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戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会(第4回) 議事録

1.日時

平成26年6月27日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省17階 研究振興局会議室

〒100-8959東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 検討会報告のとりまとめ
  2. その他

4.出席者

委員

大垣座長、阿部委員、有信委員、大隅委員、笠木委員、片岡委員、角南委員、竹山委員、辻委員、中小路委員、西尾委員

文部科学省

小松研究振興局長、山脇大臣官房審議官(研究振興局担当)、磯谷大臣官房審議官(研究開発局担当)、安藤振興企画課長、行松基礎研究振興課長、岩渕基礎研究推進室長、浅井基礎研究推進室長補佐

5.議事録

【大垣座長】 
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会の第4回を開会いたします。本日は足元の大変悪い中、また御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 今回も前回と同様に、原則公開としております。
 まず事務局より、配付資料の確認などをお願いいたします。

【浅井室長補佐】
 本日の資料は、資料1及び2と参考資料1から9までと、「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」中間報告(平成26年5月26日学術分科会)のポイントを机上配付資料という形で置かせていただいております。過不足がございましたら、お申し付けください。
 なお、近藤委員につきましては、本日欠席の御連絡を頂いております。

【大垣座長】
 ありがとうございました。
 本日は、この会議の前半は、これまでの第1回から第3回までの御議論を踏まえた本検討会の報告書案について御意見を頂き、後半は、報告書にとどまらず、戦略的な基礎研究に関して広く御議論を頂ければと考えております。前半は、お一人ずつ御意見を頂こうかと思っておりますので、よろしくお願いします。
 まず、報告書案の議論に入る前に、学術研究との関係について、参考資料1及び2にあります、先般、学術分科会が取りまとめた「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」中間報告において、学術研究との連携に関する記載があります。西尾委員は、当該報告書の議論を中心的に行った学術の基本問題に関する特別委員会の主査を務めていらっしゃいますので、西尾委員に学術研究との連携に関して簡潔に御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【西尾委員】 
 それでは、御指名でございますので、参考資料1と参考資料2を参照しながら、御紹介いただきましたように学術分科会の下の学術の基本問題に関する特別委員会において主査を務めておりますので、中間報告について簡単に紹介させていただきます。
 学術分科会では、近年の学術研究を取り巻く環境の悪化と、それによる我が国の強みの喪失への危機感から、学術研究の在り方等について抜本的な審議を行ってまいりました。報告書全般につきましては是非お時間のあるときにお目通しいただきたいと思いますが、本日は特に戦略研究との関連部分についてのみ説明をさせていただきます。
 参考資料2の「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」中間報告の14ページを見ていただきたく思います。我が国の学術研究の現状と直面する課題を踏まえた上で、学術研究が社会における役割を十分に発揮するための具体的な取組の方向性について記述している部分なのですけれども、デュアルサポートシステムの再構築ということで基盤的経費の確保や意義の最大化、科研費改革についての記述に続きまして、この14ページの冒頭から、科研費以外の競争的資金について記述をしております。
 最初の丸の2段落目におきまして、戦略研究等の推進に当たっては、各々の資金の趣旨・目的を踏まえた透明性の高い評価等を行うことが重要であるとともに、各々の役割分担を明確にした上で相互の連携を図るなど、バランスの取れた振興施策が必要である旨記述を致しております。科研費の研究成果等に係るデータベースの活用など、客観的根拠に基づき戦略的に研究を推進することが求められているとし、本検討会での議論も踏まえた記述となっております。
 本検討会においてもこれまで学術分科会での議論を踏まえた発言もさせていただいたところであり、引き続き相互に連携を図った上で戦略研究の在り方について検討を進めていくことが重要と考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。以上です。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 それでは、議題1の検討会報告のとりまとめに入りたいと思います。前回の報告書骨子(案)を踏まえ、事務局と相談しながら報告書(案)を作成いたしました。報告書(案)について、事務局より説明をお願いいたします。よろしく。

議題1:検討会報告のとりまとめ

【岩渕室長】
 それでは、資料1と資料2ですが、資料1は資料2の概要となっておりますので、資料2の方で御説明をさせていただこうと思います。
 この資料2につきましては、事前に委員の皆様にもドラフト段階で何回か往復をさせていただきまして、委員の皆様の意見も様々頂きました。それを反映した形ということで今日は準備いたしましたので、これを基に本日最終的に御確認いただければと思います。
 1ページ目、「はじめに」です。検討会の報告背景を書かせていただいております。今日の社会の持続発展には知識の生成、伝達、活用が非常に大事、知識集約型の社会・経済活動がもたらす付加価値が非常に重要であるという認識を示しております。
 二つ目の丸です。イノベーションへの期待が今、非常に高まっている。特に科学的・技術的知見に立脚したイノベーション、科学技術イノベーションといった言い方も致しますけれども、こうしたものは非連続的な発展を引き起こすということから、社会・経済に対して持続可能な競争力をもたらすということで大きく期待されている。
 三つ目の丸です。科学的知見、新たな「知」はこうしたイノベーションの核である一方で、そのままの姿では社会的・経済的な価値に直結しないことも多く、「知」の展開を円滑に行える仕組みが必要であるという認識を示しております。
 四つ目の丸です。「知」の創出や展開の機会を増すことが極めて重要である、基礎研究がその要となるわけですが、この基礎研究には高い不確実性が伴い、市場原理に委ねるのみでは十分に取り組まれないということから、基礎研究の推進は政府の責務であるという認識を示しております。
 五つ目の丸です。「知」の創出の多くの部分を担う学術研究が基盤ということで、今、西尾委員からも御説明があったような検討がなされているところですが、その学術研究とともに、こうした「知」を社会・経済的価値に向けて発展・展開させるといった観点からの戦略的な基礎研究の推進も重要であると書かせていただいています。
 下から二つ目の丸ですが、我が国におきましては、科学技術振興機構(JST)の方で、戦略的創造研究推進事業がこれまで中心的な役割を果たし、認知をされてきた、成果も上げていたところです。
 一番最後の丸です。今日「知」を巡る競争が極めて激化をしているということであり、このタイミングで少し足元を見直し、「知」を社会的・経済的価値に結び付けていくための戦略的基礎研究のシステムの進化を図っていく必要があると書かせていただいています。
 2ページの一番上のところですが、「そのため」ということで、国は、戦略的な基礎研究の意義や仕組み、効果について明確なメッセージを発信しつつ、例えばそうした意義の明確化、概念を分かりやすい形で整理すること、あるいは戦略を策定する仕組みを効果的であり、かつ透明性の高いものにすること、こうした課題に取り組む必要があることが生じているということです。
 二つ目の丸ですが、以上のような問題意識から、大局的・長期的にこのシステム全体を俯瞰して、基礎研究を起点としてイノベーションを生み出すという方策を考えるというために、この検討会を開催し報告書を取りまとめたもので、ここまでが「はじめに」ということで基本認識を示した部分です。
 2ポツですが、戦略的基礎研究に関する整理ということで、ここの報告書で取り扱う戦略的基礎研究とは何かということを簡潔に書かせていただいております。一つ目の丸ですけれども、通常、基礎研究といった場合には、基礎研究、応用研究、開発研究といった分類で考えられることが多い。二つ目の丸ですが、しかしながら、このリニアモデル的な分類だけでなく、近年はストークスによる分類もよく用いられるということで紹介をさせていただいている。
 3ページ目。このストークスの分類の中で、用途を考慮した基礎研究、パスツール型研究という部分がありますが、ここの部分につきましては、根本原理の追求と社会的便益の追求を表裏一体として行うという基礎研究です。この用途を考慮した基礎研究に基づく非連続的なイノベーション創出が近年、国の持続的競争力の源として注目されているということです。
 このパスツール型の研究ですが、これはその定義上、純粋基礎研究あるいは純粋応用研究といった異なる二つの研究の性格を併せ持つような研究ですので、アプローチを少し分けて考えますと、「出口を見据えた研究」、「出口から見た研究」といった二つのアプローチに分けて整理することができる。政府が推進を行う際には、このアプローチの性格を意識しながら推進すべきと書かせていただいております。
 三つ目の丸ですが、「出口を見据えた研究」につきましては、研究者が主体となり、研究の進展により実現する未来社会の姿を見据えて実施される研究であると書きました。
 その次の丸には、「出口を見据えた研究」におきましては、この出口というのは研究の進展により実現する未来の社会の姿というふうに設定され、粒度としては広がりがあり、実現までの時間は比較的長く、また研究としての展開が広がっていくような性格を有する。
 次の丸ですが、一方、「出口から見た研究」につきましては、これはPM、PDといった方々が主体となり、現在まさに直面している明確な課題の解決のために行われる研究ということです。こうしたタイプの研究につきまして、その出口は粒度としても極めてシャープなものであり、また実現までの時間は相対的に短い、研究も1点に収束していくような性格を有する。
 このように、「出口を見据えた研究」と「出口から見た研究」における出口というのは、性格において差異がある。こうした差異に留意しながら、一般に出口といいますと狭い意味で課題解決と用いられることも多いが、「出口を見据えた研究」におきましては、こうした狭い捉え方をしない必要があると書かせていただいております。
 下から二つ目の丸ですけれども、イノベーションを短期的な経済効果をもたらす技術革新とした捉え方に基づく議論は活発に行われているわけですが、高度な知的基盤社会の構築に当たり、「出口を見据えた研究」に基づく施策の立案もしっかり確立する必要がある。この辺の議論が今まで政府の中でも不十分であり、この検討会におきましては「出口を見据えた研究」の在り方につきまして議論の深化を行ったということです。
 4ページです。「出口を見据えた研究」を推進する必要性につきましては、最初の丸ですけれども、新しい「知」、科学的知見は公共性を有するもので、政府がこの振興を図る必要があると一般的に言われている。民間企業が行う研究開発とは一線を画し、そうした政府の役割が求められているということです。
 二つ目の丸ですが、こうした「出口を見据えた研究」に関するファンディングとしてはJSTの戦略的創造研究推進事業があります。これはiPSあるいはIGZOといった成果を創出し、一定の社会・経済的な影響を与えてきたところです。
 最後の丸ですが、このような、我が国の研究者が生み出す優れたイノベーションの素(もと)を確実に見いだすことにより、我が国の社会・経済は持続可能な発展をもたらすことができるのではないか、こうした観点から、「出口を見据えた研究」に対するファンディング施策を行うことは必要と書かせていただいています。
 5ページ目に参ります。最初の丸ですけれども、「出口を見据えた研究」につきましては、推進主体が研究者であることを踏まえ、研究者の持つ発想と社会・経済的な価値を有する目標の実現をつなげることが必要になってきます。つなげるための政府の戦略が必要になってくるということです。以上が、「出口を見据えた研究」という、我々が着目する概念についての定義のようなところです。
 ここから3ポツで、「出口を見据えた研究」の具体的な在り方について提言するセクションです。3ポツの最初の丸ですが、「知」を広範に探索する、あるいはそれによって社会・経済的価値に向けて、それを効果的・効率的に育成するための手法を構築することが今求められているということです。
 二つ目の丸ですが、こうした「出口を見据えた研究」のための戦略創造事業を考えますと、文部科学省が定める戦略目標が事業の根幹となっており、この目標について、「出口を見据えた研究」の趣旨を踏まえて適切なものが策定されるように、戦略目標の策定指針を定めることが必要である。あるいは、政策マネジメントのサイクルをきちっと整理して、繰り返し策定指針が改善されていくような仕組みを設ける必要があると書いております。
 (1)戦略目標策定指針という部分の一つ目の丸ですが、「出口を見据えた研究」の趣旨を踏まえて目標が策定されることを担保する必要がある。そのために、目標の策定指針が必要であり、次のように定めるべきと書かせていただいています。
 最後の丸ですけれども、戦略目標策定指針の全体構成として、下の1)、2)、3)といった順にそうした流れで戦略目標を策定すべきである。1)が研究動向の把握、2)が注目研究動向の特定、3)で、そうしたものを踏まえた上で、社会・経済への影響の推量と、こうした1)、2)、3)の流れに沿って目標を定めるというのが全体の大きな絵になるということです。
 6ページ目に参ります。そうした全体の流れの中で、個別の手順として目標の策定はどう行うべきか、ということで、策定のための個別の手順を書かせていただいています。Step1、2、3ということですが、Stepの1番目は、基礎研究をはじめとした研究動向の俯瞰です。一つ目のポツとして、国内動向の俯瞰ということで、これは例えば科学研究費助成事業の成果を確実に把握することなどにより、我が国の研究者により創出された知の広範な把握を行うことがまず必要であるということを書かせていただいています。そのために、データベースの活用、こうしたものが重要になってくるということを書かせていただいております。
 次のポツ、世界動向の俯瞰です。世界における研究動向の俯瞰も必要ですが、この点につきましては、この検討会でも御紹介いたしましたNISTEPにおきますサイエンスマップといった俯瞰図、こうしたものが既に整備されてきておりますので、こうしたものを十分活用することが大事であると記載させていただいております。
 次、Step2ですが、知の糾合による注目すべき研究動向の特定という部分です。一つ目のポツでは、最新の研究動向に関して知見を有する組織・研究者に対する意見聴取が必要であると書かせていただいている。Step1のような論文情報だけでは、過去の状況を表すだけで最新の動向を表さない可能性がある。これを補う観点から、組織・研究者に対する意見聴取が必要である。例えばということで、JST研究開発戦略センター(CRDS)の活動で戦略プロポーザルのようなものがあり、こうした優れた分析情報を活用していくことが必要であると書いております。
 7ページになります。意見聴取に当たりましては、そこの一番上に1)、2)、3)、4)といった観点を挙げており、このような観点から、有識者の方々にエビデンスベースドで得られた研究動向に関して補完するような御意見を聴取することが大事だと考えている。
 次のポツ、注目すべき研究動向の特定です。エビデンスあるいは意見聴取の結果を踏まえ、文部科学省としては最終的に注目される研究動向の一覧を作成すると。文科省としては全体を俯瞰しながら、研究動向の注目度、発展可能性等の観点から、注目すべき研究動向を特定することになる。
 Step3ですが、科学的価値と社会・経済的価値の両立可能な目標の決定という部分です。これは、最初のポツですが、社会、経済に与え得る影響の推量が重要である。この注目すべき動向が社会経済にどのような影響を与え得るのか推量するため、文科省としては、研究動向に関係する研究者と国内外の産業界やベンチャーキャピタルなどの知見を有する識者、ニーズ側の知見を有する識者の方々との間の対話の場、ワークショップのようなものを開催し、JSTなどにおきまして開催に関する知見が非常にありますので、これを活用しながら開催し、社会・経済に与えるインパクトの推量を行うことが必要であると書かせていただいている。
 7ページの最後ですが、こうしたStep1、2、3というプロセスを経て、文部科学省としては、注目した研究動向、その研究の進展により実現すべき未来の社会の姿、その研究の振興方針を記載した戦略目標を策定するに至ると書かせていただいている。
 8ページに参ります。戦略目標の策定に当たっての留意事項として二つ挙げています。一つは、戦略目標の粒度については、研究者のモチベーションを保つような目標となるよう留意する必要がある。例えば、過度に先鋭化された目標を掲げることで、研究者の自由な発想が入る余地がなくならないよう、研究を委縮することがないよう留意が必要と書かせていただいている。
 (2)政策マネジメントサイクルの確立です。戦略創造事業における戦略目標の策定プロセスを透明性のより高いものにする必要がある。また、戦略目標の策定に関して評価を行いながら常に改善が行われるようなプロセスを設けるために、政策マネジメントサイクルを確立する必要があるということが必要であると書かせていただいている。
 9ページです。絵に描いてあるPDCAにつきまして、それぞれ四つの丸で書かせていただいています。一つ目の丸は、企画立案(Plan)の部分で、戦略の策定手順を規定する指針を定める。この指針に基づいて文科省は目標を策定する。
 二つ目の丸ですが、実施(D)の部分につきましては、JSTが目標策定指針に基づいて定められた目標の下で事業を運営し、公募などにより課題を特定し、基礎研究を推進していくことが必要である。
 三つ目の丸ですが、評価(C)の部分です。戦略目標に関する評価ということで、三つぐらいの評価軸があるのではないか。一つは、目標策定指針自体に対する評価を常に行っていくということ。二つ目のポツですが、戦略目標を文科省が策定する際にこの策定指針にのっとってきちっと手順的に策定されたか、こうしたプロセスに関する評価。そして、最後のポツで、実際にどのような研究成果が出たのかということについて実施フェーズに関する評価。こうしたものが評価として必要になってくる。
 その上で、PDCAのAの部分ですが、こうした評価の結果を踏まえて、目標策定指針を常に改定していく必要があると書かせていただいている。
 また、必要な体制の整備ということで二つ丸を書かせていただいている。こうした目標の策定に当たっては、学術界や産業界の双方の有識者が参加するような検討の場を整備しながら策定指針の改定に努めていく必要があると書いている。また、毎年度評価を行いながら指針の改善を図る必要があり、検討の場は常設のものとする必要があると書かせていただいている。
 (3)ですが、留意事項が幾つか書かれております。一つ目の留意事項としては、学術研究から展開して出口を見据えた研究が行われるためには、最適な研究者群の形成が必要であり、そうした事業運営が必要であること。二つ目のポツですが、こうした基礎研究に当たってはやはりserendipityが一定の役割を果たすので、これを一定程度許容する仕組みが必要であることで。
 次のポツで、「さらに」ということで、研究者がモチベーションを持って研究に取り組める制度であるように留意すべきである。
 次のポツで、これは「出口を見据えた研究」に関する報告書でありますけれども、「出口から見た研究」など他の研究類型との関わり、交差を意識しながらの柔軟な事業運営が必要である。
 次の丸ですが、「例えば」ということで、学術研究に対して「出口を見据えた研究」の側から貢献していく、そうした観点。あるいは、「出口から見た研究」の発想を時折体感しながら、「出口を見据えた研究」を行う研究者が研究を実施していく。これを踏まえながら全体最適を図るような柔軟な事業運営が必要であると書かせていただいている。
 真ん中ほどで、「特に」ということで、例えば「出口を見据えた研究」の推進主体である研究者と、「出口から見た研究」を推進するPMとが交流するような場面、こうしたものも極めて大事と書かせていただいている。
 また、人材育成の観点ですと、上記問題意識を踏まえ、これはJSTが実施主体になりますが、JST全体として研究者を目利きするとともに、適宜的確な助言を行えるような人材の育成も大事と書かせていただいている。
 最後、4ポツ、今後求められる取組みとして幾つか書かせていただいている。戦略創造事業の当面の推進方策として、当然ですが、この報告書を最大限尊重し、科学技術イノベーションの創出に向け、効果的・効率的な事業推進をやっていく必要がある。
 また、26年度における推進方策ですが、文部科学省は、この報告書において定められた目標策定指針に基づき、来年度の戦略目標の策定を進めるべきである。
 最後のページ、11ページでますが、戦略目標の今年の策定に当たっては、文科省は策定状況について適宜この検討会の構成員の皆様に報告しながら、策定がきちっとこの策定指針に基づいて行われたかどうか意見を聴取していくべきである。
 最後に、来年度以降の推進方策ですが、今後、恒常的な検討の場が必要であるということで、27年度以降につきましては、科学技術・学術審議会にこうした戦略的な基礎研究の運営評価のための検討の場を設け、恒常的に政策マネジメントサイクルを回していく必要があるというふうに書かせていただいている。
 最後、その他ということで、この報告書に記載されたような内容の実施に当たっては、当然ながら、文科省の行政官に十分な能力・資質が必要ということであり、この能力・資質の向上を引き続き図っていくこと、また、目標は文科省の行政官のみの知見で当然策定できるものではなく、NISTEP、CRDSのような公的なシンクタンクなどとの連携も図りながら絶えず改善を図っていく必要があると書かせていただいています。
 以上、11ページの報告書の概要をかいつまんで御説明申し上げました。以上です。

【大垣座長】 
 御苦労さまでした。ありがとうございます。
 ただいまの説明を踏まえて、報告書(案)について御意見をいただければと思います。事前に送付させていただき、御意見も頂いているところでございますが、できればお一人ずつお願いできればと思っております。実はまだ時間は十分あるのですが、早退される方もいらっしゃいますので、竹山委員、片岡委員、中小路委員は幾らか早く退出されるので、後ろの方に回ると御意見を頂く時間がなくなるかも分かりませんので、もしよろしければその3人にまず御意見を頂ければと思うのですが、いかがですか。
 片岡さん、いいですか、じゃあ。

【片岡委員】 
 そうですか。私? まだ時間十分あるのですが。

【大垣座長】 
 2度目の発言もどうぞ後で。

【片岡委員】 
 では、僭越(せんえつ)ながら最初に発言させていただきます。報告書全体としては、ここで議論した内容が非常によく反映されていますし、大変分かりやすくて、非常に良く仕上がっているんじゃないかなと思いました。
 それで、個々のことでちょっと気が付いたことを申し上げますと、3ページの上の方に、根本原理の追求と社会的便益の追求が表裏一体となった基礎研究、これはまさに本来大学の工学部はこういう研究をやるというために設立されたと考えていますから、そういう点では非常に的を射ていると思います。
 ただ一方において、科研費も細目を見るとかなり用途を考慮した細目がありますよね。それから、出口から見た研究というのが同じページの真ん中辺に書いてございますが、これはプログラム・マネージャーとかプログラム・ディレクターというものが非常に重要な役割を果たすというふうに定義されている。これだけ見ると、つまり、ここで言う用途を考慮した基礎研究というのは、研究者の発想を十分に生かして個々にやるというようなイメージが出てくる可能性もあるのですが、そうなると、今度は科研費との違いがどうなのかということがありますよね。
 一方、実際今までここでやってこられてかなり高い成果を出しているということで、戦略的創造研究推進事業、これと科研費との違いはやっぱり研究総括ですよね。つまり、割ときちんとした目標を定めるということと、それから、研究総括を置いて、目利きと言ってもいいのでしょうけれども、そういう方がかなり重要な役割を果たしている。ですから、そのことをやはりどこかに書いておいた方がいいのではないかと。
 そうしないと、これだけ見ていると、用途を考慮した基礎研究は、原理の追求と便益の追求が表裏一体となって、これは一方で科研費のそういう細目がある。それから、出口を見た研究は、PM、PDが主体になっている。そうすると、ここで言う用途を考慮した基礎研究というのは、もちろん研究者の発意は大事なのですが、それで個々にやっている。そうすると、じゃ、科研費とどう違うの? という話になりかねないので、やはり研究総括の重要な役割を、後ろの方の絵には出てくるのですけれども、文言の中に出てきていないので、どこかに入れた方がより意図がはっきりするかなと思いました。以上です。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 特に直接の反応は、今はよろしいですね。

【岩渕室長】 
 非常にもっともな御指摘だというふうに受け止めました。

【大垣座長】 
 もしよろしければ。
 はい、どうぞ。

【竹山委員】 
 全体的にすごくストーリー性があってよろしいかと思います。
 大きな理念を書いているところと、実行計画的なところがありますよね。例えばPMやPD等の具体的な名称が出てきておりますが、それらを推進しているプログラムが現在立ち上がっていますね。非常に必要なことなのですがそのポジションが社会でどれだけの認知度があるのかによって、優秀な人材が集まるかが決まるのではないでしょうか。その重要性を考慮すると、本来は、研究をやっても一流だけれども、PM、PDの重要性を理解してその道に入ることを選択した、という優秀な人材が必要なのだと思います。社会的ステータスの格上げが必要だと思います。誰にでもなれるものではないということを分かってほしいということもあります。もう少し、踏み込んで書き込んでもよいかと思います。
 あとは、最後の「その他」の項目も気になりました。文科省の方々のスキルアップの必要性が書かれておりますが、研究プログラム等を策定している例えばJSTのような機関に関しても同様かと思います。JSTは大きな機関であり、文部科学省の直結機関とみなされるところでもありますのでJSTに関しても言及してはいかがでしょうか。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 もしよろしければ。

【中小路委員】 
 3点ございます。1点目は、私は、最初、第1回で、出口という言葉がよく分からないと指摘させていただいたところ、いろいろ御説明していただき、報告書(案)の方は非常にすばらしく説明していただいています。報告書の方の3ページ目ですが、出口を見据えた研究と出口から見た研究の違いとか、すっきり書いてあって、出口を見据えた研究というのが固有名詞的に、こうしたことをしたくて、それを、出口を見据えた研究と呼ぶんですという意図が分かって非常に良いと思います。ところが、こちらの概要の方になった途端に、突然、出口を見据えた研究から始まるので、こちらは非常に一般的な名詞句として使われているような印象を受けます。概要だけ読むと、やはり出口って何だ? という疑問がわきます。多くの研究者にとっては、「出口」というものはないように思うのですね。どんどん広がっていくのが研究なので、いきなり出口と言われるともうカチンときて、カチンとこない人しか興味を示さない。出口が好きな人たちです。出口が好きな方たちの研究というのは、落としどころを見て研究されているのでそんなに広がらない。全然キャラが違うと思います。といったことを含めて、どういうことをしたくて、それを「出口を見据えた研究」と呼んでいるのかということを、恐らく概要の方がどんどん一人歩きするんだろうなと思いますので、こちらの概要の方でも是非頑張って定義を入れていただいて、説明的に書くのではなく、こういう意味で使っているというのをきっちり書いていただければうれしいなと思います。ターゲットとしたい研究者の心により響くものができていくだろうと思います。
 2点目は戦略目標の立て方ですが、出口から見た研究と出口を見据えた研究で、恐らく戦略目標のどのレベルまで立てるのかということがものすごく変わってくるのだろうと思います。ところが、戦略目標の立て方のあたりに関しては、従来の出口から見た研究のときの戦略目標の立て方と余り変わってない。ワークショップをしますとか、分野を調べますとか、総括を立てますと、何か今までやっていたこととの違いが余りよく分からないように思います。出口を見据えた研究の方で、どういうふうに目標を立てて、それをどういうふうに研究者に告知して、出口を見据えている研究者が主体的に動くような人を探すのかというところは、もう一工夫あれば更に良いのではないかなと思いました。
 3点目ですが、これは出口から見た研究の方も、出口を見据えた研究の方もそうですが、総括がいらっしゃるようなCREST、さきがけにしても、アドバイザーという方たちが、今、私も時々入っていますけれども、いらっしゃいます。その方たちが、総括と必ずしも向いているところが同じではないときがあって、非常に混乱を期している場面が、しばしば、私が関係する情報系では見られるように思います。このような混乱があると、研究者は疲弊します。総括はこうおっしゃっていて、研究者もこっちを向いているのだけれど、アドバイザーの中に違う方向を見ている人がいらっしゃると、報告会ごとに少なからず研究者が疲弊してしまいます。
 そういったアドバイザーをどう決めるかというところが、説明として全然出てこない訳ですが、なくてもいいのではないかと思うときもあるぐらいです。(笑)本当に何か不思議なことが起こります。プログラムによっては、アドバイザーが研究者と同レベルの場合もあって、自分だったらこうするというのがどんどん出てくる。そうするとそもそもの研究アプローチの議論になって、といったことが半年に1回は起きるといったこともあるように思います。

【竹山委員】 
 私もCRESTのアドバイザーをしておりますが、そのような混乱があるとすれば、それは統括の責任ではないでしょうか。

【中小路委員】 
 そうですかね。

【竹山委員】 
 アドバイザーは、領域を考慮して統括が選んでいると思いますが、順調に推進されている領域もあれば、意見がまとまらないこともあるかと思います。場合によっては、統括が100%正しいかどうかという場面もあるかもしれませんね。

【中小路委員】 
 そうですね。統括がきっちり選んでらっしゃるのだと思いますが、ただ、必ずしもうまくまわらないところもあって。

【竹山委員】 
 ちょっと複雑な領域なのではないでしょうか。

【中小路委員】 
 事実として、体制としてうまく回っていない場合もあるように思います。そういうことを思いました。以上です。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。ちょっと発言してよろしいですかね。CRESTの統括をやっておりますので。私のところは非常にうまくいっていると思うのですが、逆に言うと、近い人がアドバイザーに集まってしまうと批判的なのが内部で出てこないというような問題も一方でなきにしもあらずで、なかなか難しいところですね。あえて反対側、違う意見の人が入っているということも、場合によっては重要かも。

【中小路委員】 
 はい、そうです。もちろんさきがけとかすごくうまく回っているものもいっぱいあります。でも、必ずしも100%うまくいっているわけじゃない気がします。

【大垣座長】 
 そういうのも含めて、戦略目標等の設定と、それから、組織の作り方、これは今度……。

【中小路委員】 
 そうですね。特にここでは大分難しいと思うので。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 ほかの……、はい、どうぞ。

【大隅委員】 
 ありがとうございます。ちょうど中小路委員が言われたことに続いてという形で。おっしゃっていることは本当によく分かるので、一つの解決策として、出口の話なのですけれども、恐らくこの概要と一緒にポンチ絵みたいなものが付随すると思いますが、そのときにこの出口のイメージという図が使われると想像します。この図をもうちょっと変えるとすぐ分かりやすくなるのではないかなと思ったんですが、これ、右側の方の出口から見た研究の出口の位置をやっぱり逆にした方が……。

【大垣座長】 
 4ページの図ですね。

【大隅委員】 
 すみません、4ページです。右側の図の出口を逆にした方が分かりやすいと思います。矢印の向きがさかさまになって、出口が右側になっていて、出口が広がっているのか、狭まっているのかというイメージがその方が分かりやすくて、恐らく中小路委員が御懸念されているようなことに関して少し助けることになるんじゃないかというのが一つ考えられることです。
 もう一つですが、これも中小路委員が言われたことに関係するのですが、実際に出口を見据えた方の研究を戦略目標を立てていくのにどうするかというお話で、7ページのStep3の辺りのところにワークショップと書いてあるのですが、このワークショップでどんなことをするのかというのが私はちょっと逆なんじゃないかなと思うのです。
 「具体的には」と書いてある段落のところなのですけれども、「ワークショップ等において、まず、注目した学術動向から10年程度で技術的に実現しうることを推定」して、「次に、技術的に実現しうることが社会に受容された際に実現しうる20年先、30年先といった未来社会を想定する」というふうに書いてあって、これが出口を見据えた研究ということになっているんですが、これ、結局、学術動向から技術的に実現し得ることを推定するというのはものすごく狭いことを感じさせるような言葉なので。もしかすると意図していることは違ってらっしゃるのかもしれないのですけれども、私が読んだときに、これだと出口から見据えているのと余り違わなくなってしまうんではないかというような、そういう印象がありました。もしかすると、言葉の使い方の問題なのかもしれないと思うのですが、やはりこれが発展した先にこうあってほしいというのは、そこの雰囲気が先に伝わった方がいいのかなというようなことを思いました。以上2点になります。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。

【有信委員】 
 いいですか、今に関連して。

【大垣座長】 
 どうぞ。

【有信委員】 
 今の話と全く同様な印象なのですけれども、例えば戦略目標設定のところで、研究動向を見ながら云々(うんぬん)とStepがそれぞれ書いてあるんだけど、要するに、研究動向というのは、実際に今行われている、あるいは過去に行われた研究がどうなっているかって比較的スタティックな領域設定がされると思うんです。
 一方で、今、ワークショップでやると言っていたような話については、例えば学術会議でロードマップ委員会というのがあってロードマップを作っていて、それぞれのディシプリンごとに、将来的に希望も含めてこうなってほしい、あるいはこうなるであろうというサイエンスの行き先についての検討が行われています。つまり、こういうロードマップは、どちらかというと、ある意味でディシプリンごとにAs-Isで、このディシプリンを追求していけばこういう方向で、あるいは研究者の希望としてこういう方向に行ってほしいというようなことがそれぞれ出てくるわけです。
 これはいわばAs-Isで、そういう技術が、あるいはそういう新しい知見が得られ、あるいはそういう新しいことが実現されたときとして社会がどうなっていくだろうということを見ましょうというのが、今の例えばワークショップで議論するということをもう少しデータベースに近いところで見ると同じことになるわけです。だから、今、大隅委員が言われたように、これだと出口から見たのと余り変わらない。
 つまり、そういう傾向を見ながら、ある種の意思を入れながら、そのベクトルを変えていくのが出口を見据えるということだと思うのです。したがって、非常に難しいのですが、ベクトルを変えていくというモーメントというか契機をどうやって入れていくかというところが戦略指針の策定のところで極めて重要になると思うので、そこの部分を、今言われたようなワークショップ云々(うんぬん)でやるとすれば、既にあるロードマップなり何なりというのは前提にしながら、なおかつ、それでも、その上でAs-Isでいけばこうなるけれど、でも、本来はこうしなきゃいけないという部分を出すために多分CRDSなどではいろいろ議論していると思うのですが、そういうものをどううまく取り込んでいくかというようなところが、つまり、従来のロードマップの行き先を変えなきゃいけないという話が基礎研究という意味での戦略目標だと思うのです。それが、出口を見据えるということにつながっていくという印象です。
 そこだけで、あとは非常によく整理をされているという印象で聞いておりました。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。

【笠木委員】 
 いいですか。

【大垣座長】 
 はい。

【笠木委員】 
 何点か申し上げたいと思っています。まず、最初の1ページ目ですけれども、そもそもこのタイトル「戦略的な基礎研究」で、この検討会が始まったのですが、今回こうやしてレポートにまとめていただくということになると、初めのところにもう少しその背景があるといいのですが。一般的な背景は書かれているのですが……。文部科学省で研究開発事業として幾つものものがありますね。科研費もあります。けれども、話の最後には、戦略的研究開発創造事業に落ちていくのですが、文科省で言う戦略的な基礎研究というのは結局は戦略創造だけなのか、ほかのものも含めて、戦略的な基礎研究と位置付けている中で見直そうとしているのか、その関係が分かりにくいですね。それから、今この議論をしなくてはいけなくなった一般的な背景は書かれていますが、特定の研究開発事業に話が絞られていくとすると、今までそれのどこが問題だったのかということが全く書かれていないので、それでいいのかどうか。問題が分かった上で何かを変えるという方が分かりやすいと思うのです。
 それから、これは何度か申し上げたことですけれども、戦略的な基礎研究と一般的に解釈できるような問題の立て方というのは、この中でも出口を見据えたと、出口から見たということで二つあるということです。そのように、研究開発戦略の立案においては複数のスキームがあり得て、それらが単に最近始まったSIPとかImPACTとの対比だけで分類されるのではないということ。ここで提案される一つのスキームだけでやれば十分なのかどうかというのは、やってみないと分かりませんが、課題の抽出法はほかにも幾つもある。あるいは、ここで言っているやり方は従来の戦略創造に対応し、ほかのスキームについては文科省のほかの研究支援事業が対応しているというようなことをもう少し説明いただいた方がいいのではないかと思います。
 この「戦略的な基礎研究」という言い方が非常に狭い意味でとられると、それはいろいろな意味でまずいのではないかと。もう少し広い意味でこの言葉が理解された上で、ある種のスキームについてはこういう事業なのだという形で述べられた方がいいのではないかなと。この報告書全体の位置付けと、報告書がフォーカスしているところと実際の事業との関係性、それを明確にされた方がいいのではないかと思いました。
 それから、2点目ですけれども、3ページ目、これは先ほど片岡委員が言われたのですが、二つの丸、三つ目と五つ目ですかね、出口を見据えたと出口から見たということで、ここで際立って見えてくるのはPM、PDがいるかいないかなのですが、領域総括あるいはアドバイザーという話もありましたが、基本的には領域総括の役割が非常に大事なので、ここはそういうことを陽的に書いていただく方が良いと思います。
 一般的にいって、日本の現場の研究者というのは決して劣っているわけではなくて、非常に優れた方が既にいるわけです。むしろ、そういう方々をガイドする人材がはいないのではないかと。これは、非常に重要な問題で、今後の第5期基本計画等でそういう仕組みを作る必要があって、産業界あるいは大学の中、研究独法の中で、そういうマネジメント人材をどう育てるかというのは非常に大きな課題だと思うんです。組織的に育てる仕掛けが日本の中にはないわけです。だから、そういう方々を単にJSTの中で育てなさいというのでは全く不十分ではないかと思います。いずれにせよ領域総括のことをきちっと書いていただく方がいいと思います。
 それから、細かいことですが、出口を見据えた研究の英語がValue-exploringになっていますが、科学技術が提供できるのはvalueじゃなくて、benefitだと思うのです。benefitにvalueを見いだすかどうかは受け手の話であって、最初からvalueと言ってしまうと、それは少しおかしいのではないかという気がしました。
 それから、7ページ目のStep3のところですが、社会・経済に与える影響等の推量というのは、これは我々もやってみて非常に難しいですね。そういう意味で、この全体のStepは、一応書かれてはいるけれども、全て実行可能かどうか分からないのです。多分、社会・経済に与える影響を測るというのは、社会経済学者が当然入ってこなくてはいけない。CRDSでも経済学者も入って議論するけれども、なかなか議論のリンケージができていかない。科学技術が入ることによって経済・社会が変わっていく、経済・社会も変われば科学技術も変わるという関係にあるので、ここは推量と簡単に書いてあるけれども難しいことであるので、十分配慮をしておかないと、いけないと思います。
 それから、その下のところの、10年後あるいは30年後にという話ですが、先ほどの影響の推量と同様に、科学技術の光と陰があるということはきちんと書いていただく必要があると思います。それらを含めて基礎研究を育てるという、そういう姿勢が最初からインプルメントされている必要があると思います。
 最後の4点目ですが、10ページに、出口から見た研究と出口を見据えた研究が交差するというところが幾つかの丸で挙げられているんですが、ここは私、読んでみて非常に物足りないと感じました。PMが交流するなどと書いてありますが、もう少し具体的にどういう効果が出るからこういうふうにすべきだというふうに書かないと、何となく書いただけに終わっているような印象がありました。以上です。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。

【阿部委員】 
 よろしいですか。

【大垣座長】 
 はい、どうぞ。

【阿部委員】 
 同じような意見ですけれども、私も9ページの下から10ページの頭にすごく重要なことが書いてあると思うのです。偶発的な発見というところから非常に大きな仕事が出てくるというのがやはり企業の中でもそうでありまして、最初から出口を見ていたものよりも、最初は何に使えるか分からないというところから非常に偶発的な発見があったと。ですから、やはりここをもう少ししっかり書いていただきたいなということだと思います。
 それと、やはり戦略的基礎研究というところに絞って始められているので、日本の研究が全てこの方向に行くのかという全体観がやや分かりづらいと。研究って極めて多様的なもので、いろいろなタイプの研究があってしかるべきだと思うのです。ですから、やはりそこがもう少し上位概念から少し書いていかないと、日本の研究が全部出口を見据えるのかというのは全く面白くないと思います。
 これも前々回も申し上げたかも分からないのですが、企業でさえ、何に使えるか分からない研究をあるポートフォリオでやっているのに、大学に全て出口を見据えられたら、非常に大きな飛躍、カウンターのジャンプはないなということでありまして、ですから、ここ、10ページが非常に大事だと思うのです。これは私がずっと、企業だけですけれども、研究開発をやってきた経験からしますと、偶発的な発見というか、Chance favors the prepared mindとノーベル賞の学者がよく言っていますけれども、やっぱりそこが非常に重要だと。だから、そこの仕掛けが、先ほども御意見が出ましたけれども、これだとちょっと。私もいいアイデアがあるわけじゃないのですけれども、ここはやはり、課題として残すのであればしっかりやるべきだという課題を書くとか、何かそういう強調がもう少しあってもいいのかなと思います。
 発言は以上でございます。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。ただ、私の理解ではあれですよね、科学技術研究全体を戦略的基礎研究にしようというのではないので……。

【阿部委員】 
 もちろん分かっています。ただ、ここから始めてしまうと誤解を招くので、上位概念の全体像がまえがきにあってもおかしくないのではないかと。

【大垣座長】 
 分かりました。ありがとうございます。
 ほかに。はい、どうぞ。

【角南委員】 
 笠木先生がお話されましたが、出口を見据えた研究の英語訳がこれで定着しているのであれば、リファレンスがあった方がいいと思います。

【岩渕室長】 
 定着していないです。

【角南委員】 
 一つお願いがあります。実は、総合科学技術イノベーション会議の研究開発法人部会で今評価指針を作っていますが、JSTの評価にも関わりますので、整合性が取れているのかチェックしていただきたいと思います。
 その部会での議論でも、PM、PDという役割も、PDCAサイクルの中の機能的なもので重要だという位置づけになっています。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 はい。

【岩渕室長】 
 英語につきましては、前回までも、「出口を見据えた」、「出口から見た」を、英語で書いたらどうなるのかという御意見も頂きましたので、書いてみたものですProblem-driven researchとProblem-solving researchみたいなものは単語としてあるが、特に「出口を見据えた研究」の方はなかなか難しい。Benefit-exploringも考えたことも実はあるが、ここまでの議論では、「出口を見据えた研究」の出口は比較的広い概念を表すものと考えると、benefitだと若干狭く捉えられるかということで若干悩んでいます。

【笠木委員】 
 ここに入るかどうかは別として、使い方として、科学技術が提供できるのはやっぱり便益なのですよね。いきなりvalueを生み出しますという話ではないんですよね。幾らbenefitを出したとしても、それをvalueとしてtakeするかどうかは、それは社会の問題だから、そこは理解を明確にしておいた方がいいということを申し上げました。この英語はお考えください。

【岩渕室長】 
 いろいろお知恵を。

【大垣座長】 
 よろしいですか。
 じゃ、西尾委員。

【西尾委員】 
 私も、今回大きく改訂いただきまして、納得いく記述がなされていると思いました。実際、2ページの脚注では、先ほど申し上げました、学術の基本問題に関する特別委員会からの中間報告を参照いただき、さらに、以前から何回か日本学術会議のマスタープランのことを大隅先生とともにこの検討会で意見を出させていただきましたことを6ページの脚注で参照いただいております。
 前回から今回に至るまでにコメントを出させていただいていたことが、7ページのStep3の「具体的には、ワークショップ等において」というところです。具体的には、今まで書かれていた内容が10年以内というような割と短期間のことが書かれていたので、それは問題である旨のコメントさせていただきました。今回、その記述を改訂いただいたのですけれども、ここの記述をどうするのかということは、いろいろな評価にも関わってきそうなので、是非、再度考えていただきたいと思っています。有信委員がおっしゃいましたように、一般的な将来予測からはなかなか推定できないのだけれども、一般的な予測からは何か異なる斬新な方向性を見付けることによって、大きなブレークスルーが出てくるというようなものをいかに見据えるかということが非常に大事だと思いますので、ここの書きぶりに関してはもう一度検討いただければと思います。
 それと、先ほど来問題にされていることで、例えば1ページの六つ目の丸に、戦略的な基礎研究としての中心となるものがJSTの戦略的創造研究推進事業と書いてありますので、逆の推測をしますと、中心となるCREST、さきがけ、ERATO以外の事業も対象としていると考えてしまいます。ところが、後の方でのStep1、Step2、Step3は、どうもCREST、さきがけ、ERATOの戦略目標を策定することが前提になっているような気がします。そこで、本報告書では戦略的な基礎研究として、どこまでをカバーしているのかというのは1回明確にしていただくことが大切だと思います。
 あとは、出口を見据えた研究と言うときに、本検討会の最初の段階では、やはり出口という言葉が先行するということに関しては相当懸念したのですけれども、先ほど中小路先生おっしゃいましたように、今回の書き方でそういう懸念は私としては大分払拭できてきたように思います。
 それで、先ほど来意見が出ていることを再三申し上げて恐縮ですけれども、やはり、CREST、さきがけ、ERATOが成功するかどうかというのは、研究総括の意識の問題が多分にあります。私は、現在、JSTの研究主監を務めておりますが、新たなCREST、さきがけ、ERATOとかを立ち上げる場合には、それらのプロジェクトの研究総括の方に研究主監会議に1回来ていただいて、そこで意識合わせを相当行っております。特に、戦略的な基礎研究の目指していることはどういうことなのかということについて、その機会にきっちりお互いの認識を共有するということを行っております。そういう意味でも、研究総括の果たす役割の大きさ、さらには研究総括の戦略的な基礎研究に対する認識の正しさが、プロジェクトが成功するためのキーになるということを是非書いていただくと良いのではないかと思いました。
 あとは、8ページですけれども、このPDCAサイクルという言葉については、製造業等における言葉なので少し気にしていたのですけれども、脚注でその意味に関する断りを書いていただいていることは非常に良いことだと思います。このサイクルの中で、研究領域の評価と戦略目標の評価の二つについては、一方はJSTが行い、他方は文部科学省に設置された審議会等で行われることになりますが、今後、この両者の間の繋ぎをシームレスにしていただきたく思います。というのは、例えば、JSTで行われる研究領域の評価に使用される評価書の様式があるのですけれども、その様式が戦略目標を評価する上でも有効に機能するような様式にするというようなことを文部科学省とJSTの間で是非考えていただければ、と思いました。
 私としては以上です。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 よろしいですか。今、特にいいですか。

【岩渕室長】 
 はい。研究総括の点、本当に申し訳ございません。加筆させていただきたいと思います。

【西尾委員】 
 本当に良くなりました。

【大垣座長】 
 辻委員、よろしいですか。

【辻委員】 
 プロセスを透明にするということは、一つには研究者の主体性という意味があると思います。戦略目標なるものが単に上から降ってくるのではなくて、研究者のコミュニティも参画してつくる。先ほど来話題になっている新しいベクトルは、先端を見ている研究者が持っているものだと思いますので、そういった研究者の知恵を入れて、一緒に参画して目標を作っていくという、当事者意識を持つということがすごく大事ではないかなと思っています。透明性を持たせることの一つの目的、狙いはそういうことにある
思うので、その意味では新しいやり方に大いに期待していますし、研究者の主体性ということがもっと出ていた方がいいかなという気もいたしました。
 それと、serendipityやモチベーションが大事だということも書かれていますが、最初の概略が一人歩きするかもしれないことを考えると、少し懸念があります。最初に、「研究者が主体となって研究の進展により実現し得る未来社会の姿を見据えて行う研究」とあるのは非常に広いイメージがあっていいと思いますが、最後に、「推進主体は研究者であるため」「政府の戦略が必要」となると、研究者は主体性あるのかなというふうにも読めてしまうのではないかという気がします。研究者が主体であり、政府の戦略で言われたものをただやっていればいいというような印象を与えないようにした方がいいかなと思いました。

【大垣座長】 
 よろしいですか。

【大隅委員】 
 ちょっと関連してよろしいですか。

【大垣座長】 
 どうぞ。

【大隅委員】 
 今の辻委員のお話は、もうちょっと拡大というか、具体的なことに言うと、要するに、政治があんまり研究者をどうこうしてほしくないというか、そこの部分もちゃんと残しておかないと、本当にserendipityも何も生まれてこないんではないかということを私は最近のいろいろな動向を見ていて気になっております。ImPACTとかSIPとか、あの辺はものすごく、いわゆる政治家の方の好みというのがかなり反映されるようなやり方で選ばれているような気がしています。ですので、研究者の自律性や自主性ということをどうやって確保していただくかというのは、私はやっぱり文科省というのが一つのとりでだと思いますので、是非きちんとしたものが出ていき、それが生かされる方向になってほしいと思います。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。更に加えるべき……。

【笠木委員】 
 いいですか。

【大垣座長】 
 はい、どうぞ。

【笠木委員】
 私、今の点、違う意味で非常に大事だなと思っているんです。さっきスキームが複数あってという話をしましたけれども、ImPACT、SIPの方は、やっぱり今御指摘あったように政治的な意思が強く前に出ている。私は、一つの政策論としてあって構わないと思います。それでは、文科省としての出口から見た研究がどうあるべきかというのはどうか。ImPACT、SIPは、言ってみれば、数も少ないし、極めて集中的に資金を投ずるというやり方をしているわけですが、分野の広がりとか資金の集中度とかいう意味でも文部科学省とは大きく違っていると思います。
 ですから、改めて文部科学省の中での戦略的基礎研究の位置付けと、それから、幾つかの研究資金のスキームとの関係を大局に見据えていただいて、一方で、今の研究者の自主的な意思と、それから、政策的な意思とをどういうふうにお互いに健全に結び付けるかということをよく考えていただく、そんなことを含めてまえがきに書いていただけると大変有り難いのですけどね。

【大垣座長】 
 ほかにはいかがでしょうか。

【片岡委員】 
 じゃあ、もう1回。

【大垣座長】 
 はい、どうぞ。まだ時間がある。

【片岡委員】 
 ファンディングの内容というのですかね、ファンディング制度というのもちょっと出ていますが、出口を見据えた研究というのは、ある意味では予測しないようなジャンプが生まれる可能性が一番ある。そうしたときに、例えばロードマップがあってそれを粛々とやるというのであれば大体予算規模がこうで、というふうになるわけですけれども、こういった類いの研究というのは一気に進みそうなときがあるわけですね。
 そういうときに、今でもCRESTなんかの場合は加速経費というんですが、そういうのである程度加算するとかいう制度はもうお持ちですけれども、それをもっと明確にするというんですかね、そういうことがあってもいいんじゃないかなと思います。そういったファンディングのやり方みたいなものもちょっと書いてあるといいのかなと思ったのと、それから、それと関係しますけれども、どうしても会計年度というのはあるのですけれども、やっぱり今のジャンプというのと関係しますけれども、基金化という話もありますけれども、その辺の会計年度とのうまいマッチングというのですかね、解決法とか、そういったことも少し書かれているといいなと思いました。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。融通性のあるぐらい……。

【岩渕室長】 
 柔軟性の確保と、はい。

【片岡委員】 
 柔軟性です。

【大垣座長】 
 柔軟性のある。ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 私も聞いているうちに一言言いたくなって恐縮ですが、出口を見据えた、先ほどのこの絵ですけれども、これ、何となく左から右にと流れる形になるんですが、実際のプロジェクトを進める、特に長期的な未来のことを考えたときに、分野を融合した作りが必要になるんですね、いろいろな研究者。それは有信委員が先ほど学術会議のロードマップというのを言われて、あれはロードマップをある分野から見てどう展開して自分たちがどうあるべきか、という形なのですが、そうではなくて、将来、生物も物理も化学もいろいろいるというような分野があるわけです。それをセットして提案する、戦略目標にするというような意味合いもあるかなと思って。ちょっと文章をどうするかはないのですが。
 それに関連して、先ほどから出ている、研究総括が重要だ、PD、POも重要だというのは、実は個人の研究者ではなくて、研究集団としてどういうものを組んで今の多様な分野を融合してどちらへ行くかということが重要だという意味だとすると、研究総括が重要だというのを書き込む意味合いが明快になるんじゃないかと思いました。研究者群というような言葉をどこかに入れていただいたのですけれども、もうちょっと研究総括、PD、POが大事だということと、それから、出口を見据えた研究というものが、ある分野のリニアなモデルで将来へ向かってというのではちょっとない部分もあるんではないかと。そういう部分もあるかも分かりませんけど。さっきのロードマップという話でちょっと思い出した。

【有信委員】 
 いや、難しいですよ、その表現はね。

【大垣座長】 
 難しいことは分かります。

【有信委員】 
 だから、何度も議論が出ているけれども、シングルディシプリンという言い方が分かりにくいけれども、一つの領域の研究の延長上だけでイノベーションが起こるわけではなくて、最終ターゲットはイノベーションであるとすると、イノベーションに結び付くためには複数のディシプリンでそれぞれの研究の進展があって、その中でジャンプがあるということです。そういうものがそろったところでイノベーションが起きるというのがほとんどの例ですね。もちろん医薬品のように特定の新しい化合物の発見によってそれがドラスティックに違うものになるという、そういう例はありますけれども、一般にいうとそういうハッピーな例というのはそんなに多くはない。特定の領域ではそういう例はあるのだけどということです。今、大垣さんが言われたようなことを含めて絵にしようとすると、これ、なかなか大変で。

【大隅委員】 
 立体感を。立体感。

【有信委員】 
 立体図に。

【大垣座長】 
 この絵自体はこのままでいいと思うのですけれども、言葉でちょっと一言、分野融合とか。

【岩渕室長】 
 言葉の方、はい。総括、研究者群、融合。

【大垣座長】 
 なぜPOや総括が必要かとかそういう概念との関係ですけどね。

【有信委員】 
 そういう意味での俯瞰性というのでどうしていくか、どうとるかということですね。

【大垣座長】 
 あ、そうだ、俯瞰。

【中小路委員】 
 その意味ではこの例は非常によくない。人工知能……。

【大垣座長】 
 この図の中の?

【中小路委員】 
 はい。

【大垣座長】 
 4ページ。

【中小路委員】 
 人工知能を有するロボットによる家事負担の軽減って、何かむちゃくちゃ出口指向だと思います。先ほど大隅先生がおっしゃっていましたけれども、未来がこうありたいから、だからこうかなという、こう、戻ってくる感のあるようなことが書ければ良いなと思います。だから、家事負担の軽減がゴールなんじゃなくて、例えば高齢者が世話掛けて悪いなと思っている、その恐縮している気持ちが減らされてうれしいみたいな未来の書き方で、そのためにはどんな技術が必要か、とか、そんなふうに、何か未来から帰ってくるわけですよね。だから、今やっていることと未来の間は点線で良いのが、出口を見据えた研究だと、何となくイメージとしては思います。

【辻委員】 
 すみません、いいですか。

【大垣座長】 
 どうぞ。

【辻委員】 
 この絵に関して、ちょっと素朴な質問です。出口を見ているのは研究者ですが、戦略はどう関わってくるのでしょうか。大きな戦略があって、その中に研究者が入って考えるのでしょうか。主体は研究者と言いながら、やはり研究者じゃ駄目だから、政府の戦略が必要なんだという書きぶりにもなっているようなので、その辺りをお聞かせください。

【小松研究振興局長】 
 よろしいですか。今お話を伺っていて、その部分は表現を若干直した方がいいかなと思ったのですけれども、ここの研究者と政府の関係というのは、これまでの御議論でいきますと、そこで書こうとしているのは、今の政府のいろいろな方針とかの一般論ですと、これは相対的な問題だと思うのです。出口の側という方に寄れば寄るほど、それはいわゆる商品経済市場原理による需要供給でやればいいじゃないかと。そういう意味でいうと戦略的でもないですし、需給のメカニズムによって行われる方向へ行けばいいので、政府がわざわざ支援をしたり、財源を用意したりする必要はないではないかという話に行くと。一方で、いわゆるcuriosity-drivenを徹底していけばいくほど、それは本当に市場原理ではできませんし、政府の公共的な財源でもってやるのが基本だということになるけれども、それもここで今議論しているような点とはまた別次元のものだろうと。
 その真ん中にあるものをここで御議論されていて、実際の研究でどうのようにしていくかというのを主体的に判断して取り組んでいく、あるいは取り組もうと決心をしていかれる方たちは研究者なので、そうすると、それは全くのいわゆるcuriosity-drivenで、しかも基礎的なものだから、国家がやらなければいけないというジャンルではないかもしれないけれども、政府はそれに行政意思を持って財源とかを確保しなきゃいけない分野だと、そういうことが御議論の中であったものを集めようとしていたわけです。
 ですから、研究者の人が見据えるのだけれども、政府が介入するという研究者と政府の関係よりも、公的財源の確保の必要性として、やや分かりやすく図式的に言ってしまうと、市場原理的か、公共的かとの真ん中にあるので、そこを研究者の自主性や自律性をはっきりさせながら、なおかつ公的財源を入れるべきだということを、その御議論を反映しようとしたので、今、先生がおっしゃったような形の議論に陥ってしまうとちょっとおかしな話になるということだったので、そこはまず少し整理したいと思います。
 あと、「戦略的な」というのは、一つは、この検討会自体をそういう表現で開催していますのでそこに沿っているところもあるのですが、今言ったような意味で、戦略というのは必ずしも個別の戦略を例えば政府が立てるかという話ではなくて、しかし、学問の本然たるcuriosity-drivenに純粋に行くというのではない。その部分について一定の工夫をしながらやっていかなきゃいけない基礎研究という、少しふわっとした感じで受け止めておくということかと思っております。
 これだけ説明しなければいけないこと自体がこなれていないという気もちょっとしておりますけれども、少し指摘を踏まえて何か書けるか書けないか、ちょっと工夫は考えていきたいと思います。

【大垣座長】 
 じゃ、角南委員。

【角南委員】 
 戦略的という中には、純粋にボトムアップで研究者のcuriosityに任せて研究をやらせるということも重要な施策であります。
 先ほど局長がおっしゃったように、アメリカだとはっきりmission-oriented researchとして位置付けていて、で政府がやる事業ですから、基本的にはミッションがあって、いろいろな政策課題というのは政治プロセスで決められる。ただ、アメリカはとても賢く、現実的だなと思うのは研究者の特性を考え、研究成果の最大化を図るような柔軟な運営をしています。

【片岡委員】 
 よろしいですか。

【大垣座長】 
 どうぞ。

【片岡委員】 
 今、角南委員が言われたことは全くそのとおりで、私はNIHのグラントの責任者の話を聞いたことがあるのですが、ストークスの研究分類のUse-inspired basic researchと書いてあるところが、NIHがやっているところだというふうに明確に言っていました。ですから、単なるProblem-driven researchでは困ると。どちらかというとConcept-driven researchであってほしいと。
 例えば、こういう例がいいかどうか分からないですけれども、山火事があって火を消さなきゃいけないと。そうすると、バケツの水でも何でもいいからともかく消せというのがある一方で、やっぱり何でここに山火事がいつも起きるのだろうかと。そうすると、例えば地形が悪いのではないかとか、植林のやり方が悪いのではないかとか、そういう方向から攻めていって、抜本的にそういうことが起きないようにすると。これがパスツール型というのか、そういう形なのかなと思います。
 そうなると、研究をやるのは個人なので、一種のマインドセットというのですかね、つまり、全然山火事のことは思ってもみないで植林の研究をやっていたという人がいたとします。ところが、山火事が起こるという問題がここに提起されたと。そしたら、自分の今まで考えていたことは、ひょっとしたら山火事防止というところに向くのではないかということに気が付いていくという、そういう流れを作るということはすごく重要かなと思います。最初からともかく解答もないのに俺はやると言って出口指向の目標を掲げ、後から回答を探すのではなくて、一見違うところでやっているように見えるけど、出口というものが明確に提示された段階でその人のマインドセットが掛かるという、そういうことを、出口を見据えた研究というものは意識しているのかなと思いました。

【小松研究振興局長】 
 ちょっとすみません。今のお出しいただいた例で申し上げますと、まず何も市場原理的なものを考えないけれども、植生の在り方とか、どういうふうに気候と関わるかみたいなことを考えるのが仮にcuriosity-drivenだと致しまして、その後に、言ってみれば、林業としてどうやって成功して、ここにどのように種付けしていったらいいかというのを考えるのがもう片方だとしまして、その真ん中の辺りに、今言った後者の方からやって来るものと、それから、前者、何もそういうことを考えて研究を始めたわけではないけれども、いろいろな問題意識の中でこのように展開していく可能性があるよなと。
 ここが、手法的には、ここで御議論いただきました中でいいますと、科研費のデータベースの中でそこは問題意識とかを持って、アカデミアで作っていただいたものを中心にワークする仕組みのようなものを作っていただき、また、サイエンスマップのようなものでその裏付けを取りながら、一種の説得性を増し、そして、今、政府の財政状況は非常に悪いですから、何でもかんでも削減みたいな話、あるいは無茶苦茶(むちゃくちゃ)に見える効率化を数年以内に全部やれみたいな話になっているのを、そうでもないですよということをエビデンス付きでやると。
 ただ、それはこの検討会にお願いしようとしたときに、御議論としては一つ有効に回るかもしれないけれども、どんなに最先端の研究でも、イノベーションにつなげるには課題があって、それを目利きするなどということを考えていて、今日の御議論も大分そういうところがあると思うのですけれども、そこの仕組みをやらなければいけない。そうすると、それは不定型なところもあるので、常にうまくいっているかどうかをアカデミアの目でチェックしながらやる恒常的な仕組みを作らなければいけない。そういうことを表現するのに「戦略的な基礎研究」としたのですけれども、国語上からすると確かに多義的なものですから、よく気を付けて使わないといけないなと。
 角南先生がおっしゃったお話も敷衍(ふえん)しますと、「戦略的」が「基礎研究」に係るのか、あるいは「基礎研究の在り方」全体について「戦略的」に考えるのか、みたいなところもありますので、そこは少し御相談したいと思います。最初のところに、この報告書ではこういうことを扱っているとか、この文言はこのようなことを意味しているというのをセットしておかないと、確かに後で「基礎研究の在り方」の全体の議論がどんどん狭まるなど、危ないかもしれないということを少し感じました。

【有信委員】 
 ちょっといいですか。

【大垣座長】 
 どうぞ。

【有信委員】 
 今のお話の流れの中で、やっぱりみんなが思っているイメージが多分あるのですよ。例えばCRESTのような。だから、研究統括が重要だとか。実際の進み方としては、ある種のベクトルが示された中で、個々の研究者はそのベクトルを見ながら、自分でそれぞれの方向付けをして進めているわけです。その中では当然、様々な蓋然性なり偶然性があって新しいものが生まれたりとか、不足しているものが途中であるというので新たな研究を取り入れたりとか、そういうダイナミックな動きの中であるベクトルを実現するということで進んでいるのですよね。だから、そういう意味で研究統括の役割が非常に重要だし、研究統括のマネジメントが重要。
 一方で、そういう流れを全体としてきちんきちんと統括していくために、ある種の審議会的なところのチェック機構が必要だというのがこれのイメージに見えるものだから、そこを少し、固定的に必ず決まり切ったことを決まり切ったことをやるような戦略に基づいてそういう計画が立つということではない。基礎研究の進め方というのがある意味では、もちろんそこに加わる研究者の数が研究内容によって多かったり少なかったり、あるいはバリエーションも分野も変わるということはあり得る。そういうことを想定してみんな多分議論しているのですよね。だから、よくそれを踏まえた上でやってもらうといいと思うのです。

【大垣座長】 
 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 はい、どうぞ。

【笠木委員】 
 4ページの表ですけれども、改めて見ていて、例のところが、「出口を見据えた」の方が、イノベーション25のロボットの話と、エネルギー相界面で、こちらは私が今、総括をしているのでよく分かっているのですが、これは出口を見据えたという、ここで語られているスキームで出てきたかというと、そうではないと思います。
 一方、例えば、iPS、要はイニシャライゼーションのような基本的なことが可能となって、それでiPSという方向に向かい始めたときというのは、多分ここで想定しているような経緯なのではないですか。あるいは、ナノテクですね。ナノテクも、最初にナノスケールで物質の構造が見え、ハンドリングができるということになったときに、それが出来上がったその先の社会が大きく変化するだろうということが見えてきて、したがって、アメリカではイニシアチブが始まったわけですね。多分ここで語られているのはそれらに近いのではないでしょうか。
 相界面は、むしろ日本が抱えるエネルギー問題に対して一番基本的な問題を捉えたときに、相界面ということを共通の科学的な課題として切り出してきて出ているんです。だから、ある意味では課題があって、しかも分野俯瞰が行われた結果、それが出てきたと。
 座長が担当されている水の領域も、何か水に関わる基礎研究があったからそれを伸ばそうという話ではなくて、地球環境あるいは都市とか、様々なところでの水の問題が今世紀非常に大事だろうということで、そうだとしたら、どういう分野の基礎科学を集めてCRESTの課題にして攻めていったらいいかという議論から問題の設定がされたわけですね。これらは課題解決型だと思うのです。だから、挙げられている例は、対応していないのではないかと。
 課題解決型の方は、そういう意味では、多くの場合に異なるディシプリンが動員される、シングルディシプリンだけで何か解決するというわけにはいかない状況です。こちらの研究のいわば研究自身のthrustから見て将来を見据えていくという姿勢は、CRDSでやったときは、例えば医療のところで、3次元の組織構築とか、あるいは物理的な刺激で細胞がどう反応するかという辺りに新しい科学が芽生えつつあるので、そういう幾つもの新しいかつ基礎的な生物学や医学の先端研究の動きを束ねて見たときに、それが将来の医療とかヘルスケアとか、そういうサービスを非常に大きく変えるのではないかということを展望して、問題設定したという経緯があったんです。
 だから、ここでもシングルディシプリンに必ずしも落ちないかもしれないし、マルチディシプリン、インターディシプリンとしての課題が出てくるかもしれないのですが、それは捉える粒度にもよります。この表の中の例を見ると、課題は書かれていますが、どういう経緯でその課題が抽出されたかということが欠けているので、分かりにくいのではないかという気がしました。

【大垣座長】 
 要するに、例の取り扱い方をどうするかちょっと整理する。

【笠木委員】 
 そうですね。単に例を挙げてしまうと理解できないでしょうね。

【大垣座長】 
 逆に中を詳しく御存じの方から見ると、というような感じも起きてくるし、誤解も生まれるかも分からないですね。ありがとうございます。
 ほかになければ。よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、今日はこれ、とりまとめというのがミッションでございまして、今日頂いた御意見いっぱいありますが、これでまとめないといけないということになっておりまして、恐縮ですが、私の方で事務局と相談し修正し、報告書を決定したいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 では、私に一任いただくということで、恐縮ですが、そうさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、これまでの御議論をお礼申し上げるところですが、何かもう少し議論をしてもいいということになっておりますので、もしも何かさらに、今の報告書に関連するのはもちろんですが、戦略的な基礎研究に関して御意見あればいかがでございましょうか。報告書を離れて一言という言葉があれば。よろしいですか。
 それから、先ほど小松局長がまとめられましたが、私は「戦略的な基礎研究」が鍵括弧で囲まれているというふうに……。

【小松研究振興局長】 
 そういう理解にしています。

【大垣座長】 
 ええ、理解しておりましたので。そういう理解でよろしいですか、委員の皆さん。そうではないと、文科省の研究全部議論したことになるので。そうではないので、よろしいですね。「戦略的な基礎研究」というものを考えたということで。ありがとうございます。
 特になければ、よろしいでしょうか。
 それでは、局長から一言お願いいたします。

【小松研究振興局長】 
 皆様ありがとうございました。非常に内容の濃い御議論を毎回毎回していただき、また座長に報告書をおまとめいただきまして、私どもからお願いしたいと思ったことが知恵を集めて作っていただいて、心から感謝申し上げます。
 申し上げないといけないこととして、一つは、本日御意見等が多く出ましたが、いずれも非常に内容の濃いことでございますので、座長の大垣先生とよく御相談させていただきまして、内容によりましては、少々恐縮ですが、個別にまた知恵を頂いたりお願いをしたりすることがあるかもしれませんので、その節はよろしくお願い申し上げます。表現につきましては、焦点化すべきことと、それから、抜け落ちのないようにというバランスの中のことだと思いますので、文章で書くこと、あるいは運用でいろいろやっていくこと、それから、政治に関わることにつきましては、ストレートに整理すべきことと、それから、仕組みとかの提言をもってモデレートにやるべきこととか、一番いい方法をよく相談しながらやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、もう1点ございまして、この報告書をまとめても、結局、実行の方が重要ということになります。今後はこの指針に基づいて戦略目標を作っていかなければいけません。それから、マネジメントサイクルを確立していかなければいけませんし、そのためには、審議会に常設の検討の場も設けたいというように作業がどんどんございます。具体化に向けて一生懸命やってまいりたいと思いますので、また引き続きよろしく御指導くださるよう、是非よろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。

【大垣座長】 
 ありがとうございました。
 それでは最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

議題2:その他

【浅井室長補佐】 
 これで報告書はとりまとめられることとなりますが、次回の検討会の開催については、座長と相談の上、状況に応じて、事務局より後日御連絡させていただければと思っております。
 机上にございます資料につきましては、郵送を御希望される場合は、あらかじめお伺いしております郵送先に送付いたしますので、机上に置いたままにしていただければと思います。

【大垣座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、今の説明のように、もう1回まだあるのかないのかよく分かりませんが、委員の皆様、戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会(第4回)は終わります。どうもとりまとめに様々な御意見ありがとうございました。どうもありがとうございました。 

お問合せ先

基礎研究振興課

宮澤(内線4120)
電話番号:03-5253-4111(代表)
ファクシミリ番号:03-6734-4074
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-- 登録:平成26年08月 --