HPCI計画推進委員会(第39回) 議事要旨

1.日時

令和元年5月24日

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.出席者

委員

【委員】
伊藤公平委員,伊藤宏幸委員,上田委員,梅谷委員,大石委員,小柳委員,喜連川委員,小林委員,田浦委員,土井委員,中川委員,藤井主査代理,安浦主査

【説明者】
(理化学研究所)岡谷副理事,松岡センター長

文部科学省

磯谷局長,増子審議官,原課長,橋爪参事官,坂下室長,根津参事官補佐

4.議事要旨

開会
議事運営の第2条第3項に則り安浦主査より主査代理が藤井委員に指名された


議題1 HPCI計画推進委員会について

資料1について事務局より説明された


議題2 ポスト「京」の利活用促進・成果創出加速に関するワーキングの報告

資料2-1、2-2について安浦主査より報告された


質疑応答は以下の通り


【伊藤(公)委員】  方向性としてよく理解できました。特に第1章の背景のところの計算科学技術の動向という部分で、現象の背後に潜む法則性を定量的に理解したり、さらに進んで予測を行ったりする科学であるという部分が、私は非常に重要だと思っています。
 と申し上げますのは、2015年、当時、行政レビューというのがありましたが、そのとき私は実は内閣府側に要請されて、その参考人として最初の5分間の意見を述べて、それがきっかけで私はこの委員会に参加するようになったわけでございます。
 それから当時の行政改革大臣が6回大臣室で、このスパコン「京」、それからポスト「京」の推進に関する議論を行い、そこには先ほどお名前の出た常行さんから、今日いらっしゃる松岡先生をはじめ多くの方がいらっしゃり、本当にいろいろな議論が交わされた結果、行政改革大臣が理研にこれを設置することは非常に意味があることがやっと分かったと。それはやはり今、Society5.0というお話の中で説明されていましたけれども、基礎研究に対して、この計算科学が発展をするという意味では理化学研究所にあって、それが今度、「富岳」になりましたけれども、「富岳」がどのように科学の発展に寄与していくか。それから、科学の実験をさらに追い越して予測して、今のAI時代という新しい時代とも併せて、実験の先を越して予測して物を理解して、場合によってはそれによってノーベル賞が出るぐらいのことを考えてほしいというようなことで、今このような形で事が進んでいるというふうに私は理解しております。
 ということですので、その辺のところで、基礎科学をどうやって見せるか。もちろん災害に対する、ゲリラ豪雨に対する氾濫を予測できますとか、国民に対して分かりやすい説明もあるんですけれども、様々な論文が出てくる中で、理解が難しいものであっても、これは本当に「富岳」を使った成果であり、これが将来の科学に対して大きなインパクトを持つというものを積極的に取り上げて、それが「富岳」の1つの成果であるという方向性を強調していただけると、そのときの費やした時間と、それから、行政レビューが結果的にお金が削減されなかったということに対する、何か私の説明責任を感じておりますので、どうかその点をよろしくお願いしますということでございます。


【安浦主査】  どうもありがとうございました。非常に重要なポイントで、どちらかというと応用に走りがちな現在の科学技術政策や、研究機関のマネジメントに対して、やはり基礎研究の重要性という、そういうところも同時に、一応このワーキンググループの報告書には入れたつもりでございます。あらゆる学問に対する基盤であるというところが、この「富岳」の位置付けかというふうに思っております。
 ほかに何か御意見等ございますか。どうぞ、中川委員。


【中川委員】  日立製作所の中川でございます。どういうものを応用として選ぶかというところについての御説明、よく分かりました。
 ちょっと質問したいのは、やはりシミュレーションと分析ですね。データ科学、これを融合させていくという新分野についての取組に関してです。この取組というのは、既にGPUを使ったクラスタ等ではかなり行われていると考えております。特に産業界では、データというのをたくさん持っているものですから、シミュレーションとモデルの精緻化をデータで補うということは、もう既に実用化の段階に入っているかと思います。なので、そのプログラムの母体というのはかなり小規模なものはあるのかなと。
 ただ、「富岳」の規模ですと、もっと通常のレベルでは解けない、要は第2階層ではできない、あるいは産業応用の規模ではできないというような大規模なものに取り組まれるのかなと思うんですが、そのときに重要になるのが、やっぱりアプリケーションの移植性になります。例えば、最近、Dockerとかコンテナ技術とか出てきておりますけれども、そういったものでアプリケーションが、プラットフォームは違いますけれども、アルゴリズムを同じように動かせるのかといったところが、使う立場から見ると非常に重要な観点になるのかなと思いますが、今の御説明では第2階層、あるいは産業界のオンプレミスのクラウドとの連携みたいなものと、余りちょっと影響がなかったと思いますので、そこについてどういう議論がされたかというのについて教えていただけますでしょうか。


【安浦主査】  ありがとうございます。既に走っております9つの重点課題の中でも、既にシミュレーションとデータ科学の融合を実際にやっているものもございます。今、中川委員から御指摘ありましたように、もう世の中ではそういうことをやられていることは、このワーキングの中でも多々指摘されておりまして、おっしゃいましたように、データコンテナみたいなものをどういうふうに考えて、データがいろんなインフラの上できちっと持ち運びができる、そういう環境を作ることが重要であるという指摘は、多くの委員から出ておりまして、一応報告書の中でも少しそういう点には触れております。
 今後、その仕事の部分をどこが担って、どういう予算付けをしていくのかという話については、今後の検討課題になってくると思いますので、例えば、この委員会の方で、「富岳」の予算の範囲内でここまではやるべきだというようなお話が出るのであれば、それは是非今後、出していただければと思っております。


【中川委員】  ありがとうございます。データもですけれども、アプリケーションのポータビリティーに準じるような考え方についてはいかがでしょうか。


【安浦主査】  アプリケーションにつきましても、小柳先生の方からワーキングの方で御検討になっている実態を御説明いただきまして、そこの重要性ということについては本ワーキングの報告書にも書いております。そこをどう整えるかというのはいろいろ技術的には難しい問題あると思いますけど、小柳委員、何か付け加えられることはございますか。

【小柳委員】  ちょっと今の話とどれだけ重なるか分かりませんが、アプリケーションの場合の問題点は、技術的なことというよりも、むしろマネジメント的なことが大変重要です。ソフトウェアというのは生き物ですので、放っぽらかせば腐りますし、冷蔵庫に入れておいていいというものじゃないので、それを常に改良し、メンテし、あるいは新しい分野を開けていくということを行う必要がある。これが現在の、これまでの「京」の利用とか、あるいは一般の研究開発プログラムの体制と必ずしも合致しないということです。つまり、普及状態に持っていくのにかなりの時間がかかりますので、それをどういうふうにマネージし、サポートするか。これが大変重要な問題になるんじゃないかと思っております。


【安浦主査】  田浦委員、第2階層との関係性とかについては何か御発言ございますか。田浦委員もワーキングメンバーになっておられますが。


【田浦委員】  今の御質問に対してのコメントとして何が適切かよく分かりませんけど、基本的に私が聞いているのは、今回の「富岳」の方でも、コンテナとかそういうものをきちんとサポートして、AIとかそういうところでよく使われているものが当然使えるようにしていくというふうには聞いております。なので、第2階層との連携という意味においても、第2階層の方はもちろんコンテナなどの導入も徐々に進んできておりますので、そういうものを通じた移植性みたいな話というのは、当然実現されていくものというふうに思っております。


【安浦主査】  ありがとうございます。
喜連川委員、どうぞ。


【喜連川委員】  今、中川委員がおっしゃられたことは本当に非常に重要なことをおっしゃられていて、ここで言っている成果創出の成果が、利用者側の成果というのは当然出さなきゃいけない話なんですけれども、コンピューターサイエンスを生業とする我々自身にとって、どういう難しい問題を、解けなかったものを解けるようにしてきたんだということが、びしっといかないかもしれないんですが、そこそこ言えるような努力をすることが、ここの分野の人間にとっては、一定程度重要なんじゃないかなという気がするんですね。難しいものは難しいんですね。
メインフレームで、COBOLでメンテされているコードって腐るほどあるわけですよね。それはその企業では、非常に大きな努力をなされて、社会の中でマストとして生きていっているところがある。そういう中で、このスパコンのコードボディーというのは比較的ラッキーで、余り極度に昔のものを維持するという必要は多分ないとは思うんですけれども、少なくともジェネレーション・バイ・ジェネレーションでぱっと動くぐらいの話は、これはやっていかなきゃいけない。そういうところで、何が課題で、何が僕たちが得かというようなことが、この利活用成果創出のときに、多分利活用の一番キードライバーは、今、中川委員がおっしゃられたことそのものだと思うんですけれども、何かそういうことも御検討の対象に、終わっちゃったから今、何も言えないのかもしれないんですけれども、どこかでそういうのがあるとありがたいなと思います。以上です。


【安浦主査】  ありがとうございます。その辺は親委員会がこの委員会でございますので、ここでさらに付け加えるということはできると思いますので。


【喜連川委員】  両方とも先生が御主査ですので、簡単に調整可能かなと。ありがとうございます。


【安浦主査】  どうもありがとうございます。
 ほかに。土井先生。


【土井委員】  今、表示していただいているスライドの最後のところに書いていただいている、リアルタイム処理、クラウド的な利用などというのは非常に興味があって、先ほどちょっと資料2-2を見たのですが、リアルタイム処理は余りこれ以上の記述はなく、クラウド的な利用に関しても、何か余り具体的に分からない記述だったので、どういうイメージでここを書いていただいているのか教えていただけるとありがたいのですけれども。


【安浦主査】  まず、リアルタイム処理につきましては、ゲリラ豪雨等の予測は本当に実際の現場に役に立つ場合があり得るという話があります。そのときは、本当にほかのジョブを止めてでも使っていくという、そういう国家的な必然性が出た場合のことを、1つは想定しております。
 それから、クラウド的な利用に関しては今後の課題になってくるわけですけど、ユーザーが今までのようなやり方で使うのではなくて、クラウド的な場合、比較的軽い利用環境というのを作っていけないかということで、これは世の中がクラウド化している部分がございます。そういった問題を理研さんの方からも、新しい利用形態としてあり得るのではないかという御提案も頂いておりますので、そういうことを今後、検討していく必要があるだろうということで、ここに最後に付け加えているところでございます。中では結構熱い議論をさせていただきました。


【土井委員】  ありがとうございます。


【安浦主査】  よろしいでしょうか。小林委員、どうぞ。


【小林委員】  利用促進の方でお聞きしたいんですが、これは利用枠の議論がされているようですけれども、利用支援の在り方みたいものは議論されたのでしょうか。例えば、ユーザーの開発支援とかそういうところです。


【安浦主査】  それは今までRISTが担ってきたような役割という意味ですか。


【小林委員】  そうですね。現状の課題とか、それをどう解決するかとか、全体の中で支援していかないといけないと思いますけれども。


【安浦主査】  技術的な支援の部分は理研さんが中心になると思いますけど、例えば、申請して受け付けて、非常に急ぎの課題の場合には早く申請から利用するまでの期間を短縮するような使い方ができるとか、最初は小さく使って、うまくいったら大きく使うというような、そういう使い方を若い人がやりやすいような環境を作っていくとか、そういったことを考えていくということを一応中では議論して、ワーキングの報告書ですから、こうやりなさいという言葉では書けませんものですから、こういうことを考える必要があるという、そういう表現で書いております。
 大石委員、どうぞ。


【大石委員】  大変よく書けていると思いました。特に第1章の計算科学技術の動向の3ポイント目は本質的で、シミュレーションというか、計算科学のコンピューターを使っての計算というのは限度があり、人間の知識がないとできることは限られていますが、実験、それからデータでもいいのですけど、何かハイポセシスを置いて、その上でそれを検証することによって計算機でできることが拡大します。したがって、コンピューターの能力を上げるために一番大事なのは人間の知恵をどれだけ取り込んでいくかということになります。今はやっているAIは、データフィッティングの手法がメインで限程的なので、これをどう発展させていくかが次世代のスーパーコンピュータの開発で重要になります。このような点についても、今回の報告書書でも議論が十分されていると思います。この点は、文科省の方と事前に少し議論させていただいたこともありよくわかります。すなわち、非常に重要なポイントが書かれていて、立派な報告書になっていると思うので、この報告書の中に書かれたものを生かして、次の世代の議論を是非活発にさせていただければと思います。


【安浦主査】  ありがとうございます。そのあたり、特に上田先生はじめ、辻井先生とかAI・データ科学系の先生方にもワーキングに入っていただいて、御議論いただいたということでございまして、そういう背景で、ワーキングの方ではかなり詳しい議論をさせていただいております。
 梅谷委員、どうぞ。


【梅谷委員】  先ほどから言われている成果創出ということで考えると、最後のページの成果非公開というのがさらっと。すごく本質的なことだと思っていて、こういう国のプロジェクト、国のスパコンを使って、成果非公開というのを許していいのかみたいなところというのは、やはり十分議論を尽くす必要があるんじゃないかと考えています。


【安浦主査】  この件につきましては、ワーキングの方でも梅谷委員の方から強く御指摘が出ておりまして、報告書の方でもかなりぼかした書き方をさせていただいていて、これはある意味、政府の政策、あるいは法的な制約の問題等とも絡んでくる可能性がございますので、今後、多分この委員会、あるいはさらに上位の委員会等で御議論していただく必要が出てくるのではないかと思っております。



 議題3 ポスト「京」の成果創出について


資料3について事務局より説明
質疑応答は以下の通り


【小柳委員】  2の事業概要のところの2ポツなんですけれども、ここが課題選定の大方針みたいなものが書かれているかと思うんです。ちょっと気になるのは、アプリケーションの最終的な利用者の例示が、「産業界と行政組織等」とありますけれども、産業界と行政組織だけが挙げられているのは、何か不自然な感じがします。その上のポツには、科学的及び社会的に重要な分野と書いて、社会的に重要な分野というのはこの2つの関係が非常に深いと思いますが、科学的に重要な分野についての対応というのが、何か抜けていると思います。あるいは、広い意味で入っているのかもしれませんが、そこのところがアンバランスのような気がするんですが、どういうことでございましょう。


【根津参事官補佐】  大変失礼いたしました。科学という意味での連携体制というのも当然入ってくると思っていまして、例えば、今の重点課題の基礎科学分野ということで走っておりますけれども、最近ブラックホールの撮影に成功したという話がありましたが、あれにも実はアプリケーションのチームが、「京」を使った計算結果ではないんですけれども、プログラムの理論化の貢献ということで参加されていると伺っています。
 このように、当然基礎科学で非常に大きいデータをスパコンで利用しようとすると、データをとってくる、要するに実験チームとの非常に密接な連携、あるいはシミュレーション側から、むしろシミュレーションの結果を提示して、観測の計画について提案をしていくというふうな、非常に循環型の連携が必要であるというふうなお話も伺っておりますので、当然そういう基礎科学分野では、最終的な利用者というか、そういう観測チームとの連携というのも非常に重要になってくると思います。そういった点も、今後検討する上で、きちんと明確にしていきたいと思っております。


【安浦主査】  気持ちとしては、学術界のみならずという言葉が抜けていると、そういう意図ですよね。
 ほかに何か御意見。藤井委員、どうぞ。


【藤井委員】  安浦主査も先ほど言われましたし、今のことも関係するんですが、根津さんは1のところについて、基礎科学みたいな話をされましたが、ものづくりであっても何であっても、どこにも基礎科学は全部入ってくるんだと思うんですね。だから、そこは皆さんの了解事項だと思っているんですが、いかがでしょう。


【安浦主査】  そうなんですね。ありとあらゆるものが学術分野でございますので、やはり産業界、行政組織だけ目立たせると、いわゆる学術基盤としてのHPCIだという、そこの基本が壊れてしまいますので、ワーキングの報告書の基礎の部分も壊われてしまいます。先ほどの伊藤先生の御発言、まさに一番重要な御発言だと思いますが、そこの部分が食われてしまいますので、是非表現、根津さんの周りでは言わずもがなのことかもしれませんけれども、やはり公的資料に書いていくときには必ず入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 大石委員、どうぞ。


【大石委員】  図がひとり歩きしないように、お聞きしたいのですが、1、2、3は分かりやすい言葉で書いてありますが、4番目の研究支援基盤領域というところが、よく分からないと思いました。


【根津参事官補佐】  イメージとしましては、そこにも書いておりますとおり、横串というか、計算科学と計算機科学共通の課題ということに取り組むというイメージで作っておりました。支援という言葉を使いましたのは、このプログラム全体で見たときに、ある意味縦分野の取組をサポートするみたいな、この横串の取組によって、縦分野の取組もブーストされるようなイメージでちょっと作っておりましたので、支援という言葉を使ってしまったんですけれども、実際の取組のイメージと違和感があるということであれば、違う表現を考えてみたいと思います。


【大石委員】  支援という言葉がなければ、例えば、図の上は分野に分けたので、それを複合する研究や基盤研究という風に理解できると思います。将来の日本のハイパフォーマンス・コンピューティングの在り方を研究するような分野もあっていいと思います。支援というと何か少し狭いので、例えば単純に支援を抜いていただければ、いろいろ活用しやすいような気がします。


【安浦主査】  ありがとうございます。非常に重要なポイントで、受け取る側が、やはり、例えば若い研究者が支援という言葉がついているその瞬間に、何か支える側で業務支援的な役割を果たす、そういうものかというふうに感じてしまうと、計算科学とか計算機科学の先端分野の研究者が入ってきにくいということもあり得ますので、是非この言葉は検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。喜連川委員、どうぞ。


【喜連川委員】  ここの場は、ある意味でいわゆる有識者がいっぱい出ておられる会議なので、もうちょっと資料としては、いろいろなリッチな情報をたくさん入れていただけるとありがたいと思うんです。この虹色の丸の領域に文句がありますかと言われても、ほとんど当たり前みたいな情報でしかないので、情報量としては、例えば個別課題というところを、2ページ目でも3ページ目でもいいんですけれども、もうちょっと羅列をしていただくとか、その中でここは抜けているんじゃないですかというような話が普通、妥当な議論じゃないかと思います。
 それから、スパコンのマーケットというのは、情報産業の中で極めて小さい、1兆ぐらいしかないんですね。したがって、現状がどういうマーケットにどれだけのコンピューティングリソースを費やしているのかというようなことは、それなりに「京」をお作りになっているわけですし、ポスト「京」も作ろうとしているわけですから、大体そのマップは分かるわけですね。そうすると、現状はこうで、これからこういう方向感が、だからこの図を作りましょうというのであれば咀嚼可能なんですけれども、この程度のアブストラクションで議論するというのは、余りにも情報量が不十分といいますか、この委員会で議論するにはやや寂しいなというのが印象でございます。


【安浦主査】  ありがとうございます。本件については、次回にしっかり議論していただきたいということで、今日はちょっと頭出しのところがございます。ただ、一方で予算の成立に関してのいろいろな時間的制約があって、ここでまさに今、先生がおっしゃったような御意見をどんどん頂いておいて、どこを詰めて議論すればよいかということを今日ははっきりさせたいということで、ちょっと荒っぽい資料で出させていただいたというのが正直なところでございます。


【喜連川委員】  そういう意味でいうと、人文社会をやるということに対して、この場でアゲインストが出ることはほぼないと思うんですけれども、我々、NIIで情報サービスをしていくときに、人文社会系のデータとか、本当に普通の感覚からするとネグリジブルスモールなんですね。やっぱりポスト「京」を作るというときに、でっかいプログラムを、でっかい計算をやっぱりやりたいわけですけれども、この四角の大きさが微妙に右端だけ大きいとか、こういう言い方をすると、四角の大きさは何々とは一切イレレバントですとおっしゃられるんじゃないかというふうに思うんですけれども、対等な量ぐらいの感覚には全然ならないんじゃないかなと思いますけどね。要するに、エッジのないコンピテーショナルソシオロジーをやるのは全然構わないんですけれども、こんなポスト「京」ほどのものでやるのかなというのがありますが、今回はこれで全然結構でございます。


【安浦主査】  上田委員、何かその辺で御意見ございますでしょうか。


【上田委員】  喜連川委員がおっしゃるように、ちょっと何を焦点とするかというところがもう少し分かればいいと思うんですけれども、言葉の用語はあると思うんですけれども。例えば、健康長寿とかいっても、研究者から見たときには、やはり医療とか医学だとか、そういう言い方の方がスパコンの促進、活用という観点で適切ではないかと。研究者の活用という意味では、ちょっとヘルスみたいな感じで、ちょっとイメージが違うような印象です。ただ、ワーキングの資料を拝見いたしますと、医療、医学の内容も書かれているので。ですので、さっきの言葉のことかもしれませんけれども、もっと詳しく書いておいてもいいような気がしますけれども。健康長寿とまとめるのではなくてとか。余り大した意見ではございませんけれども。


【安浦主査】  ありがとうございます。大石委員、どうぞ。


【大石委員】  図では研究統括が多く置かれていて、全体は誰が見て分野間の調整どうするのかが少し気になりました。総括制に移してそれぞれの分野ごとに予算額がこのぐらいでということになると、分野ごとに独立性が出すぎる懸念が感じられます。したがって、 統括を何人ぐらい置くか慎重に検討すると良いと思います。


【安浦主査】  どうもありがとうございます。実際に予算要求の事前評価書類を書いちゃうと、ほとんどそれで走ってしまいますので、非常に重要なポイントになります。ここはできれば今日頂いた御意見等で、また事務局の方と私とちょっと相談させていただいて、次回よりもずっと手前のところで、もう一度皆さんに案を提示させていただいて、さらなる御意見を頂き、次回に最終的な突っ込んだ議論ができるような準備をしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 確かに健康長寿の、先ほど上田委員が言われた、ここでも医学のMRIとかCTから大量のデータが出てくる。そこの話と、いわゆるカルテに載っかっている診療データ、問診とかの診療データって、先ほど喜連川委員がおっしゃった一般からすると桁違いに小さい。ネグリジブルスモールの世界とめちゃくちゃ大量のデータの世界の違いが、1つの分野ですらあるわけで。そういった問題をどういうふうに考えていくかというのはすごく重要で、そこが分かった上で、総括がきちんとマネージしていかないと、何か変な利用になってくるのではないかという気もいたします。
 一方で、これまで重点分野で9個、具体的なプロジェクトが走っておりますけれども、そちらの方は既に大量のポスト「京」でなければできないようなことを前提とした研究をしていただいておりますので、そういったところとのリンクをうまく張りながら、しかし、新しい領域の参入も妨げないという視点で、この辺、もう少し詳細化させていただきたいと思います。メール等でまた委員の皆様方の御意見を伺いたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。


【藤井委員】  ワーキンググループでの議論が1つ前の2の資料にあったと思うんですが、1課題3,000万から1億程度ということがあったと思いますが、ここに書いてある色のついているところは、ここの単位で募集するというのは今の重点課題のイメージですよね。各分野ごとに同じバランスでみんなやると。それに対して今回の話は、むしろここの下の個別課題レベルで募集して、それが例えばたくさん出る、色でいう領域もあるかもしれないし、あんまり数がない領域もあるかもしれない、規模の大きいのもあるかもしれないし、小さいものもあるかもしれない。決して色のそれぞれをバランスとるということをやらないで、もう一つ下のレベルで募集して、集めてきて総括がそこをまとめると、そういうイメージだったと思うんですが。


【安浦主査】  それはその認識でよろしいんですよね。


【藤井委員】  そこの誤解がないように、まずしていただいて。


【安浦主査】  ちょっとこの絵が全部バランシングして同じ大きさになっていますけれども、実際は強弱つけますし、既に走っている重点9課題との関係も考えながら作っていく必要があると考えております。
 小林委員、どうぞ。


【小林委員】  そこにある、色分けされているのは、ある意味これまでの重点課題の5分野ですか、そこにも出てきたものだと思っておりましたし、それに人文とサービスとCS的なところが加わったというふうに理解していたんですが。今の藤井先生のお話ですと、例えば、それぞれの領域に対する応募に対して全体の枠組みが決まるという感じになるんですか。どのぐらいの重みがあるのかというのが、少し気になっていたんですが。


【藤井委員】  ワーキンググループで議論したところではありませんが、何らか色のついたところで枠組みを作って、これをどういうふうに応募するかという形でいくんだと思います。


【小林委員】  科研費のように、応募に比例して配分が決まるような仕組みでしょうか。


【藤井委員】  そうですね。重要なところは多くなるかもしれない。余りに極端になってしまってもいけないので、そこは多分、若干の調整はあると思います。ただ、今のように上のレベルで大きな括りで募集すると、同じようなグループが同じような使い方をずっとしてきてしまうので、新しい人がなかなか入れないと。そういうこともあって、今のような考え方を出してみたと、そういうことだと理解しています。


【小林委員】  あともう一つ、サービス産業革新というのが少しよく分からなかったんですが、例えば、成果物であるアプリケーションをどう流通させるかとか、どう展開するかとか、そういったことが入ってくるのでしょうか。


【安浦主査】  ここは非常にいろいろ、どこにどう発展させるのがいいのかというのは、今後の具体的に本当に提案してこられるところとの兼ね合いもあると思うんですけれども、例えば科学技術に一番近いところでは、学術データのハンドリングという、その問題自身は我々も即直面している問題なわけで、これも立派な社会サービスなわけですから、そういうことを真剣にやるという、そういう利用がもし出るんだったら、これも喜連川委員にはネグリジブルスモールだと言われるかもしれませんけれども、論文全部を放り込むとなると、またまた違う話が出てくるのかもしれないですね。


【小林委員】  データがたくさん作れるというのはそうなんですけれども、それをどうマネジメントするかとか、どういう流通させるかというのは非常に大変な作業になっておりますので、それをシステマティックに解決できるプラットフォームを構築するような取り組みがでてくることを期待したいですね。


【安浦主査】  大学の方でも、先生方も御苦労されていると思いますけれども、論文だけではなくて、その後ろにあるデータ全部残しておけと言われて、喜連川委員のところでその基盤を作るという話をしていただいていております。そうすると、一個の論文に大量のデータが後ろにぶら下がっているという、そういう環境はあるわけですね。それをどうハンドリングするかというのが、ある意味国家的な課題でもあるわけです。1つの例として、例えばそういうことも想定の中には入れていいのではないかということです。


【小林委員】  そうですか、分かりました。では大いに期待しています。


【安浦主査】  喜連川委員、ちょっと余計なことを言ったかもしれないけど。


【喜連川委員】  今、安浦主査がおっしゃられているのが、いわゆるオープンサイエンスの非常に大きな潮流でございまして、2020年にシステムカットオーバーで動くわけですけれども。正直言ってこの話って、多分足が長い話なんですね。したがって、ポスト「京」にフューエルするほどのデータがたまってくるまでには、多分相当の時間がかかりまして。だから、どのタイムスケールでこれを議論しているのかとか、ちょっと情報が、我々それなりの先生が集まってますので、材料さえあれば咀嚼可能なんですけれども、何か誤解を解くために議論をしているのは時間がちょっともったいないような気がするので、もう少し具体的な素材を、最初の1枚としてこれをおまとめいただけているのはすごくいいと思うんですけれども、2枚目、3枚目にもうちょっとディテールがあると、実のある議論ができるんじゃないかと思います。


【安浦主査】  土井委員、どうぞ。


【土井委員】  2点確認させていただきたいんですけれども、ポスト「京」で今走っている重点課題は、この後も走るんですか。それはもう、ここにまとまる。そうすると、全てがここの中に、もう一度再募集をするということなんですか。


【安浦主査】  はい。再評価をして、残るものもあれば、融合して1つの課題にまとまるようなものもあるかもしれませんし、脱落するものも否定はしていないと。


【土井委員】  分かりました。あともう1点なんですけれども、先ほどおまとめいただいたワーキンググループの報告書の中にあった、事業推進に当たり留意すべき点ということの中に、データの整備の話であるとか、質問させていただいたクラウド的な利用という話があったんですが、それは一番下の茶色いよく見えないところがやるということなんですか。だとしたら、それがきちんと言葉として、先ほど大石委員も言われましたけれども、あると、まとめていただいた立派な報告書が役に立つと思うんですけれども。


【安浦主査】  分かりました。今おっしゃったとおり、計算機科学に関する部分というのは、基本的に一番下のところに、この絵では入れていることになっております。


【土井委員】  そういう意味では、茶色の部分をもっと見やすくしていただいて、もっと上に横串として分かるようにやっていただくというのが、図としては正しいんじゃないかと思うのですが。


【安浦主査】  はい、分かりました。



議題4 「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律施行規則」及び「特定高速電子計算機施設の共用促進に関する基本的な方針」の改正について


資料4-1から資料4-3について事務局より説明

質疑応答は以下の通り


【藤井委員】  言葉の問題ですが、3のところの印がついた1、2、3、4、5つ書いてありますが、最初のところは状況の変化を反映とかそういうことですよね。これだけちょっと奇妙なので。


【根津参事官補佐】  申し訳ございません。今の基本方針が平成23年に作られたものですので、目的とか背景みたいなものを書いた箇所がございまして、そういったところにデータ科学が最近進んでいますねとか、そういう状況の変化をある意味客観的な事実として書き込んでいるということを、このポツで表現してございます。


【藤井委員】  分かりました。



議題5 ポスト「京」の開発状況について


資料5-1について岡谷副理事より、資料5-2について松岡センター長より説明
資料5-3について坂下室長より説明
質疑応答は以下の通り


【大石委員】  大変分かりやすい説明だったのですが、主査が前の委員会のときに言われていたと思いますが、日本における最高性能のコンピューターを提供するというときの基盤性が非常に重要となると思います。最先端の科学を推進する、最先端の医療を推進する、あるいは社会の安全性を増進するためのコンピューター資源として、「富岳」が提供されるということを端的なキーワードを使って説明することが重要だと思います。


【安浦主査】  これは非常に重要な課題で、今後の予算等とも絡んできますので、是非この委員会の側から、委員の皆さん側から提案していただいても結構ですし、理研の方でもお考えいただければと思います。技術的に、科学的に虚偽のことは言えませんけれども、やはり国民から見て納得感のある見え方というのは非常に重要だと思いますので、そこのところをいろんな企業を集めて、工夫したアピールの仕方を今後も議論したいと思います。


【大石委員】  次の世代のスパコンはどうあるべきかを、今から議論しなければならないと思います。クラウド的な利用技術などを使って、スパコンを利用したいというような要望も出てくると思います。


【安浦主査】  ありがとうございます。この委員会の下に、将来のHPCIの在り方に関する検討ワーキングというのがございまして、小林委員が主査でやっておられると思いますけれども、そちらではそういう議論、名前、アピールの仕方の話とかも議論されているんでしょうか。


【小林委員】  先ほど紹介ありましたけれども、若い先生方を中心に、2025年、2035年といったターゲットで在り方を議論させていただいておりますが、今頂いたこともさらに盛り込んで取りまとめていきたいと思いますので、次回簡単な報告ができればと思っております。



議題6 委員会の今後の進め方について


資料1の3ページについて事務局より説明
質疑応答は以下の通り


【大石委員】  今までの成果は、「京」のアーキテクチャに基づいて出てきているわけで、これはコンピューターサイエンス的に言えばチューニングによるところが大きいと思います。同じ機械でも、専門家がうまくチューニングすると1,000倍ぐらいの能力差が出ます。一方で、広く使われるためには、チューニング部分を気にしなくてもユーザーが使えるようにする汎用化が必要になります。高性能であるけれど使いやすいコンピューターを作り上げていくところなので、実現するかが重要と思います。


【安浦主査】  ありがとうございます。今回の「富岳」に関しては、コ・デザインという考え方を入れてきているわけですけど、その成果がどれぐらい本当に出てくるかというのは、これからの部分もありますけれども、その辺のことも含めて、次の将来の我が国の情報インフラをどういうふうに構築するかということは、本委員会としても方向性をかなり強く打ち出していく必要があると思っておりますので、そこは今後の議論の重要テーマにさせていただきたいと思います。いろんな切り口が出てくると思いますから、そこは是非切り口整理のところで先生方の御意見等を頂ければと思っております。よろしくお願いします。
 そのほか、何かございますでしょうか。田浦委員、どうぞ。


【田浦委員】  やっぱり大事というか希望としては、情報提供ですよね。今、例えばAIとかそういうのにどう対応していくかとか、コンテナが使えますとか、そういうレベルの情報はこういうところまで出てきてはいると思うんですけれども、やっぱり実際使われる、使われないというところで、結構ディテールが重要になってくると思うんです。それをここに持ってきて、ああだこうだ議論するということではないと思うんですね。だから、潜在的に使いたいと思っている人とか、これまで「京」というところに余り、フラッグシップのところには余り関わってこなかったけれども、今回は期待するというような、そういう人たちに少し細かめのというか、地上に近いところでの情報提供をどうやってやっていくかというところを、是非理研さんにも考えてやっていただきたいという。
 あと、それをやるに当たって、資料3に茶色で見えなくなっていた研究支援基盤という話がありましたけど、ああいうところでやっぱり情報基盤センターとか各大学で基盤をやっている人が、どう入っていけるのか。やっぱり「京」のときもそうだったと思うんですけれども、調整枠という感じで、少し基盤開発みたいなことに使えるという話にはなっているようですが、でもやっぱり動き出したものに対しての基盤ソフトとかシステムソフトウェアの開発ってなかなかできないだろうなという頭もあって、入ってなかなかいかれないんだろうなというような、そんな感じを多分システムをやっている人というのは持っていると思うんですね。だから、それに対してもし違うならこう違うんですというような、どう「京」、「富岳」を使って、CSですね、システムソフトウェアとかやっている人が入っていけるのかというあたりをよくコミュニケーションしていただければうれしいなと思っていて、このレイヤーというよりも、もう一つグラウンドに近いところのコミュニケーションを図っていくというようなところをお考えいただければなと思っております。


【安浦主査】  ありがとうございます。その辺もこの委員会のテーマとして、一度ちゃんと取り上げて、必要であればワーキング等を作ってもいいですし、人材育成という視点も含めて考えないと、ちゃんと職種としてそれが成り立たないと優秀な人が集まりませんので、そういうことも含めた、本当に「富岳」の裾野を支えつつ、高みをさらに高める、そういう方向にどういうふうに持っていくかという、そういうことが必要になってくると思いますので、今の田浦先生の御意見は、是非今後の議論の中に入れさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
どういうふうに今後考えたらいいかという問題も、次回には議論させていただきたいと思います。


安浦主査より閉会

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研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

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