次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成21年7月22日水曜日 15時01分~16時18分

2.場所

文部科学省5F3会議室

3.出席者

委員

土居主査、伊東委員、宇川委員、小柳委員、小林委員、寺倉委員、中村委員、平尾委員、米澤委員

文部科学省

倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、舟橋情報課長、井上計算科学技術推進室長、飯澤学術基盤整備室長、中井計算科学技術推進室長補佐

4.議事録

【土居主査】

 定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。第14回になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、まず事務局から、本日の配付資料について確認をお願いいたします。

【事務局】

 では、お手元の議事次第と照らし合わせて、資料のご確認をお願いいたします。
 まず、資料1-1「登録施設利用促進機関が行う業務について」、次に資料1-2「登録施設利用促進機関が行う体制について」、続きまして、資料2「産業利用のあり方について」、続きまして、資料3「戦略分野の設定について(案)」、続きまして、資料4「戦略プログラム/戦略機関のイメージ(案)」、続きまして、資料5「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会の今後の予定について(案)」、続きまして、参考1になります「次世代スパコンを中核とした研究教育拠点形成の具現化に向けた基本的考え方」、次に、参考2になります「戦略分野の選定方針と戦略機関のあり方について」、以上配付資料に欠落等がございましたら、事務局までお知らせください。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。ないときにはその都度おっしゃっていただくということで、先へ移らせていただきたいと思います。
 お手元の議事次第に従ってやらせていただきたいと思いますので、まず議事(1)の「登録施設利用促進機関について」でございます。登録機関につきましては、前回、概算要求の関係もありまして、最低限の要件ということでご議論いただきました。前回の会合以降、委員の皆様より特段のご意見ございませんでしたので、登録機関の業務と体制につきましては、資料1-1、1-2を基本として考えていくことにしたいと思います。
 なお、本件につきましては、今後、神戸における拠点形成につきまして議論をしていく中で、理化学研究所との役割分担などとの関係で、適宜必要な見直しを行っていくこととさせていただきたいと思いますが、以上のようなことでよろしいでしょうか。はい。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題(2)に移らせていただきたいと思います。「産業利用について」でございますが、産業利用につきましても前回ご議論いただきましたが、1点、前回のご意見を踏まえまして、事務局で修正していただきましたので、事務局からご説明をお願いいたします。

【井上計算科学技術推進室長】

 資料2の1枚めくっていただきまして、(2)「利用形態」の�A成果非公開利用というところがございます。前回のご議論の中で、特に申請をする際ですね。利用者が申請をする際、特に企業が申請をする際はこの提出された申請書についても、きちんと秘密保持のための措置を行うことが必要ということで、このなお書き以下、「なお、提出された申請書およびその内容については、秘密保持のため厳格な情報管理を行う必要がある」という文言を追加させていただいております。
 以上でございます。

【土居主査】

 ありがとうございました。いかがでしょうか。産業界にとって、より使いやすい仕組みを考えておかなきゃいけないということで、ご意見をいただいたので、追加していただいたということでございますが。どうぞ。

【平尾委員】

 これはこれで、私、結構だと思うんですが、全体的な利用に関して、やっぱり平和目的に限るとかですね。それを全体の枠としてやっぱりうたっておく必要があるんじゃないかという気はいたしますね。

【土居主査】

 なるほど。これは重要ですね。

【平尾委員】

 ここに書くかどうかは別としてですね。

【土居主査】

 そうですよね。

【平尾委員】

 ほかのところでも構わないと思いますが。

【土居主査】

 特段、産業利用に限っているわけでもないということですからね。だから、それは一番上のところの辺で何か考えましょう。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょう。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、これも今後、理化学研究所あるいは登録機関において、具体化に向けて進めていただくということで、また特段何かありましたらご意見を賜るというようなことにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題3に移らせていただきます。議題3が「戦略分野について」でございます。戦略分野につきましては、ことしの1月から主要な分野の有識者の皆さん方から話をお聞きしながら議論を進めてまいりましたが、本日はこれまでの当委員会における議論をまとめた案が取りまとまっておりますところ、まずこれにつきまして、事務局より説明をお願いいたしたいと思います。

【井上計算科学技術推進室長】

 それでは、説明をさせていただきます。これまで一部非公開でも何回か会議を持たせていただきました。本日は、そういう意味では戦略分野について初めて公開の場での説明ということもありますので、ほとんどこの文章を読ませていただくと、そのような説明をさせていただきたいと思います。
 資料3「戦略分野の設定について」でございます。
 次世代スーパーコンピュータ戦略委員会においては、次世代スーパーコンピュータの計算資源を必要とし、かつ、社会的・学術的に大きなブレークスルーが期待できる分野「戦略分野」について検討を行った。検討に当たっては、
 1 次世代スパコンの能力でなければできない課題があるかどうか。
 2 社会的・国家的見地から見て高い要請があるかどうか。
 3 次世代スパコン稼働後5年間で具体的な成果を出せる見通しがあるどうかということを判断の軸としながら、我が国における研究開発の現状と研究者コミュニティの広がり、世界の研究開発動向と世界における我が国の立ち位置等を考慮した。
 また、戦略分野の研究開発を担う戦略機関については、我が国の計算科学技術を牽引し、世界を先導していくことが求められる。戦略機関を中心に関係機関が連携をし、我が国全体として力を発揮できる体制を整えることが必要であり、このような体制整備の観点もあわせて考慮した。
 以上のような検討の結果、本委員会として戦略分野を以下のとおり決定した。
 分野1 予測する生命科学・医療および創薬基盤
 分野2 新物質・エネルギー創成
 分野3 防災・減災に資する地球変動予測
 分野4 次世代ものづくり
 分野5 物質と宇宙の起源と構造
 上記戦略分野においてレベルの高い研究を行っていくためには、計算科学技術の幅広い分野を支える共通基盤的な研究開発について、研究ポテンシャルを蓄積・形成していくことが重要である。具体的な取組としては、計算機アーキテクチャ、並列化コンパイラ、ミドルウェア、最適化ツール、GRID、ストレージ等に関する研究開発、シミュレーション研究のための超並列アルゴリズム、数値計算ライブラリー、自動チューニング等の研究開発などが挙げられるが、このような取組を計算科学、計算機科学、応用数学等の研究者が一体となり、戦略分野の研究者と密接な連携をしながら実施していく拠点の整備が必要である。次世代スパコンの設置者である理化学研究所が中心となり、次世代スパコン施設を中心にこのような拠点を整備していくことが望まれる。
 以下、それぞれの戦略分野において期待する取組について記す。
 次のページです。
 分野1:予測する生命科学・医療および創薬基盤
 ライフサイエンス研究では、ゲノムや生体分子、細胞、臓器といった様々な階層における個々の研究が進められており、それらの研究結果は、創薬や医療の現場へも直接応用されている。一方、これら個々を対象とした研究だけでなく、それらを統合した、より複雑で高次の機構を解明し、生命をシステムとして理解することも求められている。
 このような多階層における個々の要素での生命現象の予測とその統合的理解のためのアプローチとして、シミュレーションによる取組に大きな期待が寄せられている。生命科学分野におけるシミュレーション研究では、タンパク質の構造や酵素機能の解析、細胞内の代謝反応解析、組織や臓器の作動解析等に加えて、これら多階層のシミュレーションをつないでいくことが大きなテーマとなっており、欧米においても国家的な取組が始まっている。さらに、最新のゲノム解析技術により生産される超大量の実験データに対する大規模ネットワーク解析や全ゲノム関連解析も進んでいる。一方、創薬プロセスの加速化・効率化と医療の高度化は、生涯健康な社会を目指す我が国にとって重要な課題である。薬物が分子レベルの受容体によって認識された後、細胞レベルから臓器・全身へその薬効を発揮する状況に対しては、多階層シミュレーションによる解析が期待される。さらに、このようなイン・シリコ創薬だけでなく、臨床における診断と予測医学としての治療や手術の最適化にも、シミュレーションによる支援が進められている。
 ペタフロップス級のシミュレーションによって初めて到達が可能な生命現象の予測と統合的な理解とあわせ、疾患メカニズムの解明等のための多階層の解析手法の開発とその応用は、医療や創薬プロセスの高度化に大きく貢献する。これらの研究には大規模なシミュレーションが必須であり、世界に先駆けて早期の実用化を行うため、重点的な取組を行う必要がある。
 あと、以下に「想定される具体的研究内容」が列記されております。
 次のページをお願いいたします。
 分野2でございます。新物質・エネルギー創成。
 新物質、新物質相、新現象の発見が絶えず行われていることは、物質がもつ無限の可能性を示唆している。これらの発見は、基礎科学に新局面をもたらすのみならず、いずれは産業、ひいては社会における変革を引き起こすことに通じる。新物質創成に関わる研究は分子科学、物性科学をベースにして発展をとげてきている。わが国ではこれら領域はそれぞれが大きなコミュニティを形成し、基礎研究から応用研究、素材、部材の実用化にいたる全ての段階において世界のトップレベルを堅持しており、我が国製造業の国際競争力の源泉ともなっている。
 物質科学の応用分野は多岐にわたり、あらゆる分野の基盤となっている。特に、機能性分子創成、物質変換・反応制御、医療への応用やドラッグデザイン、電子デバイス開発、ものづくりにおける新材料開発などへの期待が高く、このような応用を見越した他分野との連携は不可欠である。
 物質科学は、新規エネルギー開発にも重要な貢献をすることが期待されている。低炭素社会、循環型社会、自然共生社会づくりにより、地球環境の危機を克服する持続可能な社会を目指していくことは大きな国際的課題である。この実現のための重要なアプローチとして、各種電池(2次電池、燃料電池、太陽電池)、熱電材料等への期待が急速に高まりつつあり、より一層の性能向上が緊急の課題となっている。具体的には、効率および耐久性の向上、コストの低下が問題である。エネルギー関連の課題としてはその他に、バイオマスの有効活用、低エネルギー消費デバイスの開発、などがある。これらの課題には多様な側面があるが、本質的な問題解決には物質科学的な革新が必須である。
 新物質・エネルギー創成にはシミュレーションはなくてはならぬ研究手段である。分子科学と物性科学の協力により新物質創成の一層の進展を図るとともに、上記の広い応用分野との連携による産業への貢献、さらには新規エネルギー創成のための基盤的技術開発と持続可能社会の構築につながる研究開発が求められ、このような取組を重点的に行う必要がある。
 以下は具体的な内容でございます。
 次のページでございます。
 分野3:防災・減災に資する地球変動予測です
 スマトラ沖大地震やハリケーンカトリーナに見られるように、自然災害は依然として、人間社会に大きな脅威を与えている。それに加え、地球温暖化に伴う気候の変化により、自然災害の増加が想定されている。被害は社会基盤の弱いところに及ぶことが予想され、効果的な対応策を実施するためにも、大規模シミュレーションによる地球変動予測が不可欠となっている。
 現在、緊急の課題となっているのは、地球温暖化に伴い台風が増えるのか、否か、また、その強度はどうなるか、という問題である。台風は雲の集団運動であり、この問題の回答を得るためには、雲を陽に表現する数値モデルを用いて研究する必要がある。また、昨今激化している集中豪雨に伴う被害は、都市化と地球温暖化に伴い増加することが懸念されている。この集中豪雨に対する予測を可能とするためには、観測データの迅速な処理や地形や地表面状態等の詳細なデータを組み入れた、高精度の予測システムの開発が必要となる。さらに、地震多発地域に位置する日本では、地震・津波による被害の軽減に取り組むことも、重要課題の1つである。現在地球シミュレータを用いた計算でも、東南海地震等による強震動・津波のシミュレーションが行われているが、これをさらに発展させ、実際の防災・減災対策につなげていくことが必要である。
 これらの課題に対し、次世代スパコンを使った研究によって、例えば、地球温暖化予測の高精度化と、それに伴う台風の変化に関する結論が得られれば、世界での議論を終了させることができると同時に、温暖化に対する対応策の実施に大きく貢献することになる。また、集中豪雨、土砂崩れに関し詳細な予測が可能になれば、国民生活の安全や安心の確保に大きく寄与する。加えて、地震・津波についても、地盤の液状化や構造物の破壊等に関する詳細解析、さらには被災時の人間行動等を加味した災害評価等が可能となれば、国の防災計画の策定に寄与するなど、より効果的な防災・減災対策に資することが予想される。以上のように、次世代スパコンを用いることにより、これまでの地球変動予測研究に飛躍的な進展をもたらし、実際の防災・減災に資することが期待されるため、このような取組を重点的に行っていくこととする。
 以下は略させていただきます。
 次のページは、分野4:次世代ものづくりです。
 食料、資源を海外からの輸入に頼る我が国において、製造業の国際的優位性の確保は産業立国としての生命線である。我が国のものづくりの強みは、経験から得られた知識に基づく信頼性の高い設計力と現場で培われた優秀な技術者による卓越した生産力のコラボレーションにあると考えられている。これによって世界に類をみない高品質製品を世に送り出してきたが、その優位性を維持・発展させるためには、製品の飛躍的な省資源・省エネ化、高機能化、軽量高強度化、静音化という社会ニーズに対してブレークスルーが可能な先進的要素技術の開発とそれらを複合・統合利用する革新的製品設計力の強化が必要である。
 上記の新しいものづくりの仕組みを構築していくに際して、ITは必要不可欠なものである。ITを活用するものづくりは、ペタフロップス級のシミュレーションが実現するに至ると、解析による実物試験代替を中心とした利活用方法から、先端的要素技術の創生~組み合わせ最適化~丸ごとあるがまま性能評価・寿命予測というものづくりプロセス全体をシミュレーション主導でシームレスに行うという利活用方法へ飛躍していくことになる。例えば、第一原理計算によるナノレベル現象の究明(新材料要素、デバイス構造構築)、流体・構造超並列計算による超高速・大規模パラメータサーベイ(大規模多目的最適化)、アセンブリ構造複合連成解析(製品丸ごと解析)が可能になる。このようなシミュレーション技術は革新的製品の早期創出を牽引する役割を果たすのみでなく、設計段階から生産面を考慮するデザインフォーマニュファクチャリングや、エコロジカル・フットプリント低減のための方策を導くための重要な手段になり得ることを意味する。このようなものづくりプロセスの改革は製造業など狭義のものづくりプロセスに限定されることなく、ナノデバイス開発や創薬設計など広義のものづくりプロセスに展開されるものであり、さらに、原子力施設等の際立った安全性・信頼性の求められる大規模プラント開発に革新をもたらす手法でもある。これらに加え、超大規模乱流シミュレーション、マイクロトライボロジーシミュレーションや分子動力学シミュレーション結果に基づき、流体現象や界面現象などの高精度マクロモデルの構築に挑戦するなど、次世代のものづくりのための学術的基盤の進展を図ることも重要な課題である。次世代スパコンを用い上記のような取組を行うことにより、我が国の強みであるものづくりのプロセスに大きな革新をもたらすことが期待され、これを重点的に行うこととする。
 以下は略します。
 最後、分野5であります。物質と宇宙の起源と構造であります。
 物質の基本構成要素や宇宙の成り立ちに関する研究で明らかにされる自然の根本原理は、人類共通の知的財産であり、科学および技術全般の礎となる。このような基礎科学研究において、数値シミュレーションは、理論・実験と並ぶ重要な研究方法として大きな役割を担い、研究の進展を牽引してきた。素粒子物理学において、6種類のクォークから陽子・中性子等の成り立ちや対称性の破れを解明する格子量子色力学計算、原子核物理学において、陽子・中性子から多様な原子核の性質を極める量子多体系計算、宇宙物理学において、銀河やブラックホールの形成過程を追及する計算などはその重要例であり、またこれまで我が国における研究が世界をリードしてきた実績がある。
 今後実現するペタフロップス級の計算は、素粒子における物質・反物質の非対称性や宇宙誕生後の最初の天体の形成過程など、物質の各階層における長年の研究課題に大きなブレークスルーをもたらす。さらに、クォークから超新星爆発に至る多階層を連結したシミュレーションや、クォーク第一原理に基づく核力を用いた中性子過剰核の構造・反応計算による元素合成の解明等により、極微の素粒子から宇宙の全体に至る基礎科学分野を融合し、物質と宇宙の起源と構造を統合的に理解することが初めて可能になることが期待される。
 もとより、基礎科学研究は研究者の自由な発想に基づき行われるべきものである。しかしながら、そのような基礎科学研究の中でも、世界の動向や我が国の研究レベルの進展に鑑み、ペタフロップス級の計算をすることにより世界に先駆けて特に大きな進展が見込まれる物質と宇宙の起源と構造の統合的理解に係る分野については、国としてもこれも重点的に取扱うことが必要であり、戦略的に取り組むこととする。
 以上でございます。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。間を置いて改めてこうやって読んでいただきますと、皆さん先生方にお書きいただいたということもあり、格調高いものができ上がっていると思うんですが。特段何かご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。これで戦略分野については決定ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、議題4になりますが、「戦略プログラム・戦略機関について」に移らせていただきたいと思います。
 戦略分野が決まりまして、文部科学省におきましては、今後、戦略分野の研究開発を先導する機関、戦略機関を公募すると、そういう段階に入るわけでございます。それに当たりまして、当委員会として、戦略機関のイメージについて共通認識を持っておく必要があり、事務局で検討のための案をつくっていただいておりますので、それをもとに本日はご議論いただければと思います。
 それでは、まず事務局からご説明をお願いいたしたいと思います。

【井上計算科学技術推進室長】

 資料4でございます。全部で3ページありますが、最初に、3ページ目をごらんください。
 最後に「戦略プログラムのスケジュール」というのが数行あるかと思いますが、これは今後の見通しになります。本日、戦略分野を決定いただきましたので、それに基づきまして文部科学省のほうでその戦略分野の活動、研究を担う戦略機関というものを公募したいと考えております。これはもう早急に準備をして、8月の初めにはやりたいと思っております。その後、2カ月から3カ月ぐらい、これは今回この戦略機関の活動というのは非常に特殊でありまして、研究はさることながら、いろんな機関との連携なども考えなければいけませんので、長めの公募期間をとりまして、10月ぐらいには決めると、そのようなことを考えております。
 それで、本年度は、まずこの提案を受け付けますけれども、それをもって戦略機関というものを決定いたしますけれども、本年度はそれを具現化するといいますか、戦略プログラムの活動を具体化するためのフィージビリティ・スタディをやっていただくと。したがいまして、その期間、おそらくこの戦略機関としての活動をするに当たりましては、理化学研究所等、関係のところとそれなりに綿密な相談をしていただく必要がありますので、そのようなことをやっていただきながら、より具体的な実施計画を立てていただくというのが平成21年度であります。
 そのフィージビリティ・スタディの評価を本年度22年3月、本年度末にしていただきまして、そういうものも踏まえまして、来年度、平成22年度は準備研究をしていただきます。この準備研究というのは、これは平成23年の、今のところ3月末に次世代スパコン一部稼働というようなことでありますので、基本的にはこの戦略プログラムの本格的な開始は平成23年4月と思っております。ただ、これはやはりいち早く成果を出していただくために事前にアプリケーションの高度化などを戦略機関にはやっていただく必要があると考えており、そういうことをするための研究がこの平成22年度の準備研究というものであります。それで、平成23年4月から5年間、戦略プログラムの本格的な実施と、そのようなスケジュールを考えてございます。これがまずスケジュールであります。
 それで、また最初に戻っていただきまして、そのようなスケジュールを念頭に置きながら、この戦略プログラムをどのようなプログラムにするのか、あるいは戦略機関、どのようなイメージを持つ機関であるのかということで、本日は先生方の議論のための資料として、これは事務局でまとめさせていただいたものであります。
 まず1.でありますが、この「戦略プログラムの目的」であります。この戦略プログラムは、戦略機関が戦略分野において世界最高水準の研究成果を創出する取組を行いつつ、当該分野の研究を牽引する拠点を形成する取組を支援するものであります。
 それで、2番目には、戦略機関で実施が期待される事項と、そういうものに対して戦略プログラムでどのような支援を行うのかということが書いてあります。
 まず「戦略目標の設定」でありますが、これは戦略機関となる機関は、戦略プログラムの公募に当たり、当該分野において達成する目標「戦略目標」を設定すると。戦略目標は、次世代スパコン稼働後10年程度を見通した上で、次世代スパコン稼働後5年後に達成する具体的な事項とするということです。
 2番目に、この「戦略目標達成に向けた研究の推進」であります。戦略機関においては、戦略目標達成に向けた研究を推進する。研究の推進にあたっては、次世代スパコンのみならず、その他の計算資源を用いた計算や、実験研究者、理論研究者、計算機科学研究者等との協働が必要と考えられる。このような取組を支援するため、戦略プログラムにおいては以下の経費を措置する。これは基本的にはペタコンを用いた研究の部分を措置するということで書いておりますが、次世代スパコンを用いた研究の実施に必要な研究開発費ということで、アプリケーション開発等々、それと、当該研究開発に必要な人件費でございます。
 その次に、計算科学技術推進体制構築でございます。各戦略機関が戦略目標達成に向けた研究開発を行っていくに当たり、当該分野の拠点として以下のような取組を行いながら、我が国の計算科学技術推進体制構築の一翼を担う。
 1つ目が次世代スパコンと他の計算資源を効率的に利用するためのマネジメント。次が人材育成。その次が人的ネットワークの形成、研究会等の開催。
 次のページに行きます。研究成果の普及。また、分野を超えた取組の推進。計算科学研究機構(理化学研究所)との協力。
 以上のような取組を支援するため、戦略プログラムにおいては以下の経費を措置する。
 まず次世代スパコンと主要計算資源の効率的利用に必要な経費。マネジメントの手法について、フィージビリティ・スタディ及び準備研究期間中に戦略機関、理研、情報基盤センター等で検討をした上で具体的な経費の措置については検討するとしております。
 その次は、研究会、セミナー等の開催経費。
 次ですが、そのほか、計算科学技術推進体制の構築に当たり、各戦略機関共通に措置する必要がある経費。それぞれの戦略機関と理研、登録機関が連携した研究支援のために必要な経費などが想定されると。具体的には、これもフィージビリティ・スタディ及び準備研究期間中に検討するということを考えております。
 3.でありますけれども、「戦略機関の体制イメージ」、これは人数も書いてありますけど、これはもうあくまでも、分野によっても違うでしょうし、それぞれの機関の状況によっても違うと思いますので、あくまでも目安ということで人数も書いております。
 まず「研究体制」です。戦略機関における戦略プログラム専従研究者は10名~30名程度(ポスドクも含む)を想定すると。このほか、従来予算あるいは他の競争的資金により人件費を措置されている戦略機関所属の研究者、協力機関の研究者・学生、国内外の機関からの長期・短期招聘研究者が戦略機関を中心に(実地あるいはバーチャルに)結集することにより、戦略目標達成のための研究を推進すると。また、中核拠点(神戸)に研究者を常時派遣。5~10名程度派遣し、必要な研究活動を行うと。必要に応じて、計算科学研究機構(理研)の共通基盤、分野融合研究等に参加するということでございます。
 その次が計算科学技術推進体制構築のために必要なスタッフ。これを行うために必要な専門知識を有した専従スタッフを確保する。具体的な人数については、フィージビリティ・スタディ及び準備研究機関中に関係機関と検討を行う。目安としては5名程度を想定する。
 また、上記事業、これは研究及び体制構築、どちらもです。戦略機関全体の活動、これを支える事務局体制であります。これも必要な専従事務局スタッフを確保すると。具体的な人数については、これもFS及び準備研究期間中に検討するとしますが、目安としては、5名程度ということで書いてございます。
 次のページをお願いします。次は、「戦略プログラム本格開始までに実施しておくべき事項」ということでありますが、まず、ペタスケールコンピューティングに必要なアプリケーションの開発・整備。関係機関との連携体制構築と協力内容の具体化。また、戦略プログラム実施体制の検討と必要な人材の確保ということでございます。
 それと最後に書いてありますのは、「戦略プログラムへの提案」ということですが、「戦略機関が戦略目標達成のために行う活動は、全て戦略プログラムにより支援されることにはならないが、提案に当たっては、戦略機関としての活動全体を提示することを求めることとする」としてあります。ちょっとこれは、前の2.や3.にいろいろ書き込んでありますけれども、要は、戦略機関というのはもともと戦略機関の組織が持つポテンシャルも活用してやっていくことが本来の姿だと思っておりまして、そのもともとのポテンシャルの部分まで、この戦略プログラムで何でもかんでも措置するというと際限ないことになってしまいますので、そういうことで戦略プログラムとしての活動は、おそらくはこの戦略プログラムのお金以外のところの活動も含まれてくると思いますので、提案に際しては、その全体としての構想を示していただくと、そういうことを書いてございます。
 以上、非常に大ざっぱといいますか、中身ではありますけれども、まずこれを先生方のこの戦略プログラムあるいは戦略機関のイメージに対する、それを固めていただくための議論のための参考としての紙ということで出させていただきました。
 以上です。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 ご議論いただく前にちょっと確認させていただきたいんですが、2ページ目の上から、最初の○の2行目の一番最後から次の行に当たる「情報基盤センター」というのは、要するに、国立大学といいますか、旧帝大。

【井上計算科学技術推進室長】

 そうです。7大学の。

【土居主査】

 7帝大のものだと思えばいいですね。
 それから、その紙の一番上及び中よりちょっと下のところでありますが、「計算科学研究機構(理研)」というのがありますけれども、これは神戸に置く中核拠点等を含む理研の中につくられる機構だと思えばいいんですか。

【井上計算科学技術推進室長】

 そうですね。基本的には理研のほうで体制を整備していただくと。

【土居主査】

 はい。ありがとうございました。どこからでも結構ですので、ご意見あるいはご質問等ございましたらおっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【中村委員】

 1ページ目の(2)のこれで、「以下の経費を措置する」というところがあるんですけれども、その上のところで、「実験研究者、理論研究者、計算機科学研究者等との協働が必要」であると。何かこの文言だと、そういう人たちとの共同研究も措置しますよというふうに読めるんですけれども、最後に、「データ同化」の行は最後に「等」というのがついていますので、そうしますと、じゃ、実験のお金もこれから回せるんですねというふうにも読めると思うんですよ。ここは非常に重要なポリシーのところですので、こことしてはそういうことにももちろん、共同研究なのだから必要とあれば回すのか、あるいは計算科学ということに集中するのかというのはやはりある程度ポリシーとして決めておいたほうがいいのではないかと思います。別に実験することが悪いと言っているわけではないんですけれども、非常に基本的なことだと思うので。

【土居主査】

 そう思いますね。ただいまのことに関して何かご意見いただけますか。しかし、これは実験を含め始めますと大変なことになりますよ。

【小柳委員】

 だから、「このような」というのはちょっとあいまいで、何を指すのかを明確にすることが必要で、私の意見としては、実験まで含むというのはちょっと考えられないのではないかというふうに思っております。

【土居主査】

 いかがでしょうか。中村先生は。

【中村委員】

 私は全部の、最後の「戦略プログラムへの提案」として、活動全体のところでは実験が入っていると。そういうふうに見せながら、この費用としては実験には直接支払われないと、そういう態度がいいのではないかなと思いますが。

【土居主査】

 ありがとうございます。そうでないと、いくら金があっても足りなくなりますよね。

【土居主査】

 それはそれで、誤解なきようこの辺は文言を修正をお願いいたします。ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。

【米澤委員】

 じゃ、ここにある話と直接的ではないんですけれども、ちょっと関係しますけど、実はきのう私どもの情報基盤センターで、運営委員会で出た話ですが、戦略機関が認定されて、ほんとうに実際にペタコンが動く前に、ちゃんとアプリケーションをつくれるような場所があるのかと。我々のマシンの半分くらいの512ノードを同時に使っていただくのを月に1回だけ実施しています。週末やっているんですけど、それがもう満杯なんですよね。さらに増すことは考えていますかと言われて、いや、考えていないわけじゃないんですけれども、どうしていいものでしょうかというようなお答えをしております。少し日本全体で、どこがこういうマシンが使えて、実際にアプリケーションの開発やその他ができるのかというのをちょっと調べたほうがいいのではないかなというふうに思いましたし、何らかの形でそういうものを措置てきるんだったらしていただくということが実際にないと、これはほんとうに困るんじゃないかなと思っております。

【土居主査】

 そう思いますね。どうぞ。

【平尾委員】

 以前に名古屋大学の阿草センター長とお話をさせていただいたときに、今度、機種の交代で、あそこはFX、富士通のマシンを入れるということで今度、次のシステムの構成が少し新たに決まりましたけれども、そのマシンと比較的親和性があると言ったらおかしいんですけど、非常によく似ているものですので、阿草センター長の話では、大いに使ってもらって結構だと。もちろん本来の目的はありますけれども、活用していただいて結構だということでしたので、うまく連携をとれば、そういうところも使わせていただくというか、利用させていただくということが可能ではないかなと思いますが。

【土居主査】

 そうですね。今ちょうど両先生、特段、米澤先生のほうからありましたけど、情報基盤センターとこれはほんとうにコンタクトを密接にとった上でどういうようなことでというのを、例えば東京大学が1日を、2日、3日ちょっと空けるということが勝手にできるとも思えないじゃないですか。

【米澤委員】

 そうですね。これ以外の使い方をしているユーザーがいますから。ちゃんと調査したほうがいいと。もっと前にやるべきだったと思うんですけれども、そういう考えるあれがなかったものですから。それから、もちろん物性研とか、実際に持ってらっしゃるところもありますし、もう一度、既にデータをお持ちかもしれませんけど、ちょっと調べ直して体系的に考えたほうがいいですね。

【土居主査】

 そうですね。

【井上計算科学技術推進室長】

 特に一般利用の参加を考えてらっしゃる方の手当までは、一般利用の方がどこにどんな方がいるかをつかみ切れないのであれですけど、少なくとも戦略機関に参画して、やろうと思ってらっしゃる方は、今回決まれば、まさにFSの中で、その戦略機関の方がどんな研究をしようとしているのかというのも明らかになって出てきますので、それを何とか今年度中にやって、準備研究でそういういろんな計算資源を使わせてもらうと。ですから、今年度はぜひFSの中でそういう相談も、実際の現状も調べつつやっていくということを。ちょっと事務局もそういう目で各戦略機関の取組を促すようなことをやりたいと思います。

【土居主査】

 はい。ぜひ。同時にやっぱり調査を、並行というか、事前というか、ぐらいにはやっておいていただくほうがよさそうですね。このところに来て、JAXAにしろ、何にしろいろいろとリプレイスされて、大きいのを入れてらっしゃるから。
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、寺倉先生。

【寺倉委員】

 2つあるんですけが、1つは、前々から問題になっている次世代スパコンの仕様を研究者にできるだけ早く公開するというのは、今度、仕組みが簡単になったので、多分やりやすくなったんじゃないかと思いますけど、できるだけ早くやっていただきたいという。もう1つは全然違う話なんですけど、この今の書類を見ると、要するに、計算科学全体に対するアクティビティを上げるということで、具体的に言えば、ほかのプロジェクトなども活用してというようなこともあるんじゃないかと思うんです。例えばエネルギーなどでは、NEDOで大々的なプロジェクトをやっているので、それをこのプロジェクトとの関連に関してある程度のコンセプトをきちっとしておかないと、ほかの目的とかと言われると非常にややこしいので、一般に研究者の間にちゃんと納得できるような筋書きをつくっておく必要があるんじゃないかと思うんですね。
 多分ここではそんなにセクショナリズムじゃなくて、全体を活性化するようにということを言われているんだと思いますが、場合によると、そこは少し混線する可能性があるんじゃないかと思うので、全体的なコンセンサスをきちっと整備しておく必要があると思います。

【土居主査】

 なるほど。マルチファンドと言っちゃおかしいんだけれども、幾つかのものが出てきたときにそれぞれがルールを持っているから、そういった意味とのかかわり合いですね。

【井上計算科学技術推進室長】

 そうですね。

【土居主査】

 ちょっとそれは検討してください。お願いいたします。ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。どうぞ、宇川先生。

【宇川委員】

 全然別な視点で、多少研究者からの話になるんですけど、この戦略機関というのが単に研究グループの一つではなくて、研究分野全体を牽引するという位置づけだったと思うんですね。そのことがこの1の「戦略プログラムの目的」のところに書かれてはいるんですけれども、文章的にそのことがこれは読んだときにスッと頭に入るのかなというのがちょっと懸念があるんですよね。この文書は、先ほどからもずっと見ていたんですけれども、どこにそのことが明記されているかなと思って、これはいろいろ見て、結局一番最初に戻るんですけれども、そこがちょっと私としては気になります。
 それから、これは2行目に「拠点を形成する取組」と書いてあるんですけれども、もちろんそれも一つかもしれないんですけれども、「当該分野の研究を牽引する」ということと、「拠点を形成する」ということとは、関係はするんですが、ちょっと違っていて、どっちに重点を置くのかと。それによって申請してこられる方も考え方が違っちゃうんじゃないかと。私はこれは当該分野の研究を、分野全体を牽引するという、そういうふうに理解していたんですけれども、そこをはっきりしたほうがいいんじゃないかという気がいたしますが。

【土居主査】

 それは当該分野の、要するに、研究の推進というのが第一に来ないと、何か本末転倒になる可能性はありますよね。ある意味において、結びつく点はあるにしましても。という気がしますが、いかがでしょう。

【平尾委員】

 私も全く同じようなことを、宇川先生が発言されたことを感じておりまして、特に戦略機関というのは、その背後にコミュニティが必ずあって、それを代表しないといけないわけですね。そういうニュアンスが少し出てくるような文章にしたほうがいいんじゃないかなという気がいたします。ややもすると、戦略機関の一部の人だけが先進的に使うというような形とは少し違うのではないかと。こういう計算科学、いろんな分野がございますけれども、そういう全体で今度のペタコンを活用し、その分野を進行させるという、そういうニュアンスが入るような形にちょっとしていただくとありがたいです。

【土居主査】

 どうぞ。

【小柳委員】

 その関係ですけれども、あわせて、この3.のところに書かれている専従研究者が10ないし30名というのは、結構な人数で、とにかくこのミッションが何であるかということをもう少しはっきりしたほうがいいんじゃないかと思いますね。今の議論とも関係ありますけれども、やはりここの主たる役目は、もちろん自分たちも研究者でありながら、なおかつ、この分野全体の発展のためにサービスするというか、奉仕する、協力するということが重要な役目ではないかと思いますが、そのことをはっきり書いたほうがいいんじゃないかと思います。「専従」というのをどういうふうにとるかということもあるんですけれども、この辺のことをもう少し明確にしたほうがいいかと思います。

【寺倉委員】

 前からこの問題は議論されたのですが、きちっと目的を2つ明記したらどうかと思うんですね。1つはやっぱり戦略分野の戦略目標という、かなり挑戦的で、非常に社会的、国家的という、そういう次世代スパコンを有効活用したアクティビティで、それはもう必須の目的だと思います。もう一つは、分野というか、コミュニティを牽引していくということで、その目標を2つ明確に書いたほうがいいんじゃないかと思いますね。不可分だと思うんですが、要するに、非常に先進的なことをして、全体を引っ張るということはあると思うんですね。ですけど、そこだけがアイソレートしてやるわけじゃないという意味で、ちゃんと書いたほうがすっきりするんじゃないかという気はするんですが。

【土居主査】

 なるほど。宇川先生、特段何かアイデアありますか。

【宇川委員】

 結構難しいところなんですよね。コミュニティに支えられつつ、コミュニティを牽引するという、一言で言うと、そういう役割ですよね。それと同時に、今回のペタコンをとにかくフルに活用して、先進的な研究成果自身を出していくと。だから、その目標を達成するということと、それから、その学問をやっているグループとしてのコミュニティを支えられつつ引っ張っていくという、その2つのこと。やっぱり違う2つのことですよね。両方大事だと思いますけど。すみません。ちょっとぼやっとしたコメントで。

【土居主査】

 いやいや。そう、すべての分野に関して戦略機関にそれを求めても大丈夫かしらというのもひとつあるかとも思うんですよね。

【小林委員】

 その辺は無理ですよね。ものづくりなんていうのはね。

【土居主査】

 ものづくり。うん。

【平尾委員】

 コミュニティをつくるというか、そういう方向に努力していただくということもやっぱり。

【小林委員】

 それはそういう方向になるんでしょうけどね。

【平尾委員】

 ええ。必要なことだと思いますね。

【土居主査】

 どうぞ。

【小柳委員】

 あわせてですけれども、この「戦略分野の設定」にあります「想定される具体的研究内容」というのが列記をされておりますけど、これの考え方ですね。連携拠点を考える場合、これがやっぱり大変問題になるんじゃないかと思います。つまり、まんべんなくやるというニュアンスにとるのか、これはあくまで例示であって、このうちその時点で重要なものをやるというのか、いろんなスペクトルがあると思いますけど、その辺も戦略拠点を考えるとき、機関を考えるときに重要じゃないかと思いますけれども。

【土居主査】

 そうなんですよね。いや、まんべんなく始めたら、これはまた大変でね。だから、その辺をどのように……。

【米澤委員】

 でも、基本的には、やっぱり牽引するという立場で書いておいたほうが後々いろいろやりやすいんじゃないかと思いますけどね。それを全部フェースバリューでとらない方もちゃんといらっしゃるでしょうし、外から見てわかりやすいんじゃないでしょうか。

【土居主査】

 どうぞ。

【伊東委員】

 牽引するという、牽引の仕方が戦略分野のテーマそのものも牽引していくというやり方もあるし、その戦略分野におけるいわゆる計算機科学、インプリメンテーションという意味で牽引していくというやり方もありますよね。僕はむしろその牽引するというのを後者じゃないかなという気がしますけどね。いかがでしょうか。

【土居主査】

 牽引するというのは、確かにそれでコミュニティを育ててもらうということは極めて重要なことですので、それは表現すべきことであったにせよ、要するに、どこまで求めるかということですよね。さっきのようなご意見で、2つを明記し、両方を優劣つけず求めるのか。それはそれとしても、牽引をするのは要するに当然のこととして、当該分野の研究を主たるものとして求めるのかということで、書きぶりですよね。

【小柳委員】

 参考資料にあるあたりがことしの初めぐらいに議論したその辺の問題がありまして、そのニュアンスを見ると、やはり支援あるいは牽引的な要素が強いように見受けられます。

【土居主査】

 この参考資料というのは、要するに、募集する際にはどういう位置づけになりますか。

【井上計算科学技術推進室長】

 これも提案者の方の参考のために、添付資料というものを考えています。

【土居主査】

 添付資料として。なるほど。

【井上計算科学技術推進室長】

 ですから、きょうご議論いただいている紙も、むしろこれが前提にあって、その上での紙とお考えいただければと思います。

【土居主査】

 とにかく情報量はきっちりですね。多ければ多いほどいいという気もしないでもないから、矛盾さえしてなければ。だから、とにかくやることはやるんだけれども、牽引を、コミュニティをとにかく代表してやっていただくわけですから、その分野のやっぱり牽引ということに関しては間違いなくやってくださいというところなんでしょうね。

【平尾委員】

 そのペタコンを大いに使って、科学的あるいは科学技術上の成果を上げるというのは非常に大きな目的なんですが、同時に、やはり日本の計算科学あるいは計算科学を振興するというんでしょうか。これもやっぱり非常に大きな、ある意味でこういう、神戸の地にああいう大きな拠点をつくろうというのは、それが非常に大きな役割になるわけですね。そして、その成果を次につなげようと。人材育成を含めてですね。あるいは次の、次と言うんでしょうか、そういうところにつなげようということがあるわけですので、やはり分野の牽引と言ったらおかしいんですが。

【土居主査】

 育ってもらうというね。

【平尾委員】

 計算科学の、あるいは計算機科学の振興というのは非常に大きな目的だと思いますので、そのことはぜひ明記していただければと思います。

【土居主査】

 はい。そのとおりだと思いますので、そういうことでよろしいですか。今までのあれと矛盾しないというか。

【井上計算科学技術推進室長】

 今までの議論もそういう流れがあったと思うので、ただ、今、いざプログラムを具体的に開始して制度設計をしようと考えたときに、若干懸念するのは、果たして分野全体を、自分が今やっている課題のそこを中心とした部分では、それなりに牽引していけると思いますが、分野全体を牽引するというのは、これは分野によっては非常に幅広いし、果たしてそういうことをできるリーダーあるいは機関というのがいるのかなと。あるいは、いや、それは具体的にはどんなことをやるのかということをですね。それに対して、国費でそういう措置をしていくのかと考えたときに、いや、理想はそうだけれども、ほんとうに現実的かというところが悩ましいんですが、そこら辺との兼ね合いですね。もうちょっとこれは議論すべきだと思いますが。

【土居主査】

 はい。やっぱりそのときの分野と言ったときはどこまでを指すかという、そのサイズの問題もあると思うんですよね。さっき小林先生がおっしゃったように、ものづくりというのはちょっと、とてもじゃないというような話が出ましたけれども、基本的にはやっぱり、例えばものづくりにしましても、そのオーダーが違うマシンをどのようにやるかということを初めとしたそういうところからやっぱり牽引してもらわないといけないという面があるわけでしょうから、そういうことを含んでの、そのサイズはそれぞれそれぞれのところで考えていただければいいんじゃないでしょうかね。何かこの分野1といったら、全部を引っ張ってもらわなきゃいけないというわけではないんだろうと思いますし、そういうような誤解というか、理解されないような表現にしておいていただければよろしいんじゃないかと思いますが、それでいいですよね。

【中村委員】

 「戦略機関の体制イメージ」というところに、おそらくそういうことをイメージされているのかなと思ったのが、その従来予算あるいは他の競争的資金により人件費を措置されているという、だから、一つの戦略機関ではカバーできないような、その分野のいろいろな部分についてはほかの専門家もこういうところに入り込んできて、一つの牽引するグループができるんだという、そういうイメージであれば確かにこれはそのとおりで、その専従研究者というのは実はそういう言い方がむしろこの戦略プログラムのお金で雇用されるという、その専従という意味合いはそういう意味ですよね。だから、それ以外の研究者もみんなこれに加わってくるんだという、そういうイメージであれば確かに非常に多くの専門家が入ってくるので、十分この戦略分野というのをカバーできるとは思いますけれども。

【土居主査】

 そうですね。しかもバーチャルまで許すということがあるわけですから。
 どうぞ、小柳先生。

【小柳委員】

 この戦略機関のライフサイクルの話なんですが、このイメージのところには生まれるまでは書いてはあるんですが、一体何年続いて、その後どうなるのかというあたりがやはり応募する側では問題になると思います。なかなか今から言いにくいところもあるかと思うんですが、大体のイメージを出しておかないと、応募する側は困るかと思いますけれども。

【井上計算科学技術推進室長】

 すみません。生まれるところまでしか書いていませんでしたけれども、一応これは5年間、戦略目標自体も5年間で達成するものとしておりまして、戦略プログラム自体は5年間と考えています。ですから、平成23年度の開始のところから5年間は、このプログラムをやるつもりでいると。文科省としてもやりたいと考えているということで。

【土居主査】

 差し当たっては。

【井上計算科学技術推進室長】

 そうですね。

【土居主査】

 だから、10年程度を見通した上で稼働後5年に達成するという、2.の(1)のところにあるここで読み取ってもらう。あとは発展的に何かに移行していくんでしょうし、また、次につながっていくということもあるでしょうから。

【寺倉委員】

 もう一ついいですか。前の作業部会の報告書の中に、戦略機関とはこういうふうなものだというのがありましたね。ここでも一度私は質問したことがあるんですけど、幾つかの機関から構成されているような、バーチャルなもので構成されているようなものとか、3つ、4つ可能性は指摘されてあったと思うんですが、あれがどこかに明記されていたほうがいいような気はするんですけど。

【井上計算科学技術推進室長】

 わかりました。ちょっとこれは公募の際の、公募要綱などにそういうくだりもうまく盛り込むようにしたいと思います。

【土居主査】

 とにかく応募されるほうが戸惑われないような形で文章はつくっていただければと思うんです。ありがとうございます。
 ほかはいかがですか。どうぞ、小林先生。

【小林委員】

 1ついいですか。さっき中村先生のお話だったかな。この戦略分野それぞれについて、「想定される具体的研究内容」というのが出ていますよね。これをどう理解するかというので、やっぱり少し戸惑うんじゃないかなと思いますね。1ページ目は、「以下、それぞれの戦略分野において期待する取組について記す」ということが書かれていて、これは具体的内容まで含んでの意味合いになるかなと思いますが、さて、ここのコンセンサスは、例示であるというコンセンサスでいいと思うんですが、それは伝わるかなという感じがしているんですけどね。

【井上計算科学技術推進室長】

 入れましょうか。

【小林委員】

 どう入れたらいいかな。しかし、あんまり例示にしちゃうと、このうちの1つだけでは小さくなってしまったり、もとの、何て言うかな。

【土居主査】

 そうですよね。

【小林委員】

 どういう表現がいいのかなというのをさっきから考えているんですけどね。

【井上計算科学技術推進室長】

 「想定される具体的研究内容」の後に(例示)とつけるとちょっとあれですか。弱まってしまうという感じですか。

【小林委員】

 ちょっと弱まり過ぎるという感じがする。

【米澤委員】

 以下も含むんじゃないですか。

【小林委員】

 「含む」か。

【平尾委員】

 もともと戦略分野という、戦略ということはあると思いますね。これは戦略的にやるわけですよ。だから、この分野の課題は何でもいいですよというわけではなくて、ちゃんとこの委員会としてもヒアリングをそれぞれの分野にやって、こういう課題が非常に重要だなということを聞いて、その中からピックアップしたものですね。ですから、まあ……。

【小林委員】

 そうですね。だから、我々はわかっている。

【平尾委員】

 そうですね。それをどうわかっていただくということか。ですから、ちょっとあれかな。工夫が要るかもしれませんね。

【小林委員】

 「戦略委員会ではこういうのが議論になった」だけじゃだめかな。

【土居主査】

 いや、それは弱過ぎるな。

【小林委員】

 それはよくないか。弱いか。

【寺倉委員】

 そんなにいっぱいはできませんからね。ここに書いてあるやつ全部できるはずがないわけだから。

【小林委員】

 まあ、任せるか。

【寺倉委員】

 だから、課題としてやっぱり幾つかランクづけがされるはずだと思うんですよね。ほんとうに次世代スパコンをギンギンに使って、これまでやられたことがないような問題となると、例えば物質エネルギーの中でいえば、ここに書いてある例のほんの一部でしょう。だけど、コミュニティ全体というか、分野として取り上げていくもの、将来的にはその中からほんとうに次世代スパコンで動かすものが出てくるかもしれないわけで、こういう枠の中で研究していきますというものの中にはほとんど含まれると思うんですよね。だから、実際、次世代スパコンの上で、ほんとうに超並列を実行して、実際に問題を解くのはほんの一部だと思います。そこを区別して書くというのは至難なわざです。だけど、わかるんじゃないですか。

【小柳委員】

 だから、むしろ応募側にこういう幾つかある分野をどういうふうに位置づけて、自分たちは考えているということを出していただくということになるんじゃないかと思うんですけど。

【土居主査】

 それはそうだと思うし、フィージビリティ・スタディのときにはよりそういうことになるんだと思う。いや、例えば小林先生が私も関わっていた事業を担当されたときがあるんだけども、超小型高性能デバイスのデザインからですね。

【小林委員】

 原子力までやらされましたよ。

【土居主査】

 そうそう、航空機の丸ごとシミュレーションから原子力までというのを全部やれと言われたらどうしようということになるよね、それは。だから……。

【平尾委員】

 戦略機関で名のり上げるところはなかなかないかもしれませんね。

【土居主査】

 ないかもしれない。

【小林委員】

 でも、僕本人ならこれは無理だと思うんです。

【土居主査】

 うん。だから、それはそれぞれに分野ごとに違うんだから、読み取ってくださると思って。

【小林委員】

 やりますか。

【平尾委員】

 まあ、そうでしょうけどね。

【土居主査】

 うん。そうやらざるを得ない。

【平尾委員】

 ご判断していただければ。

【土居主査】

 そう。変な文言、変なと言ったらおかしいけど、文言を追加して、かえってまた具合が悪いかもしれないし。

【小林委員】

 そう思いますね。井上さんのところに大分質問が来るんじゃないかな。

【土居主査】

 相談窓口というのをつけて。じゃ、それはそれでいいですね。

【平尾委員】

 はい。

【土居主査】

 ほかにはいかがでしょう。差し当たってはそんなところですかね。それでまた事務局のほうでまとめ直していただいて、それで、また次回にでもと思いますが、スケジュールはもう一度確認させていただきたいんですが、こういうスケジュールでということに関しましてはよろしいでしょうか。8月初旬ごろに戦略機関の提案、公募を行い、10月ごろに決定をすると。FSを開始、来年の3月、今年度末にFSの評価をし、そして、準備研究を開始していただくと。
 どうぞ。

【中村委員】

 ちょっと質問があるんですけれども、21年度末にフィージビリティの結果の評価があるんですが、それ次第での組み替えとかそういうこともあり得るんですか。1回決めてしまうと、これはもう7年間走るということなんでしょうか。

【井上計算科学技術推進室長】

 あると思っています。そこで評価していただいて、よりよい体制とか、実際FSをやってみたら、これは例えばですよ。選んだ、選び方が悪かったんだとあとで言われかねないんですけれども、これは成果が出ないとかいうのがあれば、そこはもうちょっと、ある部分はなくすとかそういうのはあると思いますよ。きっちり評価をしていただければと思っております。

【中村委員】

 ただ、その3月の評価だと、もう次年度は変えられないですよね。予算とかそういうことは。だから、ちょっとスケジュールというのはなかなか大変かなというふうに感じたんですが。

【井上計算科学技術推進室長】

 そこは事務的な話ですが、新年度にまたそれぞれのところと契約をする話になりますので、そういうところで評価を踏まえたご契約をさせていただくということで対応できると思います。

【中村委員】

 むしろその23年度からの本チャンの開始に向けて、22年度中というのがきちんとしたスケジュールがあるといいかなというふうにも思うんですけれども。

【小林委員】

 そうか、準備の度合いを。

【土居主査】

 なるほど。この準備の度合いというのがね。

【井上計算科学技術推進室長】

 そうですね。わかりました。

【平尾委員】

 FSの候補としていくつぐらいを想定されているのか、ちょっと今のところわからないんですけれども、分野によっては非常に簡単に、簡単と言ったらおかしいですけど、まとまりやすいところもあるでしょうし、分野によっては非常に幅広くて、いろいろと協議が必要というようなところもあるでしょうし、ちょっとそのあたり、分野によっても随分状況は違いますので、来年の3月で決めてしまうとなると、確かになかなか厳しいですね。もうちょっといろいろなことを考えたほうがいいのかもしれないですね。そのあたりはわかりませんけど。

【土居主査】

 予算との兼ね合いがありますからね。年度の変わり目というのは一つの節目だろうとは思いますが、もうちょっと先のことですから、もう少し今のその準備期間という、22年の4月からの1年間のあれも含めてもうちょっと考えましょう。ありがとうございました。
 あとはよろしいでしょうか。こういうことで、それでは、改めていただきましたご意見に基づいて、事務局でまたこれを練り直していただいたものをまた検討させていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それで、今回のこのご議論を踏まえて、事務局で準備が整い次第、公募となりますので、公募要綱だとか、選定プロセス等につきましては、文部科学省のほうで検討してもらいまして、委員の皆様にもご相談させていただくことになると思いますので、どうぞまたよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上ですが、今後の戦略委員会のスケジュールにつきまして、事務局からご説明いただけますか。

【井上計算科学技術推進室長】

 資料5になります。一枚紙でありますけれども、今後は基本的に神戸の研究拠点をどうつくっていくかという議論をしていただきたいと思っております。次回は8月7日に予定されておりますけれども、次回は理化学研究所のほうで今どのようなことを検討しているのかということをプレゼンをしていただきまして、それをもとにご議論をしていただく予定であります。その後、9月にもまたやらせていただきたいと思いますし、また、10月ごろになると、戦略機関の決定みたいな話もありますので、そういうことに関連する議題を考えております。その後、3月にはフィージビリティ・スタディの評価などを考えておりますが、この辺はまたいろいろなFSの進展等々ですね。そういうものを見ながらまた適宜ご相談をさせていただければと思っております。
 以上でございます。

【土居主査】

 はい。この点に関しましてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ちょっと平尾先生にお願いがあるんですが、事務局のほうから注文といいますか、お願いが行っているかもしれませんけれども、要するに、理化学研究所で運用の全体をやるとすると、どういうような人員構成で、どのような仕事があるかということをお考えいただいて、そのうちのこの部分が共用法に基づく登録機関としてあるべきだろうというようなこと等で、全部が統一をとって動く、要するに、齟齬を来さないようにするためには、何かそういうようなベースが要るような気がするんですね。ですから、そういうようなところまでを含めて、ちょっとお考えいただければ、大変ありがたいんですが。とにかく理研は理研で、拠点だけはこうやってやる、登録機関はこうやってやるというので、登録機関のところで考えられてもやはりちょっとすり合わせが悪いというようなことが出てこないとも限りませんので、ぜひ一体となって動けるようなことで、ちょっとお考えいただいて、ご提示といいますか、この場で検討をさせていただければと思います。お願いいたします。

【平尾委員】

 はい。わかりました。

【土居主査】

 全体にわたりまして、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ではこれにて閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 事務局から連絡事項等ございますか。

【事務局】

 次回の第15回戦略委員会は8月7日金曜日の10時から12時まで、16階の特別会議室での開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、机上に配付しておりますファイルにとじた資料は次回以降も本戦略委員会において使用する資料ですので、もしお持ち帰りいただく場合は事務局側へお知らせください。
 以上です。

【土居主査】

 よろしいでしょうか。それでは、これで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

— 了 —

お問合せ先

研究振興局情報課計算科学技術推進室

(研究振興局情報課計算科学技術推進室)