英国における学位水準基標

高等教育質保証機構QAAの「高等教育資格枠組みFramework for Higher Education Qualifications」の各レベル(博士Doctoral、修士Masters、優等Honours、中等Intermediate、サティフィケイトCertificate)は、「全国資格枠組みNational Qualification Framework」のレベル5(予測不可能な事態に対して基本原則及び技能を駆使し、他人の仕事や資源配分に重大な責任を負うと共に、分析及び設計計画、実行、評価に説明責任を負う)及びレベル4(複雑な仕事で知識・技能の応用が求められる。他人の仕事及び資源配分に責任を負う。)(現在、レベル8~4に細分化されている)に対応している。

注)優等学士学位Bachelors degrees with Honours(Honoursレベル)とは、専門的で高度な水準の学士学位とされるが、修了試験の結果に応じて、所定の成績を収めた者に優等学位が、優等学位の水準に達していない者に普通学士学位ordinary (Bachelors) degree(Intermediateレベル)が授与されるのが一般的であるといわれている。優等学位には、First Class Honours(1st)、Second Class Honours, Upper Division(2:1)、Second Class Honours, Lower Division(2:2)、Third Class Honours(3rd)の区分がある。

注)工学評議会の各専門職協会が資格認定を行っているIncorporated Engineer やChartered Engineerについて、Incorporated Engineerであれば通常an IEng accreditated Bachelorsか優等学位が求められ、Chartered Engineerであれば通常認定された統合修士学位an accreditated integrated MEng degreeか、認定された優等学士学位に加えて修士レベルまでの学習が求められる。

「高等教育資格枠組みFramework for Higher Education Qualifications」は、優等学士学位の質Qualificationとして以下を示している。

優等学位に値する学生は、以下を実証したものである。

  1. 自らの専門分野について、少なくともいくらかの最先端の内容も含め、相互に密接な関係を持つ詳細な知識を有し、その分野の主要な部分を体系的に理解している。
  2. 専門分野における分析や探求の技術を正確に使うことができる。
  3. 専門分野の最先端のアイデアや技術を用いて議論や問題の解決ができ、現在の研究や同等の先端学問の特徴について説明し意見が述べられるような概念的な理解をしている。
  4. 知識の不確実性、曖昧さ及び限界を正しく理解できる。
  5. 自ら学習し、学術調査や原典を利用できる。

有資質者は概して以下のことが期待される。

  1. 学習した方法や技術を適用して、自らの知識や理解を見直し、拡張、適用し、プロジェクトの立ち上げや遂行することができる。
  2. 議論、仮定、抽象概念やデータを批判的に評価して、問題解決のために判断をしたり、適切な課題設定をしたりできる。
  3. 専門家、非専門家を問わず、情報、アイデア、問題点、解決策を伝えることができる。
  4. 発案及び責任の行使、複雑で予測不可能な状況での判断、職業人としての適切な継続的学習能力など、就労に必要な資質と能力を身に付けている。

QAAは、「分野別学位水準基標」も作成しており、分野毎に学習成果(知識・技能)のパフォーマンスレベルを「最低到達基準」「標準到達基準」などとして設定している。

(参考資料:学位に関するベンチマーク・ステートメント-英国・高等教育水準審査機関QAAの学科目別報告-抜粋

化学、コンピューティング、地球科学・環境科学及び環境学、建造と測量学、工学)

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