資料2-1 我が国の計算科学技術の継続的発展を支える人材の育成について

 いかなる分野においても,その振興のために人材育成が重要であることは論を俟たないが,同時に,人材育成ほど難しく,多様な御意見が出される論点はないと言っても過言ではない。
 「今後のHPCI計画推進の在り方について(中間報告)」においては,人材育成について,「我が国の計算科学技術を今後とも継続的に発展させていくためには,それを支える人材をいかに育成していくかが重要」との認識のもと,以下のとおり指摘している。

  •  超並列化などのスーパーコンピュータ技術の進展に伴い,それに対応できる人材の確保が困難になっており,そうした人材の育成が大きな課題になっている。
  •  人材育成の方策を検討する際には,育成する人材を
      a. HPC技術の研究開発をする人材(計算機科学と計算科学そのものを研究対象としている人材)
      b. HPC技術を利用する人材
      c. 産業界で求められる人材
    に分け,それぞれの目的に応じた育成策を実施することが適当である。その際,アカデミアの研究者を育てるための人材育成とともに,企業の人間がアカデミアに戻って更に深い教育を受けられるような機会を作ることも重要である。
  •  特定の分野だけではなく,分野を越えて高度なアプリケーションを開発できる人材の育成が求められており,評価の在り方やキャリアパスも含めて,研究コミュニティとしても考えていく必要がある。

  他方で,人材育成については,HPC人材育成のための教育のあり方検討会,HPCIコンソーシアム等の提言(参考資料1及び2参照)がこれまでも出されており,また,例えば,HPCI戦略プログラムにおいて,若手人材の育成支援,大規模計算技術の習得支援等(参考資料3参照)が実施されている。

  以上のような状況を踏まえると,本WGで人材育成のあり方をゼロベースで議論することは屋上屋を架すことになりかねないため,上述の2つの提言をベースとしてその実現状況を確認した上で,本WGとしても改めて提言すべき事項を検討するとともに,昨今の状況から新たに提言すべき事項を検討し,中間報告の指摘も踏まえて提言してはどうか。
 その際,「利用の在り方」においても産業利用の促進が議論されているように,昨今,「京」を含めたHPCの産業利用が増えていること,また,これまでの提言では産業界に係る議論が比較的少ないことから,本WGの提言としては「c. 産業界で求められる人材」に比重を置くことも一案ではないか。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)