政策評価に関する有識者会議 (第21回) 議事要旨

1.日時

平成19年12月7日(金曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

学術総合センター 2階「中会議場」

3.議題

  1. 「大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システム」に関する総合評価について
  2. 平成19年度規制に関する評価書について
  3. 政策評価の重要対象分野の選定等について

4.出席者

委員

 浅井(経)委員、浅井(彰)委員、高祖委員、中西委員、星野(芳)委員、宮部委員、美山委員、諸石委員

文部科学省

 林文部科学審議官、坂田大臣官房長、田村大臣官房国際課課長補佐、笠原文教施設部施設企画課企画調整官、滝波生涯学習政策局政策課課長補佐、松坂高等教育局高等教育企画課課長補佐、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、伊藤研究振興局振興企画課長、中原研究開発局開発企画課長、北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官、水田文化庁政策課企画調整官、田口研究振興局研究環境・産業連携課長、井出研究振興局研究環境・産業連携課課長補佐、次田研究開発局原子力計画課課長補佐原大臣官房政策課評価室長、高橋大臣官房政策課評価室室長補佐

5.配付資料

  • 資料1 大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価報告書(案)
  • 資料2‐1 平成19年度文部科学省規制に関する評価の実施について
  • 資料2‐2 平成19年度文部科学省規制に関する評価書
  • 資料3‐1 政策評価の重要対象分野の選定等について
  • 資料3‐2 経済財政改革の基本方針2007(抄)(政策評価の機能の発揮)
  • 資料3‐3 政策評価の重要対象分野の選定等についての意見
      (経済財政諮問会議資料)
  • 資料3‐4 政策評価の重要対象分野の選定等についての意見
      (参考資料)(経済財政諮問会議資料)

6.会議の概要

【高祖座長】
 それでは、ご出席いただく予定の委員の先生、もう1人おられますけれども、予定の時刻が参っておりますので、これより文部科学省「第21回政策評価に関する有識者会議」を開催いたします。
 師走のお忙しい中、委員の先生方、お集まりいただきましてありがとうございます。どうぞ今日もよろしくお願いいたします。
 本日の会議では、主な議題といたしまして、1、大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価についてです。
 それから2つ目が、規制に関する評価の義務づけについてです。
 3つ目が、政策評価の重要対象分野の選定等についてです。この3件を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、林文部科学審議官よりごあいさつをお願いいたします。

【林文部科学審議官】
 文部科学審議官の林でございます。
 本日は、お忙しい中、ご出席いただきまして大変ありがとうございます。「政策評価法」が施行されまして5年が経過しておりまして、政府全体でも相当政策評価ということについての取り組みというのは定着しつつあると思っております。
 特に、今年の6月に決まりました「骨太2007」でも、政策評価と予算・決算の連携の強化、あるいはPCDAサイクルをきちっとやっていく、その強化といったことが盛り込まれておりまして、政策評価の役割というのは、着実に重要性を増しているというふうに承知しております。
 従いまして、文部科学省としても、この政策評価につきましては、一層充実していくという心構えで考えております。
 本日の会議でございますけれども、先ほど、座長がおっしゃられましたように、大学の知財戦略あるいは産学官連携システムといったことを中心にご議論いただくことになっておりますので、ぜひ活発なご議論をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 それでは、事務局より会議の公開について、及び本日の配付資料の確認をお願いいたします。
 どうぞよろしく。

【原室長】
 それでは、私の方から、会議の公開の取り扱いについて、まずご説明させていただきます。
 従前の会議のとおりでございますけれども、政策評価を行う上で、意思決定過程そのものについてもご議論いただくことから、また自由闊達な意見交換を確保するために、会議の議事と配付資料は、非公表の取り扱いとさせていただいてございます。
 一方、透明性を図る観点から、議事録・議事要旨を公表するとともに、評価書につきましては、まとまった段階で公表するという扱いにさせていただいてございます。
 続きまして、配付資料の確認でございます。
 資料1でございますが、冊子の形状にしたものでございますけれども、大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価の報告書(案)でございます。
 それから、資料2‐1と2‐2は一緒になってございますが、資料2‐1、平成19年度文部科学省規制に関する評価の実施についてです。それから、2‐2、平成19年度文部科学省規制に関する評価書です。
 それから、資料3‐1、3‐2、3‐3、3‐4が一緒になってございますが、資料3‐1、政策評価の重要対象分野の選定等について、それから、3‐2、経済財政改革の基本方針2007、それから、資料3‐3、政策評価の重要対象分野の選定等についての意見、資料3‐4、政策評価の重要対象分野の選定等についての意見の参考資料ということでございます。
 なお、事前にご連絡させていただいておりました中には、議題として含ませていただいておりましたけれども、政策評価体系の見直しというものについては、まだ流動的な部分が多くて、不確定な状態なものが多いため、改めて3月、次に開きますこの有識者会議での議題とさせていただきたいというふうに思ってございます。
 それから、資料の上に配ってございますが、今日の座席表でございます。事務局側の中に玉井文部科学審議官あるいは藤嶋政策評価審議官を書かせていただいておりますが、本日入りました急用により、申し分けございませんが、欠席させていただいております。
 よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 事前に配付された資料からは議題が減ったということでございますので、ある意味で助かっている面があります。
 それから、公開のことは、そういう方針でよろしゅうございますね。これまでどおりということでよろしくお願いします。
 それでは、配付資料につきましても不足はないでしょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、議題1でございます。総合評価書(案)につきましては、事務局から各委員に事前に送付されていますけれども、改めて事務局からこの概要等についてご説明をお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。

【原室長】
 それでは、まず私の方から、総合評価の経緯について、若干ご説明させていただきます。
 もともと総合評価といいますのは、特定のテーマにかかわる政策・施策を対象に、政策の発現の状況ですとか、効果の発現の状況、それに至る因果関係などを様々な角度から掘り下げて分析し、政策に関わる問題点を把握するものでございます。
 また、それに加えて、その原因を分析するなど、総合的な評価を行うものという位置づけで行っている評価でございます。
 今回のこれからご議論いただくテーマにつきましては、毎年度、この有識者会議での議論を踏まえて決定しております「文部科学省政策評価実施計画」というものがございますが、その計画に基づいて、平成18年度から作業を行っているものでございます。
 今年3月に開催させていただきましたこの有識者会議の場で、中間報告をさせていただいたテーマでございますけれども、今回、その報告書の内容が概ねまとまったということで、委員の先生方にご議論いただきたく、今回お諮りするものでございます。
 今後の予定でございますけれども、本日いただきましたご意見を踏まえて、必要な修正を行った上、今年中に内容を確定して公表する予定とさせていただいてございます。
 評価書の具体的な内容につきましては、担当でございます田口研究環境・産業連携課長から説明をさせていただきます。

【田口課長】
 研究環境・産業連携課長の田口でございます。資料1の総合評価報告書(案)について、ご説明をさせていただきます。
 まず、1枚めくっていただきまして目次がございますが、もう1枚めくっていただきますと、1ページ、冒頭で総合評価について、今、評価室の方からご紹介があったような内容をかいつまんで紹介してございます。
 総合評価のテーマと目的についてでございますが、そこの背景と目的のところがございますが、2ページを見ていただきたいのですが、上の方から述べておりますが、産学官連携あるいは知財戦略に関する施策は、ちょうど平成13年度に開始されました「第2期科学技術基本計画」の期間中にいろいろな施策か始まっております。
 それに加えまして、「知財基本法」の制定でございますとか、国立大学の法人化など、我が国全体として制度的なものも含め、様々な形で政策の実施があったということでございます。
 昨年から始まってございます「第3期科学技術基本計画」、あるいは今年の6月に策定されました「イノベーション25」につきましては、さらにその中でイノベーションの創出ということに重点が置かれてございまして、産学官連携を通じた大学の研究成果を社会にどうやって還元していくのか、イノベーションを創出していくのかということについて、ある意味では、今、ギアチェンジが行われつつあるという段階だというふうに認識してございます。
 2ページの下のところに書いてございますが、この評価自体は、「第2期科学技術基本計画」が開始されました13年から18年度、昨年度まで、直近の18年度までについて、これまでに文部科学省で講じてきた施策について、できる限り定量的なデータを使って評価をしまして、今後の施策の展開に反映をさせていくということを目的として実施をしてございます。
 2ページの下の方から、対象施策、具体的に様々な施策が実施されている中で、何を今回評価する対象の施策とするのかということでございますが、先ほど申し上げましたように、法律の改正も含めて、いろいろな措置が講じられている中で、かといって全部を評価するわけにもいかず、今回はもっぱら産学官連携のシステム、知的財産の管理のシステムに焦点を当てて実施された以下の、3ページから4ページにかけてございます5つの事業について、その効果を定量的に把握していこうということでございます。
 5つの施策の概要については、後ほど出てきますので、ここでは説明は省略させていただきます。
 4ページでございますが、総合評価に使用したデータでございますが、文部科学省の方では、毎年大学に対して、様々な産学官連携に関する指標の調査を行ってございまして、基本的には今まで蓄積したこれらのデータを使ってございます。
 さらに、お手元に資料番号なしで配付させていただいてございますが、今年の8月に科学技術学術審議会の「産学官連携推進委員会」というところで、「イノベーションの創出に向けた産学官連携の戦略的な展開に向けて」という報告書を取りまとめてございます。ここにおいて有識者の議員の方、専門の委員の方から様々な意見をいただきながら、現在の産学官連携あるいは知的財産の管理に関する課題をまとめてございますので、こういったものをきちんと背景として踏まえた上で、今回の評価を行ってございます。
 5ページでございますが、具体的にどういった形で評価を行ったかということでございますが、そこの図1‐1にございますように、大学で生まれました科学的な知見が実用化・事業化という形で社会に還元されるプロセスの1つの典型例でございますが、産学の共同研究等が実施され、それが権利化・特許等になって、ライセンシングという形で実施される場合もございますし、あるいは大学の教員がベンチャーを起業する、そういった形で実用化・事業化が進むわけでございます。
 先ほど、毎年度調査していると申し上げました我々のデータとしては、後ほど詳しく出てきますが、共同研究の件数であるとか、あるいは特許の出願件数、権利化件数、あるいは特許の実施の件数、大学発ベンチャーの起業数というのがございますので、こういうものの推移と施策の投入を比較いたしまして、効果を分析したということでございます。
 6ページに、報告書の構成という格好で図になってございますが、これは1章、評価の目的・方法等が今の6ページまででございますが、大きく2つの方法で評価をやってございます。
 2と書いてある左側の大学知的財産本部整備事業の分析、これは大学知財本部整備事業自体、体制の整備ということでございますので、それによって具体的に先ほどの指標にどれだけの影響があったかというのは、なかなかはかりにくいものがございますので、ちょっと違った分析の仕方をしてございます。
 それに対しまして、残りの、先ほど5項目の次に4項目がございますが、これについては研究開発、あるいはコーディネーターが実際にマッチングをした件数とかが直接的な効果が件数として出てまいりますので、それを用いて大学全体の活動に対してどういうインパクトがあったかというのを評価するやり方をさせていただきました。その2つを取りまとめたという格好でございます。
 この図の右の方に「地域イノベーション等関係施策」というのがございますが、これにつきましては、「知的クラスター創成事業」、あるいは「都市エリア産学官連携促進事業等」といった形で、地域開発振興施策として産学官連携のプロジェクトが行われておりまして、ここでの成果がどれくらいあるのかというのは、この施策の外側ではございますが、大ざっぱには把握をしようということで、後ほど出でまいります。
 7ページから、まず大学知的財産本部整備事業の評価でございますが、事業の概要につきましては、後ろの73ページに事業の概要のご説明がございます。
 特に、国立大学においては、その平成16年から法人化をして、特許が原則機関帰属となるというようなことを背景といたしまして、平成15年度からこの知的財産本部整備事業を始めまして、大学における知的財産の取り扱いの体制、あるいは産学官連携の体制をきちんとつくってもらおうという、いわゆるモデル事業になります。下の日本地図で示してあるとおり、43の国公私の大学でこの事業を実施してございまして、そういう意味では、全大学でやっているわけではありません。
 この43大学でモデル事業としてやっていただいて、その成果を他の大学にも波及させるということを目的とした事業でございます。
 7ページに戻っていただきたいのですが、7ページの事業の実施による効果というところでございますが、まず直接な効果といたしましては、実際に43の大学で、例えばこの7ページの下にございます、これは京大の例でございますが、大体研究担当、あるいは産学官連携担当ということで、副学長あるは理事をヘッドとした一体的な産学官連携の推進体制、この京大の場合は、産学官連携本部があって、その下に事務局とありますが、産学官連携センターがありまして、ここに産学官連携推進室あるいは知的財産室、ベンチャー支援開発室といった関係の部署がまとまっておって、各研究分野の研究室なり、学部、学科とつながっているという体制でございます。
 このような体制が次の8ページ、各43大学では、基本的に整備の開始と同時に整備されてございます。それと合わせまして、そこに産学官連携ポリシーあるいは職務発明規程、知財ポリシー、発明補償規程、あるいは利益相反ポリシーといったここに代表的な学内ルールが書いてございますが、そういったものの整備も進めていただいて、若干、利益相反ポリシーは、19年4月時点でまだ1機関未整備のところがございますが、ほぼ全ての機関でこういった基本的な学内ルールというのが整備されているということでございます。
 それから、波及効果といたしまして、その下にございますように、これは国立大学の数字だけが書いてございますが、この43以外におきましても、非常に大半の大学でこういった基本的な規程の整備が進んできてございます。
 9ページを見ていただきたいのですが、9ページの上のグラフは、これは我々が毎年調査を行っている共同研究あるいは受託研究、特許出願、特許実施、これはいずれも件数のデータになってございますが、それの経年変化を示してございます。
 これは全大学の数でございまして、例えば、共同研究の実施件数でございますと、平成13年度から平成18年度の間に約3倍になってございます。特許出願につきましても、これはもともと機関としての特許出願というのは国立大学時代にはなかったわけでございますので、16年度ぐらいから急激に伸びてきて、平成18年度におきましては、国・公・私合わせて年間9,000件ぐらいの特許出願があるという状況になってございます。
 それから、下の特許料収入でございますが、これにつきましては、若干ちょっとグラフに工夫をしてございまして、上の薄い青色のところは、名古屋大学の実施料収入なのですが、例の赤さき先生の青色発光ダイオードのような非常に特許料収入のホームランバッターが出てくると、それが支配的になってくるというのがございますので、現在はこれぐらいしかホームランバッターがないと言ってしまえばそれまでなのですが、それ以外のものとそれと区別をしますと、その青色発光ダイオードを除いた部分は、ある意味では順調に伸びてきているという形になってございます。
 10ページには、成果の例が書いてございますが、そちらはちょっと飛ばしまして、11ページの実際の大学知的財産本部整備事業が、今お示しいたしましたいろいろな指標にどういう効果を与えたのかということの分析をしようということで、とりあえず事業の実施機関と、それから非実施機関で、この事業をやったこと、あるいはやったことによってやらなかった場合とどれぐらい差が出たのかというのを分析することといたしました。
 その際、もともと大学は非常にいろいろな大学がございまして、芸術大学から工業専門大学まで、さまざまな機関がございます。それから大学の規模も様々でございますので、施策の効果という意味では、できるだけ同じようなレベル、形態とか、規模の大学に限って施策を投入したものと、投入しなかったものでどれくらい差が出ているのかというのを見てみました。
 具体的にどういうふうに絞り込んだかと申しますと、そこに書いてございますように、まず共同利用機関、ちょっと形態が違うもの、それから高専、それから教育大学、芸術大学等を除外してございます。それから、国立大学法人のみを対象としてございます。
 それから、いろいろな共同研究あるいは特許、そういったものの指標が常に上位にある8機関、これは結果的には具体的には旧帝大と東京工業大学ということになりましたが、それを除外してございます。
 この8機関は、全て事業の実施機関でございますが、特許あるいは共同研究等に関して、これ、大学全体の半分ぐらいをこの8大学だけで占めてございますので、ここを入れてしまうと、この8大学の動きだけが支配的になって、他の動きが見えないということで除外してございます。
 それから、さらに中小の私立大学のように、文科系の学部が中心で、特許出願を平成18年度時点でしていない18機関、これを除いてございます。
 結果として、11ページの真ん中あたりにございますが、実施機関については27機関、それから非実施機関については33機関、これを比較分析の対象としてございます。
 以下、12ページ以降は、各指標について実施機関と非実施機関でどのような差が出たのかというのを示してございますが、ざっと見ていただきますと、14ページの1件当たりの共同研究の受け入れ額を除きましては、この12ページの共同研究件数を例として見ていただきたいのですが、黄色いラインが非実施機関のラインでございます。伸び率のラインでございます。
 それから、青いラインの左側は黄色の下に隠れてしまっているのですが、実施機関の件数の伸び率でございます。平成15年度、事業の実施を境にして、実施機関が大きく伸びているという格好になってございます。
 同様の結果が、16ページ、17ページへ見ていただきたいのですが、特許の出願件数あるいは実施件数、実施料収入、さらに18ページの大学発ベンチャーの設立にあらわれてございます。この棒グラフの方は絶対値でございますが、その伸び率という格好で見てみましても、事業開始の平成15年度を境に事業の実施機関の伸び率が非実施機関に比べて高くなっているという結果が出てございます。
 14ページをご覧になっていただきたいのですが、これは共同研究1件当たりの平均受け入れ額ということでございますが、これにつきましては、結果が逆転しております。青いラインの一番左上のグラフを見ていただきたいのですが、青いラインのこの事業実施機関がほとんど15年度から18年度で1件当たりの額は伸びていないのに対して、非実施機関のほうは40パーセントぐらい伸びているという結果になってございます。
 これにつきましては、共同研究1件当たり、実をいいますと、こちらの先ほどの科学技術学術審議会の報告書にも課題として書いてございますが、共同研究1件当たりの額というのが200万円程度で、全大学を通じて頭打ちの傾向になってございまして、それに対して非実施機関の方は、この青い棒グラフと黄色い棒グラフを見ていただくと分かるのですけれども、もともと実施機関に比べて平均受け入れ額が低かったため、まだ伸びしろがあって、接近してきているという結果になってございます。共同研究の件数は非常に増えているのだけれども、小粒なやつがいっぱい増えているという結果が出てございます。
 ただし、この14ページの下側、それから15ページで示してございますように、大学の方もそれを認識してございまして、1件が200万円ぐらいというのは、教員個人の単位でやっている研究だとどうしてもそれぐらいになってしまうわけでございますが、実際、イノベーション創出は、例えば異分野の融合とか、複数の研究者のチームでやることが望ましいわけでございまして、望ましいというか、1人のやつがあってもよろしいわけですが、そういったものもやっていこうということで、全体の平均値には反映されてございませんが、その14ページの下を見ますと、だんだん右の方の共同研究の1件当たりの受け入れ額が大きいところに分布が出てきている。
 それから、15ページには、これは東大の例でございますが、1つの会社が小粒のやつをいっぱい出しているので、幾つかをまとめて少し組織的に共同研究をやっていこうというような取り組みが出てございまして、それによって大型化の動きも見られるという格好になっております。
 次に、20ページ、21ページには、一応、先ほど除外いたしました8大学のみの同様のデータを示しております。こちらにつきましても、基本的には他の非実施の機関に比べて伸び率が多くなっておりますし、逆に共同研究の1件当たりの件数というのも大体同じような傾向になっている。結果としては、8大学を除いても、除かなくても同じような結果になったということだとは思いますが、ご参考までに8大学の結果を示してございます。
 22ページ、23ページに、大学知財本部整備事業の評価のまとめが書いてございますが、22ページの上にございますように、非実施機関におきましても、国・公・私を通じて徐々に各種規程の整備が進んでおり、一定の波及効果が認められるというふうに考えてございます。
 それから、23ページの上のグラフでございますが、これは大学における特許関連経費の推移でございます。これは事業実施の43大学を対象としてデータを出してございますが、平成18年度で68億円、事業を開始した平成15年度は38億円ぐらいでございますが、一番上の青いところのラインが、この事業で補助している金額でございます。事業の額自体はほぼ一定で推移してございますが、それに対して特許関連経費は年々増加してございまして、運営費交付金あるいは間接経費を導入することによって、大学が独自に調達する資金の割合が増えているという形になってございます。
 それから、24ページからは、大学知的財産本部整備事業以外の先ほどの4事業について、直接的な効果を分析してございます。24ページからは、これは「産学官連携活動高度化促進事業」と呼んでございますが、具体的には、産学官連携コーディネーターを派遣する事業でございまして、24ページの真ん中にあるようなニーズとシーズのマッチング、あるいはその技術移転、事業化へのアドバイス、あるいはプロジェクトの企画立案とか、体制の構築の支援、こういったものをやってございますが、これにつきましては、28ページに実際に事業を実施するために投じられた予算、配置人数、それから右側の方に先ほどの各指標に対して、これらコーディネーターが貢献した件数が書いてございます。
 配置人員、予算の方は、平成15年度、16年度を頭打ちに、この二、三年は減少傾向にございまして、ピーク時では100名以上の配置でございましたが、現在、80名強ぐらいの配置でございます。
 これに対しまして、例えば受託件数とか、この指標を見ていただきますと、予算は減っていても伸びているということがございまして、これは実際、コーディネーターの熟練度と申しましょうか、なかなかその場にパッと行って成果を上げられなくて、2年、3年と仕事をするうちにだんだん効率がよくなっていくという状況をあらわしてございます。
 それから、次の29ページからが「産学共同シーズイノベーション事業」と「独創的シーズ展開事業」、これらをまとめて扱ってございますが、いずれもJSTの研究開発事業でございます。
 これにつきましては、事例がずっとございますが、34ページを見ていただきますと、予算額が年度によって増減がございますが、100億円から150億円の間ぐらいで推移をしてございます。
 それに対して、右のような各指標に対する寄与があるという形になってございます。これの評価については、後ほどまとめて説明をいたします。
 それから、35ページからは、「技術移転支援センター事業」になってございますが、これは事業の内容といたしましては、大学の海外特許出願支援、あるいはそこに写真がございますような、大学見本市の開催といったイベントの開催等をやってございます。
 37ページに、予算額の推移、それからこの事業に関連します指標、これは見本市をやった時のマッチングによる共同研究の件数であるとか、実際、海外特許出願支援をした件数、それに付随する実施件数とか実施料収入というのが出てございます。
 38ページに、この4つの施策の効果の分析というのが書いてございますが、実際はここの分析は、40ページ以降のグラフを見てなされているものでございますので、グラフの方を説明させていただきたいと思ってございます。
 まず、40ページの方は、4事業を合計した場合のこの事業の直接効果ということでございます。この濃い緑色が先ほどのコーディネーターの事業で、基本的には年の経過とともに効率が上がっているので、数字が上がる格好になってございますが、それ以外の研究開発事業、それから先ほどの一番上の黄色いところの「技術移転支援センター事業」につきましては、予算の増減に応じて効果があらわれているということがございます。ただし、技術移転支援センターの方は少しマッチングの件数がだんだん上がっているということで、右側が多くなっているのがございます。
 41ページ以降を見ていただきたいのですが、これはこの4施策の合計が大学全数に対してどれくらい寄与しているかという割合を示した図でございます。41ページが受託研究の件数、左側にパーセントで割合が書いてございます、この縦軸のスケールがちょっとグラフによって違いますので、ご注意をいただきたいと思います。
 42ページが共同研究の件数と受け入れ額でございます。共同研究の件数については、コーディネーターの事業、緑色が支配的になってございまして、共同研究の受け入れ額につきましては、研究開発事業が支配的になってございます。
 次の43ページは、特許出願件数と実施件数でございますが、だんだん事業の施策の与える効果が大学の全数に対して大きくなってございます。
 それから、右側に行くほど、年が経過するほど大学の全数が上がってまいりますので、施策の効果の全体に占める割合が減っていっているということでございます。44ページの特許料収入、それから大学ベンチャー創出についても同様のことが言えます。
 それから、これを逆に横軸を研究開発の上流側から下流側にとっていくと、先ほど申し上げましたが、出口に近い、事業化に近いところになるほど施策の効果が全体に対して大きくなっているという結果が読み取れます。かつ、上から16年、17年、18年度と年度が進むに従って、大学の活動も活発化してきて、だんだん右側の山が低くなっているという結果になってございます。
 それから、47ページに、先ほどちょっと言及いたしました地域関係の事業の寄与をざっと把握するために、成果の表を載せてございます。なかなか指標は一致しませんので比較は難しいのですが、特許出願件数のところを見ていただきますと、平成18年度でこの知的クラスター創成事業と都市エリア事業のトータルが800件ぐらい、大学の全数が9,000件ぐらいでございますので、大体10パーセントぐらいはこの地域の産学官連携事業で大学の成果が生まれているということになるかと思います。
 以上、48ページに、ちょっと駆け足になって申しわけないのですが、今の4つの事業についての読み取れた内容のまとめが書いてございます。
 1番目として、事業化に近い段階ほど施策の寄与率が高い。
 それから2番目として、波及効果があると考えられる。
 それから3番目としまして、施策の寄与率は年度の経過とともに減少していきますが、これは大学独自の活動の活発化の他にも、今の地域施策のような文部科学省内外の関連施策の実施の影響もあると考えられます。
 それから、大規模の共同研究あるいは海外特許の出願など、高コストの活動については、各施策が依然として重要な役割を果たしているということでございます。
 49ページ、50ページに、まとめとして、今の大学知財本部整備事業と4つの事業をあわせまして記載をさせていただいておりますが、ちょっと読ませていただきますと、最初のパラグラフの下の方ですが、その結果、以下のことが明らかになったということで、まず(1)「大学知的財産本部整備事業の実施により、43の実施機関における産学連携ポリシーや知財ポリシーをはじめとする学内ルールや体制などが整備されるとともに、それが他の大学にも波及して産学官連携や知的財産管理の体制整備が進みつつあり、大学等全体の共同研究件数や特許出願件数の大幅な増加を支える基盤となっている。
 また、事業実施機関における共同研究・受託研究、特許及び大学発ベンチャー設立に関する指標の伸び率は、非実施機関を上回っており、事業実施の直接的な効果もはっきりと表れている」。
 それから(2)といたしまして、「以下の事業では」、以下の事業は先ほどの4つでございますが、「研究成果の事業化に近い段階ほど施策の寄与率が高く、政策目的に沿った効果が表れている。寄与率は、大学等全体の数値の増加のため年度の経過とともに減少しているが、これは大学独自の産学官連携活動の活発化の他、他の関連施策の実施の影響も大きいと考えられる。また、資金投入に対する効果も十分に表れている」。
 産学連携活動促進事業では、先ほど申しましたコーディネーターの経験値の向上により、効率が上昇してございます。
 それから、2のJSTの研究開発事業でございますが、これは比較的大型の産学共同研究が中心になってございまして、特許の実施料収入に対する寄与度は特に大きくて、16年度以前は大学の全体の過半数を占めてございましたが、大学等全体の活動が拡大したことにより、その割合は徐々に減少しつつある。
 それから、技術移転支援センターでは、共同研究あるいは特許実施について成果が上がってございまして、むしろ効果、効率は年々高くなっている。それから、海外特許に関しては、全大学の海外特許出願経費の約半分をここで支援してございます。
 それから、(3)のところに、先ほど申し上げました共同研究の1件当たりの受け入れ額の話を追加的に書いてございます。
 50ページの後半でございますが、以上の結果、見えてきた課題というのが、大体a.b.c.d.e.fの6つぐらいであろうということで、1つは先ほどの共同研究の受け入れ額に関連した組織的な共同研究の実施について、これからさらに努力が必要である。
 それから2番目としまして、先ほどちょっとデータを引用しなかったんですが、アメリカの実績と比較しますと、特許出願件数はアメリカの大体7割とか8割ぐらいの件数まで来てございますが、特許実施、あるいはその実施料収入は、けた違いに少なくなってございまして、まだ出口に近いところで産学官連携の効果というのがスタートラインからまだ時間がたっていないところもございますが、研究成果の事業化に向けた一層の取り組みが必要であると。
 それから、大学発ベンチャーにつきましても、これは65ページを見ていただきたいのですが、現在、累積で1,600社程度がカウントされてございますが、大体年間に200社ぐらいができているペースでございます。65ページの右の下のところにベンチャーの数の比較がありますが、これはやはり1,600近くあると言っても、アメリカ、中国、ドイツなどと比べてまだまだ少ないということでございます。
 単に数のみではなくて、昨今はむしろ質が問われてございまして、1,600のうちIPOをしたのは19社にとどまってございまして、この辺は設立時以前からの学生や教職員の起業に対する理解や意識の向上、あるいはその起業支援、そういったものの充実を図っていくことが必要だということでございます。
 それから、海外特許の取得が、これもすみません、リファーしなかったのですが、全特許の内の大体2割ぐらいになってございまして、欧米だと大体半分、5割とか6割なのでございますが、まだまだ国内特許のみという出願が多いんですが、実際にイノベーション創出といったことを考えた場合は、海外特許の取得は不可欠でございますので、その辺の取り組みを充実していく必要がある。
 それから、特許関係経費及び知財人材の確保ということで、これから海外特許の権利化、あるいは紛争処理なども入ってくると思うのですが、そういったものに必要な経費はまだまだ増加すると見込まれてございまして、ここの財源を例えば競争的資金の間接経費で確保していくといった大学独自の取り組みがまだ必要であるということでございます。
 それから最後になりますが、今回、評価を実施いたしまして、限られた時間でやったのでつたないところもあるわけでございますが、なかなか産学官連携ということで評価をするというのは、ある意味非常に難しい。
 実を言いますと、アメリカとかヨーロッパでも、今まで特許の件数とか、実施料収入とかで評価をやっていたんだけれども、それではだめだから、新しいやり方を考えなければいけないねということが各地で言われてございまして、そういったところを当方といたしましてもきちんと研究をして、施策のかじとりをするためには羅針盤がやはり必要でございますので、そういったものをつくる、あるいは開発していく努力をしていかなければいけないということでございます。
 以上、時間が非常に長くなったわりには雑駁な説明で申し分けございませんが、資料の説明を終わらせていただきます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。丁寧にご説明いただきました。
 次に、この総合評価書の取りまとめにご協力いただきました宮部委員がここにおられますので、宮部委員ご自身に少し説明を加えていただくということにしたいと思います。
 宮部委員、よろしくお願いいたします。

【宮部委員】
 この報告書を取りまとめるに当たって、途中でちょっと1回意見を述べさせていただきました。
 私は、企業で研究開発をやる中で、特に産学連携ということについては、前者の推進をする立場にありますので、その企業側から見た意見としては、やはりこの施策というのは、全体としてはものすごく成果が出ていると言っていいと思うのですね。我々の方も産学連携ということをこの2003年ぐらいから、大学が独立法人化したあたりから、かなり本格的に推進をしてきて、それ以前の状態と比べると、例えば件数とか、1件当たりの金額とか、そういう指標では明らかに目に見えるほど違ってきている。
 さらには、1件1件の中身、我々が企業の中で単独に研究開発をした場合と、大学と連携させてもらってやった場合とでどれぐらいの効果の差があるのだと。これはかかった期間とか、かけたお金とか、人とか、そういうことも含めてですけれども、そういうことで言うと、中には失敗例もあるのですが、押し並べてやっぱり1.5倍から5倍ぐらいの効果が出ている。
 これはつまり、大学の中に蓄積されているさまざまな知見あるいは物理的な設備なんかも含めて、そういうもののベースがあって我々がやらせていただいているというところで、そういう効果が出てきているのだろうなというふうに思います。
 したがって、何が言いたいかというと、この評価はするまでもなく非常に効果が出ているということは目にも明らかであるということなのです。したがって、この数字、グラフをどういう相関をとっても、大体押し並べて正の相関といいますか、いろいろな施策に対して効果が出ているという数字が出てきていますので、これは実感としてそのとおりだと思います。
 全体としては、私はそれでいいと思うのですけれども、個々の施策をもう少し掘り下げて評価をするとするならば、これは全体の場ではこれ以上掘り下げる必要はないと思うのですけれども、個々の施策というものを取り組んでおられるところとしては、もう一段掘り下げていただくと、例えば知的財産本部の貢献できた部分と課題というものが出てくるはずなのですね。
 その辺がこの全体として成果が出ている中に埋もれてしまっていて、小さな課題が埋もれてしまっていて、その部分の改善というところになかなか行かないとするならば課題がありますので、それはもう一段下の段階の評価でしっかりとやっていただいたらどうかと思います。
 それからもう1点は、これは私の企業の立場から言わせていただいていますけれども、大学の活動において、この産学連携ということをやったことによって、大学の中から見た効果なり、場合によっては弊害、副作用もあるのでしょうけれども、大学の研究活動、教育活動に対して、この産学連携がどういう影響を及ぼしているかということについて、また別の場でも評価をしてみるというのは非常に意義があるのではないかなというふうに思いました。
 以上です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 それでは、少し説明に時間をかけましたけれども、総合評価報告書、ただいまのご説明につきまして、皆様方から、ご意見、ご質問等をいただきたいと思います。
 いつものとおり、ご発言したいと思われる方は名札を立てていただくということで、それを見ながら私がご指名させていただくということで進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構でございますので。
 では、中西先生からどうぞ。

【中西委員】
 2つあります。1つは、最初の方の分析についてです。まず、分析の仕方ですが、国立大学だけに分析を絞り込んだということ、また、上下のデータを全部外して分析したということは、いろいろな形があるという多様性が出づらくなると思います。分析手段のため、つまり統計の均質化を図るため目的の一部がそがれていないかという気がしました。非常にきれいなデータではあるのですが、本来の多様性を取り込む努力をもっとすべきではなかったかと思います。その結果、効果があった、効果があった、と述べられているのですが、効果や結果を急ぐのではなく、今後の発展性をもっと引き出せるような評価をすべきではないかということが第一の感想です。つまり、全てを平均値で議論していくということについて、もう少し考えていった方が良いのではないかと思います。
 それからもう1つは、国の施策ですから、こういう率が上がったとか、効果が上がったなどということだけでなく、施策結果が投資額に見合うかどうか、例えば、100億でできるものを1,000億かけて出してもあまりいい施策とは言えないわけですから、もう一歩踏み込んだ評価を、つまり投資効果があったかどうか、これに見合うかということをもう少し議論していただければと思います。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 特に、最後におっしゃられましたことは、一番最初にありましたPDCA、予算と絡めるということで行きますと、確かにそこの数字、予算とその効果、費用対効果のところをやはり押さえていくという評価が必要だと、そのご指摘は非常に大事なところだと思います。
 これについて何人かの方から意見をいただいて、文科省の担当者ないし、関係者からまたご発言いただくということでよろしいですか。
 先生方、いかがでございましょうか。
 星野先生、どうぞ。

【星野(芳)委員】
 今の話と関連するのですが、まず基本的にこの施策ということで、事業の幾つかをまとめて振り返りをやったということですよね。結局、今のご質問にもあるのですけれども、トータルで幾らのお金がかかったのかというのは、どこを見ればいいのですか。その辺の質問をしたいなというのが1つです。

【高祖座長】
 一問一答で行きましょうか。

【星野(芳)委員】
 ええ、質問です。ちょっとそれについて。

【高祖座長】
 では、そのことについてまず。

【田口課長】
 トータルのところは、40ページの、実を言うとこれ、「知財本部整備事業」は入っていないのですが、40ページのところに4事業の合計のところがございます。ピークが平成15年度で290億円程度でございまして、これ、ちょっと数字が間違っています。これに「知財本部整備事業」の毎年20億円から25億円程度を乗せた総額になりますが、これは評価をやっている段階でいろいろ、例えば6年間でトータルの投入額は幾らでした。
 その投入額に対してこういう効果が出ましたというのが、これも定量的に書ければ、そういう記述を設けようかと思ったわけでございますが、例えば「大学知財本部整備事業」でございますが、これ、毎年24億円ぐらいで、大体これまでに100億円ぐらいは投入しているわけでございます。
 これに対して、その具体的な効果はと言った時、例えば、先ほどの共同研究の件数とか、特許の取得などに関連して、その差額の分を金額に表現することが適当かどうかということで、結果的には先ほどの金額のグラフをお見せしましたが、23ページのところでございます、この24億円というのが大学の、結果的には、これ、大学自体が間接費あるいは運営費交付金で知財活動に、23ページの上のグラフでございます、自己資金を投入するようになっているというところで、そこの費用対効果的なところは見ていただくのかなと「知財本部整備事業」については思ってございます。
 それからあと、研究開発事業に、25ページにコーディネーターの事業につきましては、これは大体10億円弱ぐらいの予算の投入額でございますが、それに対して、一応関連したコーディネーターがとってきた共同研究費とか受託研究費、あるいは特許料収入の類型を一応示させていただいております。
 それからあと、研究開発事業については、まず29ページのところに、これは一部でございますが、最も長い期間やってございます委託開発という事業について、これは6年間の累計というよりは、これは事業が始まったのが昭和36年でございますが、昭和36年度からの累計で、1,517億円研究開発で投入してございますが、この開発費の回収が1,000億円ぐらいです。
 それから、実施料が143億円入って、右側にございますが、この研究開発成果による売上高が5,000億円弱あるということで、大体この売上に対しても税収があるわけでございますので、国との関係の収支ではペイをしているのと、それから、経済波及効果、これは計算の仕方によっていろいろな形があるわけでございますが、そういったものをはじかせていただいていますのと、それから、33ページでございますが、これは研究開発の成果の売上高を、これは100億円単位なので、ピークが400億円ぐらいになってございますが、それの推移を書かせて、一応、それとの比較で一定の費用対効果があったのかなという評価をさせていただいております。

【高祖座長】
 一応いいですか。

【星野(芳)委員】
 今話されたことを最後のまとめのところに書いておかないと総合評価にならないのではないかなという質問でお聞きしたわけであります。
 個別にそうやって資料の中に入っているわけだから、やっぱり最後のこれで行くと、51ページですか、49ページにやっぱり総合評価の結果として今の話を表にして、トータルで、これ、1つ1つの事業評価ではないので、トータルの今回評価した事業を集めた施策として幾ら、6年間かけてこれだけの成果が出たということを、それでなおかつ、それが少し、投入した分は当然出てくるけれども、その成果の部分が金額で把握しにくい部分は、ちょっとそれを書いておくというのが49ページにあると、評価結果として非常にふさわしいのではないかなということで言っているわけで、できるわけですよね。今のが表になっていればいいわけです。ということです。

【高祖座長】
 浅井先生、どうぞ。

【浅井(彰)委員】
 今の中西委員、星野委員のご意見、私も全く同感に感じたのですよね。
 1つは、今は効果の方から言うと、こういうところをもっともっと強調していったらいいという星野さんご指摘はそのとおりだと思います。おそらく33ページのこの図というのは、推計が入っていたりして、かなり綿密な裏付けを少し心配されるようなところもあるので、この辺のところをもう少し正確に把握するという努力がこれからおそらく大事になってくるのではないかなという感じがしております。
 それから、この4事業がどういうふうに全体のこういう体制整備に役に立ったかということは、私は非常にきれいに幾つかのチャートに出ているように思いまして、数日前に事前説明と称して、文部科学省の高橋さんやら井出さんにお見えいただいた時に少し討論したのですよね。
 これは、例えば41ページをご覧いただくと、受託研究受入額があり、それから受託研究件数、それからもう1つ、42ページの共同研究受入額、件数よりむしろ受入額の方で見ると非常に顕著ですが、このグリーンとピンクのものがこの4事業の効果ですね。ところが、灰色のものが1ないし4以外ということだから、全然別の事業によってサポートされている分なのですね。
 だから、この例えば42ページの下の方で見ますと、ピンクやグリーンのところでサポートされたこの共同研究受入額に比べて、グレーの部分が圧倒的に増えているのですね。ということは、それが減っているにもかかわらず、グレーの部分が増えているということは、大学が自発的にこの種火で火がついて動き出したということを明確にあらわしているのだと私は思っているのですね。
 それで、この貢献分が減ったととられてしまうと、これは全くネガティブな反対の結論になってしまうのですが、まさにこれはレバレッジで指標としては共同研究受入額という指標で見て、そしてその貢献分が移転しているといいますか、4つの事業で始めたものがほかの資金も含めて一般的な行動パターンとして定着しつつあるというふうに思います。
 こういうふうな結論づけをきちっとしていくと、この施策の効果はかなり明確に主張できるのではないかなというふうに思います。最終的な経済効果というもののおそらく唯一の努力が、33ページの、この裏付けが少し足りないのですが、これはまた大変難しいことかなとも思うのですけれども、思い切って仮説を含めて、いかにこういうところを評価していくかということがこれからの課題かなと思います。
 あと幾つか感想はあるのですけれども、それはまた別に述べます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

【星野(芳)委員】
 予算との関連なので、ずばり指摘をしますが、今、そういうような振り返りをした上で、本来、新規か拡充かという事業評価に移るわけで、今初めてこのときに総合評価で振り返りができた。
 でも、一方で既にこの20年度の新規拡充の中に「大学知的財産本部整備事業」というものが拡充で出ていますよね。ですので、やっぱり予算との関連というのは、今まさにこういうところの整合性を言っているわけなので、そこを質問というより意見ですけれども、つながるようにしてもらいたいなと。
 それが文部科学省だけの問題ではなくて、いわゆる国の予算制度の問題であれば、そういうことを指摘していただきたいなというふうに感じました。
 以上です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 今の点、よろしいですね。
 それで、先ほど中西委員からご指摘がございました平均値での明示がいいのかどうなのか。それから、少し国立大学に絞ってやる、上下を外してやったという、その辺がその多様性をむしろ押し殺しているのではないのか、この点についてもちょっと……。

【田口課長】
 今回、総合評価ということで、いかに全体として見るかということでございましたので、このようなやり方をさせていただきましたが、実際、この1つ1つの事業は、それぞれ中間評価、あるいは終了評価をしながら進めることになってございます。
 もう既に、例えば「大学知財本部事業」であれば中間評価は終わってございまして、今度、終了評価を多分来年やることになると思うのですが、その際には、そういった各大学、例えば高専あるいは共同利用機関、それぞれの特色も見ながらこの事業がそこにどういうふうに効果を発揮したかというのを1つ1つ見てございますので、今回の総合評価でそれをやり出しますと、多分これくらいの厚みになってしまいますので、ちょっとご勘弁をいただきたいということでございます。
 そういう中で、特に近年は国・公・私通じてということで、国立大学だけを抽出することに若干抵抗感はあったのですが、ただ、このやり方でなるべく正確に効果を出そうとすると、やはりそのやり方しかなかったということで、私学の方がむしろもっと多様性があって、国立でやった方がむしろ均質化するということがございましたので、そういう事情がございますので、ご理解いただきたいと思います。

【高祖座長】
 よろしいですか。
 私も私学にいる人間ですから、私学の方も取り組んでいただきたいという願いもありますので、そのあたりはどうぞよろしくお願いいたします。
 一応これに関連して……。
 美山先生、どうぞ。

【美山委員】
 私学の人間ということで、また私が普段やっているところが文学部の教室であり、芸術関係のことということで、大分特許とかはあまり関係ないところに日常はいるわけですけれども、今回のレポートを見ますと、この総合評価は非常に細かく丁寧にできているし、全体の趨勢を見る上では非常に分かりやすくて、それとまた総務省も言うことでしょうけれども、数値化されていて説得力があるというふうに感じました。
 その上で、大学の中にいる人間として、少しこれを見た上でちょっと思いつくことを2つばかり申し上げたいと思っているのですけれども、私は文学部の人間としては、多分大変特異な存在だと思うのですけれども、十数年間、企業ですとか、企業のつくっている財団などからさまざまな形の資金を受けてきた人間であって、そういう人間に対して学部の中で変わり者だという見方というのがこの10年間で劇的になくなったと。
 これは私個人のことを言っているわけではありますけれども、大学全体としてもこのようなことが大学としては当然のことであるという意識に、他の教員、あるいは事務の方の面も変わってきているということがあります。これはこの「知的財産本部整備事業」とか、そういうことで施策を行って、大学というのはこういうようなものなのだという、大学の再定義というものを進めていったこととも大変関係があるのではないかというふうに思っております。
 もう1点は、この「大学知的財産本部整備事業」が一番関係すると思うのですけれども、確かにそういうセクターか大学の中にできる、それで活動しているわけですけれども、何らかの研究を進めていくことになると、こうした知的財産の問題というのは、今や避けて通れない問題で、いろいろなところでこの問題が出てくるわけですね。
 例えばJSTからかなりまとまった研究経費をいただいてやっているセクター、そういうところでもやっぱり知的財産の問題は必ず出てくるわけであって、そうすると、1つの大学にこういう「知的財産本部整備事業」でできたセクターと、それから別の補助金、あるいは委託研究費でできた部分で、やはり同じような問題を抱えていて、それらがお互いにうまく連携できているかどうかというと、必ずしも十分ではない部分もある。そうすると、これは二重投資、三重投資になっていきかねないわけですね。
 それを考えると、この「知的財産本部整備事業」でつくられた部分というのが、大学全体の中でどのようにきちんと全体を統括する1つの組織として機能しているかどうか。
 この大学の中の問題としてそれをきちんと見ておかないと、こうした特許がどうこうというアウトプットの方だけで評価するわけではなくて、学内的な問題として見ておくことも必要なのかなというのをどこの大学がというわけではなくて、気になるところがちょっと出てきております。
 そういうようなことを、次のステップの時にきちんと考えていただければ、予算を執行する投資効果という上でもよりいいのではないかなというふうな感想を持った次第です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 浅井先生。

【浅井(経)委員】
 拝見いたしまして、大変いい分析をしていただいているのではないかと思いました。
 おそらく対象としている研究の中身は、理系のものがほとんどだと思うのですけれども、この分析自体はやはり社会現象の効果分析で、社会現象の分析だと思います。社会現象の場合、因果関係は確定できませんので、傾向性を明らかにするということが大切だと思います。その意味で、こういう多面的な観点から傾向性を明らかにすることは、私は意味があるのではないかと思っております。
 もっといろいろな指標があるのかもしれませんけれども、とりあえずは評価できるのではないかと思っております。
 先ほど何人かの委員の方から言われたことで、お伺いしたいのですけれども、費用対効果がやはり気になるのですけれども、幾つかの指標で確かに明らかにしており、いい成果が出ているということは分かるのですが、なぜ効果をお金で割らなかったですかということです。毎年度効果をお金で割ってしまえば、少ない図で明らかに成果があるとか、ないとか、費用対効果を明らかにすることができるのではないかということが1点です。
 それから、これはこれで非常に効果が上がったということを示した点ではいいと思いますが、さらに、もっと日本が力を入れていかなければならないのだということを社会に対して説得するためには、先ほど最後のところでお話がございました外国との比較を強調してはいかがでしょうか。
 これだけ力を入れているにもかかわらず、外国から見ると遅れているところがあるということをやはり強調すべきで、そうすることで社会に対して説得力が出てくるのではないかと思いました。
 以上でございます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 今のことについて何かございましたら、どうぞ。

【田口課長】
 最後におっしゃった外国との比較については、ご指摘のとおり、もう少し工夫をしたいと思います。
 それから、なぜお金で割らなかったかというのは、やはり最後、例えば1つの特許を生み出すというのが幾らぐらいの価値なのかとか、強引に金額を設定しようと思えばできるわけですが、逆に今、先ほどちょっと学内の問題という話もありましたが、大学の中でそういった数字だけで推しはかること自体が、やはり大学の本来の、本当は産学官連携活動というのは、金銭的な価値を生み出すのはもちろんですが、経済効果もそうなのですが、例えば学内の研究と教育の高度化とか、そういったことの方が本来はより重要で、時々、特に最初の頃、TLOというのは大学の知財を売り買いすれば、それでもうかってやっていけるのだというような認識がまだ残っている部分があるのですが、これは例えばアメリカに行っても、スタンフォードとか、カルテックに行っても、知財でもうかるわけではないというのが常識になっているわけでございます。
 だから、その辺があまり先鋭に立ってくるのが、ちょっと嫌だったというか、そういう意図がありまして、あまり先ほどの費用対効果とか、そういったことについてあまりぎりぎりとして前に出した書き方をしなかったという事情がございます。
 それからあと、美山先生からのご指摘のあった学内問題をどうするかという話は、実を言うと、これは評価の問題というよりは我々の日常の仕事の問題でございまして、例えば「知財本部整備事業」をやっているところ、あるいはやっていないところからもいろいろ日常的に学内の問題について相談がございます。
 そういったところで評価というよりも、日頃なるべく現場に近いところで現場と話をしながらそういった各大学の問題点を、私だけではなくて担当者も含めて見るようにして、その辺を、これはもう大学によってそれぞれ事情が違いますので、解決していくしかないのかなというふうに考えております。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 宮部委員がご発言を求めておりますので、宮部委員のご発言をもちまして、一応この話題を終わらせたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうぞ。

【宮部委員】
 1点だけコメントですけれども、50ページの下の方にbの項目で、特許の実施、研究成果の事業化というところの中で、これ、諸外国、米国と比較してですか。「特許出願件数は同等となっているが、特許実施件数や実施料収入はけた違いに少ない。」と書いてあるのですけれども、これについては、まだ評価するのが早いんじゃないですか。おそらくこの期間に出願している特許の8割が国内特許だとすると、日本の特許というのは登録にすごく時間がかかります。おそらくほとんど登録されていません。その段階で収入があるというのは、これはおかしくて、おそらく以前の特許の収入のものをカウントされていると思うので、この事業と関係ないと思うのですね。
 だから、もう少しこれは長期的に、大体10年から15年ぐらいの積分でその特許の価値が出てきますから、そういう評価をきちっとしていただくようにお願いしたいと。
 それから、登録だけの問題ではなくて、産学共同研究の結果を事業化するのにかかるタイムラグというのもありますから、そういう時間差を見て、単年度で評価していい部分と、こういう単年度で評価すると間違う部分とありますので、ぜひその辺は長い目で見た評価を継続的にやっていただきたいと思います。
 以上です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 単年度で評価できるものもあれば、少し長期的な目で評価する必要があるのではないか、このあたりもどうぞ少し検討していただければと思います。
 なお、今日ご欠席の田中委員からこういうふうな意見も届いております。
 知的財産本部として指定された大学が、近隣の大学へ与える波及効果についての検証も必要ではないかというふうなご意見がございますので、一応ここでご紹介しておきます。
 それでは、一応、第1の議題はよろしいでしょうか。
 では、浅井先生、一言どうぞ。

【浅井(彰)委員】
 この前の資料とちょっと変わっているところがありまして、いただいた前もって配られた資料の10ページ目には、共同研究1件当たりの金額についてというようなことが書いてあるところなので、ちょうど今回の報告書では13ページに当たるかと思うのですが、ここのところに書いてあった文言で大事だなと思っていたことがあるのですね。
 このイノベーションを創出するためには、大規模な共同研究プロジェクトを増加させるべきだという指摘もあり、それだけではないと思のです。「そのためには大学等におけるシーズ段階から事業化までを見越す戦略的な方針と事業化をプロデュースする体制が重要であると考えられる」とあったのですが、この文言がすっかり抜けているのですけれども、私はここら辺のところは非常に大事だと思っていまして、今、大学からいろいろ出てくる技術のコンテンツ、内容、質がやっぱり特許なんかは出願されていても、ちょっとまだまだというところが1つにはある。
 それから、その中にもっとおそらく引っ張っていくといいものがあるに違いないのだけれども、そこと企業との協力関係の間に大きな溝があって、そこをもっと埋めていくようなことをしなければならない。それはプロデュースというような意味の言葉であらわされていると思うのですが、そういうところへもっと工夫をした資金の投入が、制度の整備が今後必要で、それをやっていくことによって、まだ未熟かもしれないアイデアをもっとよく育てていったり、それから企業側から、あるいは社会側からいろいろな問題の課題のインプットをしたり、そういうことをもっと促進しないといけないという事柄が非常に意識していまして、この文章がなくなったのは非常に残念に思っています。

【田口課長】
 よろしいですか。

【高祖座長】
 どうぞ。

【田口課長】
 実を言うと、13ページの頭のところで、この報告書をリファーしておるのですが、先ほど先生がおっしゃったものは、この報告書の中から要約していて、こういう組織的、戦略的な共同研究等の推進でございましたので、最初にリファーしたので……。

【浅井(彰)委員】
 もっと最初の方に入っていましたか。

【田口課長】
 そうなのです。この8月にまとめました科学技術学術審議会の報告書の該当部分に同様の記述を要約して前は書いてあったのですが、今回、13ページの真ん中辺でこれをリファーしてございまして、その中身と同じ内容はあえて書かなかったということでございますが。

【浅井(彰)委員】
 そうですか。今後の比較として非常に大事だと思います。

【田口課長】
 もう少しつけ加えるように少し努力します。

【高祖座長】
 そういうことをまだ書き直しができるのですね。そのあたりも生かしていただく方向でご検討をお願いしたいと思います。
 それでは……。

【中西委員】
 今のことですか。

【高祖座長】
 大事なことだと思いますので、どうぞ。

【中西委員】
 今のことは非常に大切なことで、もし書き加えるというか、そういう視点を入れるということでしたら、国の研究機関の役割をもっと考えていっても良いのではないかと思います。ここでは国の研究機関は除いているわけですよね。でも、国の研究機関では、大学から出たいろいろな芽をもとに、それから技術を産業用に仕立て上げるような役目があっても良いと思います。
 経済産業省系の研究機関では、非常にこの点が明確ですが、このような技術を仕立て上げるという研究機関の役目が大切だというところがあってもいいのではないかと思います。

【高祖座長】
 それも含めてご検討をお願いします。内容が非常にポイントを突くご発言だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、恐れ入りますが、2つ目の議題の方に移らせていただきますが、平成19年度規制に関する評価書について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

【原室長】
 私の方から資料の説明をさせていただきます。資料2‐1と2‐2でございます。これは1回、11月の初めに書類で審査をお願いした案件でございますので、簡単にご説明させていただきます。
 前回の会合でご説明させていただきましたけれども、今年の10月から法律または政令で規制を新設したり、あるいは改廃したりする場合には、規制評価を行うということが義務づけられてございます。今回、原子力損害の賠償に関する法律施行令というものを改正するということがこの義務づけられた規制評価の第1号ということで、11月の初めに委員の先生方に書類をお送りして審査をお願いしたという件でございます。
 審査の過程の中で幾つか先生方からご意見をいただきましたので、その状況について、今日ご報告させていただきます。
 規制の中身でございますが、簡単におさらいさせていただきますけれども、原子力の損害の賠償に関する法律というのは、そもそも万一原子力損害が発生した場合に、迅速に被害者を救済するために原子力事業者に対してあらかじめ損害賠償措置を講じることを規定するものでございます。
 1枚目の規制の概要の欄に書いてございますけれども、今回は主に原子力発電所の使用済み燃料から生じる高レベル放射性廃棄物のガラス固化体というものがございますが、それを地中深くに埋設して処分する場合、そういう活動を行う事業者が講じるべき賠償の措置の額を120億円というふうに設定するという規制を新たに設けるというものでございます。
 評価の中身でございますが、1枚目の一番右側の欄にございますように、評価結果の概要ということで書いてございます。大きく規制の費用と、あと規制の便益というふうに分けまして、費用としては、遵守するための費用、それから行政、我々役所にかかる費用、それから社会的な費用というものをそれぞれ分析した。それから、規制から受ける便益といたしましては、社会的な便益、それから直接な便益というものをそれぞれ分析した上で、本規制は適切であるというふうに判断をさせていただいたということでございます。
 本規制評価書のそのものにつきましては、資料2‐2としてつけさせていただいてございますが、これは11月の第1週に先生方に見ていただいていただいた意見を踏まえて修正した後、11月7日付で決定した上で、同日公開しているというものでございます。
 資料2‐1の2枚目でございますけれども、どのような意見をいただいて、どう修正したのかという点について簡単にご紹介させていただきます。
 2番目の丸に主な意見及び反映状況というふうにございます。いただいた意見としては、大きく2つございます。
 最初の1番目は、そもそも賠償措置額を120億円というふうに決めたその額の根拠を分かりやすく示す必要があるということでございます。
 この額の根拠につきましては、その下の矢印の以下、(参考)として括弧書きの中に書いてございますが、今回設けるのは一番下の段、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体にかかる廃棄物を埋設するものとして120億円というのを決めたわけですけれども、他の事業を行う場合に措置すべき賠償措置額、例えば高レベル放射性廃棄物、同じものを埋設するのではなくて、地上で管理する場合、同じ120億円になっている。
 あるいは、高レベルではなくて低いレベルの放射性廃棄物を地上で管理する場合には20億円、あるいは、低レベルの放射性廃棄物を埋設する場合に20億円というふうになっている。
 これらの額との比較から、今回は120億円というふうに決めさせていただいたということを評価書の中に追加で記述しております。
 それから、いただいた意見の2番目でございますが、行政費用、行政費用というのは役所の人件費等のコストでございますけれども、その定量的な分析は必要ではないかといういただいたご意見を踏まえて、これはもともとこの規制を設けることによって追加で生じる行政コストとしては、実際、事業を行う事業者からこのような賠償措置を設けましたというような申請が1件出てきて、その書類を審査するという程度のコストでございますので、追加の人員配置は必要ないということを評価書に書かせていただいたということでございます。
 以上でございます。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関連して、委員の皆様から、ご意見、ご質問等ございましたら、お願いいたします。
 いかがでございましょうか。
 星野先生、どうぞ。

【星野(芳)委員】
 2つありまして、この規制の中身についての意見と、それから規制評価のやり方についての2つがありますが、前者の方から申し上げると、これは結局規制の目的とかねらいみたいなものというのをやっぱり明確にした上で、その規制の便益というのが出てくると思うのですが、やっぱり私、いわゆる委員の意見を踏まえて、社会的便益の項目を直接便益より前に来ていると言っているわけですけれども、これはやっぱりこの規制というのは、実際の目的は原子力事故が発生した時の事業者の方の保護という、そういうふうに考えていいのですよねという質問です。だから、直接便益と言っているわけですよね。そういう質問です。確認。

【高祖座長】
 では、どうぞ。

【次田課長補佐】
 お答え申し上げます。
 この法律そのものの目的でございますけれども、目的に2つ柱がございまして、その1つが、今、委員ご指摘の原子力事業の健全な発展、もう1つが被害者の迅速な救済ということで、それは2つパラレルに存在しているものでございます。

【星野(芳)委員】
 そうすると、社会便益と直接便益と分けるというのが、何かちょっと違和感を感じるのですけれども、いかがですか。

【次田課長補佐】
 その点については、一応、ある程度フォーマットを示されておりまして、それに従っていろいろ検討させていただいた結果……。

【原室長】
 それは私の方から補足させていただきますが、閣議決定で決めておりますガイドラインでこのような項目について評価しろということが項目名に挙げられてございまして、その項目に従って評価をしたということでこういう項目になってしまっているというのが実情でございます。

【星野(芳)委員】
 ただ、規制の目的が並列である場合の便益の定義を社会便益と直接便益というふうに解釈するというのは、何か違和感を感じるというわけですよ。本来、被害者の権利保護、迅速な被害者救済というものも直接便益であるべきで、社会便益の定義と直接便益の定義をやっぱりきちんとしていかないとこういうことが起きるので、むしろその後者の方の規制、評価についてのやり方の話になるわけです。
 ついでに言うと、せっかくこうやっていろいろアドバイスを受けているので、この中身に対するアドバイスよりも、この委員会というのはやっぱり評価に対するアドバイスなので、それを踏まえて、これからも規制の評価をやっていくわけじゃないですか。規制評価のやり方のところにぜひつけ加えていっていただきたいなと、そういうふうにしてメモをとってもらいたいなと思います。
 担当課はその中身についてだけれども、評価の方は規制評価の仕組みのやり方について、やっぱり細則をつくっていくという、そういう意味で2つの意見を申し上げました。

【原室長】
 今回、今年の10月、今まで試みの段階として幾つか規制評価をやってきたわけでございますが、ことしの10月から評価が義務づけられたということで、これが第1号でございます。まだちょっと我々も一部不慣れな点がございますので、いただいた意見を踏まえて、より良きものにしていきたいというふうに思っております。

【星野(芳)委員】
 ついでに言うと、今後の規制はどんなものが出てきますか。

【原室長】
 今後の規制は、まだ検討中でございますが、著作権法の改正が、通常国会といいまして、年明けに始まる国会で幾つか法律を出すというのが役所の多くの法律を出すパターンになってございますけれども、その中で著作権法の改正ですとかというものが出てくる可能性がございます。これはおそらくまた年明け、1月とか、2月とかに委員の先生方に見ていただくということになろうかと思います。

【星野(芳)委員】
 その時、できれば関係者の意見とかというのをやっぱりこの中に、我々がこの規制評価に対するいわゆる外部評価的なアドバイスをする時にやっぱり関係者の意見というのを聞いてほしいし、またそういう意見を集めておいてほしいですよね。今の事例ですと、被害者ということはまだ法規としては言えないけれども、事業者だとか、そういう……。

【原室長】
 規制の対象を受ける人の意見を聞くということ。

【星野(芳)委員】
 そういう準備をしていただいた方が、より的確な判断ができると思います。著作権も楽しみにしています。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 それぞれ大切なことでありまして、社会便益、直接便益、そういう言葉が出ていると言っても、その中身の定義ですね、何を意味しているか、その辺をもう少し厳密に考えてほしいと。それから、それぞれの規制がかかわる人たちの意見を前もって聞いておく方がより正確な評価ができるのではないかというご指摘だと思います。ありがとうございました。
 他にございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 特になければ、一応今のご意見はこれから反映させていただくということにして、この議題は終わらせていただきたいと思います。
 次に、3番目の議事になりますが、政策評価の重要対象分野の選定等についてでございます。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。

【原室長】
 それでは、私の方から、資料3‐1以降の資料についてご説明させていただきます。説明は資料3‐1を主に使って説明させていただきます。
 政策評価の重要対象分野の選定等ということでございますけれども、これは資料3‐2に概要の抜粋をつけてございますが、いわゆる骨太の方針、「経済財政改革の基本方針2007」において、これは総理を議長としています「経済財政諮問会議」と、あと総務省、あるいは我々文部科学省、各省の政策評価に関する連携を強化するということで、先ほど来、話題になっていますが、評価結果を活用して予算の効率化等、国の施策に適切に反映するというふうにされたという前提がございます。
 この「経済財政諮問会議」の骨太の方針を受けまして、11月26日の「経済財政諮問会議」において、政策評価の重要対象分野について総務大臣から「経済財政諮問会議」への意見具申を行いました。意見具申を行った内容が資料3‐3、それからその補足説明が資料3‐4でございますけれども、総務大臣から意見具申を行ったというものでございます。
 この総務大臣の意見具申に基づいて「経済財政諮問会議」が基本的にはこの意見具申のとおりでございますけれども、政策評価の重要対象分野を決めたというところまでが現状の動きでございます。
 それで、何が重要対象分野となっているかというものでございますが、3つございます。資料3‐1の2.に書いてございますけれども、重要対象分野としては、まず最初に、『少子化社会対策』、この中身としては「育児休業制度」ですとか、「子育て支援サービス」、「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組み」というもの。それから2番目の分野として、『若年者雇用対策』。それから3番目の分野として、『農地政策』。この3つの分野が提示されてございます。
 このうち『少子化社会対策』のうちの「子育て支援サービス」、それから『若年者雇用対策』、この2つの分野につきましては、文部科学省が他の省庁と並んで関係府省ということで取り上げられておるというものでございます。
 今後の予定でございますけれども、この政府全体として3つの重要対象分野につきましては、各省で評価を実施するということとされてございます。実際に評価を始めるのは、毎年度末、先生方にご議論いただいております我々の政策評価の実施計画の中に、どういうやり方をどういうスケジュールでやっていくかということを盛り込むことになりますので、実際に評価の作業をしていくというのは来年度からということを想定してございます。
 まだ、具体的にどういう方向でやっていけばいいのかというのは、総務省あるいは他府省がどういうやり方をやるのかということも若干関係がございますので、まだ検討中の状況でございますが、来年度以降、先生方のお知恵も拝借しながら、少子化社会対策のうちの「子育て支援サービス」、それから『若年者雇用対策』という2つの分野につきまして評価をしていく必要があるということで、今回ご紹介させていただく次第でございます。
 以上です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、委員の皆様からのご意見、またご質問等ございましたら、お願いいたします。
 諸石委員、どうぞ。

【諸石委員】
 重点項目に取り上げられました「子育て支援」、「若年者雇用」、いずれも非常に重要な問題だと思います。特に「若年者雇用対策」につきまして、この資料を拝見しておりましたら、フリーターの常用雇用化、ニートの職業的自立を促進する観点からということで、その中で、なぜニート、フリーターが出てくるのかということについて、現在の教育制度の、ニートというものに職業訓練をするかどうか、することも大事なのでしょうけれども、その前に現在の高等教育のあり方というものを見直す必要があるのではないか。
 この間、9月に中教審の小委員会に提案があった学士力というようなことが提言されたと新聞で承知しているのですが、今のニートという根本原因に、やはりずっと中身が分からないまま大学まで出る。学力がつかないままで学士になって出てくる。
 しかし、社会では実力がないから就職の機会がないし、出ていってもすぐにはじき出される、そういうふうなことを考えますと、大学教育というものの質といいますか、大学教育の成果が上がらないままに大学卒業者として出ていく人をなくすということが根本的な対策の1つになるのだろうと思うのです。
 そういう観点をこの「若年者雇用対策」の中に取り入れていただけないだろうかというふうに思います。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 中西先生、どうぞ。

【中西委員】
 今のご意見に賛成いたします。
 それと、これはどこで評価するのかよく分からないのですが、少子化ということは子どもの数が減るわけですから、それに見合った大学の数や特徴、またその規模で何人ぐらいの大学生が適切なのかいうような判断もあるのではないかと思うのですが、この点はあまり議論に上がってこないように思えます。もちろん子どもの数が増えれば問題ないのでしょうが、そういう評価も要るのではないかと思いました。

【高祖座長】
 ありがとうございます。
 では、浅井経子先生、どうぞ。

【浅井(経)委員】
 1つお伺いしたいのですけれども、資料3‐1の概要のところの2行目から3行目のところに「予算の効率化等」という言葉が入っているのがすごく気になったのですが、ここのところがどういう趣旨なのかをお伺いしたいと思っております。

【高祖座長】
 では、最初の質問に対してお願いいたします。

【原室長】
 「予算の効率化等」という部分でございますが、「経済財政諮問会議」の骨太の方針で出てきている言葉でございます。我々もこれを読んで解釈するしかないという状況ではございますけれども、予算の効率化等、一般的に言えば、できるだけお金の使い方を効率化する、できるだけ事業を効率的に行うことを評価の結果を使って確保するということで費用対効果をできるだけ上げていくということを意味しているのかなというふうに思っております。

【浅井(経)委員】
 評価結果を活用して予算が削られるということですか。これらは重要だと言いつつ。そこのところがすごく気になりました。

【原室長】
 我々事業をやっている立場としては、評価結果によって予算が減る場合もあろうかと思いますし、こういう分野がぜひ必要だということであれば、予算を増やす要求をしていくということだと思っております。

【高祖座長】
 よろしいですか。
 他にございますでしょうか。
 ちょっと議長の私が発言するのは異例でございますが、先ほどの諸石委員の発言に関連いたしまして発言させていただきます。
 実は、学士力の小委員会に私も一応専門委員として加わっておりまして、ちょうどご指摘のところの効果を上げるために、大学の教育の質をどうやって保証するか、それから国際的な通用性をどう担保していくかという、この2つを大きな目標にいたしまして、そのために抽象的な議論をするよりも、学士力というふうな1つの中身を、練り上げて提示し、それをちゃんと身につけた形でなければ卒業させないという方向で議論が進んでいます。
 それも、卒業させるということは、やっぱり学位を与えますので、学位を与えるためにはこれこれのものが身についていなければいけないというディプロマ・ポリシーと呼んでおりますけれども、そういうものをつくる。ディプロマ・ポリシーが機能するためには、何を身につけたかを保証することが必要で、そのためにはカリキュラム、プログラムが重要である。
 しかもこのプログラムは、それぞれの学部があるのですけれども、各学士課程で、これこれのものをここまで身につけたということを保証できるような、カリキュラムのポリシーみたいなものがやっぱり必要となるだろう。
 そして、それを決めるためには、今度は、入学してくる学生たちにも、自分の大学はここまで育てるのだから、こういう人が欲しいという、受け入れる学生についての方針みたいなものをもっと明示した方がいい。そしてそれを実現するためには、教員、職員の教育力を上げなければならない。いわゆるFDですが、それと国の方がそのシステム全体を支援していくという、この5つの局面からずっと今、議論をしているところです。
 年度末には大体まとめたいというようなことでございまして、まだ進行中でございますので、今、先生のおっしゃいましたことを私もその委員会に帰りましたら申し上げたいと思っております。
 それからもう1点、これは中教審の会議で私が申し上げたことなのですが、フリーターとかニートということが問題になっていますが、大学の卒業者がフリーターになっているのか、ニートになっているのかというあたりの検証はあまりはっきりしていないように思うのです。
 それで、実際に今、大学、高等教育機関に進んでいる人のパーセンテージを18歳人口で見ますと、専門学校も加えれば大体7割を超える人たちが高等教育機関に進んでいます。そして、学校教育を中心に考えると、大学と短大と専門学校、高専も入りますが、この数字のみを見てしまう。
 ところが、7割ということは、あと30パーセントが残っているということなのです。高卒か、あるいは高校を卒業していないかということで。その残っている30パーセントの人たちに対しては、政府として、あるいは文科省として、厚生労働省として、何かの施策を持っているのですかといったあたりのことも、同時に調べておかないと、学校の卒業者だけに目をつけるだけでは足らないのではないかという印象を持っているのです。
 ですから、これを進める時に、その辺のことも視野も中に入れていただいて、データをとるとか、いろいろやっていただくと、今回の評価の対象になるものがより実態に近いものになるのではないかと思いますので、ぜひそのあたりもよろしくお願いいたします。
 浅井先生、どうぞ。

【浅井(経)委員】
 評価をちょっと超えてしまうと思うのですけれども、評価の方から施策の方にお願いしていただければと思うことがございます。「若年者雇用対策」といいましても、結局は地域振興が一番大切で、雇用の機会を確保できるかどうかというところが1つの大きなかぎを握っていると思われます。そうしますと、これは私どもの領域であります生涯学習にまさに関わってくるのですが、実はこのイノベーションを生涯学習でもっと積極的に取り上げる必要があるのではないか、生涯学習施策でも特に地域におけるイノベーションを取り上げる必要があるのではないかと思っております。地域に人材を育成しなければ、やはり地域の経済も地域振興ということもあり得ないわけですから、そこのところに力を入れませんと、この若年者雇用の問題は根本的な問題解決にはならないだろうと思っております。「イノベーション25」が出た時から、科学技術と高等教育と生涯学習がもっと一体となって取り組めないかと考えておりました。政策評価の方から何かうまくその辺を持っていっていただければすごくありがたいと思います。
 中教審の方でも、生涯学習の領域で職業能力の向上ということを言い出しております。一般的に言うと、生涯学習とは何か高齢者が趣味で遊んでいるように思う方がいらっしゃるかもしれませんけれども、そういう一般的な認識こそ変えていかなければならないと思います。
 それからもう1点は、今のお話を伺っていまして、これはむしろ高祖先生にお願いした方がいいのか分かりませんけれども、私どもも必ずしも若年者に限定されませんが、雇用に関する生涯学習関係事業を生涯局の方でやっていますと、最終的には、やはり高等学校あるいは大学の進路指導等に関わってきまして、将来にわたってキャリア形成を支援していくという指導や教育が必要になってくるのだろうと思います。
 ポートフォリオなどを学校教育の中できちんとつくって、それを学校後の学習にも継続していくというような施策をきちんと立てていくことが大事なのではないか。
 すみません、評価を少し離れまして申し分けございません。

【高祖座長】
 いいえ、それは実際、もう中教審の議論の中にかなり出ている話で、具体的な例としてこれを出される方もいますので。
 どうぞ、星野先生。

【星野(芳)委員】
 確認ですけれども、今、議論していることは、来年度の文部科学省の政策評価の実施計画に反映するということでよろしいですね。

【原室長】
 はい。来年度、少なくともこの重要対象分野、今、議論いただいているものについては、何らかの形で評価をするという必要があるものですから、それについては年度末に決める実施計画に盛り込むと。

【星野(芳)委員】
 はい、確認です。
 そうすると、じゃあ、何に反映するかという時に、1つは、新規事業、新規拡充ですね。今度それは21年度になるわけだから、もうこれは20年度にできてこうやって冊子になっているわけなので、ですから、これを、つまり、来年度つくる、行う21年度の新規拡充事業の事前評価にどう反映するかという議論がまず1つありますよね。
 それからもう1つは、やっぱり今日の総合評価の報告がありましたが、総合評価は当然このことを取り上げて検証するべきで、特にいただいた資料3‐4の4ページを見て、かなり従来と比べて非常によくなったなというふうに感心しているのですが、要は、かなり仮説を入れていますよね。
 1、2、3、つまり、育児休業制度については、制度利用者は増加しているものの、女性の継続就業の増加には必ずしも結びついていないと考えられるという評価が入っている意味で、非常に踏み込んでいくので、これはたまたま厚生労働省かもしれませんが、こういうところの検証をきちんとやるということでいくと、事前評価だけではなくて、やっぱり事後評価、これは実績評価になると思うのですね。
 ですから、実績評価もやはり今の子育てのように、保育所の待機児童が多い地域の固定化が見られるという原因分析ということと、今の若年層というのもあるのだけれども、これは本当に重点分野ということにして、これについてはやはり評価のやり方を少しきめ細かく、なおかつこの有識者会議の関わり方ももっと他の施策とか事業と比べて、もっと踏み込むべきだと思うのですよ。
 そういう整理の仕方をするべきで、そうしないとここで言っていることが何か本当に絵に描いた餅になりますので、そういう観点で申し上げると、まず1つは、様式です。
 事業評価でも、実績評価でも。そこの様式の中に、このいわゆる政策評価の重点対象分野との関連性というものを入れてほしいなと。
 例えば、事業評価のところでいくと、これは20年度の新規だけれども、社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラムというのは拡充になっているのだけれども、これも当然今の若年層のものと関係しますよね。
 つまり、文部科学省の政策体系は生涯学習だけれども、でも、若年層の雇用対策にも関係するわけですよ。その辺のところを、これ、今日たまたま全員出ているかどうか分からないけれども、各課に周知徹底しないといけません。
 例えば、今のこの事業のように、政策体系上は生涯学習かもしれないけれども、若年者雇用対策という観点で見た時に、どのように関連づけるのかということですよね。
 これは、私なんかは「横断課題」と言っているのですけれども、「重点課題」と言っているので、政策体系という縦に対して横の関係だというふうに考えていただいて、かなりそういう意味では踏み込んでこのことを全事業に、科学技術も一部関係すると思います。
 そういう意味で、周知徹底するというところを踏まえてスケジュールをつくらないと、もう通常のスケジュールだと8月にはこれができ上がるわけなので、もう今12月でしょう、途中で人事異動の時にうまく引き継ぎされていくことを期待しますので。
 ということで、やっぱり早急にこれについてはどういうふうに工夫するのか、評価の仕組みに工夫するのかということをやっぱり整理して、近々本当に年明けにはその整理結果を伝えていただくぐらいのスケジュールでやらないと、これはできないなという感じがします。
 以上です。

【高祖座長】
 ありがとうございました。
 非常に大事なことでございまして、重点と言う以上は、重点になるようにやろうではないかということでございます。私どももこの有識者会議の方も、それに関わっていく関わり方を、それによってもっと明確にしていこうというところでございます。
 よろしいですか。

【星野(芳)委員】
 ついでに、委員長に提案。

【高祖座長】
 はい、どうぞ。

【星野(芳)委員】
 少子化対策とか、若年層ということで、これ、明らかに厚生労働省と文部科学省との密接な関係が必要になってきますよね。
 例えば、この重点課題について合同で有識者会議をやるというのもいいと思うのです。そのぐらい、特に少し今、「放課後児童クラブ」と「放課後子ども教室」などは、市町村の末端でかなり混乱していて、かなり文部科学省の事業に対して懐疑的な見方もあるので、その辺は本当に、今回、資料の中にはきちんとその2つも整理されているのでいいとは思うのだけれども、そういう意味でやっぱり一度この重点分野で合同の有識者会議みたいなものをやるというのも、それだけでも重点的な意味合いが出てくるので、ご提案させていただきます。

【高祖座長】
 なるほど。ありがとうございます。

【原室長】
 まだ具体的なやり方はこれから各省と相談しながら決めていくということになりますので、今の意見を踏まえてまた相談させていただきたいと思います。

【高祖座長】
 その合同会議は、実際可能なのですか。そこでやるのは。

【原室長】
 お互いが承知すれば、物理的には可能だと思います。

【高祖座長】
 確かにおっしゃいましたように、本当に重点課題と言うのだったら、各1つの部とか省とかに閉じこもっていますと、解決するはずの問題が解決しなくなるということもありますので、ぜひその辺の取り組みを検討していただいて、新しい取り組みとして実現できるような方向でご尽力いただきたいと思います。
 それでは、よろしゅうございましょうか。大体時間も尽きておりますので。
 多くの貴重な意見、重要なご指摘をありがとうございました。各委員におかれましては、まだまだ実はこういうことを言いたかったというのがきっとおありになるかと思います。
 また、会議が終わった後に、気づかれる点も多々あろうかと思います。書面また口頭でも結構でございますので、そうしたご意見を事務局までご連絡いただければ幸いでございます。
 文部科学省におかれましては、ただいま出ました様々な意見、またはこれからいただくご意見等を踏まえて、この政策評価が本当に実りあるものとなり、PDCAサイクルだとか、予算との関連という初期のねらいがより精度が高くなって実現できるように、その点でのご尽力をまたお願いしたいと思います。
 それから、総合評価書につきましては、いただきましたご意見等を踏まえまして修正を行い、今年中に公表される予定でございますね。今年、年内ということですね。

【原室長】
 はい。年内です。12月末までです。

【高祖座長】
 では、それでよろしくお願いいたします。
 それでは、これにて本日の議事を終わらせていただきます。文部科学省の政策評価の質を向上させるために、今後とも有識者会議として積極的に助言を行ってまいりたいと思いますので、引き続き委員の皆様方のご協力をよろしくお願いいたします。
 師走でございまして、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。ご協力ありがとうございました。

【原室長】
 どうもありがとうございました。

‐了‐

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-- 登録:平成21年以前 --