大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成21年3月31日(火曜日)16時~18時

2.場所

KKRホテル東京 11階 「朱鷺」

3.議題

  1. 大学における看護系人材養成の在り方について

4.出席者

委員

中山座長、菱沼副座長、秋山委員、小山委員、坂本委員、佐藤委員、高田委員、富野委員、西澤委員、羽生田委員、平澤委員、前野委員、松尾委員、宮﨑委員、村嶋委員、横尾委員

文部科学省

戸谷大臣官房審議官(高等教育局担当)、新木医学教育課長、小山田看護教育専門官

オブザーバー

野村看護課長(厚生労働省医政局)

5.議事録

【小山田看護教育専門官】 定刻となりましたので、これより大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会の第1回を開催させていただきます。先生方におかれましては、委員へのご就任をご快諾いただき、またご多忙の折、本検討会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、医学教育課看護教育専門官の小山田と申します。後ほど座長が選任されるまで進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まだ、2名の委員がお越しでないのですが、ちょっとこのまま進めさせていただきたいと存じます。
 初めに、戸谷大臣官房審議官よりごあいさつを申し上げます。

【戸谷審議官】 高等教育局担当の大臣官房審議官をしております戸谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 このたび、大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会につきまして、まず委員にご就任いただくということとともに、本日は大変ご多用中、出席いただきまして感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
 看護学教育の改善・充実につきましては、平成20年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正を受けまして、各大学でカリキュラムを改正、あるいは実習体制の充実ということに取り組んでいただいているというふうに承知いたしております。今回の議題でございます学士課程における看護系人材を養成する大学ということでございますけれども、後ほど基礎資料等でまたご説明の機会があろうかと思いますけれども、近年急速に大学の数が増えているということとともに、定員につきましても大幅に増加しているということでございまして、こういった中で、教員の確保の問題につきまして各大学でもいろいろ取り組んでおられるということでございますけれども、教員の確保の問題あるいは実習施設の不足等々、いろいろ問題が出てきているのではないかと思っております。
 また、医療の高度化等に対応いたしまして、学士課程におきます看護学教育の充実・強化ということにつきましても、多方面から強く求められている状況にあるということでございます。
 このような状況の変化等々も踏まえまして、私ども文部科学省といたしましても、大学における看護系人材養成の在り方、あるいは教育の質の保証、これは今、高等教育全般について強く求められている課題でございまして、今、中教審におきましてもいろいろな議論が行われているところでございますけれども、そういった今後の質の保証といったようなことにつきましても検討をお願いしたいということで、今回の検討会を開催することになった次第でございます。本検討会の委員の先生方におかれましては、この看護学教育の改善・充実ということにつきまして、いろいろ活発にご議論いただきまして、今後の私どもの施策におきましても十分反映させていきたいと思っております。
 今後とも、本件につきましては、検討会の開催が割合、場合によっては頻繁に行われることもあろうかと思います。いろいろご多用のところご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますけれども、ぜひともご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

【小山田看護教育専門官】 続きまして、ご出席いただいている委員の皆様をご紹介したいと存じます。50音順でこちらからご紹介させていただきます。
 秋山委員でございます。

【秋山委員】 白十字訪問看護ステーションの秋山と申します。在宅の現場からということで、何か役に立つことがあればと思って参加しております。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 では、小山委員お願いいたします。

【小山委員】 神奈川県立保健福祉大学の小山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 坂本委員でございます。

【坂本委員】 日本看護協会の副会長をしております坂本と申します。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 佐藤委員でございます。

【佐藤委員】 目白大学長の佐藤と申します。数少ない非専門家でございます。どうぞよろしくお願いします。

【小山田看護教育専門官】 高田委員でございます。

【高田委員】 群馬大学の医学部長をしております高田と申します。明日から学長になる予定でございます。

【小山田看護教育専門官】 富野委員でございます。

【富野委員】 順天堂大学の富野でございます。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 中山委員でございます。

【中山委員】 福島県立医科大学看護学部の中山でございます。私も明日4月1日付で日本看護系大学協議会の会長校を引き受けております。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 西澤委員でございます。

【西澤委員】 全日本病院協会会長の西澤でございます。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 羽生田委員におかれましては、ご出席の予定ですけれども、少々遅れておいでになるということを承っております。では、菱沼委員でございます。

【菱沼委員】 聖路加看護大学の菱沼と申します。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 こちらから平澤委員でございます。

【平澤委員】 日本赤十字看護大学の平澤と申します。助産師教育の視点から参加させていただいております。

【小山田看護教育専門官】 前野委員でございます。

【前野委員】 読売新聞編集部委員の前野です。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 宮﨑委員でございます。

【宮﨑委員】 千葉大学の宮﨑と申します。よろしくお願いいたします。看護系大学が今、かなりの数になってきてございますが、千葉大学はその先発校ということで長らく教育を担ってきた立場から、少し経験も踏まえて議論に参加したいと思っています。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 松尾委員でございます。

【松尾委員】 名古屋大学医学部附属病院長の松尾でございます。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 村嶋委員も本日ご出席のご予定ですが、少々遅れております。横尾委員でございます。

【横尾委員】 広島大学の横尾でございます。助産師教育を担当しております。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 なお、倉田委員は本日ご欠席と承っております。それから、厚生労働省医政局看護課より野村看護課長にオブザーバーとしてご出席いただいております。

【野村看護課長】 野村です。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 今、村嶋委員がお着きになられました。よろしくお願いいたします。

【村嶋委員】 済みません。遅くなりまして。

【小山田看護教育専門官】 文部科学省で席に着いておりますのが、戸谷審議官でございます。

【戸谷審議官】 よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 新木医学教育課長でございます。

【新木医学教育課長】 新木でございます。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 私、小山田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、座長をお選びいただきたいと思いますけれども、どなたかご推薦をお願いできませんでしょうか。

【坂本委員】 中山委員に座長をお願いしたいと思います。中山委員には、21年度から日本看護系大学協議会、それから厚生労働省の検討会、それから大学の審査等にも多数参加されておりますので、ぜひ中山委員に座長をお願いしたいと思います。

( 拍手 )

【小山田看護教育専門官】 ありがとうございます。ただいま拍手をちょうだいいたしまして、皆様ご異議がおありでないということのようですので、本会議の座長については中山委員にお願いし、また副座長については、座長からご指名いただきたいと思いますが、ご異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小山田看護教育専門官】 では、異議なしと承知いたしまして、これからの議事進行は中山座長にお願いいたします。

(中山委員、座長席へ移動)

【中山座長】 推薦いただきましてありがとうございます。中山でございます。こんな会の座長を引き受けるということは、私にとっては大変重い任でございますけれども、皆さんのお力を借りて何とかまとめていきたいと思っておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。それでは、座らせていただきます。
 副座長のほうを決めるという役を担っているようなんですけれども、副座長を私のほうが決めさせていただくということでよろしいですね。それでは、副座長につきましては、聖路加看護大学教授で中央教育審議会の委員であります菱沼典子委員のほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 皆様、ご異議はありませんでしょうか。

( 拍手 )

(菱沼委員、副座長席へ移動)

【菱沼副座長】 今、ご指名いただきました菱沼でございます。ご紹介ありましたように、ただいま中央教育審議会の委員を務めておりますので、大学における看護教育ということを皆様と一緒に改めて考え 直してみたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【中山座長】 それでは、私のほうから加えたいと思います。平成20年度保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改定を前に、平成18年度に開催されました大学、短期大学における看護学校教育の充実に関する調査協力者会議に私もずっと参加させていただきました。この4月からその新しいカリキュラムに基づいて、それぞれの大学がスタートを切ることになるかと思いますが、大学がたくさんできる中で指定規則の趣旨を上回るというか、大学の独自性を出した教育をどのような形で行い、またその質を保証していくのかということが非常に重要な課題になりまして、これまでもたくさんの提言が出されてきたことではないかと思っております。
 私も今回このお話をいただいたときに、大学の中ではご存じのように、保健師、助産師、それから看護師の教育内容を併せて教授するというカリキュラムでやってきています。そのことが多分さまざまな形で行き詰まっていて、この検討会の大きな課題ではないかなというふうに思っております。何よりも、ここは文部科学省の会議ですので、免許をどうするかということの問題よりも、とにかく大学教育の質をどんなふうにしていくのか、そしてまた社会的な要請でもあります専門職としての看護師、保健師、助産師をどのような形で育成していくのか、この辺のことにつきまして資格の問題も含めて何かいい提案ができればと思っております。
 今日も両隣を見ますと、厚生労働省、文部科学省、さまざまな会議でご一緒していらっしゃる先生方の顔ぶれでございますし、またこれまでもたくさんの提案書が出されてきています。私の気持ちとしましては、1つでも何か具体的に実行できて前進できるような形の提案ができればいいかなと思っています。余り大きなことでなくてもいいので、小さなことでも何かこの検討会をして実りが目に見える形でできればいいかなと思っていますので、先生方のご意見を十分伺いながら、そしてまた忌憚のない意見を闘わせながら、1つでも前進できればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今日配付していただいた資料の確認から入りたいと思いますので、小山田専門官のほうから少し説明をお願いできますでしょうか。

【小山田看護教育専門官】 資料は、袋詰めにしたものと、あとドッチファイルに綴じたものとございます。袋詰めにしたものが本日の配付資料となっておりまして、資料7までございます。そのほかに参考資料を2部つけております。机上配付資料のドッチファイルには12部の資料が綴ってございまして、一番上に目次をつけてございます。
 配付資料なんですけれども、まず今回の第1回会議次第がございまして、その下に資料1として、本検討会の実施要綱と委員名簿がついております。
 配付資料2は、審議会等の整理合理化に関する基本計画の抜粋、配付資料3が、検討会の公開に関する案をつけております。
 配付資料4は、大学における看護系人材養成の在り方に関する論点メモです。
 資料5が、5-1として、文部科学省における看護学教育に関する検討のこれまでの経緯についてまとめた資料であり、5-2は、看護系大学における看護学教育の在り方について、平成16年の検討会報告書の記載に沿ってまとめた資料でございます。
 さらに、資料5-3で文部科学省の中央教育審議会が今年度答申しました学士課程教育の構築に向けてという資料の概要をおつけしております。なお、看護学教育の検討に関する報告書、また中央教育審議会の答申については、机上の資料に全文を付しております。
 続いて、資料6は、看護に関する基礎資料として、看護師養成に関連する図表を5枚つけております。
 資料7は、当面のスケジュール案でございます。
 最後に、参考資料として、平成20年度に厚生労働省で行われた看護に関する2つの検討会等の報告書の中で、看護系人材の養成に関連の深い箇所を抜粋したものをおつけしております。
 ドッチファイルにある机上配付資料については、今回、会議資料としてお配りしている基礎資料のほかに、看護職養成に関する法律等の抜粋、看護師養成や大学教育に関する検討会の報告書、諮問文等をセットしております。
 資料に関する説明は以上でございます。

【中山座長】 ありがとうございます。何か抜けている、あるいは足りないものがございますでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、次に会議の公開についてということで、事務局のほうからご説明いただきたいと思います。たくさんの方々に今日は来ていただいておりますが、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 説明いたします。配付資料の2と3をご覧ください。
 検討会の公開については、資料2にその抜粋を示した審議会等の整理合理化に関する基本計画というものが政府で作成されております。そこで、審議会等の議事については、基本的に速やかに公開し、非公開の場合はその理由を付すということが定められておりまして、この検討会も審議会等の公開に準ずるものとされております。そのため、検討会の公開について、資料3のとおり案を作成いたしました。公開(案)の概略を説明しますと、会議は基本的に公開とし、ただし会議の構成、または円滑な運営に支障が生じるなど特別な事情により座長が必要性を認めた場合は非公開とできる。また、会議資料や議事録、検討会の下に置かれる小委員会についても、原則として公開するものというふうに案をつくっております。本検討会の公開について、資料3の案のとおりでよろしいかどうかをご検討いただきたいと存じます。

【中山座長】 ありがとうございます。何かご質問ございますか。この資料3の検討会の公開についての案ですが、このとおり対応してよろしいでしょうか。決めてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山座長】 異議はないようですので、では、本会議は公開という形で対応していきたいと思います。
 次に、議事のほうに入りたいと思います。
 今日の主な議題になりますけれども、事務局より看護学教育の現状について説明をいただいて、討論のほうに入っていきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 ご説明申し上げます。
 まず、この検討会の趣旨を改めてご説明したいのですが、ちょっと前に戻って資料1にお示ししたように、この検討会の検討事項は3点ございまして、保健師助産師看護師の三職種の免許取得に必要な教育内容を体系化して教授している今の看護学教育の在り方について。また、新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方について。そして、大学院における高度な職業人養成の在り方についての3点を検討課題として挙げております。
 これらを検討する背景について資料に基づいて説明いたしますと、ちょっと飛んで申しわけありませんが、資料5-1をご覧ください。こちらにありますとおり、文部科学省では大学における看護系人材の養成の在り方について適宜検討してまいりました。平成16年の検討会では、大学が100個を超える中で、改めて学士課程の教育課程の特色をまとめ、卒業時の到達目標を示しました。また、平成20年度の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部、すなわち国家試験受験資格を得るために必要な教育内容が改正されたときには、それを大学教育に適用する場合の課題をまとめました。そこでは、将来的には指定規則の趣旨を上回る教育の質の保証体系の在り方を大学教員が主体的に研究していくことが望まれると述べられております。
 これまでの看護学教育は、資料5-2にありますとおり、昭和20年代の看護系大学誕生のころから4年の教育課程の中で、看護師だけではなく、保健師、助産師の免許取得に必要な教育内容を体系的に教授してきました。当時は、それぞれの教育内容をあわせていく形で、卒業要件単位数も140を超えていたと伺っております。しかし、近年の看護学の発展を反映して科目の有機的な統合が行われ、履修単位数が減少してまいりました。ちなみに、平成19年度の看護系大学の平均卒業要件単位は128.2単位でございました。
 このように、大学における看護系人材養成は発展を続けてきましたが、審議官が申し上げましたように、看護系人材を養成する大学はこの15年で急激に増加してまいりました。資料6の基礎資料集の2ページ目に大学の増加についてグラフをお示ししましたが、大学の数は平成3年に11校であったものが、平成20年現在では166校となっております。
 前のページ、1ページ目には、看護師養成制度図を示してありますが、看護師養成ルートは、ご存じのとおり、専門学校、大学、高校の専攻科や准看護師学校を経て看護学校に入るコースなど多様です。この中で大学の入学定員は、平成20年で全体の23%を占める1万3,108人に達しています。この大学の増加は、大学教員の不足や実習場所の不足、特に現在すべての大学で行われている保健師教育に必要な保健所等の実習施設の不足を招いております。
 また、看護系人材の養成だけでなく、大学全体においても課題があります。資料がまた前後してしまいますが、5-3をご覧ください。2の主な内容の中で、現在の大学教育の課題が列挙されております。すなわち、何ができるようになるか、大学卒業者として最低限必要な能力とは何かが明らかにされておらず、学位授与の在り方が問われています。また、教育課程が系統的でないことや、自己学習することを前提に15時間という講義時間をもって1単位を授与しているというのが基本的な考え方ですが、学生の学習時間が規定どおり担保されていない等の指摘があります。さらに、学生獲得のために入試を容易にしたことから、学生の学習意欲や目的意識の低下が起きているといった指摘もございます。
 そして、教育の質の保証システムが、事前の規制から事後の自己評価に変わってまいりましたけれども、ファカルティ・ディベロップメントや第三者評価といった事後の質保証システムが有効に機能しないなど、大学教育の質の保証体制がいまだ十分に機能していないという指摘もございます。
 これら大学教育全体の課題を考慮しながら、冒頭に申し上げた3つの課題について検討していただきたいと考えております。
 ご説明は以上です。

【中山座長】 ありがとうございました。
 今日は第1回ということで、皆様方の顔合わせとともに、各委員の方々からこの検討会の検討事項や今後の進め方等に関しても自由な意見をちょうだいすることにいたしたいと思っております。本論に入る前に、意見交換のための論点メモというのを資料4につくっていただいていますので、それを説明いただきまして、それから皆さんからの意見交換に入っていきたいと思いますので、これにつきましても小山田専門官からよろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 それでは、資料4をご覧ください。先ほど申し上げた3点の検討課題について、それぞれの論点の案を挙げさせていただいおります。
 1の保健師助産師看護師三職種の免許取得に必要な教育内容を体系化して教授する学士課程における看護学教育の在り方についてでございますが、当検討会では、この学士課程におけるカリキュラムを仮に統合化したカリキュラムと称していきたいと考えております。この統合化したカリキュラムについては、これまで大学で養成する人材の資質の担保や多様なキャリアパスを獲得できるという魅力で学生を引きつけるなど、大学における看護系人材の発展に大きく貢献してきました。しかしながら、さきに述べたような大学数の大幅な増加によって教員や実習場所が不足し、とりわけ自治体の統廃合により保健所等が減少していることもあって、保健師実習は困難を極めております。統合化したカリキュラムが、現在は教育の質を損なう一因になっているという指摘もいただいております。
 そこで、いま一度、大学における看護系人材養成の在り方を考える中で、3つの資格取得を可能としている現在の統合化したカリキュラムの在り方についてご議論をいただきたいと思っております。なお、この論点の結論については、できるだけ速やかに今後のカリキュラム改正や大学の設置審査に反映させていきたいと考えておりまして、できましたら6月ぐらいをめどに中間取りまとめというような形で、一たん結論をおまとめいただけたらと思っております。
 続いて、新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方についてですが、論点として、モデル・コア・カリキュラムの導入と看護学教育の質の保証についてを挙げさせていただきました。論点1で、これまで学士課程教育の質の担保を担ってきた統合化したカリキュラムの在り方を検討していただこうと思っており、もし統合化したカリキュラムの在り方を修正していく場合、新たな学士課程における看護系人材養成の質の担保の方法について検討する必要があるのではないかと考えます。その際は、過去の私どもの検討会で提言され、中央教育審議会の答申にも盛り込まれた分野別のモデル・コア・カリキュラムの仕組みを導入することが一つの選択肢であると考えまして、論点に取り上げました。
 なお、参考までに、机上配付資料の中に医学教育のモデル・コア・カリキュラムを配付しております。モデル・コア・カリキュラムを既に導入している医学教育を見ますと、モデル・コア・カリキュラムの導入で教育の自由裁量度を高める一方、共用試験などの仕組みを通じて質の担保を図っています。看護学教育については、保健師助産師看護師学校養成所指定規則や大学全体の認証評価により質の担保を図ってきましたが、いずれも看護学教育の質保証の仕組みとしては不十分であるという意見がございます。モデル・コア・カリキュラムの検討を行う際には、あわせて教育の質保証の在り方についても検討する必要があると考えております。
 最後に、3点目として大学院における高度な職業人養成の在り方についてですが、論点としては、看護系大学院教育の目的・役割についてと挙げさせていただきました。この意図ですが、現在、看護系の大学院では、研究者や教育者の養成のほか、専門看護師などの高度実践者の養成も行っております。また、学部教育でも取得できる助産師の育成を大学院教育の中で行っている大学も増えつつありますし、社会的に見ますと、医師不足を背景に看護師の役割の拡大を希望する意見も多くあり、今後ますます高度な職業人を大学院で育成することに対するニーズが高まると予想されます。修士課程は既に100を超えており、学部教育の見直しに合わせて、いま一度看護系の大学院における教育の目的や役割について整理していただき、高度な職業人養成の在り方についてご議論いただきたいと思っております。
 なお、論点2と3については、こちらの希望といたしましては、論点1と関連の深いものではありますが、時間の関係上、1の議論を一たんまとめた後、改めて本格的な議論に入っていただきたいと考えております。当方で作成しました当面のスケジュール案を資料7におつけしましたので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上でございます。

【中山座長】 ありがとうございました。この委員の中に大学での看護学教育を担っている委員と、それから隣り合わせで医学教育を担っている委員、これまでの厚生労働省、また文部科学省のさまざまな委員会にこの看護学教育をどうするのかということで討論に加わっている委員と、それから多分、看護学教育はそれほどなじみのない委員と、さまざまな立場の方がいらっしゃるかと思うんですが、とりわけ私たちわかり切っている委員のほうはすすっと進んでしまいがちですので、看護学でない委員の方々からは、この辺はどうなのかというような形で忌憚のないご意見をいただけるといいかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今、事務局からありましたように、この論点メモを踏まえながら、とりわけ1の保健師助産師看護師の3つの職種を入れた大学教育が今、行われているわけですが、そのことの課題、あるいは今大きな問題点になっているところ、そういったものを出しながら、この学士課程の看護学教育をどうするのかということを最初に検討していきたいと思っております。大学の4年間の中に、厚生労働省の看護師保健師助産師の3つの国家資格が受けられるようなカリキュラムを統合してはめ込んであるのが大学の教育と考えていただいていいかと思いますが、多くの大学では、看護師と保健師の国家試験を全員に、要するに看護学部あるいは看護学科、看護学専攻に入学した学生は全部取れる形の仕組みのカリキュラムを今持っているわけです。助産師の方は、大学でやらないところもあれば、選択で取らせるという形が今、一般的な看護学の教育の在り方かと思うんですが、この辺のところも踏まえまして、どなたか先生方からご自由な発言を口火を切っていただければいいかと思いますが、いかがでしょうか。

【村嶋委員】 東大の地域看護に勤めます村嶋でございます。私の専門は地域看護学で、保健師の教育に携わっているわけですが、同時に全国保健師教育機関協議会の会長もしておりまして、全国の保健師教育の動向を当事者として見る立場にございます。
 看護系大学における統合カリキュラムでは、保健師の国家試験受験資格は、「取れる」という感じではなくて、「取らざるを得ない」、「取らないと卒業できない」という位置付けが強くなっています。保健師の教育課程をこなさなければ卒業ができないので、保健師資格を望むと望まないとにかかわらず、すべての学生が地域看護学実習に出ていく。そうすると、関心のある学生も、関心のない多くの学生も、卒業要件だからということで実習に行かざるを得なくなる。そうすると、レディネスの無い学生も多数行くことになります。現場のほうでは大変多くの時間を割くにもかかわらず、学生がやる気が無いので消耗感がある。今のように卒業要件として全員が取らざるを得ないようになっていることはぜひやめてほしいと思います。また、これは、現場側からも強く聞くところでございます。特に全国衛生部長会も、「学生全員が取ることによって現実の業務に支障を来している」という調査結果をもとに、今の統合カリキュラムをぜひ廃止するように要望されたと伺っております。

【中山座長】 要するに180近くの学校数にこの春なるわけですけれども、その全学生が看護師と保健師の両方の免許を取るために実習することになる。看護師は病院ですので、病院はかなりあって、看護学部看護学科看護学専攻となると、看護師の専門教育を受けるということはだれもわかる。保健師教育ということになると、それを全部の学生にやるということで、今、保健所、保健センター、あらゆるところで引き受け切れないという現状が起こっているということでしょうか。それに伴って、この間の要望書を見ましても、要するに十分な実習体制ではなく、十分な実習時間ではなく、それでいいにして国家試験に臨んでしまうということが質を下げているというご意見と考えてよろしいでしょうか。どのぐらいたくさん大学を持っているかという県の状況もあるかと思いますが、それが今の現状としてあるということですね。わかりました。ほかに何かご意見ございますか。

【平澤委員】 私は、全国助産師教育協議会(通称全助協)のほうに携わっておりますが、助産師教育の現状を申し上げたいと思います。
 先ほど座長先生が述べてくださったように、助産師教育は課程選択か、または科目選択で行われております。学生の教育数は、1けたか多くて2けた台の養成数です。4年間の学士課程で積極的に助産師教育を行うにはどのように実習を行ったら良いのかの研究を行っている教育者もおります。しかし、全助協で調査した結果ではかなり多くの大学が苦労しながら助産師教育を行っている実態です。今年度から助産師教育の単位数は1単位実習が増え、23単位になります。従来22単位でしたが4年間の学士課程でどの位の単位数で助産師教育を行っているかの調査を行いましたら、少ない大学で6単位、多い大学で努力して20単位の教育は行っておりました。6単位と少ない大学は母性看護他の教科で読みかえをしていました。
 指定規則の中では10回程度の分娩を取り扱うと規定されておりますので、実習時には分娩介助(分娩第2期)のみの支援を行うという教育に限定している教育機関も存在しています。現在の産科医療や周産期医療と協同して女性・妊産婦・家族の支援を行うには高度な実践能力を持つ助産師が要望されておりますので、4年間の学士課程の中で無理をして教育を行うことには限界が生じております。2004年に高度な助産専門職業人を教育する助産専門職大学院が天使大学に開設されて以来、大学の修士課程を有する大学院でも助産師教育を修士課程で教育する大学が続いております。また、1年間の専攻課程や、助産師教育のみを行う教育機関も出てまいりました。この現状から、4年間の学士課程内で無理した教育は、限界であるという実態から教育の見直しを図って、現在少しずつですが、4年間の学士課程内から外に出した教育を行いつつあるという状況です。本日は細かい数字は申し上げられませんが、4年間の学士課程内で助産師教育を行うことの困難性を報告したいと思います。

【中山座長】 今、保健師教育、助産師教育、看護師教育の3つをはめ込んだ教育に少し無理が生じているというような発言がありましたが、これまでの議論ですと、基礎免許ということの問題があって、4年制の大学の中で基礎免許は大学でということがずっと議論になってきたところだと思います。その辺のところで、むしろ大学そのものが全部免許で縛られるという形ではなくて、大学の独自性を出しながら3つの資格の基礎となるような教育を大学はするんだというスタンスでずっと来ていた経緯があると思いますが、その辺のところでの議論ではいかがでしょうか。宮﨑委員のところは、そこはかなり頑張ってきたところであるかと思いますが。

【宮﨑委員】 私は、長らくこの統合化されたカリキュラムを推進してきた大学でありますし、私自身は保健師教育を専門にやっている立場でもあります。
 私が最近考えておりますことは、大学におけるという今回の検討会もこの冠がついていますので、やはり大学における看護系の人材養成の学士課程としての到達レベル、それから教育というものをどう考えるかといったときに、やはり専門職でありますから、プロフェッショナルではあると思うんですが、特別な領域に特化したスペシャリスト養成というのはちょっと違うのかなということで、大学院教育とは分けて考えていく必要があるだろうと。
 そういう点から考えると、特に私、保健師教育を担当している立場から考えますと、この保健師という職業は広く健康、不健康を問わず、人々の健康相談に乗っていく、あるいは健康教育をしていく、それから健康づくりを応援していくという立場ですから、今、保健師という職業に力点が置かれて教育されている側面は大きいですけれども、看護職全体が今後そういった力を蓄えていくという側面が極めて大きくて、基礎的なところはむしろ学士教育の中で、統合的なカリキュラムの中でしっかりやっていくべき側面が大きいのではないかというふうに私は思っています。
 また、追加の発言をすると思いますが、とりあえず。

【中山座長】 ありがとうございました。この辺のところで議論が分かれるかと思いますが、大学でどこまでをという。このところ、私ども大学で教育をやっている者にとりましては、社会の要請としては、実践能力の高い、すぐ社会に出てから看護師として働けるプロフェッションを養成してほしいということがあるのに大学教育は必ずしもこたえ切れていないという、大卒の看護師の実践能力の問題が出てきたところであるかと思います。
 座長でありながら少し発言させていただきますと、私自身は大学で即実践能力がつくような人材を育成するということには多少の限界があるんじゃないか。むしろ実践能力そのものは社会に出てから短期間で、特に育成できるものは社会に出てからでもいいんではないか。大学の中では、もう少し考える力のような、時間が必要となるような基本的な能力を養わなければ、社会に出てから伸びないのではないかという思いをずっと持ってきています。どうもその辺のところで、私はいつも言うんですが、還暦を過ぎているんですが、考え方が古いんじゃないかと大学の中でたたかれております。若者たちの発想は、もうそういう形の昔の大学というようなイメージではなく、大学の中で社会性や職業訓練もしていくという状況になっているんじゃないか、この辺の議論のところではさまざまな立場の方々から違った意見も出されていて、私も余りそこに固執しないほうがいいのかなという思いがこのところあります。その辺のところで大学で教育を担っている先生方からご意見いただいたんですが、小山先生、坂本先生、どうぞよろしくお願いします。

【坂本委員】 私は、副会長という立場ですけれども、先ほどの事務局からのお話の中にもありました。国民のニーズを考えないと、大学だけで成り立っていくものではないというふうに思います。今の国民のニーズを見ていくと、10年前から大変変化しております。そして、はっきり言うと看護師に大変レベルの高いものを求めています。ドクターの不足のことに関しても、また医療のいろいろな変化に対しても看護師に対する期待は大きいです。
 そのときに看護師の20%、1万何千人が大学から卒業しているわけですから、大学の看護師にも求められるものも同じです。そうすると、どのようにしてそれにこたえていくかを考えなくてはならない。それには基礎教育をきちっとしないといけないということが大前提だと思います。これは、厚生労働省の医療の質の向上と確保の検討会から話してきた内容と全く一致することです。そのなかでも看護師の基礎教育ということと、保健師と助産師の基礎教育というのを一緒にしては論じられないというふうに私は思います。4年間の基礎教育をきちっとするということ、さらに看護師の教育の考え方というのはここで変えないといけないと私は思っております。どのように変えるかというと、医師が今までずっとそばにいてやっていたものから、ある程度予防とそれから地域も含めて、全部自立した看護師というのを育成する。それは、大学の中できちっとやるということが、私はこれからの求められる国民のニーズにこたえていくことだと思います。
 免許を取る助産師と保健師に関しましては、免許を4年間の中で取れるからではなくて、免許を取れるのは別に設ける。そういう意味では、4年間をベースにしてきちっと看護師教育をした上で、免許は助産師と保健師については別枠できちっと確立していく。それが、恐らく国民のニーズにまずはこたえていくことだというふうに考えます。

【中山座長】 ありがとうございます。小山委員、何かありますでしょうか。

【小山委員】 この議論は今に始まったわけではなく、教育の場では長い間話されてきましたので、ずっと考えてきました。ここの資料4に出されている論点メモの1番と2番は、1番が終わってから2番を考えるものではなく、むしろ大学教育としてのコアとは何なのかを話し合うことと同時進行のような気がします。ただし、今は多分いろいろな過去の検討会等を踏まえて、助産師や保健師のいわゆる「免許」を大学でどうするかという早急のニーズがあって、1番を「取り急ぎ」ということになっているのだろうと思うのです。私は大学教育を20年やってきまして、今、保健師教育と看護師教育を分けろと言われますと、余りにも統合化していまして、「看護」を広い視点から捉えたときの予防医療ですとか、より健康にということは、「保健師」の業務と考えてきたことから考えますと、大学で保健師を取れなくするというのは大変難しゅうございます。
 ただし、先ほど村嶋委員からも出ましたように、全員が「ねばならない」かというところは考える余地があると思います。全員が「ねばならない」としているからこそ、実習の現場でもいろいろな問題が出てきていますので、「ねばならない」を外すことによって、改善できるかもしれません。しかしながら、「保健」は非常に重要であるという点で、残したほうがいいのではないかなというふうに思っています。
 2番の「大学におけるコアとは何か」というところを、広い視点から考えますと、やはり「地域」や「行政」は看護学教育からは外せませんので、今、せっかくある制度(保健師国家試験受験資格)をこの会議でなくしてしまうというのは、後輩に対して大変な損失ではないかなと思っています。「保健師」と「看護師」については慎重に考える必要があるかと思います。ただ、助産師につきましては、実習で行う業務の内容を考えますと、赤ちゃんを実際に取り上げ、新生児に触るという業務は、もしかしたら看護師の資格を取った後の方が、倫理的な意味でもいいのではないか、資格を取った後に助産のコースをとることにより、より安全ではないだろうかというふうにも考えたことがあります。

【中山座長】 ありがとうございました。ちょっと助産のことが出ましたので、先に横尾委員、何か。

【横尾委員】 助産の資格をどうするかということなんですが、今、小山委員が看護師の免許を持った上でということが前提になっているということが論議されていますが、私どもが教育している段階で、確かに看護師の免許がないということで、私ども教員が現場でどのように配慮して事故の起こらないようにということはやっているんですが、前提として免許を取らないとできないというふうになってしまえば、それに従わざるを得ないというふうに思います。今、解釈の段階でこれが許されるんでしたらば、それをどうやれば免許がない、取得見込みという状態で助産の実習ができるかというところにつきましては、特に保助看というふうな統合カリキュラムの中であるからこそできるのではないかなというふうに思っております。
 確かに4年の中で助産を育て上げることは、学生にとりましても時間的なタイトさはあると思いますし、教員も相当に力を注ぎますが、じゃ、修了した段階で助産師たちが現場で本当に役に立っていないのかということを考えますと、逆に先ほどお話がありましたが、判断力でありますとか、考える力でありますとか、そういうところにつきましては高い評価を受けておりますので、むしろ技術的なところは、どのコースを出たとしても年限が必要と思いますので、やはり基礎的な助産師としての考える力というところは、統合カリキュラムの中でといいますか、看護師と助産師、もしありましたらば保健師の教育の中ででも加味されて、より充実した実習体制に持っていけるのではないかなというふうに思っております。

【坂本委員】 3つの統合が一番いいからやりましょうと言うんだったら、はっきり言ってこの会は必要ないですね。厚生労働省の中でずっとやられてきた中で、文部科学省と厚生労働省は、舛添大臣のもとでやられてきた中では、問題が生じているから、それからニーズにこたえられていないのではないかということから、この会を開いていただいたわけですから、ある意味では問題をどのように解決していくかを話さない限りは、そのままでいいんじゃないかという話にはならないと私は思います。

【中山座長】 また横尾委員の反論があると思いますが、どうぞ。

【村嶋委員】 私、看護師が幅広いことは大変必要だと思います。在宅看護もできてきましたし、地域で入院予防などをするのは当然でございます。看護師も予防を担わなければいけない。ですから、今の保看統合カリキュラムで教育しているのは、幅広い看護師のレベルだと思います。
 一方で、保健師が今の保看統合カリキュラムで教育できているか、これはできておりません。はっきりそう思います。保健師は、それこそ先ほど生身の赤ちゃんを扱いに行くというふうにおっしゃいましたけれども、1人で家庭訪問をします。それから、虐待予防が今、非常に大きな問題になっておりますし、社会格差の問題、またメンタルヘルスの問題、現代の非常にシビアな中で、保健師にはもっと社会的な問題を扱うことが期待されております。今の保看統合カリキュラムの下、大学では看護師免許も持っていない中で、単身でいろいろなところに乗り込んでいって解決していけるような社会から求められている保健師は育ちません。
 一方で、大学における看護学の人材、看護職の人材養成は、そんなに免許に縛られなくていいじゃないか、自由でいいじゃないかと、先ほど宮﨑委員がおっしゃいました。けれども、保看統合カリキュラムというのは、それこそ免許に縛られているカリキュラムでございます。大学だったら、もっと大学で自由に考えなければいけないと思います。

【中山座長】 そういう意味では、3免許に縛られない、そこのところは選択がいろいろな余地があっていいと。1個の免許でやるところもあれば、2つやるところもあれば、3つがどうかわかりませんが、そういうような形の大学独自性を出せばいいというふうに考えていいでしょうか。

【村嶋委員】 今の保看統合カリキュラムで教育できているのは、幅広い看護師のレベルだと思います。保健師は、保健指導といったときに、目の前の人に対する保健指導だけではなくて、その組織の方向性だとか地域の潜在しているいろいろな問題をちゃんと感知して、その問題をみんなに気づいてもらって改善していくという大きな社会運動の部分も含みますので、今の保看統合カリキュラムではとても教え切れるものではございません。私は、全国保健師教育機関協議会の会長をしておりますが、既にそういうことは保健師の教員の中では非常に問題になっております。平成18年度に総会で決議して、「保健師の教育は1年以上」、「看護師の教育に上回せする。」そして、今みたいな見学型の実習じゃなくて、実習はちゃんと自分が行って、看護技術を使って、そのことの評価をして自分の技術を改善させるのが実習ですので、そういう「体験的な実習を1年間以上かけてきちっと行う」必要があるということを決議して、文部科学省と厚生労働省にそれぞれ要望書を出しております。

【横尾委員】 先ほど保看と言いましたのは、今、私どもの大学でやっておりますのは、ほとんど保健師の部分が読みかえでして、いわゆる今で言う保健師と看護師のものが統合された形の上で助産の教育があるという意味ですので、先ほど言われましたように、そういうふうな素養はぜひ看護教育の中には要るということで、ちょっと説明が足りなくて申しわけございませんでした。

【坂本委員】 わかりました。

【横尾委員】 それで、どちらかというと私は助産師の数の足りなさとか、あるいは助産師教育をしている大学の数とか考えていきますと、これは大学院ですべきだとか学部でするという前に、まずは先ほど小山委員からありましたが、免許を取るためのコアであるとか大学でのより質の高い、あるいは社会にこたえられる人材を養成するために何が必要なのか、そこを考えるのが必要だというふうに思います。

【中山座長】 2の問題ですね、コア。
 看護学の教育を担っている者で今、議論を進めてまいりましたので、ほかの委員の方から質問も含めまして、今、聞いていただきまして何かございませんでしょうか。

【佐藤委員】 ありがとうございます。先ほども申しましたように、私は看護教育の門外漢でございます。専攻は教育社会学です。
 ちょっと素朴な疑問、質問を申し上げるためにバックグラウンドをお話しさせていただきます。恐らく今回、ここに来いというふうにご指名いただいたのは、大学の学長としてという立場と、もう一つ、中教審にかかわりがあるからということだと思います。3期、4期、5期と中教審の大学分科会をさせていただいて、第4期では、学士課程の構築について、この小委員からかかわらせていただきました。第5期、現在は質保証部会に分属しております。こういったことを通して、現場における看護教育、大学における看護教育ということに若干関心を持っております。
 もう一つは、大学設置審議会のほうの仕事を長年させていただいております。こちらのほうで審査会だとか、アフターケアなどで看護の専門委員の先生方との触れ合いが多くて、なかなか厳しい世界だなと思いながら審査やアフターケアをさせていただいています。一方、自分の大学で看護教育、まだ日は浅いんですけれども、看護学部・学科のほかに、ほかのコメディカルでPT、OT、STの3つの学科も同時に運営しております。
 そんな立場から、特に看護の先生や、学生と接すると、どうしてこの人たちこんなに忙しいんだろうなと大変素朴な気持ちでございます。先生方も学生も、時間のゆとりがない、気持ちのゆとりがない。ぎすぎすと言うと大変失礼ですけれども、ならざるを得ないがなという大変素朴に思っております。私は、大学運営の一つのポリシーとして、せっかく大学で人材養成するんだから、なるべく幅の広い教養教育をと。
 もう一つは、私どものように中規模で6つの学部、16の学科を持っておりますと、なるべく自分の専門外の学部・学科の——私ども開放科目と言っていますけれども、たくさんとってほしいと。学部・学科の専門の垣根をなるべく低くして、そういうところが大学のよさじゃなかろうかなと思っている。非常に推奨しておりますが、残念ながら一番参加率が低いのは看護の学生たちです。無理もないなというふうな気もいたします。
 同時に、その先生方あるいはPT、OT、STもそうなんですけれども、学長の仕事の最たるものは、国試は大事だがそれだけではなかろうに、といい続けることです。国試に合格するのは大切です。それは大学運営にも、経営にも直ちにかかわってきます。だけれども、国試のところだけを到達目標にして本当にいいんだろうかと。大学で皆さんの後輩を養成しているんです。そのことをよくよく考えてくださいと、これを繰り返し申し上げるのが私の仕事のようになっております。先生方の意識、したがってその反映としての学生たちの気風、これもどうも忙し過ぎる看護の教育の中から出てきているのかなというふうに思います。
 そこで、素朴な質問です。これほどこの門外漢が気にする多忙さというのは、今お話の、今回のテーマの第1である統合化カリキュラムのせいだけなんでしょうか。これが最たるものだということはいろいろな方から伺っていますし、厳にうちの教員からもそういうのをよく聞きます。ただ、ほかに何か要因がないんだろうかと。看護基礎教育の中にも、もしかしたらそれ自体、もう既に過密であり過重なんじゃなかろうかとか、いや、随分乱暴な質問でごめんなさい。あるいは、それ以外にも何か余裕のない、大学にふさわしい人材養成にいろいろな支障を来しているような原因や要素があるんだろうか。せっかくの検討会ですから、なるべく幅広く議論を広げていただくと、私のような素人でも参加しやすいなと思って、質問方々申し上げた次第です。

【中山座長】 ありがとうございます。すぐ答えるということよりも、それと同じような形で、多分いろいろな委員が疑問を持っていらっしゃると思います。それをちょっと出していただきたいと思いますが、松尾委員、何かありますでしょうか。

【松尾委員】 名古屋大学の病院長をやっております松尾です。私も病院の病院長をやっているんですが、看護教育についてはからきし素人でございまして。ただ、先ほどの議論を聞いていますと、どうしても医師の立場からしか意見が言えないんですけれども、医学というか、ドクターの世界でも、ご存じのように平成16年から臨床研修が必修化されまして、そのときにすべての医師に基本的な臨床能力を身につけさせるということをスローガンにして臨床研修が始まりました。恐らく医学部の教育の中でも、そういったことですべての素養を身につけて、そしてその後卒業してからオン・ザ・ジョブ・トレーニングの中でそれぞれ専門性を獲得していくという流れがありまして、それでうちの看護部長なんかにも聞いていますと、やはりこれから専門看護師というのを養成しないといけないけれども、うちの大学ではまだ非常に少ないですね。そうすると、先ほど話が出ている、普通の看護師さん、それから保健師さんの資格を持っている人、助産師の資格を持っている人。これ以外に、医療の現場では専門的な医療っていっぱいありますから、たまたまこれは国家資格になった保健師さん、助産師さんがいるんですが、今後医療がどんどん変わっていく中では、こういう専門看護師の資格というのができてくるだろう。これが医師の場合には学会がある程度コントロールしているわけです。ところが、看護師さんの世界だと、保健師さん、助産師さんはもう既に国家資格があって、今後、専門資格ができていくときに、これは看護協会がやるのかどこがやるのかわかりませんけれども、そういったところの整合性が今からとれないような感じが将来を見たときにするんですね。それを見据えて、今から議論していただくといいのかなと思います。そうすると、統合教育というのは詳しいことはよくわからないんですけれども、少なくとも看護大学あるいは看護学科にいる学生さんたちに、やはり基本的なことは全部教えると。その後、いろいろな専門性を獲得するためのオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやっていくというのが、基本的なグラウンドデザインとしてはいいのかなという、何となくそう思うんです。これは医師の立場からです。
 それから、大学院ですけれども、大学院は先ほど教育研究のスペシャリストをつくるのか、あるいははたまた専門看護師を育てるのかということがあって、いろいろな大学院があっていいと思うんですけれども、これはごっちゃになると大変不幸な目に遭うと思います。ですから、いろいろな大学院があっていいと思うんですけれども、法学部なんかは法学部の大学院と法科大学院と両方あって、法科大学院の先生は実践的なことはほとんど教えられないようですね。ですから、二重になってもいいのかもしれませんけれども、大学院教育も目的を明確にしてやったほうがいいだろうと。
 それから、もう一つ言わせていただくと、今、現実的な話として、看護大学では基礎看護教育が非常に重要で、それを充実させようという話があって、一方、病院の方からはもっと実践的な教育をしてくれという、先ほどちょっと出ましたけれども、これがあって、うちの大学も大学病院と、それから同じ医学部の中に看護学科があって、必ずしも仲が悪いわけじゃないんですけれども、教育の一貫性というのは本当にとれているのかなという気がするときがあるんです。これは別に仲が悪いというわけじゃないですよ。結構接触もお互いにされているようなんですけれども、どうもぷつんと切れているような気がするので、その辺で一貫性も議論ができてきちんとしていけばいいなというふうに思います。

【西澤委員】 私も看護教育は素人なものですから、今いろいろ聞いてたところですが、皆さん違った論点で話しているなと感じました。
 まず、1つは統合カリキュラムについて、その内容がいいと言う人と悪いと言う人がいる。その内容がいい悪いというときにも、三職種が同時教育している事に対していい悪いの意見と、そうではなく、看護教育だけで見た場合でのいい悪いが、混じり合っているということです。
 もう1つは、大学が増えて、実習先の保健所あるいは病院が不足しているという問題も片方ではあるからどうしようか、これは教育内容とは関係ない問題です。だから、これも整理して議論すべきと。
 もう1つは、看護教育の期間の延長に対する意見も出ている。これもちょっと違う論点です。いろいろな意見が混じり合っているので、もう少しそれぞれ論点を分けて議論しないと、我々看護教育の素人から見たら解りづらいので、よろしくお願いします。

【中山座長】 わかりました。何か座長の役割をとっていただいて、論点整理をしていただきましてありがとうございます。ちょっと今日はばらばらかもしれませんが、そのことも踏まえまして出していただきまして、この検討会、今日終わった後、もう一度論点を整理していきたいと思います。西澤委員、貴重な意見ありがとうございました。ほかに発言していない先生方、どうぞ。

【高田委員】 大体意見が出たかと思うんですけれども、私、医学部長をやっていて、医学部の中に保健学科と医学科と両方あって、保健学科の中に看護の専攻とかOTとかいろいろあるわけなんですけれども、今のお話を伺っていると、看護でどういう人材を育成するのがいいのか、社会のニーズに合った人材を育成していかないと、育成された方にとっても不幸だし、社会としても資源の無駄遣いということになるので、看護師、保健師、助産師、どういうような数がそもそも必要なのか。それから、看護師についても、最近高度な看護というのが非常に求められていて、それに対するカリキュラムというのがつくられていますけれども、そういうものとの整合性ということもきちんとやっていく必要があるんじゃないかと思います。
 あと、いろいろカリキュラム等を変えるのはいいんですけれども、やはりそれを担う人材とかリソース、資金とか、そういうものをきちんと手当てした上で制度を変えていかないと、予期しないところに色々なひずみが出てきてしまう。先ほど研修医の話がありましたけれども、医師の臨床研修というのは理念としては物すごく良いことだと思うんです。確かに研修をやった方も非常に技能は上がっているんですけれども、いろいろなサイドエフェクトのようなものも出てきているので、制度を変えるときはその辺も少し考えながらやっていったほうがいいかなというふうに思いました。
 あとは、大学でどうするかということがこの会で多分中心だと思いますけれども、私どもの医学部で見ていると、今、看護のお話が中心なんですけれども、これから将来を見据えていくと、看護というだけではなくて、医師も、それから色々なコメディカルな方も含めた医療人という形でどう教育していくかということが多分問われていて、その辺の観点というのも少し必要かなという気がしました。

【富野委員】 順天堂大学の富野ですけれども、この統合カリキュラムをやることによってかなり無理が生じているのかどうかということなんですね。文科省の資料によりますと、看護師さんの数と保健師さんの数と助産師さんの数が出ているわけですけれども、看護師さんは随分右肩上がりに増えている。しかしながら、助産師さんと保健師さんのほうは横ばいであるということですね。この2つの職種はまだまだ足りないのかどうか、エビデンスといいますか、データが欲しいですね。そして、4年終わった後、直ちに保健師さんとして、あるいは助産師さんとして働いている数はどのぐらいいるのか。それは、どのぐらい確保しないと今、足りないと言っている周産期医療に対応できないのか、その辺のきちっとしたデータが欲しいと思いました。
 それから、もう一つは、無理が生じていて、それを例えば選択コースとか何かにすることが可能であれば、先ほどどなたかが言っていたぎすぎすしたというか、非常に忙しさというのが大分とれてきて、もう少し一般教養のリベラルアーツに力を入れることができたり、患者さんをみるときの心とかを学ぶことができる。
 もう一つは、ベッドサイド・ラーニング、医学部でやっていますけれども、うちにも医療看護学部があるんですが、その医療看護学部の先生方の教えていることと、病棟あるいは外来の看護師さん、師長さんたちの教えていることにどうも横のつながりが若干ないように感じます。ですから、ここのところはもう少し、病棟の看護師長さんも臨床教授とかそういうポジションを与えて、一緒にベッドサイドで学ぶという医学部並みのことをやる必要があるだろうし、それから医学部の研修医のような制度もいろいろディスカッションされているようですけれども、そういったことも考える必要があるだろうと思います。最近は、ナースによって、採血はもちろんのこと、点滴や注射も静注も可であると、大いにやりなさいという通達も出ている状態ですから、そこのところももうちょっと臨床と即した看護教育というのが求められるのではないだろうかと思います。
 それから、松尾先生が言われたような看護協会がやっている専門看護師、これは次の、卒業して看護師になってからの教育であります。生涯教育という意味で、例えばICUナースだとか、あるいは救急外来、救急対応ナースとか、あるいは我々のやっている透析ナースとか、そういった海外ではもう既にそういうことがどんどん行われているので、そういう面も次のステップとしては考えるべきであると思います。この会のディスカッションは、大学の教育の中でどう考えていくかだと思いますけれども、以上です。

【前野委員】 メディアの立場からといいますか、一般の患者さんたちからすると、看護師さんに対してのニーズが高まっているという先ほど指摘がありまして、まさにそのとおりだと。今後の医療というのは、ナースを中心としたコメディカルの役割が果たすことはより拡大していくことは間違いないと思うんですね。ただ、実際に今のナースにおいては養成課程がいろいろあって、ある意味では粗製乱造的な部分があるのではないか。それを1つ超えるために大学課程での養成というのが出たんでしょうけれども、片方のそれ以外の部分を抜きにした形で話をしていっていいのかなというのが1つ。それはリソースの問題ということが1つあります。
 もう一つは、実際に大学から来られた方たちと、それ以外の専門職の人たちが臨床の現場でどういうふうに役割が違うのか。実際に例えば質的な問題、さらに職場での役割の違いというのはどれほど臨床であるのか知りたい点だと思います。具体的には、例えば看護師さんですと離職率の問題というのが非常に指摘されるんですけれども、それが大学を出られた方とそうでない方とは違うのか。また、職場で大学を出られた方は別のコースにされているのか。それがない形で、養成は別個にされて、臨床現場ではごちゃ混ぜと言ったら失礼かもしれませんが、それがきっちりされていないところだと人的資源の無駄になるのではないか。リソースという部分は国民一般の公的な資金が使われているわけで、そこは踏まえた上での論議をここでもする必要があるのではないかというふうに感じました。

【中山座長】 ありがとうございます。看護学といいますか、看護師の養成も含めて、看護学教育が非常に複雑であるということの問題も多分議論になるところだと思いますが、今回は大学教育ということに焦点を当てたいと思っていますが、前野委員が言われたように、ほかの教育を全く考えないでやるわけにもいきませんので、多少その辺は頭に置きながらも、大学教育に焦点を当てていきたいと思います。秋山委員、ずっと聞いていて、現場のほうから何か提言できますでしょうか。

【秋山委員】 私は、先般、中間取りまとめを行った看護の質と人材確保の検討会の委員のときも同じようなことを申し上げたんですけれども、私自身が4年制の一貫の統合カリキュラムのもとで選択して助産師も取って、最初に助産師というか、産科に配属されまして臨床の技術を磨き、その後看護教育、そして在宅ということで何年もたっていますけれども、最初に受けた統合カリキュラムそのものの公衆衛生的な知識等が今ごろになって役に立っているなという実感がしているものなんです。ですから、それと本当に免許として資格要件として非常に無理やりこの中に入れ込んでいるのと、どう考えるかといったところで、今、社会から求められている看護師に対するニーズは、もっと決められた中以上に多岐にわたり、広く深いものが要求されているとなれば、先ほども挙げられていたように、教養課程の部分というのか、そういうものをきちんと磨いた上で、今まで保健師教育としての要件の公衆衛生的なもの、疫学的なもの、それから行政的なもの、そういう知識は当然のごとく入っているものとしての考え方というのは、非常に賛成するところです。それプラスで、国家資格としてどうするかというあたりは、ちょっと分けて考えないと難しい面があるのではないかなというふうに考えています。

【中山座長】 ありがとうございます。さきに出ましたように、モデルコアのカリキュラムの話ではないんですが、大学としてこれまで3つの免許を持ちながら統合してやってきたカリキュラムのコアみたいなものをどのように担保するのか、免許よりも先にその内容的なことをどういうふうに踏襲していくのかということの問題が1つ残されていると考えていいですかね。最後。

【小山委員】 看護以外の委員から、「何故看護の先生はそんなに忙しそうにしているか」というご質問に対しまして、教育制度の違いについて少し説明させていただきます。医学教育や薬学教育は、免許を取るまでは大学の教育は自由裁量に任されておりますが、看護教育はそれとは違いまして、厚生労働省と文部科学省の合同省令として、国家試験受験資格として何単位と決められた指定規則がございまして、それに則った単位数の授業と実習をやらなければならないというのがございます。それプラス、大学人としての教養と、社会人としての能力をどのように身につけさせるかというカリキュラムをそれぞれの大学で組んでおりますので、それが忙しく見えているのかと思います。そのことにつきまして看護系の大学では、「大学なので指定規則は外してほしい」という動きが過去に何回もあったりしました。今度のカリキュラムが変わることについては、資料の中の9番じゃないですね。

【小山田看護教育専門官】 平成19年、6番です。

【小山委員】 6番です。これは、今度の4月からすべて看護教育のカリキュラムが変わるのですが、そのことについての意見の後のほうに大学のカリキュラムの在り方について多少書いてあるかと思います。
 今回の会議では、どの程度のことを変えようとされているのかにもよりますが、資料4-2にある、モデル・コア・カリキュラムを大学で考える場合は、指定規則を外さないとつくれません。過去に看護系大学協議会が何回も出してきた、いわゆる指定規則を外すということは、今回は文科省ではどのようにお考えなのか、その辺をどのように据えてこの会議を進めていくのかということについて、今日でなくてもいいですが、教えていただければと思います。それによりまして話の内容は全然違ってまいります。いわゆる指定規則を踏まえた上ですと、モデル・コア・カリキュラムも何もつくれないです。合同省令でそのように決まっていますので。大学がこれだけ増えてきた今日、そこまで見直しましょうとしているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

【中山座長】 どうしますか、今答えますか、それとも。野村看護課長はちょっと席を外しているんですけれども、指定規則と文科省のほうのモデル・コアとの兼ね合いの問題だと思いますが、お願いします。

【新木医学教育課長】 座長、お話いただいたように、この指定規則の見直しは、保健師助産師看護師法の厚労省のほうの法律を見直さない限りは、ここのところは抜本的な見直しというのは難しい。そういう意味で、厚労省からも野村看護課長にここにお座りいただいているという状況でございます。これにつきましては、これから議論の中で先生方のご意見を伺いながら、役所として頭から指定規則を外すんだというふうに決めているわけでもございませんで、正直言って、そこのところは先生方のご意見を伺いながら、また法律を所管する厚生労働省とも話をしながら考えていく。そう簡単に、短兵急に結論が出るのはなかなか難しいかなというふうに思っておりますが、今のご指摘も含めて、これからいろいろとご意見をちょうだいできればというふうに思っております。

【中山座長】 今の小山委員の発言は、多分モデル・コアで大学の質の保証をすれば、養成所指定規則を外せることの可能性もあるんじゃないかというふうに考えていいんでしょうか、そういうことでしょうか。

【小山委員】 いえ、そういうことではなく、指定規則は合同省令ですが、それを変えようというぐらいのつもりでここで議論するのか、指定規則を踏まえた上でするのかによって話は全然違ってきますねということです。

【中山座長】 わかりました。その辺のところで、菱沼副座長、そろそろ出番じゃないでしょうか。

【菱沼副座長】 そんなことはございません。私も皆様のご意見を伺っていまして、1つ考えていかなければならないのは、大学では看護学教育をすると。それに伴い、看護師、保健師、助産師という職業訓練もついてくるんですが、その職業訓練をしている場ではないということを考えなければいけないんじゃないかと思います。そうしますと、看護学という学が一体どこまでを領域とするのか。その中のベースラインはどこであり、どこからがスペシャリストというふうに我々が考えるのかということを出していかないと、今の論議が発展しない。保健師か助産師か看護師かという話になってしまいますと、少し論議がずれていく可能性があるなというふうに思っております。確かに保助看法によって私たちの看護教育というのは非常にがんじ絡めで、各大学のどこが違うかといいますと、教養の単位を何単位にしているから総単位数に響いているというぐらいで、内容的な科目の単位、専門に関する科目の単位はどうしようもないんですね。減らすとか増やすということができないくらい、もうどこを見ても同じなんです。確かに扱い方とか授業の工夫は違いますけれども、そういうのが現状でございますし、看護教育が保助看法の指定規則から始まったという歴史的な背景がありまして、看護系の大学の中では講義の1単位を15時間と読まないで、そこを30時間にしてカウントして授業を組み立てているような大学もたくさんあります。したがいまして、同じ128単位といっても、学生が拘束されている時間は物すごく多いというのが現状なんですね。それを減らすにはどうしたらいいかというのを悩んでいるわけです。
 それから、実習単位も非常に多いです。45時間の実習単位を23単位というふうにとっていますから、その間、学生は45時間の実習のその場だけで勉強しているかというと、とんでもなくて、実習のときこそ勉強するという形になりまして、その間、1日が24時間とはカウントしていないね、あなたはというような生活を学生はしてしまうんですね。そういうような現状があるので、学生も忙しい、教員も忙しい。そこへもってきて、研究もする、社会貢献もする、走り回っているのが現状なわけでございます。
 ちょっと話がずれましたけれども、看護学としてどういうふうな教育を私たちは必要とするのかというところをもう一度考え直す。そうなったときには、もしかしたら指定規則とは合わないということをきっちり宣言するならするということをしませんと、3年で教育しているところも同じ看護師、4年で教育しているところも同じ看護師ということになりましたときに、4年で教育することのメリットをしっかり示せない限り、学生が来なくなりますでしょうし、そこの将来的な展望が何もないということになりますので、看護教育は3年のままでいくというふうに伝え聞いておりますので、そことの関係も考えていかないと学生の不利益になるようなことがあってはいけないかなというふうに思っています。

【中山座長】 ありがとうございます。羽生田委員がまだ発言ないですが、何かあったら、これで全員が一言ずつ発言していただくことになりますので、どうぞ。

【羽生田委員】 遅れて来まして申しわけございません。途中からのお話を伺わせていただきました。私はどちらかというと3年課程の養成所の関係というふうな形で参加しているんだろうと思うんですけれども、大学での4年教育でも、養成所での3年教育でも、卒業時にどこまで臨床ができる看護師さんを育てようとしているのか。3年でも4年でもそんなに結果的に変わりはない。私は、大学は看護学という教育以上に、先ほどどなたかがおっしゃったような医療人、あるいは、看護師を育てる看護教育の場に立つべき人たちを養成するというのが非常に大きな仕事だろうと思います。ただ、医師にしても、6年卒業して実践能力が身についている医師は一握りもいないぐらいですから、卒業してからが本当の勝負といいますか、いわゆる臨床家としての教育になっていくわけです。どこまでできれば国家資格を与えますよというものが国家試験だというふうに思っていますから、いわゆる養成所卒の看護師さんと大学卒の看護師さんとどこがどれだけ違うのかというと、合格率は大学のほうが若干高いですよね。それ以上に、その後の自分の考え方といいますか、看護に対する姿勢、それをどう探求していくのかというところで差がついてくる。後でそれをきちっと身につけていくんだという姿勢を育てていくのが大学教育としてはかなりの部分を占めるべきではないかなというふうに思っています。現実に現場で見ている中では、こういう言い方をすると大変失礼かもしれませんけれども、大学を出ていても、看護師さんとしての十分な素養がない人もいるし、准看護師で、人間的に非常に尊敬できるような人もいらっしゃいます。そういったものはどこで教育するのかは、それこそ幼少のころからの話までさかのぼってしまうのかもしれませんけれども、大学での教育は、看護だけでなく、人間教育といいますか、そういったものを十分できるだけの余裕が4年間であるという意味からすると、基本的には保健師も助産師も私は別でもいいのかなということも考えています。ただ、現状からすると、今現在すぐにそういった形がとれるとも思っていません。ですから、行く行くは別にして、さらに保健師、あるいは助産師を目指すことになれば、今の看護協会などがやっていらっしゃる専門看護師的なものと余り差がないというふうにも思います。ですから、医師のほうは今、専門分化から、逆に全体が見える医師という逆戻りをしているわけで、両方の方向がなければいけないし、これは看護師さんにもそういった両方の面があっていいと思います。総合的なところを見る、それが専門だという看護師さんも必要ですし、ある部分に、救急なら救急というところで専門的な看護師さんも必要な場面もあるし、いろいろな場面があるということです。医師もそれぞれの科を選択して、ほかの科まで全部できるスーパードクター的な人は非常に稀で、むしろ難しいという状況です。そういった意味で、大学教育というのは、看護学に限らず、いわゆる人間形成の場であって、そういったゆとりのある教育をしてほしいなというふうに思っています。

【中山座長】 ありがとうございました。今日は私のほうの使命としまして時間内に終わるようにと言われているんですが、ちょっと資料の請求があったものについて確認のほうからしていきたいと思いますが。先ほど、需給見通しの中で看護師、保健師、助産師ということの問題があったんですが、保健師については出している免許に対して需要のほうが少ないと考えていいんですね。今、免許を持っている人の人口のほうが多いから、これは余り需給見通しは重要な問題ではない。

【村嶋委員】 14対1でございます。大学卒業してすぐに保健師になるのは14人に1人でございます。

【中山座長】 だから、14倍ある。ですから、免許を持っている人口のほうが多いということですね。

【村嶋委員】 はい。就職する人は大体600人から800人というのは、ずっとここ変わっておりませんで、養成する母集団のほうがどんどん増えて、もう1万人になっているという時代でございますので。昔は、それが7対1とか8対1だった。12対1になって、今14対1でございます。

【佐藤委員】 それで足りてるわけでしょう。

【村嶋委員】 就職ができない状況です。幾ら免許を取っても。

【中山座長】 なりたくてもできない。

【佐藤委員】 働く場所がない。

【村嶋委員】 はい、そうです。

【宮﨑委員】 そのことに関連して、保健師の就職に関しては、卒後すぐに保健師になる人と、それから統合化したカリキュラムでやっていますと、しばらくナースをしてからライフイベント等のいろいろな関係で、今度保健師として就業するという2つのピークがございます。そこら辺、資料をもっと綿密に積み上げていく必要が実はあるかなと思っているんですが、私どもの30年近く統合カリキュラムでやっていて、23年ぐらいの時点のデータですと、23年間卒業生を横断して今、何をやっているかということで見てみると、ナースとして働いている人と保健師として働いている人が半々でございます。ですから、就業直後は圧倒的にナースとして就職する人が多いですけれども、統合カリキュラムで教育された人のその後のキャリアパスというか、どういう免許でどういうふうに働いていくかというのを追って見ていきますと、保健師の免許を使って働いていく、その次のピークがあって、そういったところも含めて、大学の教育というのは長いキャリアの中での教育として位置づけていく必要があるかなと思っています。

【中山座長】 ということです。助産師のほうはどうですか、今、NICUの問題も出ていましたが。

【平澤委員】 まだまだ絶対数が足りなくて、助産師の必要数をどのように積算するかということも難しくて、いろいろな検討資料を示している方もおります。しかし、先ほどエビデンスの問題が出ましたが、現時点での検討資料の裏づけがまだ十分じゃないなと思うところがあります。絶対数はまだ足りておりません。

【中山座長】 これは出せますか、エビデンスの資料が助産師のほうはありますか。

【坂本委員】 資料は出していただくとよろしいかと思いますけれども、読みかえをしているデータというのはあるんでしょうか。今、私は佐藤委員が言われたことは大学の教育の中で大変重要で、私どもの大学も3学科やって共同実践をやろうと。1つの疾患に対して、患者さんに対してみんなで見ていこうということをやるんだけれども、看護が時間がなくてどうも参加できないんです。それで看護の視点だけでいろいろな世の中を見ていても、もうどうしようもない。とにかくもっと広く見ていく教養、及びそれからほかの人の職業の内容も知るべきというふうに思うと、時間的ゆとりがないというのが物すごく感じているところです。私も病院にずっと仕事をしていまして、そして今、大学の教員になっているんですけれども、そこから見ると、私が受けた4年の看護師と保健師と助産師の教育と、それから今、大学になった教育とどこが違うのかというのを見ると、同じように忙しい。そうなると、どのようにゆとりを持たせて考える力をつけるかというところに、看護系に対しても私は同じことをずっとしているなという気がするんですね。だから、そこを菱沼先生がおっしゃったように、大学の看護学、それからこれから教員としてやっていくところ、それから羽生田先生がおっしゃったようにリーダーをとっていくような人を教育する姿勢、そこに関しては深く考えられないと、とてもじゃないけれども、ただ教育しているだけの感じになってくるというふうに思います。実感として思っていることですね。だから、読みかえをして、何とかしてそれを仮に指定規則に合わせていっているのかどうかというところの実態をぜひデータで、もしあるならば出していただきたいなというふうに思います。

【中山座長】 というのは、小山田専門官、読みかえというのは、設置時のマトリックスの話のことですか。

【坂本委員】 看護学校だったらこれというふうに決まっているけれども、大学は違う教科を持ってきて、それに読みかえているというのがありますよね。そういうもののデータはあるんですか。

【小山田看護教育専門官】 今、手元にはございませんけれども、ちょっと整理をして次回までに。

【中山座長】 多分大学によってその読みかえ方は違っているんじゃないかと思いますが。どこの大学も幾つかのことは読みかえてというか、重ねた形での認可になるんだと思いますが、その辺のところの幾つかモデルでもいいから実態がわかりたいということですね。

【坂本委員】 はい。

【中山座長】 わかりました。需給見通しのことはそれで、助産のことはどうも不足ということの問題を少し資料が出せるかどうかということがあるかと思いますが。先ほど前野委員から出た、3年制の看護学校を終えた看護師さんと4年制の大卒の看護師との働き方の違いは多分ないかもしれませんが、給料とかいろいろなことで差をつけているという例はかなりあるんでしょうか。そのデータはどこかでつかんでいますでしょうか。多くは私の知る限りでは、1号俸給料を上げて就職するとかいうのはあると思うんですが、給与体系、その他。

【新木医学教育課長】 厚労省のデータ、それから看護協会のデータ等、少し我々も当たって整理してお出しできるものはお出ししたいと思います。

【中山座長】 わかりました。あと、なぜ忙しいかということは、まだこれからも議論が続くかと思う。1つだけ、これまでの議論の中で違う検討会で出てきているのは、設置のときの条件として、学生に対する看護教員の数の問題がずっとこれまでも言われてきて、医学教育、ほかの教育に比べると、看護学教育の場合、最低12ですか、400人ぐらいの規模ですとたしか12になっていると思いますが、そのことが、これだけ実習単位を持ちながらその教員数で、実際にはそんな数で設置認可されているわけではないんですが、とてもやれる数じゃないので、見直しをということは、ずっと幾つかの検討会で出てきたと思うんですが、その問題が忙しさの要件の中に1個ありますね。村嶋委員がうなずいていますけれども、そのことがたしか出ていましたね。

【村嶋委員】 看護教員は、基準を増やすということを是非やっていただきたいと思います。先ほど松尾委員も、医学教育はもちろんですが、薬学等にはかなりお金が投入されているということをおっしゃっていましたが。

【松尾委員】 先ほどの議論を聞いていますと、特に医学教育なんかは、まだ我々足りないと思っていますが、それでもほかの分野と比べたらお金は投与されていると思いますけれども、恐らく看護の分野は、まだ完璧な教育をするための投資は余り十分されていないような気もするんです。その投資された分、医学部のほうから削られると大変問題なんですけれども、そうじゃないように祈りますけれども。

【中山座長】 わかりました。その辺の問題も。

【羽生田委員】 先ほど松尾委員が言われた看護の教授陣が臨床と離れていることは、私もいろいろな委員会でいつも言っていたんですけれども、今の話に出てきたように教育スタッフの数が違うということで、臨床現場まで行っている時間がない。医学部の場合には、教授も准教授も講師も、皆さん患者さんを見ながら学生の講義をして、常に臨床と一緒でやっているというのがあるのですが、看護はいかにも離れ過ぎじゃないかというのをずっと私、言い続けたのですが、実はそういう意味で数が全然違うんだということをこの前、はっきりと示されまして、確かに数的にはそこまで入れないのかなということは理解できました。
 もう一つお聞きしたいんですけれども、いろいろな関係の医療関係職種でほとんどは指定規則があるんですが、医学部にはないのでしょうか。

【新木医学教育課長】 医学部、歯学部、薬学部は、おのおの正規の課程を修了した者ということで、指定規則というのはこの3つに関しては医療系の中ではありません。そのほかのところは、いろいろな歴史的な経緯、それから現状でいろいろな養成施設の種類があるということだとは思いますが、指定規則で指定を受けているという違いがあります。

【中山座長】 菱沼委員が言いたいそうですので、どうぞ。

【菱沼副座長】 今、課長のほうからご説明がありましたように、看護教育は既に指定規則があるんですよね。ですから、その指定規則をそのままにしてコアカリキュラムを考えること自体が無理がある。医学はコアカリキュラムを考える余裕というか、その采配権があるわけですけれども、看護の場合には今、それはないんですよね。ないのに、それをやろうというのはちょっと無理があるなというのが率直な感想です。

【中山座長】 という問題と、それから医学、薬学、ほとんどが教育がそんな複雑じゃないですよね。全部大学教育の中で一本化されているんですが、これが厚生労働省と文部科学省と所管の違う学校が入り組んでいるという問題、この辺が多分看護学教育の複雑さを生んでいるんだと思いますが。皆さん、発言したいので手短にお願いします。それで終わりたいと思います。

【羽生田委員】 指定規則があってもなくてもいいんですけれども、指定規則がないところほど国家試験の試験要綱に沿って講義している。そちらが主になっているという気がします。むしろ指定規則が決まっていたほうがいろいろな面を学んでいるように思います。感覚的に物を申して申しわけありません。

【高田委員】 ちょっと整理というか、私の理解が悪いのかもしれないんですけれども、3年制のところで教育しているのは、今の指定規則で言うと、看護師の指定規則に従った教育をしている。そして4年制の大学では看護師と、それから保健師と両方が取れるような指定規則に従って教育をやっていると、そういう理解でよろしいんですか。合格者の数を見ると、保健師で合格している方の数と、大学卒の方がほとんど同じになっています。保健師で合格された方の数と大卒の方の保健師の方がほとんど1万人で同じなので、そうすると3年制の方からは保健師にはほとんどなっていらっしゃらないというか、なれないという理解でよろしいんでしょうか。

【中山座長】 小山田さんのほうから説明何かありますか。

【小山田看護教育専門官】 大学の場合は、保健師と看護師を養成したければ、看護師の指定規則と保健師の指定規則というものが別々にございまして、それを両方満たせるような教育内容を整えて教育を行うという必要がありまして、両方あわせて統合化したカリキュラムに対する指定規則というのはございません。なので、その2つの指定規則を1つにあわせるやり方は大学それぞれに任されているというところがございます。
 保健師については、現行でも3年の看護学校を卒業した後、1年の保健師学校に進学して免許を取る道もございますので、全体でいえば9割方、大学卒業生になっておりますが、専門学校の卒業生も保健師になる道がございます。

【中山座長】 という形になっておりますので。次の検討会が決まっていますので、それまでにこの資料がないと検討できないということで、資料をつくってほしいというのがほかにございますでしょうか。

【小山委員】 保健師教育の場合は、卒業後、すぐに1人で(家庭訪問に)行くというのですが、今の社会で大学を卒業して、特に職業として免許を持つ仕事で即戦力が求められるのはどの職業でも少ないと思うのです。それで、保健師の継続教育システムについて資料があればと思います。新人からどのように育てていこうというプログラムがあるかどうか。看護師については、いろいろなところで検討されてきておりますが、保健師の継続教育は、大事ではないかなと思いますので、ぜひ教えていただければと思います。

【中山座長】 村嶋委員、宮﨑委員、もしあれば。専門官のほうももしあれば探していただきたいと思いますが、あるかどうか。

【坂本委員】 データをお願いしたいのは、これは厚生労働省だと思うんですけれども、看護基礎教育の充実に関する検討会報告書のときに、保健師と助産師と分かれて、どれだけの単位数が必要かあるべき姿というのを話し合ったことがあると思うんですが、助産師と保健師のあるべき望ましい単位数というのを、もしよろしかったら資料として出していただければと思います。

【中山座長】 それは、前のときの資料でいいということでいいですね。それを厚生労働省からもらうということで。

【坂本委員】 はい。

【中山座長】 ほかに何か欲しいものがございますか。どうぞ。

【佐藤委員】 にわか勉強で、看護師協会がおまとめになったのか、それとも看護系大学協議会がおまとめになったのか、大学卒の看護師も、なりたてのときには、皆さんが要求している100とか200とかいう看護の項目の中でわずか3つか4つきりできないと。ところが、経年で何年かたってくると大学卒の看護師は幾つかの面で評価されていると。例えばコミュニケーション力だとか分析力、判断力、リーダーシップ。これが大学の教育で大事だよ、成果であるというデータは拝見したんですけれども、ほかの学校種の卒業生と比べたようなデータがあればぜひ拝見したいと思います。

【中山座長】 ちょっと難しいかもしれませんが、要するに看護系じゃない人たちとの比較、集団……。

【佐藤委員】 いえ、養成所から。

【中山座長】 わかりました。大卒の看護師と養成所卒の看護師との比較ですね。

【佐藤委員】 大卒が経年後、こういう力を発揮するよというのは、大学教育の本質、そのとおりだろうと思うんですね。でも、それを主張できるだけの養成所との有意差があるのかどうか、もしあればでいいですけれども。

【中山座長】 ないかもしれませんね。ちょっとそれは。

【宮﨑委員】 今のご発言と関連するんですけれども、やはり社会的な投資という点で、大卒の看護職が免許を、初めナースであっても、その後に保健師、いずれにしても生涯働き続けているかどうかというあたりの、どれぐらいの割合でというのが養成所別などでありましたらいいなというふうに思うんですが、ちょっと難しいですかね。

【中山座長】 各大学がやっているかということにかかってくると思いますが。多分全体でという数は難しいかなと思います。ほかに。
 今日はたくさん難しい注文がついておりますけれども、どこまでそろえられるかわかりませんが、そういった視点でデータがもしどうしても必要ならば今後つくっていくということも含めて、考えていかなければいけないかと思いますが、大体よろしいでしょうか。予定の時間になっていますが、どうしても発言しないと、今日帰れないという方がいましたら一つ二つ受け付けますが、大丈夫ですか。わかりました。
 それでは、今日はここまでとしまして、次回は関係者からのヒアリングを少し実施する予定をしています。それに基づいて意見交換を行っていくという形にしていますが、どんなヒアリングのテーマとか発表者にするかということにつきましては、事務局のほうと相談しまして、副座長とも相談しまして決めていきたいというふうに思っていますが、このことについては座長と副座長と事務局のほうに任せていただいてよろしいでしょうか。今日の議論も踏まえまして、少し皆さんの疑問に答えられるような形でヒアリングのほうも組んでいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山座長】 それでは、私のほうはこれで閉じまして、事務局のほうから連絡事項等、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】 次回は、もうご案内はいたしておりますけれども、4月20日月曜日14時30分より、この近辺にある一ツ橋の学術総合センターで開催を予定しております。お忙しいところ恐縮ですけれども、ご参加のほどよろしくお願いいたします。
 また、次回につきましては、座長からもご説明いただきましたように、初めに関係者の方からのご説明の後、本日ご欠席しておられる委員もいらっしゃいますので、本日いただいた意見やデータを含めて、引き続き皆様で意見交換を行っていただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。

【中山座長】 ほかに何か連絡、その他、先生方のほうでございますか。なければ、それではこれで終わってよろしいでしょうか。今日は、本当に忌憚のないご意見を聞かせていただきましてありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。

 

お問合せ先

高等教育局医学教育課看護教育係

小山田看護教育専門官

看護教育係 中村 先立 鎌倉
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2906)、03-6734-2508(直通)

(高等教育局医学教育課看護教育係)