HPCI計画推進委員会(第38回) 議事要旨

1.日時

平成31年2月15日(金曜日)10時00分~11時36分

2.場所

霞が関ナレッジスクエア

3.出席者

委員

伊藤宏幸委員,梅谷委員,大石委員,小柳委員,喜連川委員,小林委員,土井委員,中川委員,中村委員,西尾主査,藤井主査代理,安浦委員

文部科学省

原参事官,坂下室長,根津参事官補佐

オブザーバー

(理化学研究所)岡谷副理事,松岡センター長,石川プロジェクトリーダー

4.議事要旨

・会議開始にあたり,議題1の一部については議事運営第4条一により非公開とすることが確認された。


議題1 ポスト「京」の開発等について
・資料1について事務局及びポスト「京」の利活用促進・成果創出加速に関するワーキンググループ主査である安浦委員より説明。


議題2 平成31年度重点化促進枠の利用について
・資料2について事務局より説明,重点化促進枠の利用について了承された。


議題3 今後のHPCI計画の進め方について
・資料3について事務局より説明。
・主な発言は以下の通り:


【西尾主査】  御説明どうもありがとうございました。今御説明がありましたように,資料3にも書かれていますが,今期,この委員会でどのようなことを議論してきたのかということを総括していただきました。また,この委員会につきましては,様々なワーキンググループが設置されており,そこでも本当に多くの方々に,我が国のHPCIに関して,どのように振興していくのかを御議論をいただいてきたところです。
 きょうは第4期の委員会の最後ですので,次の期において議論すべきことにつきまして御意見を賜りたく考えております。私としては,各委員,是非一言は言っていただけるとありがたいと思っています。


【伊藤(宏)委員】  ポスト「京」の利活用促進・成果創出加速に関するワーキンググループの方でも申し上げたんですけれども,AIとかデータサイエンスのとき,特にリアルタイム性をうまく扱うとより効果的だということが言われていまして,周辺となるかもしれませんが,その部分の充実を図っていただきたいなと思います。さもないと,一旦データを集約して,そこで計算して,またバッチ的に処理するというようなことになってしまうと,多分効果が半減するのではないかなとちょっと懸念しております。
 以上です。


【西尾主査】  梅谷委員,よろしくお願いします。


【梅谷委員】  梅谷です。そういう意味では,心臓の部分ですね,いわゆる計算のところというのは,常に皆さん関心持たれて,整備されていくんですけれども,周辺の部分のところの強化というのをもう少し民間活用も含めて考えていただいてもいいんじゃないかと思います。民間もそれなりにノウハウを持っておりますので,そういうところも御考慮していただくといいんじゃないかと思っています。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。藤井先生,どうぞ。


【藤井主査代理】  2つ申し上げます。1つは,使い勝手の問題で,やはり新しい人たちが入りやすいような,敷居を下げることとか,それから,固定化しないようなユーザーというのを考えたい。それが1つですね。
 それからもう1点は,ここの資料にもあります計算科学とデータ科学の融合ですが,単に融合と言ってもいろんなやり方があって,例えば計算科学主導で,その中にデータ科学の人たちが入り込んでいただくやり方もありますし,一方で,データ科学の方を中心にやっていくやり方もあって,どちらもそれぞれメリットがあって,どういう進め方が一番効果的なのかということをどこかで議論していただければなと思っております。


【西尾主査】  大石先生,どうぞ。


【大石委員】  私,専門が信頼性なので,まずは,その観点から指摘させていただきます。日本では数値計算の精度をきちんと出すという技術が近年ものすごく発展しており,世界的に見ると,この分野で日本が研究の一つのピークになっています。現在,世界で使われているいろいろな数値計算ライブラリは,精度が出ているかどうかについては,保証できておらず,場合によって精度が出ないことも多々あるのですが,これを日本の技術で数値計算結果のほとんど最後の桁まで間違いなく計算できるようにできます。この技術は近年ものすごく進歩したもので,スパコンのライブラリの信頼性を圧倒的に高める分野とそれに基づく高信頼性に基づく数値実験科学に日本の入り得る余地は非常に大きいと思っております。
 したがって,日本のスパコンがどこで特徴を出すかなんですが,日本としては,従来からあるような品質の高いスーパーコンピューターに以上のような高信頼性数値計算ライブラリを付加して,超高信頼スパコンを作っていくというのが,世界をリードする1つの方向性になると思っております。
 それも含めて,数値計算ライブラリを含めた高信頼スパコン技術の標準化等デファクトスタンダードや,スタンダードに大きく寄与していくという方向性が重要と思います。商用も含め世界のスパコンに大きな影響を与えるのは,高信頼化等を含めた各種のスタンダード作成が重要であるという観点が大切と思います。以上2点申し上げました。


【西尾主査】  貴重な御意見ありがとうございました。小柳先生,お願いします。


【小柳委員】  いろいろな観点がありますけれども,私としては,「京」を作るかなり前からいろいろこういうことに関係してきたので,「京」を開発するに当たって,いろいろ毀誉褒貶があったことを思い出します。私としては,「京」という,初めての国家基幹技術としてのスーパーコンピューター開発をやったことが,本当に日本の社会にとってどういう意味があるかという,そういう総合的な評価をある時点でする必要があるんじゃないかと思っております。第4期の評価とか,そういうのは各期あるんでしょうけれども,「京」そのものの役割と評価,これをやることが大変重要です。これが国民からの期待に応えるものになったかが,非常に重要なポイントじゃないかと思います。1番だ,2番だという議論はいろいろありましたけれども,それも含めて,あるいは諸外国との比較等を含めて,位置付けをはっきりすることがポスト「京」の重要な利活用につながるんじゃないかと思っております。


【西尾主査】  貴重な御意見ありがとうございました。喜連川先生,お願いいたします。


【喜連川委員】   1つは,この委員会の最初の頃にいろいろ申し上げていたのは,いわゆる機械学習の応用が非常にドミナントになる中で,旧来のスパコンのままでいいのかしらというのを何度も議論する中で,とりわけ松岡先生が新たにセンター長になられて,一定程度そういうものを入れることができたのは,非常に重い国家のプロジェクトの中では,とてもいい,エラスティシティがとれたのは良かったんじゃないか。それが僕らの委員会から出ているのか,ほかからの影響かとか,その辺を言い出すと切りないんでしょうけれども,一定程度委員としては喜ばしいなと思っています。
 ただ,先ほど梅谷委員もおっしゃられて,これは私が感じていることと同じかどうか分からないんですけれども,周辺というのはすごく重要だと感じていまして,というのは,ここの委員会に出てくると,ハードウェアのスペックしか出てこないんですね。 ただ,我々がもっといじれるところというのはほかにたくさんあって,例えばソフトウェアの話って,1回も,出たのか分からない,少なくともプラットフォームのソフトウェアをどうするかとか,トランスポータビリティを次のソフトウェアシステムの中でどうやって実現するかというのは,何度も言ったつもりなんですけれども,御報告の中では,私は余りお伺いした記憶がなくて,それがちょっと残念だなという気がして,これは,ハードウェアもかなりお金の投資で決まるような時代,ちょっと松岡先生は反対されるかもしれないんですけれども,やっぱりあの中国の膨大な投資感があったときに,パワーシフトはやっぱりソフト側に日本としては引っ張っていくというのは結構重要な視点だと僕は思うんですね。その議論が若干希薄だったんじゃないのかなというのを心配していまして,特に石川先生もピカイチのソフトウェア屋さんなので,松岡先生がピカイチのソフトウェア屋さんじゃないと言っているわけじゃないんですが,それは何か議論したいなと思いました。
 アウトカムについては,今小柳先生がおっしゃられたとおりだと思います。
 最後,NIIとして少し申し上げますと,でっかい「京」という箱があったときに,それが外とのインタラクションというふうに見ると,ネットワーク負荷というものをどう作り出して,それが次の「京」なりスパコンという環境を日本の中で使いやすくして,みんなが闊達に使えるためには,どういうネットワークだったら十分なんだろうという,そういう周辺のディスカッションもほぼ皆無だったと思います。
 私どもが,きょうは東大は誰が来られているのか,中村先生が来られているんだと思いますけれども,SINETは東大の柏ラインのところでどうも律速しているように見えるんですね,ネットワーク的には。だから,今,フル100ギガというののところは,柏ラインでたしか律速されているんじゃないかと思います。先ほど梅谷委員がおっしゃられた周辺と合っているかどうか分からないんですけれども,そういう周りも含めた,アプリといっても,アプリが出てくる場所っていろんなところから来るわけですよね。是非そういうものも何らかの形で御検討の中に入れていただけるとありがたいなというのが,すいません,一言じゃなかったんですけど,三言でしたが,失礼いたします。


【西尾主査】  今後,議論すべきことにつきまして,本当に貴重な観点を御指摘いただきまして,どうもありがとうございました。次の期のこの委員会において,今おっしゃっていただきましたことを待ったなしの状況で反映していきたいと思います。どうもありがとうございました。小林委員,どうぞ。


【小林委員】  私も,ここにあります将来のHPCIの在り方に関する検討ということで,主査をさせていただいて,そこでは若手の先生ですね,助教の先生とか准教授の若い先生に,10年後自分たちがどういうHPCIを期待しているのかというようなことを広く議論していただいておりました。
 やはり先ほどから出ておりますように,AI,データ科学的なアプローチがHPCの在り方を変えつつあるというような意見がたくさん出ていて,そこをどうHPCIの中に取り入れていくか,インフラとしてどう整備していくかとか,あるいは,計算の共有だけではなく,データの共有を強く意識してHPCを考えていかなきゃいけないとか,あとは,人材育成,若い人ですから,自分のキャリアパスが非常に気になるところかもしれませんけれども,そういう視点で,自分ならこうしてほしいとか,人材も含めてどういうエコシステムが作れるのかということを広く議論しておりました。ありがとうございます。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。人材育成の観点も本当に大事なことだと思います。ありがとうございました。土井委員,どうぞ。


【土井委員】  いろいろ検討に加わらせていただいてありがとうございました。今後のことを考えると,コネクティビティが大事かなと思うんですけど,1つは,先ほど伊藤委員が言われた,リアルタイムでいろいろなデータをゲットして,それをちゃんと計算していくということがSociety5.0という観点では重要だと思います。
 もう1点は,今喜連川委員も言われたお話ですけれども,ハードウェアだけではなく,ソフトウェア,そして周辺のHPCIネットワークということで,ネットワークになっているので,そういうところのコネクティビティをどうするのかということですね。
 あともう1点は,ここに書いていただいていますけれども,データ科学ということで,いろいろなところにデータがありますが,それをどううまく使いやすくしていくかということも非常に重要で,そういう意味では,是非次のところではコネクティビティという観点で検討していただくということがアプリの面からも非常に重要かなと思います。ありがとうございます。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。中川委員,お願いいたします。


【中川委員】  日立の中川です。私,余り貢献できなかったと思うんですが,良かったなと思う点を1点言わせていただきますと,昨年の夏にポスト「京」についての仕様がかなりオープンになったと。これは多分この委員会での議論の成果ではないかなと思います。企業研究者にとってみれば,分からないものは手の出しようがありませんので,そういうのがなるべく早く公開されていく,今後も工程含めて非常に重要かなと思っております。
 あと,私,日立の研究開発グループの計算リソースの今までやってきた解析,シミュレーション中心からデータを使った機械学習だとかのところに対してどういうふうに環境を変えていくかというところを検討しているんですが,実際例えば国内に2,000人ぐらい研究者がいたら,今まで500人ぐらいはシミュレーションを中心に使っていたんですが,機械学習というのはシミュレーションをやってこなかった研究者もどんどん使っています。ですので,最初は50人,100人単位だったと思うんですが,今や半数以上が使っているような状況です。確実に計算需要はそちらの方が伸びているというのが実情でございます。
 ハードウェアの構成にしましても,浮動小数点の例えば精度,シミュレーションだと64ビットだ,128ビットだみたいな話がありましたけれども,分析だとむしろ逆にビット数を減らして係数を増やすみたいな話。あるいは,I/Oは,出力が中心だったものが,リードを速くしないと機械学習というのはうまく回らない。ハードウェアの特性,かなり違います。
 また,もっと大きいのは,ソフトですね。今まで商用ソフトだとかデファクトのソフトが中心だったんですが,どんどん新しいオープンソフトウェアが出てきていて,機械学習の人たちはそれをどんどん試している。その更新の頻度が非常に速いです。こういったところから,ポスト「京」に関しては,オープンソフトウェアのポータビリティみたいなところも是非検討していただかないと,機械学習に慣れたユーザーが,ハードウェアが松岡先生の努力でかなり機械学習が,データ科学ができるような状況になっていると思うんですけれども,ソフトの使いやすさという方も是非充実させていただきたいなと思います。
 あとは,運用に関してですが,「京」に関しては年間いっぱいお金がかかっているというのが私もベンダーなので何でこんなにかかるのかなとちょっと思うわけです。理由は,アマゾンとかですと,いろんなダッシュボードとかが用意されていて自動でできるようなところもあるわけですね。「京」は,ヘテロジーニアスじゃなくて,ホモで,わりにきれいな構成ですので,そういったところで,是非そういったお金は利用者に還元していただけるとよいかなと思いますが,細かい金額の中身が分からないので,コメントは差し控えさせていただきます。
 以上です。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。メーカーサイドから非常に貴重な御意見をいただきまして,ありがとうございました。中村委員,どうぞ。


【中村委員】  私が申し上げたいのは,ここにも出ておりますけれども,29年度に出した提言というのを今もう1回見直しまして,提言の最後にある今後やるべき3つの事項に各委員の方が言われたことは全部包含されているかなと思います。
 私の立場で1点強調したいのは,提言の最後にある今後の検討事項の第3点の「京」,ポスト「京」及びそれを支える特徴ある複数のシステム,いわゆる第2階層を含めた全体を考えるべきだという話があります。例えば,先ほどでた,リアルタイム性が大事なんじゃないかという話は,29年の6月か4月に開催されたこの委員会において私が話した中でもちょっと言っておりまして,私,そのとき,東大基盤センターにおりましたけれども,センターという現場レベルではそういうことが大事だとすでに言っていたということです。
 それから,基盤センター群で作っている共共拠点(学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN))というのがあるので,その中でも,数値計算だけじゃなくて,ネットワークだとか,データだとか,テーマを増やすということで,増えてきているというところで,やっぱり基盤センター群はそれなりにユーザーに近いところにおりまして,ユーザーニーズを考えながら,何が必要なのかというのを考えて次のシステムを設計しているところもありますので,ユーザーニーズに感度の高い基盤センター群からの意見がHPCIの在り方の中に入っていくという,議論自体はWGの場でもいいかもしれませんけれども,そういう第2階層の意見がHPCIに入っていって,裾野を広げるということは非常に大事なのではないかな,そういう活動を是非今後も続けていっていただきたいと思っております。
 以上です。


【西尾主査】  中村先生が今おっしゃっていただきました御提案は重要だと思いますので,是非,事務局の方で御配慮いただければと思います。安浦委員,どうぞお願いいたします。


【安浦委員】  ほとんど言われてしまったんですけど,2つ大きな視点でお話しさせていただきます。1つは,計算というのがあらゆる科学分野の基盤になってしまったということを踏まえて,科学技術全体とのHPCIや情報科学全体の関係性を意識する必要があるんだろうと思います。それは科学技術政策や人材育成まで含めた問題として,やはり文部科学省がやるのですから,しっかり捉えていただきたいと思います。
 2つ目が産業との関係で,20年前とか10年ぐらい前までは,半導体とか計算機産業というのがまだ日本にあったわけですけれども,それが壊滅した状況であるというときに,産業応用という概念が本質的に変わっているということをもう少し表に出していいのではないかと思います。全ての産業における研究開発や生産,こういうものに関連している話であるということをもっと表に出して,そして,クラウドみたいなサービス業も含めて産業形態というものを一応想定して国民には説明する必要があるのではないかと思います。
 特に,リアルタイム性の話も出ましたけれども,社会基盤になっている部分がかなりでてきているので,これは長寿命化を考えないと,3年や5年でころころ変わっていたら,30年,50年で今までインフラを考えるという国土交通省的な発想の世界と全然合わない。それが国民の理解を妨げている1つの大きなファクターではないかと認識しております。一番まずかったなと思う点を言うと,1年半「京」を止めて,ポスト「京」に移行する点です。1年半止めるということは,これはインフラでないということを言ってしまったことになるんですよね。だから,これは今後,その次のことを考えるときに,非常に重要なポイントじゃないかと認識しております。


【西尾主査】  様々な示唆に富む御意見をいただきまして,どうもありがとうございました。先生が主査をお務めの「ポスト「京」の利活用促進・成果創出加速に関するワーキンググループ」の方で議論されたことも踏まえてのご意見だと思います。より強くアウトリーチ活動を展開することと,スーパーコンピュータの開発が国家基幹技術であるならば,これを支える体制も含めてサステナブルな状況を作らないと問題があり,先生がおっしゃったようなことが起こってしまうということを肝に銘じて,どのように今後改善していくかということを考えなければならないと思っています。どうもありがとうございました。
 石川先生,松岡先生,岡谷副理事,せっかくですので,一言何かございましたら。


【石川プロジェクトリーダー】  この2年間,我々のポスト「京」の開発,御支援いただき,本当にありがとうございました。改めて感謝申し上げます。いろんなことがあったんですけれども,どうにか製造にまでこぎ着けることができました。これはひとえに皆様のお力添えがあったからだと思っております。どうもありがとうございました。
 いろいろと頂いた意見は,今後,松岡センター長とともに改善していくように心がけたいと思いますので,よろしくお願いいたします。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。松岡先生。


【松岡センター長】  私からも。まだ新米のセンター長で,ようやく1年たったところであります。今の先生方の御指摘というのは,一言で申し上げれば,全く異論がないというところでございます。逆に言うと,そのような様々な御意見を実際に実行するために,私がこの職に,様々な方々の御支援を受けて,任命させていただいて,遂行しているという,そういう気持ちでございます。
 ソフトウェア,様々なリアルタイム性,データ科学,機械学習の加速,サステナビリティの確保,それから,例えば精度の確保なんかも,全て我々の新体制となりました計算科学センター及びその他の大学,企業等の御協力を得まして,まさに研究,それらを克服するような研究を開始しているところであります。
 ソフトウェア等のことに関しましては,これはマシンが上がったところで,既にいろいろ改善には動いているんですけれども,動けるところでございまして,何回か申し上げていますが,例えば機械学習においては,少なくとも性能的には最先端のGPU並みの性能が出ることが期待されると。それに向けた研究開発を促進することを開始しておりますし,例えば精度なんかに関しても,今後精度ライブラリなんていうのが,低精度の加速はできているので,今後それを高精度化することによって,高精度かつ高速なライブラリを作っていくということが1つの方向性として期待されております。
 全てに関しましては,ARMのエコシステムを採用したことが今回非常に大きくて,先来より出ております,例えばARM,クラウドに対するインフラストラクチャーへの様々な貢献や開発というのは,まさにそこのエコシステムを利用するからできることだと認識しております。我々が全てのソフトウェアを作れるわけではないので,先ほど中川先生も喜連川先生もおっしゃっていましたが,総じて言えば,大きなエコシステムを利用することによって,クラウド化,リアルタイム化,ビッグデータへの対応,それらを進めていくというのが我々の大きな戦略であります。
 かつ,最後に申し上げれば,それらを,ただ,そうはいっても,今後の我々の研究開発,ポスト「京」の高度化ですね,今「京」の高度化というのをやっていますが,ポスト「京」の高度化や,様々な競争的資金の獲得,更には行く行くは,まだポスト「京」が出ていないうちに次のことを言うと怒られるんですけれども,しかし,やはり期待としては,更に次世代のCo-designにつなげていって,そのときは,先ほど安浦先生の御指摘にあった,何でインフラを止めるんだという問題を解決したりとか,データサイエンスに対しても,より加速を図れるようなインフラにするとか,そのようなことを邁進していきたいと思っておりますので,今後ともよろしくお願いいたします。


【西尾主査】  力強いメッセージをありがとうございました。岡谷様。


【岡谷理研副理事】  私,14年前に「京」を国家基幹技術にするという話を文科省の中で検討しているときの担当室長をやっていたんですけれども,そのときと比べて随分時代が変わってきていると。当時は,国家基幹技術というときに,シミュレーションの議論ばっかりだったんですね。それで国を繁栄させるんだと,こういうロジック。特にその中で,一番のものを作ることが意味があるんだと,こういう議論が結構強かったです。
 時間が変わりまして,2020年近くなってきて,時代が変わって,産業の形態,あるいはユーザーの使い方などが変わってきている。したがって,国家基幹技術インフラとしてのHPC,ポスト「京」の在り方というものが「京」のときとは変わってきているんだということを的確に認識して,それに対応できるようなサービスの展開の仕方ということをポスト「京」の利活用のときには反映しなきゃならないと考えております。
 以上でございます。


【西尾主査】  歴史的なことを踏まえて,貴重なコメントどうもありがとうございました。
 皆様には,いろいろ貴重な御意見,コメント,御示唆等いただきまして,ありがとうございました。HPCIということで,スーパーコンピュータのことはもちろんですけれども,今後の日本の科学技術・学術の振興を考える上では,やはり計算力と同時にデータ科学の振興も非常に重要です。そして,それら両者を繋ぐ媒体となるものとして,ネットワーク環境がございます。実を言いますとSINETは2016年の頃には,ある意味でガラパゴス化しつつある状況でした。世界の科学技術先進国が100ギガ以上の環境のときに,東京・大阪間の主要回線ですら40ギガという時代でした。そこで,NII,特に所長の喜連川先生が本当に御尽力なさいまして,今,日本のSINET環境は世界のトップレベルに躍り出ています。国内はあまねく,また海外の主要回線についても100ギガを行っています。国内の主要回線については400ギガという状況になっています。しかも,SINETには900を超す大学機関や研究拠点が繋がっています。このような国は他にはないと思っています。
 今回のポスト「京」の開発で,計算力,計算科学につきましても,本当に世界をリードする環境ができます。そうなったならば,やはり,それら両方をタイトにカップリングして,いかに日本のHPCI環境を,より高度で,より使い易くする環境をどのように構築していくかということが大きな課題になります。そのためには,計算リソースにしても,異種のものをユーザーに意識させずに繋いでいくことも考えると,ソフトウェア,コード記述能力をどのように強化するかということが非常に重要なポイントになると思います。そのようなことを議論するには,次期の委員会が非常に大切なタイミングになると思います。そのようなことも議題に含めていただきながら,この委員会で議論していただくことにより,日本の科学技術・学術の振興の大動脈とも言えるHPCI環境の構築を鋭意進めていくことができればと思っています。
 皆様,貴重な御意見を多々いただきまして,誠にありがとうございました。


西尾主査より閉会発言



お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

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