政策評価に関する有識者会議(第19回)議事録

1.日時

平成19年6月27日(水曜日)15時〜17時10分

2.場所

如水会館 「オリオンルーム」

3.議題

  1. 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)について
  2. その他

4.配付資料

資料1−1
 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)(概要)
資料1−2
 文部科学省実績評価書−平成18年度実績−(案)
資料2
 実績評価・事業評価の今後のスケジュール(予定)

(参考資料)

経済財政改革の基本方針2007(平成19年6月19日閣議決定)(抄)

(机上配付)

平成18年度文部科学省実績評価総括表
有識者委員からの事前意見と対応方針(案)

5.出席者

(委員)

浅井(経)委員、浅井(彰)委員、高祖委員、河野委員、舘委員、田中委員、千野委員、中西委員、藤原委員、星野(敏)委員、宮部委員、美山委員、ゼッターランド委員

(事務局)

金森総括審議官、倉持政策評価審議官、戸谷大臣官房会計課長、田中大臣官房政策課長、吉尾大臣官房国際課長、長坂大臣官房文教施設企画部施設企画課長、滝波生涯学習政策局政策課課長補佐、大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐、小松高等教育局高等教育企画課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、川上研究振興局振興企画課長、中原研究開発局開発企画課長、北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官、水田文化庁政策課企画調整官、木村大臣官房政策課評価室長、松渕大臣官房政策課評価室室長補佐

6.会議の概要

【高祖座長】

 ご出席予定でまだお見えでない方がおられますが、予定の時刻となりましたので、開催させていただきたいと思います。
 これより、文部科学省第19回政策評価に関する有識者会議を開会いたします。本日は、初めてご出席いただいている委員がおられますので、事務局からご紹介していただきます。よろしくお願いします。座ったままで結構です。

【木村評価室長】

 恐縮でございます。本年1月31日付で、新たに本有識者会議の委員となられました株式会社産経新聞東京本社取締役正論担当・論説委員長の千野境子委員でございます。

【千野委員】

 千野です。どうぞよろしくお願いいたします。

【木村評価室長】

 あと、少し遅れておられますが、博報堂生活総合研究所客員研究員の藤原まり子委員も、本日ご出席いただく予定でございます。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。本日の会議では、主な議題といたしまして、お手元に資料がありますとおり、「文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)」を予定しております。
 それでは議事に入ります前に、金森総括審議官からごあいさつをちょうだいいたします。よろしくお願いいたします。

【金森総括審議官】

 委員の皆様方には、大変お忙しい中、第19回政策評価に関する有識者会議にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。行政機関が行う政策評価につきましては、その基本的な事項を定めた「政策評価法」という法律が施行されてから5年が経過いたしました。政府全体として政策評価の取り組みが定着しつつある中、今月19日には「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる「骨太の方針2007」が閣議決定されたところでございますが、その中でも政策評価につきましては、政策評価と予算・決算の連携強化や、予算におけるPDCAの強化の方針が盛り込まれるなど、政策評価の役割はますます重要となってきております。私ども文部科学省におきましても、政策評価の一層の改善、充実に向けた取り組みを進めていく必要があると考えているところでございます。
 今日の会議におきましては、平成18年度に文部科学省が取り組んだ施策の実績評価について、ご議論いただくことといたしておりますので、委員の皆様方には、忌憚のないご意見を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【高祖座長】

 どうもありがとうございました。
 それでは事務局より、本日の配付資料の確認をしていただきます。お願いいたします。

【木村評価室長】

 それでは、本日の配付資料でございます。議事次第と配付資料の紙の2枚後に、資料1−1といたしまして、「文部科学省実績評価書平成18年度実績(案)概要」というもの、また、資料1−2といたしまして、「文部科学省実績評価書(案)」、これは9分冊になっている状況でございますが、政策目標1から政策目標9まで評価票があるところでございます。
 また、資料2といたしまして、「平成19年度実績評価・事業評価の今後のスケジュール(予定)」というもの、また参考資料といたしまして、「経済財政改革の基本方針2007(抄)」という資料、また机上に、特に資料番号を振ってございませんが、「有識者委員からの事前意見と対応方針(案)」というものが配付してございます。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。ただいま配付資料を確認していただきましたが、それぞれお手元にございますでしょうか。不足がございましたら、どうぞお手を挙げていただいて、よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと存じます。本日は事務局から、ただいまご紹介がございました「文部科学省実績評価書―平成18年度実績―(案)」を用意していただいております。これらをもとに、皆様方にご議論していただこうと思っております。評価書(案)につきましては、事務局より各委員に事前に送られておりまして、ご覧になっておられることと思いますが、改めて事務局からかいつまんで要点をご紹介していいただきますので、よろしくお願いいたします。

【木村評価室長】

 それでは、概要について、簡単にご説明申し上げたいと思います。まず資料1−1でございます。こちらは、今回の実績評価の概要でございます。1の趣旨・目的のところに書いてございますように、これは本年3月にも、有識者会議でご議論いただきました平成19年度の文部科学省政策評価実施計画に基づきまして、「文部科学省の使命と政策目標」―これは6ページにあるとおりに、文部科学省全体の政策を網羅しているものでございます。―の実現に向けて、文部科学省が平成18年度に取り組んだ施策全般につきまして、実績評価を実施しようとするものでございます。
 内容につきましては、9つの政策目標、一番大きな目標でございます。その下に中間的な目標でございます44の施策目標、そしてそれぞれをブレークダウンした167の達成目標ごとに作成してございまして、評価の判断基準、そして18年度の状況はどうであったか、そして指標、参考指標、評価結果はどうか、4段階の評価ということ、また、今後の課題及び政策への反映方針などを記載しているものでございます。
 そして、本年度の主な改善点というポイントにつきましては、評価結果の予算要求等への反映を充実させ、また、評価の判断基準の一層の明確化、評価の重点化・効率化を図った。また、施策の成果を定量的に把握するための指標を充実した。また、評価票や評価様式を改善し、内容を把握しやすくするとともに事務を簡素化した。こういった改善点を図ってございます。
 具体的には、2ページ目でございます。評価結果の予算要求等への反映の充実という点につきましては、政策のマネジメントサイクルを機能させることを目的といたしまして、実績評価の結果を予算要求作業、あるいは事業評価に的確に反映させるため、実績評価の実施時期を1カ月程度早めたというところでございます。

【高祖座長】

 すいません、あんまり急がなくて結構ですから、聞きやすいスピードでお願いいたします。

【木村評価室長】

 はい、大変恐縮でございます。もう少しゆっくり話させていただきます。恐縮でございました。
 それで、2点目でございます。こちらにつきましては、参考資料でも配付させていただいておりますが、「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる「骨太の方針」と言われているものでございます。こちらを受けまして、平成20年度の予算から、政策ごとに予算と決算を結びつけよう、政策評価と予算との連携を強化しようということになってございますので、予算書の表示科目の単位でございます「項」に対応するような「政策目標」単位での評価ということを新たに実施しようとするものでございます。
 次の3ページ目でございます。こちらにつきましては、評価の判断基準の一層の明確化、そして評価の重点化・効率化を図るという点でございます。こちらにつきましては、政策評価法におきましても、政策効果はできるだけ定量的に把握することになってございますので、そういった意味での定量化を進めて、評価の判断基準をより明確化しようということでございます。
 本年度につきましては、昨年と比べまして、政策目標を新たに設けたわけでございますが、政策目標は全て定量化等の明確化を図り、施策目標につきましても、従前に比べても増えて100パーセントという形になっているということでございます。
 一番下のところの目標である達成目標につきましては、76パーセントを83パーセントという形で定量化を進めたというものでございます。そして、評価の重点化・効率化に資するために、達成目標でございますが、類似のもの、あるいは重複するものがございますので、こちらにつきましては、整理・統合を図るなどして昨年の217件から本年の167件に減らしているところでございます。
 また、次の4ページ目でございます。こちらにつきましては、施策の成果を定量的に把握するためということで、指標や、あるいは参考となる指標をより充実させまして、目標の達成度合いの測定の客観性をもっと高めようということでございまして、指標につきましても、昨年の335件から368件、また参考指標の数につきましても、123件から137件と充実を図ってございます。
 さらには、その下の方にも書いてございますように、評価票の様式、あるいは評価形式を改善いたしまして、内容を把握しやすくするとともに、事務を簡素化したものでございまして、従前は項目ごとに複数の目標が混在するような形で、いわば見ると行ったり来たりするような形であったわけでございますが、今年度からは政策目標、施策目標、達成目標と、それぞれの目標ごとに内容を整理して記載しておりますので、そういった目標ごとの状況を一覧できるようになっているのかなといったところでございます。また、評価票を政策目標ごとにカラー分けするとともに、類似の項目を統合するなど様式を見やすくしております。
 それで、今回の評価の結果といいますか、総括でございます。それは5ページ目のところで、政策目標、施策目標、達成目標の達成度合いのまとめといったところでございます。まだ、現時点において、集計中のものが合計で6件ほどございますが、一応全体の傾向ということでお示ししているところでございます。
 政策目標レベル、これは今回、初めてやったところにつきましては、Sというのはなかったわけでございますが、おおむね9割弱Aということになっておりまして、また、Bが1件という形でございます。
 施策目標レベル、あるいは達成目標レベルにつきましては、Sが11パーセントから13パーセントあたりということ、またAが73パーセント、Bは11パーセントと10パーセントというような分布になっているというものでございます。そういう意味では、従前と比較して類似の傾向が大体出ているのかなというところでございます。以上が今回の概要でございます。
 次に、資料1−2でございます。こちらは本体と総括表という形で構成させていただいております。
 まず、総括表の方でございますが、こちらにつきましては、1枚紙をめくっていただけると、「平成18年度文部科学省実績評価総括表」というのがあろうかと思いますが、各目標ごとの評価結果を抜粋したものでございます。一番上位の目標となります政策目標のところにつきましては、青い色づけをしている部分でございまして、オレンジ色で書いているのがその下に来る施策目標、そこの評価の平均などをとって評価結果を出しているというものでございます。
 そしてさらに、その下の1−1−1というように、枝の枝になって書いておりますのは、その下のさらに達成目標でございまして、それぞれの施策目標を実現するための下位の目標という形になってございます。ご参考いただければと思います。
 具体の評価票につきましては、先ほども申し上げました9分冊になっている、政策目標1から政策目標9までの冊子でございます。これにつきまして、事前に委員の先生方に送付して見ていただいておりまして、その後ご意見等もいただいたことも含めて、若干の変更をしているところでございます。
 修正した主な部分につきましては、赤字で書いておりますが、主要なものをご紹介させていただきますと、まず1−1−3でございます。1−1−3の「専修学校において社会人等が学ぶ機会の充実を図る」につきましては、達成目標の名称が「専修学校で受け入れられる社会人の数を増加させる」だったわけですが、これを「専修学校において社会人等が学ぶ機会の充実を図る」という形で、単に数だけではない表現を直しているところでございます。
 また、評価手法につきましても、それぞれ赤字で書いてある部分でございますが、細かく分析してみたところ、評価結果がBからAに変わっているところがございます。
 また、5−4のところでございますが、5−4−2と5−4−3でございます。いろいろ飛んで恐縮でございますが、こちらの方の評価票についても若干変えてございます。まず、5−4−2のところでございますが、ここにつきましても、判断基準の見直しをしてございます。その結果、従前、先生方に送った時にSという評価をさせていただいていたわけでございますが、これを判断基準に基づきまして、SからAという形にしてございます。これは全く同様でございますが、その次の5−4−3、こちらにつきましても、判断基準の見直しを行いまして、SからAという形で評価を改めているところでございます。
 これに伴いまして、それぞれを勘案した評価であるところの施策目標5−4のところでございますが、そういう形でAが2つになったということで、全体評価としては、これも当初、先生方に送ったときはSと書いていたわけでございますが、Aという形に変更してございます。合わせて政策目標全体のところにつきましても、従前はSとしていたわけでございますが、1つがSからAに変わったということで、全体としてはAかなということで、ここも評価結果をSからAという形に変更しているものでございます。
 また、飛んで大変恐縮でございます。7−2−1、スポーツの関係のところでございます。こちらにつきましても、判断基準のところで赤字で書いてあるものでございますが、こちらの見直しを行ったところ、評価結果は、従前、先生方に送ったときにはBと書いてあったと思いますが、それをAという形で変更させていただいているところでございます。
 これら以外につきまして、従前だと2−1−2という形で、習熟度別学習というのも掲げていたわけでございますが、こちらにつきましては、概ね目標が達成されていると判断して、達成目標2−1−1に含めて評価を行うということとしておりますので、先生方に送ったものからなくなっているものでございますし、また、4−9−2という形で分子イメージング事業というのを、4−9の新興・融合領域の関係で設けていたわけでございますが、それにつきましては、ライフサイエンス関係の4−2−6のところに整理という形にしておりますので、達成目標から削除したということで、先生方に送ったものからなくなっているものでございます。
 以上が主な変更点でございますが、さらに、事前に先生方に送付させていただいた際に、いろいろ書面とか、あるいは口頭でご意見を幾つかいただいております。それを整理したものを机上に配付してございます。有識者委員からの事前意見と対応方針(案)という横になった紙を配付させていただいているところでございます。ご意見につきましては、直前にいただいた意見等々もございますので、まだ反映できていないものもございますが、対応方針(案)という形で書いておりますので、本日のご議論のご参考にしていただければと存じます。事務局の方からは以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。少し急いだもので分かりにくかったかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 今説明がありましたように、また資料を見ていただきましたように、非常にカラフルになりまして、色も区別しながら見ることができるということ、それから、今最後に説明がありました事前意見に対する対応方針をこうしてまとめられております。ですから事前の意見を踏まえて、PDCAのサイクルを実際に実行しているとも言えるかと思います。
 それでは、これから議論に入りたいと思います。本日もたくさんの委員の方がお集まりでございますので、なるべく全員にご発言していただくようにしたいと思います。
 いつも申し上げておりますけれども、1回のご発言を2分から3分ぐらいに抑えていただきたいということでございますので、よろしくお願いいたします。委員の皆様だけではありませんで、事務局の説明や担当官の説明の方も2分から3分に抑えていただくということでよろしくお願いいたします。
 それから、一応ここで発言される時に、発言の意思がある場合は、机上の名札を立てていただいて、それを私がここで見ながら指名させていただくということで進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、実績評価についてのご意見をちょうだいしようと思います。ただいまご紹介がいただきましたように、評価書の内容が教育の分野、科学技術、それから文化、スポーツ、国際交流まで多岐にわたっております。
 もし、ご異論がなければ1,2,3、4,5,6、7,8,9と3つずつ区切りながら進めたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。ただ、これでやっていましても、最初の方で意見が出てしまって、最後になると意見を聞く時間が短くなってしまうということがあるものですから、一応私の方で目安の時間を持って進めさせていただきます。それから全体に関わることは、どうぞ適宜、ご発言いただくということでよろしくお願いいたします。
 それでは、この評価書が並んでおります1と2と3、生涯教育、初等中等教育、高等教育、ここに関わるところから委員の皆様のご意見をちょうだいしたいと思います。
 どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。最初はなかなか意見を言いにくいものなのですけれども、生涯教育関連でいきますと浅井先生ですが、どうぞ。

【浅井(経)委員】

 全体的に申し上げますと、今回、すごく読みやすくなりまして、本当にありがたい。大変よくなったと思っております。生涯学習のところでは、まず達成目標1−1−1の放送大学のところですが、一度申し上げたことがありますけれども、以前は学生数とか量的な評価を行っていまして、ある程度頭打ちになり、質的なものに転換したということで、すごくよい評価を行っておられるのではないかと思います。質的に評価することで、教育方法とか授業の改善を行ったりして、何が今度そこで変わるのかというところを明確にしていただくことが、今後重要になるのではないかと思います。現時点はこれでよろしいのではないかと思います。
 それから、感想みたいなもので申し分けないのですけれども、他にもあったかと思うのですが、達成目標の1−2−1の例で申し上げますと、頭の2の平成18年度の状況のところの6行目あたりに、文科省として、地域にいろいろ事業を委託し、その事業が終わった後に、どれほどその地域で事業が継続しているかという辺りをきちんととらえていらっしゃることは、非常に難しいことだと思うのですけれども、とてもいいことではないかと思いました。さらに申し上げますと、地域の実態が今、財政難や人手不足で非常に厳しくなってきておりますので、こういうとらえ方をなさるということは、逆に言えば、文科省の事業を地域がやりやすい形にすることをきちんと考えていただかないと、手も挙げにくくなっていますので、評価に響いてくると思います。地域のサイズに合わせた事業をやっていただきたいと思っております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。非常によくまとまっているところと、それから課題と両方ご指摘いただいました。
 どうぞ続けて、では、星野先生、お願いいたします。

【星野(敏)委員】

 明治大学の星野と申します。私は、青少年教育とか、スポーツとか、体験活動を専門にしていますので、主に体験活動に関わることを少しチェックしてみました。
 前回、初めて参加させていただいたのですが、前回も教育分野の評価は非常に難しいということで、子供の成長をどうはかるという話が出ましたけれども、確かに評価指標をつくるのは難しいと思うのですが、今幾つか、例えばオリンピックセンターに青少年教育機構がございますけれども、そういったところで指標化を進めていますので、例えば、筑波大学の橘先生などが開発された「生きる力をはかる指標」というのがあるのですが、全国の先生方や関係者にデータをとってつくった指標ですけれども、そういうものを利用して明らかに青少年の変化がうかがえるというようなデータもありますし、最近では妙高にある青少年自然の家で、体験活動と脳波の関係などもはかったりもしていますので、そういうデータなどを利用するのもいいのではないかなという気がいたしました。確かに評価は難しいのですが、そういったデータだったり、それから最近我々の分野で少し行われているのが、大人に対して、かつて子どもの頃体験した体験活動が、現在の環境行動にどう影響しているのかとか、そういうアンケートなどもとられたりしていますので、そういったものも少し利用してもいいのかなという気がしております。
 それから全体、これは政策1,2,3の話なのですが、私は体験活動に関わっているものですから、いろいろな政策に関連があるなという気がしているのですね。例えば、子どもの体験活動を通してすごく育まれるものとして、日本の文化に気がつくと言いますか、文化財を伝承するのも大切なのですが、今子どもが日本人として育っていくための文化の伝承をどこでやるかというと、なかなかできていなくて、やっぱり体験活動が主だなということがあります。
 もう一つは、スポーツの分野にも関わるかと思うのですが、子どもの外遊びだったり、体力だったり、あるいは総合的な地域スポーツクラブの振興にも関わってくるなということがありますので、政策の中で関連するものは、この目標の中で、例えば政策目標2のところで、子どもの体験活動と脳波の関係というのがあったら、科学技術の方の脳の分野とちょっと関連があるとか、何か関連が分かるような表示の仕方があってもいいのかなという気がしました。
 それからもう一点だけ、スポーツの分野で言いますと、Jリーグというのがございますが、Jリーグの下部組織のJリーグ・アカデミーで子ども達を養成したりしているのですけれども、そういうところと我々の分野の体験活動とがタイアップして、チームづくりのための体験活動をやったりもしていますので、そういう連携事例などがあったら紹介していただいてもいいのかなと、今回お見せいただきましたものに目を通して感じました。
 体験活動は、指標がなかなか難しいのですが、今「子どもゆめ基金」というものができまして、全国でかなり体験活動が広がるようになってきましたので、データで出すのは難しいからといってやらないということではなくて、データを出す努力とともに、そういう子どもの成長に関わるようなものには惜しみなく――という言い方はおかしいですが、やっぱり大事なことなので、支援を続けていくというのは必要じゃないかなと思いました。ちょっと長くなりましたが、以上です。

【高祖座長】

 ありがとうございました。体験活動を軸にいたしまして、データのとり方、日本文化の伝承の問題、それぞれに目標が出ているものの関連付けのこと、それからJリーグのことを通してのチームづくりに関わるようなところですね。これについて事務局、ないしは生涯教育担当の方から何かお考えはございますか。手短にでもお願いいたします。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 スポーツ・青少年局の者でございます。今いただいたご意見の中で、指標化に努めるべきだということについては、事前にいただいたところでもございます。今後、今お話にもありましたように、青少年教育振興機構で進められている調査研究にも留意しながら、指標化に努めていきたいと思っております。
 また、体験活動とスポーツの関わりなどにつきましては、別の中教審の委員会などにおきましても、トップレベルの競技者との交流といったものの重要性を指摘されているところでもございますので、今後の施策の展開の上で、そのような視点からの施策を進めてまいりたいと考えております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。指標のとり方がなかなか難しいというご意見もございましたが、いろいろな知恵を出し合って、なるべくいい形の評価ができますように、よろしくお願いいたします。それでは、中西先生、どうぞ。

【中西委員】

 3に飛んでよいでしょうか。3つほど気がついた点がございます。1つは、3−1−4のところの任期制のことですが、任期制の拡充は、教員・職員の活性化を図るということだと思います。任期制は人の流動性が増えて、非常にいい施策だと思うのですが、もう任期制が導入されてかなり経ちますので、任期制を導入したためのマイナス面について、この際一度評価してもいいのではないかと思います。地位の不安定性や、不平等性ということです。企業に例えると、同じ職場の中での正社員と派遣社員の差というようなことが生じていないかなども含めて、少し見直しも考えていただければと思います。
 もう一つは、3−2に飛ぶのですが、「大学などにおける教育研究基盤の整備」のところの、「公共的施設の中でも高い優先順位により実施される必要がある」、関係する施設の方針についてですが、特に環境、安全、衛生という面は、大学などにおいてもう少し整理されてもいいと思います。衛生面については、はしかの問題もありましたので、これらを含めて早く一般企業並みの安全衛生体制になるように努力を続けていただければと思います。
 それから3点目は、まず書き方なのですが、Bが3−4についております。それからまだ、どこかにもB評価というのがあったのですが、Bについては3−4のところと全く同じ書き方が何カ所にもあります。そして3−4と3−4−4の評価結果の政策への反映方針というところでは、「主として社会・経済情勢の変化に起因するものと考えられるが」と、外因として書かれているのですが、内因といいますか、もう少し踏み込んだ書き方、こういうふうにしてきたけれどもうまくいかなかったなど、結局は外因に帰するのかもしれないのですが、内因についてもう少し書いていただければと思いました。以上3点でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。実は、私があんまり発言をするのも……、なるべくしませんが、すいません。例えば、S項目がたくさん並んでいます。Aもたくさん並んでいる。その意味では非常によくやっていらっしゃるという評価が出ると思うのですが、しかし、Sが出たとしても課題は残っているはずなのですね。そうすると、Sが出たという評価だとしても、こういう課題が残っているのだ、その課題をこれからこういう形で受けとめていって持っていくんだという、そこが今回、もうちょっと要るのじゃないかという印象を私も持ちました。今のことにつけ加えて、一言申し上げました。では、河野先生、どうぞ。

【河野委員】

 ちょっと全体に関わることと、今の項目の中の各論でお話しさせてください。まず見方として、繰り返しになりますが、非常に見やすくなりましたことと、あと評価項目の中身と判断基準の工夫をしていただいているので、私たちが拝見してというよりも、内部の方々がやはりきっとこれを使いやすくなるだろうということを含めて、全体として大きく、例えばここがこうじゃないかとか、ここのAがどうのというようなことは、今の時点では私はございません。
 その上で感想を幾つかなんですが、Aの幅が非常に広いのではないかという感想を受けています。逆に、その中に身を置いて、今回は判断をさせていただいていると自分では認識しておりまして、非常にスペシャルAと、それから「ん?」と、Aでも正直言うとちょっと甘いかなというか、とりあえず目標を達成しているとAなのかなというところと幅を感じてしまいました。
 あと、見方としてなんですけれども、企業の例を言って申しわけないのですが、例えば内部として前年同期比とか、それから前回よりも改善項目がどうのというのは、意味があるようでないことがありまして、何を言いたいかというと、市場の動きの速さとか、例えば企業だと、他企業との動きとか、いろいろな中で努力した結果だけではなくて、世の中のニーズと合致させて、S、Aと判断しなきゃいけないこともあるかなと思っております。
 本当によくやっていらっしゃるのが分かるだけに、今すごく遠回しになっているんですけれども、例えば、女性に関する様々なものですとか、あと複数関わっていますけれども、青少年の中でも、例えば一番難しいニート、フリーター、引きこもりの情報がなかなかないところですとか、ゼロからのスタートなのですごく大変なのですけれども、結果としてなかなか出にくい部分と世の中のニーズの高さというのがあるので、ここについても、見方によるとちょっと甘いかなと感じながら、でもオーケーだという形で見させていただいたので、感想を一言述べておきたいと思いました。
 それから各論なのですけれども、先生方のことで、魅力ある優れた教員の育成・確保というところ、2−7前後あたりなのですが、私も先生方の課題は非常に大きく、そして注目を浴びる項目だと思っていまして、この文字の中だけだともうこれでオーケーなのですが、逆にここに出ていないこととして、こちら、不適格という表現を使ったのですけれども、能力を高めるだけではなくて、現状で難しいというように判断する先生たちのこれからのキャリアや、その方々のこれからの仕事、職を創造――つくり出していかなければいけないので、その分野についてたしか触れていらっしゃらないのではないかなと思いましたので、そういう人たちを俗に言うリストラクチャリングできない状況だと思うので、どうするのかというのは、さっきおっしゃった課題として今後、真剣に考えていく必要があるのではないかと思います。
 それから最後に1つ、ここの課題じゃないかもしれないんですけれども、広報的なもの、啓発的なものに、やはりもっと予算を立てていくようにしないと、せっかくいいものをやっても誰も知らなければ、それはやっていないのと同じということにもなりがちなので、その辺も今後の展開として、広報とか啓発活動みたいなものも、セットで評価の中にさらに入れていきたいと思いました。以上です。

【高祖座長】

 ありがとうございました。もう3人いらっしゃいまして、舘先生、浅井先生、それから美山先生という順番でまいります。
 そこに行く前に、先ほど中西先生の方から3−4に関連して、外側の要因だけではなくて、内側の要因も検討が必要なんじゃないかという指摘がございました。
 それから、今のところですと、2−7に関連して、現状で難しさを感じている教員をどうするのかということについて、ちょっと簡単に、それぞれ関係する方々からコメントといいますか、反論といいますか、お願いできますでしょうか。

【小松高等教育局高等教育企画課長】

 高等教育局でございます。3−4でご指摘いただきましたことにつきまして、教育研究というか、たまたま、やや私学特有の今現在取り巻かれている非常に厳しい状況や、変化の激しい状況を理解してほしいということもありまして、外部の方が読まれるということの中で、その点を少し強調したことは正直言ってございます。客観的な分析として、その辺の外的要因、内的要因といったバランスをよくとるべきであるという、特にそういう印象を受けたというご意見を、担当の部局ともよく相談させていただいて、バランスがとれるように考えていきたいと思います。この件は、もちろん高等教育だけじゃないかもしれませんが、おそらく高等教育の分析全体にも当てはまることかと思いますので、早急にまとめさせていただきます。
 それから、すいません。今一言、任期制のこともご指摘がございました。ここでの直接のお話につきましては、学校教育法の改正によりまして、教育研究組織のあり方が少し変わったことと合わせまして述べておりまして、現時点では導入に伴っての任期制の増加が、一応中教審などの答申の中で連動して申し述べられておりますので、そういう意味で、浸透が図られつつあるという点にスポットを当てたということでございます。メリット、デメリットもあろうかと思いますが、政策評価という観点からいたしますと、立てている目標にどのようにうまく接近できたかという、やや制限されたところもございますので、ただいまのご指摘は、ある意味では、進まなければ進まないなりに、どういう点がネックになっているのか、それは進まない方が悪いのか、制度の設計にさらに考えなきゃいけない点があるのかということを、もう少し掘り下げるというご趣旨にもつながるのかなと思いますので、そういうように受けとめさせていただいて十分吟味していきたいと思います。

【高祖座長】

 はい、よろしくお願いいたします。初等中等で、何か教員についてございますか。

【大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐】

 初等中等教育局でございます。施策目標2−7の関連で、不適格教員についても記述してはどうかというご意見をちょうだいいたしました。事前に、文章でもご意見をちょうだいしておりまして、今日この場でこういったものということをお示しできないのは大変恐縮でございますが、大変重要なご指摘をいただいたところでございますので、今後どのようなことが評価の指標になり得るかということを、若干のお時間をいただきまして検討させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【高祖座長】

 ありがとうございました。指標のとり方がなかなか難しいと思いますが、なるべく正確というか、精度を上げる評価ということでよろしくお願いいたします。
 それでは、舘先生、お願いします。

【舘委員】

 私は、分野としては大学でございますので、政策評価目標3のところでございますが、1ページ目に18年度の状況ということで指摘がありまして、その指摘の真ん中辺で、21世紀COEプログラムの採択拠点の話に関わって、「世界最高水準の大学づくりには着実に進展している」、それからその下では「教員組織の活性化が進んでいる」と結論的に書かれているのですが、これだけ聞くとすばらしいことで、確かにそう進んでいるのでしょうけれども、その理由というか、証拠が何かというと、プログラムをめぐっての競争的な取り組みが進んでいるということであり、それから、下の方では先ほどの中西先生のご指摘のように任期制が進んでいるということですね。それで、1番目にこれだけ断定して書かれてしまうと、もう少し最高水準とは何なのかと。これは以前からご指摘させていただいた点でもありますけれども、何が最高水準なのかということが、やはりそろそろ示されないと、どうなったら最高、それも世界的という意味では、世界中の学生が集まるとか、そういうことが起こっているのか、集まらなくても最高水準だというようなこともあってもいいと思いますけれども、一体何が最高水準なのかというところ、それについては、既に認識されているという意味では2ページ目の所見で、「アウトカムを重視した判断基準の設定について検討すべき」ということで認識されていますし、私は実は事前に意見を出し損なったのですが、事前意見のところでもその指標でご指摘が既にあります。
 ただ、指標化する時にやっぱり難しいのは、先ほどのように任期制という、確かに政策で具体的に書かれているのはそうでしょうけれども、科学振興経費というんですか、あっちの方では既にテニュア制が提起されていて、単純な任期制ではない、テニュア制を確立するための任期制だというようなことがあり、テニュア制も提起されている中では、この指標づくりは本当の意味でというか、もう少し中身の質が高まるような意味の指標づくりというのが今必要になっているのではないかと思いました。
 あと表記の点では、せっかく具体的に書いていただいているのですが、1ページ目の記述と、それから中の理由の説明に当たる、例えば、3−1、3枚目の記述の内容がほとんど同じなのが、分かりやすくしていただいたために余計気になるという感じで、やはり前の、さらに要約的な方がぴんとくるかなという感じがいたしました。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。何人かの委員の方に言っていただいて、また回答いたしますので、浅井委員、お願いします。

【浅井(彰)委員】

 私も21世紀COEプログラムを中心に、大学の教育について少しお話をさせていただきたいと思うのですが、それより少しさかのぼって、政策評価ということの意義を考えてみますと、ある政策があって政策を打ったかどうかという施策の外形みたいなものと、それから結果の2つはかなり区別して評価していかなくてはならないだろうと思うんです。例えば、初等中等の方で学力が上がっていますけれども、これは明らかに結果を見ようという言葉な訳です。どういう施策を打ったか、教員の教育をしたかというのは比較的間接的な点だとしますと、学力というのは、言葉としてもまさに学力というものを捕捉しようじゃないかという意気込みが、この言葉に現れていると思うのです。
 そうなってきますと、そういう態度で評価していくと、どうしてもBみたいなところが出てしまうわけです。やりきれていないと、はっきり認められる。だから、やっぱり評価として外形で評価をすることと、また結果の方で見るとこうですということが、同時に挙がっていることが大事なのではないかなと今感じているんです。
 そのことで言うと、全般に言って、大学や研究の高等教育や研究開発の方は、どちらかというと外形的な評価の方がまだ多くて、結果がどうだということはあんまり議論できていないのではないかなというような感じがいたしますが、大変、いろいろ評価そのものも進み、施策そのものも外形的に見る限りはかなり進んでいるのかなという感じがいたします。
 COEのプログラムについて具体的に申しますと、COEというのはご存じない方もいらっしゃると思うのですが、大学の中で研究的に優れているセンター・オブ・エクセレンスの学部学科単位のところを選びまして、化学なら化学で、全国で何大学か選ぶわけです。選ばれた大学は、ある種の競争的支援をもらえるので、このお金を主として大学院の学生の支援に使いなさいという施策になっております。
 ですから、研究の優れた先生方のいるところに、言ってみれば奨学金がいくという仕掛けになっています。それは非常に工夫・努力なされた政策で大変に面白いんですが、量的に十分かとか、期間的に十分かという意味では若干問題があるのです。時限の政策で3年間になっていましたから、一定期間が終わると、あとはどうするんだろうということが、そういう大変結構な施策なのだけれども、あとはどうやって継続的にしていくのかということが問題になるわけですが、だから期間の点、量的な点といったところもやはり十分な施策だったかどうかという点で、チェックをかけていかないといけないと思うんですが、今のところは、今度も新たなグローバルCOEという政策で、一応継続的に担保されていると考えていますが、そういったところが問題になるのかなと思っております。
 結果の方は、やはりどういったところへ新しい分野を担うような学生さんが出てきたかとか、そういったことでアウトカム評価をもうちょっと進めないといけないのかなということが全体的に思われることでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。宮部委員と、それから千野委員まで発言していただいて、事務局の方に回しますので、よろしくお願いいたします。
 では、宮部委員、お願いいたします。

【宮部委員】

 私も舘先生、浅井先生と同じ点なんですけれども、政策評価3のところが、やはり皆さんがご指摘のように、プログラムや制度設計が行われたかとか、どの程度適用されたかという評価にとどまっているんですね。その結果として、質の高い研究がなされたかとか、質の高い教育がなされたかという部分の評価までは至っていないというところがあって、本来の目標とすべき評価が、やっぱりこの文章からは読み取れないというのが感じられると思います。
 ただ、1年で結果が出るということではない事があると思いますので、今年のこの評価がどうのこうのというよりも、この制度の中で、COEをはじめとする事業の評価も含めて、本来の目的は達成されたかをフォローできるような形への改善をご検討いただけばなと思います。以上です。

【高祖座長】

 ありがとうございました。では、千野委員、どうぞ。
 発言を終えられた方、名札を倒していただけますか。

【千野委員】

 どうもありがとうございます。皆さん、発言するようにということなのでプレッシャーを感じて、1回ぐらい早目に発言しなくてはいけないのかなと。私がこういう会合に出させていただいて、いつも痛感することは、多くの先生方はそれぞれご専門の分野をお持ちのところでお話をなさるわけですが、私は、普通の人間として感じていることを話すしかないなということで、果たしてこういう場にふさわしいかどうかという疑問も感じつつ、お話をさせていただきます。
 前年度に比べて非常に読みやすく、分かりやすくなったということですが、今年度初めて読んだ者にとっては、まだまだこれは本当に頭が痛くなるようにたくさん書いてあるなというのが率直な感想ですけれども、ただ、今日、ここにカラーで、そして特に総括表というのは大変分かりやすくていいなと思うのですね。できれば、事前にご説明いただく時にこれが手に入ると、もっといいですが、無理な希望かもしれません。また、これをそもそも書かれるために、それぞれの課の方がどれほどのエネルギーを割いているのかなと思うと、私自身は、本当の評価はここまでやる必要があるのだろうかという根本的な疑問を実は持ったりもしております。
 そして、しかしながら、座長もおっしゃいましたように、ほとんどがAなわけですね。今検討している政策目標の中で、Cはないかなと、私は最初にいただいた時に注目して読みまして、これは有識者の事前意見にも出されているようなんですけれども、政策目標2−4−4の青少年交流というところだったと思うのですが、これでなぜCなのかなと私も同じように思ったのです。要するに、人数が減ったというところでCがついているわけで、内容的なCかどうかというのは分からないわけですね。ですから、そういう評価の仕方、人数が減っても中身が充実したものであればいいわけで、そういう点では、この交流の評価というのは、ここにも書いてありますように難しいとは思うんですけれども、やっぱり検討の余地があるなと思いました。
 もう一つは、分かりやすく、少ない言いつつ矛盾したような言い方になりますけれども、なぜ英国とドイツと韓国か、4カ国ですか、この理由が分からない。何年度かにわたって4カ国とあるいは決まっていることなのかもしれないんですけれども、果たしてこの4カ国がどういう経緯で選ばれて、交流の対象として本当に適切なのかどうかと考え出すと非常に分からないことが多いなという感想も合わせて持ったことを申し添えて終わります。

【高祖座長】

 ありがとうございました。それでは、高等教育関連のところが幾つかございましたので、お願いします。その後、今の青少年の交流のところをお願いいたします。どうぞ。

【小松高等教育局高等教育企画課長】

 高等教育関係についてでございますが、別角度から同様のご指摘等も幾つかいただきましたので、時間制限もございますので、まとめて申し上げます。もし漏れましたらご指摘くださいませ。
 まず、指標を何に求めるかということについては、ご指摘が二、三ございました。それから今後の指標づくりをもう少しきちっとしなくてはいけないのではないか、あるいはアウトプットについてどう考えるかということが未熟ではないか、指標関係についてそういったご議論をいただきましたけれども、この点は大学評価そのものの独自の部分も実は発展途上でございまして、そういう意味では、今後いろいろご指摘をいただきながら宣伝していく必要があるということを考えます。
 特にバランスにおいて、アウトカムの方が少し弱いのではないかということでございますけれども、この点についてもそのとおりかもしれないと考えておりまして、評価の歴史が浅いこともあって、出てきた学生さんがどのように社会で活躍するか、最終的にどのような成果が上がったかということをどこに原因を求めるかということがなかなか難しいこともございまして、先生方のお知恵ももちろんいただきながら、いろいろなところのコンセンサスを求めていくことが必要だと思います。一遍になかなか目覚しい変わり方をしないかもしれませんが、よろしくご指導くださるようにお願いいたします。
 それと関連いたしまして、21世紀COEのお話が出ております。政策としては工夫をされ、いい政策だけれども、どのように政策を実施したかということ以外に、これもアウトカムの話がどういう評価をされるべきなのかということを議論すべきだということでございますが、先ほど申し上げましたように、それを行った結果、最終的にその成果がどうであったかということについては、価値観も絡んでなかなか難しいんですけれども、ここの評価のところでは簡単にアンケート調査ということが書いてあるので、あるいは表現の仕方なり、数字の出し方をもう少し工夫すればよかったかなと思うのですが、一、二例を申し上げますと、これをやったことによって別のアウトカムのはかり方として、ポスドク、RAなどの若手研究者の雇用、あるいは活躍が全体として大幅に増加した。あるいはその中で、他機関の出身者や外国人が大幅に増加した。外国人で言うと、300人ぐらいだったのが800人ぐらいに、2.6倍に増えたとか、他機関の出身者600人ぐらいが2,000ぐらいの3倍に増えたとか、もし流動性をよしとすれば、その点では多いに成果が上がったことになります。
 あるいは就職が、そこ出身の人が増加したということで、就職というのは、研究開発部門を見た時に、研究開発部門への就職者が、その中で600人から800人ぐらいになって3割増になった。大学院生の論文発表が、レフェリーつき学術雑誌などで3割増、国外で5割増になった。この辺は、先ほどご指摘がありました長期的なスパンとしてのアウトカムではありませんけれども、あまりそこを縛ってしまうと、大学の自発的な教育研究という点でまた問題が出ることもありますので、一面、別の意味でのアウトカムが、こういう辺りから評価、仕組み、指標が構築できるかもしれないという思いを抱いております。この辺りをよく研究しながら、また発展を図っていければと思います。
 最後に、それと合わせまして、外形的にどういうことが進んだかということと、語尾で断定的に着実に進んでいるかというようなことを言い切ってしまって誤らないかというご指摘がございました。これはそのとおりでございまして、これは事務方としてまとめる過程で官房等からの指摘もあり、我々も議論して、実は正直に申しますと、もっと断定的だったのですけれども、かなり直したつもりでございます。今ご指摘を受けますと、さらにそこは仕分けをして、この部分はここまで進んでいるという話と評価を分ける必要があるかと思いますので、引き続き工夫をいたしたいと思います。

【高祖座長】

 ありがとうございました。省内のいろいろな苦労話を入れていただいていますが、とにかく量的に指標を測れるものをつくっていく、それは量的なものが質的なものを同時に浮き彫りにするようなものを量的なものにしていくという、その辺のせめぎ合いということですよね。いろいろとご苦労があるかと思いますが、ぜひまたいろいろな先生方のお知恵も拝借しながら、進めていただきたいと思います。
 それでは先ほどの2−4に関わるところをお願いいたします。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 スポーツ・青少年局でございます。数少ないCの評価を自ら立てたところでございますけれども、これは青少年交流の人数が、委員がご指摘のように減ったことに伴うものでございますが、これは交流する人たちのレベルを指導者の方に重点化したことに伴うものであります。今後、こういった人数だけで評価するのではなくて、参加した方の満足度とか、参加した後、継続的に同様な活動を続けていただく、交流を続けていただくといったような、その後の活動状況なども勘案した形で評価できるように検討してまいりたいと考えております。
 また、4カ国に絞られているということでございますが、これは政府間協定に基づくところでございまして、政府全体でこういった交流の対象となる国が広がっていけばよいのではないかなと考えておりますけれども、そういった協定に基づく相手国の選定であるということをご留意いただければと思います。以上でございます。

【高祖座長】

 政府間交流というのがあるのだったら、それを一言、中にお書きになったらいいですよね。
 田中委員にお願いして、一応、田中委員の発言をもって、1,2,3を終わって、4,5,6に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。では。

【田中委員】

 先ほどの千野委員のご発言に触発されたわけなのですが、私も特定の教育分野等の専門ではございませんので、全体を見ている者なのですけれども、3点、お話しさせていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、全体の報告書の様式についてなんですけれども、千野委員はまだ十分でないというご感想なのですが、以前に比べるとかなり読みやすくなったというのは間違いないと思います。個人的には、もうかなりこれは限界点に達しているのかなということで、多分これ以上努力をなされたとしても、多分限界効用が逓減していくのではないかと思いますので、今後は、別のところにぜひその労力を振り向けていただきたいなと。ですから、そういう意味では様式的には、非常によくなったという感想を持っております。
 2点目ですが、千野委員も取り上げておられた総括表です。今日、これが初めて出てきましたので、私も非常に関心を持って見ていたのですが、やはり気になるのは、評価結果をずらっと見ていくと、一部若干よくないのがあったとしても、これは非常にいい成績ですよね。ですから、個人の成績で見たら、非常に優等生ということになってしまうと思うのですが、その辺りが一般の人が文部科学省、あるいは日本の教育なり科学技術等の行政を見て感じるところとのギャップがあるなしですね、その辺りがどうなのかなという感じがしました。ですから、どなたかおっしゃったように、もちろん目標の立て方の問題もあるでしょうし、あと今は政策目標があって、施策目標、そしてその下の達成目標ということでブレークダウンしているわけなのですが、そういう形でブレークダウンしていく中で、何か見落としているものがあるのかもしれない。ですから、実はこの総括表というのは、いろいろな課題を提起しているような気がしています。単なる感想です。
 最後なんですが、今の点に関連して、例えば最初のページ、総括表の最初に政策目標1がありまして、施策目標1−1ですね。その下に細分化された達成目標が4つあるわけなのですが、今のやり方では1−1−1から1−1−4までの評価結果を総括して、施策目標1−1の結果が決まるという形なのですが、もちろんそれはあっていいかと思うのですけれども、例えば1−1−1というものは達成目標とは言いながらも、実際、具体的な施策なわけですよね。この施策の効果を問う場合には、実は施策目標がどれぐらい達成しているか。で、それに照らしてどれだけ貢献しているかということで、実は施策目標1−1の結果を先に見て、それとの貢献度合いで、1−1−1以下を判断するという側面もあるのではないかと思うのです。
 ですから、個々にうまくいっているかという意味では、個々に見ていけばいいわけですが、実は上位レベルに照らして貢献しているかどうかという視点での評価もあるということなので、ちょっとこれは問題提起で、今どうしたらいいかという考えもないのですけれども、そういったやり方も少しあるということを、この総括表が示唆してくれたという気がしております。以上です。

【高祖座長】

 ありがとうございました。ただいまの評価の全体的な枠組みについてはいかがでしょうか。評価室長でしょうか。

【木村評価室長】

 ご指摘はまさしくごもっともでして、今回、評価につきましても、例えば施策目標、この1−1とか、その他についてもそうですけれども、達成目標を単純に足して、これを平均したようなものも正直言って多数ございます。そういう意味では、もっとマクロで見られないのか、施策目標レベルで、全体の傾向として現状をどう考え、評価するのかといった点等について、もっと書き込めないのかということは、今後の課題として受けとめて対応していきたいと思っております。

【高祖座長】

 はい。それでは、その辺りの検討をよろしくお願いいたします。
 それでは、1,2,3を一応とりあえず終えまして、また後でご意見がございましたらお出しいただくことにいたしまして、科学技術に関わります4,5,6について委員の皆様のご意見をちょうだいしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、田中委員からですね、どうぞ。いいですか。それでは、中西先生、どうぞ。

【中西委員】

 ありがとうございます。幾つか気がついたところを言わせていただければと思います。まず、施策目標4で、4−1−3、科研費の話でございますが、科研費はピア・レビューアーの仕組みもございまして、非常によくきちんと評価されており、ピア・レビューアーはよく機能していると思います。そこでこれはSでもいいのではという印象を持っております。JSTや、他の機関についても文部科学省がしている方法をもっと広げていただければと思います。
 それから、あと、次の1枚めくりまして、4−2−2です。幾つかありますので手短に申し上げますと、タンパク3000ですが、これは、やはり先ほどございましたけれども、数はともかく、解析されたタンパク質の、質の評価をもう少し入れてほしいと思います。またタンパク質といいますと、生命のありとあらゆるもの全てにタンパク質がかかわっているのに、出口は薬だけという印象を受けかねないということがございます。
 それから、もう少し先の4−4−3、バイオマスの話ですが、環境という面でもこれは非常に難しいプロジェクトかと思われるのですが、国などからの補助金がなくても十分にペイするように、つまりサイクル全体を俯瞰して、コスト的にペイするような技術にまで持っていく必要があると思うのです。幾らいいシステムでも、実際に利用できないものではあまり意味がないかもしれないということの視点も入れていただきたいと思います。
 それから、4−5−3ですが、ここに独立行政法人物質・材料研究機構の話がございますけれども、例えば産業総合研究所でも関連したような研究がされているかと思われます。内容は個々に違うかもしれないのですが、研究協力とか、一体化等の検討もぜひ行って、効率を上げていただきたいと思います。
 それから、5の方にいってよろしいでしょうか。5の方も3つございまして、1つは5−1−1ですが、博士課程には学術振興会からDC1やDC2、それから全学生を対象に奨学金も出ておりますけれども、見ていますとほんの少しの差でもらえたり、もらえなかったりしている学生がおります。そこで奨学金がもらえる、もらえないかも含めまして、当事者たちの満足度、不満足な人もいるかもしれないのですが、その調査の結果もぜひ反映していただいき、よりよい制度の充実を図ってもらえればと思っております。
 それから、もう一つは5−1−4です。これは技術士制度ですが、もっと社会の認知度を得るように、また社会からの評価が確かなものになるようにしていただいき、定着させてもうらいたいと思っております。
 次は5−3−1です。これはB評価ですが、今後の課題及び政策への反映方針をいろいろ強化していく必要があると書かれていますので、ぜひ標準化のことについても考えていただきたいと思います。標準化技術、それからその研究は、研究を行うための潤滑油のようなものですので、標準化への取り組みと、その認知度をもっと上げてほしいと思います。日本では標準化に対する認知度の向上が非常に遅れていると思います。そこでこのことにつきましては引き続き、支援をお願いしたいと思っております。
 最後にもう一つだけ、6−2−1で、サイエンスチャンネルのことが出ております。そこには、アクセス件数が何件、それから総合平均で何点上回ったと書かれています。数字で書かれていることは非常にいいのですが、絶対値としては、この数字はどういうふうに評価できるのかという視点も大切だと思います。ユーザーの声と言いますか、特に、大多数の、多くのあまりサイエンスに関心がない人たちも含めて、もう少し定量的に分析ができるのではないかと思いました。以上、たくさん申し上げてすみませんでした。

【高祖座長】

 ありがとうございました。8つの指摘がございましたけれども、説明を行う局の方には少しお考えいただいて。それでは、浅井委員、どうぞ。

【浅井(彰)委員】

 準備してきた項目で申しますと、コメントの整理だったと思うのですが、やはり学術振興の件について少し申し上げたいのですけれども、競争的資金にお金を投じていくといったような、ここのところ一貫した施策が打たれていて、その結果、大学におけるエクセレンスに対する希求の度合いと努力というのは大変活性化していると、全般に思うのですが、やはりその結果というのは、こういう施策の外形的な形という意味では、この評価は、ここに書かれているように、大体においてこの領域は全部Aがついているわけですけれども、そういう感じかなと思わなくもないのですが、先ほど来申し上げているように、そういった施策の結果、どういうふうに個々の研究領域等で研究の結果といいますか、研究力、研究競争力、結果を出す力といいますか、そういうものが高まっているかということになるのかなと思うんです。そこは大変評価が難しいです。
 だけど、今までのところ、大学の評価などもどういうふうに行われているかというと、機関評価という形で行われているのです。機関評価というのは、その機関ごとで評価しているのですけれども、では、今日本にある主要な大学の全部を束にして集めたところで、という状態でもって、日本の最先端の学術の力が、どんなふうに世界に伍していけるものであるかという観点で評価するのが、やはり一番いいのではないかなと思うのです。
 先ほど、初等中等のところで学力という言葉が出ましたが、ですから、研究力とでもいいますか、研究における優位性で評価していかなくてはならないのですね。とても難しいです。しかし、こういうふうに分野別の優位性で研究力を評価していくというのは、機関評価、A大学とB大学とC大学と比べて評価していく評価とはまた違う意味の評価がありまして、この当該、例えばライフサイエンスの分野で今どのぐらい他の国々と競争力が違うか。それから、例えば材料やケミストリー、情報通信の分野でどうか。こういうふうに分けてまいりますと、かなりやはり分野ごとで違いがあるのですね。国のそういう研究力は、分野で相当特色もありますから、日本が比較的強いのは、情報通信ではなくて、材料とか、ケミストリーとか、それから計測などの分野です。そこら辺は非常に強いとされています。実際そうだと思います。
 しかし、弱い部分もあるのですね。ですから、こういうふうに見た時に、結果の方で、研究力で言うと決して全部にAはつかないわけなのです。だから、万遍なく強くなる必要もないのかもしれないのだけれども、そういうことだということを認識しながら、いろいろな運営をしていくこともまた非常に大事なので、要するに言いたいことは、機関別評価ばっかりやっているとなかなか見えないところが、分野別評価をやると見えるようになってくることがあるので、これを1つ、やっぱり今後テーマとして取り上げてみるというのがどうなのかなと、今考えているのです。そういうコメントです。

【高祖座長】

 ありがとうございました。最後におっしゃいましたことは、先ほど舘委員からも世界最高水準の中身は一体何だと、そこをもう少し明らかにしてくれと、こことつながっていくと思います。非常に大切なご意見だと思いますので、今お二方の意見が続きましたので、科学技術に関係する方々で、今指摘されたことについて、何かご発言がございましたら。

【中原研究開発局開発企画課長】

 比較的簡単な方からお答え申し上げます。私は、研究開発局でございます。中西先生の方からバイオマスについてのご指摘があったかと思います。当然利用のところまで考えて研究開発を進めていくのは、非常に大事な視点だと思っております。平成19年度が最終年度になるわけでございますけれども、自治体での利用のための輸送のことでありますとか、そういったことも含めて、平成19年度の最終年度に研究開発の総仕上げをしていきたいと思ってございます。
 また、バイオマス関係は、当然他省庁との連携もございますので、農水省とか、国交省といったところとの連携も踏まえて、研究開発の最後の仕上げを行っていきたいと思ってございます。以上でございます。

【研究振興局(竹内)】

 研究振興局の竹内と申します。まず、基礎研究のところであったご指摘の方からございますけれども、科研費においては、研究者の自主性を尊重するという観点から、ピア・レビューにおいて競争的な出てきた課題を審査しているところでございまして、評価いただきましてありがとうございます。今後ますますこの特性を生かして、科研費の審査に取り組んでまいります。一方で、基礎研究には、先生の自主性を尊重する科研費の他に、政策目的研究のようなものがあります。これはトップダウンでやっているものでありますので、これについては、むしろピア・レビューというよりは、政策的に選んで、そういう委員会の中で選んだ人で課題を選定していくことがふさわしいと考えております。
 次に、タンパク3000に関して、質の評価というところでご指摘をいただきました。それで、タンパク3000につきまして、タンパクの解析をして、新薬をつくっていくという創薬の観点においてどうかというところがあります。もちろん薬に結びつけていくということが、タンパク3000プロジェクトの目的の1つではあります。一方で、タンパク3000につきましては、人間の体のタンパク質の解析方法、解析する機械と能力の基盤を有するという目的もありまして、そういう基盤ができたというところも重要だと思っておりまして、現在、タンパク3000に続いて、今度、実際本当に、まさに将来、薬に役立つような難しいタンパク質の解析に向けたターゲットタンパクという事業に移行しているところでございます。
 それから、ナノテクノロジーに関するご指摘で、例えば物資・材料研究機構、当省の施策と、それから経済産業省、産総研との重複についてどう考えるのかというお話がありました。これにつきましては、ご指摘のように非常に似ている産総研で扱っている分野と、物質・材料研究機構で扱っている分野は、同じ材料分野を扱っているというところはありますので、従来より連携をとってやってきているところでございます。実際の課題に関する情報交換をして、似たような課題、あるいは重複課題をとらないようにするとともに、経済産業省の方は実用化にすぐ結びつくもの、そして物質・材料研究機構の方は、それより一歩手前の研究開発段階のものというふうにターゲットを仕分けした上で、それでも重なる可能性のあるものについては情報交換をして、デマケを図っているところでございます。
 それから、5−3−1の標準化の取り組みについてでございます。もちろん工業標準は、経済産業省になりますが、研究分野におきましても、標準化したやり方というのは非常に重要になっておりまして、具体的に我々の施策につきましては、ライフサイエンス分野におきまして、バイオリソースということで、例えば、ある一定の性質を持ったネズミを非常に高い精度でそろえて、各研究、大学での研究に資すると。糖尿病になりやすいネズミを遺伝子上非常にそろったような形で整備して提供するということもやっておりますし、計測分野においてもそういうところに配慮して取り組んでまいりたいと思っているところでございます。長くなって申し分けありませんでした。

【高祖座長】

 ありがとうございました。浅井委員からございました分野別の評価についてはいかがでございましょうか。どうぞ。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】

 科学技術・学術政策局でございますけれども、先ほど中西先生からもございました5の指標の政策目標5−1−1、博士課程学生、当事者たちの満足度等を含めてまず調べる必要があるのではないかといった点、また技術士制度についてのご指摘、それからサイエンスチャンネルについてのご指摘等の点については、ご指摘の方向を踏まえて、いろいろまた、どういう形での指標設定等ができるかを検討してまいりたいと思っております。
 それから、浅井先生からございました点で、少し私どもの方で考えておりますのは、科学技術・学術関係につきましての分野別の状況、全体の世界的な中での状況といった点については、私どもとしても科学技術・学術審議会の中で分野別の評価等を踏まえながら、全体としてどこを充実していくべきか、どういった方向を目指すべきかといったようなことも、ご指摘いただいたことを踏まえて、施策の展開をしているわけでございますけれども、政策評価の中で、ご指摘のあった分野別評価という視点を、どういう形で入れていくことができるかということを、また検討してみたいとは思っております。

【高祖座長】

 どうぞ。

【倉持政策評価審議官】

 分野別の分析なんですけれども、これは科学技術基本計画に基づきまして、総合科学技術会議が重点分野を決めて、それごとに戦略をつくっていまして、それを受けて文科省として受け持っている部分の打っている施策のパフォーマンスをどう見るか、こういう観点から省内でも文科省の施策の評価をしているということがございまして、当然その分野によって強い、弱い、いろいろあって、その中で日本全体としてどういうふうに進めていったらいいかという議論は、別途そういうところで議論がされているのを受けて、我々としても取り組んでいるということでございますので、5年計画でございますけれども、やはりある程度の期間が経ったら、全体としてどういうふうに日本のポジションが変わったかというのは当然議論していくべきですし、我々としてもそこへ必要なデータを持ち込めるように、個々のプログラムを動かしていかなきゃいけないと考えております。
 いずれにしましても、成果を出すまでに数年かかるものですから、先ほど来ご議論がありますように、18年度の施策の実績評価という部分で何か判断すると、やはり外形標準的なところで、打った政策がどこまで進んだのかというところで見ざるを得ない部分がどうしてもあるわけですけれども、5年とか経った段階で、トータルとしてそういう打った施策の効果がどこまであったのかというのは、改めてペリオディカルに見ていかなきゃいけないと思っております。

【高祖座長】

 ありがとうございます。18年度の評価は実績評価でございますので、ここに書かれているものについて、ここはこう直したらいいということがあれば、そこは直していくと思うんですが、割合に多くの意見がこれからに向けての精度をさらに高めてほしいということがございますので、その辺は少し聞き分けてくださって、今回、取り入れることができるものは取り入れていただくということになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 科学技術に関連いたしまして、他にございますか。よろしゅうございますか。
 特にご発言がなければ、続いて今度は7,8,9、スポーツ・文化・国際交流の方に移りたいと思います。
 では、スポーツの振興、文化による心豊かな社会の実現、それから豊かな国際社会の構築に資する国際交流・協力の推進、これに関わってよろしくお願いいたします。
 じゃ、美山先生、どうぞ。

【美山委員】

 今回の評価を拝見して、非常に苦労の跡が見える。特に文化関係というのは、数値化が大変難しいところでありますので、そこで非常に努力されていることが分かって大変うれしく思いましたが、一方この評価総括表を見ますと、後ろから2枚目が施策目標8の文化関係のところですけれども、Sが大変多くて、この1ページの中に7つある。これはうれしい反面、心配もなくはない。これは施策が非常にうまくいっているということの証である。けれども、ここだけ7つもSがあると、評価基準に少し問題があるんじゃないかと、一般的には、過去の経緯を知らない人は疑問に思ってしまって、8だけちょっと甘いんじゃないかとか、そういうバランスがちょっと気になってしまうところがあります。そこら辺は文化担当の方できちんとやられていることだと信じておりますけれども、Sが多ければ、それだけに外からの目も厳しくなる。となると、S評価が多い指標の、Sが多かった蓋然性とか、指標の客観性とか、それからそこにつけられた説明の論理性といったことが厳しく問われるわけであって、そういうところがどのようになっているのかなということで、今回、時間は短かったですけれども、かなり詳しく拝見させていただきました。
 例えば、8−1−1、施策目標、2枚目のページです。そうすると、そこには、「優れた文化・芸術への支援を継続し云々」、18年度から22年度とありますが、判断基準の1と2に、文章が書いてありまして、「直接的な牽引力となることが期待され、支援を受ける芸術団体への支援数」、判断基準2のところに、「我が国の芸術拠点の形成につながるとして支援を受けた公立文化施設や劇場、博物館・美術館数」ということになって、指標としては支援した数が出てくるわけですけれども、その目標というのは、直接的な牽引力になったかどうか、芸術拠点の形成につながったかどうかというところこそ問われるべきであって、数が本当に、その数に見合った拠点なり期待された牽引力になっているかどうかというのは別のレベルの話なんです。
 そうしますと、そのレベルをどのようにして数値化なりすることができるのだろうかということになって非常に難しいわけです。これは大変悩ましい問題で、こういう事業に若干お手伝いしている立場からしても、何とかそこを皆さんに説得できるように、ここに書くことができないだろうか。
 その1つとして、参考指標があって、ここにもレジャー白書など、他の管轄の財団が取り上げた資料などをリファレンスしているという方向は非常によろしいんじゃないかと思いますし、また他にも文部科学省、あるいは文化庁の指導監督下にある財団で、そのような材料を出しているところ、統計をとっているところがありますから、省内の資料に限らず、そういうものも使えるものは弾力的に使うということがあっていいのではないか。
 それからもう一つは、評価の内製化と言いましょうか、事業そのものの中に、評価に足りるような項目というのを入れておいて、例えば、こういう事業は中期的な形で、3年やってどういう成果があったかということをつくるためには、どういう形でメディアに露出したのかとかいったことを、支援を受けた団体に報告してもらうということもあるだろうし、そういうものを数値化できないかということもあるし、また委員などの仕事を予算化して、実際に現地を調査して、どのような効果があったかということを当該団体、あるいはその地域の関係団体にヒアリングするといったことを入れておいた方が、より説得力のある評価につながるのではないか。数値化できる部分はもちろんあるわけですけれども、数値化できない部分をどの程度説得力のあるものにするか。それがあれば、Sが多くても大変いい結果になって堂々と胸が張れる。今ももちろん張れると思うのですけれども、より説得力のあるものになるのではないかなと感じたわけです。
 こういう波及効果の部分までどのように数値化できることなのかというのを、ぜひとも研究していただければと思いますし、もし何かこういう席での皆さんの議論のお手伝いができることがあればいいなと思っております。

【高祖座長】

 ありがとうございました。では、星野委員、どうぞ。

【星野(敏)委員】

 もしかすると、的違いの意見かもしれませんが、これを見ましたときに文化による心豊かな社会の実現ということで、評価としてはこれでよろしいかと思うので、今後のことについてですけれども、若者が日本の文化を受け継ぐというのは一体どういうことなのかというのを考えた時に、文化による心豊かな社会の実現の評価指標というのは本当にこれでいいのかとちょっと思ったのです。
 私は、大学生を相手にしていますので、学生をフィールドスタディーに連れていったりしますと、恐ろしく日本的な文化を受け継いでいないなという気がするのです。最近それがとても気になっていまして、彼らと話をすると暮らしそのものがまだ分かっていないので、文化財に触れさせる以前の問題だなとすごく感じることがありまして、大学生がそうですから、今の青少年、子供たちはもっとそういう機会が少ないだろうなと、先ほど体験の話でちょっと触れましたが、とにかく日本的な物の見方とか、考え方とか、人々の地域の暮らしというのが全然見えていないので、そういったものを体験させるとか、そういった物事に関する指標のようなものが何かできればいいなと感じましたので、今後の課題になるかもしれませんので、一言意見として言わせていただきました。よろしくお願いします。

【高祖座長】

 ありがとうございました。それでは、ゼッターランド委員、どうぞ。

【ゼッターランド委員】

 今回こういった形で新たに評価票等を作成していただいて大変見やすくなって、皆さんが一生懸命頑張られているのが本当によく伝わってきまして、見る方としても、大変今回は見やすく見させていただきました。
 私は、一応スポーツが専門で、特にこちらの政策目標7が中心になるかとは思うのですけれども、評価の仕方ということで、こちらはAとかBとか、なかなかいい評価をいただいているのではないかと思うんですが、確かに評価の仕方が果たしてどうかということをいろいろ議論する場ではあると思うのですけれども、やはり段々こうやって評価がいい形で出てきたりすると、じゃ、本当にそれは現場とちゃんとリンクしているのかなというのをいつも現場にいて感じるのです。
 1つ、今後につながることかもしれませんけれども、政策目標とか、今いろいろ記載されているのですけれども、やはりスポーツは目に見えるものと、なかなか目に見えないものとがあって、目に見えるものを数値化するのはしやすい部分があると思うのですが、見えない部分をどう評価していくか、数値化していくかも1つの課題になってくると思うのですけれども、よくこれを見てみますと、例えば、政策目標7−2の国際競技力の向上というところで非常に分かりやすく、22年度までにメダル獲得率3.5パーセントを達成すると。これは毎回、いつも言わせていただいているのですが、数字の目標としては非常に分かりやすいことですし、これをまとめてどうやってこの数字を出すかというのもあると思うんですが、やはりこの中で見ていくと、何ていうのでしょう、体力とか、あるいは数字がかなり先行していっている傾向になるのではないかなと思っております。
 もっと端的に言いますと、競技力とか、あるいは学校体育とか、生涯スポーツも含めてなのですけれども、その中に一言も文化という言葉が出てこないことに、ちょっと懸念を覚えるのですけれども、くしくも下にちょうど政策目標8の文化による心豊かな社会の実現というところがあって、そして「我が国固有の伝統文化を継承・発展させることにより、文化による心豊かな社会を実現する」とあるのですが、スポーツをして、体を鍛え、そういった中で、心豊かになることも含まれているのではないかなと思うのです。そういったものをやはり一言盛り込んでいかないと、かなり極論になるかもしれないのですが、じゃ、メダルだけとれば全ていいのかという方向に行ってしまったり、あるいはトップ選手を目指そうと思っている子どもたちが、勝てばいいのか、結果さえ出せばいいのかという考えになる指導者や、そういった次世代の子どもたちなども出てきたりするわけです。
 特に、トップ選手がオリンピックで獲得するメダルも大事なのだけれども、メダルをとることによって、アメリカ人の私が言うのも何ですけれども、やっぱり日本人ここにありということが示されるから、みんな喜びを感じる部分はあると思うのです。それというのは、日本人であることの自信であったり、誇りであったり、あるいはトレーニングを積んでメダルを獲得するまでの背景で、やっぱり日本独特の自分たちの体に合ったものを追求して、トレーニングを積んでいくという選手も非常に多いですから、そういった1つの勝っていくことの中にも伝統をきちんと継承していく。これもやっぱり文化的背景を非常に伴っているものだということを、今度新しく書き直すときが来れば、ぜひともそこに盛り込んでいっていただきたいということが1点です。
 本当は多分3分だと思うんですけれども、すいません、もう一言、つけ加えさせていただくとすれば、メダル獲得率の話で達成できたということがここに1つうたわれているんですが、これが達成された背景が、果たして本当はどこにあったかということも踏まえての評価にならなくてはいけないのじゃないかなと思うのです。現在、私もいろいろ企業スポーツとか、学校スポーツに携わっているのですが、その中で最近のオリンピックでメダルを獲得した選手で、学生はほとんどいないんです。みんな企業の選手ばっかりなのですね。そうすると、文部科学省が、例えば、今年度できますナショナルトレーニングセンターとか、そういったことでスポーツに貢献していく、あるいはいろいろな目標を達成していくというのも、確かに評価としてこの中に入って達成されている部分もあるのですが、でも企業とか、そういったところの協力、あるいは地域はもちろんうたわれているんですが、企業もちょっと忘れられているのではないかなと思うのです。
 本日、冒頭で、星野先生が、1つのことからいろいろな政策とつながっていくとおっしゃったのが非常に印象的だったのですけれども、それは文部科学省の中の政策だけじゃなくて、ほかの省庁との連帯も含まれてこないと、特にこういった国際競技力というのは、なかなかこれ以上の発展を見せることができない部分もあると思いますし、企業協力体制をとっている方としては、それを忘れてもらうと困るというところもあると思いますので、それは経済産業省の管轄なのかもしれませんが、その辺りのこともこの背景の中に盛り込んでいって、評価への加味をしていただけるといいのではないかなと感じた次第でございます。長くなりまして申し分けありませんでした。

【高祖座長】

 どうもありがとうございました。3人の委員からそれぞれとても大切な点をご指摘いただきました。それぞれ関連する文科省の中の課長さんでしょうか。お願いいたします。

【水田文化庁官房政策課企画調整官】

 文化庁でございます。初めに美山委員から、大きく分ければ4点ほどになるかと思いますが、ご指摘いただいたかと思います。
 初めにSが随分多いということでございまして、判断基準に問題があるのではないかということでございます。結果としましてSになっているものですが、判断基準は、基本的には、例えば、前年度に比してとか、過去5年間の平均を比べたものでございますが、果たしてこれが本当によろしいのかどうかにつきましては、また今後とも検討課題とさせていただければと思っております。
 それから、事業の効果として、実際に支援を行った数について評価しているけれども、それが拠点に結びついているかとか、直接的な牽引力となっているのかどうか、そこまでいっていないんじゃないかというご指摘でございまして、本当にそこはもっともなことだと思っておりまして、やはり文化に関する評価につきましては、どうしても事業のアウトプットのレベルにとどまってしまうのが現状でございます。これにつきましては、果たしてそれがどういった効果があったのか、さらにアウトカムの部分につきまして、どんな指標が可能なのかについては、さらに検討していきたいと思っております。
 それから参考指標とか、例えば、レジャー白書を掲載しているわけでございますが、それを始めとしました、文化庁、文科省でとっているもの以外のものも使ってはどうかということでございまして、ご指摘のとおり、現在文化庁の中でも調査研究しておりまして、なるべく世の中にいろいろ出回っている様々なデータについて、果たしてどれが一番信頼に足りるものであって、文化庁としても活用できるのかということを研究しているところでございます。
 それから評価の内製化ということです。事業に当たっても、初めから評価を念頭に置いた中身にしてはどうかということでございます。こちらも、これから中で検討させていただければと思います。
 それから、星野委員の方からも、子どもたちに日本的なものに触れさせることの指標についてもご指摘がございました。私どもとしましても、例えば、「伝統文化こども教室」としまして、土曜日や日曜日に学校とか公民館などで、様々な伝統的な文化を体験させるようなプログラムなどもございますが、そういったものも含めまして、どういった評価が可能なのかということについて今後検討させていただければと思います。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。続いてスポーツの……。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 スポーツ・青少年局でございます。なかなか目に見にくいものの数値化が課題であるというご指摘をいただいたところであります。その中でも、特に文化的な側面についても背景を書き込んでいったらどうかというご指摘でございます。現在、立てられておりますスポーツ振興基本計画の中でも、スポーツというのは単に体にのみ着目しているわけではありませんで、世界共通の文化であるという認識とともに、日本固有の伝統的な武道などの役割といったものについても言及しているところではあるのですが、政策評価の中でそういった側面についてなかなか評価しきれていないというのは、ご指摘のとおりだと思います。
 現在、特に武道の振興などを今後行っていきたいと考えてもおりますところ、政策評価の中でも完全な形ではなかなか提示できにくいと思いますけれども、文化的な側面にも配慮した形での評価を心がけてまいりたいと思っております。
 また、企業や他省庁との連携も必要だというご指摘でございました。実際の施策の中では、他省庁との協力、あるいは大学におけるスポーツの振興との関係、また企業からの支援という意味では、税制面での問題とか、政策面では決して考慮されていないわけではございますけれども、これもやはり政策評価の中では、目に見えた形で出てきていない分野であるというのはご指摘のとおりでございます。実際に評価の中に盛り込めるかどうかは、なお検討が必要だとは思いますけれども、いただいたご意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。今のスポーツの関係のところの中で、やはり文化という面の視点ですね。これは、もし今回の実績評価にも書き込めるのであれば、少し書き込んだらいかがでしょうか。確かに今のご指摘のとおり、スポーツはスポーツの世界に入り込むというか、そこで止まっていますので、その指標がないじゃないかということがあるかもしれませんが、しかし、先ほどゼッターランド委員からご指摘いただいた、そこはかなり重要な点だと思うのです。今回それができるかどうか分かりませんけれども、少しこれは検討してみていただけませんか。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】

 実現可能なところもありますので、検討させていただきたいと思います。

【高祖座長】

 ですから、なるべく今回のものに反映できるのであれば、短くでも結構ですので、それを今回書き込んでおく。そうすれば、次にそれを1つの発展の礎にすぐできますものですから、ぜひ検討をお願いいたします。
 他にございますか。浅井先生、どうぞ。

【浅井(経)委員】

 ここのところではなくて、全体的に関わることなのですけれども、先生方からアウトカムの評価とか、質的な評価ということが出まして、これは一番課題になることではないかと思いますが、1つの方法として、事例を取り上げてはいかがでしょうか。そればかりでは確かに困るのですけれども、本当に誰もが納得できる事例というのは、意外となるほどと思うもので説得力があるます。そういう事例をきちんと出すことも意外と効果があるのではないかと思います。先ほど申し上げるのを忘れたのですが、、最初の政策目標1のところの達成目標1−3−1、下から10行目ぐらいですが、これは基本的生活習慣を身につけさせるための目標で行っているものなのですけれども、ある調査研究の地域ではこういうことが起こりましたということを出しているのですね。
 それで全てかということについては問題がありますが、なるほどという、ある種の説得力があると思いますので、差し当たってはそういう評価の仕方もあるのではないかと思いまして申し上げました。

【高祖座長】

 ありがとうございます。全体に関わることでも結構でございますが。
 藤原委員、今日は全員にということでございますので、感想でも結構ですけれども、一言お願いいたします。

【藤原委員】

 まず、初めの方で私も発言をしようかどうか迷っていた部分なのですけれども、初等中等教育だったと思うのですが。

【高祖座長】

 2ですか。

【藤原委員】

 はい。ここに、日本に居住する外国人学生に対しての日本語教育というのが確かあったと思うのです。今その項目がすぐには出てこないのですけれども、ちょっと教えていただければ。2−1−3かな。

【高祖座長】

 2−1−3でしょうか。

【藤原委員】

 はい、そうです。2−1−3。それから大変以前よりは見やすくなったというご評価ですけれども、今後もし会議資料をおつくりいただけるのであれば、色分けした束ごとに通し番号でページ数をやっていただけるとさらに見やすいかなと思ったのですが、そうしないと、皆様がご発言の時に、こっちパラパラ、あっちパラパラで、なかなかついていけなかったというのが私の感想でございます。
 2−1−3なのですけれども、一応括弧の真ん中辺りのところに「公立学校は、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校を指す」と書いてあるのですけれども、これはおおよそ義務教育の範囲と考えてよろしいのですか。それはプラスアルファがあると思うのですけれども。

【高祖座長】

 それでは、まずそのことについて。

【大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐】

 ご承知のとおり、高等学校は義務教育ではございませんけれども、概ねご指摘のように義務教育のところが中心ということでよろしいかと思います。

【藤原委員】

 それで、私の大変ナイーブな疑問なんですけれども、85パーセントしかそれが受けられていないにもかかわらず、Aというのはどういう評価の仕方かなという気がしたんです。すなわち、日本に合法的に居住する外国人学生が、日本で日本語の教育を受ける権利を有していて、なおかつ、それを行うための基礎学力である日本語が、例えばこれを義務教育内というふうに区分した時に、そこはおおよそ100パーセントが目標になるべきじゃないかなとか、いろいろその辺り、この指標について、そもそものフレームワークが少し分かりづらかったのがございます。
 それからあとは、国際交流とか国際協力の分野での日本語教育というのが別枠で、政策目標9に書いてあるのですけれども、それとの整合性とか、日本で生活している多くの外国人が、学力が十分じゃなくて中途でドロップアウトしているという現状もあるように聞いておりますけれども、そういうような積み残された問題とか、現状に関しての言及が全体の評価の中にはほとんど入っていないというのが、AはAでも構わないのだけれども、しかしここの部分は未達であるとか、ここはまだ達成できていない、あるいはできているという評価だけではなくて、まだ範囲の中にも、範疇の中にも含まれていないとかという問題意識がどこにもないというのはどういうことなのかなと疑問を持ちました。

【高祖座長】

 ありがとうございました。特に今の藤原委員のご発言について。どうぞ。

【大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐】

 初等中等教育局でございます。ご指摘の点を担当課にもよく伝えておきたいと思いますが、判断基準といたしまして、ここの項目について1番のところに書かせていただいておりますように、達成年度を一応21年度とさせていただいておりますけれども、そこで一応Sで100パーセントという形になることが目標で、今回はAは85パーセント以上ということで設定して、やっていただいているところでございます。このようなご指摘があったことは担当課の方によく伝えて、今後の評価のあり方の時の参考にさせていただければと思っております。

【高祖座長】

 ですから、判断基準で設定した目標が達成できたかどうかという形で、こういうふうになっているということですよね。問題を無視しているわけじゃなくて、そこに掲げた目標を達成できたという意味でAをつけていると。今の2番目のご指摘の方は、達成できていない、ない部分について、これからどういう課題を設定していくとか、それに対してどういうふうにこれに取り組んでいこうとしているのかという現状の説明というか、分析といいますか、その辺も書いてほしいという意見だと思うのですが、それをお伝えいただけますね。
 今の件につきましては、私も全体を見て思うところです。それぞれ掲げた指標についてここまで達成した、これはよくできると思うのです。ただ、先ほどSのケースで言いましたけれども、そこが到達できたということでその施策目標が終わるのか、さらにまたそれを深めるか、広げるか、あるいはその視点を変えるかというようなことがあり得ると思うのですね。ですから、掲げた指標が到達できたとしても残っている課題があるだろうと。残っている課題の中には、日本語はどうしても課題というと、足りなかったことの課題になるのですが、よくできているじゃないかという意味の課題もあると思うのです。ここはできているからもっと深めていったらいいとか、それから、できていないところもあるでしょう。それから、ちょっと視点を変えなくてはいけないというところもあるかもしれない。ですから、こういうふうに達成しましたということと同時に、達成したと同時に見えてくるこれからの課題というか、問題点というか、それもやはり少し書いていく。その書かれたものが、この次の年への方針なり、こういうことでこれをやっていくんだという材料になっていくというか、その辺がPDCAのサイクルじゃないかという気がするんです。
 それで、全体として、PとDのところまではあるのですが、まだチェックというCのところの書き方がもう少しかなという印象をやはり私も持っております。
 ぜひ、今日いろいろな委員の方々がご指摘くださいました指標のとり方であるとか、質をもっと上げていくとか、そういうこととこれは絡んでいきますので、また検討といいますか、その辺りの調査もしていっていただければと願っております。
 今、予定された時間のちょうど5時になりました。どなたも札が挙がっていませんので……、挙がってる?それでは、手短に田中委員、千野委員、それから河野委員、3人からご発言を。

【田中委員】

 手短に申し上げます。参考資料にありますように、骨太の方針で予算・決算書見直しと、あと予算におけるPDCAの強化ということで、評価と予算との連動ということが意図されていますが、今まで折に触れていろいろな説明があったかと思うのですが、改めて評価と予算・決算をどういう形でこれから連動させていくのかという、文科省さんのお立場というか、取り組みの考え方をお聞かせいただきたいということと、関連しまして、やはり文科省のマネジメントの中で、評価はどういう形で動いているかというのが、評価結果が反映されていますというところまでは分かるのですけれども、もう少し具体的に分かるといいなといつも思っておりまして、今後変わっていくところもあると思うのですが、それも含めまして、そういったものを一度ドキュメントとかにまとめていただきたいというのがお願いでございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。では千野委員、どうぞ。

【千野委員】

 ちょっとつぶやきみたいなもので短くいうのも難しいことなのですけれども、政策目標8の文化による、これを見ながらわいてきた疑問なのですけれども、そもそも文化とは何ということがここから……。今は世代によっても文化に対するとらえ方が変わってきていると思うのです。かつては、私たちぐらいの世代は大衆文化という言い方をしましたけれども、今やそういう言い方はちょっと時代がかってきて、ポップカルチャーとかそういう言い方になってきて、それが果たして文科省の範囲になることかどうかわからないのですけれども、そういう変わりつつある文化の中で、達成目標とか指標というのを、今日に近づけて文化の施策をするのはどういうふうにしたら可能なのか、ここからはその辺は読み取れないなということを感じました。例えば、ページにAだとか、参考資料の中で全部「テレビは除く。」となっていますね。しかし、テレビを除いて今の文化というものが考えられるのかなということです。

【高祖座長】

 ありがとうございました。じゃ、河野委員、どうぞ。

【河野委員】

 すいません、わがままを申し分けありません。先ほど高祖先生がおっしゃったことに啓発されて一言で、全体像の中で、目標と各論での課題というのは大賛成なのですが、先ほども、事前の時にも言い漏らしてしまったのです。キャリア教育について、非常にご熱心にいろいろ発信していただいているのですけれども、私は、そういう目で見た上でAであって、これはもうこのままと思っています。ただ、一国民の視点からすると、始まったばかりでAなの?というようなところがあるのは否めない気がいたしまして、まだどの学校でも試行錯誤でばたばたしているのが国民からは見えているので、ここのギャップをどうするかというところで、課題という言葉を言っていただいたので、今後の課題としてこういうふうに動いているけれどもというようなところがもし出ると、あ、それって、今の段階でのAなのみたいな、その辺りの説得性、納得性を持ったペーパーになればよろしいのではないかと思いました。
 それに加えて、文科省そのものの存在が、私もあえて言うと、これから広報的なこと、啓発的なことをマスメディアも通してうまく使っていかないと、直接、手も足も出せないのではないですか。でも一般から見ると、文科省さんというと、いろいろ近く勝手に感じているものですから、直接は先生を通したり、いろいろな機関を通したりするかもしれないけれども、もっとうまくテレビやネットを使うとか、それこそイノベーションしていかないといけない部分もあって、それをすると全体がぐっと上がってくるような気がしましたので、一言最後に申し添えさせていただきました。

【高祖座長】

 ありがとうございました。それぞれ貴重なご意見でございますが、一言だけ、予算・決算と評価の連動、そこに関わることについて、ちょっとご発言をお願いいたします。

【木村評価室長】

 田中先生からご質問がございました「基本方針2007」との関係で、予算・決算と政策評価の連携を行うということでございます。参考資料のところにも書かれてございますように、政策ごとに予算と決算を結びつけて、予算とその成果を評価できるように、そういう意味で、予算と決算書の表示科目の単位が項、あるいは事項、もちろんその下の目とか、目細とかもございますが、そういった表示科目の単位と政策評価の単位、今ここでいうところの政策目標の1から9までとか、あるいは施策目標の1−1とか、幾つかございます。それらが事項に該当するものという形で整理しようと省内で調整し、なおかつ、予算書の作成ということであれば財務省の権限でもございますので、財務省とも調整しながら、それぞれの政策目標、例えば1とか2にどういう項が対応するのか、あるいは施策目標の例えば1−1とか、1−2に対応する事項としてどういうものを置くのかということを調整しているところでございまして、「基本方針2007」に書いてありますように、20年度の予算から実施するということでございますので、そこに向けた作業を、まさしく今やっているところでございます。8月末には概算要求という形で行われますので、そういったところの趣旨に向かって、今は作業を進めている、そういうオン・ゴーイングの状態であるということでございます。
 あともう一点だけ、先生の方から、予算の結果の反映状況ということでございますが、これは例年3月に、今年も3月にございましたけれども、評価結果の反映状況ということで、一応冊子をつくって、予算や、あるいは事業改善とか、制度改善とか、機構定員とか、そういったものにどう反映しているのかというペーパーをつくっているのでございますが、これもより一層見やすいようなものになるように、どういうふうに本当に反映しているのかと分かりやすくなるようなドキュメントに改善していきたいと思ってございます。以上です。

【高祖座長】

 ありがとうございました。

【藤原委員】

 ちょっと質問があるのですけれども、よろしいですか。この委員会で議論されたことは、施策目標が妥当であったかどうかということに対してはフィードバックができる会議なのでしょうか。どうなのでしょうか。

【高祖座長】

 これは、それでよろしいのですね。(事務局へ同意を示す。)

【藤原委員】

 はい。8月の初旬に概算要求なさっていることがですね。

【高祖座長】

 ええ、それはもちろん入ります。

【藤原委員】

 分かりました。それで、あと1つだけ、1分ぐらいで。1,2,3あたりのところだったのですけれども、学力を考えた時に、先生の質ということがいろいろ書かれておりましたが、私は、それ以上に教材の質が、その他、様々な世間で出回っている全てのコンテンツに比べて、大変著しく開発が遅れていると思うのです。要するに、24時間の時間の奪い合いということで考えてみると、教育コンテンツの開発力と、それから、それと必ずしも競合するとは申しませんけれども、ある意味、時間という意味では競合しているエンターテインメント系のコンテンツの開発にかけられる資力といいますか、お金が多分2けた、あるいは3けたぐらい違っている。一方で、ものすごいエネルギーとタレントとお金が、ある種のコンテンツの開発に向けられているにもかかわらず、教育界は今に教科書と、先生方が粛々とおつくりになる個々の教材と、それから、わずかなインターネットや通信テクノロジーを介して先生方の間で共有できるような教材――これは教科書を除いてですけれども――を資源としているというのは、大変貧しい気がするのです。
 ですから、どのように表現していいか分からないのですが、そういう項目がまったく見られなくて、先生をよくすればいいとか、先生が教える環境とか、あるいは過程のプロセスでの云々というのはたくさんあるのですが、そもそも武器もなく戦えというような感じもしなくはないので、教材という言葉がいいのかどうか分からないのですけれども、教育コンテンツに、明らかに質的にも、量的にも、我々は力を傾けてこなかったという反省も、この目標の中に含まれていないので、なおさらそのように思いました。

【高祖座長】

 ありがとうございました。今ご発言なさりかけましたように、今回は実績の評価ですから、一応これはできたものについてです。もし事業評価に向けて今のようなものを取り込むことができるのであればやっていただくということになるかと思いますので、それでよろしいでしょうか。
 時間が10分過ぎましたが、あと2、3分いただきたいと思います。多くの貴重なご意見をほんとうにありがとうございました。だんだん煮詰まってくると、あれも言いたい、これも言いたいと発言が出てきまして時間がなくなってまいります。そういう貴重なお考え、ご意見等につきましては、この会議が終わった後でも、書面でも口頭でも結構でございますので、どうぞ事務局の方に、ご遠慮なくご教示賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今日いただきましたご意見、また、これからいただくご意見を踏まえて、文部科学省におきまして、それぞれの各担当部局が引き続き実績評価書の取りまとめを、改善できるのは改善していくということで、いいものにしてつくっていく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは事務局から、政策評価の今後の日程のことについてご紹介いただけますか。資料2ですね。お願いいたします。

【木村評価室長】

 それでは手短にご説明申し上げます。資料2でございます。本日ご議論いただきました実績評価書につきまして、ご意見等を踏まえた必要な修正をさせていただきまして、8月上旬開催予定と考えてございます有識者会議で、改めてご確認、ご議論いただいた上で、8月末には政策評価会議において決定し、公表したいと考えているところでございます。
 また、現在、新規の拡充の事業評価につきましても、20年度の概算要求に向けてということで、省内で今取りまとめるべく作業を進めようとしているところでございますので、こちらの方の案につきましても、7月下旬ごろを考えてございます。委員の先生方に送付させていただきまして、あらかじめご意見をいただいた上で、これも8月上旬の有識者会議でご議論いただいて、必要な修正等々を行った上で、実績評価と同様に8月末には公表したいというスケジュールで考えているところでございます。以上でございます。

【高祖座長】

 ありがとうございました。今説明がありましたように、本日は実績評価書(案)を中心にご議論いただきました。これから事業評価に向けて、また別の評価が始まりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 文部科学省の政策評価の客観性、実効性を高めるために、私どものこの有識者会議におきましても、積極的に助言といいますか、意見を出していきたいと思っておりますので、引き続き、委員の皆様方におかれましては、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 ちょっと時間を過ぎてしまいまして、すいません。私の不手際でございまして、お許しいただきたいと思います。
 これをもちまして、本日の会議を終了いたします。ご協力ありがとうございました。

―了―

(大臣官房局政策課)