次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第15回) 議事録

1.日時

平成21年8月7日(金曜日)10時00分~10時57分

2.場所

文科省16F特別会議室

3.出席者

委員

土居主査、伊東委員、宇川委員、小柳委員、小林委員、寺倉委員、平尾委員、米澤委員

文部科学省

倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、山脇振興企画課長、舟橋情報課長、井上計算科学技術推進室長、中井計算科学技術推進室課長補佐

4.議事録

【土居主査】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第15回になりますが、次世代スーパーコンピュータ戦略委員会を始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず事務局から、本日の配付資料につきましてご確認をお願いいたします。

【事務局】  まず、お手元の議事次第と照らし合わせて、資料のご確認をお願いいたします。
まず、資料、次世代スパコンを中核とした拠点のあり方と計算科学研究機構の役割について。次に、参考1になります、次世代スパコンを中核とした研究教育拠点形成の具現化に向けた基本的考え方。参考2、戦略分野の選定方法と戦略機関のあり方について。参考3-1、登録施設利用促機関が行う業務について。参考3-2、登録施設利用促進機関が行う体制について。参考4、戦略プログラム/戦略機関のイメージ。以上になります。また、前回までの資料につきましては、机の上のファイルにとじております。配付資料に欠落等がございましたら、事務局までお知らせください。

【土居主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。何かありましたら、またその都度おっしゃっていただくことにして、早速議題に入らせていただきたいと思います。議題1ですが、研究教育拠点の形成についてでございます。研究教育拠点は、次世代スパコンの中核となる施設でありまして、現在、理化学研究所において平尾先生をトップに計算科学研究機構の立ち上げを検討されておられるところでございます。本日は、その内容につきまして平尾先生からご説明をいただきまして、ご議論をいただければと思っております。では、平尾先生、よろしくお願いいたします。

【平尾委員】  平尾でございます。どうかよろしくお願いします。今日は次世代スパコンを中核とした拠点のあり方と計算科学研究機構の役割という形で少し説明させていただきます。
 実は、この6月に理研内で計算科学研究機構設立準備室というものが開設されました。それ以来、理研の外の方々にも準備室に加わっていただきまして、次世代スパコンを中核とした拠点のあり方、あるいは計算科学研究機構の役割についていろいろと検討を重ねてまいりました。本日、その検討結果について、まだ途中の段階ではございますけれども、基本的な考え方について報告させていただき、皆様からいろいろなご意見をいただければと思っております。
 ご存じのように、次世代のスパコンプロジェクトの目的は、大別しますと2つございます。1つは、世界最先端あるいは最高性能の次世代のスパコンを開発するということ。それから2つ目は、その次世代スパコンを使って科学技術を飛躍的に発展させること。あるいは、世界を先導するような研究成果を達成して、それを広範な科学技術分野あるいは産業に展開して我が国の競争力の強化に資すること。あるいは、さらに人類が今抱えていますいろいろな課題について、その解決に貢献するということが求められているわけでございます。そういう2つの大きな目的がございます。 この2つ目のスパコンの有効活用につきましては、これはもう明らかなように世界最高水準の人材が必要でございます。そうした人材が集う拠点、あるいはその人材を受け入れる器というものが必要でございまして、世界中からすぐれた人材を受け入れて、その人たちが活躍できる場というのでしょうか、活躍する舞台、それがこれからお話しします計算科学研究機構であります。私たちは、コミュニティーの支援をバックにして、世界に誇れる拠点といいましょうか、計算科学及び計算機科学の拠点をつくりたいと考えております。
 このスライドは、次世代スパコンを中核とした拠点全体の体制をあらわしたものでございます。実は神戸の拠点には大きく分けますと3つの機関がございます。1つは、戦略分野から出てくる戦略機関というもの。登録機関、それからこれからご説明いたします計算科学研究機構の3つの組織がございます。この3つの組織が全体としてこの拠点を形成して何をやるかということが、ここに拠点全体のあり方とございます。
 3つの機関が互いに連携、協働することによって、1つは世界最高水準の科学的成果を達成する、あるいはグランドチャレンジに挑戦するということがまずございます。同時に、地球温暖化など人類共通の課題解決とか、我が国の国際競争力の強化に努めるということ。あるいは、次世代スパコンを中核とした研究開発、産業利用、人材育成等の機能を形成するということ。それから、利用者にとって使いやすく、すぐれた成果の創出につながるような仕組みを三者で連携を図って、そういうものをつくり、構築するということ。あるいは、拠点が核となって、全国の産学の関係機関との連携をより強化して重層的な機能を形成するということでございます。
 それで、計算科学研究機構に求められておりますのは、その中の、ここに少し丸で書きました、矢印で書いてありますが、こういうところを担うようにということが言われております。1つは、もちろん運用をきちっとやること。高度利用化に資するようにいろいろ努力をするということ。それから、分野融合あるいは共通基盤に関して研究開発をきちっとやりなさいということが言われております。
 それは、実は昨年の7月に出されました次世代スーパーコンピュータ作業部会、この報告書の中にそのことがございます。理研は、ここに書きましたように、共用法を踏まえつつ、次世代スパコンの設置者としてスパコン利用を先導する役割・機能を担うということが言われています。ここに書きましたのは、作業部会の報告書の文をそのまま持ってきたものでございます。ここにございますように、戦略プログラムを創設することによって、「次世代スパコンには高い研究ポテンシャルを有する研究機関や研究者が集積するが、様々な分野を通じてレベルの高い研究を行っていくには、計算科学技術の幅広い分野を支える共通基盤的な研究開発についても、研究ポテンシャルを蓄積・形成していくことが重要」ということがうたわれています。
 この中身は具体的にはどういうことかといいますと、計算機の開発、高度化、それに関する研究。それから、シミュレーション研究におけるモデル化とかアルゴリズムに関する研究開発、あるいは分野連携に関する取り組み、こういうものが例示として挙がっております。これだけではもちろんないだろうと思います。
 これらについては、設置者である理研が実施することが適当であるということがうたわれております。それから、今後、必要に応じてこういう共通基盤的な研究開発を戦略分野に位置づけることもあわせて検討することが必要であるということが言われております。
 これがこの作業部会の報告、作業部会での結論というのが現在理研が計算科学研究機構の設置を構想している根拠になっているわけでございます。
 私自身は最後にありました共通基盤的な研究開発、これを1つの戦略分野に位置づけるということにちょっと戸惑いといいましょうか、ちょっと違和感があったために、実はこの戦略委員会の中でも、このことについては少し私のほうからは取りあげて議題にしていただくということはいたしませんでした。ですけれども、私は、この趣旨といいましょうか、これは厳然と生きていると思っております。つまり、戦略プログラムにとっては、こういう共通基盤的な研究開発というのはやはり非常に重要であるということ。そして、このことは、個々の戦略分野の研究開発と同じように、あるいはそれ以上に重視されねばならないということ。これは、この作業部会の精神がそのまま生きていると今も思っております。
 それで、次のページに行きまして機構の使命でございます。機構の使命は一言で言いますと、ここに書きましたように、次世代スパコンプロジェクトの果たすべき役割を最大限に引き出して、それを通じて我が国の計算科学技術を強力に推進すること、これが機構の使命でございます。
 それをもう少し具体的に言いますと、ここに3つほど挙げております。世界最高性能の次世代スパコンを維持管理、高度化し、効果的かつ効率的に利用者の利用に供すること、これがまず第1でございます。それから、みずから計算科学技術を先導し、拠点のハブとして世界最高水準の計算科学技術のCOE形成を主導するということ。COE、拠点形成を主導するということ。それから、我が国の計算科学技術の戦略を立案するとともに、その主導的な担い手となるということでございます。もちろん、こうしたことを実現するためには、コミュニティーの支えがなくてはできません。ですから、コミュニティー全体でこの機構をつくり、それを支える体制を確立するということが非常に重要でございます。 実は、名称でございますが、計算科学研究機構というふうに機構という名前をつけております。理化学研究所の中でこうした名称のついた組織はございません。理研の中には何々研究所、あるいは何々センターというものはございますが、機構という名前のついた組織はございません。あえてこの機構という名前を出させて、そういうものをつくろうと考えましたのは、むしろこの組織自体がいろいろな組織、いろいろなコミュニティーから参加してこの組織をつくるんだという意味合いを込めて機構という名前をつけさせていただきました。ですから、スパコンの設置者である理研がイニシアチブをとってこの機構をつくりますけれども、それができた暁には、理研からは少し独立した存在となって、むしろコミュニティー全体でそれを支え運営していく組織、機関というんでしょうか、そういうものにしたいと考えております。
 それから、機構の機能でございます。今少し考えられるものを9つほど挙げてございます。最初に挙げましたのは、共通基盤技術、分野融合研究、あるいは将来重要となるような領域の開拓。つまり、コンピュータが非常に速くなることによって、あるいは高機能になることによって出現してくるような新しい分野の開拓、そうしたものを含めて計算科学及び計算機科学を先導するということがその機能の1つでございます。
 それから、計算科学者と計算機科学者の密接な連携をとって、科学技術のブレークスルーを目指すということ。
 それから、人材育成でございます。特に計算科学、計算機科学、この両方がわかる人材、こういう人材が非常に求められているわけでございますが、そうした人材を育成したいと思っております。
 それから、次々世代機というんでしょうか、この開発構想を含む計算科学技術全体の戦略構想を機構できちっと練って、我が国の計算科学技術全体の戦略をここが考えていく、検討していく、そしてそれを実践していくということがあろうかと思います。
 それから、計算科学技術のコミュニティーの強化、あるいはコミュニティーからの意見をきちんと聞いて、いろいろなところにそれを反映していくということがございます。
 それから、計算機利用の健全な重層構造の構築とありますが、我が国全体の計算機資源というんでしょうか、層的なものもあるし、重層的にそれを再構築して、ほんとうに健全な利用体制をつくるということが重要だろうと思います。当然のことながら、共同利用のスパコンセンターなんかの連携、あるいはネットワーク整備によって地域格差のないオールジャパンの研究体制を築くということも重要だろうと思っております。
 それから、先端的なテーマのもとでの産学の関係機関の協働を支援するということ。あるいは、国際研究拠点としての役割。世界中からすぐれた人材が参集できるように、参加できるような形にし、国際連携を深めていくということ、あるいは国際共同研究を推進するということ。
 それから、神戸拠点の中の戦略分野の中の戦略機関、登録機関、こういうものとの密接な連携・協力を図らねばならないんですが、その主導を行う。核の役割を担うということでございます。
 これがそれぞれの関係機関の役割分担を図示したものでございます。一番上に国とあります。戦略委員会ということでしょうか。これは共用の基本的な方針を出したり、あるいは戦略分野を決めたり、その戦略目標というんでしょうか、その分野での目標を決めるということ。あるいは、計算機資源等のリソースの配分の基本的な考え方を決めたり、検討したり決めるということだろうと思います。
 ここに戦略機関とあります。戦略機関、いろいろなミッションがあろうかと思いますが、最も重要なのは一番上に書いたものでございますが、戦略分野における世界最高水準の研究成果を創出する。この戦略分野における世界最高水準の成果を出すということがまず戦略機関に求められていることでございます。
 右側にございます計算科学研究機構のほうです。こちらは、最初に書いてありますが、次世代スパコンを維持管理して、それを高度化し、効果的かつ効率的に利用者に供する。運営をきちっとやるという責任を持つということです。これがまず第1でございます。
 それとともに、共通基盤的な研究開発、分野融合研究、あるいは将来重要となるような領域の開拓を行って、計算科学及び計算機科学を主導するということがここに求められております。同時に、計算機科学者と計算科学者との連携を図るということも非常に重要なミッションでございます。それ以外にもいろいろなミッションがございますが、この3つが非常に大きなものだろうと思います。
 2つ比較いたしますと、どういうことかといいますと、機構のほうは、共通基盤を支えるとともに、計算科学・計算機科学の先導的な役割を果たすということでございます。戦略機関のほうは、むしろそれぞれの戦略分野におけるすぐれた成果を創出するということがこちらのミッションでございます。そういう形で2つは機能分担ができる、お互いに補完的な関係にあると思っております。
 それから、ここに登録機関とございます。登録機関は、利用者選定業務というのと利用者支援業務、これが法律にうたわれている2つの非常に大きなミッションでございます。今コンピュータの利用ということを考えますと、もう一つは実はソフトウエアの管理ということが、保守管理というんでしょうか、これが非常に重要なミッションでございまして、これをどこでやるのかというのはこれからいろいろな議論があろうかと思いますが、利用者のほうを向いている組織としては登録機関でございますので、一応ここに入れさせていただきました。
 こういうことはソフトウエアの管理とか大規模計算の出力、成果を何とかうまくアーカイブ化するということも、全体の拠点のミッションとして必要だろうと思いますが、今はこの登録機関のミッションとしてここを入れさせていただきました。
 3つの機関があるわけですので、ここに連携推進会議というものを置いて、お互いにその間の調整をするということになっております。
 これが協力関係、連携関係をあらわしたものでございます。真ん中にペタコン、次世代スーパーコンピュータがあって、その周りを計算機科学、そしてその周りに計算科学があって、いろいろな戦略分野がこういうふうにある。その周りは一般の利用者、あるいは実験科学者なんかがありますね。それから、当然、大学等の共同利用のスパコンセンターなんかとも連携を十分図るということ。あるいは、産業利用ということ、民間需要を掘り起こすという意味では、産業応用協議会とか計算科学振興財団、こういうところと連携を図って産業利用を促進したり、民間需要を掘り起こすということをやらねばなりません。
 それから、ここには利用者懇談会と書いてありますが、これは大学とか研究所も含めた利用者との懇談会ということもある意味で非常に重要な役割を果たすのではないかなと思っています。
 当然のことながら、海外との機関、欧州とのPRACEのユーリッヒ研究センターとか、アメリカだとオークリッジとかイリノイ大学、ローレンス・バークレー、あるいはPNNA、Pacific Northwest National Laboratoryというところとも連携をきちっと図っていくということでございます。
 それで、これは分野連携の必要性ということでございます。実は学問というのは、これは私の個人的なあれですが、継続的に発展するものでは決してない。ですから、質的に新たな可能性を誘起していく研究システムというのはどうしてもつくらないといけないということでございます。こういう計算科学あるいは計算機科学にとって、今、何が重要かというと、未踏分野を開拓するには、新しい学術領域としての学際的計算科学をつくらないといけませんということでございます。そのことを書いたものです。
 実はこの考え方というのは、筑波大学の計算科学研究センターの佐藤センター長を中心として、ここ数年来、提唱されている概念でございます。私はこの考え方というのは、今後のこの分野の学問の発展にとって極めて重要であると思っております。
 これまでの計算科学はどういうものであったかというと、個々の分野の一部としての計算科学でしかなかったわけです。ですから、それぞれがアイソレートされて、規模も小さく、横の連携もなかなかとれないという状況でございました。ところが、ペタコンに見られますように、計算システムが非常に大規模化しておりますし、高性能化しております。実はそれを使いこなすには高性能な計算技術というのが必要でございまして、どうしても計算科学者と計算機科学者の連携ということが必須になっております。これがないと次の段階というか上のステップには行けないと思っております。
 当然のことながら、逆に新しいマシンを開発するときにも、これまでのように計算機科学者だけで開発する状況ではなくて、むしろ使う立場の計算科学者と一緒になってやらないと次々世代、あるいは次の世代のマシンというのはなかなかいいものができないということでございます。
 もう一つは、計算科学といってもいろいろな分野がございます。この分野を横断的にとらえるということが非常に重要でございます。実は、方法論、モデリングあるいは技法とか数値解析には、分野を超えて共通の軸がございます。そうしたものをきちっと見据えて学問を発展させねばなりません。逆に、こうしたことがきちっとできますと、そうした共通軸を通して、サイエンス全体を俯瞰することも可能になってまいります。そういう意味では、この筑波大学で今先駆的に行われていますこういうプロジェクトといいましょうか、概念というのは、さらに充実させて、これから私たちのこういう分野の学問を発展させる上の1つの方向性を与えるものとして重視していかないといけないのではないかなと思っています。
 これは計算科学機構の組織体制のイメージでございます。一応4つの部門を置いております。最初は企画戦略部門。これは事務部門とは独立して企画戦略として置いている部門でございます。拠点一体運営のための中枢部門としてこれを置きたいということです。ペタコンを核としたCOEの形成推進、計算科学技術のオールジャパンの体制を構築、支援する、機構の運営方針の検討・立案等々、あるいは連携推進会議もここがきちっと責任を持つということ。アウトリーチなんかもこれがやることになろうかと思います。
 それからもう一つは、一番下に書きましたのは運用技術部門でございます。これは当然のことながら、ペタコンをきちっと運用するということが機構の1つの大きなミッションでございますので、そのために3つ一応グループを置いて、計算機の運用を責任を持って行うという部門でございます。
 それから、真ん中2つが計算科学部門、それから計算機科学部門でございますが、一応部門として分かれておりますが、これは当然、これまでの議論から両者、ミックスして連携を図って研究を進めるということでございます。計算科学部門のほうは、理論とかモデリング、あるいは手法等の高度化ということでございます。戦略機関というのがございますので、そういった少し切り口を違う形で、量子系計算科学研究グループ、粒子系、連続系、複合系、離散系という形で分けております。
 例えば量子系のところを見ていただくと、これは基本的には量子論に基づくような方法論を主体とする分野でございますけれども、原子核の生成から反応・触媒設計、これは化学ですね。それから、機能性材料、あるいはデバイスのデザイン、これは材料科学でございます。それからたんぱく質、酵素、これはバイオでございます。いろいろな分野がここにもちろん入ってまいります。次の粒子系を見ても、粒子系というのは量子論と古典論、これをミックスしたものが基本的な方法論になりますが、宇宙の構造生成とかたんぱく質ダイナミクス、材料開発、ドラッグデザイン、ウイルスの解析等、これもいろいろな分野に実はまたがっております。計算科学の手法とかモデリングというのは、いろいろな分野にまたがっているものです。戦略分野、あるいは戦略機関とは少し違う切り口でこの学問全体を見渡して、それを理論、モデリング、あるいは手法の高度化を行うということでございます。縦と横の関係です。
 計算機科学部門、これは基盤ウエアの開発・高度化でございます。今4つの部門を考えております。基盤ソフトウエアの研究開発、高性能ソフトウエアの開発環境研究、応用ソフトウエアの部門、アーキテクチュア部門というものですね。それぞれの内容は見ていただくとわかりますが、例えば基盤ソフトウエアの部門だと、大規模計算を支えるI/O、あるいは通信系ソフトウエアの高度化、こういうところがその中身として必要とされています。高性能ソフトウエアのところも、並列ソフトウエアの開発等がここに入ってきます。そのための言語、コンパイラ等の開発、あるいは高度化ということ等々がございます。最低限この4つは必要ということでございます。こういう形で今組織体制のイメージを固めております。
 マシンタイムの配分の考え方でございますが、マシンタイム、トータルでございますが、一応大きく3つございます。1つは、戦略的利用に供されるもの。それから、いわゆる一般利用ものです。一般利用の中には、学術的な利用、教育的な利用、産業利用というのが入ります。それから、設置者利用というものがございます。これは登録機関も含めた設置者利用でございます。
 おそらくマシンタイムの配分は、そこに書きましたように、戦略利用、一般利用、設置者利用、大きく3つに分けた利用の大まかな配分は、多分この戦略委員会が、国がきちっと方針を出すんだろうと思っております。
 一般利用に関しましては、トータルの配分がわかりますと、個々の配分に関しましては、この登録機関が委員会を設けて、さらに検討するということになろうかと思います。
 それから、設置者利用に関しましては、計算科学研究機構と登録機関の協力のもとに利用するということだろうと思います。一応ここに目標として掲げていますように、計算機が安定的に稼働した後は、全マシンタイムの8割を戦略的利用とか一般的利用、こういうものに供することを目指す、そういう形で進んでいってはどうかなと思っております。 ただ、戦略的利用に関しましては、少し重点的な配分ということを考えたほうがいいんじゃないかと思っています。戦略的利用をいかに効率的に推進するかというのは極めて重要な問題でございます。実は、計算機利用の能力、能力と言ったら失礼かもしれませんが、いろいろな形の状況とか準備状況というのは、いろいろな戦略機関によって必ずしも同じような足並みがそろっているわけではございません。それから同時に、やはり成果を早く出すということが非常に重要でございます。ですから、非常に重要なテーマ、あるいはもう少し投資すれば非常にいい成果が得られるというところには、やっぱり重点的に配分する仕組みというのが必要だろうと思っています。
 ですから、例えば戦略的利用として配分されたマシンタイムの中で、当初は、年初めに一定にある配分をやった。ですけれども、研究の進捗状況を見ながら、このところには重点的にもう少し配分しましょうとか、そういう追加配分を行うということを、戦略的な配分の仕方をやはり考えたほうがいいのではないかなと思っております。
 それから、人材育成、これも極めて重要な課題でございます。特に拠点には、高い研究機能を有するとともに、やっぱりすぐれた研究環境がここにあるわけですので、この環境をうまく使って人材育成をやりたいと思っています。特にこれから先は計算科学と計算機科学、この双方をきちっと理解している人材というのがどの分野においても非常に重要でございます。この拠点には若い大学院生とか若手の研究者が多く集って集積することでしょうから、そういう人たちを何とかうまく関係機関と協力を図って、人材育成に努めたいと思っております。これは今後、大学等とこういう問題について十分協議を重ねていく必要があろうかと思っております。
 まだ詰め切れていないところはたくさんございます。例えば拠点に関する検討課題、今後の検討課題となっていますが、1つは先ほど言いましたマシンタイムの配分方策です。これをどういうふうに、戦略的にマシンタイムをうまく使うにはどうしたらいいかということ、これはこれからも検討が必要だと思います。
 そして、課金制度の考え方です。これも今後計算機資源とか課題実習の優先度なんかを考慮して、適切な料金体系を設定することが必要だろうと思っております。当然のことながら、成果を占有する場合には原則として課金しましょうということも言われておりましたけれども、そういうことも含めて課金制度の考え方を出さないといけません。実は、作業部会では21年度中に何とかこれをやりましょうということだったので、もう早急にこの辺を考えないといけないと思います。
 それから、先ほど言いました、これは計算機特有のことですが、ソフトウエアの管理、保守管理ということ。それから、大規模計算をやるわけですから、その計算結果を何とかうまくアーカイブ、出力をアーカイブできるようなシステムというか機能を、どこかが責任を持ってやるということが必要だろうと思います。かつて東京大学の土井先生がソフトウエアのというか、プログラムの国会図書館版をつくったらどうだということをおっしゃっておられているんですが、ソフトウエアが完備されてないとあまりすそ野が広がらないというんですか、利用者が広がりません。それから、ソフトウエアの管理とか保守というのは実は非常に大変な仕事で、この分野特有の問題でございますけれども、考えないといけないだろうと思います。
 それから、萌芽的産業利用の促進方策、これは産業利用を促進する、あるいはすそ野を広げるという意味では、民間利用を掘り起こさないといけません。このことは非常に重要でございます。ほんとうに企業の相談相手になって、いろいろなことを考えていくという組織がやっぱり必要でございます。現在、産応協とか計算科学振興財団というのが既にできていて、そういう活動も少しずつやっていると聞いておりますが、そういうところに対して連携して、どういう支援をするのかということも考えないといけないだろうと思います。
 それから、遠隔利用の問題。これはグリッド利用を含めますが、こうした問題をどうするかということ。それから、人材育成のための仕組みづくり、これも非常に重要でございます。
 最後でございますが、スケジュールでございます。来年の5月には実は計算機棟あるいは研究棟が竣工いたします。あと10カ月しかありません。まだ10カ月あると考えるか、もう10カ月しかないと考えるかはいろいろですが、そんなに遠くない、もう1年を切っているということです。
 それから、機構はできましたら22年、来年の冬学期といいましょうか、後半といいましょうか、10月にコアのパートはとにかく立ち上げたいと思っています。特にこの建屋ができますと、実はその後すぐに計算機が順繰りに搬入されていきます。その意味では、機構の1つのミッションであります運用ということを考えますと、運用部門に関しましては、この5月過ぎから、竣工以降すぐに事前準備が必要ですし、機構の発足以前に組織化して、現地で一緒に作業するということが必要になろうかと思います。実際の計算機が稼働するのは24年でございます。
 それから、今、戦略機関の決定、これは一応の予定では今年の10月ごろと聞いておりますが、この後、フィージビリティースタディーなんかがスタートしていく、そして準備をしていくわけですね。
 それから、登録機関でございますが、登録機関は22年度中に決めるということがございますが、実際に活動を始めるのは、機構が22年の10月でございますので、それから半年おくれぐらいの23年の4月ごろからの発足でいいのではないかなと思っております。
 最後になりますけれども、繰り返しになるかもしれませんけれども、スパコンの有効利用、活用には、どうしてもすぐれた人材を確保することが不可欠でございます。そうした人材が集う拠点というんでしょうか、あるいは人材を受け入れる機構というのはどうしても必要でございます。これがなければほんとうにスパコンはただの箱にすぎません。世界に誇れる計算科学の拠点をコミュニティー全体でつくりたいと思っておりますので、いろいろなご意見をいただくと同時に、ぜひご支援をいただければと思っております。少し長くなりました。申しわけございません。

【土居主査】  ありがとうございました。平尾先生から、現在までお考えになられております拠点としての機構の構想をお話しいただいたわけですが、あと時間が20分ぐらいしかありませんので、本日はこれを伺って、大枠のところでご意見を賜ればと思います。機構の使命、関係機関の役割分担、その次の研究機構の形とか分野連携は特段ないと思いますが、組織体制のイメージ、マシンタイムの配分の考え方等々のところで、あるいは人材育成のための仕組みづくり。検討課題というのは、それはそれでどんどん詰めていかなきゃいけないにしましても、今日そのものは取り上げるということはさせていただかないことにして、その他に関しましてご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【小柳委員】  今、平尾先生のお話にあったソフトウエアの管理、これは大変重要だということはご指摘のとおりだと思いますが、どういうところで仕事をやったらいいかというのはなかなか難しい問題がございまして、一応平尾先生のスライドでは登録機関の使命として位置づけられておりますけれども、ソフトウエアというのは本よりはむしろ生ものに近いところがございまして、実際にそれを使っている人のそばにいないとなかなか管理できないと。本でしたら、単に置いておけば閲覧させればいいということがありますが、ソフトウエアは実際に使ったり改良したり維持したり普及したり相談に応じたりということが必要ですので、むしろ、実際にそのソフトを使って研究をしている専門家のそばにあるほうがいいのではないかという気もいたしまして、むしろそれぞれの戦略機関に、その戦略に関連したソフトの管理ということを位置づけたほうがいいのではないかなという気もいたしますし、あるいは場合によっては、特に全体的なものですと、むしろ計算科学研究機構のほうがいいのではないかという、その辺、いろいろ議論があるかと思いますが、もし何かご意見がございましたら。

【平尾委員】  私もどこに置くのがいいのか、これは非常に難しい問題で、なかなかうまくいってないんですね。この重要性ということは随分前から指摘はされているんですが、うまくいっていない。それで、先生がおっしゃるように、プログラムというのは一度つくるとどんどん進化していくものですので、その意味では図書とは大分違うというのはそのとおりでございますし、ほんとうに使う人たちの、専門の人たちのそばにあるということが非常に重要だろうと思いますので、どこに置くのがいいのかというのはこれから十分議論をさせていただきたいと思っています。
 研究者が開発したプログラムと市販のプログラムというのがあるわけですね。市販のプログラムに関しては、多分登録機関のようなところでいいのではないかという気がしているんですね。研究者のレベルで開発したのは、研究者の近くで保守管理するのがやっぱりいいんだろうと思っております。プログラム、性格も少しずつ考えながら、どこでこういうことをやるのがいいのかということは今後検討していきたいと思っています。

【土居主査】  そうですね。お願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。寺倉先生。

【寺倉委員】  大変壮大な計画で、すばらしい計画だと思うんですけれども、基本的にこういうコミュニティー全体、日本の全体のコミュニティーをまとめていくという組織としては、昔、物性の分野の研究をどうまとめていくかという話が検討されたことがあって、そのときに言われたのが、国分寺構想というのがあったと思うんですけれども、それに倣えば、今の計算科学研究機構は総国分寺で、戦略機関とか情報基盤センターはそれを支える国分寺に対応するんだと思うんですが、戦略機関と計算科学研究機構の間の方はかなりよく議論しておられたと思うんですけれども、情報基盤センターのほうがどういう議論があって、それが計算科学研究機構の中でどういう位置づけ、それとの関係はどうなるのかということが少し私にはよくわかっていないので、どこかで、米澤先生にでもコメントいただいたらいいかもしれません。
 それからもう一つ、地域格差のないようにネットワークの充実ということを言ってくださって、これはかなり前から機会あるときに私は随分と言ってきたことがあるんですが、そういうことを言うと、国分寺ですか、戦略機関と情報基盤センターの役割はかなり違うと思うんですけれども、それぞれのところが持つ役割のある程度の分担というか、戦略機関と計算科学研究機構の役割分担はかなり明確だと思うんですけれども、情報基盤センターと計算科学研究機構の間の役割分担、あるいはそれぞれの情報基盤センター、幾つもあると思うんですけれども、それぞれが同じようなことをやるのか、それぞれ地域の特色とか人材の特色を生かして、ある程度の独自なやり方をするのかということを含めて、ある程度の役割分担を明確にして、全体的な活性化が図れれば非常にいいんじゃないかという気がします。 そういう意味では、今までこの研究機構をつくるのが大変だから、国分寺から総国分寺への貢献の話は、例えば研究者の派遣とか、そういうことで議論されているんですけれども、総国分寺のほうから国分寺のほうに、逆の流れがもう少し何か具体化されて、そういう個々の機構の活性化が図れれば、日本全国活性化されて非常にいいんじゃないかと思うんですけれども、これは次の段階かもしれませんけれども、どこかで議論していただければと思います。

【土居主査】  特段何か米澤先生からありますか。

【米澤委員】  先生のおっしゃること、非常にもっともなことだと思いますが、基盤センターについては、それぞれのミッションをいろいろ持っていまして、ですけれども、そのミッションに加えてこのペタコンをあれする全体のミッションにもちゃんと参加しようといいますか、サポートしようと、その意思は一応決まっているというか持っておりますので、それをどういう形で具体的にやっていくかというのはこれからゆっくり議論させていただければと思います。

【土居主査】  その点に関しまして、前から時々申し上げているように、ここの役割分担、関係機関の役割分担という図をちょっとお見せいただければと思うんですが、今、寺倉先生がおっしゃられたように、戦略機関と機構との間の関係というのはクリアになるんですが、登録機関というのと今のような基盤センターというもののかかわり合いをどうするかといったときに、ここで例えば運用のところで、機構のほうですと、一番上にさらっと効果的、効率的に利用者に供すとありますが、こちらのほうは利用者支援業務で、そのチューニングまでを含めたのが細かくかみ砕いた形で書かれているわけですけれども、基本的にどこで切り分けるかということがすっぱりいくかいかないかという問題が出てくると思うんです。同じように基盤センターにもどこかお手伝いいただかなきゃいけないのかもしれない。
 今の国分寺と総国分寺のかかわり合いからしますと、その意味で、できればといいますのが、機構でもセンターでもよろしいんですが、理化学研究所ですべてのことをしようとすると、一体何をどのようにしなければいけないかということを考えていただいて、そのうちのこの部分は登録機関に頼もうか、この部分で一部は基盤センターにお願いできないかということをやっていただいたほうがいいんじゃないかと思うんですね。そうでないと何か漏れが出てくるような気もしますし、あの関係が、今のソフトの管理なんかも含めてそうですが、特段とにかく利用者支援業務というのが一番悩ましいところだろうと思いますので、そんなことで、それで今度はどれぐらいの、これはその後にあります、組織体制もありますけれども、全体のものを含めて、いずれ検討していただいて、どれぐらいの規模でどれぐらいのものがそれぞれのところを担当するというところへ結びつけていっていただけるとわかりやすいんじゃないかと思うんですが。
 と同時に、すぱっと切れそうで切れないものをやってきますと、責任分解点といいますか、その辺がちょっとあいまいもことしてくる心配がちょっとあるものですからと思うんですが、いかがでしょうか。

【平尾委員】  おっしゃられたとおり、そのとおりでございまして、共用法というのはなかなか難しゅうございまして、理研も共用法を踏まえつつ、そういうミッションを担わないといけないということがあって、ほんとうに理研でというか、理研に限らず、1つの組織で全体をやるというのは比較的すっきりするんですが、どうしても切り分けをしないといけないということがございます。そこに関しては、多少オーバーラップしたり、あるいは切り分けがなかなかできないようなところがあって、そこはある意味で皆さんからもいろいろなご意見をいただきながら、漏れのないようにやらないといけないと思います。一度、そういう作業もやらせていただきたいと思っています。

【土居主査】  ぜひ共用法をちょっと忘れていただいてやっていただいて。それと、やはり時間的な経過に伴って、分担が変わってくるということだってあり得ると思うんですよね。ですから、その辺を頭に入れていただいて、今のようなことをちょっと進めていただけるとわかりやすくなるんじゃないかと思います。

【平尾委員】  当初は例えばこの機関がやるけれども、いずれ少し安定期というか平衡状態になってきたら、この機能はこちらに移すとか、そういうことは十分考えられると思います。

【土居主査】  ですよね。どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかには何か。どうぞ。

【小柳委員】  先ほど寺倉委員のお話の補足ですが、国分寺に当たるものとして戦略機関と情報基盤センターを挙げられましたけれども、もう一つ重要なのがいわゆる研究所ですね。法人になっているものもありますし、大学の一部のものも中にはありますが、これも大変重要な役割で、実際にスーパーコンピュータを保持して計算科学の研究を既に行っているところはたくさんございます。幾つかは戦略機関の一部になるでしょうけれども、それも含めて議論していくことが必要かと思います。

【土居主査】  ありがとうございます。
 米澤先生。

【米澤委員】  先ほどのソフトウエアの登録といいますか、管理の話なんですけれども、1つは、いろいろなアプリケーションが戦略機関とかその他のところで登録され、開発、あるいはアップデートを繰り返しされると思うんですけれども、あるバージョン、ある固定したバージョンを一般的に公開するところはみんなで使うという標準的な、制度としてはその登録機関がやるのは悪くないかなという気がします。
 それから、データベースというのは何を意味しているのかちょっとわからないんですけれども、それもそこでキープするというのもわかりやすいとは思いますね。

【土居主査】  そうですよね。だから、提供バージョンとまだ発展させている域があるという考え方だろうと思うんですが。
 ほかにはいかがでしょうか。寺倉先生。

【寺倉委員】  組織体制のイメージというところでいろいろな部門の機能が書いてあるんですけれども、当然どこかに含まれているのかもしれませんが、ともかく大量のデータが出てくるので、そのデータの処理とか可視化のことの技術的開発はどこに含まれているのか。
 それから、さっき言われたネットワークはかなり重要だと思うんですが、ネットワークの管理とか、さらにそれの開発という話が、それは情報学研究所の担当なのかもしれませんけれども、ここではどうなっているのかということについて教えていただければと思いますが。

【土居主査】  それは何か。

【平尾委員】  ネットワークに関しては、ユーザーの窓口としては登録機関になると思いますけれども、そういう専門家もそこで雇用するとなっております。もちろん、計算機科学部門のほうにはそういう専門家も来るでしょうから、そういう人たちと共同運営ということになると思います。

【土居主査】  どちらがどのように担当するかは別にいたしましても、可視化なんかはおそらく手元で運用する、神戸のサイトにも当然のことながらあるんだと勝手に思っているんですが。ですから、ハードソフト運用技術部門のところへとにかくそういうこと、及びサポートするようなのが必要になってくるんでしょうね。

【寺倉委員】  ともかくものすごいデータが出てくるはずですから、それをどう処理して可視化するかという技術は、多分新しい開発が要ると思うんですね。

【土居主査】  研究対象もしなければいけない。だから、いろいろなところへ出てくることだろうと思いますね。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、小林先生。

【小林委員】  機構の組織体制にも関係すると思うんですが、先ほど平尾先生、その図で出ております機構の中の3番目、計算科学と計算機科学の融合ってありますよね。この組織を見ると、依然として計算科学と計算機科学が独立して壁があるなという気がするんですが、ここは何かいい工夫はないんですか。

【平尾委員】  私も先ほどお話ししましたように、1番目と4番目、これはもう明らかに独立した組織なんですが、ここは一応分かれていますが、言ってみればぐちゃぐちゃでやりたいということがあるんですが、なかなかそううまくはいかないかもしれませんが、できるだけここは、壁は一応ありますけれども、とるような形でやらないといけないだろうとは思っています。それがどこまでやれるかというのは非常に難しい問題だと思いますが、そういう努力はやりたいと思っています。
 組織的に初めから変えるということも考えられないわけではないですが、なかなか難しいですね。組織を、両者を一緒に何かのグループに入れるというのは難しくて、最初はこういうところからスタートして一緒に連携を図っていくしかないかなという気がしますが……。

【小柳委員】  先ほどの筑波大の場合でも、宇川先生なんかはご存じだと思いますが、部門としては別にあって、ただその間が密接な連携で動いているというのがみそで、その密接な連携をどう実現するかが一番の課題じゃないかと思いますけれども。

【土居主査】  どうぞ。

【宇川委員】  多分それについては、ある種、研究プロジェクトみたいなもので横ぐしを通すというのが一番効率的なやり方ではないかと思います。それぞればらばらに研究プロジェクトをやっていますと、やっぱり部門の壁が立ってしまって、いつまでたっても一緒にやらない。だけど、共通の目的、私、よく言うんですけれども、あるテーマがあったときに、それが多面性を持っていて、アプリ側はこういうことを目標にする。それから、計算機科学側はこういうことを目標にする。両方が一緒になると、1足す1が2以上になると。そういうプロジェクトを複数本走らせることによって、分野融合を図っていく。そういうやり方が1つのやり方ではないかと。

【土居主査】  なるほど。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。差し当たってのところはこういうところでよろしいでしょうか。よろしいですか。
 今日はごくごく頭出しをしていただいたというところですので、今のようなご意見等を踏まえて、改めてまたここでも平尾先生のほうからも、まだこういう問題があるんだということもおっしゃっておられましたが、そういうものも少しずつ解決していかなきゃいけないことになりますので、これを今のようなこと等々を踏まえて進めていただいたものをまた改めて検討の場に出させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 それでは、時間的にもそろそろいい時間になってまいりましたが、次回の委員会では、今のようなことでまた改めて整理をしていただきまして、研究拠点形成に向けた論点を整理した上で、引き続き議論を行っていかせていただければと思っております。
 本日の議題は以上ですが、その他というのがあることはあるんですが、何かございますか。よろしいですか。事務局から何かございますか。

【事務局】  次回第16回の戦略委員会は追ってご連絡させていただきます。
 なお、机の上に配付しておりますファイルにとじた資料は、次回以降も本戦略委員会において使用する資料ですので、もしお持ち帰りいただく場合は、事務局へお知らせください。
 以上です。

【土居主査】  ありがとうございました。全体にわたりましてはよろしいでしょうか。
 それでは、これをもって本日の委員会を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

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