HPCI計画推進委員会(第42回) 議事要旨

1.日時

令和2年2月28日(金)

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.出席者

委員

伊藤(宏)委員,上田委員,梅谷委員,小柳委員,小林委員,田浦委員,土井委員,藤井主査代理,安浦主査

文部科学省

村田局長,増子審議官,原課長,橋爪参事官,坂下室長,荒井専門職,福野係長

オブザーバー

(HPCIコンソーシアム) 加藤理事長
(理化学研究所) 松岡センター長,松尾副センター長
(高度情報科学技術研究機構) 関理事長,奥田副センター長

4.議事要旨

議題1 「富岳」の開発状況等について
資料1-1について事務局より説明。
資料1-2について理化学研究所計算科学研究センター松岡センター長より説明。

質疑応答は以下の通り。
【安浦主査】 松岡先生に質問です。この新しい今後のスケジュール等は、どの程度理研の中ではオーソライズされているのでしょうか。
【松岡センター長】 これは、一応理事会では、このようにやっていくというのを随時説明しております。ただ、もちろん実装という意味では高度化、目標としては多くのこのようなフィーチャーというのが、共用開始とともに提供されるということを目指しておりますが、ただ、もちろん高度化自身の高度化というのも引き続き行っていかなきゃいけないので、これらのサービスが2021年に提供されて終わりではなくて、研究所としては、これらを含めて引き続き研究開発を行っていくという形で説明しております。
【安浦主査】 その辺の予算措置はきちっとできているのでしょうか。
【松岡センター長】 はい。少なくとも来年度に関しては、「富岳」のセンターとしての高度化の研究予算は頂いておりまして、もちろん今後もこれらの活動を含めた研究、アプリケーションとかも当然活動があるので、これらの研究開発が推進されるべく、高度化の研究は進めるべく予算措置がされていくものと認識しております。そうしないと、うちのセンターがなくなってしまうので。もちろん外部資金を取る努力はしておりますが。
【安浦主査】 ほかに何か御質問ございますか。
事務局の方で、来年度予算は文科省から見て妥当なものだったのか、ちょっと残念な部分があったのか、その辺りをちょっとお話しいただけますか。
【坂下室長】 「富岳」の運営等というところの中に、成果創出の取組ということがございまして、最後に御説明いたしました成果創出加速プログラムに関する予算もここに含まれておりまして、この126億円のうちの9億円が成果創出加速プログラムの予算となっております。
先ほど御説明いたしましたとおり、令和2年度の試行的な段階の早期成果創出という観点で、これまでの重点課題、萌芽課題からレビューをして、準備の整っている成果創出が早期に見込まれる課題を選んだわけでございますけれども、本来、御評価いただいていたプログラムとしまして、さらに広くシミュレーションとAI・データ科学の融合に取り組んでいくということを御提言頂いておりましたし、また、その計算基盤としまして、システムソフトウェア、計算データ科学技術の基盤の開発について、大学等と連携して取り組んでいくような御提言もこの委員会から頂いておりますので、そういったところは、今後また、令和3年度以降にこのプログラムのより充実を図っていく方策を考えたいと考えております。
【安浦主査】 ありがとうございます。
では、土井委員からお願いします。
【土井委員】 どうもありがとうございます。今日御説明いただいた中でとても興味を持ちましたのは、AIとクラウドとライブストリームの3つができるということで、その例として、防災のお話、気象のシミュレーションなどがあったのですが、「富岳」がこのような形で使われていくようになると、多分、民間としては、防災とかそういうものだけではなく、実際に得ているいろいろなライブ情報を使って、AIを使ってやるという仕組みが必要になってくると思うのですが、今、この絵だと3つばらばらに書いてあるので、どういうふうに組み合わせて使えるのかとか、そのあたりは少し御説明いただけるとありがたいです。
あと、ライブデータといったときに、今回のようにお示しいただいているような防災とかそういうデータだけではなく、実際の群、人間がどこにいるのかなど、そういう情報も扱うようになるので、そのあたりはどういうバックアップ体制を今後考えていらっしゃるのかということを教えていただければと思います。
【松岡センター長】 ありがとうございます。今日は全く時間がなかったので、他にも事例がいろいろあるのですが、その中にはマニュファクチャリングの事例も含まれておりまして、例えば、本センターですと坪倉チームが自動車とかタービンとかのシミュレーションをやっておりますが、それだけではなくて、彼らチームがやっているのは、そこからAIでのサロゲートモデル、つまり、シミュレーションでトレーニングしたサロゲートモデルを作ったり、ないしは、いわゆる縮退モデル、これもAIを使って縮退モデルを作ったりすると。
これは、なぜやりたいかというと、やっぱりリアルタイムのアナリティクスがやりたいわけで、例えば、デザインを作るときに、リアルタイムでインタラクティブにやるときに、CFDをフルスケールでやるのは無理ですから、それをリリースモデルでやって、最適化なんかも同時に行って、それをデザイナーとかエンジニアが見ながら、人間の観点からの最適点を選んでいくというようなエフォートというのがございます。
そのようなことをサポートしていくので、これらのソフトウェアスタックというのは別々なコンポーネントではなくて、クラウドAPIとか普通のOSのAPIとして全体的に公開されますので、当然ながら、これらの機能というのは、普通の、ある意味でオープンスタンダードの形でそれはアクセスできると。だから、別に、これは「富岳」に特化した話ではなくて、オープンスタンダードのAPIで、これをいろんなフィーチャーアクセスできるというふうにします。
先ほどのリアルタイムのデータに関しては、これは実は避難にもつながるのですが、例えば、群衆のデータも当然ながら扱いたいと思っていますが、我々はアーカイブするのが役割ではないので――それは別なインフラが必要ですけれども、どちらかというと短期間で、ライブストリームでやってくるライブデータとかをシミュレーションで模擬する、これらを、メタデータを付けてアナリティクスや学習や、ないしは、スマートシティーのシミュレーションとか、そのように供出しようと思っております。
ですので、いろんなイシューがあって、ここの時間で議論するのはとても時間がないですけれども、1つは、それらのデータを使ってAIをトレーニングしていくというのが1つの大きな流れと、なるべくシミュレーションをそこに統合したいというのは、よくあるプライバシー等の問題をシミュレーションによってある程度アノニマイズした、要するに、シミュレーションによって人間の行動モデルができているならば、それはアノニマイズしたデータとして供出するのは簡単ですから、別に特定の個人ではないので。そのような形で、現実問題として起こり得るようなプライバシーの問題も、むしろシミュレーションと組み合わせることによって解決していこうということを1つ考えております。

議題2 「富岳」の利活用促進について
資料2-1、2-2についてHPCIコンソーシアム加藤理事長より発表
質疑応答は以下の通り。
【小柳委員】 大変充実したまとめを作っていただきましてありがとうございます。
第二階層のことで、ちょっと今場所が見つかりませんが、第二階層がHPCIの運営にも参加すべきであるという大変重要な御指摘がありました。本文を読めばもう少しはっきりするかと思いますが、その要約だけの印象を見ると、運営面への寄与という点が強調されているような感じがします。私は、それとともにHPCI全体の戦略の形成とか、そういうところにもこの多様性を生かして貢献するということも強調すべきではないかという感じを受けましたので、御参考にしていただければと思います。
【加藤理事長】 そうですね、そのことがまさに後書きの最後に付記したことであって、実は、非常に重要なミッションとして、多様であって、かつ最新鋭の資源を提供していると。この点が、今までは一部の人は認識していたと思うのですが、共通の認識としては余りなくて、単にフラッグシップを補完するというような捉え方をされている方も多かったので、この第二階層の資源の多様性、最新性をもっと生かして、いわばそのプロービング的な役割もできると、そういうことを含めた課題の実施の在り方を検討すべきというのがRISTさんへの宿題になるという状況です。
【安浦主査】 田浦委員、何かございますか。
【田浦委員】 ありがとうございます。これは、HPCIコンソのまとめですから、私も参加させていただいていましたし、こういうまとめ方は反対ではないですけれども、多少誤解を招きかねない文言にも見えますので、情報基盤センターというか第二階層をやっている立場から、どういうことなのかというのをちょっと御説明させていただきます。
まず、情報基盤センターは情報基盤センターとして、日本のコミュニティーであり、社会にはどう貢献したらいいかということを常に積極的に考えているわけです。それがHPCIというラベルというか、立て付けにどう関係を持つかという話だと思っています。だから、多分に立て付けの問題です。何か積極的にやるべきことがあるにも関わらず、第二階層の基盤センターはそれに積極的に参加していないという受け止め方をされると非常に困りますけれども。
それはどういうことかといいますと、情報基盤センターは、決してHPCIがあるからHPCに貢献しているわけでもなく、もともとそれぞれに自主的に活動していて、なおかつ、お互いが対等な立場でコミュニケーションして、切磋琢磨して、全体としてどう貢献するかということを常に考えています。そのための立て付けももちろん必要ですが、その立て付けは、実際のところ申しますと、HPCIというよりは共同利用・共同研究拠点というネットワーク型の仕組みや、情報基盤センター群がもともと持っているネットワークというほうが、どちらかというと、自分たちが危機感と使命感を常に持って取り組んでいる立て付けです。別にHPCIを軽視しているというわけじゃないですけれども。
なぜそうなるかというと、それは、元を正せばどういう仕組みというか立て付けでやっているかということで、最後の方に第二階層をHPCIとして整備していくべきであるというような文言もあったのですけれども、整備というのはちょっと誤解を招く言い方で、例えば、HPCIの予算で情報基盤センターの第二階層の資源が整備されているわけでは全くないです。それは、もともと大学の裁量の予算で調達した資源を、たまたまこの仕組みに出していて、HPCIから来ているものは基本的にはその計算機の利用料という形です。なので、非常に直截に言いますと、余り深い付き合いというか、一緒に何か成果を創出していきましょうというような立て付けにはなっていないHPCIの仕組みというのがあるかなと思います。
どうすればいいのかを一緒に考えるのがおまえたちの役目だろうというのは、それはもっともですけれども、なかなかそれが、実際のところはこのHPCIというものの生まれ育ちというか、フラッグシップというものをほとんど中心に、成果としては見えるようにできているというようなもろもろの仕組みがあって。だから、やっぱりこのHPCIの中で、何だかんだ言って一番高揚するところは日本のフラッグシップマシンを作るというところだと思うのですが、そういうところに、例えば、一緒に開発する、設計するというマインドを持った人々が、例えば情報基盤センターに属する全国の人々が一緒に入っていって、一緒にその成果の創出に貢献したというように実際に思えるというか、見えるというか、全体のロングタームの立て付けとしてはそういうものが必要なんじゃないかなと思っています。ただただ、このHPCIというラベルがあるから、言うとおりやれとか、そういうような形ではなかなかうまくいかないのではないかなというのが、私が基盤センターというところからこれを見ていたときの考えです。
【加藤理事長】 おっしゃることはよく分かるのですが、まず、整備というのは、ハードウェアの整備という意味ではなくて計算資源の整備という意味で、この報告書は読んでいただくと分かるのですが、かなり気を使って書いていまして、例えば、ソフトウェアを入れるところは「望まれる」と書いてあります。「べきである」とは書いていない。まさに今、田浦委員が言われたようなところが、今のHPCIの課題をさらにこの中で明確にしたと。つまり、今、こういう状況です。だから、これを何とかしていかないと、やはりこの先、求心力を保つことができないということをこの報告書の中では言いたかった。それはまさに、大意を持って示していただいたのが今の発言かなと。という状況です。
【安浦主査】 ありがとうございます。今の議論は非常に重要な議論で、この後HPCIの中間評価の進め方というのを話し合いますけれども、そこに非常に大きく関わってくる問題です。国の科学技術戦略を、特にこの計算インフラというものが、全ての分野においてベースになってきているという現状において、国全体として、どこまでトップダウン的なアプローチで進め、どこから先はボトムアップの――大学の裁量という言葉がありましたけど、そういう大学の独自性に基づく考え方で進めていくか、その統一感をどういうふうに作っていくかという、その辺が今後のHPCIの中間評価、あるいは情報委員会全体でのこの国の情報基盤をどういうふうに整備していくかという問題に非常に根本的に関わってまいります。
一方で、経済的な論理というのがあって、経済的に普及したものは安くなるという必然性がありますから、世界的なマーケットにおける位置付けということも当然考えながらやっていかないと、またガラパゴスでコストだけ掛かった日本という言い方をされてしまうのも問題だと思いますので、そこのバランスをどうするかという非常に大きな問題を、この報告書で御指摘を頂いたのではないかと考えています。
【加藤理事長】 その点は、時間がないので口頭で申し上げますが、4.1節の第1パラグラフの第3行目に言及しています。つまり、HPCI及び大学情報基盤センター等のそれぞれがそのメリットや国全体としての効率性などを検証し、HPCIの計算資源をこのように構成することの意義を関係者が改めて共有する必要があると。つまり、これは共有する必要があるというのは、まだ共有されていないから共有する必要があると。だから、それを図っていかないと、やはり今後この計画全体に支障を来すと考えています。
【安浦主査】 ほかに何か御質問は、上田委員、どうぞ。
【上田委員】 質問というよりは、第2章で、反省といいますか、要するにユーザーの拡大ということがしっかり書かれていたと思いますが、「富岳」でも、今、TensorFlowだとかPyTorchとかがインストールされるようになっていると思うのですが、我々、AI、データ科学の研究者から見たときに、HPCIというのは今まで、やはり別世界でした。非常に使い勝手が悪いし、GPUマシンで十分足りると。googleなんかも、一研究者が何かやろうとするときには、50台、100台のGPUが割り当てられる。日本の大学ではそこまでの資源はない。なかなかそこでは勝負にならないところで、こういう「富岳」なりのHPCIがそういうところで整備されてくると非常にいい成果が出てくる可能性があります。
現時点で、この報告書全文は未確認ですが、ソフトウェアに関する、あるいはライブラリとか、今、AIとかにはgithubだとか、開発をオープンにして、みんなが使えるような環境、そういうところとの整合性とか、そういうところの重要性に少し言及していただくと、我々としては積極的に使おうと。AIPでも「富岳」を使うことをかなり意識していますけれども、松岡先生がTensorFlowだとかPyTorchを今、インストールしていただいているので、そういう動きになりますけど、是非、そういう面をもっとアウトリーチして、我々が非常に関心を持つようにしていただくと、いろいろ成果が今後出てくるのではないかなと思います。ちょっとハードウェアに偏った感じも見受けられるので、まだ全文は読んでいませんけれども、その点をお願いいたします。
【加藤理事長】 ソフトウェアに関しては、第4章の第2節で言及をしていますが、1文だけ御紹介すると、例えば、26ページの第2パラグラフ等で、「京」の時代には、プリ・ポスト環境、可視化の計算資源の重要性が指摘されたが、実は、このような資源に関しては本格的な整備に至っていない。今後、AIやデータ科学などの新たな潮流などを踏まえて、設備整備の方針を改めて検討していく必要がある。特に、スパコンで計算された全てのデータを一旦貯蔵し、いわゆる後処理によって機械学習などのデータ処理を実施していくことには限界があると考えられ、計算と同時にデータを処理し――これは実はフロントエンド環境を整備すべきだということも、この中に入っていて――必要な情報を取得する、いわゆるストリーム的な処理の重要性が今後ますます高くなることが予想され、そのような処理に対する可視化装置の必要性も含めて、改めて検討する必要があると。
これ以外にも数か所で、いわゆるバックエンド環境としてだけ使うわけではなくて、先ほども理研からも説明があったように、フロントエンド環境として、あるいはストリーム処理のデバイスとしてのフラッグシップ計算機という位置付けがますます重要になってくるので、そういう環境を早期に整備すべきであるということは報告書の中で言及しています。時間があれば、後でお読みください。


資料3、4について事務局から説明。
質疑応答は以下の通り
【安浦主査】 御質問、御意見がございましたらお願いいたします。海外を見てこられた先生方の方から何か御感想等も頂ければ幸いです。 梅谷委員、何かございますか。
【梅谷委員】 欧州のスパコン、民間活用の事例を中心に見させていただいて、現地に行くとよく分かるというか、感じられたというところがあります。アカデミアと民間の差もなく、シンプルな制度設計になっていました。フラッグシップマシンは、科学的意義のある活動、その成果をどんどん広げていくということで無償となっています。
成果非公開の課題については、結果的にはアカデミアでそういうことはあまりなく、ほぼ民間になるわけですけれども、企業の利益のためにやるわけですから、それがコンピュータを作った原価、建物代とか電気代とかも含めた原価を下回らない、かつ、AWSのような市販の民業圧迫にならないということが明確な指針として出ていて、非常にシンプルで分かりやすい考え方だなというふうに感じました。
ある意味、税金で作られた設備を利用させていただくわけですから、社会全体の発展のために使われるというのが必要なわけで、それがなるべく一企業の利益につながらないような形の制度設計というのは必要なんじゃないかなというふうに思って帰ってきました。
【安浦主査】 伊藤委員。
【伊藤(宏)委員】 今、梅谷委員がおっしゃったとおりですけれども、そこから選定委員会の話に移りますが、社会的と、社会経済的見地というふうにおっしゃっているところがどうも産業のテーマに対してきちっと評価されてないのではないかという印象を受けます。
アカデミアの先生方がやっていらっしゃるので、どちらかというとシミュレーションだとかそういったものに特化されてそれを評価されている。もう少し経済的な見地から、産業プロセスをよく御存じの方に、これはもうアカデミアでも結構ですが、レビューをしていただくと――レビュー、あるいは何か俯瞰的に見ていただくと、よりそういった、例えば無償で使う場合も意義がはっきりしてきて、例えば10年後こうなる、20年後こうなるので今これをやっておくことは社会全体に意味があるというようなことをおっしゃっていただければ、それと今、個社の利益につながる有償利用というのは明確に分かれるのではないかなとそういう印象を受けています。
【安浦主査】 ありがとうございました。具体的に現場で受けられた印象を語っていただきました。資料は参考資料の4の方に詳しい報告の内容がついておりますので、また御参照を頂ければと思います。
ほかにこの取組、今後の利活用について御意見をどうぞ。
【小柳委員】 一般利用枠ですけれども、「京」のときを考えてみると、一般利用枠の中に若手枠といったものがあったと思います。制度設計を考えるときには、人材育成のために資源を一部使うというようなことだったのですが、実際にやってみるとそういうわけじゃなくて、若手でも入りやすい、少し規模の小さい課題をとるというだけに終わったんです。そのときはまだ「京」というのは非常に貴重な資源で、学生ごときに使わせるのはもったいないというような考えがありましたが、この「富岳」の時代に当たっては、場合によってはそういう人材育成的な資源の利用といったものも考えられると思います。特に、人材育成ですと、例えばあるコースの資源に一部使うとかいうようなことがあると思いますので、そういう制度設計も考えられるのではないかと思います。
【安浦主査】 ありがとうございます。その辺はまた6月までの基本方針の中にそういう考え方も盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。
ほかに何か御質問、御意見ございますか。
小林委員どうぞ。
【小林委員】 私の記憶違いかもしれませんけれども、以前、成果創出加速プログラムを議論したときに、重点課題の後に一般公募するようなお話もあったかと思うのですが、それはもうなくなってしまったのでしょうか。
【坂下室長】 最初の議題で、安浦主査から御質問があったときに申し上げたのですけれども、令和2年度の予算が9億円ということでかなり、それまで、前年は26億円ありましたので、もちろん、新規の事業ではありますが、まずはその規模であれば、これまでやってきた成果を早期に創出していただくものを選ぶことを優先せざるを得ないという判断で、現在はそれが決まっている状況になっています。
ただ、令和3年度に向けてAI・データ科学のシミュレーションという目的も含めて、新たな方々にこの成果創出加速プログラムに入っていただけるような、そういったことはやっていきたいと担当としては考えております。
それは令和3年度の概算要求に向けての議論になっていくかと思いますけれども、担当としてはそういったことを充実させていきたいという、そういった要求をしていきたいと考えております。
【安浦主査】 よろしいですね。
予算的な面からこのような形にはなっております。それから、産業利用枠等、図では5%が大きく描かれていますが、成果創出枠をオーバーラップさせて、単純に足したら100%を超えるという形にはなっていますが、ある意味でこの辺は柔軟な対応をしていくという、そういう意向の表れというふうに見ていただければと思っております。
田浦委員どうぞ。
【田浦委員】 2つありまして、1つは産業利用枠の公開、非公開云々の話があって、ちょっと言葉上の単なる注意というか質問を含めてですけれども、「京」の利用に係るハードルのマル3のところで成果非公開とはいえ利用報告書の提出は必要となるが、これもハードルになるという話というのは――でも、何か最後に非公開としたいと書いてありましたけれども、これはだから公開しないというのみならず、もう報告そのものをハードルだと考えているという、そういうことですよね。
なので、段階があって、公開はされていないけれども報告はされているという段階と、本当に世の中に公開するという段階があるので、その2つの言葉をもうちょっと区別して書かれた方がいいのかなと思いました。
もう一つは、4番の理研の利用促進への取組という話です。その下のところに高性能深層学習フレームワーク開発を含む、環境の実現とか、あとはオープンソースソフトウェアの移植、整備とか――多分、移植だけではなくてもう少し開発的な要素が入ってくるものもあると思うのですが、考え方としては先ほどの第二階層の話でどういうふうに積極的に入っていくかという話の考え方というのはこういうことが一部あると思います。
要するに、利用促進というよりはもう少し情報基盤センターにいる人の専門性を考えると、「富岳」なら「富岳」というプラットフォームを一緒に作っていくという。要は、利用促進というよりも成果共創というか、一緒に作っていくという、多分そういう考え方がちゃんと制度に反映されると、第二階層の関わり方というのもまた一つ違ってくるかなと思っています。
でも、その中には、だから「富岳」を使ってやるということになったときに、一つにはどの段階でどれだけの情報を理研以外の人に出せるかとかいう話もあるでしょうし、高性能深層学習フレームワークを成果として重要だと考えているのであればそこは理研がやるんだみたいな話もどこかではあることでしょう。
なので、これをこうしろ、あれをこうしろとは言わないですけれども、「富岳」という巨額を投じたものを、このHPCIといういろんな基盤センター含め、関わるものの中でどうやって各大学が積極的にということを考えるのであれば、「富岳」を使ってどうやってみんなが一緒に成果を作っていけるかという、そういう仕組みを考えると。
そこは基本的には理研がどういうふうに考えるかというところが大きいと思うのですが、そのあたりを、「富岳」でも一部できることはあるでしょうし、もし次期フラッグシップという話があるのであればそこにもっと早い段階から関わるとか、そういうことで関わり方というのは違ってくるのではないかなというふうに思います。
【安浦主査】 ありがとうございます。
じゃ、コメントを。
【松岡センター長】 全くおっしゃるとおりで、あそこにもちゃんと基盤センターとかと一緒にやるというふうに書いてあって、それはそうで。具体的な策で現に既に動いているのは、本センター及び理化学研究所として、様々な大学との連携協定、連携プログラムというのを締結させていただいて、そのトピックとしてこれらのことをやっていくんだということを積極的に推進しております。
これを、基盤センターもそうですし、場合によっては情報系の学科だとか、そういうところとやっていて、ここでそういうやっている具体的な話を具体化して書くかどうかは別として、もしそれを書くのであれば、例えばそういうことをやるべきであるというのを書いてもらうと、実は非常にありがたいと。
なぜありがたいかというと、実は理研は非常にそういうところは積極的です。つまり、多分御存じだと思いますけれども、例えばいろんなところと連携大学院をとかそういう制度を作りたいのですが、大学側がコンサバティブで応じてくれない場合があります。
なので、もしこういうところを書いていただけると、理研は真にその大学と連携をしたいわけで、そういうところで、いや、こういうふうな意図でやって、ほかの大学でもやっているというところで、大学の執行部に対してこういうやりたい人たちが提言できてこういうアクティビティーができるようになるので、そのようなことを一緒に促進していくような文言に強化するというのは一つあるかと思います。
【田浦委員】 その辺は大いに御相談させていただければと思いますが、ここで理研はどうとか、大学はどうだとか、余りそんな話にはしたくないのですが、要するに、いかに共創、一緒にやっているというふうになるかという、そこが大事だと思います。
【松岡センター長】 現実的にもうそれはある程度なっているので。
【田浦委員】 だから、それは単に大学の人をどんどんクロスアポで半分理研の人にしてとか、そういう話では大学から見たら、ないので。その辺の細かいニュアンスを含めた立て付けというのを一緒に議論できる余地があるのであれば、それは非常にいいことなのではないかと思います。
【安浦主査】 今の点、非常に大事な話を含んでいると思います。今後、上部の情報委員会の方でも日本全体の情報基盤をどういうふうに作っていくか、そのときの「富岳」も含めた理研とかそういうところの役割と大学の役割、それから、研究者の自由裁量でやる部分と国策で重点的に進める部分のバランスの問題、その調整の問題とかをきちっと、国としての戦略は作っていく必要があると思っております。
このHPCIに関しては、今後、「富岳」の利活用についてはとにかく9月までに決めて募集を始められるようにしないといけないので、それは6月をめどに本委員会で決めていきますけれども、今出たような意見を反映しながらできるだけ柔軟な体制がとれて運用が開始されて、その上でいろいろまた変えることが必要であればその都度変えていくということで、そこにはHPCIの加藤先生からの報告書の趣旨、あるいはこのHPCIの中間評価の結果等も反映させながら進める必要があると思います。9月に全てが間に合うわけではなくて、常に変わり続けるという発想で、本委員会でしっかりガバナンスをやっていくということが重要じゃないかと思います。
ほかに何か御発言ございますか。
藤井委員どうぞ。
【藤井主査代理】 産業利用の話ですけれども、今の産業利用というのは、ものづくり、製薬、それから物質科学系、そういうのが多いですよね。
一方、きょう、松岡センター長の話にもあったのですが、これから先、社会的ないろんなインフラを持っているところは、それを利用しているところの使う――使うというのはプロモートしなければいけないと思っていて、そういう意味で、コンソにメンバーで入ってもらうとか、それからそういう意見を聞く場をできるだけ作っていく必要があるのかなと、是非そこをプロモートしていただくのにどうしたらいいかということを考えていただきたいと思います。
また、簡単な質問で、重点分野という定義があるのですが、重点分野は何が優遇されるのかということがよく分からないのですが、何かアイデアはありますか。点数が低くても採用されるとか。まだ、これからの議論で構わないのですが。
【坂下室長】 そういう意味で、この基本方針でそこを縛るというよりは、重点分野というのはこういう考え方で作るという例示をさせていただいた上で、この中にも書いてありますけれども、登録機関に選定委員会というものができますので、そちらの中で柔軟に決めていっていただくということがいいのではないかと思っております。
【藤井主査代理】 中身というよりは、どういうふうに重点分野は特別扱いされるのかということですけれども。
【坂下室長】 それはおっしゃるとおり選考の際に優遇をするということもありますし、計算資源をより多くという、それは両方のやり方があるのかなと思いますけれども。
【安浦主査】 そのあたりは6月までに本委員会で議論すべきことで、委員会としては多分6月にしか開けないと思いますが、それまでにいろいろ御意見があれば事務局の方に出していただければというふうに思います。
梅谷委員どうぞ。
【梅谷委員】 利活用促進というか、どんどん裾野を広げていこうと、そのためにサービス性を上げていきましょうと、AIとかも含めていろんなソフトを移植していきましょうと、その体制を作らなきゃいけませんと、お金がかかりますよね。
結局、それはトレードオフで矛盾しているところがあって、もう少し利用側の自助努力ができるような仕組みというか、産応協に参加して思うことは、みんな会社の仕事は別に持っていて、手弁当で国プロ、国のスパコン、HPCIというのをもっと盛り立てていきたいと、企業側からもそういうメンバーがいて。
一方で、お金を払って楽に使いたいという企業人も当然いるので、そういうメンバーだけではないのですが、ある意味、その産業、金を出してくれるというところも、人手だとか知恵を出してくれるというところも、もうちょっとそういう民間活用をすることで――国のシステムなので、国がそういう仕組みをきちんと作っていかなきゃいけないというふうに思っていただけるのは非常にありがたいですけれども、もうちょっと民間活用を、民間が使いやすい環境を作るところに貢献するような仕組みというのを考えていった方がいいかなと。
それが、これから活用を広げていこうとすると、今のやり方だと破綻していくというか、ちょっと限界が来るかなというふうに思っているので、そういうことも併せて考えていただければというふうに思います。
【坂下室長】 ありがとうございます。今の点も非常に重要な点だと思っておりまして、産応協からのいろいろな御提言とかお知恵をかりるということももちろんですし、直接RISTの方にアドバイスを頂くような、そういう方に御協力を頂いて制度設計のところで、産業界の方ではこういうふうな知恵が出せるのではないかというようなところ、あるいは人手が出せるのではないかというようなところで、これからこの方針を考えていくところにより深く関与していただくような、そういったことを今後進めていければと考えております。

議題3  特定高速電子計算機施設(スーパーコンピュータ「京」)の事後評価とHPCIの中間評価の進め方について
資料5について事務局より説明。
【安浦主査】 ありがとうございます。この評価は国の大きなプロジェクトですので、きちっと国民に対する説明責任としてやっていかないといけないわけですけれども、一方で、この評価を通して「富岳」、あるいはその先がもしあるのであればそういうことへ、よりよい国としての仕組みを作るためのいろんな知見をここに盛り込んでおくという意義があるかと思いますので、委員の皆様方、お忙しいかと思いますが、是非御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
何か御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、このスケジュールに従って進めていただきたいと思います。

安浦主査より閉会
 

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