資料5 「平成24年度大学入試センター試験に関する検証委員会」における主な意見等(第1回~第3回)

【2科目受験導入の意義や準備状況等】

  • 高校教育での多様な学習の成果を発揮及び把握できるようにするという今回の改正の趣旨は理解し、受験生側及び大学側のいずれにとっても意義があったと考えるが、今回の実施方法が示されて以降、大学関係者の中でも懸念の声はあった。
  • 事前シミュレーションについては、第1・第2解答科目の間における解答用紙の回収・配布、また、試験開始前の注意事項説明等に必要な時間設定については、それぞれ平成23年2月及び平成23年6月に検証を実施。その結果、今回の時間配分で実施可能と判断したが、特に、試験開始前の20分間については、検証が十分でなかったと認識。

【トラブルの発生要因について】

  • 大学としても、直接的には大学側の理解不足と受け止め。また、試験室の配置等を含めた試験運営に関する具体的内容について、入試センターからの提示が遅かったことなども要因ではないか。
  • マニュアルには、少なくとも「試験開始前に2冊配布する」との明確な記載はない。監督者向けに、より丁寧な記載・説明が必要だったのではないか。
  • 206ページにもおよぶマニュアル(監督要領)がどのように使われたのか、周知徹底が図られたのか確認が必要。
  • 問題冊子が分冊であったこと、受験パターンの異なる受験生が同一試験室へ配置されたことなど、実施方法の複雑化も要因ではないか。
  • 事前の準備・研修の取り組み方やマンパワーによっても、大学間等で差が出たのではないか。
  • 高校や予備校・塾では、変更内容等を十分確認の上、綿密な受験指導や模擬試験に活かした。模擬試験ではトラブルはなかったことに鑑みれば、大学の理解・準備不足が主な要因ではないか。
  • 大学としては「やらされている」という意識はない。ミスを起こすと大学名が出るため、特に私学としては真剣に取り組んでいる。
  • 実施方法の複雑化が要因という意見もあるが、多くの大学ではミスはなく、また、同一大学内でも試験室によって状況が異なる。原因究明には、各試験室の状況を大学から聞く必要があるのではないか。

【受験生の立場に立った対応】

  • 受験生の立場に立って取り組めば、起こりえない単純ミスが要因であり大きな問題。
  • 「共同実施」という位置づけの中、入試センターでは細部にわたり取り組んでいると感じているが、一方、大学においては、改正内容や必要な対応等について、全ての監督者等まで学内で行き渡っていなかった面があるのではないか。
  • 大学側にも、「慣れ」によるところがあり詰めが甘かったと言わざるを得ない。

【再発防止に関する提案】

  • 問題冊子の合冊化、もしくは、全員に全冊子を一律に配布してはどうか。
  • 合冊は分厚くなり扱いづらくなるのではないか。また、「地理歴史」「公民」は別教科というコンセプトと矛盾するのではないか。
  • 実施方法の早期決定、事前研修の徹底、監督者のスキルアップや配置の見直しが必要。
  • 試験開始前の注意事項説明、解答用紙の回収・配布等に係る時間配分の見直しが必要。
  • 説明時間が増えれば、受験生の心理的負担が増加することになる点などにも配慮が必要。
  • 毎試験時間の開始直前に伝える必要がある内容(例えば、携帯電話の取扱い)を除く共通事項は、受験票送付時や当日に受験生にペーパーを配布して確認させることで、時間短縮が可能ではないか。

【その他】

  • 事前登録制の見直しについても検討が必要。

【センター試験のあり方、リスニング】

  • 今回のトラブル発生は、これだけの規模で一斉に実施し、かつ、大学・高校の多様なニーズに応えていく、という現状の限界を露呈したということか。そうでなければ、改善方策を検討すれば良いが、限界というのであれば試験のあり方の議論が必要ではないか。
  • 事前準備、事前研修等を徹底しても、センター試験の実施に係るトラブルの完全防止は困難。実施方法やセンター試験のあり方そのものをシンプルにする努力をすべきではないか。
  • リスニングは、毎年何らかのトラブルが発生しており、やめたらどうかという意見があるのは事実だが、国際コミュニケーション能力、リスニング能力を高めていく工夫が必要なことは明白。その能力把握をセンター試験で行うか否かは様々な考えがあるが、センター試験でのリスニングテストの導入が高校教育や高校入試にも好影響を与えているのは間違いない。
  • リスニングについて、高校教育への影響等これまでの成果をきっちり検証した上で、実施の可否も含めてあらためて検討すべき。

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