大学における実践的な技術者教育のあり方(案)-概要-
背景
- 「技術者」とは、「数学、自然科学の知識を用いて、公衆の健康・安全への考慮、文化的、社会的及び環境的な考慮を行い、人類のために創造、開発又は解決の活動を担う専門的職業人」
- 高度経済成長期に経済発展の原動力となってきた技術者であるが、現代においては経済、外交、安全保障、健康・福祉、エネルギー、環境、防災、都市問題等の社会的課題との関係も深まっており、実際に自然科学等の知識を応用して複合的な問題を解決できる技術者の養成ニーズが高まっている。
これからの技術者教育のあり方
モデル・コア・カリキュラム(共通的な到達目標)
- まず技術分野共通の部分(数学、自然科学)の内容が明確にされた上で、技術分野ごとのモデル・コア・カリキュラムが整備されることが妥当。
- 知識体系の意味を歴史・社会・自然と関連付けて学修するよう留意。
- 変化する多様なニーズに応えられるよう、当該分野が人々の生活にとってもつ意味や当該分野と隣接・関連する諸分野の概要等も学修するよう留意。
- 大学ごとに、各要素の深さ、要素の広がり、専門の学修内容の違いは許容。
- 現場、現物、現実を踏まえ、適切に公衆の健康及び安全への考慮や文化的、社会的及び環境的な考慮を行い、複合的な技術問題の解決や特定の需要に合った系統、構成要素又は工程を設計する能力(創成能力)を盛り込む必要がある。
学協会
- 国際的に通用する技術者教育を保証し、さらに世界の技術者教育を牽引するためにも、日本において早急に「求められる技術者像」に向けた「学習成果評価基準」が整備されるとともに「モデル・コア・カリキュラム」に基づく大学での技術者教育が行われることが望ましい。関連する学協会の積極的な協力を期待。
大学
- 大学は、学習成果が実際に社会でどのように生かされるかを学生に体感させるとともに、社会・産業界でいきいきと活躍する技術者のキャリアを示すことにより、学ぶことの意義を理解し、学修の効果を向上させることが重要。
技術者教育認定機関
- 技術者教育認定機関は、関係学協会と協力して、情報発信のサービスを強めるよう努力すべき。