資料3 第2回有識者会議での指摘事項

国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第2回)今後の課題(指摘事項)

【素粒子原子核物理作業部会】

○専門外の人、ましてや一般の国民から見た場合、どのような場合において、何が言えるのかという点について全く理解できないものとなっている。時間軸の観点も踏まえ、どのような場合にどうするべきかという点について、もっとわかりやすく、端的に示す努力をしてもらいたい。(観山) 

ILC計画がどういう意味をもつのかを国民に理解してもらうことが重要であり、その点に留意して更に整理を行って欲しい。(平野)

○端的な説明によって、逆に不正確に伝わる恐れがある。ILCも、ヒッグス粒子の発見の内容とともに、その本質が何かということについて正しく理解することに留意して議論することが必要。(横山)

○ILCにオリンピックより大規模な経費がかかるとすれば、一般国民によってILCの科学的意義が理解され、支持されることが必要。 (観山)

○ILCにはLHCから研究者が移ってくるのか、また、各国の賛同が得られないとどうなるのか。物理学的に意義のある計画として進めるべきとの考えと、国際協力が得られないというギャップをどのように埋めるのか今後とも検討すべき。(神余)

○予算面での他の分野も含めた考えの整理が必要で、他分野への影響等を勘案した戦略が必要。(森)

○1980年代の米国SSC計画や、独・米で検討されたILCが中止となった理由を整理して示していただきたい。(横山)

【技術設計報告書(TDR)検証作業部会】

○50㎞(注、ILC計画は31km)もの加速器には大量のヘリウムを用いる必要がある。ヘリウムを消費する構造である場合、投機の対象となり、実験を進めることで、ヘリウムの高騰につながり、産業界に大きな影響を与える。(京藤)

○超伝導加速空洞部分は、金属製材料を用いて直線30㎞分作る計画だが、途中で止まってしまう確率も考慮に入れる必要がある。これをコントロールするには民間を活用するのが良い。これが成功すれば民間に大きな影響を与える。(京藤)

○コスト見積もりに用いられた購買力平価は、国内の取引には優位だが、海外との取引には実勢を反映しない恐れがある。例えば、中国は実勢価格との乖離が生じている。実際のキャッシュフローを押さえないといけない。(森)

○巨額の施設計画であり、国際協力でないとできない。技術的にも運営費をどうするか。海外の人材を入れる際に注意が必要。コンティンジェンシーも高く見ておく必要がある。研究所のマネージメントに関する部分などは、研究所のスタッフでは難しく、民間の方に任せた方がよい。国際機関の長になると、学術分野のリードだけでなく、組織マネージメントが大きな業務となる。(観山)

【その他(有識者会議)】

両作業部会の議論については、今年度に中間まとめを行い、本有識者会議で一度整理を行いたい。国際協力の観点も非常に重要である。 (平野)

ILCが持つ新機能がどのように社会に還元できるかを調査するべき。(伊地知)

○巨大化する傾向のある科学施設においては、計画そのものだけでなく、多面的にも使われるという意義を基に理解を深めるしっかりした戦略が必要。(京藤)

○日本でILC計画に取り組むなら、地震の被害を考慮することが必要。その前提として、施設がどのようなものか、また、東日本大震災での影響がどのようであったかについても知りたいので、部会で一度KEK等に調査に行くことを提案したい。(大町)

国際的組織が日本にできるインパクトも広い意味での社会的インパクトとなるので、その点も考慮すべき。(観山)

○予算について、日本経済の長期見通しを考えないといけない。2~30年後の海外の動向も押さえて、判断することが重要。経済関係の長期予測のデータはあるので、整理して欲しい。(神余)

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(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)