国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議素粒子原子核物理作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成26年10月21日(火曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15階 特別会議室

3.議題

  1. 素粒子原子核物理作業部会(第4回)の議事録について
  2. これまでの議論のとりまとめについて
  3. 今後の議論の進め方等について
  4. その他

4.出席者

委員

梶田座長、中野座長代理、駒宮委員、徳宿委員、中家委員、初田委員、松本委員、山内委員、山中委員、横山委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、山脇大臣官房審議官(研究振興局担当)、常盤研究振興局長、安藤振興企画課長、行松基礎研究振興課長、嶋崎素粒子・原子核研究推進室長、成相加速器科学専門官

オブザーバー

東京大学大学院理学系研究課浅井教授

5.議事録

【梶田座長】  それでは定刻になりましたので、国際リニアコライダーに関する有識者会議、素粒子原子核物理作業部会の第5回を開会いたします。本日は御多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 では、まず本日の出席状況について、事務局の方からお願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  本日の出席状況についてお知らせいたします。まず、岡村委員、小磯委員、酒井委員、清水委員、棚橋委員におかれましては、所用により御欠席でございます。本日、出席10名でございます。作業部会の定足数は8名ですので、有効に成立しております。また本日は、LHCの高度化により期待される成果について御説明いただくために、東京大学の浅井祥仁先生に御出席いただいております。以上です。
【梶田座長】  では、続きまして事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  本日の配付資料について御確認をお願いします。資料1「素粒子原子核物理作業部会(第4回)議事録(案)」、資料2「素粒子原子核物理作業部会 今後のスケジュール」、資料3「素粒子物理学における今後の課題・研究動向・ILCの位置づけ(たたき台)」でございます。資料4「LHCの成果に応じたILCの物理学的意義」、資料5「LHC14TeVで期待されている成果」、資料6「素粒子原子核物理作業部会進捗報告(たたき台)」でございます。また、参考資料として、「素粒子原子核物理作業部会における論点(イメージ)」も配付しております。このほか、メイン席机上には参考資料として、資料3の関連で、素粒子物理学における今後の課題、研究動向、駒宮委員の私案を、それから資料4に関連しまして、「駒宮委員からの提案」という1枚紙を置かせていただいております。それ以外に、いつものようにドッチファイルで11点の資料をお配りしております。以上、不足の資料がございましたらお知らせ願います。
【梶田座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。
 まず、議題の1ですけれども、前回の議事録(案)についてお諮りしたいと思います。既に事務局の方から事前に確認の依頼が行っていると思いますけれども、もし何かこの場で御意見等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これにつきましては資料1のとおりで決定させていただきます。
 続きまして、議題の2に入ります。前回、最後の議題において、11月に開催されるILCに関する有識者会議への進捗報告に関して意見交換を行いました。その際、横山委員の方から、素粒子物理学の今後の課題や研究動向について大くくりの整理をしてはどうかという提案がありました。これを踏まえまして、私の方でとりあえずたたき台を作りましたので、それにつきまして、今回、資料3で配付しております。
 資料3を見ていただけますでしょうか。本当に、大くくりの素粒子物理学の課題、研究動向、それからILCの位置づけとして、このような形で提案させていただきました。これについては既に1度メールでお送りしておりまして、その後、これは本日の参考の資料として駒宮先生の方から私案という形で出てきましたので、それも見ながら、抜けている点等もありましたので、そこら辺も補充しつつ、このようなものにまとめたという次第です。簡単に言いますと、最終的な素粒子物理学の目標としては、「素粒子・宇宙を支配する自然法則の統一的理解」と書かせていただいて、括弧付きで、「(超弦理論?)」と書かせていただきました。そこに至るまでの重要な物理的な理解として、重力以外の力の統一とか、超対称性、重力、あるいは他の新しい物理(余剰次元など)、それから宇宙論というような、キーとなる物理を挙げさせていただき、それに至るために必要な測定項目というのを緑の四角の枠で挙げて、その測定をするために現在進んでいる、あるいは考えられている、かつ日本が関係するプロジェクト等ということで、薄い紫色の枠で示させていただいたということです。このような4段階のまとめというような形で提案をさせていただいているのですが、細かいことにつきましては、この矢印は要らないのではないかとか、いろいろとあると思うのですけれど、そこら辺も含めまして、皆さんの御意見を頂きたいと考えていますが、いかがでしょうか。お願いします。
【初田委員】  表で、超対称性と宇宙論にそれぞれ5つずつ矢印がつながっています。仮に超対称性がLHCやILCで観測できる範囲にないとして、超対称性につながる矢印を全部取っ払ってしまうとどうなるのでしょうか。そういう場合の位置づけは矢印が沢山つながっているところを取っ払ったときに何が残るのかというところが、気になりました。宇宙論は多分、残ると思うのですけれど。取っ払うということはないと思うのですが。
【梶田座長】  なるほど。そうですよね。その場合には何かしら他の物理が必要になると。どうでしょう。浅井先生。
【浅井教授】  超対称性というのは多分、加速器で探す以外の、例えばエレクトロンのEDMだとか、ハイパーカミオカンデのKオンのディケイだとか、GUTスケールまで行ったら無理ですけれども、今、ヒッグスのマスが予言している超対称性であれば、LHC、ILC以外にもそういうアプローチはあると思うので、そういうラインで残せばいいのではないかと思います。
【梶田座長】  そういう意味では、陽子崩壊も点線で超対称性の方に行っていた方がいいわけですね。
【浅井教授】  そうです。
【中野座長代理】  初田委員の質問は多分、超対称性というものがなかったとしたら何が残るのでしょうかという質問だと思います。
【初田委員】  全くなかったときに。ここの矢印が全部消えるような場合です。
【中野座長代理】  そういう何か、超対称性というのが間違いで、全くなかったらという。
【初田委員】  間違いというわけではなくて、非常に高エネルギーでしか超対称性粒子が見えてこないということが可能性としてはあるわけですよね。そういう場合には、どういう位置づけがあり得るのか。それでも何か書けるのか、書けないのかというのが気になります。
【駒宮委員】  済みません。やはり現在、標準理論というのがあって、それから一番近いところにヒッグスメカニズムの原因があるわけですね。そこから先はやっぱり超対称性になるか、それともそうでない複合ヒッグスみたいなものがあるかと。要するに、ヒッグス粒子自身がエレメンタリーかそうではないかというところで2つに分かれるわけですよね。ですからそれは、仮に低いエネルギーの超対称性がなかったとしても、多分そっちの方に行くので、それが多分、ここに今書いてある「超対称性」というやつに取ってかわるのではないかと思うんです。だから、これは「超対称性」とありますが、超対称性がなかったら、ほかのものに取ってかわるということではないかと思います。
【初田委員】  ここの言葉が変わるということですか。
【駒宮委員】  ええ、そうだと思います。
【梶田座長】  では、恐らく今のお話でしたら、「超対称性」と書いてあるけれど、例えばこれに※印をして、「他の新物理」という方にまた米印をして、超対称性がなければ他の新物理が期待されるというようなことを欄外に書いていくとか。
【駒宮委員】  いや、あまり※印を多用すると分からなくなるので。「超対称性又はそれに取ってかわるもの」というふうに書いたらよろしいのではないでしょうか。
【梶田座長】  そうしましょうか。
【松本委員】  「他の新物理」という項目が上にあって、ダークマターももちろん「他の新物理」につながるので。だから、この測定項目は大事なものがあって、これが超対称性の方に行くのか、それ以外に行くのかというのは、もちろんやってみないと分からないですけれど、そうなっていればいいのだと思いますけれど。
【梶田座長】  なるほど。むしろ、今、駒宮先生の方からあったように、超対称性あるいは他の新物理という、一くくりにしておいた方が自然かということですね。
【松本委員】  そうですね。きれいになると思います。
【梶田座長】  分かりました。
【駒宮委員】  済みません。それから、大変詳細で申し訳ないのですけれども、リニアコライダーは新粒子だけではなくて、やはりダークマターとか、ヒッグスを見つけたわけですが、ヒッグス機構の解明ですよね。そこにもやっぱり線を入れておかないと、フェアではないのではないかと思うのですけれど。
【中野座長代理】  リニアコライダーではなくLHCですね。
【駒宮委員】  ごめんなさい。LHCね。
【梶田座長】  分かりました。これは実線でよろしいでしょうか。
【駒宮委員】  ダークマターは実線でいいと思います。
【松本委員】  いいと思います。
【梶田座長】  分かりました。
【中野座長代理】  最終的にどうプレゼンテーションするかによるのですけれど、もう既に線が多過ぎるのではないかと。すごく見にくくて。
【駒宮委員】  僕が書いたら、もっと線が増えてしまったから。
【中野座長代理】  全然駄目だと思います。何かもう少し違った見方というか。
【駒宮委員】  やはり、流れというか、それをもうちょっと大事にしたらよろしいのではないかと思うんです。ですから標準理論があって、それから一番近い方から順繰りに攻めていくと。最終的には宇宙とか、もっと非常に大きいものに行くと。それで、最終的にはスーパーストリングに行くと。そういう流れをもうちょっと入れたら、もっと分かりやすくなるのではないかと。どうやって入れるのかは私は分からない。無責任なことを言っていますけれども。
【梶田座長】  駒宮先生の方からの私案で、確かに、ある意味、流れ的なイメージが書かれてあったのは重々承知しているのですけれども、なかなかどう入れていいのか分からなくて。ちょっと、それは今の案では入れていないのですけれども。
【駒宮委員】  確かに。それを入れたらめちゃくちゃになりますからね。
【山内委員】  ちょっと1点確認したいのですが、測定項目の中で、オレンジ色の四角で囲ってある部分があるのですが、これは特に重要だという意味なのでしょうか。つまり、陽子崩壊などというのもあって、重要さという意味では、インパクトの大きさという意味では、これは相当な大きなものだと思うのですが。これはどういう意図で四角に囲まれたのか、ちょっとお願いします。
【梶田座長】  これは、基本的にはILCに関連した項目という、それだけのことです。まあ、それ以外にもやっぱり、これを見ていただくと分かるように、非常に重要な項目はあるかという認識ではあります。
 あと、実は私、よく分からなくて、この測定項目から「重力」に伸びる線というのはほとんどないのですが、ここら辺は理論の方、あるいはどなたでもいいのですけれど、何か重力の理解についてはこういうものがあるべきだというような、何かございますでしょうか。
【松本委員】  一応、右側がそれに対応しているんです。Bモード探索とか。
【梶田座長】  これも重力ということでよろしいのですか。
【松本委員】  そうですね。ちょっと待ってくださいね。重力を直接。
【山内委員】  直接ではないかも。
【梶田座長】  確かにそうですね。
【山内委員】  原始重力波ですから。
【松本委員】  一応、原始重力波という意味では重力ですね。
【梶田座長】  そうですね。
【松本委員】  あとは、大規模サーベイからダークエナジーに矢印が行って、ダークエナジーは重力に関する物理量。重力がなければ意味がないパラメータですので。
【梶田座長】  では、もうダークエネルギーから重力への矢印は点線ではなくていいのかな。
【松本委員】  ほかに何か、重力を直接探る実験はなかなか数がないですけれど。
【梶田座長】  あと、ちょっと細かいところで、私が十分把握していないのですけれども、大規模銀河サーベイというのを右下に入れさせていただいたのだけれども、実はプロジェクト名を私は知らないのですけれど。これはどなたにお聞きしたらいいのでしょう。
【松本委員】  僕が知っているのは、多分一部だと思うのですけれども、SuMIReプロジェクトなどはそうですね。そのSuMIReプロジェクトの中に2つ項目があって、1個目の項目、HSCが。それとPFSが。多分これがSuMIReプロジェクトの何か。SuMIReと書いた方がいい。ただ、それ以外にも、もしかしてあるかもしれなくて、それは多分、宇宙の方に聞くのがよくて。吉田さんとかだと思いますけれども。
【梶田座長】  では、今いろいろと御意見を頂きましたが、ちょっと駒宮先生の方からの御意見の流れ的なのを、ちょっと申し訳ない、なかなかうまく表現できなくて。
【駒宮委員】  結構です。これをどうするんですか。これを御説明のときにお使いになるということですか。
【梶田座長】  親委員会の方へは一応、後で資料6をまず公式には説明することになるかと思うのですけれども。一応、その理解のための資料というような位置づけと、私の方は考えておりますが。
【駒宮委員】  分かりました。
【梶田座長】  そのような形でよろしいのかな。
 では、今日頂いた御意見を基に、再度、修正をしまして、よりよい案という形で、たたき台ですが、案という形でさせていただきたいと思います。これについてはよろしいでしょうか。お願いします。
【山中委員】  これ、横長の方がいいのですか。というのは、これを縦長にしたら文字が横向きになって、文字の上を矢印が突っ切っていくとか、減るのかなと思ったのですが。
【中野座長代理】  見せ方の問題。
【山中委員】  プレゼンテーションの仕方にもよるかもしれない。
【梶田座長】  分かりました。
【山中委員】  いや、考えていただければ。
【初田委員】  質問、いいですか。駒宮さんの参考資料で、色や点線や実線が何を意味しているのか説明していただけると有り難いのですけれど。
【駒宮委員】  まず、この緑の線は「大統一」に行く線です。電弱相互性だったりQCDだったり。紫の線は、その上の、重力も含めた統一に行く線です。あと、赤い線というのは比較的、関係が深いもので、それから点線というのは、私の感覚で関係はあるけれど関係が希薄だというのが、この最初のページです。これは、物理の関係性を言っているわけです。その次のやつは、プロジェクトとそれぞれのいろんな物理の項目の関係性を言っているわけで、例えばリニアコライダーだったら、こういうのに関係するもので、新粒子であるとか、それから他のヒッグスとかトップクォークの詳細研究ですね。そういう研究ができるということを言っているわけです。CPが破れている起源が世の中にいっぱいある。そういうのもやはり精査すると。それはニュートリノだとか、加速器を使った様々な物理学、素粒子実験でできる。この流れは、左から、標準理論に近い方から超弦理論に行くような、そういう流れになっていますということでございます。
【初田委員】  点線を全部取っ払ってしまうと、1枚目は割とすっきり実線だけでつながりますが、そのようなスケルトンで見るということもあってもいいのではないでしょうか。
【駒宮委員】  そうですね、その可能性は。あるけれど、そうするとちょっと寂しいですね。分かりました。どうもありがとうございます。
【梶田座長】  よろしいでしょうか。では、後日、修正版の方をお送りさせていただきたいと思います。
 もし今日の会議の後、何か更にお気付きの点等ありましたら、会議の終了後、事務局の方まで御連絡をお願いいたします。
 続きまして、議題の3に移ります。次の議題も前回の会議で議論した内容なのですけれども、現在走っているLHCの実験において今後期待される成果と、ILCの目指す研究内容に関する相関というようなことを皆さんで議論するというものです。これからちょっとこの点につきまして意見交換をお願いしたいと思います。それに先立ちまして、まず、先ほど紹介いただきました東京大学の浅井先生の方から、LHCにおける今後の実験動向の概略等、御説明をお願いしたいと思います。
【浅井教授】  皆様、こんにちは。初めまして。浅井と申します。
 私はATLASをやっておりますので、ATLASの結果が主になりますけれども、基本的にはCMSも似たような結果を出しております。
 1つ目。まず節目についてですけれども、これがタイムスケジュールでして、LHCのスケジュール。今日はここでして、2015、16、17とあります。LHCは、今度の3月、実際に実験が始まるのは5月に入ってからですけれども、エネルギーを13テラエレクトロンボルト(TeV)に増強しまして実験を開始します。それからおよそ3年を掛けまして、2018年までに大体100フェムトバーン・インバースのデータをとります。そこでちょっと一休みしまして、2020年ぐらいからまた実験を再開しまして、最終的ではないですけれど、2022年までに300フェムトバーン・インバースのデータをとります。それなので、1回目の節目というのが、大体100フェムトバーン・インバースが集まります2018年の真ん中ぐらいだと思っています。後でお話ししますけれども、100と300ではそんなに物理は変わりません。なので、2018年までに1つ目の結果が出るだろうと思っております。その後、LHCは2025年ぐらいからHigh Lumi Runといわれる実験が行われまして、約10年。これはまだ、フルにはファイナンスされていませんけれども、2035年ぐらいまで掛けて、3,000フェムトバーン・インバースをためようという計画であります。先ほどもお話ししましたけれども、3,000も1,000も2,000も大体一緒なので、2030年ぐらいまでに何かが出るだろうと思っています。2030年、何で2030年かというと、私が定年するのがその頃なのでというだけでありまして、何人かの先生は鬼籍に入られているような頃ですから、その頃にと思っています。済みません。
 なので、今日のお話は3,000と300の話についてまとめてありますけれども、2018年ぐらいの現状と、2030年ぐらいの現状だと思っていただいて、大きな間違いはないと思います。
【松本委員】  次に始まるのは2015年の春ぐらいですか。
【浅井教授】  春です。
【松本委員】  そうすると、最初にデータが出てくるのは。
【浅井教授】  8月のコンファレンスに1フェムトバーンのデータを出すか出さないかというのが、この前、議論していましたけれども。
【松本委員】  それはすごい、みんなが期待しているというか、理論屋さんはわくわくしている。
【浅井教授】  していますけれども。
【松本委員】  だから節目と言ってもおかしくないと。
【浅井教授】  まあ、恐らく、まともに本当に色々な結果が出せるのが、次の16年のここになりますけれど。
【松本委員】  16年の、入って。一番。
【浅井教授】  その頃には多分、10を超えるデータがありますので、十分、これまでのデータを凌駕するような結果が出せるだろうと思います。
【松本委員】  そうですね。特にカラードパーティクルみたいなのを期待しています。
【浅井教授】  はい。それで、何でエネルギーが上がるとすごいのかということです。横軸に未知粒子の質量、仮想未知粒子ですけれども、質量をとってありまして、8TeVでの断面積でノーマライズした13TeVでの断面積を示しています。もちろん軽い粒子だったら、13テラでぶつかろうが8テラでぶつかろうが関係ないのですが、4TeVだとか2TeVぐらいの非常に重たい粒子を作ろうと思うと、実はエネルギーを2倍、13TeVにすることによって、断面積がおよそ100倍近い。10倍から100倍ぐらいになります。図を見ていただければ分かりますけれど、4TeVのときは大体100倍の断面積です。非常に大きい。それは何を意味しているかというと、わずか1フェムトバーン集めるだけで、8TeVで100フェムトバーン・インバース走ったときのデータとコンパラブルになるわけです。
 実は、重たい粒子の断面積というのは、大体、マスのマイナス8乗ぐらいでダンプしていきます。小さくなっていきますので、ちょっと重くなると急に断面積が小さくなってしまいます。なので、100フェムトバーン・インバースでやった結果も300フェムトバーン・インバースでやった結果も、発見能力に関してですけれども、実はそんなに変わりませんというのは、非常にスティープなディストリビューションを持っているので、そこら辺はほとんど余り関係ないという話です。これが1つ目で、なので、実はハドロンコライダーというのは、ルミノシティーではなくてエネルギーがエッセンスであります。この絵が示しているとおり。それが、ここにも書いてありますけれども、ルミノシティーでちょっと頑張っても、ちょっとでも重たいものを作ろうと思うと、ものすごく急にデータが必要になってきますので、100でも300でも同じような結果になります。だから、2018年までに一通りの1回目の結果が出るだろうと思っています。
 今から3つのコースについてお話しします。まず松竹梅のコースでして、まず1つは松のコースで、これは多分、ある意味、バラ色のシナリオでありまして、LHCで何かが発見される。この何かというのが、実は超対称性粒子の発見だとか、ヒッグス、見付かりましたけれど、重たいヒッグスが見付かったとか、テクニカラーというやつですけれどもヒッグスの複合性の発見だとか、先ほど駒宮さんからお話がありましたけれど、恐らくこのどちらかのシナリオなのだろうと思っております。余剰次元、エクストラディメンションがあったり、暗黒物質の直接の発見だとか、新しい力の発見であります。1から6が並んでいるのは、見つかりやすさで並んでいるわけではなくて、実は、先ほどもお話ししましたけれども、もしこれが見つかったときに、もっともっと高いエネルギーまでどれだけ見通しがいいのかという順番で書いてありまして、スーパーシンメトリーというのは、本当にそういう意味で非常にGUTまでいきますし、ひょっとしたら重力までいけるような、非常に見通しのいいものであります。ところが、例えば新しい力の発見というのは、それ自体すばらしいことなのですけれども、その先に一体何があるのかということは、なかなか見通せないというわけで、こういう順番に並んでおります。社会的インパクトというのがどうしても、お金が掛かる以上、必要になってきますけれども、例えばスーパーシンメトリーというのは、グランドユニフィケーションだとか量子重力だとかの第一歩になりますし、暗黒物質の解明につながる非常に大きなものであります。で、エクストラディメンション。これは、僕はそんなに見つかるとは思っていませんけれども、見付かれば恐らくワイドショーのネタになるぐらい、非常に重要な、社会的インパクトとしては非常に大きいものであります。この中で、どういう順番で見えるだろうかというので、これは独断と偏見ですけれども、見えそうな順番で、1番、3番、6番、5番、4番の順番にお話しします。
 まず1つ目、超対称性粒子の探索能力ですけれども、LHCで超対称性というのは、カラーを持ったものが最初にできる、ペアでできるのが、断面積として非常にお得であります。どういうプロレスでできるかというと、グルーオンとグルーオンがぶつかってグルイーノの呼ばれているものが生成されたり、クォークとクォークがぶつかってスカラークォークとかが生成されたりします。図ではそれらの質量を横軸にとりまして、縦軸に断面積をとってあります。これは3,000フェムトバーン・インバースためた、2035年のときの生成された数をとってありますけれども、赤色がグルイーノ・グルイーノ。このプロダクションプロセスでして、まず1つ目、グルイーノ・グルイーノが大きい。これは何故かというと、グルーオンというのはカラーがある効果で非常にたくさんある。あと、実はハドロンの中というのはグルーオンがものすごくいっぱいあるので、その効果でこれが大きいです。先ほどもお話ししましたけれども、このディストリビューションが8乗ぐらいで落ちていきます。正確に8乗ではないです。ただ、すごくスティープに落ちていく理由は、これはPDFなのですけれども、実は、この高いエネルギーのグルーオンというのがいる割合というのが、すごくスティープに落ちていきますので、その効果です。次に、これはスカラークォークです。あと、4番目にお話ししますけれども、これはelectroweakプロダクションですけれども、大分やはり少なくなってしまいます。これがLHCでどうやってできるかというものです。
 実際にどうなるかというと、まず初めに、こうやって色を持ったスカラークォークだとかグルイーノとかが生成されます。それが、electroweakゲージーノと呼ばれているものに崩壊して、最終的には暗黒物質と言われているLSP、Lightest Supersymmetric Particle、今、この絵はLightest Neutralinoで書いてありますけれども、そこにカスケードディケイしていきます。カスケードディケイしていく際に、クォークだとかレプトンだとかを放出するのですけれども、これが見えるわけです。こういうカスケードのプロセスをLHCでは見ています。
 これは実際、リアルデータではございませんけれども、シミュレーションの結果でして、こうやってhigh PTのジェットがいっぱい観測されて、最後に暗黒物質というLSPが放出されますので、それが今、この絵ではこっちの方向に出ています。これは観測されません。ニュートリノと一緒なので、観測されないので、結果として非常にアンバランスな現象になります。だから、スーパーシンメトリーを探すのは何かというと、たくさんのジェットがあって、それらが非常にエナジーを持っている、かつ、それらがアンバランスであるというような現象を探します。
 これは実際、8TeVでの最終結果です。「Preliminary」というのは済みません、後で消していただいてかまわないです。これは、横軸は何かというと、このジェットのモメンタムと、この消失エネルギー、これはこののモメンタムですけれども、足したものを横軸にプロットしてあります。もちろんニュートリノがいますので、ニュートリノも形質に関わらないので、同じようにミッシングエネルギーを作りますけれども、それは比較的スティープなんです。それに比べて、超対称性の現象というのは、こういう高いところに、Kとしては。お、と思うのが1発ありますよね。これは大体2.5TeVのSUSYなのですけれども、もちろん1発ですので、まだ何とも言えません。だからデータをためなければならないのです。
 実際、どこまで見えるかというのを書いたのが次の図で、横軸がスカラークォークのマスでして、縦軸がグルイーノのマスであると。だから、この線よりこっち側が見えますよと書いてあるわけです。例えば、3,000フェムトバーンでエクスクルードのできる領域というのはここまで。だから、ここより下が見えますというわけ。300フェムトバーン・インバースでエクスクルードできるというのがこのラインです。このラインよりこっちが見えますということになります。ナイーブなGUTを考えると、実はこの左上の状態というのは余りないんです。スクォークが軽くて、グルイーノだけがべらぼうに重たいというのは実は余りないです。だから、もちろんナイーブでないGUTのシナリオというのはありますから、除外する必要はないですけれども、基本的に右下の、真ん中から右下が起こると思ってください。すなわち、グルイーノとスクォークのマスが大体同じようなところにいるか、それはスーパーシンメトリーパーティクルが大体同じようなマスを持っているか、そうでなかったら、グルイーノは、まあまあそこそこ軽いけれど、スクォークがちょっと重いかなというシナリオを考えていただければ結構です。そこで考えますと、大体同じようなときには、最終的に3TeVぐらいまで探すことができますし、3.3までいけば3.3TeVです。もしスクォークがすごく重くてグルイーノが比較的軽いだろうというときには2.3TeV、300のときにはここですし、最終的には3近くですけれども2.7TeVまで探すことができるだろうと思っています。
 この絵だとよく分からないぞとおっしゃる方に、しかも何かこれは非常にモデルに依存する話ではないかと思われる方がたくさんいらっしゃると思うので、横軸に、先ほど言ったグルイーノのマスをとりまして、縦軸にLightest Neutralinoをとってあります。実はこの領域が、さっきの2.7TeV。ここが2.7です。ここが2.3TeVで、ここより下の領域をチェックすることができるわけです。実はこれは余りモデルによらないんです。生成プロセスというのは、これはカラーですから、それらの質量を決めてしまえば、ほとんど一意に決まってしまいます。だから質量だけの関数です。大事になるのは何かというと、実はこのLightest Neutralinoの質量とグルイーノの質量の差が大事になってきます。これはなぜかというと、これを見ていただければ分かりますけれども、この差が非常に小さくなってくると、出てくるこれがソフトになってくるので、結果としてこれが「けち」になってくるわけです。これがけちになってくると、これのバックグラウンドとかぶってしまって見えなくなってまいります。だから、これとこれががつっと開いてさえいれば、基本的によく見えるわけです。だから、実はほとんどモデルによらないですと言っているのは、こういうプロセスがあります。実際、大事なのは何かというと、大体このマスの差が1TeVよりも大きかったら、今言っている2.3だとか2.7だとかという数字は使うことができます。だから、どこら辺かというと、ここら辺までだったら、話としてはモデルインディペンデントな結果だと思ってもらってかまわないです。
 心象風景で、ではどこら辺にあるのかというと、ヒッグス120、50も見付かりましたし、フレーバーチェンジングニュートラルカレントの結果だとか、EBMだとかの制限。これは結構強いですね。あと、それだとかGUTだとかダークマターだとかを考えると、恐らくこういう領域にあるのではないかなと思うので、完全にはLHCではカバーできませんけれども、半分ぐらいは、カラードパーティクルのところに関してはカバーできるのではないかなと思っております。実際、我々、今、若い人と一緒にグルイーノの発見能力を2倍ぐらい向上させる。2倍、頑張ったところで8乗でしかきかないので、マスとしては1割ぐらいしか増えないのですけれども、センシティブ領域というのは、そうやって少しずつ、今、増やしていっている最中であります。
 では、LHCでできて全て終わりですかというと、実はそうではなくて、LHCはここを見ているわけです。この質量というのをLHCでは決めることができます。質量を決めて断面積を決めるとスピンが分かるので。正確には決められませんけれども、ある程度のアサンプションを入れたらスピンも決められますので、スーパーシンメトリーではないだろうかということは言えます。正確にスピンを決めることはできませんけれども、なのではないかなと言うことができますし、実は大分、データをためると、これとのマスの差も測定することができます。だから、実はこことここに関して言うとLHCで決めることができますけれども、実はこの2つだけだと、スーパーシンメトリーのブレーキングがどういうシナリオで起こっているのかということをあまり決めることができないです。スーパーシンメトリーのブレーキングのシナリオを決めようと思うと、やはり鍵になるのはこのセクターです。だから、このセクターをきちっと決めなければならない。もちろん、LHCでもある程度のことはできます。これは大分前にやった研究ですけれども、例えば、すとんと落ちてくるパイプと、2段階カスケードするものとで、こうやってエッジの違いを見ることによって見ることができます。それでこれらのマスは分かります。残念ながら、これらがビーノ成分なのか、ウイーノ成分なのかヒグリーノ成分なのか、そういうことまでは多分なかなか決めることはできませんけれども、そういうふうに描くことができる。
 大体1TeVだったら、グルイーノのマスが十分できますという論文なんです。ところが、もう1テラはアウトになりましたので、例えば2TeVだと、数は1,000分の1になってしまいます。3TeVだと、数が10の5乗分の1になってしまうので、もう実際、ここになると、見えるか見えないかです。実際、LHCでは3フェムトためて2TeVまで、ある程度の仮定を入れたらできるのかなと思っております。だから本当に、きちっと調べようと思うと、僕はLHCでも無理だと思っております。だから、破れのブレーキング、SUSYは見付けることまではできるけれども、これをきちっと決めて、破れのメカニズムということを同定しようと思うと、なかなか難しいかなと思っています。もちろん、ある程度のアサンプションがあったらできますけれども、アサンプションフリーではできないと思っております。
 では、LHCではこれを直接調べればいいではないかと、皆さん、思われるかもしれませんけれども、実はLHCというのはPPコライダーでしてPPバーコライダーでない関係で、反物質、反クォークが少ないんです。だから、実は作るのは結構大変です。特に何が大変かというと、次の図では横軸が、Second Lightest NeutralinoとかSecond Lightest Charginoなどの質量をとってありまして、縦軸にLightest Neutralino Dark Matterの質量をとってあります。これを見ると、1TeVまでいくのではないかと思われて、非常にいけいけな絵のように見えるのですけれども、実はやはり暗黒物質などを考えると、これはLSPが非常に軽いときだけなんです。100とか200とか、せいぜい300です。300ギガエレクトロンボルトまで、LSP、ダークマターのマスがそれより軽かったら、Second Lightest Neutralinoは大分カバーすることができるのですけれども、やっぱり暗黒物質のことを考えると、心象風景ですけれども、恐らくこのあたりにあるだろうと思われているので、そういう意味では、これがかなり感度不足です。今、ここを一生懸命、また別の学生さんとやっているのですけれども、非常に難しいです。ここら辺というのは、出てくるものがソフトになって、ほとんどWとZができるのと違いがないんです。これが何でか分からないのですけれども、ほとんど止まったWとZしかできなくて、頭を抱えているのですけれども。だから、ここら辺にいかに伸ばしていくのかということは、LHCではやっていかなければならないですし、そこをやはりLHCでできない場合には、何か別のことを考えないといけない。ただ、ちょっと難しいですけれど、anomaly mediation SUSY brakingというものだと、実はこれとこれが縮退しているのですけれども、ちょっと特殊な性質がある関係で、これは恐らくここら辺までいけるだろうと僕は思っております。
【松本委員】  済みません。縮退しているところもダークマターの可能性はかなりあると思うのですけれど、どこら辺までいけそうですか。
【浅井教授】  これは、縮退しているところは無理です。ほとんど。トリガーがジェットで掛けることができて、グルーオンスプリットQQバーのQバーとクォークでぶつかって変なものができるのだけれども、これでトリガーを何とか掛けても、こういうところは、ウンTeVのものが2つ作るわけですよね。それはもう、実質不可能です。後でまたお見せしますけれども。
【山内委員】  済みません。浅井先生の心象風景とおっしゃっているのは何ですか。
【浅井教授】  暗黒物質の。
【山内委員】  根拠は何かあって、余りはっきりしないけれど根拠があって、こういうことをおっしゃっているわけですか。
【浅井教授】  根拠は、そうですね。今までの蓄積されたデータをどう解釈するかです。人によって違うと思います。もちろん、スーパーシンメトリーを信じないという発想から言ってしまえば、こんなものを議論しても仕方がないわけですし、ある程度、同じ土俵の上に立った人の議論です。それだけは御勘弁ください。やはり研究である以上、全てをカバーするということはできません。どこかに山を張らなければならないので。これは、そういう意味での山です。
 では、これがスーパーシンメトリーですけれども、もう一つ、125のヒッグスが見付かった以上、多分、何らかの理由が必要なわけです。1つの理由が先ほど言ったスーパーシンメトリーですし、もう一つの理由がこういう、もともとスカラーなどというものは存在しない。だからフェルミオンだと。QCDのアナロジーがヒッグスメカニズムでも行われているはずだというのが、このテクニカラーのモデルですけれども、ただテクニカラーというのは、実は3度ぐらい死んでいまして、1つ目は、まずフェルミオンのマスが説明できないということで死んでしまって、何をしたかというと、別のスケールまで入れた。なので、実はこういう非常に特殊な形をしなければならないんです。縦軸が結合で、横軸がエナジースケールで、こういう、非常に特殊で、実は256ギガエレクトロンボルトのところでスパークを発散する。高いエネルギーのところまでコンスタントに続いて、これがすーっとなっていったら普通なのですけれど、それだと駄目で、ほとんどコンスタントに変化になっていって、あるときまたアシンメトリックにゼロになっていくような、ちょっと特殊な形を考えなければならない。こういうのはもう、ラティスでしか計算できなくて、今、世界中の人がラティスで計算をしております。
 実はこれはものすごくプレディクタブルなんです。トップのマスももう分かっている。ヒッグスのマスも今度分かってしまった。なので、ある意味、これはラティスさえ使えばびっしり計算できるわけです。そういうわけで、今、一番ミニマルなモデルに関して言うと、テクニカラーローと言われていますけれども。これは、だからローです。QCDというところの、ベクターメソンのローです。それのテクニカラー版ですけれども。これが2から3TeVになると言われています。それが横軸にとってあります。
【駒宮委員】  ここで言っている複合ヒッグスというのは、この間見付かった125GeVのヒッグスというのは複合ヒッグスだと。
【浅井教授】  そのように思っているシナリオです。
【松本委員】  これはテクニカラーですので、この中だと、この間、見付かったヒッグスは、ヒッグスではなくてテクニディラトンだと思っている。
【浅井教授】  そういうシナリオです、これは。
【松本委員】  だから、複合ヒッグス模型とテクニカラーは別ですよね。
【浅井教授】  それはまたあって。それは実は、一番ミニマルなモデルはRun 1でもう既に殺されています。なので、今、Run 2に向けてまともなモデルというのはないと思います。
【松本委員】  いや、見付かったヒッグスが、シュードNGボソムであるという仮定が一方の模型であって、もう一方で、このミニマルテクニカラーモデルというものがあって、そちらだとヒッグスというのは1TeVとかぐらいになっていて、見付かったものは何か別に用意しなければいけないという状態では。
【浅井教授】  はい。そういうことです。
【松本委員】  これは、そのテクニカラーの話ですね。
【浅井教授】  こっちはテクニカラーです。あともう一つは、それは、次のページで、どうやって探すかというと、テクニローというのは、7TeV、1フェムトバーン・インバースのデータですけれども、ベクターメソンのローもレプトンペアにいきますので、レプトンペアにいくものだとか、重たくなりますので、WやZのトランスバーセーブに崩壊することができるので、それも探すことができます。これも簡単と言えば簡単なのですけれども、ちょっと難しいのは、余りに崩壊しやすくなってしまうと崩壊幅が広がり過ぎてしまう。そういう難しさはありますけれども、2ないし3TeVだと非常に簡単に見付けることができますし、逆に重くなってくるとバックグラウンドが少なくなってくるので、そういう意味でも楽になっていきます。なので、これは本当に比較的簡単です。
 そして、LHCで見付かった。LHCは、これが見付かったら何をすべきかというと、色々なベクターメソンなどがありますから、それと同じ、色々なテクニカラーのベクターメソン版ができてくると思うので、無数に出てくるそうしたヘビーステートを、LHCでは研究することになるだろうし、あとヒッグスなどの、本当にプレシジョンメジャーメントで、STパラメータと、ペスキン-竹内のパラメータと言われていますけれども、それを精密に検証することというのが大事になってくるだろうと思います。
【初田委員】  済みません。ダイレプトンはどれでしたっけ。2横軸はどこを見ればいいのでしたっけ。
【浅井教授】  これは古い。
【初田委員】  上と違うのですね。
【浅井教授】  2007年の1フェムトバーンのときのです。
【初田委員】  そうですか。ちょっと出てきた。
【浅井教授】  見せられる絵というのは、これしか今なくて。
【駒宮委員】  済みません。これは、でもレプトンペアではないですよね。
【浅井教授】  これはレプトンペア。
【駒宮委員】  これはWWとかWZのペアですよね。
【浅井教授】  レプトンペアにもいきますし、下はWZです。
【駒宮委員】  そうか。
【浅井教授】  では、新しい力、これはWZの続きですけれども、新しい力でZやWという新しい粒子があったとすると、ゲージ粒子があったとすると、レプトンペアやレプトンプラスニュートリノに崩壊するだろうというわけで、レプトンプラスニュートリノの場合はトランスバースマスを含めばいいですし、Zプライムの場合はインバリアントマスそのものを含みます。これはインバリアントマスを含んだときの絵ですけれども、これはもちろんドレリアンヌ、バックグラウンドがあって、そこにこういう新しい力、これは5TeVのときの絵ですけれども、こういうものが乗るだろう。実際、ちょっと変なアサンプションですけれども、この力がZとカップリングが同じだったらという過程です。はっきり行ってしまうけれど、これはちょっと変な仮定です。ただ、そういう仮定がないとどうにもできないので、仮定を入れておくと、大体3,000フェムトバーンで8TeV付近まで発見することができますし、Wプライムに関して言えば、Wプライムはニュートリノがある分、こちら側にテールを引くので、6TeVまで下げることができます。
 これをどうやってやるかというと、これが力だと言おうと思うとなかなか大変なのですけれども、1つは、まずエレクトロンとミューオンの違いを見ることによって、エレクトロンとミューオンの違いがないことが分かれば、これはゲージであるということが分かる。エレクトロンとミューオンで違えば、何かヒッグスのような性質のものだろうということになりますけれども、エレクトロンとミューオンで違いがないのだったら、恐らく、ファミリーの違いがないのだったらゲージのものだろうというわけです。あと、カップリングをどうやって決めるかというと、レプトンからだけだと決めることができないので、この場合はどうしてもジェットが必要になってきますけれども、ジェットの長波というのは、4TeVぐらいまでしか分からないと思うので、本当にカップリングをLHCで決めることができるような質量までだと、この辺ぐらいかと思っております。
 次に暗黒物質の直接生成ですけれども、これは先ほど松本さんの方からお話がありましたけれども、これは直接、暗黒物質みたいなものを生成することができないかと。実際、できまして、LHCでは、グルーオンからクォークとクォークバーにスプリットして、そのクォークバーとクォークでアライレーションして、ペアで暗黒物質みたいなものを作るわけです。Zが1本出ますので、これでトリガーを掛けて見ることができます。これは実際、ATLASの7フェムト、1フェムトバーン・インバースのデータですけれども、これは横軸に何かというと、これのリコイルマップで、リコイルですね。これとこれのモメンタムだと思ってもらってもかまわないのですけれども、それを横軸にとる。そうすると、もちろんバックグラウンドになります。Zができて、ニュートリノペアにいくようなバックグラウンドがたくさんありますので、こういうバックグラウンドがありまして、高いところに、そういうエクセスが乗るという形で、これは実際に観測されたリアルデータですけれども、非常にきれいなモノジェットが見えるわけです。
 では、これをどう焼き直すかというと、7TeV、1フェムト、これは将来の絵ではないのですけれども、これは横軸が、左がスピンインディペンデントのときで、右側がスピンディペンデントのときの絵です。縦軸が、ニュークレオンの各種とのクロスセクションをとってありまして、これがダーマだとかゼノンだとか、直接探索の意味となります。
 ただ、こういう暗黒物質のこれが、丸を描いてしまうといいのですけれども、実際、この丸の中に何をエクチェンジしているのかというと、非常にいろいろなパターンが可能でして、例えばヒッグスをエクスチェンジする。その場合はヒッグスと暗黒物質2つが結合するという仮定ですけれども、そういう結合を仮定すると、この領域が既にもう除外されております。だから、ほとんどゼノン100だとか、そういうところのリミットよりも強い制限をしてしまいます。
 例えば普通のマヨラナ暗黒物質を考えますと、こっち側になります。マヨラナの場合は、アクシャルベクターしか結合してくれないので、こっち側になりますけれども、もう直接実験よりも2桁、3桁下までもできている。これがどのぐらいよくなるか。大体、真ん中、エクスチェンジする粒子の質量スケールにサプライしているのですけれども、それの4乗でききますから、大体それが8倍ぐらいききます。なので、10のマイナス43乗ぐらいの、ここら辺ぐらいまでです。これで3乗ぐらいまで直接探すことができるようになります。
【駒宮委員】  済みません。言っているマヨラナというのはダークマター。そして、Aというのはカップリングがアクシャルだと。
【浅井教授】  アクシャルカップリングしか残らないので。
【駒宮委員】  そうですね。分かりました。
【浅井教授】  ディラックだとこちらなんです。両方残ってくれるのですけれども。SUSYダークマターを考えれば、基本的にはマヨラナだと思っているので、こっちになると思っているわけです。これは、だからグルーオンと暗黒物質がくっつけば、例えばヒッグスをエクスチェンジすればいいわけですよね。ヒッグスとグルーオン・グルーオンでくっつきますから。だから、ヒッグスとニュートラリーノが2つくっつけば、この結合になるわけですし、実際、今、ヒッグスがもう見えているわけなので、ヒッグスのインビジブルウイルスから、こういうところはありませんよというふうに。だから、今、暗黒物質の直接探索で、このダーマだとか色々なところが、けちなエネルギーのところで、見えた、見えたとわけの分からない騒ぎをしていますけれども、そういうのはもう取り上げても仕方がないですよと。何でああいうくだらないところに労力を割くのか分からないのですけれども。
【駒宮委員】  ちょっと済みません。それと、今、ヒッグスの見えないブランチクラクションがありますよね。あれのリミットというのは余りよくないですよね。
【浅井教授】  よくない。だから50%なんです。
【駒宮委員】  そうですよね。それは、それと対応しているのですか。
【浅井教授】  これは入れてあります。
【駒宮委員】  入れてあるというのは、どういうことですか。それとは対応している。
【浅井教授】  ちゃんと58%で入っています。90%コンフィデンスレベルでCMSの。
【駒宮委員】  そのぐらいでもそこまでいく。
【浅井教授】  そこまでいってしまうんです。それぐらい、LHCの中にはグルーオンが山のようにいるということです。
【駒宮委員】  分かりました。ありがとうございます。
【松本委員】  一応、けちでない方の実験で、ラックスなどは、もうちょっと下の。
【浅井教授】  だから、やっぱり重たいところを僕はやるべきだと思っています。ここに関して。WIMPのMは「重い」ですから。何か最近、WIMPのMを忘れた議論を延々やっていて。
【駒宮委員】  このシャープに立っているところは。
【浅井教授】  これは125の半分ということです。
【駒宮委員】  トップのマスの半分ということね。分かりました。
【浅井教授】  だから63かな。2か。
【駒宮委員】  トップじゃない。ヒッグスのマスの半分ということね。
【浅井教授】  だから、暗黒物質については、かなりインパクトのある結果が既に出ていて。もちろん、本当の本命のところは残念ながらカバーできていないんです。本命のこっち側のところは。しかも、マヨラナだったら、まだまだ感度が足りません。なので、そこをどうにかするということが非常に大事になってくる。だから、本命は実はカバーしていないんです。
 次にエクストラディメンションですけれども、エクストラディメンションというのは、もう掃いて捨てるほどモデルがあって、正直言って、どれをやっても仕方がないですけれども、一番簡単なのがADDと、あとリサランドールモデルと、あとユニバーサルエクストラディメンションというのがあって、それぞれ、おまけの方に載せてあるのですけれど、おまけは配布していないですね。どういうモデル化でどういうトポロジーが可能かということをずらっと、これは私が整理しただけのものです。一番あり得る、もしあったらあり得るのかなと思うのが、リサ、RSモデルと言われているもので、このグルーオンエクスチェンジ若しくはグラビトンエクスチェンジのところだと。このときは何かというと、グラビトンだとかグルイーノだとかが、カルタクラインと言われる非常に重たいマスをもってできるわけです。それが、主にトップだとかWだとかにブーストディケイするので、そういう重たいもののトップペアのブーストを見るわけです。そういうアナリシスをするのですけれども、今、実際既にやられていまして、1TeVよりちょっと上のリミットが付いています。それが最終的に3,000までいくと、6.7TeVぐらいまでいくようになるので、これでナチュラルウイルスの議論をするのは、LHCが終わった段階ではもうないだろうと思っています。だからエクストラディメンションに関して言えば、これ以上やっても仕方がないよというところまでいくとは思います。
【駒宮委員】  そこの本命がboosted topだったら、矢印がつくのは右の方ですよね。
【浅井教授】  今、そうですね。グルーオンだと思っています。こっち、WWでも似たようなことができるので。
【駒宮委員】  いや、それはそうだけど、そこの上の矢印がついたもののリミットが左に書いてあるGだとすると。
【浅井教授】  済みません、矢印はRSに付けているだけです。
【駒宮委員】  RSに付けているだけなの。分かりました。
【浅井教授】  線の場所などはちょっと。あと、どれを見たら見えるだろうかということが適当にまとめてあります。どれもスタディーはされていて、今のところ、どれもスタンダードモデルはこのシステムを使っています。実はいろんなトポロジー、これなど、さっきの暗黒物質と一緒なんです。これなどスーパーシンメトリーと全くトポロジーは一緒です。ここら辺などというのは、テクニカラー、ミニマルテクニカラーと一緒の話なので、実はほとんどトポロジーとしてはかぶっています。なので、実はこういうふうにLHCではかなりのところまで発見することができるだろうということです。
 次は竹コースで、何かそういう華々しい発見はないかもしれない。でもLHCで何ができるかという話を書いたのが、この竹コースと言われているやつでして、1つが、これはヒッグス粒子。せっかく見付かったわけですから、そのヒッグス粒子の結合を精密に測定してみましょう。これが1つ目の話でありますし、あとトップ、つまりゲージ粒子ですね、の結合。ゲージ・ゲージカップリングですけれども、トリプルゲージカップリングだとか、4つのゲージカップリングだとかの精密測定。済みません。これはまだ出ていなくて。8TeVの結果も出ていないし将来の結果も出ていない。ちょっとこれはスキップさせていただきますけれども。あとトップクォークですね。トップクォークの質量とエグゾティックディケイというものをきちっと調べることによって、トップはまだ余り調べられていないので、何かが分かる。これが将来につながるかどうかということは、LHCからはなかなか言うのは難しい。ただし、せっかくヒッグスがあったのですから、必ず調べるのは我々のさがであります。なので、きっとここら辺についてはやらないといけないと思います。これはセンターオブマスエナジーではなくて、どちらかというと、やはり事象数、ルミノシティーが非常に大事になってきます。
 どのぐらい測れますかと。残念ながらLHCでは、見えないというか測定できない崩壊モードがいっぱいあります。なので、実はLHCではモデルインディペンデントリーに物を決めることはできません。だから、アブソリュートなど、駄目ですよ。だから、LHCでできる方法は2つあって、1つは結合定数を、スタンダードモデルをアシュームして測定するか、若しくは何かとの比で測定するか、2種類の方法しかありません。この絵は何かというと、比で書いてあります。これはグルーオンとトップとの結合定数の比という意味です。だから、τとZとの比だとか、そういう比ですね。比がどのぐらいの精度で決まりますか。これはアキュラシーです。300フェムトバーン・インバースためると、それが緑色なのですけれども、10%ぐらいで決まるかな。残念ながらBが決まらないのですけれども。頑張って3,000までいくと、5%ぐらいまでいくのではないかなと思っています。
 同じようなことをCMSもやっているのですけれども、CMSの方が結果はいいです。何でかというと、系統誤差はいつもCMSの方が少ないので、それでCMSの方が結果がよくなっています。これは横軸が300のときで、右側が3,000のときです。2種類、線を引いてあるのですけれども、緑色のときは何かというと、今のシステマチックエラーを引っ張った場合。赤が何をしているかというと、実験のシステマチックエラーはデータのルートでよくなっていく。理論の誤差は半分になるだろうと。何でかというと、理論、生成断面積はQCDの計算がもろに入ってくるので、これはとてつもなく面倒くさい作業で、正直言うと誰もやりたくないのですけれども、ヨーロッパにはそういうQCDのプロが非常にたくさんいますので、今、LHC・ヒッグスクロスセクションワーキンググループというものがあり、、そこですごい計算が進んでいて、今、一部は3次の計算までもう終わっています。恐らく、アキュラシーというのは9%までいくだろう。1%を切る、1%ぐらいまでいくと思うので、そういう意味で、赤色の系統誤差というのは、決してむちゃなアサンプションではないだろうと思っています。それで見ると、結合の比で言うと大体2から5%ぐらいまでのアキュラシーで決まるのではないかなと思っております。これは決して、僕はむちゃなアサンプションだとは個人的には思っていないです。だから、二、三%から5%ぐらいまで、Bを除けば比としては決めることができるのではないかなと思っております。
 それを今度は、横軸にそれらの質量をとって、縦軸に、比をとったものがこれです。こうやって、τだとかWだとか、こういうものが1本の直線に乗っているということが、アキュラシーで3,000フェムトバーンだとこれぐらい。もう、3000も300も、ほとんどこの絵で見るとログなど変わらないのですけれども、こういうきれいなラインの上に乗ることが証明される。
 僕は、この絵は正直言うとそんなにインパクトはなくて、大事なのはこれなんです。本当にミューオンがここに出たら、やっぱりこれは、世代とは何なのだろうか。情報なんです。もっと上のところに出ると、世代というものの意味というのが変わってくるのですけれども。だから、世代というのが純粋に湯川結合の違いだけによるものなのかどうかということが分かるという意味で、これが、まだ見えていないですけれど、ミューオンです。今、ミューオンとのカップリングは、スタンダードモデルの8倍ぐらいなのですけれども、それが本当に、ここに出てきたら、これはすごいインパクトだろうなと、僕は個人的には思っています。世代の理解という意味で大事。
 ただし、これは個人的な意見ですけれども、これで決まって、2%とかa few percentでずれが見えるかと言われたら、僕は見えないだろうと思っています。1番目の松のコースで何もなかったときに、本当にこの竹のコースでa few percent以上ずれてくれるかというと、これはなかなか難しいだろうなと。だから、それは何かというと、もうLHCで見えないようなシチュエーションのとき。それは何かというと、先ほどお話ししましたけれども、限りなく縮退している。縮退するとLHCでは見えにくくなりますので、それで本当は軽いところに新粒子がいるのだけれども、LHCではミスしている。そのパターンか、若しくは逆に色を持ったものがものすごく重くて、色のないelectroweakゲージーノだけがLHCで見えるようなスケールにある場合は、やはり見えにくいので。そのどちらかのシナリオでない限り、前に松で見付からなくて竹で何かが大きく崩れるということはないのではないかなと、私は個人的には思っております。
 ヒッグスのセルフカップリングですけれども、昔、LHCで見えますというふうにヨーロピアンストラテジーでも報告しましたけれど、これは間違いです。これは実際、BBγγで見えるという話だったのですけれど、これは間違いなので、個人的にはこれは見えないと思っています。なぜかというと、ヒッグスのウイルスは、125のウイルスというのが1メガエレクトロンボルトしかないんです。1メガエレクトロンボルトのものから、125のヒッグス2つをブライトウイグナーで作ろうと思ったら、これは無理です。だから、実質、僕は、125と決まった段階で、うちのグループの若い人に、セルフ結合はやる必要はない、LHCではできないと私は思うと言ってやったので、個人的にはこれはできないと思っています。
 ただ、目の色を変えてやるべきことかというと、僕はこれについては多少、疑問を持っていて、もうマスが分かっているので、基本的にはここの極めてローカルなところの傾きのことを言っているわけなので、ここでのことにそんなに意味があるのかというと、僕は正直言うと疑問を持っています。だから、大事なことは何かというと、本当にここのストラクチャーがどうしてできたのかということを解明する、もっとグローバルなビューというのが、これは宇宙論も必要になってくると思いますけれども、本当は大事なのではないかなと思っております。だから、そういう意味で、別にLHCで見えないことについては、全然気にはしていません。
 最後に、トップだとかWのマスですけれども、これがLEPで測ったZのプロパティーです。これは横軸が、トップのマスで、縦軸がWのマスです。ヒッグスが125、このラインなので、ここです。LEPで測ったZの性質がここで、トップとWのマスのプレシジョンメジャーメントは、今、この青色のラインです。これがどうなっていくか。トップのマスというのが0.2から0.5GeVぐらいまでいけると言われているので、これは0.5のときにですけれども、書いてあります。ただ、この0.5GeVが何を意味しているものかというのは、実は正確には分からないですね。何と比較していいのか分からなくて、LHCで再構成したトップのマスが、本当に必要としているトップのマスかどうかということは分からない。QCGの効果です。だから、何を見ているのか分からないのですけれども、一応、ここら辺までいけると思います。どちらかというと鍵はWのマスなんですから。ただ、Wのマスというのは、今、0.02%で測られていて、これはもうキャリブレーションのアブソリュートエラーです。コンマ1%でキャリブレーションを僕はしましたけれども、これを切るのはもう人間わざではないです。だから、ここまでやろうと思うと神わざなので、これは、縦を小さくしていく努力というのはかなり難しいのではないかなと思っています。だから、これはZをスタディーするともっと小さくなりますけれども、そこから先が、なかなかビューが描けないかなと思っております。
 最後、梅のコースでして、これは何もなかったらという、ある意味、松ではなくて、もうほとんどナイトメアシナリオと呼ばれていますけれども、この場合は、今見えているヒッグスをきちっとスタディーする。先ほどの竹のコースと、もう一つはこのヒッグスを別の方法で探るというのが、これはWWサロメなんです。ベクターボソンフュージョンプロセスで、WとWから2つのWWが出るプロセスがあって、もちろんこれの中にはヒッグスの効果も入っていますし、WWのトランスバースコンポーネントのいろんなものが入っていきます。だから、そのWWがエネルギーの高い極限でどういうふうに振る舞っていくのかということをきちっと調べるというのが、ヒッグスのプレシジョンメジャーメントと並んでやらなければならないシナリオです。
 これがCMSの結果ですけれども、WとZのインバリアントマスを組んでやると、もちろんWとZが普通にできる現象はいっぱいありますから、それのバックグラウンドがあるのですけれども、高いところにちょっとずれてくれるのだろう。ただ、そういう、ちょっとずれるニューフィジックスのスケールが1TeV付近だったら見えます。ただし、これが10だったら、もうこれを見て分かるとおり絶望的なので、なかなかできない。そういう意味で、ほとんどテクニカラーのダイレクトサーチと似たような声明しか、残念ながらこれはLHCで作れない。これはLHCのエネルギーが14TeVだからです。これが、LHCのエネルギーがもっと高かったら、40、某アメリカであった計画のような数字だったとすると、もう少し感度は高い。だから、このナイトメアシナリオになったときというのは、分からないですけれど、CERNは僕はLCCなどというものを作らずに、恐らく今あるトンネルの中でマグネットを3倍ぐらいにするようなシナリオをやるのではないかなと思っています。そうすると、40、50出せるので。そうすると、スーパーシンメトリーの大部分、126ギガエレクトロンボルトが予言するところをカバーすることができるようになります。だからそういう、決して100キロのトンネルなんて掘るような、マネジメントサイドから言えばナンセンスの一言で済むような計画はやらないだろうと個人的には思っております。以上です。
【梶田座長】  ありがとうございました。では、今、浅井先生からの報告につきまして、何か質疑、質問、その他ありましたらお願いいたします。
【駒宮委員】  済みません。コメントですけれども、浅井先生がさっきおっしゃった、18ページの竹コースがございますよね。
【浅井教授】  はい。
【駒宮委員】  これは実はリニアコライダーの方では、この竹コースがまさに松コースに変換されるんです。というのは、要するにヒッグス結合が1%以下、0.何%で分かると。それから、そこで言っているトップのマスが、ここで言っているのの100MeV以下で分かるというようなことから、そこら辺からプレシジョンメジャーメントで、いろんなヒッグスだとか、スーパーシンメトリーであるとか、それから、何ですか、ヒッグスのエクストラな結合ですね、そういうのが見えるというので。だから、LHCでこの竹コースと言っているのは、実は本当のプレシジョンメジャーメントができないから竹コースなわけですよね。だから、本当のプレシジョンメジャーメントができたら、これが多分、松コースになるのではないかと考えています。
【浅井教授】  そうだと思います。では1%で測ったら、デカップリングセオリーのことを考えると、やっぱり高々10倍のスケールしか見えないわけですから、やはりLHCのようにa few percentのアキュラシーでしか物を測れなかったら、だから30のルートをとっていると6ですよね。だから、今、electroweakスケールの6倍ぐらいまでのアキュラシーでしか物を言えない。だから、そういう意味で、松で見えないものが竹で見えるはずがないと言った理由が、そのデカップリングセオリーで。これはやはりアキュラシーの問題なんです。残念ながら、ハドロンコライダーのアキュラシーではそういうことは言えないので、これが竹になっている理由がそうで、ハイプレシジョンで測れればこれは松になるというのは、これはもう明らかにおっしゃるとおりだと思います。
【梶田座長】  お願いします。
【中野座長代理】  非常に大まかな印象なのですけれども、松、竹、梅と比べたときの、松と竹の差がものすごく大きいような気がして。松は非常に、どう言ったらいいか、楽しみでもあるし、エネルギーアップグレードすることによって、ものすごくLHCが感度が上がっているというのはよく分かるのですけれど、そこでもし何も見付からなかったときの竹というのが、余りにも長くてつらい道のりのように感じるのですが。そういう印象は正しいのかというのと、もしそういうことになったときに、浅井先生に代表されるような元気な方々というのは、ずっと本当にそこで地道に最後まで、2030年までされているか。どこか別のオプションがあれば流れていかれるような気がするのですが、それはそうなのでしょうか。
【浅井教授】  これは人によります。私は、こういう砂をかむような作業は、正直言うと向いておりませんので、多分、別のことを始めると思いますけれども。もちろんこういうことが好きだ、測るということが物理だという人がやはりいっぱいいるわけです。僕は長い間、論文ばかり書いていると、おまえは、それはフィジシストではない、メジャーメントしないと駄目だといって、ある某先生に昔、怒られまして、それで、ポジトルニウムのライフタイムを測ったことがあるのですけれども、それぐらい、やっぱり測るということは、大事なことです。そのアキュラシーが今までよりも10倍になればビューは変わります。だから、そういう意味で、測るのだったらハイプレシジョンで測るわけです。
【中野座長代理】  いや、それは分かるのですけれど、先ほどプレゼンテーションの途中で言われたように、松で何も見付からなかったときに竹をやるというときに、可能性は低いだろうというようなことをおっしゃったと思うのですが、それは浅井先生だけの印象なのか、それとも、一般的に高エネルギーをやっている方たちはそういうふうに思われているのか。
【浅井教授】  それは一般的ではないと思います。それは何かというと、例えば僕はスーパーシンメトリーというビューを持ってやっているわけで、スーパーシンメトリーというビューの枠の中で考えると、非常にこういう、松で何も見えなくて、竹で何か見えるかというと、非常に難しいと思います。ところが、もう少しゼネラルに考えて、スーパーシンメトリーでないようなビュー、もっとゼネラルなものまで考えれば、例えば直接探索で見えなくて、こういう精密測定で見えるというようなシナリオだって、いっぱい作れるわけですね。だから、どこにビューの土台を置いているかによります。もちろんビューのない人もいますから、たくさん。それはもう、適当なことをやっていますけれども。基本的に、ある程度どこかの土台の上に乗ってしまえば、どうしても人間というのは偏見というか、視野が狭くなっていることなのですけれども、そうやって視野を狭くした分だけ、そう僕は思っていますし。けれど、そうやって視野を狭くしていない、ある意味、八方美人かもしれませんけれども、そういう人から見ると、とにかく測ってみるということは大事なわけです。ただし、やはり僕は大事なことは、測るのだったら、いかにアキュラシーを高くしていくのかということをやらない限り、先ほども言いました、10倍違う分解能で見ろというのが、小田稔先生が絶えずおっしゃっていたことです。僕は小田さんとは直接関係ないですけれども。牧島先生が二言目にそうおっしゃるので、きっとそういう方だったのだろうなと思って聞いていただけなのですけれど、それは僕は本当にアグリーします。
【梶田座長】  お願いします。
【中家委員】  ちょっと、2つ関係した質問があるのですけれど、1つは、浅井さんの発表途中で示唆していたのが、125GeVのヒッグスと、今のダークマターサーチを考えると、超対称性をカバーするためには、もう少し重たいところまで、松コースにしたってもうちょっと重たいところ、つまり高いエネルギーまでカバーしなければいけないという示唆が何度か出てきましたね。それはどの領域まででしょうか。一時、軽いSUSYは死んだと言われました。しかし、naturalness(自然性)を無視すれば10倍ぐらい高くてもいいよという理論屋の人たちがいたりします。
【浅井教授】  そうですね。無責任な人たちがいっぱいいますからね。
【中家委員】  では一体、naturalnessを無視したら幾らでも上がっていくところも、10倍だろうが20倍だろうが関係ないような感じで上がっていくときに、あえて、あと2倍か3倍だということを示唆していたことが1つ。それともう一つは、もしそこまでいきたいときに、竹の場合、さっきのILCのプレシジョンだったら、そこまでいけるのかというのが質問です。浅井さんに聞くべきか、後で議論なのか、ちょっと。その2点です。
【浅井教授】  まず1点目に関して申しますと、やはりnaturalnessだけではないんです。暗黒物質もありますし、グランドユニフィケーションもあります。その2点から考えると、ミューオンのgマイナス2は、人によって、トリノによって違いますから、僕はあれは余り信じていないのですけれども、その2点から考えると、それと、やっぱり宇宙論ですよね。宇宙論的に、スーパーシンメトリーがどのスケールにあるかということを言えて、それが大体、やはり100TeVのボーダーなんです。ただし、それがどういうふうにSUSYのブレーキング、グルイーノのマスだとかスカラーのマスだとかにどういうふうに反映していくのかは理論なんです。
 これは僕の個人的な考えですけれども、そういう意味で、グルイーノのマスというのは、LHCの3からもうちょっと上まで。五、六。10まではいかないだろうと思っていますけれども、そこら辺までの間にあるだろうと、スカラーのマスはかなり重いだろうと思っています。これはなぜかというと、エレクトロンのEDMというのは、ナイーブに考えると非常に強い制限なんです。だから、あとヒッグスの126ということも、これは今、125ですけれども。これが横軸。これがウイーノのときのケースで、これがヒグジーノがLSPのときのケースですけれども、これは今、125で15。ほとんど、この青色の点線のところが中心値だと思っていただいて構わないのですけれども。これぐらいのバンドのところで、これを見て分かりますけれども、単純イノベータにもよりますけれども、大体、スカラーのマスというのは、10TeVぐらいのものなのだろうと思うんです。
【駒宮委員】  横軸は何なのですか。M何と書いてあるのですか。
【浅井教授】  横軸はスカラーのマスだと思ってください。SUSYブレーキングスケールなのですけれども、基本的にはスカラーのマスだと思ってください。それを見ると、単純イノベータが10前後ぐらいだと思うと、ナイーブにスクォークマスというのは20テラのオーダーで、こう考えると、エレクトロンEDMもフレーバーチェンジニュートラルカレントも、ありとあらゆるものがハッピーなんです。コスモロジー的にもハッピーなわけです。あとは、ではグルイーノのマスをどうするのかということです。これはもちろん、same scaleだという理論も作れますし、それにアルファが掛かると考えることもできるので、前者で考えるとグルイーノのスケールというのは高いです。そうすると、でもGUTがかなり厳しくなる。だから、やっぱりアルファを掛けると、アルファ0.1、アルファ4パイを掛けると1桁落ちますので、そう考えれば、今、そろそろ見えてもおかしくないというところから、もうちょっと高いところまで可能なのではないか。だから、僕はLHCではグルイーノを探ろう、ウイーノを探ろうと。ウイーノもそうですけれども、ゲージーノを探ろうと思っているのは、アルファが掛かるからだと思っています。
 もう一つ、やっぱりスカラーをきちっと探そうと思うと、それは、先ほども言いましたけれども、ハイパーカミオカンデのKニューモデルとか、あともう一つはエレクトロンEDMを、もう二桁、三桁頑張る。この2つが、今、SUSYを攻めていくシナリオなのだろうと思っています。
 もう一個は僕が答えるべきことではないのかと。
【中家委員】  後で議論でもいいです。
【浅井教授】  それはちょっと、振ってしまいましたけれども。
 これは僕の個人的な意見ですけれども、プレシジョンで言うと、なかなか。これは更にもう一つ問題があって、グルーオンのスケールが、今、議論しましたけれども、それに今度はelectroweakのスケールがもう一つ不定線が掛かってしまうわけです。だから、electroweakのスケールが比較的軽かったら、これはリニアコライダーで頑張れば見えるような違いを生むと思います。例えばナイーブに、Second Lightest Neutralinoとグルイーノの質量差が2倍やそこらしかなかったぐらい重かったとすると、ILCのアキュラシーでもちょっときついかなと個人的には思っています。だから、それはもう一段、アサンプションを作らないといけない。まずSUSYブレーキングスケールのアサンプション。その前に、もっと言って、本当にSUSYがあるのか、多分、半分ぐらいの先生方はここからスタートすると思うのですけれど、私はここはもう既になくて、どこにスケールがあるのかというところの1つ目のアサンプションがあって、2つ目のアサンプションが、では、それでスカラーがどうなって、ゲージングのスケールがどこにあるのか。最後にelectroweakゲージーノのスケールがどこにあるのかということです。これは実はどんどん、理論的には、アサンプションが増えていくので、どこにあるのかというのは、やはりすごく分からないのですが。そういう意味でも、逆にこれを決めたら、LHCでここを決められるので、初めてブレーキングスケールのことが言えるようになる。
 だから、僕はリニアコライダーの1つの大きな目標は、electroweakクゲージーノセクターをきちっと理解すること。これは残念ながらLHCでは僕はできないと思っています。軽かったら大分できますけれども、軽いシナリオはもうここにないので、そういう意味で、僕はそこは大事になってくると、個人的には思っています。僕はILCの人ではないので、個人的なコメントです。
【中野座長代理】  いいですか。
【梶田座長】  お願いします。
【中野座長代理】  超対称性粒子に戻るのですが、感度というか、見付ける確率が、マスの8乗に比例するという。
【浅井教授】  大体ですけれど。
【中野座長代理】  大体ということは、節目の位置で何かヒントが見えて、その後、ハイルミノシティーの段階で確定するというマスのウインドーはものすごく狭いわけですか。
【浅井教授】  見えたと、もし何かヒントがあったとしますよね。そうすると、エナジーを上げずにルミノシティーを上げたら、数が増えるだけなので、発見する、何というのですか、カバーする領域はそんなに増えません。先ほどお見せしましたけれども、300ぐらいしか。
【中野座長代理】  いや、だからもう見えるとしたら、最初のエネルギー、アップグレードして走って、2018年までにほとんどの。
【浅井教授】  もともと18か分かりませんけれども、300ぐらいまでで大分もう分かってしまう。そこから先はもう1割ぐらいです。
【中野座長代理】  それで、それから先、確立するようなものがもしあったとしたら、非常に運が悪い場合で、そこにぴたっと合った場合に限られる。
【浅井教授】  それはあると思います。それは、サーチ領域が1割増えるわけですから、その1割の中にいる可能性もあるわけで。
【中野座長代理】  あるわけですね。
【浅井教授】  自然はどこにあるか分かりませんから。
【中野座長代理】  でも、ウインドーとしては非常に限られるわけですから。
【浅井教授】  1割ですから、8乗ということは10倍増えている。
【中野座長代理】  なるほど。分かりました。
【梶田座長】  大分、いろいろと議論がありましたけれど。
【中野座長代理】  もう一つだけいいですか。
【梶田座長】  では、もう一つ。
【中野座長代理】  第1段階の節目の段階で、例えばスーシグマスタンダードディビエーションで、標準モデルからのずれがフラクチュエーションだけで出てくる確率はどれぐらいあるのですか。今、見られているので。
【浅井教授】  それは、幾つプロットを見るかによるので。
【中野座長代理】  だから、それは概算で。
【浅井教授】  これがエフェクトと言われているやつでして、例えば、大体、僕は2σは起こると思っています。今、僕はいつも、というのは、2.7がここの境目で、いっぱいイクセスを人生の中で見てきましたけれども、2.7を超えたものは残りました。ところが、超えなかったものはいつの間にかなくなっているわけです。だから、やはりそこが。
【中野座長代理】  いや、だから大体どれぐらい見るのかという数が知りたい。
【浅井教授】  プロットですか。プロットを見る数は、そうですね。いっぱいあるように思いますけれども、実は、トポロジーとしてはそんなにないので、本当に最終的なトポロジーにプロット数、平均、大事なプロットで5つぐらいですから、それを掛けてみると、僕は5~60しか。エッセンシャルなプロットはないんですよ。だから、2σは起こります。ところが3σは起きません。
【中野座長代理】  なるほど。どうでしょう。
【浅井教授】  もちろん、すごい数作りますよ。これはもう、嫌になるほど。でも、みんな同じものを見ているんですよ。ちょっとずつカットを変えて。
【駒宮委員】  多分、大事なプロットは3σないということですね。普通に見たら3σなんて、幾らでもあるよね。1,000発に3つぐらいはあるよ。
【浅井教授】  それがまさしくそうなのですけれども、大事なプロット。
【中野座長代理】  ですが5~60。
【浅井教授】  何か、3は超えないと思っています。
【梶田座長】  では松本先生、最後で。
【松本委員】  ヒッグスの3点セルフ結合とおっしゃいましたけれど、ヒッグスの3点は電弱対称性が破れるから出てくるのですよね。だから、そのあたりは、どうやって破れたかですごく大きく変わっていて、すごく大きくずれる可能性もあるし、スタンダードモデルみたいに、値が変わらないかもしれない。
【浅井教授】  分かります。
【松本委員】  大事だとは思うのですけれど、どうでしょうか。
【浅井教授】  それは負け惜しみです。測れないから、もう、だからやらなくていいと言っている理由は、こんなの傾きを見ているだけだというのが。そういう意味では負け惜しみですけれども、本当にきちっと測れるのだったら、僕はやった方がいいと思います。ただし、大変は大変ですよね、ILCさんでも多分。それはもう、本当にナチュラルウイルスが細いので、これはもうナチュラルウイルスですから、もうどうにもならない。人間の努力を超えてしまっている領域なので。
【駒宮委員】  済みません。あと、LHCだとネガティブインターフェレンスがありますよね。
【浅井教授】  減ってしまうんです、実は。
【駒宮委員】  減ってしまうんですよね。
【浅井教授】  LHCは。
【駒宮委員】  LHCでは、3点結合があると、逆に減るんですよね。で、e+e-の方は一応、増えるわけですよね。だから、そこの難しさがかなり違う点ですよね。
【浅井教授】  実は結構、ヒッグス-ヒッグスはできるんです。普通の、ただの2個できるところなら。もともと、それを探すのは大変な上に、それで引き算をしなければならないので、だから実際にかなり難しい。2ヒッグスは見えますよ。だけど、そこから3点結合は、僕は引っ張り出すことはできないと思っています。
【梶田座長】  では、以上でよろしいでしょうか。どうも、浅井先生、ありがとうございました。
 引き続きまして、前回ちょっと話しました、LHCとILCの相関図を作成していただいておりますので、まず、こちらの作成に当たられた山内委員と駒宮委員からの説明をお願いしたいと思っております。資料は、資料4なのですけれども、まず山内委員の方から、前回からの経緯等を説明いただき、その後、内容等について駒宮委員の方から説明をお願いするような形で進めたいと思います。お願いします。
【山内委員】  今、御指名ではございますが、私はその後は何もやっておりません。
【梶田座長】  やってない。分かりました。
 では、ともかく、一応、簡単にこちらの方で説明しますと、資料4ですが、まずこれが前回出した、相関をどういうふうに考えていくかという基のものですが、これに対して最初、素案を出して、その後、4の4ページに「参考」とある。これが駒宮委員の方からの案ですね。それで、その後で最終的に2ページ、3ページの、LHCの成果に応じたILCの物理学的意義というような形で、本日、案を示しているものです。あと、それに加えまして、本日、机上配付で、駒宮委員の方から提案という形で1ページ物が出ております。駒宮先生、お願いできますでしょうか。
【駒宮委員】  はい、分かりました。これは実は、横軸というのは、こっちが列でこっちが行ですよね。一番上の行、「LHCの成果に応じたILCの物理学的意義」というやつ、資料4の2枚目を見ていただいて、その横軸というのは、文部科学省の御意向によって、こういうふうにしてくれというので、この横軸は私が出したのではなくて、文科省の方から出していただいたやつです。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  一応、補足させていただきますと、前回の部会の議論を踏まえて、それぞれのLHCの成果、それに応じたILCでできること、またその社会的インパクトという御議論がありましたので、正確に申し上げますと、前回の部会の御意向を踏まえた様式として規定させていただいたものです。ですので、何か役所がアプリオリに決めたとか、そういうものではございませんので、そこの1点だけ誤解なきよう、よろしくお願いします。
【駒宮委員】  分かりました。ありがとうございます。
 それで、この縦軸。一番左の列の方は、これは私の方で、LHCで可能な物理から重要なものをピックアップしまして、それでここに出してきたというわけです。それで、これの2枚めくった後、「参考」と書いてあるやつですね。これが、まず私が最初に作ったやつで、これは余りにも多くのことが書き過ぎていると。それで、これを有識者会議に持っていっても誰も分からないのではないのかという御批判がございまして、それで文部科学省とかなりの折衝を積み重ねた結果、この2枚目のやつに到達したわけですね。でも、これでもまだもちろん最終版ではなくて、これを基にして今日は議論していただくということになります。
 これをまず御説明いたしますと、これは4つのカテゴリーに分けてありまして、まず1つが、これはLHCで何か発見された場合ですね。1はLHCで新粒子が発見された場合。それから2番というのはヒッグス機構の詳細解明です。これは、例えばヒッグスの3点結合だとか、これはトップとヒッグスの質量の測定だとか、そういうメジャーメント。これは、ですから浅井先生のやつで言うと竹ですね。竹の場合。それから、その次が、上記以外の何かすごい変なものが見付かったときということですね。それから4番目が、残念ながらLHCでは、新しい標準理論を超える物理がなかった、発見されなかったという場合ですね。
 これで一番上を見ていただきますと、まず一番上は、超対称性と思われる事象の発見ですね。これは、先ほど浅井先生がおっしゃった、例えばグルイーノらしきものが発見された、ストップらしきものが発見されたという場合ですね。これを横に見ていただきますと、これはもちろん、LHCでの発見の社会的インパクトというのは非常に高い。二重丸ということで、それで今後の物理における優先課題。これはスーパーシンメトリーをきちんと解明すると。ですから、スーパーシンメトリーのブレーキングまで含めて解明するというのが優先課題になると思うんです。で、3番目は、これを、リニアコライダーでどのような貢献ができるかというわけです。このリニアコライダーではグルイーノは作れませんので、カラーを持たない超対称性粒子ですね。先ほど、浅井先生が言った、ウイーノとかニュートラリーノとか、そういう軽い方から攻めていくわけです。で、2番目というのは、ヒッグス粒子のbranching fractionを非常に正確に測ることによって、SUSY特有のパターンというものがあって、そのパターンと一致しているかというのを見るということです。これは大体、デカップリングの場合は、a few percentぐらいしか差が出ませんので、それよりもずっといいプレシジョン、精度で見ないと分からない。これは、ですからリニアコライダーでしかできないわけです。この2つによって、LHCの発見と、それからリニアコライダーでの発見、若しくはこのメジャーメントによって、スーパーシンメトリーを確立して、その破れの機構を解明して、1が見付かれば、ダークマターの同定というのができるというわけです。このダークマターの同定というのは、ですから、1種類だけ一番軽いヒッグスが見付かった場合は、ダークマターの同定というのはちょっと難しいかもしれませんが、その次に重いスーパーシンメトリーの粒子も見付かったという場合には、それらの粒子がどういうものであるかということがかなり同定されるので、その場合は詳細が分かるということですね。その場合は、4番に行きますと、左記のILCにおける発見の社会的インパクトというのは、超対称性の存在を証明するわけですから、これは非常にインパクトは大きいと。で、その次の赤い字は、電弱対称性の破れの起源が分かったということになるわけです。その右は備考なのですが、これはその次のページを見ていただければ分かると思います。一番下に書いている備考、LHCでの成果が得られたエネルギー領域とILCに求められる性能の関係性について書くということであります。ここには、LHCに必要な性能は最も軽いSUSY粒子の質量によると。これは、だからビームエナジーの半分以上の場合は見付からないわけですから。それから2番ですね。このヒッグス粒子のプレシジョンメジャーメントというのは、250GeVから500GeVで観測可能ということです。その下もずっと同じような感じで、例えばスーパーシンメトリーがなくて複合ヒッグスだったと。これはどっちかですよね。どっちかが起こるわけです。ですから複合ヒッグスの場合は、これは新しい、非常に強い力でヒッグスを作っている粒子同士が結び付いているわけですから、これは新しい力の解明というのが今後の物理の課題になるわけです。
 その次は、リニアコライダーでは一体何ができるかというと、これは、複合ヒッグスと思われる重い共鳴状態の粒子がLHCで発見された場合というのは、もちろん非常に重いので、リニアコライダーでは作れません。その場合は一体何をするかというと、ヒッグス粒子とトップクォークの性質を詳細に測定して、LHCの発見との関連を通してヒッグスの複合性……ヒッグスの複合性というのは、ヒッグスは素粒子でないことを解明する、認識するということです。それのインパクトというのは複合ヒッグスの確認であって、これは新しい、強い力です。これは非常に強い力です。それが発見されたということで、これはインパクトが大きいと。この場合も、やはりこれはヒッグスやトップのメジャーメントなので、左の測定は、リニアコライダー500GeVまでで観測可能というやつです。
 その次が、レプトンペアに崩壊する新粒子。これは先ほど浅井先生がおっしゃったように、これが見えたといっても、そこから先の見通しというのは余り立たない。これはゲージ粒子、新しいゲージボゾンができたというので、そこから先の見通しというのは余り立たないのではないかということで、これは一重丸になっています。まあ、こんなものがあったら、私は二重丸だと本当は思うのですけれどね。
【中野座長代理】  誰が丸を付けたんですか。
【駒宮委員】  いや、これはやはり、文部科学省の御意向というものがございましたので、一重丸になってしまったのですけれど。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  その点だけは誤解なきようお願いします。
【駒宮委員】  いや、発見には私は全部、二重丸を最初は付けました。
【中野座長代理】  全部、二重丸はまずいでしょう。
【駒宮委員】  いや、次のページを、「参考」というところを御覧になると分かるように、私は、LHCで何かちょっとでも新しいものがあったら、それはもう二重丸です。ただ、ヒッグスの3点結合は恐らくできない。それから、トップの質量とかヒッグスの質量のプリサイズメジャーメントというのはできないので、これは一重丸にしてありますから。でも、新しいものが発見されたら、これは私としては絶対、二重丸です。でも、これは某室長様の御意向によって一重丸になっていると。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  そこは本当に大事なところなので、ちょっとクラリファイさせていただきますけれども、資料を作成する過程でお話を伺って、この学術会議の所見で言われている項目への整理と、あと前回の部会できちっと整理をすべき項目という整理で、作業のお手伝いはさせていただきましたけれども、その中で案を作って、実際には先生方に意見を求めて修正をお願いして今に至っております。ですので、何か役所の意向でこの形になったというところは、最終的にさらしてコメントがあった分には、座長、座長代理にもお諮りをしてこの形に今なっておりまして、更に直前に修正すべしという意見については今お手元にお配りしているメールがありますので、その点だけは、この部会の進め方の正当性にも関わってくる部分なので、大変申し訳ありませんが、きちっとさせていただかないと、これ以上、進められないということにもなりかねないので、正確によろしくお願いいたします。
【駒宮委員】  この書類を作成するに当たって、例えば私が出したコメントをきちんと配付していただいたというようなこと、非常にフェアな形でやっているということは、私はそうだと思います。ただし、私が山内さんから言われたのは、この上は、文科省は変更してほしくないということを言われたというので、私はそれに従って、この上はなるべく変更しないように、文部科学省の御意向をそのままに。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  何度も申し上げますが、それは前回の部会でそういう項目を入れるべきという議論があったので、部会の御議論を反映した形で資料を作らないと。
【駒宮委員】  分かりました。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  時間がどうしても浪費してしまうということで申し上げさせていただいたものですので、この場で横の整理についてもこうすべきだということがあったら、当然、変更していただいて構いませんので。本当に、役所が何かをするということを示唆するような発言は事実と異なりますので、そこだけはきちっと訂正をさせていただきたいと思います。
【駒宮委員】  分かりました。それは嶋崎さんから聞いたのではなくて、ほかの方がそのようにおっしゃっていたということでございます。

※部会後、駒宮委員より、これまでの議事録を確認したところ、本部会における議論に基づいて資料4の調整が行われたことについて確認できたとのコメントがあった。

【梶田座長】  済みません。今の、ここは二重丸にした方がいいのではないかという意見でしたけれど、それについてもやっぱり、この場で本日、議論して、なるべく最終のものに近付けていきたいと思いますので、お願いします。

【初田委員】  社会的インパクトと科学的インパクトが何か混同されて議論されているような気がします。駒宮さんは科学的インパクトのことを言われているような気がしたのですが、そこら辺の違いをもうちょっと正確にお願いします。
【駒宮委員】  ここでは、私も最初は、これはもうサイエンスのインパクトだと思ったのですが、やはりサイエンスが社会における影響というのを考えますと、やはりそれは社会的インパクトにほかならないということで、これは社会的インパクトというふうになっているというわけでございます。
【初田委員】  同じだという解釈でいいわけですね。
【駒宮委員】  同じです。私としては、同じ解釈だというふうに、自分を納得させました。
 それで、ですからレプトンペアに崩壊する場合というのは、これは丸にするか二重丸にするかというのは若干、微妙な問題で、これは先ほど浅井先生がおっしゃったように、新しいゲージボゾンが1つあったからといって、そこから先の見通しというのは立たないという点では丸かもしれないと。でも、新しいものが何か見付かるということはすごいことだから、それは二重丸だと。ここら辺は、私は強い意見はございません。
 それから、その次は、新しいゲージボゾンの存在の確立ということですね。この場合は、リニアコライダーの場合では、LHCで発見された新しいゲージボゾンと、Zとか、中性ゲージ粒子と混合しますので、ミックスしますので、これは電子・陽電子からほかのものにいくと。例えばqqバーにいったりレプトンペアにいくと。そういうのを精査すれば、このカップリングというのは分かるわけです。それによって、新しいゲージ相互作用が確立されるだろうと。これは、またメジャーメントなので、これは500GeVで新粒子の相互作用の詳細を決定して、理論の絞り込みが可能であるというふうに書いてある。
 その次はメジャーメントで、これはヒッグスの3点結合。で、ヒッグスの3点結合は、標準理論からのずれを高い精度で測定するというのがリニアコライダーの役割なのです。これは、ですからこういうものが、もしかして少しでも違いが見えたら、LHCで少しでも違いが見えたら。少しでもということは、LHCでは相当大きな違いが見えないと見えないわけですけれども。でも、そういうものが見えたとしたら、ここで一重丸というのは、そんなすごい差が見えても、標準理論の予言の2倍見えても、大体、LHCは1σぐらいしか分からないので、一重丸だろうということですね。少しでもそういう差が見えたら、やっぱりそのずれというものをきちんと高精度で測定するというのが非常に重要なので。この場合、2つございまして、1というのが、今もう3番に来ましたが、3番の場合は、ずれがないことを観測と。それから、ずれがあることを観測。この2つの場合がございまして、1の場合は標準理論ですね。標準理論の確認というのは、要するに標準理論のヒッグスメカニズムを確認したということになって。この2番の場合は、これは非常に大きなインパクトになるもので、「これにより宇宙の物質・反物質の非対称性を説明するなどの新たな理論の構築が必要となる」。この新たな理論の構築というのは、私はちょっと間違いではないかと思います。なぜ構築ではないかというと、こういう理論は既に構築されているのです。だから、新たな理論の検証ですね。検証が必要となるということです。それから、この場合、1TeVアップグレードでの高精度測定が必要とありますが、これは実は500GeVぐらいでも3σぐらいは測れるので、ここにも500GeVのことを書いておいていただきたいというのが私の次のコメントです。
 それから、一番下はトップ質量とヒッグス質量の測定で、この前の浅井先生がおっしゃいましたように、これもそれほどインパクトのあるプレシジョンではないので、これは丸と。もしかしてここで差が見えましたら、トップの質量、ヒッグスの質量をより高い精度で測定する。これはリニアコライダーでできる。今、3番目になっていますが、詳細に測定して、新しい物理のエネルギースケールを同定すると。これは、トップクォークの質量によって真空のスタビリティーというのが変わってきますので、そうしますと、新しい物理のエネルギーのスケールというのが、これによって分かる可能性があるということですね。それで4番目は、もしかしてこの2の場合だったら、標準理論の適用限界を探ると。これは真空の安定性に決着をつけると。ですから、これはインパクトがあると。これはトップクォークの質量の詳細を測るわけですから、リニアコライダーの500GeVで測定可能というわけです。
 その次のページに行きます。これは上記以外の新粒子の発見ということで、まず最初は浅井先生が先ほど言った、これはモノジェットみたいなものが見えて、それでダークマターと思われる事象の痕跡が発見されたという場合ですね。この場合はもちろん、ダークマターの候補なので、これは二重丸と。今後の物理における優先課題というのは暗黒物質の解明と。左記においてILCが貢献可能な研究課題というのは、シングルフォトンプラス2つのダークマターという事象ができますので、そういうのを研究して、LHCで発見された新現象の性質を精査して、それで観測した粒子が本当にダークマターであることを同定を図るということですね。その右に行きまして、左記における発見の社会的インパクトですが、これは、これまでに未発見のダークマターを初めて観測したと。ですから、宇宙の構造の形成に迫るという意味でインパクトが大きいと。これのインパクトというのは、宇宙と時空の構造を解明するということで、LHCでこういう事象が発見されたら、ほとんどリニアコライダー500GeVで観測可能ということです。
 その次は、複数の重い粒子の共鳴状態の発見など余剰次元のヒントと思われる事象が発見された場合。これは、ここに「など」とありますが、先ほど浅井先生がおっしゃったように、これはいろんな場合がございます。これは、ほかの実験での同類の現象の発見による新現象の解明というのが今後の課題ですね。で、リニアコライダーでは一体何ができるかというと、「カラーを持たない類似の粒子の探索や、標準粒子」……これは「標準理論の粒子」ですね。「標準粒子」というのはおかしいです。標準理論の粒子の生成過程。ですから、そういうものの角度分布だとか、それからそういうものの断面積などを精査して、それからヒッグスやトップの精密測定を行って、LHCでの発見との関係を明らかにすることによって、余剰次元解明の第一歩となると。これは、余剰次元はすごくいろんなモデルがあるので、多分、どれだと同定することは非常に難しいので、これは「第一歩」と書いてあるわけです。
 その次は社会的インパクトですね。余剰次元の探索の足掛かりを観測と。拡張された時空の発見。インパクト大と。「インパクト大」とありますが、これは松本先生の言葉を使いますと、これは万馬券みたいなものだと。ですから、余剰次元が見付かるという確率は非常に小さいけれど、こういうものが見付かったら、これは物すごいインパクトだということで、両方掛け合わせて期待値はそこそこということで、それでインパクト大ということになっています。これは、LHCで見える現象はILC500GeVで観測可能ということでございます。
 
 それで最後に行きますと、これは標準理論を超える発見がない場合ですね。これは、残念ながらLHCで標準理論を超える発見がない場合ですね。この場合は、発見がないのですから、発見がないということは、やはりそれなりにインパクトのあることで、これは一重丸と。これはもちろん、今後の物理における優先課題というのは、標準理論を超える新現象・新粒子の発見なわけです。左記についての貢献課題ですね。これは、理論で予想される超対称性の探索やヒッグス粒子の複合性の発見だけでなく、理論で予想されていない新現象・新粒子の探索を目指すというふうにありますが、これはちょっと、後でもうちょっと付け加えさせていただきたいと思います。それから、その右は、超対称性の発見や複合粒子の確立等が期待されるというわけですが、この場合は、こういうものが見付かったら、もちろんインパクト大です。それから、その右側、「備考」というところにございますのは、LHCでの新粒子・新現象未発見の原因の原因を精査して、LHCが希求の次期コライダーであるかを判断するということです。米印がございまして、そこは、今後の方向性の判断には、ほかの研究における様々な発見や有力な理論の提示等が必要と考えられるということであります。
 それで、これが基になるわけですが、ちょっと私がここに付け加えなかったものも幾つかございますので、それが1枚物の「駒宮委員からの提案」です。これで、幾つかございまして、まず初めは、最初のページのヒッグスの3点結合の備考5という欄ですね。ここは、実はこれは一挙に「1TeVへのアップグレード」と書いてございますが、実はリニアコライダーの既定路線というのは500GeVですから、500GeVで一体どういうことができるかということをまず書かなくてはいけないというので、このAというのにございますように、ヒッグスの3点結合の解析というのは、大体500GeVで誤差が30%。ですから、これは3σ以上のシグニフィカンスがございます。更に、現在、データ解析の改良というのが進行中でございます。ですから、一挙に「1TeVアップグレード」に行かずに、まず500GeVで30%の誤差というのをここに入れていただきたいというのが、最初です。
 それからその次は、LHCで標準理論を超える発見がない場合。これは、その次のページの下にある、標準理論を超える発見なしという場合ですね。この場合、LHCで標準理論を超える発見なしの場合、この場合がILCにとって非常に重要で、この場合でもILCでの発見の可能性が十分に期待できると。これを加える必要があるということでございます。
 それからCというのが、LHCで標準理論を超える発見なしの場合、これは、備考5に、「LHCで発見がなくてもILCで発見・観測可能」とございますが、これを、発見された場合と同様にここに記入していただきたいということです。ILCは、LHCで発見がない場合には役に立たないと思っている人が非常に多いので、やはりこれはきちんと言っておかなくてはいけないことではないかと思います。
 それから、最後のDというやつは、この下に米印がございまして、備考5の一番下に対応する米印がありまして、そこに「今後の方向性の判断には、他の研究における様々な発見や有力な理論の提示等が必要と考えられる」とございますが、これはちょっと誤解を招きやすいので。というのは、ほかの研究による様々な発見とか有力な理論の提示等がない場合は、ほとんど、ILCを作っていいかどうかというのは判断できないというふうに、これは読み取れるんです。それは非常にまずいと。すなわち、こういうものがなかったら。で、ほかの研究における様々な発見というと、これは一体何なのかよく分からないですね。例えばプロトンのディケイだったりするかもしれないし、ニュートリノの何か分からないCPフェーズだとするかもしれない。これは全然何のことか分からない。それから、有力な理論の提示といいますが、今から、その有力な理論の提示などというのができるような、そんなすごい理論の方が世の中にいるかどうかというのは甚だ疑問に思えるわけですね。したがって、これは、この両方がないと判断できないというのであれば、ILCはほとんど半永久的に判断できないというニュアンスに、これは見えてしまう。したがって、この1行は削除すべきである。残すのであれば、具体的にどういうふうに、どういうことを精査すべきかというのを、きちんと文章として書くべきであるということですね。
 この表は恐らく公開の後に英訳して世界に配付されると思いますので、世界の当該分野に、文部科学省がILCをたなざらしにすると思われるというのは大変まずい。この時点でね。したがって、この1行は消していただきたいということで。これを一応まとめたものを、私、今日作ってまいりましたので、それを皆さんに配付していただけますか。
 この最初のページはこれでよろしいと思うんです。ただ付け加えるのは、右側に、500GeVというのが非常に重要なので、ヒッグスの3点結合の場合だけ、「500GeV ILCで約30%の精度で測定可能」と。30%というのは3σ以上なので、浅井先生のおっしゃっている2.7σよりも大きいので、これはある程度、インパクトがあるだろうということであります。
 その次のページは、標準理論を超える発見がない場合だけです。この場合の3と4、5を若干変更しています。3番の場合は、実はこれは、このもともとのやつは、超対称性とヒッグス粒子の複合性と、それから理論で予想されていない現象ですね。この3つしか書かれていなかったので、そのほか非常に重要なのがございますので、まずはこの場合もプレシジョンメジャーメントですね。ヒッグスとトップの精密測定から標準理論を超える新現象をまず探索すると。これは、先ほど言ったように、LHCで竹だったやつが、まさにILCでは松になりますので、これは250から500GeVのILCで確実に実行可能であると。それから、上記の1から3の新粒子・新現象についてILCで発見される可能性が十分にある。更に理論で予想されない新現象・新粒子の探索を目指すというふうに、ここは若干変えていただきたいと思います。
 それから、この2つ目の、(4)ですね。標準理論を超える発見なしの(4)の場合、これは、やはりダークマターというのは非常に大きなインパクトがあるので、ダークマターの発見が期待されるというのを、ここに入れていただきたいと。まあ、発見されるとは言っていません。発見が期待されると。その最後に、やはりこれは非常に重要なポイントで、要するに、LHCで何も見えない場合というのは、リニアコライダーには全く意味がないだろうとおっしゃる方がいらっしゃるので、LHCで発見されなくてもILCで発見・観測が可能であるということを、ここに入れていただくということです。それから、先ほど申したように、この米印の1行というのは具体性が余りないので。具体性がないと同時に、これはリニアコライダーは半永久的に判断できないというニュアンスを含んでおりますので、これは是非とも消していただきたいというのが私の最終的なものでございます。ですから、これを皆さんで議論していただいて、それで新しいものを作っていただくというのがよろしいのではないかと思います。以上です。どうもありがとうございました。
【梶田座長】  ありがとうございました。それでは、今の説明を踏まえまして、この資料のまとめ方につきまして議論をさせていただきたいと思います。資料の都合上、表のページと裏のページがありますので、まずは表のページからいきたいと思います。今日の配付資料と、今、駒宮先生の方からの配付の資料を見比べつつ議論をしていただきたいのですが。それとともに、1つ、先ほど、レプトンペアに崩壊する新粒子の発見は二重丸ではないかという話がありましたけれども、それについていかがでしょうか。
【初田委員】  それについて、もっと大枠なところがあったのですけれど、よろしいですか。
【梶田座長】  はい。
【初田委員】  駒宮さんがおっしゃったように、LHCで何も見付からなくてもILCでできることがあるということを書くということは非常に意味があることで、それをちゃんと書かないと非常にまずいと思うのですけれど、一方で、何でも発見できますと言ってしまうと、表の意味もなくなってしまうので、そこら辺が少しジレンマだなと思います。
【駒宮委員】  いや、発見できるとは言っていないです。発見の可能性があるということなんです。
【初田委員】  ええ。でも、そうすると何でもそう書けてしまうので、そこをどういうふうにバランスをとるのかというのがあるんです。基本は駒宮さんがおっしゃるように、LHCで何も見付からなくてもやっぱりILCで見付かることがあるのが何なのかということを、科学的な判断から書く。それが非常に大事だというのがコメントの一つです。それから、レプトンペアの話と、その上にある複合ヒッグスというのの話がどうつながっているのかが良くわかりません。ある意味では、どちらも複合粒子の話ではないのかと浅井さんの話を聞いて思ったのですが。
【駒宮委員】  いや、これは違います。複合は上だけですね。下の方は、ですから新しいZみたいなやつが。
【初田委員】  そういう意味ですか。
【駒宮委員】  新しいZプライム。
【初田委員】  エレメンタリーだけれども。
【駒宮委員】  そうです。新しいゲージボゾンが見付かった場合です。
【梶田座長】  横山さん、お願いします。
【横山委員】  済みません。一般的な話になって大変恐縮ですが。
【梶田座長】  結構です。
【横山委員】  先ほど、初田先生と駒宮先生のやりとりを伺うまで気付かず大変恐縮でございますが、御指摘がありましたように、(1)の社会的インパクトというのは、やはり科学的インパクトにしておいていただいた方がよろしいのではないかと拝見しました。といいますのは、親委員会の方にいきますと、今、その下で、経済的インパクトの調査というのが走っておりまして、科学的インパクトの上にのっとった経済的インパクトを合わせて、社会的インパクトというのを恐らく議論するような状況になっております。そのときに、やはり一番、国民としても大事に思うのは、科学的インパクトが何であるかというのにのっとった議論ではないと意味がなくなってしまいますので、言葉の整理は現段階でしておいていただいた方が有り難く思いますので、こちらは科学的インパクトにまとめていただきまして、親委員会の方で経済的インパクトや社会的インパクトという言葉を御使用いただければよろしいかと感じました。以上です。
【駒宮委員】  済みません。それは、では1と4、両方ともということですよね。
【横山委員】  そうですね。
【駒宮委員】  1はLHCの方のインパクトで。
【横山委員】  4の方も科学的インパクトに。
【駒宮委員】  両方、サイエンティフィックなインパクトと。分かりました。
【横山委員】  やっぱり、国民が一番気にするのも、科学的インパクトの意味があるのかというところを一番注目しますので、そこは是非、整理していただくとよろしいと思いました。以上です。
【梶田座長】  そこは重要なポイントで、前回は、社会的インパクトという話で出ましたけれども、やはり、今見てみると、この委員会としては科学的インパクトをきちんとスタディーするということで、科学的インパクトに(1)と(4)を修正するということでよろしいでしょうか。
【初田委員】  いいと思います。
【山内委員】  よろしいと思います。
【梶田座長】  内容については実際上は科学的インパクトで書かれているかと思いますので。
【梶田座長】  二重丸ですが。
【松本委員】  1の下の方ですか。これは両方とも、新しい力の発見という意味なので、多分、真ん中が二重丸だったら、下も二重丸であるべきだと思います。
【中家委員】  よろしいですか。
【梶田座長】  はい。お願いします。
【中家委員】  僕も全く同じで、何かレプトンペアだけ一重丸というのは、ほかと全然、整合性がついていないと思うので、ほかと同じだったら二重丸なのと、あと若干、さっき、一重丸にした理由が、駒宮さんが、その先のスタディーが止まるかもしれないという話が。つまり、それだけが見えて、次、できないで。でも、それ自身はやっぱりものすごく大きなことですね。新しい力が存在する。ゲージ理論があるということ。対称性がある。だから、僕も二重丸でいいと思いますけれど。
【梶田座長】  では、これにつきましては、まず二重丸でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それから、ちょっともう一つ、これは私の方で、浅井先生のお話を聞いて、ヒッグスの3点結合の測定というのはLHCでは。
【中野座長代理】  できないと。
【梶田座長】  できないみたいな、ちょっと、そこの部分についてはかなり消極的な御意見だったような感じがするのですけれども。
【浅井教授】  ずれがある。このことを議論できるようなレベルは、アキュラシーにはないと思っています。
【駒宮委員】  済みません。でも、例えば、ラムダが3倍大きかったとしたら、LHCで見える可能性はゼロではないですよね。
【浅井教授】  そうですね。3倍違っていたら見えると思います。
【駒宮委員】  3倍違っていたら見える可能性があります。で、3倍違っていたら、多分、物すごいインパクトというのがあって、それは、宇宙の物質と反物質の非対称みたいなのにひょっとしたら関係するかもしれないという意味で、私はこれを左側に。そういうずれがある可能性もゼロではないというので、左側に書いたのですけれど。
【梶田座長】  分かりました。では、これについてはこのままでよろしいですか。
 そうしましたらば、それに関して、ILC、(5)の備考のところで、駒宮委員の方から、500GeV ILCで約30%の精度で測定可能という。これについては加えるべきではないかという御意見ですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
【徳宿委員】  いいですか。でも、ILCで1TeVの方も測定が必要と書いていいのですか。本当に1TeVが必要なのですか。
【駒宮委員】  必要というのは、ちょっと問題ですよね。必要というのは、どうしてもやらなければいけないという意味なので。
【徳宿委員】  どうしてもやらなければいけないというぐあいに言っていることになって、それはおかしいのではないですか。
【駒宮委員】  全くそのとおりですね。
【徳宿委員】  測定ができるとか。
【梶田座長】  では、「可能」ですね。多分、ほかのと同じに。
【駒宮委員】  「可能」ですね、多分。1TeVでの測定が。
【中野座長代理】  1TeVでの精度は幾らなのですか。
【駒宮委員】  10σです。10%です。
【梶田座長】  山内さん、何か。
【山内委員】  それぞれの項目に入る前にちょっと申し上げたいと思うのですが。
【梶田座長】  分かりました。
【山内委員】  恐らくILCが決まるまでには、何段階かの委員会というのがあるのだと思うんです。ですが、この分野の研究者が集まって議論するのは、多分これが最後だと思うんです。そういう意味では、非常に正確なものを出すというのが必要なのと同時に、誤解を与えないものを出すということが非常に重要な我々の仕事だろうと私は思います。その観点で拝見した場合には、正確さという点では、駒宮先生の修正を反映して、かなり正確であろうと思うのですが、どうも気になりますのが、少し誤解を与えるところがあるのではなかろうかという感じがいたします。
 例を申し上げますと、(4)番の縦に並んでおりますのは、色が付いたところというのが幾つかありまして、「電弱対称性の破れの起源」、「新しい力」。こういうところはいいのだろうと思うのですけれども、次にありますのが、「宇宙史の解明」とあるわけです。更に、裏に行ってしまいますけれども、「宇宙と時空の構造を解明」と。こういう極めて大きなテーマがILCからすぐ出てくるというふうに、恐らくは一般の方が御覧になったときに、余り左側に書いてあるような難しいことはよく分からないけれども、こういうところだけにやっぱり目が行ってしまうと思うんです。こういうのを残しておくというのは、私はこの委員会の議論としては適当ではないのではないかという感じがいたします。
 それともう一点、関連してなのですが、(4)の中で「インパクト大」というところがかなりありまして、もちろん大きいところも確かにあるのですけれども、インパクト大というのは、LHCとILCを込みにしてインパクト大という意味に書かれているのだと思うんです。多分、ここでインパクトを述べるべきなのは、LHCを行った測定に加えてILCの測定を行うことのインパクトであるべきだと思うのですが。例えば例としまして1つ挙げますけれども、一番上の「超対称性と思われる事象を発見」。この場合には、ILCができることのインパクトは大だと思います。このとおりだと思います。ですが、この2番目に関して、LHCが複合ヒッグスを発見したと。これのインパクトが非常に大きいというのは同感ですが、それに加えてILCができることのインパクトが本当に大きいと言えるのかどうかというところでは、若干、疑問があるかなという感じがいたします。という気がいたしますので、4番の色付きで書いてあるところと、インパクト大、インパクトありの区別ですね。これというのは、もう少し考え直してもよろしいのではないかと思います。
【梶田座長】  ありがとうございます。
【駒宮委員】  済みません。よろしいですか。
【梶田座長】  はい。
【駒宮委員】  この複合粒子の場合なのですけれども、複合粒子の場合は、LHCで、例えばテクニ何とかみたいなものが見えた。うんと幅の広いレゾナンスで、WWとかに崩壊するのが見えたという場合ですね。で、これが直接的に本当に複合ヒッグスの証拠になるかというと、なかなか難しいわけです。ほかにもそういうレゾナンスが起こる可能性がございますので。そういう意味で、例えばヒッグス粒子のbranching fractionの標準理論からのずれのパターンを精査すると、これが複合ヒッグスに特徴的なものであるかというのが分かるわけです。そういう意味で、これは両方併せてインパクトが大きいと書いたのです。
【山内委員】  いいですか。
【梶田座長】  はい。
【山内委員】  両方併せてインパクト大というのは全く同感ですが、その中でILCの部分というのがそれほど大きいかというところで、またひっかかるわけです。つまり、複合粒子がいろいろあるということがもし出てくれば、それだけで極めてインパクトが大きい。ただ、これはILCというよりもLHCの結果なわけです。それに加えてILCの研究を行うことの意味というのは、必ずしも大と呼べるほどではないのではないか。つまり、上にありますSUSYの場合の「インパクト大」というのとは、かなり意味が違うのではないかと思います。
【駒宮委員】  済みません。やはり、プレシジョンメジャーメントで大きな差が出ると。例えばgマイナス2の場合もそうかもしれませんけれど、それによって、あるパターンで物理がきちんと狭められると。こういう方向に行っているのではないかと分かるという場合は、やはりインパクトは大きいのではないかと思います。これはちょっと、理論の方にお話を聞いた方がよろしいかと思いますが。
【松本委員】  LHCでローメソンみたいなのが見付かって、ILCで複合ヒッグスであることに決着がつくのですね。それは、スーパーシンメトリーの場合と、僕は似ているように見えるのですけれども。LHCでも、SUSYもLHCで、多分、多くの人は、何かウイーノみたいなのが見付かったら、これは多分、超対称性の可能性があるといって、すごくにぎわうのですけれど、実際にはそれを確定して、背後の模型が何かというのを調べるために、その崩壊した先のノンカラーのパーティクルを調べたりヒッグスの事例を調べたりして確定するという。そういう意味では、この2つはすごく、何かパラレルに並んでいるように見えるので。上がインパクトが大きかったら、下も大きいのではないかなという。
【駒宮委員】  前提は、複合ヒッグスが見付かったという前提ではないのですか。
【松本委員】  複合ヒッグスと思われる、ではないですか。
【駒宮委員】  まだ何物か分からない。
【松本委員】  多分、そういう意味で書いているのだと僕は思うのですけれど。
【駒宮委員】  そうです。
【初田委員】  どんどん足していくと、結局、全部インパクト大かインパクトありになってしまいます。そもそも、これを書く必要があるのでしょうか。それぞれに関して科学的な重要性を書いておけばいいだけで、わざわざそこにインパクト大とかありとか何とか言うことは、必要ないような気がしますけれど。
【梶田座長】  なるほど。
【中野座長代理】  よろしいでしょうか。
【梶田座長】  はい。
【中野座長代理】  レゾリューションが悪いというか、インパクト大と、ありしかない、ほとんどが大というのは、全く初田さんと同感なのですが。この表を見て、何かが起こったときに、どう判断するかという使われ方をするんです、きっと。
【駒宮委員】  そうです。
【中野座長代理】  これを、このまま出してしまうと、標準理論を超えるような現象があってもなくてもインパクト大で、非常にまれな場合だけインパクトが小さいという、そういう表になっていて、何か判断に、結果として全く使われないのではないかと思うんです、このままでは。もう少し親切なというか、丁寧なものにするべきで、やっぱり、なぜここで科学的なインパクトというものを我々が気にするかというと、ILCのような国際協力が絶対必要な、世界から人が集まってこなくてはいけないようなところで、結局、人が集まってくるかどうかというところは、科学的にどれだけ面白いか。どれだけ求心力があるかということにつながると思うんです。そういう意味での科学的インパクト。だから、人を引き付けるインパクトはどれぐらいあるかということで、もう少しレゾリューションを上げていただくのがいいのではないかなと思います。だから、それこそレプトンペアに崩壊する新粒子発見が行われたときに、次に自分がやる実験としてILCを選ぶかどうか。ILCで、更にその研究をすることが、一番、どういったらいいか、王道なのかどうなのかというようなことが、ここで言っているインパクトではないかと思うんです。
【駒宮委員】  いや、そうだと思います。
【中野座長代理】  駒宮先生が全部、そのときにgマイナス2も、何かミューオンも全部ほっといて、全部ILCとおっしゃるかもしれないですけれど、やっぱりそこはいろんな意見があって。
【駒宮委員】  いや、それはそうですけれど、でもこのレプトンペアに崩壊する粒子は。
【徳宿委員】  ほかの実験をやらなくていいと言っているのですか。言っていないですよね。
【駒宮委員】  そんなこと、もちろん言っていないですよ。ほかの実験は非常に重要だと思いますが、事、このレプトンペアに崩壊する新粒子が確定された場合ですね。
【中野座長代理】  個別のことを言っているわけではないです。
【駒宮委員】  一般的なこと。
【中野座長代理】  一般的なこと。だから、もっとレゾリューションを上げなくてはいけないというのと、それぞれの場合に、どれだけ。プラスアルファでILCをすることがどれだけ重要かということがきちんと書かれて、それが順位付けされていないと、判断しようがないのではないかなと思います。
【駒宮委員】  順位付けというのは、物理の中での順位付けですか。
【中野座長代理】  はい。物理の中でというか、ILCの持つポテンシャルというか。
【駒宮委員】  それはよろしいですけれども、例えば具体的に、これを、ではどういうふうに直したらよろしいとお考えですか。
【中野座長代理】  具体的に。
【駒宮委員】  レゾリューションを高めるためには、もっと具体的にどういうふうにやると言っていただかないと、私にはちょっと分からないですけれど。
【徳宿委員】  よろしいですか。今のに関連して、僕も初田さんと同じ意見で、インパクトを書く必要はないという気がするのですが。そこにおいての結論は中野さんと全く逆の方にいきまして、つまり、これは僕も、前回出なかったので、前回どういう議論がされていたか余りよく分からないのですが、この表を、ILCに関係するので作ってくれと言われたときに、やっぱりちゃんと作ってみると、やっぱりインパクトはあるんです、どこも。それを、ここはない、ここはあるというのを、こんなテーブルでやること自体が、私はできないと思います。それで、結局、やっぱりある場合だったら、LHCでこれがあったら、もうILCをぴたっと止めればいいだろうという項目があったら、僕はもちろん書くべきだと思います。でも、前回の間から今回まで来た間の作業で起こったことは、結局そういう、明らかにこうしたらばインパクトがないよということが言えなかったというのが結論なのではないかと。だから、僕としては、この表はやっぱり、インパクト大、小は書く必要はなくて、それぞれのところにどういうインパクトがあるかということを言えばいいのではないかと思います。ここは科学的なところなので、やっぱり、これだったらないということは言えなかったというのが、私の意見だと思うのですが、それはどうなのでしょうか。
【梶田座長】  お願いします。
【山中委員】  でも、これは全く、そのうち素人という方が見られるわけですよね。で、LHCに関しては、いわゆる科学的インパクトというのは、二重丸とか一重丸とか何かあるのに、ILCでは全く差がないというのは、何か非常に奇異に見えたりしないのですか。
【徳宿委員】  それはもうおかしくて、前提条件が二重丸のやつをリストアップしてから議論しているわけですよ。それは、ここが二重丸になっているのは当たり前で。やっぱり大事なのは、二重丸の発見がLHCであったときにも、ILCとの総合的な結果を見ることによって、いろんなことができると。それで分かってくることがたくさんあるんだということなのではないでしょうか。それが、僕らがここの会議で出すメッセージというのは、そういうことなのではないか。やっぱり、LHCでどんと何か1つ発見が出たかもしれないけれど、それが一体どういう原理に基づくかというのは、やっぱりきちんと見ないといけなくて、そのときにはILCというのは非常に重要な形を持つ。
 表のもう一つ危険なのは、何とかが発見したら、その横の表がみんな、発見したやつをILCがどう見付けるかということに囚われそうになるんです。それも間違いで、駒宮さんの表では書かれているように、例えば超対称性がLHCで見付かってもその粒子がILCのアクセスするところになくても、ヒッグスの精密測定と絡めることがすごく重要になるわけです。その辺が、表の形にしたときに、LHCでAが見付かったらば、そのAについて何ができます。Aを測定して何ができますかというのに囚われがちになるのも、表の危険なところなんです。それは多分、今の駒宮さんので、それだけではないというのは書かれているのは、十分だとは思いますけれども。
 だから、表というのは、僕はものすごく危険なのも確かだと思いまして、かつ、実際に起こるのがどこかというのは全然分からないのに、余り起こらないところが幅を広くとっているかもしれないので。という意味で、駒宮さんとも少し作業はしましたけれども、僕も、表を作るのはものすごく大変なことだと思います。で、今あるのは、どうしても表が出なくてはいけないのだったら、コンプロマイズぐらいはこんなところかなという気はしますけれども。
【駒宮委員】  ちょっと済みません。先ほど、どのぐらいのインパクトがあるかという話なのですけれど、もともとインパクトのレゾリューションというのは余りないんです。左側にあるやつも、二重丸と一重丸しかないですよ。ここにあるやつも、4番のインパクトというやつも、インパクト大というのとインパクトありというのの2つしかないんです。
【中野座長代理】  いや、ありが少ない。
【駒宮委員】  これは、だから二重丸と一重丸の違いみたいなものなんですよね。
【梶田座長】  なかなか悩ましいですけれども。
【駒宮委員】  でも、LHCで何か見えた場合だって3つしかないでしょう。
【中野座長代理】  これはもう、走っているからいいんですよ。
【梶田座長】  どうしましょうか。
【中家委員】  もう一回、質問なのですけれど、この表を使うのは、もちろん、徳宿さんとか言うように、いろんな物理が絡んでいる。僕もそのとおりだと思います。この表の中ですら独立のものでないものがいっぱい、さっきの暗黒物質とSUSYとかも、そういうのがあるのですけれども、外とか分野外の人に、できるだけILCを分かりやすく説明しようという趣旨がこの表なんですよね。我々の中の理解のためだったら、この表を超えたものをやらなければいけないと当然思うのですけれど。そういう議論で。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  もともと、本部会を設立するもとになった学術会議の所見の中で、今後、いわゆるLHCでの実験の成果を踏まえたILCのストラテジーを明確にしなさいという項目がございました。それを受けて、そもそもこの部会を設置したところから、前提としては、LHCの結果いかんによってILCのストラテジーが変わってくるだろうという、漠とした、中身は特段、触れていないですけれども、そういった命題がございます。その中身について、あくまでもこのペーパーでILCを全部書いてということではなくて、LHCとの絡みでILCのストラテジーがどう変わってくるかということを分析するというのが、本部会の1つの課題になってございましたので、そこは一番初めから出している資料ではございますけれども、いま一度確認させていただければと思います。
【梶田座長】  ありがとうございます。中家委員。
【中家委員】  だから、前も多分言ったと思うのですけれど、そのときには、やっぱりエネルギースケールがどういう場合とか、そういうものを必ず入れないと、自分たちの中では最後、組めなくなるかなとは思うのですけれども。
【駒宮委員】  済みません。ここに一応、エネルギースケールは書いてあるんです。例えば、最初のSUSYの場合です。これは、最も軽いSUSY粒子の質量によるわけですよね。その次は、ですから250から500GeV。その次も500GeV。これは一応、エネルギースケールは、備考のところに一応、全部書いてあるんです。
【中家委員】  そうすると、例えば質量によるというときに、よって、それを超えているときにはどうなのですかというのは。
【駒宮委員】  超えている場合には見えないということです。
【中家委員】  そう、そう。
【駒宮委員】  そうですね。超えている場合には、この下……。
【中家委員】  だから、ちょっと中途半端になっていると。
【中野座長代理】  なるほどね。
【駒宮委員】  だから、あからさまに超えている場合には見えないと書けと。
【中家委員】  いやいや、書けと言っているわけでは。
【駒宮委員】  この、だから、center of mass energyの半分まではできるということを、ちゃんと書くということですね。それはよろしいと思います。それは、そのとおりですから。
【中野座長代理】  そうすると、さっき言ったレゾリューションを上げられますよね、当然。何かLHCで見付かっても、そのエネルギーでは到達不可能だったら、それはやっぱりILCのインパクトもないわけですよね、そこでは。
【駒宮委員】  うん。その場合は、単純にないのではなくて、2番に行くわけです。
【中野座長代理】  2番に行ったら下がるわけですよね。
【駒宮委員】  下がるわけです。そうです。
【中家委員】  ヒッグスのとか。
【駒宮委員】  だから、ヒッグスのプリサイスメジャーメントとトップのプリサイスメジャーメントは必ずできるわけです。必ずできるものがあって、それに足すことに新粒子の発見というものがあるというわけですね。
【中野座長代理】  ええ。
【梶田座長】  そこら辺が、何かあれですね。
【駒宮委員】  その……済みません。
【梶田座長】  いや、ごめんなさい。確かに、こういうふうにしてしまうと。
【中家委員】  1・ゼロみたいになってしまう。
【梶田座長】  プリサイスメジャーメントがいろんなところに出てくるのだけれども、それが全体を通して流れているというのが余り伝わってこないな。この表だとね。
【中家委員】  例えば精密測定の意義がLHCで見付かる、見付からない。見付かったものが何か、そのエネルギーが幾らかということによって、いろいろ変わっていくわけですよね。
【駒宮委員】  いや、それは見付かったものによって変わるので、横に見ていただいて、きちんと読んでいただくと、ちゃんと精密測定のことは書いてあると思います。
【梶田座長】  では、それで(4)でインパクトについて、今の形にしていくのか、取ってしまうのか、もうちょっと丁寧に書くのか。
【中野座長代理】  原子核分野なので。原子核分野は、多分、ILCがゴーになるかならないかでものすごく大きな影響を受けて、なおかつ、それがどういうときにどういう判断が下されるかということに対して一番興味を持っている分野だと思うんです。そのときに、僕はこの会議に幸運ながら参加させていただいているので、大体、雰囲気は分かるのですけれど、この表を見たときに、2018年、例えばLHCから何か発表されたときに、何が発表されたらILCがいきそうなのか。それとも、またちょっと待たなくてはいけなくなるのかというのが、非常に読み取りにくいです。このままでは、何かよく分からない。
【徳宿委員】  原子核分野が、ILCがいくかいかないかで大きく変わるというのはどういうことでしょうか。
【中野座長代理】  これは個人的な覚悟ですけれど、ILCがいくとなったら、原子核分野も予算的に影響を受けざるを得ないのではないかと思います。
【徳宿委員】  それをここで議論する会議でしょうか。
【中野座長代理】  しないです。そんなことは議論しないですけれども、こういうものが、これが公表されて、いろんな分野の人、原子核分野の人、それ以外の分野の人が見たときに、ILCというものがどういう状況でゴーになって、どういう状況だと少し待たないといけないのかとかいうことを、ここでの議論から判断しよう、あるいは何らかの情報を得ようと思ったときに、この表は余り親切ではないという印象を持ちます。
 この表がそういうのと全く違う意図だったら、それはかまわないのですけれど、そういう意味合いも含まれているのであれば、もう少し丁寧にしてほしいと思います。
【駒宮委員】  いや、それは非常に難しいです。例えば、LHCでスーパーシンメトリーか何かにぶつかったとしても、本当に軽いスーパーシンメトリーの粒子がどこにあるかは分からないわけですよね。だから、その場合はやっぱりもう、見付けようとせざるを得ないわけですよね。それが、例えばヒッグスのプリサイスメジャーメントをやらざるを得ないということなんです。ですから、そのぐらいの多分、レゾリューションしかないんですよね。
【中野座長代理】  それでも結構だと思うのですけれど。
【駒宮委員】  でも、それならこれで分かると思いますけれど。
【中野座長代理】  分かるかな。
【梶田座長】  要は、やはりそれも、このインパクト大とか、ありとか、そこら辺をどういうふうに書くかにも関係しているという意見なわけですね。
【中野座長代理】  うん。
【駒宮委員】  では、仮にこのインパクトというのを全部外したとしたら、それはどうでしょうか。その方が分かりやすいですか。
【中野座長代理】  分野外にとってですか。
【駒宮委員】  ええ、分野外にとって。
【中野座長代理】  分かりにくいと思います。
【徳宿委員】  よろしいですか。先ほどもちょっと言いましたけれど、この表の意味するところは、中野さんが言うようなことは起こらないと言っているということだと僕は解釈しているのですけれど。つまり、どういうケースがあったら明らかにILCをやめるべきだというケースは見付からなかったというのが、この表が意味しているところだと思うのですが、違いますか。
【中野座長代理】  いや、やめるべき理由は何もないと思います。ILCをやめるべき理由など、どこにもないと思うし、どういったか……。
【徳宿委員】  いや、やめるべきという言い方が悪ければ、インパクトが下がることはないという。
【中野座長代理】  よりインパクトがあるケースに比べてインパクトが下がることはあると思います。
【徳宿委員】  その比較というのは非常に危険で、どういうレベルでの比較をするのかにもよる。
【中野座長代理】  そこを、勇気を持ってやっていただきたいと思うのですけれど。
【徳宿委員】  いや、どういうときにインパクトが下がっているのかというのが、この表で理解できたならいいのですけれども、結局、分からないというのが結論だと思うのですけれども。
【中野座長代理】  結論はね。
【梶田座長】  お願いします。
【山内委員】  この表の性格なのですけれど、この表を見ながらLHCの結果を見て、やるかやらないかを決めましょうというものではないと思うんです。というか、そういうものを作りなさいというチャージを頂いているつもりは多分ないので。もしそういうものを作れと言われるのであれば、全然違った議論をしなくてはいけないと思うんですね。それは多分、我々はしていないので、そういう性格のものではないと思うんです。逆にインパクトを、レゾリューションを上げて、例えば10点満点で付けましょう。としたら、これは点数評価をするだけで、多分、この会議を3回ぐらいやっても間に合わないと思うんです。私は、もし皆さん合意できるのであれば、インパクトは書かない。中身が何なのかだけをきちんと書いておくというのが適当だと思います。
【梶田座長】  いかがでしょう。中野先生はむしろ、最初、レゾリューションを上げてほしいというような御意見だったかと思うのですけれども、どうでしょう。
【中野座長代理】  これは個人的な、この場にいる者としての意見と、それからやっぱり、こういうことを議論できる権利というか、場に立てる人というのは非常に限られているので、この場にいらっしゃらない方々の意見もやっぱり考えないといけないわけですよね。後者に立った場合に、科学的なインパクトといったときに、何が分かるという物理的なことだけを書いたときに、本当に分かるのか。最終的に表ができてみないと分かりませんけれど。どれだけ丁寧に書くかで。僕は難しいのではないかという感じが。どうぞ、初田さん。御解説していただいて。
【初田委員】  理論と実験で違うのかもしれないけれど、例えば原子核の分野の人がこれを見たときに、どういう物理がLHCであって、ILCへどうつながっていくのかというふうに見るには、ある意味で分かりやすい表だと思います。そういう科学者の観点で見たときには、インパクト大と書いてあろうが書いてなかろうが、むしろ自分で価値を判断できるので、むしろない方がいいのではないかと思います。
【梶田座長】  ほかに何かございますでしょうか。ではお願いします。
【中家委員】  分野の中の人間なのですけれど、僕も別に、こんなに「インパクト大」を、全部あるのだったら書く必要はないかなと思っています。タイトルの一番上の4番が「ILCにおける発見の社会的インパクト」と書いてあるので。
【駒宮委員】  そうですね。
【中家委員】  ここにあることはインパクトがあるということを既に言っている。
【駒宮委員】  そうですね。大きいか小さいかというのは、ここで聞いていませんからね、確かに。
【梶田座長】  分かりました。お願いします。
【初田委員】  タイトルが、LHCの成果に応じたILCの物理的意義で、それに基づいてということなのですけれど、そういう意味では、4番は項目として並列に並べるようなものなのかどう。例えば2番で、「ヒッグス機構の詳細解明」でトップの質量、ヒッグス質量の測定を精密にやると書いてある。それで、何も標準理論からずれなかったときに、この4番に飛ぶというふうに読むのですか。
【駒宮委員】  いや、そうではないですけれど。
【初田委員】  そうではないんですか。そうすると、例えば2番の最後と4番というのは、どう関係があるのかというのが、ちょっと曖昧な感じがしています。
【駒宮委員】  いや、でも、これでも、「左記のILCにおける発見の」と書いてあるから、「左記」だから左側ですね。左側に何か発見された場合、それのインパクトがあるかないかということを聞いているのではないかと思ったのですけれど。
【初田委員】  ごめんなさい。2番の最後の。
【駒宮委員】  いや、2番ではなくて、3番と4番の関係は。
【初田委員】  ごめんなさい。僕が言っているのは、3番と4番ではなくて、2番と4番の関係なんです。
【駒宮委員】  2番と4番。
【初田委員】  2番の最後と4番はどう関係しているのか、例えば。2番の最後は、何も見付からなくても精密測定することに。
【駒宮委員】  2番というのは、縦の方ね。
【初田委員】  失礼しました。
【駒宮委員】  ごめんなさい。
【初田委員】  ごめんなさい。1枚目のテーブルの一番下の行ですね。例えばそれは、精密測定すること自身に意味があるわけですよね。新しいことを発見できるかできないかは別にして。
【駒宮委員】  ここは、まず一番左は、「LHCの成果に応じた」なので、まず一番ベースになっているのは、左側のLHCの成果なんです。それに応じて右に行くわけです。ですから、ここでアブソリュートにヒッグスの3点結合がILCでどうかとか、そういうことを言っているのではなくて、ここで言っているのはあくまでも、何かLHCで新しい成果があった場合に、ILCではどういうふうになるかというふうに私は解釈しているんです。
【初田委員】  それは分かっているのですが、例えば、一番左下の「トップ質量とヒッグス質量の測定」のところは、これをちゃんと測定するとそれは成果があったというのか、ないというのか、どっちなのでしたっけ。
【駒宮委員】  それは、測って、何かメジャーメントが。
【初田委員】  ということは。
【駒宮委員】  何とか、プラスマイナス何とかになったので、それは成果があったわけですね。
【初田委員】  では4番は、そういうことも得られなかった場合だと解釈しているということですね。
【駒宮委員】  それは難しいですね。
【初田委員】  そうすると何かよく分からない。
【駒宮委員】  いやいや、違います。4番は違います。4番は、標準理論を超える発見がない場合です。だから、メジャーメントはやったのだけれども、標準理論を超えていなかったということですね。
【初田委員】  そういう意味で、1、2、3、4と並列で項目が書かれていると、非常に4番だけ違和感あります。4番は4番で、テーブルではなくて言葉で書き込むとかしないと。
【徳宿委員】  なかった場合には、全部4番に行っているのではないですか。
【初田委員】  4番に行くということなのだけれど、それはこの表だけで分かるんですか。
【徳宿委員】  少し、関連していいですか。済みません。4番で、僕、今の状況は、表はすごく問題があると思うのですが。この備考のところですね。駒宮先生は米印だけ切ったけれども、もともとあった文章は全く置くべきでない文章だと思います。こう書いてあることは、これは何を言っているかというと、標準模型を超える発見がなかったらば、原因を精査して、後から判断しなくてはいけないと言っているわけですよね。ということは、何を意味しているかというと、LHCで何か新発見が来ない限りは、ILCの判断ができないと言っていることになっていて、それは僕らの、ILCをどうしてやりたいかという科学的意義と全く反していると僕は思います。
【駒宮委員】  確かにそうです。
【徳宿委員】  だから、やっぱりここで重要なのは、LHCで発見がなく、本当に新粒子が何もないときには、ヒッグスをきちんと見るというのがほぼ唯一の我々がやれることではあるので、それはまずILCで重要だし、もう一つは、今日の浅井先生のにもあったように、エネルギーが低くてもLHCでミスるものもあるので、それもやらなくてはいけないというので、4番の場合もILCは非常に重要なのに、その場合はちょっと待ちましょうというのは、僕はおかしいのではないかと思います。だから、ここの米印の前の黒い文章は要らないのではないでしょうか。
【駒宮委員】  むしろ、この黒というのは、全体に言っているような話ですよね、多分。だから、未発見の原因を精査してというのがなければ、これは全体のことを言っているわけですよね。ILCが希求の次期コライダーであると判断するというのが目的であったら。これは、だから多分、両方に当てはまるわけですね。全てに当てはまることだから、これは当たり前のことですよね。
【徳宿委員】  ただ、全てに当てはまるというのがどういう意味かというと、LHCが2030年までやり終わるまでは、ILCが議論できないという意味ではないので、そうとられないようにはしないといけないと思います。
【駒宮委員】  全くそうだと思います。
【梶田座長】  ちょっと待ってくださいね。議論がいろいろと。
【駒宮委員】  最後のポイントは非常に、徳宿先生がおっしゃったのは非常に重要なポイントだと思います。
【梶田座長】  分かりますけれども、ちょっと待ってくださいね。前の方で、結局、ちょっともとに戻ると、インパクトは結局なくてよろしいという、大体のコンセンサス。インパクト大とかインパクトありは、なくてよいというコンセンサスになったということでよろしいのでしょうか。
 では、これは消すと。
【駒宮委員】  いいのではないですか。
【中野座長代理】  今、ゆっくり考えているのですけれど、まあ、いいです。
【梶田座長】  ありがとうございます。それから、あとちょっと済みません。あと、前に山内先生の方からあった、(4)で横に出ている、赤、緑、青あるいは紫のが、少し、とられ方によってはミスリードではないかというような御意見もあったのですけれど、そこはいかがでしょうか。
【山中委員】  原子核の分野でよくある核力の解明などというのと同じような形に見えるので、解明という言葉は避けた方がいいのではないかと思います。
【駒宮委員】  解明のほかに、ではどういう言葉を使えばいいですか。
【梶田座長】  いや、多分、山内先生がおっしゃったのは、これができれば宇宙史が解明できると思われてしまうわけだけれど。
【駒宮委員】  そうか。解明。確かにそうね。宇宙史の研究だったらいいわけね。
【山中委員】  研究だったらもちろん。
【駒宮委員】  研究だったら、でも。
【山中委員】  当たり前。
【山内委員】  例えば宇宙史といった場合には、インフレーションから始まって、何だろう、元素構成まで含まれるわけです。非常に多くのものが含まれるわけです。それがILCで全部分かってしまうのですかというのは、それは違うと思います。だから、宇宙史の一端を解明とか、駒宮先生は嫌だとおっしゃるかもしれないけれども、そういう言い方になるのではないかなと思うのですが、どうでしょうか。
【駒宮委員】  いや、それでよろしいと思います。もちろん、これで宇宙史全体を解明できるなんて、誰も思っていないわけです。これで「宇宙史を解明」と書いてしまったら、それができるのだと思われたら、それは非常に間違いですよね。だから、一端を解明とか、やはりそういう。
【中野座長代理】  何も言っていないに等しい。
【駒宮委員】  そんなことはないですよ。宇宙史を全く解明できないのと一端を解明できるのとでは大きな違いですよ。
【中野座長代理】  一端を解明できるものはいっぱいありますよね。一端を解明。一端というのは何を言っているかよく分からないです。
【初田委員】  宇宙史のどの部分かということも。
【中野座長代理】  どの部分か書くのだったら意味があるけれど、一端というのはまずいのではないですか。
【駒宮委員】  そういう抽象的な言葉ではなく、もっと具体的な言葉。
【中野座長代理】  具体的な言葉で言えるのだったら書いたらいいと思いますけれど。一端と限定したから、何か罪が軽くなるとは思わないです。
【駒宮委員】  初期宇宙でも、やっぱりものすごく幅が広いですよね。だから、もっと具体的な言葉で書けということですね。
【中野座長代理】  はい。今ではなくてもいいですけれど。
【梶田座長】  具体的な言葉は、その左側に、ある程度、書かれているわけです。
【駒宮委員】  いや、でも、一端というので、別に悪くないと思うけど。だって、それが左側に書いてあるわけですから。それが宇宙史の一端なわけですから。確かに、これで宇宙史全体を解明するというふうにとられると、それはまずいですよね。それはそうだと思います。
【松本委員】  宇宙史の解明に大きな寄与とか。大きいか小さいかは分からないのですけれど。私はいいと思うので。でも、寄与するのはかまわない。
【山中委員】  「解明」という言葉を取ったらどうですか。「解明」という言葉を取ってしまって、「宇宙史」はもうちょっと、エクスプリシットに書いて。上だって、「新しい力」とか「起源」とか書いてあるだけですよね。
【駒宮委員】  確かにね。でも、宇宙史と書いただけでは、何も分からないですよね。
【山中委員】  宇宙史だと分からない。
【駒宮委員】  分からないですよね。
【中家委員】  何か宇宙史の研究をしているように。上は合っているのですよね。新しい力の研究であり、電弱対称性の破れ。宇宙史となると、それはやっぱり、ちょっとおかしい気がしますね。
【駒宮委員】  では何でしょう。初期宇宙とか書くのは。
【梶田座長】  初期宇宙といっても広いからな。やっぱり。
【山中委員】  理論屋さん。
【松本委員】  宇宙史……。宇宙の熱史ではないのですよね。
【駒宮委員】  熱ではない。
【松本委員】  熱だけではないですね。ダークマターは熱史に関係するのですけれど。
【駒宮委員】  ダークマターは関係するかもだけど。
【山内委員】  実は、余り宇宙史に関係していないのではないですか。
【初田委員】  むしろ、「電弱対称性の起源」が実は2の方で、上はむしろ「新しい対称性」とか、何かちょっと項目が必要では?上は「新しい対称性」、「新しい力」で、下が「電弱の」ではないでしょうか。2番目は、新粒子の発見ではなくて、ヒッグス機構の解明なのでしょう。「新粒子の発見」の赤のところは「新しい対称性」とかで、緑が「新しい力」。それから「宇宙史の解明」ではなくて、そこが「電弱対称性の破れの起源」ではないのですか。
【駒宮委員】  いや、「電弱対称性の破れの起源」というのは、スーパーシンメトリーか、若しくはコンポジットヒッグスですよね。で、その次の「新しい力」というのは両方、強い力と弱い力でいいわけです。その次が問題なわけです、まさに。
【梶田座長】  済みません。僕、ちょっと物理は分かっていないのですけれど、このヒッグス3点結合を測って、宇宙の物質・反物質の非対称性を説明するのと、新たな、先ほどちょっと言葉は変えていましたけれども、何か理論の構築が必要なという。ここら辺がどのぐらいのインパクトのある話なのか、ちょっと僕、分かっていないのですけれども。
【駒宮委員】  それは多分、松本先生しか説明できない。
【松本委員】  余り専門でないことはもちろんあるのですけれど。一応、多分これはヒッグスの3点結合で、LHCで期待される成果だから、ヒッグスの3点結合が非常に大きくずれたと。ということは、ヒッグスのポテンシャルが1次相転移の可能性が非常に強くなっていく。相転移があると、その相転移を利用してバリオン数が作られる可能性がかなり高くなってきて、それが宇宙の対称性と非対称性に関係するという。今、もしこれが今度、LHCでは見えなくて、もっと小さいと、相転移は1次ではなくて2次なので、そうすると、もっと高いところにできる。やっぱりニュートリノから来るような。来るだろうと言えることになる。
【梶田座長】  なるほど。分かりました。
【松本委員】  では1つだけいいですか。駒宮先生が用意した資料だと、もう、こういう「宇宙史の解明」とか書いてあるのがある。配付資料4だと、ダークマターとヒッグスの3点と、トップとヒッグスにまたがって書いてあって、こっちは、新しくもらった方だと、つまり暗黒物質は多分やっぱり宇宙史に関係してくるので、ちょっと。こっちからこっちに頑張って直したときに、括弧がずれたのではないでしょうか。
【駒宮委員】  ずれたというよりも。
【松本委員】  ずれたというか。
【駒宮委員】  項目を減らしたんです。
【松本委員】  ページがずれた。
【駒宮委員】  ページがずれた。
【中野座長代理】  そういうことか。
【松本委員】  そんな気がするのですけれど。
【駒宮委員】  だから、これも本当は入っているわけね。トップ質量。
【松本委員】  宇宙のバリオン数の話と暗黒物質の話で、括弧付きで多分、真空の。あれで宇宙の熱史とか、宇宙の歴史の研究に関係してくるとは思うのですけれど。
【梶田座長】  それで、もともと山内先生の御意見というのは、上の赤と緑は明確なのだけれど、その下はちょっと、少し明確ではないのではないかというようなニュアンスでもあったような気もするのですけれども。これ、いや、例えば下側を外してしまうというのも可能性としてはあるのでしょうか。
【駒宮委員】  もうちょっと的確な言葉にするのがいいと思うのだけれど。
【山内委員】  それから裏面の上も同じようなことが言えると思うんです。宇宙と時空の構造が分かりますというのは。なかなか、そこまで言い切ってしまうと、ちょっと誤解があろうかと思います。
【駒宮委員】  いや、それもそうですけれど。この上の2つ以外の、宇宙の何とかと書いてあるやつは、かなり、はったりに近い言葉ですよね。
【山内委員】  ちょっと、もう一つ言わせていただくと、余剰次元というのは必要ですか。さっきの初田先生の話を聞いたからではないですけれども、これはどなたかが万馬券とおっしゃいましたけれど、そういうものですよね。
【駒宮委員】  いや、それは、でももしかして、あるかもしれないわけですよね。
【山内委員】  いや、もう、あるかもしれませんけれども。
【駒宮委員】  いや、だって、これは物理にはちゃんと、いろんな理屈があるわけですよね、余剰次元には。だって、e+e-をぶつけて猫とか犬が出てくるとか、そういうものではないわけですから、これは。きちんと、した理論に基づくものです。
【山内委員】  ほとんど、近いのではないですか。
【駒宮委員】  サイエンスの裏付けがあるものですよね。
【松本委員】  最初の2のところは、宇宙史の解明というよりは、2つで真空の構造に対する研究ですよね。
【駒宮委員】  そうか。
【梶田座長】  なるほど。
【駒宮委員】  真空の構造で一般的に分かるかな。真空といって。
【山内委員】  いや、分からないですよね。
【松本委員】  どうやって言えばいいのでしょう。
【山内委員】  何のこっちゃですよね。
【山中委員】  うん。
【駒宮委員】  でも、そんなことを言ったら全部になる。そんなことを言ったら、超対称性だって、何のこっちゃですよね。
【松本委員】  新しい力かな。
【駒宮委員】  そうなんです。真空の構造。
【中野座長代理】  真空の構造ね。
【駒宮委員】  真空の構造。なかなか、いいではないですか。
【松本委員】  格好いい感じがするね。
【中野座長代理】  原子核は好きです。
【梶田座長】  では。
【駒宮委員】  原子核が好きだから、いいんだって。
【梶田座長】  よろしいですか。今の松本先生からのは、下側の青いくくりは、真空の構造という方をくくりにすると。
【駒宮委員】  確かにね。
【梶田座長】  では、裏側のページですね。
【松本委員】  先ほどの3は、それぞれがインパクトがあるので。暗黒物質ですし、次は余剰次元。エクストラディメンションですか。それぞれ、そう書いてもいいですし。普通に暗黒物質。万馬券かもしれませんけれども、正直言って。
【梶田座長】  これは何か、これをむしろ、2つを1つのくくりでやるのが、何となく無理があるような気がする。
【松本委員】  だから、3、4、5と、別に。
【駒宮委員】  確かにね。確かに、これは別々にした方がいいかもしれない。
【松本委員】  それでいいのではないかと思います。
【駒宮委員】  分かりました。
【山中委員】  一般的な言葉です。
【松本委員】  そうですよね。
【駒宮委員】  暗黒物質と余剰次元という単語。
【中野座長代理】  書かなくてもいいような気がする。
【駒宮委員】  書かなくてもいいような気がする。
【梶田座長】  ここは要らないのではないですか。これは、上記以外のということなので。
【駒宮委員】  いいか。
【梶田座長】  余りここで多分、細かく立ち入る必要はないのかなと。
【中野座長代理】  何か、表に対称性を持ち込み過ぎるのは、物理学者の病気。
【駒宮委員】  多分、でも、それより重要なのは、先ほど徳宿先生がおっしゃった、最後の文章ですよね。
【梶田座長】  はい。では、いよいよ最後の「標準理論を超える発見なし」のところをどういうふうにするかに移りたいと思います。まず、駒宮先生の方から赤印で修正案を頂いて、それとともに、今、徳宿先生の方から、最後の黒いところを、少し問題があるのではないかという御意見でしたけれども。まずはちょっと、徳宿先生の御意見のところを除いておいて、赤の修正案ですけれども、いかがでしょうか。
 済みません。これは単なる対称性の意見なのですけれども、(3)の2段落目の「上記【1~……新粒子・新現象について、LHCで発見される」、ここだけ「可能性が十分にある」となっていて、ほかは「発見が期待される」とかいう表現なのですけれど、ここだけ「十分にある」となっているのですけれど、これはほかと同じような。
【駒宮委員】  ほかと同じでいいと思います。
【初田委員】  いいですか。
【梶田座長】  お願いします。
【初田委員】  やっぱり、まだ違和感が。4の項目は、言葉も相当、主観的な感じがします。文章を読むと「確実に可能」とか「十分にある」とかというのが気になるのと、見付からなかったものは全部ここでやれるのだということが基本的に書いてある。上に出てきたキーワードが全部ここでできますと書いてあるだけになってしまっている気がします。それはそれでいいと思うのですが、そうすると、1、2、3と対比させて書くべきものかどうか。4の中身は箇条書でいいような気がします。
横に見たときの「4.標準理論を超える発見なし」という、そういう項目全体というのは、ほかの1とか2とか3と並べて書いてしまうと、どうしてもこう書かざるを得なくなってしまうわけですよね。LHCで何もなくても、ILCでは全部できますと書かざるを得ないような構造に、もともと構造的になっている。そうではなくて、サイエンティフィックに箇条書にして、発見がなかった場合の方向性を書く方が、分かりやすいししっくりきます。
【中野座長代理】  僕も、せめてここはそうしていただきたいと話しました。
【駒宮委員】  そうしてというのは?
【中野座長代理】  初田さんのおっしゃるとおり、1から3までの発見がなかった場合に、4で、ILCでどういうストラテジーをとったらどういう成果が上がるのか。どういうマシンを作ってどういうスタディーをしたらどういう成果が上がるのかということが、箇条書で書かれている方が分かりやすい。
【初田委員】  そう。余り長くなくていいのですけれど、それぞれ項目1行ずつぐらい書けば。でないと、この文章だけ読んだら、何か、上でできなかったことが全部できますとしか読めない。
【駒宮委員】  いや、上でできなかったことは全部できますではなくて。
【中野座長代理】  上でできなかった。LHCは何も出てこなくても、ILCでやれば全部できますというふうに読めてしまいます。
【初田委員】  読めてしまいます。
【駒宮委員】  でも、それは本質的にそうなのではないかな。
【徳宿委員】  できますではなくて。
【駒宮委員】  できますではなくて、やりますということですよね。やるのだったら、それは全部やるわけですよ。
【初田委員】  ただ、LHCの場合とは、さっきのカラードパーティクルとそうでない場合とか、ちょっとずつ違いもあるわけですね。だから、やっぱりそういうところを、ちょっと注意深く、違いに注意しながら、箇条書にした方が。
【駒宮委員】  いや、LHCで何か発見された場合というのは、それの発見に伴って、あるところが非常に重点が置かれるわけですよね。この項目のうちの何かが発見。SUSYが発見されたら、最初の項目の部分をやれというわけですよね。なかった場合は、これを、だから、みんなやらないとしようがないわけですよね。
【初田委員】  LHCで見付からなかった場合、仮に面白い物質があるのに見付からなかったのであれば、それなりの理由があるはずで、見付からなかった理由を考えながら、ILCでやるべきポイントを幾つか探していかないといけないはずで、何でもやりますというふうにはならないと思うのですが。駒宮さんの報告でもそう話されたと思うので、ポイントを箇条書にすると非常にわかりやすい。LHCで見付からなかった、それは理由があって、可能性としては、こういうところを探せば、何か新しいことが見付かる可能性があるという、ある意味でポジティブな記述があると分かりやすいのですけれど。見付からなかったものは全部やりますと書かれてしまうと、ちょっと、何を議論していたのか分からなくなってしまうので。
【中野座長代理】  何のためにこの表を作っていたのか。
【駒宮委員】  そうすると、でもこの部分は非常に、これでは多分おさまらないですね。非常にディテールなことを書くことになりますよね。
【初田委員】  ええ。おさまり切らないという場合には、このテーブルはLHCの成果に応じたILCの意義なので、このテーブルから外して、別紙で1枚書くというのは意味があると思うのですけれど。1番目の提案は、ここに何か簡単に箇条書で書き込む。2番目の提案は別紙にするということ。
【駒宮委員】  簡単に書き込むというのは、どういうことかな。簡単にはなかなか書き込めないですよね。いろんな場合があるから。僕が、だから最初に作ったのは、その場合についても全部、違う項目でもってやるというやつなのですけれども、この文章も、前の文章と比較して、それほど変わらないんです。だから、では例えばスーパーシンメトリーの場合だったら、LHCでは発見困難な超対称性粒子の発見ということがここに書いてあるので。だから、それほど、発見された場合と発見していない場合というのは。こっちはLHCで何も発見されないと。こういうものが発見されなかったというのを踏まえて、ただ書いてあるだけで、それはそんなに、やること自体は変わらないんです。だから、それを書くのはなかなか難しいです。
【山中委員】  ただ、さっき、もしLHCで何も見付からなければ、ILCをやらなくてもいいんじゃないと思われているとかいう発言があったように、やはりそういう思いを払拭するためには、やっぱり1ページ丸々使ってもいいから、そこは丁寧に主張した方が実はいいのではないでしょうか。
【駒宮委員】  分かりました。
【中野座長代理】  全く同感です。
【駒宮委員】  分かりました。
【中野座長代理】  今日の浅井先生の話を聞いて感じたのは、LHCで何も見付からなかったときの方が、人が集まるのではないかという印象を持ったわけです。
【駒宮委員】  そうかもしれない。
【中野座長代理】  簡単に言うと。それは、これでは全然伝わらないです。
【駒宮委員】  伝わらない。分かりました。では、新しい1ページを作るということですね、では、それは。分かりました。それで本当にいいんですか。
【梶田座長】  そちらでよろしいですか。
【山内委員】  中身によりますけれどね。
【中野座長代理】  中身による。中身が信じられないかもしれない。
【駒宮委員】  だから、そうすると、この各項目に関して、LHCで見付からない場合はどうするかということをきちんと書けということなのですか、それは。ということですか。
【中野座長代理】  各項目かどうか分からない。
【梶田座長】  結局、これにむしろ、何となく戻るような感じですか。皆さんの。
【中野座長代理】  各項目なのかな。
【山中委員】  いや、本当に何もなかったときにどうするんですかということを知りたいんです。
【中野座長代理】  どういうエネルギーのマシンを、何のために作りたいのかというのが、優先順位について出てくると一番有り難いです。何もないのですから。何もないから、何か新しい手だてをして、それが、ハイルミノシティーLHCに対抗するような、あるいはほかの実験に対抗するようなものになるわけですよね。それは、どういうエネルギーで何を狙ってやるのかということが書かれていると、一番分かりやすい。難しいけれど。
【駒宮委員】  それは、これじゃないの。違うの?
【中野座長代理】  これは1兆円ではないですよ。金額に合わないですよ。
【駒宮委員】  金額に合わない。
【中野座長代理】  これからやろうとしていることの大きさに、この言葉は粗末過ぎます。
【駒宮委員】  そうすると、やっぱり、だから1ページに書かないとしようがないですよね。
【中野座長代理】  短くしますけれど、うまく書いていただきたいです。
【梶田座長】  むしろ、では、今日の参考資料で、最初、駒宮先生から提案があったような、このページに近くなるような形で、何というか、ポイント、今の優先順位みたいな、そういうものを含めて書いてほしいと。そういう提案でよろしいでしょうか。
【駒宮委員】  だから、この1から3の何とかとか、そういうことではなくて、ちゃんと具体的に書けということね? ここに。
【中野座長代理】  そうです。
【駒宮委員】  分かりました。それだったら、ここにはまるように具体的に書くということで、それは工夫できると思います。ただし、こっちに戻ってしまうと、これはなかなか大変で、これまたディザスターですよね。
【中野座長代理】  ディザスターですね。
【梶田座長】  分かりました。では、こちらに戻ることはなくて。
【駒宮委員】  分かりました。この中にきちんと書き込めということね。
【中野座長代理】  ええ。
【駒宮委員】  分かりました。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  事務局から一言。初田委員のコメントにもあったのですけれども、恐らくこの表が、LHCに期待される成果とあって、その成果でこの方向性、ILCでできることとなっているので、恐らく成果がない場合というのは、表のもともとの分類がそもそも違うということから多分、起因していることだろうと思うんです。何もないときにどうするかというのは、右の欄が、当てはまらないところを一生懸命書いていただいたので違和感があるという御発言が、多分、初田委員の御発言だったように思いますので、先ほどの御議論も踏まえて、4ポツの場合はどうするかというのは、別資料できちっと、端的にストラテジーを書いた方がいいのではないかという議論が、中野座長代理、あとは初田委員からあったと思えるので、ちょっとどうするかは今のところ言えないので、またちょっと。まだ時間があるので、今日コメントがあった方々は、座長、座長代理と相談させていただいて、御提示をちょっとまた。逆にまた別途、そこは別紙という形になるのではないかなというのが、ちょっと今、いろいろ錯綜しておりましたので、事務局としての受け止めということで提案させていただきます。
【梶田座長】  では、むしろ別紙でということでよろしいですか。
【徳宿委員】  コメントだけいいですか。それもやっぱり危険で、そうすると、これは、LHCで何かがあったときのテーブルですという定義をしてやるわけですけれど、それが世界中に広まるわけです。そのテーブルだけが回ると何が起こるかというと、それは、ILCのプロジェクトというのは、LHCの結果に100%依存しているという印象を与えてしまうので、そういうことにならないように。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  別紙というのは、別項目で、同じ紙の中に書くということではないでしょうか。このテーブルの中にはまらないのではないかという意見が恐らく初田委員からあったと思いますので、このテーブルの項目ではないところで、先ほど中村委員がおっしゃったような中身で示すということではないでしょうか。
【徳宿委員】  分かりました。では別紙ではなくて別項目ということで。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  同じ資料の中で違う項目で整理するということではないかと、提案させていただきます。
【徳宿委員】  同じ紙の中でちゃんと入るということですね。そこはやっぱり非常に明確にしておかないと、委員会の結論が、ILCが非常にLHCの結果で左右されるのだという結論ならば、もちろんそれでいいですけれども、そういう結論を、今、議論していないですよね。テーブルを作っている段階で、そういう印象を与えることだけは、私は避けたいと思いますので、今のだったら結構です。
【梶田座長】  では一応、最終的には別様式も含めて、ちょっと、発見なしの場合には御検討いただくということで、ではお願いいたします。それで、最後に徳宿先生からありました、最後の、LHCで新粒子・新現象200件の原因を精査して、ILCが希求の次期コライダーであるかを判断というのは、少なくとも未発見の原因を精査している部分ではなくて、希求の次期コライダーであるかを判断するのは駒宮先生の方から、これは全体の話だという話で、少なくともこの部分はちょっと修正の必要があるでしょうということでしたけれど、それは、そういうことでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【梶田座長】  では、そういうことで、これも修正をさせていただくと。
 では、本日、この部分につきましては、これでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 大分、時間が掛かりましたけれども。それで、これにつきましても、まだ会議終了後、何かありましたら、事務局の方まで連絡をお願いいたします。
 今後の進め方についてということで、この議論を踏まえまして、11月14日の金曜日に開催される、ILCに関する有識者会議に私の方から進捗報告を行う予定になっています。それにつきまして、今、たたき台の案を用意しておりまして、それが資料6なのですけれども。これにつきましても、ただ、今日は大分、今までの議論で修正が入っておりますので、ちょっとこれをもう一度議論しても、同じことを繰り返しますので、これにつきましては、こういう形で、フォーマットで報告を考えているということを本日はお伝えするにとどめまして、今までの議論を踏まえて資料が修正されたのを踏まえる形で、資料6につきましてもアップデートしていって、皆様と、メール審議になりますけれども、議論していくという形で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
 それで、次回以降の進め方につきまして、事務局の方から説明があるということですので、お願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  次回でございますけれど、まだ日程調整は行っておりませんが、まず11月14日に親委員会に報告を行った結果についてお話を頂くのと、それからいろいろな分野についてお話を伺っておるのですけれど、原子核物理分野について、まだお話を伺っていないというところもございますので、その辺についてお伺いいただくとともに、もう少し具体な議論、特に親委員会での話も踏まえて、どういう議題にしていくかということについては、座長や座長代理と相談して御案内したいと考えております。以上です。
【梶田座長】  ありがとうございました。このようなことで今後進めるということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【梶田座長】  それでは、本日の議題はこれで終了となります。最後に事務局の方から連絡事項があるということですので、お願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  いつものとおりですが、今回の議事録、議題1で御議論いただきました議事録につきましては、ホームページに掲載させていただこうと思っております。それから、日程について、先ほども申し上げたとおり、これからちょっと調整させていただこうと思っております。最後に、会議資料につきましては、いつものとおり、必要であればこちらの方から郵送いたしますので、そのまま机上に置いていただいて構いません。以上でございます。
【梶田座長】  ありがとうございました。それでは、本日の会議を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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