国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議素粒子原子核物理作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成26年9月22日(月曜日)9時30分~12時00分

2.場所

文部科学省16階 科学技術政策研究所会議室

3.議題

  1. 素粒子原子核物理作業部会(第3回)の議事録について
  2. フレーバー物理、ニュートリノ研究分野における研究動向について
  3. 今後の議論の進め方等について
  4. その他

4.出席者

委員

梶田座長、中野座長代理、岡村委員、小磯委員、駒宮委員、酒井委員、清水委員、中家委員、初田委員、松本委員、山内委員、山中委員、横山委員

文部科学省

山脇大臣官房審議官(研究振興局担当)、常盤研究振興局長、行松基礎研究振興課長、嶋崎素粒子・原子核研究推進室長、成相加速器科学専門官

5.議事録

【梶田座長】  おはようございます。それでは、国際リニアコライダーに関する有識者会議素粒子原子核物理作業部会の第4回を開会いたします。本日は御多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 早速ですけれども、本日の出席状況について、事務局から報告をお願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  それでは、本日の出席状況についてお知らせいたします。
 棚橋委員と徳宿委員におかれましては、所用により御欠席です。本日、出席は全部で13名でございまして、定足数8名ですので、会議は有効に成立しております。
 本日、マスコミ1社から冒頭の頭撮りの撮影希望がございますので、撮影を許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、よろしくお願いいたします。
( 撮影 )
【成相加速器科学専門官】  撮影はここまでとさせていただきます。
 よろしくお願いします。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、事務局より本日の配付資料の確認をお願いします。
【成相加速器科学専門官】  本日の資料について、御確認をお願いします。
 資料1が、素粒子原子核物理作業部会(第3回)の議事録(案)でございます。資料2が、「素粒子原子核物理作業部会における論点」のイメージ、資料3が「素粒子原子核物理作業部会 今後のスケジュール」のイメージでございます。資料4は「フレーバー物理のアプローチ」という資料でございます。資料5「ニュートリノ研究の動向」、資料6「LHCの成果に応じたILCの物理学的意義」の以上でございます。このほか、机上に配付しております参考資料については、前回と同様のものを置かせていただいております。
 以上、不足の資料がございましたら、お知らせ願います。
【梶田座長】  よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。議題1としまして、前回議事録(案)についてお諮りしたいと思います。既に事務局から事前に確認依頼が行っていると思いますが、もし何かこの場でお気付きの点等あれば、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、いつものとおりかと思いますが、これについては議事の間に見ていただきまして、何かあれば、この会議が終わるまでに御発言いただきまして、なければこれで決定とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、議題2ですけれども、前回、宇宙線物理分野、天文学分野における素粒子に関連した研究動向について、お話を伺ったところですが、今回は、フレーバー物理、ニュートリノ研究分野の動向について、関係者の方から御報告を頂き、議論を行うことを考えております。
 まずは、フレーバー物理のアプローチについての説明を山内委員からお願いしたいと思います。では、山内先生、20分程度でお願いいたします。
【山内委員】  おはようございます。
 それでは、フレーバー物理と言いまして、エネルギーフロンティアの物理とは直交した考え方で、同じものを狙っていくという物理について、御説明したいと思います。
 まずは非常に大きな話から始めさせていただきたいと思いますが、これまでの素粒子物理学の研究におきまして、標準理論と呼ばれるものが確立しております。今分かっているところでは、宇宙が誕生して、だんだん大きくなって冷えてまいりまして、温度が1,000兆度ぐらいまで冷えた以降のことが、この標準理論でほとんど理解できていることが分かっています。ところが一方におきまして、まだまだ分かってはいない非常に大きな謎がございまして、例えば質量の起源に関わるようなこと、それから暗黒物質、ダークマター等の、非常に重要な宇宙における謎が、まだ分かっていない。こういうものが、次の、それより高い、時間で言いますとそれより以前の宇宙の発展の中で、説明されなければいけないのではないかということになっています。したがいまして、エネルギーフロンティアでも、フレーバーでも、いかにして標準理論を適用できる以前の宇宙といいますか、より高いエネルギースケールに到達するかというところが、非常に重要であると考えられております。
 一つだけ例を御説明いたしますが、宇宙の物質、反物質のアンバランスがございます。宇宙ができたときには、物質、反物質が対等にあったと思われているのですが、現在、宇宙ではそのバランスが非常に大きく崩れている。物質しかないということでございます。どうも、このアンバランスというのは、宇宙ができてごく初期、標準理論の適用以前のところで起こったに違いない。それ以降はこのアンバランスがずっと続いている。どうもそういうことではなかろうかと思われています。したがいまして、こういう宇宙の大問題を理解するためには、この宇宙のごく初期の物理学を理解する必要があるということでございます。
 これに迫るために、非常に大きく分けまして3つのアプローチがある。1つは、エネルギーフロンティアで、この作業部会でも議論の中心となっているILC、あるいはLHCというものがこれに含まれます。それに加えまして、ニュートリノ実験は、今日、中家先生から御説明があると思いますが、それからフレーバー物理があります。これはそれぞれ違うアプローチで新しい物理法則に迫っていくということで、それぞれが共通していると言っていいかと思います。
 これまでの素粒子物理学の歴史を少し見ていきたいのですが、フレーバー物理とエネルギーフロンティアにおける発見は、非常に相互的といいますか、相互の発見が相互の発見をもたらすという繰り返しであったことがここに述べられているのですが、K中間子の混合の発見が1960年に行われまして、これからチャームクオークが、大きさが予言されて発見されました。74年です。それからK中間子のCP非対称性が64年に発見されまして、それで小林・益川理論が出てきまして、第3世代というものがあるのではないかと。このボトムクオークを含んだB中間子というのがあって、そのB-B(―)混合が87年に発見されまして、この大きさが非常に大きかったところから、トップクオークが、大きさが予言されて発見されております。これから更にそれにB中間子においてCP非対称性があるのではないか、大きいのではないかという予言があって、発見された。今後どのように展開するかはまだ分かりませんが、新しい物理法則がいずれどこかでは分かるだろうと。それと、このフレーバーの話がどう結び付いているかは今のところ分かりませんが、非常に大きなトリガーになってくるのではなかろうかという期待を持って、こちらも進めていることがございます。
 今後のフレーバー物理の役割ですが、TeV領域の物理が今LHCで始まったところでございます。このエネルギースケールは、電弱対称性の破れというスケールであると同時に、新しい物理のエネルギースケールであろうと考えられておりまして、もしそうであれば、B、D、K、τ、μなどのフレーバー物理というところに、その効果が現れてくると期待視されています。新しい物理法則におきますフレーバー構造、あるいはCP非対称性がどうなっているかというのは、大変興味深い重要な問題でございます。
 この表について御説明したいのですが、お手元の資料をごらんいただいた方がいいかと思いますが、縦に並んでおりますのが、いろいろなフレーバー物理で測定できる測定量で、横に並んでいますのが、いろいろな新しい物理法則の模型図です。星の3つというのは、もしこの模型が正しければ、こういう大きな効果が見え得るという表ですので、こういうものを、加速度を測ってやることによって、どのようにして、例えば数字であれば数字が破れているのかというところが分かってくるというのが、この表です。色を付けてありますが、黄色く塗ったところは、日本で今計画されている研究計画でカバーできるところでして、ですから日本の現在の研究計画はフレーバー物理において非常に大きな割合を占めている、大きな貢献をし得ることがお分かりいただけるかと思います。
 しかし、新しい物理がTeV領域ではない場合も当然ございます。この場合には、フレーバー物理において標準模型からのずれを探していくことが、次のエネルギースケールを決めるための、これまでの素粒子物理学の常道であったということです。しかしながら、こういうことをやっていくためには、フレーバー物理の測定精度、実験精度を大幅に改善していく必要がございます。そういうことで、皆さん、いろいろと工夫を凝らした実験計画を進めているのが現状です。
 それを御紹介したいと思いますが、まずBファクトリーがございます。これは1999年に動き出しまして、11年間、実験を続けまして成果を出してまいったのですが、KEK、筑波にございますが、周長3キロメートルのリング、陰電子と陽電子を逆向きに回しまして、1か所でぶつける。衝突点にはこういう測定器があるという設備です。この成果ですが、余り時間を使って御説明できませんが、横軸に年をとっておりまして、縦軸がデータ量です。おかげさまで非常に順調にデータをとってきたのがこのグラフですが、データがたまってくるに従って、ここにありますような多くの発見といいますか、重要な成果が出てきたという経緯がございます。この中で一番重要というわけではありませんが、目立つという意味では、B中間子におけるCP非対称性の発見がございまして、これは小林・益川理論を非常に定量的に証明したことは、ある意味非常にアウトスタンディングな結果としてあります。
 同時に、この研究では、標準理論だけでは理解し切れないのではないかと思われるようなことが幾つも出てまいりまして、これを追究するために、加速器を高度化させていただくことを2010年に文部科学省にお認めいただいて、建設計画が今終盤に入っております。これは様々なことがあるのですが、非常に大きいのは周長全体のビームパイプ、真空パイプですが、こういったものに交換することによって、光電子不安定性を除いて高い性能を達成できる等の改造を補足して、終盤にかかっております。
 ここでは、測定器も大体のところは以前から使っていたBell測定器そのものですが、特にこの中央部分を新しいものと置き換えまして、高い性能の加速器の下で高い性能を発揮するようなものに作り替えております。ここで実験を行いますBell2というグループですが、既に世界各国から600人の研究者が集まってまいりまして、世界分担で測定器の建設を進めております。
 フレーバー物理Bファクトリー、スーパーBファクトリーと呼んでいますが、ここで何をするかということに関して、簡単に2点ほど御説明したいと思います。1つは荷電ヒッグス粒子、ヒッグスの探索とヒッグスの研究は、LHCの独壇場、あるいはILCの独壇場であると思われておりますが、荷電ヒッグスに関してはフレーバーで非常にきちんとした測定ができます。これは荷電ヒッグスの質量です。0から610。これはtanβが一つのパラメーターですが、色を付けた部分が、既にBの実験で排除されている、ここにはないことが分かっているということになっています。点々で書きましたのは、ATLASが30fb-1でためたときに発見できる領域です。下にもしあれば、ATLASが発見できるということになっておりますが、ほとんどの領域は既に排除されている。もちろんATLASがデータをもっとためていけば、この範囲が広がっていきますので、排除されていない部分が出てまいります。
 そのSuper KEKBを最終的に走ったときに、どこまで感度を上げるかというのが、これです。縦軸のスケールを変えておりまして、0から、ここが3TeVですね。3,000GeVという値になっています。こういうところにもし答えがあれば発見できます、少なくとも何かがあることが分かりますという予言ですので、これがATLAS30fb-1ですから、LHCと競争しながら荷電ヒッグスの兆候を探っていけるということが言えます。
 もう1点、複雑な話で恐縮ですが、τというレプトンがμγに崩壊するということが、標準理論だけでは起きません。いろいろな新しい物理法則を入れますと出てくるのですが、崩壊分岐比が非常に小さくて、大きな予言でも10のマイナス7乗、小さければ10のマイナス10乗以下という数字です。これを探すのですが、最終的に10のマイナス9乗の桁まで行く。したがって、ここに挙げた5つの模型を全て見ることができるわけではないのですが、ほとんどものがカバーできるというように、τにおけるレプトン数非保存の探索には最も優れている、適していると言えます。
 この実験計画には非常に強力な競争相手がございまして、CERNのHC、これはATLASとかCMSというのはお聞きになるかと思うのですが、LHCbという実験がありまして、これはBの物理に特化したようなCERNのLHC実験です。ここでは既に実験が始まっておりまして、1,000人以上からなる非常に大きな国際共同実験です。これはこのあたりに衝突点がありまして、ここから出ていく粒子をこのような測定器で測定するものです。Bファクトリーと比べまして得手不得手がありまして、非常にB中間子を作る数が多いという点では大きなメリットがあるのですが、一方において中性粒子、光ですね、γ線、それから複数のニュートリノを含むような反応は難しいだろうという、得手不得手はありますけれども、非常に順調に成果を出しつつあると言えます。
 次に、J-PARCにおけるフレーバー物理を御説明したいと思います。J-PARCは、ここから北150キロぐらいの東海村にあります、陽子加速器群です。幾つかの設備がありますが、一つはニュートリノ、これは今日後で中家先生から御紹介がありますので私は触れませんが、ニュートリノは非常に大きな実験です。一方、加速された粒子を引き出しまして、ハドロン実験室というところで様々な実験をしているところに、フレーバーの実験があります。これはハドロン・ホールの概念図ですが、こちらから陽子が入ってまいりまして、ここに標的がありまして、たくさんの粒子が作られる。その様々な粒子を使って、原子学物理学の実験、フレーバー物理の実験、ハドロンの実験という様々な実験が行われております。そのうちの一つがKOTO実験で、Kロング粒子がありますが、これを使って、これがπ0とνν(―)に壊れるという反応を探すという実験です。
 このグラフが、標準理論の範囲でこの崩壊が起きるというグラフです。このグラフの一つの特徴は、非常に精度良く、これがどのぐらいの頻度で起きるかということが予言できます。計算できます。それがメリットです。10のマイナス11乗、つまり1兆回に10回ぐらい、20回か、数十回ぐらい起きるという、非常にレアではありますが、こういうものがどのぐらい起きるかを計算できます。これに対して、超対称性粒子でありますとか、新粒子Z´というものが、もしあれば、こういうことが起きまして、この値を変えてしまう。この数字を変えてしまう。これを測定することによって、こういうものの起源を探そうという実験です。
 これは阪大の写真ですけれども、山中さんが中心ですね。これは、縦軸に今の崩壊分岐比をとって、横軸には電荷を持ったK+ですね。これは中性ですが、これは電荷を持ったK+が同じようにπ+νν(―)に壊れるというものの分岐比を書いたもので、現在のリミットが、標準模型がもし正しければ、固体はここに来ますよというものです。もし500TeVという、とんでもなく高い大きな質量のZプライムがあれば、固体がこれになります。この値を精度良く測ってやれば、こういう非常に高いところまでも感度があるということが、この実験の大きなメリットです。
 これは測定器でして、こちらからKロングという粒子が飛んできます。この中は真空なのですが、ここでその粒子が壊れまして、この2本の線はニュートリノだと思いますけれども、これは見えない。だから何もないと思うわけです。ですから、前方に2個のγ線、これはπ0という粒子が壊れたγ線ですが、これが飛んでいるというのだけが見えるというのを見てやることによって、このπ0νν(―)を探しましょうという実験です。直接の競争相手は実はいないのですが、先ほどの電荷を持ったK+の方ですね。この測定はCERNのNA62という実験がやっています。そういうことで、競争しつつ、かつお互いに情報を交換しつつ進めているということがあります。
 これは写真でして、これだけ見ると何だか分からないのですが、直径2.5メートルぐらいかな、大きな樽状の真空タンクの中に全てが入っている。こういう装置がJ-PARCにございます。
 それからもう一つ御紹介したいのがCOMET実験で、これはμの実験です。μという粒子は寿命がかなり長い粒子で、実はこれは、通常は原子核の周りに電子が回っていて原子を作っていますが、その電子の代わりにμ-という粒子が回っているような原子を作ることができます。こういう原子を作ってミューオンがくるくる回っている間に、これが崩壊することが起こるのですが、同時にミューレプトンが電子に化けますよということも起こり得るでしょう。標準理論ではこういうことが起きませんが、もし新しい物理法則がここにあれば、こういうことが起こり得ます。こういうものを探そうという実験です。通常μ粒子は普通、電子に壊れるのですけれども、壊れることが起きますと、これはエネルギー分布ですが、電子のエネルギー分布はこうなる。それに対して、もしこういう反応が起きれば、非常に高いエネルギー、あるいは高いといっても105MeVなのですが、105MeVのところにこういう信号が出てくるはずで、これを探そうという実験です。
 これは陽子ビームを標的に当てまして、ここから出てくるミューオンをとめて、更にここから出てくる電子を測ります。これは超伝導なのですが、こういうスペクトロメーターの建設が始まっております。現在の上限値は、7掛ける10のマイナス13乗、つまり100万回に1回ぐらい以下と言われている研究計画が出ているのですが、更に最終的にはそれを4桁改善し、10のマイナス16乗のところまで見てやって、あるかないかを探すという研究計画です。
 これは2段階に分けて行おうと考えられていまして、最初は、ここの部分まで、ここからここまで作る。ここでもって測定器で実験します。この実験は非常に難しい実験なので、それがどのぐらい難しいのかをまず確かめようという、第1段階の実験です。そこでは感度は2桁改善されまして、10のマイナス14乗までやりたい。それでどれだけ難しいか、どのぐらいバックグラウンドがあるかをきちんと見極めた上で、次のステップに移りまして、最終的には10のマイナス16乗まで測りたいという研究計画です。これが見付かれば、明らかに新しい物理法則が関与していることの証明になります。
 もう一つ、μに関する実験がありまして、ミューオンg-2と呼ばれるのですが、gというのは要するに磁石の強さです。μ粒子は磁石の性質を持っていまして、その磁石がどのくらい強いかというのが、gという量ですが、それが標準理論の予言とどのぐらいずれるかというのが、このg-2の測定です。実は、これはブルックヘブンというアメリカの研究所で非常に精力的に時間をかけて測定されてきた歴史があるのですが、少しずれていることが見えかけているという話がありまして、更にその精度を高めて、それが確かかどうかを確かめようという実験が計画されています。
 これも感度が上がるのは、何でも感度があるのですけれども、超対称性粒子に超対称性があれば、こういうものが出てくるということです。これは、スレプトンの質量と、ウイーノと呼ばれる、両方とも超対称性粒子ですが、質量の関数としてプロットしてあるのですが、こういう領域に固体がもしあれば、これはg-2で見えます。LHCはこういう領域を探しているので、重なっている部分もありますけれども、LHCでは見えなくて、g-2ではヒントが得られることもあるというのが、この実験です。
 もう一つ特徴的なのは、今のJ-PARCで進められている計画が、現在まで、特殊事情がありまして、こういう直径14メートルの大きな輪を作りまして、この中でミューオンをくるくる回しているという実験だったのですが、現在提案されていますのは、もっとコンパクトに66センチぐらいの小さなものでできるという新しいアイデアができて、非常にやり方が違って、コンパクトだというだけではなくて、別の系統誤差をもっと測定ができるということで、これが実現すれば、g-2のずれがあるのかないのかということに対して、非常に新しい知見が得られるということで、期待されています。
 もう一つ、1枚だけなのですが簡単に申し上げておきたいのですけれども、これは大阪大学のRCNPの実験ですが、中性子の電子双極子能率の測定があります。一般に、素粒子が電子双極子能率を持ちますと、時間反転に対する対称性を破ります。ですから、こういう測定を精度良く行ってやることは、物理法則が時間軸を引っくり返しても変わらないのかどうかを測定すること、チェックすることができます。そういうことで、非常に精度良くこれを測ろうという実験が、阪大で行われております。
 次の、これは変な単位で、10マイナス27乗eセンチメートルという単位なのですが、これよりも下で測定してやります。これは標準理論では10マイナス30乗以下です。SUSYとか何とか、いろいろな新しい物理法則があれば、もう少し大きいところに出てくる可能性があるというので、この測定結果が注目されています。こういうものがございます。
 これまで述べましたのは、日本を中心として、どういうフレーバー物理の研究があって、どういう成果が期待できるかを、駆け足で御紹介しましたが、1枚でまとめさせていただくと、こんな感じになります。フレーバー物理で解き明かすべき課題、謎といいますか、大きな基本的な問題を真ん中に書いてありまして、左側には実際に測定できる測定量、こういう測定ができるということが左側にあります。こういう測定で、大きな基本的な問題にどうつながっていくかが、この矢印です。これらが最終的には宇宙の非常に大きな謎、宇宙になぜ物質があって反物質がないのかとか、質量の起源、標準模型を超える物理がどうなっているのか、物理法則に潜む基本的対称性は何かという、非常に大きな謎につながってくるということで、順番としては、もちろんこういう測定をきちんとやりまして、段階的にこういう謎につながるというのが、フレーバー物理の大きなこれから進んでいくべき道です。
 以上です。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の報告に基づきまして、議論をお願いしたいと思います。何かありましたら、お願いいたします。
【駒宮委員】  一つ、もちろんCOMET実験というのはあるのですが、PSIでやっている、μ→eγのMEG実験があって、それはこれに比べてもかなり強力で、今度それをアップグレードしているので、アップグレードされた先は、多分COMET実験よりも先に走って、なおかつ、これと同じぐらいの成果が出ると。もちろんプロセスは若干違いますが、もうほとんど同じ実験ですよね。それがこれは抜けていると思います。
【山内委員】  ありがとうございます。そのとおりで、現在のCOMET実験のリミットをこれに焼き直しますと、多分10のマイナス14乗ぐらいに相当しますので、これはCOMETのフェーズ1とほぼ同じところが、既にそのMEG実験で見られているということになります。今おっしゃったように、最終的にはCOMET実験も、この数字に換算しまして10のマイナス16乗程度まで行くと考えられておりますので、これは競争になると思います。
【梶田座長】  ほかに何かありますでしょうか。お願いします。
【初田委員】  4ページ目の「エネルギーフロンティアとフレーバー物理の相補性」のところで、矢印はサイエンティフィックに、左が右に影響を与えて、また右が左に影響を与えるところで質問があります。
【山内委員】  御質問は、これがサイエンティフィックかということですか。
【初田委員】  サイエンティフィックな意味と、それから加速器施設を作るという観点の両方があると思うのですが。それからヒッグスの発見については書いてありませんが、この図の中でどう位置付けられるのでしょうか。
【山内委員】  サイエンティフィックにはもちろん関係がありますし、加速器を作るモチベーションになったという意味の矢印でもあると思います。ヒッグスですが、恐らくは、私の理解の限りですけれども、フレーバーとは余り関係がなかったのではないかと思いますが、どうでしょうか。そういう意味で、ここには入っておりませんでした。
【初田委員】  関連して、「フレーバー物理による荷電ヒッグスの探索」という話が出てきたのですが、LHCで見付かった中性子のヒッグスと、フレーバー物理の実験が関係するところはほとんどないと考えていいのですか。
【山内委員】  中性ヒッグスに関しては、恐らくほとんどないと思いますが、例えば中性ヒッグスがいろいろなフレーム様に分岐する分岐比を精度良く測りたいというもののモチベーションの一つには、ヒッグスが一体幾つあるのですかという質問に答えたいというのがあるわけですね。その中で、その一つはチャージドヒッグスなわけでして、それに関してはフレーバーもきちんとしたインプットを与えられますということです。
【梶田座長】  ほかにいかがでしょうか。
【駒宮委員】  今の初田先生の話ですが、これはサイエンティフィックには理由が全部あると思います。でも加速器を作ったモチベーションとしては、それは多分ないと思います。というのは、K-?(―)のミキシングが分かって、それでSLACのSPEARを作ったといったら、そんなことはないわけです。それから、例えばK中間子のB-B(―)の混合を発見して、それでトップのマスが重いというので、テバトロンを作ったわけではないわけです。ですから、そういう加速器を作るモチベーションは全然違うところにあるのです。ハイエナジーフロンティアの加速器を作るのは、何か分からないものを見ようということで、それで作ったわけですから。でも、これはサイエンティフィックには全部が、この相関はきちんとあります。
【梶田座長】  ありがとうございます。
 ほかに何か。お願いします。
【中野座長代理】  その次のページ(5ページ目)の星取表ですが、LHCでSUSYが見付かっていないということで、星の数などの変化はないのでしょうか。LHCの今の段階での状況は。
【山内委員】  あるのではないかと思いますが、これは2010年の論文から作表してきましたので、少し古いので、それで強く言えないところもあるのかというのは、恐らくはこういう議論はあるのだろうと思いますが、不勉強で申し訳ございません。よく把握しておりません。
【梶田座長】  ほかはいかがでしょうか。お願いします。
【山中委員】  補足ですが、COMETもほとんど同じような方式の実験が、フェルミ・ラボで計画されて、今進んでいます。μ2eという実験です。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 ほかに何かありますか。お願いします。
【初田委員】  K中間子の稀崩壊でニューフィジックスを探索するときに、Zプライムの効果はツリーレベルで存在するので、大きな効果が見える可能性がある、一方SUSYの粒子はループレベルでしか現れないので効果としては小さいということでした。そこで質問ですが、ツリーレベルで前回出てきたような軽いSUSY粒子が出てくるような過程は絶対にないでしょうか。そういうことがあれば、すごく大きな効果として見えてくるはずだと思うのですが。
【山中委員】  絶対にないとは言い切れないと思いますけれども、出やすいとして、ループの方が、中に入るのが出やすいのではないかという、そういう形で書いています。
【初田委員】  でも、もしツリーでそういうことがあり得るのだったら、そちらは物すごく大きいのでは。
【山中委員】  それは大きいですね。
【初田委員】  そういうプロセスは、実際に可能性としてはあるのですか。
【山中委員】  あるかもしれません。
【松本委員】  チャージドヒッグスとかは、ツリーで効くでしょうし、Rパリティーの破れがあったら、やはりツリーで効く。通常はRパリティーが破れないと仮定するからループでのみ効く状況になっていますが。
【初田委員】  SUSYに関係したものとして。
【松本委員】  そうですね。SUSYで、更にRパリティーの破れがあれば。もちろん違う理由でこの破れが小さくなってほしい人もいるでしょうから。
【初田委員】  関係ないのですけれども、別の質問で、CERNのLHCb実験に対する日本の寄与は、どういうことになりますか。
【山内委員】  LHCb実験に対する日本の寄与ですか。実験計画に参加という意味ではありません。もちろんデータをお使いになるという意味では、いろいろやっていると思いますが、直接の参加はありません。
【梶田座長】  お願いします。
【駒宮委員】  フレーバーのいろいろな実験は、何か発見されたらそれはすばらしいと思うのですが、普通これはどこまでエクスクルージョンできるとか、そういういろいろな例を出す場合に、みんな都合のいい例を出しているのですね。ですから、そこら辺は、きちんとどういうアサンプションの下でそれを計算したかを書いていただかないと、例えばKOTO実験で、「MZ´=500TeV」と書いてあるのですが、これは多分、何かのカップリングを当然仮定したわけですよね。そういうのが、どういう仮定をしたかが書いていないで、ただ500TeVというと、何か物すごいと思われるけれども、みんな大体そうなのですね。いろいろなものは。みんな自分の都合のいいところを出しているわけで、それはでも、しようがないですよね。一番見せやすいところを見せるというのは。よろしいと思いますが、そこを注意していただかないといけないなと思います。
【山中委員】  理論屋さんが、いろいろそういうことまで考えて論文を書いたりしているということです。
【梶田座長】  お願いします。
【松本委員】  g-2の実験についてお聞きしたいのですが、これはいつ頃をめどに。というのは、g-2が一番、理論屋さんの中で最も注目を集めているというか、みんなが気にしている実験だと思うのですが、これが日本で行われるとしたら、どのぐらいの時期をめどの実験かと思って。
【山内委員】  これはまだファンディングを認められておりませんので、それ次第だというふうになってしまうのですが、お認めいただければ三、四年ぐらいで始めると思います。
【梶田座長】  ほかに何かありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、フレーバー物理に対する議論はこの辺にしたいと思います。
 続きまして、ニュートリノ研究分野における研究動向につきまして、中家委員から説明をお願いします。
【中家委員】  京都大学の中家です。「ニュートリノ研究の動向」ということで、御紹介させていただきます。
 実はニュートリノ研究分野で、昨年度、新学術領域を認めてもらいまして、加速器ニュートリノで素粒子の研究から、原子炉ニュートリノ、原子炉のモニタリングも含め、大気ニュートリノで素粒子の研究や地球を見るとか、あとは宇宙からのニュートリノ、2012年に高エネルギーの宇宙ニュートリノが発見されまして、こういうことを総合的に進めていこうということで、ニュートリノ研究の新学術領域がスタートしました。その中で、今回は特に素粒子分野に限って紹介させていただきます。全体の話は、最初に目指す物理、そして現在までの進展、歴史を見ていきます。そして残った課題、更に日本の実験の動向と世界の動向、そして最後にまとめさせていただきます。
 ニュートリノ研究を通して素粒子的に何を研究しているかというと、目指す物理というのは、素粒子物理学、若しくは物理学を最初に目指したときに皆さんが思うことかもしれないのですが、統一理論の証拠を探すことです。標準模型を超えて、そういうものを探したい。現在分かっていないものとしては、極小のニュートリノ質量の存在、存在そのものは分かっているのですが、なぜこのニュートリノの質量がこれだけ小さいか。もちろんニュートリノ質量が、1998年、スーパーカミオカンデで発見されたことによって、ニュートリノの質量はあるではないか、ほかの素粒子と何ら変わらないではないかと言う人たちはいるのですが、実はまだニュートリノ質量をどのように標準模型に入れるかが決まっていません。ラグランジアンに質量項をどう加えるのか。これはまだ確定していなくて、右巻きニュートリノというのはどうなっているか。暗黒物質との関係とかいろいろな理論がたくさんあり、更にたくさんの理論のペーパーがニュートリノ質量の期限に関してあります。また、ヒッグス粒子との結合はどうなっているのか。
 それを見てみると、素粒子の表ですが、今17個の素粒子、ヒッグス粒子を含めて17個見付かっている。そして、標準模型に抜けているのは、ここに右巻きのニュートリノ、これは左右で黒っぽい、薄いとなっているのですが、右巻きのニュートリノをどうやって素粒子の模型に入れたらいいのか、理論に入れたらいいかが分かっていない。
 どれぐらい軽いかといいますと、今分かっているニュートリノ質量の上限は、大体0.1エレクトロンボルト以下である。測られたものはニュートリノの質量の2乗差が、ニュートリノ振動実験から測られていまして、それのスケールがルートの2乗の差みたいなものが測られているのですが、これが大体0.05エレクトロンボルト。
 素粒子として、こういう質量がどれぐらい軽いかといいますと、次に軽い素粒子の電子が、51万1,000エレクトロンボルトで、例えば可視光のエネルギーが2エレクトロンボルト、我々が今住んでいる室温をエネルギーに直すと、大体0.02エレクトロンボルトです。普通、素粒子の質量は重たいので、原子力とか原子核融合とかいろいろなところで大きなエネルギーが使われるのですが、ニュートリノ質量は室温レベルとか、極端に軽い。こんな軽いニュートリノ質量をどうやって説明するのかというのが、今素粒子物理学はまだできていない。
 そしてニュートリノ研究を通して、もう一つの統一理論を目指す方法として、先ほど山内先生から説明のあったクオークのフレーバー物理とともに、レプトンとクオークの間の対称性を何とか捕まえたいと考えています。質量構造の比較、質量がどんな階層構造をしているのか、先ほどのフレーバー物理は大概この混合パターンを見ているのですが、混合パターンの比較ができます。あと、ニュートリノは本当に3つで終わっているのか。4、5、6というのが存在していないか。こういうことを研究する。
 あと、レプトンとクオークについて、粒子と反粒子の対称性。このときにニュートリノの粒子タイプというのが、専門用語になりますが、ディラック粒子かマヨラナ粒子かが関係します。粒子と反粒子が同じような素粒子かもしれない。ニュートリノでCP対称性は保たれているか。先ほどクオークのフレーバー物理でもありましたが、物質優勢宇宙創造の起源は一体どこから来ているのか。ニュートリノではないかという説が非常に、右巻きの重たいニュートリノから来ているのではないかという説が、最近、理論屋さんからは期待されている。
 例えば、さっきラグランジアンが書けないということで、ニュートリノ質量のラグランジアンを、これは標準模型、スタンダードモデルですね。ニュートリノの質量ラグランジアンの可能性のあるものをこう書いてみたときに、軽いニュートリノの質量を説明する一つのモデルは、柳田先生たちの言うシーソー模型だったりします。ただし、このシーソーがまた、普通に考えると、統一理論のエネルギースケールでシーソーがあるのか、若しくは、最近、昔からもあるのですが、もっと軽いところでシーソー機構が起こっていて、ただし軽いニュートリノ質量は、もしかしたらヒッグス粒子とのカップリングが極端に弱いかとか、こういういろいろな話がされています。ここはそれぐらいで。
 そういうことから、「significant simplifying assumption」と書いているように、もちろん先ほどの駒宮先生の言うように、いろいろな測定値をエネルギースケールに置き直すときには仮定が入るのですが、そのいろいろな仮定の中で、先ほどのシーソーなど簡単なものを考えると、ニュートリノというものが、統一理論のエネルギースケールの近いところまでアクセスできるようなプローグであるだろうと考えられています。ここを実際示せるのは陽子崩壊なのですが、陽子崩壊も、ニュートリノ研究の同じ測定器でできるということで、既に行われていますが、こういうことを研究していきたい。今ほとんどの素粒子の物理学者は、TeV領域、GeVでいうと10の3乗なので、ここらあたりでダークマターの可能性やLHC、次にILCが来たり、クオークフレーバーというところで、何か新物理の証拠がないかということを調べています。ニュートリノの質量は、分からないからこそかもしれませんが、非常に広い範囲でのエネルギースケールをカバーしていると考えられています。
 これは一例ですけれども、統一理論とはどんなものかというと、先ほど言った力の統一、強い力、弱い力、電磁力という3つの統一の群があるのではないか。それとともに、クオークとレプトンを統一しようとしています。これはある名古屋の先生が言っていたのですが、UとかDはクオークですね。Qは電子類ですね。右巻きの電子とかニュートリノ対とかいうものを考えていくときに、SU(5)のこういう構造で考えると、実は先ほどの階層性、後で説明しますが、混合はレプトンで大きくてクオークで小さかったり、質量構造がUクオークでは非常に大きな、トップクオークからUクオークまで大きな差が出ているのですが、ニュートリノは余り質量差が出ていない。こういう質量の階層性という問題が説明できるのではないかという、アクティブな議論が行われています。このように、統一理論に対する見解をいろいろ調べているというプローブになっています。
 ここまでが、目指す物理、統一理論に向けての証拠ということについてです。ここからは、これまでニュートリノ研究はどのように進展してきたかということを紹介します。1987年の超新星ニュートリノの初観測がカミオカンデで行われました。これは素粒子的にも大きな情報を与えたのですが、その後の大きな流れが、1998年、ニュートリノ振動の発見、スーパーカミオカンデ、梶田先生が、ニュートリノカンファレンスで発表され、拍手喝采が起こったときです。ここから2000年、タウニュートリノの直接観測、太陽ニュートリノ欠損の解明、2002年から2004年、これらのニュートリノ振動の確証が加速器や原子炉で行われる。そして、更に大気ニュートリノによる精密測定が行われる。更に2005年は、東北大学カムランド実験の地球反ニュートリノの初観測。こういう流れで来て、2011年から13年に第3のニュートリノ振動の初観測が、日本のT2K、J-PARCでのニュートリノ実験や、原子炉反ニュートリノ実験は、中国、フランス、日本もここに入っていますが、あと韓国で、総合的に行われて、第3のニュートリノ振動が発見された。そして、2012年に高エネルギー宇宙ニュートリノの初観測がアイスキューブ実験で行われ、2014年にはニュートリノ振動におけるタウニュートリノの直接観測が行われてきました。
 これらかなり大きな発見でして、客観的にどれぐらいのインパクトが学術分野にあったかを表にしてみます。「日本のニュートリノ研究の成果(一部)」ですが、重要な結果を発表した論文の引用数を見てみましょう。引用数500以上のみだけを挙げました。大体引用数500を引っ張られた論文はすごい成果なのです。ここにあるニュートリノ質量、振動発見は4,201で、2,000を超えたあたりがほとんどノーベル賞クラスの発見になっているので、そういう大きな発見です。そして、太陽ニュートリノ振動とタウ、1100と500、そして次に大きなのが原子炉ニュートリノでニュートリノ振動を観測というカムランドの実験で、2,163、これだけの引用数の論文が、ある同じ分野からどんどんタイムリーに出ているというのは、ほかに、素粒子だけではなく広く他の科学分野を見ても、なかなかないはずです。2006年ぐらいで、ここで一息あって、ここでも論文は出ているのですが、引用数としては500には行っていない。2011年に加速器で電子ニュートリノ出現発見は、J-PARCのT2K実験ですね。これが現在、3年で853の引用数です。そして原子炉でθ13測定は、ダブルショーですが、552と、ここで今、次の流れが起こっている。
 こういう全体の流れの中で、これからの実験でアプローチする課題は、先ほどのニュートリノ振動を徹底的に究明しましょうと。ニュートリノ振動で測定しているものは、ニュートリノが3世代、3つしかないという仮定の下では、質量の2乗差、3つあるので、質量の差がそれぞれ3つある。そして混合角、3つの混合角があって、あとCPの破れというパラメーターがあります。もちろん3世代のときはそうですが、常に弱い相互作用をしない第4以上のニュートリノがあるのかという問題がニュートリノには起こっていて、この分野も結構たくさん研究されている。日本では若干少ないのですが、世界的には多い。あとディラック粒子かマヨラナ粒子か、ニュートリノを出さない2重ベータ崩壊の探索、また、恐らくここ5年、10年、20年で大きな進展があると思われるのは、ニュートリノ質量の決定、β崩壊を使った直接観測、これが発見されたらニュートリノ質量がバシッと決まるとか、宇宙論ベースの観測が、最近非常に精度を上げてきています。
 ニュートリノ混合行列、これも専門的ですが、電子、ミューオン、タウタイプと、ニュートリノ質量の間の混合が、こんな形になっています。これは今分かっていることですが、こちらがクオークレベル、カビボ・小林・益川行列ですが、これが先ほど言った、混合が大分違う、形がかなり違います。この形の違いは何から来ているのかということを、一生懸命、統一理論のモデルを作る人たちが考えている。あとCPの破れというのは、ニュートリノではまだ全然見つかっておらず、とにかく感度が足りないのですね。探しても、探せる感度までなかなか行かない。そして、混合率、質量について、ニュートリノは同じような数字で平等的に見えて、クオークというのは、1だったり、0.2だったり、0.008というように、階層的に見えている。こういうところがどこから来ているのかというのが、統一理論を作るモデルへの一つの大きなインプットになっています。
 「大きな第3の混合角θ13が、CPの研究を可能にした」。2010年までは、CPがニュートリノで測れるかどうかは決まっていなかったのです。CPの破れはニュートリノの混合が全部フルに起こっていないと見えないのですが、大きな第3の混合角θ13の発見がこれを可能にした。2011年、T2K実験が最初に世界で第3の混合角が大きいということを言いました。ただ宣伝が足りなかったか、感度が2.5シグマぐらいだったので、各実験に大きな刺激を与えて、それぞれ原子炉実験がかなり慌てていろいろな解析をし、半年後ぐらいにいろいろな実験が結果を出します。ダブルショーとか、2012年に。T2K実験は大震災からの復旧とか何かで倍ぐらいしかデータをためていないのですが、それでも倍のデータをとって、より感度を上げました。3シグマを超えている。Daya Bayが、このときにθ13の精密測定を5シグマを超える精度でやりました。2013年、T2K実験、7シグマレベルの電子ニュートリノ出現があって、θ13がゼロではないという結果と、Daya Bayの中国の結果が出てきて、θ13、第3の混合角が決まり、かつ大きく、そしてそれがどういうことを意味しているかという段階にきました。
 競争は競争ですけれども、それぞれ測定しているものが違いまして、この2つを合わせると、リアクターという原子炉でして、原子炉実験とT2Kのペーパーですけれども、これを合わせると、実はニュートリノのCPバイオレーションにある程度のことを言うことができる。これがT2Kのこの論文に書かれているのですが、原子炉とT2Kの実験の両方の結果を説明するためには、&ce_BS;CPという、CP対称性が非常に大きく破れているのではないかという、示唆みたいなものが与えられています。ただし、これもまだ2シグマレベルの話です。
 面白い面白いことに、スーパーカミオカンデが大気ニュートリノでそういう測定をしているのですが、これが今たまたまか必然なのか、同じようなところに&ce_BS;CPという量が出てきている。これはT2Kのビームの測定で、こちらは大気ニュートリノの測定ですが、しかも&ce_BS;の測り方が、これはマイナス1から1で、これはゼロからπ、2π、黄色は同じところに、たまたまか必然的に来ている。これを、もっと精度を上げたい。
 これをまとめてみますと、先ほど山内先生が、クオークのユニタリー行列がありまして、クオークというのは、実はいっぱいカラフルな線が描かれて、ここにほとんど決まっているのですね。ここの差を見ているのですが、同じものをニュートリノで描いてみようというのが、今年ある研究会で発表されました。ニュートリノで描いてみると、ユニタリー行列、つまり3つしかない、ユニタリーを仮定した後で、今こういうところのどこかだろうと。だから、まだクオークに比べて、ニュートリノではこういうミキシング行列の精度は全然足りていない。こういうものを高精度でも決定するというのが、次の実験の課題です。
 これは将来ですが、今後日本におけるニュートリノ実験はどうやって進めていくか。近未来、10年以内は、今、T2K実験が走っていて、スーパーカミオカンデ実験が走っていて、カムランド実験が走っていますので、T2Kの目標は、ビームを増強し、J-PARC750キロワット、設計値を達成して、データ量を10倍にする。そうすれば、CPの破れに、2から、良ければ3シグマの感度で迫れる。スーパーカミオカンデも大気ニュートリノのデータを更に蓄積して、質量階層性を、きちんと説明していないですが、まだ量られていない量を2シグマの感度で測定する。カムランドは低バックグラウンド化、エネルギー分解能向上で、ダブルベータ崩壊を、ニュートリノ質量で0.02エレクトロンボルトぐらいまで測定する。これが多分ここ10年ぐらいで行われる。
 将来には、この10年後に続くことを期待して早期スタートが必要ですが、スーパーカミオカンデでの次期実験、ハイパーカミオカンデを立ち上げて、ニュートリノCPの発見と精密測定、質量階層性の決定、陽子崩壊の探索、宇宙ニュートリノ観測ということを進めていきたい。
 これは今、J-PARCからニュートリノビームが出ていまして、スーパーカミオカンデが1996年、ほぼ20年ですね、カムランドが2001年から動いています。そろそろ20年ぐらいたってきて、かなり老朽化してきている。どんどん更新しているので何とか保っているのですが、2020年代を見たときには、何か新しい計画がないと、だんだん世界のトップを走っていくのは難しくなってくるだろう。
 ハイパーカミオカンデの現在考えられている概要は、全質量が1メガトン、スーパーカミオカンデの約25倍の検出器を、神岡鉱山のところに作ろうと。神岡に作る理由は、先ほどのJ-PARCのニュートリノビームを使うことが大きなモチベーションになっています。スーパーカミオカンデの25倍の精度を持つ。これぐらいの精度があると、あとJ-PARCのニュートリノビーム、大体年間1メガワットのビームを、七、八年。750キロワットより上がっているのは、2020年代には更に性能は上げられるだろうと、設計値0.75でもメガワットビームは達成できるだろうということで、メガワットかける七、八年で、これぐらいのビームを使って、更にニュートリノと反ニュートリノビームの両方で研究する。
 そうしたときに、ニュートリノと反ニュートリノで出現確率を比べると、CPが破れていれば25%、プラス25、マイナス25なので、ここで差を見ると50%ですけれども、ニュートリノと反ニュートリノで大きな違いを直接観測して、CP対称性のテストをする。CPは粒子・反粒子対称性なので、直接観測は、ニュートリノと反ニュートリノを使った観測が最も直接的な証拠になる。
 ハイパーカミオカンデのCP感度は、先ほどの&ce_BS;CPというパラメーターや、sin2θ13、第3の混合角ですね、ほとんど&ce_BS;CPを決めるのは、実はハイパーカミオカンデの方の測定です。リアクターと世界の原子炉実験と足すことによって、θ13の精度も上がって、最終的にはHK+リアクターで、この青いぐらいの精度で決めることができる。実際、発見可能性はどれぐらいあるのかというと、&ce_BS;CPがマイナス180度とか180度で、3シグマでの発見可能性は、76%以上の領域で発見できる。逆に発見できないのは、ネガティブというよりは、ニュートリノでCPの破れが非常に小さい、ほとんどCPが破れていない証拠になってくる。それでこういう実験をする。
 ここで世界との動向を説明させていただきますが、この会の最初でも何回か議論があったように、結構急速に話が進んで、まず2014年5月時点は、4か月前ですが、日米欧の3局で加速器ニュートリノ実験の計画が実は3つ存在していたのです。日本では、J-PARCからハイパーカミオカンデを作ったニュートリノ実験をする、長基線のニュートリノ実験。ヨーロッパではCERNのニュートリノを遠く2,000キロとか飛ばして、アメリカもフェルミ・ラボから1,300キロぐらいのベースラインで、LBNEという実験をする。こういう3つの実験が4か月前にありました。この後、5月にアメリカがP5レポートを出して、今回ここでも議論がありましたが、これは世界の実験の感度なので後で見ておいていただければいいですが、何があったかというと、アメリカP5レポートでこういう課題が与えられたのです。CPバイオレーションの3シグマ・センシティビティーには、75%以上の領域で感度を持ちなさいと。実はこの条件を満たしているのは、3つの実験の中ではハイパーカミオカンデのみなのです。アメリカのLBNEはこれに達していないので、実験を再考しなさいというのが、P5からの課題として出たわけです。だからLBNEは、新しくLBNF実験としてプロポーザルを再考しなさいと。同じ頃に、ヨーロッパのヨーロピアンストラテジーの後にCERNの中期計画がありまして、LBNOというヨーロッパの計画もいきなり長基線に行くのではなくて、CERNでのニュートリノプラットホーム、テスト実験所として、まず液体アルゴンTPCの原理実証をしなさいと。まだ液体アルゴンTPCはR&D段階であると。原理実証をしなさいと。現実のニュートリノ実験は日本かアメリカが先に進むだろうから、日本かアメリカに参加してやりなさいというのが、ヨーロッパの動向として出ました。
 それで、さっき3つあったのが、いきなり再編されています。実際、先ほどのアメリカの実験と日本の実験を比較した図がこれですけれども、「Comparison to LBNE」ということで、ハイパーカミオカンデは赤い線です。LBNEは青い線で、上の方が感度がいいわけです。8というのは、8シグマに対応するのですが、LBNEは34キロトンでフルに作って1.2メガワットというビームを使ったとしても、ここら辺のレベルであると。これは余り外には出さないのですが、スタディーをしてみると、直接、先ほどのこの図をきちんと比べると出てくるのですが、別に我々が作為的に作っているわけではないですが、先ほどの各実験のセンシティビティーを単に同じページに載せるとこうなるということです。ここから取っています。今、LBNE実験は再考中ということです。
 ハイパーカミオカンデにどれぐらい世界の人が興味を持っているかというと、インターナショナルワーキンググループを作っていまして、ヨーロッパから106名、アジアが72名、アメリカが62名です。先ほどのT2K実験やBell実験に比べると小さい、少なそうに思うかもしれませんが、まだ学生とかエンジニアが入っていないので、基本的に興味のある科学者ですね。スタッフレベルの人の動向になっています。12のカントリーから、67インスティテュートで、240の人たちが、日本でのJ-PARCからのハイパーカミオカンデ実験を期待して、一緒にやりたいと手を挙げています。2014年4月の時点です。
 大体これが世界の動向ですが、この間、初田先生からかな、素粒子実験というか、物理は最近、進展が遅いのではないかとか、ダイソンのIPMUのレポートを基に、ILCからのコメントが何か来ていたと思うのですが、「フリーマン・ダイソンに聞く」というのがIPMUのニュースにありまして、その中で神岡実験のこともダイソンは述べていますね。「神岡実験は非常に良い実験で、既に幾つかの重要な結果を得てきました。この実験では、いつでも予期せぬものを検出する準備ができています。私はこの実験とその次期計画を強く支持します。長い時間待たなければならないかもしれませんが、予期せぬ発見の機会が十分にあります」と。ちょうどダイソンが今年の初めぐらいに神岡に訪れて、実際これはダイソンの後ろ姿ですけれども、神岡のドアにサインを入れているのですが、2014年4月22日に来て、「This is a great instrument for exploring the universe. Now it is time for HYPER-Kamiokande!」という奨励のメッセージを書いて帰っていった。これはオフィシャルなもので、ここにあります。
 この予期せぬ発見とは何だろうと。ニュートリノでCPを正確に測る。もちろんそのときには、先ほどの、測るだけかもしれないし、実はCPの測定はほとんど行われていないので、第4のニュートリノがあったりすると、もっと大きいかもしれない。あそこで書かれているよりも実はもっと大きくて、全然みんなが予想していない値に出てくるかもしれない。もう一つは陽子崩壊ですね。陽子崩壊がもし見つかったら大統一理論の証明で、いきなり素粒子物理としては、弱い力、強い力、電磁力の統一というのを、我々の生きている間に証明できたことになる。大統一の証明になる。ハイパーカミオカンデができると、これはシミュレーションですが、ここに陽子の質量のところにピークが立っています。これは、今スーパーカミオカンデで探されている、見付かっていないぎりぎりの感度のところに陽子崩壊があったら、ハイパーカミオカンデでどう見えますかと。そうすると、25倍の体積は、ここに1か2しかないとしても、きれいにピークが見える。若しくは、GUTという超対称性大統一理論みたいな証拠になるような、プロトンがニュートリノとK+に壊れるようなものも、今スーパーカミオカンデで測られているぎりぎりのところにもしあったとしたら、このようにきれいにK+の寿命として見付けられますという、2つのことです。だから、陽子崩壊探索、若しくは発見が行われる世界で唯一の測定器でもある。こちらはアメリカのLBNFとかも同じレベルでやろうとしています。右の方です。
 そういうことで、長くなったかもしれませんが、最後にまとめさせていただきますと、標準模型を超えた物理に向けて、ニュートリノの研究は重要である。これは世界的なコンセンサスもありまして、アメリカもLHCとニュートリノをやる、日本の将来計画委員会もILC、LHCとニュートリノと書かれているように、重要である。素粒子の枠を超え、物質優勢の宇宙の根源や暗黒物質等も絡む可能性があります。日本はこれまでニュートリノ研究において世界をリードしてきました。これは先ほどの論文のリストなどもそうですが、明らかに世界をリードしてきた。T2K実験によって発見されたνμ→νe振動により、ニュートリノCPの測定が現実的な課題となったため、世界でどうやってこれを測るかという提案が活発に行われている。今後5年間は、T2K、スーパーカミオカンデ、カムランド実験が、まだ世界のトップランナーとして走っていますので、世界をリードできる可能性は高いと思っています。ただし、世界も別に止まっているわけではなくて、アメリカではノバ実験がスタートしました。スーパーカミオカンデでより大きく、たくさんの例えば大気ニュートリノ観測においてアイスキューブ実験が動いていたり、カムランドと同レベルの精度でEXOというアメリカの実験が動いたりして、ライバル実験があるので油断大敵です。世界のトップは変わるときはさっと変わってしまいます。世界をリードできる可能性は高いとは思っていますが、油断は大敵です。ただし、10年後に日本がニュートリノ研究で世界を牽引し続けるためには、何か新しい実験施設が必要で、ハイパーカミオカンデを日本のニュートリノ研究者は考えています。大きな、しかも長期的な計画ゆえに、計画の早期着手が望まれるということが、まとめです。
 以上です。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の報告に基づきまして、意見交換、議論等をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。お願いします。
【中野座長代理】  物質優勢宇宙をニュートリノで説明しようというか、ニュートリノで説明できるとしたら、&ce_BS;CPの値は大体どれぐらいになるのですか。
【中家委員】  この&ce_BS;CPから物質優勢宇宙のあれは決まるのではなくて、右巻きニュートリノの方のCP対称性から決まるのです。だから、レプトジェネシスで、基本的には重たい右巻きニュートリノが決めたと。その重たい右巻きニュートリノのCPの大きさと、さっきの我々が測るCPは、直接は関係なくて、それは何かモデルを仮定しないと出てこないのです。柳田さんはそのモデルはあると言っていたり……。ただ少しだけ、実は統一理論を説明するようなものは全てモデルで、インフレーション宇宙などもそうなのですが、モデルが山ほどあるのです。ただし、その測定によってどんどんそこが狭められていくのは事実です。
【中野座長代理】  では一番関係のある測定は何でしょうか。
【中家委員】  一番関係のある測定は、ニュートリノでCPは大きいかということと、ニュートリノがマヨラナ粒子であるかという、この2つですね。間接的な証拠ですが。
【中野座長代理】  マヨラナではないと無理。
【中家委員】  はい。
【中野座長代理】  ダブルベータも一緒。
【梶田座長】  ほかに。お願いします。
【初田委員】  13ページで、レプトンのユニタリートライアングルに関係して、クオークの場合のように、様々に交わる線をかけるような実験はないのですか。
【中家委員】  いや、これはそういうものを作れるのですが、それは多分、今、いっぱいカラフルでいろいろな色が埋まるだけになってしまう。つまり、全部足さないと、まだこれを作れないのです。初めてこれが描けるようになったのも、T2K実験などで&ce_BS;CPが大きく破れているだろうという条件から決まっているので、もちろんそれぞれがもっと精度が上がればいいのですが。今はまだ、描いてしまうと、いろいろなカラフルな色がいっぱい付くぐらいになってしまう。
【初田委員】  ついでに、世界の動向というところで、それぞれの実験の予算規模は、大ざっぱにどれくらいでしょうか。
【中家委員】  予算の規模は、どう数えるかですけれども、どれも1,000億円クラスだと思います。その1,000億円が上に行ったり、ファクター、1.5倍とかなったりするのは、それぞれの国によってカウンティングが大分違うので。
【梶田座長】  お願いします。
【清水委員】  &ce_BS;CPの話が出ていますけれども、現在の混合角で、この&ce_BS;CPを測った場合に、どのくらいの年数といいますか、ランといいますか、走らないと、先の。
【中家委員】  現在というのは、将来計画がなくて、T2K実験とか今走っている実験が、どれだけ走ればどれぐらいの感度ということでいいですか。
【清水委員】  まずはミキシングが、アングルが現在分かっている、かなり大きいと言われているのですが、それを想定していますよね。そのときに、CPを測ろうと思ったときに、現在と言っているのは、J-PARCがどのくらいのワッテージが出るかということも絡んでくるとは思うのですが、先ほど出てきたような想定をした場合に、どのくらいの長さのマシンタイムが必要なのか。
【中家委員】  資料にあるのですが、補足資料のこれがそうですけれども、横軸がプロトンオンターゲットなので、10の21乗プロトンオンターゲット、もし750キロワットだったら、8というところが5年に対応するのですが、750キロワットでないともっと長くなるのですが、縦軸がΔX2という値ですね。
【清水委員】  その5年というのは、年間の、そこに出ているPOTというのでしょうけれども、換算するとどんな感じになるのですか。要するに年間のJ-PARCでのマシンタイムをどのぐらいとった場合の話になるのですか。
【中家委員】  これは750キロワットでT2K実験に約4か月という。
【清水委員】  どうもありがとうございます。
【中家委員】  今はこの10分の1ですね。今ためているのは、ここの8に対して0.7とか8ぐらいなので。あと、さっきCPがどんどんと言ったのですが、もう一つ大きなことは、ここに書かれているθ23という混合角が結構効いてくるのです。というのは、CPを測るときに最初のタームのところに、θ23とθ13で、積で入ってくるのですね。これが大きいか小さいかによってもサイズが変わってきまして、0.4か0.6かで大分変わりますね。その精度を上げるのも、ここ5年ぐらいで非常に重要なことです。
【駒宮委員】  ハイパーKはすばらしいと思います。水チェレンコフというのは、今の技術に比べて、大体10倍ぐらいスケールを大きくすればよろしいということですね。リキッドアルゴンの場合は、数百倍のスケールをアップグレードしないといけないということですね。
【中家委員】  はい。
【駒宮委員】  そうなのですが、リキッドアルゴンの場合は、ニュートリノだけではなくて、陽子崩壊でKνに崩壊する場合なども、きちんと見えるということで、リキッドアルゴンが重要だと言われているのではないかと思うのです。ということは、ハイパーKを作る場合、バックグラウンドがいない、深いところに作ることと、あとはフォトンディテクターのR&Dをもっとうんとやって、フォトンディテクターを安くして、全体のカバレッジを増やす。この2つが非常に重要だと思うのですが、そこはどうでしょうか。
【中家委員】  まずK+のこれについて、駒宮さんが言うように、リキッドアルゴンはK+崩壊に対して感度があるとなっているのですが、現在の段階では、ハイパーカミオカンデと例えば40キロトンぐらいのリキッドアルゴンの感度は、ほとんど一緒です。μK+に対して。水チェレンコフの方が統計があるということ。水チェレンコフで見られるのは、実はK+の崩壊の粒子を使わないといけないので、ミューオンに崩壊したとか、そういうものを使って分岐比が下がっているのですね。もう一つ、これは見たら分かると思うのですが、バックグラウンドがあると言いながら、ここのレベルでしかなくて、何ができているかというと、まず陽子崩壊が原子核で起こったら、その原子核でできたホールからの低エネルギーのγをつかまえて、ホールができましたよという証拠と、それとK+の崩壊からのものを捉えるという、プロンプトガンマタッグという手法を使います。それによって、これぐらいのバックグラウンドレベルで見える。だからバックグラウンドがあるというのは、プロンプドタッグをしない、Kオンからのミューオンだけを見ていると大きいのですが、プロンプトタッグをした後は、こういうレベルですね。
【駒宮委員】  それは分かりますが、これはでも少ないというのは、プロトンのライフタイムが4掛ける10の33乗年だと、このぐらいバックグラウンドが少ないということですね。
【中家委員】  そういうことですね。
【駒宮委員】  でもバックグラウンドなども存在するわけですよね。
【中家委員】  だからハイパーKの10年で行けるのは、3シグマで、10の34乗だと言っていますね。
【駒宮委員】  そうですね。それで、例えばそのGUTスケールをどうやって測るかという段階になったら、ハイパーKというのは、スーパーKに比べて25倍のボリュームを持っていますが、GUTスケールに対する感度はバックグラウンドがある場合、多分それの4分の1乗ですよね。そうしたら、4分の1乗なので、2.3倍ですよね。2.3倍ぐらいしかないわけですね。だから本当は、もっとボリュームを大きくするか、フォトンカバレッジをうんと増やして、やるべきだと思います。余り安直に、今の計画をそのまま強引に推し進めるのではなくて、もっときちんと、どのぐらい深いところでやったらいいかとか考えるべきではないでしょうか。
【中家委員】  先ほど言った深さは、これはバックグラウンドには関係ないです。
【駒宮委員】  関係ないのですか。
【中家委員】  はい。
【駒宮委員】  でもミューオンが来るのではないですか。
【中家委員】  このミューオンは、大気ニュートリノ起源のバックグラウンドです。大気ニュートリノなので、深さではないのです。
【駒宮委員】  何で大気ニュートリノは深さではないのですか。
【中家委員】  大気ニュートリノは上からも下からも来るので。宇宙線ミューオンのバックグラウンドではないのです。
【駒宮委員】  そうですか。
【中家委員】  大気ニュートリノ、ニュートリノ自身のものだから。
【駒宮委員】  大気ニュートリノですね。ミューオンではなくて。
【中家委員】  はい。
【駒宮委員】  それが一番バックグラウンドとして大きい。
【中家委員】  はい。
【駒宮委員】  分かりました。
【梶田座長】  ほかに。ではお願いします。
【中野座長代理】  加速器ニュートリノ実験は、測定器と加速器と両方がそろわないとできないと思いますけれども、世界の動向のところで、J-PARCと比べて、加速器の安定性というか、加速器が運転するときの信頼性という意味で、どこが一番のライバルになってきますか。
【中家委員】  将来のことは難しいのですが、例えば同じように書いていましても、これはLBNEの仮定ですが、34キロトンと、ハイパーKが500キロトンだったら、10倍以上違うのに感度がこれぐらいの差だというのは、何から来ているかというと、実は加速器の性能が大きく違っていまして、今、僕らの仮定は0.75に対して彼らは1.2メガワットなのですが、あと彼らのランタイムは、僕らが仮定しているよりも2倍以上、つまりフェルミ・ラボの加速器は年間300日動きますという仮定で来ているので、陽子数が大分違うのですね。
【中野座長代理】  アメリカは信用できると。
【中家委員】  いや、将来において信用が、それは非常に難しくて、信用していいのかどうか分からないのですが、彼らの仮定は、1.2メガワット掛ける年間300日みたいな仮定ですね。それに対してJ-PARCの仮定は、0.75メガワット掛ける年間4か月とか、T2Kに関して、ハドロンとの比とかを取った後、そういう比になっていますね。
【中野座長代理】  ついでに、そのグラフ、ハイパーKの方はサイン2乗みたいなのも、比例しているように見えるのですけれども、フェルミの方がいびつな形をしているのはなぜですか。
【中家委員】  僕は分からないですね。僕らが作ったわけではなくて、ここから彼らがスタディーしたものを出しているだけなので。
【中野座長代理】  何か不思議な感じがします。
【中家委員】  少し不思議な形ですね。
【梶田座長】  ほかに何か。では、お願いします。
【松本委員】  ニュートリノセクターのCPの破れは、宇宙の物質創成にかなりそのオリジンを持っていると思われているのですけれども、マヨラナフェーズは直接測りたいですね。つまり理論は今のところ、全部予言できる。どの範囲も予言できるので。マヨナラフェーズを直接測るような計画は考えられているのでしょうか。
【中家委員】  今のところはないですね。さっき言ったように全部込みのダブルベータの質量のところぐらいしか。
【松本委員】  ダブルベータでマヨナラフェーズの依存性があるのですね。多少は。でもそうすると、原子核の不定性とかがどのぐらい抑えられるかというところに関係していると思うのですが、見込みは。原子核の不定性がすごく小さくなる見込みとか。そうしたら、イベントが1回受かったら、マヨナラフェーズと質量のある例証に関係がついてという感じになると思うのですが。つまり、マヨナラフェーズを測って、初めてビックプロブレムの一つが解けると思うので、こういう質問をさせていただいたのですが。
【中家委員】  原子核で例えば僕が学生のときとかは、2νのモードと0νのモードで、2νもそういう行列要素の計算に大事なのだという話はいっぱいあったのですけれども、今、2νは非常に精度良く測られてきたのですが、2νと0νは今は関係ないみたいなので。関係ないことはない、モデルをある程度セレクションするところには使うのですが。
【松本委員】  理論的な計算のところのハドロンの計算が全然違うところから来ているのだという。
【中家委員】  違うという話になってきているので。ただそれは今後のまた進展とか、現時点では分からないとは思うのですが。
【松本委員】  ラティスが発達したりして、すごく計算できるようになるという量でもないのですね。そんなことは全然ない。そうですか。
【初田委員】  原子核までやるのはなかなか先のことです。
【松本委員】  本当に精度が良ければ、マヨラナフェーズに依存性が出てくる。
【中家委員】  ただ、例えばもっとオプティミスティックに考えたときに、ニュートリノレス・ダブルベータ・ディケイが見えましたと。5年か10年で。見えた値と、例えばニュートリノ質量も、僕はどこから来るかというと、もしかするとよく言う宇宙論というか、宇宙観測ですね、重力のウイークレンジングとか、そちらの重力レンズの方とかで、本当にニュートリノ質量も決まってきて、そこにまた差があったりとか、何か、ニュートリノ質量の情報がもっと出てきたときに、コミュニティーがどう捉えていくかというのは、大きな違いがあると思います。
【松本委員】  そうです。全部合わせると、フェーズに。
【中家委員】  そういう進展は、ここ10年ぐらいでは起こるとは思いますがね。あとよくニュートリノCPも、理論屋さんはあって当たり前みたいなことを言い出す人が多いですが。昔の混合角の大きさもそうですし、ニュートリノ質量の今大きなところには、なかなか理論屋さんは逆を突くことが多いですよね。歴史的には。だから測ることは大事だと思いますね。
【梶田座長】  ほかに、いかがでしょうか。お願いします。
【初田委員】  4ページ目ですけれども、シーソーの話のところで、H~というのは、チャージドヒッグスのことですか。
【松本委員】  ダブレットヒッグスですね。チャージドの部分はもちろん食べられますけど。対称性の破れる前のラグラジアンを書いているので。
【初田委員】  質問したかったのは、先ほどの山内さんのお話のところで出てきたチャージドヒッグスなどの話との関係なのです。Electroweakでのシーソーも、keVでのシーソーも、GUTでのシーソーも、全てが今のところはまだ許されていて、ほかからの実験からのコンストレイントはないのでしょうか。
【中家委員】  いや、コンストレイントはあります。例えばkeVシーソーとかだと、いろいろなコンストレイントがあるので、ニュートリノ質量を説明したり何とかするためには、例えばヒッグスのカップリングがとても小さくないといけないとか、制限の後の模型です。だから全く制限がないわけではないです。
【初田委員】  GUTシーソーが大きく書いてあるのは、それが最も有力ということでしょうか。
【中家委員】  GUTシーソーにはほとんど制限がないのです。
【初田委員】  制限がないので、可能性が広いという意味で大きく書いてあるのですか。
【中家委員】  そうです。ただ、先ほどのフレーバー物理というと、例えばレプトンフレーバーバイオレーションのμ→eγとかは、GUTの下のスケールあたりでGUTシーソーからの両方の予言が出ていたり、だからθ13と実はμ→eγのbranching ratioの予言がカップルしていたりとか、そういう模型もあります。
【梶田座長】  ほかに、いかがでしょうか。
 駒宮先生、先ほど4分の1乗と言ったのは、あれはライフタイムですか。
【駒宮委員】  ライフタイムではないです。GUTスケールです。
【梶田座長】  さっきの次元5の話ですよね。
【松本委員】  そちらの方は次元5ですね。そうすると、スクォーク・マスも関係してきますよね。
【梶田座長】  ほかに何かありますでしょうか。お願いします。
【小磯委員】  このニュートリノ物理に対する加速器への要望ですが、これはもう、ひたすらパワーと、運転時間ということになるという理解でよろしいでしょうか。
【中家委員】  はい。パワーと運転時間なのですけれども、パワーというのは、実はビームのクオリティーとか品質にものすごくよっていますよね。だから、今実際、不安定性を抑えるためにフィードバックや、どうやってインジェクションなどのロスを減らすかとか、だから、加速器の品質を上げることは大事だとは思いますが。
【駒宮委員】  予算の不安定性の方が、今は重要なので。
【中家委員】  それはあらゆる研究分野で一緒ですね。
【梶田座長】  ほかに何かありますか。
 よろしいですか。ではどうもありがとうございました。大体意見が出尽くしたかとは思いますが、これで一応、今日の議論については終了したいと思います。ただ、もし何かほかに御意見等ありましたら、会議終了後、事務局まで連絡いただければと思います。
 続きまして、議題3「今後の議論の進め方等について」ですけれども、これまでの会合、あるいは本日のプレゼンで、各研究分野や世界的な研究の動向について説明を頂きましたが、ILC計画に関しては、現在、世界最大の加速器であるLHCの実験の内容がその実現に大いに影響することが、皆さんの間である意味認識されているかと思います。そこで、今後期待されるLHCの成果とILCの目指す研究内容に関する相関性を、皆さんで議論してはどうかということで、山内先生から御提案がありました。
 ここからの時間、この点について意見交換をしていきたいと思いますが、まず山内先生から資料6について少し御説明を頂ければと思います。
【山内委員】  恐らくこの作業部会の一番重要な任務は、ILCの物理学的意義に関して、比較的分かりやすい言葉で、有識者会議、我々の上の会議に御説明するところだと思っています。この有識者会議というのは、この会議とは違いまして、高エネルギー物理学あるいは原子核物理学等の専門家の皆さんで構成されている会議ではないので、比較的、余り専門的ではない言い方で、その意義を分かりやすく説明するというまとめ方が必要になるだろうと思います。11月だと思いますが、作業部会と有識者会議の次回があると伺っておりますので、そのときに座長から中間報告的なことをお話しされると聞いておりますが、そのときに一体何を持っていったらいいのだろうかということを少し考えまして、このような表にまとめてみてはどうかという案を御提案しているわけです。
 縦に「LHCでありうる発見」と。幾つか書いてあるのは私が勝手に書き込んだだけで、何を書き込むべきかというのは、もう少し皆さんで議論した方がいいかと思いますが、余り項目が多過ぎても煩雑になりますので、個数としてはこの程度かなと。それから横に並べるべき項目に関しては、これまで駒宮先生等からお話を伺いまして、主なものという意味では、この4種類ぐらいを挙げるのがいいかなと思っております。ですから皆さんでまず議論して、縦に何を並べるべきかを整理した上で、この箱を、私が用意したものは箱が24個あるのかな。少し数が多いですけれども、もう少しできれば減らせればいいかと思いますが、こういうそれぞれの場合に対して、それぞれの属性がどういうインパクトを持つのかと言うことに対して、この作業部会として評価をするというやり方でまとめてみてはいかがかと思います。
 これは私の案ですが、もっと良い知恵があれば是非教えていただきたいと思います。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 今、山内先生から御提案といいますか、御説明を頂きましたけれども、この方向性で一つまとめていくということですが、いかがお考えでしょうか。御意見をお願いしたいと思います。では、お願いします。
【山中委員】  この表の中にどう書き込むのか、少しよく分からなかったです。一つ例を挙げて言っていただけますか。
【山内委員】  常に意義はあるわけです。どんなものでも必ず意義はあるのですが、例えば超対称性粒子が、既にかなりLHCでかなり出てきたと。ILCは今すぐできることはなくて、早くても恐らく15年後ぐらいからですから、それまでにLHCでいろいろな測定ができていて、いろいろな発見が出てくるだろう。超対称性がかなり分かってしまった段階で、例えばヒッグス結合の精密測定はどういう意義があるのか。意義だけではなくて、インパクトという評価になるかと思いますが、インパクトがどのぐらいあるのかということです。つまり今考えて、ILCでこういう測定ができるのだということは大変すばらしいと我々は感じるわけですが、それがLHCで今後15年間いろいろな結果が出てきた場合に、それがどのように変化していくのかということをまとめたらどうかと思います。
【駒宮委員】  ここで超対称性の発見とございますが、本当にLHCでスーパーシンメトリーの粒子が生成されて、それがラージミッシングPTを持っているものがいるとか、それだけでは、スーパーシンメトリーが見付かったということは言えませんよね。だからこの発見というのは、発見ではないと思います。何かその兆候が見えるということだと思います。発見されたらもちろんそれはすごいですけれども、発見というのは、それが本当にスーパーシンメトリーだということを、どうやって言うかということまで行って、超対称性の発見と言うわけです。ですから、スピンが2分の1異なるとか、それに対応するいろいろなパラメーターが決まるとか、そこまで多分LHCで本当にできるかというと、発見までは行かないのではないかと思いますが。
【山内委員】  LHCで超対称性粒子が発見できないという御意見かと思いますが。
【駒宮委員】  いや、できないとは言っていません。発見するというのは2つの段階があって、そういう標準理論では説明できないイベントが見えると。これはこれで物すごいことです。そこまでは、もちろん、あったら行くと思います。でもそれがスーパーシンメトリーの粒子の発見かどうかというのは、分からない可能性が大きいということです。
【梶田座長】  お願いします。
【清水委員】  そういうことであれば、超対称性粒子らしきものの発見とかそういうことでもいいのですけれども、それはそういう項目を下の方に立てたらいいのではないかと思います。それと並行して、超対称性粒子を発見というのもあり得るわけだから、それも、要するにこれは分からないことを書いているので。
【駒宮委員】  それは連続的な概念なので、このようにディスクリートに、「らしきもの」と「超対称性の発見」という2つの項目を置くのはおかしいのではないかと思う。ここには「超対称性粒子のような」と書いたら良いと思うが、私は語彙が足りないので、その辺は山内先生の方が語彙があるので、山内先生に考えていただきたい。
【松本委員】  「新粒子の発見」がいいのではないですか。
【清水委員】  新粒子の発見も、どういう新粒子ですかというのが出てくると思う。
【松本委員】  つまり、標準模型で説明できない現象で粒子生成が伴っていると思われるものを発見というのは、言えると思います。
【清水委員】  いいことですね。
【松本委員】  シンプルに「新粒子の発見」でまとまると。
【駒宮委員】  新粒子でもいろいろな種類がある。
【松本委員】  そこが問題で、複数個のヒッグスも新粒子ですよね。だからどうやって分けるのかなと思って。
【駒宮委員】  全部新粒子です。
【清水委員】  けれども、LHCで何か発見された場合にどうなのかというのが、一番ポイントだから、それが分かるような表現だったらいいのではないですか。
【駒宮委員】  そうだと思います。
【梶田座長】  お願いします。
【中野座長代理】  山内さんからも既に述べられたことですけれども、物理的意義というのは必ずあると思うのです。LHCで何か新しいものが見付かったときに、ILCで確かめたいというのは自然な感情なので、そのときに、ここに書き入れるときに、先ほど最後にインパクトということをおっしゃいましたが、物理的意義とインパクトのどちらを重視してここに書き込めばよいのか。それで大分議論も変わってくるのではないかと思います。
【梶田座長】  そこら辺は、いかが、考えていきましょうか。
【中野座長代理】  物理的意義がなかったら、もうだめです、アウトですよね。
【梶田座長】  お願いします。
【岡村委員】  山内先生がおっしゃったように、インパクトはとても重要です。有識者会議の委員のメンバーは、ほとんどの人がこの分野の人ではないと言ってもいいぐらいの委員会です。この部会では今非常に精密な議論がされて、その議論のまとめができることが第一ステップだと思うのですが、雰囲気としては、資料6の一番右にもう一列、一番下にもう一行、普通の人でも分かるようにインパクトがまとめられていると良いと思います。例えば、一番右に加える列の一番上の枠には、「超対称性粒子を発見」という具合に、核列の枠内にまとめられたこの部会の議論の結果を踏まえて、LHCのインパクトがまとめられている。また、一番下に加えた行の一番左の枠には、「ヒッグス結合の精密測定」に対するLHCのインパクトが、それより上の枠内にまとめられたこの部会の議論の結果を踏まえて書かれている。そんな具合です。新しく作る行と列を見れば、これだったらそういうことなのか、いろいろなことがあっても、ILCでやるのはこういう意味があるのかということが頭に入る。こういう枠があって、それが物理を専門としている人ではない人にも分かるような言葉で書かれていると、とてもいい資料になるのではないかというのが、私の感想です。
【梶田座長】  ありがとうございます。
【山中委員】  これ、LHCでこれが発見された場合というのがありますが、発見されなかった場合に、LHCがどういう寄与ができるかというのも、また大きな情報かなとは思います。
【駒宮委員】  それは一番下に書いてあります。
【山中委員】  すみません。
【梶田座長】  ほかは、いかがでしょうか。
【中野座長代理】  これは文章で書くのですよね。
【梶田座長】  そうですね。
【中野座長代理】  さっきみたいに星が描いてあるとか。
【駒宮委員】  星はだめです。分からないもの。
【梶田座長】  お願いします。
【中家委員】  今、文章で書くのですかということと近いのですが、これはLHCで発見されたもののエネルギースケールに結構よるような気がするのですが、ILCが本当に何ができるかというのは。だから文章で書くとしてもどう書くのかが、僕もぴんと来ないのですが。そこが分からないなという。かなりエネルギースケールによった、例えば複数種のヒッグス粒子で700GeVにヒッグス粒子がありましたと、超対称性もそうですよね、2TeVとか3TeVに見えましたとかいうのと、何か新粒子兆候が見えましたというときと、さっき言ったもっと低いところとで、全く感度が違うような話になると思うのですが。
【中野座長代理】  余り精密なことを書いてもしようがないです。だからインパクトの大きさとフィージビリティーというか実現可能性について、1行ずつ書いて、先ほどの岡村先生の案のように、それの総合的な物理的な意義を項目ごとに書く。それは詳しく書くというのがいいのではないかと思います。
【駒宮委員】  例えばヒッグス粒子の精密測定の場合だったら、LHCの場合は例えば10%とかせいぜい5%ぐらいですね。いろいろな崩壊分岐比から標準理論を仮定して、結合定数が分かるので。そうすると恐らく標準理論は正しいということは言えても、標準理論を超えるようなものは多分見付からないですよね。リニアコライダーの場合は、いろいろなものが1%、またはそれ以下でできるので、要するに標準理論を超えるものがそれによって見えるということだと思うのです。この一番下に書くのは。
【梶田座長】  お願いします。
【初田委員】  そのことを聞きたかったのですが、LHCでは精密測定はもう無理なのだ、ヒッグスの発見以後は何もなかったのだという感じで左の欄が書いてあるのが気になります。LHCで精密測定を推し進めると、ILCと競合してくるところもあるようにおもいますので、その辺のグレーなところはどうすればいいか。
【駒宮委員】  でもその精密測定の、例えばヒッグス結合の精密測定という場合は、彼らが今非常にオプティミスティックで言っているのも、5%とか10%とか、そこら辺のオーダーです。ILCとはオーダーが違うのです。
【梶田座長】  今までの議論をまとめてみますと、まず一つ、横の項目には「超対称性粒子を発見」とある前に、「新粒子を発見」を入れる、ジェネラルに入れるべきであること。それから、それぞれの縦・横の項目のインパクトは、別欄で設けるべきであると。あとはエネルギースケールによるはずなどの細かい議論を、どこまでやっていくのか。これは実際書き込んでみないと分からないところもありますが、そこら辺をどうしていくか。大まかには3つぐらいでしょうか。それで、各項目には、基本的には左のLHCを受けて、右というのはILCがあったときに、それの意義を各ボックスには書き込むようなイメージでよろしいでしょうか。
 お願いします。
【山中委員】  何をもって発見というのかは、もちろん物理屋の間ではもっと細かい定義があるのですが、物理屋以外の人に物を説明するのだったら、超対称性粒子であるとか、複数種のヒッグスであるとか、もう少し具体的な形で書いてある方がいいのではないですか。発見と言っても、我々が90何%で発見と言えないけれどもとか言っているときでも、一般的にはそれは発見に近いようなものになっていたりするわけですよね。だから余りそこにこだわらなくてもいいのではないかと、私は考えます。
【駒宮委員】  発見というのはいいと思うのですが、それが超対称性粒子となると、難しい問題ですよね。本当にそれが超対称性粒子かというのは分からないわけですから。何かミッシングPTがあるようなものが発見されたということですよね。それをすなわち超対称性というのは、言い過ぎではないかと思います。実際分からないわけですから。
【山中委員】  ただ、それを言い出すとLHCは超対称性粒子を発見するのだと言って売り込んできたわけですよね。それを本当に崩すのですか。
【駒宮委員】  それを崩すというか、それが現実だからしようがないわけですから。それを崩すも崩さないも、そういうものが本当に超対称性粒子だというのを言えないと発見にはならないわけですね。だからここに別に「超対称性粒子」と書かなければ構わないのです。だから「ラージミッシングPTのイベントが発見される」とか、そういうものだったら全然問題ないです。
【中野座長代理】  LHCで超対称性粒子のようなものが発見されて、その後、ILCでそれが確認されたという非常にハッピーな場合を考えたときに、例えば超対称性粒子を初めに発見したというのは、どこにクレジットが行きますか。
【駒宮委員】  それは難しい問題ですよね。
【中野座長代理】  だからそこがインパクトだと思うのです。
【駒宮委員】  多分そこは違う粒子だと思うのですね。例えば、LHCではグルイーノみたいなものからカスケードディケイして、そういう何かごちゃごちゃとしたイベントが見えたとしますよね。今度はリニアコライダーではグルイーノは作れないので、軽いスーパーシンメトリーの粒子を探索してそれが見付かったという場合は、電子のスピンを変えたり、エナジースキャンをやれば、全てのカップリングが決定されるので、完全に分かるわけです。だからその場合は多分LHCとILCの両方で発見されたことになるのだと思いますが。
【中野座長代理】  だからILCがLHCの発見を助けることもあり得る。
【駒宮委員】  もちろんそうです。それがLHCとILCの相乗効果です。
【梶田座長】  お願いします。
【松本委員】  LHCで何か新しい新粒子っぽいものを見付けたときに何が起こるかというと、この模型だったら、このプロセスで、このパラメーターで説明できる。SUSYだったら、これ、コンポジットヒッグスの例えばトップパートだったら、これというのが、乱立すると思う。その後、ILCが走って、スピンとかクロスセクションとかカップリングの精度を測られると、いろいろなものが死んでいって、最後、スーパーシンメトリーが残るかもしれないし、違うものが残るかもしれないわけです。ですので、超対称性が見付かったのだなという話になると思うのです。クレジットの話は、僕は全然知らないのですが。
【中野座長代理】  理論の方にお尋ねしたいのですが、LHCで実は新粒子が見付かったとしますよね。
【松本委員】  はい。
【中野座長代理】  物すごい集中があって、これは超対称性粒子だというところまで理論は行ってしまうのではないかと思うのですが。LHCの実験結果、今の段階だと、本当にあるかないかも分からないし、実験結果も出ていないから。
【松本委員】  何か見付かったときですか。
【中野座長代理】  はい。何か見付かったときに。
【松本委員】  超対称性粒子と行くか。行かないと思います。だって、今ヒッグスが見付かっても、まだヒッグスでないという話も残っているぐらいですから。
【中野座長代理】  あれはヒッグスではないと言っている人もいる。
【松本委員】  まだきちんと残っています。だから、何%、何%といったときに、SUSYの人は帰ってくる可能性がありますが。
【梶田座長】  お願いします。
【山内委員】  今日もフレーバーとかニュートリノの話を聞きましたけれども、LHCの話は、今の話を含めてお聞きした方がいいのではないでしょうか。つまり、超対称性粒子は一応発見できると言っているわけですけれども、あればね。それがどのぐらい信頼するに足るべきものなのかは、発見はできないとおっしゃる方もいるでしょうから、きちんと聞いた方がいいのではないでしょうか。
【梶田座長】  そうですね。特に、今日お聞きしていて、LHCの現場でやっている人が今日は一人もいないので、なかなか議論ができないと感じていたところです。
 お願いします。
【酒井委員】  この表を埋めるのは、私はほとんどコントリビューションできないけれども、非常に面白いなと、必要だろうと思うのですね。岡村先生の観点が外から見たときは重要で、物理的意義がないとかいうことはほとんどない。僕が最初に言ったのですが、ないわけですよね。これは、例えばILCを日本で作ることを前提にしているわけではないですよね。いわばこの表を作るときは。そうですよね。外からの人が見たときに、これはいろいろあって、面白い話というのは、全体的に分野がいろいろあって、本来はそれとの物理的意義でするというのは難しくて、でも何かのクルーを与えないと、委員会から出てきたときのものには、いつでも、世界のどこかでできるかもしれないけれども、物すごくいいものであると。でも、もしかすると、それをやること自体は、ほかは全部死ぬということもあり得るわけですよね。だから、日本国にとってどうするかということを、どこの、ここで議論しなくてもできるはずもないとは思いますが、ただここにいろいろな分野の専門家がおられて、それなりの判断もできるかもしれないですよね。一体ここのミッションは、最初に僕が聞いたのですが、何なのだろうなと、意義を確かめる会だったら、それで結構でございますが。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  事務局から補足させていただきますが、もともとはILCの科学的意義についての御議論ということですが、ILCのプロジェクト単体ということではなくて、広く素粒子原子核分野の、今後我が国として何をすべきかということを考えたときに、その中でILCの意義も含めてどのように考えていくかというのをスコープに入れてくださいというのが、実は第1回の会合の中でございました。壮大な内容なのですが、単にILCが丸、三角、バツということではなくて、次に何をすべきかという議論の中で、ILCに何が求められるかということを議論していただきたいと。こちらでお示しした内容はそういう内容でありました。そういう意味では、今御議論されている中で、例えば何かがあった場合に、それぞれの目的に対して、次に我が国がどのようなアプローチをとるべきなのかというところですね。多分全部やれれば一番いいのだと思いますが、その中で。
【酒井委員】  それをおっしゃっている意味は、時間の関数だと言っているようにも聞こえるのですね。僕は、意義はなくはないからILCをやったらいいと思うのですが、ただ10年後なのか、20年後なのか、100年後なのか。極端に言えばですね。だから今の時点で、日本国の財政に全く影響なく議論していいのだったら簡単ですけれどもね。財政まで考えてやるのだったら、ここの場でいいのかどうかは僕は分からないですが、感想ぐらい述べられますが。どうなのですかね。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  もちろん、全く、まずはこれはやるべき、これは今すぐやらなくてもいいという、時間の関数という観点もあろうかと思います。中には順番は前後しても、全部きちんとやるべきというものと、可能性が例えばなくなって、箱によっては、そこはしばらくやらなくてもいい、中身は全く度外視をして定性的にお話をさせていただきますけれども、そういう次のアプローチを決めるときに、どのような姿勢を持っていけばいいのかということが、もし浮かび上がればいいのかなと思って、事務局としては今御議論を伺っておりましたので、先ほど御示唆があった時間的な観点というのも、御議論されてみてはいかがかと考えます。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 ただし、一応、まずは我々としては11月の有識者会議にここでの検討状況について報告する必要があるのですが、もう一度、本作業部会はありますが、そこである程度まとめて、まずはとりあえず今の段階のまとめを作っていかないといけないのですが、それを見据えたときに、今何ができるかということを。
【駒宮委員】  まとめというのは、どの程度のものを作るのですか。それを先生が発表されるのですよね。
【梶田座長】  はい。現段階でこういうところまで議論ができていますという、私はそのように認識しております。別にこれが中間報告とか最終報告ということではありませんので。
【嶋崎素粒子・原子核研究推進室長】  事務局としては、進捗報告ということで、これまで議論した内容について御報告いただこうと思います。
【駒宮委員】  分かりました。
【初田委員】  一つのやり方は、左側の縦に並んでいる箱については、委員会としては細かく書き込んでおいて、後で幾つか統合できるところがあれば統合すればいいように思います。初めから大ざっぱに書くのではなくて、最初は細かくてもいいから物理屋としてきちんと書いて、それで後で統合していく。その場合には、本当の専門家でないと埋められないところがあるので、まずは専門家の方々に細かくていいから埋めていただいて、そのあとで、委員会で統合できるところがあるかどうかとかいう議論を次回することが、一番プラクティカルではないかと思います。
【梶田座長】  ありがとうございます。
 今の初田先生からの御提案ですが、とりあえず有識者会議への現状報告について、今のような形で、次の作業部会までの間に、LHC関係の専門家の方とILC関係の専門家の方には具体的にいろいろと作業していただかないといけないかと思いますが、そのような形での作業方針でよろしいでしょうか。
 お願いします。
【横山委員】  既にコメントが出ておりますが、素粒子全体のフレーバー物理にしろ、ニュートリノ物理にしろ、どういう大きな問題に向かって、どういうプロジェクトが動いているのかという整理された図を、是非お持ちいただいて、それぞれの進捗状況とともにそのILCの意義を御説明いただくという、少しスケールの広い資料も是非ともお持ちいただけるとよろしいかと感じております。よろしくお願いいたします。
【梶田座長】  ありがとうございます。
 今の御提案は非常によろしいかと思うのですが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。これは具体的に誰が素案を作るのでしょうか。では、私が取りまとめをすることは差し障りないのですが、各分野の専門家の方はいますので、私で指名をさせていただき、情報を集めながら進めるということでよろしいでしょうか。これについては、フォーマットが今日は出ていないこともありますので、一任ということでよろしいですか。絵を描くのか文章にするのか、そこら辺も含めて今後考えていきたいということで、よろしいでしょうか。
【駒宮委員】  そういう一つ一つのプロジェクトよりも、要するに今どういうビッグプロブレムがあって、大きな問題があって、それに対してどのような実験があるか、どういうことをやっているかというまとめだと思います。
【梶田座長】  もちろんそのような、要はこの分野としての大きいピクチャーを描いていくということだと。多分そのように。それがいいかどうかは分からないのですが。
【駒宮委員】  その3色刷りのものは、いつでもおかしいとおもうのです。だって、もうアメリカは何とかフロンティアというものをやめたわけですよね。あれは物理的に意味がないということで、コズミックフロンティアとか、インテンシティーフロンティア、エナジーフロンティアと、3つに分けるのは、やめてしまったのですね。この判断は非常にえらいと思いますね。もっときちんと物理から議論するべきということですから。
【梶田座長】  もう一つは、この作業部会としまして、本日の山内先生の3ページ目のこのようなまとめの切り口以外にも、宇宙観測ですとか、そういうことも議論しておりますので。
【酒井委員】  そうですね。そちらを入れないといけないのではないかな。
【梶田座長】  そこら辺も含めた形で大きいまとめを、現在検討していることのまとめを作っていきたいと思います。
 では、大体このような形で、そうしましたら、今日出ている資料6ですけれども、これについては、まず項目を今日の議論に従って直していただいて、あとは恐らく徳宿先生と駒宮先生に御協力いただきながら、これをどのように埋めていくかという素案を作っていただくということかと思いますが、よろしいでしょうか。
【中野座長代理】  できれば、その素案のときに、一番右と左の意見が出ていると、非常に我々としては議論をしやすいのですが。
【駒宮委員】  極端な意見。
【中野座長代理】  だから、駒宮さんは、全部ILCはインパクトがあるという方向で書かれるのではないかと想像するのですが、そうではないという、こういう意見があるというのと、2つ出てくると。仕事量は倍になると思うのですが、駒宮先生と徳宿先生に両方書いていただいた方が分かりやすいかと思います。
【駒宮委員】  どこかで談合しないといけないですね。
【中野座長代理】  それはもう御自由に。
【梶田座長】  では、すみませんが、お願いします。
 もう一つ、今提案がありましたように、もう少し広い分野を、関連分野も含めた形での分野の大きい動向についても検討している内容について、まとめていきたいと思いますので、そちらは私から指名をこれからしていきますので、よろしくお願いします。
 では、今後の議論の進め方につきましては、以上でよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 次回以降の進め方につきまして、事務局から説明があるということですので、お願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  今御提案がありました2件について、まず議論したいというのが1点と、先日、初田先生から提案がありました、ダイソン先生の話ですが、要するに加速器がこれからどんどん大きくなっていくことに意義があるかどうかという話があったと思いますが、その辺の議論をどうするかということが一つ残っております。それで、先ほど御議論いただいた2点のポイントを整理した上で、進捗報告案について、次回は議論したいと考えております。
 以上でございます。
【梶田座長】  はい。
【駒宮委員】  全体のピクチャーを作る段階で、恐らく、将来計画検討小委員会がありましたよね。それからヨーロピアンストラテジーというのもありました。それからアメリカのP5というのがありました。そこら辺で相当いろいろな深い議論がされているので、そういうものを参考にしてやっていただきたいと思います。
【梶田座長】  はい。ありがとうございます。
 では、初田先生からあったダイソンさんのことについては。
【初田委員】  余りダイソンと言われると、この前もお叱りを受けたので困ってしまいますが、酒井さんがおっしゃいましたように、研究の意義は非常にあっても、今すべきことか、100年後でもいいのかということは、科学的価値とは別の判断になるので、財源や人材なども頭に入れて議論しなければいけないと思います。
 それから、超弦理論などに基づく広い観点からのお話は聞いていません。超対称性はGUTスケールやもっと高いスケールでは実現しているけれども、LHCやILCで届くスケールには何も見えないという可能性もあると言われる方が現役の素粒子論研究者にもおられます。なので、超対称性は本当にILCで見える可能性があるのだろうかというところを、素粒子論・超弦理論の専門家からお聞きたいという気がします。これは先でももちろん構わないと思いますが。
【梶田座長】  ありがとうございました。では、この点につきまして、そのようなコメントだったということで了解して、将来少し議論に入れるかもしれないということで、御理解いただけますでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、本日の議論は大体出尽くしたかと思いますので、以上、議題3につきましては、終了したいと思います。もし何か後で更に御意見等がありましたら、会議終了後、事務局まで御連絡いただければと思います。
 本日の議題は終了いたしますけれども、最後に事務局から連絡事項があると聞いておりますので、お願いいたします。
【成相加速器科学専門官】  本日の議事録につきましては、後日メールにて各委員に御照会したいと思っております。それから、前回の議事録につきましては、特に御意見がないようでございましたら、今後ホームページに公表したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。特に意見がないようでございましたら、そのようにさせていただきたいと思っております。
 それから、次回の日程でございますが、10月21日の15時からとさせていただきたいと思っております。
 これまでと同じように、会議資料につきましては、必要であればこちらからお送りしますので、お席に置いていただければと思っております。
 以上でございます。
【梶田座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の会合を終了いたします。今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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