次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成20年12月3日(水曜日)10時30分~12時15分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

土居主査、伊東委員、宇川委員、小柳委員、小林委員、寺倉委員、中村委員、平尾委員、矢川委員、米澤委員

オブザーバー

磯田研究振興局長、倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、奈良振興企画課長、舟橋情報課長、井上スーパーコンピュータ整備推進室長、飯澤学術基盤整備室長、中井情報課長補佐

4.議事録

【井上室長】

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回次世代スーパーコンピュータ戦略委員会を始めさせていただきます。私は、研究振興局情報課スーパーコンピュータ整備推進室長、井上と申します。
 お集まりいただきました先生方、本日は次世代スーパーコンピュータ戦略委員会ということで、今後の次世代スーパーコンピュータを実際に使う戦略を決めていただく委員会の委員をお引き受けいただきましてありがとうございました。本日は第1回目ということでございますので、初めに主査の指名についてご相談をさせていただきたいと思いますが、主査のご推薦につきまして、どなたかご意見ございますでしょうか。

【平尾委員】

 それでは、次世代スーパーコンピュータ作業部会でも主査をお務めいただいた土居先生にぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【井上室長】

 ありがとうございます。皆様、土居先生に主査をということでございますが、よろしいでしょうか。
(「意義なし」の声あり)

【井上室長】

 ありがとうございます。意義なしということでございますので、主査は土居先生にお願いしたいと思います。
 それでは、以下の議事進行は土居主査からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【土居主査】

 おはようございます。土居でございます。この委員会の重さからいたしまして、主査を拝命いたしまして、今後、進めるに当たりまして微力でございますので、ぜひ皆様方のお力をお借りして進めていかなければならないと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最初の会合でございますので、一言だけお話といいますか、ご挨拶させていただきたいと思いますが、先ほど、平尾先生からもお話が出ましたが、お手元の参考資料2-2に「次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書」というのがございます。この作業部会報告書には、作業部会でかなりの時間をかけまして審議した結果が取りまとめてあるわけですけれども、この報告書では、全体を通しまして次世代スーパーコンピュータの運用までを含めましたあり方の基本的な哲学が書いてあるというようなことでご理解いただければと思います。従いまして、この後、この委員会で総司令部ができ上がったわけですので、戦略的研究開発プログラムをはじめとして、どのような形でこの利用をするかということと、それから、運用までを含めまして、各機関の切り分け等々といいますものも、この委員会ですべて決めていかなければいけないということでございますので、後ろが限られているところで、でき上がってきたときには、もう動かしていなければいけないというようなこともございますので、ぜひ皆様方のお力をお借りして、我が国の次世代スーパーコンピュータがうまく運用され、しかも各分野できちんとした成果ができる方向に持っていければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、最初でございますので、文部科学省の倉持審議官から一言ご挨拶をお願いできればと思います。

【倉持大臣官房審議官】

 おはようございます。振興局担当の審議官をしております倉持と申します。本来ですと、局長の磯田がご挨拶すべきところなのですけれども、12月ということになりまして、今、いろいろ予算とか動いていまして、ちょうど自民党の部会と、大変恐縮ですが時間がぶつかってしまいまして、今、磯田と情報課長の舟橋はそちらに行っております。後で駆けつけると思いますけれども、そういう事情でございまして、恐縮でございますが、私から一言ご挨拶を申し上げます。
 まずは、委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、この委員をお引き受けくださり、また、本日お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 今、土居主査からもお話がありましたように、この次世代スパコンをどのように使いこなしていったらいいのか、いわゆる理論と実験と並ぶ第三の科学技術手法と言われる計算科学といいますか、シミュレーション、その部分をこれから日本全体として、この次世代スパコンという大事なリソースをどう使いこなしながらレベルアップを図っていくのかと、こういう非常に重要なご議論を具体化に向けてしていただくのだと認識しております。この分野は本当に動きも早いですし、従来の分野の概念を超える、そういった考え方もあるいは必要なのかなというふうにも感じているところでございます。
 いずれにしましても、ここでの議論、それから、ここの外のいろいろな関係者にも非常にインパクトのあるご議論だと思いますので、ご議論の内容をしっかりいただきながら、具体的な仕組みづくりというものを私共として心がけていきたいと、このように考えております。
 いろいろ、本当にお忙しい中ですが、何とか頻度を重ねてご議論いただかなければならないと思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。
 それでは、初回でございますので、事務局より委員の皆様方のご紹介をお願いできますでしょうか。

【井上室長】

 資料1をご覧いただきますと、委員名簿が入ってございます。五十音順になっておりまして、本日、座席も土居主査を中心にその順番になっておりまして、その順番にご紹介させていただきます。
 まず、富士通株式会社取締役副会長であります伊東委員でございます。

【伊東委員】

 伊東です。

【井上室長】

 その次に、筑波大学数理物質科学研究科の教授でいらっしゃいます宇川委員でございます。

【宇川委員】

 宇川です。よろしくお願いいたします。

【井上室長】

 工学院大学教授でいらっしゃいます小柳委員でございます。

【小柳委員】

 小柳でございます。

【井上室長】

 財団法人日本自動車研究所の所長でいらっしゃいます小林委員でございます。

【小林委員】

 小林です。

【井上室長】

 北陸先端科学技術大学院大学教授の寺倉委員でございます。

【寺倉委員】

 寺倉でございます。

【井上室長】

 大阪大学蛋白質研究所教授でいらっしゃいます中村委員でございます。

【中村委員】

 中村です。

【井上室長】

 東京大学副学長でいらっしゃいます平尾委員でございます。

【平尾委員】

 平尾です。

【井上室長】

 東洋大学計算力学センター長でいらっしゃいます矢川委員でございます。

【矢川委員】

 矢川です。よろしくお願いします。

【井上室長】

 東京大学情報基盤センター長でいらっしゃいます米澤委員でございます。

【米澤委員】

 よろしくお願いします。

【井上室長】

 以上の先生方が就任されているところでございます。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。委員の先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、事務局より本日の配付資料につきまして確認をお願いいたします。

【事務局】

 お手元の「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第1回)議事次第」をご覧ください。
 資料といたしまして資料1「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会委員名簿」、資料2「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会の設置について」、資料3「次世代スパコンを中核とした研究教育拠点形成の具現化に向けた基本的考え方(案)」、資料4「戦略分野の選定方針と戦略機関のあり方について(案)」、資料5「戦略委員会における今後の審議予定(案)」というのがございます。さらに参考1といたしまして「『次世代スーパーコンピュータ』プロジェクト」という2枚のものがあります。次に、参考2-1といたしまして「次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書(概要)」というものがございます。その次に、参考2-2といたしまして「次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書(本体)」がございまして、それに加えまして机上配付という形で「戦略課題(案)一覧」というものがございます。
 もし欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上です。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。また何か足りないものがありましたら、その都度おっしゃっていただければと思いますので、先に進ませていただきたいと思います。
 それでは、事務局から、次世代スーパーコンピュータ戦略委員会の設置についてのご説明をお願いできますでしょうか。

【井上室長】

 それでは、資料2をご覧ください。本戦略委員会の設置について、その趣旨等について説明した資料でございます。
 1番目に設置の趣旨が書いてございます。この次世代スーパーコンピュータプロジェクト、これは平成18年度に開始したわけでありますけれども、特に2番目のパラグラフ「本プロジェクトがその目的を達成するためには、研究開発を着実に進めるとともに、次世代スパコンの完成後をにらみ、その利活用のあり方を検討することが重要であり、昨年11月に科学技術・学術審議会のもとに、次世代スーパーコンピュータ作業部会を設置し、その基本的方針を検討してきたところであるが、今般、その具体について検討するために、次世代スーパーコンピュータ戦略委員会を設置する」というものでございます。
 そして、そこでの検討事項でございますけれども、戦略分野、戦略目標の設定、一般的利用(教育枠、産業枠)の制度設計、資源配分の検討、登録機関の業務内容の検討、関係機関との連携のあり方の検討、利用料金の方針検討、戦略プログラム全体の研究教育の進捗状況の把握・評価、戦略分野間の研究費の配分計画の策定等ということにさせていただいております。
 構成及び運営でございますけれども、研究振興局長の私的諮問機関として設置をさせていただいております。また、この委員会は原則公開としております。構成員につきましては、既にご紹介させていただいたとおりでございます。
 設置期間につきましては、この次世代スーパーコンピュータが本格稼動しましてから、戦略プログラムというものを5年間継続しようと考えておりまして、基本的にはそれが終了するまでということで、平成29年の3月31日までということにさせていただいております。
 庶務につきましては、研究振興局情報課が処理するということでございます。
 以上でございます。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明に関しまして何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。
 それでは、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、戦略委員会での検討の前提となります次世代スーパーコンピュータプロジェクトの概要と、それから次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書について事務局より説明をお願いいたしたいと思いますが、これはこれから先のご審議をいただく、あるいはいろいろなものを決めていただくに当たりまして、大もとになります大枠でございますので、まず冒頭で意識合わせをさせていただく必要があろうかと思います。その点、どうぞお含みおきのほどお願いいたします。
 それでは、お願いいたします。

【井上室長】

 それでは、まず、これまでの議論の経過を共有していただくために、次世代スーパーコンピュータプロジェクトの概要と本年7月にお取りまとめいただきました作業部会の報告書についての説明でございます。お手元の資料の参考資料の1、参考資料の2-1、2-2、そちらの資料でご説明をさせていただければと思います。 参考1、A4横2枚紙で「『次世代スーパーコンピュータ』プロジェクト」というものがございます。そちらに書いてありますように、右上に予算が書いてございますけれども、本プロジェクトは平成18年度から開始されておりまして、平成24年度まで総事業費1,154億円ということで行っているものでございます。
 1番目にありますとおり、この目的は、世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータの開発・整備及び利用技術の開発・普及でございます。
 2番目に概要を書いてございます。理論、実験と並び、現代の科学技術の方法として確固たる地位を築きつつある計算科学技術をさらに発展させるため、長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要技術(国家基幹技術)であります「次世代スーパーコンピュータ」を平成22年度の一部稼動、平成24年の完成を目指して開発するというものでございます。
 主に3つの柱がございます。1番目が次世代スーパーコンピュータの開発・整備でございます。2番目が、それを最大限利活用するためのソフトウエアの開発・普及、3番目がスーパーコンピュータを中核とする世界最高水準のスーパーコンピューティング研究教育拠点を形成するというものでございます。
 体制につきましては、開発主体であります理化学研究所を中心に、現在は産学連携体制を構築してやっておるところでございます。
 また、特に留意しなければいけないのは、この3の(2)にありますように、これは「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」、その法律に基づいて作られます共用施設という位置づけであるということでございます。
 1枚おめくりいただきますと、開発の年次計画が書いてございます。システム部につきましては、ハードウエアでございますが、現在、詳細設計を行っている段階でありまして、平成21年度からいよいよ製造に入ってまいります。平成22年度の末には一部稼動、平成24年には完成ということで進められているところでございます。
 また、ソフトウエアとしましては、グランドチャレンジアプリケーションとしまして、次世代ナノ統合シミュレーションと、次世代生命体統合シミュレーションということで、この2分野につきまして開発が進められております。
 また、施設、これは実際の建屋でございますが、それにつきましても計算機棟については、既に建設のフェーズに入っており、研究棟につきましては、この1月から建設のフェーズに入ります。
 3ページ目に、現在、建設が進んでおりますポートアイランドのところの写真と、完成予想図、概観が書いてあるところでございます。
 引き続きまして、「次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書」につきましてご説明させていただきたいと思います。参考資料2-1と2-2でございます。
 まず、参考資料2-2の最後のページをご覧いただきたいと思います。この報告書の内容というのは、この戦略委員会でご議論いただく前提となる基本的な方針を定めていただいたものでありますが、30ページに書いてありますように、土居先生を主査といたしまして、ご覧のような委員の方々に、31ページにありますような審議経過を経てまとめていただいたものでございます。
 次に、その冊子の23ページをお開きいただければと思います。23ページの下側に「特定先端大型研究施設の共用の枠組み」というものがございます。先ほども申し上げましたけれども、この次世代スーパーコンピュータシステムというものは、この「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」というものがございまして、それに基づく共用施設という位置づけでございます。この位置づけのもと作られておりまして、設置というところに理化学研究所と書いてありますけれども、これは設置者というものと、またその共用のために利用の促進をする、その右側にあります登録機関というものがございますが、この2つのプレーヤーがいるわけでございます。理化学研究所におきましては、これは共用法の第5条に定められておるのですけれども、次世代スーパーコンピュータの開発、それと建設、維持管理をするという役割を担っております。
 また、登録機関でございますけれども、これはその登録機関の「共用」という箱の下のほうに書いてありますけれども、公平かつ効率的な共用を行うために施設利用研究に専門的な知見を有する、開発主体とは別の機関が共用業務を実施すると。これは、利用の公平性を担保するために、開発機関とは別の者が共用、利用を促進する業務を行うということで、登録機関というものが存在いたします。
 こういう大きな枠組みのもとに、この作業部会の検討がなされたわけでございます。作業部会でまとめられました具体的なポイントですけれども、このA4横の参考2-1、こちらのほうでポイントだけご説明させていただきたいと思います。
 まず、次世代スパコンの共用のあり方ということでございます。次世代スパコンの共用法に基づく施設、世界最先端・最高性能の計算機、という特徴を踏まえ、多くの研究者等に活用されるとともに、優れた成果が創出される仕組みや環境を構築すべき。また、利用のあり方として、多様な研究者のニーズに応える一般利用、それのみならず社会的・国家的見地から特定分野の研究を戦略的・重点的に推進する「戦略的利用」、そのような考え方を導入することが必要である。「一般的利用」の中におきましても、「産業利用枠」でありますとか、教育利用枠、そういうものを設定することが必要である。また、次世代スパコンの高度化などのために、設置者である理研に一定時間の利用を認めることが必要である。また、次世代スパコンの能力を最大限に活用するため、登録機関による利用者への情報提供、利用に関する相談及び利用支援、アプリケーションの調整のための支援など、きめ細かい研究支援が不可欠である。また、そのほか、研究成果の取り扱い等々についてもご指摘を受けているところでございます。
 裏面をご覧ください。「次世代スパコンにおける研究機能の構築」ということでございまして、特に研究面において書いてあるわけでございますけれども、戦略的利用、それを具体化するために、戦略的研究開発プログラムというものを創設してはどうでしょうかということでございます。また、戦略的研究開発プログラム全体のマネジメントを行う戦略委員会を設置し、戦略分野、戦略目標は、この委員会の検討を踏まえて設定する。また、国は戦略分野及び戦略目標ごとに研究機関を対象として公募を行い、戦略委員会の選定を踏まえ、戦略機関を決定していく。戦略機関の研究期間は、原則5年間とし、期間中は計算資源の割当など、次世代スパコンを優先的に利用する。
 また、設置者である理研が次世代スパコンの高度化など、設置運用の効率化や利用者の利便性向上のための研究を実施することが適当である。また、今後、このような研究開発を戦略分野に位置づけることも検討することが必要である。
 また、効果的・効率的に研究開発や人材育成を行っていくための連携体制の構築のために、理研が中心となり、戦略機関、理研、登録機関で構成される連携推進会議を設置することが必要。また、利用者を含めた幅広い関係者からなるフォーラムを開催するということが指摘されております。
 さらに、次世代スパコン施設において、産業利用や人材育成などの諸機能が全体として有機的に形成されることが必要である。
 また、全国からの遠隔利用が可能であり、全国に存在する計算機資源と連携を図りながら、全体としてネットワーク型の機能構築を図っていくこと、そういうことにも留意することが必要とされております。
 こういう検討の結果をイメージ図にしたものが、本体の冊子の27ページにございます。27ページに「次世代スパコンにおける諸機能の構築」とありますけれども、真ん中に次世代スーパーコンピュータというものがありますが、ここに設置者である理化学研究所、また利用促進を行う登録機関、さらに戦略的利用を行う戦略機関、主にそういう3つのプレーヤーが存在してございます。そういうところを中心に、その外側に書いてあります全国の大学、民間企業、研究機関、そういうところといかに連携を図り、全国の計算機資源を有効に活用していく。そういう体制をいかに作っていくか。そういう中でこちらの戦略委員会で議論をしていただきます戦略機関のあり方等々が非常に重要になってくると考えておるところでございます。
 以上がこれまでの経過の背景のご説明でございます。

【土居主査】

 どうもありがとうございました。
 もう既にこの作業部会の報告書にお目通しいただいているかもしれませんが、基本的にはこれをベースにして、これをさらに詳細化するというような形になるわけですので、ぜひ熟読吟味していただき、全体の共通認識としてご理解いただくようにお願いいたしたいと思います。
 ただいまのご説明に関しまして何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

【宇川委員】

 よろしいでしょうか。

【土居主査】

 どうぞ。

【宇川委員】

 まさにこの27ページの図なんですけれども、プレーヤーが戦略機関、理化学研究所、登録機関と三者ある。戦略委員会そのものは一体どこに位置するのかということが実は抜けているように思います。資料2を拝見しますと、検討事項が1から9までございますが、主査が最初におっしゃいましたけれども、総司令部であるという位置づけが確かにここに書かれている。
 そうしますと、共通理解として、次世代スパコンにおける研究、運営、その他、それはこの戦略委員会が、いわばこの27ページの図の全体の上にかぶっている。そういう位置づけでさまざまな議論をしていってよろしいのかどうか。そこが一つポイントではないかと思います。特に登録機関との関係なんかを考えますと、そこが非常に重要な点ではないかと思います。

【土居主査】

 26ページのほうの絵を見ていただきますと、一番上に戦略委員会というのがありまして、それで全部下までを、ある意味において見ていく必要があるという形になっておりまして、国との関係はこの戦略委員会が一手に負っているというような一応の構想があるわけなんですね。この下の四角をかみ砕いたようなものが、27ページというようにご理解いただければいいと思いますので、戦略委員会といいますものが、すなわち戦略機関等々を決めるだけではなく、登録機関のあり方、あるいは設置者である理化学研究所の役割なども、全部今から切り分けといいますか、お願いする役割を決めていっていただく必要があるというような立ち位置になっているのですが。よろしいでしょうか。

【宇川委員】

わかりました。

【小柳委員】

 関連で、この中に連携推進会議というのがあると思うんですが、これと、この戦略委員会との関係についてはどんな感じの構想なのかというのをもうちょっとご説明いただければと思います。

【井上室長】

 この戦略委員会におきましては、全体の次世代スーパーコンピュータを中心としまして、オールジャパンの体制をいかに構築していくのか、そういうことについてご議論いただくわけでございますが、実際、現場におきまして、さまざまな連携をしていかなければならないことが多々あると思います。連携推進会議のほうは、まさに現場で実際のプレーヤーであります戦略機関、理化学研究所、登録機関、そこが関係機関も巻き込みながら連携をしていく、そういう場でございます。そういう意味におきましては、全体の大きな設計は戦略委員会のほうでやり、なおかつその後の進捗なんかも見ていくわけでございますが、連携推進会議は、まさに現場で全体を運営していくために連携を図るための場だと考えてございます。

【土居主査】

 よろしいでしょうか。

【小柳委員】

 はい。ありがとうございました。

【中村委員】

 スケジュールなんですけれども、開発の年次計画はあるのですけれども、公募であるとか、それから登録機関とか、そういうものはいつごろまでに作らないといけないとか、公募をやらないといけないと、そういうことを紹介いただけますでしょうか。

【井上室長】

 現時点で将来の予算が確実に決まっておりませんので、明示的には書いてございませんけれども、少なくとも登録機関につきましては、次世代スパコンが稼動するころには、立ち上がっていないといけませんので、次世代スパコンが一部稼動する相当程度前、準備期間も要ると思いますが、その準備期間も考えた上でと考えております。

【中村委員】

 公募は。

【井上室長】

 登録機関につきましては、これも公募で行いますので、実際には登録機関になる要件というもの、これからこの委員会でも議論が出てくると思いますけれども、これも相当程度の準備期間を確保した上での、実際に立ち上がる前の、さらに前の公募と。ちょっと現時点で明確にいつということは言いがたいのですけれども、1年、2年程度前には公募も行われるということに考えてございます。

【土居主査】

 先ほどの説明の冒頭にありましたように、将来のことで、また、こういうご時世になったときに予算のつき方ということが、まあ、総枠は一応あるわけですが、それは開発だけでして、こういうことに関しましてはこれからの進捗に合わせて予算を用意していただかなければいけないわけですが、それとの絡み合いがあるということが一つと、それから、この登録機関の役割は共用法で定まってはいるのですが、現実にこのスーパーコンピュータに関しては、どのようにするかということの詳細に関しましてはもうちょっと詰めなければいけないというような点もあると考えております。
 それと悩ましいのは、法律上は複数設置することができるということになっているんですね。そうなったときに、このあり方はどうするかとか、いろいろ検討しなければいけない、この場で決めていただかなければいけないことがありますので、今のようなことで運用が始まったときには、既にありとあらゆるものがスタートしていなければいけない。しかも、登録機関ではしかるべき情報提供だとか相談というところまでもサポートしなければいけないというようなことがありますので、さかのぼりますと今の説明のようなことで、「最低この辺までは」、という程度のところしか現段階では決まっておりません。そういうこともおいおい、プライオリティーをつけてこの場で審議をしていただくことになりますが、まずは戦略機関で担当する戦略的開発プログラムのあり方の辺から順次、そのテーマを決めながら、齟齬を来さないように進めていくということになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 23ページの下の絵をご覧になっていただきますと、さっき室長からのご説明のときにも使われたのですが、設置者である理化学研究所のところに次世代スーパーコンピュータということに関する、その下側にSPring-8もいるんですね。ですから、共用法、これを引っくるめての法律になっておりますものですから、それぞれ固有の点に関しましては何らかの形で、この法律に反しないような形で埋めていかなければいけないというような状況になってはおりますので、ご理解いただければと思います。
 また、さかのぼって何かご質問等があればいただくといたしまして、議題1の「次世代スパコンを中核とした研究教育拠点形成について」というところに入らせていただきたいと思います。ここでは、今後の戦略委員会におきます検討に当たりまして、このプロジェクトを通じてどのようなことを目指すのかということを、これも我々の共通認識として持っておくための議論をしていただきたいと考えておりますので、まずは事務局からご説明をお願いできればと思います。よろしくどうぞ。

【井上室長】

 それでは、資料3をご覧ください。「次世代スパコンを中核とした研究教育拠点形成の具現化に向けた基本的考え方」というものでございます。この資料は、先ほど紹介いたしました作業部会の報告書、その考え方を踏まえまして、事務局にていろいろな関係者の方々と意見交換をさせていただいた上で、案としてまとめさせていただいたものであります。
 まず1番目に、基本的方針でございます。次世代スパコン施設を中核拠点、戦略機関を分野別の中核拠点とし、大学(情報基盤センター等)と連携した計算科学技術研究ネットワークを形成し、その上で以下を達成する。
 1番目としまして、次世代スパコン施設における研究の推進(研究者、技術者が常駐する)。これは次世代スパコン施設に研究機能を持たせようということでございます。2番目が、次世代スパコンを核とした全国の計算資源の一体的な活用。3番目が、各拠点が連動した充分な支援体制の構築ということでございます。
 そういう考え方に立ちますと、それぞれのプレーヤーにおきまして、それなりの機能が求められるだろうということでございます。それが2番目でございます。各拠点に求められる機能といたしまして、次世代スパコン施設。ここは理研と登録機関と書いてございますが、まずは研究実施環境の提供。利用者の選定。分野別中核拠点、情報基盤センターと連携した研究支援体制の構築。分野別中核拠点、情報基盤センター等主要計算資源保有機関との連携体制の構築。教育・人材育成プログラムの実施。分野別中核拠点、情報基盤センターと連携した産業利用の促進。情報発信。
 また、分野別中核拠点、これは戦略機関を想定してございます。そこにおきましては、次世代スパコン施設に一定の研究拠点を設ける。戦略分野における次世代スパコンと他の計算資源の一体的利用。また、戦略分野における次世代スパコン利用に係る研究支援の協力を行う。また、情報発信等を行うというようなことでございます。
 以上でございます。

【土居主査】

 ありがとうございます。
 要点だけがここに書かれているわけですが、室長が今、説明されるときには加えられたような気がしますが、次世代スパコン施設という丸が2.のところにありますが、そこのところの3番目の「分野別中核拠点、情報基盤センターと連携した」というところには「等」をつけておいていただいたほうがよろしいかと思いますし、同じように、その並びの一番下の「情報発信」の1つ上のところも「情報基盤センター等」ということで広目にとっておいていただいたほうが実際上はよろしいかと思います。それでよろしいですね、室長。

【井上室長】

 はい、そうですね。

【土居主査】

 それでは、このようなことの、要するに、これが基本的な考え方のわけで、この詳細を決めていかなければいけないのですが、まず初回ですので、こういうようなたたき台というか、項目が羅列されたものですから、その裏が何かとか、その行間が何かということに関しましては、なかなか難しい点があろうかと思いますが、大枠、あるいは個々のここに書かれております項目に関しまして、ご意見等賜れればと思うのですが。もちろん、ご質問等々を含んでいただいて結構ですが、どこからとは申し上げませんで、全体どこからでも結構ですのでご意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【寺倉委員】

 よろしいでしょうか。

【土居主査】

 はい、どうぞ。

【寺倉委員】

 次にご説明いただくのだろうと思いますが、その次の資料4の、戦略機関に求められる事項の中に、その戦略分野における人材育成というのが書いてあって、分野別中核拠点のところに人材育成とか教育が何も書かれていないのですが、確か作業部会の報告書の中では、戦略機関の重要な責務として、教育、人材育成が書いてあったので、ここにも一言何かあったほうがいいと思うんですが。

【土居主査】

 ありがとうございました。これはつけ加えさせてください。人材育成の点に関しましては。
 ほかにはいかがでしょうか。小林先生、お願いします。

【小林委員】

 2点ほどご質問させていただきたいと思うんですが、先ほどの最初のご説明の中に、運用の効率化や利用者の利便性研究も戦略の中に含めるという表現がございましたが、これは後からご議論されることとは思いますけれども、それはそういうことでよろしいということですね。お配りいただいた机上配付のこれには、相当具体的な課題になっていますが、そこにはその種のようなものはまだ組まれていないというふうな理解でいいということでしたね。
 それからもう1点、各拠点に求められる機能と、その基本的方針の1番に関係するわけですが、次世代スパコン施設における研究推進、研究者、技術者が常駐するような形で基本的に考えたいという基本方針はそういうものかなと思うのですが、つまりどういうことかというと、やはりそこに常駐する必要が本当にあるのかなと。しかし、一方ではこういうのを本格的に推進し、発展させるためには常駐したほうがいいんだなということも考えておりますが、その分野別中核拠点の中で次世代スパコン施設に一定の研究拠点を設けると、「一定の」という何となくニュアンスのあるような意味合いが入っておりますけれども、これはどの程度「一定」なのかというような、そういう、何となく感じでこのようにしておけということなんでしょうかね。

【井上室長】

 ただいま2点いただきましたけれども、まず基盤的な部分ですね。設置者である理研が行う設置運用の効率化等々につきましてでありますけれども、これは作業部会におきましては、これを戦略分野に位置づけることを検討することが必要ということでありまして、これはまさにこれからご議論いただく戦略分野のあり方によると思います。もうこれが戦略分野と現実に決まったわけではないと考えております。
 それと、今、机上配付の具体的な課題がという言及がありましたけれども、実はこれはまさに戦略課題というのもこれから、今後、具体的な課題を検討していただくに当たり、これは我々のほうで、現時点でペタスケールのコンピュータで動かせるアプリケーションをそろえているところというのが、必ずしもそうはないのですけれども、これは現状におきまして、将来数年後、ペタコンが動くころには、ペタスケールのコンピューティングが可能になるような可能性を秘めている現状の技術を、ご参考までに並べたものでございますので、そういう意味ではこっちの紙は非常に具体的な課題が並んでおりますけれども、これがにわかに戦略課題、戦略分野になるということでお出ししているものではございません。これは、今後の具体的な戦略分野の検討に資するための現状の技術を拾い上げて、分野ごとに事務局のほうでまとめさせていただいたという位置づけでありますので、これにそこまでとらわれる必要はないと考えてございます。
 それと、戦略機関におけます一定の研究拠点を次世代スパコン施設に設けるということでありますけれども、これはその分野に応じまして、その状況に応じて、多少違いはあると思いますが、これを事務局のほうで、ここの文章を入れさせていただいたのは、やはりそれぞれ分野の縦割りではなく、神戸で、あるいはいろいろな計算科学技術の関係者が集まって分野融合とか、さらなるそういう効果も期待しておりますし、少なくともそこに研究者がいないと、なかなかそこに人が集まるようなことにはならないだろうと思いましたので、その「一定の」というのは、現時点でここでかちっと決める必要はないとは思いますが、少なくともある程度拠点を、ブランチを設けるということが必要ではないかと考えて入れさせていただいたものであります。

【土居主査】

 それと、設置者である理研に一定時間の利用を認めるというのがありますが、基本的には基礎基盤になるところはやっていただく必要があるだろうというのがあります。その場所がどこかとやったときには、やはり一つは神戸でやるのがよかろうという案はあるわけです。ですから、その意味で施設に一定の研究拠点。そのときに、戦略は基礎基盤ということになりますと、なりにくいというようなこともありますので、一定の時間をやって、戦略機関とはまた別途の扱いをしようということもあります。
 と同時に、戦略機関は、読んでいただきますとおわかりになると思うのですが、基本的にかなり大きな固まりを考えてあります。と同時に、要するにバーチャルな体制も考えてあります。ですから、どこかに固まりがどんとあるというのも、それは一つの理想ですし、全国的に展開しているような、あるいは海外も含んで展開しているようなバーチャルなものも含んでおりますので、そのときに、その戦略研究を進めていただくときには、進めやすいという形態をとっていただきたいので、その場合には神戸が選ばれるかもしれないというようなことを含んでおりますので、その意味で「一定の」という、ぼやっとしたような、一定というのはどの程度だと言われますとなかなか悩ましい表現ですが、そんな意味合いを持っているものだとご理解いただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ、中村先生。

【中村委員】

 2つあるのですが、1つは、基本的方針というのは、これは非常に大事なものだと思うのですが、ですから、ちょっと文言をきちんとしたほうがいいと思うんですね。特に、この2番目なのですが、「次世代スパコンを核とした全国の計算資源の一体的活用」と、これを達成するというふうに言ってしまうと、これは文科省系列のスパコンを一体化運用するのも、なかなか大変だと思うのですが、それを超えていろいろなほかの省庁のコンピュータ資源も全部これで一体化しますというふうに宣言するのは、なかなか勇敢過ぎるのではないかと。
 もちろんこれは非常に大事なことではありますし、将来はこういうことはなかなか望ましい、いい姿とは思うのですけれども、やはりこれはもうちょっと注意深い文言のほうがいいのではないかと思います。
 もう1点なんですけれども、これは今、土居先生のほうからもあったのですが、海外との連携というのは、これがやはりあまりどこにも語られていないのですが、アメリカとはもちろん競争すると。もちろん一方では連携もあると思うのですが、特にアジアの諸国の研究者との連携というのは、これは、こういうのをつくっていると、SPring-8は実際そうなっていて、多くのアジアの研究者が測定を行いに来ているわけですけれども、同じような形で実際にスパコンもアジアの研究者が、いろいろな条件をつけながらも、とにかく使えるんだと、開いていると、そういうことを見せる必要があると思いますので、特にこれは次世代スパコン施設のほうの機能として、海外連携を図ると、こういうのをつけ加えるべきだと思います。

【土居主査】

 ありがとうございました。

【平尾委員】

 よろしいですか。

【土居主査】

 どうぞ。

【平尾委員】

 施設の話が出ていますので、一言話したいと思うのですが、次世代のスパコンを活用して、科学技術のブレークスルーを図るというのは、この国家プロジェクトの大きな目的だろうと思っています。もともと計算科学というのは学際的な領域でございますので、いろいろな分野が融合するというのが非常に重要でございます。私はその意味では、本当の意味で世界トップレベルの研究拠点を神戸につくって、従来の発想にとらわれないような新しいセンター、COEというものを作るべきだと思います。中村先生が言われたように、世界から本当に一流の研究者を集めて、そして分野を超えた融合、知の融合とか、あるいは新しい知の創造を目指すということが必要です。コンピュータだから神戸にいなくてもいろいろなところからアクセスできるじゃないかということはもちろん言われるのですが、これだけ大きなものができるわけですので、それを有効に活用することを考えるべきだと思っています。

【土居主査】

 ありがとうございます。
 宇川先生。

【宇川委員】

 いろいろな方がいろいろおっしゃっていますので、重なっているのですけれども、中村先生のご意見には全く同感で、2のところですが、一体的活用というのは、意味があまり明らかではない。一方で、ある種、全体を使うんだというイメージが先行し過ぎているように思います。ですから、もう少しやわらかな、連携活用とか、そういったような言葉のほうがいいのではないかと思います。それが1点目ですね。
 それから、2点目ですけれども、先ほど、小林先生からも出ましたけれども、支援機能効率化の観点ですが、全体的に計算機科学という観点がいろいろな資料を見ますと、必ずしも表に出ていない。次世代スパコンに関しましては、実は日本における計算科学の一つの大きな問題は、アプリケーションドメインと、それから計算科学が一緒にやるといいますか、そういう観点がなかなか育ってこなかったということではないかと思います。その観点からしますと、支援機能というのはあたかも底支えのように思えてしまいますので、もう少し積極的に計算科学とアプリケーションドメインの連携、それは実は将来を見越せば戦略的な観点なのであるという視点が実は大事ではないかと思います。
 そういったことも含めて、私は平尾先生に全く同感なのですけれども、神戸に一定の人数が集まって、最先端の拠点にするということは、これは次世代スパコンに関しましては、ある種、マストの要素があるのではないかと思っています。

【土居主査】

 ありがとうございました。

 小柳先生。

【小柳委員】

 今の平尾委員、宇川委員の意見に関連したことでございますけれども、計算科学技術というのは、資料にありますように、非常に広い分野を含んでいるということがあるのと同時に、その共通の基盤の技術にかなり親近性がある。例えば、連立一次方程式を解くとか、いろいろな微分方程式を解くとかですね。そこに意外な近さというか、そこにまた学際的な協力をする余地があります。逆にそういう性質を使って、いろいろな問題を解くコンピュータサイエンス的な技術を開発することも重要です。そういう意味での異分野間の連携といったものを促進するということが非常に大事な要素ではないかと思って、その点が次世代スパコン施設に求められる中に、何か欠けているのではないかという気がいたします。
 これを見ると、ちょっと極端に言いますと、ユーザーが勝手に使いにきて、ある資源を使って帰るというようなニュアンスが強過ぎる感じがします、やはりそこを拠点として、諸分野間の連合を推進する必要があります。特にこの計算機は難しい計算機になると思いますので、それを使いこなす技術を含めて連携するということが理研及び登録機関に課せられるのではないかと思います。

【土居主査】

 ありがとうございます。

【米澤委員】

 私は計算機科学の、コンピュータサイエンスの人間ですけれども、また東大の情報基盤センターの運営をやっております。それで、基盤センターというか、こういう大きなスパコン・ペタコンがあるところに、実際に計算機のことがよくわかっている人、あるいはアプリケーションの基本的な部分がよくわかっている人が側にいるというのは、マシンの運用上、非常に重要だと思います。それは東大の情報基盤センターの運営をここ3年間やっておりまして、率直に感じるところです。
 ですから、この中で、今、「支援」という言い方ではなく、もう少し積極的にかつ高い技術的見地から得られる、より効率的で高度なマシンの使い方をするという、そういう意味あいを持った言葉をいれることが重要です。そういうことをすると、全体的な意識も高まりますし、それから国際的な認識も非常に高くなるのではないかと思います。

【土居主査】

 ありがとうございます。
 矢川先生。

【矢川委員】

 今までの先生方からのご意見、いずれも大変すばらしい、それから重要なことだと思いますが、1つだけ、ただいまの幾つかの意見の中になかったことは、ペタコンは、これまでの情報委員会なんかの議論を当初からずっと振り返りますと、五、六年に1つ作るという話だったんですね。そういうレポートが出ているわけです。最初のレポートにですね。ところが、今までのお話は、いずれも神戸のペタコンだけに集中した、短期的な議論になっていて、特に人材のいろいろなことが出てきますと、それから人の配置とかも入りますので、若い人たちの将来を長く面倒見ていかなければいけないんですね。そういう観点で、少し中長期的なことも含めて議論をしないと、ちょっとこれはあまりにも将来のこととの関係が少な過ぎるのではないかと思います。特に人のことが入りますのでね。マシンだけではありませんので。それをよく議論の中に入れていただく必要があるのではないかと思います。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 ここの作業部会でも、この報告書には具体的には記述されていないというようなこともあるのですが、例えば、今、矢川先生がおっしゃられたようなことといたしますと、ある意味において10年、15年で間欠的に花火を打ち上げてと、それではだめで、要するに継続的に作ることを考えていくということが一つはベースになっている。
 それと、宇川先生からもいただきましたけれども、計算科学だけではなく、計算機科学、あるいは数理科学と融合して、それでブレークスルーといいますか、より科学的にも応用的にも発展させるというようなことをしなければいけないというようなことがベースに流れておりまして、したがって、そういうことを含めて拠点では何をする必要があるかということを、やはりもう少し具体的に詰めていくときにはお考えいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。

【伊東委員】

 産業界から見たときに、やっぱりちょっと全体のニュアンスとして感じられないのは、最終的には国の科学技術の競争力を強くし、産業育成をし、雇用を拡大して国を強くするんだというのが究極の目的だろうと思うんですけれども、そのためにベースとして計算科学技術研究ネットワークというのは必須だと。先ほども、先生がおっしゃったように、アプリケーションドメインというか、究極的な目的は何なんだと。つまり、いろいろな分野の科学技術の発展のために貢献する、そのための一つの資源として、人なり計算機なり、あるいはこういう施設なりというのがあるんだという、その究極的な目的というのが、ちょっとこの文言の中には感じられないような気がして、どこかに盛り込んでいただくといいかなと。
 やっぱりこれだけの大きな金額を使うという意味では、タックスペイヤーが見たときに納得性のある文言があるといいかなと思います。

【土居主査】

 なるほど。それは重要だと思いますが、例えば具体的に何か現時点での伊東先生のお考え等、ございますか。

【伊東委員】

 計算科学技術研究というのが、非常に有力な手段ではあるけれども、やっぱり手段なんだと。科学技術を発展させるという大きな目的のための大事な手段なんだというのがどこかにあるといいかなと思います。

【土居主査】

 なるほど。それは盛りましょうね。工学及びその他もろもろのところに対するベースになる手段であるということを含めてですね。

【平尾委員】

 資料2になるのだろうと思います。

【倉持大臣官房審議官】

 いずれにしましても、もう少し丁寧に。

【土居主査】

 はい。丁寧に。

【倉持大臣官房審議官】

 これは冒頭、ご説明申し上げましたように、ちょっと担当が何人かの方々にいろいろご意見を伺いながら、ばさっとまとめてしまいましたので、今日いただいた意見とか、書き方が非常に乱暴なところもありますので、ちゃんと吟味をして、まさに今、ご指摘のような基本的なところも少し書き込むようにしたいと思います。

【土居主査】

 はい、お願いいたします。
 それから、一体的活用というのですが、これはなかなかご心配のところがありますけれども、総合科学技術会議のほうからの注文といいますか、それを受けて表現しているのが、下方展開というのがあるんですね。我が国として、それは総合科学技術会議ですから省庁問わずのことなのですが、要するに作る上と利用する上の両方で、トップにペタコンを置いて、それから何分の1だか、10分の1だかになるかもしれませんが、いろいろなところの情報基盤センター等というのが出てくる、またその下へ出てくるというようなことで、全国的な下方展開をせよという言葉が一つはありますので、したがいまして、心はそういうことを踏まえてのものでありますので、特段、他省との大きな関係、その他等々というのも、あるいは産業界というのもどこまでというのがございますけれども、全体的にはそういう展開ができるというような方向に持っていきたいというのがございます。いかがでしょうか。

【中村委員】

 その場合は、この戦略委員会にそういう他省庁の専門家も加わるとか、あるいは顧問とかオブザーバーとして入るとか、何かそういうことも考えないとなかなかうまくいかないかもしれないと思います。

【土居主査】

 そうかもしれませんね。はい、わかりました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 そういたしますと、まだまだ時間がありさえすればご意見賜れるかと思うのですが、少しずつ話題を出しながら、議論を深めていっていただこうと思いますので、2番目にあります「戦略的研究開発プログラムについて」というところにいったん入らせていただきたいと思いますので、事務局からこの点に関しましてご説明お願いできますか。

【井上室長】

 それでは、資料4でございます。「戦略分野の選定方針と戦略機関のあり方について」、これにつきましては、おそらく、今日一応、事務局としての案を、これはまさに議論のたたき台としてお出しするわけでありますけれども、これは今、最初の議題でご議論いただきました全体的な方針とも非常に密接に関わってくるものであります。また、今後、この委員会におきまして、実際にいろいろな主要分野で、実際にやっていらっしゃる有識者の方々からのヒアリングなどもしながら、戦略分野についての考え方を固めていくことになりますが、そういういろいろな要素がありますけれども、ここではこれまでの作業部会の報告書での議論などを踏まえて、事務局なりにおまとめさせていただいた案ということございます。
 まず冒頭に、四角の枠で囲ってあるところがございます。これは作業部会報告書においての戦略分野、戦略機関の関係の記述をそのまま抜粋しております。
 社会的・国家的見地から取り組むべき分野・課題である。また、これまでの計算機ではその性能上困難であった課題が解明され、当該研究分野において大きなブレークスルーがもたらされる。戦略的利用による研究成果がもたらす計算科学技術への理解増進や分野横断的・共通基盤的な研究開発の進展等により、さまざまな分野で計算科学技術が定着し、我が国の研究開発そのものに革新をもたらす。戦略的利用の成果が一般的利用や大学・公的研究機関で行われるシミュレーション研究にも好影響を及ぼし、我が国全体としてより高いレベルの研究の展開が期待できる。
 こういう記述でございます。それをもとに、先ほど議論いただきました全体的なあり方なども考慮しながら、当方で書いたのが、その次でございます。
 まず戦略分野の選定方針でありますけれども、最初に次世代スパコンの能力でなければできない課題があるかどうか。そこには詳細化シミュレーション、大規模シミュレーションということで挙げさせていただいております。
 また、2番目としまして、社会的・国家的見地から見て高い要請があるかどうか。社会的インパクト、また科学技術上の革新性ということで挙げさせていただいております。
 また、3番目でございますが、次世代スパコン稼動後5年間で具体的な成果を出せる見通しがあるかどうか。まず、稼動後10年程度を見通した5年後の達成目標を具体的に示せるか。これまでの当該分野における研究実績。研究に必要なアプリケーションの有無・完成度ということでございます。
 裏面に移っていただきまして、それとともに戦略機関に求められる事項というものを書いております。まず、次世代スパコン施設における研究機能の構築。次に、戦略分野における次世代スパコンとその他の計算資源を効率的に利用するためのマネジメント。戦略分野における人材育成。研究成果の普及。関係機関を取りまとめて成果を出せるリーダーの存在。連携推進会議を通じた分野を超えた取組への貢献(分野融合研究、人材育成等)ということでございます。
 以上でございます。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 おおよその、といいますか、作業部会の報告書に基づいて、この戦略機関のあり方について取りまとめていただいた資料ですが、何かご質問、ご意見等賜れればと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ、矢川先生。

【矢川委員】

 そもそも計算科学とかシミュレーションというものの社会的認知度がまだまだ低いというのが、私の印象なんですね。それで、この[2]の社会的インパクトというのがありますが、これはシミュレーションというものの大衆化を進めるような方策がやはり必要で、製造業なんかでもコンピュータなしではできないのですが、一般の人は本当にそこまで知らないんですよね。ものの設計をやっているところでは、コンピュータでやっているのですが、一般の人はそこまで認知がないんですよね。そういう一般の大衆の人に計算科学、シミュレーションがどんなに大事かということをもっともっと知っていただくようなことも、やはりこの中に盛り込んでいただければと思いますけれども。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。

【平尾委員】

 よろしいですか。

【土居主査】

 どうぞ。

【平尾委員】

 戦略分野の選定方針の[1]のところに、次世代スパコンの能力でなければできない課題があるかどうかというのがあって、その2つの例として詳細化シミュレーションと大規模シミュレーションというのがあるのですけれども、いつも私が言っているのは、「顕微鏡の世界じゃつまらん」と言っているんですよね。要するに、今までやっていたことがより詳細になるというような世界ではつまらないし、オリンピックのゲームのように、より速くなったとか、より大きな計算ができるというのは、そのことも重要ですけれども、それだけじゃやっぱりつまらなくて、本当にこういう次世代のスパコンでなければできないことを目指すとか、あるいはそういう次世代スパコンを活用することによって、新たに展開ができるような分野をエンカレッジするというようなことが重要だと思うんですよね。そういうこともどこかに一言入れていただくとありがたいと思います。

【土居主査】

 ありがとうございました。これは加えましょう。
 ほかにはいかがでしょうか。
 確かにいろいろシミュレーションというのはあるにしても、私なんかの近いところのシミュレーションですと、要は、霞が関ビルができるときの、あのシミュレーションなんていうのは、さっぱりわからないので、やった後であそこにセンサーを山ほど取りつけて、シミュレーションの結果が現実あったというのを鹿島がやったり、それから、私の研究室の隣でやりましたのは、新幹線ができるときに、品川駅の基地に向けて、あの大きさがどれぐらいで、引き込み線が何本あったらいいかというのをやって、それで動かしたりというようなことが、本当に生活に密着したところでいろいろ、そういうシミュレーションからずっと、システムシミュレーションから、こういう数値シミュレーションまであるわけですが。したがって、今後こういう分野でいろいろな面で必要だし、それが使われているんだというようなことを普及啓発というか、必要ですよね。そうしないと、金もつかなくなるという。

【中村委員】

 ちょっとよろしいですか。

【土居主査】

 どうぞ。

【中村委員】

 2番目の「社会的・国家的見地から見て高い要請があるかどうか」というところなのですが、一応、その戦略機関というのは産業界でもできるものだと理解してよろしいんですよね。

【土居主査】

 はい。

【中村委員】

 ただ、この文面だと、非常にベーシックな研究を考えられているような感じがして、実際のところは波及効果というような言い方だと思うんですね。ですから、もっと直接と、私が言うのも変ですけれども、産業界の方がここに手を挙げて、それで実際の応用研究をばりばりやるという、そういうイメージのことがあってもいいのではないかと思うのですが。もちろんそれは許されるとは思うのですが、ちょっとそれをあまり書かれていないような気がして、果たして手を挙げていただけるどうかというのがわからないところになっていると思いますが、どうでしょうか。

【土居主査】

 はい。じゃあ、これは少なくとももう少し書き方を考えましょう。
 といいますのが、この作業部会のときも、名簿をご覧になっていただきますと、作業部会の方々に加わっていただいておりまして、ものづくりだけではなく、いろいろな点でやはり産業界も利用したい面があるんだというようなことで、そういうある意味において一定枠をというようなことにはならないまでも、全体の中の一部としてそういうところがかなり占めるようなことまで考えてほしいというようなことがございますので、先生がおっしゃられたようなことの趣旨を、もともとの作業部会でもありますので、加えさせていただきます。
 ありがとうございます。

【伊東委員】

 今の先生のお話を受けてなんですけれども、仮に産業界がこの戦略機関に手を挙げようと思ったときに、昔からスパコンを使っている産業界の方々はそれはそれでいいんですけれども、そうじゃない場合に、裏側の「戦略機関に求められる事項」という丸が6つあるうちの上から2番目が気になったのですけれども、登録機関というのは、先ほど、スーパーコンピュータを使うためのインプリメントだとかというのを指導してくださるというふうに伺ったのですけれども、戦略機関に、この上から2番目の、次世代スパコンを活用できる能力、マネジメントがあることということになっちゃうと、これを逆に登録機関というところにサポートを期待しているというのもあるんじゃないかと思いまして、この2番目の丸がどの程度のことをあれしているのかちょっとわからないのですけれども、使えない人は手を挙げないでね、ということになっちゃうと、間口が狭くなるかなと。逆にそれを登録機関というところは、これを補っていくのかなと。
 先月、井上室長と一緒にDOEのプログラムマネジャーの話を聞いたときもそうだったんですけれども、プログラムマネジャーというのは、こういうことを補足するために、それが僕は登録機関かなと思ったんですけれども。

【土居主査】

 登録機関のあり方というのが、それもここでやっていただく必要があるのですが、もちろん理化学研究所に何をどこまで引き受けてもらうかというようなことも、ここの場でご審議いただきたいのですが、作業部会でも出てまいりましたご意見の中には幾つもありまして、現在、産業界で使っているパッケージなんかもそのまま右から左へとにかく移してもらえないと、我々の応用分野のプログラムがかからないと。したがって、そういうのはどこでやってくれるかというような話はなかったわけではないですし、当然のことながら、何らかの形でそれは、丸ごと引き受けられるかどうかは別としましても、重要な検討事項として頭の中にしっかりたたき込んでおいていただく必要があろうかと思います。
 それを本当にどこに引き受けさせるか、あるいはどこまで引き受けさせるかというのは、これからいろいろな観点からこの場で検討していっていただきながらブレークダウンをして、最終的には、その範囲とか、あるいは機関だとかを限定していくという必要があろうかと思います。
 ありがとうございます。

【井上室長】

 今の伊東委員のお話に関してですけれども、これは事務局で議論のたたき台としてつくった気持ちのほうから述べさせていただきますと、この次世代スパコンにおきます利用の方策について、戦略的利用と一般的利用というものがございまして、その一般的利用の中で、また産業利用枠というものを設けて、産業利用を促進していこうと考えておりまして、そういう部分では、当然、利用の支援というのが大事だろうと思っておりまして、登録機関に相当程度の利用支援の機能を持っていただきまして、サポートしていける体制づくりをしたいと思っております。
 方や戦略機関のほうでございますが、これはある意味、オールジャパンの計算科学技術の体制をつくっていくといいますか、ある意味引っ張っていただくようなイメージを持っておりまして、そういう意味では、戦略機関のところがやはり、例えば登録機関の支援なしには計算機が使えないというところが、果たしてその戦略機関としてオールジャパンの体制をつくっていく上で引っ張っていけるのかというところもありまして、ちょっとそこは戦略機関というのと、そのほかの一般的な利用、そこを分けて考えなければいけないのかなと思っておりまして、そういう気持ちで、戦略機関にはそれなりにやはり責任を担っていただきたいという思いで、この2番目の丸を書いたという次第であります。

【平尾委員】

 私も同じようなことを言おうと思ったのですが、先ほど、資料3のときに全国の計算資源の一体的活用の部分でも、少し議論になったことです。すべてを次世代スパコンで計算するわけではないわけですね。ですから、やはりコンピュータ利用環境の健全な配備とか重層的な配備を、こういうところでもきちんと議論するということが重要なのですが、何もかも全部次世代スパコンでやるわけじゃありません。それを使うにはそれなりの成果が出るような形、あるいはそれなりの責任も伴うということも必要だろうなと思います。

【土居主査】

 最終的には動き出したときに、アーキテクチャーを熟知したテクニシャンがどれだけいるかと、こういう話にもなってくるんですね。ですから、そういうようなところの育成は事前に何とかしておかないとお手伝いできないというようなこと等もありますので、時間との勝負もありますけれども、本当にいろいろこの場で考えていただかなければいけないことがあろうかと思います。
 どうぞ、寺倉先生。

【寺倉委員】

 戦略機関となっているので、これはイメージとして日本全国というか、計算科学のコミュニティーのネットワークを作るとなると、機関だから、機関認定されたものだというふうに思うべきなのでしょうか。要するにJSTでいえば、例えばクレストみたいなものは、強力なリーダーがいれば、その周りの比較的小さいグループでやりますね。次世代スパコンの上で挑戦的な成果を上げて、あっと思わせるような仕事をするということだったら、数名でもできないことはないと思うのですけれども、そうじゃなくて機関だと考えるべきなのかという、そこの一般的なコンセンサスの問題を確認しておきたいのですけれども。

【土居主査】

 これも室長のほうからにしますか。

【井上室長】

 はい。
 これも事務局の案で、我々のたたき台を考えるに当たっての考え方ですけれども、やはり戦略機関というものに、機関とさせていただいたのは、まさに今の2.に書いてあるような、それなりの責務を負っていただかなければいけないわけです。そうなった場合に、個人的なグループで、こういうことをきちんと背負っていけるのかということを考えましたときには、やはりそれは1つの機関というわけじゃないんですけれども、当然、いろいろなグループを糾合していただける機関であるのですが、やはりそれなりに責任を負える体制を持った機関というものが望ましいのではないかと思い、こういう案を書かせていただいております。

【倉持大臣官房審議官】

 報告書の14ページに「戦略機関の選定・決定」というような記載がございまして、ここには「戦略分野、戦略目標ごとに研究機関(大学、大学共同利用機関、大学附置研究所、研究開発を行う独立行政法人や財団法人、民間企業等を想定)云々と、こういうお考えでまとめていただきましたので、一応そういう認識を持っております。

【寺倉委員】

 わかりました。

【土居主査】

 これは戦略研究ですので、それ以外に一般研究があるわけですから。

【寺倉委員】

 それはわかっているのですけれども、5年間とか何かまとまった期間で、何かまとまったことをやろうとすると、クレストだって5年ぐらいですよね。そういう仕組みもあってもおもしろいかなという気もするんですよ。意外とグローバルにやると、焦点がぼやけるけれども、本当に優れた数名のグループが、本当に挑戦的なことをするというようなアクティビティーを5年間認めて、ある程度の予算を配るとか、そういう仕組みが、これとちょっと違う枠かもしれませんけれども、また一般利用ともかなり違うんじゃないかという気がしますので、そこのところ、確認したかったんです。

【土居主査】

 それはおそらく一般研究の性格づけでいろいろ考えていただければよろしいんだと思うんです。
 はい、宇川先生。

【宇川委員】

 ちょっと違った視点なんですが、戦略分野とか戦略機関といいますと、縦割りの印象が非常に強くて、それが決まってしまいますと、それぞれの分野の中でのダイナミクス自体が優先されてしまって、分野を超えてこの次世代スパコンにしかできないようなことというのが何らかの仕組みで選ばれていき、達成されるという見通しですが、なかなか難しくなってくるように思います。ですから、そこのところをうまく設計しないと、結局、次世代スパコン全体では非常に大きな資源であるのに、細かに分けられてしまって、さほどの成果が上がらないということになってしまいますと、非常にまずい状況だと思います。
 ですから、戦略機関が各分野の運営に責任を持ってやるということは当然なんですけれども、そこから出てきたプロジェクト等が、小さなプロジェクトであるかもしれませんけれども、分野を超えて重要なものは認められていって成果を上げられるような、その仕組みをいかに作るかというところが大事ではないかと思います。

【土居主査】

 ありがとうございます。
 はい、小柳先生。

【小柳委員】

 今の関係ですが、このシステムとしてはそういう機能は連携推進会議というのが担っているように見えるのですが、連携推進会議ももちろん大変大事だと思いますけれども、私は、今、多くの委員の方のご意見にあったように、単なる連携推進会議を超えた、もっと共同研究に近い取り組みがこの中に起こるというようなことを期待したいと思います。それによって初めて分野間の連合とか、あるいはコンピュータサイエンスの連携とかというのが実現するんじゃないかと思っております。

【土居主査】

 ありがとうございます。
 小柳先生がおっしゃられたように、連携推進会議というのがある程度のそういうことを想定してここのところでつくられているわけですけれども、今のようなことに関しましては、気配りというか目配りというのは、この戦略委員会がすればよろしいんじゃないかと思うんですね。
 といいますのが、全体を統括するといいますか、目を全部行き届かせた上で、全体がうまく機能しているかどうかというのをつかさどるのが、この戦略委員会ということになっておりますから、臨機応変といいますか、適宜そういうのが生じてくればやればよろしいのではないかと理解していただければ。

【平尾委員】

 先生のおっしゃられることはそのとおりだと思うのですが、もう一つ、資料3の、先ほども議論になりました分野別中核拠点の中に、次世代スパコン施設に一定の研究拠点を設けるという文章がわざわざ出ているのですが、これが多分それをあらわしていることだと思うんですね。異なる分野の人が物理的に集まらないと、共同研究ってなかなか進まないですよね。無理やりにでも、一定のところに違う分野の人が集まって、やっと分野を超えた融合というのが可能になるわけですので、これは戦略機関のほうに要請をして、やはり一定程度はそこに出していただくということが必要だろうと私は思います。

【土居主査】

 そうですね。はい、ありがとうございました。
 それと、同時に、理研にまたさらなる腹をくくっていただく必要がここのところで出てくる可能性はあると思うんですよね。どの程度の数なのかによって。
 理研では、理事長以下で、呼称はともかくも、一定サイズのこういう拠点を形成するための種をお考えになっていただいているようですし、そういうことをするための人も今後ともお考えになっていただけるような形にはなっているように伺っておりますし、そのときに一定枠の利用枠を理研がというところで申し上げましたけれども、基礎基盤を含めて進めていただくような役割を担っていただく必要も出てくるのではないかと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。

【小林委員】

 1つ前の話題にちょっと戻りたいと思うのですが、結局、産業界がこの戦略機関として手を挙げるかどうかという問題、これはやはりこの文章だけを見ると、非常に手を挙げづらい。まず、オールジャパン的な要素も入ってくると。それから、先ほどのマネジメントの話も入ってきますので、このままでは1つも出てこないんじゃないかということを危惧しているのですが。何か、少しそれを推奨するような表現が、あるいは条項が必要かなという気がしております。

【土居主査】

 産業界の点に関しましては、伊東さんと小林さんにいろいろな案を出していただければと思っております。
 他にはいかがでしょうか。
 一応よろしいでしょうか、今日のところは。
 そういたしますと、引き続きまして、戦略委員会における今後の審議予定について事務局からご説明をお願いできますか。

【井上室長】

 いろいろご議論をありがとうございました。また、今日いただいたご意見を踏まえまして、今日の資料を事務局でいろいろ修文したものを適宜また先生方に見ていただくとか、そういう調整をしたいと思います。
 また、今後の審議予定でございますが、資料5でございます。本日第1回でありますけれども、今後の議論の前提となることにつきましていろいろご意見をいただきましたけれども、次回から主要な分野の有識者の方々をお呼びしまして、実際のお話をいろいろお伺いしていくと。そういう中で、議論を深めていただければと思っております。
 回数については、状況に応じ、臨機応変に対応したいと思いますけれども、当面、有識者のヒアリングを通じて、戦略分野について議論を深めていただくと。その後、一般利用、計算資源の配分、教育利用枠等々、また次世代スパコンの運用などについて、議論をさせていただければと考えております。
 以上でございます。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 ということで、差し当たっては9回までを目安に事務局で作っておられるわけですけれども、何分、決めなければいけないことが多々ございますので、その進捗に応じて、まことにお忙しい皆様方に対して恐縮なのですけれども、回数等々もそのつどまた相談させていただきながら増やすというようなことも起こり得るかもしれませんので、その点、どうぞご承知おきいただければと思います。
 ただ、先生方のご都合で、日程調整、事務局も大変苦慮されているようでして、なかなかそろわないというようなことがありますので、時間的にも妙な時間にお願いするようなことが起こるかもしれませんが、その点、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、この資料分野の有識者からのヒアリングということがここのところで1回目から5回目まで、一応、計画立てられておりますけれども、皆さん方から、この方から聞くべきだというようなご意見等々がありましたら、これも事務局にご連絡していただければと思います。事務局でまた調整をとりながら、皆さん方と相談をさせていただきながら、お越しいただく方々を決めていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、それでは、予定された時間はまだ多少ございますので、改めて、今までの中でいろいろご意見を賜りましたけれども、まだ今日この場で言っていただいたほうがいい、あるいは言っておきたいというようなご意見がありましたら賜れればと思いますが、いかがでしょうか。

【土居主査】

 よろしいでしょうか。
 それと、資料の5を改めてご覧になっていただきたいのですが、ここのところで何をしたいかということになりますと、まず、いろいろ決めなければならないことが多々あるわけですが、まず戦略分野について、どのような分野が考えられるかというようなことを最初にこの場で決めていただくといいますか、おおよそを決めていただく。あるいは、詳細に決めていただいて、今度はその後の取り扱いについてまた決めていただく必要がありますので、7回目以降は一般利用と計算資源の配分についてとか、あるいは、先ほどの産業利用枠等々も含めまして、利用枠等をどうするかということ、あるいは研究支援のあり方など、運用のあり方についてというようなことで、最終的には利用料金まで出てきておりますけれども、このようなことで全体の運用に齟齬を来さないような形で持っていきたいと思うんですね。
 それに当たりましては、戦略分野を何か決めましたときに、戦略機関をすぐ決めていいかとか、あるいは戦略機関は幾つにするかといったような、あるいは一気に同時に走らせる必要があるのかないのかというようなこと等々も、このご議論の中でさせていただきたいと思っておりますので、そういう点も含めてご承知おきいただければと思います。
 何よりも冒頭に申し上げまして、参考資料の2-2は、いろいろな点で審議をした結果がまとまっており、これを踏まえてということになっておりますので、恐れ入りますが、もう一度改めてこれをご覧になっておいていただければと思いますので、お願いいたします。
 他にはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、本日いただきましたご意見などを踏まえまして、今までの資料等々を整理していただくということでお願いいたします。
 それから、磯田局長がお見えになりましたので、何か一言。

【磯田研究振興局長】

 遅れまして失礼いたしました。研究振興局長の磯田でございます。
 今、自民党の会議で、この次世代スーパーコンピュータの話題になりましたので、出ておりました。関係の方々だけでなくて、政府あるいは国会の方々も非常に関心を持っておられますので、どうかしっかりご議論いただいて、お導きをよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【土居主査】

 ありがとうございました。
 最後になりますが、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。

【事務局】

 戦略委員会第2回の開催につきましてでございますけれども、事務局から先生方のご予定をお伺いいたしまして、多くの先生が1月9日、金曜日がご都合がよろしいということでありましたので、そのように設定させていただきたいと思います。ご欠席の先生もおられるのですけれども、第2回を1月9日、17時から19時ということで設定させていただきます。
 それ以降、第3回以降につきましてはまた追ってご連絡、調整をさせていただきたいと思います。

【土居主査】

 1月9日の金曜日、17時、午後5時から、19時まで、午後7時まで
 ということで、どうぞご予定のほどお願いいたします。
それでは、これで本日、第1回目の会合は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

-了-

(研究振興局情報課スーパーコンピュータ整備推進室)