薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成24年7月9日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館17階 17F1会議室

3.議題

  1. 今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

市川座長、太田副座長、吉富副座長、赤池委員、井関委員、伊藤委員、井上委員、奥委員、森委員

文部科学省

奈良大臣官房審議官、村田医学教育課長、渡辺企画官、小野医学教育課課長補佐、伊東薬学教育専門官、日下部技術参与ほか関係官

オブザーバー

望月正隆(一般社団法人薬学教育協議会代表理事)
松木則夫(公益社団法人日本薬学会薬学教育委員会委員長)
花井十伍(全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人)

福井大学医学部附属病院 政田薬剤部長
厚生労働省医薬食品局総務課 中井課長補佐

5.議事録

【市川座長】  お暑いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻となりましたので、第7回目の委員会をこれから開催したいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、事務局の方から、委員の出席状況及び配付資料について、確認をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  本日御欠席の先生ですが、入江委員、長野委員、中山委員、奈良委員、平井委員、松原委員となってございます。
 また、オブザーバーといたしまして、本日は福井大学薬剤部長の政田先生においでいただいておりますので、御紹介させていただきます。
 それでは、本日の配付資料の確認をいたします。議事次第に続きまして、資料1、「薬剤師として求められる基本的な資質(案)」、資料2、「薬学教育モデル・コアカリキュラム 大項目(案)」、資料3といたしまして、公益社団法人日本薬学会からの平成24年度スケジュール(予定)、参考資料1といたしまして、A3判の資料で「日本薬学会で検討中の案」というものがございます。また、参考資料2といたしまして、「医療イノベーション5か年戦略」の方をお配りさせていただいております。
 資料は、以上でございます。落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
【市川座長】  ありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。議事は、お手元の資料にありますように、今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方についてという非常に大きなテーマになっておりますけれども、今日はなるべく忌憚(きたん)のない自由な御意見を頂きたいということで、幅広くしております。
 御承知のように、前回の委員会では、主に、薬剤師として求められる基本的な資質ということで、先ほどありましたように、お手元の資料1という項目、そのことについて非常に熱心な御議論いただきまして、とりまとめた案をつくりました。それと併せて、次の資料2でありますけれども、薬学教育モデル・コアカリキュラムの大項目について、これも以前から議論をしてきたところでありますが、このような形で案としてまとめたというような作業を行いました。この内容については、上の委員会であります薬学系人材養成の在り方に関する検討会の委員の先生方にも前回の委員会で取りまとめた意見案を御覧いただきまして、前回の委員会の最後に確認されたとおり、今後の作業でこの資料の内容について何か不都合が生じた場合には変更することもあり得るということで報告して、承認を頂いたというところであります。
 本日は、公益社団法人日本薬学会薬学教育モデル・コアカリキュラム及び実務実習モデル・コアカリキュラムの改訂に関する調査研究委員会というのが作業部会としてありますが、それはちょっと長いので今後は日本薬学会と一言で省略させていただきますけれども、具体的な作業を行う体制を整えられたというふうに伺っております。その中で改訂体制や今後の取り進め方について少し御議論いただいたということで、その報告をしていただいて、そして、そのことについてこの委員の方々の忌憚(きたん)のない意見を頂くということを最初の作業にしたいと思います。
 それでは、御検討いただいた内容について、報告をしていただきたいと思います。その報告は、太田副座長にお願いいたします。太田副座長は日本薬学会での作業の取りまとめをされているということであります。
 よろしくお願いいたします。
【太田副座長】  それでは、資料3をごらんください。日本薬学会の調査研究委員会で今まで、本年度既に2度、コアカリ委員会というか、日本薬学会の委員会が開催をされております。資料3は、その中で出てきております24年度のスケジュール、年間の予定でございますが、これを見ていただきますと、薬学会コアカリ委員というのが構成メンバーとして22名いるということでございまして、現在のところ薬系の各大学から3名推薦をしていただきまして、1大学1名、75名選ばせていただきました。日本薬剤師会から9名、日本病院薬剤師会から8名、薬学教育委員3名の計95名と、それからコアカリの調査研究委員会から22名、合わせて合計117名の体制で改訂作業の具体的なものを行うことを決定させていただいて、それでグループ分けをしたというところが、今までのものになっております。資料3の一番左のところがコアカリのメンバー22名がやる作業でございまして、真ん中が117名の体制で具体的な改訂作業ということでございまして、それから薬学会のコアカリ21名と改訂作業チーム95名が一番右側に書いてございます。
 改訂作業方針の決定というところが次のコアカリの委員会で決めるところでございまして、それに先立ちましてこの専門研究委員会での御議論を得て、それを反映させて改訂作業方針の決定に至りたいというふうに考えております。それが終わりますと、8月から改訂作業方針の全体説明をいたしまして、それでグループに分かれて具体的な作業を行うということを予定しております。
 具体的な作業というのはどういうことをするかということの骨子を検討させていただいておりまして、そこではまず、資料2にありました薬学教育モデル・コアカリキュラムの大項目の案を、AとBとGはまとめて一つに、それから、Cの薬学基礎教育を化学、生物、物理の三つに分け、D、E、Fはそれぞれでやるということで、そうしますとトータルで七つの領域になろうかと思います。その七つの領域に分けまして、各々のグループに薬学会のコアカリ委員の22名を3~4名ずつ配置いたしまして、具体的に各大学からの専門性のフィットした先生方を選びまして、それで全体的なグループ分けをさせていただいたというところでございます。
 それでは、具体的な作業が始まるまででございますが、参考資料1を見ていただければと思いますが、A3横のカラー刷りのものでございます。これは何をやったかといいますと、グループごとに現行のGIOを抽出いたしまして、各々のGIOと基本的な資質、先ほどの資料1にあった「薬剤師として求められる基本的な資質(案)」というものをここの右の方に1から10まで挙げまして、薬学基礎教育の中の有機化学、化学系薬学を学ぶというところを一例として、検討を行っているものの一例としてここに挙げてあるのですけれども、ここで、現存するGIOが資質と結びつけられているのかどうかということを、例えば、◎は非常に関連が強い、○は関連をしている、△は部分的に関連をしている、マークなしは関連が認められないというところで分類をしたものでございます。これはあくまでも試行しているものでございまして、これをたたき台といたしまして、具体的な作業はここから入っていこうという案でございます。
 見ていただきますと、C-4、C-5、C-6、C-7のそれぞれのGIOが書いてございまして、それで、それぞれの中にSBOがどのぐらい入っているかというような数字がここに挙げられております。この表を使いまして、例えば基礎的な科学力という欄、5番目の欄を見ていただきますと、かなり◎がついているところがある。それから、薬物療法における実践的能力というので、○とか△というような、若干関連のあるものも見受けられるというような形。それから、研究能力というところでは○が7~8割のところについているというような形で、これは薬学基礎教育でございますが、これをそれぞれのA、B、C、Dというような項目で今検討を進めているところでございます。例えば、ここで赤く線が引いてあるところというのは、これはまだ作業途中のものですので、案というか、たたき台のようなものですけれども、例えばC-5というのをなくして、この部分をほかのところに振り分けたらどうだろうかというような案の一部でございます。これはもちろん、何度も言いますけれども、確定ではございませんで、これからの作業部会での議論によって変わってくるものであるというふうに理解をしていただければと思っております。
 このような形で、基本的な資質とそれぞれのGIOがどのような関連になっているかということを念頭に置きつつ、具体的なGIOの段階、あるいはそれより細かいSBOsがどんな関連づけになっているか、その関連づけを考えた上で、絞れるものは絞っていこうというようなことを現在考えているところでございます。
 全体としての薬学会の委員会としての意向としては、ここでも前提としてかなり絞ったものということを考えておりますけれども、委員の中でどのぐらい具体的に絞るのかというような議論がありまして、例えば7割というような意見も出ておりますが、まだ結論に至っているというわけではございません。ですので、ここの委員会で例えばそういうことに関してもある程度御意見いただければ、それを基に作業を行えたらというふうに考えております。
 全体の117人の体制で改訂作業を行う前に、ある程度、ブレインストーミングといいますか、それぞれの領域に分かれまして、現在、資質とGIOの関係というものを中心に考えているところでございまして、そういうことがある程度固まって、ここでの御意見で方針が大体決まったところで、8月に作業方針の全体説明を行って、情報を共有する予定でございます。その後、領域別の作業を行うわけですけれども、重なり、あるいは量の調整を行う予定でございまして、スケジュールといたしましては、1月ぐらいに作業が確定できたらいいと思っておりますが、確定と課題の抽出を行いまして、それで、とりあえず本年度の最終目標として、3月の日本薬学会の年会において発表をさせていただくということでございます。ですので、これからの作業というのは、先ほどお見せしましたような、赤で見え消しになっております資質と関連づけられていないGIOを削除するとか、足りない部分は足すというような作業を改訂作業の委員で行うという予定でございます。
 あらまし、以上でございます。
【市川座長】  どうもありがとうございました。
  ただいま太田委員の方から、今、薬学会の方で行われている作業に関して、日程とか、あるいは実際の作業の具体的なモデルみたいなものが提案されたわけですけれども、これについて少し、最初に皆さん方から御議論いただきたいと思います。
 どうぞ、井上委員。
【井上委員】  資料2の大項目、A、B、Gは一つにまとめる、Cが三つ、D、E、Fもまとめてしまうと。
【太田副座長】  いえ、Dは一つ、Eも一つ、Fも一つ。一つずつで、トータルで七つ。
【井上委員】  なるほど。では、A、B、Gというのだけがまとまったというところと、あとはCが三つになったというところがあれですか。例えばCが三つになった、生物、物理、化学というのは、7領域の中に、等価というか、同じ重さがあると?
【太田副座長】  作業の問題だけです、これは。
【奥委員】  このA、B、C、D、E、F、Gは項目としては変わらないです。
【太田副座長】  大項目はあくまでもAからGまでの七つでして、具体的な作業を行う上でということです、今のは。それで、最終的にまた七つの形で整理をして、提出をする。
【井上委員】  分かりました。
 もう一つ、基本的資質でもって、◎、○、△というのをつけていますね。これをどういうふうに具体的に利用するつもりなのかがよく見えない。例えば、この数が多ければ削除しないとか、そんなことを考えるわけでしょうか?一体何のためにこれを使うのかというのが、よく見えない。
【太田副座長】  具体的な作業を進めるときに、どうしても基本的な資質というものとの関連というのを無視して行うというのは、せっかくここで決めた資質に対しての、どういう関連付けかというのをまず、それぞれの作業をする人たちで共有しておく必要があるだろうということと、それから、整理の上においての大前提となる資質ですので、それがどういう位置付けになっているかということをここで確認作業をするというブレインストーミングのような位置づけで薬学会の委員会ではまず考えておりまして、とはいうものの、例えば全く関係ないというところ、全てのところに○がつかないようなことは資質の関連付けがないというふうに、そんな軽々には、もう既にコアカリとして存在しているものですから慎重に見直す必要はあるだろうと思いますけれども、慎重に見直しても、例えばすべての資質と関連がないというような項目かあれば、それは削除するということが筋なのではないだろうかという考え方です。
【井上委員】  しかし、基礎的な科学力といったら、入らないものなどなくて、ここには◎がつくというのは幾らでも出てくるような気がしなくはないのですが、そんなことはありませんか?
【太田副座長】  そう言われればそうなのですけれども、その中で、要するに整理するときの整理の仕方として、どういうふうな位置付けにあるかということをある程度こうやって可視化しておかないと、作業が煩雑になるというか、皆さん統一的になかなか動きづらいだろうということもございまして、このような整理をさせていただいているということです。
【奥委員】  これは整理上であって、確定ではないですね?
【太田副座長】  確定はしていません。
【市川座長】  今の分類で、A、B、Gというのを一つのグループにされたというのは、今までの中でいろいろな意見があって、特に最初の基本事項というのと導入教育については余りその違いがわかりにくいとかいう意見も大学から出ていたし、実際に研究というのは、今までは5年次、6年次が対象だったから別にしていたわけだけど、その中身を、例えば、課題を考える、課題解決をするための力云々(うんぬん)ということが研究であるというふうに基盤に置くのならば、同じところで考えるというのはなかなか良いことだと思います。けれども、そうすると、結局、A、B、Gの中身というか、次の中項目、あるいは小項目に関して大きな再編をするということもあり得るという前提で考えられているということでいいんでしょうか。ちょっと細かい話ですが。
【奥委員】  場合によっては再編するかもしれませんが、一番重要なことは重複などの整理です。似たようなこの三つの領域でうまく整理してGIOをそろえていこうというのが、そもそものねらいだと思います。場合によってはAよりBの方が合っているとすれば、それは移す可能性はありますけれども、大きな再編を目的としているというよりは、近い分野で一緒に整理していくということだと思います。
 それから、○に関する、井上先生の先ほどの御質問なんですが、これは飽くまで担当した委員が○をつけて、みんなで情報共有はしましたが、これは確定ではなくて、単なる目安です。どういうGIOをどう整理していくかを考えるためのたたき台みたいなものとしてつくったので、御理解いただければと思います。
【吉富副座長】  ちょっとよく分からなかったんですけど、参考資料1にあるような、こういう表を117名の委員でまず決めるということなのか、もう既に薬学会でここまで決めたやつを作業部会でこの後議論すると言われたのか、どちらになっているんですか。
【太田副座長】  これはあくまでもたたき台として、要するに、何も薬学会の委員会で考えてなくて、ぽんと作業部会に投げても、なかなか難しいだろうと。そういうので一応考えているだけでして、この作業はもう一回、作業部会でトレースすることになるだろうと思います。
【吉富副座長】  こういう参考資料1に相当するのはすべて……。
【太田副座長】  それぞれのところで今作っているところです。
【吉富副座長】  AからGまで全部一応作って、作業部会に出すということですね。
【太田副座長】  はい。
【吉富副座長】  いわゆる方針としては何かあるような雰囲気で議論が始まると。
【太田副座長】  いや、そういう意図ではございません。これに従えとか、そういうことを考えているわけでは全くない。
【奥委員】  単に提案です。
【市川座長】  伊藤委員。
【伊藤委員】  この作業をする過程で基のをベースにするというのは当然のことではあるんですけれども、ちょっとそこに濃淡があるような気がしていまして、薬学基礎教育の物理、化学、生物なんかは何十年もある薬学の歴史の中で、これが初版ではありますが、ある程度コンセンサスのあるところからスタートしたカリキュラムなんですけれども、少なくとも、実務とか、事前学習とか、全く形のないところはほぼ初稿に近い状態でここに来ていて、今回の改訂の実際に一番大きな問題はそこにあるんじゃないかと、私は思っているんです。そうすると、これ、一律に前のを基にして、そこから削るとか、微調整するとかっていうよりも、薬学臨床教育のところだけはもうちょっと大きくいじらないと、要するに初稿のかなり粗っぽい原稿が出ているという状態で、これから先、特に、このカリキュラムが実際に施行するのは8年後ですか、そのときに薬剤師として持つべき資質は何だろうというところからここは作らなきゃいけないとすると、ちょっとここだけは別かなという気がするんです、作業としては。それについてはどういうふうにお考えでしょう。
【太田副座長】  確かに、それは伊藤先生のおっしゃるとおりだと思っています。それで、例えば実務実習のコアカリのことでも、薬局と病院を一緒に統一して書くということだけ考えても、かなり本質的に見直すという作業は当然必要になってくるだろうと、私自身は思っておりますし、薬学会の会議でもそういう議論は出ていたと思います。
【市川座長】  森委員、どうぞ。
【森委員】  私もそちらに関係しているのですが、薬学臨床教育の方は、実習の現場もそうですが、事前学習も含めて全体を見直す方針で進んでいます。あるものを下敷きにするだけではなくて、全体をどのようにするのか考えた上で、事前学習、現場での実習ということを考えています。
【市川座長】  伊藤委員。
【伊藤委員】  私のイメージとしては、そこは本当に、要するに実務実習とか、臨床における薬剤師というのがやっと実態を現した後に初めてつくるカリキュラムというイメージで、かなりゼロから起こすようなイメージの方がいいような気がするんです。もちろん今まであったものは踏み台にしていいのだけれども、じゃあこれから先の薬剤師をどうすべきかということを、分野が特定の実務系の方々だけではなくて、基礎の方々も入ったような形でかなり煮詰めていく。そこの形がはっきりすれば、この全体のコアカリの改訂の方向性はかなり見えてくるような気がするんですね。そこの最終的なエンドポイントのところがクリアになってくれば、基礎でここは要らないんじゃないかとかっていうことがかなりはっきりしてくると思うので、減らす思いはしやすいという形になると思うんですけれども、時間的にはやや、タイムラグをつくらないといけないので時間はかかるかもしれないんですが、何かそういう方法がいいような気はいたします。
【井上委員】  それは非常に理想的なスタイルで、是非そうありたいとは思うけど、実際、具体的にそんなことをしようとしたら、資料3のこのスケジュールのようなものはとてもじゃないですが、今のようなことを実現するのにはちょっと無理だと思います。だから、このスケジュールというのに余りこだわって、これにとらわれると、本当にいいカリキュラムになるかどうかっていうね。こんなに短期間の間にここまでできているんだったら大したことにはならないなあっていう気すらするんですけれども、文科省としては、これは一つの考えであって、ここでどうしてもまとめなきゃいけないというわけではないと私は理解しているんですが、それでよろしいんですね。
【伊東薬学教育専門官】  はい。
【井上委員】  だとすると伊藤さんが言ったようなやり方もあり得るんだと思うんだけど、そこまでまた戻ってできるかというのが。今、薬学会でいろんなことを考えられているときに、もしそういうことをやるとしたら、まずは、医療薬学系というか、その辺のところのあるべき薬剤師像とか、あるいはそこから導かれる医療薬学関連のものがまずは十分考えられて、それからしばらく待っていて、基本事項、導入教育とか、薬学基礎教育というのが出てくるので、そういう余裕があるのかなあというあたりが、僕にはちょっとよくわからない。
【奥委員】  言われることは非常によくわかりますが、今回、ゼロからつくるのはとても無理なので、今まで走り出しているコア・カリキュラムを基にして改訂をすることになります。伊藤先生が言われるように、特に医療のところはかなりの大改訂になるかもしれないし、基礎の方は余り改訂しないで済むかもしれないけれども、これが終わりではなくて、今後も定期的に改訂していくわけです。今のところ、第1回の改訂としてより良いものを作っていこうということだと思います。それから、このスケジュールは飽くまで目標だと思っております。
 それからもう1点、今回、薬学会の委員会では、例えば、生物とか、化学とか、それぞれ専門の先生たちを集めていますけれども、薬学会の方から専門外の先生を必ず入れるという形で進めていこうというふうに思っております。
【吉富副座長】  参考資料1みたいな有機化学系統のやつというのは非常にわかりやすくて、すきっとするんですけど、これは、先ほど伊藤先生が言われたように、おおむね薬学領域の人たちはすぐコンセンサスがとれる領域だからこうなっちゃうんだけど、先ほどの実務実習とか臨床教育というのは、やっと1期生が出てきて、今、本当にこれでいいのかという、実は、議論の始まり方を整理しようというベクトルで始めるとちょっとまずいところがあるので、議論の進め方が、有機化学なんかの話と臨床教育なんかとは同じ議論にはならないんじゃないんですかね。
【奥委員】  そういうグループを作っているので、大丈夫だと思います。
【吉富副座長】  そのときに、とりあえず整理する方で動きましょうとかいう、プレッシャーをかけると言ったらいけませんけど、そうじゃなくて、やっぱり何が本質かという議論をどこかでこの辺はやらないと、ちょっとまずそうな気がする。
【市川座長】  政田先生。
【政田氏】  伊藤先生おっしゃったように、臨床現場の方のいわゆる薬学臨床教育の方というのはこれが作られた10年前とは全く変わってきていて、今年4月から、いわゆるチーム医療で病棟に薬剤師を配置することによって加算がつくというのは今までなかったものなんですけど、何が変わるかというと、20年前に初めて、患者さんへの服薬指導をすれば点数がつくというふうに医療現場でなったんですけれども、今度はやっぱり、病棟で医療チーム、お医者さんと薬剤師がきっちり話をしないと点数がつけられないよという形になってきていると思うんですね。ということは、教育自体も変えていかないと、今の卒業生というか、今の薬剤師でも、お医者さんとまともに薬物治療の話ができるというのは少ないんですよ、本当の意味でまともにしゃべれるというのは。だけど、そういう薬剤師をつくっていくためのカリキュラムに変えていかないといけないので、このFというところはかなり変えていかないといけないと思うんですね。患者さんに、今まで服薬指導といいながら、お薬の説明だけをやっていたという、患者さんを見てないという、そういう現実もありますので、それをきっちり、お医者さんとどうするのか、要するに、看護師さんとか臨床検査技師さんとどう話をするのか、じゃあ病態のことはどれだけ知っているのかというふうに変えていかないといけないと思うので、ここは本当に急速に変えていかないといけない部分があると思うので、僕は、Fはかなり大幅に変わって当然じゃないかなというふうに思っています。
【市川座長】  伊藤委員。
【伊藤委員】  多分、今、本当に変えないと、ものすごく時代遅れな、10年後には使い物にならないようなものばかり並んでいるようになるだろうと思うのと、あと、先ほど微調整をして改訂していくという話があったんですけれども、結局、薬学の場合にはコアカリが国家試験とも連動して動いているという側面があって、8年間変わらない状態、そしてまた、8年後に新しいのが出て、すぐに変えることは絶対にできないと思うんですね。あと、コアカリと国試の連動を外してしまうと、恐らくコアカリはほとんど無視されるようになってしまって、国家試験の出題基準の方だけを見るという教育になる危険性もあるので、連動させて動くんだとすると、そんなに頻繁には変えられないという意識でやるべきだと思います。
【政田氏】  すみません、一つ。
【市川座長】  はい。
【政田氏】  本日はちょっと休んでいるんですけれども、松原から、とにかくコアカリと国家試験は連動させてもらうようにというのだけは言っておいてくれというふうに言われましたので、よろしく。
【市川座長】  赤池委員。
【赤池委員】  ちょっと誤解があるというか、議論がかみ合ってない感じなんですけれども、方法論では、全体として太田先生が従来のコアカリキュラムから見直しするということを説明されていましたが、薬学会の方の委員会でも、私の理解では、Fの薬学臨床教育については薬局実習と病院実習を統合して完全に改訂するという話で進んでいます。そういった意味で表現の仕方は違いますけど、基本的には先ほど伊藤先生と政田先生が言われたことは、ある程度行われているのではないかと思います。
【井上委員】  でも、実習を一緒にするというところを余りに強調されていて、実習部分だけじゃなくて、もっと違うところも含めて変えてほしいという要望だと思うんですよ。だから、その辺はちょっと違うんじゃないかなと思うのと、政田先生がおっしゃっているようなこと、あるいは松原先生がおっしゃっていることは大変正論だと思うんですが、だけど、ちょっと気をつけていただきたいのは、我々大学人として、即戦力を決して期待しているわけじゃないので、そういうことに対応できるような基礎的なことがちゃんとできるような教育をしなきゃいけないと。
【政田氏】  そうです。即戦力というのは、恐らく無理だと思うんですね。だけど、相互作用にしろ、要するに体内動態の変化や、配合変化にしろ、化学的とか、物理的とか、生物学的とか、そういうふうなことがわかっていないとできないので、そこはきっちり教えていただかないと、pHによってどう変わるんだとか、そういうことなんかはきっちり基礎で教えておいていただかないととてもとても無理なので、何も基礎をもう一度、要するに臨床で言うところの部分もきっちり、臨床としてはこういうことがあるよという例を入れていっていただきながらやっていただけたらなあと思っています。だから、そういうところに病院薬剤師会の連中も1人ずつ入れるようにしていただきましたので、その辺は非常にいいんじゃないかなあと思っていますけど。
【市川座長】  今、いろんな意見が出ているので整理したい、一つの方向として、改訂の方針の大枠のところをどこで決めるかというところの議論と、それから、いわゆるハウツー物の作業方策みたいなところですね。そこをする場所との関連がまだ明瞭になっていないところは、少し問題点があると思う。この委員会ではどちらかというと最初の部分のところを討論する、それから、それを具体的に具現化していくようなところは、例えば薬学会の作業チームの方で議論を含みながら具現していただくという手順についてここでコンセンサスを得たら、多分、薬学会の方の人たちもやりやすいだろうし、もちろんやりにくい部分も出てくると思うけど、それはこの場でどんどん発言していただければいいわけだけど、今、最初の方の、全体をどうするんだという話は余り具体的になってない。例えば基本事項にしても、それから導入教育、その内容はどういうところにしていくのだろうという方針は余り議論がなされていなくて、現モデルコアのAとBの項目はここへ入りますというやり方をしているし。今の臨床の教育、実習教育、Fのところも、実務実習は入ります、事前学習も入りますというような議論はあったんだけれども、そこにもう少し、臨床教育科目を重視するようなイントロに当たる部分の科目が入るのか、否かという問題は議論されていない。そんなものも含めて新たに入れてほしい項目とか、あるいは、さっき政田さんがおっしゃったように、10年ぐらい先はこんなことになるのだから、何らかの指導してほしいという項目、それも入るべきだとかいうような議論がここで出たら、それを一応作業チームの方に渡して、いや、これは無理だねという話になったら、それはそのときの話だけれども、そういうやりとりというのが必要になっているのかなと私は感じるんだけれども、その辺についてどうでしょうね。もし、松木委員長、その辺で差し支えなければそういうやり方をしたいし。
【松木氏】  ですから、本当の大もとのところはこの委員会で決めていただいて、それに従ってと。今までは薬学会の方がちょっと先行してしまって、薬学会が決めたことをこちらでまた議論をしたりというようなことになっていたので、実際に具体的な作業をやるような段階になってもっと根源的な議論をしろと言われてしまっても、それは非常に困るので、本当に全体で、本当にもっと大もとで、コアカリを10年もつようなものにするのか、あるいは数年ごとに改訂するのかと。我々が理解しているところは、4年制と6年制で6年制のものを作るということと、それから実務実習と基礎教育が分かれていたものを同じ土俵で議論するということで、そういうようなコアカリを作るということであれば、できれば、その後の作業というのは非常にやりやすくなってくると思うんですね。それから、多分、実務実習なんかは、あれが足りない、これが足りないという議論は方略と関係しているところが非常に多くて、方略のことまで全部書き込むと、本当ににっちもさっちもいかなくなってしまう、がんじがらめになってしまうということなので、もっと大まかな大きな目標を立てておいて、それに向かってどういう方略でやるかというのは別途で出していただかないと、それぞれの大学の事情とか実習先の事情もありますし、そういうような方向でやれば、何年か置きでの改訂とか、どういう目標で改訂しているのかというのも、個々の委員は非常にわかりやすいと思いますし、私は、今まで少なくともそういうような方向で行くということで、きょう、この委員会でお墨つきをもらって、行けと。22日にスタートすることが決まっていたんですが、きょう根源的なところからやれとなると、この委員会の結論が出るまでスタートができないなというところだと思います。
【井上委員】  いや、根源的なところはこの委員会がもうちょっと責任を持ってやるべきであって、そこを薬学会に投げるというのは、我々の怠慢だと思う。
【松木氏】  でも、早く決めていただかないと、作業が始まってから、そんなんじゃないと言われても困るんですね。
【井上委員】  そうですね。だから、ある意味で言うと、薬学会がちょっと早く動き過ぎちゃったというところもあるのかなと思うんだけれども、違いますか。
【松木氏】  いやいや、お言葉を返しますけど、昨年度の事業でかなりの成果を上げなければいけなかったわけですよね。
【市川座長】  どうぞ、赤池委員。
【赤池委員】  薬学会としては、文科省から委託されているわけですから、待てと言われると困ります。今年度も、予算を頂いて、実際に動けというミッションも頂いて、ある程度目標設定もして、それは認めていただいているわけですね。根源的な話に戻って、これから半年何もしないということになると、結局薬学会としては、用意スタートでドンまで聞いて、走り始めたところでもう一回待てという話になってしまいますから、大変な混乱が生じます。もちろん、いいものをつくるということは非常に重要なことではありますけれども、現場の動き方等は一応見ながら、現場が少なくとも困らないように御配慮いただく必要あるんじゃないでしょうか。
【井上委員】  今、皆さんがおっしゃっているのは無理もない、実際にはそういうことがあるわけだから、その両者を妥協して何とかしていくしかないでしょう。伊藤さんが言っている、あるいは皆さんがおっしゃっているのは無理もない話もあるわけだから、具体的にじゃあどうすればいいのかというのはなかなか難しいところがあるけれども。
【赤池委員】  ということは、伊藤先生の話も含めて、励ましの言葉として聞いたらいいということですね。
【市川座長】  励ましの言葉。
 奥委員、どうぞ。
【奥委員】  非常に根本的な方針としてはここで決めていただくと思いますけれども、先ほど話題となった早期体験学習はどうするとかについては、全国の大学からお参加いただいている先生方が専門的立場でそれなりに練っていったときに、こういう形にしたいというのが薬学会の委員会で出てくると思います。そしたら、それをこの委員会に上げて意見を聞く、というキャッチボールもあってよいという気はします。
【市川座長】  望月先生。
【望月氏】  赤池委員が言われたように、文科省の受託だから何かを出さないといけないとか、また逆に、現状ではやることがない、のではなくて、むしろこの専門研究委員会が根源的なことをこの場ですぐ決めろと言われても、なかなか決まらない。その基となるデータを薬学会から出していただければいい。そういうものが出たらここの委員会ですぐに対応するような形で進めていく。それがなしに、今日、大方針を決めて、22日から薬学会が全部やると言われても、お互いに困るのではないかという気がします。
【松木氏】  そうなんですけど、実際に具体的作業をやると必ず聞かれるのは、どこまでが決まったことなのでどうだということを必ず聞かれるわけですね。文科省がどこまで決めたんだと、その先はどういうふうにするんだと、そういうことをしないと作業をしてくれないような人もいるわけですね。ですから、キャッチボールをしながらやるというのは非常にいいんですけれども、それをどのぐらいの頻度でやるのかとか、そういうようなことも少しアイデアとして出していただかないと、また作業を進めた後に、そんなはずじゃないということになってしまうと、非常に困るんですね。
【望月氏】  実際の作業チームをこれから決めることは大変なことです。最初に、ある程度大まかなことを考える作業チームと、それから、途中からは非常に細かいSBOまで入っていくようなチームと、同じチームだけど2種類になると思います。その間にある程度行き来をする、先ほど出ましたが、医療の方にも基礎の人が入る、基礎の方にも医療の人が入るという形でまずスタートして、それがある程度固まった段階で、今度は、専門の方が中心でやるという、二段階になる方がいいのではないかという気がします。
【松木氏】  今議論をしているのは、薬学会の委員会とここの委員会の中で、薬学会の中ではもう、そういうようなことでスタートはしようとしているわけですね。ですから、その辺は特に問題にはなってないんですが、そこで一生懸命考えたところが、またここに来ると違うと言われると困ってしまうというところなんです。
【市川座長】  大体、意見が近いところまで来たと思うので、問題は、ここの委員会としての姿勢が、今まで余り細かいところまで議論をしてこなかったというのが一番問題かなと思います。例えば、6年制の今度のカリキュラムは薬剤師の教育ということをある程度はっきりと明瞭に出していこうということの議論はまずあったし、そのための資料として、薬剤師として求められる基本的な資質というのをまず作りました。それは6年次の卒業時においてこういうものが自分の学習の中でしっかりしたものになっている、それに基づいてカリキュラムが理解できるようになるというような背景まではみんなの理解を得たわけです。問題は、そうするとそのところで何に重きを置き、何のところを少し簡略化していいか、スリム化していいかと、削減していいかというようなところを少し具体的に委員の中から意見を出していただいて、あるいは、今までこういうことはなかったよねと、足りない部分があるんだというのをもしこの場で言っていただいたら、それはこの場で薬学会の方に、委員長はじめいらっしゃるわけだから、その方々が理解をして具現化していくというようなことはできるかと思うのですね。明らかに、伊藤委員が最初におっしゃった臨床科目あるいは医療教育というのは、今までの重みでは少し足りないということは明瞭であろうかと思うので、それをどこに反映すればいいのかという問題だと思うんですね。例えば、薬学臨床教育というFのところに反映すべきなのか、もっとほかのところで、例えばA、Bのところの基本事項、あるいはその後にあるところの導入教育というところでもう少し明瞭に、薬剤師のこと、あるいはそのアウトカム、薬剤師を含めた幅広い活動領域というものを理解させるためのものにしてほしいんだとか、何かそういうような、ちょっと具体的なものをいただければいいと思うんですけど、いかがでございましょう。
 井上委員。
【井上委員】  それは全部に反映すべきことであって、例えばCの薬学基礎教育を考える上でも、我々が目指す教育の目標はこういう薬剤師なんだと。そのための基礎薬学、化学、物理、生物というのはこれでしょうというようなことでないと困るはずだとは思うんですよ。
【市川座長】  理念としてはそうですね。
【井上委員】  理念としてはね。
【市川座長】  決して対立関係ではないけど、薬剤師を育成する教育というのと、その基盤になる薬学教育という理解のところの、その辺のウエイトの問題だろうと思うのですね。これまでのモデルコア教育では、薬学教育があって、その中に出口としていろいろなものがあって、その中に薬剤師もあってという理解だった。それをもっとはっきりさせて、6年制の場合には薬剤師教育なのだという理解ができてきたので、その辺から少し重みのつけ方というのは変わるのかなということを申し上げたんですけど。
【井上委員】  だから、それが具体的になると、例えば、Fは切らなくていいよとか、あるいはもっと増やしてもいいですよと。だけど、ほかのところは7割にしてみたらとか、そういうふうにするのが恐らく一番具体的な提言であり、薬学会としてはやりやすいけど、そんなことまで言うのかよって、多分なるからね。
【市川座長】  ある程度、キャッチボールする場合には、こちらの姿勢がないと、薬学会の作業に影響する可能性もありますよね。また原点の話が出ちゃうので、ある程度のところはざっくばらんにこの場で言っていただいて、急な話で難しいかもしれないけど、今まで思っていらっしゃることを全部言っていただいて、それを受けた形で、ともかく薬剤師教育に必要なもの、今から10年先というのを見込んで、何かを含めたカリキュラムというのと、もう一つは削減をするという、その二つのことが実は求められているわけですね。今のところは削減の方が先歩きしちゃったものだから、7割だとか、何とかかんとかという話になると、全部均一になっちゃう話なのか、そうじゃなくて重みをつけるのか、そのまま10割とか、12割のところもあるかもしれない。でも、もっと少なくなる場所もあるかもしれないと。余り細かい議論をしたら、作業をする人たちに対して非常に大変なんだけれども、理念というか信念みたいなもので、この委員会としてはこうなんだということは提案してもいいんじゃないかと私は思うんだけど、その辺、伊藤委員、どうでしょう。
【伊藤委員】  実際の薬学会の作業を止める必要はなくて、ただ、薬学臨床教育のところを担当される先生方は一応、1から話し合ってみませんかでスタートをしていただいて、それ以外の部分に関しては、その結末の方向性は大体予想はできると思うので、それを見ながら削減の方向で検討は始めるという。その薬学臨床教育のところの進行具合を見ながら、ほかのところにフィードバックをかけていって修正する場所を変えるというふうにすれば、必ずしも遅れないでも済むかなと。ただ、Fのところの方々はちょっと負担は大きくなるわけですけど、それだけの改革は必要なんじゃないかと私は思っているので、そういうやり方がいいかなとは思います。
【市川座長】  井関委員。
【井関委員】  全体のコアカリのボリュームが非常に大きいというのは、多分、この委員会でも全体のコンセンサスだと思うんですね。それは多分、臨床教育が足りなくて基礎の方が多いとかっていうんじゃなくて、全体が多くて、ぎちぎちの状態で、コアじゃなくて、マキシマムになっているという部分では一致していたと思うんです。臨床の教育科目のSBOまで細かく見ていきますと、実際にはもうやってないよということも全部入ってしまっている。ですから、基本的には削減の方向でスタートしていただくことで良いと思っています。ただし、政田先生の方からも意見がありましたように、今、薬剤師自身の仕事が非常に大きく、今までないぐらいのスピードで変わってきているというのは事実でございます。5年後、10年後に本当に病棟の中に薬剤師が普通にいて、そこで医師と同時に、処方決定の段階から既にいろいろな意見を言えなければ存在意義がなくなるというところまで多分いくだろうと思いますから、それをにらんだような改革というのが当然必要で、そのために10年後の薬剤師がそうあるべきだという視点でもって、増やすべきところは増やしていただいて構わない。そこは実際に改訂を行われる作業部会の先生方にお任せして、いいんじゃないかなと思うんです。ただ、中身を見てみますと、重複しているものが非常に多かったりとか、あるいは、10年前ならこういうのは普通にやっていたけれども、今はもうやっていませんみたいな項目が、実習教育でも実際の講義内容でもありますので、そこのところは大胆に大なたを振るっていただいて、その上で増やすところは増やすという、そういう姿勢をこの委員会で出していただくのが良いと思います。
【市川座長】  森委員。
【森委員】  多分、皆さん、10年後の薬剤師って、何となくイメージはあると思いますが、それを言葉にすると、なかなか説明がうまくできないのではないかと思います。でも、ここの臨床教育の部分に関しては、特にその部分をどのように考えるのかコンセンサスをとった中で、それに向かってどうやって教育していくかというのを考えなければならないので、一回整理をしたらというのと、日薬で薬剤師の将来ビジョンを作成しました。それを参考に、一度、皆さんの頭の中を共通化した中でやっていかないと、政田先生が言っていることももっともだと思いますが、もわっとしていると思います。もう少しはっきりとした上でこのFの部分に関して組んでいかないと、じゃあそのために医療薬学教育の中で学校では何を教えるのかということが変わってくると思います。確かに、伊藤先生がおっしゃるとおりだと思います。そこは、ここでやるのか、薬学会の方のFの方の議論でやるのは別にして、一度整理をして進んだ方がいいと思います。
【吉富副座長】  参考資料1を見ていて、これは非常に議論の過程がわかっていいと思ったんですけど、GIOを整理するというのと、コアカリの全体を7割にするというのは、実はちょっと意味が違うことがあるので、まずGIOをすべてのところで整理するなり何かをしたときに、例えば政田先生が言われているような、やってないこと、やること、新しいこととか加えていっても、GIO自体はそんなに大きく変わらないんじゃないかと思うので、まずGIOを全部整理したやつを一回提示してもらうというか、それは最初の委員会できっと議論されるでしょうから、GIOをまず提示してもらえると具体的に議論がしやすく、そのGIOでおおよその方針はいいんじゃないかということになると、SBOは時代に応じて非常にスピーディーに変えなきゃいけない部分も出てくるでしょうけど、今、GIOがこの有機化学以外のところでどんなふうに変わるのか、薬学臨床教育とか医療薬学教育でのGIOの文章がどんなふうに変わるかというイメージがわかないので、これをまず見せていただくと議論の方向が何か読めてきそうな気もするんですけど、これは、今、具体的に作ってないからまだ出してないわけじゃなくて、こういうたたき台までは大体みんな作ってあるんですね、薬学会で。
【松木氏】  具体的なたたき台というよりも、現在あるGIOで、例えばほかの部分と重複があるんじゃないだろうかとか、そういうような観点。それから、先ほどの薬剤師の資質というものでの、初めて今回出てくるものですから、その観点で眺めてみようという形で作ったので、そんなにものすごく全体の大なたを振るうとか、そういう感覚ではまだ見てないところです。それを全部やってしまいますと作業班の先生方は何のために集まっていただくかというようなところもありますので、それは結構大きな作業にはなると思うんですが、その段階で一度止めて、この委員会に投げてみろということですか。
【吉富副座長】  いや、作業班の本当の作業は、GIOを見ることも入っているのか、SBOだけについて議論をするのか、ちょっと……。
【松木氏】  SBOなしのGIOというのはあり得ない……。
【吉富副座長】  あり得ないけど、でも、GIOは上部構造だから、やっぱりそっちを先にきっちり議論をしてというのが本来でしょうからね。
【奥委員】  GIOの順番に関して、例えば、講義で実際に教えている順番などもあるので、多少そこら辺の組替えはやっていく予定です。親委員会に今こういう状況だというのを示すのは良いですが、親委員会でこのGIOでいきましょうと決めてもらうのも、ちょっと困るかもしれません。SBOの検討過程で、GIOが変わっていく可能性もあります。
【吉富副座長】  当然それはそうだけど、一番なのは、最後の結論になって、こうです、こうなりましたと言われると、この委員会はきっと困るから、だから恐らく……。
【奥委員】  だから、先ほど言ったように、お互いにキャッチボールをして、今、こういう状況まで来ていますという情報を共有することが大切です。
【吉富副座長】  だから、簡単に言えば、GIOをある程度煮詰めた段階で必ず委員会に報告するとかいう、全体的なキャッチボールのタイミングをある程度前もってコンセンサスを得ておけば、片一方だけが走ったり、止まったりとかはないんじゃないかと。
【奥委員】  私が先ほどから見ていると、それなりにコンセンサスは得られてきているんだと思います。
【伊藤委員】  ただ、GIOは結局、一般目標で、具体性はないと。SBOはそれに対して学生が何をしていいかわかるようにちゃんと書くという意味があるので、実際には多分、GIOを見ても、どのSBOが消えるのかはわからないですよ。どこを削ったからこれは消えるんだというイメージはわからないので、GIOとSBOはセットで見ないと、多分、イメージがつかめないですよね。GIOだけ並んでいても……。
【井関委員】  そこまでこの委員会で必要ですか。
【伊藤委員】  いや、必要かどうかわからない。
【井関委員】  要するに、今回決めた薬剤師になるための基本的な資質にGIOがマッチしているのか、あるいは新たに入ってきたGIOはどこの部にあるのかというところが概念として分かれば、あとのSBOの量とかっていうのは作業部会の方にお任せするという体制じゃなければ、実際にはやりづらいんじゃないですかね、薬学会の委員の先生方は。ですから、そういうGIOの部分がもし整理できるのであれば、具体的にSBOがどうのこうのというのは実際の作業部会の先生方にお任せする方が現実的かなと思うんですけれども。
【市川座長】  大体そうだと思います、私も。そのような方法ですればいいと。大体、意見の中で、私がさっき言ったことの繰り返しになるのだけれども、臨床教育というか、薬学臨床教育というものをどのように、重みというのと、それから、社会から見たときに、外から見たときに、明瞭に分かるというようなカリキュラムになっているかということだと思うのですね。過不足なくというところの過のところに薬学臨床教育を置いておくことが一つ大事です。
 あと、ちょっと聞きたいのは、不足の部分というのは、仮に臨床薬学教育という意味で捉えたときに、ここにどういうものが入るかというのは、今後、作業チームを含めて細かくやっていただければいいと思うのだけれども、今までのカリキュラムの中でこういうところはもう少し足した方がいいのじゃないかという部分、今の臨床薬学、あるいはこれからの薬剤師像というところから考えたときに、カリキュラム上、私がちょっと思ったのは、花井委員は今日参加だけれども、どうも安全性の問題について、このカリキュラムはもともと少ないんですよ。多分、気付かれているのはそうかもしれないけれども、ちょっと御意見いただけますか。こういう形のカリキュラムを薬学ではやった方がいいのじゃないかというような。
【花井氏】  参考になるかどうかわかりませんが、僕は二つのことがちょっと気になっていて、一つは、今おっしゃったような、医薬品を現場で使う上での安全性に対する気配りというのは、やっぱり医師はできてないですね。基本的には有効性を見ているので。ですから、病院で言えば医薬品安全管理責任者というポストはあるものの、その職域がどうで、何をやるべきかということが、今までリソースが不足していて、事実上できないし、人材もいなかったんですね。それが今後できるようになるための一つの足がかりとして、病棟薬剤師という。つまり、そういうところで安全性というのはどこかで位置付けてほしいというのが1点と、それからもう一つは、先ほどから伊藤先生はじめみなさんも議論されていますけれども、あるべき薬剤師像を国民はまだ見たことがないんですね。一部見ていますよ。一部見ていますけど、二つあると思うんですね。一つは、病棟内で、ほぼチーム医療の中で、他の職域と対等に活躍する姿。それから、地域で、もちろん薬剤師さんが訪問して、聴診器を下げている。下げて、気道が開いているかな、ちゃんと効いているかなとやっているという姿は多分想像してない。しかし、本来、10年後に見いだされる薬剤師像は多分そうした姿で、今の段階だと、現場で医師が薬剤師の役割を十分認識しているとは言えない場合もあるわけですね。となると、必ずしも10年後にあるべき薬剤師像をみんなが期待してない。言い方は微妙なんですが。つまり、それはある程度あるべき論が、政策としてもあるべき論があるし、薬剤師の職能としても、現在の職能でできる範囲なのに、その業務が必要ないという圧力が現状にはあるところもあって、そういうところに学生さんが卒業して出ていくときに、こういうふうに習ったのに自分はそんなことできないじゃないかみたいなことになる可能性もまだあるんですね、ここ数年は。ところが、10年後はそんなことはなくなるはずだというときに、モデル・コアの中にきっちりあるべき論はテキストとして書いておいて、明確化してほしい。そうすると、結局、それに対して反対なことをいろいろおっしゃる方おられるかも分かりませんが、これは薬剤師の職能と役割として法律でもコアカリでもちゃんと位置付けられているんだということをそこで言えるし、ちょっと政治的なことを入れるのは不適切かもしれませんが、明らかに厚生労働省は政策誘導をしているわけです。結局、病棟薬剤師も一応、医師会とかも合意した上でやっているとなっているけれども、明らかに事務局が主導している側面があって、更に在宅ケアに大きく舵(かじ)を取ろうとするときに、訪問看護ステーションや薬剤師さんにそれなりの仕事をしてもらおうという政策誘導を明らかにしていて、その現場はまだ黎明(れいめい)期なんですね。それを担う人材を送り出しているのだから、今ある薬剤師像と違う薬剤師像なので、そこは、多分、研修の現場が今そうじゃなかったら、研修する人が困るとか、いろいろあると思いますが、少なくとも明らかにしておいてほしいと。そうすると、国民にも説明できるし、批判的な人にも反論できると思います。そのようなコアカリにしていただきたい。この2点ですね。
【市川座長】  ありがとうございます。
 政田先生。
【政田氏】  今、花井先生が言われたように、今の理想論と現実はかけ離れているんですね。僕が22年前に福井大学に行ったときに病院長に言われたのは、内科系の教授なんですけれども、僕は今まで薬剤師としゃべったことがないと言われたんです。そんな人たちが医療の中にどうして入れるんだと言われたんです。だけど、今、うちの実習に来た子は、うちの薬剤師について病棟に行っているので、3週間ぐらいすると、その子に勉強させて、実習生が、医者のカンファレンスで医師が30人ぐらいいる前で、新薬の説明をしたり、こういう使い方は駄目ですよという話とか、いろんな話をするわけですよ。ほかの病院で実習をやった子に、お医者さんの前でちゃんとしゃべれたよということを言うと、ほかの実習生は、病院の中にいる薬剤師さんですらお医者さんとしゃべってないよと、いまだに言うんですね。だから、もうそこまで、今、花井先生が言われたように、雲泥の差ができているわけです。これを実習でどうするかというのは、本当に大変な問題ですよ。
 だから、僕なんかはそこまでやれるようにというコアカリをつくりたいんだけれども、それができる病院というのはほとんどないですよ、今の現実では。だけど、10年後はそうなってもらわないと困るわけですよ。だから、恐らく薬剤師会の方も、今、在宅、在宅と言っておられるけれども、福井県で在宅を行っていると言えるのはほんの1軒か2軒か3軒ぐらいで、そこに順番に送り込んで、福井県は、僕、薬局の方も病院と一緒に行っていますので、送り込んでいくように指導していますからできていますけれども、実際、何か理想論を言うと、ほとんどできないところは確かに今でも多いと思います。花井先生が言われたとおりなんですね。だから、その辺をどうやって直していくのか、10年間でどうやって直していくのかということも考えていかないといけないし、うちなんかも、僕が行って22年で今はそういうふうになっていますので、できることはできると思うんだけれども、コアカリも大事なんだけれども、今、病院にいる薬剤師を変えていかないといけないことも、残念ながら確かなんですね。厚労省はどう思っておられるかはわからないけど、それは現実です。しようがないです。花井先生が言われたとおりです。
【市川座長】  中井様。
【中井厚生労働省課長補佐】  反論するつもりないですけど、政策誘導しているかどうかは別にして、病棟薬剤師と在宅医療という論点が先ほど出ました。もう一個、絶対忘れてほしくないのは、OTCをすっかり忘れている薬局について、そんなのはどうなっているのという感じなんです。これは10年後じゃなくて20年前の薬局に戻れという感じなんですけど、それをちゃんとやってくださいよというようなことは是非入れてほしいなと思います。
【政田氏】  それと、コアカリに絶対に入れないといけないのは、まともな医療経済です。薬をどうしていくか。薬の使い過ぎもあるし、高い薬をどうするのかというのもあるので、その辺は完全に10年後にはきっちりしておかないと、皆保険制度がもう潰れかけていますので、そこら辺は薬剤師の仕事だと思いますね。
【市川座長】  ここで言うと、薬学と社会というか、社会と薬学の中に実は幾つか入れてあるのだけど、それのもとみたいなところが少し入っている。あの扱いというのは前から非常に難しいところがあって、今、衛生のところに入っているのですね。衛生薬学と社会薬学という形で入れたのだけれども、私も、今の医療経済を含めて、ずっと今議論があったところね。薬の安全性もそうだけれども、そういうものを含めて、学生にとって一番必要なところ、知識としてまず入れなきゃいけない、それから現場体験もしていく、そういうものを通して考えた場合に、基本事項とか、あるいは、医学部だと、2番目は導入じゃなくて、たしか医と社会かな? 何かそういうような言い方になっていると思うので、そういう意味ですごく前に出てきているんですね、その内容が。
【太田副座長】  医学・医療と社会。
【市川座長】  医学・医療と社会ですか。そういう意味で、私、ちょっと言いたいのは、基本事項、導入教育というところの、内容は必要なものはかなり入っているのだけれども、これから先というものを見つめながら中項目を含めて再編をされると非常に、ぱっと一番最初にあれが読めるわけですね、基本事項か何かで。薬学で、こういうこと、こういうことを教えていって、将来こういうことを目指しているのだなというところがわかるような、特に薬剤師の職能と絡んでそういうことができればいいなというふうに思うんです。今はいろんな御意見がありますが、そういうのは、実際、皆さん、多くの方は薬学会の方の委員でいらっしゃるわけなので御意見を頂けると思うのだけれども、是非そこは、今回の改訂のところ、チームで言うとAとBのところと、それからFのところの臨床薬学教育、この辺が大きく、新たなる10年という見方でもいいかもしれないけど、それを見ながらやらなきゃいけないというのがポイントだと思うので、その辺の充実を是非お願いしたい。
 あと、C、D、Eというところの、基礎教育とか、衛生薬学、医療薬学教育というところの、医療薬学教育のところはそうかどうか知りませんけど、ここの重なり、重複が非常に多いとかいうような形で、SBOを含めて整理・整頓をしてほしいという大学の意見は非常に強かったので、先ほどの薬学会の一つの案というのは、非常にきれいな一つの提案じゃないかなというように思うのですね。だから、資質のところとつながっている科目というのがぱっと見えるようなところが欲しいと個人的には思うんですけど、この辺の関連で何か御意見……。
【望月氏】  先ほど説明で、今の7割にするという話が二人ぐらいから出ました。7という数字はどこから出たか知りませんが、そういう数字をまず持ってくるのは非常に危険な気がします。何が重要で、また、逆に今はこれを少し減らしてもいいということを考えて、8割でも、6割でも、何でも構わないと思います。数字を頭に持ってくると議論は必ず変な方に進むので、やめていただいた方がいい。もっとも7の根拠があれば、別ですが。
【井上委員】  根拠は何もないけれども、何もないと作業が進まないんじゃないかなあ。やっぱり、7割なら7割と言われると、一生懸命考える。これが重要だね。
【望月氏】  それだけが目的になってしまいます。
【井上委員】  いや、でも何か作業してないと、やっぱり、何もなくてというのは無理なんじゃないかなあという気はしますけどね。
【奥委員】  今回の、太田先生の説明では7割という数字は出していませんが、ある分野は一生懸命減らして、ある分野は減らさないというようなことがあると、後で不満が出たり、調整が難しくなります。井上先生が言われた数値目標みたいなものが必要です。それでもどうしても減らせないところは減らさなくてもいいと思いますが、数値目標を立てた方が良いと思います。今、考えていることは、減らすというより、アドバンストに移すというような形をとることです。コア・カリキュラムの項目自体は残しますが、薬剤師として基本的に要るのかというときに、例示としてアドバンストに出しますという方が良いと考えています。
【望月氏】  具体的にその移動をするチームが問題です。
【望月氏】  個々の領域じゃなくて、薬学会のコアカリ委員会でそういう検討をしていただきたい。
【奥委員】  まず領域で本当に必要か、必要じゃないかを検討し、コアカリを練っていくわけです。その中である程度の案が出てきたら、最終的に松木先生のところでまとめる。
【望月氏】  また、領域間の調整をどこでするかをきちんと考えておくことが大切です。
【奥委員】  それは、常に上の委員会がありますから、そこでやっていくと思います。
【望月氏】  分かりました。
【奥委員】  それから、多分この委員会でもう一つ重要なのはコアカリの理念をつくることだと思います。コアカリの理念をつくるところで、先ほど政田先生が言われていたような意見とか、花井先生が言われた意見とかを、うまく反映できるようにすれば良いのであって、これは薬学会の方に振られている内容ではないので、この会でつくるべきだと思います。理念に必要なことを入れ込んでいけば、薬学会の方もやりやすくなると思います。コアカリ改訂について大もとの案をつくるより理論をつくっていけば、ある意味で方向性がこの委員会から出せるわけで、それをもって薬学会の方で改訂作業を進めるいうのが理想的な形だと思います。
【市川座長】  今たまたま、奥委員の方からアドバンスト科目というのがあって、ちょっとそれに関連することだけれども、いわゆるモデル・コアカリキュラムには△印がついているわけですね。△印がついてないものは共用試験の範囲というか、4年次ぐらいで終わりで、そこから更に現場へ出てから戻った方が学習理解が非常に高まるということで△印をつけてある。でも、6年まで必要で、国家試験の範囲には全部入っていますというやり方のカリキュラムになっているわけですけれども、その△印について将来どうするのかということの問題というのはここでも余り議論はしないままで来たのが1点と、あともう一つ、私、前から気になったのは、準備教育のところですね。縮小するときに、一つのやり方として、医学部なんかは準備教育というのは非常に明瞭になっていて、基礎的な、一番基礎の基礎みたいな、ここが入ってくるところが準備教育に入っていて、そこから上の部分の専門何とかというところで医学部に必要な基礎何とかという言い方になっているんだけど、前のカリキュラムですとFに対応するところに準備教育というのは一応あったんだけど、ただ、キーワードだけぽんぽんとはめ込んだようなつくり方を前はしたので、余りちゃんと議論してないのですね。今後どうされるのかなというところ、それは薬学会の方ではまだ議論はしてないし、ここではまだ全然、準備教育は余りやってないんだけど、松木委員、その辺はどうですか?
【松木氏】  ちょっとそれとは直接は関係しないんですが、今日の議論を聞いていて、私なりにはコアというのは大体コンセンサスが得られていたのかなと思っていたんだけど、もう一回確認しておいた方がいいと思うんですが、7割とか、そういうのは大体、全体でできるところのうちの7割ぐらいをカバーするような範囲ということで、それで、薬剤師教育にとって必要最低限、余り最低ではないですけれども、本当にコアになる部分であって、残りの3割ぐらいのところはそれぞれの大学が更にアドバンストなところを教育すると。それで、国家試験のところ兼ね合いを、その7割のコアがちゃんとできていれば国家試験を通って、一応、薬剤師になれるのか、あるいはそれだけではやっぱり不足しているのかとか、そのところがあると、△印も必然的にどういうふうに判断するかというところが決まってくると思うんですが、ちょっとその辺のコアというのをもう一回、この委員会で出していただきたいんですけれども。
【市川座長】  コアは、この委員会では7割というのが、今、先生がおっしゃった部分で、全体の薬学教育というのを10割として考えるならば、このモデル・コアである程度、皆さんが全部やってもらうところはコアという概念で、7割と。残りの3割は各大学独自の教育理念か何かに従ってつくられるものということで、国家試験の対象になるのは全体の7割の範囲の中が全部入っているというような考え方ですね。ですから、アドバンストという科目は、それぞれの大学の特徴ある教育のところに入る。奥委員がおっしゃった部分は多分、それを含めて両方兼ねたような感じの言い方だったので、それならば、△印と事前学習、二つの分け方があるという。
【奥委員】  アドバンストと国試対象科目に分けなくてもいいですが、各大学の参考にしてもらえばよいと思います。
【井上委員】  でも、それは各大学が考えることであって、△印をつけて、これが参考になりますよというのは必要かなあという気はちょっとします。
【市川座長】  △印は、共用試験との兼ね合いを今までやってきたわけですね。共用試験センターからいくと、それは非常に重要な議論といって、△が消えていくとまた問題を作らなきゃいかんし、それが入れ込みになっちゃうとものすごく大変なことが起きちゃうので、一応、△の概念は今までどおり残しておくということで進めてもらうのか、その辺だけちょっと、この委員会のコンセンサス。
【松木氏】  △は、オプションというか、そういう方向で使わせていただきたいんですけれども、どうしてもというときには、一応そこに入っているぞというところで……。
【井上委員】  そうなんだよね。
【松木氏】  ええ。それで、将来的には削減するにしても、いきなりではなくて、二段階でというところでお願いしたいと思います。
【井上委員】  わかりました。
【市川座長】  この辺、伊藤委員、ちょっと何か。
【伊藤委員】  それとは直接は関係ないんですが、SBOの数を減らすという、ある一律で減らしていくというので、それはわかりやすいんですけど、ちょっと気持ち悪いなと思っているのは、SBOの書き方を変えることによって数は幾らでも減らせるって、私、前にもこの委員会で申し上げたことがあるんですが、ある程度の具体性を持って書くと、数は多くなるんですね。実際には、学生が試験問題でどんなことを聞かれるんだろうということがわかるというのがSBOのレベルとして要求されていることなので、個数を減らすという議論とちょっと違うのかなという気はしているんですけど、抽象的にして大きくくくれば数は幾らでも減らせるので、そこら辺はある程度のコンセンサスを作業部会の方で持っていただいてやってもらわないと、実際には中身は減ってないということになるような気がしています。
【奥委員】  前に言われたことは理解していまして、薬学会でもそれは議論されています。むしろGIOをある程度整理する形で削減していくというようなことをやると思いますので、先生が言われているような心配は起こらないように、ただ数だけ減らして内容が増えないようにはしたいと思っています。
【伊藤委員】  それはお願いしたいと思います。
【太田副座長】  全体のボリューム感として減らすということと、SBOの数を減らすということはちょっと違うというのは理解して、作業をしているつもりです。作業部会の中でそれがどれだけ浸透できるかということはとても重要なことだと、実行上は重要なことだというのは重々意識をして、やろうと思っています。
【市川座長】  赤池委員。
【赤池委員】  基本的には、特に薬学会で今行おうとしている作業は、昨年度、各大学、薬剤師会、病院薬剤師会を含めてアンケートをとり、全体として、現状のモデル・コアカリキュラムというのは非常に量が多いので、できれば少しスリムにしてほしいということの結論を受けて行っているものです。また、委員として各大学から推薦していただいて選んだ方というのは、このようなアンケートを回答した大学から来る方たちですから、確かに今のような御懸念というのはあるかもしれませんけれども、もしその方たちがそれをやるということは、自分で自分の首を絞めることになりますから、やはり基本的には、教育現場としてきちっと教育が対応できるというか、対応しやすいような形にはそれぞれの委員が考えて実際の作業が行われるというふうに思います。したがって、私は、余り心配はないと考えます。ある程度こちらがガイドライン的にこうしてくださいということをお示しする必要はありますけれども、実際に作業をする先生たちは現場でそういうことを感じられてこられているでしょうから、ある程度はお任せして、その中でできてくるのを待つということの方がいいんじゃないかと思います。
【市川座長】  そうですね。ボリューム感というか、削減というのは気をつけないと、物として減ってしまった場合、本当に国家試験の関係と非常に密接につながってくるので、要するにボリューム感というのは質的な意味でのボリューム感の、何か維持をされながら、かついろいろな重なりとかその他で少し削減していくのと、もう一つは、今回の改訂の意図である薬剤師という像がしっかり見えるようなところは重みをつけてつくっていくと、そうすると全体に試験の方向でもそういう方向に変わっていくのじゃないかと。それはリードできると思いますけれども、今、全体として、ともかく7割なら7割に削減しちゃったら、これはもともと全体が国家試験の範囲であったものが7割になるわけですから、それはよほどうまく検討しなきゃいけない話なので、それはここでやる話ではないかもしれない。要するに、時代の変化とともに対応していく必要なものという理解でいいかと。
 そういうことで、余りまとまらない話なのですけど、医療、臨床という言葉の内容が非常に明瞭にわかるというか、この部分はできるだけ厚みをつけて、新しい時代に向けての質的なものを考えていただいてつくっていただくということ。
【望月氏】  先ほど△の話が出ました。△は、もともとの全部必修のコアカリキュラムの中から共用試験の範囲を出たものを△にして、5年次、6年次で教えなければいけない項目です。現状は、5、6年次の教育というのは全くおざなりです。文科省の調査でも、驚くぐらいという。今のまま、△を残すのは非常に危険です。△は共用試験には出ないけれど、薬学教育では必須であることをしっかりうたわないといけない。今と同じようなことでは、何のために6年に延ばしたのかと言われ続けるかもしれない。
【市川座長】  △を再検討した方がいいという御提案という理解でよろしいですね。
【望月氏】  はい。本気でやるものだけを残す方がよいと思います。
【市川座長】  本気でやるというか、必要なものですね。今の時点で見直したら、必要であると、あるいはこれは必要でないという理解をして識別するということで、△は見直していただきたいということでよろしいですか。その辺は作業チームのニュアンスでいけるかと思うので……。
【望月氏】  アドバンスに入れるというのは正しい。
【市川座長】  ええ。ただ、もともとは全部入っていますよということだけは僕らの理解の上に置いておかないと。
【赤池委員】  ちょっと△と外れてしまうのかもしれませんけど、アドバンスト教育ということを考え方ときに、やはり大学によって、あるいは学生さんによっても、目指すところがかなり違うと思うんですね。薬学の場合、もちろん薬剤師さんになって病院なり薬局で働かれる方もいますけれども、それ以外に当然、行政に行く方もいらっしゃれば、企業に行く方もいる。それ以外のところで活躍される方もいる。その方たちは皆、薬剤師というライセンスを持って、ある意味で薬剤師の職能として働かれるわけです。その場合に、いろいろな考え方があるかと思いますけど、やはりコアカリキュラムというのはそういった方たち全部を含めて薬剤師に求められる像ということを出しているわけですし、そういったことを含めた共通カリキュラムの部分であるということになりますし、あと、5年次、6年次で、特にいろんな進路の方に対してそれぞれ教育をしていくという要素は当然入ってくるんじゃないかと思います。そうすると、それを全部絡めてコアカリキュラムとして提示してしまうと、各大学がそれを全部教えなきゃいけない。個人にしてみると、病院薬剤師を目指している方も企業で働けるような教育まで受けなきゃいけないということになりまして、現実に今起こっていることは、6年間では到底教え切れないという話が半面では出てきている要素があると思うんです。
 ですから、そういう意味ではどういう形で最終的にまとめるかというのはこれからこの委員会でも薬学会でも考えていかなきゃいけないと思いますが、やはり共通カリキュラムとしてのコアカリキュラムという部分と、そういったアドバンストの部分に分ける必要があります。△を全部アドバンストに入れるとか、そういった目的ごとで、大学ないし学生にある程度こういうところをやりたいというところがあって、そういったところもある程度何らかの形で残していくということを考えた場合に、いわゆる共通カリキュラムとしてのコアの部分と、それから、ある意味で選択という部分のアドバンストいう、そういう二つの部分が入ってくるんじゃないでしょうか。それを、例えば△印を全部共通だから残しましょうということはやはり、今の内容を見ても、ちょっと無理があるのではないかというふうに思います。
【市川座長】  結構重要な発言だと思います。△印の概念は、先ほどから私が繰り返し言っている国家試験の範囲ということから見たら、一応、今は全部入っていますよというのは事実なんですね。△印をどう取り扱うかは、大学によって、人によっては選択科目にしているところもある。それは事実上、5年次のときに実習に行っちゃうから、結局、それは3等分、ないしは4等分の学生が5か月行くわけですね、ばらばらの期間に。そうすると、カリキュラムというのは共通に全部の学生に与えなきゃいけないんだけど、それを組もうと思うと、ほとんど組めなくなっちゃっているから、集中講義みたいな格好でぽんぽんと開かれていて、繰り返し授業もしなきゃいけないとか、そういういろいろハウツー物のところで問題点が出ているのですね、私学の場合は学生数が多いので。そんなようなことで、あそこはわりとおざなりになっていることは事実だと思うのですね。だけど、範囲としては全部入っているので、今後としても、そういう意味での△をつけるのか、それとも、△は将来やめる方向で、とりあえずテンタティブに持っていってということをどこかでしないと、あれは4年次で、先ほど先生もおっしゃったのだけど、5年次、6年次に、ともかく実務体験をしてから、戻ってから学んだ方がいいだろうという内容には、先生も御承知のとおり、なっているわけなんだけれども、そういうようなことはできるだけやめるという方向にするのか、それはちょっとしておかないと、△の取扱いはちょっと重要な意味があると、僕は思うんですけど。
【赤池委員】  私、望月先生の御発言を否定する意味で申し上げたのではなくて、アドバンストで△印がついている中にも二つの要素があるんじゃないかと申し上げたのです。当然その中で、内容によってはコアカリキュラムとして残さなければいけないものもあるでしょうし、逆に、選択として残せる部分もあるんじゃないか。まずそれをちゃんと作業のところで検討をして、きちっと分ける必要があると、そういう形で申し上げたんです。
【望月氏】  私もそういう意味です。
【市川座長】  わかりますよ。
【森委員】  それこそ今の△も、せっかくここで見直しをやるのであれば、もう一回見直してみたらいいと思います。実習から帰ってきて、やるべきものは何なのか、もう一度検討して、必要だったらやるし、必要じゃなければやめればいいのではないかと思います。
【市川座長】  そんなことを含んで実際に作業をやっていただければというのが私が言いたかったことでありまして、△の取扱いは一応残しておくというのは、皆さん、特に反対はなかった……。反対?
【奥委員】  基礎の方で△がついているのはアドバンストというニュアンスが主で、もう一方で、共用試験には出ないが、実習が終わってからやるべき△と、両方あるような気がしています。アドバンストという意味で、共用試験に出ませんよというような形でついている△は、やめた方が良い。アドバンストはアドバンストで、別のところに例示のかたちで出すことも可能です。絶対やらなければいけないけれども、共用試験の後でしかできないものを△にして、それ以外の△はすべてやめるという方向の方が、個人的にはすっきりして良いと思っています。
【市川座長】  そうですね。そのような整理の仕方を作業の中でやっていただければということで、新たな考え方になると思うのだけど。
【井関委員】  話は別のことになりますが、さっき花井委員の意見の中に出てきた安全性の部分に関係する内容ですが、僕が、実際に自分で教えていて、医療安全だとか医薬品安全の部分の講義とか演習とかっていうのは、実際の現場では非常にクローズアップされてきているにもかかわらず、あんまりきちんとした形で今の教育カリキュラムの中に入ってきてないなと前から感じていたものですから、今日そういう意見が出たのをきっかけに、先ほどの薬学臨床教育の中のGIOとか、あるいはそういう形で新たに設けるという理解でいいのかを確認したいのですが。あるいは、ちょっと蒸し返すような話で申し訳ないんですが、例えば基本的な資質の中のどこの部分にそれが反映されているだろうと思って見ていくと、薬物療法における実践的能力、ここのところに「安全で有効な」という文言がちょっとだけ出てくるんですが、これだけでいいのか。もっと明確にそういうことが必要だよというふうなことをこの中で出してもらって、それに合うようなGIOの整理というふうにしてもらうように委員会として作業部会に提言すべきなのか、そこのところをはっきりさせておいた方がいいかなと思っていたんですが。
【市川座長】  私も、今、井関先生がおっしゃったように、この委員会の姿勢として、これは結構しっかりしたものとしてお伝えしたいということで発言していって、まとめにしたい。項目を立てて、これでやってくださいというわけではなくて、ここに委員の方も何人かいらっしゃるし、松木委員長もいらっしゃるから、ある程度そのニュアンスは理解していただいて。私、この安全性の問題というのはこれから非常に大きな問題になっていくと思うし、特にレギュラトリーサイエンスをどうする、こうするという話も非常にあるわけなので、そういうことを含めて考えると、薬学の非常に大きな部分を占めていく。当然だけれども、医療の本質において一番重要なので、もう少しちゃんと教育をすべきだというふうに思います。だから、項目としては、A、Bに入るのか、Fに入るのかというような感じは……。
【井関委員】  そういう中に入れる。基本的な資質の中に改めてそこをもう一回……。
【市川座長】  そういう項目が外から見えるように、ちゃんとしっかりしないと、学生の方が理解……。
【太田副座長】  ちょっとよろしいですか。今、基本的な資質の中で、井関先生がおっしゃっていたのは、薬物療法における実践的能力のところに「安全で有効な」の「安全」が入っているということだけでなくて、患者・生活者本位の視点のところに「安全と利益を最優先する」というところで一応はこの議論の中で入っていったという経緯があるんですが、資質で入っていてもGIOの中に落ちてないとそれは全然具体的にはならないので、GIOの中でそれが反映できるような形にしていきたいと考えております。
【井関委員】  それを議論していただきたいという要望として、薬学会の方の委員会にも……。
【市川座長】  私は、今、太田委員が言ったように、GIO、SBOの方でしっかりしたものをつくってほしいという要望です。
【井関委員】  我々がやっているいわゆる服薬指導というのは、実は安全性の部分をきちっと話しなさいという意味だと思っているんです。有効性その他は医師がやりますから、薬の説明を患者さんにする場合に、我々が医師と同じような説明をする必要は全くなくて、むしろ患者さんは二度手間になるだけですから、我々は安全性、いかにしてその薬を安全に有効に使ってもらえるかというところの気をつけるべきところを説明するというのが服薬指導の原点なものですから。ところが、その辺のところの教育の在り方というのは、薬学ってどうしても創薬から始まっていますから、効き目のところが前面に出てくるので、ちょっと弱いといえば弱いのは確かなんですね。ですから、そこは少し補強すべきかなと思います。
【市川座長】  ありがとうございます。
【奥委員】  今、太田先生が説明された基本的資質にはそれが入っていると思うし、医学部のコアカリを見ると、「改訂の概要」の「社会的ニーズへの対応」のところで「医療安全の観点」を挙げています。基本的資質については十分に議論をして決めたので重要なことは網羅されていると思います。もし安全性をより詳しく書くとしたら、理念とか、今回の「改訂の概要」に入れる方が、良いと思います。
【市川座長】  医学部のモデルコアでは、基本事項の中にすごくページを使って入れている。
【奥委員】  そうですね。
【市川座長】  私、こういうのは非常に必要だなという気がしますので発言しております。また、これは作業のところで是非やっていただきたいという要望です。
 あと、縮小に関しては、一律というよりも、重みをつけて、それぞれの範囲でやっていただく。これは十分いろんな意見があったので、どういうところに重みをつけるかというのは、大体の意見は出ていたので、参考にしていただければと。
 あと、縮小の仕方としては、ここで案を提案されたような形で、それぞれGIO、それからSBOという整理をされていく、まずGIOの整理をされるという、こういうやり方で大変分かりやすいと思うし、それから資質の方とのつながりも全部言っていたので、非常に大変だけれども、それは非常に良いやり方かなというふうに思います。ということですが、気をつけなきゃいけないのは、内容のボリューム感というところの削減という意味合いは何かというところは少しはっきりして全体で動いていかないと、ただ減っちゃうということだけは避けましょうということになる。当たり前みたいなことを言うと、そういうことです。
【吉富副座長】  だから、10年後の薬剤師とか、今、医療安全の話なんかも出てきましたけど、削減するという大枠は恐らく皆さん意識されていると思うんですが、新しい姿のところも必ず作業部会で議論をするということが大前提であるというのが忘れられると恐ろしいことになりそうな気がするという、危惧の面があるだけなんですね。だから、きっとそういうのは、作業部会で説明をしたときに、逆に言えば作業部会の人たちがただ暴走して削るだけとかいうふうになりかねない感じが……。
【奥委員】  それは、あり得ないことです。
【吉富副座長】  それならいいんですけどね。
【市川座長】  問題は、私、前のモデルコアの作業でも経験あるのだけど、作業チームで一生懸命やったものが大学のそれぞれの部分の先生方にどのようにフィードバックされて、その意見がまた戻ってくるかというところが結構大変な作業になるので、その辺、松木先生、現段階では、各大学から1人ずつ委員が出てきていて、それぞれ専門性でだれか選ばれていると思うんだけれども、その委員会の方が間に入ってそれぞれの大学にフィードバックするのか、あるいは薬学会として、前は、でき上がったときに、あるいは途中段階で、各大学から1人ずつ集めて発表したりなんかしていたんだけど、その辺、何か御意見いただけますか。方針みたいな。
【松木氏】  委員のメンバーは、ホームページにも掲載していますが、実は本当に様々な階層というか年齢層の人があって、我々としては、10年後にも教育に携わっている人という形でお願いはしたんですが、リタイア寸前の人とか、あるいは逆に30代の非常に若手の人とか、まだそんなに講義の経験もないんじゃないかなと思うような方とか、いろいろいますので、まず最初はそういう人たちのこれに対するコンセンサスとか基本姿勢というところから始めないといけないと思います。それで見て、どうもそれぞれの大学にフィードバックできそうもないなと思ったら、もっとダイレクトに我々の方でやるとか、そういうところは考えないといけないので、まだ顔を見て話をしてない人たちばかりですので、どういうような考えで来られているかというのもちょっとよく分からないところがありますので、まだこれからというところです。
【市川座長】  非常に大変でしょうけど、大学へのフィードバックというのは非常に重要な意味を持っているかと思うので、よろしくお願いしたいと思います。
【奥委員】  大学にフィードバックするときに、委員会からフィードバックするのはいいけど、委員を通してフィードバックするのは反対です。特に委員には若い先生がたくさんいるので、基本的に、大学に持って帰ったときに立場上難しいこともあると思います。更にもっと根本的に、委員会というのは、大学の代表で出ているわけではなくて、大学から選抜されてはいますが、委員になった以上は委員会のメンバーであることが優先されるべきです。各大学の利益代表ではないので、その委員を通して大学にフィードバックするというのは反対です。
【松木氏】  ちょっとニュアンスがあれかもしれないですけど、利益代表という意味ではなくて、どういう状況であるかということをどんどん……。
【奥委員】  それは、委員がフィードバックするのではなくて、委員会から全大学にフィードバックすればいいことだと思います。出ている委員を通してというのはやめた方がいいと思います。
【赤池委員】  恐らく、8月に全体会議を行いますから、具体的な作業は9月に入ってからだと思います。3月には薬学会でシンポジウムを開催して、そこでそこまでの進捗状況を発表するということになっていますから、少なくともその段階では公表する、各大学にお知らせするということになりますので、少なくとも情報を伝えるというところは担保されているんじゃないかと思いますけれど。
【市川座長】  大変いいと思います。それでまた、大学の方の意見を回収する方法というのも、是非お考えいただきたいと思います。薬学会も全員が出ていないということもあって、いろんなことを言う人も多分出てくると思うので。いろいろ苦労しました、昔。
 じゃあ、その辺はよくて、あと、この委員会とのフィードバックは、さっき出ていたように、物ができ次第、あるいはいろんな問題点が出たときに、すみませんが、できるだけ密接なつながりをつけていただいて、そのたびごとに文科省の方で委員会を開いていただくということになるかと思いますが、必要に応じて、もちろん前提はですけれども、よろしくお願いします。
 大体それで今日の議題の大きな目的は終わったのですけれども、今の予定ですと8月に委員会が開かれて、そして、この委員会としてはその後ぐらいになるのでしょうね。その辺で何か案が出てきて、今日の意見なんかもちょっとフィードバックしていただければ非常にうれしいと思うので。
【松木氏】  その都度、市川先生に相談させていただきます。
【太田副座長】  ちょっとよろしいですか。
【市川座長】  はい。
【太田副座長】  進め方のことで、例えば、薬学会の委員会で何かプロダクトができつつあるという状況で、それをこの委員会に諮って、それでやるというのはもちろんなんですが、回数、要するにどのぐらいのスケジュール感で動くかというのは、結構難しいところだと思うんですね。場合によっては、例えばですけれども、できたプロダクト、あるいは途中のものをメールで皆さんにお見せするとか、そこで意見があった場合はそれを吸収するとか、そういうプロセスというのはいかがでしょうか。こういう委員会を開いた方がそこでの議論は集中するだろうと思うんですけれども、例えばGIOの中にSBOが入っていて、SBO込みじゃないとなかなか全体が把握できないというような伊藤先生の御意見もあったので、例えばメールですと、途中段階であれ、そういうのはその場で見ていただくことができるという点ではいいかなというふうに思うんですが、逆の点もあって、途中のものでそういうのが出てしまうと、それはそれでなかなか、そこでまた難しくなってしまう可能性もあるので、それだけちょっといかがかなと思って。
【井上委員】  さっき奥さんが言ったみたいに、この会のレスポンシビリティーとして、理念とか何とかというのがもう少し明確にあった方が、それぞれのプログラム、実際にこの作業を進めていく委員にとっても、こういう理念があるのかというのがあった方がやりやすいというところはあるかなあと思うので、それはちょっと具体的に進めた方がいいんじゃないかなと。市川先生がまとめればいいんだ。
【市川座長】  有り難い御意見を頂きまして感動の至りですけれども、密接な何らかの連絡がありましたら、内容によって検討をさせていただきまして、メールの方が早く動きますので、その必要性があれば、それはケース・バイ・ケースでさせていただきたいと思います。
 それでは、そういう形で、ここの委員会と薬学会との関係というのは、前提は非常に密接に動く必要は当然あるわけだし、いい関係を保っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、その他という事項、あとちょっとの時間がありまして、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂については国会議員の間でも話題になっているというように伺っておりますけれども、そのことについて、事務局の方から御報告いただければと思います。
【伊東薬学教育専門官】  参考資料2をごらんいただきたいと思います。前回は倫理指針の件について御報告を申し上げたところですが、この資料は平成24年6月6日に内閣官房長官を議長とする医療イノベーション会議というところで決定されたものとなっております。もともとは平成22年6月18日の閣議決定の「新成長戦略」というものがありまして、その中の七つの戦略分野のうち、その一つとしてライフイノベーションによる健康大国戦略というものが位置付けられ、今後、医療イノベーションを促進して国際競争力の高い関連産業を育成させるとともに、その成果を国民の医療・健康水準の向上に反映させることというものを目指して、こういった議論が行われてきたということとなっております。
 これをおめくりいただいて、4ページに新たな戦略策定の意義ということが出ておりまして、箇条書で2点書いてございます。ここの部分では特に、「「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を継承・発展させ、産学官一体となって、医薬品・医療機器産業を育成し、世界一の革新的医薬品・医療機器の創出国となる。再生医療や個別化医療のような世界最先端の医療の分野で日本が世界をリードする実用化モデルを作る。さらに、医療サービスのイノベーションに向けての検討を併せて進める」というような内容となってございます。また、「今後5年間はこれらを車の両輪として進め、医療イノベーション大国としての地位を築くべくこの戦略を策定する」ということで、その目的を書いております。
 具体的に薬学関係に関する記述といたしましては、まず18ページに、「医療機器の国産力・実用化研究の強化・促進を図るため、医学系、工学系、薬学系研究機関・大学と医療関連産業が医工薬産連携し、資金・人材・技術の提供及び」云々(うんぬん)ということで、ここにまず、薬学系の大学というようなものが出てまいります。
 さらに、23ページから24ページにかけては、人材の育成・確保というところが出ておりまして、ここについても、例えばがんに関する関係で、「医薬品・医療機器の開発研究等を担う、高度な研究能力を有する医療人材」などの育成などというものが書かれております。
 さらに、26ページの方には、PMDAの関係の記述もございます。
 それから、最後の方、52ページ、後ろから2枚めくっていただいたところですが、そこには医療イノベーションを担う人材育成ということで記述がございます。これについては、特にここだけ読みますと、医学と工学の融合領域におけるということで、大学における医学と工学の融合領域の研究の促進に努めるというような書き方にはなっておりますが、それより前のページなどを見ていただきますと薬学の関係などの記載もあるということでございますし、1枚おめくりいただいた53ページには、「レギュラトリーサイエンスに精通する人材の交流・育成を行い、革新的医薬品・医療機器の実用化を促進する。また、大学においても、レギュラトリーサイエンスに精通する人材の育成を促進する」というようなことが書かれておりまして、実際にこのペーパーに書いてあることはそういうことではございますが、別途、民主党の方でこれを策定するに当たっての議論がされておりまして、その中では「薬学部の教育における医療機器分野の必修化に向けた環境整備を進めること」というようなことが書かれております。その内容ですが、薬学部の教育における医療機器というのはどういうことかというようなことで、ちょっと私どもも調べていたところでございますけれども、いわゆる医療機関で使われている、ペースメーカーですとか、そういったものから始まって、病院などで実際に使われている医療機器も含めた形の全体的な医療機器を含むということ、そういったものが今まで余り薬学部で教育されてきていないというようなことに、問題意識があるということでお伺いしているところでございます。
 一応、今回こういうものが出ましたので、ここの場を借りて、今後、コアカリの改訂などに関しましてもそういった御意見が出ているということで、御報告をさせていただいたところでございます。
【村田課長】  そういう意味では、ここのところは、今、先生方もお感じのとおり、まだ具体的に何がどうこうということではないんです。多分、進められる先生方の御意思としては、これからまた、医と薬、あるいは医と工、それから薬と工、そういったものの連携が大事になるので、そういう意識を先生方にもお気にとめていただきたいということが根っこにあるのかなあということで、まだ具体的に何か、どうしてくださいということが出ているわけではございませんで、一応、御議論としてあったということを御紹介させていただきたいということです。
【市川座長】  何か、今のことについて。
【井関委員】  医療機器について、具体的にはどういう?
【伊東薬学教育専門官】  ここには医療機器としか書いてはおりません。
【奈良大臣官房審議官】  民主党になってから、インフラをいろんなところに輸出しようと。それで、トップセールスをやりたいというのが大もとにありまして、原子力も含まれています。それから、医療機器というのは具体的に病院で使う高度医療機器を輸出したいと、本当は。だから、日本で開発して、できれば専門家もくっつけて途上国に輸出したいというのが、政治家の中のイメージで非常に強いのは、高度医療機器、実際、体に使ういろいろな機器ですね。そういうのがイメージにあるので、薬学からいったときに、個別に何かあるかなというと、ちょっとイメージしづらいんですけど、とにかくそういう人体をはかるいろんな機器を輸出したいというところがあって、それで産学連携で幅広くやりたいというのが、一応根っこにあるお話になっているようです。
【井上委員】  治験の委員会なんかに出ていると、薬学関係で出てくるのは、典型的なのは、薬剤溶出型ステントというのは、これは薬学が相当絡まないとあれな問題ですし、あとは、生体適合性とかね。結局、いろんな機械のときでも、金属を直接体の中に入れるんじゃなくて、それを生体適合性のもので覆うとか、そういうことになると、これは、有機化学であったり、高分子化学であったり、生化学であったりするので、薬学の出番はかなりあるはずなんですね。そういう意味も一番あれなんじゃないですかね、工学的なというよりは。
【市川座長】  結構、PMDAなんかを中心としてやっている仕事も非常に多いところで、あの辺は薬学の人が間接的に非常に関係してくるし、それから、薬の投与の仕方もどんどん変わってきますよね。外からの……。
【井関委員】  現場の希望から言うと、いわゆる血中薬物濃度測定が、血糖値の測定器みたいなやつでピッとやったらすぐ結果が出るとなると、恐らく需要は、各薬局にすべて置いて、とかいう状況になってきて、ものすごいマーケットになるよなと思うんだけど、要するに、採血がどうのこうのという暇があれば、これだけ今、LC/MSその他で微量定量分析の技術なんかが発達しているときに、そうした応用の産物として世の中に出てくると、現場の人間としてはすごく助かりますよね。わざわざ医師や看護師の方に血中濃度の測定をするために採血時間をお願いしなくても、その場でやれるというふうなところまで持っていければなあと。いわゆるバイタルサインをとるのと同じような感覚で、ちょっと侵襲的ですからなかなかそんなわけにいきませんけれども、というふうなのがあるとすごくいいのかなと思うんですけど、そういうのとも違うんでしょう。医療機器ですから、もっとでかいやつですよね。1台1億とか、2億とか、そういうやつですよね。
【奈良大臣官房審議官】  あと、これをフォローアップしていくときに、政府が戦略を決めると、各省庁は何をやっているんだというので、フォローアップをかけられるんですね。例えば、文科省が補助金を用意して、平成何年度から3か年計画でこういう補助金で医工連携のこういうプロジェクトを立ち上げていますというような報告とか、よくあるのは、カリキュラムにちゃんと位置付けていますというのも、実は時々報告せざるを得ないというか、ほかに余りすることがないというのもあったり、そういうこともありまして、文科省は何やっているのといったときに、時々、カリキュラムの話を政治家が持ち出すということもちょっとあるのでということで、ちょっと御参考までに。
【市川座長】  ありがとうございました。
 それでは、今のはそういうことで、どういう形になっているかわかりませんけれども、十分視野に入れていく必要のある内容じゃないかなというふうに思います。もちろん、薬学の観点から、安全性という問題も含めて対応できる問題というのはたくさんあると思うので、それを考えていきたいというふうに思います。
 それでは、一応、用意しましたのはこれだけなのですけれども、先ほど途中で議論が……。すみません、薬学会の方から、松木委員、資料が後で配られている。
【松木氏】  後で机上配付させていただいた資料ですけれども、よろしいでしょうか。
【市川座長】  はい。
【松木氏】  この委員会でも実際の現場の学生の意見を反映させたらどうかというような話があるんですが、昨年から日本薬学会は、6年制の教育を受けた学生のワークショップというものをやっていまして、今年も8月7~8日に1泊2日でやります。特に8日のときには実際に学生がどういうような教育を望むかというのを、あと、前日の夜には実際にこの4月から現場で働いている学生も来て議論に参加して、それをまとめて、8日の朝、発表ということですので、もし、委員の先生方、興味がありましたら、是非参加していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【市川座長】  ありがとうございます。
 まだ四、五分あるんですけれども、先ほどの議論の中でもう少しこれは言っておきたいというものがございましたら、どうぞお願いいたします。
 あるいは、薬学会の方で何かございますか。
 そうしたら、すみません、きょうの議論を酌んで、よろしくお願いいたします、ということです。
 今後のスケジュールは、先ほどからありましたように、薬学会での作業の進捗状況というものを踏まえて、開催を決定したいと思います。それで、いろいろ頂いた資料、材料をもとに、次の議論が始まるということであります。よろしくお願いします。
 それから、今、吉富副座長から言われたことは、先ほどの議論の基本的なというところは、このモデル・コアカリキュラムができ上がったときの基本理念というのかな? あるいは位置付けというようなところが、実は最初に、第2回目のときの資料4というところをあけていただくと、たたき台みたいのはつくったんだけど、全然議論なしにそのまま終わっていまして、第3回だったかな?
【望月氏】  第3回の資料4です。
【市川座長】  ごめんなさい。第3回の資料4の1ページというところで一応書いたのだけれども……。
【望月氏】  これに沿って、松木先生と、私と、両方つくってくるようにと言われて、その後の資料に入っていますが、ほとんど医学部のものと同一です。
【市川座長】  この辺も改めていろんな資料が出てきたときに議論を始めたいと思うので、最終的にはこれはここの委員会の責任としてつくらなきゃいけないというものですので、御記憶のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間も大体いいところになりましたので、本日はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──


 

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