「基礎科学力強化総合戦略」の検討範囲とその方向

当面の方策、平成22年度新規施策、中長期的課題について、必要に応じて「基礎科学力強化委員会(仮称)」の意見を聴取しつつ、「基礎科学力強化推進本部」において以下の方向により検討し、本年夏を目途に「基礎科学力強化総合戦略」を策定する。

 1.基礎科学力強化の捉え方

(1)基礎科学

  • 「基礎科学力強化総合戦略」の検討に当たっては、科学技術・学術のうち、新たな知識・知見の発見、発明等を目的とするものを「基礎科学」として捉える。
  • 政策課題対応型の基礎研究であっても創造的・独創的な研究成果を目指すものは基礎科学力強化に資するものであることから基礎科学に含める。なお、実用化等個別具体的な技術の確立を目指すものは含まない。

(2)基礎科学力

  • 「基礎科学力」とは、上記基礎科学に係る研究活動を進めるための総合力であり、具体的には、以下により構成される。
    (1)世界の科学技術・学術に貢献しうる高い水準の研究
    (2)基礎科学に関する研究開発の実施に必要な資金確保
    (3)基礎科学の担い手である研究者等の養成
    (4)研究者等が研究に専念でき、十分な力を発揮できる施設・設備等の研究環境や研究基盤の整備
    (5)小、中、高、大を通じた将来の担い手となる創造的人材の育成
  • また、科学技術・学術に対する国民の理解増進活動を基礎科学力強化の一環として捉える。

2.総合戦略の検討の方向

理念・目標

  • 基礎科学振興をはじめ科学技術創造立国の実現を国是として位置付けた上で、例えば、「新しい知の開拓」、「豊かな社会」、「人類の存続」等の視点に立ち、基礎科学力強化の総合的な理念・目標を検討。
  • 基礎科学振興のための投資の拡充、研究予算の執行の柔軟性の拡大等の目標を検討。また、関連税制の改正を検討。

研究者への支援:例示

  • 自由な発想研究、創造的研究等に対する研究費の拡充・充当方策等を検討。
  • 若手研究者、女性研究者、ポスドク、優秀な大学院生(博士課程)等が研究に専念できるよう生活面等の支援方策を検討。
  • 研究の独創性に配慮した課題の審査、評価方法等を検討。
  • 若手研究者等の資質向上のため、国際研鑽のための海外派遣、国内における国際シンポジウム等の開催を検討。

研究環境の整備:例示

  • 大学等における基盤的な研究を支える経費の確保を検討。
  • 基礎科学推進に必要な先端的大型研究施設の整備
     ・運用方策を検討。 
     ・大学共同利用機関等(ビックサイエンス等)
     ・研究開発独法の先端大型研究施設等(共用の促進方策等)
  • 世界的な知のネットワークの中で、世界トップクラスの研究者や若手研究者、学生等の我が国の国際的流動性の強化方策を検討。
  • 世界水準のCOE、グローバル化に向けた大学等の拠点整備の充実について検討。
  • 研究者が研究そのものに専念できるよう、研究資源・時間を最大限効率的に活用する研究体制(研究支援者、技術支援者の確保を含む)の改善を検討。
  • 研究環境の整備は、研究費の確保、人材の育成等と密接に関連することから、基礎科学力強化を軸とした分野横断的な政策パッケージを検討。

創造的人材の育成:例示

  • 初等中等教育段階から研究者育成に至るまで連続性を持った取組について総合的に検討。
  • 理数教育の推進について、理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長、理数好きな子どもの裾野拡大の観点から、関連施策の推進方策を検討。
  • 創造的人材を輩出する大学院教育について検討。
  • 科学技術の強化・先導を担う研究者、技術者のリーダー養成について検討。
  • ノーベル賞受賞者と子どもの対話フォーラム等のイベントについて、文部科学省主催のフォーラムを本年春休みに開催するとともに、本年度各実施主体が開催するイベント等ともタイアップし、全体として連携して実施する方向で検討。(「基礎科学力強化年」に留意)
  • 持続発展教育(ESD)の更なる推進を検討。また、持続可能性に関する諸課題に対する科学の果たすべき役割を議論し、サスティナビリティ・サイエンスの推進と世界科学会議等を通じた国際的な発信を検討。

【留意点】

中長期的課題については整理した上で、必要に応じて、科学技術・学術関係は科学技術・学術審議会等の審議に、大学等の基盤的研究の経費、大学院教育、理数教育関係については中央教育審議会等での審議につなげる。

 

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