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ジャーナル問題に関する検討会(第4回) 議事録

1.日時

平成26年6月23日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省第2会議室(旧文部省庁舎)

3.出席者

委員

浅島主査、加藤委員、佐野委員、白石委員、竹内主査代理、谷藤委員、永井委員、林委員、引原委員

文部科学省

下間参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、松本参事官補佐、その他関係官

4.議事録

ジャーナル問題に関する検討会(第4回)

平成26年6月23日


【浅島主査】  それでは、時間になりましたのでただいまより第4回の「ジャーナル問題に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。御多忙中、御出席いただきまして大変にありがとうございます。本日はこれまでの審議のまとめについて意見交換を行いたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より配付資料の確認及び傍聴登録者等について報告をお願いいたします。

【松本参事官補佐】  それでは、お手元の議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。まず資料1は「ジャーナル問題に関する検討会における議論のまとめのたたき台」でございます。資料2が「ジャーナル問題に関する検討会の日程について」でございます。それから、資料番号を付しておりませんけれども、谷藤委員からの資料を1枚御用意してございます。机の上にはこれまでの審議のまとめ、それから、過去の検討会の資料を準備してございます。不備等あれば事務局へお申し付けいただきたいと思います。
 なお、本日の傍聴登録者は、38名となっております。以上でございます。

【浅島主査】  それでは、事務局より議論のまとめですけど、たたき台について御説明いただき、その後、取りまとめに向けた審議を行いたいと思いますので、それでは、長澤室長、お願いします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、これまで3回御審議いただきました内容につきまして、事務局の方でおおむねたたき台のような形でまとめさせていただいた資料をお配りしております。これまでの配付資料につきましてはドッジファイルのところにつけておりますので、適宜、御覧いただきながら御確認いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。本日、議論のまとめ【たたき台】を初めてお配りいたしておりますので、若干お時間を頂いて御説明をさせていただき、その後、忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思っております。
 まず、一応、1ページ目がたたき台の構成でございます。「問題意識」とこの3回議論していただきました「ジャーナル購読料高額化への対応について」、「オープンアクセスについて」、「日本のジャーナル強化について」、「まとめ」という構成で考えております。
 1ページめくっていただきまして、まず「問題意識」でございますけれども、日本の社会発展を支えているのは、学術研究に基づく知識基盤であり、優れた研究水準にありますけれども、その研究の遂行とともに成果を発信・流通するということも非常に重要だということを述べております。
 その次が、その学術研究の成果は、ジャーナルに掲載される形で発信・共有されますが、その成果を生かして研究発展とか産業界への移転ですとか、社会発展につながるということ、ジャーナルは研究者にとって成果を評価される場であるということとともに、自らの研究推進においても研究動向を把握する上でなくてはならない情報資源であるということで、その重要性をうたっております。
 その次に、ただ、近年、ジャーナルの購読料は高額化しているということで、各大学等が大きな課題に直面しており、本来は必要とする全ての研究者の方が、所属機関等にかかわらず自由にアクセスできる環境が望ましいんですけれども、財政的な事情によって制限せざるを得ないような機関も発生してきているという問題意識を掲げております。
 それから、この問題自体は世界共通の課題でございますので、こういった対応につきましてはオープンアクセス化を推進するという動きが世界的に強まっております。
 一方で学術研究のグローバル化というのが進んでおりますけれども、我が国が競争力を維持する点では、日本のジャーナル基盤を強化して、国内外の優れた研究成果を我が国から流通させるというふうな受発信力の促進を図ることが求められているということを書いてございます。このことは学術審議会の学術情報基盤作業部会でも指摘がされているところでございます。
 そういうことで、2の「ジャーナル購読料高額化への対応」でございますが、まず現状について簡単に触れております。電子ジャーナルの利用が増えているということと、学術雑誌の毎年の平均値上げ率が7.8%ということで、大学の負担が大きくなっている。購読の経費というものは平成24年度で大学全体で227億円にも上っております。大学の総経費に係る資料の割合は減少して、図書館経費も減少しておりますが、ジャーナルの購入費は逆に値上げされて上昇している。また、円安の為替の影響ですとか、今後、消費税の課税も見込まれている状況で、状況は非常に厳しいということを書いてございます。
 その次は、毎年価格が上昇している原因でございますけれども、この要因として国際的な論文数の増加、代替品が存在しない競争が成立しない特殊な市場性、それから、本来、研究者による自主的な活動である科学技術情報流通ですけれども、商業出版社に依存しているような体制があるということが書いてございます。それに対してはJUSTICEがコンソーシアムで対応しており、値上げ幅を抑制することはできていますが、本質の上昇の要因を取り除くことはできていないということでございます。
 ジャーナルの利用契約の形につきまして簡単に書いてございます。ジャーナルごとの個別タイトル、それから、そのパッケージ契約、それから、論文単位で読むペイ・パー・ビュー、そのほかにバックファイルの契約とか、二次利用としての横断的なパッケージを結んでいるアグリゲータ契約とかもあるということを書いてございます。問題はこのメリットの大きいパッケージ契約の件でございますけれども、ビジネスモデルとしまして全てのジャーナルを、若干、これまでの契約額に上乗せすることで利用可能にしているというモデルに特徴がございまして、大学によって同じ内容でも契約額が異なっており、もともとの契約しているタイトルが少ないほどパッケージ契約のメリットが大きいという特色がございます。
 それから、このジャーナルの本質の問題でございますけれども、ジャーナルを維持するということが学術情報流通の基盤とか、研究者の研究環境の維持という根本的な問題であるということでございまして、パッケージ契約を維持できなくなったという場合には、特に研究費の少ない若手研究者とか大学院生などが研究遂行において不利になる懸念があると。また、そのセーフティネットをどうするかということが課題として挙げられていたという認識をしております。
 「大学の取組状況」でございますけれども、やはりメリットがまちまちでございますので、パッケージ契約の見直しを行っている大学もあれば、そのメリットを踏まえて継続している大学もあるということで状況は異なっていると。いずれにしましてもデータに基づいて客観的な状況判断を行っていくことは必要ということでございます。ただ、そのパッケージ契約を見直す場合には、大規模の場合は影響が大きいので小規模なものから様子を見ていくという判断も行われているということでございます。また、購入経費の負担方法も大学によって本部・図書館経費で見ているところもあれば、部局等予算で維持しているところもあれば折半しているところ、様々でございます。
 「具体的な対応事例」として、これらは一応、各大学の先生方から報告していただいたことを、知っていただくということが非常に重要だということで御紹介させていただいております。それぞれパッケージを見直して対応しているところ、それから、維持しているところ、コア契約に切り替えようとしているところ、それから、研究者の方に予算を戻して、そのジャーナルを選定していただこうというふうな形に対応しているところ、様々な大学の形があるということが、先生方のヒアリングから分かったというとでございますので、その辺の内容を書いてございます。
 (4)は「今後の課題及び対応の方向性」でございますけれども、この問題に当たってはアメリカの方で先行して事例があるということで、その場合の対応としてデータを取るということ、それから、必要とするジャーナルを把握すること、オーバーヘッドで対応するなど、購入予算の裏付けを明確にすること。それから、ジャーナルを選定するルールを明確にすること、情報をオープンにする、これは重要だということを書かせていただいております。各大学の事例等や情報を可能な範囲で共有することも必要だということがまず一つ目でございます。
 それから、国がまとめて一括契約してほしいという要望もあり、ナショナルサイトライセンスにしてほしいということがありますが、国が一括契約するということに対しましては、各大学でジャーナル購読ニーズが異なっており、これで対応しても実質的に価格上昇の流れというものを防ぐ対応にはならないということ、それから、国全体のコストで改めて契約し直す場合には、トータルでコスト増になるおそれがあるということと、そのコストは結局のところは財政事情が厳しいですので、大学の負担ということにしていただくことにならざるを得ないという状況も考えられます。これを一つにするともうこれから逃れられなくなるという観点からしますと、適切とは言えないということで書かせていただいております。
 それから、そのパッケージ契約の対応ですけれども、ビッグディールを維持する若しくは離脱を視野に入れてコアジャーナルとペイ・パー・ビューにするとか、それから、アグリゲータ契約とかILLを活用するとか、厳しい財政事情の中で研究情報を効率的かつ適切に維持する方法を検討していただく必要があるということでございます。また、オープンアクセスを促進するということで、ジャーナルを購読しない場合はセーフティネットとして機能させるということが望まれるということで、こういったパッケージ契約を取りやめざるを得ない大学の増加とともに、オープンアクセスの流れが強まることによって、こういった一方的に価格が上昇している現行のジャーナル出版のビジネスモデルに変化をもたらす可能性は強いという形にしていただいてございます。
 それから、5ページでございますけれども、既にパッケージ単位でジャーナル購読を考える時期ではなく、個々のジャーナルの必要性を分析して、その有用度から購読を判断する必要があると。投稿するジャーナルにつきましても、そのオープンアクセスジャーナルを含めまして、論文を読まれる確率を想定して発信するという、研究マネジメントとしての判断が重要になってきているということが書いてございます。
 「オープンアクセスについて」のまとめでございます。「意義等」につきましては、オープンアクセスの定義と、それから、オープンアクセスジャーナルで論文を発表する方法、リポジトリに掲載する方法、ゴールド、グリーンという区分がございますということと、オープンアクセスの意義自体がこういったジャーナル価格の高騰への対応策という側面と、研究成果の共有と再利用を促すことで研究開発の費用対効果を上げて、境界領域の研究を促してイノベーションの創出を促進するという側面があるということ、それから、科学者へのアクセス不平等というものを超えて科学そのものを発展させ、産業も生み出すポテンシャルを有しているということを書いてございます。
 「世界的な方針」といたしましては、これは学術の振興という観点から非常に重要な問題であるということで、グローバルリサーチカウシルでオープンアクセスのアクションプランが採択された。また、科学技術大臣・アカデミー会長会合におきまして、オープンアクセスやオープンデータを拡大する原則が確認されましたということで、また、26年3月にはそのフォローアップ会合も開かれたということを書いてございます。各国の動きといたしましては、アメリカではNIHを中心とした専用のリポジトリに義務化をしていると。イギリスではWelcome TrustとかいったNIHと同様に義務化する財団もある。方向性としてはオープンアクセスジャーナルのゴールドOAを強く推奨していると。ドイツではそのオープンアクセスジャーナルへの投稿料を補助するようなプログラムも推進して支援している。EUの流れにつきましては、助成の投資対効果を上げるという観点から、平成26年のHorizon 2020におきまして、研究成果の60%をオープンアクセスにする目標を立てていると。こういう観点で助成団体がそういった対応とか成果の透明性について、議論を行っているというのが特徴的だということでございます。
 「国内の状況」といたしましては、第4期科学技術基本計画や学術審議会の学術情報基盤作業部会で、オープンアクセスを推進するということになっております。具体的な推進方策としましては科研費で制度改善を行いまして、オープンアクセスジャーナルの育成支援というカテゴリーを設けております。また、J-STAGEにおきまして高機能化を図りまして、原則無料のジャーナルが多いわけですけれども、我が国のジャーナル技術を促進させてきている。JSTの方ではその助成した研究成果のオープンアクセスの推奨を表明するとともに、義務化についても議論をしていると。NIIにおきましては、こういった大学の機関リポジトリというものを連携させて、コンテンツの流通を促進する事業、JAIROというものを行っているとともに、それに乗せる共用のプラットフォーム、JAIRO Cloudというのを提供するという事業も行っております。また、こういった普及させるためのセミナーとしてSPARC Japanというような活動も展開していると。併せて学位規則が改正されましたことによりまして、博士論文のインターネット公開でリポジトリを活用するということになりましたので、こういったオープンアクセスに対する大幅な整備及び理解の促進につながっているという現状がございます。
 「課題及び対応の方向性」でございますけれども、ただ、商業出版社におきましてもこういったオープンアクセスをビジネスモデルとして推進する動きがございまして、オープンアクセスジャーナルに関しては投稿料と購読料の二重取りになっているんではないかという指摘もございます。また、オープンアクセスにするということにつきましても、やはりワールドワイドなデータベースに掲載されて、世界各国から引用される形になるということが非常に重要だという側面がある。さらに、これは論文のオープンアクセス化という時代ではなくて、研究成果のオープンアクセス化という視点で捉えていく必要があって、データのオープン化とか、それから、多様な研究成果をオープン化して学習のための資源にもなり得るような方向性を考えていくべきではないかということでございます。
 また、学協会の対応といたしましては、連携して国際発信力を強化していただく取組が必要だということで、アクセスを増やすためのバーチャルの窓口の設置とか、編集体制の強化、情報共有などに努めていただく必要があるということでございます。あわせて、ジャーナルの掲載論文の利活用促進のために、学協会はジャーナルの著作権ポリシーの明確化を図っていただく必要があるということを書いてございます。さらに、現状といたしまして、研究者の意識や取組に温度差がありますので、学術情報流通の将来について科学者がどうあるべきかと考えていただくことが必要になってきているということを書いてございます。それから、逆に欧米のようにオープンアクセスへの反対勢力とか、後進する方もあるかもしれませんけれども、そういうふうな勢力が存在していないというのが日本の特徴でもございますので、日本独自の指標というものを作って、そういった評価指標に基づいて学術情報流通の在り方を検討していくということも有用ではないかということでございます。
 今後の方向性としましては、これまでと継続しまして、オープンアクセスを推進するということが重要で、やり方としては機関リポジトリの構築、コンテンツの充実、それから、日本のジャーナルのオープンアクセス化を促進するということで書いてございます。特にジャーナルのオープンアクセス化を促進ということでは、特に評価の定着していない萌芽(ほうが)期を支援するために必要な科研費の充実等を図るということが必要ではないか。それから、J-STAGEにおきましてはジャーナルの約8割がフリーアクセスということですけれども、J-STAGEを強化して質の高いオープンアクセスジャーナルを誘導することによりまして研究者のAPC、購読・投稿料の負担軽減にも寄与していくということが見込まれることを書いてございます。
 4番目が「日本のジャーナルの強化」でございます。日本は業績はトップレベルですけれども、決して有力なジャーナルは多くないという御指摘が以前にも作業部会でございました。日本学術会議におきましても優れた研究活動を国内外に力強く発信して、持続性と競争力を持った流通基盤の提案・構築ということが必要だということが提言されております。現状としまして、トムソンロイターのWeb of Scienceにおきましては、日本の学術誌というのはこの5年間で1.4倍に増えておるということでございます。欧米諸国の学術誌は同じ程度でございますけれども、新興国の中国、韓国、ブラジルは2倍以上の増加率というふうになっているという現状がございます。また、中国や韓国ではそういったトムソンロイター社の方法を模倣したサイテーションインデックスというのも作ったりして、そういった論文の流通に戦略的に努めているという状況がございます。
 あと、日本の支援としましては科研費の学術的刊行物を国際発信力強化ということで、OA誌だけではなくてこういったグローバル化を促進するための支援を強化をしているところでございます。また、先ほどのJ-STAGEにおきましても、国際標準のXML化というふうな対応の機能改善を図っておりまして、更に国内論文誌の引用情報整備のための事業も開始をしようと動き出しているというところでございます。
 「今後の課題」といたしましては、日本のジャーナルというのはこれまで海外に打って出て、国際的な評価を得るような考えはなかったという紹介がございました。それから、国際的に発信するための戦略的なマーケティング、高機能のプラットフォームというものが必要であるということでございます。また、分野によって異なるということについてやはり統一的な指標での評価は難しいので、多面的な評価指標を構築していく必要があるということでございます。特に、国際発信力向上ということをうたっておりますけれども、国際発信力という定義若しくはそのための評価基準も明確にしておく必要があるということでございました。
 8ページでございますけれども、日本のジャーナルというものはこういった国際発信した結果を、定量的、定性的に評価することができていないということ、それから、評価・分析を行う人材を育てていくことが必要ということでございます。また、大学ランキングにおきましては論文の引用数が指標の一つとなっておりますので、こういった世界的なデータベース、例えば引用データベースのWeb of Science等でございますけれども、これらに搭載されないジャーナルとか、日本語で研究成果を発表している分野の評価を適切に行っていけるようにするということが必要だということで、そのためにはJSTが開始する引用情報の整備というのも重要になってくるだろうということで書いてございます。
 「今後の対応の方向性」でございますが、やはり学協会が連携してハイレベルなジャーナルを発行していく取組が重要だと。和文誌につきましては英文抄録を作ることで、海外での大幅な流通促進というものが期待できるということでございます。それから、J-STAGEの強化におきまして、やはり海外からの有力な論文が日本から流通する仕組みが重要だと。日本のハイレベルな論文を紹介するレビュー誌を、J-STAGEから発信するということも効果的だということと、また、海外のジャーナルを受け入れてプラットフォームとして生かすということで、国際的な存在感を示すということも検討すべきだということでございます。それから、ジャーナルの国際発信の強化の取組につきましては、進捗状況を適切に評価した上で複数年の採択数を増加するなど科研費の支援の充実を図って、日本発のジャーナルの強化を推進していく必要があるということを書いてございます。また、そのインパクトファクター以外の評価指標についても、多角的に評価していくということが有用だということも書いてございます。
 これまでの「まとめ」といたしまして、購読モデルのジャーナルに過度に依存しない環境への転換ということで、大学の事情に応じたパッケージ契約の適切な見直しとか、オープンアクセスの推進が重要である。それから、ジャーナルというものは、研究成果が循環する場でございますので、そもそも利潤の発生するビジネスが介在すべき場ではないということを書いてございます。そういうことからしますと、研究者が有力ジャーナルの掲載数を競って、それを国も評価するという状況が変わらない限り、こういった価格高騰の基調は変わらないということで、研究者の意識を改革して新たな学術情報流通モデルを構築するという以外に、根本的な解決策はないのではないかということでございます。
 オープンアクセスの意義に対する理解を深めていただくために、国としてオープンアクセスを推進していくことを研究者にも積極的にアピールをして、意識改革を努めていただくことが必要だと。その体制としてはNIIの方でやっている機関リポジトリの構築支援とか、コンテンツを流通させる体制の強化を推進していくということが期待されます。それから、SPARC Japanの活動についても広報して普及に努めていただくということが望まれる。学協会におきましては、日本の学術振興という観点で連携を深めて、更なる国際発信力やコミュニティの強化を見据えた改革をしていただきたい。
 JSTにおきましては、J-STAGEの機能拡充を図っていただいて、戦略的なマーケティングを行っていくということが今後必要になってくるだろうということでございます。JSPSは科研費ですけれども、国際発信力強化というものを予算拡充して日本のジャーナル強化を促進していくべき、それから、そういった様々な課題を解決するためには、関連するJSPS、JST、NIIが連携して大学や学協会のニーズを踏まえつつ対応する体制が不可欠だと。また、大学におきましてはジャーナル問題は評価に関わる問題であるということから、教員の評価等において多面的な指標を活用する体制を整備していただきたいというまとめにしてございます。少し長くなりましたけれども、以上でございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。今日は第4回目でありますけれども、今、長澤室長の方から問題意識、それから、ジャーナルの購読料高額化への対応、それとオープンアクセスへの問題、日本のジャーナルの現状、そして今後を含めたまとめということで述べてもらったんですが、非常によく要領よくまとめていただいております。我々としては大学等の学術研究がきちっとなされているので、それをどのようにして社会に対して発信してあるいは国際的に発信していくかということと、その良いものをどういうふうな形でもって発信していくか。それから、一部、ジャーナルの高額化というあるいはパッケージ化の問題も含めて、いろいろな意味で、今、述べていただいたとおりでございます。
 まずここでもって自由に御討議いただいて、この問題について是非こういうふうに加えた方がいいんではないかとか、あるいは、今後のあるべき姿というようなことについて述べていただきたいと思っております。
 そうしましたら、まず、引原先生から何かございます?

【引原委員】  遅れてきて申し訳ございません。
 二つばかりコメントさせてください。今このたたき台の中にジャーナルとして、科学技術情報を受ける側と、それから、出す側というか、発信する側と両面が書かれているわけですが、その中でちょっと抜けているかなと思う点があります。主には科学技術という点で書かれていますが、日本としては文系というか、人文社会系の発信の視点というのがもう少し必要ではないかなと思います。いろんな調査をさせていただいていますと、日本の文化に関してかなり人文社会系の学術情報というのはものすごく求められてきたのですが、その割には国内向けの研究者用にしか作られていないデータベースが多いという状況が指摘されます。つまり、海外からアクセスしようとすると日本語の問題とかいろいろなことがあってアクセスできず、とても日本の人文科学の研究者を育てるような発信構造にはなっていないということです。発信という意味であれば、科学技術の英語でまとめられた成果を英語で発信するというだけはなくて、日本の国力を上げるという意味あれば、そういう本当に日本が強い分野の情報をもっと増やさなければ、国策としてやってきておられるアジアの国に対してはとてもじゃないけど、負けてしまいます。負けてしまうということは研究者がいなくなって、必要がなくなって更にアクセスが減ってしまう。そういうことが一つあるのではないかと思います。その視点が一つ必要ではないかなと思います。
 もう一点は、オープン化という話に関してですが、オープン化の話の中で学内というか、大学の中で必ず話があるのは、そのインセンティブがないという話です。オープン化して何も得がないという話が出てくるのですが、それはやはり科研費であるとかいろんな助成金の場合、オープン化が中心であるということをまず設定しなければ、これはやはりやらなくてもいいということが前提になっていくのではないかと思います。多くの場合、特許とかを取れと科学技術系では言われるのですが、特許というのはお金に絡むからそういう取りなさいという話があるわけです。特許も結局はオープンにするわけですが、全部が全部特許になるわけじゃなく、成立するわけじゃないのです。つまり、それで公開して結局はそれを承継せずに皆さんに使っていただくという一つの形があります。それと学術というのはほとんど変わらないんです、本来は。ですから、そういう意味の視点で言えばオープン化というのは人類の共通の資源である限りは必要であるということをもっと訴えなければいけないと思います。そこにインセンティブをどう与えるかという部分をもう少し強調した方がいいんではないかなと思います。以上でございます。

【浅島主査】  大変重要な御指摘でございますけれども、例えばですが、今、引原先生が出された人文社会、前々から問題になっている人文社会系の学問の発表の仕方というものと、それを読む世界、国際化という問題と、これをどのようにして埋めていくかということが一つ大きな問題になっていますね。これについて何か我々はここで回答をすぐ出せるかどうか知りませんけど、何か皆さんこれについて御意見と、それから、オープン化によるインセンティブをどのように引き出していくかということについて、何か御意見があれば述べていただきたいですが。どうぞお願いします、佐野先生。

【佐野委員】  必ずしもまとまった意見ではないんですが、今、引原先生が言われたように理系の分野、学部で言うと理学部がそうですが、ほとんどの論文が英文化されていて、多くの場合は欧米、もちろん中には日本もかなりのレベルの高い雑誌があって、多くのものがWeb of Scienceというようなグローバルなデータベースに載っている。したがって、発表された論文は世界中から検索できて見ることができる。取っている雑誌があるかどうかはともかくとして、原理的には検索に載っかってくるということが、理学部系の学術情報であればそうなっていると思います。工学系だと、これが50%・50%ぐらいになります。要するに英文が50、和文が50で、英語で発表されている50の中で、多分、Web of Scienceのようなグローバルなデータベースに載っているのが80%ぐらいですから、トータルで出している論文の40%ぐらいしか世界から検索できない。あとの60%は要するにこういう世界ではないに等しい。自分が勝手に出しているだけということになる。
 人文社会系ではこれが10%弱、もっと少ないかもしれません。心理学とか経済学は比較的英文化されているのがある、それでも多分英文が20、和文が80だと思います。それから、そうじゃないものはもっと少ない。Web of Scienceというようなワールドワイドなデータベースに載っているものとの比率を見ると、多分95%は出している論文が世界からアクセスできない、検索できない論文である。ここが非常に重要なところで、中身がですね、それじゃレベルが低いのかというとそういうわけではない。日本の研究者の人文社会系の人たちがそんな低い研究はやっていませんから、つまりそこの部分をそれなりの質がある研究を、どのように世界の人たちに検索してもらうようなシステムを作っていくかなのだろうと思います。そういう中で、前回はJSTさんがそういうことを是非何らかの形でやっていただけると、非常に良い仕組みが出来上がるんではないかな。
 それから、もう一つオープンアクセスについて、若干の危惧ですが、不正の温床になっている状態もあります。どういうことかというと、勝手に自分でオープンアクセスジャーナルを作って、それで論文を出し、自分のオープンアクセスジャーナルに自分で論文を出して、自分で発表して、研究成果を得たといって研究費稼ぎをしている不正が、実は日本でも、あるいはそうでないところでもかなりある。ということになると、オープンアクセスジャーナルというものの何らかの品質保証を考えないといけない。そういうのも日本においては公的機関が、これはしっかりとしたオープンアクセスジャーナルですよというような、何らかのそういう枠組みは作る必要があるんではないか思います。以上です。

【浅島主査】  どうも貴重な御意見ありがとうございました。一つは今言ったような日本の中で優れた研究があるにもかかわらず、それが例えば一つの例としてWeb of Scienceになかなか載っていかないと。そういうときにどういうふうな仕組みを作ればいいかという、我々自身に課せられた問題と、それから、一つの例としてJ-STAGEさんはそういうものを、いわば発信力強化の方に対応できるような仕組みを考えられるかどうかということが、まず一つお聞きしたいことであります。それは日本の科学のあるいは全体を含めたときに、今言った人文社会科学の方の発信力をどういうふうにして持っていくかということが、今、非常に問われているわけです。それから、先ほどの工学の方もやはりそういうことが言われておりまして、非常に高い技術を持った日本のジャーナルがあるにもかかわらず、日本語で書かれたためにそれがなかなか出ていかないということもあります。今、佐野先生が言われたような、例えば50%ぐらいが日本語で書かれたので、その中に物すごく良いものがあるんだけれども、出ていかないと、こういうようなものをやはり日本からのものとして出していくときに、どういう仕組みを考えればいいかという問題があります。
 それから、2番目のオープン化について、実はこれは、今、引原先生や佐野先生が言われたこともまさにそうでありまして、毎週のようにオープン化したジャーナルが出て、あなたはエディター・イン・チーフになりませんかとか、ボードメンバーに入りませんかというのはもうひっきりなしに来るわけですね。これは本当にある面で言えば、こんなに出ていいのかと思うぐらいのものが次から次へと、しかもネーミングが似てるんですよね。もう何かパクリみたいなものばっかりですね。これがやはり不正の温床になる可能性があるので、やはりそれはどこでもって、先ほど言った学問というのはある面で言うとピアレビューして、その品質の保証することがジャーナルは必要なんですね。これについての日本のいわば少なくともJ-STAGEさんを含めて出すときに、クオリティーコントロールというか、あるいは品質の保証というのがちゃんとしたものが出ていくということが、これから重要になるだろうということがあります。
 そういうこと言っても、インセンティブといったときには、先生、何かありますか。

【佐野委員】  私はちょっと…。

【浅島主査】  だから、引原先生、実際的にインセンティブを与えたときに、機関リポジトリにすればいいか、それとも出す投稿者とか、あるいはこれから長い目で見たときにどうすれば良いジャーナルを作りながら、そして、ある面で言うと国の支援を一部は受けるけれども、学協会が自律的にジャーナルを出していける仕組みとは一体どういうことかということについて、インセンティブを与えるとはどういうことと。

【引原委員】  学協会のインセンティブと、それから、研究者というのはまた別だと思うのですが、研究者の場合はやっぱり研究費を確保できて自分の評価が高くなるということが基本ですので、サーキュレーションがよくなるということだと思うんです。けれども、そういう意味ではリポジトリというのはやっぱりそれは強いものがあります。日本の学協会の場合はほとんどの場合は掲載を可能にしているわけですね。ですから、それはもっとサポートしていって基本的にはそうやって、エンバーゴかけてもいいですけれども、サーキュレーションが上がるようにお互いに協調してやるしかない。
 助成金からいえばオープンにしていることの評価を上げればいいのであって、オープンにすることを自助努力に任している限りは、進んではしないですよね。ですから、オープンにすることを例えば科研費の評価ではプラスに取るなり何なりすればいいだけのことです。それが何十%できてなければこの研究というのはクローズドな研究だというふうな発想でいけばいいだけのことであって、技術的なことだと思います。NIHとかは結局はそうしなければ次の助成が得られないという、もう基本的に明確なことが出きています。そこまで圧力かける必要はないですけれども、研究者がオープンにしない方がいいんだという、しなくていいんだという何か昔ながらの状況にとどまっているというのがもう問題なんであろうと思います。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。そうしたら、次に、林先生、全体的な今までの問題も含めて。

【林委員】  今の引原先生のポイントを補足させていただきますと、やはり欧米の例を見てみましても、研究者にインセンティブを与えるんじゃなくて、前提としての義務化、つまり公的資金を得た場合は、その成果は基本的にオープンにする上で研究費をもらってくださいという、そういう仕組み、意識に変えています。この仕組みがオープンアクセスを進める長い目で見たドライビングフォースになるのではないかと考えております。つまり基本的にはオープンにするという前提において、知財として囲うべきものはどうぞ囲ってくださいという順序です。今の日本の場合ですと一旦、先生に全部委ねておいて、オープンにするか、知財にするかというのを判断いただいている状況に見えますので、では、オープンにするにはメリットがあるんですかというような議論が起きるわけですけれども、そうではなくて、基本的に公的資金を得られた場合はオープンであるという土壌の上で、しかしながら、先生方の得られた知見が研究力、国力を高める知財になり得るのであればどうぞ囲ってくださいという、そういうシナリオ、流れにすることが肝要なのかなと個人的には思っております。
 さて、今までのようなレベルの高い議論ではなくて恐縮なんですけれども、多少、研究者や学協会の立場から拝見させていただいて気になった点を申し上げます。まず5ページ目のオープンアクセスの意義のところで最初の項目は、これは研究論文におけるオープンアクセスの方法についての説明ですので、これは飽くまで研究論文におけるという表現をつけておくことが重要と思っております。
 それと、学協会の立場から申し上げますと、若干表現がきつめに感じるところがありました。例えば6ページ目の下から2番目のマルのところで「オープンアクセスへの反対勢力も存在しない」と言い切るのはちょっと危なく、事実上それに近い状態ではありますが、少々気をつけた方がいいかなと思います。全く同じ文脈で7ページ目の(2)の今後の課題の最初のところに、「国際的な評価を得るという考えがなかった」という表現がありますが、これは明確に私の関係する学会含め頑張っているところはあります。このような考えが日本全体として強いか弱いかという意味では弱いので、このおっしゃりたいことは非常によく分かりますが、こうやって文章にする場合は、気をつけた方がよいかと思っております。
 他には、今までの議論を踏まえた文章表記の対案として6ページの(4)オープンアクセスの今後の課題及び対応の方針のところの1ポツ目の次ぐらいに、やはりオープンアクセスジャーナルの品質についても気をつけるべきであるという表現を加えるのはいかがでしょうか。やみくもにオープンアクセスメディアを進めているわけではないという見識を示しておく必要があると思います。あわせて、今度は7ページの上の方に移りまして、一番上のポツに「特に評価の定着してない萌芽(ほうが)期」のジャーナルを支援するためとありますけれども、ここに並列する形で「言語を問わない、日本の文化・研究を内外に知らしめるポテンシャルのあるジャーナル及び萌芽(ほうが)期のジャーナルを支援する」という表現に変更することによって、先ほどまでの議論はある程度吸収できるのかなと思って拝見しておりました。以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。そうすると、文書の一部を、何ていうか、書き方の問題のことについては少し訂正、緩やかにする。例えばオープンアクセスへの反対勢力、そんなしないというか、少ないとか、それぐらいにしとくとか、少し…。でも、やっぱり本当はこれぐらい書いてもいいんでしょうね。

【林委員】  気持ちとしては…。

【浅島主査】  ええ。

【林委員】  気持ちは重々承知しておりますが、文章としての表現は気をつけた方がよろしいかと思います。

【浅島主査】  ええ、それから、今、公的資金をオープンアクセス化するというのは、これ是非どこかのところできちっとうたいたいなと思っています。
 それから、オープン化によるジャーナルの質保証というものを、これをどうするかということで、これは非常にこれから重要になってきて、少なくとも日本の学協会が出しているもの、あるいは、J-STAGEがプラットフォームを出しているものは、クオリティーコントロールはちゃんとされているものであると。つまり世界から高い評価をされるようなプラットフォームであるということをするための仕組みというものは、ピアレビューはよく言われるんですけれども、そうすればいいのか、ちょっと、林先生、例えば質保証としたときにどうすればいいかということがちょっともしもあれば。

【林委員】  原則に従うのが順当で、しかるべき編集委員長がおり、しかるべき研究者コミュニティが編集委員会を構成し、その内容が審査され、その投稿・掲載内容がコミュニティにとって有益であるということになります。この原則以外、処方箋的に手早く質が上がるという方策は思い浮かばないです。

【浅島主査】  いや、今言ったことは非常に重要で、編集体制がしっかりしているということは、ある面で言えばそこにちゃんとしたエディター・イン・チーフを含めているわけですから、その方を含めた編集体制がちゃんとしていれば、それなりの質保証になるわけですね。先ほどちょっと引原先生言われた自分で勝手に出してやっているような、こんなものはそんな一人で出して一人で自分のものばっかり出しているだけのものは、それは良いわけはないですね。それから、学協会がちゃんとしていれば、学協会のサポートがあって、ある面で言うと、少なくともそこがきちっとしていれば、それは質保証も担保することにもなると思うんですね。それはまた学協会がエディター・イン・チーフ、ボードメンバーを含めてちゃんと選んでいるということにもなりますので、それは質保証の一つの私は強いエビデンスだとは思っていますけれども。何か竹内さんありますか。

【竹内主査代理】  今の学協会誌の質保証の問題に関しては、以前、たしか引原委員の御発言にあったと思うんですけれども、かつて存在していたようなジャーナルを中心とした研究コミュニティが今や崩壊しているのではないという問題意識が、実は重要なファクターとして関わっているのではないかと思います。林委員が今おっしゃった事柄というのは、原理原則として全くそのとおりなんですけれどもと、実態としては学協会がそういう力を今や失いつつあるというところに、実は日本のジャーナルを考える上で一番大きな課題があるというふうに押さえるべきではないのでしょうか。

【浅島主査】  はい。

【引原委員】  すみません、竹内先生、今言っていただいたので思い出したことになるんですけれども、紙の出版の時代でも A、B、C 各社ありますけれども、そのころでも先ほどおっしゃいたようなエディターが恣意的に出版するということはあって、それをほかの論文誌がたたいていくということのやり合いが結構ありました。そういうのはやっぱりお金に飽かせてという時代に、かなり石油系のお金が入って、そういう状況がありました。今はアジア系のお金が入って同じような状況が起きている。それが商業出版だけでなくて学協会、海外の学協会のエディトリアルを全部押さえてしまうという活動に出ています。私の分野と言ってしまえば分かってしまうので余り言わないですけれども、あるソサエティーはエディトリアルが全部アジア系の人に押さえられてもうほかの人は出せない。日本の成果を出してしまうと中身を取られてしまうというような、要するに学協会を母体としているところをもう乗っ取りにいっているわけです。そこに出す限りは成果が取られてしまうので、もう日本のものは出せないというような状況というのがもう生まれています。
 ですから、学協会のコミュニティが崩壊しているということは、すなわち日本の科学技術をそこが権威あると思って出しても、受け入れられなくなってしまっている。そういう状況が生じているということをもっと冷静に見ないといけないと思うのです。それを知っている欧米の人たちはどうしているかというと、別の論文集を出版するのです。新たにソサエティーを立てて別の論文集、だからもう関係外の集団を追っ払ってそこでいろんな論文を投稿できる世界を作る。自分たちはそれはそれでいいでしょうとシフトしているわけです。そういう状況を日本の科学技術コミュニティが余りにも知らなさ過ぎるんではないかと思います。正面切って道場破りに行ったところで討ち死にに遭う。これは余りに無策で仕方なくて、今時そういう問題ではないと思っています。

【浅島主査】  どうもありがとうございます。今のお話は非常に今後起こってくる問題の一つで、重要な問題だと思っております。これは、また後で審議させていただくことにして、永井先生。

【永井委員】  この段階で随分難しい問題が幾つか出ているかなと思います。私自身が気になったことで頂いた書類に棒線を引いていたところは、林委員がほとんど御指摘くださいましたのですが。
 その上で、私が考えましたのは、一つはやはりJSPSがお考えになられた、国際情報発信強化という科研費をどうやって運用していくかということは今後の一つのキーだと思います。OA支援という非常に画期的なことをお考えになられたことは大変すばらしくて、それを本当にどう運用していくかということが大きいと思います。私どもの学会が、新刊OAジャーナルを出版するわけですが、それは、日本の動物学だけを推進するためにあるのかというと、スコープは違うと思います。それはインターナショナルということにあると思いますね。ジャーナルを出版するということで集まっていた学会は、日本の研究評価が海外の学術誌に出すことによって認められるということで、自分たちのよりどころを失ってしまったかなという気が私自身はしています。何らかの方法でこの状況を学術的に解明できるといいと今考えているのですけれども、この問題はとても大きいと思っています。
 強調したいのはJSPSの方針というか、科研費の今後の在り方、活用の仕方、運用というのが大きいと思います。4月にワシントンDCに仕事へ参りました折に、JSPSというファウンダーがこういう支援をしていると話しましたら、そこに座っていた米国の学会はみんな一斉に「おー」と言いました。ですけれども、我が国も、資金がアメリカと同様にないので、新刊OA刊行費用全部を満たしているわけではないからなかなか難しいとも申しました。でも、そういう形で国が支援をしているということはすばらしいと、生物系の学会のエディターの人にも言われました。ですから、科研費をどうするかということは学会ジャーナル育成に関しては、とても大きいことと思っています。
 それから、この書かれたたたき台の中で二つほど言葉として、私自身がどういうことなのかを確認をしたいことがあります。一番大事なところ、8ページの「まとめ」のところにこのそもそも論なんですが、オープンアクセスになぜするかということは、もちろん非常に高い崇高な理想があって、そこをここに書かれているのだと思うのです。本来のアカデミックなフローというのはこういうふうに流れていて公的な領域だと。しかし、ビジネスが介在すべきではないと書くのは難しいのではないか。これが英語に訳されたときに、やはり海外の人から見ると違和感があると思います。どの国の会議に参加をしても、ジャーナル出版関連会議では、パブリッシング・イズ・ビジネスということが必ず言われます。このまとめに書かれている意味は私たちは分かる。しかし、英訳をしたときにちょっと難しいように思えます。学会は、ビジネスモデルを持ち、お金を得て、得た資金を教育なり次のプロダクションに使うというような形に回していきたいと考えていますので、もう少し違う言い方があるといいと思います。おっしゃっていることはすごくよく分かるのですが。
 あともう一つ、これは私は何回か申し上げたことで、それを取り上げてくださっているのだと思うのですが、学協会の連携という意味についてです。JSPSが科研費の変更をお考えになった当初は、学会が連携してジャーナルを一つ出すということをどうも頭に、念頭におありになったみたいなんですが、幾つかの学会が連携して一つのジャーナルを出すというモデルを出した学会ももちろんあるわけですが、そういうことも含めてですけれども、学会間の情報を共有するような、つまり、あなたのところはどうやって業務を行っているの?と相談できるような在り方、例えばJ-STAGEさんも、今、XML化の問題を抱えておいでだと思いますが、XMLをどのように作成するかなど、学会間で相談できるような関係を前提とした、学協会連携という意味で、私は、使っています。
 欧米の学会は「あなたのところどうやってXMLを作っているの?」といったことが聞けるような土壌がある。日本にはそれもないものですから、何度か申し上げていた学協会の連携というのは、幾つかの学会が連携して一つのジャーナルを出すという意味だけではなくて、これからも、様々なシステム、情報、それから、もしかしたら規定が登場してくる。そういったことが今後、どうなっていくかということで、学協会は迷うことになると思うんです。そのときに、日本の学協会間で情報を共有するような場が欲しいと、そういう意味でお話をしていました。以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。そうすると、永井先生にちょっとお聞きしたいんだけれども、日本発の良いジャーナルを出そうとしたときに、国際化というところを念頭に置いたときに、例えばJSPSとかその他含めてジャーナルを出しているときの出し方について、もしも改善点があるとすれば何を変えれば一番いいと思いますか、例えば。

【永井委員】  私の全く本当に個人的な意見で申し訳ありません。

【浅島主査】  もう全く、はいはい。

【永井委員】  まず一つは、科研費調書を変えていただきたいと思っています。何ていうか、不正論文によくあるリダンダントなんですね、何度も同じことを書かされる。このリダンダントで一体何が分かるんだろうかと、書いている方がよく分からないぐらい同じことを幾度も書かされて、ただ長い調書を書かされる。それが嫌で出さないという学会も多い。もう少し明解にして、申請学会からいろんなアイデアを出せるような、そういった調書に変えていただきたいと思います。そのことによって私がもちろん知っていない、知らない学会でもすごく良いアイデアをお持ちのところがあると思うんですね。そういうアイデアをJSPSに出せるようにしたいなと思います。
 同時に、ここにも書いてありましたけれども、これも私の言ったことをちゃんと取り上げてくださっているんですが、途中の中間報告をやはりもうちょっと厳しくすべきだと思います。今は、計画が予定通りに進んでいるか、どうかなどしか書かないんですね。そうではなくて中間のまとめまで何をしたかをもう少し厳しくした方がいいかもしれません。
 それから、幾つかの学会にインタビューに行って分かったことなんですが、評価基準が余りにも不明瞭だと思います。はっきりしていただくための方策というのは多分あると思います。それは考えたいと思います。
 また、一番問題な点は、今までの科研費にも関わることですけれども、やはり文部科学省が本当にそのとき担当された方、今の方もうそうですけど、よく思い切って大きな変革をされたということ、これは後に、歴史に残るような大きな改革だったと思うんですが、大事なところは一部賄い費になってしまっているところがあるのではないかという懸念があります。それはもし私が、今、長澤さんの立場でそこに座っていたら、じゃ、全部出版経費は支援をやめることができるかというと、多分、私もできないでしょう、それはやっぱり日本の学術を止めるような気分になると思うのでよくわかるのですけれども、そこを何とかしてこの科研費で本当に自分たちは新しい活動を行って、勝ち抜くんだという学会を何らかの形で支援してほしいのです。
 そのことと連関して何とかしてこの科研費の審査員を今とは、多少違う形でとも考えます。図書館情報学者の方であるとか、それから、ジャーナル出版に直接関わっていた方とか、難しいですけれども、そうしないと、学術情報流通に関わるタームを説明するだけでヒアリングは終わってしまい、中途半端な説明に終わり、こちらの意図することは、やっぱりお分かりにならないだろうというように感じますし、何かいつも敗北感にさいなまれて帰るということになってしまう。何か新しい活動に関して、御説明をしましたら、「うん」って分かってくれる審査員を選んでほしいなと、そう思っています。

【浅島主査】  今のことは、あるいは文科省、あるいはJSPSの今の国際情報発信強化の事業に対してのいろいろな意味でのサジェスチョンだと思うんですけれども、例えばこの辺について、今、重複が多いとか、いろいろな意味で調書について申請しますね。これが本当にどういうふうに例えば逆に変化させればいいかというのをね、むしろ私は提案してもらってもいいと思うんですよ。ですから、本当に今の問題で同じことを書かしているとか、あるいは、意味のない……。意味のないということはないんですけれども、調書が調書となってないような、申請書が申請書となってないようなことであればむしろ書いていただいて、こういうのは私たちとしてはジャーナルをよくするためにはこういう申請書の方がいいんですよと。これはちょっとイギリスもですね、あるいはお隣の国の韓国も申請書をがらりと変えたんですね。ですから、そういうことがあるので、むしろ今の中で良い国際情報発信強化力になったり、良いジャーナル出すためには何を書けばいいかというのを、いわゆる申請書ですね、申請書の改善策もしあれば、それはしていただくのがいいんじゃないのかなと私は思っています。それが第1点。
 第2点は中間評価のことですけれども、これは多分きちっとやるでしょう。それと、それから、最初に言ったことがどこまで守られているかというのは、これは、今、全てのプロジェクトについてそういうことが行われておりますので、最初に大きなことを言ってても実際はやれなかったとか、あるいは、今、途中であるとかいうことあるとは思いますけれども、評価そのものはちゃんとできるでしょう。評価基準ですけど、これが実は調書と非常に、あるいは申請書と連動しているんですよ。だから、その辺についてもし分かるならば、それは是非その辺の改善を具体的に示していただくのがいいんじゃないかなと私は思っています。

【永井委員】  JSTがこの間、大変に良いセミナーをなさっていて、トムソンを呼ばれて情報発信強化というので、ある学会が200万円で自分たちのジャーナルはここまで強化できたという発表をされています。その発表内容はとてもすばらしかったんですが、支援金額ではないんですね。やはり思想と熱意と行動力があるかということなのです。たくさんお金をもらって良い結果が出ることもあるでしょう、様々だと思います。そのすばらしい発表を是非ともJSPSの方にも見ていただきたくて、JSTにお出ししてもいいですかと今お問合せしているところですけれども、それは良い例だと思っています。

【浅島主査】  それから、もう一つは学協会との連携で情報の共有化ということをちょっとおっしゃっていたんですけれども、例えば情報の共有化ではどういうふうにすれば、例えばそれは何というお考えですかね、例えば。これはそうですね、学協会がそれぞれ独立性のゆえに、日本はだんだん学協会の数は増えていくんだけれども、なかなか収束はしないという逆の方向に行っているんですよ。その中で学協会の連携とは一体どうしていくかということと、良いジャーナルを出すためには何をすればいいかということ、ちょっとそれについてもうちょっともしも御意見があれば。

【永井委員】  一つは、隣に林さん、右に谷藤さんもいらっしゃって、このお二人には私はこの10年間学ぶことばかりでした。スリー・ビー・ツーという言葉を教わったのは谷藤さんだったなと思います。SPARC Japanの活動によってお目にかかることになったのですが、その当時、物理系、化学系の学会で働いている方と歓談をすることによって、私は新しい知識を得てきた。そのような分野を超えた学会間のコンソーシアムみたいなものがあるといいなと。そこで例えばどうやって編集をしているかとか、今、論文はどんな投稿状況だとか、その編集委員長の様々な意見を、米国のようにですけれども、文部科学省等々に上げられるようなパイプができるとまた、現況とは随分違うと思います。私はエディター・イン・チーフではないので、今のジャーナルの状況はよく分からない。単に、自分の経験からお話をしているにすぎません。谷藤さんや林さんが特に優秀な方だったということもあると思いますが、お二人から学んだことが大きくて、そのことでやっぱり自分が随分助けられたなと思っています。私だけではなくて多くの日本の学協会がこれからも何かのときに、多くの情報や人によって自分たちのジャーナルを助けて、そして育てていけるといいなと思います。
 そのときに大事なのはやっぱり編集の在り方で、一つ例を出すと、一つには不正論文の問題だと思います。例えばCOPEというインターナショナルな団体があって、アメリカの学協会はかなり多くそこに参加をし、お金を払い、情報をもらって不正論文が投稿されたときの対応というのがフローチャートになって出ているような状況です。
 不正な論文が投稿された場合にどのように対処するのか、そういったことは日本の学協会の多くは知らないと思います。それを学ばないといけない。それは誰かに教わることじゃなくて、学協会が自分で学んでいってほかの情報、こういう論文が来たのだけれど、どうしたらいいのかといったことを学会間で、情報共有できる場が欲しいと思います。しかしそういう内容で、賛同してくださった学会と科研費を出したのですが、見事に不採択でした。そこがなかなか難しい。それはもうしようがないということなのですが、はい、これで回答になりますか、先生?

【浅島主査】  はい、いいです。
 今の学協会のコンソーシアムということで言いますとね、例えば化学会とか物理学会、あるいは工学部科学アカデミーみたいな大きな組織もありますし、それから、生物学で言うと生物学会連合みたいなところありますので、ある面で言うと学協会コンソーシアムというものがあったときに、そういう今言った良いジャーナルを作るためのエディター・イン・チーフの人に集まってもらって、いわば不正問題をどうして防ぐかということのシステムみたいなものも、ちょっとこれから考えていくのも一つのアイデアだと思っておりますので、今までそういうこと全くなかったので、例えばですけど、私自身は化学会の方に呼ばれて、どうすればいいとちょっと話しに行ったことあるんですが、いろいろな分野も、これは生物科学系ですけれども、そういうことがあるので、やっぱりいろいろなところに行って話をすると、やはり見方がもう、あるいはどうすればいいかといことも分かってきますので、是非学協会コンソーシアムでそういうものをちゃんとして、不正をなくす方法という問題、あるいはエディター・イン・チーフ同士が話し合うという場を、是非作るような提言も進めてみたいと思っております。
 じゃ、次、谷藤先生、これの説明もしていただいてもかまわない、両方。

【谷藤委員】  はい。今、先生がおっしゃった編集委員長レベルのコンソーシアムという案は、私も賛成です。文科省の支援を受けたSPARCという学術情報基盤整備事業が、確か10年近く続いていたかと思いますが、大学図書館と日本の学協会をブリッジする基盤整備ということで始まっているが故に、現場職員同士の情報共有の場としては大きな成果があったと思いますが、そこにサイエンスエディター、すなわち主役であるはずのジャーナルの編集委員長や主幹、あるいは投稿者・読者がいないという現実もあります。お隣の韓国では、去年サイエンスエディターズの組織Korean Council of Science Editors (KCSE)を設立しましたけれども、アメリカにも長く続く組織Council of Science Editors(CSE)があります。日本の学協会はどちらかというとボトムアップ形式の改革提案になりがちですが、学術誌についての知見、見識、信念を持つトップが集まる場としては大変に良いんじゃないかと思います。
 最初の問いに答えますと、こちらの学術基盤整備室の方でおまとめになった中で二つだけコメントがあります。7ページ目の4番のその前の行ですが、「J-STAGEに」というところから始まる二つ目の白マルポチで、「質の高いオープンアクセスジャーナルを誘導することにより」とありますけれども、これはいささか問題があるのではないかと思います。日本の学術ジャーナルについて、質の高い低いを判断するのはFunding agencyではなく、学協会や編集長その人自身です。もしFunding agencyが、fundの効果を評価する目的で、ジャーナルの質を評価する必要があるのであれば、明確な評価手法(メトリクス)が必要ですし、JSTが支援したいのはこういうジャーナルであるという基準を明確に定性的・定量的に説明する必要があるのではないでしょうか。
 二つ目ですが、5ページ目に戻りますが、一番上の最初の白マルで「効果的に発信するかという視点が研究マネジメントとして重要」という点について、研究の全体計画の一つのとして、どこのジャーナルに論文を出すか、その論文出版費を幾らに見積もるか、といった計画が必要であろうことは理解しますが、やはりオープンアクセスも含めた出口の管理として図書館によるマネジメントも併せてあった方がよいのではないか、と考えます。
 全体に関しては、今日の取りまとめ資料を拝読する限り、購読の問題に関してやはり決め手はない、という結論なのかなという印象を持ちました。もし間違っていたら御指摘いただきたいんですが、図書館購読という課題に対して決め手となる解決策はないが、いろいろな立場、機関規模に属する人たち全員が公平にアクセスできるように、セーフティネットとしてopen accessibleな研究成果の蓄積を促していこうということだとすると、当然、機関リポジトリを主役として、このopen accessibleな環境を網羅性を整備し、機能性を強化していくことが必要だということになるかと思います。そのために、インセンティブがなければやらない状況があるとしたら、その研究の後ろに続く人たちのために蓄積する先人の義務と、それが公的資金あるいは学内あるいは研究機関内の競争的内部資金であるに関わらず、研究成果を保存し、何らかの適切な制御の元で閲覧できるようにする、そのような環境の必要性を啓発していく必要があるのではないかと思いました。
 これが受信と発信が今ここで議論されているゆえんなんだろうと思います。open accessibleな論文等を増やすために、購読を今日からやめて明日から無料誌にしてくださいと言っているわけではなく、購読誌なのであればそのコンテンツにふさわしい著作権利を履行してリポジトリをしていくべきだろうし、それが無料誌なのであればそれがより有効に活用できるように適切な著作権を付与する、その付与によって利用を促すというところまでが、オープンアクセス政策として言及すべきことではないかと考えます。
 その一つの選択肢として、論文を書く側、研究者に対してそのAPCの支援をするという発想が、どこかの段階で制度として検討されると思いますが、そのときに、その投稿先が全て欧米の雑誌という結果となってもよいかという点も、政策として押さえておくべきと考えます。投稿者負担金(APC)の支援制度を検討するとき、そのお金を使って外国の、あるいは有名商業出版社の、有名な雑誌に載っていけば、日本はそれでよいのかということは考えておく必要があるので、政策の別の側面として、APCの受け口という意味で、日本発ジャーナル自身が魅力的な選択肢である必要があります。つまりそれは研究者がオープンアクセスの投稿先として、日本発雑誌を選ぶに足るインセンティブを学会が提示するということに尽きると思います。以上が今日の頂いたものに対する意見です。

【浅島主査】  はい、どうもありがとうございます。先ほどの学協会のコンソーシアムをつくって、そういうところに例えば文科省もちゃんとそういうようなインセンティブを与えることによっての、交わりと同時によりクオリティーの良いジャーナルを作っていけるシステムができるだろうと。これは是非何らかの意味で検討を具体的に持っていきたいなというふうには思っております。
 それで、次に図書館側のマネジメントと研究者の間の、何ていうか、コミュニケーションというんですか、機関内の、その辺についての具体的にどうすれば本当の意味でそういうお互いのよりよいジャーナルを作っていくためのことができるか、先生、何かあれば。

【谷藤委員】  より良いジャーナルを作っていくことですか。

【浅島主査】  ジャーナルを作っていくと同時に、そうですね、日本発の例えばものを購読するにしても、あるいは発信するにしても、何か今は図書館と研究者は少しちょっと離れているような感じがするんですけれども、その辺のものを結び付ける何か良い仕組みが考えられれば教えていただきたいなと。

【谷藤委員】  研究所図書館の場合として物質・材料研究機構の場合を紹介します。ちょうど折しも先週に、Proceedings of the National Academy of Sciencesというアメリカのプロシーディングス雑誌に、カリフォルニア大学の経済学者がEvaluating Big Deal Journal Bundlesという大変な労力をかけたであろう集計結果が報告され、その要旨が先週「Science」に載りました。その調査報告が載った日に、物材機構の研究者が、図書館に立ち寄り議論するという場面がありました。その報告書が拡散し、先週からずっとこの話題で物材機構の中がにぎやかなんですけれども、研究する人と、図書館として情報を提供する人、機構を運営する人が対等に会話ができるような状態、そういう関係を持つことが、多分、何事においても基本なんだろうと思います。
 そのためには、そのような関係を築くために日頃から問題意識をアピールし、会話を誘発することがコミュニケーションの一歩と思います。例えばこの論文で言うなら、ビッグディール(Big Deal)というものは商業出版社の場合、cost per citationが悪いという結論なんですけれども、そのcost per citationと言っている意味が、研究する人にとってどういう意味を持つのかということを図書館の人が知ることが重要ですし、その結果として、ビッグディールをやめて個々のジャーナル単位で購読するとしたら、それが研究の現場にどういう影響を及ぼすのかということを、逆にこちらは議論として投げかけなきゃならないという意味では、限られた予算の中で最適化を考える上では、双方向のコミュニケーションに尽きるように思います。研究する人は常に忙しく、皆がよくコミュニケーションできる人ばかりではないので、**委員会というようなあらたまった場以外の機会をとらえて、そういった現状や将来観を掲示し、共有するというのが何にも増して効果があるように思います。削減が決まればバッサリと購読をキャンセルすることになるのですから。

【浅島主査】  それはあれですかね、機関内だけなのか、それとももうちょっと今言ったような、この間のアメリカが出したような、ああいう広い意味での公開の場なんですかね。

【谷藤委員】  そこからややちょっとグレーなところに入っていくんですけれども、これはやはり信頼関係がないと情報というのは共有できないし、本当の意見を交わすことはできないという意味では、その情報がどの程度広い意味で、日本の機関に影響があるか次第だと思います。例えば研究所図書館コンソーシアム(JNLC.JP)という連合があるんですけれども、そこでは早速この情報を、共有しようということでプレゼンテーションを、今、用意しているところです。理研や産総研などの大きな研究所の図書館員もいれば、小さい規模の、あるいは異分野の図書館員と情報を共有するわけです。期待することは、そこから図書館員が研究所に持ち帰って、そこの機関の中の研究者と共有して、そして来年の購読を一緒に考えるというふうになるといいと思います。これをもしどこかに記事としてまとめるとしたら、それは図書館の専門の方が図書館業界で流通するオープンアクセス誌に出すというのが、最も公益性があるのではないかと思います。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。研究所の例えばそういうふうなコンソーシアムで信頼関係あるところで出した結論はね、ある意味で研究所とだけに止めるというのではなくて、やっぱりこういうことがあったというところを大学の中、あるいは研究所その他の研究機関にもやはりお互いに情報を発信することによって、あるいは仕組みを作ることによって、日本全体がアクティブになると。何かそういうことをしないとですね、研究所は研究所、大学は大学、例えばいわゆる国大協とか私大協とか、いろいろ大学の中でもそういう関わり方をしておりますけれども、やはり最終的には日本の学術をどう発信していくかということが重要なので、良いものはやはり教えていただくということがお互いよいのかなとちょっと思っています。

【林委員】  今の件で。

【浅島主査】  はい、どうぞ。

【林委員】  すみません、図書館と研究者とのコミュニケーションを促す仕組みで、欧米で動きがありつつ、私も多少少し図書館の方々に勝手に個人的に働きかけていることがあります。それは、図書館の方々が編集や出版に関わる試みで、既存の活動では大学の紀要が一番イメージしやすいと思います。既存のものにこだわらずに、日本の図書館の方々が日本や世界の先生を著者として取り組んでいって、機関リポジトリを通じて、あるいはどのようなプラットフォームでもいいのですが、情報発信をしていくことも考慮に値します。このような活動を進める上で、必然的に先ほど谷藤さんがおっしゃったように先生方との信頼関係を結ばないとよいコンテンツは集まらなくなります。このような活動は、中長期的に見る必要はあります。すぐにそう簡単にできるものではありません。ジャーナルを作り上げるというのは例えば、「Nature」は100年以上かけて、今のブランドを作り上げているわけですのでそう簡単にはいきませんが、いずれにせよ中長期的には既存の立場を超えた枠組みで情報の受発信に挑戦する流れが欧米にも存在するし、日本でもあり得るということでコメントさせていただきました。

【浅島主査】  今お二人がおっしゃっていただいたことは非常に重要ですね。日本はもうやっぱりこれからどういうものを作っていくかという新しい学術誌の、あるいはジャーナル誌の転換期の元年と思ってもいいと思うので、そういう気持ちでとにかく日本発の良いジャーナルを世界にどう発信していくかと、あるいは世界とどういうふうにしてつながっていくかということが重要ですので、今みたいなこともやっぱり信頼とは一体どういうことかということは、やはり情報の共有も非常に大きなことだと思いますんで、それについても是非考えていきたいと思っています。じゃ、竹内先生。

【竹内主査代理】  現段階でこのまとめのたたき台についてどういうふうに考えればよいかということを、今みなさんのお話を伺いながらちょっと考えておりましたが、一つは問題意識というのをどういうふうに設定するかということだと思います。今、御発言があったことのほとんどが実は日本からの雑誌、日本発のジャーナルの強化ということにほぼ終始していて、それでかなりの時間を費やしてきたわけですけれども、そのことだけで日本のジャーナルの問題が解決するというわけでは決してないと思います。とりわけ大学の立場からいえば、あるいは今の科学技術政策の観点から申し上げれば、日本の研究力をいかに維持するかというのがもっと大きな課題としてあるわけであって、そのために我々はどのような学術情報基盤を構築し得るのかというポイントが重要なはずです。
 そのポイントに即して申し上げますと、先ほど谷藤さんがまとめてくださった表現が、多分この現状のレポートに対する最もブリーフでかつ正確なまとめだったと思いますけれども、海外の電子ジャーナルの購読の問題ということについては、実はこれについてはいますぐ効果がでるような決定的な解決策があるわけではないということで、現状整理したということに尽きると思います。もう一つの方の日本のジャーナル強化の問題については、非常に多くのことが、問題のレベルも様々でしたけれども、出てきていて、やるべきことがたくさんあるんだということが大変よく分かりました。
 それを共通して貫く課題がオープンアクセスであるというのが、今回まとめていくという方向を考えるとすれば、一番大きいんだろうと思います。したがいまして、この「問題意識」の部分というのと、それから「まとめ」の部分というのを少し足して2で割るような形になるかと思うんですけれども、ちょっと頭の部分をもうちょっと明確に出していく上で、その上で日本の学術基盤を強化していくための方策としては何が必要なのかということと、そして、それに向けて誰がどういうアクションを取るべきなのかということを、少し整理する方がいいのではないかと思います。正直申し上げて、今、書かれている内容というのはここでの議論というのを非常によく拾ってくださっているというのは間違いのないことなんですけれども、残念ながら、それぞれ1個1個見ていくとやや方向性の違うことが書かれている面もないわけではありません。ですので、そのあたりを少しここでの議論でコンセンサスを得られるような方向を見いだしていって、まとめの方向性を出すということを考える方がよいのではないかと思います。以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。竹内先生から良いジャーナルを評価しようとすれば、当然、そこに良い研究がなけりゃならない。つまり日本の研究力の学術基盤の一体を強化することによって良いジャーナルが出てくるという、ある面で言うと基盤のところの重要性というのも述べていただきましたし、それから、問題意識の差というものについても、これからまとめていく上では重要だろうということを述べていただいた。先生、例えばね、今、研究力強化といったときに、日本はどういうふうな立ち位置にあると先生は、あるいは基盤をどういうふうにして考えられていますかね。

【竹内主査代理】  いろいろな指標で出ているようにというか、林委員がいらっしゃるので私が言うのはすごく躊躇(ちゅうちょ)しますけれども、NISTEPのレポートで既に示されているように、日本の学術情報発信力は明らかに落ちてきているというのが現状だと思います。この情報発信力が落ちているということがイコール研究力の低下だということあれば、現在、日本の研究力はマイナスの方に入っていると考えざるを得ないと思います。大学の立場で考えてみると、少なくともこういったマイナスを起こさないようにするためには、ジャーナルの問題というのは研究基盤として大事な問題であって、ジャーナルに発表されている研究成果に対する対してアクセスを保証していくためには、我々は、今、何を考えてどのようなアクションをおこさなければならないのかというのが、問題意識の根底にあります。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。今いわば先ほどの竹内先生が言われたNISTEPが出した報告書には、学術のいろいろな動向とか、それから、パブリケーションの問題とか、トップテンにどれだけ、あるいは世界のジャーナルの1%にどれだけ入っているかとか、そういうのを非常に詳しく書いてあって、余り言うのもあれですけれども、日本の学術というのはほとんど何で支えているかというと科研費なんですね。科研費のところだけは太陽がぴかぴか光っているんですよ。ほかのところは全部曇りなんですね、あるいは雨なんですね。ということは、大型研究がやったときにそれがどれだけ効果があったかというのを、少し検証しておく必要があるだろうなと思っています。これらについても、今の動くというのとちょっとバランスがなったときに、どういう位置考えていくかということも、今後、今の竹内先生の日本の学術の基盤と次世代をどう育てていくかということの問題とジャーナル誌の在り方、立ち位置ですね、これは非常に重要なことだと思っていますので、これは是非そのうち全体のまとめの中でしっかりと示していきたいと思っております。
 じゃ、次、白石先生、お願いします。

【白石委員】  はい、ありがとうございます。この検討会では様々な点から議論してきたわけですけれども、一つの大きな方向性としては日本発のオープンアクセスのジャーナルを出す、あるいは充実すると。その際に是非学協会さんに頑張ってくださいというようなメッセージが聞かれていました。それでオープンアクセスということですが、経済学で考えるとこれは公共財と考えられて、利用する側はフリーライドをするんですよね。でも、提供する側はコスト負担をしなければいけないと。学内の機関リポジトリを考えた場合も、誰が機関リポジトリに載せるかとか、著作権の問題を誰がどのようにクリアしていくのか、それはもう個々の研究者があなたの仕事だからやりなさいという形でコストを負担させるということではなかなか前には進まない。公共財の問題であるコスト負担のところを、もしできるのであれば、全体でというか、公的サポートを入れることによってそのコストを小さくする方向性というのが一つ考えられると思います。例えば著作権の問題であれば、それをどうやってクリアするのかというのをどこかでまとめて整理をしていただいて、こういう方法がありますよという情報提供を、研究者に伝わる形で、どこかが発信するというのが一つあります。
 それから、人文社会系はなかなか英文で発信してない点を、研究者に対してどうやって啓発していくのかという問題点が、先生方の御発言の中にありましたけれども、人文社会系の研究者が、現在は日本語で書いている自分の論文を英語のジャーナルに投稿するというのもなかなか考えづらいんですね。そうすると、現実的なことは何ができるかというと、まずは学内の機関リポジトリに載せてみようと。そこでオープンアクセスというものを経験して、その効果が体感できてから「そうだ、これを英語にして世界に発信すればいいんじゃないか」ということで、若い世代の研究者を中心に意識改革が進んでいくのではないかと思います。そうなると、学内の機関リポジトリへの登録、充実ということに関して研究者に対するオープンアクセスについての情報発信も必要だと思うんですけれども、それとともに大学側に対しても、機関リポジトリを充実させることが大学にとってもいいですよということを、大学の経営側への啓発といいますか、そういったことも必要だと思います。
 それで、最後に、日本発のオープンアクセスのジャーナルを出すということは、方向性として間違って全然ないとは思うんですが、それが国際的に評価されてあれは良いジャーナルだというふうな評価を得るには時間がかかると思うんですね。私たち大学の図書館はどうするかというと、パッケージ購読を当面のところは続けざるを得ないと考えています。そこで問題になるのが消費税増税の問題です。去年は円安などで3割近い値上げ、円安がなくても毎年の平均的な値上げ率が7.8%だということですが、またこれで消費税が8%課税される、その後10%にまで上がりますよということになりますと、大学図書館も本当に立ち行かないのではないかと非常に危惧しております。公立大学では、ジャーナルの契約には毎年大変苦慮しています。価格高騰の問題だけでも大変なのに、それに追い打ちをかけて消費税増税ということは、もうどうしたらよろしいんでしょうかということを最後に申し上げたいと思います。以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。今の大学の問題と、それから、高騰化する購読料に対してのどういうふうなもの、あるいは大学のリポジトリとか、あるいは経営者の問題で、確かに、今回、著作権のことについて何も触れてなかったので、これをどういうふうにするかということは少しまた考えて付けておきたいと思っています。それで、例えば、白石先生、今、人文社会科学系についてはもしも日本語の場合ですね、上の方にサマリーでも英語で付けてくださいませんかというのが、一応、この委員会あるいは別の委員会での希望なんですが、そういうことは可能ですか。

【白石委員】  はい、私の経済学の場合は日本語で書かれた論文でも、サマリーは、日本語と英語と両方というふうに求められる雑誌が増えてきていますので、それは徐々に可能にはなっていくかと思います。また、英語でどのようにきちんと発信できるようにするかという仕組みも、やっぱり研究者の個々人の問題と言っているとなかなか前に進まないので、どうやって支援していくのかというのは全体で考えていった方がいいと思います。

【浅島主査】  それはもしもなら日本の学術全体に関わることですので、そういうときに人文社会科学系に対してもやはり国としても力を入れて、そういうことを支援しなきゃならないと思っている中で、一部の例えばそういう中の一つにサマリーとしては英文にあるところは、それは国としてあるいはファンドエージェンシーがサポートしますという何かあれば、エージェンシーが出ればそれはそれでいいです。そういうことをちょっとまた討議したいと思っております。
 じゃ、次、佐野先生。

【佐野委員】  先ほど言いたいことは言わせていただきましたが、もともとこの委員会といいますか、これが立ち上がった経緯というのはジャーナルの高騰だったと思います。先だって先週も開かれました国立大学図書館協会総会では、やはり消費税課税について電子ジャーナルですね、これは是非避けていただけないかという総会の決議がありましたので、是非これは文科省の方だけではなく財務省等、全国的な形でそこら辺について今後要望を出していきたいとい思っています。ジャーナルに関しての一つの高騰化に関して考え方でございますが、これは私どもの考えは研究をするための一つのインフラであって、インフラというのはいろいろ電子ジャーナルだけではなくて、例えば研究設備をどうするのか、人的配置をどうするのかということにあるわけで、これは個々の研究機関の特徴をどのように考えて、その研究機関がどうすれば一番最大限の力を発揮できるかというところから考えられるのがいいのかな。
 そうすると、特色あるジャーナル構成というのを考えていくべきであって、従来、変な話ですが、パッケージをがばっと取るというのは、早い話が経営能力がなかったということになるんだろうと思っています。例えばハーバード大学は大体フリーハンドのお金を5,000億円持っています、毎年。それでもパッケージは解体しているわけで、10億、20億、ハーバードにとってみりゃどうってことないお金なのに、取捨選択をしてパッケージを取らないという選択までちゃんとしているわけで、それは経営判断に基づくもので、それでもう一つ重要なテーマは国際発信力の向上ということでございます。これについては、理系と文系、人文社会とでは随分質あるいは現状が異なると思います。理系については論文の質そのものをどのようにレベルアップするかということになってくるんだろうと思うんです。それについてはいろんなやり方がありますが、これについても一言ではコストパフォーマンス的なもののことが十分に精査されてないんではないか。
 7ページの一番下のところのマルのところで「国際共著論文を増やす」ということがあるわけですが、なぜ国際共著論文を増やすと質の高い論文になるというのは二つのモデルがあります。一つは強いところと強いところをお互いに相互補完して質の高い論文を作っていくというやり方と、もう一つは、これは中国とアメリカが連携してやったアップル方式です。デザインド・バイ・アップル・イン・カリフォルニア、メイド・イン・チャイナというやり方ですね。要するに中国から出たアメリカにいる優秀な研究者がデザインして、実際の研究を中国本土で請け負い、論文を書くのをまたアメリカに戻して論文を書いて発表していくというやり方で、これを戦略的に中国がやったから成功したわけで、これが理系の質の話です。
 一方で人文社会科学について言えば、理系もそうですが、人文社会科学も特にそうですが、研究情報の発信というのは個人的な努力に従来は任されている。その形で従来は人文社会科学の場合は各大学の学部が持っている紀要というのを作っておられるということです。これをまず第一歩としては当然ですが、機関リポジトリに載せオープンアクセス化をするというのが第一歩です。ところがですね、重要なことはオープンアクセス化すれば。それじゃ誰でも見てくれるか。誰でも見てくれる体制は整うわけですが、これは先ほどから言っているとおり、グローバルなデータベースで検索して載ってなかったら、それはオープンアクセスをしたからといって、論文を発表したことにならないんです、見えませんから。だから、世界の研究者から見える形にしないといけない。一言で言えばグローバルなデータベースに載っからないと話にならないということになります。
 グローバルなデータベースって、グローバルというのは国際的なデータベースとは違います。私の言葉はグローバルというのはグローバルスタンダードで見ることができるか、国際化というのは相互乗り入れができるかという定義で言っていますので、簡単に言えばWeb of Scienceでデータベース検索をして載ってなかったら、それは論文を発表していることにならないんです。ということになりますので、図書館職員としてやらなきゃいけないのは、紀要と機関リポジトリとしてオープンアクセス化したものを更にいろいろな、これトムソンロイターと話をしてWeb of Scienceに載っけてもらうような、そういうような支援ができるかどうかということが非常に重要なんだろうと。そういうような図書の専門職員を養成して、それをURAとして認定してもらってやっていくようなことをやっていかないと、人文社会系が国際的に戦える体制にはならないと私は思っています。そこら辺が今思っていることでございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。今の佐野先生のお話は非常にこれから日本の学術そのものについても重要なんですけれども、いかにしてWeb of Scienceのあたりのグローバル的なところに載せていくかということのプロセスを、これをきちっと知っている人がまだ少ないんですよ。どうすれば載るかということとかも含めて、そのやり方についてやはりプロがいないということですね。それを各機関とか各学協会に任せていたりしてたんです。あるいは、これから加藤様にお話ししていただきますけれども、JSTならJSTにお任せしてた。そこのところのやり方をこれから本当に、今、早急に喫緊にグローバルスタンダードに載せることが、やはり日本のジャーナルを載せることがいかに重要であるかということになりますので、この辺については、今、本当に重要な御指摘いただいたのであります。それで、それは単に人文社会科学だけではなくて、日本の先ほどから出ているような工学とか、その他いろいろな分野のものもWeb of Scienceに載ってないんですね、それをどうして載せるかと。載せるためには何が必要であって、どういうような条件が必要なのかということも含めて、是非これは重要な課題として考えていきたいと思います。
 そして、これは次に加藤さんにこの辺についても、日本のジャーナルをよりよくしていくための事柄について、いろいろな、今、取り組んでいる事柄とか、あるいは、今後しようとしていることに関して是非いろいろとお教えいただきたいと思います。よろしく。

【加藤委員】  まずこれに関していいですか。

【浅島主査】  まず、はい。

【加藤委員】  ファンディングエージェンシーとしてのJSTということもございまして、基本的に公的資金による研究成果については、オープンアクセスを義務化するというようなことを「まとめ」に書けないのかどうかということが一つでございます。JSTの論文というのは年間に大体5,000本ぐらいで、日本が出している論文の数から見ると一部でございますけれども、まずそこからスタートするということで、ここの報告書に書いていますが、義務化に向けて動き始めているということで、理事長からは義務化に向けて準備を整えよと言われております。ここのジャーナル委員会の中で科研費も含めて公的資金による研究成果については、「オープンアクセスの義務化を進めるべきである」ぐらいの提言を出してもいいではないかと考えています。
 それから、その中で谷藤先生がおっしゃっているようなことで、私どもも義務化するに当たって各出版社との調整が必要になってまいります。その調整を始めていかないとなかなか難しいということと、同時に学協会における学術刊行方針設計を支援するという提言がなされておりますが、この8の(1)のマル3のところですけれども、そのとおりだと考えております。実際、多方面での取組が必要と考えられます。このような具体的取組がないと、現実的になかなかオープンアクセスが進まないということになるかもしれませんので、その辺のところを少し具体的に記述できないかなということが一つ。
 これは林先生がおっしゃった内容と同じですけれども、それから、先ほど幾つか出ましたJ-STAGEで判断をするのはファンディングエージェンシーではないというお話がございましたが、実はファンディングエージェンシーというのはどこをファンディングするかどうか、どういうものを選択するかとかいうものについては、全部外部委員による評価基準に基づいて評価するという仕組みができていますので、そういう仕組みを利用してそれこそメトリクスも含めて、更に評価基準を明確にしてやることは十分できるだろうと考えております。
 それから、佐野先生から先日御提案いただいた関係ですが、この現状の中のトムソンロイターさんのところで、中国、韓国でトムソンロイターのところにデータベースをある程度渡して、サイテーションインデックスのデータベースを整備して流通をしているというケースがありまして、それについてもJSTでトムソンロイターから提案を受けて、今、調整をしているということでございます。
 もう一つ、人文系につきましては8ページ目の上の方に書いてございますけれども、国内文献についてJSTで引用情報の整備をやっております。これはWeb of Scienceには登録されていない情報でして、一方で、Web of Scienceの情報も私ども実は購入しておりますので、Web of Scienceと国内誌の引用情報と併せていろいろな分析評価ができるような、そういう仕組みを構築する方向で、今、進めているということと、それと併せて、中国・韓国のような取組が妥当かどうかということを、併せて現在検討しているところでございます。また、この間、御説明いたしましたけれども、中国におけるF5000ということで、中国語の論文の中で国際的に発信すべきような、そういう論文については抄録を英語化してバーチャルジャーナルで発信するという取組が中国で既に行われております。それをまねするというわけではございませんけれども、今回、JSTの中で引用情報を整備した後で、国内誌をもう一回見直す中でその中の重要な情報を抽出して、それなりのメトリクス、評価基準のもとで、英文化・抄録化をして発信するというようなことも、当面の国際発信力の強化にはつながるのではないかなと考えております。また、それをどういうふうに運用していくかというのが重要な課題ですが、当面そういうことも十分可能ではないかと考えております。
 それから、まとめのところですけれども、先ほど竹内先生がおっしゃられたことですが、まとめのところをもうちょっと具体的なところが記述できると物すごくいいのではないかなと。この3ポツ目のところで「新たな学術情報流通モデルの構築以外に根本的な解決策はないと思われる」という1行がございまして、じゃ、この新たな学術流通モデルの構築って一体何なんだというところを、明確にやっぱりしていくということが必要ではないかなと。当面ここ二、三年であるいは長期的にという、それはモデルについても段階はあるかもしれませんけれども、この学術情報流通モデルの一つとしてファンディングエージェンシーのところのオープンアクセスの義務化がありますし、それから、もちろん各ジャーナルごとの共通的な例えば査読の共通化だとか、そういうような具体的な対策が出てくるということで、この新たな学術情報流通モデルの構築を少し段階的に、明確にできればそれに対する具体的な提言がここでできるのではなないかということでございます。
 また、その中で最後のまとめの後で「JSPS、JST、NIIが連携して」ということが書かれてございます。これ数年前に出された提言書でも同じ表現で書かれてありまして、私の方もこういうJSPSさんとNIIさんとどうやって連携してやっていくのがベストなのかと、タスクフォース的にやるのがベストなのか、あるいは一つのベースがコンソーシアムみたいなことを作ってやるのがベストなのか、その辺の具体的な体制について何かお知恵があれば、是非実際に取り組んでまいりたいと考えております。私の方から以上でございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。非常に具体的な重要なテーマをお答えいただきましたけれども、これ例えば加藤先生の言われた8ページの下の「新たな学術流通モデルの構築以外に」、ここですけれども、これは是非JSTの方も含めて考えて日本から、これからは日本モデルと言われるぐらいのものを作っていくことを念頭にして、やはり世界と国際化の方に向かっていくにはどうしたらいいかというのを考えていきたいと思っています。
 それで、もう一つはどこが音頭を取るのがいいのか分かりませんけれども、これ文部科学省が取ってもらうのが一番いいのかな。先ほど加藤先生も言われてました9ページの方のJSPSとJST、NIIが連携してといったときに、これは今まで実は会議の中では一緒にやるようなプラットフォームというか、会議体があったんですね。これをもう一度構築して1回議論してみるというか、お互いに会ってみると。そして、それをどこが例えばJ-STAGEをよくするためにはどうすればいいかとか、NIIの持っている技術はどういうものだとか、あるいは、JSTとJSPSが持っているファンディングエージェンシーとしてはどういうような仕組みを作ればいいかとか、そういうことを全体的に含めて考えていくことを、一度、文科省の方で音頭取っていただいて是非これは進めていきたいというふうには思っています。というのは、そうしないといろいろな意味で一つのエージェンシーだけではできないと思いますんで、お互いの協力関係を作っていくことも今後必要だろうなと思うんです。
 それで、例えば先ほどちょっと言ったことのF5000というのがありましたね。このF5000をいつからどのようにつくるような、今、予定がありますか。もしあれば。

【加藤委員】  JSTの中でJ-STAGEを今後どう発展させていくかというタスクフォースにおいて、あるべき姿というか、発信力を強化するためにどうするかということについて取り組んでいるところでございます。その中の一つとして、F5000というような取組ももちろん検討しております。引用情報も整備させていただいて、そこからできるならば国内の引用情報を使ったいろんな分析だとか、そういうものをまずやらせていただくことが先決だと考えておりまして、今年引用情報を整備して、来年ぐらいに分析し、評価軸含めて検討しながら段階的に実施していくことを検討していきたいと考えております。

【浅島主査】  是非早めにそういうものをお考えいただいて、ある面で言えば日本からそういうものが出れば非常にいいなと思っていますんで、そうすると、いろんな御意見を頂いてますので、今日大体まだ言い足りないことは、どうしてもこれは言っておきたいということがありましたら、じゃ、谷藤先生。

【谷藤委員】  残りの短い時間ですが、今日のために用意した提案を説明させていただきたいと思います。

【浅島主査】  はい。

【谷藤委員】  前回会議のまとめで長澤学術基盤整備室長からの、実際にどういう支援が必要かという具現策を求めるお話が大変心に残ったので、あの日から一か月間、日本の学術政策としてどのような視点が必要になるかを考えてみました。支援案を考えるきっかけになるよう少し大胆な案として持参しました。時間がありませんので、前段説明は割愛します。
 まず、受信・発信を分けて考えるのは古いという指摘もありましたが、ここはお金の行き先が違うので、あえて分けて挙げています。ジャーナル購読の問題に関して決め手がない。これが多分この4回を通して認識したことなんだろうと思うのですが、その根本にあるのは一つの解決策で全てを解決できないこと、つまりそれは電子リソースに移るにつれて、その使い方、提供の仕方、評価の仕方が多様になってきているので、大きい大学だから解決できるとか、小さい大学だからできないとかいう単純なことではなく、事柄が複雑化しているということが、一つの共通認識であると考えます。その意味ではビッグディールとかパッケージ購入だけで問題が解決しないことはもう先にここで議論したとおりです。ならばどういう選択肢を日本が持った方がいいのかという視点に立ったとき、ビッグディールとかパッケージモデルではなくて、もう少し柔軟なオンラインジャーナル購読、あるいはライセンス契約の仕方を検討し、新たなモデルを創出する、そういう支援の在り方はないのだろうかというのが、この1番の(1)の趣旨です。
 例えば先端的研究ファンディングとしてあるテーマがファンドされた、それに属する人が幾つかの機関に分かれている。それが10年の期間でプロジェクトとして進行するというケースを想定したとき、それが先端的な研究なので直ちにカレント(最新号)の新着論文へのアクセスが必要なわけですが、そういう場合、今の日本の現行では外部資金は定期購読刊行物には使えませんし、複数の機関にまたがっている人に対して、一つの大学図書館や一つの研究所図書館が提供することにはある程度限界があります。
 それはどういう契約を結ぶかにもよりますが、実際としてはなかなか実現でき得ないパターンで、将来に雑誌単位ではなくて論文単位で研究情報が流通するとしたら、それはペイ・パー・ビュー(論文単位購読)だけでいいじゃないかという議論もあるでしょうけれども、それは若手研究者はどうするんだ、コーポレートカードを持ってない人はどうするんだという様々な現実的な問題があるので、大学とか研究機関のプロキシを越えた外でそういったポータブルに認証するという、そういうコンピュータシステムを考えるという提案です。日本がこのような柔軟なポータブル認証システムを持ち、ホスト機関がライセンス契約を取りまとめるようなスキームができると、日本は出版社に対して我々はこういうオプションを持ちたい、だから、そのような購読モデルを作ってほしい、検討してほしいというように日本の側から出版社に対して、学会に対して提案することができるようになるんじゃないでしょうか。出版社や学会が提示してきた購読料に対して、高いから割安にしてくれとか、これは不当な価格だというような議論の仕方もあるかもしれませんが、もうちょっと先の将来を見て、選択肢を増やすことも検討すべきではないか、という案です。
 1の(2)は機関リポジトリの強化で、先ほど述べましたので説明を割愛します。
 裏面の2番の1と2なんですけれども、今度は発信する方の話として、まずJ-STAGEに(システム機能として)あろうとなかろうと日本発学術誌が抱える問題の一つは、いつかの時点でジャーナルが経済的に自立するということを踏まえた上で、ならばどうやって自立するのかということを考えられる情報共有が必要だというのが、さっきの例えば永井委員から出たことだと思います。意識を高めるという精神的なアプローチもあるんですけれども、具体的にもう少し出口に注力をした支援ということは幾つかあるのではないか。それは単に無料の論文を集めてバーチャルジャーナルにするということも、それは視認性を上げるための広報として有用だと思いますけれども、その先にあるのは日本発学術誌に付加価値を付けて、それを買ってもらうとか、それを引用するとか、読むとか、紹介するとかという具体的に次のアクションに結び付かないとこの評価は出ないわけです。というわけで、限りなく出口に注力した、今いずれの場合も日本の学術誌は大変健闘しているし、平均ファクターも上がっているわけですけれども、そこの出口志向がもうちょっと必要なのではないか。そのためには2の(2)になるんですけれども、ジャパンブランドの構築が必要であろうと。日本の優れた査読文化というものをきちんとアピールして、だから読もうとか、だからこのジャーナルは是非図書館に置いておきたいとかというふうなモチベーションに持っていく必要があるだろうと思います。
 最後ですけれども、3番目、未来への投資ということで、ここはお叱りを受けるかもしれませんが、私自身がオープンアクセス出版に関わってきて非常に身近に感じるんですけれども、そろそろ科学技術に入ってくる人口が減ってくることを私たちは認識すべきなのではないか。つまり優秀なサイエンティストのその才能と経験を日本発ジャーナルにいかすことも、活性化・国際化の具現化要素として考えるべきではないか、という提案です。そういった二次もしかしたら三次の就職の先として、こういった専門家を養成するというのは、若い人に限らず幅広い年代に対して最低限必要なことを教えられる人材育成プログラム、又は先ほど委員長がおっしゃった情報共有の場を作って、積極的に招いていくということをそろそろ政策として考える時期なのではないのかなということです。以上です。

【浅島主査】  貴重な御意見ありがとうございました。これは是非何らかの意味で次回のまとめのときにも反映させたい。
 あと、時間が余りありませんが、どうしてもという御意見はありますか。ないようですので、そうしましたら、様々な御意見を頂きまして本当にありがとうございました。次回は委員から頂いた御意見を事務局で整理し反映してまとめて、議論をまとめまして最終版として更に審議したいと思っています。
 最後に、事務局より御連絡があればお願いいたします。

【松本参事官補佐】  本日の委員会の議事録につきましては、各先生方に御確認していただいた上で公開とさせていただきます。次回、第5回になりますけれども、資料2に記載のとおり7月22日の火曜日、時間は16時~18時、場所は15階の特別会議室を予定しております。以上でございます。

【浅島主査】  今日は本当に様々な御意見を頂きまして、貴重な御意見で最後のまとめのために重要な御意見、サジェスチョンを頂いたり、あるいは提言を頂いたと思っています。それで、次回、最終回になりますので、それにきちっとした提言とか、あるいはまとめというものをしていきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【長澤学術基盤整備室長】  あと、まとめを一応修正したものを事前に先生方にお送りして、事前に今回は見ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

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-- 登録:平成26年07月 --