平成24年度大学入試センター試験に関する検証委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成24年4月9日(月曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 平成24年度大学入試センター試験に関する検証の論点整理について
  2. その他

4.出席者

委員

相川委員、及川委員、岡本委員、佐野委員、佐藤委員、長澤委員、城井大臣政務官

文部科学省

板東高等教育局長、常盤審議官、池田大学振興課長、平野入試室長

オブザーバー

木苗静岡県立大学長、荒井試験・研究統括官(大学入試センター)

5.議事要旨

 (○:委員、●:大学入試センター、□:事務局)

1)事務局より配布資料について説明の後、独立行政法人大学入試センターから3月30日(金曜日)に取りまとめられた「平成24年度大学入試センター試験の実施に関する検証報告書」について説明後、主に次のような質疑応答があり、検証内容については概ね妥当とされた。

○ 大学入試センターの検証報告書の記載内容について、国立・私立大学いずれも設置試験室数は4,000室台で同じという記載と国立では試験室数及び監督者数が多いという記載があるが、国立と私立の試験室数は同等だが監督者数では国立が多いということか。

● 試験場となる大学数は国立80大学に対して、私立は約400大学であり、国立大学一大学当たりの試験室数や監督者数では、私立との間に大きな差があるという趣旨。

 

2)事務局より資料4~6について説明後、主に次のような意見があった。

○ 意見として6点申したい。1点目は、センターの検証委員会報告書からも今回のトラブルは受験生側の問題ではなく、一義的には実施者側にあり、その改善をいかにするかということ。

  2点目は、マニュアル以前に実施責任者それぞれがチェックすべき配送時の確認等、ヒューマンエラーを未然に防止するための基本的な確認をきちんとすること。

  3点目は、変更に伴う説明事項の増加が試験実施を煩雑にさせるマイナスのスパイラルに陥っており、試験実施方法の変更点を特に明示して周知徹底するという基本に戻り、マニュアルの見直しが必要ということ。

  4点目は、大学の良い事例、悪い事例の共有の仕方について、全国レベルである程度の類型化をして、監督者に分かり易く提示するということ。

  5点目は、実施方法のみの改善だけではなく、実施方法そのものを簡素化していくところを基本に据え、全面的に実施方法を組み直すぐらいの気持ちで改善すること。

  6点目は、次回の試験で改善して終わりではなく、実施方法を変更して最も影響を受ける受験生の立場から少し長い目で当分の間はフォローをすべき。

○ 基本となる実施大学の緊張感の維持に最も重要な役割を担っているのは、学長等管理運営組織のリーダーの態度や思想や発言。実務面では、入試センターからの説明や膨大なマニュアルなどを監督者等に伝達する実施実務のキーパーソンが重要。そういう者を大学が任命することについて、改めて重責を感じた。個別大学の事例は、学内でメリハリをつけて説明するためにも、より分かり易く大学に提示してほしいが、この資料は今後どのように扱う予定なのか。

□ 検証委員会の提言に活かし、巻末資料として抜粋したものを掲載したいと考えているが、ある程度組織的に取組事例を収集し、大学に提供していくべきというご趣旨であれば、検証委員会としての提言という形にすることも考えられる。

○ 地理歴史と公民の問題冊子を合冊にすればトラブルが防げるという意見について、入試センターの検証ではどのような議論があったのか。

● 合冊することにより同じ試験室に複数の問題冊子配付パターンの受験者が混在するなどの実施上の複雑さ、監督業務の負担、受験者の不安が相当部分解決されるのではないかという意見があった。合冊化には、10科目分の試験問題が1冊になるため、受験者が解答したい科目を見つけにくくなる点など考慮の余地はあるが、いずれにしても、簡素化の手段を講じていく必要があるということであった。

○ 各方面からの要望に対応するためにセンター試験が複雑化することが受験生にとって本当にプラスになるのか。保護者の立場からは、各大学が求めている学生像は、2次試験でそれぞれの大学が把握すべきだと思う。新学習指導要領に対応して平成27、28年度のセンター試験がまた複雑になれば、受験者に負荷がかかるのではないかと危惧している。

● センター試験の前身である共通一次試験は、同じ試験を一律の受験方法で実施していたため、複雑さは不要だった。しかし、単一の評価尺度で受験者を評価することに対し、国民の側からストップがかかった。序列化解消のためには、PISAのような資質追求型の試験も選択肢としてあるだろうが、高校で学ぶべき教科、科目の知識内容が放置されるということが一方で起こり得る。大学教育を受ける上で必要な能力をどのように把握・評価するかということと、そのことで受験者の負担を増やしてしまうというジレンマを打開できる方策について、ご意見を参考にさらに考えていきたい。

○ 中長期的な大学入試センターのあり方を議論する場で検討し、多様性を評価するために子供たちに大きな負荷がかからないシステムをぜひご検討してほしい。

○ 高校と大学それぞれにおける学力担保、そこをつなぐ入試のあり方のところは決着が必要という認識のもと、文部科学省の大学改革タスクフォースという場で議論を進めている。

○ 選択肢の多様化と、その結果としての試験の複雑性は全く違うと思う。選択肢の多様性があればこそ、結果としての試験はシンプルさが求められる。選択肢が増えたなら入試センターが制度だけではなく、マニュアルや事前の説明会、スライドの作成等、重点項目を中心に分かり易くできないかということも含めてシンプルな方法で試験を提供することに傾注してもいいのではないか。

○ 問題冊子の合冊化はこの委員会で決める性質のものではないが、マニュアルや試験前の監督者への説明の簡略化ということは提言できるのではないか。

○ 今回のように試験当日に百何十件も一度に電話が来れば電話回線はともかく人的に対応できないのは明らかだが、具体的な対応は考えているのか。

● 最も迅速に対応可能なのはインターネットによる情報収集と発信と考えており、早急に着手したいと考えている。また、日常的にセンターと大学の実施担当者や高校側との間でいかにスムーズなコミュニケーションを取るかがリスクマネジメントの基本と考えている。

○ 試験実施大学から入試センターへの報告は、例えば東北地区に東北地区本部の大学を置いて、まずはそこで情報集約し、問題が発生した場合は速やかに報告してもらうという対応もあるのではないか。

● 試験実施上問題のない案件は事後報告とし、まず事故等が起きた情報に対処するため、今までの報告とは順序を入れ替えてはどうかという議論はしている。

○ 報告書については、中長期的なセンター試験のあり方を触れざるを得ないかもしれない。また、マニュアルの考え方、連絡体制の考え方を変えるという可能性や受験者や大学へのフォローをどうやっていくかを提起することも考えられるのではないか。

○ センター試験の性格を考えると、高校生の履修形態に応じて複雑になっていくのは宿命だと思う。この検証委員会で是非、センター試験の性格を改めて明確にする必要性があるのではないか。単にマニュアルが膨大化したために変更点が徹底できずトラブルが発生したのではなく、センター試験の性格上実施方法が複雑化し、問題が起こっているということを指摘したほうが、中長期的な大学入試選抜のあり方ということも含めて考えられるのではないか。

 

・事務局から今後の日程について説明後、閉会。

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