資料3-3 これまでの主な意見等について

1.原因の分析関係

(1)問題冊子配付トラブル

1.大学、試験監督者への周知関係

  • 個別大学における事前の準備・研修の取り組み方やマンパワーによっても、大学間の差が出たのではないか。
  • 高校や予備校・塾では、変更内容等を十分確認の上、綿密な受験指導や模擬試験に活かした。予備校・塾で行った模擬試験ではトラブルはなかったことに鑑みれば、大学の理解・準備不足が主な要因ではないか。
  • 試験室の配置等を含めた試験運営に関する具体的内容について、大学入試センターから各大学に提示される時期が全体的に遅かったことや、追加的な指示が直前まであったことも一因ではないか。
  • 大学では、十分な実施体制を構築するようにはしているが、どうしても一部には習熟できない監督者が残ってしまう。
  • 大学入試センターから試験室の配置の提示があったのが12月中旬であったため、担当試験室ごとに異なる説明事項を監督者個々に周知する時間が十分にとれなかった。

2.マニュアルの記載内容関係

  • 監督要領には、少なくとも「試験開始前に2冊同時に配布する」との明確な記載はない。監督者向けにより丁寧な記載・説明が必要だったのではないか。
  • 問題冊子等配付確認表の現物を試験監督者が見るのが試験当日であったことも一因ではないか。

3.その他

  • 問題冊子が1冊となっていれば今回のミスは起こらなかったのではないか。
  • 受験パターンの異なる受験生が同一試験室へ配置されたことなど、実施方法の複雑化も要因ではないか。
  • 実施方法の複雑化が要因という意見もあるが、多くの大学ではミスはなく、また、同一大学内でも試験室によって状況が異なる。原因究明には、各試験室の状況を大学から聞く必要があるのではないか。
  • 大学関係者が受験生の立場に立って真剣に取り組めば、起こりえない単純ミスが要因であり大きな問題。
  • 大学としては「やらされている」という意識はない。ミスを起こすと大学名が出るため、特に私学としては真剣に取り組んでいる。
  • 大学側にも「慣れ」によるところがあり詰めが甘かったと言わざるを得ない。
  • 今回の科目選択範囲の拡大については、高校での多様な学習の成果を発揮及び把握できるようにするという今回の改正の趣旨は理解し、受験生側及び大学側のいずれにとっても意義があったと考える。
  • 今回の大きな制度変更に見合うだけの準備期間が足りなかったのではないか。今回の実施方法が示されて以降、大学関係者の中でも懸念の声はあった。
  • 大学入試センターは、枠組みを変えた場合には、あらゆるリスクを事前に洗い出しておくべきであった。

(2)試験時間の繰下げ

  • 試験開始前の20分の説明時間に対して説明内容が多すぎたのではないか。
  • 説明が終わってすぐ試験開始だと落ち着いて試験に取り組めないので少しでも間がほしいという意見がある。
  • 試験方法の変更により、1つの試験室に多様な配付パターンの受験生が在室したことも問題冊子の配付が滞った原因ではないか。
  • 当日の問題訂正紙の配付が重なったことも試験時間繰下げの一因である。
  • 60分の試験時間が確保できたとしても、受験生の微妙な心理状態に悪影響を与えることについて、実施大学及び大学入試センターは十分に配慮すべき。

(3)その他

  • リスニングは、毎年何らかのトラブルが発生しており、やめたらどうかという意見があるのは事実だが、国際コミュニケーション能力、リスニング能力を高めていく工夫が必要なことは明白。その能力把握をセンター試験で行うか否かは様々な考えがあるが、センター試験でのリスニングテストの導入が高校教育や高校入試にも好影響を与えているのは間違いない。
  • 高等学校段階における基礎的な学習の達成度を図るという観点からは、リスニングは必須。
  • リスニングという異なる試験形態のものをセンター試験という一つの枠の中で行うことについて検討の余地があるのではないか。
  • トイレ退室が許可された試験室と許可されなかった試験室があり、生徒からの不満も出ている。取扱いを統一する必要がある。
  • 事前の説明のための時間から終了後の答案回収の時間まで含めれば160分間となり、その間トイレを我慢させることは難しいのではないか。
  • 中間時間におけるトイレ退室に対応するための人員配置について、センターからの指示がなかったことも要因。

2.再発防止関係

(1)問題冊子の形態

  • 問題冊子の合冊化、もしくは、全員に全冊子を一律に配布してはどうか。
  • 合冊は分厚くなり扱いづらくなるのではないか。また、「地理歴史」「公民」は別教科というコンセプトと矛盾するのではないか。
  • あわせて事前登録制の見直しについても検討が必要。少なくとも「地理歴史、公民」については、1セットとして登録するように変更すべき。

(2)試験監督者に対する周知方法の改善

  • 実施方法の早期決定、事前研修の徹底、監督者のスキルアップや配置の見直しが必要。
  • 試験監督に向かう直前に、前年度からの変更点や留意事項を具体的に提示した資料を渡すなどの工夫をしている大学もある。

(3)試験監督者用マニュアル(監督要領等)の改善

  • 試験実施マニュアルの簡素化が必要。
  • 試験前の説明について、重要なポイント以外は文書配付や事前周知などにより工夫し、試験開始直前の注意事項はできる限り簡素化することが必要。

(4)試験時間割等の設定方法の改善

  • 説明時間が増えれば、受験生の負担が増加することにも配慮が必要。
  • 試験時間の開始直前に伝える必要がある内容以外は、受験票送付時や当日に受験生にペーパーを配布し確認させることで、時間短縮が可能ではないか。
  • 日程が全体として短縮されたこと、1日目が文系科目、2日目が理系科目となったことは受験生の立場からは評価されており、留意が必要。
  • 試験日程の設定に当たっては、十分なシミュレーションを行うことが必要。
  • 中間時間にトイレで退出する者に対しては何らかの対策が必要。禁止できないのであれば答案回収配付と付添いに両方対応できるような方策を定めるべき。

(5)各大学内での各試験場、各試験室への輸送の改善

  • 気仙沼高校会場における輸送トラブルについては、東北大学が検証結果をまとめており、このような形で出すことが次の防止につながるのではないか。

(6)大学入試センターと各大学の間の連絡体制の改善

  • 大学入試センターにおけるトラブルへの対応策等の意思決定の在り方についての検証及び改善策の検討が必要ではないか。

(7)実施方法の検討プロセス等の改善

  • 事前に実際に実施する立場の関係者の意見を反映することが必要ではないか。
  • 模擬試験の段階で発見された問題点など、予備校関係団体と意見交換を行う機会を設けることも考えられる。

3.中長期的な課題について

  • 基礎的な学習の到達度を判定するというセンター試験の趣旨にかんがみれば、実施する試験科目についてもっと簡素化することも検討すべき。
  • 各大学はそれぞれのアドミッションポリシーに基づきセンター試験を利用しており、複雑化するのは当然の流れではないか。
  • 本来は、多様な学力を見るために個別試験がしっかりと行われるべきであり、各大学においてアドミッションポリシーを一層明確にして、過度にセンター試験に頼らないことが重要。
  • 平成27年度、28年度の新学習指導要領への移行に伴う試験方法等の変更に際しては、受験生の負担とならないよう配慮が必要。
  • 共同実施ということへの意識の低さ、試験監督者説明会への参加態度等については、センターと大学との共同実施という実施形態そのものが適当かという枠組み自体についての検討が別途必要。
  • リスニングテストは導入されてから7年がたつが、果たしてこの方法がいいのか、なぜトラブルが起きているのか、高校教育への影響、英語能力の向上等これまでの成果も検証した上で、実施の可否も含めてあらためて検討すべき。

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