政策評価に関する有識者会議(第20回)議事録

1.日時

平成19年8月10日(金曜日)14時〜16時10分

2.場所

三菱ビル1階 エム・プラス 「サクセス」

3.議題

  1. 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)について
  2. 文部科学省事業評価書−平成20年度新規・拡充事業等−(案)について
  3. 今後の文部科学省における政策評価について
  4. その他

4.配付資料

資料1−1
 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)(概要)
及び文部科学省事業評価書−平成20年度新規・拡充事業等−(案)(概要)
資料1−2
 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)
資料1−3
 文部科学省事業評価書−平成20年度新規・拡充事業等−(案)
資料2−1
 今後の文部科学省における政策評価について
資料2−2
 規制に関する評価の義務付けについて

5.出席者

(委員)

浅井(経)委員、高祖委員、舘委員、田中委員、中西委員、星野(敏)委員、宮部委員、美山委員、諸石委員、ゼッターランド委員

(事務局)

玉井文部科学審議官、坂田大臣官房長、藤嶋政策評価審議官、戸谷大臣官房会計課長、尾崎大臣官房政策課長、吉尾大臣官房国際課長、長坂大臣官房文教施設企画部施設企画課長、川上生涯学習政策局政策課長、常盤初等中等教育局初等中等教育企画課長、藤原高等教育局高等教育企画課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、伊藤研究振興局振興企画課長、中原研究開発局開発企画課長、北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官、水田文化庁長官官房政策課企画調整官、原大臣官房政策課評価室長、高橋大臣官房政策課評価室室長補佐

6.会議の概要

【高祖座長】

 予定の時間より少し早いのでございますが、委員の皆様方はお集まりのようでございますので、始めてよろしいでしょうか。
 お暑い中、またお盆の前のこういうお忙しい中、委員の皆様、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 これより文部科学省「第20回政策評価に関する有識者会議」を開催いたします。
 本日の会議では、主な議題といたしまして、お手元に議事次第がございますが、一つ目が、「文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)」及び「文部科学省事業評価書―平成20年度新規・拡充事業等―(案)」、これが大きな議題です。それから二つ目が、「今後の文部科学省における政策評価について」です。この2件が大きな議題でございます。
 議事に入ります前に、事務局に異動があったと伺っておりますので、事務局より報告をしていただきます。お願いいたします。

【原評価室長】

 それでは私から、前回の6月に開催されました有識者会議以降の文部科学省の人事異動についてご報告申し上げます。
 まず、7月6日付で就任いたしました玉井文部科学審議官でございます。

【玉井文部科学審議官】

 玉井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【原評価室長】

 同日付で就任いたしました坂田大臣官房長でございます。

【坂田大臣官房長】

 坂田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【原評価室長】

 同じく同日付で就任いたしました藤嶋政策評価審議官でございます。

【藤嶋政策評価審議官】

 藤嶋でございます。よろしくお願いします。

【原評価室長】

 それから、本日出席することにさせていただいておりますが、合田総括審議官と尾崎政策課長については、都合により遅れておりますので、到着次第、あいさつさせていただきます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 それでは、玉井文部科学審議官よりごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【玉井文部科学審議官】

 玉井でございます。
 ずっとこの会議には総括審議官、官房長として参画をさせていただきましたけれども、今度は、文部科学審議官という立場で、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 我が省の政策評価は、高祖先生を初め皆様方のお力添えによりまして、比較的しっかりしたものになっているという評価を受けているところでございます。
 政府全体として、政策評価をしっかりしながら、それぞれの事業のきちんとした執行を行うという方向には着々と進んでいるわけでございまして、ただ、まだいろいろと工夫をせねばならない点が出ております。数量的にあらわせるものと、必ずしもそうではないけれども、どういう評価をしていくかという問題もございますから、そういった面も、これまでPlanDoSeeという形でしっかりとしていただいてきておりますので、それを今後は、予算と政策、あるいは決算と政策をどのようにリンクさせていくのかといったところにも、さらに力を入れていかねばならないと思っております。
 本日は、委員の皆様方のお力をいただきながら、20年度の事業評価書などについてのご議論をいただくことになっております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 それでは、事務局より本日配付されております資料の確認をしていただきます。お願いいたします。

【原評価室長】

 では、私から配付資料の確認をさせていただきます。
 まず資料1−1でございますけれども、横長の紙でございます。「文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)(概要)」及び「文部科学省事業評価書―平成20年度新規・拡充事業等―(案)(概要)」でございます。
 それから、資料1−2、これは灰色のファイルになってございますが、「文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)」でございます。
 それから、資料1−3でございますが、これは青いハードファイルでお配りさせていただいてございますけれども、「文部科学省事業評価書―平成20年度新規・拡充事業等―(案)」でございます。
 それから、机上配付資料として配らせていただいておりますが、資料2−1、「今後の文部科学省における政策評価について」。それから、同じく机上に配付しておりますが、資料2−2、「規制に関する評価の義務付けについて」。
 配付資料は、以上でございます。

【高祖座長】

 配付資料は皆おそろいでしょうか。不足がありましたら、どうぞ挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。

【原評価室長】

 それから、会議の公開の扱いでございますけれども、従前もそうでございますが、政策評価を行う上で、意思決定過程そのものについてもご議論いただくということから、自由闊達な意見交換を確保するために、会議の議事と配付資料は非公開の扱いを従前どおりさせていただきたいと思っております。
 他方、透明性を図る観点から、議事概要については追って公表したいと考えてございます。

【高祖座長】

 そういう方針でずっと来ておりますが、それでよろしいでしょうか。――では、そのようにさせていただきます。
 それでは、議事に入ります。
 まず、議題の第1です。実績評価書案につきましては、前回の有識者会議におきまして皆様から様々なご意見を踏まえて、修正しております。そのご確認をお願いしたいと思います。
 ただ、今回は、時間の関係もございまして、事業評価書案についてたくさん時間をとって、ここでご審議をお願いしたいと思っています。それで、実績評価書案につきましては、ご覧いただきまして、後ほどご意見等を事務局にお寄せいただくということにさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事業評価書案につきましては、今回初めて有識者会議にかかるものでございますので、この内容、また形式につきまして、ご議論をお願いしたいと思っております。
 なお、この評価書の概算要求額につきましては、現在、文部科学省内で調整中でございまして、暫定のものでございますので、ご注意をお願いしたいと思います。
 そのような事情がございまして、先ほどございましたように、議事概要につきましては、8月下旬の概算要求後にホームページ等を通じて公開する予定であるということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。今日シーリングが決まるというように聞いていますので、これからまたいろいろな詰めが行われるかと思います。
 本日は、文部科学省の実績評価書案それから事業評価書案、この二つの評価書を用意していただきましたので、事務局からそれぞれについての説明をしていただこうと思います。先ほど、実績評価書の方は後ほどご意見をと言いましたけれども、前回のこの会議を踏まえて、例えばこんなところをこんなふうに直していますというものを、幾つか事例を交えながら報告していただこうと思っております。
 それから、事業評価書につきましては、今回初めてでございますので、少し丁寧に紹介していただこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、この二つの評価書案につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【原評価室長】

 それでは、実績評価書、事業評価書について私からご説明させていただきます。実績評価書そのものは、この灰色のファイルでございます。細部にわたりますので、説明自体は資料1−1、文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)の概要でご説明させていただければと思います。
 実績評価書につきましては、6月に開催させていただきました前回の有識者会議で一度見ていただきました。その見ていただいた結果を踏まえて、あるいは、後ほどお寄せいただいたご意見を踏まえて、今お手元にお配りしているものとして文部科学省で作成したものとなってございます。
 実績評価書でございますけれども、資料1−1の1.にございますが、「文部科学省の使命と政策目標」、これはこの資料の7ページにございますけれども、文部科学省の政策の体系をまとめたものですが、その実現に向けて文部科学省が平成18年度に取り組んだ施策についての実績評価を実施したものでございます。
 実績評価書の内容でございますけれども、7ページにあります9つの政策目標、それから、それをブレークダウンしました44の施策目標、7ページには細かく書いてございませんけれども、さらにそれを167の達成目標に分けまして、それぞれに、例えば評価の判断基準でございますとか、平成18年度の状況、指標、参考指標、さらには、状況を踏まえましてS、A、B、Cの4段階で評価しました。
 そして、その評価を踏まえて、今度の課題とか政策への反映方針、それから関連する施政方針演説等の重要政策、あるいは達成目標についての主な政策手段ということを内容としてまとめてございます。
 この実績評価書でございますけれども、前の年に比べて3.に書いてあるような点を改善させていただいております。
 具体的な改善ポイントについては、2ページをご覧いただければと思いますが、評価結果を予算要求等へよりよく反映させるために、例えば最初の項目でございますけれども、実績評価の実施時期を1カ月程度早めております。そこに緑色の棒グラフのような形で書いてございますが、従来、実績評価の有識者会議を8月1日に実施させていただいておりましたけれども、今年度につきましては、それを6月27日というように1カ月以上前倒しして、その結果を事業評価、予算要求に反映しやすい状況にしたということ。
 それから、これは事業評価の方でございますが、8月末に行っておりました有識者の会議を、これは今日でございますけれども、8月10日に早めるといったことで、予算要求作業や事業評価に評価の結果をよりよく反映させるという取り組みを行ってございます。
 それから、2番目の項目でございますが、予算とその成果を評価できるようにすることを目的といたしまして、予算書の表示科目であります項というものがございますが、その予算書上の一番大きな項目である項に対応するような政策目標単位での評価を実施したといったような改善の取り組みをしております。
 その他、3ページでございますが、評価の判断基準を一層明確化することなどを目的にいたしまして、政策、施策、達成の各レベルの目標の評価につきまして、できるだけ定量化を図っていくということを行っております。図の真ん中の段でございますが、例えば平成17年度で施策目標レベルが89パーセントだったものが18年度には100パーセントになるといった形で、定量化を図れるものについては、できるだけ定量化を図っていくといった取り組みをさせていただいております。
 それから、類似、重複等があるような達成目標を整理合理化いたしまして、一番下にある217件という達成目標、一番細かいレベルの目標の数でございますが、これを167件に整理統合したといった取り組み。
 あるいは、4ページにございますけれども、これは目標の達成そのものを判断するための基準ではございませんが、目標の達成を判断する参考の指標をできるだけ充実させていくといった観点から、平成17年度に比べて平成18年度は指標の数をそれぞれ増やしていくといった取り組みをさせていただいております。
 それから、評価票、評価のフォーマット、書類のフォーマットの様式や評価の形式を改善いたしまして、内容を把握しやすくするとともに事務を簡素化するといったことで、類似のものをできるだけ統合していくなどの取り組みを行っております。
 これらの改善をいたしまして、前回有識者会議で議論いただいた結果なども踏まえて、5ページにあるような全体の状況になっております。
 1番目の政策目標が一番大きなくくりの目標、それから、2番目の施策目標はそれをよりブレークダウンしたもの、3番目の達成目標は一番細かいレベルの目標でございますが、それぞれの目標ごとにS、A、B、Cがどういう割合になっているかといったものをまとめさせていただいたものがこの表でございます。
 一番左側がS、一番いいもので、一番右側がC、評価が悪いものといった順番で並べさせていただいておりますが、政策目標レベルで見ると、全部で9つの政策目標があるわけでございますけれども、そのうちの8つの政策目標についてAという評価になっております。想定どおり達成、おおむね順調に進捗したということでございます。見ていただければ分かりますが、施策目標、それから達成目標ごとに評価のS、A、B、Cをつけているという形になっております。
 この評価をまとめるに当たりまして、前回の有識者会議、あるいはその後の各有識者の先生方からの意見を踏まえて、幾つかこの実績評価書を修正させていただいております。
 例えば、ホームページアクセス数の評価について、トップページだけでなくて、その下の階層のコンテンツまで含めて評価をきちんとするようにといったご意見をいただきまして、それを踏まえて評価書を修正しました。
 あるいは、女性の学習機会の充実に関して、もう少し記述を充実して評価にきちんと反映すべきではないかといったご意見をいただきましたので、そのような反映をさせていただいております。
 それから、評価結果について、文部科学省の今後の政策に生かす観点から、評価結果を分析するに当たって、外部要因だけではなくて文科省自身の取り組みについてもきちんと評価をすべきといったご意見もいただきましたので、それを踏まえた形で評価書を修正しているといったところでございます。
 以上が18年度の事業について評価をいたしました実績評価の概要でございます。
 続きまして、6ページでございますが、これはこれから行う事業でございますけれども、文部科学省事業評価書の概要でございます。評価書そのものは青いファイルに入れさせていただいておりますが、平成20年度新規・拡充事業等の案ということにさせていただいております。あらかじめ準備できたものについては、有識者の先生方にお送りして、ご覧いただいているものでございます。
 趣旨といたしましては、先ほどの実績評価書と同じく、平成19年度の文部科学省政策評価実施計画、これは毎年の年度当初に有識者会議で議論いただいている計画でございますが、それに基づきまして、大きく分けて以下の二つの評価を実施しております。
 まず、(1)に書いてあるように新規・拡充事業の評価、これは事前評価でございますが、文部科学省の行う平成20年度のすべての事業を評価していただくという枠組みには必ずしもなっておりませんで、例えば既存の事業でございますとか、社会的影響の少ないものは評価の対象から除いております。具体的には、新規・拡充事業のうち、社会的影響または予算規模の大きいものを対象に、評価を実施しております。
 それから、(2)の達成年度到来・継続事業評価、これは事後評価でございますが、こちらにつきましては、件数が少ないものでございますけれども、平成19年度に達成年度が到来する事業のうち、先ほどご説明しました平成18年度実績評価書で政策手段の実績がない事業、それから、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」、いわゆる「骨太の方針」でございますが、それにおける成果重視事業に登録されている事業につきまして、事業評価をしたということでございます。
 今回の事業評価書の前年度に比べての主な改善点でございますが、先ほど実績評価のところでもご説明いたしましたけれども、実績評価の実施時期を1カ月程度早めて、実績評価の結果を今ご説明しました事業評価により的確に反映できるようにしました。それに付随いたしまして、この有識者会議につきましても、昨年は8月末に行っていたものを8月10日ということにさせていただいております。
 それから、これはフォーマットの改善でございますが、平成18年度実績評価結果との関係という欄を新設いたしまして、今申し上げましたような実績評価の結果が正しく今回の事業評価に反映できているかどうかということを確認できるようにしております。
 それから、2番目といたしましては、評価票のフォーマットを改善するといったことを中心に、内容を把握しやすくするといった取り組みをさせていただいております。
 私からの説明は以上でございますが、先ほど事務局から、前回の有識者会議以降に着任したということで紹介させていただきましたけれども、尾崎大臣官房政策課長が前回の会議以降新たに着任しておりますので、ご紹介させていただきます。

【尾崎大臣官房政策課長】

 どうも遅れまして申し分けございません。政策課長の尾崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【原評価室長】

 事務局からは以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 一つだけ確認させていただきますが、この実績評価書の中の赤字で書いてあるところが、前回のものから新しく書き加えや訂正をしたところですね。

【原評価室長】

 はい、そうでございます。前回の有識者会議で配付させていただいたものから変更したところを赤字で書いてあります。

【高祖座長】

 ですから、これをご覧になります時に、特に、赤字を集中的にご覧になれば、どこがどう変わっているかはチェックできるということでございますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、今日のメインの議題といいますか、こちらの事業評価書に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 実績評価書につきましては、ご覧いただきまして、特にここはまだ自分としては意見を言いたいということがございましたら、またお気づきの点がございましたら、ご遠慮なく事務局に、メールでもお手紙でも結構ですので、お出しいただくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、これから事業評価書の議論に入りたいと思います。
 9つの政策目標がございまして、教育から科学技術、それから文化、スポーツ、国際関係と多岐にわたっております。
 それで、いつも皆様方にご了承を得て進めておりますけれども、ご異論がなければ、まずは政策目標の1と2と3、生涯教育、初等中等教育、高等教育を先に論じていただいて、次に科学技術関係の4、5、6、そして最後にスポーツ、文化、国際関係、政策目標の7、8、9、この三つに時間を区切って進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。――では、そのようにさせていただきます。恐れ入ります。
 それから、多くの方がご発言くださると思いますので、できる限り1回の発言を2分から3分ぐらいでおさめていただきたいと思います。これは事務局にもお願いいたします。それで、発言したいという意思があります時には、この名札を立てていただいて、それを私が見ながら指名していきます。そういう進め方をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、政策目標1「生涯学習社会の実現」、政策目標2「確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成と信頼される学校づくり」、政策目標3「個性が輝く高等教育の推進と私学の振興」、特にこの三つに関連するところについて、先生方からのご意見を頂戴したいと思います。
 なお、全体に関係しますことは、どうぞ適宜ご発言を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、どなたからでも結構でございますので、名札を立てていただいて、ご発言をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 では、星野先生からどうぞ。お願いいたします。

【星野(敏)委員】

 それでは私から、トップバッターということで、何か言った方がいいかなと思いましたので、少し意見といいますか、見て感じたことをお話しさせていただきます。
 政策目標の1と2を見まして、放課後子ども教室推進事業とか喫緊の課題に対応した青少年の体験活動推進プランというところを中心に僕は見てきたのですが、以前にもお話ししましたけれども、体験活動のようなことを専門にしているものですから、政府としても、日本の子供の体験活動が減少しているという報告がございましたので、ぜひこういったところに力を入れていただきたいなという気がするのですが、現場で私たちがやっているところから考えますと、政策として考えた時に、ぜひ初等中等教育局と生涯学習政策局や青少年・スポーツ局が連携してやっていただきたいなという気が一つするのですね。
 それで、体験活動を広めていくために重要なことは、もちろん学校の授業として子供たちを外に連れていくことも大事ですし、学校以外の地域あるいは青少年教育施設で子供たちが体験することも大事ですが、見ていますと、子供を預かって指導できる指導者がもちろん少ないこともあるのですが、子供が安心していられる場所も少ないということもあります。
 例えば、学校で子供たちを郊外へ連れていって、できればカリキュラムとの関連で指導してやれればいいなとは思うのですが、そういう指導を学校教員全部ができるかというと、そういうわけにはいきません。
 教員にかわって指導できる指導者がいれば、極めて有効に体験活動を進められるなという気がするのですが、教員にかわって指導できる指導者を雇えるような予算化がされていないということがありまして、例えば学校でいい計画を立てても、予算的な課題で問題がクリアできないということもあります。
 ぜひ連携を図って、日本の子供たちが学校教育の教室の中だけでなく、教室の外で授業として体験することも大事ですし、あるいは生きる力とか生活力とか協調性、そういうものを地域や社会の中で体験することも大事ですので、できるだけ連携しながらこういった事業展開をぜひ進めていっていただければなと思いながら、読んでいました。
 ぜひ発展的に進めていっていただきたいと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 特に、このことについて事務局からご発言はありますか。連携を深めてほしいということ、特に初等中等教育と生涯学習教育ですね。それから、教員にかわる指導者の予算化のところです。

【玉井文部科学審議官】

 今回、教育再生会議の第2次報告はもうご存じだと思いますが、あの中でかなり体験重視ということが示されておりまして、それもぽつん、ぽつんというより、少しまとまった体験活動をしたらどうかというのが小学校、中学校、高校と示されておりますので、これをどういうふうに支援していくのか。あわせて、指導要領も今ちょうど中教審で議論しておりますから、その中での取り扱いも検討していきたいと考えております。
 特に私どもは、来年度概算要求では、教育再生の本格的な予算は20年度予算が初めてになります。最初の予算になってまいりますので、そういった意味での充実した予算というものに何とかしたい、こう思って、今のご指摘を十分承りながらやっていきたいと思います。
 それから、連携関係は、今日政策課長も来ておりますけれども、やはり各局だけではなくて、官房として全体の調整をもう少しきちんと図っていかねばならないという問題意識もございますので、官房総括審議官それから政策課長を中心に、いろいろな政策の整合性を図っていきたい、かように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【高祖座長】

 ありがとうございました。よろしいですか。

【星野(敏)委員】

 はい。

【高祖座長】

 では、続いて浅井先生、どうぞ。

【浅井(経)委員】

 事業評価書を拝見しまして、大変ありがたいということを申し上げたいと思います。
 前回の会議でも申し上げましたように、地方の教育行政が、人手不足とか財政難で、かなり力が落ちているといいますか、非常に困っている状態に陥りかけているのではないかと思うのですね。
 文科省の施策目標にも地域の教育力の向上ということが挙げられておりますので、例えば、3ページですけれども、放課後子ども教室の事業の概要、下から2行目に「20年度概算要求においては、地方がより取り組みやすくなるよう、カ所数の増、協力者への謝金単価の増等の必要な措置を講ずる」ということが挙げられておりますし、それから4ページの真ん中ぐらいですが、18年度実績評価結果との関係で、「地方の意見等を踏まえつつ」ということがあげてございます。
 前回も申し上げたのですけれども、ぜひ地方の教育行政のサイズに合わせた事業を展開していただかないと、なかなかうまくいかないのではないかということです。
 その結果は、結局、どれだけの件数の事業が地方に普及していくかということでこの事業の実績評価にはね返ってきますので、その辺をぜひ進めていただければありがたいと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございました。他にございますか。どうぞ。

【川上生涯学習政策局政策課長】

 ありがとうございます。
 放課後子ども教室推進事業は拡充してまいりたいと思っております。おっしゃるとおり、地域のいろいろな実情がございますので、それに合わせて、地域がやりやすいようにやるという工夫を何よりも行い、そういうことを通して箇所数を、受けていただけるところを増やしていくという努力をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 当初、私がこの会議へ来ました時には、どちらかというと、注文というか批判が多かったのですが、だんだん、ここはうまくいっているという発言が増えてきているような気がしております。
 それは、やはりこの会議の積み重ねということもあるかもしれませんし、文部科学省当局の方々のご尽力のたまものだと思います。そのあたりも含めて、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、宮部委員、どうぞ。

【宮部委員】

 28番の大学院教育改革支援プログラムに関することですが、私はメーカーにおりますので、特に理系の大学院を対象にコメントさせていただきたいのですが、昨今、修士課程を含めて、大学院の卒業生のレベルが下がっているなということを痛感しております。
 私も、一方でそういうところで非常勤で講義をしたりする中で、修士課程の学生さんと触れて思うのは、やはりマス教育になっているのではないかなという感じがします。
 大学院と大学学部あるいは高等学校との違いというのは、やはりマンツーマンに近いような形でしっかりした研究指導がなされる。優秀な先生の研究のやり方、進め方、課題の見つけ方、そういったことを指導していただくというところが従来の学部卒の学生と修士以上の学生との大きな違いであるというように理解していたのですが、どうも最近それが同質化してきている感じがあります。
 その一つの原因は、私が見ている限りなので、全部をカバーし切れていないのは当然ですけれども、やはり定員が増え過ぎているのではないかと思います。
 特に一流の理系を持っている大学の場合、学部4年生の定員と修士の定員はほぼ同数だったりしまして、全員が進学している。結果としては、やはりマス教育にならざるを得ないところがあるのではないかなということで、定員についても見直すようなことを、あるいは、定員を増やすのであれば、それなりに教員の数も増やすようなことをやっていかないといけないのではないかなというように思います。
 そうすると、企業は修士しか採らないじゃないかというご意見もあろうかと思いますけれども、現実的には、学部卒は我々が対象とする就職市場に出てこないので、結果として修士卒だけになっているわけでありまして、それは一定の比率で学部卒の仕事もありますし、一定の比率で修士卒、博士卒のものもあると思うので、そういう意味で、定員というのはある種のバランスを持ったらどうかと思います。
 そういう中で、やはりマンツーマンに近い、言葉が適切かどうかわかりませんが、徒弟制のような中で人材育成がなされるというところをきちんと大学院としては維持すべきかなというように思います。
 そこで、このプログラムの中では、流動性ということをすぐれた教育プログラムの例として挙げているのですけれども、数字としては30パーセントとか35パーセントということで、数字を見れば適切な数字だと思うのですが、いたずらに流動性を増すということは、先ほど言ったマンツーマンの徒弟制ということ、理系に関しては、学部で1年間指導してもらって、次の2年間でその先生に別のテーマで指導してもらって、育つケースもあれば育たないケースもあると思います。この30という数字を修士に関してきちんと理解されればいいのですけれども、それ以上に過度に流動性を上げる、いたずらに上げることが結果としていいということではないのではないか、そういうことで考えております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 委員の皆様、関連することでも結構でございますので、おっしゃってください。
 では、田中委員、どうぞ。

【田中委員】

 私は、内容と申しますより、フォーマットについての確認です。
 実は事前にすべき質問だったのではないかと思うのですが、評価書を見ますと、昨年は事業ごとに最後にポンチ絵のようなものがついておりましたけれども、今年の案を見ますと、ついているものもあるのですが、大半はなくなっているのです。これは、今年度から必ずしもつけなくてもいいということにしたのかどうかという確認が1点です。
 もう1点ですが、評価票の中の効率性と有効性というところです。ここは重要な項目だと思うのですが、必ずしも記述方法が統一されていないように見えるのですけれども、このあたりは、原課に記入を依頼する時に、どういうお願いというか依頼をしたのか。その2点をお願いいたします。

【高祖座長】

 事務局からお願いします。

【原評価室長】

 それでは、事務局から答えさせていただきます。
 最初のポンチ絵についてでございますけれども、できるものについては当然、事業を見やすくするといった観点からポンチ絵をつけるというのは、去年と同じ方針でございます。それで、できるだけポンチ絵をつくってくださいということで作業を進めてございますが、一方、去年と比べて会議が早くなっているといった事情もございまして、一部ポンチ絵等の附属資料については準備ができていないものもあるということでご理解いただければと思っております。

【田中委員】

 方針は変わっていないということですか。

【原評価室長】

 方針は変わってございません。
 それから、事業の項目、特に効率性と有効性の部分についての書きぶりが統一されていないということでございますが、これも、まず、私ども大臣官房政策課の評価室というところが作業を各原課にお願いするに当たって、一応書きぶりのガイドラインみたいなものを示させていただいて、このような形で書いてくださいと、若干事務的ではございますが、そういうことでお願いさせていただいております。これは従来からやっている方式でございます。

【田中委員】

 そのガイドラインに沿ったような書き方をしているものは、例えば最初の中でいうと、どのあたりがそういったことに沿っているのでしょうか。
 効率性ですと、事業アウトプット、事業アウトカムという分け方をしているところと、あと有効性ですと、施策目標それから得ようとする効果云々ということで、従来の区分を反映したような書きぶりがありますけれども、これがガイドラインに沿った書きぶりということになるのでしょうか。

【原評価室長】

 一番分かりやすいと思いますのが、番号の21番、ページで申し上げますと46ページ、公立小中学校施設の耐震化等ということで準備をさせていただいているものでございます。
 効率性につきましては、事業のアウトプットそれからアウトカム、有効性については、19年度までに得られた効果を踏まえて、どういう目標に従ってやっていくかといったことを書いてございますが、これがうまく書けている例というふうにご理解いただければと思います。

【田中委員】

 わかりました。ありがとうございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 1カ月早まったことで、作業がなかなか追いついていないということがございましたが、これから回を重ねていくに従いまして、そのあたりも少しスピードアップしていただいて、整えていただく。そういうことでよろしくお願いいたします。
 中西委員でございますね。どうぞ。

【中西委員】

 全体に非常に見やすくなりまして、毎年いろいろフォーマットを検討されていることが非常によく分かります。
 それを踏まえて、政策目標3の個性が輝くというところですけれども、実は5カ所申し上げたいことがございます。それを申し上げる前に、フォーマットについて述べさせていただきたいと思います。予算額のところですが、例えば49ページ、22番の「がんプロフェッショナル育成プラン」は、19年度の予算額が14億円で、20年度が28億円と倍増しているのですが、これがなぜ3倍でなくまた、1.5倍でもなく、なぜこの予算額となったのかということが読めるようなものとなればよいと思いました。フォーマット的なことでございます。
 まず、一つ目ですが、51ページ、23番の「グローバルCOEプログラム」です。これは競争的な資金で非常によいプログラムと思いますし、拠点も形成されつつあると思われますが、5年で終わってしまうのです。継続もございますが、終わった後がどうなるかということを考えていただき、一時的な支援にならないよう、特に終了後を考慮していただきたいと思います。
 二つ目は、25番で55ページですけれども、これは「国際化推進プログラム」で、世界のトップレベルの方たちを招聘することは、非常にいいプログラムだと思います。ただ、招聘して話を聞く際、受ける側の問題、例えば理解力や、招聘が単発でなく根付くかなど問題だと思います。新規のプログラムですから、これからの問題かと思われますが、これらの点も考えていただければと思います。
 それから、27番、「先導的ITスペシャリストの育成促進プログラム」は、今、社会的ニーズが非常に高い事柄だと思うのですが、国内だけでなくて海外での研修、アメリカとかインドあたりに人を送るということも既に企業では行っていると伺います。国内に教えられる人材がどれだけいるかということもございますし、人材拡充をめざすということなので、海外へ研修に出すことも含めて考えていただければと思っております。
 四つ目は、32番、「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」ですが、前もって送ってくださった資料を見ておりましたところ、このプログラムだけ、あまり具体策を理解することができなかったのです。学生支援プログラムなので、もう少し具体的なことを入れてもらえればいいと思いました。
 それから最後ですが、33番です。これはもう少し拡充することをぜひお願いしたいと思います。国立大学等の施設整備の推進ということですが、これらの施設では、安全とか環境問題への取組みを考えますと、企業等に比べまして、特に大学では相当立ち遅れていると思われます。ですから、これらの整備をぜひ含めてほしいと思います。
 例えば、いろいろな薬品の管理システムを入れるとか、ボンベなど高圧ガスの問題、廃棄・処理場の整備など、安全面と環境面で非常に立ち遅れているところがございます。拡充とありますので、ぜひこれからもこれらの点に配慮して拡充していっていただきたいということでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 舘先生に話していただいて、後から事務局にお願いしますので、先にお願いいたします。

【舘委員】

 目標の3の大学関係ですが、中西先生が今おっしゃったこととダブる点もあるかもしれませんけれども、より一般化しますと、目次を見ると、1ページ目から2ページ目にかけて政策目標3の事業がありまして、いわゆる競争的資金配分型のものが並んでいて、どれも、そういう意味ではCOEも、スタートは21世紀COEで、これは去年からですか、グローバルになりまして、このプロジェクトは第2ラウンドに入ってきたという感じなんですね。国公私を通じた競争的資金配分のタイプです。
 それで、今までのこれが成功しているということの評価は、このプログラムにいっぱい応募があって、競争しているというところで、結果的に質も上がっていると思いますけれども、そういうところでこの政策がうまくいっているという評価されていたような気がするのですね。それに対して、果たして政策の目標としているものが達成されたのか。
 COEの場合はセンター・オブ・エクセレンスで、これは世界の中心的な研究あるいは教育研究者養成の機関になるということを込めたプログラムで、同じところがまた選ばれているとは限りませんけれども、もう第2ラウンドになってきて、それがアウトカムとしてどうなのか。
 もう一つの、大部分がグッドプラクティスと言われているタイプで、今第2ラウンドでは、大学院も大学院教育改革支援プログラム、これが魅力ある云々というので始まっていまして、その下の大学教育改革支援プログラムは、GPという言葉が特色ある大学改革でしたか、いろいろな一連のものの総称かと思うのですけれども、これも第2ラウンドになってきて、特にグッドプラクティス型の場合は、それ自身が支援を受けてというわけではなくて、その実践が波及している、だからモデルになるという意味を政策目的に入れていたと思うのですね。
 これは、確かに発表会とかをやって、伝わってはいると思うのですけれども、果たして本当にモデルになったのかとか、そういうことをやはりはからないといけない段階になっているのかなということが一つ。
 それからもう一つは、ここを見ていただくと分かるように、大学院教育改革支援プログラムとか大学教育改革支援プログラム、これは非常に一般的で、この中にはいろいろなタイプのものが選ばれるわけですね。その多くが実は、今回入ってきた、一番の目玉だと思うのですけれども、大学共同・連携促進支援プログラム、要するに国際化のプログラムで、今までもいいものとして選ばれているものの多くが、やはり国際化をきちんとやるということで選ばれているということで、ある意味ではダブりもあるわけですね。
 ただ、今度掲げられたものは非常に高いレベルで設定はされていると思うのですけれども、内容的にはダブっている。これは前から、地域が出てきた時に、地域連携とかそういうものは、元々の一般的なものでもジャンルとしては存在して、選ばれていてダブりがあったわけですけれども、この辺の政策上の仕分けをどのように考えていらっしゃるのか。その2点をお伺いできればと思っております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 宮部委員、中西委員、舘委員と、それぞれ主に高等教育にかかわるところの発言が続きました。高等教育の関係の方からお願いいたします。

【藤原高等教育企画課長】

 高等教育局でございます。幾つかご指摘を受けましたので、網羅的かどうかわかりませんが、若干ご説明申し上げたいと思います。
 まず1点目として、大学院の現状につきまして、非常にマス教育的な状態にあるということでございまして、まさにそういう問題点の改善という観点から、大学院の教育改革支援プログラムを設けて、より大学院教育の実質化というか、中身に応じた具体的な教育についての支援で対応しているということでございます。
 定員についてでございますが、確かに全体的に大学院の定員は、従来拡大傾向にございました。
 しかしながら、それとともに流動性の向上も図ってきたということですが、大学院の拡充については、当然中身の水準の担保という観点で、教育研究環境の水準の維持ということで、教官の定員等についてもそれなりに充実を図ってきているという実態でございます。
 流動性の問題については、現状よりもさらに向上すべきだという議論と、過度の流動性の向上について、つまり学部から大学院に上がる際のインブリーディングの問題ですが、あまりにも流動性を上げるのは問題ではないかという両面がございます。
 この点は、まさに現在教育再生会議でも議論されているということでありまして、この辺の動向もきちんと見据えて対応していきたいと考えております。
 それから、グローバルCOEについてでございます。これは21世紀COEプログラムの後継でありますけれども、もともと21世紀COEの問題でもそうですが、例えば5年という期間を支援するということで、その後については、実際の成果が出てきたものについてさらに伸ばすという観点で、例えばグローバルCOEに引き続き採択されるケースもあるのですが、ある組織をずっと面倒を見るという趣旨のものではございませんので、必要性に応じて、成果があまり得られなければ、次のステップには行かない。そういう観点で、グローバルCOEは、採択件数は21世紀COEのおよそ半分で、予算措置については逆に倍増しているという仕組みでございます。
 それから、25番の国際共同・連携促進プログラム、今回新規で考えておりますが、これは単に外国から人を呼んでくるとか、そういう話だけではなくて、大学間の国際的な連携ということで、例えばダブルディグリーを付与するとか、そういう日本の大学院の水準の国際標準化を目指すこと。
 あるいは、実際にこちらからも行ったり、向こうからも来たりという相互の交流とか、さまざまな形態について支援していこうということでございまして、かなり中身としては厚みのあるものだというふうに考えております。
 それから、ITスペシャリストの関係については、確かにご指摘のように、海外についても本来は考えなければいけないことではあると思いますが、その中身について、予算の枠などもありますので、慎重に検討していきたいと考えております。
 それから、学生支援関係のプログラムについても、より具体的なことをきちんと対応していきたいと考えております。
 それから、いわゆるGPものについて、これが本当のモデルになっているのか。あるいは、国際的なものについて、今回新しく概算要求しようとしている25番の事業との重複問題についてのご指摘でございますが、GPで採択したものについて、その成果についての個別具体の検証が、ご指摘のとおり確かに必要だと思います。
 ただ、そのレベルの話と、それから今回新しくお願いしようとしています国際共同・連携促進プログラムについては、若干次元が違いまして、先ほどの説明の繰り返しになりますが、25番のプログラムについては、かなり重層的な構造ということで、モデルというよりは、例えば現在東工大と中国の清華大がやっているようなダブルディグリーのああいったプログラムについて、よりバックアップしていきましょうということでございますので、さらに具体的なものについて支援していこうという意図があるわけでございます。
 雑駁でございますが、以上でございます。

【長坂施設企画課長】

 施設企画課長でございます。
 中西先生から大学施設の老朽化についてご指摘をいただきました。今、文部科学省では、国立大学等について、緊急整備の第2次5カ年計画で、老朽再生を最重点として施設整備を進めております。
 中西先生からは、薬品システムでありますとか高圧ガスのボンベの問題とか、幅広い安全面の拡充というご指摘でしたが、施設整備費で行う部分とそれ以外の経費で行う部分とがあるわけでございますけれども、最も基礎的となる耐震改修等を含めた老朽再生を最重点で進めておりまして、財政状況は非常に厳しいのですが、何とか計画どおり進捗させるように努力しているところでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 この1、2、3につきましては、ゼッターランド委員が今発言を求めておりますので、発言していただいて、一応この次に移りたいと思います。どうぞお願いいたします。

【ゼッターランド委員】

 こちらの15ページになるのでしょうか、8の小学校における英語活動等国際理解活動推進プランで、こちらは拡充ということになっているのですけれども、これは、どちらかといえば中身についてお伺いするということと、幾つか意見を述べさせていただければと思ったのですが、早い段階で外国語を子供に習得させるということは、大変いいことであるとは思うのですけれども、これが最終的に教育の中で、あるいは日本の将来のためにどうプラスになっていくのかということがきちんとした形で見えてこないと、せっかくカリキュラムの中に取り込んでももったいないかなと。もったいないというか、むだになってしまうようなことにならないかなというように懸念する部分もあるのです。
 言語の習得は、私自身も日本語と英語と両方をやってきたのですけれども、教材とかそういったものを充実させることも大事ですが、ほとんど毎日話していないと、結局忘れてしまうというのが言葉だと思うのですね。ですから、こういった形で、拠点校をつくったり、外部から先生を呼んできたり、小学校の先生の英語能力を向上させる。そういったことも大切だとは思うのですけれども、本当に話せる英語を学ぶということであれば、授業の段階で、それこそ週に3回とか、ほぼ毎日とか、そういった形で取り入れていくぐらいの感覚でないと、何のために行ったのか分からなくなってしまうということにならないように、せっかくお金をかけるのであれば、そういったカリキュラムのこともお考えいただければと思います。
 それから、確かに外国語が話せるようになるというのは、特に英語は国際的にも、スポーツの中でも英語が話せないよりは話せた方がいいと言われる場面が多々あるのですけれども、17ページの絵のところにあるのですが、指導者研修の中で「小学校における英語教育の趣旨」ということで、小さく、「国語や日本文化を含め言語や文化の理解を深める」というふうにあるのですが、英語が話せるようになる前に、やはり日本語がちゃんと話せるようになった方がいいと思うのですね。外国人の私が言うのも変な話だと思うのですけれども。
 外国に出ていって英語が話せても、大体聞かれることは、「日本ってどういう国なの?」ということを聞かれて、意外とそれについて説明できないことの方が随分多いなと思ったのですね。こういったことを、英語活動を推進するプランと同時に、やはりきちんと自分の育っている国の言語、第1公用語はやはり日本語ですから、そういったことをしっかり踏まえて、日本の文化についてもきちんと踏まえて、子供たちがちゃんと誇りを持って、日本はこういう国なんだということを外国に行っても対等に渡り合うことができるような、そういったものも含めたカリキュラムづくりを同時にやっていっていただけたらいいかな、できればそこを盛り込んでいただけると本当にうれしいなと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 初等中等教育局、何かございますか。

【常盤初等中等教育企画課長】

 小学校の英語教育でございますけれども、この事業で考えておりますのは、現在の実態としては、学習指導要領の中で総合的な学習の時間というものが設けられておりまして、その中で、各学校の任意の判断で英会話のような活動を行うことができるということになっております。
 そういう制度のもとで、現実には全国の9割以上の学校で、小学校の段階で英語を実施しておりますし、また既に、例えば6年生でいいますと、年間に14〜15時間、英語の活動をしているという実態がございます。
 そういう意味で、枠としては結構、実際に既に行われているところがあるわけですけれども、ただ、中身についてばらつきが非常に大きいのではないかというご指摘がございまして、せっかくそういう形で進めているものについて、国として、教材とか指導者の力を引き上げることで、中身的にも充実したものにしていく必要があるのではないかということで、こういう事業を考えております。
 その一方で、同時に、国の教育内容、教育課程の基準として学習指導要領がございまして、そこで本格的に小学校段階での英語を、今のように各学校で自由におやりなさいというだけではなくて、国として正面から位置づけていくことについてどうあるべきかという議論を、今、中央教育審議会で並行して行っているという状況でございます。
 ですから、そういうところで、今お話しいただきましたように、小学校段階では、英語を入れるか入れないかは問わないわけですけれども、国語教育をまずしっかりと行うことが大切ではないかとか、あるいは、小学校で英語を入れる時に、中学校、高等学校まで見通して、本当に日本人としてどういうレベルの英語を目指すのか。
 例えば中学校の今の授業時間数が、今は大体週に3時間でございますけれども、それで十分なのかということも今議論をしているところでございます。
 そういう意味で、これからの方向性については、中央教育審議会での議論の中で、今委員ご指摘のような点も含めて、十分検討してまいりたいという段階でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 これまでのご発言を伺っていますと、ここに書かれている中身を確認するもの、あるいはここをもう少し考えてくれというものと、それからもう一つは、政策の評価という観点から、今評価しているものでいいのかという両面が出てきております。
 評価そのもののあり方につきましては、以前からもう一人の星野委員からこの場でもご指摘がございまして、ワーキンググループをつくって、専門的にそのあたりをもう一度、来年に向けて検討してはどうかというご意見もございます。その枠組み全体は、確かに来年に向けてそのようなことを見直していくことが必要かもしれませんので、事務局を含めて検討していただいて、こういう方針でいくというものをお出しいただきたいと思います。
 それでは、次に移ってよろしいでしょうか。
 それでは、科学技術に関連いたします政策目標4、5、6に関わるところについてのご発言をお願いしたいと思います。どうぞお願いいたします。
 中西先生、どうぞ。

【中西委員】

 科学技術ということで、ぜひ何カ所か言わせていただきたいのですが、まず科研費の37番です。これは、3割増しということで、非常に努力していただけていると思いますが、大学や研究機関にいる者にとって、ボトムアップで独自のアイデアを生かせる、唯一に近い、非常に貴重でかつ大きな役割を果たしている有効な助成だと思います。ですから、この科研費の更なる充足にはぜひ力を入れていただきたいと思います。
 それから、99ページの42番、データ統合・解析システムの拡充についてです。宇宙から見ていろいろなデータをとるということで、非常に大切なプロジェクトだと思うのですが、宇宙政策全体から見た位置づけを書いていただけるとよいと思います。いろいろな衛星が上がっており、かつ宇宙関連のいろいろなプログラムもありますので、そこのどの部分に相当し、何が足りないのかというのが分かると、もう少し理解しやすくなるのではないかと思いました。単発的に、解析システムを拡充したいということが出されており、内容はよく分かるのですけれども、大きな宇宙開発の中での位置づけが必要だと思います。
 それから、44番です。元素戦略ということで、最近文部科学省と経産省が一緒に始められたプロジェクトで、特に日本では希少元素が非常に不足することが見込まれ、大切なプロジェクトだと思うのですが、中をよくよく読んで、絵も見させていただきますと、燃料電池の話ばかりで、それが主だと書いてあります。最初の段階はそうかもしれませんけれども、元素にはいろいろなものがございます。インジウムとかタングステンとか、他のものもありますので、それらの記述も書くべきだと思います。もし燃料電池が主体なのでしたら、元素戦略というタイトルでなくて、燃料電池の開発というタイトルになってもいいのではないかと思います。もう少し他も視野に入れているのでしたら、そんなタイトルの方がいいのではないかと思いました。これも内容とタイトルのことでございます。
 それから、次の45番、ITER(イーター)の話ですが、ITER(イーター)は金額も突出しており、非常に大きなプロジェクトでかつ、国家間の取り決めもあることはよく分かります。技術開発の面の説明が非常に多いのですが、将来の世界のエネルギー戦略の中で、ITER(イーター)を日本では具体的にどう位置づけをするかということ、それから、今いろいろ環境が変わってきていますが、現状分析を踏まえて、将来、こういうエネルギーをこれに代替していくのだという具体的な議論、これらも並行して書いていただくともう少し分かりやすいと思います。
 それから、政策目標4では、136ページ、54番の安全・安心科学技術プロジェクトでございます。これは、主にテロ対策と犯罪に焦点を当てられているのですけれども、安全・安心ということで科学技術がサポートできることは、犯罪とテロだけではなくて、例えば毒物はどうか、また食品の安全性、分析技術などの発展が大きな役割を果たすわけです。テロと犯罪の対策ももちろん大切ですけれども、もう少し科学技術的な面、もちろん科学技術はテロと犯罪にも生きるのですが、もっと幅広く安全・安心というものをとらえてほしいと思います。相当な予算の拡充を予定しているということは、かなり力を入れているところかと思いますので、幅広い分野を考えていっていただければと思います。
 それから、最後ですが、政策目標5、60番、イノベーション創出のところです。これも新規ということで、かなり額が大きいものです。イノベーションというからには、既成概念の打破を行える人材の選抜というものが非常に大切ですけれども、そういう既成概念の打破を行える人材選抜の方法ということについて、もう少し考えていただきたいと思います。どう評価してそういう人材を選んでいくかということは大切だと思うのですが、そこにももう少し力を入れていただければと思います。
 以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 6点にわたってご指摘がございましたが、科学技術に関係する方から何かありましたら、お願いいたします。

【伊藤研究振興局振興企画課長】

 研究振興局でございます。私から、科研費と元素戦略について補足させていただきます。
 科研費は、ご指摘のとおり、人文社会から自然科学、基礎から応用まで幅広く支援している唯一の競争的資金でございまして、特に20年度におきましては、若手、間接経費、それから挑戦的な課題を取り上げられるようなものとなるように拡充を考えているところでございます。
 なお、元素戦略につきましては、これはちょっと誤解を与えて申しわけございません。19年度から始まった事業でございまして、既に今年度採択されたものについては、いわゆる希少元素、あるいは戦略的に確保が必要なものについて対応しているところでございますが、来年度の拡充分につきましては、特に燃料電池などで需要が急増いたします白金につきまして、それの代替材料、そういったものを中心に拡充してまいりたいということでございます。
 ポンチ絵につきましては、少し工夫させていただきたいと思います。

【中原研究開発局開発企画課長】

 研究開発局でございます。中西先生の二つ目、宇宙のデータの問題と、それからITER(イーター)について補足させていただきます。
 まず第1の点でございますが、地球環境問題を考えるときに、宇宙からでなく、海洋とかいろいろなところから膨大なデータが蓄積されてございます。そういったものをいかにうまく使っていくかということが非常に大きな問題となっておりまして、その観点からこのデータシステムについての事業を進めているところでございます。
 宇宙からのデータは、その中でも非常に枢要な位置づけを占めていることは間違いのないところでございます。現在、宇宙開発についての長期的な計画の見直しを進めているところでございますが、こういった地球観測の問題というのは、なかなか民間が担うことができない分野だということで、非常に重点化していくものの一つとして我々は考えてございます。そういった先生のおっしゃるような記述といいますか、そういう工夫を検討させていただきたいと思います。
 それから、ITER(イーター)についてでございますが、ご承知のとおり、核融合の実用化の時期というものは今世紀の後半から来世紀ということで、非常に長期的な研究開発でございます。しかしながら、地球温暖化問題等をにらみながら、CO2(二酸化炭素)を出さないエネルギー源、究極のエネルギー源ということで非常に期待をされているものが核融合でございまして、国際協力で今ITER(イーター)を進めているところでございます。
 ただ、最初に申し上げましたように、非常に長期的な、実用化が非常に先のものでございまして、具体的なエネルギー戦略の中でどれくらいの割合を担っていくかとか、そういったところまでは、まだ具体的な、数字的なものはなかなか申し上げることが難しいのかなと考えているところでございます。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】

 失礼いたします。科学技術・学術政策局でございます。
 54番、136ページの安全・安心の関連でございますが、ご指摘のように、安全・安心につきましては、あらゆる分野においてこの安全・安心という視点を取り入れての取り組みを進めていこうということで進めているわけでございますけれども、そういったところで必ずしもフォローされていない分野ということで、本年度立ち上げました時に、初年度ということで、テロ・犯罪対策等に取り組んだところでございます。
 138ページにもございますように、この分野につきましては、安全・安心科学技術委員会でもご議論いただきまして、来年度の取り組みとして、地域社会の安全・安心の確保に係る研究開発を取り上げていこうという方向で取り組んでいるところでございます。
 それから、60番、イノベーション創出フェローシップで、本当のイノベーション、革新を起こすような人材を選ぶ際、どう評価していくかという点を十分検討するようにというご指摘でございました。この事業は、各大学のプログラムでいいものを選考していこうという構想でございまして、実際のフェローシップ対象者の選考は、各大学等において行われる形になるかと思いますが、事業実施につきましては、先生からご指摘のございました視点も含めて審査いただくような形で事業を進めていきたいと考えているところでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 中西先生、よろしいですか。では、美山先生、どうぞ。

【美山委員】

 ちょっと畑違いかもしれませんけれども、文化芸術関係の視点から見まして、66番、173ページの科学技術と文化を融合させた理解増進活動推進(新規)というものがありまして、大変興味深く拝見させていただきました。
 実は、科学技術振興調整費のご支援をいただいて、デジタルメディアコンテンツの統合研究機構というものを学内につくって行っているわけですが、その中でも科学技術と芸術文化関係者の両方がおりまして、融合がなかなかうまくいかなくて日々苦労している立場から、このような理解増進活動ができると大変すばらしいなと思う反面、この推進に当たっては幾つか考えるべきところがあるのではないかというように、これを拝見しながら思った次第です。
 と申しますのは、これの必要性については何ら異論とか意見はなくて、このようなことができれば大変すばらしいと思うわけですが、この事業の必要性、有効性、効率性という観点から考えていきますと、実際に理解増進活動がシンポジウムの形をとって行われるということが軸で、また、その成果をリーフレットにするということであります。
 確かに、今科学未来館で行われているサイエンスカフェに比べれば、その波及効果は非常に大きくなって、よろしいかと思いますが、若い人たちがどの程度シンポジウムに行くかということと、それから、そのシンポジウムの成果がリーフレットの形で配付されるという形で、シンポジウムの成果の二次的な利用が十分だろうかという点では、例えばユーチューブとかいろいろなものが周りにあるわけなので、このシンポジウムの成果で科学技術に対する関心が深まるのはいいけれども、それがリーフレットだけでは、そういうことに関心を持っている人たちに対する訴求力としてはどうなのかなという点が、有効性という点から見て、果たしてこれだけでいいのだろうかという懸念を持った次第です。
 ただ、このような方向はぜひ望まれることであって、日々、科学技術関係者と私のように芸術文化を基盤にしている人間との対話で苦労している状況の改善にも役立つのではないかと思って、ぜひとも効率的な活用を望むものであります。当然こうした新規事業ができると、その後に事業評価をしなくてはいけない、そういうステージが回ってくるわけですので、そこまで視野に入れた形でプログラムができるとよろしいかなと思っておりました。

【高祖座長】

 ありがとうございます。これについてございましたら。どうぞ。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】

 ただいまご指摘いただきました点を含めて、具体の事業の中身、執行、効果の普及については、工夫してまいりたいと思います。

【高祖座長】

 何回かこの会議でも出ているのですが、それぞれの政策として示されているものの相互の関連、どちらかというと、局ごとにまとまっているけれども、局と局がつながっていくような工夫もこれからもっと必要になっていくのではないかというご発言が何回か出てまいります。今のもそうでございまして、ぜひそのあたりの工夫も重ねて行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【美山委員】

 すみません、追加で。今お話がありましたので、ぜひ文化庁を中心に、メディア芸術の問題が扱われておりますし、また、少し前には知財の問題が扱われておりますので、そこら辺との関連もうまくできると、これはいいプログラムになるのではないかと期待しております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 では、田中委員、どうぞ。

【田中委員】

 私は評価の専門家ですので、評価の手法とか枠組みについてご意見を申し上げたいのです。
 この評価票のフォーマットですけれども、先ほども質問しました。個々に指摘をしていきたいのですが、まず事業の概要というところです。文科省さんの評価はかなり水準が上がってきたということで、若干厳しい意見になるかと思うのですが、全般的に見ますと、ちょっと書きぶりが物足りない。何が物足りないかといいますと、評価する立場からいいますと、やはりどのように事業のデザインがされているか。デザインが分からないと評価ができないのですね。
 例えば、文科省が直営なのか、地方なり民間の人に任せるのかといった主体の問題、あるいは資金をどうやって提供していくのか、そういったデザインが分かるような記述をしていただきたい。
 これは今に始まったことではなくて、以前からこのような書きぶりだったので、今すぐということではなくて、今後の課題ということになるかと思うのですが、事業の概要についてはそういうことです。
 それから、効率性のところです。ここは、先ほどのご説明ですと、アウトプットとアウトカムに分けて書くように指導されているということですが、やはり効率性ですから、インプット抜きに効率性というものは語れないと思うのですね。
 昨年までは、インプットというものも書いてあったかと思いますから、どうして今年インプットというところが抜けてしまったのかなと。書いてあるところもあるのですが、ちょっと疑問に思いました。
 ただ、効率性につきましては、インプットとアウトプットをそれぞれどうだという説明よりは、むしろ、従来あった、同様の事業と比べた時にどれぐらいこの事業は効率性が高くできるのかといったことであり、あるいは、効率性を向上させるためにどういう工夫をするのかといったあたりが書いてあれば、評価にたえるのかなという気がします。
 それから、有効性ですが、ここは昨年のフォーマットからちょっと変わっていて、何が変わったかといいますと、評価指標を求めなくなったと思うのですね。これは、指標をつくるのはなかなか難しいことだと思うのですけれども、特に新規事業を提案する段階で、この事業を実施するとどういう成果が現れるのかということを数字で見られると、あるいは、どういう数字で見ればいいのかということが分かるのは非常に重要なことだと思いますから、できれば成果に関する指標は求めていった方がいいのではないか。
 ただ、事業によりましては、定量的になかなか設定できないものもあると思いますから、一律にというよりは、できるだけ設定をしていくという方針でいっていただきたいと思います。
 それから、最後に公平性と優先性です。まず公平性ですけれども、これはどうしても、効率性、有効性と公平性というのはトレードオフにあると思うのですね。ですから、効率性も公平性も有効性も全部すばらしいということはなかなかあり得ないと思います。優先性につきましても、全部が優先度合いが高いということはあり得ないわけですから、公平性、優先性というものは、どちらかといいますと、一律で書いてもらうというよりは、特筆すべき公平性に留意するような取り組みであり、あるいは優先度合いが高いような場合に書いてもらう。
 特に書くべきことがないときには求めない、あるいは空白でもいい、そういう処理でもいいのかなという気がいたしました。
 今申し上げたのは、本年の評価書の内容というよりは、以前から変わっていないことで、今まで指摘しなかったのですが、むしろ今後の課題として取り上げていただければと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございます。
 今のこのフォーマットについて、特にございますか。

【原評価室長】

 先ほど高祖座長からご紹介いただきましたけれども、ほかの委員の先生方からも評価書のフォーマットをもう少し見直したらどうかというご意見をいただいておりますので、今後また委員の先生方のご意見をいただきながら、フォーマットについては充実させていきたいと考えております。

【高祖座長】

 ですから、個別にまたご意見を伺うことがあると思います。ご指導いただくようなことがありますので、よろしくお願いいたします。
 科学技術に関連いたしまして、他にいかがでございましょうか。一応よろしいですか。
 それでは、次の政策目標7、8、9、スポーツと文化、国際関係に移りたいと思います。こちらでご議論をしたいと思いますので、どうぞお願いいたします。
 では、星野委員、どうぞ。

【星野(敏)委員】

 私はスポーツにも少し関わりがありますので、感じたところを申し上げます。
 こちらの政策を拝見させていただきましたが、少子化の波の中で、子供の健康や安全、それから体力やスポーツの向上ということでいろいろ拡充政策が出されているので、好ましいな、このような方向で進んでいっていただきたいなという気がして、読んでおりました。
 ただ、少し気になりましたのは、先ほどの政策関連性という話ですけれども、政策目標の1と2にも子供の健康、体力とかそういうものが出てきていますし、ここでも学校体育の活性化とか、政策目標の1番、2番、それから7番の中で、施策目標の17とか3とか72とか69、その辺が関連してくるのかなと思って読んでいました。
 というのは、子供にとっては、野球でもサッカーでもいいのですが、授業としてやる場合には教材として扱われますので、学校の初中局では、教材の中の体育という科目の1教材として扱われますし、総合型地域スポーツクラブの中でサッカーをやる場合には、子供の体力向上かもしれませんし、子供のコミュニケーション発達のためにやるのかもしれませんが、子供にとっては同じスポーツという一つの活動であっても、政策的に見た場合に異なった観点から見られるということがありますので、その辺の連携をうまくとって進めていくことが重要かなという気がしております。
 それからもう一つは、これは文科省からは外れるかもしれませんが、団塊の世代の社会参加という項目がございましたけれども、例えばこれと総合型地域スポーツクラブ、それから厚生労働省がやっている国民健康プラン、そういうものをタイアップさせたところで、日本全体として国民の医療費はどれくらい削減されるのかとか、そういうものにも関連してくるのではないかと思います。
 今後はそういう視点からも、総合型地域スポーツクラブだったり、団塊の世代の人たちの学校、例えばスポーツ関連への活用だったり、それから、学校の校庭を芝生にすることが国民の健康にとってどれくらい、例えば医療費という定量的にはかれるもので出てくるのかというものも必要かなという気がしましたので、ぜひこの政策を進めていって、進めた先で政策関連性を持ったものの定量検査といいましょうか、測定といいましょうか、そういうものをしていただければなと感じました。

【高祖座長】

 ありがとうございました。どうぞ。スポーツ局ですね。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 スポーツ・青少年局でございます。
 今ご指摘をいただきましたように、それぞれの本来の主たる目的とは別に、子供たちにとっては結局同じような効果を招来する施策については、総合的に連携して進めていくとよいということについて、当方でも同様に考えておりまして、例えば体力づくりという観点からは、学校体育と、部活動もそうですけれども、総合型地域スポーツクラブの活動といったものは、すべて結局子供の体力づくりに関わってくるものだと考えております。
 また、今のご指摘の中にはございませんでしたけれども、体験活動を推進するといったことも、スポーツという切り口ではございませんが、結果的に子供の体力づくりに関わってくるといったことがございますので、複数の政策目的を総合的にとらえて、今後とも政策の組み立てを考えていきたいと思います。
 そしてまた、事業の効果の検証といったことで、特に医療費の削減への効果を例として挙げていただきましたけれども、医療費の削減も含めて、それぞれの事業の効用の検証を総合的にやっていきたいと考えてございます。今のところ、それを具体的にする事業は今回の資料の中にはございませんけれども、今後そういった効果の検証についてもやっていきたいと考えているところでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 では、ゼッターランド委員、どうぞ。

【ゼッターランド委員】

 まず、185ページの項目70、ナショナルトレーニングセンターの機能拡充というところで、これは毎回毎回、出席するたびに、恐らく繰り返しになると思うのですが、言い続けることの大切さをちょっと感じておりますので、施策目標7−2があるのですけれども、メダルの獲得率3.5パーセントを実現するという、これは以前もう一人の星野先生がおっしゃったように、ちゃんと数値化することは大事だということ、私もそれは同感ですが、やはりここに、少々長くはなったとしても、実際の数値化されている目標以外に、例えばアジアの中でのスポーツ界をリードする立場になるとか、あるいは、スポーツにおけるロールモデルになるとか、そういった文言も合わせて盛り込まれていると、若干長くはなっても、メダル獲得ばかりに躍起になっているわけじゃないぞということもうかがえるのではないかと思いますので、そこもお考えいただけるとうれしいかなと思います。
 それからもう一つ、次の186ページの71、ドーピング防止活動推進支援事業の拡充ということですが、一つ大変気になりましたのが、ちょうどページの真ん中にあります効率性、インプット、アウトプット、アウトカムのところですが、このアウトカムのところで、この事業に取り組んで、あるいは拡充していくことによって、「我が国の国際競技力が向上する」というアウトカムでいいのだろうかということを、今ちょっと読みながら考えさせられました。
 といいますのは、その前のページの、例えばナショナルトレセンを設置することによって、そして充実させていくことによって、効率性のところで、アウトカムが「我が国のトレーニング拠点となるナショナルトレーニングセンターが整備され、我が国の国際競技力が向上する。」これは非常に分かりやすいことだと思いますし、事実、それにほぼ確実につながることだと思うのですね。
 ただ、ドーピングを防止したからといって、これが単純に国際競技力の向上ということにはほとんどつながらないと思うのですね。別のアウトカムをここに持ってこないと、これはちょっとドーピング対策の概念といいますか、ちょっと違うものになってしまうのではないかなと思うのですね。ここを別の言い方でしていただけるかどうかということをご検討いただけますでしょうか。なぜこれが我が国の国際競技力を向上するというアウトカムになってしまったのか、お聞かせいただければと思うのです。

【高祖座長】

 では、今2点ございましたが。どうぞ、お願いいたします。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 まず1点目、いわゆるメダルの獲得率以外の指標の重要性については、ご指摘をいただいてから、さらに有効なものがまだ見出し切れていないといったことがございますので、引き続き、ご指摘を踏まえて検討は続けていきたいと考えております。
 アンチドーピングに関する2点目のところですが、確かに非常に分かりにくいアウトカムではあろうかと思いますので、この点については、表現ぶりなども含めて考えていきたいと考えておりますが、国際競技大会において、よりフェアな立場でそういった競技大会に臨むといったことを国際競技力と言われることがございますので、より分かりやすい形でこのアウトカムの表現を工夫したいと考えます。
 すぐには具体的にお答えできませんが、誤解の生じないような形でこの表現を考えていきたいと思います。

【ゼッターランド委員】

 今、誤解のないようにとおっしゃっていただいたのですが、これですと誤解を招きかねない表現になっているのではないかなという感じがいたしましたので、できれば早急にやっていただけるとありがたいかなと思います。
 ドーピングに関しては、こちらに概要として書いてあるように、実際にルール違反でもありますし、アンフェアでもありますし、プラス、何よりも人間の体にとって何一ついいことがない。強い選手になりたいとか勝ちたいという、あとはもろもろ、各国の生活事情をあわせて考えると、それを真似する子供が出てくるという非常に危険な要素を大きく含んでいるものなのですね。
 ですから、これをいろいろな意味で完全に撲滅していくということは、大変重要な課題でもありますので、日本がそれを先駆けてやっていくことによって、スポーツを行っていく上での身体の安全とかあるいはモラル、そういったものを先駆けて、率先して取り組んでいっているということでは、単に国際競技力云々、勝負の問題ではなくて、スポーツに対する取り組みとか意識の高さ、あるいはスポーツ界におけるリーダーシップをとっていくということでも、それが一種の国力といいますか、そういったことにつながっていくのではないかなと。スポーツを通してではありますけれども、それにつながることでもあると思いますので、ぜひこのあたりの位置づけといいますか、とらえ方をお考えいただければと思います。よろしくお願いします。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 実は私も、ここの「我が国の国際競技力が向上する」というのがドーピングとどうつながるのかというのは、確かにどうなのかなと思った点であります。ですから、今幾つかの側面をご紹介くださいましたので、そのあたりをまた検討していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 美山先生、どうぞ。

【美山委員】

 先ほどもちょっと触れましたメディア芸術、これは、本日配付の資料では74番、191ページでございます。
 大分前に知的財産戦略本部ができまして、各省庁がそろってこうした部分にも力を入れていこうということで、長い時間をかけてこうしたメディア芸術の振興というものが文化庁によって行われてきたことを大変うれしく思っております。
 また、このようにその振興が総合的なプログラムに、格上げなのかどうか分かりませんけれども、非常に拡充してきて広い範囲に視野が及ぶようになって、これを読みますと、フィルムセンターの機能充実とか、映画関係者が昔から言っていたことでもありますし、大変喜ぶのではないかと思います。
 また、来年度に向けて予算の規模も、それから達成目標ですか、参加者の数を倍増するとか、非常に大きな目標が立てられております。
 そういうことで大変期待するわけでありますが、一つ、総合的なプログラムになって蓄積が出てくると、メディア芸術として振興されたものがどのように蓄積され、そしてそれが次の世代の人たちによってどのようにアクセスでき、再活用されたり、あるいは刺激を与えたりすることができるかという、ストックとその再利用でしょうか、そうしたサイクルが出てくるかと思います。
 とりわけ、例えばビデオアートということを考えてみますと、ビデオアートはどのように保存するかという技術的な基盤はまだはっきりしていないし、ビデオアートのアーカイブというものも、国際的にはまだ非常に少ないし、諸外国の例も大変小さい規模で行っているという状況にあります。日本でビデオアートのきちんとしたアーカイブというものはまだ存在しないわけであって、そうしたストックが形成された時、それをどのように共有の財産にしていくかという視点、こういう部分もさらに入ってくると、より次世代のためにこのプログラムは役立つ視点ができるのではないかと思います。
 そうしたことを考えたのは、193ページに非常にわかりやすい図がありまして、それを見ていただくと、非常に多岐にわたるプログラムもあります。国立新美術館においてそうした機能が盛り込まれていることも承知しているわけですけれども、日本が誇る優れたた作品のアーカイブがどういった形で形成されて、どこに行けばアクセスできるか。
 これは、大変優れたビデオアーチストがもう既に日本で活躍していますし、海外でも入選を果たしているわけですね。ここに書いてあるシーグラフに入る人も増えてくる。シーグラフで入選したあの人の作品を見たいといった時に、ではどこに行けば見られるのということになると、途端に困ってしまうことがある。
 このような世界のメディア芸術の中で、日本が誇るべき作品として認められたものがもっと共有のものになるような仕組みがあると、これを志す人たちへの刺激になるのではないかと思います。
 多岐にわたる中でそういうものがどの部分に入るのか、ちょっと分からなかったものですから、そうした部分もあると、より豊かなプログラムになるのではないかと思って、期待している次第です。

【高祖座長】

 ありがとうございます。
 では、宮部委員、どうぞ。

【宮部委員】

 私は、意見というよりも、ちょっと教えていただきたいことがあるのですが、203ページの78番、留学生交流の推進というところで、必要性の真ん中あたりに「数週間〜1年未満の短期交換留学の拡大が、欧米先進国を中心に世界的な潮流となってきている」ということが書かれているのですけれども、ちょっと不勉強で、このあたりの背景とか、短期留学によって、どういう分野でどういう効果が出ているとか、この辺についてお教えいただけないでしょうか。

【高祖座長】

 では、どうぞお願いします。

【水田文化庁長官官房政策課企画調整官】

 初めに文化庁でございます。
 美山委員から、メディア芸術、特にビデオアート等の蓄積、発信という点でご質問、ご意見がございました。
 この資料の193ページ、メディア芸術振興総合プログラムのポンチ絵の右側の「メディア芸術の総合的発信」というところに、文化庁メディア芸術祭がございます。発信については、私どもとしても非常に重要なことだと思っておりまして、その中で、下の二つは海外に行ったりして、現地で物を見せるといったものですが、上から2番目に「メディア芸術プラザ」というものがございます。これは、名前からはなかなか想像しにくいかもしれませんけれども、メディア芸術祭に関連した公式のホームページ、サイトでございます。こちらに優秀作品、受賞作品なども掲載しておりまして、そこで蓄積、発信といったことをやっております。アクセス数も年々増えてきているところでございますが、さらに充実を図っていく形で検討していきたいと思っております。

【高祖座長】

 では、短期留学に関連する説明をお願いいたします。

【藤原高等教育企画課長】

 短期留学についてですけれども、主な分野といたしましては、文系が中心かと思われます。また、内容といたしましては、語学の留学でありますとか夏期セミナー、そういったものが中心というように聞いております。

【高祖座長】

 よろしいですか。

【宮部委員】

 採択の時にそういう内容をきちんと評価されるようにしていただいたらと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございます。
 では、浅井委員、それから、今日まだ一言も発していらっしゃらない諸石委員、よろしくお願いします。では、浅井委員、どうぞ。

【浅井(経)委員】

 全体的なことと、少し前へ戻ってもよろしいですか。ここが終わってからでも構いませんが。

【高祖座長】

 いや、結構です。もう時間も大分過ぎましたので、全体の関連ということで。

【浅井(経)委員】

 手元にあります実績評価が18年度ですね。それから、こちらの事業評価が20年度でして、19年度がちょうど抜けておりますので、私は気がつかないでいたのですけれども、政策というのは継続的なものですから、蓄積していくものとして見ていかなければいけないのではないかと思います。
 ですから、全体的について継続性を重視して評価していただきたいと思います。前へ戻って大変申しわけないのですが、毎年問題になっております事業評価書の46ページ、学校の耐震化の問題です。毎年すごく重要だという意見が出ているかと思いますし、文科省も努力してくださっているのはよく分かるのですが、例えば48ページのポンチ絵でも、今だに58.6パーセント、進捗率3.9パーセントという数字が出ているわけです。
 こちらの18年度の実績評価を拝見しますと、どうしてこのように遅々として進まないのかという理由が何も書いていないのですね。そこの問題をきちんと探っていただかないと、恐らくこの問題だけではなくて、評価していましても、19年度がぬけておりますから、継続性が分からないでおりましたけれども、そこのところをきちんとしていただかないと、やはり意味がなくなっていくのかなという気がいたしましたので、よろしくお願いいたします。

【高祖座長】

 今のことについて。

【原評価室長】

 実績評価が18年度、それから、今ご覧いただいております事業評価が20年度ということでございますが、事業評価をまとめるに当たって、当然、当該年度であります19年度の進捗状況などを踏まえて20年度の事業評価書をつくっているということでございます。
 ただ、年度が終わりませんと具体的な指標などを取りまとめることができませんので、紙としてお出ししている実績評価につきましては、年度が終了してから取りまとめるという形になっておりますので、この辺の体系はご理解いただければと思います。

【高祖座長】

 構造はいいのですが、今指摘された小中学校の校舎の耐震化が、毎回出てくるけれども、やりますということが出ている割には進んでいないのではないかという印象がある。
 そこの実態はどうなっているかということと、もし進んでいないのだったら、それについての理由をきちんと書いておく。そういうことも必要じゃないかということです。どうぞ。

【長坂施設企画課長】

 施設部でございます。
 公立学校の耐震化についてご指摘をいただきましたが、なかなか進まないという背景には、公立学校の設置者が市町村は中心でございますので、一義的には耐震化対策も市町村が行う、それに対して国が国庫補助をする、そういう仕組みになっております。国の財政も厳しいのですが、市町村の財政も厳しいという実態がございまして、そういう背景の中でなかなか進んでいないということがあります。
 今年度に入りまして、有識者会議を開催し、今後5カ年間の推進計画についてご提案をいただいたところでございます。それに基づいて、文部科学省としてさらに必要な方策をとっていくことにしております。
 ちなみに、国全体の方針といたしましては、建築物の耐震化の推進に関する法律というものがございまして、それに基づく国土交通省の指針がございます。それによりますと、平成27年までに学校を含む特定建築物の耐震化率を9割にするという計画になっております。それにかなうような5カ年計画を考えているところでございます。

【玉井文部科学審議官】

 補足しますと、これは国民的にも大変関心の高い問題で、ついこの間も新潟の地震がありましたので、私どもは進めているわけですけれども、なかなか、市町村のそれぞれの財政事情とか優先順位のつけ方の問題があります。
 それから、補強を早くすればいいのに、改築をずっと待っているという問題もあったものですから、まず国は、今までの負担金、補助金の世界から交付金という形で法律改正もして、改築を待つのではなくて、まず耐震補強を優先的にやっていこうという基本的な方針を出しました。
 それから、あわせて国交省と協力して、まず耐震診断を行う。ここが最優先でございますが、診断すらまだできていないという部分がありましたので、ここは国交省と文部科学省が協力して、耐震診断は早急に進める。これはおおむね進んできております。それを踏まえて、さらにそれを促進するという政策をこの2年間で進めているわけでございます。したがって、18年度補正が19年度予算とほぼ同額を確保して、いわば今まで思っていたものの倍ぐらいの事業ができるような取り組みをしております。
 それから、同時に私どもは、耐震診断がどこができていて、どこができていないのかということをむしろ公表しようという形で今進めておりますので、また地域の方々もそれをよくご覧になって、自らの問題でもございますから、優先順位をぜひ高めていただきたい、こう思っております。

【高祖座長】

 ありがとうございます。
 今回の科学技術のところにも、新規でそういう耐震にかかわる計画が三つぐらい並んでいますね。そういうことも連動していると思いますので、ぜひこのあたりを、計画を進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、諸石委員、どうぞお願いします。

【諸石委員】

 こういう席で申し上げるのにふさわしいのかどうか、よく分かりませんが、ここでの重点審議の対象は、新規・拡充事業でしょう。逆の縮小・廃止事業といいますか、そちらはどうなっているのだろうかというのが気になるわけでございます。
 特に、かつての団塊の世代から少子化になって、学童の人口は減ってきた。
 しかし、一遍つくった学校はなかなか減らせないということで、最近では大学全入、計算上はその年代の全員が大学に入れるような時代になってきたというように聞くわけですが、それだけの大学が本当に必要なのか、機能しているのかということを考えますと、その辺の大学のスクラップ化とか、あるいは定員の縮小とか、そういうことにももう少し取り組んでいく必要があるのではないかなという、これはちょっとやじ馬的な意見でございますが、そういう考えを持っております。
 私は、法科大学院の関係でいろいろと関与をさせていただいているのですが、法科大学院の場合も、予想に反して70校というものができました。
 しかし、これは一応基準は満たしているけれども、何分にも司法試験という非常に強い評価基準がありますので、多分もう数年のうちには相当数が淘汰されていくだろうと予想されております。
 それから、法科大学院の3年間の未修生、それの入学定員に対する卒業者の割合が75パーセントになっております。今までの大学というのはほとんどところてんで、入ったらそのまま出ていく、こういう嫌いがあったのではないかと思います。
 法科大学院の場合は、それではどうにもならないということで、かなり率が下がっているし、今後ももっと下がっていくだろうと期待をしております。
 私は企業の出身ですが、企業でいいますと、製品の品質保証というものは最大の関心事なのですが、大学の場合に、その製品である学生の学力、知識、能力というものについては、自己診断だけで、客観的な評価がない。したがって、レベルが低い者でもなかなか自主的には退出しない。それに対して何らかの評価を加えていって、レベルが低い、社会全体としても必要性が少なくなってきた大学に対して退出を促すような取り組みができないものかなということを考えておりまして、ちょっとここでの議論とは方向も違いますし、ここでの議論にふさわしいのかどうか知りませんが、意見として申し上げました。

【高祖座長】

 ありがとうございました。事務局から何かございましたら。

【藤原高等教育企画課長】

 大学の統廃合等についてでございますけれども、国立大学につきましては、平成15年度以降、幾つか統廃合、再編統合を進めているところでございます。
 また、私立大学等につきましては、各大学で自主的にお考えをいただいて、これまでも幾つか統合をしているところでございます。また、私学助成におきましては、私立大学で定員割れを起こしているような大学につきましては、経常費を減額するなどして定員の見直しを促している。
 また、平成19年度からでございますが、学部等の改組転換とか入学定員の削減、こういった学校規模の適正化を図るようなところにつきましては、別途特別支援をしていくという取り組みを行っているところでございます。
 また、教育の質の確保という観点につきましては、現在のところは認証評価制度を始めておりまして、こういったところの取り組みをもって教育の質の確保ということも考えていきたいと思っているところでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 前段におっしゃった縮小のことにつきましては、評価の枠組みを考えるときにまたご検討いただけるかと思いますので、そこでまた集中的に考えていただくということでよろしいでしょうか。

【諸石委員】

 はい、結構でございます。

【高祖座長】

 多くの貴重な意見をありがとうございました。
 各委員におかれましては、今日発言できなかったこと、あるいは、気づいたけれども、まだこういうことも言いたかったということがおありになるかと思います。どうぞ、書面でも口頭でも結構でございますので、事務局にご意見をお出しいただければと思います。
 それから、文部科学省におかれましては、ただいまのご意見、また今後事務局へ届くご意見等を踏まえて、評価書を取りまとめていただきまして、来年度の施策に反映させていただきたいと願っております。評価書につきましては、いただきましたご意見等を踏まえた修正をこれから加えまして、8月末には公表される予定と聞いております。
 時間がほぼ来ておりますが、少しだけ延長させていただきまして、二つ目の議題、今後の文部科学省における政策評価についてご紹介いただいて、必要がございましたら、ご意見もいただくことにしたいと思います。
 では、資料についてのご説明をお願いいたします。

【原評価室長】

 それでは、縦型の資料でございますが、資料2−1、「今後の文部科学省における政策評価について」という紙に基づいて、今後のスケジュールが中心でございますが、ご説明させていただきます。
 資料2−1の1.と2.でございますけれども、実績評価と事業評価、これは今日有識者会議でご議論いただきました。先ほど座長からご紹介いただきましたけれども、8月末を目途に公表する予定とさせていただいてございます。
 それから、3.総合評価の実施についてでございますが、これは今年の3月に、この有識者会合の場で中間報告はさせていただきましたけれども、大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システム改革というテーマについて、深く掘り下げた評価を今実施しておりまして、これを本年中に公表する予定で、今事務的な作業をしております。
 それから、4.でございますが、これも例年やっている作業でございますけれども、今日いただいた実績評価あるいは事業評価の結果を政策にどう反映したのかというものを取りまとめて、来年の3月をめどに公表する予定としております。
 それから、5.でございますが、これは、これから年度末にかけて有識者会議の場でもご議論いただこうと思っておりますけれども、平成20年度から3カ年の文部科学省の政策評価の基本計画というものがございます。
 それから、来年度1年の実施計画という、より具体的な計画。具体的にはこの中で、先ほど議論になった政策の評価票、政策評価のフォーマットなども出てきますので、これの改定に向けて有識者会合の場でまたご議論いただきたいと考えてございます。
 それから、6.でございますけれども、これは従前、試みの段階、ボランタリーベースでやっていただいていたものでございますが、政策評価法の施行令が改正されまして、規制に関する評価といったものがことしの10月1日より義務づけされます。法律あるいは政令で国民に対して規制を課すようなものについては、有識者会合の場でも議論をいただいて政策評価をするといったことが今後発生してくるということでございます。
 それから、2ページ目でございますが、7.重要政策に関する評価ということでございまして、これはいわゆる「骨太の方針」におきまして、総務大臣が、総務省にある政策評価の委員会の調査審議を踏まえて、経済財政諮問会議に政府としての重要対象分野の選定について意見を述べることが決まっております。具体的にどういう方向で意見を述べるかというのは、総務省の政策評価の会議で今議論がなされているところでございますが、文部科学省の有識者会合での議論も、このような総務省での議論に反映していくということが今後考えられますので、現在の状況についてご報告させていただきます。
 それから、8.でございますが、これも年度末に向けて作業が発生しますけれども、先ほども若干紹介いたしましたが、骨太の方針におきまして、政策評価が予算、決算にどう反映されているのか、きちんと分かりやすくしようということが決まっておりまして、予算書、決算書の表示科目、具体的には項、事項というものがありますけれども、それを我々の政策評価と合わせるための作業を今実施しております。
 具体的には、文部科学省の政策評価基本計画、年末にご審議いただく基本計画で決定することになりますが、事務的にはこの作業を進めているところでございます。
 以上申し上げましたスケジュールを表の形にしたのが9.でございます。10月から規制に関する評価が義務づけになりますので、10月以降、恐らく書面で審査していただくことになると思います。
 それから、来年度の基本計画、実施計画を議論いただくために、平成20年3月末までの間に有識者会議を1回開催をお願いするといったことを予定させていただいております。
 簡単ですが、以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。
 ただいまのご説明に関連して、何かお気づきの点やご意見はございますか。時間が超過していて恐縮でございますが。よろしいでしょうか。
 このことにつきましては、何かお気づきの点がございましたら、ご遠慮なく事務局にご意見を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、実は青い方の事業評価書の最後のところに3件、9つの政策目標に入らない、「日韓スポーツ交流事業」、「対人地雷の探知・除去技術に関する調査研究の推進」、それぞれ達成年度到来というものが上についています。
 そして、継続事業評価票として、成果重視事業・「都市エリア産学官連携促進事業(発展型)」がございます。
 これについては、今日は特に時間を設けなかったのですが、こういうことを自分としては意見として出しておきたいというものがございましたら、これもご遠慮なく事務局にご意見をちょうだいしたいと思います。よろしいでしょうか。
 少し時間が過ぎて申し分けございませんでした。時間となりましたので、これをもちまして本日の議事を終了いたします。
 今後とも、文部科学省の政策評価を向上させるために、有識者会議といたしましても積極的に助言を行ってまいりたいと思いますので、皆様方、お忙しい中を恐縮でございますが、引き続きご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の会議を終了いたします。ご協力ありがとうございました。

―了―

(大臣官房政策課評価室)