ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成26年8月20日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.出席者

委員

小宮山主査,土居主査代理,城山委員,住委員,関口委員,瀧澤委員,土井委員,林委員,平尾委員,樫根喜久氏(内山田委員代理)

文部科学省

岩瀬政策評価審議官,常盤研究振興局長,山脇大臣官房審議官,安藤振興企画課長,川口計算科学技術推進室長,田畑情報科学技術推進官

オブザーバー

(理化学研究所計算科学研究機構)
石川プロジェクトリーダー,牧野副プロジェクトリーダー

4.議事要旨

(1)第4回委員会における委員からの主な意見等について

川口計算科学技術推進室長より,資料1-1に基づいて第4回委員会における委員からの主な意見と対応について説明,牧野副プロジェクトリーダーより,資料1-2に基づいてポスト「京」におけるターゲットアプリケーションについて説明。

【小宮山主査】  初めに資料1-1に関して,何か御意見や御質問はございますか。よろしいですか。
 それでは,資料1-2に関して,少し議論をさせていただきたいと思います。御意見をお受けしたいと思います。
【土居主査代理】  3ページ目と,その次のところに関わってくると思うが,要するに,ターゲットアプリケーションの選定について,遅くなってはいけないから,あらかじめ暫定的に候補を選定する。代表機関決定後に,必要に応じて見直しを行うということだが,代表機関を公募する際には,事前にあらかじめ暫定的に選定されている候補を,どのように扱うつもりなのか。
【牧野理研AICS副プロジェクトリーダー】  どのようなところが代表機関になっても,全然見当外れなことにはならないように,ターゲットアプリケーションを選ぶという考え方です。
【土井委員】  今の質問とも関連すると思うが,3ページ目の目標性能の設定とコデザインとの関係について,目標性能の設定のところでは,重点課題を決定した後で,目標性能を設定するとなっている。しかし,実際にはコデザインをしていくわけで,第一フェーズのところでコデザインをして,アーキテクチャパラメータ等が決まっていくと,目標性能もそれぐらいしか出ないのだったら,というような話も出てくるかと思う。そのあたり,どのように考えているのかということが一点目。
 二点目は,この第一フェーズの中で二つのグループに分かれているが,グループ1に参加していない課題でも実際にアーキテクチャパラメータがどのように決まっていくかなど,そのような情報共有はどのように考えているか。
【牧野理研AICS副プロジェクトリーダー】  まず,一番目の目標性能の設定についてですが,御指摘のような問題は確かにあり,そこは十分に注意して進めていかなければいけないと考えている。つまり,ある意味,コデザインをしていくという考え方からすると,どうしても必然的に実際にコデザインをして,アーキテクチャパラメータ等の検討,それから更にもう少し細かいところまで見ていかないと,非常に精度の高い目標性能の設定はできない。それは目標性能というよりも予測性能の決定は難しいと思われる。しかし,目標としては,それでもこの程度まではできるはずである,というものを,もう少し早い時期に決めないといけないわけで,それは決めるという考え方になる。この辺は,アプリケーションごとに,どのような精度で決められるかという,デザインポイントのどのようなところが実際の性能を決めているかというところを見ていくと,大体分かるため,どのような重要度があるかというところによって,実際に実現できる性能は,大体見えてくると思っている。
 それから,二番目のアーキテクチャパラメータ等について,グループ2のターゲットアプリケーションの開発グループについてはどうかという点ですが,これに関しては機構としては十分な情報共有を図っていく。アーキテクチャパラメータというだけではなく,それがソフトウエアのどのようなポイントについて影響してくるかということを情報共有していくためには,どうしてもソフトウエアの側が十分にオープンなものであるということ,少なくとも,プロジェクトの中では十分共有できることが必要で,ターゲットアプリケーションの選定基準にも入っており,十分な共有を図っていくということです。
【土井委員】  き憂かもしれないが,コデザインが進んで,詳細が決まっていくにつれて,関わる方が多くなる。いわゆるライバルに対して,今度はそれをどのように守っていくかというところも必要になってくると思うが,そのあたりはどのように考えているか。
【牧野理研AICS副プロジェクトリーダー】  ハードウエアの非常に具体的な数字に関しては示しにくいところが出てきてしまうというところもある。特に第一フェーズ,第二フェーズぐらいのところに関しては,かなり情報共有する範囲は限定する形になる。
【小宮山主査】  土井委員が御指摘されて点は,具体的に一番気になるところはどこでしょうか。
【土井委員】  基本的なアーキテクチャのパラメータです。それがグローバルな競争の中で,「京」のときも結構気を使って設計作業をされていたため,そこは一番,気にすべきかと思う。
【石川理研AICSプロジェクトリーダー】  その点に関しては,資料1-2の最後の図にあるとおり,AICSがベンダーとの間に入ってやる形になる。それから,第一フェーズのところの,特にグループ1に対しては,アーキテクチャパラメータにかかわるところを細かくやっていくところがあるため,その場合は必要に応じてきちんとベンダーとともに,研究者の間でNDAを結んで進めていくことで,きちんと情報はコントロールした上で進めていきたいと思っている。
【小宮山主査】  ほかにいかがでしょうか。
【城山委員】  資料1-2の最後の図のところにも関わってくるが,コデザインといったときに,「コ」というのは誰と誰の話なのか。一方はポスト「京」の開発主体であるということだと思うが,もう一方は形としていえば,アプリケーションの開発元ということになるのか。つまり,アプリケーションの開発元と,重点課題の責任機関の関係ということは,どのようになっているのか。要求性能をフィードバックするような機能というのは,ロジカルに考えれば重点課題実施機関かと思うが,実際にそれに基づいて開発をしていくというアプリケーション開発元が重なる場合と重ならない場合があるということなのか,少しそのあたりについて補足してほしい。
【牧野理研AICS副プロジェクトリーダー】  実際のターゲットアプリケーションの開発は重点課題実施機関とポスト「京」開発主体が共同で行うという体制を考えている。
 コンセプトは資料1-2の前半の方に書いてあるとおり。ターゲットアプリケーションを対象としたコデザインは,アプリケーション自体のコデザインと,システムのコデザインを一体として行うため,アプリケーションの部分とシステムの部分というふうにはっきりとは分けられないが,アプリケーションのところのコデザインに関しては,機構と重点課題実施機関が協力して行い,システム側はターゲットアプリケーションを対象として,しかも複数のターゲットアプリケーションを見ながらシステム全体のコデザインをポスト「京」開発主体と開発ベンダーが共同で行うという体制になる。
【城山委員】  協調については一つの線で書いてあるが,そこの関係で幾つかの階層があり,それはどの程度細かく書けるかというところは,少し工夫ができるかどうかということかと。そのぐらいのことだということでよろしいか。
【川口計算科学技術推進室長】  補足させていただきます。資料1-2の図の中の黄色い枠について,右の方は独立しているような絵かもしれないが,一つ一つの重点課題について,一つのターゲットアプリケーションがあり,右の小さい方の囲みもそれぞれの重点課題の実施機関もそれぞれ別のターゲットアプリケーションについて開発主体であるAICSと連携して進めるというイメージです。
【城山委員】  そういうことであれば,あえて複数書く必要はなく,一つの話を丁寧に書いた方が良いと思う。
【小宮山主査】  ほかにいかがでしょうか。
【土居主査代理】  資料1-2の4ページ目のグループ1とグループ2について,要するにプロセッサのデザインとシステムソフトウエアに関わる部分は,相当関係があるわけで,すっぱり切り離すというわけにはいかない気がするが,その辺はどのように考えているか。
【牧野理研AICS副プロジェクトリーダー】  完全には切り離せないというのは,もちろんそのとおりだが,特にグループ1に関しては,相当細かいところまで行うことを想定している。非常に細かいところが影響するような,割合,一般性があるソフトウエアをあえてグループ1に選ぶという考え方になっている。
 グループ2の方は,性能を制限しているポイントが,メインメモリのバンド幅等,そのような大きなところになっていて,非常に詳細なところまで見なくても,大丈夫であろうと判断できるものという考え方。また,プロセッサ詳細アーキテクチャではなく,I/Oシステム等の負荷が大きくて,そちらの方が性能を決めるということが予測できるものをグループ2に回したいと考えている。
【土居主査代理】  多分,そうなるだろうと思うが,そうすると,例えば,双方が持ち寄ってデザインする協調設計のところに,両方の結果を持ち寄って協調設計をするという方が落ち着くような気がするが。
【石川理研AICSプロジェクトリーダー】  アプリケーションの方から見ると,あるアプリケーションは両方に属する可能性はあります。幾つかのアプリケーションを取り出すと,それらは,例えば,アーキテクチャ的なところでは,同じような部分であると。それから,あるいはI/O部分でグループ2の観点で同じような部分があるという形で,結構シャッフルになっていろいろな形になると思う。考え方としては,システムソフトウエア的な部分を主にやるところと,それからアーキテクチャ側,要するに,アーキテクチャ側の方で担当するものが違ってくるため,そういうことで分けたということです。それが第2フェーズの方にも関わってくるため,そのように分けさせていただいたということです。
【小宮山主査】  それでは,よろしいですか。資料1-2で記載されている協調というのは,絵を描くのは簡単だが,実際には人がやるわけで,国のプロジェクトというのは,もちろん,ポスト「京」をきちんと作り,それでアプリケーションが動くようにするということはもちろん重要だが,このようなことを通じて人が育つわけなので,人材育成が非常に重要なところ。描いた絵を実現するようにやっていただきたいと思う。

(2)報告書について

川口計算科学技術推進室長より,資料2-1,資料2-2に基づいてポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会報告書(案)について説明。

【小宮山主査】  それでは,御意見を伺いたいと思います。
【関口委員】  基本的な考え方ですが,「はじめに」のところで,このプロジェクトの狙いは,我が国における科学技術の振興,産業競争力の強化,安心・安全な国づくりということであり,我が国のということで,それはいいと思うが,ただ,この中で挙げられているいろいろな研究テーマや課題は,ある意味地球的課題ばかりだと思う。この地球的課題は,何も日本だけで解決できる問題ではなく,国際的にいろいろなところで解決していかなくてはならない。あるいは,協力しながら解決しなければいけないといったことで考えると,例えば,分野コミュニティや代表機関は,日本であるべきだが,分担機関や周辺のところは,海外からの参画があってもいいのではないかと思う。TOP500に入らない,上位に入らないような国,具体的にはアジアで,特に中国を除くアジアの周辺国に対して,研究機会を与えて一緒にやりましょうというような,ポスト「京」以降は国際プロジェクト化していくというような考え方もあってもいいのではないかと思う。
【土井委員】  細かいことだが,二点。その前に,私も今の関口委員の御意見には賛成です。
 一点目は,最後に説明のあった計算資源の配分で,萌芽的課題はこれからまた公募の方法など決めていくということではあるが,最終的には計算資源の配分はどのような扱いになるのかという点。
 二点目は,これはもっと細かいことだが,資料2-2の9ページ目の課題13のところで,「人間の精神活動を脳の物理的実体に根差して」という文章が少し気になる。思考を実現するという話と,精神活動というのが一体なのかという話と,本当にシミュレーションするのは別に物理的実体ばかりではないという点。回路なども含んでおり,この書き方が,本当に正しく意図を表している書き方なのかというのが気になる。専門の方と議論した方が良いと思う。
【川口計算科学技術推進室長】  基本的には,重点課題の中で実施していこうと考えているが,萌芽的課題が入ってくるとなると,資源配分としてこの数字でいいのか,もう少し増やすのかといったところはまた,引き続き検討していきたいと考えている。
【小宮山主査】  国際化の問題や,脳の問題については,もう少し皆さんの御意見を伺ってからにしましょう。ほかにはいかがでしょうか。
【城山委員】  文章上の話で三点ほどコメントします。一つ目は,資料2-2の7ページ目の重点課題の表現のところで,「京」からの発展として世界を先導する成果の創出が期待できる先進的な課題と記載されている。これは,2.2(1),(2),(3)という基準を満たした課題だということだと思うが,この表現では(2)のところが強調された表現になっており,(1)の社会的・国家的見地から重要な課題であるという点にも触れておいた方がいいと思う。
 二つ目は,資料2-2の10ページ,3.1のところで,連携した推進体制の話とコデザインの話をセットで書いていただいているのはいいと思うが,このコデザインというのは,基本的にはデザインの段階の話であるため,コデザインの話だけで終わるのではなく,同時に,利用を迅速にしていくためには連携した推進が求められているというようなことを述べて,その上で全体的な推進体制が必要というような文章にした方がいいと思う。
 三つ目は,ポスト「京」の開発主体と重点課題の代表機関と,アプリケーション開発元との関係のところの表現。3.2のところで,ポスト「京」の開発主体と重点課題の実施機関(アプリケーション開発元)との間でコデザインを行うとあり,恐らくここに入っていると思うが,前の方の記載を見ると,実施機関は一つではなく,代表機関と分担機関が両方入っており,開発主体と代表機関と,場合によってはアプリケーション開発を請け負う分担機関の三者間関係だということも読めるかと思う。また,実施機関のあとにかっこ書きでアプリケーション開発元等,となっており,これは恐らく,アプリケーション開発元である分担機関である場合と,代表機関と両方あるためこのような表現をしていると思うが,ほかの同じ表現の箇所で,「等」が入っていない箇所もあり,これも「等」を入れた方がいいと思うが,確認してもらえればと思う。
 また,先ほど議論のあった,国際的な寄与という点は,恐らく,実際に行うプロジェクトの中身を考えても,そのような側面は入れた方がいいと思う。今の政策的な状況のもとでは,国際競争力の強化ということは重要だと思うが,「はじめに」の4段落目に,産業競争力の強化,安心・安全な国づくり等,の等のところにもう一つぐらい具体的に入れても大丈夫かなと思う。
【小宮山主査】  いろいろ御意見が出たので,今までのところをまとめましょう。
 私も思ったが,「京」の経験を生かすという点は,「はじめに」に書いてしまう方が良いと思う。あらゆることが「京」のときに初めて行われて大変だったわけで,そこでいろいろ問題も出てきたし,いろいろなところで「京」の経験は生かされる。
 それから,国際化については,皆さんいろいろ気にされている。また,脳科学の部分の表現の問題。先ほど城山委員が別の観点から指摘された点。一度まとめて答えていただければ。
【川口計算科学技術推進室長】  まず「京」の経験を生かすということは,このプロジェクトのある意味で本質だと思うため,そこは改めて「はじめに」にも基本的な方針として書かせていただきます。
 国内だけのチームではないのではないかという点は御指摘のとおりで,そこは公募の中で,国際的にもきちんとやって,なおかつきちんとしているかということを見ると思うが,公募要領の中でそうした人たちも入り得ますというところは改めて誤解がないように明記しておいた方がいいのかなと思う。報告書の文章というよりも,公募の段階で,きちんとそこはやっていきたいと考えている。
 精神のところは,具体的な修正文は今すぐに出てこないため,そこは相談させていただければと思う。
 重点課題の御指摘はそのとおりかと思うため,例えば,社会的・国家的観点からの意義があるなどと言っているところを重点課題の最初の説明に入れたり,推進体制のところにまさに利用を進めていくといったところという点も追記させていただきます。
 コデザインのところについては,基本的には,実施機関というものは代表機関と分担機関も入れた全体の参加者ということです。その中で,誰かがアプリケーションを開発するにしても,それは代表機関自体ではないこともあるだろうと考え,このような書き方になっています。ただ,一方で,そうは言っても分担機関がアプリケーション開発をするとしても,その人だけがコデザインに参加すると,全体を取りまとめる代表機関が参加しないというのもどうなのかなというので,そこは「等」ということで,少し分かりにくいですが入れています。「等」が抜けているという箇所は適切ではないため,そこは修正します。
【小宮山主査】  それでは,ほかにはいかがでしょうか。
【平尾委員】  「京」の経験を生かすというところで,共用開始以前にアプリケーション等をきちんと整備して,本当に「京」が共用開始されたらすぐに使えるようにするということで,「京」はいろいろな形でうまくいったところもある。
 実は,共用開始以前に,マシンは動き出す。今度の場合のポスト「京」では,2020年に共用を開始する予定だが,恐らく,それ以前に,全系が動くかどうかは別にしても,かなりの部分が2019年あたりには動き出すだろうと思う。そこでの活用が非常に重要で,これは重点課題でどこが担当するかというところが決まって,そのプロジェクトの進捗状況にもよると思うが,全部の重点課題を一斉に行うということではなく,そこでメリハリをつけて,この課題を先にやりましょうということを,やってもいいのではないかと思う。そのような記述を,報告書のどこかに入れていただくことが必要でないかなという気がしている。
 また,国際連携に関しては,今の「京」でも,いろいろなところからそのような申込みがある。「京」を使わせてほしいとか,「京」を試しに少し使ってみたいとか。これは,少なくとも,機構の方で,例えばMOUを結んだ機関など,そのようなところからは研究者に入ってもらって,今でいうと,調整高度化枠ということで,国際連携のための枠というのを機構の方で設けて使っている。したがって,もし,そういった国際連携のための枠というのも考慮されれば,国際連携が進めやすいという気がする。ただ,国際連携に関しては,純粋な社会的な課題,あるいは科学技術的な課題と,産業界での国際競争力をつけるという課題とは,区別をして行う必要がある。今の「京」でもそのような形で分けている。一般の課題に関しては,日本以外の各国の方も参加してプロジェクトを推進しているが,産業利用の方に関しては,我が国の産業界の国際競争力をつけるという意味で,実際の課題を受けるところは,日本に法人のあるところというような,とにかくそのような制限をつけたりしている。その点は恐らくこれからも堅持した方がよいのではないかなと思う。
 また,もう一点,資料2-2の9ページ目の太陽系外惑星というところに,分子化学という言葉があるが,これは分子科学の方がより適当ではないかと思う。
【小宮山主査】  ほかにはいかがでしょうか。
【瀧澤委員】  資料2-2の18ページ目の計算資源配分の重点課題枠のところで,運用開始のときを想定して,(非公募)と書いてあると思うが,その前のページで,重点課題については公募すると書いてあり,文字面だけ追ったときに,少し矛盾を感じるため,いつ頃に決定済みのような形で記載した方が分かりやすいと思う。
 もう一点は教えてほしいことだが,私たちのようなメディアの者がポスト「京」というものを把握するときに,大ざっぱに表現する際,どのような表現をするのかと。改めて考えてみたときに,九つの重点課題を決め,世界を先導する成果を出すということも努力目標として書いてあり,それをどの程度期待していいものなのかと。先ほどのターゲットアプリケーションの話とも関係すると思うが,一つ一つの重点課題の中で,一つ一つのターゲットアプリケーションをシステムの初期化段階から組み込んでやっていくことで,最大限の性能を発揮するのは当たり前だが,その一つ一つの重点課題の中で,確実に完成時点で最高性能を担保できるぐらいの目標設定が,今の時点で見えているのかどうか。これは,重点課題をどのように,ポスト「京」でなくてはならないものを選定するのかということとも関連してくると思うが,その辺の意気込みを是非伺いたい。
【川口計算科学技術推進室長】  まず,確かに重点課題というと,まさに社会的・科学的にどのようなサイエンスとしての成果が出るかという話もあるかと思うが,そこはまず,アプリケーションができて,また更にいろいろそこで研究していくという話もあり,すぐでなくても,少し時間がかかると。
 一方で,先ほども少し目標設定という話もありましたが,恐らくそのようなサイエンスに取り組んでいくに当たって,ある程度,これぐらいの問題規模のものをあるプログラムで解いていかなくてはいけないと。そのようなものは,これまでも,先ほど言った計算科学ロードマップというもので勉強して見えてくるところもあります。
 そうした問題というものを,まさに「京」に比べて,どれぐらいのスピードで解いて,このアプリケーションでこれぐらいで解いていくといった,ある程度このような問題解決のためのこのような大事なアプリケーションがあって,それはこのぐらいの性能で出すのだと。それが実現できるようなスーパーコンピュータを作っていくというところは,まさに先ほど,このターゲットアプリケーションの中で早いうちに目標設定するということです。
 もちろん,その目標自体は,また少し見直していかなければいけないと思うが,そのような目標を設定していくというところで,まずは第一弾的なターゲットを示した上で,もう少しアウトカムというものは,そこは研究の進捗を見ながらというところかなとは思っています。
【瀧澤委員】  アウトカムは,どのような意味でしょうか。
【川口計算科学技術推進室長】  我々としては,コンピュータとして単にプログラムが動いたということではなく,そのようなアプリケーションを作ることによって,社会や科学の発展なり何かに貢献していくような成果を出していくといったイメージで,今は説明させていただいた。
【小宮山主査】  ほかにはいかがでしょうか。
【住委員】  一般的な印象として,この秋に公募して,冬には決めるというのは,少し早いという印象を受ける。
 機関という言葉が出てくるが,一番下の協力機関の部分は,割と協力研究者のようになる場合が多く,それを機関とするとしばしば大変なこともあるため,公募のときに,もう少し具体的に書かれるのがよいと思う。
 また,国の研究機関の参加についてはどうか。
【川口計算科学技術推進室長】  基本的には,リーダーシップのある研究者がいて,そのような方が当然主導されていくとは思うが,その中で,特にそのような国の研究機関が参加できるとか,参加できないとかいう議論は余りなかったように思うが。
【小宮山主査】  少し確認してください。
【川口計算科学技術推進室長】  はい。
【小宮山主査】  ほかにはいかがでしょうか。
【林委員】  資料2-2の5ページ目の基本的な考え方のところで,いろいろな御意見を踏まえて,公的なものについてはもっと広く世界に門戸を開いて,かつ日本の競争力を維持できるような側面も考えて,というようなことを考えると,最初の文章のところにもう一フレーズぐらい挟めないだろうかと思う。国家基幹技術として,国家的に解決を目指す課題に優先的に取り組むという点はもちろんそうだと思う。かなりこれは,純粋に科学的な議論の話になる。しかし,同時に,産業振興も図りたいというようなこと,あるいは,技術振興も図りたいということを考えると,世界に先導する成果の前に,例えば,我が国の国際的な地位向上にするのか,競争力の向上なのか,発言力の向上なのか,あるいは,もっと素直に,我が国の持続的発展に寄与するというように書くか。何か,少し,産業の部分も含めたような,我が国のエッジを立てるという部分も,目的の一つに入れて先行していくというようなことを考えてはどうかと思う。
 また,先ほど,具体的な公募の議論もあったが,例えば,公募の内容というところに,国際的に募集するというくらいに書いてしまっても,逆にいいのかもしれないとも感じた。何かメリハリを,もう少し書きこんでもいいのではないかという気がした。個人的には,先ほど幾つか述べたが,我が国の持続的発展に寄与するという言葉が,防災・環境面というところにもすごく関わってくるため,書き方としては素直ではないかなという印象を持った。
【小宮山主査】  国家的に解決を目指す課題に取り組むということで,林委員が言われたような,日本の発言力,競争力を高めるということが入ると考えるかどうか。少し検討させていただいて,どのような記載にするかは検討する
 公募のところはどうか。
【川口計算科学技術推進室長】  検討させていただきます。
【小宮山主査】  ほかにいかがでしょうか。
【土居主査代理】  先ほど平尾委員からの意見にもあった,全系に至るまでの過程で使用可能な場合には,ということだが,これは「京」の場合にもやっていて,早く結果が出るものを優先的に,ということで行った。余り細かいことは書けないのではないかと思うが,運用や利活用を考えるといったような記載を入れてもらえればと思う。
【小宮山主査】  ほかにいかがですか。それでは,非常に重要なポイントを幾つも御指摘いただき,ありがとうございました。時間の制約もあるため,この後の修正は事務局と最終的には主査,私に一任させていただければと思いますが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

(3)その他

田畑情報科学技術推進官より,資料の公開について説明。
常盤研究振興局長より挨拶。

小宮山主査より閉会発言

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)