学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議(第5回) 議事録

1.日時

平成26年4月21日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 学事暦の多様化とギャップタームの推進方策について
  2. 討議

4.出席者

委員

浅原利正委員、小島孝夫委員、齊藤斗志二委員、島村元紹委員、鈴木典比古座長、砂田薫委員、長谷山彰委員、萩原なつ子委員、濱田純一委員、藤沢久美委員、船橋力委員、宮城治男委員、落合一泰委員

文部科学省

下村文部科学大臣、上野文部科学大臣政務官、山中事務次官、板東文部科学審議官、德久総括審議官、吉田高等教育局長、中岡高等教育局審議官、里見大学振興課長、渡辺学生・留学生課長、小林専門教育課企画官、有賀国際企画室長、猪股大学改革推進室長、西青少年課長補佐

オブザーバー

小林洋司オブザーバー

5.議事録

【鈴木座長】  それでは、所定の時刻になりましたので、第5回学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議を開催いたします。
本日は御多用の中、御出席いただきましてまことにありがとうございます。
前回、骨子案につきまして御審議いただきましたけれども、それを踏まえまして、事務局からの「意見のまとめ(案)」を御用意いただきました。今回はこちらについて御審議を頂きたいと思っております。また、この5回目の会合、これが最後の会合になりますように、本日おまとめを頂ければというふうに思っております。
本日は、下村博文文部科学大臣に御出席を頂いておりますけれども、大臣は御公務のため途中で退席されると伺っております。また、上野通子文部科学大臣政務官にも御出席いただいております。
初めに、下村博文文部科学大臣から御挨拶をお願いいたします。
【下村大臣】  皆さん、おはようございます。朝早くから文部科学省にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。これまで4回の会議において、学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議、活発に御議論いただきましたことを、感謝申し上げたいと思います。
きょう、朝7時半から、日本のトップレベルの大学の学長、それから経済界の方々と、「日本の未来を考える会」という勉強会がございまして、その場においてもこれまでの、学事暦の多様化とギャップタームを活用した学外学修プログラムの推進ということで、御議論の取りまとめの、まだ途中ではありますが、紹介をさせていただきました。また、きのう、おとといと、ベトナムのフエで行われたASEANプラス3の文化大臣会合に出席をいたしまして、この中で、プラス3というのは中国、そして韓国、日本でありますが、今回6回目でありますけれども、初めて日本の文部科学大臣として出席をしたということもありまして、是非、日・ASEAN文化大臣会合を立ち上げたいということをお願いして、第1回目の会合を開いたところでございます。
ASEAN諸国から日本に対して大変な期待感が表明をされました。これからASEAN10か国の中での合計人口、6億人になりますけれども、東アジアにおける安全保障の部分や経済的な部分もありますが、それを担保するためには文化交流、そして教育の部分、科学技術もそうでありますが、進めていくということは大変重要なことであるというふうに思いますし、安倍内閣においては唯一、日中韓関係閣僚会議を昨年9月に開催をして、今回も中国からは蔡文化部長、日本でいう文化大臣ですが、お会いいたしましたが、いろいろと政治的な課題はあるけれども、文化の部分から今後とも日中関係については是非交流を推進していこうという相互の確認をしたところでもございます。
そういう意味で、これから2020年に向けて、我が国の留学生政策「トビタテ!留学JAPAN」も、民間からも相当な協力を頂いて、ここにいらっしゃるメンバーも何人か御協力いただいているわけでありますが、官民ファンド等によって、倍増しようということを促進していく。そのために、23日からオバマ大統領が来られますが、安倍総理との首脳会談の中でも、日米における留学生の、倍増といってもピークから比べるともう今は4割ぐらいしか、実際、日本の、特に学生はアメリカに留学していないという状況がございます。倍増してもピークのときにはまだ追い付かないという状況でありますが、是非これを進めていくために、私も来週はワシントンで、この留学問題等を中心にいろいろな関係者にお会いしてくる予定でもございます。
そして、留学だけでなく、是非このギャップタームを活用することによって、日本の若い人たちに改めて、学問に対して、あるいは社会に対して興味、関心を持ってもらうことによって、より学校における勉強の動機付けを付けてもらうということにおいては大変重要なことであるというふうに思いますし、もちろんこれは留学だけでなく、国内においていろいろなギャップタームを活用した課題に取り組むという姿勢が必要だというふうに思います。
日本は、25歳以上の大学における学修率は2%でありますが、諸外国は20%近いところがかなりある中で、是非これから社会人の学び直しとか、それから女性の活用等が必要になってくると。日本の経済成長のために、資するためにも、人材の付加価値をさらに高めながら、社会全体が学びの場を作っていくという意味で、しかし、できるだけ若いうちに社会体験をしながら、さらに学問に対する動機付けを図るという意味では、このギャップタームというのは大変重要なことであるというふうに思いますし、既に大学でも取り組んでいるところもありますし、また、きょうも参加した企業の方々は大変好意的にとっておられましたが、これが幾つかの大学の取組ということでなく、国全体としてどう支援をしていくかと、組織的に、システム的に作っていくかということも重要だというふうに思いますし、また企業サイドにおいても、このギャップタームを活用した学生を是非、就職等において、不利ではなくて、逆に有利な、そういう設定を考えてもらうと。実際それだけの人材が当然育成されているというふうにも思いますし、そういう意味で、この学事暦の多様化とギャップタームというのは、国際社会におけるグローバル化社会に対応した我が国のシステムと同時に、一人一人の意欲、志、能力を高めていくためのチャンス、可能性としても大変重要なことではないかというふうに思います。
今回は、本検討会議としてこれまでの意見をまとめていただくということで、第5回が予定されているというふうに聞いておりますが、文部科学省としては、各界を代表する皆様の御提言をしっかりと実行に移せるよう、個々の大学に任せるということではなく、国としても総力を挙げて、意欲ある学生や大学を支援し、教育再生の加速度を高めていきたいと考えております。
本日も活発な御議論をお願い申し上げまして、きょうはいろいろな公務が重なっておりますので、冒頭挨拶で失礼させていただきますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。
【鈴木座長】  大臣、どうもありがとうございました。
(下村大臣退席)
【鈴木座長】  それでは、議題に入ります。
まず事務局から、「意見のまとめ(案)」について御説明をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  大学改革推進室長の猪股でございます。お手元の「資料1」をごらんいただきたいと思います。「意見のまとめ(案)」ということで、これまで4回の委員の皆様方の意見を、先日御議論いただきました骨子案を基に作成いたしました。
まず、「意見のまとめ(案)」の題名といたしましては、「学事暦の多様化とギャップイヤーを活用した学外学修プログラムの推進に向けて」という表題を付けてございますが、この点についても御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
1枚おめくりいただきまして、目次がございます。この意見のまとめは2つの大きな構成に分かれておりまして、前半が意見の文書化したもの、後半が資料編ということで、国内の取組事例、先進的な取組事例13ケースと、それから、前回御紹介いたしました全国の大学への全国調査の結果、そして関連するデータなどを、取り組もうと思っていらっしゃる大学に参考になるデータということで、かなり手厚く、分厚いものに仕上がってございます。
それでは、1枚おめくりいただいて、本文の説明に入らせていただきます。
まず1ページ目でございます。「はじめに」というところで、最初の2つのパラグラフは、大学を取り巻く環境を踏まえて、また諸外国では海外へ派遣する留学生が増えているという状況も踏まえて、我が国の高等教育に対する期待をここでまとめてございます。
次の3つ目の丸は、学びの動機付けの必要性ということで、この検討会議においても多くの委員から、この点については大変活発な御議論を頂いたわけでございます。何のために学ぶのかという動機付けが今の学生は不足しているのではないかという問題意識や、学修態度が受け身であるという指摘、主体的に考えて表現していく力やグローバルな視点、また自立心や競争意欲が不十分で弱いというような、様々な御指摘を頂いたところをここでまとめてございます。
そういった課題を踏まえて、何のために学ぶのかというところにつきましては、まず学生自身が見付けていくためには、できるだけ早いタイミングで社会、世界の現実の中に飛び込んで、異なる価値観にぶつかる社会体験を通じて心身ともに鍛えて、自分の殻を幾度も脱皮することによって主体的な学びのスイッチを入れていく過程が重要となるというふうにまとめてございます。ここは、座長をはじめ宮城委員など、多くの委員の方々のフレーズを1つの文章にまとめてございます。
次に、留学などの学外学修プログラムの意義付けと、その課題でございます。最後の丸でございますけれども、ここでは、留学、インターンシップやボランティアなどの社会体験活動は、学ぶ動機を明確にして学生の主体的な学びを促す学外学修プログラムの1つということで、これは平成24年の中央教育審議会が求める「大学教育の質的転換」をより加速するものだという意義付けを、ここでさせていただきました。
これらの社会体験活動は、委員の皆様方から様々な効果があるというふうに御指摘いただきましたので、ここで一文にまとめております。企画力、行動力、忍耐力、コミュニケーション能力、国際的な視野・感覚、勤労観などの基礎的・汎用的能力を培う効果があるだろうということでございます。特に1か月以上のまとまった期間に集中して行われる活動は、数日間のものよりもより高い教育効果が期待できるとまとめてございます。
もう1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。上2つの丸のパラグラフは、我が国において、この留学、インターンシップ、ボランティアなどの社会体験活動が諸外国に比べて著しく不十分ではないかということを、課題として指摘いたしました。
まず、留学の数につきましても、諸外国では増やしているにもかかわらず、我が国では平成16年の8万3,000人をピークに、平成23年には3割も減少しているということ。またインターンシップにつきましても、前回、宮城委員から御発表いただきましたように、体験する学生の比率はものすごく低く、また1か月以上の中長期のインターンシップ、海外インターンシップにいたっては非常に少ない数であると。また、我が国では、イギリスなどのようにギャップイヤーというような習慣もないということで、諸外国に比べて我が国は、若者たちが日常生活を飛び出して様々な経験を積む機会が、量的にも質的にも不十分ではないかと危惧されるというふうにまとめてございます。
3つ目の丸は、本検討会議が始まった背景でございますが、様々な問題意識の下、教育再生実行会議の第三次提言、また日本再興戦略、これは昨年6月に閣議決定された、いわゆる成長戦略において、秋入学など学事暦の柔軟化に伴うギャップイヤーを活用した、留学などの体験活動の支援を抜本的に強化する方針が示されたということを踏まえて、本検討会議が、海外のギャップイヤーの状況、また国内の先行事例の情報などを収集しながら、日本にふさわしい環境整備の在り方について審議を重ねてきたということを、「はじめに」ということでまとめてございます。
続きまして、2ポツの学事暦の多様化と日本のギャップイヤーの推進方策の在り方でございます。
ここでは、(1)で、まず学事暦の多様化の状況を分析しております。最初の丸では、諸外国のギャップイヤーを簡潔にまとめてございます。ここは、砂田委員から2回にわたり様々な事例を御紹介いただきましたので、そのイギリスの定義を最初に掲げてございます。海外では、一部の学生、これは例えばイギリスでは全学生の6%が、自主的に、一定期間、3か月から24か月の間、留学やインターンシップなどの体験活動をするギャップイヤーという仕組みがあると。3ページ目に移りまして、このギャップイヤーの時期でございますが、入学を遅らせる場合のみならず、在学中に休学して行う場合、卒業後、また就職前に取得する場合など、様々な多様な時期に行われているということ。また、諸外国においても、ギャップイヤーを経験した学生は、経験していない学生に比べてモチベーションや企画力、忍耐力、適応能力、時間管理能力がいずれも高いなどの報告が上がっているということを紹介しております。
次の丸では、ギャップイヤーにおける活動の形態は様々ではございますけれども、大きく大学の関与の度合いということで、2つに分類をしております。まず1として、イギリスのように大学は関与せずに、学生が自主的に資金調達や留学、インターンシップ等の企画をする、これは勝手に付けたのですけれども、「自主性重視型」と、2として、アメリカなどの一部の大学のように、学生の自主性は尊重しつつも大学が活動プログラムなどの提供を行う「大学支援型」の、2つの形態が見られるということで、諸外国の事例を見てみると、ギャップイヤーといっても一律に決まっているものではなく、各国の慣習や大学側のニーズに合った形で、多様な時期、活動内容、多様な支援策があると言えると分析いたしました。
続きまして後半は、我が国の学事暦に関する制度の弾力化でございます。ここはちょっとはしょらせていただきますけれども、平成19年の教育再生会議の第二次報告に始まりまして、9月入学の促進や日本版ギャップイヤーの導入が提言されたことを受け、平成19年には学校教育法施行規則が改正されまして、学年の始まる時期、終わる時期は、学長が自由に定めることができるように規定されたわけでございます。また、平成24年の中央教育審議会答申を踏まえて、大学設置基準が改正され、週1コマ15週の講義を中心とした従来型の授業期間だけではなく、必要に応じて週2コマ8週など、より弾力的な授業期間の設定もできるように制度的に緩和されてございます。また、次の丸では、休学して留学した学生についても、他の大学で修得した単位を在籍大学の単位として認定は可能であることが平成24年に明確化されたわけでございます。
1枚おめくりいただきまして、最初の丸は、このように近年、学事暦に関する制度の弾力化が進んだことによって、学長は学年の始まりや学期の長さを自由に設定することができ、秋入学や4学期制などの多様な学事暦を導入しやすい状況になってまいりました。それを踏まえて、国際化を推進する大学においては、学生や教員の国際交流が円滑になるように学事暦の工夫を進めていくことが期待されるとしております。
次の2つ目、3つ目の丸でございます。ここでは、秋入学の試みと課題についてまとめてございます。秋入学につきましては、現在でも制度上は可能ではありますけれども、実際の入学者数で見ますと約2,000人、これは全体の入学者数の約0.3%と、まだまだ少なく、留学生がそのうち約7割を占めているという状況にございます。
次の丸では、東京大学の方から、第1回目にプレゼンテーションを濱田総長からしていただきましたけれども、我が国の大学全体が秋入学に移行しようとした場合に、様々な課題があると指摘いただきました。まず1つ目が、高等学校の卒業時期を3月のままにして、大学だけが全面的に秋入学に移行するとなると、大学入学までの約5か月間の空白期間が生じてしまうわけでございますが、その期間中、若者が無為に過ごしてしまうおそれとか、家計負担が増してしまうというような懸念が指摘されてございます。また、卒業の時期も夏となりますので、3月に卒業することを想定している我が国の就職の慣行や、司法試験、医師国家試験をはじめとする公的な資格試験の仕組みに合わないというような様々な課題が指摘されておりました。
続きまして、最後の丸は4学期制の試みでございます。第4回目に早稲田大学の方から、また第1回目には今後導入する東京大学の濱田総長の方から4学期制についても御紹介を頂きました。我が国の大学の多くは2学期制をとっておりますけれども、平成25年度から4学期制などの弾力的な学事暦を定めることが可能になってございます。メリットとしては、そこに1から3に掲げましたようなメリットがあるのではないかという指摘がございました。
続きまして、5ページ目になります。(2)でギャップイヤーの試みと今後の方向性について、ここでは4つのパラグラフにまとめさせていただきました。初めの丸では、既に幾つかの大学では、入学前、また直後に、数か月から1年間、自主的な体験活動の期間を設けて学生を支援する日本版のギャップイヤーの試みが始まっていると。これは東京大学の「FLY Program」や、この会議でも学生に来ていただいて発表いただきました国際教養大学の「ギャップイヤー入試」などを念頭に置いております。またこのほかにも、大学が全く関与しない形で、学生が自主的に休学して留学するというような学生もいるとは考えられますが、かなり少数ではないかと想像されるわけでございます。
次に、2つ目の丸でございます。我が国において、イギリスやアメリカに見られるような、入学前また直後のギャップイヤーがなかなか広がらない背景をここで紹介させていただきました。これは大学だけが秋入学に全面的に移行した場合の課題とほぼ同一なものを紹介させていただきました。ギャップイヤー期間中の受け皿不足、活動資金がないというような問題ですとか、就職で評価されないおそれを抱いているというようなことも挙げてございます。
3つ目の丸でございます。ここでは、イギリスでギャップイヤーが普及したその背景について分析をいたしました。委員の方からも、これは船橋委員でございましたけれども、イギリスでギャップイヤーが普及していったのは、やはり個々人の取組の成果が長年にわたって積み重ねられ、社会において当たり前のこととして認められていったからであるということでございます。また別の委員からは、前回、イギリスでは移民を多く受け入れて、GDPの約半分が対外投資の国であって、留学がそもそも受け入れられやすい、当たり前の経済社会構造にある。一方で日本はそうではない環境であるという御指摘を頂きました。それについても御紹介させていただいております。
こういったことを踏まえまして、次の4つ目の丸では、我が国においてギャップイヤーを取り入れていくためには、一律に決まった形で導入するのではなく、日本の学生の成熟度や保護者の意識、各大学の教育方針の特色に応じて、必要と考える大学が自主的に導入を検討し、実績を積み重ねて多様なロールモデルを確立していくことという地道な努力が期待されると閉じてございます。
続きまして3ポツ目では、大学によるギャップイヤープログラムの推進についてでございます。最初の丸では、ギャップイヤーを取得できるような機会を増やしていくためには、イギリスのように学生が全て自主的に行う自主性重視型のギャップイヤーだけでは、様々な制約が我が国にはございますので、経験できる学生数の拡大は容易ではないというふうにまとめております。こういったことから、各大学が自校にとっての教育的意義を判断した上で、プログラムの提供の支援を行う大学支援型のギャップイヤープログラムを自主的に導入していくことが期待されるという方針を明確にいたしました。
1枚おめくりいただいて、6ページ目でございます。ギャップイヤープログラムを導入する大学においてはどのような留意点があるのかということを、本検討会議の中で委員の方々から様々な点について御指摘を頂きました。ですので、ここで大きく枠で囲って列挙しております。
まず、プログラム名でございます。プログラム名は基本的に大学が自由に定めるものでございますが、国際通用性の高いのはギャップイヤーと。ただし、ギャップタームですとか、齊藤委員から御指摘いただきましたチャレンジイヤーといったような独自の呼称も考えられるということを紹介してございます。
続きまして時期でございますが、奨学金受給資格などの観点から、高校卒業後は入学させて学籍を与えるという形が期待されるのではないかという御指摘を多々頂きました。次には、時期は入学直後、在学中、卒業前など多様な時期が考えられますけれども、1か月以上のまとまった期間実施することが考えられるということ。また、理系学生の参加を促進する観点から、夏季休業や入学後の早い段階に実施していくことも考えられるのではないかということでございます。また、学生が留学、インターンシップなどの社会体験活動に参加しやすくなるように、先ほど御紹介しましたように学事暦を柔軟に見直していただきまして、長期の夏季休業期間の設定や秋入学、また4学期制の導入拡大を図っていくことが必要ではないかということも書いてございます。
続きまして、活動内容でございます。活動内容としては様々なものが考えられますが、留学、インターンシップ、ボランティア、フィールドワーク、小中学校の教員補助、また青年海外協力隊など多様な活動が考えられると紹介しております。また、次のポツで、大学の関与の度合いによって、この3段階ぐらいが考えられるのではないかと思いますけれども、この3の学生が完全に自主的に行う活動についても、大学が教育上有益だと認めた学修があれば、事後的に単位を与えるということも考えられるのではないかということでございます。
4つ目のポツでございます。プログラム内容につきましては、これは産業界側の委員から再三御指摘がございました。お仕着せではなくて、学生が自主的に考えて行動するような企画が効果的であるということも明記してございます。また、次のポツでございますが、受け入れ企業などに関連した専門知識やマナーの習得など、これは例示でございますけれども、事前の指導ですとか、終わった後に発表、ディスカッションの機会を設けるなどの事後指導を行うことも有効ではないかということで書かせていただいております。
続いて、7ページ目でございます。活動内容の続きでございますが、NPO法人の団体が提供するプログラムも非常に多々有益なものがあるという委員の御発言がございましたので、こういったプログラムの活用も大いに考えられるのではないかということ。続いて、学生の参加を促進していく観点からは、プログラムの教育的意義や成果について、学生、保護者に理解を促進していくような取組ももちろんですが、学内の他の教員についても理解を促進していくことが重要ではないかということも書かせていただきました。
続きまして、活動資金でございます。教育的な意義の観点からは、学生がみずからアルバイトで資金稼ぎをするということも教育的に一定の意義があるのではないかという御指摘もございました。ですので、それと、国や大学から支給される奨学金で支援するという形で、マッチング方式が望ましいのではないかという御発言がございましたので、ここに挙げてございます。
最後に、安全確保と危機管理ということで、保険の加入やJICAなどの経験豊富な団体との連携についても指摘をさせていただきました。
最後、4ポツでございます。社会の意識改革と国や産業界による支援でございます。
(1)では、社会や企業におけるギャップイヤーへの理解・支援の促進でございます。まず最初の丸で、これは特に第1回目にかなり御意見を頂きましたところでございますが、学生たちの中には、就職が遅れて不利になるのではないかというようなおそれを持ってしまっており、留年を伴うような長期の留学、インターンシップなどのギャップイヤープログラムへの参加を躊躇している者もいるのではないかと思われると。一方、本検討会議において産業界側の委員からは、1、2年の卒業の後れは問題ではなくて、むしろギャップイヤーを取得して留学などの有意義な体験を積んでいる場合には積極的に評価するという意向が示されたということを、ここでしっかりと明示させていただきました。このような両者の意識のずれを埋めるための取組が必要であることも指摘してございます。
次の2つの丸は、船橋委員の方から、やはり留年や休学に対して社会的にはネガティブなイメージがあるので、これを社会的に評価される、積極的なポジティブなイメージに転換していくことが重要ではないかという指摘を頂きましたので、ここでまとめてございます。
最後の丸は、このため、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」ということで、本検討会議におきましても委員に御協力いただいておりますけれども、若者の海外留学への機運醸成、また社会全体で日本人の海外留学を促進していくという観点から、民間からの留学資金の提供などの積極的な支援が行われることを期待したいということを明記してございます。
1枚おめくりください。8ページ目は、ギャップイヤープログラムの評価を行う民間団体の必要性でございます。学生や保護者の理解を促進するためにも、産業界側がギャップイヤーの経験を積極的に評価していただくことはもちろん重要なわけでございますが、ではギャップイヤーを取得すると就職に有利になるということで、安易に取り組む学生が増えてしまうと、それはギャップイヤーの本来の趣旨に反するのではないかという、これは委員の意見をまとめてございます。そういった観点からいたしましても、学生が参加しているギャップイヤープログラムがお仕着せではなくて、学生が自主的に取り組む内容になっているのかなど、プログラムの質を見極められるように、アメリカ、イギリスのようにプログラムの基準を作成し、質を認定していくような民間団体の設立が望まれるということを指摘しております。ここは砂田委員からも御指摘を頂いた点でございます。
最後に、(2)で国による支援策でございます。前回御紹介した全国調査によりますと、入学前また直後にギャップイヤープログラムを実施している大学は極めて少ないという状況、またそれ以外の時期に1か月以上のプログラムを実施している大学においても、プログラムを開発して運営する人材の不足や資金の不足、また学生が参加費を負担できないといったような課題が指摘されておりました。これらを踏まえまして、国に対しては、世界にチャレンジする意欲を持った学生がギャップイヤープログラムを経験できるような環境を作っていくという目標を掲げて、次の3つの支援を戦略的にする必要があるのではないかというふうにまとめております。
まず1では、学生個人に対して、海外留学のための支援の充実を図ること。2は、自主的に取り組もうとする大学に対して、学生の国内活動費やプログラム開発運営を担う専門人材の配置など、学外学修プログラムを運営するための体制整備に関する財政的な支援を行うこと。3としては、大学の先進的な取組を把握し、学生の学修や就職にどのような変化があったのかを分析し、情報発信をすることでございます。
なお、2の大学に対する財政的な支援に当たっては、4つの観点を積極的に評価することが望ましいということも紹介しております。まず、より多くの学生に機会を与えているプログラムかどうか。2点目には、教育的効果の高い入学前又は入学直後の時期に実施しているプログラムかどうか。3点目には、学生の主体性を重視した先駆的なプログラムかどうか。4点目には、事前又は事後の指導をしっかりと組み入れたプログラムかどうか、こういったところを評価すべきであるというふうに指摘をしてございます。
続きまして9ページ目、最後のページでございます。ここの前半につきましては、今後の検討課題ということでまとめております。修業年限や資格制度についての検討課題でございます。
最初の丸でございますが、我が国おいては、9月に入学した場合は、原則として4年間の修業年限を課しておりますので、8月に卒業するという制度になってございますけれども、9月入学の学事暦の国々では、夏休み期間前の6月に卒業するのが一般的だということでございます。こういった違いが、国際流動性や卒業後の就職、職業移行などの面で、日本において秋入学のメリットを減殺してしまっているのではないかという指摘を受けてございます。ここは御紹介でございますが、現行制度上におきましても、優秀な成績を修得したと大学が認めた者に対しましては、在籍期間が4年に満たなくても卒業を認めることは可能となっておりまして、特定の学生については9月入学、6月卒業は可能な仕組みが既に用意されております。
9月に入学した者一般について、修業年限以外の卒業要件を満たせば、6月の時点で卒業できるような多様な修業年限を積極的に認めるかどうかについては、既存の早期卒業制度との関係も踏まえつつ、今後、中央教育審議会などの場で専門的な検討が行われることを期待するというふうに、今後の検討課題として指摘をさせていただいております。
もう1つの指摘でございますが、これは公的な資格試験の実施時期でございます。これは通常、3月の卒業を念頭に実施時期が定められておりますので、現下の秋入学の普及状況だけではなくて、我が国の大学・社会の国際化やギャップイヤー促進に寄与する意義を踏まえて、どのようにすれば秋入学の拡大に向けた隘路を除くことができるか、関係各方面で検討に着手されることを望みたいということで、2つ目の検討課題でございます。
最後、「おわりに」というところでは、最初の丸は、そもそもギャップイヤー発祥の国イギリスでは、学生が自分で資金を稼ぎ、みずから企画して留学やインターンシップ等を経験するものでございます。一般的にはこの形が一番知られているのではないかと思いますけれども、本検討会議では、このような伝統的な自主性重視型のギャップイヤーももちろん推奨する立場であるということはしっかりと明記した上で、我が国ではこの自主性重視型の普及には様々なハードルが存在していることも踏まえて、大学支援型を中心に意見をまとめたという、本会議での立ち位置をここではっきり書かせていただきました。
最後の丸では、各大学においては、本検討会議のこの「意見のまとめ」が示す方向性や、後半でまとめている資料編で紹介している国内の取組事例なども参考にしながら、それぞれの大学の教育方針等を踏まえて自主的に取組を進めていくことを期待したいと。また、国おいても、環境整備のために、学生や大学の取組に対して積極的な支援を行うことを求めたいというメッセージで、最後締めくくりました。
以上が本文でございます。
続いて、1枚めくっていただきまして、資料編でございます。資料編につきましては、さらに1枚めくっていただきますと、国内取組事例ということで13ケースを紹介いたしました。これは前回お配りした資料と同じでございます。
少し飛びまして、50ページ目をごらんください。50ページ目は、本年2月に文部科学省の方で実施しました、1か月以上の学外学修プログラムを設けている大学の実施状況についてまとめた資料でございます。
続きまして、54ページ目以降は関連データということで、本検討会議で文部科学省から示したデータ、また、砂田委員、宮城委員の発表の中で御紹介いただきました諸外国のデータについても併せて編集して、広く皆様に分かりやすいように提供していけるようにまとめたものでございます。
長くなりましたが、説明は以上でございます。まだまだ不十分な意見のまとめかもしれませんが、どうぞ御意見をよろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
そうしましたら、「意見のまとめ(案)」につきまして御議論いただければと思います。時間が限られておりますので、お1人の発言時間をおよそ5分を目安にしていただきまして、なるべく多くの委員の皆さんから御意見を頂きたいと思います。どなたでも結構でございますので、よろしくお願いします。
はい、どうぞ。
【濱田委員】  ありがとうございます。ちょっと私、しばらく休んでおりましたので、最初に発言するのは遠慮していたのですが、どなたも。
大変いい形でこの報告書をまとめていただいて、お礼を申し上げたいと思います。全体として、ギャップイヤー等の評価ということはもちろんですが、これを前向きに捉えて、そしてそれを推し進めていこうという姿勢を強く出していただいたということに、これはお礼を申し上げたいと思いますし、これは、この委員のメンバーの皆様方、それぞれ知恵、知見を出していただいた、その結果だろうと思っております。
それで、もちろんこの関連の制度整備、それから、こうしたギャップターム、ギャップイヤー等を普及させていくための具体的な支援、それは是非お願いしたいと思いますし、それをしっかり書き込んでいただいておりますが、やはり私はもう1つ、ここを書いていただいてありがたかったなと思いますのは、4の項目です。7ページ以下のところになりますが、私もこの秋入学の課題に取り組んでまいりましたときに思いましたのは、もちろん制度あるいは支援体制の問題もあるのですが、やはり社会の意識、これが変わらないとどうにも動けない。
それで、今の社会の在り方、それに社会の在り方を前提とした生活あるいは意識、そういうものに、どうしても、これからの時代に育ってくる若者たちが、いわば縛られているといいますか、そういう感覚をぬぐえなかったのです。つまり、若い人たちは新しい時代を自分たちの感覚で、創造的に創っていってもらわなければいけないのですが、それが、ギャップイヤー等の制度が今までの社会の意識、仕組み、そういうものに制約されているために、伸び伸びと活動しようと思っても、そこが縛られている。
よく学生は内向きだというふうに言われた時期がありますが、私はそういうときには、むしろ社会が内向きなのではないかということを申したこともあります。そういう縛りを取っていくという意味で、この社会の意識改革というテーマを入れていただいたということは大変大切なことだというふうに思いますし、この本文にも記されておりますように、実際にギャップイヤーを取得して留学する学生たちについては、積極的に企業の皆様方も評価しているのだと、そういう姿をもっともっと見せていくと。どういうところから意識改革というものをさらに広げていくのか、そういうきっかけを大きく作りたいし、社会全体で意識していくということが必要だというふうに思っております。
それから、同じようなことで言いますと、9ページに修業年限、資格試験制度に関する今後の検討課題というようなことでも書いていただいていますが、やはり今までの私たちの姿勢、これは政府に限らず日本社会自体の姿勢でもあったと思いますが、新しい試みがある程度普及すれば、秋入学も含めて普及すれば、それに対して対応を考えましょうという、いわば待ちの姿勢だったと思うのですね。それをやはり、むしろこれからはあるべき姿、あるべきギャップイヤーの作り方、あるいは学期等の構成の仕方、そういうのはどうあるべきかという姿をにらんで、そちらの方に、いわばやや前のめりであっても検討に着手していこうと、そういう姿勢を出していただいたということは、やはり社会の意識を変えていくという意味では、意味のあることだというふうに思っております。
そういうことで、私としては大変よい形でこの報告書をまとめていただいたと思いますし、やはりこうした変化を生み出していくためには、これでまとまったからおしまいということではなくて、これからさらに、この一種の緊張感を持続させるといいますか、変化を常に生み出していくんだという緊張感をどうやって持続させていくかということが大事だというふうに思っておりますので、この報告がそういうきっかけとして使われればというふうに考えております。
少し長くなりました。ありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。今の濱田先生のようなコメントを皆さん、多々お持ちだと思うのですが。
どうぞ、船橋委員。
【船橋委員】  非常に前向きにまとめていただいて、ありがたかったなと思います。ただその中で、いまだにちょっとまだ意見と提案がありますが、よろしいでしょうか。
ギャップイヤーというのは一概に、必ずしも留学ではない、例えば被災地復興支援とかいろいろあると思うんですが、ただ、私は今「トビタテ!留学JAPAN」の支援をさせていただいて、留学倍増も含め、多分ギャップイヤーも同じ問題というか課題、学生が取りにくいという理由は大きく4つあると思っているんですね。1つは経済的な支援で、2つ目がいろいろな制度面で、3つ目が動機付け、4つ目が企業の評価ということなんですが、留学促進において、恐らく制度面以外は全部、連動してできていくと思うんですが、制度面に関してはやはりいまだに、この大学支援型というのは何か大学がプログラムを提供するということであって、もうちょっとエポックメーキングに、やはり9月入学の事例が少な過ぎるとかいうところが変わらない限り、大きな変化は学生にとっては見えづらいのではないか、分かりづらいのではないか。本当に感度のいい子だけ、何とかこれを考えながら取っていくと思うんですけれども、大きなうねりは多分できないのではないかなと、個人的に思います。
なので、もうちょっと、多分制度面は、何度も宮城委員も言っていましたけれども、大学にとってこの制度を変えていく阻害要因はどこなんだと、それを変えるには何ができるんだというところが大きく変わらない限り、微増にとどまるのではないかというのが私の意見です。なので、そこがもうちょっと踏み込んでもらえるといいのではないかなと、すみません、大学の側ではないので、皆さんの問題を把握しているわけではないのですが、というのが印象です。
1つ、別な話で御提案で、すぐできるのではないかなと思うのは、特に文部科学省が絡むということでは、初等中等教育において、キャリア教育みたいな部分で、留学も同じなんですけれども、早いタイミングで留学をするとかギャップイヤーを取得することで、特に大学に入る前にとか、入って、中でもいいんですけれども、より学びが促進するというか、何のために学ぶかというのを考えるきっかけとなって、これは将来の人生において非常に重要なんだというような考え方を、初等中等教育のいろいろな場面で、留学も1つの選択肢なんですけれども、きちんと先生の方から説明していただくと。親の理解も促進するというようなことがあると、これは効果的なのではないかと思っていますので、ひとつ、打ち手として入れてもらえるといいなと、検討課題と入れてもらえるといいなと思いました。
以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
そのほかございますか。
はい、どうぞ。
【藤沢委員】  ありがとうございます。すばらしく前向きにまとめていただき、感謝申し上げます。
その上で、ほかの省庁でもこういった委員会に出させていただいていて、いつも課題に感じるのは、まとめるところまではすばらしいのですが、実施されないというか、余り実施されないというか。ところが、ここのところほかの省庁などでも、すごくそこの問題意識は強くなってきて、いかにしたら実施できるかということをすごく強く議論するようになってきております。そんな観点で、この報告書の中に実施できるような香りをどのように埋め込んでいくかというか、という意味で、3つ申し上げたいと思います。
1つは、4ポツの社会の意識改革と国や産業界による支援の(1)の3つ目の丸があるんですけれども、7ページです。ここにおきまして、「『トビタテ!留学JAPAN』による若者の海外留学への機運醸成や、官民が協力した海外留学支援制度の創設を踏まえ」というふうな文章があるのですが、ここは「創設を踏まえ」ていただくのではなくて、せっかくこの組織、できておりますので、この官民留学制度をプラットフォームとして海外留学及びインターンシップを社会全体で促進していくというふうに、せっかくできたこの組織を使っていきましょうと。この組織も立ち消えになるのではなくて、これとこれを合体させていくような文言を入れていただけたら大変ありがたいなと思います。
それに関連するのですが、次の8ページ、(2)国による支援策というところがございますが、これも具体的な2のところ、ここで「体制整備に関する財政的な支援を行う」と書いてありますが、ここにつきましても、制度的・財政的な支援を官民留学支援制度をプラットフォームにして行っていくというふうに、実際にどこで何を行えるかというようなこととして、この言葉を入れていただけると大変ありがたいかなと思います。この辺は文科省内での調整が必要かもしれませんけれども。
3つ目のお願いは、先ほど船橋委員からもあったことと共通するのですが、9ページ目の修業年限や資格試験制度に関する今後の検討課題というところに、もう1つ白丸を加えていただいて、初等中等教育においても、このギャップターム、ギャップイヤーについての導入を議論すると。是非、初等中等教育の分野においてもこの議論をしていただくということを一文入れていただけたら、より現実に近付いていくのではないかなと。
以上、3つのお願いでございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。だんだんと注文が出てきて・・・、いやいや、結構なことです。
いかがでしょうか。
どうぞ。
【砂田委員】  本当によくまとめていただきまして、ありがとうございます。
私の方から指摘というかお願いと確認ですが、1つは、ギャップイヤーは、もう何度も申し上げているのですが、「海外」に限らないということです。ですから、「国内外」のインターンシップだったりボランティアだったり留学も、いわゆる課外留学ですね、交換留学ではない、あるいは私費の留学も含め、そういうものなので、それがもし理解されていたら問題ないと思います。国内外となると、インターンシップやボランティアで日本国内の被災地支援だとか限界集落での活動、こういうものも入るので、これは非常に重要なファクターなのではないかなということで、確認しておきたいのが1点です。
それから、この文の中では一言も実はなかったのですが、私は、ギャップイヤーの1つのキーワードは、「空白」だと考えています。空白という強迫観念というのは、日本社会に蔓延し、これは親もそうですし、子供(若者)もすごいんですね。ですからその空白を、ギャップイヤーは空白ではなくて、「成長の機会」であるということを確認できていればと思います。例えば7ページの4番があります。社会の意識改革と国や産業界による支援の中で、1つ目の丸の中で、躊躇している者もいるものと思われると書いてありますが、その後に、ギャップイヤーは「空白」ではなく「成長の機会」として捉えていく必要があるとか、そういう記述の必要性をを感じております。
それから、これも今までの会議で申し上げていて、船橋委員と一部重なりますが、やはり中学や高校の「キャリア教育」の中で、一本道で、要は高校まで行ってそのまま大学ということではない道もいろいろあり、ギャップイヤーという概念があることを知らせていく必要性を感じています。それは世界一周をしてきた学生が語りかけてもよい。きょうも下村大臣が、25歳以上で大学生というのは日本だけが1%と言及されましたが、本当にそうです。どこの国も大体2割はあります。だからそんな多様性のないことで、これからのグローバルな社会で、日本は、多様な価値観に目の当たりにして、リーダーシップなり、いろいろな厳しい局面に対応できるのかなという疑問が起こります。東大一つを取ってもそうですが、今、5割が中高一貫教育を受けてきた生徒が入学している現状をみると、こんな多様性のないことで本当にいいのかということがあると思うので、ギャップイヤーは多様性を生むということを共有できればいいなというふうに感じました。
ありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
そのほか。
どうぞ、お願いします。萩原委員。
【萩原委員】  非常に、本当にまとめていただきましてありがとうございました。
1点、今の砂田委員とも関係するんですが、やはりどうしても留学的なところがちょっと強いような感じがいたしまして、国内における、そういういろいろな経験というのは非常に重要だと思います。ほかの、例えば総務省の地域づくり関係のところでは若者を派遣するようなプログラムもありますので、具体的にそういった、他の省庁がやっているところとどう連携できるのかというところも踏まえていきますと、藤沢委員のおっしゃっている実施、実行といったところにつながっていくのではないかなと思います。
例えば立教大学の例でいいますと、被災地支援に1年間、みずから休学をして行きまして、そこで大きく成長を遂げて、そしてその自分の経験を報告会等で、ほかの学生たちや先生、教職員にも影響を与えているような学生がいらっしゃいます。ですから、そういったものも是非どんどん積極的に応援していくような仕組みになっていけばいいなというふうに思っています。
それから、これは学事暦の弾力化というところなんですが、どうしても今、大学というのは小学校より早く始まって、小学校より遅く終わるというような状況になっていて、かつて私が2か月間放浪の旅をした頃というのは、たしか12週とか13週だったような気がして、その時間が学生にも教職員にもあったような気がするんですね。弾力化しているということですので、2コマ8週というふうなことも出てきましたが、そのあたりももう一度考え直すと、学生にもゆとりが出てくるのかなという気がいたします。これはちょっとまた別件の話になりますが。
それからもう1つ、社会人入学。私が今所属しております独立研究科というところは、8割が社会人でございます。これまで12年の中で2,000人以上、3研究科で輩出をしているわけですけれども、やはり今後社会人の方たちが、企業におけるギャップイヤーとか、そういうサバティカル的なところがあって応援していくことも必要でしょうし、そうすることによって、社会人の存在が現役で来ているストレート組の学生たちに与える影響というのは、これはもう本当によいものがあるということは実感しておりますので、そういう現行の制度の中でどういうふうな交流、あるいは学びの機会というものをお互いに持たせるかということは非常に重要かなと思います。
そのためには、企業のというか、先ほど濱田委員もおっしゃっておりましたけれども、社会の意識変革、つまりまだまだ企業に内緒で来なければいけないような状況があるということも、やはり私たちはきちんとして、そんなことがないように、学びの機会、まさにパラレルキャリアができるような仕組み作りを全体で変革して、そして行動に移していくことが重要ではないかというふうに思っております。今回のまとめがそういうきっかけになっていけばいいなというふうに思っています。
ありがとうございました。
【鈴木座長】  そのほかいかがでしょうか。
はい、どうぞ。
【浅原委員】  私も、コンパクトに要点がまとまっていると思うんです。やはり議論が集中しているこの4番、社会の意識改革と国や産業界による支援というところは、濱田先生も御指摘になりましたけれども、大学の方も感じています。別の視点から言えば、5ページの3ポツの前にあるパラグラフに、このギャップイヤーを取り入れていくには、一律に決まった形で導入するのではなくて、各大学の教育方針の特色に合わせて導入した方がいいと。それで積み重ねていくことによって社会の認知度が上がるのではないかということは、賛成です。いきなりは難しいと思うんですが、ただ、大学の側にも問題がないとは言えないのですけれども、やはり学生は結構、今御指摘のように、自分たちで何かやろうとしているわけです。だけれども、社会や私たちがそれを妨げている部分があるのではないかと思うわけですね。
例えば、入学式です。実は入学生の3倍ぐらいの会場がないとできないんです。どういうことが言いたいかというと、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんも来るわけですよ。これは改めないといけないと思うんですね。教育ローンを組んで大学へ行っている学生はほとんどいませんし、日本は。成績表だって親に送っているんですよ。これはやめるように言っているんです、今。そういう大学の中でも問題があるのですけれども、社会も、さっきおっしゃったように、社会人学生が会社に黙っていないと来られないという現実は、やはり学ぼうとする姿勢を誰かが邪魔していると思うんです。
濱田先生が最後におっしゃったように、私は、ここは非常に評価するのですが、7ページの日本人の海外留学の促進の一番最初の丸の「社会全体としてポジティブなイメージに転換していくことが重要である」ということについて、委員の御指摘があったように、具体的な計画を立てて実行していくようなものをこれに添えておかないと実現していかないのではないかと。積み重ねていくわけですけれども、何を積み重ねていくのかということについて、やはりしっかり提案すべきではないかと思います。
以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
何かその点で具体的な御提案がありましたら、この機会ですので。
どうぞ。
【浅原委員】  ちょっとどこかの会議で話をしたと思うんですけれども、やはり今、企業の4月新卒一括採用、この枠組みを、どこかでなくすと、公約していただければいいんですけれども、特に大企業が率先してやっていただければ、これはもう日本のコンセンサスになるわけですよね。これは極めて大事ではないかと思っています。1つ、提案です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
どうでしょうか、きょうは皆さん、お1人必ず御発言というふうに私は思っているのですが。
どうぞ、島村委員。
【島村委員】  よくまとめてあると思って、拝見いたしました。それから、今お話がありました企業側の問題ですけれども、今、先生もおっしゃったことですが、大企業はもしかすると4月など、新卒を同じ時期ということを考えているのかもしれませんが、中小企業はあまりそのことについてはこだわっていないのですね。
どこの企業でも新卒だけではなくて中途採用もしており、私どもも中途採用をやっています。そうすると、こんな言い方はおかしいのですけれども、中途採用でそれなりの子を採った方が、よっぽど生産性がいいんですよ。前にもお話ししましたように、新卒の子はやはり社会性がないわけですから、企業側ではもうかなり、最初にその辺の教育にエネルギーがかかるのです。いわゆる、我々の商工会議所の委員の皆さん、中小企業のトップの話を聞きますと、同じようなんですね。
それでやはり、社会人としての基本的なベースとなる強さ、人間としての強さが、今、全然弱いんです。ですから、何かできなかったり、何かしたときには、みんな他人に転嫁してしまうんですね。私どもの場合ですと小売業ですから、お客さんが買っていただけるか、いただけないかという場合に、お客様が買ってくれないと、客に転嫁してしまうのです。「そんなことじゃない」といって、お客があなたを選んでくれないだけだと、私どもは年中社員教育をやっているのです。自分が選ばれる人間に変わらなくてはいけない、チェンジする、そういうことを年中話しているんですけれども、そういう意味での強さというのが、今の学生さんは、学校教育の中でほとんど育っていないという感覚を受けるのです。
一時、教員の、教組あたりが競争原理を否定したとか、そういうのが大分前にはありましたけれども、やはり平等意識というのが変な形で、人間を弱くしているのではないかと思うのです。そういう意味で、今回のこういうギャップイヤーとか留学の問題も含めて、やはり人間を強く、ある意味ではチャレンジするという気持ちを、体制を作らないと、知識はあっても人間として弱い人材になっていくと、企業としては余り存在価値がないということになりますので、3年で新卒の学生が3割辞めるというのが、中小企業も大企業も含めてそういうデータが出ています、3、4年前に。この前ちょっとお話ししたと思うんですけれども、そういう意味で、やはり志を持つ、夢を持つ、目標を持つということについて、学生時代、それから学生が社会に出るときに、今回のこういうギャップイヤーなりいろいろな制度というのは、やはりある意味では、教育改革的な意味では非常に重要だと思いますので、是非文科省を中心として、私ども産業界でも同じように考えておりますので、素早く実施していただければありがたいと思っています。
以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
どうぞ、齊藤委員。
【齊藤委員】  これでまとめていただいて結構だと思います。私の考え方も入っておりますし、皆さんの考え方も入っていていいなというふうに思っております。しかしながら前提が、この会そのものが、どちらかというと高等教育局を主に動いてきているので、先ほどどなたかが初等中等ということにも言及されましたが、やはり文部科学省全体、内閣全体での教育危機に対する意識がどのくらい高まっているかというのがポイントになるというふうに思います。
これから子供たちが外国で仕事をしていく、これは最初に申し上げたんですけれども、職場は世界、仕事はインターナショナル、そういう時代に対して、どんどんどんどん留学生が減っていっているというのは、日本は危ないと思いますよ。ですからこのギャップタームにしても、認識としては、やはり文部科学省は弱いんだと思います。先ほどどなたかが空白という言葉を使われたのですけれども、すき間を埋めるだけが改革じゃないんですね。すき間がないようなシステムを作っていかなければならない。それには、今後のことは中教審、これでも触れています。確かにそれはいいかと。それから教育再生実行会議がどういう考え方で引っ張っていくのかということなのですが、基本的には学事暦を現状のままで残していって改革しても、改革にはならないというふうに思っています。
私は、最初に申し上げましたが、6・3・3・4制は古いと。だから5・4・3.3、そして高校の卒業は6月、そして大学の入学は9月、そして大学の卒業も5月ないし6月という、そういった考え方を披露させていただいたのですが、そこまで行かないと、日本は、「Japn is BACK」と書いてありますけれども、バックできないで、後ろ向きにどんどん行っちゃうと、そんな感じがするんですね。だから今回の皆さんのこの場が、私は、この提案でよくまとまっていらっしゃるので、是非とも結果をね、しっかりと文部科学省、やっていただければというふうに思います。
以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
では、宮城委員、最初にお願いします。
【宮城委員】  私も本当に、この場で出た意見をよく、うまくまとめていただいたなと思っています。特に私としては、この「はじめに」のところで、学外学修の意義について改めて述べていただいて、いわばこのギャップターム、ギャップイヤーの議論をする前提ということをここで改めて確認できたということもとてもありがたい、大事なことだなというふうに思っています。
加えて御意見を申し上げるとしましたら、私は、まずこの場で大学支援型という形にフォーカスを当てること自体は、大変それは意義があることだと思っています。ただ、今回この学外学修プログラムにフォーカスをしていただくということにおいてやはり留意いただきたいのは、学外学修をするということは、学外の現場や組織との連携が前提となるということだと思うんですね。ここは、いわばこれまでの教育の在り方ということの、1つの枠を超えることになっていくと思いますので、そこを十分捉えておく必要があると思います。
そういうことを前提として考えたときに、例えば8ページの括弧の中で、具体的に国の支援ということで検討いただいているところで2つ申し上げたいことがあるのですけれども、1つは、自立継続性というところをにらんで、戦略を持っている大学を支援するということを改めて強調していただきたいなと思っています。要するに財政支援のある間は実施するけれども、それが終わったらそこで途絶えてしまうというようなことが起こりがちなわけですが、結局今回の場合、学外を巻き込んで作っていかなければならないということを考えると、今までもインターンシップの助成金を国が出すやり方で、受け入れ先に助成金を出すというやり方をやったことがあるわけです。そうしたときに、これはもうお金があるからやってくださいという形でお願いしていくと、プログラムの中身だとか質が問われる前にお願い型になってしまって、そうするとお金が、助成金が終わると、そこで、面倒くさいことなのでお金が出ないのだったらやりませんというようなことになってしまって、その後の営業コストがすごく掛かってしまって、むしろ悪評を生んでしまったというような歴史もあります。
そこはあくまでも、仮に財政支援をしていただくとすれば、是非していただくべきだと思うんですけれども、それがある種投資となって未来につながっていくと。大学の中ではやはり、この専門人材を配置していただくというのを、非常に踏み込んで具体的に書いていただいたのはありがたいと思うんですけれども、そういう人材が、この財政支援の時期が終わっても継続的に大学の教育の中にしっかりと位置付けられて、それが継続的な立場を得ていくというようなことをにらんでいる、そういう戦略を持った大学を支援するというようなことを是非重視していただければと思っています。
さらに言えば、今の延長上なんですけれども、やはり地域や社会と連携して学外学修のプログラムを支えていく基盤作りということに対しての認識を持っていると。そこに対する取組への戦略を持っているところをやはり重視するということを意識していただければと思っています。地域との有機的な関係作りであり、留学等も含めたプログラムを積極的にやっていくための学外との連携の体制を作るということを、明確に意識していただけたらなと思っています。そのために、さらに踏み込めば、学内に専門人材を配置することだけではなくて、学外の人材や支援機関等との連携も積極的に行っていくと。要するに内に全て抱えてしまうことの限界ということは、私は、この取組においてはすぐにやってくると思っていますので、学外の組織とも積極的に連携していくということを是非推進していく方向で御検討いただければと思っています。
それともう1つ、一方で、この大学支援型にフォーカスいただいたことは、この場のたてつけとしても、大学改革推進室の方で進めていただいているという上においても非常に責任も明確で、いいと思うんですけれども、一方でこの取組自体は自主性重視の方の流れということも、両立してやはり考えていかなければならないものだと思います。
この自主性重視の、要するに社会全体の枠組みを変えていこうという取組に関しては、一方で、この場の議論のたてつけとしてはある種、責任の所在が曖昧になりがちな領域になると思うのです。民間に望むだとか、他省庁に・・・。
【小林オブザーバー】  期待する。
【宮城委員】  そうですね、期待するということで終わってしまうということになりがちだと思うのです。だから、ここの領域で枠組みを作ることによって、自由に学生たちがチャレンジしていける環境を作るということも、私は両立して議論するべきだなと思っています。
そのためには、先ほどの留学JAPANとの連携という話も、藤沢さんや船橋さんがおっしゃったようなアイデアも大変、私は有効だなと思うんですけれども、そういうある種の官民連携の国民運動みたいな形に、先ほど齊藤委員もおっしゃったように、省庁の内部の枠も超え、また省庁の壁も越えて、また民間ともつながりながら、ある種全体で国民運動的に議論をしていくというようなたてつけを作らないと、恐らくこの自主性を重視した形を促すような社会的基盤というものは作られていかないのではないかなということを思っています。
そういう意味で、この場の議論が大学支援型という1つの結論を得たことは大変意義があると思うのですけれども、一方で、自主性を重視していく社会的な基盤の改革ということにおいての流れを議論していく場を継続して持っていきましょう、作り出していきましょうというようなことについて踏み込んで、この報告でも触れていただくというようなことは大変意義があることなのではないかなと思いまして、御提案させていただきたいと思います。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
小林さん、どうぞ。
【小林オブザーバー】  ちょっと発言が多岐にわたるので、長くなるかもしれません。申し訳ございません。
まず、事務局の方でこの意見のまとめを作っていただきまして、本当にありがとうございます。いろいろな意見を盛り込んで、よくやっていただいたかと思います。ただ、私がちょっと感じるのは、いろいろな委員から御指摘ございましたけれども、こうすることが望ましい、こういうのを期待したいという点が、私は拝見していて少しどうかなというようなところがございます。
例えば8ページの(2)国による支援策の丸の2つ目ですが、最後のところに「戦略的に支援を行う必要がある」と。こういうふうな書き方ですとピンとくるのですが、例えば9ページの真ん中辺の丸、上の2つ目ですが、「関係方面で検討に着手されることを望みたい」と。ここのところは、私、事前に資料を頂きましたけれども、「検討に着手することが適当と考える」というふうに書いていらっしゃったのですが、ここが「望みたい」となっているのです。省内でいろいろあったのだろうと思うんですが、私は、やはりこういうのは実行していくことが大事だというふうに思っております。関係法令を整備したりとかやっていくのだろうと思うのですが、いろいろな意見があると思いますけれども、いろいろな観点から。やはりやっていって、実施してみて、そして改善があれば当然その時点で改善していくということが必要なので、まずは始めることが大事というふうに、この間、大学ポートレートの方でもそんなふうに申し上げたのですが、やはりそういうことが必要なのかなと感じました。
それからあと、先ほど藤沢委員の方からも御指摘があった、初等中等教育でもギャップイヤーなりギャップターム、こういったものを検討していく必要があるのではないか、導入していく必要があるのではないかということで、私も中等教育の方から代表として出ている観点で申し上げますと、やはり大学だけではなくて、中等教育の段階でもこういうことを考えていかなければいけない、そういう時期になっているなというのは私も感じております。特にこの資料編の55ページのグラフを見ますと、ここに出ているのは我が国のほか4か国ですけれども、いずれの国も留学生が増えているにもかかわらず、我が国だけが減っているという、この現状はやはり相当危機的な意識を持たないといけないなというので、以前、東大の濱田総長からも御指摘いただいて、私も深くそのとき感じたのですけれども、やはりこういった現状を踏まえて、今、グローバル人材の育成と、私が3月までいた学校でもそういうことを教育方針として掲げていました。でも実際のところどうなのかというと、こういう現状があるということで、やはり中等教育を担う者についても、きちんと考えていかなければいけない。では具体的にどうなのかと言われると、まだ私も思い浮かばないのですけれども、でもやはり変わっていかなければいけないんだなということは感じます。これは高校教育を担う者も痛切に感じなければいけない。
ただ最近、東京都で考えられている、ALTは以前からありますし、ほかの自治体でも外国語の指導員というのは入っているわけですが、最近は東京都で、今年度は100名というふうに枠はできていますけれども、アメリカなりイギリスなり英語圏にいる学生が大学を卒業して、すぐそれを日本に連れてくると。ですから、教育委員会としては下宿先を紹介したり、そこから始めて、そして学校なら学校の近くに住まわせて、そして子供たちと授業だけではなくて、今まではALTは授業だけでしたけれども、そうではなくて部活動に一緒に参加したり、学校行事にも一緒に参加する。生徒たちと非常に、人間的なつながりも深めながら、語学なり、その国の習慣なり、いろいろなもの、異文化に触れていくと。そういう試みをやりましょうと、そんな動きも出てきています。
また、当然のことながら、新指導要領になりまして、英語は英語の授業でやるということになっていますので、私も授業観察を後ろでしているときに、例えば50分の授業で、35分ぐらいをずっと英語でもうやっているのです。最後の15分でぱっと切り替わりまして、きょう言ったことは分かったかということで生徒たちに言っていく、日本語で。そういう授業を、今もう現場では始められているわけです。ですから、少しずつですが変わりつつあると、やはりそういうのに中等教育学校も非常に、少しずつですけれども変わっていかなければいけないなと、そんな感じが私はしています。
いずれにしましても、こういう報告書をまとめられましたので、高校の現場を預かる者からすると、是非とも、少しずつでも実施に移してもらいたい、それが大事かと思います。後で改善点がいろいろ出てくると思いますけれども、それはその時点で変えていけばいい、そんなふうに私は考えております。
以上でございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ、落合委員。
【山内委員代理(落合)】  ただいま小林先生から頂いたお言葉も含めて、少し考えを申したいと思います。
学外学修プログラムという言葉、これは大変、力付けられる用語であると思います。日本の大学は内部完結型というのでしょうか、自前主義というのでしょうか、あらゆるものを「タテ」にやろうとずっと考えてきたところがありますが、これからは、それを踏まえつつも、学外すなわち「ヨコ」にも開かれた教育システムを作っていくことが大事になると思います。
「何のために学ぶのか」は、大学生のみならず、中学生や高校生の段階でも、あるいは社会人になってもずっと大事な、一生の言葉、問いかけだろうと思います。そういう意味では、今、小林先生がおっしゃったような中等教育を軸として10歳から20歳ぐらいまでをどのように全体設計するかがやはり大事で、大学に入ってから突如、さあ海外に行け、学外で学べと言われるということではなくて、もう少し全体的なグランドデザインが重要かつ必要なのではないかと思います。大学生に何のために学ぶのかと聞きますと結構まともなことを言ったりして、かえって心配してしまうことがあります。そうしたときにインセンティブとかモチベーションという言葉を聞くよりも、日本社会や世界の今後に対してどのようなパッションをもって臨むのかという自覚や志を語るようになってくれるほうが大事ではないかなと思うからです。
一橋大学の教育改革の範囲でということになりますけれども、学生のいわゆる自主性に任せて留学に出そうとしますと、大学の各種の支援を使っていくのが大体20%ぐらいの学生です。それ以上にはなかなか伸びません。そこで、いろいろな形でこれを100%に近づけていこうというのが山内進学長の構想です。この目標に向けた試行ということで、前回も申しましたが、まず100人の学生を2月から3月にかけて、英、米、豪の9つの教育機関にモニターとして4週間派遣しました。モニター学生には、留学先での英語プログラムの履修はもちろんですが、成果を測定するために派遣の前と後にTOFEL-ITP受検を課しました。また、事前事後に多くの質問に答えてもらい、派遣中には毎日そして週末にレポートをe-ポートフォリオに記入してもらいました。帰国後には保護者にもアンケートを行いました。この短期留学の結果、英語力の数値は確かに上がりました。TOFEL-ITPで測定しましたところ、リスニング、文法、リーディングのいずれにおいても伸びました。
しかし、興味深いのは、学生の実感の力点がそれとは違うところにあったことでした。出発前は英語力をつけたいという学生が多かったのですが、「留学で得たと思うものは何か」という帰国後のアンケートでは、「異文化理解・国際感覚」、「友人」、「視野の広がり」、「コミュニケーション力」、「積極性・主体性・自信」、「忍耐力・精神力」などが上位を占めて、「語学力」は7番目でした。つまり、語学力を向上させたこと以上に学生自身が実感したのは、世界の多様性のなかで生きていくこと、知識だったら絶対負けないのに議論で主張ができず悔しかったこと、自分がマイノリティに数えられることを初めて知ったことなど、グローバル環境に生きることの感触だったということです。たかが4週間、されど4週間だったのだと思います。
今年の夏は200人で試行しますが、将来的には、毎年入学してくる約1,000人が卒業までに1回は長短さまざまな留学に行けるようなプログラムを作ろうと思っています。そして、短期長期の留学がその後の学習行動にどのような影響を与えるのか、そのデータを学修IRで押さえて分析していく予定です。この調査は4年生で卒業するまでで終わらせずに、社会で活躍する将来についても長期的に調べていければと思っています。一橋大学には、過去27年間にわたって1年間の海外派遣プログラムを運営してきた実績がありまして、約800人がこれまで海外の交流協定大学等に留学しています。一番上の世代で平成元年卒業くらいですが、この制度で留学した卒業生のその後を、今、追跡しています。そうした長期的な調査をして初めて、日本の大学生の留学についてきちんとしたことが言えると思います。
しかし、それを待っているわけにはいきません。今日のこの報告書案に書かれているような様々な支援策等がただちに実行されることが、学外学修制度としての留学が日本の大学に位置づけられるために、いま必要不可欠と考えます。
最初に申しましたように、「何のために学ぶか」は生涯教育の根幹でもありますし、大学だけでなくより広い脈絡で考え、社会の基盤的考え方として共有されていくことが大事だと思います。そのためにも、大学としては、18から22、23ぐらいまでの4年間で何を学生が学び、それがどのように社会に生きていく力となったのかをきちんと検証していくことが大切であり、その一部なりとも一橋大学が事例として示せればと思っております。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
長谷山先生、まだ御発言いただいていないですね。よろしくお願いします。
【清家委員代理(長谷山)】  ありがとうございます。私はこのところ、代理で、お邪魔していませんで、大変な議論があったようにも拝見していて、それをこれほどよく、適切におまとめいただきまして、本当にありがとうございます。
その上で、1つ感想といいますか、振り返ってみて、最初の頃に私が、ギャップタームという名前に関して、むしろ国際通用性という意味ではギャップイヤーという名称の方があり得るのではないかということを申し上げたと思います。その意味で、今回そのギャップイヤーという表現をしていただいたのは、私は個人的に大変ありがたいのですが、ただ、その意図は、何のための議論をしているかという、大学全体が多様な学びで多様な人材を送り出すという方向に行こうじゃないかというのが背景にあったと思うんですね。そうしますと、入学時もそうですけれども、在学中あるいは卒業の時期とか卒業後とか、そういういろいろな時期にいろいろな学びをするということが大事で、そういう意味では、1つの学期に限らず、時期に限らず、随時学びができる、そういうイメージで捉えられるよう、その意味でギャップイヤーがよいのではないかということを申し上げたわけなのです。
それで見ますと、私は、1つは、入学直前直後の時期というのは、確かに学びの動機付けという意味で重要ですけれども、もう1つ、やはり今、社会性の涵養とか異文化理解からさらに進んで、異文化が衝突したときにそれをどういうふうに乗り越えていくかという、そういう意味でのコミュニケーション能力が学生に必要とされていると。そういう社会性の涵養ということで言いますと、やはり一定の学問、専門的な知識を得、1つの学問分野を修めた上で、その世界観でもって現実世界をいろいろ見て、そして自分の学問がどういうふうに通用するのかということを試してみる、そういうことが必要だと思うのです。特に、想定外の事態に遭遇したときにどういうふうに対処できるのか、そういう力を付けさせたいと。それにはやはり手取り足取りの教育ではなくて、かわいい子には旅をさせろと、多少危険な目に遭ってでも広く家の外を見てこいと、そういうことだろうと思うのです。それでいいますと、その目的のところに学びの動機付けだけではなくて、今申し上げたような意味での社会性の涵養という視点をはっきりと盛り込んでいただけるといいのではないかというのが1つです。
それからもう1つは、手取り足取りをしないという意味からいいますと、この大学支援型という表現は、やや誤解を招くおそれがありまして、結局ギャップイヤーにこういうプログラムを作ったから、君たち参加してごらんというようなことを大学がしてしまったら、何のためにギャップイヤーということを考えたのか分からないと。したがって、やはり学生の自立性、主体性というものがまず一番であって、それを大学は側方から支援するんだという、そういうやはり思いというのが重要ではないかという気がいたします。
最後に、表現ですけれども、随所に、一律に決まった形ではなくとか、もっと明確に、入学直後、在学中、卒業前など多様な時期に実施することが考えられるという、今申し上げたことを盛り込んでいただいているのですが、ただ、8ページの国による支援策のところを拝見いたしますと、箱で囲った中の具体的なところの、もっと下の「なお」という、「上記2の大学に対する財政的な支援に当たっては」というところの2つ目のダイヤモンドなんですが、教育的効果の高い入学前・入学直後の時期に実施するプログラムを支援する、重点的に支援するというふうになっているんですね。
私は、先ほどから申し上げているとおり、在学中とか卒業前の時期というのも非常に重要だと思っていますので、そういう時期に対するプログラムもやはり財政的な支援をお願いしたいと。しかし、秋入学の推進とかいう意図からすれば、この入学前、入学直後の時期のプログラムを増やしたいという、この意図はよく分かりますので、それは賛成なんですけれども、例えばこれを、入学前・入学直後の時期を中心に教育的効果の高い時期に実施するプログラムとか、在学中、卒業直前のものでもよいものは国としても支援するというものが裏に読み取れるような、何か表現の工夫をちょっとしていただけると大変ありがたいという。これはもう希望ですので、恐らくいろいろな議論を積み重ねてこういう形にまとめていただいていますので、あくまで感想ですので、必ずそうしていただきたいということではありませんが、ちょっとそういう感想、印象を持ったということだけ申し上げさせていただきます。
どうもありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
小島さん、いかがですか。
【市村委員代理(小島)】  ありがとうございます。私は日本貿易会の小島ですけれども、本日は市村の代理で参加させていただきます。
先ほど宮城委員の方から官民連携というお話がありました。そして島村委員の方からは、今回の改革、産業界でも大いに期待しているんだというお話がございました。それで、私どもの方も、まさにこの改革について非常に期待しておりまして、市村自身も申しておるのですけれども、例えば7ページの産業界による支援とか、あるいは最後のまとめのところに、もう少し官民連携というのを盛り込んでいただいてはどうかなと。
今、大学と各企業とか、点と点を結んでの線という形では広がりは出てきてはいるんですけれども、より面という形で推進していくためにも、ここの官民連携といいますか、産官学連携というのを是非打ち出していただきたいと。企業の中には、個別のインターンシップももちろんやっていますけれども、高校生に海外プロジェクトを見学ツアーさせるということを実施している企業もあります。そういったものを、より多面的に、有機的に広がりを付けていくためにも、先ほどの7ページなり、あるいは最後のまとめのところにも産業界への期待、受け皿としてのこの機能の拡大というような、そういったことも明記していただいてはどうかなというふうに思っております。
ありがとうございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
形式的には一応、皆さんから御意見あるいはコメントを頂いたのですが、なお言い足りないと、これを言いたいということがおありでしたら、どうぞ。
【浅原委員】  私も、大学支援型というふうに終わりにまとめてあることについてちょっと懸念はあるんです。留学生に、日本人学生と一緒に話を聞くと、私のところに来ている留学生だけではないと思うんですが、やはり彼らは就職機会の拡大ですよね。今回のこの検討会議の目的は、参考資料の55ページ、上の海外留学が減っているということと、中国をはじめとした外国の留学生がどんどん増えているということが1つのバックグラウンドにはあると思うんです。それで、果たして日本人学生が留学するときに就職機会の拡大を視野に入れて留学しているかというと、ほとんどそうでないんですね、聞いてみると。これが非常に大きな違いではないかとも思っています。
そして、この会議で、私は学生の自発的な発想でこのギャップイヤーを活用すべきだという提案をしたつもりなんですけれども、やはりある程度支援型にせざるを得ないのではないかと、日本の事情からして、これはやむを得ないと思っているんです。今御指摘ありましたように、こういう書き方をすると、また社会が学生に手を添えるのかという印象を与えるのはちょっとまずいと思うんですね。やはりあくまでも自分たちで自主的な、この学外学修という言葉を非常に私は今回気に入りまして、この学外学修を入れながら成長していくんだという、自らが。そういう印象を与えるような、特に学生に与えるような形にすべきではないかとは思っています。
ちょっとこれは追加させていただきました。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
何か宮城委員ありそうですね。どうぞ。
【宮城委員】  ちょっと私、また鈴木先生とか濱田先生の御意見を伺いたいと思ったんですけれども、この「はじめに」のところにも書いていただいた、何のためにというところであり、私もこの学外学修プログラムというようにまとめていただいたというのは、大変うまくまとめていただいたなと思っているんですけれども、この重要性というものが、例えば高等教育においてどういう位置付けをなすものなのか。というのは、これまでは、例えばインターンシップが実質的に数%の学生にしか提供されていないというのは、あくまでもあったらいいよねという附属的な意味として学外学修ということが例えば捉えられているということだと思うんですけれども、この位置付けがどこまで高まるものなのかというか、すごく相対的なものではあると思うんです。ここに重要であるというふうに書いていただいているわけなんですけれども、私が懸念するのは先ほどの継続性のようなところで、例えば専門人材のような存在の、ある種のマーケットを作らないといけないと思っているんですけれども、マーケットができるためには、やはり大学、教育の中での位置付けが明確にならないと非常に不安定なわけです。先ほどの財政措置が終わったら職がなくなるようでは、その仕事としての位置付けができないということもあります。
それはやや細かい話ですけれども、高等教育の中でこの学外学修プログラムの位置付けを明確に高めていくためには、どういう議論を進めていけばいいのか、どういう位置付けをすることによってそういう意識を持っていただけるのかということにおいての御意見をちょっと頂戴できたらと思ったんですけれども。
既に先進的に取り組まれているトップの御経験の方々にお伺いしたいなと思ったんですけれども。
【鈴木座長】  濱田先生、いかがでしょうか。
【濱田委員】  ありがとうございます。とても大事なポイントをおっしゃっていただきまして、私たちは当たり前だと思って議論してきたことが、実は本当はどのぐらい意味があるんだというのを問い直すというのは常に大事だと思います。
それで、何のために学ぶのかという点で言いますと、例えば私どものFLY Programで行った学生が、やはり自分は本当に、その経験をしたことで何を目指してやるんだと、自分が今どういう限界を持っているのかそういうことを知ったという、非常にいいレポートを出してきて、僕は感動したんですが、それと同時に彼らが言っているのは、最初から学ぶことが分かっている人には必要ないかもしれないと、そういうことも言っています。
ですから私は、何のために学ぶのかという観点から言いますと、あるいは全員にこれを最初からさせる必要はひょっとしてないかもしれない。長谷山先生がおっしゃったように、社会性の涵養といった観点も踏まえながら、むしろ、ある段階、最初に大学に入った段階ではなく、もうちょっと後の段階でやった方がいいかもしれない。
もちろん一番、何のために学ぶのかという問題意識を持つのは入ったときなんですが、実は同じような問題意識は勉強している過程でもあるはずだと思うんですね。そういうのが自然と湧いてくることもあれば、さらに、何の疑問もなく勉強していても、実際現場に行ってみると、あれ、違うなと、今自分が勉強していることは一体何なのだろう、どういう意味があるんだろうと、そういうことを無理やり感じる機会も必要になる。ということで、私は、最初に大学に入った段階で全員にやらせる必要はひょっとしてないかもしれないと今、思い始めているんですが、でも大学にいる間には、自分のやっていることの見直しも含めて、経験する必要があるだろうと、そう思っています。
それから、すみません、それにわずかに関連しつつ、ちょっと言葉を足しておきたいのですが、冒頭で、社会の意識を変えていくというようなことを申しましたけれども、それから先ほどの、こうしたギャップイヤーの使い方が自主性重視型が大学支援型かということにも関わってくるんですが、実際に私自身が感じていますのは、学生が自主性を持っていろいろなプログラムに取り組んでいく、あるいは設計をしていくというときも、自分の頭の中だけで考えていたらやはりしようがないわけですね、幾ら自主性といっても。常に、自主性を発揮するというのはやはり社会との往復運動で、実際に社会にどういう課題があるのか、自分がそこに出て行って何ができるのか、そういうことを考えながら自分の頭で組み立てるということです。そういう意味では、今の社会というのは、そこに大学が関わらないと学生たちがそういう意識を明確に持てないような構造が強くて、ここに書いていただいているように、とにかく自主性重視ということでやらせたいんだけれども、実際やはり社会の方との接点がうまくつかめない学生が多い。また、社会の側としても十分メッセージをそこに出していないという気がするんです。
やはりこの間、この問題を通じて思いますのは、日本社会が、日本社会全体で人を育てるんだと、特に若者を育てるんだと、そういう意識をもう1回取り直すということに究極はつながってくるのかなというのが私の思いなんですね。これはもう日本社会が昔、日々の生活で、近所のおじさん、おばさんが子供たちにちょっと注意をしたり、ちょっと教えたりと、そういうことがコミュニティーから消えなくなってきたというふうに俗に言われますけれども、そういうレベルの話から含めて、もうちょっと日本社会全体が、これだけの力を持った社会ですから、みんなで人を育てる、若者を育てる、そういう意識が高まってくれば、実は自主性重視か大学支援型かという境界というのが、ある意味ではぼやけてくるわけです。
それから、私たちが今かなり危惧している、学生たちをポンと社会に投げ出しても大丈夫か、特にセキュリティーを含めて大丈夫か、あるいは実際にメリットはあるのか。それから、さっきのお話のように、お金が出るうちは企業も頑張るけれども、それが続かなければもうやめてしまうとか、そういった問題は、根本的には社会全体で人を育てるという感覚にまで持っていかないと、やはり変化が起きない、そういう気もしております。
是非、今、宮城委員のお話を受けて、ちょっとそういうことまで思いましたので、付け加えさせていただきました。
【鈴木座長】  宮城委員は私にも御下問かなというふうに思うんですけれども、国際教養大学はリベラルアーツということを根本に置いているものですから、これはやはり自分を一度、それまでの持っている、あるいは涵養してきた価値観やら社会観やら何やらというものから自分を自由にして、それでもう1回自分を作り直す、作り上げるというのが大前提としてあるわけです。ですので、自由にするという次の段階で、自分を作り上げるというときの道具立てといいますか、あるいは先ほど機会という言葉を使われていましたけれども、そこに主体性を持って自分を投入していくというあたりが、このギャップイヤーのリベラルアーツにおける意味付けなんですね。
それで、要するに、具体的にはギャップイヤーに参加する学生というのは自分で計画を立てて、それで大学にこういうことをやりたいということを提出して、先生が一応アドバイザーになりまして、ここはこういうふうにしたらどうだろうとか、あるいは、これはどういう意味を持っているんだとかということをディスカッションしながら最終的に決めていくということで、あくまでもプランを立てて実行するという主体性は尊重すると、そういう前後関係になって実施しているということであります。答えになっているかどうか分からないんですが。
【宮城委員】  ありがとうございます。国民運動とおっしゃっていただいて、大変心強かったですし、大学の中での位置付けが、全員必修というような位置付けがされる大学もあるかもしれませんが、何かしらの形でこの学外学修プログラムということを、それぞれの大学において、あるいは国として高等教育でどう位置付けていくのかというのは、是非今後も議論が、これを契機に進んだらいいなということを思っております。
ありがとうございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
もうほとんど御意見は頂いたでしょうか。
どうぞ。
【藤沢委員】  一言というか、船橋委員に質問なんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、やはり実施に向けて具体的なものを1つでもいいから入れていただきたいと。皆様の御意見を伺っていても、やはり官民の連携、点と点が線になるのではなくて、面にということで、そうしたときに、私としては初等中等教育も含めた形で議論が進み始めているのは、海外留学支援制度の部分だと思うんですね。あそこは部屋もできました。船橋委員もその中核メンバーのお一人として活動されているわけですけれども、現実問題として、この官民を連携して、先ほども大臣が、もう大学に任せるのではなくて、国として実行していくとおっしゃいましたので、やはり国として、文科省の中でその実行を旗振る部隊というのが必要だと思うんです。それを新たに別に作った方がいいのか、実際に今御活動されている中で、あの官民留学支援制度というのがこのギャップイヤーを推進していく旗振り役の最初の機関として機能するのか、別の方がいいのか、少しそこは伺っておきたいなと思いました。私としてはそれでいいのではないかと思ったんですけれども。
【船橋委員】  ギャップイヤーは必ずしも留学だけではなくて、私個人的にも、本当に被災地支援とかも含めて多様なものがあった方がいいと思っている中で、この「トビタテ!留学JAPAN」の官民協働海外留学創出が旗を振るというのは、ミスリーディングの可能性があるということと、単純に、多分現場からするとマンパワーがないなというようなところなんですね。ただ、同じようなキャンペーンをやらない限り進まないだろうという感覚はとてもあります。
先ほどから皆さん、55ページで留学生の数とかを見ています。これは、留学生倍増という話なんですけれども、なぜ倍増なのかとかというまた議論がないわけですが、本当は4倍かもしれないし、ただ、その倍という数字が出たというのはひとつ、すごく大事だと思っているんですね。今回もそういう意味で、何かキーワードが欲しいんですね。本当に皆さんでジャンプするぐらいの感覚にしないと、これは、先ほども言いましたが微増だなと思いますし、学生視点から入っても、多分耳にも入らない話だと思うんですね。なので、さっきからキャッチーに、僕は、秋田国際教養大学がやっているように、ギャップイヤー入試みたいなものを各大学、10人でもいいんですが、やるとかなると、入試って必ず学生は目にしますから、本当にジャンプしながら、目標値もそうだし、何かキャッチーなことをやらないと動かないなと思います。
藤沢委員の話に戻ると、そういう意味で、この「トビタテ!留学JAPAN」が主導だと、今みたいな話も。ちょっとずれるので。
【船橋委員】  別の方がいいのではないかと。ただ、我がチームのノウハウは十分に生かされると思いますし、連携は十分にできますし、一緒にメッセージを出していくのは大事だとは思います。明確な理由はないんですけれども、余り一緒のイメージは持っていません。そのぐらい、もっと大きな話かもしれない。メッセージがぶれるのはよくないかなと思います。
【鈴木座長】  どうぞ。
【宮城委員】  やはり具体的な一歩をどう踏み出すかという意味において、とても大事な議論だと思うんですけれども、私は踏み出すことが大事だなと思うので、そういう意味で、例えば国民運動というと、またゼロから立ち上げるのは非常に重たいと、なかなか進まないという意味で言えば、留学JAPANの流れの軒を借りてスタートするというようなことも、ある種の便宜上というか、戦略としてありではないかなと私は思います。ただ、完全に一緒にできる活動ではないと思うんですけれども、留学促進という話と官民連携の教育プログラムというような意味で言えば、後者の点で言えば共通しているので、完全に。そちらの面で連動して何かスタートをしていくという踏み出し方はありかなと思いますが、それで、留学JAPANの動きでこれを全部賄えるというわけではないと思うので、私は、いずれにしても何かしらの一歩をこの年度に踏み出すビジョンができる、あるいは踏み出すことができるということは、是非前提として議論が進めていけたらということは願っております。
【鈴木座長】  どうぞ。
【砂田委員】  今の、一歩あるいは国民運動とか、あるいは濱田総長が言われた社会が若者を育てるという部分でちょっとお話ししたいのですが、実は国際ボランティアのNPOなどと、もう過去2年、夏に「ギャップイヤー・フェスタ」というイベントをやっています。これは代々木のオリンピック記念館を借りて100人くらい集客があり、2年連続で実施していますが、それはこれから旅立つ人たちに対して、経験者が語ったり、あとはメンターとなって相談するような会です。去年初めて、この検討会議で私が紹介したようなものを中心に「ギャップイヤー白書」という小冊子を無料で配って、親などに対しても、啓発を行いました。
ですから、国民運動の一歩としては、例えばここにおられる検討会議に関わられた皆さんから協力を得てそ、れをもっと大きくしていくというのは安上がりで、時間も稼げますし、元々の母体がありますから、そういうものを活用しただけるのではとお示ししたいと存じます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
時間がもう差し迫っておりますけれども、よろしゅうございますか。本当に多岐にわたって御意見あるいはお考えを頂きまして、事務局の方もこれを全部盛り込むというのはなかなか大変かなというふうにも思いますが、しかし皆さんの熱意が非常に伝わってくる最終回になったというふうに思っております。
本日御審議いただきました意見のまとめ(案)は、委員の皆様から頂いた、先ほど申し上げたように多様な御意見を頂きましたので、これは難しいことではありますけれども、事務局にこれを反映していただきますけれども、なるべく御意見を入れるというふうな方向で考えたいと思いますが、修正につきましては座長である私に御一任いただけるでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【鈴木座長】  ありがとうございます。そういたしましたら、そのように取り扱わせていただきまして、今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
【猪股大学改革推進室長】  今回頂いた御意見を踏まえて、事務局にて意見のまとめ(案)を修正の上、座長の了解を頂きましたら、委員の皆様方にも確定したものを送らせていただきたいと思っております。
また、資料2として、前回の議事録をお配りしております。資料の冒頭に記載しておりますとおり、修正箇所などがございましたら、4月24日木曜日までに事務局の方へ御連絡くださいますよう、よろしくお願いいたします。今回の議事録につきましても、作成次第、また別途御連絡を差し上げたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  上野大臣政務官には、もう熱心に御参加いただきましてありがとうございます。最後にお言葉を頂きたいと思います。
【上野大臣政務官】  皆様、大変積極的な、そして前向きな御意見をありがとうございます。おかげさまで第5回目、まとめることができました。
ただ、私としても皆様方の御意見をお聞きして、文科省としてまだまだ課題のあることも実感いたしました。とても印象に残っている皆様方の御意見の中には、大学も変わるべきであるということ、大学の中でどうも周りの大人が構え過ぎて、学生が過保護に育っているのではないかと、大変これがズキンときまして、大学も、そして社会全体も、もちろん国もですが、学生に親切過ぎるのはいけない。もうちょっとサバイバルに、積極的に学生が動けるような方向性を持っていかなければいけないということも実感しました。
また、このギャップイヤーが、本来であれば大学生の必修となることを望んでおるという皆様方が多かったという中で、これからそれをどのように導入していくか。まずできるところからさせていただきたいと思いますが、それにはやはり、人間として成長するために、まず、多くの皆さんからあったように、初等中等教育の中での取組もしていかなければ、そこで子供たちの考えが変わらなければ、今のような過保護な大学生はそこで急に変わることはできないというのを実感しまして、もちろん体験学習等、初等中等の方でも導入はしていますが、さらにもっと将来につながるような、子供たちが留学したくなるような、また子供たちがインターンシップをしたくなるような、さらには奉仕活動をしたくなるような体験学習をどんどん取り入れていくべきだと私は実感したところです。
そして、このギャップイヤーという学外学修プログラムにおいては、普通の授業と異なって、決して答えが出るというものではなく、成功するばかりではなく失敗をすることの方が多いということを実感しておりますので、その失敗から学ぶこと、そこまで子供たちが発展することで成功とみなさなければいけないのではないかなと思います。つまり、子供たちが学外の体験を通して、自分が人間としてこのようにならなければいけない、この失敗を経験にもっと人間として大きくならなければいけないと、達成感や考え方が変化しただけで、それだけでやはり、私は、十分にいいと評価するようなシステムも考えていかなければいけないのではないかなと思っております。
とにかく皆様方の御意見を聞いて、私も一人の母親ですが、全ての大人がもっと考え方を変えて、子供たちに人間として何が必要なのかと、おまえたち、もっと自分で、先ほど先生、どなたかがおっしゃいましたけれども、かわいい子には旅をさせろ、はまさにそのとおりで、行ってみろ、やってみろ、体験してみろ、悲しくなったら帰ってきていい、けがしたら帰ってきていい。でも、けがもなく、悲しくもなかったら、もっとどんどん前へ進んでいけという、そのようなサバイバル的な人生を歩めという発信も必要ではないかと実感したところです。
最後になりますが、このギャップイヤーの導入、ここで皆様方のお話ししたことが、さらにほかの、「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムにも連携することができ、さらにまたそれがどこかにつながっていって点と点が線で結ばれていくこと、それが私たち、一番大事だと思っていますので、大変参考になりましたので、これを是非とも利活用して、行動に、実行に結び付くようにさらに頑張っていきたいと思いますので、さらなる御指導、御支援、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
それでは、5回にわたりまして御出席を賜りました学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議は、これで散会といたします。
ありがとうございました。

―― 了 ――

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高等教育局大学振興課大学改革推進室

(高等教育局大学振興課大学改革推進室)