教育内容等に関するワーキンググループ(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年9月8日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館10階4会議室

3.議題

  1. 教育内容等に関するワーキンググループの運営について
  2. 教育内容等について
  3. その他

4.出席者

委員

野口主査、有信委員、岩熊委員、大場委員、岡崎委員、工藤委員、篠田委員

文部科学省

加藤高等教育担当審議官、澤川専門教育課長、神田専門教育課企画官、神田専門教育課課長補佐、その他関係官

5.議事要旨

(1) 開会

(2) 主査挨拶

(3) 事務局より委員紹介

(4) 会議の設置等について

事務局より本ワーキンググループの設置等について説明が行われた。

(5) 事務局より配布資料について説明が行われた。資料説明等に対しての委員の主な意見等は以下のとおり。

  • 大学院所属の教員が増えて、学部所属の教員が減っているが、これを教育上の問題と捉えるか組織上の問題と捉えるかは注意が必要である。教員の所属が大学院になったのは、組織上の話であり、そのまま学部の教育が疎かになっているということにはならないと思う。
  • ある大学では大学院に進学予定の学生を中心に学部の教育を行っているため、各教員の専門分野や研究テーマを重点的に教えるため、基盤的な分野が疎かになっていると思われる。
  • 大学で教えられる量には限りがあることを踏まえ、産業界から求められているものなどを議論していくべきだと思う。
  • 効率的に教えられるようなカリキュラムのようなものを用意して、システム化して教育するような仕組みを考えていくべきではないか。大学だけでは難しいこともあるので、同時に国の施策としても何か進めていくべきではないか。
  • 全ての大学がトップクラスの技術者を養成できるわけではない。差別化ではないことに配慮しつつ、ある程度のクラス分けをすることも考え方の一つとしてあるのではないか。それが産学の共通認識となれば、質保証に繋がることも考えられるのではないか。
  • 入学者のレベルやどういう卒業生を送り出してきたかなどを各大学が把握し、卒業生がしっかりとしたキャリアパスを描けるように教育していく必要がある。
  • どのような学生を育成するかを大学が公表して、それを保証することは大事である。
  • 大学が教育に対して保証するということが文化として根付くことが必要ではないか。また、国際性を踏まえて、日本の技術者が外国で通用しないということが無いよう欧米の動向も注意する必要があると思う。
  • 留学生に対しても日本の教育が何を与えるのかということを明確化する必要がある。
  • いいカリキュラムがあっても、アウトカムズ評価が必要。その評価を通じて、社会に何を提供していくかということを明確にしていく必要がある。
  • 不必要に工学離れや学力低下を強調するのは問題である。
  • 就職してからの大卒者のパフォーマンスが良かった時代に比べ、現在は大学進学率が上がり、社会において高校卒業者と大学卒業者の資質能力の差の境目が曖昧になってきているように感じられる。その部分が大学で必要な教育をすべきだという産業界からの要望につながっているのではないか。 

(6) 工藤委員より配布資料6に基づき説明が行われた。

(説明要旨)

  • 専門能力(自分の専門と学際的な専門能力など)と人間力(コミュニケーション能力や問題解決力など)が必要であると考える。
  • また、技術者は学理的なことだけではなく、社会との関わりが必要になる。教育の早い段階で社会と技術の関わりを教えることによって、専門教育の意義付けや将来のキャリアに対するモチベーション向上に繋がると考えている。

(各委員からの意見)

  • 知識と問題解決能力を教えるのはある程度できると思うが、考える力や人間力などを教えるのは難しいと思う。
  • 大学の講義だけではなく、サークル活動や卒業研究、ものづくりの実体験といったことが人間力向上に有効だと思う。
  • 専門の勉強だけではなく、プロジェクトを動かしていくなどの業務遂行能力というべき能力を若いうちから考えていくべきではないか。

(7) 篠田委員より配布資料7及びパワーポイント資料に基づき説明が行われた。

(説明要旨)

  • 2009年6月に京都で開催されたInternational Engineering Alliance (IEA)の会議で “Graduate Attribute and Professional Competencies (IAE GA/PC)”が採択された。(後日委員に配布する。)IAE GA/PCでは、Engineeringは人々の要求、経済発展や社会へのサービスの提供に必須の活動であるなどとしている。
  • 「工学基準2000(EC2000)」に基づく米国のAccreditation Board for Engineering and Technology(ABET)の認定は、「何を教えるか」から「何が学習されたか」に変化している。
  • 学習成果についての信頼されたアセスメントと評価が求められる。また、学習で身につけた知識・能力等を統合するエンジニアリングデザインを基準で求めている。
  • ウェブベースでの便利なルーブリックのテンプレート開発が課題である。
  • 学士レベルとして社会の求める水準以上の知識・能力・素養を身につけた学生のみを卒業させねばならない。

(8) 今後のワーキンググループの進め方について

野口主査より今後のWGの進め方についての提案が行われた。

(提案要旨)

事務局から示された検討課題(案)の項目について、担当者を決め、次回以降その担当者が検討課題の追記やたたき台の資料提供を行うことにより検討を進めていきたい。

(各委員からの意見)

FDをリードする工学教育を専門とする教員を今後どう処遇していくかが課題としてあると思う。

(WGの進め方)

検討課題(案)の項目について、担当者を決め議論を進めていくことが了承された。

検討課題(案)の項目ごとの担当者は以下のとおり。

  1. 技術者及び技術者教育について・・・主担当=岩熊委員、副担当=篠田委員
  2. 技術者として共通的に身につけるべき基本的な知識及び資質・能力について・・・担当=有信委員、岡崎委員
  3. 技術者教育の充実のための教育内容・方法や教育体制・評価のあり方について・・・主担当=大場委員、副担当=工藤委員、篠田委員
  4. 大学教員に求められる教育能力及びその評価方法について・・・担当=野口委員
  5. 国際性を踏まえた技術者教育の質の確保方策について・・・担当=篠田委員
  6. 技術者教育の充実に向けた支援方策について・・・特に定めず

(9) その他 

事務局から平成22年度概算要求の産学連携による分野別の評価活動支援事業ついて説明があった。

(委員からの意見)

  • 将来の科学技術教育のあり方を議論する会議であり、23年度は長期的な支援策を考えていくべきではないか。
  • 大学にとって教育改革を進めるきっかけになるような支援策を考えていきたい。

お問合せ先

高等教育局専門教育課科学・技術教育係