薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成25年12月2日(月曜日)17時30分~19時30分

2.場所

旧文部省庁舎2階 第1会議室

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に向けた作業について
  2. その他

4.出席者

委員

市川座長、太田副座長、吉富副座長、赤池委員、井関委員、伊藤委員、井上委員、入江委員、奥委員、永田委員、長野委員、奈良委員、平井委員、松原委員

文部科学省

中岡大臣官房審議官、袖山医学教育課長、平子企画官、丸岡薬学教育専門官、日下部技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省 医薬食品局総務課  田宮課長補佐

5.議事録

【市川座長】  定刻より若干前でございますが、全員おそろいということでありますので、第10回の専門研究委員会を開催いたします。
 まず最初に、事務局から委員の出席状況及び配付資料について、御説明をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  本日は中山委員が御欠席でございます。
 事務局で異動がございましたので、紹介いたします。まず、7月から、前任の山野審議官に替わり中岡審議官が就任いたしました。中岡審議官は所用により、遅れて出席させていただきます。また、10月から、前任の村田課長に替わり袖山課長が就任しております。
【袖山課長】  袖山でございます。よろしくお願いします。
【丸岡薬学教育専門官】  続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料は、1枚目が会議次第でございます。資料1として、「薬学教育モデル・コアカリキュラム(案)【改訂案からの修正見え消し】」でございます。資料2として、「改訂案(平成25年10月)からの主な修正点」の1枚ものでございます。資料3として、「パブリックコメントにおける意見」でございます。資料4として、「薬学準備教育ガイドライン(例示)(案)」でございます。資料5として、「薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)(案)」でございます。資料6として、「薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念と利用上の留意点について(12.2案)」でございます。資料7として、「薬学実務実習に関する連絡会議について」でございます。資料8として、「今後の想定される検討スケジュール」でございます。
 机上資料として、紙ファイルの机上資料と、コアカリキュラム薬学、医学、歯学の冊子を配付させていただいております。
 不足等ございましたら、随時おっしゃっていただければと思います。
 以上でございます。
【市川座長】  ありがとうございます。
 今日の議事は御案内いたしましたようにまず最初に、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に向けた作業について、長時間かけて行います。その後にその他ということで、時間があれば連絡事項を含めて行いたいと思います。
 早速議事の最初、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に向けた作業についてということで、最初にパブリックコメントを踏まえた修正について御議論いただきたいと思います。
 前回のこの会議以降の状況ですけれども、前回のときにも言いましたように、各大学等へアンケートを試みて、その結果を踏まえてコアカリキュラムの具体的な改訂作業、修正作業というものを、日本薬学会の作業チームにお願いをして、作業チームが8月いっぱいをかけて、鋭意努力していただきまして改訂していただきました。そして9月に、その改訂案の全国説明会を実施し、その後10月に入りまして、その内容について文部科学省においてパブリックコメントを実施して、その改訂案に対するいろいろな意見が寄せられたことに対して、今日の御議論などを含めて、修正が必要なところは修正していこうというのが、今日の姿勢であります。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  説明いたします。今、座長から御説明がありましたように、コアカリ改訂案につきましては、10月17日から11月6日まで、文部科学省のホームページにおいてパブリックコメントの手続を行いました。これに関係する資料でございますが、資料1でございます。これは10月にパブリックコメントを行った際の改訂案から現在までの修正を、朱書きで見え消しにしたものでございます。資料2の1枚ものでございますが、こちらはその修正部分につきまして、主なものを抜粋したものでございます。資料3はパブリックコメントで提出された意見の一覧でございます。
 資料3に沿って説明させていただきます。こちらの表の「種別」というのは、事務局で便宜的に付させていただいたものでございます。
 内容を簡単に説明させていただきます。まずナンバー1と2につきましては、基本的な資質の修正や追加を求めるものでございます。それからナンバー3以降の意見は、コアカリの案について追加ですとか変更、あるいは削除を求めるような意見が出されております。
 様々な意見がございまして、例えばナンバー6ですとか7あたりですと、少し臨床のことに振った内容にした方がよいのではないかというような意見が出されております。またナンバー8でございますが、アゴニストやアンタゴニストの説明について、修正した方がいいのではないかという意見がございます。また5ページのナンバー19以降、次ページの22番までは、医薬分業についてもう少し文言や説明を加えた方がいいのではないかという意見でございます。また次の7ページのところ、ナンバー23は専門用語の表記について整頓を図った方がよいという意見で、いろいろ御意見を頂いております。
 これ以降は、薬学教育の内容、在り方ですとか、あるいは実務実習に関する様々な意見を寄せていただいております。
 これを踏まえまして、資料1と2でございますけれども、特に専門用語の指摘につきましては、薬学会の先生方とも相談の上、修正すべきところは事前に修正させていただいて、その修正案ということで盛り込ませていただいています。また薬学会において、準備教育ガイドラインですとかアドバンスト教育ガイドラインを検討されていた中で、やはりコアのところをちょっと直した方がよいという意見も幾つかありましたので、そういったものを修正として盛り込ませていただいております。
 パブリックコメントで出された意見のうち、専門用語に関するところについては若干修正させていただきましたけれども、内容に係るところについては特段、事務的には直しておりませんので、特に取り上げる必要がある意見がありましたら、この場で御議論いただければと思います。
 なお補足でございますけれども、今日は添付しておらないのですけれども、このコアカリを最終的に出すときには、この委員会の名簿あるいはその上の検討会の名簿といったようなものを、一番後ろに添付して出すという形になるかと思っております。
 資料の説明は以上でございます。
【市川座長】  資料についてはあらかじめ先生方にもお配りさせていただいていると思いますけれども、今の御説明の部分を含めて、自由な討論をお願いしたいと思います。
【松原委員】  このコアカリを作っていくところで、Fを作ったのはこの中で僕と永田先生の2人ですが、Fを作っていったときちょっとだけ留意事項があって、セルフメディケーションと在宅医療が、今月までに日本薬剤師会は本当に実習ができることを示していただければ、アドバンスに回すという条件で作られたことを御留意いただきたいと思います。現在、実習率が非常に低いので、薬剤師会が本当に1万人の学生に対して実習を提供できるのであれば、内容は大事なので、それは残すべきだし、ただ大事だからといってできないものまでコアカリに加えてしまうと、一番の目的である実習の不公平感をなくすというところから外れてしまうので、アドバンスに回した方がよかろうということで、日本薬剤師会に、今の学生を対象として実習が本当に、集団学習でなくて実習が提供できるというものを今月示すというのが条件です。そうしないと、薬学部がカリキュラムを来年から改訂できないということですが、それは伝わっていないようなので、永田先生、そうでしたよね。
【永田委員】  その点につきましては、私がいなくなった後で議論された内容ではないですか。
【松原委員】  あ、いらっしゃらなかった。決まったことです。はい。
【永田委員】  決まったことと言われましても、実習の中で実施率が低いというのは何を根拠におっしゃっているのかが分かりません。まずは、実施率が低いという根拠をお示しいただけませんか。全てSBOで対応しておりますし。
【松原委員】  根拠は、最初の年にやられた調査、病院薬剤師も含めた調査の中で出ていました。全員ができることが最も大事なことなので、できるかどうかという担保をしてくれないと大学側は困るという意見が非常に多く出されました。ではそれをちゃんと提示するということで、とりあえずはここの中に残しておきましょうという話合いになって、最後決めたんです。それはFの責任者に聞いていただければ結構です。
【永田委員】  今の例えば一般用医薬品の関係であれば、これは協力薬局等で実施をしているわけですから、SBOで実施をしていないというのは、ほぼないはずです。もう一点、在宅医療に関しては、現行のSBOの中で見ますと「説明ができる」です。ですから既に在宅等に行っている学生がいるのであれば、現行のLSから見てもアドバンスとして対応しいる部分でありまして、実際には「説明できる」という、SBOには対応しています。そういう面から見て、現行でやっていないというのは、何を根拠に言われているのかがやはり問題です。
【松原委員】  いや、私に言われても仕方ないので。
【永田委員】  だから、そういうふうに。
【松原委員】  Fの委員長、鈴木先生にそれを、今月までに御回答いただかないと、ここの部分が今、Fを作ってきたグループの中でもペンディング事項になっていますので、それは私に言われてもしようがないので、Fの委員の先生方に言って御了解をとっていただかないと、ちょっと困るという話です。

【松木氏】  よろしいですか。薬学会としましては、その報告のときに特に条件は付けなかったんですが、ただ実務実習については個別に、特に個々の項目に限らず全体的に現在も実施している薬局と、していない薬局が非常に多いということで、それを何とかしてほしいということを言って、多分きょう出てきている資料7の連絡会議とかそういうようなところでやってくださるということであって、実は改訂作業はもう薬学会の手は離れているので、今ごろFで薬学会というふうに出されても、ちょっと困るんですけれど。出したところで薬学会の役割は終わりというふうに私は理解しております。そのときに、特にこの項目についてはいつまでに何かないといけないというようなことは、していないというように私は理解しております。
【赤池委員】  私も今、松原先生がおっしゃっているところに、薬学会側の委員としてですけれども、同席していた立場で参加しました。松原先生がおっしゃっていたことはそのとおりで、ただちょっとニュアンスがいろいろあったように、私は思います。少なくとも委員会としてそのときにお願いしたのは、特に資料1の70ページ、71ページに相当する部分だと思いますけれども、こういったところがかなり現行のものよりも、実際に体験するという形で、内容が実際に行うというか実際にその場で見学するということになってきたことに対して、現行でどうのこうのということではなくて、変えた場合に、やはり今は地域によって対応し切れるところとし切れないところが出てくることが懸念されます。それに対して、全国でこれができないと、実際にコアカリとして採択された場合、大変なことになりますので、それについて12月中にはこのコアカリが決定されますので、それまでにきちっと、できるということを実際の証拠も含めて提示していただきたい。そういうことだったというふうに理解しています。
【松原委員】  そういうことで、一応それを待つということになっていたのですが。【赤池委員】  ですから、薬学会の責任とかそういう意味ではなくて、それで出していただけるということになったという、そこのところは私もそういうふうに理解していますので、恐らく出てくるのだろうということで、よろしいのではないでしょうか。
【松木氏】  どこに出てくるんですか。この委員会ですか。薬学会も受託事業としてはもう終了したという認識なので。ですから、また来年度もやれということならば、あれですけれども。
【松原委員】  いや、そうではなくて、そのときの分は多分、12月に確定する前にこの部分をアドバンスに移すか、ここへ残すかを決めていただきたいというような、そういうニュアンスだったんだろうと思います。
【赤池委員】  少なくとも薬学会は手を離れていまして。ただそれが逆に、薬剤師会の中で協議はされているはずなのですけれども、永田先生は御存じでしょうか。
【永田委員】  薬学会のお話は私がいなくなってから、高橋委員からそういう話があったということは、確認をとっております。そういった中で、我々はセルフメディケーションと在宅医療に関してはアンケート調査をするように今進めていますし、日本再興戦略で、いかに薬局を活用してやっていくかという流れになっていますし、更に地域包括ケアの中で、薬局を活用した在宅医療についてどのように進めるかという議論が進んでいるわけでありまして、六者懇の中で、どういう対応をしていくかというのは説明させていただいたと、こちらは理解をしております。
 つまり何か証拠を出せと言われて、今実施している率を出しても意味のない話でありまして、松木先生がそのときにおっしゃったのは、平成28年ぐらいからは対応できるような体制を組んでいただきたいということで、いま、日本薬剤師会はその方向に向けて努力をしているという現状であります。それで、いわゆる地域で包括的に活動する薬局を1万5,000軒まで増やすという目標が示されているわけですから、そういう努力を続けていくということになるかと思います。ですから、今、現状のことを出しても余り意味がなくて、平成28年度にどうなっているかというのを想定で出すということになりますと、それもまた余り意味のないことではないかなと思っておりますが、どんどん進んでいるんだ、平成28年にはその対応ができるんだ、そして平成31年に向かって全ての薬局で実施できる体制を組むんだ、そういう流れになると思いますが。
【市川座長】  今、永田委員に聞くのは変なんですけれども、やはり日薬としてこの材料は提供されている、情報は入っているわけですね。
【永田委員】  はい。
【市川座長】  それでモデル・コアとして、資料1の最後の70ページ、71ページに地域医療とプライマリケア、セルフメディケーション、これに関しては特段問題がなく、という理解で、特にパブコメの方でも問題がなかったということで、理解してよろしいですね。
【永田委員】  はい。
【市川座長】  そうしたら、現在のいわゆるモデル・コアの中にある地域医療とプライマリケア、セルフメディケーションはこのままでよいという理解です。
【松原委員】  いや、すごく大事なことで入れてほしいですが、本当にできないと、大学側が授業を組めないので困るので、是非その現時点でもできるかどうかということを示していただきたいという、特に大学側からの御意見がすごく強かったように、僕は記憶しています。
【赤池委員】  例えば1万人の学生がいて、1万軒のリストを出してくださいとか、そういうような意味ではありません。ただ少なくとも現行で、極めて実施が困難なものを、こういうコアカリとして入れることについても、いろいろと御意見が出ていたように私は記憶しております。
 そういった中で、例えばグループ実習も含めていろいろな工夫をすれば、現行の体制の中でも実施可能なはずです。特にそのとき話が出て私の中で記憶にありますのは、地域によって大分格差があって、高い方はいいんですけれども、低い方でもグループ実習等で行えば現行でも十分に対応は可能であろうと。そういったものについて地域ごとに調べていただいて、こういった形であったら実施が可能でしょうというのを、そのときただ、どこに出しましょうとか、具体的にどういう資料を提出しましょうとか、そこまでの具体的な話はなかったと思いますけれども、ただそういったものを提示されるということであったというのが、少なくとも私の理解です。それはもう薬学会の手を離れますので、こちらの文部科学省の委員会の方に、何らかの形で出てくるのかなというような理解でおりました。それは、ただ今、永田委員もおっしゃっていましたような、将来当然これは工夫されてできるようにならないと困るんですけれども。
 ただ、現行でも極めて難しいものについては、やはりここに入れるということについてのいろいろな議論があって、それについては現行でも、先ほど申し上げましたように、ある程度工夫をすれば実施可能な範囲のものがここに、コアカリとして上がっているという。というような議論をされたと思います。
【永田委員】  極めて難しいのではなくて、あくまでも地域間格差だと思います。地域によってできにくい施設が存在することは、それは事実だと思います。だからそのできにくさをどのように解決するのかということになると、それは地域の薬剤師会が中心となって、協力薬局を求めて対応していくことから始まり、あと二、三年のうちにはそれぞれの薬局が在宅訪問が実施できるように変わるでしょうから、そういった対応を個別にできるようになっていくというふうな流れになるんだろうと思います。これはまさに、昭和50年の医薬分業の開始のときに起こった状況が、徐々に解決されるように、同じように在宅医療でも進んでいるんだと、そういうふうに理解をしています。
【松原委員】  ここで議論してもしようがないですので、是非そういった大学の先生方、教育を担っている先生方は不安に思っていらっしゃるので、何かそういった方策を御提示いただき、残すのは構わないですし、御提示いただきたいということだけでございます。
【市川座長】  現時点ではモデル・コアとして差し支えがあるかどうかという問題で、実施ができるかどうかというのはこれから、検討される主たる場所として新六者懇、後で資料7のところで少し関係すると思いますけれども、実務実習に向けての各機関の協力体制を含めて、具体化のお話が進んでいくのではないかというふうに理解しております。
 この段階では今の日薬の関係のというのも、永田委員の方から、一応モデル・コアとしてはいいんだということで理解されているということで、私たちは理解する以外ないですし、薬学会としては、一応これで終了したということなので。
 あと松原委員がおっしゃったとおり、大学関係者はそれに対して非常に高い関心、これに限りませんけれども、実務実習における地域差、施設差とかいろいろな問題が今、薬学教育協議会の方でいろいろまとめられている話もありますから、そんなことを含めてできるだけそれがないような形で、今後の実務実習を進めていきたいということで、この場はモデル・コアだけに限らせていただきます。
 では、そういうことで御理解いただいて。ほかに何かありますでしょうか。
 はい、どうぞ。松木先生。
【松木氏】  この改訂案で四つほどあるんですけれども、よろしいですか。資料2の方がいいですね、この1番の、医療機関のほかに薬局を入れることについて、薬局はもう既に医療機関であるというふうに医療法で、違うんですか。
【市川座長】  医療提供施設ということで。
【松木氏】  医療提供施設は医療機関とは違うんですか。
【永田委員】  違います。
【田宮課長補佐】  違います。
【松木氏】  はい、分かりました。
 アゴニストとアンタゴニストの日本語表記で、アゴニストのところに刺激薬というのが入っているんですけれど、多分薬理だと、これに対応する言葉はスティミュラントであって、作動薬、作用薬がアゴニストの訳で、アンタゴニストは拮抗(きっこう)薬。遮断薬はブロッカーの方のあれだと思うんです。19ページと39ページに出てくるところですね。でもまあ、これはちょっとマイナーなところなので。
 あともう一点、この資料2の一番最後のところの、「基本的な統計量」の前に「臨床研究における」という言葉を入れていて、本当に基本的な統計量は、別に臨床研究に限らず同じなので、ここに「臨床研究における」と入れるのであれば、その後の項目にも入れないと非常に変な感じがしますし。「意味と違いを説明できる」ということなんですが、説明できるというのは意味を説明できないと意味がないので、二つ以上の項目がある項目はほかにもあるので、そこにやはり全部「意味と違い」ということを入れなければいけないし、「説明できる」というのは、全てを含んでいる表現ではないかと思います。それから「信頼区間」をわざわざ削る意味が、その理由がちょっとよく分からないんですけれど。
 もう一点がその前の、資料2には載っていないんですが、55ページの薬事法が改正されたときの、「医薬品・医療機器法」ではなくて、これは正式な名称が、もうちょっと長いのが付いていますよね。だからそれにすべきだと思います。
 以上です。
【市川座長】  薬事法のところですね。はい。これは赤池委員がお答えになられると思うのですが。
【赤池委員】  まず19ページの松木先生が御指摘になった部分ですけれど、確かにいろいろと御意見があった場所でして、経緯だけ申し上げますと、19ページの一番上ですね、「1.代表的な受容体のアゴニストとアンタゴニストとの相違点について、内因性リガンド」云々(うんぬん)と書かれているところに、括弧付きで書かれているものです。最初提示しましたのは、日本語がないアゴニストとアンタゴニストだけで提示しておりました。これは日本語訳を付けるといろいろな御意見が出るだろうということも含めて、単純にこういう形でお示ししました。そうしましたところ、各大学から御意見が出た中で、薬剤師国家試験で刺激薬、遮断薬という言葉を基本として用いるので、それを付記してほしいという要望がございまして、それであれば括弧付きで入れようということで付記したという経緯がございます。そうしましたら、今度パブリックコメントで、アゴニストの正式な訳名は作動薬と拮抗(きっこう)薬であるという御意見が出まして、それでやむを得ず、もう両方入れてしまえということで、入れたという経緯でございます。そういう各大学の御意見、パブコメに引っ張られて全部入れてしまったということですので、もし削るのであれば削ってもいいですし、入れるのであれば、もう両方入れるより仕方がないのかなということでございます。
 いかがでしょうか。
【松木氏】  そうしたら、アゴニストに作用薬も入れてほしいと思うんですけれども。
【赤池委員】  作用薬、作動薬。
【松木氏】  作動薬、作用薬も結構使いますよね。
【赤池委員】  はい。
【松木氏】  だから、入れるなら三つと。
【奥委員】  生化学辞典で調べるとアゴニストは作動薬、作用薬、アンタゴニストは拮抗(きっこう)薬、遮断薬として記載されているという情報は、委員の方に回しました。刺激薬は出ていませんが、先ほどの理由で載せるのかなと思ったのですが、それでよいですか。
【松木氏】  ええ、だから作用薬も入れてほしいと思うんです。
【赤池委員】  せっかく入れるのでしたから、「作用薬、作動薬、刺激薬」というふうに入れたらいかがでしょうか。それか、もう全部削ってしまうかなんですね。
【市川座長】  実際問題として、国家試験の場合は先ほどの言葉でわざわざ書いてあるんですか、アゴニスト、アンタゴニストには括弧で。
【赤池委員】  いや、ではなくて、アゴニスト、アンタゴニストという言葉は使われていなくて、刺激薬、遮断薬という言葉で使われていると。そのために、それを入れてほしいという要望が大学からございまして。もちろんコアカリですから、国家試験と別といえば別なんですけれども、やはりそこは考慮したということでございます。長くはなりますけれど、いずれも重要な用語ですので、もしよろしければ今の訳語を全て入れるという。
【市川座長】  ほかのところにも入れた方がいいという意見がもし出てきたら、入れなければいけないことになってくるので。
【赤池委員】  アゴニスト、アンタゴンストについては、ここ以外は出てきませんので。
【市川座長】  ほかは出てこないですね。だからほかのところにも付けるかどうかの問題ですね。片仮名用語のときに。
【赤池委員】  ただ、アゴニストとアンタゴニストという概念は、こういった薬物の作用を理解する上で極めて重要なものですので、こういう言い方が妥当なのかどうか分かりませんけれども、いろいろな具体的な、例えば受容体、シグナルとかいろいろなところでの専門用語とは少し意味が違う、要するにそういった全体をくくるような、非常に大きな概念のものであるということですので。
【市川座長】  混乱が起きる可能性もあるという。
【赤池委員】  少し説明的にこういったものが入るということがあっても、私は差し支えないのではないかとは思います。ただ、もとは極めてシンプルに、アゴニスト、アンタゴニストにしておりました。それに、また逆にいろいろな御意見に引っ張られたのも委員会側の、批判をもし受けるのでしたらそこのところはあると思いますけれど。ただ、少なくとも学生さんが分かりやすいように、説明としてよく使われる日本語を入れるとすれば、ほかの部分がなくてここの部分だけあるということであっても、それは先ほど言いましたように、意味するところが非常に大きなものを意味していますので、区別はできるのではないかというふうには思っています。
【市川座長】  なるべく全国の教育のレベルで、その三つの語句が該当していることを、強いて教えたいという意図があって入れているという理解でよろしいわけですね。
【赤池委員】  はい。
【市川座長】  そういうのは特にこだわりませんけれど、三つも違う語句があるのは、いいのかなと思います。
【永田委員】  関連ですが、よろいしいですか。さっきの薬事法規の関係ですけれども、5ページと6ページにもやはり同じように、薬事法に関係する表記、丸2の1番と、次のページの7番というのがあるんですが、これ「現薬事法」ではなくて、この時点では「旧薬事法」になりませんか。その方が正しい表記なのかなと思うんですが。
【市川座長】  はい。薬事法に関しては。
【丸岡薬学教育専門官】  このあたりのところは技術的な話ですので、確認しまして表現を統一させていただきたいと思います。
【市川座長】  はい。
【永田委員】  それともう一つよろしいですか。Fのところで、細かいんですけれど「処方せん」と、今はほぼ漢字を薬事法でも使われているので、これは平仮名表記よりも漢字表記という形になるでしょうか。
【松木氏】  今、多分「処方せん」は、大学の方ではみんな平仮名を使っていると思うんですけれども、私、漢字を使ったらわざわざどこかで直された覚えがありまして。
【松原委員】  国家試験のときも、今年の出題でも「箋」は平仮名を使うことという、厚生労働省からの指示が出てございます。
【市川座長】  そうしたら「箋」は平仮名を使うということにします。
 それでは、ほかにございますか。
【松木氏】  先ほど指摘させていただいた、資料2の一番最後の11番の扱いを明確にしないと。「臨床経験における」を入れるかどうかと、「信頼区間」を削るかどうか。
【市川座長】  赤池委員からですか。資料2の一番最後、11番のE3(1)丸5-1というものですが。
【赤池委員】  十分に経緯を把握していませんけれども、どういたしましょうか。56ページですね。もとは当然「信頼区間」は入っていまして、「を説明できる」ということでいきましたので、この委員会でそちらの方が妥当であるというか、よりよいということでしたらば、この部分については訂正を入れない、もとのままでいくということもあり得るかと思います。
【吉富副座長】  修正前の方がいいですよね。
【太田副座長】  修正前の方がいいような気がしますよね。
【赤池委員】  それでは松木先生の御指摘のように、修正前のままでということで。
【市川座長】  「臨床研究における」という言葉も、ここに使ったらほかにも使わなければいけないということですね。そうしたらもう前のままにしていくということで、よろしいですかね。この方が分かりやすいと。
【赤池委員】  はい。
【市川座長】  整合性ですね。 ほかに。
【吉富副座長】  資料2の1ページ目の6番ですけれど、何か違和感があったんですけれど。「脂質、糖質、アミノ酸、タンパク質、若しくは核酸」と、これ、どれか1個でいいんですか。
【奥委員】  どれか1個でいいのです。それが前の書き方だと、全部やらなければいけないようにとられるということで御指摘を頂きまして、いろいろ考えていただいて、これがいいのではないかとなりました。どれか一つやっていただければいいだろうと考えています。
【吉富副座長】  はい、分かりました。
【赤池委員】  あと、よろしいでしょうか。
【市川座長】  今の関連で、私も気になったところがあって。その後の言葉、「又は」となっていますね。「定性又は定量」と。アドバンスを見ると、これは「及び」になっているんだけれども、その「又は」というのと「及び」というのとの違いというのは。
【奥委員】  定性か定量、どちらかできればいいのではないかなということで、「又は」にしました。定性、定量両方やった方がいいという意見が強ければ、「及び」にします。
【市川座長】  実はそのままアドバンスにあるのです。4項目に分かれていますけれども、核酸まで入って、ありました。
【奥委員】  そうですね。アドバンストでは全部やってほしいと考えています。
【市川座長】  場合によっては例えば変な話、定性だけという言い方もできないことはないと。
【奥委員】  定性だけでもいいと思うんですけれど。要するに生体試料を全く扱わないで卒業してほしくないということです。
【市川座長】  気になったのが、共用試験などの場合、範囲の問題として「若しくは」があると、どういう言葉になるのか。どれか一つやればいいということになるわけだけれど。
【奥委員】  技能だから、多分、教養試験には余り出てこないと考えています。
【市川座長】  はい。分かりました。
【赤池委員】  先ほど御指摘があった部分で、たしか5ページに該当する部分だろうと思うんですけれども、現薬事法と旧薬事法というところですけれども。私の理解がもしかしたら間違っているかもしれませんが、一番下の丸2の【医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保】云々(うんぬん)の中の、最初の1番のSBOで、これは今もう法律は変わったんですかね、薬事法で。要するに再生細胞組織というのが第三のカテゴリーとして加わったということが、多分今の議論に出ていたように思うんですけれども。
【田宮課長補佐】  現状を御説明しますと、改正薬事法は成立しているんですけれども、その施行はまだですので、改正薬事法の施行とこちらの公表のタイミングとの関係で、どういう形で書くのが適切か、あるいは施行後のことも考えてそういうことを文部科学省さんと、表現ぶりについては調整するのかなというふうに理解しています。
【赤池委員】  第三のカテゴリーは極めて大きな変更になります。それで実際にこのモデル・コアカリキュラムが運用されるのが、具体的には2年後ということになります。しかもこれは薬学と社会の部分ですので、学生さんがどのタイミングで習うかというのは非常に難しいですけれども、今後二つのカテゴリーが三つになって、これはもうずっといくということが想定されますので、そういう意味では、何らかの形でそこの部分を入れ込んでおいた方がいいのかなというふうに、私は思います。例えばただし書でも何でも結構だろうと思うんですけれども。
【市川座長】  その辺は法的な問題もちょっとあるので、両者で話し合っていただいて、実際やるときにはもうそうなっている可能性が高いわけですよね。
【田宮課長補佐】  そうですね。調整させていただければと。
【市川座長】  お願いいたします。
【花井氏】  ここで医薬品・医療機器法と書いてしまっている限りは、この法にはもうあるんだから、普通にコアカリが施行されるときには医薬品・医療機器法の正式名称で、再生医療等製品はその中に当然あるので、再生医療等製品と入れておく方がいいのではないですか。
【田宮課長補佐】  はい、括弧書きに入りますね。
【花井氏】  そう思います。
【市川座長】  文言に関しては後で修正していただくということで、理解します。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは時間も押していますので、ここの委員会としてはこの形でいいということで、理解させていただきます。
 これは、今日の意見を踏まえて、コアカリの改訂を部分的に修正する必要があるところは修正させていただいて、薬学系人材養成の在り方に関する検討会に諮ります。それでその修正の方向に関しては、すみませんが副座長先生と座長の方で、責任を持ってやらせていただきますということで、御了解いただけますでしょうか。
                              (「はい」の声あり)
【市川座長】  そうしたら、ここで今の議題を終わりにいたします。
 次に、薬学準備教育ガイドラインを、日本薬学会で作成していただきました。これは、この委員会でもその準備教育を作ってほしいという依頼をしたわけですけれども、その内容について松木先生から、御説明をお願いいたします。
【松木氏】  お手元にある現在のコアカリの冊子の後ろの方の、現行の準備教育ガイドラインと比べていただけると分かりやすいと思うんですが、それぞれの項目についてGIOを付けました。それからあとは、(2)として人の行動と心理ということで、これを入れるようにという御指摘がありましたので、それに関して入れたということです。基本的には今のガイドラインを参考にしながら、改訂を進めたというところです。
 それから(3)は、今までの薬学英語入門を、薬学の基礎としての英語という形で書いてあります。その後は、薬学の基礎としての物理から化学、生物という形で入っております。
 個々の細かな点は説明は省略いたしますが、あと(7)は、今まで(6)になっていた薬学の基礎としての数学と統計学というところで、これも項目は少しずつ見直していますけれど、そんな大きな改訂はないと思います。
 それからその後、今まではITとなっていたもので、(8)として情報リテラシーという形で入れました。それから、今まで(8)プレゼンテーションとなっていたのを(9)としてプレゼンテーションという形で、それぞれの項目を見直して、新しいコアカリの案に合わせてすっきりした内容になっていると思います。
 以上です。
【市川座長】  どうもありがとうございました。「薬学準備教育ガイドライン(例示)」というのがこれでまとまったと思いますが、これをお読みいただいたところで何か、この場で御意見はございますでしょうか。
 この辺を基盤にして各大学で、準備教育というか、教育力も含めてしていただければと思います。それで、前のときも大体よく似たような形でまとめられているので、流れとしては特に大きく変えたものではないということもあります。このままこれを準備教育ガイドライン(例示)として公表するということで、よろしゅうございますか。
                              (「はい」の声あり)
【市川座長】  ありがとうございます。
それでは準備教育ガイドラインは、これを認めるということにいたします。
 今の内容も人材養成の検討会に諮って、そこで認めていただくということになります。もし修正についてありましたら、そこは座長、副座長に一任させてもらうということにいたします。
 その次の議題でありまして、薬学アドバンスト教育ガイドラインについて、御議論いただきます。これも本委員会から日本薬学会において、現在のモデル・コアカリキュラムとはまた別個に、アドバンス教育ガイドラインを作成していただきたいという話をいたしまして、作っていただきました。
 松木先生の方から、これについてお願いいたします。
【松木氏】  はい。資料5ですけれども、これは今までのガイドラインとはかなり異なる内容になっております。モデル・コアカリキュラムを議論していく上で、これはモデル・コアというよりもアドバンスであろうというようなものとか、そういうようなことで比較的簡単に決まるのかなと私は思っていたんですが、そうではなくて、それぞれの項目について非常な議論がありました。と申しますのは、コアカリとアドバンストはやはりオーバーラップしないものという感覚ですので、例えばコアカリの方に何々について概説できるというようなことに関して、それについて余り具体的なことをアドバンストに入れると、その具体的なことは、コアカリではないのかということになってしまいまして。ですから意外と作業が難しくて、当初の入れておいた項目よりは、減っていくような状況になりました。
 それから、もともとのコアカリが方略を余り意識していないということなので、それぞれの分野について書きぶりは違うかもしれません。
 それからそれぞれのところについて、どのコアカリと関連している内容かということで、関連コアカリのあるものについては書くようにしております。ですから、個々の具体的な説明は省きますけれども、それぞれの分野においてコアカリを読む限りは読み取れない、更にアドバンストの内容というような形で書いてあると思います。
 それから、Eの医療薬学ですけれども、特に薬理についてはコアカリで「説明できる」というところがあるので、それを更に進んでできるということを明確に書き分けることがなかなか難しいということで、逆に入れていないというところがあります。
 分量も、コアカリが7だったらこれは3なのかということがあるんですけれど、これを3にしてしまいましたら結局今までと全く同じで、これは全部やらなければいけないということになってしまうので、その中で各大学が自由にいろいろ選べるようにという形で、例示として出してあるというのが、我々が検討した案でございます。
 以上です。
【市川座長】  はい。ありがとうございました。
 それではこのアドバンストカリキュラムについて、御意見をお願いいたします。
 はい、どうぞ。奥委員。
【奥委員】  1点修正していただきたいのですけれども、7ページのC6の丸1の細胞膜のところは、E分野の方から重なっているという御意見もあって、コアカリの生物系委員会の方で精査していただきました結果、削除していただきたいということになりました。
【市川座長】  C6の丸1。
【奥委員】  丸1の細胞膜のところは全部削除と。
【市川座長】  はい。これがコアカリとダブっていると。
【奥委員】  はい。コアカリの方に、さっきの訂正で入れさせていただいたので。
【市川座長】  そうですね。これは削ると。
【奥委員】  はい。削るのを忘れていました。
【市川座長】  この次の2番のところもちょっとダブっているなというか、「及び」が気になって。
 アドバンストカリキュラムというのは、基本的には各大学が作り上げていくものであって、それをこの例示などを参考にしてされるものでありますので、特にいろいろなものを網羅的に入れる必要はないのではないかと思います。
 強いて言えばモデル・コアで入れたいけれども、なかなか入れにくかったもの、それがここに入っているのかなという理解を、私はさせていただいたんですが。
 特段御意見がなければ、このアドバンストカリキュラムはガイドラインでございますので、そういう意味での扱いとして、このような形で検討会に出させていただくということであります。またそこで議論があって変わるようなことがありましたら、座長、副座長に一任させてください。
 それではその次へ行きます。ここは少し御議論いただきたいものがあるんですけれども、基本理念と利用上の留意点についてということで、少し時間を割きたいと思います。
 まず事務局から資料6に基づいて、御説明お願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料6に基づいて説明させていただきます。これは7月に専門研究委員会、更にその上の検討会で修正していただいた案から、また今日まで更に追加、修正を行ったものでございます。
 2ページをお開きいただければと思います。こちらの下半分ぐらいのところに、7ページを参照するということを記載させていただいています。これは、コアカリ7割、それ以外を3割という考え方を書いていただいておりますけれども、大学関係者から分かりにくいというような話もありましたので、ほんのわずかですけれども説明を追加させていただいております。
 それから4ページをお開きください。この下のところに【「知識」、「技能」、「態度」の記述についての基本的な考え方】を追加させていただいております。これは薬学会において、それぞれのSBOに知識、技能、態度を付ける際に、基本的にはこのような考え方でやったということを、各大学の参考になるように追加させていただくというものでございます。
 それから5ページの下のところで、【アドバンストカリキュラムの設定】のところで、こちらも1行、「コアカリキュラムとは別に」というのを入れさせていただいております。これも先ほど申しました7割、3割のところをはっきりさせるために、入れさせていただきました。
 それから、めくっていただいて6ページでございます。下のところで【薬学準備教育ガイドライン】、こちらでも同じように、「コアカリキュラムとは別に」ということを入れさせていただいております。
 それから7ページ、【選択的な大学独自のカリキュラムの設定】でございます。こちらは、先ほど7割、3割の3割のところで7ページを参照するようにというふうに追加させていただきましたが、それがこの部分でございます。そのような前提で中身を読みますと、研究にかなり特化した内容になっておりましたので、このあたりは市川座長とも相談の上、このような形で修正案を用意させていただいております。
 それから9ページ以降でございますけれども、今回の改訂の概要ということで、改訂作業の具体的な内容につきまして、こちらは薬学会の調査チームでこの文章を作っていただきまして、入れ込むような形にさせていただいております。
 説明は以上でございます。
【市川座長】  はい、ありがとうございます。
 それではこの基本理念と利用上の留意点で、少し前のバージョンとは変更した部分がございます。一番は、今の説明にもありましたコアカリ7割と3割というところで、前の版ですと少し理解が十分しにくい表現が幾つかありました。その原因は今度のモデル・コアの場合A、B、C、D、E、F、GということでF実務実習とG薬学研究が入りました。この部分は前は入っていなかったというのが1点あります。加えて、薬学研究の部分と卒業研究と称している部分、それらをどのようにして切り分けて理解するのか、要するにGの中で、いわゆるモデル・コアとしてやっているのだから、卒業研究はしなくていいんだということになるのか、ならないのかということがあります。考え方としては、G薬学研究は薬学の6年制教育の中での考える力というか、あるいは問題解決型の力を得るための基礎的なところ、基盤的になるものをコアカリのGでやってほしい、研究の考え方とか、進め方とか、理解の仕方、そういうものをGのところでしっかりと学習し頂いて、あとは卒業研究のいわゆるアドバンスに対応するところで大学の個性的案運用で実施することになります。それぞれのカリキュラムの中で非常に重くしたいところは非常に重くしていくということが必要ではないか、というところで捉えてほしいということで、これは3割の方に入るという考え方です。ですから、Gが両方にある意味では入っているということになるということで、やはり薬学研究というのは非常に大事な意味を持っているので、そこをGだけにすると、じゃあ、モデル・コアにあるのだから7割の方だというような理解をされてしまうとちょっとまずいということで、その表現を変えるために、先ほど言ったように言葉に少し、いわゆる今で言う薬学研究という言葉に変えていったというところが違うところです。その辺を含めて、何か御意見をいただければと思いますが。
【松原委員】  文言の問題で。
【市川座長】  はい、どうぞ。
【松原委員】  7ページの下から2段落目のところで、「展望にも配慮した授業」で切れていますが、これは後ろが全部消されているのですが、どこへつながるのですか。
【丸岡薬学教育専門官】  その3行下の「病院及び薬局における」。
【松原委員】  そこまで、段が一緒になるということですか。
【丸岡薬学教育専門官】  消し方の関係で見えにくくなっておりますけれど、そのようにつなげているつもりでございます。
【奥委員】  やはり文言の問題ですけれども、「アドバンスト教育ガイドライン」とするのか、「アドバンストカリキュラム」とするのかというところが、コンセンサスが得られていなかったんですけれども、一応「薬学アドバンスト教育ガイドライン」の方がいいのかなという形で進めてきたので、5ページの【アドバンストカリキュラムの設定】というのは、【アドバンスト教育ガイドライン】の方がいいのかなという気がします。
【市川座長】  そうですね。この文言はちょっと統一する必要がありますね。
【奥委員】  アドバンストカリキュラムって言っていますよね、口語では。
【太田副座長】  文言を統一するためには確かにアドバンスト教育ガイドラインの方が良いと思います。
【奥委員】  どちらかに統一した方が分かりやすいかなと、ちょっと思いました。
【市川座長】  やはりガイドラインの方がいいですね。カリキュラムというと、何か強制的なものととられたら困るから。では薬学会の言葉の「薬学アドバンスト教育ガイドライン」に、ここは直します。
【吉富副座長】  それで「設定した」でいいんですか。「例示」というのと「設定」というのも、ちょっと。
【太田副座長】  ガイドラインだからいいんじゃないですか。「設定」しても。
【奥委員】  準備教育も。
【太田副座長】  準備教育は、準備教育で。
【吉富副座長】  まあ、これがインセンティブと分かれば、別にそれは構わない。
【奥委員】  「ガイドラインとして提示した」と。
【井関委員】  準備教育ガイドラインは「提示した」となっているから、これと同じでいいんじゃないですか。
【市川座長】  では「設定した」のところは、「提示した」にします。
 3割のところの卒業研究の位置付けというのも、このような表現でよろしいでしょうか。
                              (「はい」の声あり)
【市川座長】  はい、ありがとうございます。
 そうしたらもう一点は、「知識」、「技能」、「態度」のところで、これも新たに加えた部分ですけれども。4ページのところ、基本的な考え方。これは従来どおり、SBOの後、「知識」、「技能」、「態度」の記述がありますということで、あと括弧書きにないものはこういう意味合いであるということで、知識を主とするSBO、これも従来どおりの、位置付けはそういうことですね。それから説明するための何々ということで入れると。
 それから次の5ページの方で技能の説明が入って、それから態度の説明を入れると。両方ある場合には、その両方が評価の対象となるSBOであるというのが4番。それで5番のところで「上記に関わらず、技能、態度、あるいは両方を評価の対象とするが、知識も評価の対象となる場合には「知識」を共に付す」ということで。例えばの話で、油脂の変敗のときには変質試験を実施できる、知識・技能というのがあったら知識もここに入るというようなことですね。こんな例示を、ここに幾つか並べたわけですけれども。
 これを御検討いただいて、差し支えなければもうこのまま述べさせていただきますけれど。
 特によろしいでしょうか。なければ、確認していただいたということで、これも検討会の方に出させていただきます。
 そのほか、全体を通して。
【望月氏】  全体というわけではないのですけれど、16ページ、上から3行目ぐらいで「最低限共通して確保したい学習内容について括弧内に例示している。大学や施設によっては「代表的な疾患」や例示以外にも更に多くの目標の修得が可能と思われる。別記アドバンストの目標を参考に更に進んだ学修も積極的に行っていくことが望ましい」という。要するに大学と施設が話し合って、アドバンストに含むようなことも薬学臨床の中に入れてしまおうという。もちろんその前提としては、最低限共通したものはきちんとするということなんですが、この最後の「望ましい」というのが、何か紛らわしい気がします。これで競争しなさいというふうにとるのでしょうか。うちの施設はここまでできると大学に言って、こうすれば望ましいことができたと言わせたいのか、どういう意味にとったらよいのでしょう。最低限共通というのはモデル・コアだったら当然です。けれど余裕がある大学と施設は、更に上のアドバンストもそこでしましょうということです。そのあたりの意味付けはどういうことでしょうか。
 もう一つ言えば、そういうことも可能であるという言い方だったらまだしも、「望ましい」というと、やらなければ望ましくないという雰囲気が入ってしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【市川座長】  一般的に望むという意味でも使っているから。アドバンストの捉え方でしょうね。簡単に言えば。
【望月氏】  そうです。アドバンストとは、Fの実習の中ではなくて、例えば6年次であるとか、別の時間にすると思っています。
【市川座長】  それをつないで、やってほしいという。
【望月氏】  それも一緒にやってしまい、それが望ましいととると、これはきついという感じです。
【市川座長】  これは何か、ここのところ御意見ないですか。はい、どうぞ。松木先生。
【松木氏】  多分それはこの前の文章を受けているんだと思うんですね。大学や施設によっては可能で、そういう可能なところでは望ましいということなんだと思うんですけれども。それと関連することで、その7割ということに関しまして、実務実習は期限が決められているわけなので、その内容をその期限の7割でやって、残りをアドバンストでやるのかどうかということを言う人が結構いるんですね。我々はそういうつもりではなくて、実習でやる内容という形で書いたと思うんです。ただ今回の全体の文言を見ていると、モデル・コアカリキュラムは全体の7割であるという形で、その残りの3割をそれぞれの大学がという形になると、やはり全ての大学がその3割をやらなきゃいけないのかという形になって、実務実習のAからEはいいんですけれども、Fのことを何かこのことも含めて少し分かりやすく書いておいた方が、そういうことを言い出す人がいないのかなと思うんですけれども。
【松原委員】  いや、Fの場合は逆に、委員の先生方も多分7割だという認識で作られたんだと思います。
【永田委員】  いや、10割だったような。
【市川座長】  どうぞ、赤池委員。
【赤池委員】  私も、少なくともコアカリに書かれている内容は各項目とも、つまりEもFも7割だという理解で作業に当たりましたけれども。
【松木氏】  7割というのは内容ではないんですか。期間の7割ですか。
【赤池委員】  いや、もちろん期間ではなくて内容ですよね。
【市川座長】  単位数ですね、簡単に言うと。だから、卒業最低要件は186ですか、そのうちのほぼ7割の単位数という理解です。だから残り3割、大体50から55、6だと思うんだけれども、その中にいろいろなものが入って、その一つとしてアドバンストも入るし、今の卒業研究も入るということになります。実務実習のアドバンストがもしあるとしたら、そういうのも作られてもいいと。それはもう大学固有の問題として、取り扱ってよろしいというような理解だと思います。
【赤池委員】  実習自体の方略ですので、ちょっと矛盾ですけれども、ただいずれにしてもコアカリでFを考えたときには、方略はまた、それこそまた委員会が立つということで、そちらで考えるということですので、そういう意味では時間等は意識しないで、内容として、全体として、アドバンストも含めた10割に対して大体7割程度の内容ということで作業したと、考えております。
【奥委員】  ちょっとよく分からなかったので教えてほしいんですけれども。7割の方に入っているということはコアの方に入っていて、3割の方に入っていないという理解なのか、実習期間の中の更に7割をコアとして、3割はアドバンストをやるという意味なのか。今の言い方だと、最初の方でいいのですか。要するに、7割の方に入っている、つまり実習は10割全部コアの方に入っているという考え方でいいのですね。
【赤池委員】  すみません、今の10割というのは何が。
【奥委員】  要するにコアカリというか、全教科のカリキュラムの中の、7割がコアですよね。そこの中に入っているということは、そこでコアをやればいいわけですよね。そういう考え方なのか、実習そのものの中でも7割がコアで、3割はアドバンストをやるという意味なのか、全然違ってくるんですけれども、前者の方でいいんですねという確認です。
【松原委員】  いや、多分後者の方。
【奥委員】  後者の方ですか。
【松原委員】  じゃないですか。コアカリの内容は。
【奥委員】  そうすると、事前学習や何かいろいろやっているけれども、そういうのはコアとしてやっているわけでなくて、全て7割がコアで、3割アドバンストと考えるんですか。全部の科目。
【赤池委員】  ちょっと何かもう7割、3割の話がごちゃごちゃになってきてしまっていて、大分それぞれの言っている内容が違うように思うんですけれども。要するに全体としてこのコアカリキュラムに書かれている内容というのは、各大学が6年間通して行ううちの7割、おおよそですけれども目安として7割のものであると。それについては全ての項目について大体そのぐらいのめどで立てましょうということで、作業として大体そういうめどで行った。ただそれが本当に7割なのかどうかというのは、またこれは方略も含めていろいろ、立てられますので、結果としてどうであるかというのはまた別問題で、余り細かいことをここで議論しても、私は仕方がないように思います。
 ですから極端なことを言うと、方略の立て方によって、それが8割、9割に上がったり、6割に下がったりと、いろいろなことは当然あり得ると思うんですね。そこについては、特に実施について具体的に何をするかというのは、今度一律に更に考えていく必要がありますから、少し性質が違いますでしょうし、そこは今度これが確定した後で方略を考える委員会が、文部科学省の方で一応考えていただけるということですので、やはりそこでもう一回ちゃんと考える必要はあると思いますけれども。
 ただ、要するに方針として、コアカリキュラムの統一された方針の中で作業を行うという意味での7割であるということ。そういう理解でよろしいんですよね、松原委員。
【松原委員】  少しニュアンスが違いますが、大体そういった内容で、全てに関わる7割だという認識で。
【望月氏】  いや、何か分かりにくい。
【吉富副座長】  病院と薬局の実務実習というのは、全部のコアカリ原則11週間でやるというのが大前提ではないですか。11週間の7割をコアカリで、残り3割で何かするというのは、大学独自のカリキュラムの設定というのと、施設での実習はちょっとやはり違ってくるのではないですか。だからさっきの「望ましい」という意見をいいなと思ったのは、施設がアドバンストのことをやりたいときには、是非やっていただくというのはものすごく有り難いと思います。それが「望ましい」のは3割やりなさいというようなニュアンスになると、ちょっと僕は違うのではないかと思うんですけれど。
【松原委員】  それは今後の、方略を考えるときにどういうふうにするのか話し合うことですけれど、基本的に7割という考え方は、100人いて100人の学生にちゃんと提示できる内容であって、最初の話に戻ってしまいますけれども、例えば病院だったら院内製剤とかTDM、そういうものを全部アドバンスに回したんです。できない学生がいたら、そこにコアで残したとき、国家試験の問題の指定範囲にも重なったり、いろいろなことが出てくるので、そこは大学と協議しながら、その施設ができるところはできてもいいんだろうという話ぐらいまでしかしていなくて、実際のところは方略とかそういうところで、具体的にはどうしたらいいのか、それも含めて話し合ったらいいだろうということだったような気がするんですが。
【奥委員】  ちょうど今、吉富委員が言ったのが正しいというふうな理解をしていたんですね。要するに11週間はコアでやるという認識で、各大学独自の3割はほかで組むということだと思っていたんです。それでもし11週もその7割がコアであるのだったら、うちの大学は11週のうちの7割やって、3割は実習をやらないということも可能になってしまう。
 その11週の中で、余裕があるからアドバンストを入れてくれるなら、それは構わないと思うのですけれども、基本的に11週やるというのはコアの方に入っているのではないかという認識だったんですけれども、違うんですか。
【赤池委員】  いや、今かなり議論が混乱しているように思うんですけれど。ですからそれを言い出すと、もともとの作業の全体が崩れますので、そこの部分は方略に該当しますから、そこまで11週云々(うんぬん)というようなことは、当然6年の中で常識的にどのぐらいという期間は、当然想定はされますけれど、具体的にじゃあ、11週を動かすとか動かさないとか、そういう議論は一切、このFの作業の中で行ってというか、むしろ行わないと作業できませんから、むしろスリム化をして更に重複を避けて、更に病院、薬局ということも外して、全体として薬学臨床として何が必要であるかということで、立てたのがこの内容であるということですので、そこで今そういう議論をもし出されると、もともとの、全体の方針の中で動いているものも崩れますので、ここでは避けていただきたいと思うのですが。いかがでしょう。
【吉富副座長】  私が言った議論が、22週間を頭の中にすり込みとして議論しているからおかしいわけで、そこの部分も方略だというのであれば目標は目標として議論し、その方略のところは、もうちょっと別の視点で議論しないと駄目だということですね。
【赤池委員】  そうです。
【吉富副座長】  はい、分かりました。
【市川座長】  このSBOの深みや、到達目標の内容に関してはこれから検討しなければいけないと思うけれど、でもそれは7割の中でやってください、そこにはもちろん実務実習も入りますということだと思います。それで、独自教育その他を含めて3割があります。これは、そもそもがSBOに振り回された今までの教育というのは非常にまずいのだという反省が一番上にあって、それに伴ってスリム化という作業があって、できるだけコアカリはエッセンスにしていきましょうということでこの作業が始まったものです。そのとき7割、3割を前提にした作業方針ではなかったけれど、前のモデル・コアにも一応7割、3割は書いてあったので、でも7割ぐらいと独自カリキュラムを3割ぐらいにして、スリム化していきましょうという感じで、薬学会でされた作業のSBOの数が7割ぐらいになった。それで個々に関して実務実習の中で、コアカリがあるかどうかという今の話ですね、そういうのはまあ、この委員会での議論にはなかったと私は理解しています。
【望月氏】  少しだけ、いいですか。例えばAからGのモデル・コアが入っているものを全て7割の中でこなします。
【市川座長】  はい。
【望月氏】  残りの3割についてうちの大学はGしかやらないということも、可能にしているのですね。
【市川座長】  はい。
【望月氏】  それを頭に入れておかないと、何となくちぐはぐな議論になってしまいます。ですから実務実習を分ける部分は、この全体を7割の部分に入れるということで、アドバンストのFだけあと3割しようと、Gだけ3割しようと、それは各大学の特色でしかない、そういう理解でいいんですね。
【松原委員】  コアカリと期間を一緒にされるから、ちょっとおかしくなったような。期間の話は、今していない話で。
【市川座長】  全く今まで議論もされていないです。
 3割の方は教養教育を含めたとか、準備教育を含めたその他もろもろですね、これが全部入るということで理解されているわけです。それはもう大学独自で作ってくださいという内容を、それだけ入れたというふうに理解してください。今、モデル・コアのここで議論しているのは、全部7割の方の内容、先ほどの卒業研究に関してだけは両方にダブってくることがあり得るので、その表現に対してちょっと気をつけた訂正をしましたということを、ここでお認めくださいという提案です。
 それでよろしいでしょうか。
                              (「はい」の声あり)
【市川座長】  一番大事なポイントは7割、3割、今の議論のところでできるだけ誤解のない表記、あるいはその説明書きが必要かと思います。一応現段階においては、この記載のとおりでお認めいただいたということにします。
 それから「知識」、「技能」、「態度」の記述についても、基本的な考え方について確認をしたということで。
 あとはこの全体の、改訂概要は、薬学会で作っていただいたアンダーラインがあるA、B、C、D、E、F、Gの説明ですけれど、非常によくできているのではないかと思いますので、特段なければこのままお認めいただきたい。これも検討会の方でこの資料をこのまま出していくということです。あと必要な文言の訂正はさせていただきます。
 それでは、先ほどもちょっと出ました実務実習に関して、これから様々な検討が必要であるということは、今日の議論の中にもたくさん出てきたわけですけれども、それに関して新六者懇談会の方でも議論がされていて、それについて事務局の方から御説明を、資料とともにお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料7をごらんください。コアカリ改訂を受けた実務実習の見直し、在り方については、関係者が集まって検討する場を設けるようにというようなことを、前回までの専門研究委員会で何度か御意見を頂いております。
 そういったことも踏まえまして、この資料7のとおり、新薬剤師養成問題懇談会、いわゆる六者懇の下に、このような連絡会議を設けてはどうかということで提案しまして、先日この六者懇で御了解を頂いたところでございます。
 資料7を簡単に説明させていただきます。まず目的としまして、コアカリ改訂を受けまして、実習の在り方あるいは実施体制の大枠ですとか方針について、関係機関の調整を図る、あるいは各機関の役割や検討事項を明確化するということで、各機関の取組へと引き継いでいっていただきたいということを協議する、ということとさせていただいております。
 検討事項といたしまして、実習の在り方、薬局実習と病院実習、これは今、Fのところで区別がありませんので、そのあたりの区分や分担をどうしていくのか、それから今お話がありましたけれども方略をそもそもどうするかということ、それから実習施設の確保としまして、これは今ある施設が改訂のコアカリで実習がきちんとできるかというような、質の担保というところもあるかと思いますけれども、この辺を検討いただければと思っております。
 実施体制としましては、会議の構成ですけれども、裏面にございますけれども、六者懇のメンバーを中心に、その他関係する機関あるいはこの委員会からも何名かお入りいただいてやりたいと考えております。
 表側に戻っていただきまして、実施期間については平成27年3月末という形で、一応切らせていただいております。
 事務は厚生労働省、薬学教育協議会の協力を得ながら、文部科学省で行いたいと考えております。
 資料の説明は以上でございます。
【市川座長】  ありがとうございます。
 この薬学実務実習の様々な問題を検討するために、こういう連絡会議の設定ということが決まったんですけれど、何かこれについて御質問とか、あるいは何か御意見がありましたら。
 特段ございませんでしょうか。
                              (「はい」の声あり)
【市川座長】  非常に重要な意味を持つ会合が設定されるというように理解できると思いますが、やはり実務実習というのは非常に大切な部分であるし、特に今度は新しいスタイルで作ったわけですので、それがうまく運営されるということが必要であるし、期待されるところですので大いに、うまくいくことを望むということになるかと思います。
 これは予定としては来年度からになりますか。今年度から。
【丸岡薬学教育専門官】  これから調整しまして行いたいと思います。
【市川座長】  結構大学関係者の非常に関心の高い内容で、本当にうまくいくのかとかいろいろ、先ほどの議論もありましたけれども、それはこれから検討すればいいということなので、これが公表されるのが非常に大事なことだと思うので、よろしくお願いします。
 その次でありまして、今後のスケジュールについて、事務局の方から御説明をお願いします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料8をごらんください。これは今までの会議でも何度か出させていただいておりますけれども、改めて確認させていただきます。
 本日御議論いただきましたコアカリの最終案等につきましては、今月末に開催予定の薬学系人材養成の在り方に関する検討会にお諮りしまして、最終決定を頂きたいと今のところ思っております。あわせて、各大学においてカリキュラム改正の準備を進めていただきまして、平成27年4月から、改訂の新しいコアカリを基に、新しい授業を行っていただくということを想定しております。
 それで順調にいきますと、平成30年度の共用試験、平成31年度の薬学実務実習は新しいコアカリに基づいて行われるというようなことになってまいります。
 説明は以上でございます。
【市川座長】  はい。それではただいまの説明で、前から出ていたスケジュールの線にほぼ乗って、順調に進んでいるという言い方をしていいのかどうか分かりませんけれども、こう行くということになります。それで共用試験が平成30年、実務実習が平成31年ということですけれども、大分先のように見えますが、共用試験の変更などの作業はもう即、入っていかなければいけないという議論もあり、これもどうするかという議論がまた別途行われると思います。それから実務実習に関しては先ほどあったような議論、それが即、始まっていくのではないかと思います。そんな形で、この改訂モデル・コアで新たな薬学教育というものを更に進めていくというか、ブラッシュアップしていいものにしていきたいと思います。
 それで、この改訂コアカリの準備というのは一応、先生方の御協力でこの専門委員会である程度のまとめが全部できたということで、あとは薬学系人材養成の検討会にお諮りして最後の検討をしていただいて、発表ということになるかと思います。そういう準備に際しても、引き続きこの委員会はずっとあるということでございますので、委員の先生におかれましては、是非また御協力をお願いしたいと思います。
 これで一応最初の議事、長い議事でしたけれども、モデル・コアの改訂についての話は終わりにして、その他ということですけれども、まだ若干時間がございますけれども、何かあれば御発言をお願いしたいと思います。
【花井氏】  最初の段階で、実務実習が現状どうで、今後どうだという議論があったと思うんですけれど、先ほどのお話を聞いていて、期待が高まったのは、僕の記憶違いかもしれませんが、今、社会の情勢としては、いわゆる在宅で臨床をやる薬剤師さんが非常に求められていて、その育成が、新コアカリでは当然そういう形でやるけれども、いろいろ少しずつ今までと違うことに薬剤師さんが参画していく中で、時代のスピードと教育のスピードの問題があって、うまくいけば実習で、旧コアカリで学んだけれど実習は新コアカリ的なことが前倒しでできれば、より時代のニーズに即応できるというような議論がちょっとあったような気もするんですけれど。それでさっき平成28年度というお言葉を聞いたので、早めに体制が整う訳ですね。平成31年度スタートで平成28年度と、もちろん準備期間としてはある程度余裕が要ると思うんですけれど、前倒しというのは、もうない話で、きれいに平成31年度から新しい形ということなのでしょうか。
【市川座長】  大変その議論が最初にあって、そのまま預けておくという形でここの会は動いていて、薬学会でこれを作っていただいて。それに関しては前に松原委員も、大分それをたしかおっしゃったような気がするんだけれども、どんどん直せる部分はもう早く直していった方がいいのではないかという、御発言だったような気がするけれども、その辺はちょっと、ここの取扱い事項とはちょっと違うかなという気もしますけれども。委員の先生方、何か御意見がもしあれば。はい、松木先生。
【松木氏】  それは薬学会の委員会の中でも議論はしたんですけれども、新しいのを提示して、この中でできるところはやってくださいというと、ちょっと現場で混乱が生じるだろうということで、現在のコアカリの中でも、更にアドバンストのことはそれぞれの施設でやろうと思えばできるわけなので、ですからそういうような方向で少しずつ変えていかなければいけないんだと思います。
 それから先ほどの、資料7の連絡協議会ですか、そういうようなところでこういう議論は十分していって、できるところはなるべく前倒しで先取りをしていってほしいと思うんですが、やはりコアカリとかいうと、全部でできなければいけないというところがどうしても縛りになりますので、ですからその辺のところはそれぞれの大学の独自性と、移行期間の間で工夫してもらうということなので、全体としてはこういうふうにしなさいとか、いつまでにということは決められないというふうな議論でした。
【市川座長】  はい。
【花井氏】  了解しました。何せ薬剤師さんを待望しているというところがありますので、是非そういうふうにやっていただくと。
【市川座長】  ほかに何か。はい、入江委員。
【入江委員】  本質的なことではないかもしれませんが、最近、アジア地域における薬学教育に関する調和を図る会議が国内外で開催されています。その際に、困ることは、コアカリの正式な英語版がないことです。全部とは言いませんが、フレームワークの部分だけでも正式な英語の訳が欲しいと最近強く感じています。例えば、「医療薬学」という言葉は英語で何と訳すか、「薬学臨床」とどのように使い分けるかなど、困ってしまうことがあります。さらに、「基本的な資質」の英語訳など、大きなところだけは少なくとも、共通の言葉でみんなが使えるようにした方がいいと思います。今後何かお考えがございますか。
【望月氏】  来年の6月28日、29日ですか、アジア薬科大学協会の学部長フォーラムが慶應義塾大学芝共立キャンパスを借りて開かれます。そこでは市川先生がモデル・コアカリキュラムに関しての日本の動きを英語で講演され、それが多分標準になるかと思います。それに沿って、共用試験センター、薬学教育評価機構、日本薬学会、薬学教育協議会が講演する際に用語を合わせようということになり、発表資料の締切りを早くして、2か月ぐらい前から準備をしたいというふうに思っています。
 どなたかがリーダーシップをとって進まないといけませんので、市川先生に私は期待せざるを得ないと思っています。
【市川座長】  いや、それは大変重い発言をされたような気がします。
 私がやる、やらないはともかくとしましても、私、入江委員のおっしゃったことというのは非常に重要な意味を持っている気がいたします。私たちも各大学もそうだけれども、割と外国の大学といろいろ話をしたりした場合に、日本の薬学でこういう新しいモデル・コアカリキュラムで、こういうような教育をしていますよというときに、やはり英語で何か言わなければいけないこともあるわけですね、大学においても。それから先ほど入江委員がおっしゃったように、いろいろな委員会があって、いろいろな会合が世界共通で行われ、今のアジアの、来年開かれるというのもあるし、それまでにも幾つか、個々においてはなされていると。そういうときに、共通のワードというのは非常に大事だと思うんですね。実務実習一つにしても、いろいろな言い方が実はあって。やはり日本の中では一つにできるだけしておいた方が、いいのではないのかなと。特に今度のアジアの場合でも、発表される5人の方がみんな違う訳を使うことも、今の状況だとあり得るわけですよ。プラティカル何とかとか、オンサイト何とかとか、もういろいろな言い方があるかと思います。
 ですからそういうことを考えると、どこかで英語版を作るというのは、今、グローバル、グローバルというのは、文部科学省を始め大学が必要性を感じています。世界の薬学教育を向上させるには、教育の言葉が共通したものをみんながしゃべることによって、初めて相手に認識され、向上するというのが良いです。そういうことを考えると、どこかで作りたいなと。医学部ではどこか作られているんですよね、たしか。
【奈良委員】  医学教育のコアカリキュラムに対しては、まず翻訳者に依頼して英訳を最初に作り、私とアメリカ人の先生とが一緒になって英語版を作成しました。これは文科省、各医学部には配布し、必要に応じて海外に広報しております。【市川座長】  今すぐ、どこができるかというのはよく分からないけれども、例えば薬学会で、何とかそういう意見はございませんでしょうか。これ非常に、割と早くやるべき話かなという、せっかくこれだけいろいろなものを、いいものを作り上げていって、でもやっていることは日本の中だけだよねということになると、何かせっかく日本独特の薬剤師教育をやろうとしているわけだから、ちょっと世界の人にも言いたい部分がすごくあるんですよね。ですからそういう意味を含めても、何か省庁の方で、そういうプロジェクトを考えていただいたり何かすると、いいのかなという。今でも若干は、今のモデル・コアに関しても何人かの先生が作ったものは一応あることはあるんだけれども、そこでも様々にあって、余りいいものではないので、どこにも出ていない。表向きには出ていないものです。
 まあ、そんなことがあるので、余りまとめでもないけれども、早急に考えなければいけないことではないかと思います。
 太田委員、いかがですか。
【太田副座長】  重要性は本当にあると思うのですが、具体的にどこがやるのかが問題だと思います。
 以前のモデルコアを作成したときに、英語版は確かに幾つかのバージョンができているんですよね。幾つかはできているので、それを下敷きにして、それで何かやったらできるのだろうと。ある程度やらなければいけないことだろうと思うんですけれど、どこがやるのといったら文部科学省でやっていただけるということはどうでしょう。
【市川座長】  大変いい発言ですけれど。
【袖山課長】  文部科学省にその能力があるわけではないんですけれども、そういった検討をする場をまた設定するとか、ちょっと予算面の対応というのも含めまして、ちょっと検討させていただきたいと思います。
【市川座長】  ありがとうございました。
 それではほかに、ありますでしょうか。
 それでは時間も早いんですけれども、本日は遅い会議でもありますし、これからお帰りの先生もいらっしゃると思いますので、本日はここまでとしたいと思います。
 この委員会におけるコアカリキュラム作成の議論というのは、今回が最後ということになります。各委員におかれましては、本当にこれまで熱心な討論と、非常に有意義な作業に携わっていただきまして、ありがとうございました。深く感謝を申し上げます。
 本委員会は恒常的な組織として設置されておりますので、今後は必要に応じて開催することとなります。それを含めて何か事務局の方から最後に、よろしくお願いいたします。
【中岡審議官】  高等教育担当の審議官をしております中岡でございます。文科省を代表いたしまして一言御礼(おんれい)、御挨拶を差し上げたいと思います。
 本委員会は、モデル・コアカリキュラムの改訂原案の作成を行う組織として、平成23年9月からということで、もう相当時間もたつわけでございますけれども、2年4か月にわたりまして10回ということで、改訂に向けました御議論を頂戴いたしました。本日は10回目ということで、大変御熱心な御議論、そしてまたグローバルな視点も必要だという御指摘も頂きましたので、それも含めまして検討していかなければいけないというふうに、改めて身の引き締まる思いでございます。
 最後の10回の会議につきましては、昭和7年にできましたこの文部省旧庁舎のこの会議室で、大変暗い中、お帰りの足元を是非ともお気をつけいただきたいと思いますけれども、本日も大変遅い時間まで熱心な御討議を賜りました。
 このたびの改訂作業はまさに初めてでございましたので、それこそ初めの段階では手探りの状態で始めていただいたわけでございます。様々な方針を作成していただきましたけれども、御苦労もあったというふうに思います。本日改訂案をお取りまとめいただきました。これは、これまでの間の皆様の精力的な御議論の積み重ねと思っております。また専門的な観点から、日本薬学会に多大な御協力を賜りましたこともあわせまして、この場をおかりいたしまして御礼(おんれい)を申し上げます。
 今後薬学系の人材養成の在り方に関する検討会におきまして最終的にこの案につきまして決定されました後に、各大学でカリキュラムの作成が行われるという段取りになってくるわけでございます。6年制の薬学教育がより充実したものとなりますように、先ほど座長からもありましたけれど常置の委員会ということでございまので、大変お忙しい先生方ばかりで恐縮でございますけれども、引き続き御協力いただきますよう、お願いを申し上げまして、これまでの御尽力に感謝を申し上げまして、甚だ簡単でございますが、私からの御挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。
【市川座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上で本日の会議は終了といたします。どうも本当にありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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