薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成23年11月21日(月曜日) 17時~19時

2.場所

文部科学省東館5階 5F1会議室

3.議題

  1. 今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

市川座長、太田副座長、吉富副座長、赤池委員、井関委員、伊藤委員、井上委員、入江委員、奥委員、中山委員、奈良委員、平井委員、松原委員、森委員

文部科学省

奈良大臣官房審議官、村田医学教育課長、渡辺企画官、小野医学教育課課長補佐、伊東薬学教育専門官、大林技術参与ほか関係官

オブザーバー

全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人 花井十伍
厚生労働省 医薬食品局総務課 中井課長補佐

意見発表者
望月正隆(一般社団法人薬学教育協議会代表理事)

5.議事録

【市川座長】
 それでは、定刻よりまだ少し早いようですけれども、委員の先生並びに事務局の方の方々、あるいは出席予定の方々は大方の方がおそろいということで、本日は少し夜遅い会議でございますので、できたら早めに終わりたいということもあって、今から開始したいと思います。第4回の会議になりますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に事務局から委員の出席状況及び配付資料について確認をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
 それでは、本日の配付資料を確認させていただきます。資料1が、「薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂にあたって」ということで、本日最初にゲストスピーカーとしてお話しいただきます、一般社団法人薬学教育協議会代表理事望月先生からの資料でございます。資料2が、「今後の想定される検討スケジュール(イメージ例)」でございます。資料3が、「今後の検討事項(案)」、以上、資料は3点でございます。
 また、本日の委員の出席状況でございますが、長野委員が欠席ということになっております。また、ゲストスピーカーといたしまして、前々回にスピーカーとしてお話しいただきました花井先生、それから本日の望月先生においでいただいておりますので、御紹介させていただきます。
 事務局からは以上でございます。
【市川座長】
 ありがとうございました。それでは、すぐに議事に入りたいと思います。「今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方について」ということを御議論いただくわけですけれども、今ヒアリングをさせていただいておりまして、前回の委員会で職能団体である日本病院薬剤師会と日本薬剤師会、そして学会関係者として日本薬学会から御意見を伺いまして、更に薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念、あるいは位置づけ、基本的資質について、関係の事項について御意見を頂いたということであります。そういう上に立って、今回もう一つヒアリングということで、薬学教育協議会から御意見を伺うこととしまして、その後に今後の検討スケジュールや調査研究チームに委託する内容について、御審議をお願いしたいということが今日の予定でございます。
 最初に、関係団体のヒアリングということで、本日は先ほども御紹介のありました一般社団法人薬学教育協議会からの御意見を伺うことにしたいと思います。お願いした点は、薬学教育モデル・コアカリキュラム全般についての御意見を頂くこととしますが、最後に前と同じように、薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念、位置づけ、基本的資質についても触れていただきたいというようになっております。
 それでは、代表理事の望月先生、よろしくお願いいたします。
【望月氏】
 御紹介ありがとうございます。薬学教育協議会の望月でございます。本日、約15分間ということでお時間を頂きました。資料は多いように見えますけれども、このうちのほんの一部しか使いませんので御安心ください。
 薬学教育協議会とは何だという方がいらっしゃると思います。その構成は日本中の各薬科大学・薬学部の代表74名が主でして、そのほかに国公立大学薬学部長会議、日本私立薬科大学協会、日本薬学会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本薬剤師研修センター、東京医薬品工業協会、大阪医薬品協会、薬剤師認定制度認証機構、日本薬学図書館協議会の代表各1名が加わっております。薬学視学委員会代表1名となっていますが、以前はメンバーでして、今後どうするかというのは後ほど文部科学省に伺います。
 薬学教育協議会といいますと、実務実習の調整を一番の仕事としているということで皆さん御存じかと思います。日本を8地区に分けて調整しています。
 これまでの薬学教育協議会の沿革です。創立は昭和33年、約50年前であります。目的としては薬学教育の充実・改善・発展に寄与することです。柴田承二先生が最初の会長を務められて、それから、2代会長野上寿先生のときには日本薬剤師会が薬学教育協議会に「薬学教育の改善について」をまとめる要望をされ、薬学教育コアカリキュラムがつくられました。3代会長高木敬次郎先生は全大学に薬学教育基準について意見書を提出されました。
 4代会長田村善蔵先生は薬学教育の教科内容と修業年限に関する専門委員会を答申されました。5代会長宮崎利夫先生は薬学教育の充実に関する専門委員会の答申をされました。6代会長辻章夫先生は薬学部学生の長期病院・薬局実習のための調整機構に関する専門委員会を答申されて、調整機構が動き出しました。さらに、薬学教育者ワークショップの立ち上げをされました。7代会長井村伸正先生が有限責任中間法人を立ち上げ、また、地区調整機構委員長会議を組織して、6年制長期実務実習に向けての協議をされました。次の会長として私のときに、一般社団法人薬学教育協議会に変わりました。
 薬学教育協議会の目的と事業です。1番目の事業として薬学教育に関する調査・研究・評価、2番目が薬学教育カリキュラムの検討、3番目が薬学教育者ワークショップとしての薬学教育者研修会の実施、4番目が薬学部学生の病院・薬局実務実習の調整、5番目は就職動向調査、6番目が教科担当教員会議の開催、7番その他です。
 薬学教育カリキュラムについては、2番目の事業に入っていますが、薬学教育協議会以外にも日本薬学会、日本薬剤師会、大学基準協会などの団体がそれぞれカリキュラムを検討しております。1950年には大学基準協会の薬学カリキュラムが出されました。この内容では医療に関する科目はほとんど見られない段階です。その後1980年に、薬学教育協議会の高木敬次郎会長から大学基準協会薬学専門委員会の柴田承二委員長に薬学教育基準を示されました。この薬学教育基準では応用薬学分野において多くの医療薬学系の科目が含められました。「薬学教育の実務実習は原則履修するものとする」という形で、4年制の旧制度薬学教育の形がつくられました。
 その後、文部科学省の「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」で検討され、最終報告が平成16年2月に出されました。この調査研究協力者会議には本日の座長の市川先生と私も参加しました。最終報告に基づいて薬学教育モデル・コアカリキュラムができ、その後の動きもこれに沿っているわけです。
 1.薬学教育の改善・充実に関する基本的な視点では(1)薬学教育への期待、として「医薬品を疾病治療・健康増進に安全有効活用できる人材の養成に、これまで以上に力を注(そそ)ぐことを考える」ということから、薬学教育への期待が始まったわけです。
 (2)医療薬学教育への期待と今後の在り方、については、「実務実習の一層の充実とともに、薬学の科学的な基盤を身につけるための教育の充実並びに医療チームの一員としての役割を果たすための医療システムについての教育の充実等が求められる」という形になりました。
 (3)基礎薬学、創薬科学、衛生薬学に係る教育への期待と今後の在り方、においては、基礎薬学、すなわち4年制の薬学はどうあるべきかということでして、日本の基礎薬学研究は世界有数、世界一と言ってもいいぐらいでして、基礎資源の乏しい日本の基幹産業としての創薬産業の中心となるべきであるとしてその方向で進んでいるわけです。ただ、「基礎薬学、創薬科学、衛生薬学に係る教育の更なる改善・充実を図っていくためには、医療薬学との接点を意識し、健康科学、生命科学という観点も加味していくことが重要である」として、4年制の薬科学の在り方にここで触れております。
 2.薬学教育カリキュラムの在り方等(1)薬学教育カリキュラムの在り方、として、(イ)多様性への対応、(ロ)内容の精選、では特に、「膨大な情報の中から必要な情報を整理・精選するとともに、常にその内容を点検していくことが必要である」と述べており、カリキュラムを常に精選し、点検することははっきりと示されております。(ハ)指導方法の工夫、においては、「各大学においては、演習、少人数討論、チューター制の導入、卒業研究の充実といった方策を検討する必要がある」、「各大学においてFDの導入を検討する必要がある」と述べています。(ニ)国際通用性の観点、では「国際通用性の視点からカリキュラム及び教育システムの改善・充実を図る」ということを述べております。
 (2)薬学教育におけるコアカリキュラムの考え方、では「基礎薬学と創薬科学、衛生薬学、医療薬学の適正なバランスを考慮したカリキュラムを、コアカリキュラムとして位置づけていく必要がある」、さらに、「大学の個性・特色に応じ指導方法、単位数に多様性の生じることが想定される。また、コアカリキュラム以外の部分については、各大学が発展的な内容を取り入れるなど、個性的なカリキュラムを構築することが求められる」として、最後に、「同時に様々な状況を踏まえながらモデル・コアカリキュラム自体の改善充実を図っていくことが必要である」と述べて、本日のこの専門研究委員会の存在と在り方が示されていると考えています。
 (3)実務実習の在り方、(イ)実務実習の意義と現状、課題、において、最初に「医療人としての使命感・倫理観を備え、実務についての知識を有する薬剤師を養成するには、医療現場における実務実習が不可欠である」と述べています。(ロ)実務実習モデル・コアカリキュラム、では、「病院実習と薬局実習の双方を取り入れ」、「今後、各大学においては、当該モデル・コアカリキュラムにのっとったカリキュラムの構築が行われ、実務実習の充実を図ることが重要である」と位置づけています。
 (4)実務実習の指導体制及び受入れ体制の在り方(イ)指導体制の在り方、として、「大学は、実習受入れ機関に学生の指導を任せきりにするのではなく、指導に責任を持ち、実習の質の担保を図らなければならない」、「指導施設と指導者の質の担保を図る必要があり、そのための指導体制の評価の在り方については、更なる検討が求められる」と述べています。
 (ロ)受入れ体制の在り方、においては、「適切な実務実習の受入れ体制を構築する必要がある」として「なお、病院実習と薬局実習については、現在、受入れ体制が別々に用意されているが、将来的には、できるだけ速やかに一本化する方向で、日本病院薬剤師会と日本薬剤師会との間で合意がなされている」と述べています。やはり一本化の方向は正しいことと思います。
 私どもが考える旧制度の4年制薬学教育は、「薬学部のミッションである薬剤師養成教育は国家資格取得のための知識の詰め込み教育に偏重し、医療人の共通基盤となる倫理観・使命感を身につけた実務薬剤師の養成はなおざりにされてきた」という意識です。
 新しい薬学部の制度設計としては、特に薬学部の特徴として、医学部、歯学部とは異なり、二つの制度がある。薬学部には、薬学科と薬科学科の二つがあります。6年制薬学科の到達目標は薬剤師養成を主目的とします。地域医療及び病棟におけるチーム医療に貢献する実務薬剤師の養成です。さらに、科学としての薬学の基盤の上に立つということが大切と思います。一方、4年制薬科学科の到達目標は、創薬及び薬学の多様な分野にかかわる人材養成であり、医療との接点を意識した基礎薬学教育です。このような両学科の到達目標は明確にして、ぶれないということが非常に大切であると考えております。
 更に制度設計として、「何をもって新制薬学部の教育プログラムとするか」ということについて、薬学部の全学科が共有すべきものとして薬学コアカリキュラム、薬剤師養成にかかわる必要最小限の教育プログラムとして薬剤師養成コアカリキュラムがガイドラインとして提示されることが必要と考えます。6年制薬学教育カリキュラムは、全般的には、くすりをモノとして扱う教育から、人を中心とする医療に関わる薬剤師の養成教育へ変わっていきました。
 薬学教育モデル・コアカリキュラムの充実のためにどのようにするかとして、薬剤師であるからもっと活躍できる独自の領域が広がっていることをカリキュラムによって示すこと、地域医療においては、介護、在宅医療、健康相談、保健衛生、環境衛生の指導に加えて、栄養管理、食品の安全性に関する実践的な指導力の養成、が欲しい。今までは、知識は豊かであるけれども、実践的行動目標が不足していると考えます。
 さらに、分野のテリトリーを主張したカリキュラムは要らない。現行の細か過ぎるSBOsは統合又は削除する。学習方略は単なる例示であることを徹底する。実務実習は単なる実務訓練の場ではなくて、薬学の統合型カリキュラムの実践の場であることを意識したい。更に薬剤師は街の科学者であり、科学のわかる医療人でありたい。日常生活に基礎薬学・専門薬学・医療薬学の知・技を活用する行動目標が不足していると思います。
 社会からのニーズと学生の声として薬学教育協議会フォーラム2011では、全国学生合同ワークショップ報告を受けました。また、カリキュラムの効果と成果については大学への薬学教育協議会実務実習総合アンケートを昨年集め、今年度も用意しております。学生の声としては病院実習グループと薬局実習グループの二つに分け、「実務実習を通して印象に残っていること」、「実務実習について、学生、大学教員、指導薬剤師等に伝えたいこと」、「6年制卒の薬剤師になって取り組んでいきたいこと」としてまとめました。
 大学への薬学教育協議会の総合アンケートで、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った実習のよかった点で一番多いのは、実習の標準化ができたこと。実務実習の成果として何よりも、学生の成長と大学と実習施設の連携向上。さらに、大学が感じている実務実習の課題の一つは、実務実習モデル・コアカリキュラムで、もう一つは、施設及び指導者の差の問題でした。
 アンケート結果を表にまとめました。到達目標と方略の課題として、全体として、「多すぎる、細かすぎる」、「モデル、到達目標、方略のとらえ方が共通でない」、内容では、「実施困難な到達目標、方略がある」、「現状にそぐわない」、「集合教育で可能なSBOsがある」、「目標が高すぎる項目がある」、「重複箇所等があり整理すべき」という意見が出されました。
 これらの結果に基づき、平成24年3月の札幌年会で開かれる日本薬学会年会に薬学教育協議会としてシンポジウムに参加し、初年度と2年度の実務実習に関してまとめの報告をし、実務実習モデル・コアカリキュラムの充実化の方策を提案する予定でおります。プログラム案では、文部科学省挨拶、厚生労働省挨拶というのが入っておりますどうぞよろしく、札幌までお越しいただきたいと思います。アンケートの結果として、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、地区調整機構、薬学教育協議会に報告していただき、全体で45分の討論をしてまとめたいと思います。細かい趣旨が資料に書いてあります。
 以上の説明に基づきまして、今回のヒアリングで与えられました宿題、薬学教育協議会が考える薬学教育「モデル・コアカリキュラムの基本理念と位置づけ」の「基本理念」です。はっきり申し上げて、前回第3回の本委員会の資料に示された「基本理念」にまさるものはないと思いますけれど、多少加えさせていただきました。基本理念で加えましたのは下線を引いた部分でして、「薬学の科学的な基盤に立った薬剤師としての基本的な資質と能力を養成し、一生にわたって学習し続ける態度を身につけることが重要である」、大学でそういう態度を身につけさせたい。
 「位置づけ」に関しても薬学教育協議会の考えは下線の部分です。「ただし、これまでのモデル・コアカリキュラムにおいては内容が細か過ぎる欠点があり、大きな項目でくくり、詳細については各大学の独自性を発揮できるものとすることが望ましい。」さらに、「全体の割合ですけれども、約全体の3分の2程度の時間数でモデル・コアカリキュラムに示された内容を履修させることが妥当と考えられる。」、「残りの3分の1程度の時間で個性ある大学独自の学習を準備することが必要である。」、「事前学習と実務実習においては実習内容の重複に対する対応を考慮する必要がある。薬剤師国家試験への対応のために実務実習以外の5、6年次の教育が空洞化するのでは6年制課程の意味が失われる。5、6年次においては個々のカリキュラムのほか問題解決型の統合的カリキュラムを設定し、6年間にわたって学ぶ薬学教育の成果を示すべきである。」
 薬学教育協議会が考える「薬剤師として求められる基本的な資質」では、(コミュニケーション能力)としては、「国民に最も近く、患者に常に接する医療人として」を入れたいと思います。(チーム医療)としては、「医師、歯科医師、看護師とは異なる専門をもつ医療チームの構成員」を強く定義したいと考えます。(地域医療)では、最後に「更に街の科学者として国民の医療のみならず科学の普及に努力する。」。(薬学研究への志向)として、「研修心を保ち続ける姿を後進薬剤師に示す」としました。最後の自己研鑚(けんさん)は、「男女を問わず」と書いてあったので消しました。わざわざ男女を問わずというと、男女を問うているように感じましたので、これを抜いたものです。以上、本質的には前回会議で示されたものとほとんど同じですが、このような形で考えていきたいということです。
 多少時間を超えまして申し訳ありません。以上です。
【市川座長】
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等をお願いいたします。
 まず、私の方から少し。23枚目の図になるのかしら、「新たな薬学部の制度設計-2」というところで、薬学コアカリキュラムと薬剤師養成コアカリキュラムがガイドラインとして提示されなければならないという文言になっておりますけれども、私もこのとおりだと思いますが、これは要するに二つのガイドラインを別々につくっていくという意味合いに少しとれるんだけれども、この辺はどうなんですか。
【望月氏】
 いえ、そういうことではありません。内容として、薬学コアカリキュラムと薬剤師養成コアカリキュラムを頭に入れて、それを組み合わせたものが薬学教育モデル・コアカリキュラムであるというとらえ方です。
【太田副座長】
 よろしいでしょうか。
【市川座長】
 どうぞ。
【太田副座長】
 38ページなんですけれども、細かいところで申し訳ないんですが、「到達目標、方略の課題(2)」と書いてあるアンケートの結果は、実務実習モデル・コアカリキュラムに限ってのアンケートでしょうか。
【望月氏】
 そうです。昨年出したアンケートで、実務実習モデル・コアカリキュラムに限ってであります。全体ではありません。
【太田副座長】
 もちろん全体でも同様のことが言えるとは思うんですけれども、実務実習に限ってのアンケートをとられた結果であると解釈してよろしいわけですね。
【望月氏】
 はい。特にこれは初年度のアンケートの結果で、これから採ろうと思っているのは、初年度の結果に基づいて2年度の実習をやって、どのような問題点をどう解決したか、あるいはどういう問題が新たに出たかということも伺いたいと思っております。
【太田副座長】
 ありがとうございます。
【奥委員】
 よろしいですか。
【市川座長】
 どうぞ、奥委員。
【奥委員】
 同じく細かいところですいません。奥です。44ページの位置づけのところで、「これまでのモデル・コアカリキュラムにおいては内容が細かすぎる欠点があり、大きな項目でくくり」というのは賛成なんですけれども、「詳細については各大学の独自性を発揮できるものとする」ということは、後の3分の1の独自性とは違うところで独自性を発揮するということになると思うんですが、そこら辺のことはどう考えたらよろしいんでしょうか。
【望月氏】
 独自性というと、内容を全く変えるのではなくて、要するに濃淡というのは当然出てくると思います。そういうとらえ方で、3分の2の中でも各大学の特徴を出し得るという意味です。全く同じのを3分の2でやるということでは考えておりません。
【奥委員】
 ありがとうございます。
【伊藤委員】
 よろしいでしょうか。
【市川座長】
 伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】
 到達目標を簡略化してまとめていくという考え方なんですけれども、実際にはアンケートで38ページの「到達目標、方略の課題(2)」というところだと、例えば到達目標が多過ぎる、細か過ぎるという意見もあれば、到達目標、方略のとらえ方が共通化できないという問題もあって、到達目標をまとめて簡略に表現すれば、逆に言うとわかりにくくなるというファクターがあると思うんですが、そのあたりは具体的にどうすればいいのか私自身も案がないんですけれども、何かお考えがありましたら。
【望月氏】
 細かいところの案はないですけれども、ただ、とらえ方としては、目標として大まかなものを出して、それに対する各大学のとらえ方は変わってもよいかという気がしますし、病院、あるいは薬局においても同じで、ある大まかな形で出されたものをその病院、薬局ではどのようにとらえるかで違いが出てくる。それを大学と一緒にカリキュラムとして考えていくのが必要ではないかという考えです。
【赤池委員】
 よろしいでしょうか。
【市川座長】
 赤池委員、どうぞ。
【赤池委員】
 私も、この点は非常に重要だと思って伺っておりました。私は別のとらえ方をしていたものですから、それは違うのか、若しくはそういった意味も入っているのかという確認なのですけれども、私も可能な限り到達目標は細かくしないで、確かに技術的には非常に難しいところがありますが、ある程度大きくまとめるということはよろしいかと思うのです。ただ、私がここを読んでいて説明を伺ったときには、方略の方を考えていたのですけれども、大学ではむしろ方略で特徴が出せますので、そういったところがやりやすいようにというニュアンスもあるのかなと思って伺っていたんですが、その点はいかがなんでしょうか。
【望月氏】
 当然方略は更に変わっていくと思いますけれども、その前のモデル・コアカリキュラム自身のとらえ方も、やはりある程度大学での違い、多様性といいますか、施設による違いも出てくるということは、私はよしとした方がいいと思います。実際にできること、できないこともあるし、その程度も違うと思い、それに応じたカリキュラムを展開するということが、より柔軟といったらおかしいですけれども、より使いやすいモデル・コアカリキュラムになるかと思います。
【赤池委員】
 すいません。
【市川座長】
 赤池委員、どうぞ。
【赤池委員】
 今のお話で、以前の委員会でもたしかそういった議論が出ていたと思うのですけれども、到達目標は極端な言い方をすると例示のようなところがありますので、GIO、一般目標を非常に重視していくという考え方でよろしいんでしょうか。
【望月氏】
 先生のおっしゃるとおりで、賛成です。GIOをきちんと決めてそれに沿って、SBOはある程度の幅を持たせた方がいいと思います。
【市川座長】
 森委員。
【森委員】
 38ページのところですけれども、そこのアンケートの結果の中で、「実施困難な到達目標、方略がある」が15、「現状にそぐわない」が10ということで、以前からいろいろなところで言われていることですが、実施困難というのはそこの施設で困難なのか、そもそも全体として実施が困難なのか。それから、現状にそぐわないといっても、現状にそぐわないからやらなくていいというわけではないと思うので、ここは今後モデル・コアカリキュラムを改訂する中できちっとしていった方がいいと感じています。
 以上です。
【望月氏】
 最終報告の中でも、「日本薬学会モデル・コアカリキュラムは、今後の社会の変動を見据えた上で、学ばなければならない内容を整理したガイドラインとして作成されたものであり、これまでの薬学教育の内容を精選するとともに、今後必要となってくる事項が加味されている」ということでして、現在はなかなかそれに沿ってやれないけれども、今後こういうことは必要だということも含まれていると私は理解いたします。だから、今やっていないからみんな消してしまおうということは言っておりません。
 以上です。
【市川座長】
 松原委員、どうぞ。
【松原委員】
 望月先生の御発表はもっともだと思うんですけれども、22枚目のスライドで6年制薬学科の到達目標が3点と、4年制薬科学科の到達目標が2点書かれていて、14のところの「多様性への対応」で、新しいところでも望月先生から多様性という言葉が何回も出てきますが、その上の21のミッションと書いてあるところもありますが、きちっとコアを決めると言っていつつ多様性となると、常に八方美人化してしまって、また同じような形になってしまう。
 3分の1のところに多様性というのがあっても非常にいいかもしれませんが、やはりコアはコアであるという。何でも八方美人のように、薬学部を出た人がこういう職業に至っている、もしかしたら作家、俳優になっているかもしれない。そんなことまで言っても仕方がないわけですから、医師や歯学は研究者になっている人も行政をやっている人もいるわけですが、コアとなる目標はしっかりしないと、多様性というものが常に全面に出てきてしまうと、なかなか難しくなってくるような気がするんですけれども。
【望月氏】
 多様性といってもGIOレベルでの多様性ではなく、きっちりとしたGIOを決めて、その下のSBOの内容を述べるときに、多様性があるということでありますので、いきなり作家が飛び出してくることはないと私は思います。
【松原委員】
 それは冗談です。
【望月氏】
 わかっています。
【松原委員】
 もう一点、37ページのアンケートで「大学が感じている実務実習の課題」というところで、これは実務実習に関することなんでしょうが、施設及び指導者の差は我々現場の人間も重々感じていることなんですけれども、大学の先生方がそう評価なさるわけですが、結局それはほとんど我々の業界団体に丸投げされているような形にしかとれないところがあって、2日間のワークショップに行って講義、研修を聞いたらよい指導者、施設になれるのか。
 そんなことはなくて、前から私が調整機構のところで言っていたんですけれども、実習施設も評価すべきである。でも、そんなことをしたらどうのこうのといっていつも葬られてしまったんですが、実習を提供する施設も教育の中の一つの機関であると仮定すれば、そこの実習がちゃんとしたものであるかどうか、学生及び大学側から赤点をつけるなりCをつけるなりそういう評価が入ってこなければ、ここは常に絵にかいたもちになってしまうわけで、その辺は今後注意しないと、ずっとこのままいっちゃうような気がします。
【望月氏】
 実質的には、各大学で学生に対するアンケート調査、あるいは教員に対する調査をやっていて、評価はしているはずですが、それは多分外には出てこないと思います。ただ、いろいろな施設の先生に伺ったところでは、1年目と2年目では全く違うと言われる。2年目になったら非常にやりやすい、学生も伸び伸びしているし、指導者も伸び伸びしているということで、1年経験することによって、1年は3期でしょうから、そういう経験によってこの差はどんどん縮まってくるのではないかと私は考えています。ですから、1年目と3年目は指導者の考え方も大学の考え方も全く変わってくると期待しております。
【松原委員】
 先ほどこの前もあったFDというのが出てきているわけですけれども、実習提供施設も教育現場であるなら、当然ながらそういう評価のフィードバックというのも。きついようで、僕は日薬の方からかなり反対を受けた記憶があるんですが、提供してやっているのにと。我々だって、大学で授業をして学生から相当辛辣な評価を受けるときだってあるわけですから、そこをきちっとしないと実務実習を組み込んだコアカリキュラムは発展していかないような気がします。
【望月氏】
 わかりました。検討いたしたいと思います。ありがとうございます。
【市川座長】
 森委員。
【森委員】
 関連で、受入れ薬局が評価を受けるというところが多分気になっていたのだと思いますが、フィードバックはしてもらいたいと思っています。個々の施設に関してフィードバックしにくければ、アンケート結果等でまとめたもので、施設の差、実習ができたSBOs、できなかったものを含めて指導の差等全体としてフィードバックしていただければ、改善できるのではないかなと思います。 
【望月氏】
 ありがとうございます。
【吉富副座長】
 38ページのこういう分は、私もアンケートをとることを手伝ったのでよくわかるんですけれども、こういう実習に関するアンケートをとられて、終わりの方になってくると突然実習以外の全体のモデル・コアカリキュラムの話になってきているので、実習に対してのコアカリをこう改善しなさいという希望は、こういうアンケートから確実に言えると思うんですが、例えばその後の方の基本理念とか位置づけは実務実習とは別の切り口になっているので、こういうことを議論した過程は薬学教育協議会の中であったんですかね。それが僕はよくわかってないので。
【望月氏】
 まだ細かく議論しておりません。
【吉富副座長】
 それから、ついでに46枚目のところで、基本的資質は問うわけじゃないので意見を出す必要はないのかもしれませんけれども、例えばチーム医療のところの文章は、「医師、歯科医師、看護師とは異なる専門をもつ医療チーム」というよりは、薬剤師はこういう専門性を持つという文章にしていただきたいというのが一つと、これは前回議論の中ですが、コミュニケーション能力のときはチーム医療の中でのコミュニケーション能力もうたってないと、患者ばかりを向いているのも変かなと思ったんですけど。
【望月氏】
 このつくり方が、コミュニケーション能力は国民と患者に対することで、チーム医療、医療人とのコミュニケーションはその下に含まれるかなと思いました。手っ取り早く言うと、チーム医療ですと薬学者という自分の言葉で医師、あるいは歯科医師、看護師という別々の言葉を持つ人間とコミュニケーションを持つことが必要で、自分の言葉を失ったらチーム医療も成り立たないのではないかという気持ちが入っております。
【太田副座長】
 よろしいでしょうか。
【市川座長】
 太田委員、どうぞ。
【太田副座長】
 44ページの位置づけのところで、モデル・コアカリキュラムがおよそ全体の3分の2程度の時間数と、具体的な数として3分の2というのが出てきているんですが、薬学会のこの間のヒアリングでも3分の2というのが出てきていたように思うんですね。それで、私もざっくりとしたボリューム感で3分の2程度がいいのかなとは思うんですけれども、ほかに説明するときになぜ3分の2なんだということがどうしても問われるだろうと思うんです。それで、モデル・コアカリキュラムの今回の話だと、例えばGIOはかなりかっちりしたもので、SBOsになると多様性をある程度認めるような。それは基本的に私も賛成なんですが、そういう形になると、3分の2という数が出てくるのはなかなか難しいんじゃないかと自分自身で思うんです。その辺の数について何かあるでしょうか。
【望月氏】
 ありません。先生と同じだと思います。
【太田副座長】
 何とかできるといいなと思っているので、薬学会の松木先生にもお伺いしたんですが、ただ、ほかのところ、例えば医学でも大体2/3程度が通り相場になっているというところはあるので、右へ倣えでそんな感じにはなっていると思うんですが、それに私は反対をするつもりは全然なくて、3分の2程度がいいと私自身も何となく思うんですが。
【望月氏】
 右へ倣えというよりは、感覚として全体の3分の2ぐらいをモデルコアとして決めて、あとの3分の1は自由にした方がいい教育ができるのではないかという意識です。
【太田副座長】
 ありがとうございます。
【市川座長】
 今の3分2で奈良委員、医学部のモデルコアではどうですか。
【奈良委員】
 医学部教育で最低限修得しておくべき内容が医学教育モデル・コア・カリキュラムで盛り込まれており、これが医学部教育の3分の2を占めるという考えです。残り3分の1は大学としてのアカデミアを尊重し、各大学で独自のプログラムを組んでほしいということです。
【市川座長】
 伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】
 到達目標の考え方が気になるんですけれども、これは最終的には学生が見てわかるものということだと思うんですよね。今全体としては、到達目標の数を減らして簡略化していくという方向に話が進んでいるわけですけれども、学生がわかるような形で本当に提示できるのかなというのが僕自身は心配なんですね。ですから、簡略化するということと学生が見てもわかるというのは、なかなか両立しないのかなと思うんですけれども、そのあたりは何かアイデアはあるんですかね。
【望月氏】
 いや、細かいのはないですけれども、確かに先生がおっしゃるように、学生が見て、学生が自分の教育を受けるためのモデル・コアカリキュラムをつくるというのは大事だと思いまして、そういう視点は失ったらいけないと思います。
【伊藤委員】
 ですから、いたずらに簡略化して学生がわからない、つまり教員だけが何となく合意して理解しているみたいなものになっちゃう危険性を感じるんです。
【望月氏】
 ごもっともだと思います。
【市川座長】
 重大なポイントで、今後SBOを含めて全体に非常に重いというか、ボリュームが多過ぎるということに対して、どう整理していくかという基本的なところになるかと思うんだけれども、赤池委員どうぞ。
【赤池委員】
 今の伊藤先生の御指摘は、非常に重要なポイントだろうと思います。ただ、せっかくですからアンチテーゼも一つ言っておいた方がいいかなという趣旨で発言します。簡略化といった場合に、言葉を簡単にするという要素はもちろんあると思いますが、もう一つは、表現を非常に細かい一つ一つについて言うのではなくて、大筋をきちっと表現するという簡略化であれば、特に学生さんに対して非常にわかりにくいものにはならないと思います。逆に言うと、簡略化といった場合、少なくともそういった点は是非考慮すべきだろうと思います。
【市川座長】
 伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】
 それで、奈良先生にお伺いしたいんですけれども、医学部も65ページの基本的臨床手技というところはものすごく細かくなっていますよね。実際には、方略に近いような表現で到達目標を書かれているわけなんですけれども、これは前のコアカリと比べても随分具体化しているわけですが、何か問題があったからこうなっているんですよね。
【奈良委員】
 平成19年の第1回改訂版までは、臨床実習については余り詳しく明示されていませんでした。しかし、臨床実習では医行為の問題があり、臨床実習でどこまで学生にやらせていいか明示しないと実習現場で困るという事情がありました。そこで、今回の改訂では臨床実習で修得すべき事項を特に明記したわけです。これを御覧いただきますと、決して難しい内容ではなく、ごく基本的な、2年間の臨床実習で到達できる程度に絞ってあります。ですから、特に詳し過ぎるというわけではないと思います。
【伊藤委員】
 私が申したかったのは、すごく具体化されていて、これは学生にもメッセージがはっきりわかりますよね。
【奈良委員】
 そのとおりです。
【伊藤委員】
 こういうセンスも必要なんじゃないかという気がしているということなんですけれども。
【奈良委員】
 これまで臨床実習をきちんと行うといっても、じゃあ何をやっていいかわからなかった点がありました。そこで、学生にも、あるいは指導者にとっても臨床実習で修得すべき内容が分かりやすいように明示したのです。
【市川座長】
 奥委員、どうぞ。
【奥委員】
 今の議論はかなり重要だと思います。最初の質問とも関連するんですが、SBOをどこら辺まで簡略化していってやるかということで、SBOにかなり大学の独自性を持たせるということを余りやり過ぎると、今度は本当に教えるべきことが抜ける気が多少するので、そこら辺のコンセンサスは必要と思います。もちろん3分の1は各大学で独自のものを教えていくというのは賛成ですが、3分の2に関してはある意味では最低限のことなので、ある程度具体性があってもいいと思います。赤池先生の御意見と反するかもしれませんが、SBOを各大学に自由にやってくださいという形で本当にいいのかということです。
【市川座長】
 どうぞ。
【赤池委員】
 ただ、簡略にするということは、具体性を欠くということではないと私は思うんですけれども、具体的に簡潔に書くということが重要じゃないかと思うんですが。逆に、簡略にしたときに具体性を欠くと本当にわけのわからないものになりますから、むしろ簡略にすることによって、きちっと具体的なことを簡潔に記載していくということにはなってくるんじゃないでしょうか。
【市川座長】
 入江委員、どうぞ。
【入江委員】
 入江です。望月先生にお伺いしたいことがあります。44ページの位置づけの最後の段落の、「事前実習と実務実習においては実習内容の重複に対する対応を考慮する必要がある」というところですが、確かに大学の中で行う事前学習と現場で行う実習は、ある程度教育目標に重複があっても良いと思います。方略は多分違うように思いますので。どのようにお考えか教えていただけますか。
【望月氏】
 これはちょっと書き方がまずいのですが、大学で行う事前学習と病院における実務実習、更に薬局における実務実習の三つにおいて、実習内容の重複に対する対応という意味でありまして、例えばこの前出ましたように、病院実習と薬局実習、あるいは事前学習でいずれも調剤をやっているわけです。その調剤を果たして全部同じだけの時間をかけてやることが必要かどうかも大きく考えなければいけないし、この前も出ましたけれども、臨床実習として一つにまとめる考えもあります。それから、実習に対して日本薬剤師会と日本病院薬剤師会で考えて一本化するというのも、そのあたりの考えをうまく使うと解決するような気がします。
【入江委員】
 ありがとうございます。
【赤池委員】
 よろしいですか。
【市川座長】
 赤池委員、どうぞ。
【赤池委員】
 多分書き方が難しくてなかなか入らないという要素はあるのだろうと思うんですけれども、私が思いますに、実務実習の非常に大きな要素というのは、大学で実践しにくいことをする。その非常に重要なことは、医療人としての医療倫理ですとか患者さんのために働くといったモチベーションを学生さんが持って、更に実際に職場に出たときに、ちゃんとそういった気持ちを持って患者さんに接することができる態度を学ぶ、身につけるといったことが恐らく大学ではなかなかできない。もちろん大学でもしなければいけないことですけれども、非常に重要な点だろうと思うのです。
 それをどこかにはっきりと入れる必要があるかなと思って、ただ、なかなか書き方が難しいというのは事実なのですけれども、少なくとも実務実習にかかわる基本理念の表現のところには、是非そういったところをはっきりと明記した方がいいと思います。
【望月氏】
 賛成です。実務実習で一番私どもが求めているのは、患者さんから何を学んでくるかということで、それをどこかにはっきり書いていただければ有り難いと思います。
【市川座長】
 ほかに。中山委員、どうぞ。
【中山委員】
 今、松原委員の方から、実習の場の評価の問題が出ましたが、実習の場の問題が大きいかなと思ってお話を聞いていました。医学教育と違って、むしろ看護学教育と似ているところがあると思うのですが、医学教育は附属病院を持って、そこの中で医師の教員が、実習を担当するという展開ですけれども、薬学の場合も附属病院を持つというところは多くはないと思うので、どういう場で実習をするのかという問題があるかと思います。
 そのときに、看護学教育は必ずしもできてはいないのですが、課題になるのは、教員が自分の教育を実施してもらえる場をどのような連携のもとでつくっていくのかということです。その意味では、教員の臨床の側と連携をとるコミュニケーション能力が大きな課題になります。このことは今、直接コアカリキュラムとは関係しないのですが、FDの中に、臨床の場をどう自分たちの教育を具現化できるような場として整備していくのかという課題があるのかなという感じがいたしました。
【望月氏】
 薬学の場合の違いで私が考えるのは、看護の場合は病院という施設に学生を連れていって、主に看護の先生が学生の教育をなさいます。薬学の場合はそれができずに、何回かは別としまして訪問指導として、実務実習を教える教員として指導薬剤師の先生と一緒に指導する。聞こえはいいですが、要するに指導薬剤師の先生方が教育しているんです。そういう意味で、看護と薬との違いは非常に大きいと思います。その中にどれぐらい大学、あるいは大学教員が関わるかが宿題ですが、それは恐ろしいほど、各大学によって違います。各施設によっても違います。そのあたりが、何年かたって一つの目標に収束するのが一番望ましいと思っていますが、まだまだだと私は思います。
【中山委員】
 そうすると、そこの部分はまだ課題としては残されていると考えたらいいのでしょうか。
【望月氏】
 大きい課題として残されております。
【市川座長】
 ほかにございますでしょうか。そうしたら、また後の方で今のような議論も含めて、実際に基本理念、位置づけとかその他を少し具体的な話として進めたいと思いますので、その先へ行きます。全体のヒアリングに関して、前回並びに今回ということですけれども、何か思い当たる、あるいは何かこういうものがということがありましたら。なければ、その先へ行きます。
 次は、「今後の想定される検討スケジュール」ということで、先に少し言ったどれぐらいのペースで作業をしていけばいいのかということについて考えたいと思います。それで、一応ヒアリングは全部一通り終わりましたので、調査研究チームの体制も正式には今日発表していただくことになると思うんですけれども、それから今後の作業に入るということになると思います。今後の作業のスケジュールは重要であるので、この委員会として具体的なスケジュールのイメージをここで考えていきたいと思います。
 まず、事務局に資料を用意していただいたので、それをもとに説明していただいて、大体そのようなスケジュールでいくのがいいのかお話しいただきたいということです。それじゃあ、お願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
 資料2をごらんいただきたいと思います。現在左側には改訂作業ということで、この委員会並びに作業チームで行うものについて書いております。23年度は、まずコアカリを改訂することを決定し、この委員会、作業チームの設置をして議論が始まったということでございます。
 それから、今年度は作業チームの方でアンケート調査などを行うということでございますので、24年度から具体的な改訂作業に着手されると考えますと、今まで医学、歯学のマイナー改訂の3回目が大体半年程度の実作業時間、薬学の当初のカリキュラムをつくった際が約2年間と伺っておるところでございます。ということで、24年度と25年度の1年と少し、少しがどのぐらい延びるかわかりませんが、一応25年度に新しいコアカリの原案が決定できるだろうということで、25年度の時期は入れずに、一応コアカリの決定ということで入れてあります。原案を作成いたしましてから、パブリックコメントやこの委員会、更に薬学系人材養成の在り方に関する検討会などの決定、手続をするのに3か月ほどの時間がかかっておるということを考えますと、更にそれに加えていただくということになるかと存じます。
 また、その他の動きといたしまして、今年薬学第三者評価のトライアル評価が行われまして、24年度から本格実施に入るということで、一巡目が大体平成30年度までかかって行われると伺っておるということも、イメージとして入れておきました。
 それで、今回お示しするのは一応二つの案ということで出しております。まず、案の1でございますが、新コアカリの決定が25年度といたしまして、どの時期かはわかりませんけれども、恐らく大学の方ではカリキュラムの改訂、シラバスを作成したりという作業があると思いますので、26年度いっぱいはそれにかける時間ということで用意した案。シラバス、カリキュラムの準備について1年以上は要らないという判断のもとつくられたものが、案の2ということになっております。なお、1から6というのは、新コアカリが適用された学生ということでごらんいただければと思います。案の1でありますと、1年次は平成27年度入学生から適用ということになります。案の2になりますと、26年度入学生からという形になります。
 そうしますと、旧コアカリが適用される方と並行する期間がこうなるということで、一応横並びで見られるような形で資料は作らせていただいております。恐らく共用試験改訂準備作業も、コアカリが決定してから共用試験受験前までという形の準備期間となると思いますので、一応矢印の方で示してございます。違いとしては、27年度スタートが案の1、26年度スタートが案の2ということで作成しております。
 以上でございます。
【市川座長】
 このスケジュールについて今先生方にお考えいただいて、どうでしょうね。案の2というのは、大学から見ると結構きついなという感じがするんですけれども、大学関係の先生はいかがですか。
【赤池委員】
 よろしいですか。
【市川座長】
 どうぞ、赤池委員。
【赤池委員】
 今、市川委員長がおっしゃったとおり、大学は新コアカリが決定されてすぐにカリキュラムを崩すわけにはいかないと思います。もちろん同時進行の部分はある程度あるかもしれませんけれども、決定された後で実際のカリキュラム、科目の見直しを行わないといけません。そういったことが全部済んだ後で、ある年度の4月から新しいカリキュラムが始まるということになりますので、そうしますと、大学としては、やはり決定してから1年間の猶予は頂く必要があるんじゃないかと思います。
【市川座長】
 森委員、どうぞ。
【森委員】
 案1にしても案2にしてもですが、案1であれば平成31年度から、案2であれば30年度から、新コア・カリの実習を行うことになるのでしょうか。それとも、その前の実習から新コア・カリで行うことになるのでしょうか。今回、薬学教育カリキュラムと実習を統合するということで、要はきちっと連携させるということを考えると、31年なり30年からなんでしょうけれども、私のイメージの中では、特に実習の場合、間があいてしまうので、今の実習に関しても若干のマイナーチェンジをしつつ動かす部分も出てくるのではないかと感じています。まずは、そこの考え方を整理していかないといけないと思っています。
【市川座長】
 今のは非常に重要なポイントになるかと思いますけれども、このあたりはいかがでしょうか。
【伊藤委員】
 よろしいですか。
【市川座長】
 はい。
【伊藤委員】
 私も、今のカリキュラムとの関連性がわかるような形の改訂になるのかすごく気になっているんですけれども、それがわかるような形であれば、順次差しかえていくというか、可能なところからやっていくこともできると思うんですが、改訂作業が全く新しく全部を壊して立ち上げていくというんだったら、この期間ではとてもできないと思うんですよね。現行のカリキュラムを改訂していくという形でやるとすると、そこでは各論のものすごい議論があちこちでわき起こるというか、要するにこれは減らす、これは増やすみたいな形の議論にどうしてもなっていくので、そこの作業のやり方が決まらないと、日程ははっきり決まってこないんじゃないかという気がするんですけれども。
【市川座長】
 松原委員、どうぞ。
【松原委員】
 案の1、案の2どちらでもいいんですけれども、基本的に案の1であれば、具体的な改訂作業の着手から決定まで2年間かけるということを意味しますよね。案の2だと、1年ちょっとぐらいで実質的な改訂を行うということですから、1年間ぐらい欲しいよねというのは、結局改訂作業にどれだけの時間をかけるかによって1になるか2になるかの違いであって、2年間は必要であれば自動的に1になるし、24年度に着手して25年度の早い時期に改訂を終えるという目標でやれば案の2が可能になるわけですから、赤池先生の御発言だったら25年度末に新コアカリが決定する、最初から2年間かけるということを宣言しているようなものですから、そこをまず議論されてから、どれくらい必要なのかわからないと、1、2というのはできないんじゃないでしょうか。
【市川座長】
 どうぞ。
【赤池委員】
 ただ、前回のモデル・コアカリキュラムを作成したときも、私の記憶に間違いがなければ、委員会としてつくってから各大学、医療機関に提示して、その上で意見聴取を行って、そういった意見を盛り込んだ形で再度調整というか若干の改訂を行って、更にもう一度示してということを行ったように記憶しています。そうしますと、そういった作業自体で、つまりモデル・コアカリキュラム改訂という作業、実際に変えるという作業が済んだ後で、更に1年ぐらいかかったかなという記憶がありましたので、そういったことを申し上げたのです。
 それからもう一つ、もしできたらば、医学のコアカリは既に何回も改訂されていますので、そのときにはどういったスケジュールでされているか伺えれば、非常に参考になるように思うんですけれども、いかがなんでしょうか。
【市川座長】
 どうぞ、奈良委員。
【奈良委員】
 基本的にコアでございますので、それほどしょっちゅう変える性格のものではないと思います。ですから、2回目の改訂では特に臨床実習を手厚くしたという程度で、あとは例えば今地域医療が問題になっていますから地域医療を加えたとか、チーム医療は重要ですからそれを加えた、また研究マインドの涵養(かんよう)を明記したなどです。加えることが多くて削ったところは余りありませんので、実際には現行のカリキュラムを走らせながら差しかえていくという方法で十分だと思います。実際の改訂作業ですが、作業チームが原案を練りながら、次の委員会で検討していただくという感じで、大体半年ぐらいで改訂が行われました。
【赤池委員】
 改訂作業が済んで、実際に新しい改訂モデル・コアカリキュラムができ上がりますね。そういった場合に、各大学ではどのように運用されたんでしょうか。つまり、新しいモデルコアに対してカリキュラムを編成し直して、新しい年度から始めるようなことをしたのか。今のお話ですと、むしろ順次、適宜入れていくような印象を得たんですけれども。
【奈良委員】
 実際には各大学でカリキュラムを大幅に変える必要があるということはありません。ただ、共用試験でどうコアカリ変更に対応していくのかは問題で、現在議論を進めていますが、完全な移行には2年ぐらいかかるかと思われます。
【伊東薬学教育専門官】
 よろしいですか。
【市川座長】
 どうぞ。
【伊東薬学教育専門官】
 今おっしゃった医学教育のモデルコアのガイドラインについては、黄色い冊子の105ページと106ページに一応スケジュールを書いておりますので、御参考になさってください。
【市川座長】
 これで見ると、医学部の場合は2年間ぐらいで、最初の考えが21年に出て、パブコメが終わって、23年に変わるということになりますね。
【奈良委員】
 平成21年2月からは、モデル・コア・カリキュラムそのものの改訂というよりも、医学教育カリキュラム全体を検討する会が発足し、平成21年5月に提言がまとめられました。その中でモデル・コア・カリキュラムも時代の変化に対応して改訂することが盛り込まれました。その提言を受けて、平成22年6月ぐらいに改訂委員会が発足し、実際には秋ぐらいから精力的に連絡調査委員会なんかを開いて、その翌年には発行したという経緯です。
【市川座長】
 調査作業チームというものは、期間は1年になっているんですか。
【伊東薬学教育専門官】
 経費につきましては1年ごとという形ではありますが、一応複数年ということで、今のところは2年ですが、延長もあり得ると考えております。
【市川座長】
 前のときの作業の印象からいくと、1年は厳しいなという感じです。大学とか各関係者方面に案を提出してからそのコメントを頂く、パブコメに近いものになるわけですけれども、ものすごい数なんですね。1,000件ぐらいあったりして、それをまとめて整理していくということになりますと、かなり時間がかかった。もちろん前回は最初ですから、そんな時間がかかったのかもしれないけれども、今回の場合でも、先ほどあったどういう改訂をするかというところにすべて依存してしまうんだけれども、かなりマイナーなことで済むならば、そんなには要らないかもしれないけれどもということです。
 あとは、実際問題シラバスその他に影響が出てきますと、大学の方としてはその辺をもとに考えていきますので、かなりいろいろな意見が出るんじゃないかなという気は私自身はするんですけれども、気づいたときに早く直すというのは正しいやり方ではあるかと思いますが、余り拙速になると結構厳しいなという。どうぞ。
【赤池委員】
 伊藤先生がおっしゃっていたように、どういう形に変わるかということによってその後が大分変わってくると思います。ただ、少なくとも今までのこの委員会での議論を伺っている限り、私自身も言っていますけれども、どう変わるかは別にして、かなり大きな改定が加えられる可能性があるように私は思います。その可能性の方が高い。ですから、基本的にはかなり変わるということを前提にいろいろなスケジュールを立てておけば、仮にそれがマイナーな改訂で終わったとしても前倒ししていけるわけですから、割と対応はしやすいんじゃないでしょうか。
【吉富副座長】
 先ほど森先生が言われたことで思ったんですけれども、全体のものが変わっていくのにこれだけの時間がかかるのはよくわかるんですが、実務実習に関して変えた後8年目にならないとそれが実現しないというのは、余りにも時間がかかりすぎるので、幾ら連続性、コアカリと実務実習を分けないという議論だとしても、実務実習についてはもうちょっと具体的に、今問題があることをそれこそ2年目ぐらいには取り入れたり変更したりという柔軟性を持っていないとまずいんじゃないかなと思ったんですけど。
【市川座長】
 一番意見が多いのは、実務実習の方のモデル・コアカリキュラムがいろいろな問題を抱えているということは私も十分認識しておりまして、それと、時々刻々現場の技術、知識、いろいろなものの変化は大きいわけだと思うんです。そういうものに対応するために、今の意見のことも私自身非常に感じまして、一番の問題は方略があるのでそれに従わざるを得ないというか、そういう意見が非常に強くなっていて、実際にやることが制限されてくるということだろうと思うので、例えばその辺の改善を先に少し議論して、実務実習に関しては少し早めにマイナーなチェンジというか、ある程度ゆとりを持たせるというか、改善が自由になるような工夫というか、今でも一つの共通のカリキュラムにはなっていないかと思うんですね。多分、施設ごとにということはないけれども、かなりそこの幅はつけられているのかなと思うんですけれども、そのあたりはどうなっていますか。
【森委員】
 私も、まずというのはおかしいですけれども、できる中で実務実習をマイナーチェンジしていくべきだと思います。その中身に関しては、一つは、65ページの医学部の臨床実習の到達目標を見てもすっきりしていること、そして、技能、態度中心になっています。薬学部の実習も2年間済んでいますから、技能・態度を中心にしてもできると思います。1年目、2年目は、知識も含めていろいろなものが到達目標にないとやりにくかったことは理解できます。それから、少しずつ新しい業務も入ってきていることを考えると、少し前倒しにして実習は、別に考えて改訂をしたらいいと思います。
 それからもう一点、案1、案2でいくのかについては、案2は最初からちょっと難しいのではないかと思います。どちらにするにせよ、大きな方向性、今のカリキュラムを下敷きにするのか、ばらばらにして改訂するのかということを議論した上で、スケジュールを考えた方がよいと思います。今はまだそこが固まってない中で、1にしますか2にしますかと言われても、2は難しそうだなというだけで話が終わってしまうと思うので、今日は提示だけで、もう少し方向性が固まってから決めるべきだと思います。
【市川座長】
 そのあたりは。伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】
 私も、実務実習の側からつくったときには、こんなこと本当にできるのかという議論をしながら、恐る恐るつくっていたというのが実態ですので、今や実習はできる環境になったわけなので、内容的には明らかに賞味期限切れなんですよね。ですから、それに関しては早めにやるというのが素直な考え方だと思いますので、全体の基礎系のところとは少し切り離して考えた方がいいんじゃないかなと思います。
【市川座長】
 最初に、ジョイントするという今度の大きな作業の一つの目標があるわけだけれども、ジョイントの仕方の骨組みみたいなものを先に議論しておいて、大体それができたら、実務の方は少しずつ中身を変えることはよろしいというのはおかしいけれども、できるわけだと思うんですが、そんな手順でやりましょうか。そうしたら、2年かかるか1年かかるかというのは、その次の話であるけれども。
【太田副座長】
 よろしいですか。
【市川座長】
 はい。
【太田副座長】
 時間的なことで言いますと、コアカリが新しくなるまで、あるいはなったらすぐに必要なのは1年次生の新コアカリなのであって、それは恐らくこれからの議論になるんだろうと思うんですけれども、1年次生のコアカリはそれほど大きな変更が今のところ考えられていないような気がします。そうしますと、順次だんだん重くなってくるというか議論が大変になってくるので、例えば案の1、案の2のどちらかだけにするのはまだ尚早だとしても、ある程度の時間の余裕はあるのではないかと思うんですね。
 あと、私も実務実習はできるだけ早くマイナーチェンジをしながらソフトランディングするのがいいだろうと思うんですが、旧コアカリに明らかに抵触するようなチェンジは実はそんなにはないんじゃないですか。だから、マイナーチェンジをしながら旧コアカリにある程度沿ったというところで動かしていけば、やれるような気がするんだと思うんですけれども、少なくとも1年次生からだんだん2年、3年、4年と上がってくるにつれて、コアカリの変化率は大きくなるような気がするので、作業量としては、案の1ぐらいの余裕を持っていれば十分にできるのではないかという感想を私は持っています。
【市川座長】
 どうぞ、松原委員。
【松原委員】
 実務実習のマイナーチェンジはできると思うんですね。ただ、コアカリ全体から見て、私が前回のときに提案したように、例えば医療人としてのマインドを持たせるのを早いうちから1週間なり2週間必要であるかどうか、エクスポージャーのエクステンド版というものをアメリカみたいに早い時期に一、二年次に少しやらせて、アドバンスとしてちゃんとしたコアをもう少し短くしてでもやらせるのか、学生の希望によってコアの中で3分の2かどうか知りませんけれども、病院志望、薬局志望というさらなるアドバンス期間を設けるとか、いろいろな考え方はできると思うんですが、全体のこれまでの先生方の御提言の中では、医療人としてのマインドを早く身につけさせるにはどうしたらいいのか。早い時期に医療機関なりで医療現場を知るということは大切なことでしょうから、そういうものもコアカリキュラムの大きな改訂の一つとすれば、マイナーなチェンジはできるけれども、コアカリキュラムの改訂による大幅改訂は避けられない期間の問題があるんじゃないかと思います。
【吉富副座長】
 今松原先生がおっしゃったのは、方略が絡んでいるでしょう。目標だけの問題じゃないから、メインのコアカリの方に方略の考え方まで入れるのかどうか。入れないのであれば、今でも早期体験学習とかが全部入っているわけで、あれをいつやるかということは大学が勝手に決めているわけですから、松原先生の意見は非常に正しいんですけれども、それを本当に落とし込もうと思うと、1年も2年も3年もやらなければいけないということを文章化しないとできなくなっちゃいますね。それは、目標とは構造が変わってくるような気がします。
【市川座長】
 確かに早期体験というのは、大体皆さん1年次の最初のところでやっている。ただ、その質と量という問題が多分非常にあると思うのです。だから、そういうものに対して例えばこの委員会で重要視して、重みをつけるという意味でのサジェスチョンというか提言はできるとは思うのだけれども、今実際にいろいろなカリキュラムが動いているときに、そこのところへぽんとアーリーエクスポージャーを仮の話である期間入れるということは、多くの大学の場合、今入っているのは大概2週間とか3週間でしょうか。そのぐらいが春と秋に分かれて動いていると思うのだけれども……。
【松原委員】
 1日ぐらいじゃないですか。
【市川座長】
 1日ですか。
【松原委員】
 やっているところとやっていないところがある。
【市川座長】
 いや、全部を合わせるとそのぐらいになってない? 各大学で1日、半日ですか。
【松原委員】
 両方で1日じゃないですか。
【市川座長】
 それは少ない。そういうことはないような気がする。
【吉富副座長】
 いや、ほとんどが早期体験学習が1日だとしても、その準備や発表とかいろいろなことで何日もかけているのが普通じゃないかなと思いますけどね。
【市川座長】
 2週間は多いかもしれないけれども、1週間ぐらいあるような気がした。
【平井委員】
 教員は1週間というか……。
【市川座長】
 そうですね。分かれて行っているから。
【平井委員】
 教員は前後すると1か月以上かかわっているんですけれども、学生さん一人一人にしたら、実際に行っているのは1日から3日ぐらいじゃないでしょうか。
【吉富副座長】
 でも、大学によって恐らくやり方が大分違いますよ。だから、早期体験学習とかの実態がどうか方略で調べない限り、きっとわからないと思います。
【平井委員】
 だから、ここでいつも私が言わせていただくんですけれども、結局人数が多過ぎるからそういうことが起こっているわけで、本当にきちんとやろうと思ったら、医学部を見習って100人ぐらいの人数でやらないといけないと思います。すべての根源はそこにあると思います。
【市川座長】
 はい。
【森委員】
 松原先生が言われたように、もし1年生で必要なのであれば、私も今度のカリキュラムに入れるべきだと思います。確かにモデル・コアカリキュラムなので、方略は大学に任せていますが、例えば一般用医薬品に関しての到達目標は、C18の「薬学と社会」の中で3項目しかありません。そのせいか、ある大学で一般用医薬品を6コマやっていたらすごいと教員が言われたそうです。私は、6コマしかやっていないのかと思ったのですが。方略までは決められないのかもしれませんけれども、松原先生が言うように、十分に議論して、せっかく変えるのであれば、大変でしょうが、必要なことはやるような体制にしていくべきだと思います。
【市川座長】
 伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】
 私どもの大学では、1年生で2週間、2年生で2週間やるんですけれども、結局1個のSBOがここに書いてあって、それに対する各大学の考え方の違いでそれだけばらついてくるというときに、これをより簡略化してくくっちゃうという考え方でやって、本当にできるんでしょうか。今のお話ですと、例えばイントロダクションのところのSBOをもうちょっと充実させればやるようになりますよね。だから、そう変えていけば早期体験学習をやるようになるわけですけれども、それは増やさないと、つまり、そういうのを提示しないと各大学はやらないわけですよね。ですから、両立しないことを追いかけているような感じがどうも僕はしているんですけれども。
【平井委員】
 すいません。
【市川座長】
 はい。
【平井委員】
 これは奈良先生にもお尋ねしたいと思うんですけれども、医学部の場合、今伊藤先生がおっしゃったような議論には多分ならないんじゃないかなと思うんですね。結局何のために教育をしているかというのは、医者の場合は自分の後輩を育てないと自分の身が守れませんよね。だけど、薬学部の場合は、そういう危機感は教育をする側に余りないような気がするんです。私らはありますよ。現場の人間はものすごくあるんですよ。本当にあるんですけれども、大学の先生は余りそういう意識はない。国家試験に通ればいいという感じがあるんじゃないかなと思うんです。元薬学の教員もやっていましたからわかるんですけれども、その辺の根本的な違いがあるので、医学部と同じようなコアカリキュラムをつくるのはなかなか難しいかなという気がだんだん私はしてきたんですが、先生の御意見はいかがでしょうか。
【奈良委員】
 医学教育では、モデル・コア・カリキュラム策定と並行して、別組織の全国医学部長病院長会議で全国医科大学・医学部のカリキュラム調査を行っています。つまり、各医学部でのカリキュラム実施状況を公表しながら、互いに教育の質を高める仕組みがあります。医学部の教員は次世代の医師を育成するという使命もありますので、その辺が薬学部とは事情が異なるのかもしれません。更にこれからは国際的に評価されるような分野別認証も入ってくる予定で、ますます医学教育カリキュラムは重要視されると思います。薬学部でも全国的なカリキュラム調査はあるのでしょうか。
【市川座長】
 カリキュラム調査は特に……、第三者評価のところで、申請とか評価機構への調査というのはありますね。
【井上委員】
 もちろんそれはやりますけれども、ただ、一巡するのにここにありますように7年もかかっちゃうわけですので、そういう意味では、自己評価でもしてそれを公表するという形を、もっと言うと毎年やらせるとかしないとなかなか。
【奈良委員】
 医学部の場合カリキュラム調査を2年に1度行っております。公表することで、ある程度標準化につながると思います。
【市川座長】
 医学部の場合には、標準的な、例えばアーリーエクスポージャーは大体このぐらいの期間、時間が適当であるというのが出ている。
【奈良委員】
 実際には各大学の事情で異なりますので、一律にはいきません。ただし、他の大学がこんな工夫をしているといった情報がおのずと入ってきますので、参考にして各大学のカリキュラムが向上する効果が期待できます。モデル・コア・カリキュラムには、例えば時間数などは全然書いていないのですが、自然と整備されてまいります。
【松原委員】
 よろしいですか。
【市川座長】
 はい。
【松原委員】
 医学部の場合は大学病院が横にあるわけですから、常にアーリーエクスポージャーにさらされている。看護学科も、医学部があるところはそうですけれども、患者がいるところを毎日見ているわけです。私のところだったら、朝から帰っていくまでずっと患者の後ろをついていって医療の流れを経験させる、あるいはチュートリアル、SGDですけれども、早い時期、2年のときから臨床の問題で学生に興味を持たせるように調べさせて、実習ではないですが、そういうモチベーションの持たせ方をするとか、いろいろな教育の仕方はするんですけれども、薬学部の場合は、国立大学の場合は横に医学部があるところは多いでしょうが、単科のところが多いわけですから、完全に独立させられているわけですから、医学部とは全然異なるとは思います。
【井上委員】
 質問したいんですけれども、先ほどのアンケートを2年にいっぺんとられるというときには、強制力がないとおっしゃったんですよね。つまり、例えば私たちが自己評価をそれぞれに大学にお願いしたとして、必ずしも期日までにすべての大学がなかなか出してくれないという現状を考えますと、単なるアンケートぐらいではなかなかそろわないんじゃないかなと心配するんですけれども、医学部の場合は、強制力がないにもかかわらずきちっとしたデータが各大学から出ている、しかもその内容も信用できると思ってもよろしいんでしょうか。
【奈良委員】
 確かに強制力というとなかなか難しいのですが、締切りを限って全国の大学に発送して、遅れたところはこちらの方から催促しています。内容についても、アンケートする側と受け取る側でかなり違いますので、どうも変なデータだという場合には直接にやりとりをして、なるべく我々が意図していることを答えていただくようにして、修正を加えた上でパブリッシュしています。
【井上委員】
 ありがとうございます。
【吉富副座長】
 いいですか。
【市川座長】
 はい。
【吉富副座長】
 さっき伊藤さんが言われたように、簡略化することだけを最初に置いておくと、こんなことまでも簡略化の対象になるので、例えば態度を養うようなものについては必ずしもその対象としないとか、そちらについてはもっとそれこそ時間なども入れたような、方略も加えたようなものを提示するというただし書みたいなやつをつけておけば、その辺は歯止めが利きそうな気がしたんですけど。
【奥委員】
 基本的にどういうコアカリキュラムの改訂をするかということだと思います。例えばGIOは基本的には余りいじらないでSBOsを見ていくということになるのか、大幅な改訂でGIOも全部見ることになるのか、それによってもかなり違ってくると思います。今のようなカリキュラムまで踏み込むかどうかという問題で、シラバスは当然変わると思いますが、カリキュラムはそんなに変えなくてもいいような改訂なのかどうかというところもあると思います。例えば態度についてはもう少し増やしていきましょうとか、この部分は手厚くしましょうという場合に、それをどこで議論してどう決めるかが問題です。その方針が決まれば改訂は早いと思いますが、方針を決めるのにどれぐらい時間がかかるかだと思います。今回の改訂をどういう方針でやるかというのが、かなり時間のファクターになるのかなという気がします。
【市川座長】
 そうですね。
【吉富副座長】
 調査するときのアンケートの書き方によって、ものすごく結果が変わってきますね。
【松原委員】
 いいですか。だれか先生方、座長、副座長の中で、重複するところとかわかりやすいようにどんどん削っていって、そこから増やしていくという形をとっていただくのが一番いいんじゃないんですかね。僕らにとっても非常にわかりづらい。例えば国家試験の問題をつくって、消毒薬は衛生かなと思うと生物だったり結構わからない。両方で教えていたり両方にあったりして、放射線も物理であったり衛生であったりダブってしまって、同じような問題がほかの領域で出てきたりしていて、それは中井さんがよく御存じだと思いますけれども、非常に困るわけですよね。そういった重複しているところをどんどん整理していっていただくことがまず大事じゃないんですかね。その上で増やしていくということをされたらいいと思います。
【奥委員】
 今放射のことが出たので言っておくと、物理でやっているのは核崩壊とかいう放射科学であって、衛生では食品汚染とか環境問題を扱っていて、医療でやっているのはCTとか放射性医薬品です。だから、すみ分けはそれなりにできています。住み分けができていないものについて、はっきりさせるということだと思います。そういう方針をどこでいつごろ決めるかというのが一番重要なのかなという気がします。
【市川座長】
 大きな方針はここで決める以外ないのかなと思うんだけれども、あと、ここで決めたら作業チームなり薬学会の方がそれを受ける格好になっているのか、あるいは……。
【奥委員】
 決めた方が多分やりやすいでしょうね。
【市川座長】
 そうしたら、それは薬学会の方で、少し話は先に飛んだ形になりますけれども、既に議論はされたことになっているわけですか。
【太田副座長】
 それはやっていません。
【市川座長】
 そういう話はやっていないのですか。
【太田副座長】
 というか、基本的に……、後の話になっちゃいますけど。
【市川座長】
 そうしたら、基本的な方針はここで決めた方がいいと思います。
【井上委員】
 基本的な方針をここで決めるといっても、恐らくそんな簡単には決まらないから、もうちょっとスモールグループでたたき台みたいなのをまず持ってきてもらって、ここでそれをもまないと現実的には進まないと思いますので、そういう小さなワーキンググループみたいなのを今ここで例えばつくるとかしてもらったらどうですか。それで文科省がいいのかどうかわからないけれども、それはどうなんですか。
【伊東薬学教育専門官】
 構いませんけれども、先生方のお仕事がどんどん増えますので、そこだけ心配しておりますが。
【井上委員】
 是非若い方にやっていただいて。
【松原委員】
 医学教育で申し訳ないんですけれども、うちの大学だけかもしれませんが、最近多いのは統合型の講義で、例えば感染症、臓器別の分とか、いろいろな基礎の先生とか、さっきの放射線だったら、別に物理学、放射の人、衛生の人がそういう項目をきちっと責任を持って一つのをつくればいいわけですけれども、そこをやらない限りはテリトリー争いになって、これは絶対に抜けないということになってしまうので、従来の枠を残すのは構わないんですが、全部残しちゃうと我々のところでと結局はもっと増えてしまうことになってしまうので、小ワーキングでもいいですからそれをきちっとしていただかないと難しいだろうと思います。
【井関委員】
 具体的なシラバスとか、どの科目で何をやるかという話にどうも踏み込んでしまっているようで、ここで話すべきことは大枠ですよね。ですから、薬学教育モデル・コアカリキュラムの中の文言をいろいろ縮めたり増やしたりということまでここでやってしまうと、その後の作業部会は一体何をやればいいんだろうという話になってしまう。だから、例えば実務実習を例に取り上げると、薬局実習と病院実習でダブっているものがあるのかないのかというのがわかれば、次は作業部会の方でどこをどのようにまとめるかということをやってもらえばいい。
 それから、先ほどの放射科学領域の問題でも、このコアカリの中である領域とある領域が非常にダブっている部分があるのかないのかというぐらいのところをこちらで決めた上で、それを下におろすという形の方が具体的なのかなと思います。ここで小ワーキングをつくったり、一部の先生がまとめた原案をつくったりすると、恐らくそれを作業部会におろすと膨張するだけのような気がします。だから、ここでやるべきは大まかな方針ということで、余り具体的なシラバスだとか方略の時間数ということに触れてしまうと、本当にモデル授業プランみたいなものまでつくらなきゃならなくなってしまうという感じがします。
【井上委員】
 そんなことは全く言ってなくて、大方針だけを。
【井関委員】
 大方針でいいんですけれども。
【井上委員】
 でも、大方針を今のこの委員会でまとめるのはなかなか難しいだろうと思うので、大方針は大体こういうことじゃないかというたたき台をまずは言っていただいた方が、その先の我々、ここの立場としてはやりやすいんじゃないかということを申し上げているだけです。
【井関委員】
 そういう大まかな枠を決めるのは私も賛成ですけれども、余り具体的なところまで踏み込まない方がいいと思います。もちろんコアカリを使って各大学でどのような授業カリキュラムといいますか、具体的なシラバスにするかというのは、それぞれの大学によっている教員の資質だとか専門分野が違ったりしますと、大学によってはこれとこれを一緒にした講義をつくるみたいなことをやらなければならない。一つ一つの科目にすべての専門家を配置するような人員の枠は、私立はともかく国立は全くありませんので、恐らくまとめてやるというところはどこの大学も出てくると思うんですね。そこまで踏み込んだ話にしてしまうとがちがちの状況になってしまうので、具体的にそれがおりてきたときにやりやすいようなことをするためには、どうするかというところを議論していただいた方がいいのかなと思いますけど。
【奥委員】
 私はもっと大枠で考えていました。例えばGIOは今回はいじらないでSBOをスリム化しましょうとか、実習で重なっている部分があるのでどちらかに統一しましょうということをここで決める。ただ、GIOを見直さないと決めるだけでも結構大変だろうと思います。だから、本当の大枠しかここはできないと思います。大枠を決めるのでも結構大変だろうなと思っています。さっきも幾つか出たように、例えば技能、態度については減らさないでいきましょうとか、そういう大枠を決めることでも結構大変だろうなと思いますが、それが決まらないと先へ進まないと思えるし、大枠は、この委員会で決めることだと思います。
【井関委員】
 私もそういうので賛成です。
【市川座長】
 少し話題がずれていってしまったのですけれども、最初に言ったのはスケジュールの件でありまして、スケジュールに関しては、今の話ではどちらがいいかはすぐ言えないけれどもということは言っているんです。でも、余り拙速というか、いろいろな大学の教育その他に影響を及ぼすような形の改訂は、まずいのじゃないかということは言えると思うんです。
 それが1点と、もう一つは、意見としては、実務実習のバージョンというか実務実習モデル・コアカリキュラムに関しては、マイナーチェンジという言い方がいいかどうか知りませんけれども、少し早めに手をつけてもいいのじゃないかと。その場合、先ほど私も言いましたけれども、実際にジョイントの問題を視野に入れなきゃいけないので、もう少しジョイントの話、今回の場合には薬学教育モデル・コアカリキュラムと実務実習モデル・コアカリキュラムを別冊じゃなくて一緒にしようと、その大きな骨組みを先に次回にでも議論して、そういたしますと、実務実習に関してのマイナーチェンジの部分は実際に可能になってくると思います。それに関してどのように進めるかというのは、先ほどいろいろな議論がありましたので、そんなものも参考にさせていただきたいと思います。
 ということで、まずスケジュールの案に関しては、案の1、案の2は余り決まらないですけれども、強いて言えば案の1ぐらいになるのかなと私は思いますので、その辺は今後の議論の中で固めていきたいと思います。
 それで、先ほどの多くの議論は、資料3「今後の検討事項(案)」ということで、これは私の私案ですけれども、パラグラフの二つ目ですが、「薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念と利用上の留意点について」という今日もう一つ議論していただく内容で、今までの議論、あるいはヒアリングの結果などを少し取り入れながら、こんなことに留意しながら少し直していけばいいんじゃないかなということをここに書かせてもらったものでありまして、例えば基本理念、位置づけに関しては、今日は位置づけの議論は3分の2、3分の1の根拠となるものは何かという問題もありましたけれども、大方この間のヒアリングにおいても3分の2、あるいは初代のカリキュラムは70%という言い方をしてあったと思いますが、7割ぐらいということになって、もともと医学部のモデル・コアカリキュラムを参考にして7割というのを決めたわけですけれども、こちらの位置づけに関しては、そこに書いてある「履修すべき必須内容を厳正し」という言葉の問題はこれから考えなきゃいけないと思うんですが、適正な比率はそんなものじゃないかと。これは余り異論がなかったかと思います。
 上の基本理念のところですけれども、「養成する薬剤師像、6年制薬学の人材を明確にする」というのはそのとおりなのですが、この間の議論を聞いていても、薬剤師というキーワードの使い方が少し違うのかなと。特に今日は松木先生がいらっしゃいませんけれども、松木先生が使われている言葉は、先ほどもちょっとあった「多様な」という言葉がかなり出ていらっしゃる。ほかの場合というと失礼ですが、松原先生とか森先生なんかのお話、あるいはその他においても、上の方の検討事項の2行目ぐらいのところにも少し書いておきましたが、今回の場合には薬剤師の養成にポイントを置くという意味での基本理念というところで、薬剤師という言葉を使おうということになると思うのです。
 これは、もちろん6年制、4年制が生まれたということで、その間の区別を明確にする必要もあるということから、余り多様という言葉がどんどん前に歩いてくると、実際にわからなくなってしまう。何のために改革をしていくかということにもなるということで、今回の場合にはできるだけ薬剤師の養成ということをポイントにした基本理念という言葉で、現存のものは医学部バージョンを少し直したような形、要するに医師と薬剤師、医療にかかわる人たちが大体持たねばならないことが医学部のバージョンに書いてありますので、それを薬剤師版に直したというのが前に皆さん方にお渡しした資料になっております。
 そういうことで、薬剤師というキーワードを除けば大体は皆さんそれでいいんじゃないかという言い方になっていたので、もう一回確認はしますけれども、ここのところは大体クリアできるのかなと。細かい言葉遣いは、今日も協議会の方からこういう言葉が入った方がいいんじゃないかというのもありましたけれども、その辺を加味すればいける。
 次に、「薬剤師として求められる基本的な資質」というのも、前回幾つか提案を頂きましたし、松原先生は、FIPの言葉から薬学的ケアという言葉を使われていたと思いますけれども、そういう言葉とか、教育の問題、教育者という意識を持たなきゃいけないんじゃないかという提案で、そういう言葉もこれに入ったらいいんじゃないかということで、そんなものもこれからここに加味されていく。
 その次にあります「実務実習モデル・コアカリキュラムの改訂」に今日はほとんどの時間を割いたわけですけれども、実務実習モデル・コアカリキュラムで、前回提案があった病院実習と薬局実習を分けず、臨床実習として薬学実務実習の項目を統合するというのは、日病薬の松原先生からの提案の言葉がそのまま入っているわけですが、前回森先生から、言葉としてはそれでいいんじゃないかという日本薬剤師会の方の言い方もございましたし、それは確認されているということが今日の協議会の資料の中にもあって、私はよくわからないんですけれども、病院と薬局それぞれを分けてとらえるということはおかしいので、できるだけ一つにしていくということで考えようと。これが一つの大きな枠組みだと思うんですね。
 その次が、今のGIO、SBOsの改善ということになるわけですけれども、これは実務実習の内容の改善です。それから、事前学習と実務実習項目間での順次性、内容の重複その他の整理ということで、その前に医療臨床教育というのが大学でなされて、それから事前学習があって実務実習へ行くというそれぞれの内容、項目において流れをしっかりしなきゃいけないんじゃないかという意見がありました。
 あと、事前学習のところでできるだけ今現場でしにくい内容、例えば病院ではTDMや院内製剤は一割ぐらいしかされていないということで、できたらそういうものも大学でやったらどうかという話。あるいは、薬局では一般用医薬品、薬事衛生等、それからチーム医療や疑義照会など医療現場において必要される基本的な内容も、できるだけ大学での教育の中に入れてほしいという意見があったかと思います。
 あと、アドバンスト実務実習といいますか実務実習の内容においても、一般的な実務実習プラスもう少しアドバンスになったチーム医療、疑義照会、治験などのこと、あるいはセルフメディケーションとか在宅医療という言い方も前回あったかと思いますけれども、そういうものもアドバンスト実務実習という言い方でとらえたらどうかという提案がありました。
 実務実習モデル・コアカリキュラムの改訂で今までの御意見を加味して入れたのが、そういうことになります。こういう大枠を今後固めていって、実務実習に関しては先ほど言いましたように、マイナーチェンジのところを含めて視野に入れながら、実際に作業チームにこういうことをやってくださいという格好で渡すのが、一つのやり方ではないかと思います。
 それから、「薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂」というのは、薬学教育のコア、薬剤師教育のコアという言葉を使いましたけれども、先ほど言った薬剤師という言葉の使い方にもかかわるかと思いますが、円でいくと薬学教育のコアがあって、その中に薬剤師教育のコアという円形がかなりの8割方、7割方に入るという位置づけになるかと思うんですけれども、そういうところをはっきりさせるとか、今議論があったボリュームの削減というのは小項目、GIO、SBO、特に小項目のレベルではどうかという問題があると思いますが、GIOのレベルなのかSBOのレベルかというところは、GIOは余りいじらないで、SBOのところは今までは多過ぎるんだから変えようとか、今までは細か過ぎるからこうするんだという議論をして、そこを意図して工夫してくださいという形で作業チームに渡すということになるかと思います。
 それから、項目、ヒューマニズム、生命倫理、薬害、レギュラトリーサイエンス等のことが今のモデル・コアカリキュラムでは最初の方に入っているんですけれども、やはり十分ではないというのは十分に認識されているかと思うので、この辺に厚みを入れてもらうことになるんじゃないかということです。
 次は、実際に改訂された場合には、すぐ影響が出るのは共用試験、国家試験になると思うので、時間のずれはもちろんありますけれども、そういうところでの出題範囲との関連も視野に入れた改訂にしなければいけないということになります。
 最後がジョイントの場合で、どういう形で骨組みというか改訂作業をしていくかということです。それから、完全に統合してしまうのか併記するのかという言い方で、例えばGIO、SBOsで、これは実務実習のところのどこそこにありますという言い方をするか、実務実習の方からこれは基礎になる知識、あるいは技術、技能は前の方のどれに対応するという併記をしていってわかりやすくする、要するに学生の方から理解しやすい項目にする。
 こういうのが、全体を最後につくり上げていくときに必要になる項目じゃないかなと思うのですけれども、今日は時間も余りないので、これについて簡単な御意見があれば。どうぞ。
【望月氏】
 発言させていただきます。実務実習に関しましては、先ほどの資料の40ページのところに、余り時間がなくて飛ばしましたが、私ども薬学教育協議会は実務実習モデル・コアカリキュラムの充実化に向けた調査研究委員会を昨年立ち上げました。これが形では動いていまして、一応、大学、病院、薬局、地区調整機構の4団体といいますか4つのグループで、実務実習モデル・コアカリキュラムのよいところと問題点とを検討して、その時々の成果を日本薬学会のシンポジウムとしてまとめさせていただくという形を採っております。
 私どもはこれをずっと続けていくつもりですけれども、薬学教育協議会に出てきた問題点を新しいモデル・コアカリキュラムを本委員会において作るときに役立てていただきたいと思います。また、今すぐ直すべきこと、今のモデル・コアカリキュラムの範囲内で直せることはどんどん直していこうという立場で進めておりますので、どうぞよろしく御理解いただきたいと思います。
 以上です。
【市川座長】
 そういう議論をするときに、現場の病院薬剤師会並びに日本薬剤師会との連絡というか、意思疎通は十分になされているのですか。
【望月氏】
 一応日本薬剤師会の委員には、必ず上の方と話していただきたいと申し上げておりますし、病院の方も、例えば今回は松原先生のデータを使わせていただくということを御了解いただいて進めていくつもりであります。
【市川座長】
 これから先進めるときは、そういうことを特に気をつけてやっていただければと思います。
【望月氏】
 そうです。十二分に気をつけないと、なかなか進めないというのはよくわかっております。
【市川座長】
 ほかにございますか。資料3にしましたのは、こういうことを今後ここで討論していって、薬学会の作業チームにおいてやってもらう内容をこの中から選んでいく。この中というかこれプラスアルファですけれども、そういう形で動かしていこうかと思うんですが。例えば今日のアーリーエクスポージャーの問題にしても、ああいうことを例えば調べてください、検討してくださいとか、具体的にそういうのをモデル・コアカリキュラムに入れるにはどうしたらいいかという形になるかと思うんですけれども。
【吉富副座長】
 さっき奥先生が言われましたけれども、GIOは変えないけれどもSBOsは変えるとか、例えば大項目、中項目、小項目の構造は原則いじらないという枠を提示していないと議論しにくいんじゃないかと思うので、そのくらいはここから薬学会の方におろすときに言わないと、どこまで裁量権があるのかわからないままで動かすと、議論が集約しないんじゃないかと思うんですけどね。
【伊藤委員】
 SBOsごとに重複があるのは、私は共用試験の問題管理をしているのですごくよくわかっているんです。どこにあるか全部わかっているんです。結局重複を削っていくとすると、今お話しされた小項目を残していても、そこが抜けちゃってすかすかになっていくんですよね。ですから、今のカリキュラムは学生が読んである程度流れがわかるような形に編集されているんだけれども、それをただ重複があるというだけで整理していくと、何が書いてあるかわからなくなる危険性はあると思うんです。ですから、やり方としてもちろんそれがSBOsを減らす上では一番いいんですけれども、提示の仕方を考えないと、多分読んでもわからなくなる危険性があります。
【市川座長】
 その辺も今後気をつけて議論したいということです。これに関連して太田委員の方から、薬学会で調査作業チームとして引き受けられて、その最初の1回目の会議をされたということで、その内容について簡単に御説明いただけますか。
【太田副座長】
 私は薬学会の薬学教育委員会の委員でもありますので、ここにいらっしゃる方ですと赤池先生、入江先生、奥先生と私がその委員会に所属しております。それで、前回委託業務を薬学会でやるということになってからの委員会がありましたので、そこで何が話されたかお話しさせていただきます。
 これから何をするかということですけれども、薬学教育委員会ではコアカリキュラムがどうあるべきかという議論が既に同時並行のような形で進んでおりました。そうすると、上位構造と下部構造の仕分、仕組みが難しくなっていまして、それは薬学教育委員会の方でも整理しなきゃいけないところだと思っております。それで、具体的にはどういうことをやるか議論したかといいますと、日本薬学会の薬学教育委員会が活動母体になります。それで、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、薬学教育協議会並びに日本製薬工業協会からそれぞれ2名の委員の方を選んでいただきまして、その方たちと一緒に、モデル・コアカリキュラムの改訂の基本方針に対するアンケート調査を、委託業務を受けてこの年度中にやろうということを決めております。
 それから、具体的にどういうことをやるかということなんですけれども、前回ですか、こちらの委員会でアンケートの骨子を決めていただきました。ただ、あれはまだ十分に議論がなされていないところがございまして、あれをそのまま使ってアンケートをやることに対して、どうしていいのかという若干の戸惑いは教育委員会の方にあったように思います。それで、これから先のことですけれども、12月24日だったと思いますが、まず委員のメンバーの皆さんでブレーンストーミングをしまして、コアカリに対する考え方をある程度今日の議論も踏まえて整理いたしまして、それからアンケート調査の具体的なところに入るということでございます。
 具体的に今ここで言うのは難しいんですけれども、1月から2月にかけてアンケートを実施できればというスケジュール感はあると思いますが、それもここでの議論を踏まえてのことになりますので、次回のこの委員会が1月ですか。だとしたら、その前後にある程度のものを出してここで議論していただいて、更にブラッシュアップするということがいいのか。それができれば一番いいと思いますけれども、1月の議論を踏まえてからのアンケート調査ということになるのかもしれません。その辺はまだ決まっておりません。12月24日の委員会である程度のところまで方針が決められたらいいと思っております。
 まとまりはないんですけれども、今とりあえずやっていることはそういうことです。
【市川座長】
 ありがとうございました。今ありましたように、次回は1月ぐらいになるのですか。予定は。
【伊東薬学教育専門官】
 現在先生方の日程を調整させていただいておりますが、1月と2月に1回ずつ早急にセットさせていただく予定としております。2月、3月は学事日程が詰まっていると思いますので、早めに日程の確保をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【市川座長】
 そうすると、今お聞きしていて、12月24日に薬学会の方の委員会が開かれるということですから、先ほどありましたように、そこでは今日の議論を踏まえて、前に出しました骨子などを参考にして、こんなアンケートをしてみたいというあたりまでは御議論いただけますか。それとも、1月のこの会議を待ってからのアンケートにされますか。
【太田副座長】
 どうでしょうかね。いけますかね。
【奥委員】
 12月24日の件ですが、薬学会の教育委員会ですら薬剤師教育とか薬学における教育に関するコンセンサスが得られていない部分があります。先ほどの多様性の問題とか研究者育成の問題も含めて、そこら辺をまず意思統一しない限り進まないと思います。そのための会議であろうと考えています。
【赤池委員】
 すいません。
【市川座長】
 はい。
【赤池委員】
 記憶違いかもしれないんですけれども、委員会は別に今調整中で、12月中に先ほどの……。
【太田副座長】
 それはそれでやるんでしたっけ。
【赤池委員】
 ええ。12月24日はむしろワークショップとして行うはずです。
【太田副座長】
 ワークショップとしてやる。
【赤池委員】
 ええ。たしか、広く行うのではなくて関係者だけのワークショップを行って、そこで重要なキーワードの統一を図るということだったと記憶しています。
【太田副座長】
 そうですね。ごめんなさい。そのときは、アンケート調査の項目についての議論はやります。ただ……。
【奥委員】
 ワークショップの大きな目的は、一つはコンセンサスを固めようというところはあったと思います。
【赤池委員】
 極端な言い方をすると、例えば薬剤師に必要な資質という言葉をしたときに、そこでぱっと思い浮かぶ言葉が薬学委員会の中でも皆さん違うんですね。そこは少なくとも統一しようと。そういう重要なキーワードを幾つかピックアップして、それについては、個人的な考えはともかくとして、委員会としては統一見解を出しましょうと。まずそれを行わない限りは、これは薬学のいいところでもあり悪いところでもあるのだろうと思うんですけれども、なかなか薬剤師という言葉で皆さんが一つになりにくい。その意見、考え方を何とか一つにまとめましょうということを最初の作業として行います。これは外に対してではなくて、飽くまで中のことだということです。
【市川座長】
 そういう場合に、委員が4人いらっしゃるということがあって余り心配はしていませんけれども、ここでの意見の流れと全く違うような形の結論が出ますと、またこの委員会でそのやりとりをやっていかなければいけないという複雑な関係になりますので、十分にここの流れはいろいろな形で重みのあるものとして理解していただければと思います。
【赤池委員】
 常識的な線はありますので、そこにはちゃんと落とすことにはなるのだろうと思いますけど。
【市川座長】
 その常識的な線で。どうぞ、花井さん。
【花井氏】
 今の件は研修、実習等とも関係あるんですけれども、薬剤師とは何でしょうというときに、今チーム医療と言っていますよね。チーム医療の中で薬剤師が何をするんですかと問われたときに、例えばお医者さん10人に聞くとどういう答えが返ってくるか非常に不安に思っていて、今厚生労働省関係での薬剤師をもっと評価していこうという方向性は、総論としてはそうなんだけれども、じゃあ薬剤師に何を期待しているかというと、私から見ると非常に同床異夢的なところがあって、ある一面医師の多忙さを減らすために薬剤師はいるのだみたいなことをおっしゃる方も中にはおられて、これは非常に問題があると思うんですね。
 だから、チーム医療のときに、薬剤師とは何者かということについて、薬剤師さん自体も病院によって、医療者の一部で本当に医師と同等に異なる専門領域に基づいた仕事をしているんだと思う研修、実習を受けた人と、たまに病棟に出て点滴薬はやるけれども、ずっと調剤しているという印象で帰ってくる人もいて、社会が期待する薬剤師像はまだ定まらなくて、新しい世界が今生み出されようとしていて、僕らからするとそこに可能性を見ています。
 だから、モデル・コアカリキュラムの中では可能性というか、皆さんおわかりと思うんですけれども、学生が薬剤師はこういう役割を担うんだということをコンセプトで出して、卵と鶏じゃないんですが、それによって現実が変わるという相互作用を何とか打ち出していただくと、現実を変える力にもなっていくと思います。医師のモデル・コアカリキュラムは、各チームの役割は説明できるとちゃんと書いてあるんですけれども、多分説明できないお医者さんはたくさんいるんじゃないかということで、これ以上はもうしませんが、そこをきちっと出していただきたいと思います。
 以上です。
【市川座長】
 大変ありがとうございます。それもよろしくお願いいたします。
 ということで、今後のスケジュールは今のことで考えると、薬学会の方の委員会とワークショップですか、そういうものの後にこの委員会が開かれるということになりますので、そのときに薬学会の方の結果をフィードバックしてもらうということになるかと思います。その辺でポイントは、ここでは先ほどあった幾つかの項目に関して少しずつこれから煮詰めていこうと思いますので、よろしくお願いします。
 あと、薬学会の方には、ここに今松木委員長がいらっしゃらないのですけれども、いろいろ薬学会で決めたことの公表の仕方に気をつけていただきたいと思います。その内容に結構先走るような形の言葉が入っていると、この委員会の今後の活動においても制約を受けてしまうことがあるので、十分にそういうことも是非委員長に伝えていただきたい。
【太田副座長】
 了解しました。
【市川座長】
 よろしくお願いいたします。そういうことで、予定の時間を少し過ぎましたので、今日は終わりにしたいと思います。では、もう一度改めてですけれども、今後のスケジュールはまだ今の調査の結果ですね。
 それでは、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

お問合せ先

高等教育局医学教育課

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3326)
ファクシミリ番号:03-6734-3390
メールアドレス:igaku@mext.go.jp