HPCI計画推進委員会(第48回) 議事要旨

1.日時

令和3年9月6日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

伊藤公平委員,伊藤宏幸委員,上田委員,梅谷委員,喜連川委員,小林主査代理,田浦委員,高橋委員,常行委員,中川委員,平田委員,藤井主査,朴委員

文部科学省

杉野局長,坂本審議官,川口参事官,宅間室長,西川参事官補佐,太田専門職

オブザーバー

大阪大学 サイバーメディアセンター 下條センター長・教授
北海道大学 情報基盤センター 棟朝センター長・教授

4.議事要旨

冒頭、7月より着任した、坂本修一大臣官房審議官と川口研究振興局参事官の紹介と挨拶を行った。その後、各議題の報告、審議を行った。

議題1:令和4年度概算要求について
資料1について事務局より説明があった。

【藤井主査】 ありがとうございました。
次年度については、2-2のフラッグシップの開発に当たりという、フィージビリティスタディに相当するところが新たな項目として入っているということが特徴かと思います。
概算要求について何か御質問等ありますでしょうか。いかがでしょう。
朴先生、どうぞ。
【朴委員】 筑波大の朴です。
今、最後の部分、フィージビリティスタディという、具体的にフィージビリティスタディとは書いていないんですけれども、そういうことだと思いますが。それは理解しております。
これの使い道というか、進め方というのは、大体いつ頃、どのあたりで議論されるのかが気になるんですけれども。
【藤井主査】 事務局のほうから回答いただけますか。
【西川補佐】 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたこの調査研究の具体的な進め方、あるいは体制等につきましては、別途、有識者会議として設けております次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループ、こちらのほうで詳細な議論を行っていただきまして、今年度のうちにある程度議論の方向性をまとめていただくと。それに応じて、この調査研究を進めてまいりたいと考えてございます。
【朴委員】 ということは、時期的には、これから半年近く練るということになるんでしょうか。
【西川補佐】 そうですね。これから、今年度いっぱいとなるかどうか分かりませんが、ある程度時間をかけて具体的な体制とか進め方、どういったものをターゲットにするかとか、そういうあたりを含めて御議論いただきたいと考えてございます。
【朴委員】 ありがとうございました。大変重要な件だと思いますので、よろしくお願いします。
【西川補佐】 はい。
【藤井主査】 予算確定したら、できるだけ早く始められるように準備していくということが大事かと思います。
朴先生、よろしいでしょうか。
【朴委員】 結構です。ありがとうございました。

議題2:「富岳」成果創出加速プログラムの採択状況について
資料2について事務局より説明があった。

議題3:「富岳」政策対応枠の実施課題について
資料3について事務局より説明があった。

【藤井主査】 ありがとうございます。
議題2と3について御質問や御議論、よろしくお願いします。いかがでしょう。
よろしいでしょうか。
新規の課題については、先ほどの議題2ですね。マル3の領域という一番上の部分が、実はデータベースを構築するというテーマで、今までにない課題が今回入ったということが特徴的かと思います。
政策的課題も含めて、改めて御質問とかいかがでしょう。よろしいですか。
それでは、先に進ませていただきます。

議題4:次世代計算基盤に係る検討状況について
資料4-1、 資料4-2について事務局より説明があった。

【藤井主査】 ありがとうございました。
議題4について御質問、御議論、よろしくお願いします。いかがでしょう。
朴委員、よろしくお願いします。
【朴委員】 まず1つ、情報共有として、エクサの特にアメリカの状況ですけれども、お聞き及びの方も多いと思いますが、恐らく今年の11月にほぼエクサというシステムの、オークリッジナショナルラボのマシンですけれども、それが出てくるだろうと思います。
それから、アルゴンヌに関しては、インテルの新しいGPU、GPUと言い切っていいのか分かりませんけど、それを使ったものが出てくる。ただ、これはエクサ級として出てくるのは来年以降だと思われています。
中国は、これも御存じの方は多いと思いますけれども、実はピークエクサがもうできていて、ただし、いろんな、恐らく政治的な理由を含めて、様々な理由によって、今年の6月のトップ500には出てきていなくて、どういうつもりなのかが、最近全然中国絡みの国際会議とかに行けないので情報が入らないんですけれども、そういう形で、要するに、米国、中国は間違いなくエクサ級技術というのは、もうほぼ確立というか、実際にマシンをつくるレベルに来ているというような状況だと考えています。
質問は、第2階層のことが宅間室長の説明でも最後のほうにありましたけれども、HPCIコンソーシアムとしての発言ですが、やはり第2階層の位置づけというのを、これ、昨年度末に大分コンソのほうで議論していて、見直すと言うと、いろいろ第2階層は様々な事情を抱えたセンターの集まりなので、あんまり見直すという言い方よりも、今後どうやって発展的にうまくフラッグシップとつなげていって、例えば、先ほどちょっと質問しましたフィージビリティスタディで第2階層がどんな役割をするかとか、そういうところでちゃんとプレゼンスを出して、単に「京」がなくて「富岳」が来るまで1年半つなぎしましたというだけではなくて、もうちょっと意義のある活動というか、意識を改めてから活動するというような形に持っていこうとは思っています。
ですから、第2階層に関してというところの踏み込み方は、今の段階はこれぐらいでいいと思うんですけれども、その辺の文科省のスタンスというのはどんな感じでしょうか。
【宅間室長】 御指摘ありがとうございます。
第2階層の在り方につきましては、慎重な議論が必要であるということを、これまでも委員の皆様からも頂き認識しているところでございます。
次世代まとめの中でも、ポスト「富岳」の次世代計算基盤の議論をするときに、全体として総体として持続的に機能する基盤となることが望ましいというときには、例えば、「それぞれ個別の基盤としての意義・機能にとどまらず」という文言が前に入っておりますように、それぞれの第2階層の計算資源が個々の基盤としての役割も持っているということも念頭に置きつつの議論であるとされているところでございますので、そうした第2階層のそれぞれの個々の意義・機能といったものもきちんと念頭に置きながら議論ができるようにと思っております。
【朴委員】 分かりました。ありがとうございます。
【藤井主査】 本文の中に、「「フラッグシップシステム」とHPCIを構成する「フラッグシップシステム」以外の計算資源、いわゆる第2階層計算資源との関係の見直しも含め」という、この見直しというのは、具体的に何かこういうものだという話はあったんでしょうか。
【宅間室長】 第2階層の見直しということではなく、あくまでもフラッグシップと第2階層の関係の見直しという言い方を本文の中でもしております。次世代部会の中間まとめの中にもありますけれども、ポスト「富岳」時代の次世代計算基盤というものが、現在のHPCIを基本としつつも、全体としてフラッグシップシステム及び国内の主要な計算資源、第2階層計算資源を想定していますけれども、そちらとデータ基盤、ネットワークが一体的に運用されて、総体的に持続的に機能する基盤となることが望ましいと言われております。フラッグシップシステムと第2階層が、これまでのHPCIですと、その図にありますように、ピラミッド型のような関係になっておりますけれども、もう少し有機的に連携をしてというようなことを想定して、こうした御提言を頂いたものと考えております。
【藤井主査】 部会の委員の先生方もいらっしゃると思うんですが。伊藤公平先生が挙がっていますね。伊藤先生、どうぞ。
【伊藤(公)委員】 伊藤公平でございます。量子コンピュータのという言葉が幾つか出てきておりますが、ちょっと私の意見を述べさせていただきます。
政治家の先生の皆さんも、中には量子コンピュータがスパコンを置き換えるのではないかという勘違いをされている方もいらっしゃるんですけれども、その辺のところはしっかりと説明をしながら、あくまでも今の形のハイパフォーマンス・コンピューティングが中心となり、今後も開発が進み、その今のハイパフォーマンスコンピュータのできないことの一部が量子コンピュータによって可能になればということを正確に説明してきたつもりでございます。
ただし、量子コンピュータの発展、私も23年携わってきて、このスピードで発展していって、しかも、アメリカの各社がこれだけのお金をつぎ込んでいるということは、それなりの先があるということが見込まれているということだと思いますので、いわゆるハイパフォーマンス・コンピューティングということをパッケージで考えたときには、今のハイパフォーマンス・コンピューティングコミュニティの方々が、量子のコミュニティと連絡を取りながら、どの時点で量子コンピュータがどのように合わさっていくのか。これ、当然、AIといった様々なコンピューティングシステムと、また、これからニューロコンピューティングとか、いろいろ出てくる可能性もあるわけですが、それらをどうやって組み合わせていくかという、この組合せが今後勝負になると思いますので、そういう意味では、これらのコミュニティがつながるような形を持ち、ポスト「富岳」ではないのかもしれませんけど、その先のどこかで量子コンピュータなどがハイパフォーマンス・コンピューティングの発展を支えていく。そのときに日本が先陣を切るような形ができていけばいいなというふうに私は考えております。
以上でございます。
【藤井主査】 ありがとうございました。
割と趣旨に沿った記述になっている気もしますけど、いかがでしょう。
【伊藤(公)委員】 そうでございます。一応それはそのような趣旨になっておりますけれども、そのことをまず御説明差し上げたほうがいいかなと思って発言いたしました。
【藤井主査】 ありがとうございます。丁寧に書いていただいたところかと思います。
ほか、いかがでしょうか。
中川委員、どうぞ。
【中川委員】 日立、中川でございます。
データ基盤というのについて質問させてください。概要のほうの資料ですと、データ基盤というのが、ぽんと宙に左側に浮いていて、割に計算システムと離れているような印象です。一方で、このデータ基盤には、例えば、大型実験施設というのが、右側に灰色の円盤みたいのがありますけど、これは多分加速器ですとか、大量にデータを発生する計測装置みたいなものだと思うんですけれども、このつながりが非常に不自然な感じを受けております。大型施設から出てきたデータというのは、大型基盤にくっついたデータ基盤があるのかなと普通は思います。例えば、CERNとかですと、そういうふうな構成になっているかなと思います。
様々なデータ基盤というのは1個ではなくて、例えばゲノムデータですとか、あるいは防災用のデータですとか、アクセスする方々、あるいはデータを保護しなくてはいけないレベル、いろいろな管理があるので、私としては、データ基盤はもっと真ん中にあってほしいし、この絵としてのイメージですけれど。それを管理するというところが、このフラッグシップですとか特徴あるスパコン群のところにディストリビュートして入っているというようなイメージが、このデータ管理のやり方に近いのではないかなと思います。
当然、そのときに、この絵に手足がないんですけれども、フィジカルワールドとつなぐ、例えば、5Gの基地局ですとか、ポスト5Gのネットワークにつながるデバイスですとか、そういうものが、このポスト「富岳」の時代ですと、当然大量なデータの発生元になると思いますので、そういったところのデータの流れが分かるような図にしていただけるとありがたいなと思います。
取りまとめの資料のほうで申しますと、19ページとか20ページに一応言葉としては、例えば、19ページの下から2番目のポツのところに、「データ基盤との一体化、仮想化ネットワーク技術を用いたマルチテナント化への対応など、様々なデータの取扱いに対して親和性の高いシステムを検討する必要がある」と。まさにこのとおりなんですけれど、どうも概要のほうが、ここで書かれている、こういうところを検討する必要がありますよというのに対して、ちょっと違ったイメージ、あくまでも計算主体が真ん中にどーんとあって、計測装置とかデータ基盤が左右にあるみたいな。お忙しい経営者の方なんかは、この中間取りまとめの概要資料しか多分読まれないと思いますので、こういったところをもう少しこの記述に合わせた、データの全体の管理が分かるような図柄にしていただけるとありがたいなと思います。
以上です。
【宅間室長】 ありがとうございます。
この中間取りまとめ自体は、既に29日付で取りまとまりましたものですけれども、最終まとめに向けての引き続きの議論も今後予定しておりますので、その中で、頂きました御意見につきましても、委員の皆様にご紹介して検討させていただければと思っております。
データ基盤に関しまして、少し工夫が足りなかったというところは、御指摘のとおりかと思っております。御意見を踏まえまして、引き続きの検討の中で取り扱わせていただければと思っております。
【中川委員】 よろしくお願いします。
【藤井主査】 大切な御指摘だと思います。絵の描き方、もちろん議論の中では恐らくそういう話はあったと思うんですが、この絵を見ると、確かに言われるとおりですし、社会との関わり合いというところが、先ほどの5Gの話も含めて、ちょっと弱いかなというのは、確かに言われてみると思いますね。
HPCI計画推進委員会からもコメントする機会があると思いますので、またそのときも含めて、今のような御指摘の点は伝えていきたいなと思っています。
ほかの方、いかがでしょう。特にないでしょうか。
全体として、いろんなことをきちっと書いていただいたと思いますが、一方で、これ全部満たすのは結構大変だなということで。御存じのとおり、計画推進委員会の下に小林委員を主査とする次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループをつくらせていただいて、これから議論していただき、またこの委員会とも合同の開催を予定していますが、その中でまたいろんな議論が進むものと思います。

議題5:HPCI第二階層についての意見交換
資料5について北海道大学情報基盤センターセンター長・教授 棟朝オブザーバより説明があった。続けて資料6について大阪大学サイバーメディアセンターセンター長・教授 下條オブザーバより説明があった。

【藤井主査】 ありがとうございました。
それでは、お二人からの発表を踏まえて御議論を進めていただきたいと思います。議論には、もちろん発表されたお二人の先生方も入っていただいて全然問題ありませんので、御自由に御発言ください。
まず田浦委員、どうぞ。
【田浦委員】 ありがとうございます。田浦です。
北大さんとも阪大さんとも常に一緒に拠点ネットワークという形でやらせていただいているのと、あとは、途中で何度か下條先生におっしゃっていただいたmdx、これも東大の名前とか私の名前を出していただきましたけれども、NIIと9大学と、あとは産総研、それでもうずっと一緒にやらせていただいております。
それで、2つの大学の発表を聞かせていただいて、私自身の感想でもあり、恐らく多くの皆さんの感想ではないかと思うんですけれども、それは、各大学が学内、近くの大学を含め、非常にユーザの近くにいて、これからどういう需要が発生するか、基盤としてどういう方向にシフトさせていけばいいかということを、それぞれが非常に感度よくお感じになっていて、データ科学しかり、データ基盤しかり、クラウドしかり、セキュリティしかりというところに、それぞれに戦略的に方向転換をしていっていただいているという、そういうことではないかと思うんですね。
それで、もちろんそれを各大学が勝手にやればいいということではなくて、それを結ぶ戦略も必要なわけですけれども、そういうところというのは、棟朝先生の話の中にも出てきていたような、JHPCNという拠点ネットワークという、そういうところがネットワークをつくってやっていて、それに、特に喜連川先生になってからは、NIIとの連携というのが非常に強く深まっていて、どういう方向に物事をシフトさせていけばいいかというのは、そういうところで非常に良い議論もできていると思いますし、とにかく各大学がそれぞれの需要を感度よくキャッチしていらっしゃるので、うまくできているなというふうに個人的には感じています。
なので、このHPCIの計画推進委員会の中でも、非常に大所高所からの御意見、もっともな御意見いただいて、データ基盤が重要であるとか、もうちょっと真ん中に書いたほうがいいんじゃないかとか、そういうこととか、全くそのとおりという意見が出てくるんですけれども。私が特に拠点ネットワーク全体の5拠点長なんかをやらせていただいて、各大学と議論させていただいて感じるのは、やっぱりHPCIというのは、少し生まれ育ちも皆さん御存じのとおりの事情がありますし、これまでやっぱりフラッグシップの下に第二階層を並べてというような、そういう目線で物事をデザインしてきたので、今お二人から発表していただいたようなことと比べると、どうしても視野が狭い範囲で議論しているということがこれまでのところかなと思いますし、こういう場でいろいろ委員の方々に視野を広げていただくような議論がいっぱい出てくるんですけれども、果たしてHPCIというのはどこまでを支援するということでやっていくのだろうかというところが、常にもやもやっと不明な感じで議論が進んでいるのかなというのが私の常々思っている感想です。
ですので、データ基盤にするとか、いろいろ広げていくという委員の方々からのすごく重要な意見があるんですけれども、HPCIとしてどこまで本当に広げるつもりがあるかというあたり、それと、これまで割とボトムアップに我々がNIIと8大学の連携でそこそこうまい具合に議論できているなと思っているあたりとの関係をどうしていくかとか、そのあたりが大事で、それが第二階層との関係の見直しとか言っていることの本当の中身ではないかなというふうに感じています。
以上です。
【藤井主査】 どこまで踏み込めるかという、予算の問題とか、担当部署の問題とか、いろんなことが絡んでくるので、微妙なところではあると思いますけど、田浦委員のおっしゃることは、もっともな大事な点だとは思います。
私は各情報基盤センターの活動の詳細はあまり知らなかったんですが、今日お話を伺うと、やっぱりもうかなりのことをやられていますよね。参考になることもたくさんあるし。その辺はどう生かしながら、かつ、このHPCIという枠の中でどこまでを、他の予算とどういうふうに連携していくのかみたいな、そういうことも考えないといけないということではありますよね。
【田浦委員】 はい。
【藤井主査】 ありがとうございました。
今の田浦委員の発言に関してでも構いませんし、それ以外の話でも構いません。いかがでしょうか。
朴委員、どうぞ。
【朴委員】 これはもう何年間も、田浦先生とか皆さんとHPCIのコンソとか連携サービス委員会でもずっと議論しているんですけれども、おっしゃることは誠にもっともで、1つには、今までHPCIは基本的には計算向けだったんですよね、リソースというのは。この時代に来てから、データサイエンスを含めて、あるいはビッグデータ、AIを含めて、データの重要性がますます上がってきて、その辺がNIIとの連携を強めるというところに来ているんだと思います。
9つの国立大学の9つのセンターの中で、筑波大だけはJHPCNに入っていません。これはいろいろな歴史的経緯があって、その辺のことは今日は本筋ではないので外しますけれども。だから、我々は割と外からJHPCNを見るという立場にいます。でも、ちょっとだけ、つまり、情報基盤センターと我々のような研究センターというのは、いろいろ立場が違うんですね。スパコンの接し方の。ですから、その辺のこともあるんだけれども、逆に、JHPCNは情報基盤センターであるからこそ、データサイエンスであるとか、データの共有・活用ということに関しては、情報だから全部向いていて、我々はややサイエンスのほうに向いているわけです。
多分、田浦先生の最後の話というのは、僕も同じことを常々言っていて、要するに、HPCIにとって第二階層、あるいはJHPCNは不可欠なんだけれども、JHPCN、あるいは第二階層にとって、HPCIはどういうインセンティブがあって活動しているんでしょうという話がずっともうこの数年間あって、今、コンソでも、理事長という立場で、そこはすごく悩ましいわけですよ。今日の最初の文科省からの報告にもあったように、だけど、それはもうそろそろいろんな部分で考えて、お互いにメリハリのある回答がないと、何となくもやもやっと、くっついているといろいろと細かいメリットがあるといいとか、でも本質的に何で一緒にやっているのかということを、一回はJHPCNとHPCIという関係で見てみるのがいいのかなとは思います。
いずれにしても、データサイエンス、データの取扱いということに関してのより広いネットワークというのは重要であるということには全く異論はありません。
【藤井主査】 棟朝先生、発言していただいて結構です。どうぞ。
【棟朝センター長】 ありがとうございます。
今の御質問にあったHPCIの範囲がどこまでかというのは、やはり我々としてもクリアにしていただきたいというところは当然あります。つまり、HPCIでここまでやると。大事なのは、インターフェースとして、例えばデータ駆動型となると、連携が必要なのでやり取りが必要になります。だから、オープンなシステムである必要はあるんだけれども、スコープははっきりしておいていただきたいというところは、我々の立場からは当然あります。
大学の情報基盤センターの立場からすると、我々、今日紹介したのは大学のセンターの半分以下ぐらいのもので、実際には業務系とか、さらに教育系とか、多岐にわたるものです。つまり、我々のスコープは、大学に関する情報基盤全てというのがスコープになっています。そんな中で研究支援系というのがあって、その中のさらに計算を中心としたものというところで、どうHPCIといわゆるインターフェースを決めて、そのインターフェースというのはデータのやり取りというのもありますし、ポリシー的なやり取りというのもありますし、単純な計算やり取りというのもあるかもしれませんけれども、あと予算とかですね。その辺をどう整理していくかという観点で、我々の役割も明確化していきたいと考えています。
ちょっと抽象的で申し訳ありませんけれども、私からは以上です。
【藤井主査】 喜連川委員、どうぞ。
【喜連川委員】 喜連川ですけれど。
私は、やっぱりこのコロナの中で、コロナの前から言っていたことではあるものの、もう我が国家にも世界にも余裕がなくなってきていると。どれだけ日本がうまく連携しながら、つまり、国内の中では非常に上手な連携をするということが唯一の生き残り策になってくるのではないかなと思っています。
このコロナの施策の中で見たことは、非常に我が国家がサイロ化されているというのか、協調するというアティチュードがあんまり強くないというのが裏目に出ているというのは、もう皆さん嫌というほど感じておられると思いますので、この計算基盤に関して、いろいろな文化はあるんですけれども、この時期を逃すと多分リセットして考えることってできないのではないのかなという気がしますので、ぜひそこをしっかりと、先ほど来NIIが基盤センターと一緒になってということを若干エンドースしていただけたところもあるかと思いますけど、ある意味でずっとNIIは後ろ支えをしながら、皆さんが最適な方向に動くように動くようにということを意識してやってきたつもりなんです。
しかしながら、先ほど宅間さんからの報告の中で、私もいろいろ意見は申し上げたつもりなんですけど、一体どういう議論になっているのかが少なくともほとんどよく分からないんですね。
前回申し上げたのは、各大学の資源をどうこうするというのではなく、国家の資源全体をどうやって最適化するんですかと。そこを一体誰が考えるんですかというようなことを申し上げましたし、あるいは、そのときに、理研に大きな計算機を置くのはいいけれども、原則、学生は全部大学についているわけだから、大学がいろいろ草の根から支えていくという、その人材育成が非常に重要だということをかなり強く申し上げました。
そういう中では、ソフトウェアが重要だということを申し上げて、先ほど棟朝先生や下條先生なんかもいろんな取組をされていると思うんですけど、先ほどの文部科学省のレポートの中で、一体ソフトウェアというのはどこに記載があったのか、あまりよく分からないんですけれども。そういうものの記載がないと、ソフトウェア人材というものが、今後、量子コンピュータと通常のコンピュータの接点をどうするのかというところも含めて、機動的に動かなくなるんですね。つまり、全体を通しての調達をどれだけ協調して国家のアセットを最適化するかということと、ソフトウェアの人材育成をどうやるかということが非常に重要なのではないかと思うんですけれども。これ、宅間さん、議論をなされておられるんでしょうかというのが僕のコメントと質問です。
【藤井主査】 まず喜連川委員が言われたのは。
【喜連川委員】 だから、今のお二人ということもあるんですけど、これまで全体の流れの中で、もう少し俯瞰的に議論したほうがいいのかなと思って発言をさせていただきました。
以上です。
【藤井主査】 発言されたというのは、部会のほうの話でしょうか。今まで発言してきたと言われた部分については。どちらの委員会でしたっけ。
【喜連川委員】 それはもう文部科学省は理解されていると思います。
この間、資料の提供の御依頼があって、提出までさせていただいているので、そこは今十分書かれていると理解しています。
【藤井主査】 これ、文科省のほうから何か回答できますかね。大きな話ですが。
【宅間室長】 今の喜連川先生の御意見は、まさに次世代計算基盤検討部会の中で頂いた御意見でございました。技術や人材の育成が重要という点につきましては、委員会の中でも非常に重要性を御指摘いただいたところです。報告書の後ろのほうにも節を立てていますが、その他にも全体的に溶け込んで、至るところに書かれております。
例えば、計算基盤の整備の重要性の観点の一つとしまして、概要のほうにも少しございますけれども、計算科学や計算機科学においての我が国の優位性、独自性を確保するということが重要だというような中で、例えば、アプリケーション側のソフトウェアの開発をするような技術や人材も含めまして、全体としてトータルで考えなければいけないというような御指摘もございました。
御指摘いただいた人材や技術の育成という観点に関しましては、ハードウェアをつくるというところだけではなく、アプリケーションとかシステムソフトウェア、そういったところにつきましても含めて重要だということで、この報告書の中には書かせていただいております。
【喜連川委員】 理解が十分伝えられていなかったのはこちらの責任かもしれないんですけれども、アプリケーションのソフトウェアではなくて、システムのソフトウェアをどうやってつくるかと。その能力がどんどん闊達にうまく生成されていくような、そういうHPCI、これはコンソーシアムなんですかね、あるいは基盤センターなんですかね。そこが一番人材払底の根源になっているというところを今切々と2センターからも訴えられているところで、私もそれを申し上げたところなんです。
応用ソフトウェアもあるんですけれど、応用ソフトウェアをクイックにつくるためのシステムソフトウェアがないと競争に負けてしまうというところが重要ではないかなと思っていますし、その辺をHPCにかけながらうまくやっていくというのを上手にモデレートしていただければと思います。
要するに、情報系の予算も全部「富岳」なわけです。だから、そこをどれだけ緩和するかということが非常に重要になってくるのではないかなと思います。これ以上いくといけませんので、この辺にしておきます。
以上です。
【藤井主査】 はい。もうちょっと大きな話。
坂本審議官、手が挙がっていますので、ほかの方もちょっとお待ちいただいて、まず審議官のほうから今の話について回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【坂本審議官】 ありがとうございます。宅間室長の回答に少し補足をさせていただきたいと思います。
喜連川先生の御指摘については、我々、まだまだ論点を深掘りしていく必要はあると思っておりますけれども、先ほどの大阪大学、北海道大学の御説明にもありましたように、データが今もう爆発的に出てきている中で、それをどのように解析していくのかということを一気通貫で考えないともうシステムは組めないということで、非常に強い問題意識を我々持っております。
喜連川先生がおっしゃったシステムのソフトウェア、それから、アプリケーションのソフトウェア、スパコン側に用いられるものですね。こういったものは具体的にどういうデータをどれぐらいの容量、どういった性格のデータをどういう形で流通させて、それをどうやって数値解析するかというところを、我々は一方で研究DXのプロジェクトを今立ち上げようとしているわけですけれども、そのシステムをつなげる方々にお集まりいただいて、具体的な事例をもって、ユースケースをもって解決をしていくことによって、システムを構築していくと。
そのときに、「富岳」とそこにインプットされるデータがどう扱われればいいかではなくて、マテリアルの代表例として、もう全国の大学にあるデータ、システムで解析が行われるようにしていくにはどうすればいいかということをしっかりと取り組んでいく必要があります。
そういった意味で、今、研究DXと、それから、スパコン、これはHPCI、それからmdxもありますけれども、そこをどう接続するかということをもっとこれから検討を進めさせていただきたい。それで、具体的なシステム設計を先生方と一緒に進めさせていただきたいと思います。必要な予算もしっかり要求をしていきますので。令和4年度も立ち上げていますが、ぜひ喜連川先生にもこれからもしっかりと御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【藤井主査】 皆さんおっしゃることは、まずHPCIというか、「富岳」のようなスパコンが、それだけで議論する時代ではもうないんだと。社会との関わり合いはもちろんですけど、データ駆動型になり、かつ、そのデータもいろんなところにあり、そういう中で、先ほど言われた第二階層の役割は何かと、切り分け、HPCIのどこまで面倒見てくれるんだというところも、そこに関係するような話になっている気がするんですね。
喜連川先生がおっしゃりたいのは、そういうことではないんでしょうか。
【喜連川委員】 いやいや、この辺にいる方は、もうみんな、言いたいことは山のようにあるので、結構ひずみが溜まっていると思うんですね。
ですけど、私が坂本審議官に申し上げたいことの大きなメッセージとしては、やっぱりこのコロナで大分僕たち変わらなきゃいけないよねというふうに、みんなが今ちょうど思っているいい時期なんですよ。この時期に本音で話し合いながら、若干いろいろ今までのお家事情みたいなものはあるけれども、それを乗り越えて考えなきゃしょうがないんだということを感じる、ものすごくいいタイミングなんですよ。こんなばかにみたいに個別の自治体にワクチン接種のプログラムをつくらせるなんていうことはあり得ないわけですよ。ワクチンパスポートがこんな遅くなるなんてあり得ないわけですよ。経済を活性化するために。
それはなぜそういうことが起きてきているかというと、国家全体のデザインをなしに、個別最適化でちょぼちょぼやってきたというところがある。個別は重要なんですよね。でも今は、中央のほうがはるかに重要なんです。全体システムの効率化を考えるのは今しかないので、ぜひ坂本審議官並びに情報参事官のチームが一緒になっていただきながら、もっと現場を聞いていただきながら、いいフレームワークをつくっていくという中で、人材育成が非常にfluidに流れるような、そういうものをこの際につくらないと、ずっとアメリカにも負けるし、ずっと中国にも負けるという構造を変えられない。だからここを起爆剤にぜひしていただきたいというのが、多分大方の方はそう感じておられるのではないかと思いますので、審議官、よろしくお願いします。
【藤井主査】 よく分かりました。ちょっと私、理解できていないところもあるかもしれませんけど。全体の設計があった上で、HPCIをどうするのかという話になってこないといけないということは入っているんだと思います。
そうなると、情報委員会のほうの議論になってきますし、ここの委員会として、こういう議論があったということはきちっとお伝えして、全体の議論は進めていただくということはしたいと思います。
上田委員、手が挙がったまま申し訳ありません。どうぞ。
【上田委員】 喜連川先生の大所高所のコメントの後に、非常にプリミティブな質問で恐縮ですけれども。
第二階層といったときの役割で、今、データ科学だとか、AIだとかという言葉はいろんな資料にちりばめられていますね。例えば、4-2の資料でも、最後から2番目に、システムの運用開始後において、技術の変遷やユーザニーズの変化等に応じて、新たなアプリケーション・ライブラリ・フレームワークが容易に導入できる環境が必要であると。こういう非常に抽象的な書き方をされています。
私はHPCIの専門家ではなくて、AIの専門家ということでこの委員会に参加しておりますけれども、当たり前のように、「富岳」なんかはTensorFlowとか、PyTorchだとか、そういうAIフレームワークがちゃんと充実しているのですね。一方、通常のスパコンというのは、シミュレーションをやる人たちが普通に使っていて、そのフレームワーク自身が変わろうとしているのかどうか。例えば、OCTOPUSにしても、当たり前のようにTensorFlowとかPyTorch、あるいはKerasが動いたりする、可搬性のあるソフトウェアが充実しているのかどうか。そういうところが充実していないと、AI研究者はわざわざスパコンを使わないですね。松岡先生は以前に委員会で議論したときにも、そこはかなり注意されていて、富士通にその関係の覚書も書かせて、きちんと整備をされています。
ただ、「富岳」まで使わなくても、第二階層で多くの研究者はAI研究をするのではないか。でも、第二階層でそこが片手落ちですと、何となくポスト「富岳」という新しいフレームワークの中で、そういうような人材育成も含めて、ソフトウェア開発が発展していくのかどうかというので、資料の中にそういう言葉が全然入っていないように思います。今、世界的には、AIフレームワークというのは当たり前のようになっている時代感なのに、資料では、環境が必要であるというような記載になっています。これ、もし私が無知で、そんなの当たり前で第二階層は全部入っていますよ、常識だから書いていませんというんだったら非常に申し訳ないんですけれども、そのあたり質問のような、コメントのようなものなんですけれども、お願いいたします。
【藤井主査】 システムベンダーはそれなりに努力しているし、ユーザもいると思いますけど。まず発表された下條先生からいきましょうか。
【下條センター長】 ありがとうございます。
OCTOPUSもSQUIDも、当たり前のようにGPUノードは入っておりまして、先ほど言われたソフトウェアは動くようになっております。我々、今、SQUID、非常に混んでいるんですけど、それはほとんどAI利用です。
唯一、今抱えている問題は、基本的にこういうシステムって皆さんバッチなので、例えば、AIの方々ってJupyter Notebookで直接使いたいみたいな話は結構あるんです。そういうあたりにきめ細かく対応していくというのはちょっと時間がかかると思いますけれども、そのあたりも、先ほど喜連川さんの言われたシステムソフトウェアを含めて、もうちょっと強化しないといけないかなとは思っています。ハードウェア的には十分使えるものがあるということでございます。
【上田委員】 ありがとうございます。
ぜひ資料にそういうことが陽に書かれてあると、AI研究者も第二階層への興味をかなり持つようになると思うので、お願いいたします。
【藤井主査】 棟朝先生、いかがですか。
【棟朝センター長】 北大も当然入っております。
【藤井主査】 伊藤公平委員が手が挙がっていますが、今の件でしょうか。そうでなければ、田浦委員をお先にさせていただきます。
【伊藤(公)委員】 田浦委員を先にお願いいたします。
【田浦委員】 すみません、この件に関連しているので。
各第二階層のセンター、それぞれ努力して入れられていると思います。つぶさに、どこに何がというふうにはちょっと申し上げられなくて申し訳ないんですけど。
あと、もう一つは、今、上田先生おっしゃったことは非常に大事な話で、今のAIフレームワークがどうこうというレベルの話ではなくて、今後もいろいろ発展していく中で、それをどういうふうに迅速にサポートしていけるか。とにかく人をたくさんつぎ込めるところだけがサポートできるという、そういうことではいけないと思いますので。
それで、少し手前みそですけれども、棟朝先生にも下條先生にもちょっと言及していただいたmdxというのがありますが、あれがマルチテナントになっているというのはまさにそういうところで、ルート権限が必要な、例えばこのGPUのドライバが必要とか、そういうところまで各ユーザがカスタマイズできるようになっています。ですので、これから出てくるいろいろなソフトとか、あとは、こっちのソフトとこっちのソフトを、要求するバージョンが違うので同時に入れられないとか、そういうところも、このマルチテナントというところでサポートできるようにしていきますので、それはmdxが間もなくそういうことになると思いますので、ぜひちょっと見ていただければなと思っております。
【藤井主査】 In situとかリアルタイムとか言ってくると、そういうところも大事になってきますね。特に必要なところで。
【田浦委員】 そのとおりです。フレームワークだけの話ではありません。
【藤井主査】 ありがとうございました。
この件に関してほかになければ、伊藤公平委員の発言に移りたいと思います。伊藤公平委員、どうぞ。
【伊藤(公)委員】 ありがとうございます。
先ほど喜連川さんの意見も聞きながら、いろいろ考えていたんですけれども。このHPCI全体として考えたときに、私、すごく気になっているのが、この間、福島第一原発のところで生じている汚染水を海洋放出するというようなことで、海岸から出すか、それとも1キロ先までトンネルを掘って出すかとか、ああいうようなことも、本来であれば、正しいシミュレーションが出てくると、海岸であろうと1キロ先であろうとあまり変わりないということになると、国の予算の削減が、海岸だと大幅に違うわけですよね。これ、非常に政治的な判断が入ってきますので、政治的に人々を納得させるために1キロトンネルを掘るのかもしれませんけれども、こういうようなことを「富岳」またはHPCIを使ってシミュレーションしてほしいというようなことは、政府からは来ないんですかね。こういうようなことは、実は、いわゆる飛沫のシミュレーション以上に直接的に経費削減につながるものであり、そのシミュレーションができるかどうかも私には分からないんですけれども、私の素人ながらの質問であります。
【藤井主査】 これは文科省に答えていただくんですかね。いかがでしょうか。政策課題の一つのようなものだと思いますけれど。
【宅間室長】 文科省でございます。
「富岳」の政策的な利用については、非常にオープンに関係省庁には情報を提供しているところです。それに応じて、先ほど御覧いただいたような5課題をやっているところです。少なくとも現時点において、今御指摘のあったような課題の相談が来ているということはございませんけれども、全省庁に対して「富岳」の政策利用については御案内していますので、そういうニーズが政策的にあれば、そういう御相談もあり得るかなと思っています。
【伊藤(公)委員】 ありがとうございました。
【藤井主査】 よろしいですか。むしろこちらからというか、HPCI側が積極的にそういうことに関与すべきだということを言われているんでしょうか。
【伊藤(公)委員】 そうですね。必ずしもこちらから積極的にというか、そこら辺のところは情報交換をしながら、いわゆるHPCIが使える方向性というものを、省庁を超えて包括的に議論したほうがいいのではないかという、それだけのことでございます。
【藤井主査】 こういうところはある程度のシミュレーションは可能であるみたいな情報が伝わることが大事だという。
【伊藤(公)委員】 そうですよね。例えば、SPEEDIみたいなのはあったんですけど、そのSPEEDIが結局政策的ないろんな理由で活用されなかったとか、いろいろ問題があるわけですけど、そもそもコンピュータ基盤が必要だ、計算基盤が必要だと言って整備してきたものがダイナミックには使われないというのは非常にもったいないなというのが私の感じていることであります。
【藤井主査】 非常に難しいところで、パラメータとか、いろんな要素があるので、気をつけないと恣意的に。
【伊藤(公)委員】 そうですよね。それはよく分かります。
【藤井主査】 非常に慎重にそこは、正確な情報を提供するというのが必要ではないかと思います。
【伊藤(公)委員】 そうだと思います。結果的に、それは正確にシミュレーションできないのであれば、それは当然のことながら、恣意的な結果を導いてしまうというのは非常によくないことですので、その辺のできることとできないことのすみ分けというのが、私自身も素人なので分かっていないので質問した次第です。
【藤井主査】 ありがとうございます。
大分いい時間になってきました。ほか、いかがでしょうか。
【田浦委員】 じゃ、一言よろしいですか。田浦です。
【藤井主査】 どうぞ。
【田浦委員】 伊藤先生がおっしゃったことにすごく感銘を受けたというか、同感しましたので、決して答えではないんですけれども、ちょっと発言させていただきます。
去年ですと、COVID-19の課題ということで緊急的に募集をしまして、それでHPCIの資源もそうですし、その前に「富岳」の資源もそうですし、そういう社会的に重要な課題のためにリソースを渡すということができていました。
ですので、HPCIの役割の中にそういうことを、COVID-19クラスのものでない場合も、今回の伊藤先生がおっしゃったようなことに関しても、常にそういうことに備える体制というのができていて、これ、専門家も連れてこなければいけないし、資源も連れてこなければいけないし、HPCIに関わっている人たちの中から自発的に、ということがそんなにすぐにはできないと思うので、専門家、それを必要だと感じる人たちに常に開かれているという、そんなHPCIができて、結果的にHPCIなり「富岳」なりの利用価値というか、社会的な意義が常に認知される、そんな体制になったら、それは非常にすばらしいと思いますし、第二階層の大学としても、HPCIに参加していることの意義というものを感じられる瞬間だと思います。
【藤井主査】 今も重点領域というのを設定して、優遇という言い方がいいかどうか分かりませんけど、一般課題については、できるだけ今やるべきことについては積極的に取り組んでくださいというメッセージは出しているということにはなっていると思いますけどね。もうちょっと積極的に言ってもいいかなという発言だとも思いました。
どこかで当てようと思ったんですが、小林委員、どうぞ。
【小林主査代理】 現在のHPCIに対する基盤センターの立場というのは、資源提供ということで、単に利用者のチャネルが1つ出たぐらいなのかなと。それで、その一方で、在り方はこうしようとか言われれば、それは甚だ不愉快だなというのが、昔はそんなことを感じていたのがありました。
ただ、基盤センターはいろんなことをやっているわけで、そのサービスをどういうふうにHPCIの中に取り込んで、それを見せていくかという、そういうことによって、基盤センター側のインセンティブと関わって、単にハードウェアだけを出すのではなくて、機能サービスを出して、お互い、基盤センターにとっても活動が達成され、活性化できるような仕組みになるのが、将来イメージとして求められるかなというふうには思っております。
ですので、基盤センター側も、例えばHPCIにどういうようなものを求めるかというのをもうちょっと議論を進めて、どういうサービスをHPCIとしてユーザに提供していくかということを議論できればと思っていました。ですので、ぜひ基盤センターのセンター長の皆さんにもいろいろ意見を頂きながら進めていくのが必要と思っております。
すみません、コメントになってしまいました。よろしくお願いします。
【藤井主査】 では、小林委員にちょっとお聞きしたいんですけど、センター側の立場で、第二階層側の立場で、現状一番改善しなければいけないと思っておられることは何かありますか。ちょっと細かい、狭い話になって恐縮ですけど。
【小林主査代理】 私はもう現役でないから、センター長の皆さんいっぱいいろいろおっしゃると思うんですけど。
やっぱり連携がもうちょっと、どういう形でいろいろな支援とか、ソフトウェアにしろ、どういうふうにポートフォリオを持っているかとか、そういう仕組みが徐々にできつつあるので、そこをもうちょっとうまくユーザに見せて、基盤センターの機能なり、あるいはリソースを活用できるような仕組みを強化していく必要があるのかなというふうに、外から見ていてはそう思いました。
【藤井主査】 分かりました。
朴先生、ちょっとお待ちいただいて、下條先生と棟朝先生に今の質問をしたいですが、現状、ここを改善したい、すべきだというところを短く発言いただきたいんですが、どうでしょうか。
【下條センター長】 やっぱり先ほど来皆さん議論されているように、サイバーインフラストラクチャーとアメリカは言っているんですよね。それとHPCIって、かなり範囲がギャップがあって、やっぱりそこは改めて考えるべきだと。
基盤センターは、そういうのがごちゃ混ぜで、今ひいこらしているときなので、やっぱり今のコロナのチャンスのときに何か将来につながることをしておくべきだろうとは思います。
【藤井主査】 そこは喜連川委員のコメントと同意ということですね。
【下條センター長】 はい。
【棟朝センター長】 棟朝です。端的に申しますと、リソースが全く足りないというのは、特に人的リソースですね。例えば、クラウドをやっていると、クラウドの人材を、民間でも奪い合いになっているところで、どう獲得するかということ、もちろんそれは予算的なものもありますし、例えば、民間と人材のやり取りをするとかいったような、まず人的資源が確保できないと、ただでさえDXと言って大量に新たなことをやらなければいけないといった場合の、リソースを適切にある程度頂いた上でやっていかないと、なかなか実際上は回っていかないので。今はボランティア的にそれぞれの先生方はかなり尽力されていますけれども、やはりそこの体制強化は必須であろうとは思っています。
【藤井主査】 喜連川委員、手が挙がっていますが、いかがでしょうか。
【喜連川委員】 先ほど伊藤委員がおっしゃられたことというのが結構重くて、実は我々のところもいろいろ年を取ってくるとややこしい課題が来る場合も多いんです。問題は、多分計算資源というのはかなり簡単な部分でしかなくて、本来、その問題そのものをきっちり捉えるという科学者のアティチュードのほうがはるかに大きいんですね。そのためには、今の競争的資金のような予算のつけ方では無理で、そもそもこういう問題があるなあ、自分はこういうことを研究しないといけないなと思ったときに、一定程度自己研究が進んでレディになっていないと、急に言われてできるような次元のものではないですし、組織の縛りとかも非常に複雑なものが絡み合ってきます。
そういうことから、ここでの議論をどこにするのかという観点で言いますと、私はやっぱり資源を出すというところは、むしろどちらかというとイージーパートになっていて、そうではなくて、多分そういう方が欲せられることというのは、システム化のパワーを基盤センターに求められるんだと思うんですね。ですから、私は先ほどから申し上げていますように、機動的なソフトウェアをつくれるような人材をどうやってつくっておくのかというのが、我が国家にとって一番重要なポイントになってくのではないのかなと思います。
以上です。
【藤井主査】 朴委員、手が挙がっていますね。どうぞ。
【朴委員】 先ほどの田浦先生の御意見のフォローアップなんですけれども。
まず1つ、慶應の伊藤先生の御意見は非常に重要な話だと思っています。HPCIは、実は今年どこかの話す機会で、HPCIがあったことのすごく大きいメリットとして、昨年から今年やっているCOVID-19特別課題というものを第二階層でも受けましょうと。「富岳」が受けるというのは、文科省の方針もあるし、それから、理研は1つの組織だから簡単と言うのはなんですけど、やりやすかったわけですね。複数の大学・センターからなっているHPCIがなかったら、恐らく動けなかったと思っています。
お手本は実はあって、あのときに欧米はいち早くCOVID-19のためのコンソーシアムをさっと立ち上げて、スーパーコンピュータリソースのシェアをするって始めていたんですよ。日本はやらなくていいのかという話があったときに、それを受けられるのはHPCIしかないなということで、コンソーシアムで本当にもう短時間で議論してからやると言って、COVID-19については、皆さんもちろん反対をする余地もなくて、すぐまとまってできたと。
ここからが伊藤先生のお話に関する非常にセンシティブなところで、じゃ、例えば、放射能の問題であるとか、そういった国を左右しかねない話というので賛否が出てきそうなところに関して、そんなに易々と投入するのは難しいと思うんですね。だから、トップダウンで、もう国が決めたので、そこにHPCIのリソースを使えと言われればできるんだけれども、それをさっと受けられる体制というのはないんです。
「富岳」は政策対応課題という枠を最初からつくってあるので、そういうのは恐らく受け入れられて、だけど、HPCIは、COVID-19はすごいスペシャルで、絶対に反対されないという予想があったから良かったんですけれども、大きい政策を決めるようなところというのが、後ろ向きに聞こえるかもしれませんけど、やっぱりそれなりの覚悟がないと受け入れられませんので、その辺は「富岳」と立場が違ったということを御理解いただきたいなとは思います。
1つの案として、じゃ、HPCIのほうにも、第二階層のほうにも、そういった特別な緊急課題に対して受け入れるという余地を残しておけるかという議論はあると思いますけど、ここに来ると、じゃ、全大学がそれに賛成してくれるかという話になっちゃうんですよ。何とか大学と何とか大学だけが賛成しましたという形になるのも、ちょっと見栄えが良くないなというような感じも持っています。
がたがた言いましたけれど、要するに、大きいところの国を左右するような話というのは、それなりにボトムアップにはできませんので、その辺は御理解いただきたいなと思います。
【藤井主査】 伊藤委員、手が挙がっていますか。
【伊藤(公)委員】 私、意見というより素人質問だったんですけれども、非常にクリアに説明いただき、ありがとうございました。HPCI、いわゆる第二階層の在り方と、それから「富岳」の違いも、私も理解していたつもりだったんですけれども、実際にそのような形になっているということはよく分かりますし、今の朴先生のお話のとおりだと私も理解しましたので、ありがとうございます。
【藤井主査】 さて、12時ですから、そろそろ終わりにしなければいけないんですけど、今日は審議事項ということですが、結論を出すという会ではないので、皆さんの意見を踏まえて、文科省のほうでも少し議事録を整理しながら、ポイントをまとめていただきたいと思います。
議題6として、その他がありますが、これ、何か事務局のほうからありますか。特に話題はないですか。
【宅間室長】 はい、議題6、その他はございません。
【藤井主査】 それでは、委員の皆様方から何か御発言がなければ、今日はこれで閉会にしたいと思います。

事務局から以下の事項について連絡を行い、藤井主査により閉会。
・HPCI第二階層の議論については議論を踏まえて論点を整理予定。
・9月17日に開催予定の「富岳」BEGINSについて案内。
・次回は11月頃に次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループとの合同開催予定で、別途日程調整を行っていること。

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