HPCI計画推進委員会(第40回) 議事要旨

1.日時

令和元年7月3日

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

【委員】
伊藤公平委員,伊藤宏幸委員,上田委員,大石委員,小柳委員,喜連川委員,小林委員,田浦委員,土井委員,中川委員,藤井主査代理,安浦主査

【説明者】
(科学技術振興機構)山村フェロー,青木ユニットリーダー

文部科学省

磯谷局長,原課長,橋爪参事官,坂下室長,根津参事官補佐

オブザーバー

(理化学研究所)岡谷副理事,松岡センター長

4.議事要旨

議事開始にあたり、概算要求事項に関する議題が含まれることから、一部非公開とすることが確認された。


議題1 将来のHPCIの在り方に関する検討ワーキンググループの報告


資料1-1、資料1-2について小林委員より説明された。


質疑応答は以下の通り


【小柳委員】  この4点のうちの人材育成について、一言コメントを申し上げさせていただきたいと思います。
 ここに書かれていることは大変重要なことで、これを進めなければいけないことは当然なんですが、もう一つ重要なのが、アプリケーションを使いこなせる人材を育成するということがあるのではないかと思います。これは、ある意味で、特に数という点では、ここでいうシステム、コンピュータ科学の人材養成よりもさらに多くの人数が必要である。
 これまでのシミュレーションの活用にいたしましても、あるいは、これからだんだん重要になるデータ科学的な分析にいたしましても、いずれにしても、計算結果を活用できる人材というのがなければ、それは生かせないわけで、例えば、下の方の具体的な取組例の中で、支援体制なんていうことが書かれていますが、こういうことをやるためには、やはりそういうアプリケーションの人材を養成するということが重要なので、併せてこれも強調していただければと思います。
【小林委員】  ありがとうございました。では、そのように強調していきたいと思います。
【安浦主査】  これはまだ書き加えることができるんですね。
【坂下室長】  ワーキンググループの報告書としてまとめているものですので、これはワーキンググループで完結しておりまして、こちらで頂いた御意見は、記録に残しておいて、また将来、具体化していろいろな政策に結び付ける段階で、反映してきいたいと考えております。
【安浦主査】  ここはもうワーキンググループとしての報告書はこれで出ていますので、今、小柳先生がおっしゃったことは、これに対する、この委員会での議論として記録に残させていただきたいと思います。
 ほかに何か御質問とかございますでしょうか。どうぞ。
【喜連川委員】  前回も申し上げたこととも関連するんですけれども、原則、現在一体どういうユーセージなのかという俯瞰が、我々見つめる必要があるのではないのかなと。
 僕は、この「富岳」のチップを作ったベンダーのデモンストレーションの横で、「一体マーケットは幾らですか」と申し上げたら、「1兆です」とおっしゃられたんで、1兆と申し上げたんですが、松岡先生は5兆とおっしゃられて、一体誰がどれだけどう使っているかという世界観なしに、次のスパコンって描けないような気がするんですね。
 これはややデリケートなところはあるかもしれないんですけど、こんなマーケット調査をやっているところというのは、もう世の中には必ずあるはずですので、まずはその全貌を見る必要があるかなと。
 この報告書は非常に良く、これで日本の次を支えてくださりそうなぐらい、きっちりまとめていただいて、これはすばらしいと思うんですけど。例えば、IoT云々のところがあったんですが、旧SORACOMといいますか、今はKDDIですけれども、あの類いのロービットレートの通常いうIoTというのは、塊としてのエッジという形でのパワーのデマンドがあるかというと、多分、ほとんどそういうことは全くないと思うんですね。そうなると、ジャイガンティックなエッジの部分というのが、一体どういうふうに整理すればいいかというのは、きょうの御説明の中では余りございませんでした。
 キュミレーションとして大きくなるというのは、みんな分かっているわけですね。フェイスブックだってそうなわけです。ですけど、フェイスブックがスパコンなんか絶対使っていないわけですね。そうすると、そういう見方とこの見方とは、もう一声何か必要で、それはそもそもエッジと言っているところのマーケットのデストリビューションがどうなっているのかということの理解を、やっぱりこのHPCI推進委員会としては把握しておいた方がいいのかなという気がしたんですけれども、いかがでしょうか。
【小林委員】  ありがとうございました。
 委員会の中では、データサイエンスの分野の先生方に少し御意見を頂きながら、データの広がり、あるいは、多様性、規模の増大といったところで御議論いただいたところがございます。残念ながら、企業の方を招いてという視点では少し欠けていたところがあると思いますので、今後のトレンドを広く見極めるという意味では、今回先生が御指摘されたようなところも検討すべきだったなというところはあろうかと思います。
【喜連川委員】  もう一言よろしいでしょうか。
【安浦主査】  はい。
【喜連川委員】  今、大学はお金が余ったら原則、GPUを買っています。2,000万から4,000万のDGX-1を買うというのが、もうどこの大学もある種お作法になっちゃっているぐらいです。
 それのアグリゲートされたNVIDIAの空間のパイというものを丸ごと取ると、エッジは大きくなっていると思います。でも、それはインディビジュアルだと思うんですね。あれが固まっているというのは、松岡先生が一所懸命作ってくださった、僕たちはまだ使わせてもらっていないんですけど、ABCIみたいなのがどう使えるのか、私はまだよく分かっていないんですけど。あれは塊としてのエッジだと思うんですけど、インディビジュアルなエッジをシグマで足してみてもしょうがないと思うんですよね。だから、そこがよく分かってこないんですね。
 この報告書の中にありましたクラウドベンダーとの話があったと思う。クラウドの作り方と、今回の「京」とか「富岳」の作り方、全然違うわけですね。Azureをどうやって作っているかというような話を聞きますと、もうフィロソフィーも何も全く違う作り方でやっていて、ああいうもののパワー分散みたいなのを考えたときに、国家として一体どういう方向で、誰にサービスをするのかという非常に根源的なところを、何となく世界が見えなくて、という意味もあって申し上げた。
 だから、データサイエンスそのものの広がりではなくて、その中のエッジの部分ということだと思うんですが。
【小林委員】  クラウドサービス等につきましては、クラウドを置き換えるようなHPCIということは全く想定していなくて、最近の研究者はクラウド等をお使いになっているというところを踏まえて、そこで生み出されるデータとか、結果とか、そういったものを連携して、HPCI側とうまく有機的に活用できるような仕組みが求められるであろうというところを、今回はまとめているところでございます。ですから、適材適所で、そういったことを使えればというところかと思います。
【安浦主査】  ありがとうございます。
 非常に重要な御議論を頂いておりますが、この報告書は、前期の本委員会の方で、こういうワーキンググループに諮問を出して、それに対する報告書として上がってきたものでございます。また今後、今期の中でやることに多分なるのではないかと思いますけれども、さらに次の、今で言えば、ポスト「富岳」をどうするかというような議論も並行して始めていかないといけないわけで、そういった中で、今、小柳先生、喜連川先生から頂いた御意見等を踏まえながら、もう少し別の視点からもいろいろな検討をやる、そういうワーキングを、必要であれば、本委員会でやるのか、あるいは、さらに上の情報委員会でやるのか、それはまた事務局、あるいは、関係の先生方と御相談しながら進めていくことになると思いますけど、そういう中で、ただいまの2つの御意見は、非常に貴重な御意見としてしっかり記録しておきたいと思います。どうもありがとうございます。
 ほかに何か。どうぞ。
【伊藤(宏)委員】  やはり関連して、今のフラッグシップというのがあって、9大学の情報基盤センターという、この構図の中で、どういうふうにアーキテクチャが多様化していくのか、よく分からないところがありまして。「富岳」の場合は、Co-designということをしきりに言われていて、成功しているんだと思うんですが、そのリソースの全体の配分の最適化というか、こういったところを一体誰が担うんだろうなというところが、少し不明な点がございます。
 各大学が非常に特徴的なことをやられるのであれば、これは成立するのではないかと思いますが、皆さん、やっぱり汎用的なものを一つ求められてということを基準にされている限りは、なかなか最適化されないのではないかなというふうな、ちょっと懸念をしております。
 以上です。
【安浦主査】  ありがとうございます。
 今の御意見も、これは今後のいわゆる第2階層と呼ばれているところのマシンは、順次、いろいろな大学で置き換えが進んでいきますので、そこに対してどういう方針を与えていくかということも非常に重要なテーマになってくると思いますので、そちらも、先ほど申し上げましたように、上位の情報委員会、あるいは、本委員会で検討すべきことであるという話が出れば、本委員会でも扱っていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。それでは、小林先生、どうもありがとうございました。


議題2 今後のHPCIシステムの構築とその利用に関する基本的な考え方


資料2-1、資料2-2について事務局より説明


質疑応答は以下の通り


【藤井主査代理】  ここでコメントすべきことかどうか、ちょっと分からないんですが、もともとコンソーシアムを立ち上げた立場の一人でもありますので、コンソーシアムについて、ちょっと現状を教えていただきたいです。
 コンソーシアムは、当初、先ほど根津さんが言われたように、最初の「京」の運用に関して、いろんなコメントをさせていただいたんですが。先ほどの小林先生のところでも議論があったように、社会的な観点から、もうちょっと幅広にいろんな意見を集めてくるという活動は、残念ながら、してきていないような気がするんですね。ここに書いてある利用者というのも、あくまで現状のスパコン利用者だし、コンソに入っているメンバーは、情報基盤センター、もしくは、研究開発法人のセンター運営の方々と、それから、大きな利用者の方々が今メンバーになっているだけです。もうちょっと次の時代は、幅を広げたいろんな情報とか意見を集めるような活動を是非コンソにやってほしいと思うんですが。その辺りが現状ではどうなっているか、コンソのメンバーがいらっしゃいましたら情報があったら教えていただきたい。もしやっていないのであれば、コンソに対して、そういうことをお願いしたいと思います。
【安浦主査】  田浦先生。
【田浦委員】  私はコンソのメンバーですけれども。
 確かに、私は発足当時のことはあまりよく知らないんですけれども、御指摘いただいたように、コンソのメンバーの幅を広げていくということに関して、あまり大きくはできていないと思います。
 実際のところは、会員、どの範囲の人をどういう形で取り込むというか、仲間に入っていただくのがいいのかという、割と基本的なところで苦労しているというような状況でありますので、コンソのメンバーなりには、社会的なことを考えてやろうとはしていると思いますが、メンバーの拡大という意味では、ちょっと御指摘のような問題はあるかなと思います。
【安浦主査】  ありがとうございます。
 中川委員、どうぞ。
【中川委員】  この絵の中にはどこにも出てきていないんですけれど、産業界という意味で言うと、やっぱり産応協、産業応用協議会というところが、ある種、こういったHPCIインフラを使うコミュニティの意見集約を図っているところではないかなと思うので、フラッグシップは難しいかもしれないんですが、最後のページのフラッグシップマシン以外のHPCIというところには、産応協がどこか入っていてもいいのかなとはちょっと思いました。あと、実際、日本のHPCのインフラといったときに、ABCI、先ほども使っていないみたいな御意見が出ましたが、日立は実は使っておりまして、非常に使いやすいとユーザーからは声が出ておりまして、どんどん使いたいという要求が出ております。
 また、料金に関しましても、利用料に関しましても、民間クラウドに比べても安いと。もちろん、サービスには適用できなくて、研究開発に使うという条件付きですけれども、そういったところがあって、ABCIとかも、この中に、フラッグシップマシン以外のHPCIというのに、省庁が違うから入らないのかもしれないんですけど、基本的にはSINETでつながっているので、松岡先生もいらっしゃるので、当然、ここの絵の中にあってもよろしいのではないかなとちょっと思いましたというのが2点です。
【根津参事官補佐】  よろしいでしょうか。
 まず、藤井先生から頂いた御意見ですけれども、我々もよくコンソの理事会とか、様々な会議でオブザーバとして参加させていただく際に、先ほど田浦委員から御指摘いただいた、構成員のお話や、こういう提言をするに当たって、コンソのそもそものミッションが何だったのかというところの再定義が必要だという御議論をされているのも聞いておりますので、文科省の方からも、HPCI計画推進委員会でそういう御意見が出たということは、コンソの方にお伝えはさせていただきたいと思います。
 また、先ほど中川委員から御指摘いただいた点で、まず産応協は書くべきだったかもしれないんですが。ただ、この絵を作ったときには、コンソーシアムのメンバーに産応協も入っていただいているので、コンソーシアムの提言の中には、当然産応協からの御提言も入ってくるんだろうなと思って書いてございました。
 また、ABCIも、実は、既にHPCIのメンバーとして加わっていただいてございまして、まだほかの資源と同じような形というところではないんですが、その辺は、コンソの中でどういうふうな位置付けで今後も参画していただくかということは、ちょっと整理をされるんだろうと思ってございます。
 事実関係的には、以上でございます。
【安浦主査】  だから事務局としては、産応協はHPCIコンソーシアムの中に位置付けられているという気持ちでこれを書かれたと。
 どうぞ。
【伊藤(宏)委員】  いいですか。産応協のメンバーとして、ちょっとお話をさせていただきますが。産業界のメンバーとしてお話させていただきますが。
 HPCIコンソーシアムの中の産業利用の担い手として、今、産応協と、もう一つは、創薬関係のところから代表が出ているという状況なんですが。1つは、HPCIコンソーシアムの資源提供側の方も出られているので、やはりそういうところで、現実的にはこういうことなんだなということを分かりながら発言している場合が多いと。
 それから、もちろん、私どもは、産応協自体が、文部科学省様に直接提言をさせていただいているところがあります。これはかなり率直な意見を述べさせていただいていると。さらに、パブリックコメントみたいなことを通じて、いろんなことを申し上げているんですね。
 ところが、産応協自体が、はっきり言いますと、製造業とか、建設業とか、そういうところにやはり固まってしまっていまして、カバレージという点では、例えば、これからのAIとかデータサイエンスを活用されるであろう、例えば、サービス産業といったところにまだまだ翼が広げられていないので、これはやっぱり少し偏ったところが我々自身あるのかなとは考えております。
 以上です。
【安浦主査】  ありがとうございます。
 あと、5ページのABCIについては、青色の中に含めたつもりで根津さんは書かれたという気持ちですか。
【根津参事官補佐】  はい。「等」の中で、そういう貢献的なところを読んでいまして、次はちゃんと名前を全部列記したいと思います。
【安浦主査】  ただ、それは、運営委託機関は違うわけですよね。だから、もう少し実態は複雑だけど、大ざっぱに言えば、こんな仕組みで今日本のHPCIの関連のいろいろなプロジェクト、あるいは、関係者がどこにどういう意見を言えるかという構造ができているということで、それをこの委員会として共有していただきたいということで、こういうものを作っていただいた次第でございます。
 ほかに何か御意見とか御質問とかございますでしょうか。
 なかなか、関係者だけで動かしているのではないかとか、外から見たら構造が見えにくいとかいう、そういう御批判もありますので、あえて私でも分かるような絵にしてくれということでお願いした次第でございます。


議題3 スーパーコンピュータ「富岳」の成果創出に関する事前評価


事務局より資料3-1について説明。


資料3-2に基づき利害関係者について確認が行われた。


資料3-3について科学技術振興機構研究開発戦略センター海外動向ユニット山村フェローより説明された。


資料3-4、3-5について事務局より説明された。


資料3-3、資料3-4、資料3-5について質疑応答が行われた。


資料3-6について事務局より説明。


資料3-6について議論された。


事前評価票については,議論を踏まえ修正することとし,修正内容については,安浦主査に一任されることが承認された。


安浦主査より閉会

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)