平成24年度大学入試センター試験に関する検証委員会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成24年3月16日(金曜日)10時~11時26分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 平成24年度大学入試センター試験において発生したトラブル等に関する関係団体からのヒアリング(一般社団法人国立大学協会、全国高等学校長協会、社団法人全国学習塾協会)   
  2. その他

4.出席者

委員

相川委員、及川委員、岡本委員、佐野委員、長澤委員、藤原委員

文部科学省

板東高等教育局長、常盤審議官、池田大学振興課長、袖山高校教育改革PTリーダー、平野入試室長

オブザーバー

柴田試験・研究統括官(大学入試センター)

5.議事要旨

(○:委員、●:大学入試センター、□ヒアリング団体代表者、:■事務局)

1)事務局より配布資料について説明の後、各団体から平成24年度大学入試センター試験において発生したトラブル等について意見表明があった。

(全国高等学校長協会(以下「全高長」という))

□ 今回の試験実施方法の変更は、両日とも一日の日程が短くなったこと、1日目が文系の科目、2日目が理系の科目に集約されたことなど、受験生にとって負担軽減になったことを評価する意見も多くあった。

□ 試験実施方法の変更等により、試験開始前の20分の説明時間に対して、説明内容が多過ぎるのではないかという意見が多かった。生徒からは、試験時間ごとに同じ説明が繰り返されてうんざりしたという意見や、説明が終わってすぐ試験が開始されると落ち着いて試験に望めないので少しでも間が欲しい、という意見があった。

□ 試験前の説明で、重要なポイント以外は文書配布や事前周知などにより、説明の時間や量を減らす工夫は出来ないのか。

□ 試験時間の繰り下げについては、試験開始時間の遅れが受験生の動揺につながり、当該教科だけではなく、その後の教科の受験にも影響したという声もある。試験時間を確保できたので問題はないという入試センターや大学とは認識が異なる。

□ 地理歴史と公民が分冊になっているが、両方一緒に配付した方が良いのではないか。

□ 地理歴史及び公民から2科目を受験する者(以下「2科目受験者」という。)は、第1解答科目の答案回収と第2解答科目の解答用紙配付のために設けられた10分間と試験開始前の説明20分を加えると合計150分拘束されることになるが、その間トイレを我慢させることは適切なのか。また、トイレ退室を許可された試験室と許可されなかった試験室があると聞いており、生徒からの不満が出ている。

□ 事前登録制については、現役の生徒は10~11月頃が一番成績が伸びてくる時期になるが、10月初めに受験教科を決定しなければならず、登録後の変更もできないために併願の可能性が狭くなってしまっている。

 

(社団法人全国学習塾協会(以下「全塾協」という))

□ 大学は、問題冊子の配付方法や同じ試験室に受験パターンの異なる生徒が混在していることを認識したシミュレーションをしていなかったのではないか。

□ 2科目受験者の第1解答科目の答案回収と第2解答科目の解答用紙配付のために設けられた10分間について、1つの試験が終われば、トイレに行きたいという生徒が多いと思うので、何らかの措置を考える必要があるのではないか。

□ 志望校の変更や私大の合格状況によっては、受験生は受験科目を変更する可能性がある。10月のセンター試験出願時から登録科目が変更できないという取扱い、また、大学が第1解答科目の得点を利用する方式を採用したことなどが、受験生が出願時の第1解答科目を決定する際に、非常に大きなウェートとなったようである。

□ 今後、新学習指導要領の改訂に伴い試験実施方法等の変更がある場合は、出来るだけ受験生のストレスにならないような方法を考えてほしい。

 

(一般社団法人国立大学協会(以下「国大協」という))

 □ 各国立大学は、今回のトラブルについて、自主的に検証を行っており、国大協として、各大学の検証を取りまとめた上で分析し、入試センターとの緊密な連携のもと、今後の再発防止に全力を挙げたい。

 □ 2科目受験者の第1解答科目の答案回収作業中に、トイレ退室希望者がいた場合、退室を禁止できないのであれば、答案回収作業と退室の両方に対応できるような方策をきちんと整理するよう監督者から強い要望がある。

 □ リスニング機器の輸送ミスについては、大学における確認作業を検証し、次年度以降、同様のことが絶対起きない仕組みについて、センターと協議を重ねて、確認していきたい。

 □ 問題冊子の配付ミスは、地理歴史と公民の問題冊子を同時に配付することについて監督者が理解不十分であったことによる。センターとも協議しながら、試験方法の周知徹底プロセスについて、大学として責任を持って対応したい。

 □ 試験開始時間の繰り下げは、確認に時間がかかる配付方法に変更したほか、不正行為に関する注意事項等の説明が昨年より増えた上に、当日の問題訂正などが重なったため、説明時間が足りなかった。

 □ 今回のような問題冊子の配付ミスは、地理歴史と公民の冊子を合冊にすれば、ほとんどが解消できるのではないか。

 □ 試験時間の繰り下げについては、受験生への説明内容を厳選するなど、監督者は安心して監督でき、また、受験生も安心して受験できるような仕組みについて、入試センターと協議を重ねていきたい。

 

2)各団体からの意見表明後、主に次のような意見があった。

(トラブルの原因)

 ○ トラブルが発生した試験室でどういうことが原因で何が起きていたのか、逆にこういう取り組みをしたので、トラブルは起きなかったという事例を国大協における取りまとめのときに紹介してほしい。

 

(その他)

 ● 事前登録の導入は2年前から予告していた。地理歴史と公民の取扱いについて、当初は社会科として同じではないかという大学側の考え方で進めていたが、検討過程で、センター試験は高等学校学習指導要領に準拠して実施しており、学習指導要領では地理歴史と公民は別教科とされていることを踏まえるべきとの指摘を受け、最終的に、別教科として取扱うことになった。

 ● 監督要領には、監督者が受験生に問題冊子が行き渡っているか確認する旨明記されているが、試験終了後に指摘を受けて必要な問題冊子が配付されていないことに気付いたという事例もあった。起こり得るはずもないことが起こってしまったというのが当事者としての実感。

 

(今後の改善策)

 □(全高長) その場で受験生に言わなければ効果がない事項は説明が必要であるが、それ以外の説明内容については、常識の範囲内であれば、文書を事前に配付するだけでもよいのではないか。

 □(全塾協) 例えば、不正行為の取扱いについて、受験生に対して事前に提示していたという確証が必要なのであれば、試験前に印刷物で配付し、試験開始前に確認させるよう指示をすれば済むのではないか。

 □(全高長) 地理歴史と公民を合冊にすればかなり厚くなる。個々の受験生でみると、使用する箇所はそのうちの僅かであり、受験生は使いづらいという印象を持つだろう。

 ○ 合冊にすると、一つの冊子に掲載される問題数が多くなり、受験生は余計混乱するのではないか。場合によっては、登録した科目以外の問題を解いてしまうことも懸念。

 □(全塾協) 地理歴史と公民は別教科にも関らず問題冊子を合冊にすることは、コンセプトが矛盾する。試験上の教科として社会科でひと括りにされるのであれば、合冊にして必要な科目だけ取れるような袋詰めにするなどでもいい。

 ○ 独法に課されているコスト削減の影響もあるのではないかと思うが、必要な費用はかけることを念頭に置きながら、公平な試験が担保できるというところにも傾注していいのではないか。

 

(センター試験のあり方、リスニング)

 □(全高長) 日本の英語教育において、聞いたり、話したりすることがもっと出来るようになる必要があると認識しており、リスニング能力を高めていくことは当然必要。センター試験でリスニングを導入したことで、大学における英語の語学教育にどう活用しているのか検証は必要だろうし、一方で機器のトラブルが多いからやめた方が良いという声もあるが、リスニングそのものは大事と認識。

 □(全塾協) リスニングは必要不可欠だと認識。日本の子供たちの学力低下は目を覆いたくなる状況。ハードルは高いほうが、それに向かって子どもたちは一生懸命に取り組むし、大学入試のレベルが高校・中学のレベルを決定するので、影響は大きい。センター試験でリスニングが導入されたときは感動した。リスニングだけに限らず、できるだけ高いレベルを維持して、国際競争力をつけて欲しい。

 ○ リスニングに関しては、高等学校段階における基礎的な学習の達成度を図るというセンター試験の趣旨から言えば当然必要。

 ■ リスニングを個別音源で実施することとした理由の一つには、一斉音源の場合、教室の座席配置による聞こえ方に課題があったことに加え、実際にトラブルが起きた場合、個別音源では機器を交換すれば解決するが、一斉音源では教室全体、場合によっては会場全体に影響が及ぶ。問題発生時のリスク管理という観点から個別音源の方が良いという判断もあった。

 ○ リスニングをセンター試験で実施することについて、受験生、大学教育、あるいは高校教育にとってどういう位置づけで、どういう効果があるのかを別途検証すべき。

 

・事務局から今後の日程について説明後、閉会。

 

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