学校法人会計基準の在り方に関する検討会(令和5年度)(第5回) 議事録

1.日時

令和5年9月26日(火曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館東館(文部科学省)14階 高等教育局会議室
※オンライン会議とハイブリッド形式

3.議題

  1. 前回までの継続協議事項について(セグメント情報の在り方、附属明細書)
  2. 財産目録の内容について
  3. 会計基準の特例について
  4. その他

4.出席者

委員

稲垣委員、内野委員、奥村委員、黒川委員、嵯峨委員、佐野委員、志賀委員、徳田委員、南部委員、前鼻委員、持丸委員

文部科学省

村上参事官、篠原私学経営支援企画室長、畑参事官補佐、今井専門職

オブザーバー

小林日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター長、寺澤愛知県県民文化局県民生活部学事振興課私学振興室長補佐(代理出席)

5.議事録

【黒川座長】  先生方,お疲れさまです。
 それでは,開会に当たりまして,配付資料の確認,それから,会議運営上の留意点について,畑補佐よりお願いいたします。
【畑参事官補佐】  開会前ですけれども,配付資料の確認と,会議運営上の留意点について御案内いたします。今回も,対面とオンラインのハイブリッド型で会議を行います。
 配付資料の確認ですけれども,本日の資料と参考資料は事前に送付させていただいております。対面で御出席の先生方には,印刷したものを机上にセットしております。議事次第に記載のとおり,資料1から5でございます。参考資料を机上のiPadに格納しております。資料が足りないなど不備がございましたら事務局にお伝えください。
 会議運営上の留意点ですが,対面で御出席されている方への留意点として,発言の際は挙手をお願いします。御発言はオンラインで参加されている方のために,中央にあるスピーカーで音声を拾っております。ハウリング防止のために,iPadの音声のミュートは解除しないようお願いいたします。オンラインで出席されている方への留意点です。御発言の際は,画面下にある挙手ボタンを押してください。座長が指名しましたら,ミュートを解除して御発言ください。こちらもハウリング防止のために,発言時以外には音声のミュートは解除しないようお願いします。なお,対面,オンラインに関わらず,御発言の際は気持ちゆっくりめで発言いただけると聞き取りやすくなりますので,御協力をお願いします。
 本日は,志賀委員,西岡委員,前鼻委員,それから,オブザーバーの私学事業団の小林センター長がオンラインで出席です。また,藤井オブザーバーの代理として,寺澤室長補佐が出席しております。
 本日は前回までの積み残しを取り上げる議題が多く,終了予定時刻が16時を超えて延長となる可能性がございます。次の御予定がある委員におきましては,途中で退室いただいて差し支えございません。途中退席のため発言できなかった議案に関しては,意見がある場合は,後日事務局に御連絡お願いいたします。
 最後に,本日の会議は非公開ですが,会議資料と議事録につきましては,委員の皆様方に確認の上,後日,文部科学省のウェブサイトで公開する予定でございます。
 私からは以上でございます。
【黒川座長】  それでは,これより令和5年度第5回学校法人会計基準の在り方に関する検討会を開催いたします。本日はお忙しい中,本検討会に御出席いただき,誠にありがとうございます。
 最初に,今後の会議スケジュールについて,事務局から案内がありますので,説明をお願いいたします。
【篠原私学経営支援企画室長】  篠原より説明させていただきます。資料1を御覧ください。
 学校法人会計基準の在り方に関する検討会,6月8日から第1回が始まりまして,本日が9月26日,第5回ということになります。一度お示ししていたスケジュールから変わっておりまして,本日は,前回までの継続協議事項についてということで2点。1つ目は,セグメント情報の在り方,第2回,第3回で議論したものを再度させていただきます。附属明細書については,第3回,第4回で御議論いただいたものについて再度提案させていただくということです。今回,もう一つの議題が財産目録の内容について,もう一つの議題が会計基準の特例についてということでやらせていただきます。
 お時間は2時から4時としておりますけれども,延長の可能性があるということについて御承知いただければ幸いです。
 この後ですけれども,来月10月20日の第6回で,私学法監査の範囲について,私学助成法に基づく書類提出・監査の範囲についてを御議論いただいた後,全体のまとめというところも骨子をお見せできればというふうに思っております。
 11月21日,第7回,全体のまとめ2としております。こちらでおおよそまとまれば,検討会,こちらで終了と。ただ,ここで議論がまとまらなかった場合に備えて11月30日,第8回,こちら予備日として設けさせていただいております。こちらまで御協力いただく可能性ございます。よろしくお願いいたします。
 説明は以上です。
【黒川座長】  篠原室長,御説明ありがとうございました。
 本日の議事は,「(1)前回までの継続協議事項について(セグメント情報の在り方,附属明細書)」,それから2番目に,「財産目録の内容について」,それから3番目,「会計基準の特例について」,そして4番目,「その他」の事項があればそれをするということになっております。
 議事に入る前に,全日本私立幼稚園連合会と全国専修学校各種学校総連合会の連名で御意見をいただいておりますので,内野委員,前鼻委員から御説明いただければと思います。では,よろしくお願いいたします。
【篠原私学経営支援企画室長】  参考資料の1で,いただいた御意見を入れさせていただいております。
【内野委員】  では,全日本私立幼稚園連合会の内野から御説明をさせていただきます。
 参考資料1,35ページのところに出させていただきましたけれども,方向性としては記させていただきましたように,今回,小規模法人が多くを占めている私たちの幼稚園の団体,そして専修学校・各種学校においては,できれば規模に応じた配慮が踏襲させていただければありがたいと思っているところでございます。
 それから,情報開示については,厳格性よりも必要性に重きを置いた検討がいただきたいと。必要性に重きを置いたというのは,法人の健全性や継続性を一定程度判断するための必要最低限の項目は何かというところでお進めいただけるとありがたいと思っております。そして,全ての法人を一緒に扱う,一律に扱うということではなく,規模に配慮した議論をいただきたいというところでございます。
 個別のことにつきましては,36ページにございますけれども,1つには各論1で書かせていただいております,セグメント情報についての開示は,都道府県知事所轄法人の学校種については一括したセグメントとしていただきたいということ。そして,各論2のほう,前回の会議の検討事項の中でございますけれども,まず1番目に記してございます,記載基準の3,000万を外すということについては特に異論はないのですが,そうしますと,大規模法人にとっては3,000万ということが外れることによって,ある意味緩和された印象を受けておりますが,小規模法人につきましては,今までどおりの1%というところでいうと,例えば大規模法人が持っていらっしゃる幼稚園,大規模法人が持っていらっしゃる専修・各種学校というところについて,同じ額の変更があっても,片方では記載の対象にならない,片方は記載の対象になるというところについては,私どものステークホルダーである地域の保護者であるとかからしてみると,ある法人では非常に小さな額から記載されていて,ある法人では小さな額が記載されてないというところになりますといささか不条理さを感じるところでありますので,例えば,いっそのこと全ての開示について,今,100分の1となっているところ,企業会計基準にある100分の10とは申し上げませんけれども,もう少し100分の2,2%というようなところに下限を持っていけないのかなというところです。それによって,大規模法人はさらに緩和されるということもあるかもしれませんが,全ての学校法人を同じ基準でということであれば,小さな資産規模の法人についても,そういった御配慮いただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
 そして,2つ目の附属明細書の借入金につきましては,必要最低限の項目にとどめていただきたいと。これは議論で恐らく御理解いただいていると思いますけれども,必要最低限の項目にとどめていただくということをお願いしたいと思います。期首残高,期末残高両方ではなく,私どもとしては期末残高だけでよろしいのではないかというふうに思っているところでございます。
 それから,この間も少し話が出ましたけれども,子法人につきまして,開示対象になる法人の範囲というのが明確になっていないというふうに思っています。支配が及ぶというところの定義が非常に分かりにくい,抽象的であるというふうに思っておりますので,ここにつきましては,別の定義が定まるまでの間,現行どおり出資の割合が2分の1以上であるというところを踏襲していただければというふうに思っております。
 次の注記要否についても同様でございます。現行どおりが適当ではないかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【黒川座長】  内野委員,ありがとうございました。
 それでは,オンラインで参加の前鼻委員,何か補足説明がございますでしょうか。
【前鼻委員】  ありがとうございます。私どものこの主張につきましては,総論の丸2つ目にありますように,情報開示より,厳格性よりも必要性に重きを置いた検討という観点で通底した考え方で考えていきたいということです。子法人等のことに関しましても,まだいろいろと不透明な部分もございますし,もう少し私は議論が必要だと思いますので,今回のある意味,私学助成法から私立学校法の改正における文言整理を中心とした部分で,今までどおり大きく必要性が変わるものに関しては,次回があるかどうか分かりませんけど,次回の検討会の中において徹底した議論を経て変更すべきではないかと。それまでの間は,今の段階で,現行どおりというところが適当だというふうな判断をしたところであります。
 また,結局幼稚園法人,それから専修学校法人,学校数,法人数も非常に多いわけですので,所轄官庁において,所轄都道府県においてきちっとそれらを精査しながら監督する手間というんでしょうか,非常に煩雑さを生むことによって見るべきものが見れなくなってしまうおそれがあるんじゃないかというふうに私どもは危惧しております。そういう意味では,必要最低限にとどめておくということでの,今回,意見書を出させていただきました。
 以上です。
【黒川座長】  前鼻委員,ありがとうございました。
 それでは,議事の1つ目,前回までの継続協議事項についてであります。まず,セグメント情報の在り方について,事務局より説明をお願いします。篠原室長,よろしくお願いします。
【篠原私学経営支援企画室長】  説明させていただきます。資料4点ございます。資料2-1-1,1-1-2,資料2-2,資料2-3,こちら4種類で説明をいたします。
 まず,資料2-1-1と資料2-1-2というのは,学校法人の財務情報の開示に関する基本的な考え方,こちらは以前お示ししたものを修正したものです。見え消し版と溶け込み版という違いになります。説明は主に見え消し版を用いて,資料2-1-2のほうを用いて説明をさせていただきますけれども,きれいなものを御覧になりたい場合は溶け込み版でお願いいたします。
 こちら,赤字の部分が主な変更部分になりますけれども,まずタイトルです。「学校法人の財務報告に関する基本的な考え方」というふうにさせていただいたんですけれども,実は財務報告という言葉がここの資料にぽんと出てきてはいるんですけれども,基本的には学校法人の財務情報の開示に関する基本的な考え方について整理をし,会計基準として落としていくというプロセスになりますので,タイトルのほうをこれまで我々がなじみのある文言に直しましたというのが1点です。1ページの変更はそれのみです。
 1ポツでは制度の設計理念・組織目的を書いてございまして,2ポツでは制度創設時から環境の変化がありましたねというところを書かせていただいています。
 めくっていただいて2ページ目ですけれども,3まで,これまでいろいろな変化がございましたというところは,資料変更ないんですけれども,その次に3ポツとして改めて,今回の改正私学法について,変わりましたというところを書かせていただいています。これを追加させていただいた理由というのは,今回の検討会を始めた前提なので,皆様よくよく御存じだろうというふうには思っていたんですけれども,やはりまとめていく上で外せない部分なので,しっかり書かせていただいたということになります。私学法改正に伴う会計基準の位置づけの変化,ここで書かせていただいているのは,まず最初は,現行の私立学校法です。こちらでも財産目録,貸借対照表,収支計算書等の備置き,閲覧・公表についての規定はございます。全ての学校法人が在学者その他の利害関係人からの請求に応じてこれらを閲覧させるということは義務づけられていますし,大臣所轄学校法人に対してはインターネットによる公表を求めています。こちらは学校法人の高い公共性から,情報公開をしていくと。在学生や保護者をはじめとする利害関係人や,社会一般に対して情報公開をしていこうというところで,透明性を高めて適切な管理運営を期するという趣旨で定めています。ただし,現行の貸借対照表や収支計算書は,私学助成法を根拠とした学校法人会計基準に基づいて作成されているので,やはり補助金交付の観点からの表示区分であるということが前提になっています。
 今般,学校法人を取り巻く環境の変化を踏まえ,我が国の公教育を支える私立学校が,社会の信頼を得て一層発展していくため,社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進するために私学法の改正を行いました。
 その次の段落では,改正私学法において,学校法人会計基準に基づいて会計処理を行っていくということが明記されました。現在の学校法人会計基準は,私学振興助成法に基づく補助金の適正配分を主な目的とした基準から,私学法に基づくステークホルダーへの情報開示を主な目的とする基準として,全ての学校法人を対象に会計基準をつくるということになりました。また,書類の備置き,閲覧請求権及び公表についても規定されています。
 こちらは特に社会的影響の大きさや,高等教育機関であることなどを考慮して,大臣所轄法人等は何人も閲覧請求ができると。インターネットによる公表についても,義務として定められています。その他の学校法人は,利害関係人及び債権者に閲覧請求権があって,公表については努力義務とされているといったような違いがございます。
 それを表にしたのが,3ページの下にある表になります。左側が大臣所轄学校法人等,備置きも閲覧も公表も全部丸と。閲覧も※2とついていますけれども,こちら「何人も」というのが主語になります。その他の学校法人は,事務所に備え置くというのは丸なんですけれども,閲覧は利害関係人と債権者が念頭に置かれているということで三角,公表に関しては努力義務というような法律の立てつけになっております。
 その次のページ,4ポツですけれども,改正私学法が想定するステークホルダーとはどの辺りだろうかというところを改めて整理をさせていただきました。こちらはこれまでの利害関係人について,改めて記載をしているのが最初の段落です。こちらは学校法人との間で法律上の権利義務関係を前提として,学生生徒やその保護者,職員,当該学校法人に対する債権者というのが想定されていました。一方で,学校法人制度の理念や目的,教育研究・社会連携活動などが複雑化する現状等を考慮すれば,改正私学法が想定する学校法人のステークホルダーは,従来の利害関係人の範囲にとどまらず,寄附者や産業界,その範囲は広範にわたるというふうに考えるべきだと思います。
 下のほうに改正私学法が想定するステークホルダーの例ということで書かせていただいています。太字になっているのが,従来の利害関係人とされていた部分です。こちらは学生・保護者等で,卒業生,入学予定者としています。教職員の後ろにある運営者等というのを落としているんですけれども,運営者に関しては,情報開示を主としてやる側なので,その方のリスクを,ステークホルダーになるという立場とは両立しないということで,今落としています。
 次は資源提供者です。めくっていただいて,債権者,寄附者,産業界。学生・保護者,卒業生は,主要な資源提供者というような御意見もいただいていますので,そういった方々は2面性あるということで,資源提供者という見解もあるというふうに書き加えています。その他は,監督者・補助金交付者・評価機関,所轄庁等ということで記載をしています。地方公共団体,地域住民,納税者等というのは,すごく広げるとステークホルダーというところには入るんですけれども,ちょっと広くなり過ぎるということで,ひとまず例示からは落としています。ただ,ここまで含めて学校法人としてステークホルダーを捉えていくという前向きな部分について,否定するものではございません。
 5ポツです。こちらは情報開示の目的と機能ということで整理をさせていただいています。この赤字で入っている,日本公認会計士協会の非営利組織における財務報告の検討に関しての文書の引用というのは,引き続きこちらに記載させていただいております。どのような目的で,誰のための会計にするのかとか,どのような情報を提供すべきかというようなところを考えた会計基準が不可欠であるとか,ニーズにもいろいろあって,専門的ニーズとか一般の情報利用者ニーズというのをどう実現していくかというところは,非営利組織の会計を考える上で重要な視点であるというところは,学校法人の会計基準に関しても共通であると思います。
 その次ですけれども,じゃあ学校法人に特化して考えるとどうかというところがその次に続くんですけれども,学校法人に関する財務情報の利用目的に関しては,利害関係人である学生・保護者等は,特に学校法人が継続的に教育研究・社会連携活動を行うことができるかと。学校法人が保有する資産を効果的かつ効率的に活用し,質の高い教育研究・社会連携活動を行っているかといった点に関心があるだろうと。
 「また」で続けておりますのは資源提供者の観点ですけれども,債権の回収可能性や経営状態の健全性,資源の提供目的に沿った活動がされていて,価値創造が行われているかといった点に関心があるだろうと。所管官庁にとっては,教育研究・社会連携活動も持続可能性といったところを把握するための基本的な情報として必要だろうというふうに書かせていただいています。
 めくっていただいて最後ですけれども,「そして」というところで書かせていただいていますのが,私立学校が我が国の教育制度の一端を担っている公の性質を有する学校であるという側面,こちらも非常に大きい側面だと考えております。私立学校が社会の信頼を得て,今後も持続可能な発展を遂げるため,社会の要請に応えつつ,法人自らが主体性を持って実効性あるガバナンス改革を推進し,透明性を確保することにより,私立学校の公共性をさらに高めることが期待されていると,改正私学法にはそのような趣旨が反映されています。
 これらのことを踏まえて,学校法人の財務情報の開示は,上記のステークホルダーの中でも,特に在学者その他の利害関係人の情報のニーズを満たすほか,資源提供者などの意思決定に資する情報提供,そして,開示を通じて学校法人が社会の説明責任を果たす機能を有するものと考えられます。
 また,最後ですけれども,学校法人が適正な財務情報を開示することで,基本的な財務規律の構築にも資するものというふうに考えてはいかがかということで文章をまとめてございます。一番最後は,関係条文を載せていると。このような基本的な考え方を用意させていただいています。
 続けて,もう2つ資料を説明させていただきます。これらを踏まえてですけれども,セグメント情報をどのように設定するかということについて御検討いただきたいということで,資料2-2と資料2-3です。資料2-3は,資料2-2を図にしたらこうなるというような関係性になります。
 資料2-2を説明いたします。1ポツが概要と視点ということですけれども,1つ目の丸は先ほどの文章にも出てきたとおり,改正私学法によって学校法人会計基準が位置づけられたことによって,利害関係人及び債権者等に対して計算書類を開示するとなっています。会計監査人設置の学校法人については,何人に対しても計算書類を開示するという前提がございます。
 2つ目の丸,こちらが改めての前提になりますけれども,セグメント情報の開示について,法律の条文があるわけではございませんが,大学設置・学校法人審議会に置いた学校法人制度改革特別委員会による「学校法人制度改革の具体的方策について」において,計算書類においてはセグメント別の情報,括弧書きでは(学校,附属施設等の部門)と書かれていますけれども,それらの情報を表示していく方向で検討すべきであるという方向性をいただいております。こちらを踏まえての,セグメント情報の検討という位置づけになります。
 これに関して,考慮すべき点として2つ書いています。1つ目は,この点,セグメント情報に類するものとして,現行の学校法人会計基準に基づいて作成される収支計算書の内訳表をベースに考えてはどうかということと,一番最後の丸です。これらの内訳表について,実はもう20%の学校法人においてはウェブページで開示していただいているという状況にあるというところです。
 本日御審議いただきたい論点が(2)で出てくるんですけれども,その前の前提として,黒丸5つ書かせていただいています。1つ目,計算書類の開示の対象者ですけれども,これまでの利害関係人に加えて,相当程度広い範囲がステークホルダーとして想定されます。
 2つ目,学校法人の自主的な判断で,科目やセグメントを追加したり,より細かいものを入れるといったことにより,より詳細な情報開示をするということは認めていきますということです。これに関しては,第3回の資料の中でも同趣旨の部分を書かせていただいています。学校法人の財務報告の趣旨に鑑みて,各法人がそれぞれ適切と考えるセグメント区分を設定して,積極的に開示することが望まれるというふうに書かせていただいている部分の繰り返しになります。
 3つ目の黒丸,大学,短期大学,高等専門学校は,高等教育機関として長期的かつ安定的な運営が特に求められるということ,学生を全国的に募集しているといったことから,ステークホルダーは特に広範にわたるというふうに考えております。
 4つ目,それ以外の学校等である高等学校,中学校,小学校,幼稚園,専修学校,各種学校は,中高一貫校の形態とか,地域性の観点から,学校ごとに区分することが困難なケースも少なからず想定されます。
 最後,病院です。附属施設は病院のほかにも研究所とかありますけれども,その中でも財務規模が大きく,特に診療行為を含み,ステークホルダーの範囲に特徴があるというような附属施設になります。このような前提がある中でのセグメント情報として,どのような開示の仕方にするかという論点を2つ説明させていただきます。
 論点の1ですけれども,まず,開示の科目として,どのような項目を設定するかというところです。こちらは資料2-3を御覧いただいたほうが早いかと思うんですけれども,こちらの科目という表の左側の縦の行になります。教育活動収支と教育活動支出の計,教育活動収支差額,教育活動外収支差額,経常収支差額,特別収支差額,基本金組入前当年度収支差額,基本金組入額合計,当年度収支差額ということで,明細表にある項目を全てではなくて,そこから抜粋して持ってきてはどうかという提案になります。こちらが論点1の案1です。案の2というのは,案1の科目に加えて,学校法人会計基準別表第二に規定する大科目を全て開示するというところです。
 それぞれの案のメリットについては,黒ポチで書かせていただいています。案2のほうは,より詳細な科目ごとの財務情報が分かって詳細に分析できますよねということ。案1のほうは,長期的かつ安定的な運営状況を表す項目として,短期的な収支均衡と長期的な収支均衡を表す収支差額があればいいだろうと。その間は全て出さなくてもいいんじゃないか,そのような案になっています。
 論点2ですけれども,こちらはセグメント単位をどのように設定するかというものになります。こちらも資料2-3を御覧いただくほうが早いと思うので,こちらを画面投影しながら説明をいたします。
 まず案の1というのは,学校ごとにセグメントを立てるということです。ここの学校というのは大学,短期大学,高等専門学校ですけれども,これらの学校ごとにセグメントを立てるということを必須としたいと。そのメリットというのは,学校ごとの財務状況が分かると。ステークホルダーにとって,学校ごとの運営状況が見えるというところが一番大きいメリットです。デメリットに関しては,経営状況が広く公開されて,閲覧者が数値だけで誤った判断をしてしまうと,そのような誤解を招きかねないという懸念が挙げられます。
 案の2ですけれども,学校ごとにセグメントを立てず,集約可能とするというものです。こちらは資料2-3でいうと,例③になります。大学,短大,高専というのを1つにまとめて,幼稚園以下もまとまっていると,そのような図になりますけれども,メリットというのは数字が独り歩きしない。誤った判断とか誤解を招くリスクが少なくなるんじゃないかというところ。デメリットとしては,学校ごとの運営状況が財務の面で把握できないので,特に学校を単位で見る学生とか保護者に対しては望ましくないセグメントになるおそれがございます。
 こちらが学校単位のセグメントに関しての案,2つになります。
 次が,病院のセグメント単位について,附属施設に関して,病院について独立したセグメントを立てるか,立てずにその他で集約するかというのが案1,案2それぞれになります。案1に関しては,附属病院の財務状況が分かって,病院経営の健全性の理解に役立つということです。案2のほうは,その他に集約するということですけれども,メリットとしては,病院の情報だけが独り歩きして,誤解を招くリスクが減少するのではないかということ。あとは病院に関しては,医学部,歯学部,附属病院の教員,人件費の按分作業というのが関わってくるんですけれども,これについて,仮に病院というセグメントを設ける場合は按分作業というのが必要になるので,実務的な負担が生じるおそれがありますというのが,案1,病院を出すときのデメリットになります。
 3つ目,(3)の論点ですけれども,セグメント情報の記載場所です。こちらは注記事項とするという案1,もう一つは案2として,附属明細書として明確に記すと,そのような形,2つあり得ますので,それぞれについて御意見をいただければというふうに思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【黒川座長】  分かりました。篠原室長,御説明ありがとうございました。
 セグメント情報については,これまで出た様々な意見を事務局で整理したところ,検討会で諮る内容として優先度が高い論点が資料2-2の内容だということで,こちらに沿って議論をしてまいりたいと思います。
 それでは,事務局からの御説明に関して,御質問,御意見があればお願いいたします。いかがでしょう。まず,奥村さんから。
【奥村委員】  まず質問というか,そういうのから入ったほうがいいかなと思うんですけど,最初に前文というもの,学校財務情報の開示に関する基本的考え方。この議論をするときに,最初にどういうステークホルダーによって,どういうことが必要でということで議論した中で作っていっていただいて充実してきた感はあるんですが,その経緯も丁寧に説明していただいてもらっている感はあるんですが,これをどういう形で我々のところは受け取るべきなのか。つまり,今次の会計基準ができます。これは全くそういう意味で新しいものですね。新しいもの,つまり,要するに私学法に基づく学校法人会計基準になります。そして,監査も受けて我々はディスクローズしますというものになり,さらに大規模といいますか,大臣認可のところは,基本インターネットで何人にも公開しますというものになる。これだけで大変革なわけなんですが,それの趣旨を表す文章なんだろうと思うんですが,この文章はどこに位置するというか,公表されていくのかというところをお伺いしたいという点です。
【黒川座長】  では事務局,室長から。
【篠原私学経営支援企画室長】  回答させていただきます。会計基準を規定として定める前に,こちらの検討会の検討報告という形で,こういう検討をしましたというところをまとめるときの文書にさせていただくつもりです。なので,今回考え方についての文書プラス,それぞれの様式について,こんな形がいいんじゃないかというところで今検討していただいている個々の様式であるとか,セグメントの資料とかはそれに付随していくという形になります。そういうイメージでおります。
 なので,10月,11月の中で全体取りまとめというふうに書かせていただいていますけれども,そのときに報告のイメージとして最初に入ってくる文書というイメージになります。
【黒川座長】  座長はあんまり発言すべきではないんですけれども,奥村委員の御質問は大変重要な点で,この前提が多分全てこれから細かくこの後続くものの判断規準,キはスタンダードじゃなくてノリのほうですね,そっちだというふうに座長は受け取りました。したがって,今日のところは非常に重要でありまして,かなり違う,これまでの議論の中で,いろんな議論を踏まえてこういうことになっているんだろうと思うんですけれども,慎重にここのところは検討しなければなりません。
 そこで私がこれを拝見して気がついた点で,1つはステークホルダーに,作成者側である運営者,これは入らないというふうにお聞きしたんですけれども,その理由として,作成するほうだからということなんですが,これは私の今まで企業会計審議会とかそういうことの会計基準,いろいろASBJでも専門委員になりましたけれども,そのときに作成者側というと,企業会計の場合は企業ですけれども,企業の代表者がいないなんていうことはないんです。会計基準とか報告基準,開示基準をつくるときには,必ず作成者側の利害というものも反映して意見を聞いて作ってきた経験なんですけれども,作成者側だから関係,落としますというのは,私としては驚きです。
 どうでしょうか,稲垣先生,私はそういうふうに受け取ったんですけど,私の今までの経験からいって。こういう新たな会計報告基準及び報告基準,それの判断基準として,参加する作成者側の利害というものが,ここで落ちる可能性がもしかするとあるんですけれども,考える上で。そういうのって学校法人会計基準では,あるいは公会計であるんですかね。僕は企業会計のほうか,あるいは政府のほうの会計基準は作ってきましたけれども,ある程度ここは驚きをもって受け取りました。
【志賀委員】  すみません,いいですか。志賀です。
【黒川座長】  志賀先生,どうぞ。
【志賀委員】  稲垣先生に申し上げます。この件につきましては,前,室長に,これ表に出す資料ですかと言ったら,今後の報告書に反映させていただきますみたいな返答だったんですけど,この流れだと,これがそのまま説明資料として使われそうなので,今の件含めて2点ほど御意見を言わせていただきます。
 1点目は,今言った部分については,前々回の意見の中でも,運営者のほうだけじゃなくて,学校の在籍者というところで,学生・保護者と教職員が入っているのはおかしいということを申し上げました。これは一般企業に例えると,顧客と従業員が同じ列で扱われているということなので,これは運営側に,運営者と教職員と入れるべきではないかという話をしましたが,やっぱり今のところ,学校関係者というカテゴリーにしたいのかは分かりませんけれども,そういう並びになっているのはやっぱり違和感があります。やるんでしたら今,黒川座長がおっしゃられたとおり,やっぱり運営者なり教育従事者なりというカテゴリーをして,理事,監事,評議員,教職員として,それから,学校関係者として学生・保護者等というふうに分けるか,もう点をなくして全部の利害関係者を羅列したほうがいいんじゃないかなというふうに思いますので,今後ちょっと修正が可能であるんであれば,そういうふうにしていただきたいというのが1点。
 それから,前々回の意見でも,1ページ目の注釈のところ,要はこの方針は,独自性と公共性というふうに一番上にはうたっているんですけど,その後はずっと公共性のことしか書いてないので,せめて1ページ目の下の注釈の学校法人制度改革の具体的方策についての原文の後に,いずれの構造であれ,建学の精神や設置する私立学校の存在意義が顧みられなかったり,特定の利害関係に偏って意図的に支配されたりする状況は避けなければならないという,ちょっと運営側のことを言及していらっしゃるので,本当は本文に入れてほしいですけれども,そうしたら論点がめちゃくちゃになるのであれば,せめて注釈に粛々とコピペを入れていただきたいというのが,私はもうその2点で,もうこれ以上議論しても大変だと思いますので,そこだけ今後留意して,反映していただければなと思います。
 多分この資料を使って,来年,各団体の説明とかすると,説明をした後,文科省の人たちが退席した後,担当者であった私とかがいろいろ質問攻めに遭ったりするので,せめてそれぐらいは入れてほしいなと思います。この2点だけです。
 あと細かいことで言ったら,これも入れたいんですけど,全部学生,時々学生生徒と書いてあるんですけど,法令上は各教育課程では学生生徒,児童,幼児というふうになります。でもこの件は,内野先生とか嵯峨先生が別にどうでもいいというのであれば私は結構ですが,やっぱり文部科学省の公文書としてそれは大丈夫かなと思ったりしましたが,そこは気にしないのであればこのままで結構です。私は,この資料2-1に関しては以上です。
【黒川座長】  ありがとうございました。稲垣先生,さっき私が驚いたところなんですけれども。
【稲垣委員】  よろしいですか。会計士協会の稲垣です。そういう観点で考えたことはなかったんですが,一般的には作成者側の考え方も当然反映されて,基準は策定されるべきかというふうに思います。
 それとせっかくの機会なんで,タイトルが変わった趣旨は何なのかなというところがちょっと気になったんですが,財務報告という言葉は,フィナンシャルレポーティングということで,営利・非営利に関わらず慣行的に使われている用語なので従前それを使っていたのを,むしろ開示というところによりフォーカスを当てて,逆に言うと考え方をかなり絞り込んだというふうに逆に読み込めるので,そこがちょっと気になった点なので,直してくれなきゃ困るという意味じゃないですけれども,コメントとして付け加えさせていただきたいと思います。
【黒川座長】  奥村委員。
【奥村委員】  では,内容に関わってですが,先ほどのステークホルダーの例示で資源提供者のところで,債権者,寄附者というのは自然なんですけれども,現場の人間にしてみると,「産業界等」というのは違和感が相当あると。要するに,寄附研究をいただいています,寄附講座をいただいています,そういうような産業界との関わりのところは,委託研究にしても,一応資源提供者としては「寄附者」としてあるという形で捉えておって,「産業界等」が丸ごとステークホルダーということになるという表現の仕方はどうなんだろうかというのが聞かれました。
 つまり,要するに,我々は法的開示のところということで,今回私学法でもガバナンス体制をきっちりしなさいと。運営者の権限を分散して,そこでのチェック体制をきっちりして,法的な開示の計算書類を決めているという流れの中で,ここの文章でいくと,従来の利害関係人は学校法人等の関係者は法律上の権利義務関係を前提としてきたと。そういう意味で,「産業界」という用語でくくられるパーツというのはあるんだろうかということですね。スポットでは寄附研究や寄附講座という形でありますが,資源提供という意味で、資源提供者として挙げられているので,それはどういうふうに理解をすればいいんでしょうかと。
【黒川座長】  では,いろんな大きな話から今の話まで含めて,室長から全部お答えいただけますか。
【篠原私学経営支援企画室長】  
 まず,産業界等がまるっと入るのはというふうにおっしゃっていただいた部分に関しては,例えば人材育成に関して,大学がカリキュラムポリシーとかを作っていくときに,あとはカリキュラムをつくったりするときに産業界の意見なんかも聞いていこうというような高等教育の中の大きい流れがある,そういうようなことを意識して書かせていただきました。実際,寄附というような共同研究とかもあるし,あと自治体とか企業の方が,手弁当で一緒に問題解決型の教育なんかをしているような場面も増えてきていると思いますので,そういったことが意識としてございました。書いた背景にはそういうようなものがありますということです。
 ステークホルダーに関しては,今,稲垣先生と座長から,開示をする側,運営側も当然入るべきだというようなお考えをいただいたところです。ここに関しては,開示をする主体と提供する相手,開示という側面を考えたときにそういう関係があるので,開示する相手先をイメージして整理していたというところがあるんですけれども,ただ一般的に開示する情報をつくるという側面において,当然つくる側の立場というのもステークホルダーに含まれると,そういう一般論があるということであれば,その点に関してはこちらの理解が不足していた部分になりますので,御指摘をいただいたとおり修正するという形でいいのかなというふうに思っております。
 あと,学生という言葉だけじゃ足りないんじゃないかという御指摘に関しては、そのとおり,学生生徒,児童,園児等,ここは学生等という表現にするかどうかちょっと検討しますけれども,そこをきちんと読めるような形にさせていただきたいと思います。
 タイトルを変えた趣旨、これも学校現場の方々の受け止めが,財務報告という言葉で全く問題ないということであれば,こだわるものではありません。財務報告という言葉が,これまでの報告書や法令を見てきたときには使われていない言葉だったので,逆にそこからの違和感を持ったので,今まで使ってきた言葉に寄せたということになりますけれども,財務報告という言葉のほうが,今私たちが整理をさせていただきたい部分について適切な言葉,ワーディングであるということであれば,財務報告という言葉にすることもありかなというふうに思っております。
【黒川座長】  座長のほうから補足というわけでもないんですけれども,開示という言葉は,あと使うとすると公開という言葉があるんですよ。初め公開,ディスクロージャーの訳語として開示のほうが一般化したんですけれども,僕の師匠なんかは公開,公に開くという,こういう言葉を使っている。公開のほうが意味が分かる。要するに,普通情報はクローズしたいんですよ。ディスクローズというのは,それをこじ開けるという意味で,公に。だから初めは,50年ぐらい前,若いときは公開という言葉で結構使われていたことがあるんだけど,いつの間にか開示。開示よりも公開のほうのニュアンスを我々はやっぱり失ってはいけない。開示というと一般的な言葉だけど,公開,そこで僕は報告よりも開示というのは,公開といえば,今回の私学法になったとき,まさに公開ですよね,いろんな人たちに。そういう意味で,開示という言葉,公開としての開示という言葉に意味があって,報告よりも開示のほうが趣旨には沿っているというふうに私は受け取りました。
 どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  ステークホルダーという定義,確かにいろんな形の定義があると思うんですけど,いろいろとお話を伺ったときに,改正私学法が想定するステークホルダーとなると非常に範囲が広いです。ここではどちらかというと財務情報に関与する情報開示のステークホルダーというイメージが最初からすごく強かったということがあるので,この辺をちょっと整理しなきゃいけないと思います。そこで,例えば先ほど,学生生徒が出てきます。でも,生徒たちが本当に財務情報をステークホルダーとして見るのですかということです。子供たちが何を期待するのか,ステークホルダーとして。どういうことが学校行ったら,何が学べるのか。ステークホルダーによって,大学,またはそれぞれ学校の求める情報というのは違うんだろうと思います。
 この辺の私学法改正ということにおける定義とするということだけで,これが即,財務情報の公開とリンクすると,何かちょっとおかしいんじゃないかと思います。そういう論法になるような,今お話を伺って,どうもすっきりしないというのは私もちょっと今感じたところです。
【黒川座長】  どうぞ,畑さん。
【畑参事官補佐】  今,御発言いただいたことの関連ですけれども,現行の私学法の47条,こちらは財産目録等の備付け及び閲覧というところで,そういった計算書類を作成しなければならないと第1項で決められておりまして,第2項において,その他利害関係人から請求があった場合は正当な理由がある場合を除いてこれを閲覧に供しなければならないと,現行でこうなっておりまして,この利害関係人とは何かというと,学校法人との契約関係など法律上の権利義務関係を有している者で,具体的には在学生や在学生の保護者,職員,債権者などが想定されるというふうに逐条解説では決められているというところがまずありますので,改正私学法になっても,この部分は大きく変わっているわけではないというふうには理解しております。
【徳田委員】  限定された私学法に基づく情報開示となると,それのステークホルダーというのは一体どういうふうなのか。
【畑参事官補佐】  それが書かれているのが資料2-1-2の4ポツの改正私学法が想定するステークホルダーというところで,改正した部分があるので,従来の利害関係人の範囲をとどまらずに,寄附者や,今,産業界を入れるかどうかという議論になっていますけれども,などその範囲は広範にわたるものと解するべきというような形で,我々整理させていただいているというところです。
【徳田委員】  先ほど産業界というお話が出ましたけれども,当然それは大学の立場からすると,社会一般に輩出する学生が,社会でやはり活躍できる人材を養成するというのはありますので,私からすると産業界というのは,そういう意味での,例えばカリキュラムの改正であったり,そういうものがフィードバックとして産業界から要望を受けるというのが当然あってしかるべきだと思うし,大学はそうですけど,中高法人さんは,そんなこと必要ないよというのはあるかもしれません。設置校によって大分違うんじゃないかなという気がします。その辺があまり混同しないようにするのがいいのかなという気がしたものですから。
【黒川座長】  それでは,1つ目のほうについては,今まで今日,御議論いただいたことを事務局のほうで少し検討していただいて,セグメントのほうで御意見,御議論いただけますでしょうか。
【志賀委員】  すみません,よろしいでしょうか。
【黒川座長】  志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  前々回よりいろいろ激しいことを申し上げてきましたけれども,実は前々回も退席するとなったので,もう今日決まっちゃってもしようがないかなと思いながらも意見を伝えたつもりでございます。実は事務局のほうにはセグメント情報については,原則各学校,高校以下も分けることとし,理由がある場合だけくっつけていいこととするとかしてくださいと送ったんですけれども,先ほどの内野先生,前鼻先生からの御意見もありますし,実態としてもよく理解しますので,せめて前の案に書いたように,学校ごとに書くことを決めるものではない,むしろやったほうがいい的な,学校ごと,あとそれから病院だけここには書いていますけど,その他の事業とか,研究所とか,うちだったら附帯施設,保育所を持っています。そういった独立した会計,計算書類が必要な事業所については分けることが望ましいぐらいはどこかに書いていただければ,原案どおりでしようがないかなというふうに思います。
 それと併せてお願いしたいのは,ちょっとここにはありませんが,要は1校しか設置学校を持っていない学校法人の場合,セグメント情報に分けることの意義がほとんど感じられないので,そういった学校については免除するというふうなものを入れていただけると,この2点を何とかしていただきましたら,いろいろうるさいことを言ってまいりましたけれども,現行の案1がいいんですかね。私,従前よりナッシング・オア・オールと言っていて,セグメント情報開示しないふうにしてほしいけれども,これが駄目であれば全部やれ。だから,本当はセグメント情報を開示するんであれば,各科目等も明示しないと,黒字,赤字の理由を説明ができないので,本当はやるんだったらちゃんとしてほしいんですけど,これは本協会会員校,当然詳細は嫌だというのがあるでしょうから,あくまで私の意見です。
【黒川座長】  志賀委員,ありがとうございました。志賀委員の御意見は,論点2は案1,それから,後ろの病院のところは,病院とか研究所も含めて,これも独立したセグメントを立てるという案1,こういう御意見でよろしいですかね,大体。
【志賀委員】  全部案1でいいんですが,詳細(2)は案2でもいいかなと思いますが,それは反発も大きいでしょうから。ただ,今言ったような注記で,各学校の判断で分けることが望ましいみたいなことはどこかに入れてほしいなと。
【黒川座長】  なかなか難しいですね。分かりました,御意見は。論点1については,殊さら御意見はないということですか。項目ですけれども。大科目も加えるか,加えないか。要するに中身ですね。
【志賀委員】  本当は個人的には案2でいいと思うんですけれども,絶対会員校でも反対が出るんで,みんながいいと言うんであれば案1で。
【黒川座長】  個人として,委員としては案2。個人としてですね。
【志賀委員】  案2ぐらいちゃんとしないと。私,認証評価の評価もやっているものですから,案2でちゃんと表示できるぐらいの学校にしないと駄目だよと思ったりするんです。それは意見です。
【黒川座長】  そういうことかもしれない。
【志賀委員】  正直どっちでもいいと言ったら失礼ですが。
【黒川座長】  ほかに御意見,いろいろと本当に予備日は予備日でないと,もう皆さん思っているとは思うんですけれども,さらに追加の予備日というのが加わるのだけは避けたいと思いますので。どうぞ徳田委員。
【徳田委員】  私としては,今日見させていただいて,すぐこちらのどれがいいかという結論というのは,私自身は直接ないと思っています。修正案ということですけれども,これはどれか1つに決めるという話なのか,これは取りあえず骨子として各大学が自由に選択できますよという話なのか。それで最終的にはもっともっと細かくやりたい,科目も大科目を追加したり,部門もちゃんと出したり,これについてはそれぞれの学校法人において前向きにすることについてはオーケーですよという,この辺の流れがここではちょっと見えないので,ちょっと御説明お願いいたします。
【黒川座長】  基本的な基準の,今日も一番初めに御意見が出ていたような,最低限必要なものというような意味なのか,それを出せばもうそれでいいというような受け取り方でいるのか。どうですか,事務局としてはどっち。
【篠原私学経営支援企画室長】  事務局としては,資料2-2の下半分の(1)前提というところに5つ黒ポチがありますけれども,その上から2つ目,学校法人の自主的な判断で,科目やセグメントを追加したり,もっと細かい情報を出していくというところに関しては認めるというスタンスでおります。なので,今回論点として出させていただいている部分というのは,最小限ここはやってくださいという,みんなに共通でやっていただきたい部分を,ここでそれぞれ決めさせていただきたいと,そのような関係性になります。
【黒川座長】  という前提で。ディスクローズですからね,先ほど言いましたように。クローズしているのを公開させるということなので,最低限これだけはというのが趣旨。
【徳田委員】  ということは,結論から言うと,3つのうちから1つ。
【黒川座長】  もっと自由に,細かく出したいところは御自由にというのが,普通はそういうことですね。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。
【徳田委員】  最低限というところを全体で表すのであれば,やっぱり少ないほうがいいだろうとは思います。例①,②,③のうちどれかというと,趣旨からいくと,③という話が一方では出てくる可能性があるのかなという気はします。
【志賀委員】  どうせ事業団が詳しいのを出さないと補助金あげないと,私学助成課が言ってくると思うんです。大学,短期大学はそんな感じだった。それは全く別問題,最小限で。
【黒川座長】  ほかにどうぞ,御意見。
【奥村委員】  これは全く国立大学ですけれども,ある大学のセグメント情報,附属病院が全体の売上げというか収入,あるいは費用が,62%。結構病院というのは,規模がそういう意味では大きいので,別途病院会計を作ってもいいんじゃないかと思われるぐらいです。ある種のセグメントを掲げるのは,厳密にはできないと思うんですけれども,ある種の比較可能性というようなもののロジックの中でやっているとするならば,例②,例③では病院は抜きになっているんですけれども,「その他」になっちゃっているけれども,「その他」が非常に比重が大きいみたいなことになりかねないので,セグメントの形としていかがなものかと。
 企業会計なんかでは10%という基準があり,それ以上になればセグメントを形成するという基準がありますけれども,そもそもセグメントレポートというのはどういうものかということの関わりでいくと,ちょっと「病院」「その他」という括りでいいのでしょうか。
【黒川座長】  企業会計は,最近の―最近といってもかなりたちますけれども,マネジメントアプローチといって,やっぱり経営者側がどういうふうにそれぞれ独立して管理運営,事業活動しようかという,ある意味,管理会計みたいな情報を財務会計,要するに外部者にも同じ情報を出しましょうというのが最近の流れなんです。だから,経営者が使っている情報を,そのまま外部にもお知らせするというのが最近の流れ。ですから,企業のセグメントの判断も,基本的にはそういう考え方が今入っています。量的基準ももちろんそうですけれども,そういう考え方が基本にあります。
 それから,病院の場合は医学部との連動性が,やっぱりどこでも医学部を持っていると非常に今,奥村先生がおっしゃったように,人数もかなり医学部,看護師さんもいますし大変大きくなるんですが,医学部との連動性もあるので,ここも本当は議論しておかなくては,医学部は学部だと,病院は別だというのが本当にいいのかどうかです。だから恐らく,さっき言ったマネジメントアプローチからすると,医学部というものは病院と一体となって全体の,分かりませんけれども,理事長と理事の人たちは考えているかもしれませんね。医学部は医学部だ,病院は病院だというのではなくて,一緒に考えている可能性はあるのかなというふうには思います。
【篠原私学経営支援企画室長】  病院に関しては,国立,公立に関して言えば別に出しています。
【黒川座長】  それがいいのかどうか。どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  そこまで入っていくとなかなか難しいなという気がします。補助金の視点からもありますし,病院と確かに一体として経営していることは事実だろうと思います。総合大学の中に病院があると,そんなに影響が少なく,事業収入に対する割合というのは低いです。でも,単科の医学部というのは,まさに大学と附属病院は事業活動収入,特に医療収入というのは全然違います。かといって全部が一体となっているかどうかというのは,もちろん医学部を卒業したお医者さんたちがやっぱり臨床やりながら,いずれはほかの病院行ったり,自分の病院勤めたりという,経営的ないろんなことをお考えになられて運営しているのかなというのが,私の今までの中での想像でしかないですけれども,ここでそれを一緒に議論するとなると,ちょっと我々の中では医学部を持っているわけじゃないし,経営の実態もよく分からない。決算書の表面だけ見てよく分からない。なので,そこまではちょっとここでは難しいだろうなと私は思いますけど。
【黒川座長】  ここでは国立とか公立がそういう基準を既に作っているとするならば,そことの比較可能性というのも考えなくちゃいけないんです,後発のほうは。そうなるとそちらで病院は別だというふうにしているんであれば,私立,我々がこれから考えるところも同じようにつくるというのが,利害関係者が意思決定する,あるいは比較を見る場合に,同じような形態の情報を出すというのは1つの考え方の判断基準にはなるかと思います。どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  私は国立大学の会計基準と,我々の私立学校法や学校会計基準ではやっぱり若干考え方が違うし,私も国立大学が法人化したときに,学校法人会計と国立大学法人会計を比較検討しました。これは比較してもどうにもなりませんと。収入基準も違うし,そういうものを一緒にして,一時期我々の協会の中でも比較すべきだという議論がございました。でも,実はこういう形ですよといったら,それで一緒にする議論をやめました。もし中に入っていくとすれば,そこまで入っていかないと,ステークホルダーに対してちゃんとした情報が提供できないと思います。
 単なる部門で,病院の収支だけが残っているだけで,片一方の会計基準は国立大学会計基準であるし,我々のほうは私立学校の学校法人会計基準になるということで,部門計算は同じようでも,それぞれの基準でやっていると思います。なかなかそこまではステークホルダーと,皆さんに提示するというのはどうなのかなと私は思っていますけれども。
【黒川座長】  そちらのほうが徳田委員の本心なんですね,一番。
【徳田委員】  そうです。
【黒川座長】  私がさっき言ったマネジメントアプローチに対して,いや,そうではなく国立はとおっしゃったので,そういうのもあるというふうに私,言ったんですけれども,それはそうではないと。分かりました。
【徳田委員】  やっぱり同じ提示すると,私も長くやっていると,学校法人会計基準というのは,もう50年近くたっている。そのときは企業会計基準と2つしかなかった。今は公益法人会計,それから,どんどん政府系の公共団体が民営化されていくということで,私がぱっと見ただけでも10個ぐらいあります。NPO法人もあるし。それがそれぞれ独立で出して,国民,またはステークホルダーが分かるのかというのは,私,正直な疑問です。
 決算書見ていますけど、国立大学法人会計基準もよく分からない。学校法人会計,これずっとやっていますから,一番よく分かりやすい。そのほかに公益法人会計もあったり,社会福祉法会計があったり,NPO法人会計があって,病院準則みたいなものがあって,ばーっと見るだけでも10個ほどありますね,現在。そうすると,これって情報公開どのようにしていくかというのは非常に難しいだろうなと。ここだけでは結論の出ない話だろうなというのは,私の今までの正直な感想でございます。
【黒川座長】  なるほど,分かりました。ほかにセグメントのところで御意見ございますか。稲垣委員。
【稲垣委員】  会計士協会の稲垣です。セグメント情報として開示するということで,論点の1ですが,この案では収支情報のみということで,我々はセグメント情報を開示するんであれば,バランスシートの情報も一定程度開示すべきじゃないかという御提案をさせていただきました。ただ今回,大きな制度改革の中で,非常に困難を伴うということであれば,そこは今後の課題としてぜひ残していただきたいというのが,この論点1に関してでございます。
 それから,セグメンテーションの話ですけれども,今,徳田委員からお話があったように,会計基準が非常にたくさんあって,特に非営利の中でも目的別に基準がたくさん併存してて,非常に比較可能性もなくという問題は現実あると思います。そういうこともあって,会計士協会ではモデル会計基準という考え方を提言していこうと。そういうことを1つの軸にぜひ検討していただきたいということで提言をしたという背景があります。
 ただ,一気に統合するなんていうことはとても難しい中で,やっぱりそういう考え方を取っていただきたいということと,必要最低限の,一般市民からすると,じゃあ国立大学と私立大学の違いは分からないような中でも,病院の位置づけがどうなんだというようなことは比較してみたいというニーズが,一般開示を目的とするならば,最低限のやっぱり重要性のある項目は開示をするべきだろうというふうに考え,病院も,大学附属病院になっている大学と,医学部附属病院になっている大学の違いがありますので,その辺をどういうふうに整理するかというような問題も入っていくと非常に難しい問題になりますけれども,やはり病院というのは財源構造が特殊だという,診療報酬という対価を得て診療行為を行っているという特殊性を鑑みると,かつ財源的な,財産的な重要性から,やはりセグメンテーションとしては明確化しないと,その他とくくって,含まれているでもいいですけれども,しないと,セグメント情報を開示する意味がなくなってしまうのではないかなというふうに思います。
 私からは以上であります。
【黒川座長】  分かりました。論点1と論点3は,御意見を承りました。論点2については,学校ごとか,集約するかというのは。
【稲垣委員】  ここは正直,開示する当事者の方々の感覚で,必ずしも大学が幾つかあるから大学別とかというようなことまでは,セグメント情報というのは,法人全体のある程度の内訳ですので,重要度がある程度分かれば,同質のものはくくってもあまり差し支えないのかなという考え方です。
 あと1点言い忘れましたが,情報のセグメンテーションの中で,収益事業を取り上げてほしいという提言もさせていただいて,これは学校法人会計においては大きな課題で,特殊な事情があるということは分かっているんですけれども,これも今般,セグメント情報をやるならチャンスだからと思ったんですが,なかなか実務的に落とし込むときに困難性を伴うということであれば,ぜひこれも資産情報と併せて,今後の継続的検討課題にしていただきたいなと思います。
 後ほどの議論になる財産目録のほうで収益事業は出てきますので,そこである程度はカバーされているというふうに考えれば,今回のセグメントではこれでもやむを得ないかなと,そういうふうに考えております。
【黒川座長】  分かりました。ありがとうございました。それでは,嵯峨委員。
【嵯峨委員】  私どもは中高なんですけれども,自分のところに幼稚園がくっついてはいるんですけれども,やっぱり幼稚園と高校だと,会計やっていてもちょっと規模が違うんで,そこまでしてセグメントをそこで分ける必要性は,ちょっと僕ら的にはどうなのかな。一緒でもそこまで,全体像はそれで見えるのかなというような気がしています。病院のことは,持っているわけではないので。
【黒川座長】  そうすると今の嵯峨委員は,論点2の問いかけに対しては案2ということですか。どういうことになるんですかね。
【篠原私学経営支援企画室長】  論点2は,大学と短大と高専を分けたいという御提案をさせていただいていて。恐らく資料2-3のここですよね。
【嵯峨委員】  そうです。
【篠原私学経営支援企画室長】  まとめて学校種を複数書かせていただいています。
【黒川座長】  ここですか。こっち,例③。
【篠原私学経営支援企画室長】  これ全部共通です。例①,②,③共通なんですけれども,幼稚園等の学校種は基本まとめてオーケーと。分けて出すほうが情報提供に資するということであれば,学校法人の判断で分けることはできます。
【黒川座長】  それはできるわけですよね,要は最低限だから。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。
【黒川座長】  分けようと思えば分けていいということなので。そうすると,どれでもいい。例①,例②,例③,ともかく最低限はどれでもいい。出したければ細かく出していいですよという御意見ですね。分かりました。ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。奥村委員。
【奥村委員】  前回からすると縮小されている,省かれているんですけれども,「法人共通」なり「法人本部」なり,そういう部門を立ててもいいと,先ほどの議論でいくと,それも立ててもいいという,詳細化してもよいという。
【黒川座長】  最低限は出さなくてもいいけど,出したければ出していい。分かりやすくなりましたね,今日は考え方が。そういうことでよろしいですか,事務局。
【篠原私学経営支援企画室長】  そうですね。学校法人共通とかその他,そうですね,ここには入ってないんですけど,学校法人共通を設けることも法人の判断で可能です。
【奥村委員】  助成法のね。
【徳田委員】  ということは,今ある会計基準に基づく内訳表を,それぞれ部門別の分を最大限提示するということは,それぞれの学校法人さんに裁量を委ねる,そこまでできますよという話ですね。
【篠原私学経営支援企画室長】  それは可能です。
【黒川座長】  いかがでしょうか。どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  会計士協会の稲垣です。今,話題が出ました法人本部という定義と,法人共通という定義は意味合いが違うのではないかなと。本来的には法人本部という特定の運営部門があって,そこにあれするものをそこに入れるというのと,法人共通というのは,例えばセグメントに分け切れないものを共通として,そこに開示するというような考え方で使い分けるのが,セグメンテーションというかセグメント情報の本来的な考え方じゃないのかなというふうにちょっと思いましたので補足させていただきます。
【篠原私学経営支援企画室長】  今,学校法人共通というのがありますね。
【稲垣委員】  今の私学の。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。今の明細書の。
【稲垣委員】  学校法人共通。
【黒川座長】  畑さん。
【畑参事官補佐】  これまでの案としては,ここは見せる必要はないものとして,立てていたのは,学校法人共通。
【稲垣委員】  共通,本部じゃなくて。
【畑参事官補佐】  共通という案を立てていました。実務では法人本部というのが,会計の中で出てくると思うんです。これまでの議論で,そこはあえて見せる必要はないんじゃないかというところで,その他にまとめていいんじゃないかということで,資料2-3のところについてはその他にまとめるという意見が,そこは統一を取って,例として挙げているということです。
【篠原私学経営支援企画室長】  そうすると,学校の判断で出していい,いけない,どっちの結論になりますかね,今の御質問に対しては。
【畑参事官補佐】  これは前提のところにありますように,より詳細な財務情報を開示することは認めるという前提ですと,それはセグメントとして出すことは別に構わないということになるかと思います。
【黒川座長】  稲垣委員,例えばセグメントリポーティングで,独立して3つとか5つとか,あんまり大き過ぎちゃ駄目なんですけど出したとして,でもそこにくくられないものはその他一緒に,それで合計するという。合計しないと気持ち悪いですよね,会計専門職は。そうなると先ほどの御意見は,例えば独立してマネジメントしたみたいなもの,あるいは共通のことをやっていると,そういう意味と,独立してセグメントにならないものは一緒にして1つの「その他」にするというのは違いますよね。先ほどどちらをおっしゃいましたか。
【稲垣委員】  本来はそれぞれのセグメントに帰属すべきものを,配分できるものは配分するというのがあるべき考え方なんですけど,やっぱり配分し切れないとかいうものがないという前提なら,逆に言うと共通と言っているのは,一定の運営主体ですよね。収支の帰属主体というか。そこがどう考えるのかなというところなんですけれども。
【黒川座長】  事務局のほうの共通,あるいは本部という使い方をしているときに,セグメントに分けたときに,合計はやっぱり全体と一致しなくちゃいけないというのは事務局のほうも考えていますか。要するに,出したいものだけぽんと出すんじゃなくて,全体の合計は一致すると。そうしないと、それはやっぱり気持ち悪いですもんね,そうすると,その他一括というのがあるはずですよね。どこにも独立して出せなかったものというのと,それから独立して,法人共通か本部かというのは,ちょっと概念が違いますよね。それは両方ともあり得るということですかね。
【畑参事官補佐】  すみません,第3回のときに資料3でお示しした中で,「学校法人共通」の区分を設けて,法人事務局における収支のほか,学校等の各セグメントに配付しなかった収支を,学校法人共通の区分に計上することができると,イメージとして提示させていただいております。
 それから,「その他」の区分についても設けることができるということにしまして,この場合,その他に含まれる主要な事業等の内容について,そこは注記してくださいというような想定で,前々回に資料として出させていただいております。
【黒川座長】  ということは,どういうことだったの。結局,共通というところには,要するに,独立して本部みたいなところにあるものと,それからその他のところを一緒にしてもいいし,分けてもいいと。
【稲垣委員】  ということです。現実的にはそうなるのかなと。
【黒川座長】  一緒にするか,あるいはね。
【稲垣委員】  だから,その他は何が入っているということをきちっと。
【畑参事官補佐】  その他の場合ですね,はい。
【黒川座長】  注記すると。それを共通と呼んだんですね。それは何と呼んだんだ。
【畑参事官補佐】  「学校法人共通」です。
【篠原私学経営支援企画室長】  「共通」と「その他」というのを置きました。
【黒川座長】  じゃあ「その他」と「共通」はやっぱり別なのか。
【篠原私学経営支援企画室長】  別です。どこにも配分できないものを法人共通に入れてもいい、と。
【黒川座長】  なるほど。
【志賀委員】  よろしいでしょうか。
【黒川座長】  どうぞ,志賀委員。
【志賀委員】  それに関連してなんですが,いいかな。お恥ずかしいですけど,ちょっと画面共有しますね。実は本学園では自主的に,公表はしていませんけれども,学園の財務状況についてはこんなセグメント分けをしていて,学園本部というのに人件費が9,100万ありますけど,別に理事長の報酬がこれだけあるというわけじゃなくて,退職給与引当金をここに計上しているんです。管理経費のほうは,寮の運営も全部,教育補助事業だけでも学園本部としていて,学園本部と書いてあるんですけど,その他。大赤字なんですけど,それは収入がないから大赤字なんですけど,こういうふうになっている。
 これをいろんな認証評価等見ていると,人件費は全部各学校に,あんまり見ないでくださいね,赤字と黒字があるので。人件費を全部各学校に溶け込ませている学校もあれば,こういうふうに分けている学校法人もあったりして,将来的には本当はここら辺も基準を設けなきゃいけないなというふうなところが,今後の細かな議論であるかなと思います。
 その結果,特にさっきの高校,専門学校,幼稚園等の会計基準になるところ全部足すということになるので,それで人件費等を全部こっちに溶け込ませてしまった場合,結局,教育活動収支だけが1個あって,教育活動外収支だけその他とか法人本部とかになっちゃうんじゃないか。じゃあその2つつくるの意味あるかなという気はしますが,そこら辺の計上の仕方等については,今後一定の基準を示さないと,いろんな考えの学校があると思いますが,別にしなくてもいいかもしれませんけれども,そろそろ恥ずかしいので取りますけれども。
 今言った,示したようなことは,多分今は細目まで書いてあるから,ですから,私が一向に明細まで出しても構わんというスタンスなんですけれども,これを嫌がる法人もあるだろうなと。
 それから今,病院ばかり話題に出しましたけれども,今端っこのほうにちらっと見えたかもしれませんが,附帯事業として保育園をやっています。保育園は保育園で,やっぱり独立してやらないといけないなというのがあるので,やっぱりセグメントを分けるんであれば,これぐらいけじめつけたほうがいいなと思っているのが1点です。
 今,ちょっと議論として言ったのは,今言ったように法人本部とか今しているかもしれませんが,多分多くの法人は,事実上その他扱いを全部まとめているんじゃないかなというところがあるので,ここは「その他」で放置してもいいんじゃないかと思いますが,法人本部と分けるのであれば,どれを計上するかを明示しなくちゃいけないかと思いますので,そこまで考えるのであれば,法人とその他を分けるというふうな案はあるかと思います。そこら辺を踏まえて検討してはと思います。
【黒川座長】  分かりました。ありがとうございました。
 今手を挙げていらっしゃるのは佐野委員。どうぞ。
【佐野委員】  すみません,私学の方といいますか,関係団体ということで発言をちょっと控えさせていただいていたんですが,セグメント,結論的に申し上げれば,資料2-3で言えば3つの案からセレクトということになると,3番目でやむを得ないことかなと思ってはいるんですが,考え方として,まず国大との比較云々ということが出ると,国大というのはそもそも独立行政法人からの派生ですから,業績評価のためにセグメントを詳細に出すということで企業会計ベースで詳しい,これが前提です。私学の場合はそういう意味での業績評価のためという前提はないので,やはりどういう業務で財務情報できているかというのを出すという視点で考え,かつ私学がどこまで出したらば,私学にとっての経営情報の誤解を招かないよう,ミスリードしないような情報が簡潔に出せるかというところの視点で考えるべきだと思うんです。
 そういう点からしますと,やはりまず縦の軸からいうと,活動収入とか支出とかこれぐらいで,大科目出すのは任意だとおっしゃいますけれども,それは任意はどうぞということでしょうが,もし基準で決めるとすれば,やはりこれは最低限の一番下というか,今の軸で私はいいと思っています。
 それから,横軸としてどう考えるかというのは,今の申し上げた概念からいうと,本来であれば,私は教育事業として大学から専門学校まで全部一括の教育事業と,それ以外の部門計上している保育所であるとか病院,附置機関,そういったもので分けるべきとは思うんですが,そこまで行くとセグメントとして見られないじゃないかとかいう御意見も多分一般的に出てくると思うので,分けざるを得ない。となれば,3番目の高等教育のほうとそれ以外で,分けるのはぎりぎりかなと。
 ただここで気になるのが,専門学校を知事所轄の幼稚園,小学校,中学,高校,専門学校とくくりで入れてしまうと,準学校法人ではなくて学校法人として設立している,一部門としての専門学校というのは,学校によって非常に大きなウエートを占めている場合があるのと,それから,収支構造がかなり一条校と違う部分があるというところで分けてもいいのかなと私は思っています。
 それと病院については,やはりちょっとこれも構造が違うので,今の助成法上の学校法人会計基準でも区分計上することが定められていますので,負担にならないので分けてもいいのかなと。これは特に社会に対してミスリードするような情報ではないんじゃないかなという気がいたしております。
 最後に,先ほど話題になっていた法人本部と法人共通という話題がありましたけれども,法人本部というのは独立して,今,助成法の会計基準があるわけですが、これは助成法の会計基準の中で何を本部に計上すべきであるかというのが通知で明記されていまして,これは決まっている。もしここに法人共通という概念を入れてしまうと,じゃあ部門に配分した助成法上の内訳表と,法人共通として配分しなかったセグメント情報とに不一致が出てしまうんです。そういうことを考えると,やはり法人共通という概念を前面に出すのはいかがなものかなと。法人本部を教育機関ではない,教育部門を運営しているんだから分けるべきだという議論は私はあってもいいと思うんですが,多分出したくない,出すことによって法人本部の経営が丸見えになるということで,多分私学の方は反対する方もいらっしゃるんだろうと思うんで,それはその他に行くのもやむを得ないのかなと。
 つまり,3番目の例③に行くのはやむを得ないとは思うんですが,本来であれば,法人本部と教育部門は分ける。そして,今の学校法人会計基準の中にある部門計上されている病院であるとか,保育所などを分ける。ただ,病院は大きい学校を持っているから,1セグメントとして成立するとしても,その他の附置機関であるとか保育所は,金額的に大きいことが想定されないので,その他にまとめてもいいのかなと。あと専門学校は,学校によってはですけれども,専門学校主体として大学を設置している学校などもあって,かなり大きなウエートを占める学校もあるんで,これは本当であればちょっと別に考えたいところなんですが,そこまで言い出すと幼稚園はどうしてくれるんだという話がきっと出るので,そういうことを勘案して3番に落ち着くのかなと。
 ただ,申し上げたように,国大との比較云々のセグメントというのはちょっとスタートが違うのかなと思ったことと,それから,法人本部という概念と法人共通という概念は,やはりちょっとこれは正確に理解しないと,今の助成法上の内訳表とのそごが生じて,我々監査する側としても,助成法の内訳表は今は対象になっておりませんけれども,出す書類が異なるものが部門で出るというのは気持ち悪いので,その辺はちょっと正確に整理をしていただきたいと思ったところです。
 以上です。
【黒川座長】  そうすると,佐野先生のおっしゃっているのは,例3でもないですよね,病院があれば。
【佐野委員】  選択肢が3つなら3と申し上げたんで,別な案が今の時期になって提案可能ならあるとは思いますが,それは志賀委員も先ほどおっしゃっていましたが,個人的にはこう思うという御意見もおっしゃっていたように,各自がそれぞれ思っているんでしょう。
【黒川座長】  例③が結論ですか,この3つだとすれば。
【佐野委員】  ええ,3つなら例③です。
【黒川座長】  病院はきっとその他に行くわけですね。
【佐野委員】  これしかない場合は行きようがないからという意味です。もし提案できるんであれば,病院は分けたほうがいいのかなと。
【黒川座長】  そうすると,例④を作ってもいいわけですよね。
【佐野委員】  いや,今からつくるなら。
【黒川座長】  いや,これを決めたんですか,この3つに。
【畑参事官補佐】  あくまで例です。
【黒川座長】  例ですよね。だから,いいんですよ,まだほかに付け加えても。
【佐野委員】  教育部門としてもっと縮めるのは駄目なんでしょう。
【篠原私学経営支援企画室長】  教育部門でまとめればいいという,公認会計士のお立場からの目線というのは,1つのお考えとしてあるだろうなというふうに思います。一方で,さっきステークホルダーの中で出てきた保護者とか,今までの利害関係人の目線でいくと,恐らく少なくとも高等教育機関に関しては,それぞれの大学,短大,高専というところの分けというのはあったほうがいいんじゃないかというのが,我々事務局側からの意見としてございます。
【佐野委員】  ということは,事務局サイドとしては1になっちゃうんですよね。保護者等の概念が,どこの大学,どこがどういう収益構造を持っているかというのを見るとなると,高等教育機関は十把一絡げ,初中教育十把一絡げじゃ駄目よという。
【篠原私学経営支援企画室長】  ちょっともたないのではないかなと。
【佐野委員】  1に近くなっちゃうわけですよね。近くじゃなくて1ですよね。でも,それで私学の方が容認されるということと,それから,部門配分が監査に耐え得る会計基準を設定できるスパンがあるのであれば,それは可能だと思いますけれども,監査に耐え得る配分基準であるとか,それから助成法と異なる基準の設定,これが短期間にできるんであればできると思いますが,それはちょっと難しいんだろうなと私も思うんです。
【篠原私学経営支援企画室長】  そこなんですけれども,セグメントとして置くとしたときに整理をしなければいけない論点というのを,今,佐野委員からいただいたと理解しています。私学助成法との関係であるとか,共通経費とかをどう配分するのかというところですね。それについて,実際どうテクニカルにやるかというようなところを,11月と先ほどお示しした時間軸と別で,実際大学がこれに基づいて監査をする時期から逆算しての周知期間も考えるとあんまりのんびりはできないんですけれども,別期間でインテンシブにちょっと相談をさせていただいて整理をしていくというような進め方も別途あるのではないかと思うんですけれども,その辺りも含めて先生方の御意見いかがでしょうか。
【稲垣委員】  会計士協会の稲垣です。前回ちょっと少し御提案させていただいたのは,セグメントは部門別ではなく事業別で考えるべきではないかということで,教育事業と病院事業とその他の事業というようなセグメンテーションという考え方の発想がそこにありました。ところが,一方で内訳表はあくまでも従前部門別の表ですので,そこはある意味相入れない部分があって,ちょっと話が飛躍しますけれども,監査の対象である以上,配属基準しか認めないみたいな,こういうふうに定めた数字どおり区分していればそれでいいよということであると,監査は容易なんですけど,それが本当に正しい収支状況を示しているのかという意味で,ちょっと専門用語になりますけど,一般目的・適正性の財務報告の枠組みになり得ないんじゃないかとなると非常に問題があるので,やっぱりあるべき基準の考え方は示しつつ,一方で短期間で落とし込んでいかなければいけないために,経過的に例外的な従来の部門別基準も許容するというような立てつけがいかがかというのが,一応我々の提案でした。
 ですので,やはり本来あるべき按分基準とか配分基準の考え方が原則であって,今の部門別基準は,一定程度例外的に許容するという扱いにしていただきたいというのが我々の要望です。それであれば監査も可能になると。部分的には内訳表とセグメントがちょっとアンマッチの部分が出てきますけど,それはそれである意味やむを得ないのかなというふうには思っております。
【黒川座長】  ほかに御意見は。多数決はいけないんですけれども,事務局,御提案どうされますか。例だということであれば,佐野委員はもうちょっと何か聞いていると,例③でもなさそう。
【篠原私学経営支援企画室長】  病院は別途。
【黒川座長】  病院は別途ですから,例④で,ここの例③に病院ぐらいは分けるという,そういう御提案ですけれども。
 どうですか。ちょっとだけ参考に手を挙げていただきたいです。例①というのにどちらかというと賛成の方はどのぐらいいらっしゃる。では次に,詳細なのは例②。それから,例3の前に,この間に佐野委員の,病院というのを1つ入れるという例③ダッシュ,これに賛成の方はどのぐらいいらっしゃいますか。例③。大体そんな感じですね。ということ。
 横のセグメントのエンティティーはそういうことで,では,今日のところは開示項目の詳細さ,これについて,案の1に賛成の方は,参考にどのぐらいいらっしゃいますか。
【稲垣委員】  論点1ですよね。
【黒川座長】  論点1の案1のほう。これ,ウェブ参加者はどうなっているのかな。ちょっともう1回手を挙げていただいて。大体案の1が多い。案の2は,もう少し中身出せという。そのぐらいですね。そういうことですね。病院のセグメント単位は,先ほどのと一緒になっているので,そのぐらいでいいですか。
 ですから,今日の話ですと,論点1は案1のほうが多いと。それから,論点2は,例③か例④,例③ダッシュ,この辺が賛成が多かったぐらいですね。そういうことで,委員,よろしいですか。今日のところの暫定的な。佐野委員,どうぞ。いいですか,それで。
【佐野委員】  病院を持っているところって全体数から見ると少ないわけですよね。だから,そういった関係者の御意見で,分けるとこういうデメリットがあるよということが提示されれば,それで例③に落ち着いちゃうんじゃないかなと思います。今,漠然と皆さんが,病院ってやっぱりその先ほどあった診療報酬をもらって未収入金がすごく多くて貸倒れがすごく多くてという,一般の一条校の学校教育の部門と全然違う思いを抱いて病院別というふうに思っているわけですから,その辺のところ,実態がもうちょっと披露されれば,じゃあやっぱりその他にまとめようというところに落ち着くような気もしているんです。
【黒川座長】  畑さん。
【畑参事官補佐】  ちょっと残り1時間を切っていますので,まず論点1のところは,今ちょっと数を取っていただいているところですけれども,論点1,それから論点2,あとセグメントをどこに記載するかというところについては,今回の議論はまだちょっと収束していないと思いますので,次回以降にもまた引き継いでこの論点について議論したいというふうに考えております。
【黒川座長】  分かりました。先ほどのは暫定的に今日のところで伺ったということなので。
【黒川座長】  でもこの1か月の間に,もし病院の方々にどうなのぐらい,ちょっと一,二ヒアリングをできれば,事務局のほうでしていただければ。
【佐野委員】  皆さんの合意を得られる範囲でやればいいと思います。必ずしも分けろという,そこまで言ってしまうと,法人本部分けたほうがいいとか言いたくなっちゃうんで,ちょっとその辺は皆さんの合意を得られるような,知らない中で検討会が終わるんじゃなくて,実態を分かってデメリット・メリットの具体的なお話を聞いた中で落ち着けばいいなと思います。
【篠原私学経営支援企画室長】  ありがとうございます。
【黒川座長】  ではそういうことにいたしましょう。どうぞ,畑さん。
【畑参事官補佐】  あと資料2-1,2-2のところにつきましても様々御意見いただいておりますので,そこについても再度整理をつけてお示ししたいと考えています。
【黒川座長】  そうですね。前文というか判断規準なので,非常に重要な点なので,もう一回,今日の議論出ましたからね,いろいろと。では,お願いいたします。はい,どうぞ。
【奥村委員】  今,佐野委員が助成法との,ずれがあるのはとおっしゃったんですけれども,私は先ほど稲垣委員がおっしゃった,本来あるべきは事業別で,そういうふうに出せば見られる。マネジメントアプローチを取ってなくても,まず企業会計と同様に個別採算であり,資源配分の姿であるというふうに見られるということを前提に考えたら,本来あるべき事業別というようなことができるようにすべきでは。そういう意味で,実際に実務で短期間で受け入れるのは難しいということでしょうか。
【佐野委員】  ちょっと誤解なさっていると思うので。稲垣委員がおっしゃっている事業別というのは,教育事業という事業ですよね。A大学,B大学という意味ではないですね。トータルの教育事業,病院事業ということですから,その基本的な考えは私も全く賛同で,4案のほかに5案があるなら教育事業1個でいいと思っているぐらいで。事業ですから。
【黒川座長】  そうしたら,それも足せば。
【佐野委員】  いや,それは……。
【黒川座長】  それは案だから,例ですから,いろいろ出たものはやっぱり明示したほうが。
【佐野委員】  ちょっとその辺が,もしかしたらちょっと食い違っていらっしゃるかなと思って。
【奥村委員】  そうですか。ですから,今,助成法から出発して,それをほぼ助成法の基準を丸々受け入れる,継承していく,今後発展させるという話ですよね。例えば,セグメントの……。
【佐野委員】  そういうことではなくて,教育事業としてまとめてしまえば,今,助成法で使っている按分基準,例えば特に人件費の張りつけ基準などは問題にならない,教育事業全体で見ますから。まとめてしまえば,配分基準は今のところ関係ないよね。それは将来,おいおい私学法の基準と,それから補助金の基準をどうするかは別途検討したらという御意見だったと思います。
【奥村委員】  なるほど。じゃあ今,まとめるという意味で例③がよいと。
【佐野委員】  例③ならば,高等教育のほうと高校以下の教育で併任する方というのはあまりいらっしゃらないと思うので,まずあまり問題にならないと思っています。
【奥村委員】  しかし,病院は出しても。
【佐野委員】  病院って収支構造全く違いますからということで。
【奥村委員】  違いますからね。僕もそれはそう思います。だから,ビジネスモデルが違うものが見える形のほうがいいんじゃないだろうかと。
【佐野委員】  そういう意味です。
【奥村委員】  はい。そのときに,そうか,助成法の配分と違う基準になると。違う部分が出てくる。例えば,これは先ほどの……。
【稲垣委員】  人件費ですね。
【奥村委員】  そうそう。国立大学の,これはある大学の注記の記述ですが「附属病院セグメントに係る人件費については勤務実態に応じた補正を行っておりますが,それ以外の人件費については各所属において計上しております」と,こういうふうに人件費について計上できる。国立大学はそういうふうにしているわけで,これは監査できないわけじゃないというような意味合いで,今の助成法の配分基準とは別の配分をしているということになる可能性があるんですね,これ。
【佐野委員】  国大の話ですか。
【奥村委員】  国大の話ですがね。それをやってもいいということにならない。
【稲垣委員】  本来はそれが原則で,例外的に従前の内訳表基準も許容するという形があるべきじゃないかというのが,私どもの意見です。
【奥村委員】  私もそう思います。
【黒川座長】  徳田委員。
【徳田委員】  稲垣委員のおっしゃることは理論的というか,現実的というか,我々現場にすると,配分基準が2つあるということについては,もうすごく煩雑になるわけです。それは現実的にスムーズに移行するときの,やはり私学振興助成法を踏まえた形の中からやっぱり議論をしていくべきであって,理論的にはできますよ,できますけれども,現場の負担が物すごい大きくなるということも,監査上を踏まえて,今は内訳表まで見てないです。監査対象外ですから。それがセグメントも入ってくると監査対象になっちゃう。そうすると,その全ての配分基準について見なければいけないです。それが物理的に多分できるのだろうと思いますけれども,この辺のところの位置づけも変わってくるなということで,スムーズに移行するのであれば,最低限のものであって,自主的に公開することについてはやぶさかではないよという1つの考え方があるんだろうと思いますけど。将来的には。
【稲垣委員】  それなので,例外的にその基準も許容する扱いにしないと,実務的に落ちないだろうと。でも,一方で,きちっとあるべきでやりたい学校があったときに,それを否定してしまったら画一的なものになって,それで本当にセグメント情報としての本来の意義があるんだろうかというんで,実際原則を適用する学校はないかもしれないけど,基準としてはそういう立てつけにしていただく必要が,逆に言うと監査の立場からあるということですと申し上げています。
【徳田委員】  今先生がおっしゃったのは監査の立場ですし,我々は実務の立場です。
【稲垣委員】  当然実務を前提としているから,例外で許容してもいいんじゃないかというふうに,その基準だけだということだと,このセグメント情報というのは従前の内訳表と全く同じじゃないですかと。
【徳田委員】  そうすると,我々補助金の交付を受けるという立場からすると,やはり内訳表というのがメインであって。
【稲垣委員】  目的が違うんです。
【徳田委員】  目的は違うけれども,我々の補助金の業務から考えると,やはり補助金を受けるためにどのような資料を作って出すかというのが一番メインです。それで私学法に基づくものについては,その中からあまり手間暇かけずというか,そういうことなしに,できれば転記して移動できるのが一番理想的なんです。
【稲垣委員】  我々もある程度事務的なことは考慮しますけど,それだといつまでたっても,開示目的というものがどう考えるんですかということだと思います。なので,今回も我々は,例えば将来的な課題として継続検討をお願いしますということで,先ほどの資産情報の話とかも,今回は無理だけれども,そういう課題が残っていますよ。だけど,やはりセグメント情報が入ったときに,そこだけはやっぱり譲れない基準じゃないかなというふうに考えているところであります。
【佐野委員】  だから,大学,A大学,B大学別にしてしまうとそれが露見するので,がさっとまとめれば,配分を考えることなくできますねということで,3なり,もしでき得れば教育事業としてまとめてしまえば,今の実務的な問題も露見しないし,監査上の問題も露見しない。
【稲垣委員】  ただ,病院だけがちょっと。
【佐野委員】  そうそう。ちなみに人件費内訳は監査対象になっていますけど,これは文科省の通知によって張りつけしなさいと言われているからそのとおりやっているんで,これは開示基準とは別の話で。
【稲垣委員】  だから,違っても構わないという,制度上の立てつけになっていると理解しています。
【佐野委員】  それを分けてしまうと,個別の部門に分けるとなると,監査上ダブルになっちゃうわけですよ。実務も大変だし。だから,まとめざるを得ない。それは教育事業でまとめるのが一番シンプルなんだけど,高等教育とそれ以外を分けるのは……。
【稲垣委員】  ビジネスモデル違いというか,収支構造の違いに着目すべきだというのがね。
【佐野委員】  そういうことです。
【篠原私学経営支援企画室長】  すみません,結局,私学助成も視野に入れたときに,どういう論点があって,どう対応し得るかと,稲垣委員から御指摘いただいた部分もありますし,佐野委員から,教育事業としてまとめれば,今の会計上で難しい部分がうまくいくという御提案いただいている一方で,これまでの議論とか昨今の状況を踏まえたときに,がさっとまとめる形の開示で足りるかどうかというところに関しても改めて整理して,次回以降,御相談させていただきたいというふうに思います。
 なので,ちょっと専門的な部分とか個別の事情について,改めて個別に御相談させていただく点もあるかと思うんですけれども,御協力をいただければと思います。
【黒川座長】  結論出ていない部分は次回に議論いたしましょう。
 では続いて,せっかく資料作ってありますので,附属明細について御説明をお願いいたします。
【篠原私学経営支援企画室長】  資料3-1と3-2-1,2に関して説明をさせていただきます。
 附属明細書については,前回の会議からの持ち越しということになってございます。まず1つ目,固定資産明細書に関してですけれども,こちらは増減理由の記載判断基準について,3,000万円を超える場合は3,000万円というような金額の部分は削除してはどうかということで,こちら削除するという結論になっていますけれども,これをやるのであれば,小規模法人の特例といいますか,資産総額の100分の1ではなくて2%といったような設定をしてはいかがかという,100分の1というところに関しての数字の見直しというところを意見としていただいているというところです。
 なので,案1は資産総額の割合を100分の1から100の2に設定し直してはどうかというもの。案の2に関しては,そこを変えるということはしないというような案になってございます。こちら,ちょっと事務局のほうで取り違えがございまして,この修正案では小規模法人の特例という形で書かせていただいているんですけれども,意見をいただいた趣旨としては,全体の共通の設定として,100分の1ではなくてもうちょっと数字を上げてはどうかと,そのような御提案であるということになります。なので,小規模法人の特例ではなくて,この100分の1という数字をもうちょっと上げることで設定すると,バランスが取れるのではないかという意見を踏まえての検討になります。
 こちらに関しては,100分の1というのが今まであったわけですけれども,じゃあ100分の2がベストなのかどうかといったところに関して,明確な判断基準というのが今,ちょっとない状況で,この数字の妥当性を触るというところがちょっと難しいかなというような感じを持っているところです。
【黒川座長】  では,その次も御説明を。借入金。
【篠原私学経営支援企画室長】  借入金明細書です。こちらは資料3-2-1というところも併せて御覧いただければと思うんですけれども,前回,この赤枠で囲っているところをなくしてもいいんじゃないかというような御意見もいただいているところです。前回の主な意見としては,当期増加額と当期減少額というものについては,借入れの期首,期末の間に起きた状況の変化を見るためにはあるべきだろうという御意見,それが1つ目,2つ目の白丸になります。3つ目の白丸に関しては,ここの欄が多くても少なくても,実際転記する元の書類があるので,実務的な手間はそうかからないというような御指摘。一番最後は,当期増加額,当期減少額は要らないのではないかという御意見ですけれども,期中に短期の借入れなんかを繰り返していると,当期増加額と当期減少額というのが大きくなって,見た人にミスリードを与えるおそれがあると。したがって,赤い四角で囲っている部分は要らないんじゃないかというような御意見というふうにいただいています。
 こちらからの御提案させていただく案としましては,こちらは現行の学校法人会計基準と同様に,赤四角の部分は残して,期中の動きも見える形での項目立てとしてはいかがかというところになります。
 最後,基本金明細書に関しては,保留事項としては,脚注2号の記載を修正するというものと,基本金に記載例のない組入れと取崩しを各号ごとに判断する考え方を反映するべきというようなところが保留となっていました。
 前回の主な意見としては,1つ目,改正基準の考え方です。こちらが平成17年の通知と変わらないのであれば,今の書きぶりというのは正確には表されていないので,当期期末残高の前段に両方が記載され,その差額である組入れか取崩しかというのが記載されるような形にしてはどうか。2つ目の白丸,フローを表す部分というのは組入高,取崩高じゃなくて額という形にしたほうが,他の書類との整合性が取れるんじゃないかという御指摘になります。
 修正案に関しては,脚注に関して,以下の赤字の見え消しにしてはどうかというところです。脚注の2のところですけれども,「当期組入高及び当期取崩高については,組入れ,取崩しの原因となる事実ごとに記載する。ただし,1号基本金については,資産の種類により一括して記載する」という形に修正をいたします。平成17年の通知に記載のとおり,基本金の組入額及び取崩額の計算というのは,現行の基準のとおり基本金ごとに判断するというところは維持したいと考えています。
 組入高か組入額かというその言葉に関しては,現在,過去の経緯なども調べているので,そこの情報が見つかり次第,次回以降改めて様式を御相談させていただくというふうにしたいと思います。
 説明は以上です。補足はありますか。大丈夫ですか。
【黒川座長】  篠原室長,ありがとうございました。
 それでは,御意見を承りたいんですけれども,今の資料3-1に書いてある案1,案2ではなく,事務局の提案は,小規模法人の有無に該当する,しないではなく,全法人について100分の1基準を100分の2にしてはどうかが問われて,先ほどの御意見がありましたので,それを事務局は受け取って,こういう2つの代替案を出したということなので,100分の1を100分の2にするかどうかで,先生方の御意見を承りたいと思います。御意見いかがでしょうか。
 はい,内野委員。
【内野委員】  私立幼稚園の内野でございます。小規模の法人として,100分の1から記すというのはかなり厳しいというふうに思っております。ただ,どの基準をもって小規模法人とするかという,その基準を決めることがまた現実的じゃないというふうに思っておりますので,そういう意味であれば,ここで3,000万という数字も外れたことですし,全ての法人を,先ほどちょっと申し上げましたが,企業法人会計に合わせて100分の10という考えもあるでしょうけれども,そうなりますとちょっと公益法人としていかがなものかということもあるでしょうから,まずはここで100分の1だったところを,ここで動かすに当たって100分の2という基準にするのはいかがかという御提案でございます。
【黒川座長】  稲垣委員。
【稲垣委員】  100分の10ですか。
【畑参事官補佐】  我々は確認していません。
【黒川座長】  100分の10基準って。
【稲垣委員】  私も実は確認してなかったんで,そんな高かったかなって。総資産の100分の10といったら,めったに増減ないですよ。
【黒川座長】  ないですよね。ちょっと驚きなんですよ,私も。それはどこでお調べになりましたか,100分の10というのは。
【内野委員】  すみません,前鼻先生から伺っている話です。前鼻先生,いかがですか。
【前鼻委員】  すみません,ちょっと間違いがありまして,総資産じゃなくて科目の10分の1です。
【稲垣委員】  建物の10分の1というなら。
【内野委員】  なるほど。
【前鼻委員】  そういうことです。すみません。
 ついでに発言させていただきますが,結局,例えば,大学法人さんが幼稚園を持っていた場合に,そこで行われる科目10分の1というのと,それから,小さな幼稚園の10分の1となると,同じものを買っても,載るものと載らないものが出てくるということで,その記載に対しての不公平感があるんじゃないでしょうかという疑問でございます。ですので,総額が外れたんであれば,特に知事所管の学校法人さんにおいてはその辺が低いですので,なるべくそこまで手間を省いていただければなと,公平性を持って処理をできるようにしていただきたいということです。
 以上です。
【黒川座長】  前鼻先生,そうするとこの提案はどういうことになりますか。それぞれの資産の10分の1のほうに変えると。
【前鼻委員】  はい。それで特例を設定するということが。
【黒川座長】  そうすると2%という話じゃなくて。
【前鼻委員】  2%でもなくてもいい,1%,2%の根拠が何ともはっきりしないので,どちらがいいとは言えないんですよ。提示されて2%あるのであれば2%でもいいですが,どちらにしろ特例を設けていただきたいということです。
【黒川座長】  そうすると全法人ではなくて小規模法人,しかも小規模法人の定義は,知事所管のほうを小規模法人としてみなすということ。要するに,小規模法人の定義が難しいというふうに内野委員はおっしゃったんですけれども,小規模かというのを大臣のほうか知事所管のほうかということで分けましょうという合わせ技で特例。それで資産基準を取れば10分の1,それから,総資産でいけば1%じゃなくて2%と,そういう御提案ですか。
【前鼻委員】  小規模法人にというのは当初の中ではなかったんですけれども,そういうパターンもあるだろうなというふうには思いますが,もちろん。ですので,特段知事所管と全法人というふうに分けるのか分けないのかまでは,ちょっと私のほうも何とも言えないんですけれども,どちらにしろ特例を設けていただきたいというところだけは主張したいと思います。
【黒川座長】  佐野先生,ちょっと公認会計士の立場で,私も会計学者としてこういう御意見を承ってどきどきしているんですけれども,というかはらはらもしているんですよね。そういう議論をして会計基準を決めていってしまっていいのだろうかという思いがあるんですけれども,佐野先生,会計プロフェッションとして,何か個人的意見としてございますか。
【佐野委員】  私は,結論的に言うと,区分する必要はない,この問題に関してはね。もちろんほかの場面で言っている小規模法人特例というのは設けるべきところはありますけれども,この脚注問題についてはないと思っています。それは今,規模によって,例えば大学法人の附属幼稚園の額と,幼稚園単体の法人額では違うじゃないかというお話,確かに違います。でも,それぞれの学校法人としての全額の中での何分の1というもので法人運営を見ているわけであって,そのために私学法では部門計算は除外するわけですし,セグメント情報の中でも,単発的に大学だ,幼稚園だって出すことを避けているわけですから,比較可能性の問題をここで論ずるのはちょっと違うのかなと思うんです。
 100分の1というのは,じゃあ100分の1が慣例的にあって,100分の5がどうかとか,それから,例えば誤差率だったら100分の1ということは普通言わないわけです,前後5%とかやるわけです。でも,この100分の1というのがずっと踏襲されていて慣行化しているという実態を見ると,規模の比較を必要がないという前提で私は考えますので,ここをあえていじる必要はないというふうに思いますというのが個人的意見です。
【黒川座長】  ありがとうございます。どうぞ,内野委員。
【内野委員】  もともと私が前回2%にと申し上げたのは,今まであったルールの3,000万か1%の小さいほうといううちの,そっちの3,000が妥当かどうかというんだったら,その額を見直せばいいのに,そうじゃなくてそれを外すという話じゃないですか。片やそれを外すという話で,1%というのは妥当かどうかというのを,今,佐野先生おっしゃるように,慣例でずっと行ってきたことが踏襲すべきだということであれば,10分の1を課すのであれば,3,000万が妥当かどうかということで,額の多寡の議論から入らないと。
【佐野委員】  額の多寡から入ってしまうと,規模基準が全く違うことになっちゃうから,だから外したわけです。
【内野委員】  ですから,佐野先生,ごめんなさいね。分かっていますけど,それだったら,片や前例踏襲じゃなくて,片や前例踏襲という言い方がおかしいんじゃないですか。
【佐野委員】  新しい基準で100分の5がいいとか,100分の8がいいとか,100分の10がいいという,積極的に理論立てする資料がないわけです。
【内野委員】  じゃあ3,000万って今まで何だったんですか。
【佐野委員】  多分昭和46年当時に,3,000万ぐらいの増減だったらば,重要な資産の増減として評議員会の諮問を受けて処分しなさい,買いなさいということを表現化したものだと思っています。
【内野委員】  だったらその額は,今その額に合わせた妥当な額論から入るべきじゃないですかと。
【佐野委員】  妥当な額というのは,規模によって違うじゃないですか。
【内野委員】  規模によって違うかもしれない。だから,10分の1,1%かどちらか小さいほうという話になっているわけじゃないですか。片や3,000万という天井を外しておきながら,額の多寡の議論なしにですよ,抜きに,最初からなくす。議論した上で,それは合いませんから外しましょうということであればいいですけど,提案自体からなくすという話で,じゃあそんな簡単になくせるものであれば,1%というのも簡単に変えられるものじゃないですかという話です。片や簡単に変えられない,片や簡単に変えられるというのは,公認会計士の専門家の中では分かるんだけど,一般の人間にとっては分かりにくい。
【稲垣委員】  ちょっとよろしいですか。
【黒川座長】  はい,稲垣委員。
【稲垣委員】  我々の提案は,昭和46年当時と物価水準も大きく変わっているので,この3,000万基準というのは現状に即すると見直しがよろしいんじゃないかという提言であって,この3,000万基準は,どちらかというといずれか小さい額,だから,どちらかと厳しめの上限じゃないんですよ。それがなくなったということは,どっちかといったら救済されているわけです。
【内野委員】  そうですよね。
【稲垣委員】  なので,見直しの起点は3,000万の物価水準による見直しですけれども,基本はやはり一定の額にしちゃうと大きい規模の法人と小さい規模の法人では,その持っている意味合いが変わってきますので,だからやはり比率基準が望ましいけど,何らかの事情によって比率基準プラス何らかの措置をしたというのが,過去の3,000万基準の経緯だというふうに理解しています。
【内野委員】  すみません,だとすれば,その基準が今となっては妥当だったのかどうだったのかというところで,妥当じゃなかったと,その基準は……。
【稲垣委員】  いや,その当時は妥当だった。
【内野委員】  いやいや,今となってはもう妥当じゃない,基準の額じゃないですよ。この基準が妥当じゃないというところから話をしなければ。
【佐野委員】  でも,それだけ長い議論をする資料を得て,時間軸があれば十分議論できると思いますよ。他の会計はどうだとか,実際にどれぐらいの学校が100分の1,もしくは3,000万基準で幾つ,何億買ったもののうち幾らを注記しているのか,そういうデータ全部集めて,じゃあこういうオーソライズされた基準があるんだからこうしましょうということはできるかもしれないけれども,それをやる経済的なこの委員会のメリットがありますかということを考えると,今まで使ってきて不便がないものを使うのはいいことだなと思うんですよね。
【内野委員】  だったらその3,000万というのを残せばいいじゃないですか,額を見直して。
【佐野委員】  だから,それは今,稲垣委員がおっしゃったように,物価水準も変わったでしょうということと,それから,たしかこの3,000万云々とおっしゃったのは,私学の方からも意見が出たと思っていますので,あえてこれを残す必要はないという意味で,多分消えたんだと思いますよ。
【黒川座長】  これについては,僕の主張は,いた当時ですよね,3,000万にした。50年ぐらいたって。それでその間,この間事務局の,会計士協会のほうから,3倍ちょっとこの50年,そのぐらいしか物価水準上がってないのかと思いましたけれども,もうちょっと上がっているのかと思いましたけれども,それの修正でいけば1億円ぐらいにするというのも1つの案かなというふうに僕は思っていたんですけれども,事務局のほうはそういうふうには取らなかったんです。この間の3,000万円を外した理由をちょっともう一回,事務局言っていただけますか。
【篠原私学経営支援企画室長】  その3,000万について,物価水準で見直す必要があるというところで,見直すというかじ取りもできたと思います。ただ,これに関して,仮に1億にしたとして,それがどのくらい実質的に意味があるのかということと,じゃあその1億をいつ見直すのというようなルール決めなども難しい。本当に難しいと思いますので,それであれば,割合のほう,比率のほうの基準のみでいけるのではないかというところで提案をさせていただきました。なので,これが否の打ちどころがない案かと言われれば,そこはいろんな御意見があり得る案だとは思っています。
 以上です。
【黒川座長】  そういうことなんですね。だから,いつかまた見直さなくちゃいけなくなるのを,それはどうだという,そこの論理だったんですが,確かにこれを1億ぐらいにするというのは,会計士協会さんのほうの意見からすればそういうのもあり得るはずだったと思いますが,事務局はそうしたんです。また見直すのは大変だと。
【内野委員】  すみません,これ,考え方の変更ですからね。全部1%だけにするというのと,いわゆるある程度の,これ以上のものは書きましょうよというのをなくすという話は考え方の違いですからね。僕らにとってみると,公認会計士の皆さんは合理的だと思われることでも,この考え方の変更というのは,教育現場の人間にとってみると非常にばかな話で,文科省はどの大きさでも同じ,幼稚園では幼稚園教育要領をやれと言っているわけですよ。同じだけの教材も必要なわけですよ。そうなってくると,法人の大きさ関係なしに,学校というのはどこでも同じことをやらなきゃいけない。例えば,義務教育の小学校でいけば,当たり前のように文科省さんだって,小さな村でも横浜市のようなところでも同じレベルものを用意しろと言っているわけですよ。それが同じ学校法人だったら1%でいいよ,学校法人の大きさの割に1%でいいよなんていうのは誰も言ってくれているわけじゃないですよね。設置基準だって僕らは1%で済んでいるわけじゃ全くない。どこもそんなことはない。これでいくと,こんなことをまかり通してしまうと,一方であるように,経常費の補助金はいつまでたっても私ども幼稚園は,小学校の2分の1でしかもらえてないんですよ。そのときの,世の中がどんなに岸田総理が騒いで人件費を上げようと言ったって,処遇改善をしようと言ったって,いつまでたっても文科省は経常費の補助金で,小学校の2分の1しか予算取れないですよ。
 パーセントでいくと,額の差というのは毎年毎年大きくなってくるわけですよ。人件費どんどん上がっていって最低賃金上がっても,パーセントがずっと固定されると,額の差が大きくなっていく。こんなばかなことあるかというところを,みんな平場で思っているところで,こういうことをされてしまうと,公認会計士っていいよねという話ですよね。
【篠原私学経営支援企画室長】  ちょっとそこは論理の飛躍があるかもしれません。
【稲垣委員】  それはどういう意味ですか。これ,開示の基準ですよ。説明責任の基準ですよね。
【佐野委員】  そもそも3,000万と100分の1で……。
【内野委員】  だって,片やなくすことは妥当だとおっしゃっているでしょう,3,000というのを見直すんじゃなくて。なくすことが妥当だとおっしゃっている。
【佐野委員】  見直したっていいけれども,今のタイミング,このスケジュールの中でできますかということですよ。
【内野委員】  じゃあそこから入ればいいじゃないですか。
【佐野委員】  入れないですよ,この検討会で。終わりが決まっているから。
【内野委員】  いや,今,それを外すに当たって,こういうことがあったって,それを議事録に残してきちっと。これで議事録残ったと思いますけど。
【佐野委員】  いずれか少ないほうだから,3,000万円よりも100分の1が少なかったらば,100分の1から注記をしなければいけないわけですよ。その3,000万を除いたことによって,現場がどのような……。
【稲垣委員】  むしろ楽になるんですよ。
【内野委員】  いやいや,私たちは変わらないですよ。だから,それは前にお話ししたように,私たちは3,000万が抜けたからといって,1%が3,000万,要するに3,000万の100倍の資産価値を持っている法人しか救済されない。救済っておかしいですけど,緩和されない。
【佐野委員】  100分の1が200万だったとしましょう,例えば。そうしたら200万を書くというのは今も同じですよね。
【内野委員】  はい。
【佐野委員】  3,000万が抜けても同じなんです。
【内野委員】  同じです。だから,私たちは変わらない。
【南部委員】  ガバナンス的なことをおっしゃっている。大きいところは,これから10分の1,幾ら使っても審査いらなくなるんですよ。ある意味,審査というか,これに出ているようなそれぞれの事由でもって記載するようなことはね。大きいところは。
【佐野委員】  大きいところも10分の1でしょう。100分の1ですよね。
【内野委員】  100分の1ですね。でも今までだったら3,000万円以上なんです。
【南部委員】  100分の1だけれども,要するに大きいところで3,000万円を超えるような,1%の資産を持っているところであれば,それはよくなるわけですよね,何もしなくてね。
【佐野委員】  何もしなくて……,いずれか少ないほうです。
【内野委員】  いや,それは分かっていますよ。
【佐野委員】  3,000万だったら3,000万で書かなきゃいけないわけですね。
【内野委員】  恐ろしい認識の差だな。
【黒川座長】  分かりました。要するに,内野委員がおっしゃっているのは,大規模法人については,今回は緩くなったと。でも,小法人については全く手つかずだと。3,000万のね,よくなったものはないんだと。
【内野委員】  いや,考え方が,今までの考え方をね,3,000という考え方を,物価が3倍になっているんであれば,これからもその物価に合わせて何年ごとに見直していきましょうということで,例えば1億なら1億で仮置きをしてここで決めるということであれば分かります。分かるんですが,これをなくそうという話だと考え方が変わってくるんですよ。
【黒川座長】  事務局のほうはそうして,皆さんが緩くなるのでそういうのは賛成だというんで,ここは決めてしまったんですけれども,初めから会計士協会もそれは言ってなかったし,座長としても,それだったら物価水準変動で,そのぐらいで修正ぐらいにしておけばいいじゃないかということは,私として個人的には思ってはいました。
【佐野委員】  私も初めから外せとは申し上げていませんので,ちょっとその辺は。
【篠原私学経営支援企画室長】  なので,外すという提案は事務局からでした。ころころ変わるわけではないんですけれども,これを消すというところが,将来の効率的な対応としてはいいかなと思ったんですけれども,効率性よりは,考え方を維持して定額の基準とセットで合わせるべきだというところが結論に変わることについて,別に絶対駄目と言うつもりはないです。ただ,ちょっとやっぱり私自身納得できないなと思うところを言わせていただくと,100分の1というところで見なきゃいけないのは法人の規模,法人が持っているお財布との比率で見たときに,どのくらいのインパクトがあるのかというところを見ましょうという話なので,小さいところが100万円出すという話と大きいところが100万出すという話として見たときに違うよねというところは,この100分の1の基準でそれぞれ見ていけると思うので,この比率で見るということ自体はいいんじゃないかなと。そこに定額の基準を設けるべきだというところが,結論として妥当ということであれば,定額の基準について物価水準にスライドするでも構わないです。
【内野委員】  すみません。基本的に3,000万円という基準を外すということについて,そういった定額の基準を外すということについて,私は反対ではないんです。ただ,これが外すことありきでいくことの議論が,結果としてそうなったと。私たちは変わらない。変わらないですよね,当然1%。これを私たちのステークホルダー,私どもの団体のステークホルダーには説明できない。御納得いただける自信がない。
【佐野委員】  よろしいですか。ということは,事務局で今おっしゃったように,3,000万基準を今の物価の基準に合わせて,例えば1億にしてはどうかというような提案,100分の1は残して提案をしていただいて,それについてどうかということを話し合って,合意すればいいんじゃないのということですよね。
【内野委員】  はい。端からなくすという,このパーセントは変わらないよということ。それからあと,すみません,例えば法人の規模からして健全性を見るということであれば,それぞれの法人の,そもそも財務諸表を全部それぞれの法人ごとでまとめて出せばいいじゃないですか,セグメント情報なんか出さないで。いや,法人の規模だけを,1%でいいじゃないかという根拠は,それぞれの法人の健全性の中で見るんだったら,例えば大学校法人のやっている附属幼稚園さんと,単立法人の幼稚園が同じものを買っても,それが1%以下であるか,それが10%ぐらいに当たるものであるかというところで,法人としての信用度があるから,それでいいじゃないかという考え方であるんであれば,取りまとめて皆さんに法人の大きさだけ出して,セグメント情報なんかやらないで,法人の大きさだけ出して御信用くださいという発表の仕方じゃいけないんですか。
【篠原私学経営支援企画室長】  セグメント情報を出さないという点はノーと申し上げたい部分になります。
【内野委員】  ですよね。どう考えたってそうですよね。
【佐野委員】  セグメント要らないんじゃないかとおっしゃっていますか,今。それはもうお話が終わったんでしょう。
【内野委員】  それは終わっていますよ。だから,それで今度,いわゆる10分の1というところ,これは今度は額の上限を外して,法人の規模に対する1%だったら信頼できるんじゃないかと。
【黒川座長】  畑さん。
【畑参事官補佐】  これ,固定資産明細書の話で,貸借対照表に載っている固定資産をどれぐらい細かく見るかという話だと思うんです。それを今までは100分の1,つまり,ここに書いてありますけれども,100億円の場合1億で,つまり明細書に出てくるのがマックス100個なんですよ。マックス100個の固定資産について明細を書くというそういう仕組みになっていて,これを例えば2%にするとマックス50個になるんです。それが固定資産明細書としてどこまで細かく見せる必要があるのかという観点が必要じゃないかと,まず思います。
 あとは3,000万か,前回いただいた意見だと2.3倍上げているんですかね,物価水準が。じゃあその水準に合わせるというんだったらそれはあれですけど,じゃあ毎年変えて,5年に1回変えて,学校法人側が混乱しないのかというのはあると思うんですよね。そういうことを考えると,額の規定を今回外すというのはパーセントでやればいいですから,負担の軽減になるんじゃないかというふうに考えていたところではあります。
【内野委員】  考え方の根拠を分かりやすく書いていただければいいんです。分かりやすく出してください。これを外すことを……。
【今井専門職】  補足しますけれども,負担軽減という面が前面に出ているわけではなくて,先ほど補佐も申しましたように,法人全体の貸借対照表の明細書類としての位置づけの固定資産明細書ですので,まず入り口として,法人全体の固定資産の状況がどうかという部分を表す書類という位置づけでございます。こちらはもちろん今,助成法の中で作っていただいているものと変わらないところでございます。ですので,まずその入り口として,大規模なところの中の幼稚園,単体の中の幼稚園というような横並びではなくて,法人全体の100分の1というところも勘案した上での事務局案として,100分の1だけ残させていただいたというところがございまして,ちょっとそこの御説明が足りてなかったかなというところで補足させていただきます。
【内野委員】  私立幼稚園の内野でございます。よく分かりましたし,分かっています。それはよく分かっていますし,度重なる御説明,よく分かりました。分かりました。であれば,今までの3,000万円は何だったんだというところをきちんと御説明いただいて,それが不要なものであって,これは意味のないことであったのでなくすと。どういう意味で50年前につけたか分からないけれども,何のために存在していたのか分からなかったことを綿々と50年ですか,続けていたのでここでやめますということを,この資料の中に載せていただきたい。そうじゃなければ,どうしてそんなにここまで,今まで各法人さんを縛ってきたものが急になくなるんですか。じゃあ今までどういう根拠で縛ってきたんですか。それは公認会計士協会としてはどう思われますか。
【稲垣委員】  よろしいですか。当時の経緯は知る立場にありませんけれども,今回,従前は助成法の目的で作っていた資料が,今回開示目的になった。助成法目的ということは,補助金行政上の問題ですから,ある程度細かな情報も欲しいという考え方が根底にはあったと思います。
 一方,開示目的になったときには,財務情報の利用者の理解に即せば,ある程度の簡素化なりというようなことは当然視野に入れて考えていいんじゃないかという中で,我々は従前の考え方は踏襲するとしたら,物価変動もあるから上げることも検討の余地があるんじゃないの。その先は言っていませんでしたけど,本来,規模の大小に関わらず,公平な基準は定率基準なんですね。大きい法人であれ小さい基準であれ一定率で,それに対して,どちらか小さい額というのは,一定の目的が何らかあって,それじゃあ大き過ぎるからかませようということで入ってきたんだと,これは勝手な私の推測ですけど,そこは大きな方向性の変更が大前提にあってこうなるという,考え方は1つあり得るというふうに私は思います。
【内野委員】  腑に落ちました。
【黒川座長】  稲垣先生,ありがとうございました。
 僕の師匠がつくった頃,僕によく言ったのは,その頃50年ぐらい前,丼勘定だったんだよと。だから,それを何とかその頃は是正をしたい,要するにガバナンスをきちんとしたいと。そのときに,特にその当時は固定資産に対してどのぐらいお金を使ってしまうかとか,そういうのが大きかったんでしょうね,無駄遣いというか。それで規模基準だけじゃなくて,その当時,村山先生もいらしたし,3,000万ぐらい超えたらこれは絶対に出して,文科省のほうにちゃんとガバナンス上,無駄遣いしていないよということを示すということもあったのではないかと私は推測します。師匠がよく言っていましたが。
 それがそのまま続いてしまったというのは,これはよくあることですよね。殊さら何か問題がなければそのまま続いてしまい,あるいは,それを改正するためのこういう委員会がなければ,こういうのは続いてしまうわけですよ,一旦決まったら。それでみんなそのうち忘れてしまうと,何だったのだろうかと。そういうことだけの話であったと。
 ですから,これが無駄であったということを書けと言われると,私,愛弟子としては非常につらい。座長はやめたいくらい。だって自分の師匠がその当時どういう思いであのときつくったのかというものを,無駄であったということは書けない。書きたくないです,個人的には,感情的に言いますけれども。
【内野委員】  すみません,今,稲垣先生の御説明で腑に落ちましたので,ここで私学法に依拠した基準に変えるに当たって,改めて見直すに当たって,最も公平である定率制のみということに変わるということで,私としては納得いたしました。
【黒川座長】  ということで,ではよろしいですか,1%ということで。
【内野委員】  はい。
【黒川座長】  定額基準のほうは廃止ということでよろしいですか,そのままで。
【内野委員】  はい。
【黒川座長】  分かりました。ありがとうございました。
 それから,借入金の修正項目に,これは佐野先生が特に,佐野先生と言いませんけれども,増加,減少欄は入ったほうがいいよという御提案があって,皆さん,あのときもそのほうがいいかという意見があったと思うんですが,確認でしょうかね,ここは。修正案というのはこの間入っていなかったんだけれども,増加,減少の欄も付け加えたほうがいいという。
【篠原私学経営支援企画室長】  もともと入っていました。ここはなくてもいいんじゃないかという御意見もいただいてたんですけれども,やはり残す形でどうかということで。
【黒川座長】  復活したわけですね。この修正案については,要するに残すということで,皆さん御賛成でよろしいですか。
【内野委員】  すみません,私どもは今日意見出させていただいたように,ミスリードされるおそれもあるので,増減は要らないのではないかというのが主張でございます。
【篠原私学経営支援企画室長】  ミスリードというのは,具体的にどういうことが。
【内野委員】  借りて返すというその中でのことがこれだと出てきてしまうので,そこについては増えているという,期首と期末であればそこが相償っているところであったりとか,そのこと自体,理事会や評議員会の,それぞれの学校法人による規則によりますけれども,寄附行為にもよりますけれども,多くのところで多くの私たちの仲間の中では,期内の借入れについては,短期については諮る必要がないと。理事長の判断でできるという運用をしているところが多いと思いますので,それが全て数字として残ってくるというところについては,当然財務計算書類の中には出てきますけれども,これが一般に保護者の中に公表される可能性があるということになると,ちょっと借りて返してというのが何なんだということが起きてくるかなと。
【嵯峨委員】  よろしいですか。多分これ,普通にやっていると,増減は書いたほうがいいと思うんですけど,多分ミスリードという話をすると,ちょっと悪意を持っている人が,やっぱり自転車操業的に見ていくんだと。ちょっとそれっぽいことをやられたことがあるんですけど,そこは多くなるわけじゃないですか,そこの部分。そうするとSNS上で,ここは自転車操業なんじゃないかみたいなことを言ってくるような人も,可能性としてはあります。ただ,普通にやっている分には,やっぱりこうして数字に出したほうが健全なんだとは思います。
【黒川座長】  そこのところに注みたいなことで,ここがこういうふうになるのはこういう理由なんですよと。要するに,学校ってみんなそうですよね。大体資金繰り,資金の流れが普通の企業と違いますから。だから,それはちょっと1行入れておけば救われるというか,ミスリードはされないということになりそうですよね。ちょっと書いておけば。
【嵯峨委員】  ただ,悪意のある人はそれは転記してそこは省いて流すんで,一般的にはそれで済むと思うんですけど。
【黒川座長】  そこ,悪意ということを考え出すと……。
【嵯峨委員】  そうなんです。だから,しようがないことではあるんですけれども,ただミスリードという意味はどういうことかと言われれば,そういう可能性を含んでいますよということです。
【黒川座長】  そうだとすると全て。
【嵯峨委員】  そうなんです。だから,書くのはあれですけど,今ミスリードという話をされたんで,そういう可能性がありますよと。
【黒川座長】  なるほどね。徳田委員,どうぞ。
【徳田委員】  私は専門的に,短期という定義というのはどうなのかというのが1つあるのです。期中で返したものを期中で借りて返す。決算書の資金収支上では総額では出てくる可能性がありますけど,貸借対照表には出てこないです,当期と同様に。固定資産借入金明細書の中に,この短期という定義をどうするかというのは,また別問題かなという気がするのです。今おっしゃっているのは,期中で借りて期中で返した金額が,当期増減,当期減少に出てくるから嫌ですねというお話です。ですけれども,資金収支計算書は多分その中から出てくるのだろうと思いますけれども。
【内野委員】  それはそうか,期中であればここには出てこないんですね。
【徳田委員】  ここにおける定義というのは,借入金明細書というのは,短期借入金の短期という,我々専門的に考えると,期をまたぐということを私は1つ思っているんです,短期というのは。
【篠原私学経営支援企画室長】  短期は、期をまたぐ?
【徳田委員】  3月の決算をまたぐ。今年借りて来年返します。
【佐野委員】  5月に借りて9月に返すのは短期じゃないとおっしゃるの。
【徳田委員】  短期というのが,期中借入金という考え方が。短期というのは。
【佐野委員】  貸借対照表上の短期はおっしゃるとおり,期末時点でどう短期かといえば翌年末までですよね。
【内野委員】  翌年末までの数字ですね。
【佐野委員】  でも,短期借入金というお金の出し入れから考えると,借入契約をするわけですから,借入期間で期中に,例えば4月に借りて9月に返すという6か月物であっても,これは短期借入金を借りました,返しましただと思っていますので,それを短期じゃないというと何と言ったらいいか分からない。
【徳田委員】  結局,例えば長期借入金から当期減少というのは,長期から来年返しますよといって3月末に持ってきています。
【佐野委員】  これは1年以内返済ですね。※印付ですね。
【徳田委員】  その辺の議論がこのまま行くとすれば,幼稚園法人さん,いろんな資金繰りの中で,期中で借りた分については,例えば記載しないという方法がいいのかなと。
【佐野委員】  短期の概念は申し上げたとおりだけど,もしかして誤解というか,過去の例で議論があったことをちょっと思い出したのは,手形のジャンプというのがありました。これは手形3か月しかやりませんよ,うちの銀行はと。そうすると同じ借入れ目的で,要するに,同じ3か月という期間で,年間4回ジャンプをするという,これを短期借入金の明細に載せる載せないという議論はありました。そうすると同じ借入れ目的で,たまたまといいますか銀行との取引で,手形が3か月物でしか取引しません,ジャンプします,消費者じゃありませんとなったときに,4回書かなきゃいけないんですか,それとも1回といいますか,いいんですかという議論は昔ありました。でも今,手形のジャンプというのはあまりないですからね。
【内野委員】  あまり聞かないから,それはないかもしれない。定額ローンみたいなものも昔ありましたよね。5,000までは何かとか。
【佐野委員】  そういう意味での誤解といいますかなにかあったかもしれないなと。過去の話ですが。
【内野委員】  今,私たちぐらいの法人だと,今はちょっとよくなってきただろうけど,コロナの頃に,附帯に関わることが事業で全くできなくなって,短期で借入れをして,経常費の補助金が出てくるまでの間,借入れをしてなんていうことがあったので,かなりひどく転んでいたんですね。それはどこを見ても,大体幼稚園単立法人なんかはかなり厳しい。それは全法人そうだと思いますけれども,体力のないところはそうだったと思います。そういうところを見ると,本当に4月に借りて12月に返すみたいなところが結構あって,期首と期末はそんなに大きい借入れになってないですけど,期首残高も期末残高もそんな大きくないくせに間ですごい膨れ上がってしまうという,何だそれはみたいなことがあって,だからちょっとそういうのも,嵯峨先生がさっきおっしゃったように,出たときにいろんな言われ方をされかねないなというのがあって。
 期首と期末の中で相償っている,それが分かればいいのじゃないかなと。それぞれの増と減を両建てで書く必要は,公表資料に関してはですよ,いいんじゃないかなというふうに思うんですが,いかがなものなんでしょうか。
【篠原私学経営支援企画室長】  そのリスクもある中で,どこまで開示するのかという,そこはバランスだと思うんですけれども,あるかないか分からないリスクがあるからやらないというのは,なかなか世間に対しての説明が難しいというのは,こちらの感覚としてございます。あとは事実をなぜ出せないのかというようなところも,ちょっとこちらからはうまく説明ができない部分というのは正直ございます。
 悪意ある人は,誰に対して何するか分からないというような部分はあるんですけれども,この当期増加,当期減少ぐらいは併せて出すというところで,妥当な範囲ではないかなというふうには思っております。
 今,幼稚園という個別の話で申し上げれば,ネットに載せなきゃいけないというところがあるわけではないんですよね。見に来た人に対しても,利害関係で見せなきゃいけない人かどうかというような判断をする余地もある。となると,我々が出してくださいと申し上げている大学,短大とかそういうところに比べると,リスクはかなり低いのではないかと思うんですけれども。なので,この案でいかがでしょうかというのが私の考えですけれども。
【内野委員】  分かりました。
【黒川座長】  ということで,かなり篠原室長と混戦に近いわけですけれども,まあ,納得していただいたということで,これについては全員賛成ということでいかがですか。ありがとうございます。
 本日は,議事,財産目録があるんですけれども,もう3時間を超えていますので,大変委員の方も,私自身も疲れましたし,大体議論が長くなると生産的じゃない,よくないんですよ。ですから,今日はここまでということにさせていただいて,今日のところは賛成がみんな得られたということについては,また畑さん,確認をしてくださいね。
【畑参事官補佐】  はい。それでは,資料3-1のところですが,固定資産明細書については,増減理由の記載判断基準については資産総額の100分の1とする。それから,3,000万を超える場合というのは削除,廃止すると。それから,借入金明細書につきましては,案のとおり了承されたと考えております。基本金明細書のところは次回に回すというふうに,次回,お願いいたします。
【黒川座長】  はい。それから,セグメントのところは何も決まらなかったんですかね。
【畑参事官補佐】  セグメントのところは次回また。
【黒川座長】  そうですね,また次回ということでございます。
【畑参事官補佐】  次回の日時について。公開する議事録につきまして,冒頭でも申し上げましたけれども,確認をお願いすることになるかと思います。
 それから,次回の検討会は10月20日金曜日,14時から開始とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
【篠原私学経営支援企画室長】  ありがとうございました。
【黒川座長】  それでは,第5回学校法人会計基準の在り方に関する検討会はこれにて終了します。各委員におかれましては,御多忙中にもかかわらず,また長時間にわたって,予定時間を超えまして御協力いただきまして,どうもありがとうございました。お疲れさまでした。では,また元気に1か月後,お会いいたしましょう。

―― 了 ――

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