A 基本事項

A1 薬剤師の使命

GIO

 薬学の歴史を学ぶとともに、国民の健康管理、医療安全、薬害防止における役割を理解し、薬剤師としての使命感を身につける。

(1)薬剤師が果たすべき役割

  1. 薬剤師の活動分野(医療機関、製薬企業、衛生行政など)と社会における役割について説明できる。
  2. 医薬品の適正使用における薬剤師の役割とファーマシューティカルケアについて説明できる。
  3. 医薬品の創製における薬剤師の役割について説明できる。
  4. 健康管理、疾病予防、セルフメディケーションおよび公衆衛生における薬剤師の役割について説明できる。
  5. 自殺防止、薬物乱用防止における薬剤師の役割を説明できる。
  6. 少子・超高齢社会など、現代社会が抱える課題について討議し、薬剤師が果たすべき役割を提案する。(知識・態度)

(2)医療安全と薬害の防止

  1. 医薬品に関わるリスクマネージメントにおいて薬剤師の責任と義務を説明できる。
  2. 医薬品が関わる代表的な医療過誤やインシデントの事例を列挙し、その原因と防止策を説明できる。
  3. 代表的な薬害の例(サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなど)について、その原因と社会的背景を説明できる。
  4. 代表的な薬害や重篤な副作用の例について、これらを回避するための手段を討議する。(態度)

(3)薬学の歴史と未来

  1. 薬学の歴史的な流れと医療において薬学が果たしてきた役割を説明できる。
  2. 薬剤師の誕生と変遷の歴史(医薬分業含む)を説明できる。
  3. 将来の薬剤師と薬学が果たす役割について討議する。(態度)

A2 薬剤師に求められる倫理観

GIO

 倫理的問題に配慮して主体的に行動するために、生命・医療に係る倫理について学び、医療の担い手としての感性を養う。

(1)生命倫理

  1. 生命の尊厳について、自らの言葉で説明できる。(知識・技能・態度)
  2. 生と死に関わる倫理的問題について討議し、自らの考えを述べることができる。(知識・技能・態度)
  3. 科学技術の進歩、社会情勢の変化に伴う生命観の変遷を概説できる。

(2)医療倫理

  1. 医療倫理に関する規範(ヘルシンキ宣言等)について概説できる。
  2. 薬剤師が遵守すべき倫理規範(薬剤師綱領、薬剤師倫理規定等)について説明できる。
  3. 医療の進歩に伴う倫理的問題を説明できる。

(3)患者の権利

  1. 患者の基本的権利の内容を説明できる。(知識・技能・態度)
  2. 患者の自己決定権とインフォームドコンセントの意義を説明できる。(知識・技能・態度)
  3. 知り得た情報の守秘義務と患者等への情報提供の重要性を理解し、適切な取り扱いができる。(知識・技能・態度)

A3 信頼関係の構築

GIO

 患者・生活者、他の職種との対話を通じて相手の心理、立場、環境を理解し、信頼関係を構築するために役立つ能力を身につける。

(1)コミュニケーション

  1. 意思、情報の伝達に必要な要素について説明できる。
  2. 言語的および非言語的コミュニケーションについて説明できる。
  3. 相手の立場、文化、習慣などによって、コミュニケーションのあり方が異なることを例を挙げて説明できる。
  4. 対人関係に影響を及ぼす心理的要因を概説できる。
  5. 相手の心理状態とその変化に配慮し、対応する。(知識・技能・態度)
  6. 適切な手段により自分の考えや感情を相手に伝えることができる。(技能・態度)
  7. 適切な聴き方、質問を通じて相手の考えや感情を理解することに努める。(技能・態度)
  8. 対立意見を尊重し、協力してよりよい解決法を見出すことができる。(知識・技能・態度)

(2)患者・生活者と薬剤師

  1. 患者や家族、周囲の人々の心身に及ぼす、病気、ケアの影響について説明できる。
  2. 生活者・患者・家族の心身の状態や多様な価値観に配慮して行動できる。(知識・技能・態度)

A4 多職種連携協働とチーム医療

GIO

 医療・福祉・行政・教育機関および関連職種の連携の必要性を理解し、チームの一員としてのあり方を学ぶ。

  1. 保健、医療、福祉、介護における多職種連携協働、チーム医療の意義について説明できる。
  2. 多職種連携協働、チーム医療に関わる薬剤師及び各職種、行政の役割を説明できる。
  3. 自己の能力の限界を認識し、状況に応じて他者に協力・支援を求める。(知識・技能・態度)
  4. チームワークの重要性を理解し、チームの一員としての役割を積極的に果たすように努める。(知識・技能・態度)

A5 自己研鑽と次世代を担う人材の育成

GIO

 生涯にわたって自ら学ぶことの必要性・重要性を理解し、修得した知識・技能・態度を確実に次世代へ継承する意欲と行動力を身につける。

(1)学習の在り方

  1. 医療・福祉・医薬品に関わる問題、社会的動向、科学の進歩に常に目を向け、自ら課題を見出し、解決に向けて努力する。(知識・技能・態度)
  2. 講義、国内外の教科書・論文、検索情報等の内容について、重要事項や問題点を抽出できる。(技能)
  3. 必要な情報を的確に収集し、信憑性について判断できる。(知識・技能・態度)
  4. 得られた情報を論理的に統合・整理し、自らの考えとともに分かりやすく表現できる。(技能・態度)
  5. インターネット上の情報が持つ意味・特徴を知り、情報倫理、情報セキュリティに配慮して活用できる。(知識・態度)

(2)薬学教育の概要

  1. 薬剤師として求められる基本的な資質について、具体例を挙げて説明できる。(知識・態度)
  2. 薬学が総合科学であることを認識し、薬剤師の役割と学習内容を関連づけることができる。(態度)

(3)生涯学習

  1. 生涯にわたって自ら学習する重要性を認識し、その意義を説明できる。(知識・態度)
  2. 生涯にわたって継続的に学習するために必要な情報を収集できる。(技能)

(4)次世代を担う人材の育成

  1. 薬剤師の使命に後輩等の育成が含まれることを認識し、ロールモデルとなるように努める。(態度)
  2. 後輩等への適切な指導が実践できる。(技能・態度)

お問合せ先

高等教育局医学教育課