・育成が行われてきたのかというのを実績として見ていくとともに、国内外の大型加速器施設の研究者・技術者というのがどれだけ回せるものなのかというのを見通しを持たないと、ILCをやるといっても、いきなり集められるわけではございませんので、そういった点について検証していくという項目です。

3つ目ですが、そうは言っても、現存のメンバーで、とてもじゃないけど、恐らくこれだけの大きい計画を実行することはできないと考えられますので、育成をしていかなきゃいけない。特に国内で人材を育成していかなければいけないということで、3つ目の項目として、国内における人材の確保と育成に関する検証という項目を挙げてございます。

1つ目は、国内企業で技術者をどうやって確保していくか。これは営利企業でもある民間事業者がどこまで御協力いただけるかというところですので、ここを検討できる範囲で検討していきたいと思っております。

それから、国内にも、国際協力型ではございませんが、本日大熊委員にも来ていただいていますけれども、SPring-8のような大型の加速器を作ったときにどういったことがあったのか、そのときに企業の貢献はどうだったのか、建設終了後にどうやって回しているのかといったところをお聞きできればということを考えてございます。

それから、この分野について一応高エネ研が人材育成も含めて担うと、中核として担うということになってございますので、高エネ研の実情というのも併せて見ていきたいと考えています。

さらに、やはり魅力のあるキャリアパスでない限りは人が集まってこないというところなので、小松局長の挨拶にもございましたけれども、ILC計画が終わった後にもその人たちがキャリアパスとしてちゃんと歩んでいけるようなものを考えられない限り、なかなか人が育っていかないと思っておりますので、全体としてトータルのキャリアパスを併せて考えていきたいと考えてございます。

4点目、こちら、学術会議に御相談したときに向こうからの返答であった内容ですけれども、日本に果たしてこれだけの大型の計画を仕切れるようなマネージャーとかリーダーがいるのかという問題がございまして、この点、しっかりマネジメントのできる人材を育てていく必要があるという宿題をいただいております。まさにそれについて御議論をいただきたいと思います。こちらにつきましては、できましたら実際に国際協力型のプロジェクトでリーダー的な立場におられるような方からヒアリングなどをして、どういったところが問題になるのかといったところも浮き彫りにしながら検討いただければと思っております。

その他として、この議論の中で新たに浮かび上がってきて検討すべき項目があれば随時足していきたいと考えてございます。

これらの項目を、資料5になりますけれども、おおよそのスケジュールといたしまして、今のところ、5回プラス予備1回で御議論をいただければと考えてございます。

1回目、本日ですけれども、全体の御説明をいただいて、2回目、12月を予定しておりますけれども、大型研究プロジェクトの建設及び人員の確保ということで、過去の大型加速器プロジェクトの実情をヒアリングできればと考えてございます。年が明けますが、3回目、4回目、それぞれ、1から2月、3から4月に開く予定としておりますけれども、3回目に企業における人材の話、それから、海外の国際大型研究プロジェクトの事例などをヒアリングできればと考えております。第4回につきましては、リーダーの育成について、それから、浅井委員にも御協力をいただければ思っておりますけれども、CERNにおける研究の状況なども御議論いただければと思っております。このときに、できましたら骨子案のようなものをお示しをさせていただいて、第5回は骨子案に沿って事務局の方で報告書案を作成いたしますので、それの中身についてさらに御議論いただければと考えてございます。

以上です。

【中野座長】  ただいまの論点についていろいろお考えがあると思います。質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。なかなか盛りだくさんなんですが。

【岡本委員】  先ほど申し上げましたように、私は大学でハードウェアの巨大な装置からは少し離れたところにいて、そういう意味ではILCのような大型のプロジェクトに関して素人なんですけれども、素人目線で考えたときに、非常に単純な発想でもってこの部会で明らかにしてほしいと思うことが何点かあります。本当に誰でも分かることで、今の論点のイメージとかなりかぶっているんですけれども、個人的に知りたいと思ったことをとりあえず幾つか挙げておきます。まず建設期に必要な人員およそ1,000人の基本的な構成、これは何かに出ているのかもしれませんが、はっきりお示しいただけると有り難いかなと。加速器の専門家が何人で、技術者、技官をどれぐらい、何%ぐらいと考えているのか。それからあと、ポスドク、若い人たちを、どこかから集めてこないといけないと思うんですけれども、その割合ですね。

また、1,000人要るといっても、1,000人全員が国内で一堂に会して働くわけじゃ多分ないと思うので、海外でコンポーネントの開発なんかをする人たちも含めて1,000人だとした場合に、そのような人員がどれぐらい含まれているのか。この点は海外で大量生産する部品があったりすると、その一様性とかコストの面なんかについての問題も絡んでくるのかなと思います。人材育成面では例えば海外で働く人たちが50%いるんだったら、半分の500人ですかね、国内で働く人が。それでいいわけで、その辺がちょっと僕、素人でよく分からなかったので、教えていただければ有り難いです。

それから、1,000人中の大体何%ぐらいを日本人の加速器研究者で埋めようと考えていらっしゃるのかということをお教えいただければと。また、不足した人員を海外から呼び寄せることを可能とする根拠がいまいちよく分からないと以前から思っています。来てくださいと言われても、10年ぐらいのスパンのプロジェクトなので、家族をお持ちの方なんか、かなり抵抗がある部分もあるかと思います。その辺の算段をどう付けていかれるつもりなのか知りたいところです。

それから、外国人の研究者を呼ばなければいけないわけですが、かなりの数、その中で特にリーダー格の専門家を呼ぶとした場合の給与水準とか、そういうのは予算にかかわってくる話なんですけれども、安値だと多分来てくれないと思うので、その辺をどうするのかということ。あと、10年ということになると、彼らは家族連れで来るかもしれないわけですけれども、それに関わるインフラの整備について、例えば日常生活に関わるようなものの整備なんかに関しても算段があって、それが報告書の中の予算にきちんと含まれているのかどうかということ。

最後に、先ほどの話にもありましたが、ILCが完成した後の浮いた人員に関して、キャリアパスや何かをどう用意していく方針なのか。

きょう、飛行場で生命科学系の方とばったりお会いしたんですが、その人も、別分野なんですが、キャリアパス、キャリアパスと言っていて、分野は違うんですけれども、やっぱりキャリアパスがあるかどうかというのがこれから若い人たちを取り込んでいく上で重要かなと。私は大学にいて、現場で学生を指導していますが、魅力のある将来が見えないと研究室に来てくれないので、そういう点についていろいろ教えていただければと思っています。

ちなみに、個人的には加速器寄りの人間なので、こういう装置が日本にできれば、高エネルギー業界ですとか、加速器業界は盛り上がるというか、我々のところだけ見ればプラスになるとは思うんですけれども、額が額ですので、ほかの多様な分野の方たちに対してあまりネガティブなことが起きないようにしないといけません。その点を総合的に考えて、できるだけポジティブな建設的な結論に向かえればと思っています。

以上です。

【中野座長】  ありがとうございます。かなりここでの論点のイメージと一致するところが多かったかと思いますけど。

【岡本委員】  素人目線でも同じ感じ。

【中野座長】  そうですね。違う表現で説明していただいて、より論点が明確になったかと思いますが、ほかに御意見、御質問ありませんでしょうか。

【大熊委員】  岡本先生の話とかぶるところがあるのですが、既にILCでKEKを中心にしていろいろなR&Dなどをやられていると思うんですね。それに私も聞いている話では、いろいろな国内の企業等が既に参加しているという話も聞いているのですが、ちょっと明確でないのは、ILCの場合には、国外の企業の貢献、それから海外の研究所の寄与が必要だと思うのですが、研究者は、おもしろい物理があれば、学問的な意義があれば来ると思うのですが、企業の場合には、学問だけじゃなかなか来ないというところもあって、現時点で国外の企業がILCに対してどの程度参加しているのかと、どの程度の国外企業の参画を考えているのかというところがもし説明いただけるならいただきたいなと思います。

それから、きょうもいろんな会社の方がいらっしゃっておりますが、大きな国内の加速器関連の企業が参加されているという話は聞いているのですが、多分いろいろな技術を考えると、中小企業の技術というものも決しておろそかにはできないと。やはり参加してもらわなきゃいけないところがたくさんあるのだろうと思うんですけれども、そういうものをどうやって取り込んでいくのかというところがもし議論ができるのでしたら、やっていただければと思います。

そんなところですが、1点だけ確認なんですけれども、資料4の1ポツの最初のポツのところで、構成部品の製造、建設、運転、マネジメントの各段階における国外、国外からの書いてありますけれども、これ、片方、国内ですか。

【中野座長】  国内ですね。

【大熊委員】  国内及び国外からのですよね。

【萩原素粒子・原子核研究推進室長】  はい。

【大熊委員】  分かりました。それを確認させていただきました。どうもありがとうございました。

【中野座長】  大熊委員にSPring-8のプロジェクトについての御説明とか御検討とか、お話しいただくと思いますが、そういう観点からもお話しいただきたいと思います。

【大熊委員】  はい。承知しております。

【中野座長】  ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

【池田委員】  本日は多分企業の立場からというのは私だけになるかもしれません。ILCは非常に大きなプロジェクトで、企業としてもこういうプロジェクトが日本で行われるというのを期待はしているのですけれども、過去、加速器に関して言いますと、トリスタンから始まって、大きなプロジェクトが続いてきて、それぞれに協力をさせていただいているわけですが、今は、次のプロジェクトが立ち上がっていない状態だと。企業の場合、やはり固定費で人員をキープするというわけにいかなくて、どうしてもプロジェクト単位というか、工事対応という形にならざるを得ない面がありまして、次のプロジェクトとして、いつ、どのぐらいの規模で、どのぐらいの期間というのがある程度描けないと、人員の確保と言われても、来るかどうか分からない、立ち上がるかどうか分からないものに人を充てておくというわけには、研究機関と違ってなかなか難しい。特に加速器の技術者というのは、どちらかというと社内でもほかに共通する要素があまり多くないということと、かなり特化してトレーニングもしなければならないというようなことがあります。基本的に研究者のサイドと違うのは、製造技術に近い部分を担当しますので、OJTというか、物を作っていって、トレーニングするという要素がかなり高いことだと思います。シミュレーションだけというわけにはいかなくて、設計技術、生産技術、その中でも設計のところでは、ある部分シミュレーションをやって、フィードバックをしながら力を付けると、そういう要素が強いので、やはり動いているプロジェクトが幾らかなりとも続いていないと、現実問題として、技術者をキープする、あるいは育成するということは非常に難しいです。

これは製造現場も同じで、加速器の場合は、一般の製品と違って、非常に繊細な注意を払って製造する。特にILCに採用される超伝導空洞に関しては、清浄度管理であるとか、それ以外にも通常の製品よりは厳しく管理をしなければいけないということで、現場の技術者に関してもきちんとトレーニングを日々積み重ねていないと、たまに仕事が来てやると、どうしてもミスが起こってしまう可能性がある。製品の品質の低下につながるということで、企業サイドからいくと、やはり物に直結した部分になりますので、何らかのプロジェクトが常に続いているということが技術者の確保という点では非常に大事かなと思っております。そういう点に関しても全般の御議論をいただければなと思います。

【中野座長】  最初の小松局長からの御挨拶の中にも、加速器、特に大型加速器における慢性的な人材不足、その確保・育成についてどのように考えるかということも観点に入れていただきたいということがありましたので、この委員会の中でもそういう点を、ILCだけにとどまらず、考えていきたいと思います。

【浅井委員】  池田さんにそのうちお聞きしたいんですけれども、今までトリスタンから始まって、BやJ-PARCでどのくらいの、官のビジネスと、病院とかに納める民のビジネスがあると思うんですけれども、重イオンでがんとか何とかという、そういうのの比率というのはどういう感じで、ほとんど100%官のビジネスだと思っていいわけなんですか。

【池田委員】  民間企業の立場で余り詳しい話は申し上げにくいのですけれども。

【浅井委員】  そういうキャリアパスを確保しない限り、官だけのビジネスだけでは多分成り立たない要素があると思うので。

【池田委員】  おっしゃるとおりです。もう一つ申し上げますと、私どもの会社だけでいきますと、重粒子線は担当しておりませんで、もう少し小型のものですので、基本的には加速器の事業に関してはほとんどが官の仕事だと思っていただければいいです。

【中野座長】  その点に関しても、企業としての立場と、それから、それに関わる方々のキャリアパスという立場では少し変わってくる点もあるかと思いますが、そういうことも議論の中に積極的に入れていきたいと思いますので、このような件については後ほど改めて議論していきたいと思います。

それでは、次の議題に入らせていただいてよろしいですか。

本作業部会における議論のスタートとして、国際リニアコライダー技術設計報告書における人材の確保・育成についての考え方等についてお話を伺いたいと考えております。この技術設計報告書作成に携わった山本委員から御説明をいただき、皆さんで議論しようと思います。山本委員、お願いします。

【山本委員】  本日はこのような機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。

きょうのこの報告につきましては、2つの立場からのお話ということになります。それは、まず国際設計チームがどのようにこの計画全体ときょうの焦点である人材を考えたかというのが1つ。それから、設計書が出来上がった段階から既に2年半たっておりますが、その間にいろいろなレビュー等もいただき、どういうふうにして準備をするのかということも一方で問われているわけですが、これは国際チームの中で詰め切れるところではなくて、設計したチームは一旦衣替えをしております。そして、この2年半の中で日本がホストした場合はどうですかという質問に置きかわってきております。その準備の中核となるべき日本の受け皿としては、高エネルギー研ということになると思いますが、高エネルギー研としてどのように準備というものを捉えていくか。それがきょうの御議論いただく核心になってくるのであろうと思っております。そういった意味で、2つの立場、LCCという立場でのお話とKEKとしてのお話ということになります。

詳しい加速器がどういうものかという御報告はきょうの主題ではありませんので、恐縮ですが、資料等を見ていただくことにしていただきたいと思いますけれども、一番重要なスケールだけは復習しておくことにいたしまして、重心エネルギーとして500GeV、250GeVと250GeVの電子・陽電子を正面衝突させるというのが基本で、このために考えられている加速器のスケールは、約31キロメートル。このスケールは、現存の加速器と比較するとどの程度であるかというと、CERNが持っている、浅井さんが適当な時期に御紹介くださるということですけれども、円形の加速器として周長27キロないし30キロということですが、そういった意味では比較的似たスケールのものであるということで、今までとかけ離れた全く世の中にない加速器のスケールということではなく、国際的には存在しているスケールです。ただし、陽子・陽子の衝突と、電子・陽電子の衝突の違い、ということになります。

それから、技術でありますが、2つの重要な加速器の技術があります。これは直接人材をどう育てるかということに非常に関連いたしますので、復習しておきますと、1つは、いかにビームをきれいにするかです。2つの言い方がありますが、ナノビームという形で、いかにビームを絞るか。リニアコライダーは、1回出したビームを1回衝突させたらそれでおしまいになりますので、いかに絞り込んで輝度を高くして衝突させるかが非常に重要なテーマになっています。このためには、加速器的な言葉で言いますと、エミッタンスをいかに小さくできるか。また、もう少し平易に言いますと、一旦ビームを限りなく平行にしといてから絞ると(ビームの持っている平行度と最後のサイズというのは積が一定という原理がありますので)いかにうまく平行にするかというダンピングリングの技術、それから、ファイナルフォーカシングの技術、そして、最も費用がかかるところは、当然のことながら、メインライナックのところで、そこに超伝導高周波加速技術を使おうとするところです。ここに2つの重要な人材の育成の場所があります。

そして、この計画自体は、既に1980年代から検討が進められておりまして、2004年に、一番コストがかかる主ライナックのところがどんな技術のベースになっていればいいかということで大きな議論がありまして、これからの技術として、最も現実に近い技術として超伝導技術が採用されたということです。それ以降、グローバルデザインエフォートというチームが形成され、リファレンスデザインレポート、これが2007年に作成され、その後、テクニカルデザインレポートが約5年間かけて作成されました。特にテクニカルデザインレポートでは、レポートを書くということ以上に技術の成熟度を上げるということに焦点が絞られました。そのために、既存の加速器設計としてできるべきところは、ほぼこのリファレンスデザインの中に語られておりまして、特に人材につきましてもその部分がベースになっています。そして、約8年間の技術の進歩を踏まえ、これからの超伝導の加速器技術として活躍していくことになります。

そして、テクニカルデザインレポートが出来てから既に2年半と申し上げましたが、その間も絶え間なく、設計をいかに最適化し、コスト的にも人的にも効率のよい設定にできるかということに努めております。

これは、日本の中で学術会議の答申に従って、文科省との中でタスクフォースが立ち上がり、そのもとに有識者会議が立ち上がり、そのもとにワーキンググループが立ち上がって、既にこの1年半にわたって、いろんな審議、御議論、そして御指導いただいてきたわけですが、それをいつも同時進行で吸収し、どうやったらいろいろ御指摘していただいたことに応えられるかということをダイナミックに対応してきました。

そのことがこの今年7月末に出したものでありますが、インターナショナルリニアコライダープロジェクトレポートというのに書き込まれておりまして、幾つかのテーマが実際にございます。きょう、細かいところはそこは御紹介する時間がないので、また機会があれば御紹介します。

前半は、国際設計チームによる検討がどういうようなものであったか、どのような人材を必要としたかということで、先ほど岡本委員のほうからも御指摘いただきました、どういう構成で、どういうような人材を考えたかということを報告します。それから、後半は、そのテクニカルデザインレポートで述べられた内容を受けて、どうつなげられるんですかという御質問をたくさんいただいているわけで、どういうふうに準備ができるんだろうということを、これはKEKの機構長のもとに、前機構長の時代からもだんだんとその積み重ねがあったのですが、現機構長、山内機構長になりましてから、KEK・ILCアクションプランワーキンググループというものが形成され、そこには、加速器から、またリニアコライダーを専門に扱っている推進室の立場、両方の者たちが協力をして、これからどうあるべきかというプランを作成しています。

これは間もなく機構長のもとから公開される予定でございますが、きょうはそれに先立ちましてその内容を報告させていただくという了解を機構長にもいただいてきております。きょうの会合も公開ですので、事実上公開されますけれども、機構としてはそういうプロセスを踏んでいくということも御理解いただきたいのと、それから、外国の方がどのくらい貢献していただけるんだということをこちらのモデルとして、一方的ということはなく、こちらの主体としてこう考えたいという形で出しており、外国の研究機関等からも今意見をいろいろお伺いしているところです。

きょうの報告の概要ですが、まずこの研究所のスケールは、約1,000人の規模、きょう実際書いてあるのは1,100人が平均ということでありますが、オーダーとして1,000人。そこには研究職、それから、技術の方、管理部の方、業務委託等も全部含まれるという数字であります。

それから、これは大前提でありますが、国際連携でできるプロジェクトであって、国際研究機関のもとに世界から集まってきてくださることです。KEKからお願いするというよりも、世界中が自分たちみんなで集まって作ろうという、そういう意識でできるべき人材だということです。

それから、準備期間にどのくらいの人を養成し、その人たちがどういうコアになっていくのかということに対して、昨年までよりもさらに充実した検討を加えてきた結果、約4分の1の人材を計画が本格的にスタートする前に用意するというのが提案になります。そういった見通しについて述べさせていただきます。

そして、その具体的な内容は、コアとなるべき、焦点となるべきテーマは、やはり超伝導高周波加速技術、それからナノビーム技術、そして忘れてはならないのが施設設計です。これは非常に大型の建設になってくるために、いきなり明日から始めるということはできません。基本設計があったとしても、企業の方々とも協力をした本当の本格的な工事を始める前の設計準備というものが必要になります。

最後にこの表に戻ってくるのですが、一番最初にどういった全体のスコープかということを見ておいていただいたほうが、これをさらに詳細に見ていこうとしたときにイメージがわくと思いましたので、御助言も頂き、このようにさせていただきました。

準備期間というものを私たちは考えていて、ここはテクニカルデザインレポート、技術設計報告書にはありません。あくまでも技術設計書は、世界中で集まって合意ができたとしたら、建設にどのくらいのコストとどのくらいの人が要るか、そこまでで止まっています。それは決してサボったわけではなくて、国際協力で作る研究所の場合に、どの国がどのくらい分担するかということは、我々が勝手に相談することは許されていないという立場です。これは政府間できちんと御検討いただくべき内容ですので、こうあったらいいという希望はあったとしても、ある意味での裏付けを取って、こういうパーセンテージでできるでしょうという御報告は勝手にはなかなかできません。そこは御理解いただきたく思います。

そういうことで、ここで書いてあるのはトータルなのですが、日本だけではなくて、外国の方々とも協力をして行っていく人数が、準備期間、100人程度から始めて、準備期間の終わりでは280人程度まで増強していくとしています。そして、テクニカルデザインレポートに書いてある初年度の人数は410人ということで、それにつなげていき、ピークでは約1,600人プラスで建設するとしています。また、こういう大型計画の場合、トンネルの中に搬入して据え付けるというのは非常に大きな仕事になります。なおかつ、それは短期にたくさんの人が必要になり、また、職種としても、研究職というよりも、本当に技能や、それをまた統括する技術の人たちがある割合で要るという形のものになりますので、ある意味では分けて考えたほうがプロジェクトを正確に理解できるということで、いわゆる加速器建設本体の部分と組込・据付というところを分けて書いてあります。

この部分については、平均的にラボの中で何人かということについてのところからは一旦外して、最終的に残っていていただけるであろう人たちも考えたときの平均が1,100名で、きょうのここには直接細かく書いてありませんけれども、ラボの運営には約800人から900人の人がいることによって、できていくのではないかと考えています。やはりそういう意味では今後の詳細に検討していくと、1,000人規模のものが続いていくということになるのではないかと思います。

それから、これは総表というもので、先週、文科省殿ともいろいろやりとりをさせていただきまして、全体計画の中でどの程度のどういう種類の人たちがどのくらい要るかということはやはり掴んでおきたいということで、この表を用意しました。

一番最初に見ていただきたいところは、全体の建設期間のところの据付は一旦除いて、いわゆるコアの要素を製作し、それを試験し、コミッショニングしていくための人材、それが平均的に1,124人ですけど、その中の職種がどういうふうに考えられたかということでまとめています。実は、これも非常に細かくなりますので、メーンの話には入れておりませんが、これのベースになるところが、きょう持っていただいている資料の中の後ろから3枚目の裏側ですが、資料の予備として入っております。43ページになります。ここに実は非常にブレークダウンが細かく書いてございます。どういうことか。そこに書いてあるものがテクニカルデザインレポートのときに、リーダーとなるべき人、それから、いわゆる英語でいうサイエンティスト、日本語だと研究者と言われたりしますけれども、この2つが一緒になる場合も多いかと思います。それから、いわゆるエンジニアリング、技術者の方、それから、作業者、それからポスドクの方といったものを、これはコストエスティメートする上でもある程度最低限2種類に分けたエスティメートをしていますので、そういった意味で作業者の方とポスドクの方の人数とか待遇を考えたときは同じような扱いをしています。決して同じに扱うとか、という意味じゃないんですけれども、それは御理解いただきたいと思います。

そして、それが大体200人、120人、360人、440人、それを合わせると1,124人になります。そして、考え方ですけれども、その中にさらにまたコアはどうなるのでしょうという御質問を受けていて、これ、なかなか今からコアは正確に言うことは難しいのですが、あるモデルを考えていくと一応出てくるのでやってみました。まず1,100人という数字でこのバランスがあったとして、私たちは約25%の人を用意することができれば、その方々がコアになって建設していくことができるはずだと考えています。そういう意味で、コアになる25%という方々を、準備期間の4年目に280人の中でこのバランスでとっていきますと、例えばリーダーになる方が50人、ないし研究者の方が30人ということで、その方々がここにシフトしていくと考えることができるのではないかと思います。

そして、それと同じように現状でどのくらいの人がいるかということなのですけれども、大体世界中合わせて、ほかの大きな計画に関与されている方はここに含んでいないので、その方々も当然ILCに入ってくるとしても、潜在的には人数に入ってくるとしても、ここではそれは今勘定しないで、ILCのために研究開発に取り組んでいただいているKEKの方、それから、外国のラボでも、ヨーロピアンXFELを行いながらも、ILCのためにあるパーセンテージで貢献していただいている方を人数に入れて、世界として大体80人、100人といった方々が現在その準備のために活動しているということですが、こういったような表ができて、先ほどの御質問に対しては、これが、私たちが現在理解している答えということになります。

それから、どういうふうにしてテクニカルデザインレポートのこの数字が出てきたのでしょうかということが当然御質問になるわけで、私自身がこのILCの計画に参画させていただいてから8年になるのですけれども、ILCの歴史はもっと古くて二十何年、およそ30年ぐらいの歴史を背負っています。それで、特に設計がきちんとできれば、技術開発は建設ができるまで置いておいても良いという部分については、リファレンスデザインで出来たものは尊重し、そのままにしています。

人員についても同様で、基本的にはリファレンスデザインの2007年にこれが発行されておりますが、このときの労務量の見積りをまず基本としています。そして、技術設計書を執筆している、また技術開発をしている段階でさらに改良された分についてそれを加えるという形をとっています。ですから、一番のコアは、リファレンスデザインレポートが発行された2007年時点に、世界の研究所、特にSLAC、フェルミラボ、CERN、DESYといった主たる大型加速器を牽引してこられたところの研究者の方、技術者の方が知恵を集めて実際ニーズを算定したというのがベースになります。

それから、今も申し上げましたように、技術設計書の過程で特に反映されたのが、CERN-LHC計画で実際に経験された大量の組込・据付といった作業でどのくらいの人が、どのくらいの期間必要だったかということが反映されて、数が改定されました。事実に基づいています。

それから、もう一つは、特に超伝導のところで、この技術設計書を執筆している期間の間に、DESY-FLASHという超伝導加速器のストリングが実際に完成し、運転に入っておりまして、一方で、これからもちょっと御紹介する、ほぼILCのプロトタイプに相当する規模を持っている欧州の自由電子レーザー計画、これが来年にはビームを出す可能性が高いですけれども、その建設開始がいよいよ間近に迫るといった時点がこの時期にありましたので、かなりな現実の数字が出てきました。そういったものが反映されて改定されています。

そして、先ほども言いましたように、加速器を建設本体と組込・据付作業は別に考えています。それからこういった作業者の分類によって考えています。それから、必ずこれからの計画の中では、日本だけではなくて、外国もそうだと思いますが、業務委託、会社の方との連携によって人材構成がされていくということも避けられないことで、例えば日本の場合で言いますと、大体30%から40%は企業との協力による人の提供としています。つまり、研究所に来ていただいて、実際に日々一緒に作業をする、日本の言葉で言うと業務委託、そういったものがこの人数の中には含まれるというふうに考えています。

【浅井委員】  すいません。この1,100人の中にそれが含まれているということですか。

【山本委員】  含まれています。はい。

そして、これはどうしてテクニカルデザインレポートの段階でパーセンテージを明らかにできないかというと、どこがホストするか、また、どこから出すかについて、文化が全く違う。よく皆さんご承知のように、フェルミラボ等では、ほとんどの人を短期でもいいから直接雇って、作業して、終わったら解雇するというのが文化ですから、全員研究所の人員として扱うことができます。でも、日本の文化は、小さいサイズの政府ということで、いかに定常的な人数を減らすか。そして、企業の方にお願いをして、契約のもとに来ていただくかという文化になっております。

そして、現在私たちがILCのために開発に当たっている人たちに対して、どのくらいの人たちが業務委託で来ていただいているかというパーセンテージも現実にあって、やはりそれは30から40%ぐらいになります。加速器の運転に関しても、きょう小関さんに来ていただいていますけれども、かなりの比率で業務委託の方がいてくださっているというので、日本の場合はそういう比率を非常に高く考えます。そういうものをミックスして最終的に行いますので、今正確に何%と言うのは適切ではありません。

それから、先ほどどのくらいの国からどのくらいの貢献があると考えているのかという御質問があるんですけれども、テクニカルデザインレポートでは、どこに作られるかということは語らない仮定での積算なので、それから、なおかつ政府レベルの検討が全く行われていないという条件下での検討だということで、どの国が何%出すということについては一切語らないという条件で作業しております。

ですから、今一生懸命そういったものをモデル化をしようとしているのは、むしろテクニカルデザインレポートが出来た後の私たちのKEKとしての努力だということになりますので、TDRの中にはそれはありません。

そういうことで、リファレンスデザインのときとテクニカルデザインレポートのときで人材構成に関して大きく変わったところは、組込・据付と超伝導加速空洞の比率です。このワインカラーのほうがリファレンスデザインレポートの設計書の方で、青いほうが技術設計報告書の方であります。ただ、大きくは変わっていません。

だんだん話が細かくなるのですが、少し辛抱して聞いていただければと思うのですけれども、算定を年間何人というのはなかなか難しいことです。それは、国によって働く時間も違ったりしますので、何人・年というだけで本来はあらわすのは難しいということがあって、技術設計書では人・時でやっています。何人の人が何時間ということです。

それを全部合わせますと、2,200万~2,300万人・年という、なかなか想像がつかない人数なので、便宜的に私たちはこういう形で議論していただくときの目安として、1,700時間、1人の人が年間働くというのをモデルにしています。それはそんなに日本の場合でも外れていないと思います。

そうしますと、少し現実的な数字が見えてきて、それは1,700で割ればいいんですけど、1万3,000人・年ということになります。その人たちが、据付・組込の人たちも入っていますので、一旦ここは外して考えます。なおかつ、ここは年次が集中して4年間なので、これを入れて平均するのは余り正確にならないので、これは一旦外して、定常的な、常時研究所として取り組んでいただける方を考えますと、その方々が約1万人ということになります。1万人・年。それを9年で割ると、平均的には1,100という数字が出てくるということです。それが最初の方でお見せしたこの数字ですね。こういう山になりますけれども、この平均は約1,100人。これが規模1,000人と言っているベースになります。

それから、さらに内訳はどうかということで、各セクションについて見積りが取られています。見通しが考えられておりまして、先ほどの積分労務、これを全部足すと2,300万人・時間、それを割りますと1万3,000人・年です。それぞれの中で、これは一つ一つ実際に説明しきれないですから、この30分の中で1点だけ例を挙げて説明します。最も大きな影響力のある超伝導空洞の、それから、クライオモジュールと言って、それをストリングにしたときの人数は、2,089とういう数字がありますが、これが妥当であるかということを見ていただくと、ある程度この数字の信頼性ということに対して御理解が深まるのではないかと思います。これを何と比較するかというと、またいろんなブレークダウンをただ積み重ねてもなかなかピンときませんから、この後で少しそれを説明します。

年間のプロファイルは、大体9年間のプロファイルはこうなるということで、最初にお見せしたグラフとこれは変わらないのですが、さらにそこにどういった各セクションごとに、こちらのほうはセクションごとですね、職種というよりもセクションごとちどんな人がいるかということが書いてあって、やっぱり大きいのは、メインライナックのところにある超伝導加速空洞系統が大きいです。

それから、一般的にこういう話をするときに、研究者だけで議論しますと、大体管理局、事務局の方をみんな忘れて議論することが多くなります。ここにはそれが入っています。大体20%はそういう方々が必ずいます。ですから、1,000人から始めても、管理的な方々を除くと800人になるので、そういうところを決めてから見ていかないと、1,000人集められるのですかという一言の言葉だけではやっぱり不十分になります。

それから、こういった組込のところは、最終的な後半戦の6年次から9年次に集中して組み込んでいくのですが、本当にこれは役務が主体の作業になります。

それをもう1回比べてみますと、定常的な仕事と組込、こちらはちょっと今は主題からは外れていると考えていただいていいと思いますけれども、例えば私たちの方では約80%は業務委託させていただきたいと考えています。それに対して上の部分ですけれども、この部分は約3分の1は業務委託になるというモデルが適切でないかと思います。そこに運営管理をする方々、それから、研究技術、技能、労務といった方々の比率が出てくるということで、ここで比較的興味深く見ていただきたいのは、1,000人、1,000人と言ってしまうんですけれども、一方でみんなが議論するときの中心は何かというと、加速器の研究や技術をできる人たちが1,000人いるんですかという議論になってしまうのですけれども、そうではありません。こうやってブレークダウンを出していきますと、300人という話をしているんですということです。ですから、そこのところはよく頭に入れていただきたい。だんだんと現実的な数字ではないかというのが理解が深まっていくのではないかと思うんですけれども。

それでは、先ほど2,089という、この数字がありました。これはどういう内容かということを見てみますと、全体として加速器の建設に必要な研究所側の人員です。例えば空洞を作って、会社に発注した、その中の会社の中の人員はいわゆる物件費に入っているものなので、ここで述べるのは、研究所に滞在して、設計、それから試験、評価ということをする、そういう人たちです。

そうしますと、SRFの部分が全体で約28.5%ぐらいです。その中で、SRF技術でも、本体になる空洞やクライオモジュール、それから電源系、冷却システム、そういったものがありますが、この最も人手がかかるところというのを見てあげますと、その中の大体54%、3,835という数字の半分以上がそこです。なおかつ、それをまた見てあげますと、ここから少し細かくて恐縮ですが、具体的な数字を拾っているという意味で聞いていただければいいんですけれども、例えば超伝導空洞にはコンディショニングというものが必要です。高電圧をかけていきますから。高電圧をやっていらっしゃる方、非常によく分かっていただけると思うんですけれども、スイッチをポンと入れて性能が出るものではありません。必ずコンディショニングというものがあります。そういうことにかかっていくチューニング、検査、評価のために関わっていく方。それから、約50%の方々が、空洞やクライオモジュール、設計、それから、企業の方との製造の管理、それから、試験というところに関わります。

そういう内容を、このフローの中でどういうふうになるかというと、素材購入から最終的に出来上がるところまでで、この黄色い部分ですね、空洞試験とクライオモジュールの試験というところが特に人員として検討されているところで、それを現在、ほぼ建設が8割方、ないしは9割方完了している欧州の自由電子レーザー計画での人員と、これは事実と比較してみたいと思います。

ここでは約800台の超伝導加速空洞が既に基本的な生産を終わっています、この2年間で。これはテクニカルデザインレポートが出来てから始まっているんですけれども、それは終わっています。今度はクライオモジュールという形で、この空洞を8連ないしは9連でつないで1つのユニットにするのですけれども、これは大体100モジュールになるのですが、そのうちの7割方が完成しているということです。

そういったところで逆に言うと、定常的なマスプロダクションのラインができて、数字が現実に出てしまっています。例えば空洞の性能試験では、これはDESYで全部まとめて行っているんですけれども、DESYの方々が56人、それから、国際協力でポーランドから来てくださっている作業者の方々が26人ということで、約80名体制となっています。

こういうような数字があって、この数字が例えば20分の1あるのですけれども、その20分の1の数字と、今度は、ILCの場合1カ所でやるということはもともと想定しません。これは国際協力でやり、なおかつ、この技術が世界に残らなければ、それぞれの国にとって意味がないわけですから、基本的にはハブラボラトリーという概念を提案しておりますけれども、それは補足資料のほうの後ろ側にありますので、後ろから2枚目の46ページです。世界に3つないし5つのハブラボラトリーを準備して、これは日本であれば、例えばKEKがモデルになりますが、ないしはILCのホストラボラトリーがモデルになります。それから、アメリカでいうと、フェミラボや、現在新たに立ち上がっているLCLS計画、これの協力をモデルにすると、例えばフェミラボがハブになります。それから、ヨーロッパでいうと、今現在ヨーロピアンXFELを担当しているDESYとSaclayがハブラボのコンソーシアムを組むというようなものがモデルにされます。

そういったところで、最低3カ所で分散するということを考えているので、ここで3に分けます。なおかつ、期間を同じ期間でやるのは非現実的であって、大体2倍から3倍と考えています。そうすると、大体20倍のスケールの計画が、まず3つの領域に分けられて、3分の1になり、6倍になります。それから、期間を2~3倍にしますと、ほぼファクター2の中に現在行われているものはスケールが入ってきます。だから、いつも全然予想がつかない、桁の違う計画だというふうにお考えになる必要はなくて、現在、とても有り難いのですけれども、自由電子レーザー計画の進捗を見ますと、ILCがどういうふうに現実的に作れるかということを学ぶことができて、それを裏付けにすることができます。

そういう数字でいきますと、例えばクライオモジュールの試験を必ずしていくわけですが、ヨーロピアンXFELではまだ100台ということで全数試験しておりますが、ILC計画では1,800台強ということで、大体最初の5%分は100%試験した上で、その残りは3分の1程度でいいでしょうということを、いろんな実験結果等も踏まえて考えているので、そういうファクターも入れると、ほぼ現在、ヨーロピアンXFEL計画で行っているSaclayとDESYで行っている規模の施設があると、ILC計画はできるべき。それが違ったとしても、ファクター2の範囲内で細かいところを調整したとしてもありますということで、この数字をもう少し、じゃあ、XFEL計画でどのくらいの人数が例えば1クライオモジュール当たりに必要でしたかということを考えて、どのぐらいの人たちが必要ですかということをILCの数字に外挿してやることができます。例えば1,855台のクライオモジュールの40%ぐらいを試験しますので、704台だと。それとこの100とを比較してやると、7倍の人がいればいいわけですが、それをまたハブラボラトリーで割ったりするわけですけれども、トータルは変わらないので、そういうことをやっていってあげますと、ILCのヨーロピアンXFELをベースにした外挿は、この1,740という数字になるんですが、テクニカルデザインレポートで先ほど2,089という数字を皆さん見ていただいています。この数字ですね。この数字とそれがかけ離れてしまうと、私たちはもっと見直しをきちんとしなきゃいけないということになりますが、幸いにして、10%は違わないレベルのところで数字が出てきておりまして、幸いにしてテクニカルデザインレポートで予想している数字というのは、我々が精度として25%ぐらいが限度だと言っておりますが、その予想の範囲内の中に十分に入っているということになります。

それがテクニカルデザインレポートに書かれている内容に対する説明になります。これが前半の御報告になりますが、後半では、こういった計画にどうやって実際の人材を準備できていくのかをご説明いたします。これはまだ国際機関の中で、国際協力の中で議論を尽くせる状態ではもちろんないわけなので、ホスト、今、候補として研究者が名乗りを挙げている日本がホストした場合について、KEKが主体となってもし青信号を示していただけたときには、迅速にこういった体制に持っていけるように検討だけはちゃんとしておくべしというのが現機構長の方針で、それに基づいて半年間作業をさせていただきました。昨年までにも1回作業をさせていただいているのですけれども、それをさらにリフレッシュしております。

人材をやるときに、人材だけの数を積み上げても、それを一体何にするのですかという質問は必ず来るので、まず最初に何が今(準備すべきこととして)残っていますか、またさらに積み上げなければいけない技術で、そのためにはどんな人が要るのかという議論をしななければなりません。そういった意味で、ここにきょうはテーマだけの提示に、御了解いただきたいのですけれども、特に設計を最終的に、パラメータを最終化するというのは当然全世界で協力してやるべきことで、例えば3つのリージョンに分けたとすると、日本が1に対して、外国が2ぐらいの人員構成が適切であろうと考えます。

それから、SRF技術は、今少し説明しましたように、欧州の自由電子レーザー計画等では本当に理想的なプロトタイプのプロジェクトをしていただいていることになるので、ヨーロッパに日本と同じような準備をしてくださいと言うのは、これはちょっと行き過ぎた話になります。

一方で日本は、その部分についていうと遅れていますから、その分を積み上げなければいけません。そういうことで、日本のほうが、まだ行わなければいけない、例えばハブラボラトリーの機能とか、先ほどちょっと御紹介したような、どういうふうに組み立てるかというような、写真は資料のほうにありますが、そういったことに対してKEKの施設を充実していくという必要があって、どんなものが期待されますかというのは、やっぱり補足資料のほうの最終的なページのほうの48と49にあるんですけれども、どういうことをやらなければいけないかということが書いてあります。

それから、KEKがホストしているナノビーム、ATFというものは、今世界の中で非常に注目を集めて、信頼と期待が高まっておりますが、極小ビームをいかに実現するかということを世界中の人がKEKに集まって実際に今R&Dをしていると、そういう加速器なわけですけれども、それをさらに進めていく必要があります。

ただ、これは規模を大きくするというよりも続けていくことが重要で、なおかつKEKがもうホストしていますから、やっぱり保守等も含めて1対1ぐらいが適当であろうと。

それから、電子源、陽電子源というもの。電子源は技術はもう既にあるという認識ではありますけれども、陽電子源、それから、Beam Dumpといったようなことに対して検討していく必要があり、それから、非常に重たいものとして、施設の設計を詳細に詰めるといったようなことがあります。

そのほか、もちろんILCプリラボというものがどうあるべきか、ということを、プリILCラボについて検討します。また、こういったこれから準備していくことに対する様々な管理、事務作業があると考えています。

それを現在私たちは一般的な先端加速器開発といった予算を文科省からいただいて、それがKEKの中で活用されておりますけれども、ILCとして特化されているわけではありません。そういう期間を今予備期間という呼び方をさせていただいています。その中でもできることは着々とやっていくわけですが、その上で、本当に建設を始めるためには4年程度の準備期間がどうしても必要ですということも申し上げています。それは現実的に非常にはっきりしていることは、建築・土木のいろいろなプロジェクトを見たときに、本当に大きなお金が出て、いわゆるゼネコンさん等が入ってきて、建設が動いていく前の何年間というのは、必ず設計作業というものが大規模に行われて、図面が整備されて、仕様書が整備されてというのがありますが、そういった意味でそれは最低4年はかかると考えています。それから、加速器のいろいろな工業化に対する実証試験、そういったものをしていくということに対して4年かかると考えています。

どういう人材構成になるんでしょうという御質問はやっぱり受けていて、ここにその数字が書いてありまして、これはプリパレーション4年目のときに想定される数字がこういう数字なのですが、これの根拠が、もう少しブレークダウンしたものが後ろに出てきます。後で。

それで、準備に対する考え方ですが、今言ったように本準備期間が4年。政府による判断が示された時点でaからbに移行と考えています。

それから、全体としては、現在KEKにある私自身が今担当している実施計画推進室、それから、機構の管理局の方々が参加した形で機構長が直轄しているILC推進準備室というものが並行して今あるのですけれども、そういったものが全体統合されて、プリILCラボになる。そこには外国の方々も、ラボ間の協力関係として入ってきていたというのが想定されるだろう。というのは、政府機関の本格的な審議、協定の詰めというのは準備期間の中で行われるべきことになるでしょうから、まだそこでは本当の国際研究所というのは無理があります。だけども、その準備としての外国の方も貢献したプリILCラボを考えますと。

この比率ですけれども、私たちがテクニカルデザインレポートが出来て以来、いろんなところで予算のことが主体となってどのくらいの比率が分担が適切なのでしょうというお話がされています。そのときに、議論のスターティングポイントとしては、やはりホスト国が半分程度負担して、そのほかのところが半分、全体で負担してということが考えられるわけですけれども、人員構成についても、それないしはそれ以上の人の外国からの貢献があるというふうに本計画で考えると、ある意味で50%というものが準備期間の中でだんだんと近づいていくべき数値として考えられます。そういう意味で、20%から40%を期待したモデルを考えています。

一番超伝導高周波のところが最も大きな人が投入されなければいけないので、そこはほとんど今のモデル。日本が80%ぐらいからスタートして、徐々に外国の方々、20から40%ぐらい参加してきていただいて、全体のプリパレーション4年というところに来ると。

一方で、ここで勘定するときには、既にヨーロッパの自由電子レーザー計画で実際働いている方々、そこで本当に日々そのことをやっていらっしゃる方、これからアメリカで立ち上がっていくLCLS計画でSLACの超伝導ライナックの計画、ここの方々は、ここに入れてしまうと、それはちょっと行き過ぎなので、それは自然に後から出てくる人数として、既に50人から100人の方々がそこで働いていらっしゃるのですけれども、各ラボ、それは別勘定にする。潜在的には人口はほかにいるけれども、ここで算定するのは、ILCラボのために、ILCのために専門化して取り組んでいただける方を勘定します、としています。

それで集計しているものがこのものでありまして、現在、まず見てみると、例えばこの42という数字です。これはKEKと日本の人数で、これはKEKの中にいる人数と、それから、大学から参加していただいている、例えば超伝導ライナックのところ、それから、ナノビームのところ、参加している方々のFTEベース、頭勘定でやるともっとずんと増えますが、FTEベースです。要するに、年間1人の人が100%働いた場合に相当するような勘定にしてやると、大体40人強の人となります。それと同じような考え方すると、その半分ぐらいの方は少なくとも外国にいます。ただ、「えっ、半分ですか」という声がすぐ聞こえてきます。先ほども言いましたように、XFEL計画やアメリカのほかの計画のために専門に働いている方々はこのほかにいるので、潜在的な人口はもっといます。けれど、今ここで勘定に入れるのは、行き過ぎだと考えます。そのほか、実際少ないですけれども、施設、共通、管理運営のところに実際に人がいていただいていて、それを全部合わせると今大体80人という評価はそんなにずれていません。それを毎年、数十名ずつ増強していって、この282という数字にしたいと考えています。KEKの場合が、特にアクションプランの中で、加速器のマネジメントの方、それから、主幹の方が一緒になって検討していただいているものですが、まだKEKの中でもオーソライズされているものではないので、勝手にこれはKEKが全部理解したということをまだ私としては言えないわけですけれども、一応モデルとしては考え得るということで、毎年約20名の方が増強できるというモデルになっています。

これはもちろんKEK自身の中で、定年との入れ替えによって新しい人材をどこに配置するかという判断が入ってくるだろうということと、それから、現在の計画の中で、それが成熟し、落ちついてきたときに必ず次の計画にそこで育った方々が移行していくということは当然あるわけで、そういう人たちを勘定すると、今の与えられた固定の中で考える必要はありません。それプラス、もちろん新しいこれだけの計画したときに、政府のほうからも人員にそれなりの充当が部分的にしていただけるということが前提になってきたときに、このぐらいの数字が期待できます。

もう一度ここで確認ですけれども、例えば122人というのは現在のKEKの加速器のスタッフ200人に対して半分強に見えるんです。ただし、ここでもう一度確認は、この中には業務委託が入っています。ですから、大体80人とか、そういった数字になります。そうすると、それはそんなに不可能というか、非現実的な数字ではなくて、むしろKEK、そして加速器研究施設としてのポリシーもそこに入った場合には見えてくる数字となります。そういったことをやっていきますと、この数字がだんだんと読めてきまして、実際に建設期間のときの410人ということに結び付くイメージを皆さん持っていただけるのではないかということです。

ここに細かくいっぱい書いてありますが、これは機構長等の御希望なのですけれども、ここにいろいろ書いてある説明文は(本文中では)なかなかみんな読んでいただけません。表だけを見て、パッとこれおかしいんじゃないかと言ってしまうことが多いので、ダブってはいるけれども、書いております。この表を1枚出すと、ここにはどこかに大体今説明したことが書いてあります。

ここから先が、そのさらにブレークダウンです。例えば先ほどこういう数字が出てきています。ここに、一番大きい数字のところで、超伝導RFで74+32という数字が書いてありますけれども、これがどこから出てきたかというと、まず大きいブレークダウンがあって、そこからさらに加速器というところに対して、これ全体を見た表が後ろに付いています。こ、31ページです。例えばP4のところ、これです。加速器の中でもメインになる数字というのが、日本の中で74、外国で32。これが比率として、先ほどのこの表に比率も含めて書き込んでおくことがよいという座長の御提案もいただいたので、ここに何とか最後書き込むことができました。大体全体の技術に対するどういう人数配分、それから、外国との配分でどういうイメージでいるかということは、きょう御報告できているのではないかと思います。

もうほとんど終了でありますが、もう一度最初にお見せした表に戻ってみますと、この数字の内容が今どういうふうにこれが出来てきたかということについて御理解が深まったのではないかと思います。

それから、これが最後の、これは一番最初に書いてあるスライドとほとんど同じなのですけれども、復習として、やはり1,000人規模の人数が必要です。私、きょう言い忘れたところありますが、1,000人って、世界にそんな人口いるのですかという話もすぐによくお聞きします。高エネルギーの加速器を持っている研究所の例が予備資料のほうの39ページに予備資料の裏側ですが、まとめられています。KEKの場合の人員構成、それから、CERN、フェルミラボ、BNLについて書いてあります。

一例ですけれども、大体KEKは非常に少なく絞られている方ですが、各世界のラボというのは1,000人から3,000人の間にいます。その研究所が、今の中国等もインド等も入っていただいたとして、大体1万人以上の人口はこのソサエティにはあります。ですから、非常に大くくりで言えば、各研究所が10%の人材をこういうことに提供してくだされば、1,000人という数字は見えてくる数字だと。もう一度、1,000人というのは、決して加速器の専門家が1,000人いると言っているのではありません。本当にこういう結果になりますと、本当に純粋な技術者の方、それから、管理局の方も非常に大きな割合としてきちんと勘定していかなきゃいけないので、そういったことを考えて、それから業務委託等を考えますと、だんだんとこの1,000人の数字が現実的な数字として受けとめていただけるようになるのではないかと思っております。

以上が私からの報告になります。どうもありがとうございました。

【中野座長】  どうもありがとうございました。それでは、議論を開始したいと思います。どなたからでも結構ですので。

【小関座長代理】  じゃあ、ちょっと簡単な質問から。28ページですかね、人材準備への基本的な考え方というところで、ヨーロッパやアメリカの現行の計画で習熟度が高まっている、そういう潜在的な人材が養成されつつあるというお話があったと思うんですけれども、現行のタイムラインというか、European XFEL、LCLS-IIそれぞれのスケジュールはどうなっているんですか。

【山本委員】  まず欧州については、ビームを出そうというのが来年末に出るか、再来年になるかといった最終局面の状態です。それから、LCLS計画、SLACで考えている光科学のための新しい加速器ですが、これは2019年の末までにビームを出すというのが現時点での計画です。そうすると、特にLCLSの場合は、タイミング的には、私たち、決してあしたから始められると言っていなくて、ちゃんと準備期間が必要だと言っていますので、それをちゃんと入れますと、大体2020年前後という数字が見えてくる。ないしはそれよりもうちょっと後かもしれません。

そうすると、それまでにアメリカでも、ヨーロピアンXFELの約3分の1の規模になりますけれども、少なくとも私たちから見ると量産と言っていいような経験が含まれた状態になります。そこに潜在的に人が用意されているということになります。政府レベル、研究所レベルでのポリシーがあれば、そこで育った方々をこちら側に振り向けていただくことができると思います。

【浅井委員】  質問なんですけれども、各ラボで振り分ける10%という人たちは、現地でキャビティを作ったのをテストするという前提なんですか。それとも、こちらに、日本かどうか分かりませんけれども、来ていただいて、何らかのことをやるという前提なんでしょうか。

【山本委員】  基本的には、特に大きなコンポーネントとしての超伝導加速空洞については、クライオモジュールとしての性能を出すところまでは、受けたハブラボラトリーの責任だという考え方に立っています。

【浅井委員】  そこでやれば。

【山本委員】  そこで試験してからなので、相当な期間までは世界に分散した形で人がいて、そこでちゃんと仕事をしていただかなければいけないというモデルになっています。

【浅井委員】  それを入れて1,100人。

【山本委員】  そうです。

【浅井委員】  で、30%か分かりませんけれども。

【山本委員】  はい。

【大熊委員】  小関さんの質問に関連するのですが、欧州のXFEL計画、これはご存じだろうと思いますが、いわゆるTESLA TEST FACILITYのスケールダウンで行われた計画ですよね。

【山本委員】  そうですね。

【大熊委員】  多分逆にもともともっと大きな計画をずっと縮めてきたような格好もあって、僕は人材を逆にほかのところに振り分けたというふうに認識している部分もあるのですが、その点の考え方というのは一体どうなっているのか。我々のILCの場合には、今の計画を大きくしていかなきゃいけない、スケールをアップしていかなきゃいけないというふうに見えるのです。LCLSも、ご存じのように、もう既に通常のLCLSは動いているわけで、それをリバイスするような格好でやっていますから、装置があってやっている。逆にスケールダウンしてきてやっていると。そことILCとの違いというのがあるのではないかと思いますが、その辺の認識は一体どういうふうに思っているのかと。

【山本委員】2つ御質問だったと思うので、前半のほうのヨーロピアンXFELにつながるTESLAの話ですが、TESLA計画というのは、まさにILC計画に匹敵するヨーロッパの中に電子の衝突加速器を作ろうということだったわけですけれども、これは本当に設計検討で止まっておりますので、その段階で既にTESLAというのはなくなって、それがいずれXFEL計画になったということがあるので、R&Dはしていました。だから、R&Dレベルで止まっていますので、スケールを縮小したということはないと思います。

ただ、一方で、何があったかというと、これはKEKの場合もある意味で共通性があると思うのですけれども、DESYにはマシンそのもの、HERAというマシンがあったわけですね。ですから、そこで例えばヨーロピアンXFELで、冷却系はそのまま活用されているというのはあります。だから、そこにいた人たちが、HERAの加速器、また実験をしていた人たちのその資産が現在のXFELに転用されていったことは事実であると思いますが、非常に大きなTESLAというところからヨーロピアンXFELに縮小されたということではないと思います。

それから、もう一つ、SLACの方ですけれども、SLACのほうも、SLACのリニアアクセラレータがあって、それがSLCという衝突型加速器になっています。そして、そこに今度はライナックの中に超伝導を部分的に入れ直して、新しいLCLS-IIにするわけですけれども、1つきちんと認識しておくべきことは、超伝導の技術に関する限りはゼロからのスタート。何かあって縮小しているわけではありません。加速器本体としてのナノビームテクノロジーは確かにあります。それから、RFの技術もあります。だけど、超伝導という技術に関する限りは本当にビルドアップすることになります。なので、SLACだけではできません。DOEの高いレベルの判断として、フェルミラボとジェイラボが協力をして、コンソーシアムを組んでやりなさいと。そういう指導性のもとでやって、初めてこれができることになります。ジェイラボが一番そういう意味では経験があります。フェミラボも、大きな加速器はあったけれども、超伝導という意味ではR&Dに止まっているわけで、そういった3者が協力をすることによってできることになります。

日本の場合も、日本はないでしょうという議論になりがちなんですけれども、もう1回よく思い出してください。これは国際協力で作るのです。だから、そのときは、ある世界の中によくできた、R&Dが進んだ、また実例があるものは、みんなで共有してやるので、世界の中にプロトタイプが1つしっかりあれば、それは世界の1つの研究所はできるべきです。という考え方に私たちは立っています。

だから、XFELには大変な感謝であって、それが1桁高いスケールで作れば良いわけです。しかも、我々のレベルからいうと、800台の空洞を作っておくというのは大変な工業的な経験になっているので、それはヨーロッパだけの財産じゃなくて、世界の財産で、それを転用していただいて、ILCを作るのです。それは国際協力を話し合っていただくときの大前提になっています。そういう意味で、全体として、段階的なビルドアップをしていく計画になっていると、私は思います。

【中家委員】2つあって、1つは、きょう聞く必要はないことかもしれないんですけれども、ILCの中で大学の役割、特に若手を教育してここにどんどん入れていくという役割というのが、きょうのプレゼンテーションで余り、もちろんプロジェクトの話なのでなかったんですけれども、現実的にはここ多分20年とかを見ていると、大学での加速器教育というのは貧弱化していると僕は思うんですよ。京都大学とかでもだんだんとそういう教員をキープしたりとか、講座をキープするのが非常に難しくなっていて、それは多分京都大学だけの話ではないと思っているので、この計画をもとに、大学の役割というのがどうなるかというのが今後議論できたらいいな、きょうではなくて、今後議論できたらいいなと、今の発表を聞いて思ったので、それを言わせてもらいます。

もう一つは、加速器人員の国際化で、もちろんこれは国際共同で、そうするという方針は非常にいいとは思うんですけれども、ちょっと不安なのは、現実にはスーパーKEKB、J-PARCというのは、余り国際化されずに、国内計画として進んでいるわけですね。その辺の日本の組織の考え方か、人も含めてなんですけれども、非常に大きな変革を必要とする気がするんですけれども、それはどう思われていますかね。

【山本委員】  そこは、特に後半のところは全く同感で、それは意識改革を含めて、いかに国際協力で作っていくかということを絶えず頭に置いて、今までの常識をそのまま適用しないことだと思います。だからこそ、先ほども言ったように、世界の経験は日本が使える経験であると考えます。競争で、向こうのノウハウは日本に来ないとかという、そういう文化で考えちゃいけないわけです。確かにJ-PARCは、やっぱりこれは日本の計画、よく言葉で言うとナショナル・プロジェクト・ウィズ・インターナショナル・コラボレーションという、アメリカが昔よく言っていたSSCの計画もそうだったわけですけれども、その計画の枠内だと思うのです。ILCは最初から一旦できたら、CERNをモデルにしたような、CERNだって、ヨーロピアンセンターの計画ですけれども、本当にグローバルな国際研究所を作って、その運営も含めて国際的に行われなければいけないと思います。そういうふうに最初から立ち上げることによって、研究所の組織形態も、運営形態も、そうすることによって、今も意識改革、それから、新しいシステムを日本の中に本当に立ち上げていくことができるのではないかと思います。ここは本当にまだ経験できていないところだとは思います。

それから、前半のところなのですけれども、KEKには若手の方々に活躍していただいて研究ができる加速器施設として、STFという、スーパーコンダクティング・テスト・ファシリティと、それから、もう一つがATFというものがあるわけですね。ここで実際に若手の方々、世界最先端の結果を出しているわけですけれども、ILCレベルに直すと、ナノナノビーム、ナノナノメートルまで絞れるということをここで現実に出しているわけですけれども、これは本当に世界の人がKEKに来て集まってやっている仕事ですね。KEKの人だけがやっているものじゃなくて、本当に最初から、もう20年の歴史をもってやってきていて、そこで育っている、例えばドクターの方、これが本当に将来の人材なわけで、逆に、現在は、ILCが吸収できないですから、この方々が世界に羽ばたいているわけですけれども、既にATFというのは50名を超えるドクターの方をこのATFの研究成果によって出されています。そういったこの4年間の準備期間の中で、大学の方々がよりSTFに参加していただいて、建設になっていくと大学が主体を取ることはなかなかそれはもちろん難しいところがいっぱいあるわけですけれども、こういった準備期間というのは、逆に言うと、大学の方が乗り込んできて、最先端の技術を検証し、確立するというところでは活躍の場は本当にあるわけで、実際にはそれが行われていて、ATF、STFでこういった人材を育てていますので、それが1つの答えになるのではないかなという気はするのですけれども、いかがでしょうか。

【岡本委員】  ただ、大学にATFに行って活躍しようという学生がいないんですけれども、現状で。加速器をやっているところがほとんど大学にないので。

【山本委員】  それは多分私の領域を超えてしまうところあるんですけれども、それこそ本当にこのソサエティの方々がみんな集まって、大学でのそういった加速器の講座を増やしていただくようなことの努力とかということまで話が及んでしまうと思うので、ちょっと私だけでは語れません。

【岡本委員】  さっき中家さんがおっしゃったように、増やすどころか、今縮小している傾向がはっきりありまして。私はその業界にある程度近いので、この問題に関しては素人ではないんですけれども。

【山本委員】  それは私はどう答えたらいいでしょうか。

【岡本委員】  内部でどうするかというのが。

【中野座長】  きょうはどういうものが必要であるかとか、どういう問題点があるか、今後の議論の論点を整理していくというのが大きな目的ですので、答えられないことは今答える必要は全くないと思います。

【山本委員】  まさにそれが論点の1つであるとしていただけると有り難いです。

【中野座長】  そう思います。

【池田委員】30ページの人材案のところの御説明と、先ほどのお話で、準備期間で加速器に関して120人ぐらい必要だということで、ここに量産化技術の実証、習熟が必要だというノーテーションが付いていますけれども、先ほどお話あったように、ヨーロッパは既にもうユーロXFELの空洞の量産は先月で終わっています。ということで、彼らはもう全部量産の経験を積んでいるし、ノウハウも持っていると。それをILCではちゃんと世界で共有してもらうというのは、非常にこれは有り難いことで、してもらうべきだと思うんですけれども、やはり世界各極で分担して、アジア、日本でも幾らか作るということになったときに、現時点でいくと、多分ILCのスペックとしてはクリアできるところまでは、我々、到達できているとは思っているんですが、いかんせん、何ができていないかというと、量産化をやったとこがないと。10年間で30台しか作っていないということなんですよね。ヨーロッパは2年間で800台作ったという実績があって、やはりここは机上で埋められない問題だなと思っていて、この表に書いてある量産と技術の実証、習熟というのは、まさしく何らかそういうOJTをやっていかないと、机上で検討する、あるいは、ユーロXFELの経験談を聞くというだけでは多分実現できないだろうと。足しにはなると思います。評価の方法であるとか、どういう注意をすればいいかというのはいいと思うのですけれども、ユーロXFELと同じような生産スタイルを採るというのが決まっているわけでもないですし、どういうフォーメーションで製造していくか。部品をいろんなところで作って、最終的にはホストラボになるであろう所でクリーンな状態でアセンブルするのかとか、あるいは、そういうやり方も含めて検討しておかないと、建設期間になったときに急にそれをやり出すというのは多分できないと。それを準備期間にやろうとすると、人材育成というのは、まさしく設備をどうするか、生産体制をどうするかということを並行して考えないと、人材育成だけでは済まない話だと思っています。

あと、ここに載っているのは、先ほどおっしゃった中で、研究者と委託の方なので、どちらかというと、出来上がった空洞を受け入れたところからのスタートになります。実際には空洞を作るまでの工場が必要ですね。我々の工場の人員、あるいは協力会社、そういうところを、事前のトレーニング、やはりこれも量産に向けてのOJTをしておかないと、急に生産性を上げろという話をしても、助走がない限り、多分スタートダッシュもできない。そういうところも含めて、これ、先ほど申し上げたとおり、人材の問題だけではなくて、全体的なプロジェクトマネジメント、ファシリティをどうするかということも並行して考えていかないと、ちょっと議論が成り立たないかなと思います。

【山本委員】  きょうは人材に集中するということで、その辺のお話が時間的な制約もあってできてないのですが、エッセンスだけお話しさせてください。まず規模は、空洞数として1万6,000台。それから、クライオモジュールという12メートル強のユニットになったものが1,855台ということなのですが、それに対して、もう一度復習になりますけれども、私たち、ハブラボラトリーという概念を考えています。だから、日本もその1つのハブラボラトリーを採るというモデルです。ヨーロッパとしてはほぼハブラボラトリーの実力検証ができたと思っていて、逆にそれと同じことをやっても、その投資に比べて得る効果は逆に少ないと思います。だから、そこは生かさない手はありません。XFELの計画自身が1,000億のレベルの計画ですから、それをR&Dに私たちが今同じことを日本がやらなければできないというような議論は、やっぱり余り建設的でないと思うのですが、ただ、非常にクオリティの高い方々を、少なくてもこの全工程をカバーできるだけのノウハウを、日本の人たちが、やっぱり誰かが持っていなきゃいけないと思います。だから、数は絞らざるを得ないし、これは全く予算、準備期間にどのくらいあてがっていただけるかという予算にまさに直結していますので、我々が幾ら風呂敷を広げてもだめです。

だけども、最低限言えることは、例えば材料から用意して、空洞を作って、それからクライオモジュールを組み立てて、試験して、ここまでの全体のプロセスがカバーできるファシリティだけはKEKの中にちゃんと作って、それをもって、台数は少なくても、そこへ集中的にみんなが勉強して、トレーニングする。それも最低限必要なものももちろんこれからインダストリアルに作っていただくといったモデルを作らざるを得ません。

だから、台数ではもちろんXFELには全然かなわないと思いますけれども、現在、STFにはクライオモジュールの1とその次の半分という2Aというものが入っています。私たち、もともと5年ぐらい前から、これは最低限3台レベルにして、ここでビームを実際に出す試験をしながら、一方で、空洞を入れ替えていって、新しい空洞ができたら、それを入れ替えていって、ここで習熟を積むということを提案していて、そのためというわけにはいかないのですけれども、KEKのSTFにおける民間との協力技術開発施設というのが、現在、この先ほどのSTF棟というところの北側に建物が出来ている状態で、民間の方々の協力がこれから励まされていくわけですけれども、その中の1つとして、ILCとしてもこの施設を活用させていただくことができれば、例えば必要な全ての施設、一通りのものがあって、例えばヨーロピアンXFELでは、この組立のラインというのが3ラインあって、試験のラインも3ラインあるのですけれども、(KEKでも)最低限1ラインは全部作りましょう。そういうことをしていって、ここで空洞の性能向上も、それから、量産化の技術実証や、それから、特に目に見えない努力がもう一つ必要だと思っています。クライオモジュールの性能向上安定化の中で、実際有識者会議等の中でも御指摘いただいていますけれども、これだけ世界を行ったり来たりするようなクライオモジュールで、性能が下がっちゃうんじゃないでしょうか、その検証できていますかと、指定されています。これ、実際、空洞自身はやっていますけれども、クライオモジュールを移動させるというのは、ヨーロッパ域内以外はまだやっていません。だけど、本当に日本に集めるとなれば、やっぱり海上輸送を考えざるを得ないので、そういったことに対してきちんとした協力をして、ヨーロッパで作られたものをここに持ってきて、試験し、またはそれをディスアセンブルして、もう1回組み直して、それがデグラデーション起きないという実力を付けていくという、一通りのモデルが考えられます。もしこの準備期間の中で、ハブラボラトリーの検証という言葉で表せる中にそれを組み込んでいただくことができれば、私たちは、本当の量産のものは、そこで実力を蓄えた人がヨーロッパの方々とやりとりすれば、キャッチアップできて、ゼロじゃスタートできないけれども、ミニマムなものを持っていれば、早く立ち上げることができるという、そういうふうに考えたいと思っています。

【中野座長】  よろしいですか。座長はなかなか質問しにくいというのはよく分かりました。2つ、きょうやっぱり大事なことが情報として得られてきて、1,000人といっても、1,000人の中に内訳があるということが第1点と、それがやっぱり年次的に変わっていく。それで、これも気を付けて発表しないといけないと思うんですけれども、ピークは1,000人超えていると。

【山本委員】  超えています。そこにも書いてあるように1,600人。

【中野座長】  だから、そういう体制をピークでは作らないといけないということを見据えた上で議論していきたいと考えます。

それから、後ほどキャリアパスということも出てくるんですけれども、今回の国際協力で、ヨーロッパとかアメリカの方は、ある程度成熟した方が入ってくる。これ、キャリアパスの観点からいったら、彼らはものすごく得をしているというか、むだなく人を育成して、それを何度でも使っているという、そういう利点がある。それに比べて日本は、ゼロから作って、その後どうなるのかと。あるいは、キャッチアップとおっしゃいましたけれども、本当にキャッチアップするだけでいいのか。後発には後発の何か利点がないのかとか、やり方についても、人材育成についても、そういうこともあると思うんですけれども、その点について、後発だから、実はいろいろとパラレルにやる中で日本には有利な点があるということがあるんでしたら、ちょっと教えていただけますか。

【山本委員】  まず2通り、お答えをさせていただきたいんですけれども、1つは、一番最初に報告したとおり、ここでの鍵となるテクノロジーは2つ。ナノビームと超伝導SRFです。ナノビームに関していいますと、これはまさにKEKの中にもキャリアパスを通ってキャッチアップしていく素材が非常にしっかりとあります。つまり、トリスタン、KEKB、スーパーKEKB、これはまさにナノビームの究極のお仕事をされるわけです。そこで育った方がまさにキャリアパスとしてILCに取り組むというのは、非常に真っ当な流れです。それこそ、そこでまさに中堅として頑張っていかれた方がリーダーシップを取って次の計画をしようと思ったら、ILCのダンピングリング、ファイナルフォーカスなどがあります。お金の面では超伝導のほうがどうしても大きいですけど、加速器という点で考えたら、ナノビーム技術というのは本当に広まります。これからの中でますます必要になって、光科学の中でも超ローエミッタンスということで、この技術はものすごくいろんなところに転用されてきます。だから、その点については逆に心配はありません。

だから、日本はゼロからの出発ではないです。少なくとも半分は世界のメッカとしてATFまで持っているわけです。世界の人が集まってくる試験用の専用の加速器を持っているというのは今KEKだけです。そこに本当にドクターを採るために学生を送ってくださっているわけですね。その人たちが、もちろんスーパーKEKBでも今度は経験を積まれるし、そこからも若手が出てくると思うのですけれども、それで、しっかりとした良い流れ、きちんとした加速器科学としての流れが作れると思います。

超伝導の方ですが、超伝導は、実はKEKは世界で一番目に本番の加速器に超伝導加速器空洞を投入した国なわけですね。トリスタン。それから競争状態でしたけれども、それから、数カ月から半年遅れて、CERNのLEPが超伝導を付けて動き出した。KEKはその時点で完全に世界をリードしていました。そのときに育った方々が今もいろんなところで展開されています。それからのKEKの超伝導SRFに関していうと、大きな計画には恵まれていなくて、例えばクラブキャビティとか、幾つかの特定したところではもちろんそれが維持できてきましたけれども、これだけ今世界の潮流が、超伝導SRFを使った加速器というのは常識になっていて、ローエナジーのところでもみんななっていって、どんどん展開していくという中で、その流れからいうと、KEKは、日本は遅れたのですね。

だから、量産化とか、そういった点で遅れは取っていますけれども、超伝導加速空洞の基礎研究という意味では、本当はKEKが相当なところ、世界を引っ張ってきているという歴史は実際にあるので、そこで育った方が今度キャッチアップしていくと、逆にILCというものをやったときに、その先にないでしょうではなくて、世界中にこれから広まっていくであろうと思います。実際毎年国際会議をしていくと、超伝導加速空洞の技術を使った加速器の広まりの速さに私自身が驚いているぐらいなんですけれども、中規模のものが多いわけですから、そういったところに展開できていくし、規模だけじゃないはずですから、応用範囲も広がっていくのではないかと思っていて、キャリアパスの道は私はあると思っています。

【中野座長】  ほかに御意見ないでしょうか。

【大熊委員】  先ほどからの議論を聞いていると、確かに技術的な話はおっしゃるとおりだし、KEKがいろんなナノビームに関しても、超伝導に関してもいろいろ最先端なことをやってきたというのは事実だと思うのですけれども、問題は、これ、人材育成なので、例えば企業の側から見ても、大学の側から見ても、ILC研が将来一体どうなるのか。そこでそういう人材を育てていくことは、さらに次を育てていくことができるのかどうか。どういう展開が次は望めるのか。そこのビジョンが一番問題だと思うのですね。例えば魅力あるところだったら人は集まってきます。学問的に魅力があれば、学生も集まってくると、研究者も集まってくると。それから、企業として次の展開が見えるようなところ、技術的な開発があって、次の展開が見えるところがあれば、それはどんどん人が入ってくると思います。そこをどうやって見せていくのか、どうやって考えていくのかというのが一番重要だと思います。それを技術だけで議論したんじゃ、やっぱりだめなのだと思うので。

【山本委員】  そういう意味で別のワーキンググループがあって、サイエンスとしてどれだけ本当にしっかりしなきゃいけないか、魅力あるかという議論をしていただいています。

それから、もう一つ、浅井さん、ここにいらっしゃるので、いずれLHCに関するお話をしてくださるということで心強いと思っているんですが、CERNの歴史は、もう1回見てみると、最初にCERNが作られたときに、今ほど発展するというところはやっぱりみんな見えていなかったと思います、正直言って。だけど、こういう研究、基礎研究上、ヨーロッパが協力をして、当時田舎であったジュネーブに作って、それがこれだけ発展して、世界中の人が、年間10万人の人が毎年毎年見学に来るような研究所になって、なおかつ、30年が50年になり、次は100年を見たような計画になっていくわけで、今の私たちの知る知識だけでは計り知れないところがあるのですが、そういうときはやっぱり歴史を見て、よい例があったときには、それを見て、私たちの想像を超える展開があったという事実を見て、それを私たちはきちんとお伝えして、ILCがただ線形加速器で、素粒子の実験をして、一定期間が終わったらディスアセンブルするのでしょうと、そういったイメージではなくて、これがますます50年以上先の話までできるようなものとして皆さんに議論していただければなと思いますけど。

【岡本委員】  ただ、CERNは、きつい言い方をすると、多国籍機関で、ILCの場合は、極東の島国にぽつんと作る話なので。CERNの話は、確かにおっしゃるとおり、是非参考にすべきだとは思いますが、CERNでうまくいったから日本でというふうに短絡的に考えるのは危険かもしれません。

【山本委員】  短絡して言うことはもちろんできないと思います。

【岡本委員】  参考には是非したらいいと思いますけど。

【山本委員】  ただ、やっぱりこれは日本に作る日本の計画ではなくて、日本がホストした国際機関を作りましょうということで、多国籍でやる計画だと。その点についてはLHCと共通性はあります。

【岡本委員】  これ、多分にいろいろお金かかって、地政学的な話もあるので、純粋に研究所の話だけというのをやり過ぎると問題かなというのはちょっと個人的に思ったので。

それから、あと、山本さんの話は非常によく分かりましたし、数字がいっぱい出てきて、途中で何が何だか分からなくなったところもあるのですが、よく練られたプランとかも出していらっしゃったと思います。ただ、例えば今出ている資料にしても、全部モデルなんですよね。想定の話なわけです。この点がちょっと。

【山本委員】  モデルと言っているのは、まだ予算がちゃんと。

【岡本委員】  だから、これからやる話。

【山本委員】  ただ、建物は存在していたりしているわけです。だから、命を吹き込めばそれはできるのだけれども、ILCだけでといったらそれはできないので。

【岡本委員】  だから、仮説なんですね。どれぐらいの確度でもって、確からしさでもって、ここまでのいろんなモデルであったら、想定がうまく機能するかというのが、私のような素人にはよく分からないというのもありまして。例えばハブラボとかも3つと書いてありましたけれども、どこどことどことどこと、20ぐらいあれば、そのうち3つぐらいはいいだろうとか、具体的な話は特にあるわけではなし。

【山本委員】  いや、あります。我々の案はあるけれども、我々が決めるというわけにいきません。

【岡本委員】  その案は案でいいんですけれども、本当にうまくいくのかどうかというのを今議論しているので、ある程度もうちょっと具体的なものが見えるような形で情報が与えられるとうれしい。

【中野座長】1回だけの発表で、山本さんだけにその説明を求めるのは酷な感じがしますので、今後、きょうお気づきになった点、問題だと思われる点、どんどん掘り下げていきたいと思います。このまま議論続けていきたいところなんですけれども、時間も限りがありますし、後で皆さん、議事録というものが出てきて、チェックすると驚くと思うんですが、一言一言全部書いてあります。なかなか自分は論理立ってしゃべってないなということがよく分かるんですけれども、そういうところも全てまとめて、次回以降、論点をもっともっと整理して、深めていきたいと思います。

きょうはこれで議題は終了とさせていただきたいと思います。

それでは、最後に事務局から連絡事項がありますので、よろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  御連絡いたします。本日の議事概要につきましては、今ほどお話もございましたが、後日、出席委員の皆様にメールにて内容の確認を御連絡いたします。皆様から御了承いただきましたら、文科省のホームページにて議事概要を公表いたしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉居加速器科学専門官】  それから、次回の日程でございますけれども、12月中ということで御連絡をさせていただいておりましたが、はっきりしましたらまた御連絡をさせていただきます。今のところ、12月15日と21日が候補になってございます。12月15日、火曜日の午後と、12月21日、月曜日の午後が候補になってございますので、近日中に御連絡できるかと思いますので、できるだけ早くお伝えしたいと思います。

以上でございます。

【中野座長】  どうもありがとうございました。それでは、閉会いたします。

 

――了――

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研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室

(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)