モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(第3回)議事録

1.日時

令和4年5月11日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. モデル・コア・カリキュラム(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

出席者:伊藤委員、江藤委員、小川委員、北村委員、栗原委員、齊藤委員、嶋田委員、永井座長、奈良委員、羽鳥委員、前田委員、俣木委員、三浦委員、南委員、門田委員、柳川委員、山口委員

5.議事要旨


【永井座長】  皆様,お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまからモデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会第3回を開催させていただきます。本日の有識者会議は傍聴者にYouTubeにてライブ配信をしております。
 まずは事務局から本日の出席状況,配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 本日,北川委員,福井委員より欠席の連絡を受けており,委員17名の出席となっております。またオブザーバーとして,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会の座長である井上先生,厚生労働省医政局医事課より山本課長,歯科保健課より小椋課長に出席いただいております。また説明者として,医学調査研究チームの座長である小西先生,歯学調査研究チームの座長である河野先生に出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料については会議次第に記載のとおりでございます。事前にメールにてお送りしておりますが,不足がある場合は事務局にお知らせください。なお,資料につきましては文部科学省のホームページでも公表する予定です。
 また,本日の議題は会議次第にありますとおり,1.医学/歯学教育モデル・コア・カリキュラム(素案)について,2.その他となっております。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 では議題1,モデル・コア・カリキュラム(素案)について,医学教育と歯学教育の各チームからそれぞれ御説明を頂きたいと思います。質疑応答の時間は両チームの説明が終わった後に取ることにいたします。まず医学教育について,調査研究チームの座長であります小西先生から御説明をお願いいたします。
【小西調査研究チーム座長】  永井先生,ありがとうございます。
 
 医学の調査研究チームの小西靖彦です。前回の委員会で基本方針をお認めいただき,令和4年度のコアカリ改訂の素案を策定いたしました。その概要について御説明いたします。
 お認めいただいた基本方針はここに掲げた7点でございます。この方針に基づいて作成したコアカリ素案の概要について本日お伝えいたします。
 令和4年度の改訂版では10の資質・能力を掲げています。総合的に患者・生活者をみる姿勢,情報・科学技術を活かす能力など,新たな視点を前回お認めいただきました。後ほど詳しく御説明申し上げますが,資質・能力の学修目標は4層に統一し,平成28年度版と比べて階層性を分かりやすく提示しています。
 改訂コアカリの素案は資料1-2として皆様にお渡ししております。第1章に資質・能力を掲げて,第2章にその資質・能力ごとの学修目標を記載しました。本日お示しする第1章,第2章の素案では,本文が53ページ,別表が57ページの構造になっております。10個の資質・能力は学修目標の属性と階層性を分かりやすくするために,アルファベット2文字,例えば一番上にありますプロフェッショナリズムはPRというふうに,アルファベット2文字で表しております。
 第1章には資質・能力ごとに簡潔に説明文を記載しております。右にあります第2章の学修目標のスライドではプロフェッショナリズムのところを抜粋しておりますが,第2章のPR-01,3層目にPR-01-01,さらにドットがついております4層目としてPR-01-01-01という形の層構造としております。
 なおコアカリ本体は,この後に学修方略と評価,及び診療参加型臨床実習実施ガイドライン,これはまだ仮称でございますが,などが続きますが,本日は第2章までを御検討いただきたく,方略以降は次回の連絡調整委員会でお示しする予定にしております。
 それでは,学修目標における4層構造について少し詳しく説明をいたします。今回は「患者ケアのための診療技能」,クリニカルスキルの訳でCSと第1層を名づけました資質・能力に簡略な説明を第1層につけております。矢印があります第2層,ここでは「CS-05,医療の質と患者安全」を例に挙げますが,この第2層が掲げられ,第2層にも説明文が付記されます。この次の第3層として「CS-05-01,医療の質向上」,またその次に「CS-05-02,医療従事者の健康管理」などが続いてまいります。4層目は,例えばCS-05-02-01の部分では,医療従事者に求められる健康管理(生活習慣改善など),また職業感染対策(結核スクリーニングなど)を実践するという,「動詞」を含んだ学修目標の形にいたしました10の資質・能力全てにおいてこのような4層構造を適用して,統一して見やすい学修目標を目指しております。
 資料1-2の57ページ以降は別表の構造を取りました。このスライドでは別表1の疾患を示しております。平成28年度版のコアカリのDの部分あるいはEの部分などの学修目標の中に羅列されていた疾患を別表化して見やすくするとともに,重複についても検討を加えました。また,右にあります基本的な疾患を黒丸で示すようにしております。現状では192の基本疾患が挙げられております。
 平成28年度版のコアカリで,呼吸器系,神経系あるいは皮膚系などというような個別に本文記載がされていた系統別の表現を,ここにありますように機能と構造,症候,さらに下に続きまして検査方法や特異的治療というものがございますが,これをそれぞれの臓器系に別表2から別表21にまとめております。
 そのほか主要症候や主要な臨床・画像検査,基本的臨床手技,そのほかに基本診療科なども別表として記載いたしました。
 3つ目の基本方針,制度改正等の整合という部分では,共用試験の公的化を受けて,厚労省から発出された政令に沿い,コアカリでは臨床実習ガイドラインに記載を行う予定にしております。また今回のコアカリでは国家試験との整合についても検討を加えました。厚生労働科学研究「医師国家試験出題基準の改定に向けた提言のための研究」,この研究で示された提言を基盤として,学修すべき疾患の適正化を図っております。国家試験の出題基準は今年度に改定作業が行われます。今回の改訂コアカリが適用される学生が卒業して国家試験を受ける時期を想定しつつ,コアカリと国家試験の出題基準は同じ方向性を持つように,これから協働していくことが必要であると考えております。
 学修すべき疾患の適正化についてもう少し詳しく説明をいたします。先ほどの厚生労働科学研究で6名の評価者が,下にある表に示しますA・B・C・削除のレベルづけを行っておりました。Aはプライマリ・ケア領域で頻度が高い病態・疾患,あるいは緊急対応が必要な病態・疾患です。Bは卒後の臨床研修で経験すべきもの。Cはそれ以上の研修以上のレベルというものであります。今回,私たち研究チームではこれをスコア化して,重要度を再評価いたしました。カット・オフの値を13点以上,この13点と申しますのは評価の平均がBの2点を超えるものということになります。この13点に置きますと540疾患が挙がってきました。少し安全を取って,やや緩めの11点をカット・オフとすると780という形になります。
 この余裕を持ってカット・オフを取った780疾患をまず基礎に置いた上で,私たち研究チームが次の2点を再検討しました。1つ目は,改めてコアカリにない重要疾患が本当にないのかどうか。もう1点は,11点未満であっても削除対象としないほうがよいものがあるのではないか。これについて再検討して,確認・精査作業を行いました。スライドの下に記載した判断基準を用いて,レベルA,医学部6年間で必ず身につけるべきと過半数の委員が判断したものを採用しております。その結果,コアカリに記載される疾患はおよそ650程度となっております。
 今回の改訂において,そのほかに私たちが改めて確認したことをお伝えいたします。まず,コアカリが6年間を通じてのものです。今さらということでもありますが,コアカリが臨床実習前の共用試験の出題基準となっていることがございますので,4年生の能力を記載する認識が一部にございましたが,卒業時のアウトカム,能力を基準としていることを再度確認したところでございます。この点に関してはCATOとも話し合って共有いたしております。
 次に,大きく記載の方法,構造を変えましたので,平成28年度版コアカリの学修目標との対照表を作成することにしております。令和4年度版との相互位置関係を明示して,混乱がないように努めてまいります。
 また略語集を掲載するとともに,学修目標の記載における「動詞」の選定について検討を加えました。いわゆるdoes,行うというレベルの「実施できる」という動詞とか,show howのレベルの「実演できる」なども動詞の使用法の一例です。従来コアカリに使用されていた知識における「説明できる」あるいは「概説できる」というのはなかなか区別がつかないという意見もあり,教育学の専門家とも相談して,「理解している」という動詞を使用することにしました。その中で「概要を理解している」という表現も使い,「理解している」の理解の深さに強弱をつけることとしております。
 方略と評価の章はまとめて記載する方向で動いております。特に知識以外での資質・能力のグッドプラクティスを記載するという考えで進めております。
 ここからの6枚のスライドは,それぞれの資質・能力に関する改訂案の姿勢と特色をお伝えいたします。時間の制限もございますので,下線の部分のみお伝えすることをお許しください。
 「総合的に患者・生活者をみる姿勢,GE」では,全人的な視点とアプローチ,臓器横断的な診療に関する学修目標を充実することとし,地域におけるプライマリ・ケアに関する学修目標を重要視しました。
 「科学的探求」では,研究者育成の視点の充実というコンセプトに基づいて,医学研究の重要性,リサーチマインドの醸成という観点から学修目標を追加いたしました。
 「PS,専門知識に基づいた問題解決能力」,これはいわゆる知識領域ということになりますが,本日既に様々な変更についてお伝えいたしました。ここで改めてお伝えしたいことは,令和3年度に提示して御審議いただいた感染症教育に係る記載を大幅に変更して,充実化を図っているところでございます。
 「IT,情報・科学技術を活かす能力」では,情報・科学技術の進歩への対応はもちろんのこと,それに伴う倫理を重視しました。20年後以降の社会を想定して,スライドに掲げた3つの観点,倫理観とルール,情報・科学技術の原理,そしてその応用という学修目標を設定しております。
 「CS,患者ケアのための診療技能」では,診療の実践という観点の下,4つの学修項目,「患者の情報収集」「患者情報の統合,分析と評価,診療計画」「治療を含む対応の実施」「診療経過の振り返りと改善」の4つに整理して,診療技能という言葉の内容を明確化しました。また,安全で質の高い医療の実践が学修目標であることを明確化したところです。
最後の「SO,社会における医療の役割の理解」では,社会の構造や変化から医療を捉える観点から,自然災害や新興感染症の際の医師の役割,また社会科学の視点から,国際的に取り組む必要のある医療・健康問題などを重要視しております。
 以上,駆け足で恐縮ですが令和4年度改訂版素案の概要について御説明をいたしました。御審議のほど,どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【永井座長】  小西先生,ありがとうございました。続いて歯学教育について,調査研究チームの座長の河野先生から御説明をお願いいたします。
【河野調査研究チーム座長】  永井先生,ありがとうございます。
 画面を共有していただいているので,それでは素案の概要について御説明をしたいと思います。
 改訂の基本方針としましては,第2回の連絡調整委員会でお示ししましたように,アウトカム基盤型カリキュラムへの深化,カリキュラムの構成の変更,「超高齢社会への対応等」社会のニーズを踏まえた学修目標の見直し,診療参加型臨床実習の充実による資質・能力の向上,医学・歯学・薬学のコアカリの一部共有化,最後に学修目標の総量の適正化の6つを挙げて,各大学・各施設がこのコア・カリキュラムを利用してカリキュラムやシラバスの作成に活用できるような構成がどのようなものかということを検討しながら,素案の作成を行いました。
 素案の構成はスライドに示しますように,平成28年度版「歯科医師として求められる基本的な資質と能力」を,第1章に「歯科医師として求められる資質・能力」として独立させ,第2章には第1章に示した資質・能力を獲得するための学修目標を示す構造としております。これは医科と同じような構造になっております。
 アルファベットで示した大項目はスライドに示す6項目に見直し,学修の順位性を考慮して,「生命科学」「歯科理工学」「社会と歯学」「臨床歯学(知識)」「臨床歯学(診察・診断と治療技能)」と変更しました。
 これから各項目について詳しく御説明します。
 まず第1章の「歯科医師として求められる資質・能力」ですが,生涯にわたり研鑽して獲得する医療人としての資質・能力と位置づけて,将来の歯科医師像を明確に示しました。また,第1章の資質・能力と第2章の学修目標の関連性を表で示し,学修目標と涵養する資質・能力が把握できるように工夫しました。
 先ほど小西先生からも御説明がありました,第2回の連絡調整委員会でお認めいただいた10の資質・能力を第1章に示しています。黄色く示したところが平成28年度版とは異なっている資質・能力です。平成28年度版の「A,資質・能力」にあった学修項目は第2章に移動しました。
 スライドには資質・能力のうちのプロフェッショナリズムの記載例を示します。一番上にまず獲得すべき資質・能力をタイトルで示し,その下に平易な文章でその能力の必要性と行動の内容を示しました。そのさらに下に片括弧で臨床研修との連続性を考慮して,学部卒業時に具備すべき資質・能力を到達目標として記載し,歯学生の歯科医師としての第一歩の道しるべを示しました。
 第2章では具体的な学修目標を示しましたが,ここでは医学教育のカリキュラムのように大胆に変更して資質・能力ごとに記載するのではなく,学修者・教員などが活用するという視点から,今回は平成28年度版の記載方法を踏襲することにしました。
 素案では第1章で資質・能力の到達点を示したことから,ここでは学修の順位性を考慮して,大項目の「生命科学」を最初に移動させ,「生命現象の基本的知識並びに病因や病態解析に必要な知識を修得し,医療の提供や発展に必要な考え方を身につける」という学修の目標を示し,臨床歯学の学修の基盤となることを明示しました。全ての学修項目は表現の抽象度をできるだけ統一して,歯学生が最低限身につけていなければならないものは何かという視点で,具体的に学修内容が分かるように見直しを図りました。また,大項目「社会と歯学」「臨床歯学」との重複を検討し,適正化を図っています。
 大項目Bの表題は平成28年度版では「歯科医療機器(歯科材料・器械・器具)」でしたが,生命科学,歯学といった学問名になっていないという指摘がありましたので,他の大項目の表題と表現を統一するために,歯学領域では一般的な「歯科理工学」と改めています。ここでは歯科材料と歯科用機器に必要な知識を修得し,医療提供の発展に必要な考え方を身につけるという学修目標を新たに設定しました。学修の中項目を,材料の基本的物性,ここでは生体の物性も含んでいますが,次に歯科用材料,歯科用機器の3項目とし,記載を充実するとともに,昨今のデジタルデンティストリーの普及に応じた学修目標を追加しております。
 大項目の「社会と歯学」では,「適正な歯科医療を提供するために,歯科医師に求められる倫理的・法的・社会的知識と態度を身につける」という学修目標に変更し,平成28年度版の「A,歯科医師として求められる基本的な資質・能力」の学修目標をこの領域に移動して,整理を行いました。また,情報リテラシーに関しましては,中項目に「保健医療情報リテラシー」を追加して,医学・歯学・薬学の共通の医療の質の向上を目的とした数理・データサイエンスの学修目標を設けました。さらに平成28年度版「臨床歯学」の中にあった法律・制度関係の学修目標を「C.社会と歯学」の項目に移動して,整理を行いました。また,平成28年度版の中項目「歯科による個人識別」の項目を「法歯学」と改め,新しい学修目標を追加し,歯科医師の社会での役割の学修を充実しております。
 平成28年度版の「E,臨床歯学」「F,シミュレーション実習」「G,臨床実習」の学修目標を大きく見直しまして,「D,臨床歯学(知識)」「E,臨床歯学(診察・診断と治療技能)」に変更し,知識と技能・態度に分けて学修目標の整理を行いました。項目立ては臨床の一連の流れに準じたものとし,中項目の「診察の基本」「基本的診察,診断技能」「頭頸部領域の正常と異常」「診療記録の整理と治療計画の立案」「基本的臨床技能」,それと「多職種連携,チーム医療,地域医療」の順といたしました。まずは歯科専門治療を学んだ後,チーム医療,多職種連携を学ぶという順番を考えてみました。
 新たに「臨床歯学」の中に「D-2,基本的診察,診断技能」の中項目を追加し,「患者から症状や異常を聴取し,適切な診察や検査を選択して診断するプロセスとその知識を身につける」という学修の目標を定め,「F,臨床実習」にあった知識の学修の目標を移動して,加除修正を行いました。また,検査・診断の学修を充実するために,横断的に知識の統合を図る小項目「基本的診断(臨床推論)」を新規に追加いたしました。
 そして治療法については「基本的臨床技能(各論)」にまとめて,学修目標を記載しています。さらにチーム医療,地域医療の項目は,現在の医療の状況を鑑みて,「多職種連携,チーム医療,地域医療」と改め,医科との連携だけでなく,歯科衛生士,歯科技工士,歯科専門職との連携,それと他の医療・福祉の専門職を含めた連携として学修目標を追加しております。
 平成28年度版の「F,シミュレーション実習」「G,臨床実習」の2つの大項目を統合して,「E,臨床歯学(診察・診断と治療技能)」の大項目にまとめ,中項目,小項目を「D,臨床歯学(知識)」の中項目,小項目に合わせました。ここではDの領域で知識として学修した内容をEの領域でシミュレーション実習を経て,診療参加型実習で経験することを前提とした学修目標に見直しました。臨床技能の学修目標については,医療系大学間共用試験実施評価機構の歯学系OSCE実施小委員会作成の診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学修評価項目と,令和2年歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキング報告の中にある歯科医師臨床研修の到達目標を参考にして,学部教育と臨床研修の連続性を考慮した見直しとなっています。
 「医療安全・感染対策」では,個人用防護具の着用,医療廃棄物処理の学修目標の追加。「基本的診察・診断技能」では,高齢者に対応するために診察・検査,全身状態の把握,基本的診断(臨床推論)の学修項目を追加しています。前回の連絡調整委員会でも,学修した知識との統合を図ることが重要との御指摘を頂きましたので,Eに「症候・病態からの臨床推論」の中項目を設けて,「口腔・顎顔面の主な症候から病態生理学的に発症原因を推論し,分類,鑑別できる基本的な能力を身につける」ことを目的とした学修目標を追加いたしました。
 以上,簡単ですが,素案で大きく変更した部分を中心に御説明をいたしました。忌憚のない御意見を頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【永井座長】  河野先生,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの医学/歯学コアカリ素案について御質問等ありましたら御発言をお願いいたします。オンラインですので,初めに御発声いただいて発言に移るか,あるいは手を挙げるボタンをお使いください。いかがでしょうか。
 山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。2つほど医学教育のほうで質問したいことがございます。
 まず11ページで,今回,法改正によって医行為を行うということで,医学生が臨床実習において行う医業に関する政令に沿ったコアカリの記載ということで診療参加型臨床実習実施ガイドラインということが書かれているのですが,これはどこで作成されて,全国医学部全て統一されるようなガイドラインになるのかどうかをお聞かせいただきたいということが一つです。
 もう一つは14ページで,コアカリ改訂における方針(その他)ということで,一番最後に方略及び評価の章として2つ目のポツで「特に知識以外の資質・能力でのGood Practiceを記載」と書いてありまして,知識以外の資質・能力というのは非常に具体性を持ちにくいことだと思いますので,こういったグッドプラクティスを具体的にお示しすることはとてもいいことではないかなと思うんですけれども。これ,もう少し具体的にどのような内容なのかをお聞かせいただきたいと思います。
 以上2点でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。小西座長,いかがでしょう。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございました。お答えいたします。
 今,まずガイドラインのことをお聞きいただいたと思います。スライドの11ページにありますように,医行為について出てまいります。厚労省での検討会も終わって,学生ができる医行為あるいは医業についての政令が発出されました。ガイドラインには厚労省が発出していただいた政令について記載して,私たちも周知を学生に図るという形にしたいと思っております。
 ガイドラインは,まだこの次の委員会で御審議いただく部分になっておりますので,今ちょうどつくっている最中ではございますが,骨格はできておりまして,例えば法令とか,あるいはそれぞれの大学で作らなければいけないいろいろな組織とか,というようなものについて記載する,割とかっちりした固い部分もございますし,2つ目の御質問で受けました方略あるいは評価についてのいろいろなサジェスチョンというようなところも入ってまいります。
 ですので,ガイドラインがどれほど公的なものかという御質問かと思いますが,一定部分法令あるいは政令によって出たものについてきちっと書くところが出てくるところがあるかと思います。
 もう一つの御質問は先ほどの方略・評価についてでございますが,山口委員のおっしゃりたいことは私たちも多分同じ気持ちだと思います。大学での教育において知識の部分についてはこう教える,あるいはこう評価するということがある程度,今までのやり方が全て正しいかどうかは少し別にいたしましても,どの大学でもやってまいりました。
 ただ,今回10の資質・能力を立てたということになりますと,その一つ一つに対して,例えばプロフェッショナリズムというものがちゃんと涵養されているのかどうか,コミュニケーション能力はそれぞれの大学でどのように教えて,どのように評価がされたのかということが問われてまいります。ただ,全ての大学できちっとできていることを保証しなければいけないという観点からすると,私どもはやはりグッドプラクティス,いろいろなところでやられているものを出して,それを参考にしていただきたいというのがこの方略・評価の章の考えでございます。
 逆に,このような方法でやるといい,あるいはこの評価を使いなさいというやり方をしますと,大学それぞれの独自の考え方をかなり縛ってしまうことになりますので,私たちの考えとしてはグッドプラクティスを示すということで,いい方向に大学の教育が向いていただければと考えているところでございます。
 以上でございます。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【山口委員】  ありがとうございました。これは医学教育に関係する人あるいは学生さんに対してのコアカリということで重要なことだと思うんですが,今の2点は完全にダイレクトに関係することだと思っていますので。特に医行為については,患者がそういったことをきちっと理解して受け入れていく必要もあることではないかなと思いましたので,ガイドラインが作成されるとしたら,やはり国民にもそれを示していく必要があるのかなと感じましたので質問させていただきました。どうもありがとうございました。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございました。
【永井座長】  文科省からコメントはありますか。
【島田企画官】  ありがとうございます。文部科学省医学教育課の島田でございます。
 今の小西先生の御説明に補足させていただきますが,医学のコアカリ平成28年度版においても,既に診療参加型臨床実習実施ガイドラインが中に掲載されておりまして,こちらをリバイズするイメージで作成を検討いただいているところでございます。
 歯学についても診療参加型臨床実習実施ガイドラインを作成いただいておりますが,こちらはコアカリが作成された後に作成された経緯がございまして,別冊で,かつ案が取れていない状態のものでございます。今回の改訂においては,歯学においてもコアカリの中に診療参加型臨床実習実施ガイドラインを内包する形で検討いただくよう,河野先生のチームで御議論・御検討いただいているところでございます。
 補足でございました。失礼いたしました。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかに御意見・御質問はいかがでしょうか。齊藤委員,どうぞ。
【齊藤委員】  ありがとうございます。全国医学部長病院長会議の医学教育委員長を仰せつかっております齊藤でございます。
 共用試験の公的化などは卒後の臨床研修とのシームレスな流れを目指しているものと理解しています。その観点から,今回のコアカリの改訂も臨床研修の到達目標とのジャンクションといいますか,接合を十分考えて御検討されているかどうかを質問させていただきたいと思います。EPOCがEPOC2に新しくなるときに,臨床研修のCC-EPOCのほうもそこの接合性をかなり配慮して評価システムをつくったと思いますが,なかなかきっちりと合わない部分もあったかと思います。その点を臨床研修寄りにつくり込んだのか,あるいはこちらを核として臨床研修の到達目標のほうを少しこちらに寄せていくような働きかけをするつもりでいるのか,その辺りは幾つかオプションはあるんだと思いますが,考え方を教えていただければと思います。
【永井座長】  これは小西座長。
【小西調査研究チーム座長】  まず私,医学のほうからお答えしてよろしゅうございますでしょうか。
【永井座長】  どうぞ。
【小西調査研究チーム座長】  齊藤先生,ありがとうございます。
 卒後とのシームレスというのは,今,共用試験が公的化されたことを含めて大変重要な観点だと思います。卒後には臨床研修のガイドラインがございます。これと私どもが今作っております,今申しました診療参加型臨床実習のガイドラインは,同じような構造で作っていくことを念頭に置いております。ですからその点,接合はよく考えていると思います。
 コアカリのほうのガイドラインの中には,例えば臨床研修までを少し念頭に置いたマイルストーン的な考え方,あるいは前回の平成28年度版にも一部出ておりましたが,EPAといいまして,学生が,あるいは研修医にどんな仕事を任せられるのかというようなものも,例示としてにとどめたほうがいいかとは思いますが,入れてまいることにしております。そういう考え方の中で,研修医と学生,実習生との濃淡を含めて記載できるように考えているところです。
 CC-EPOCについては,これは私どもの仕事ではございませんが,CC-EPOCが今導入されているところでございますので,ガイドラインの中にもCC-EPOCに関する記載を考えております。
 卒後に関しましては,今日は御参加が難しかったようでございますけれども,福井先生の委員会とも話を続けながら,研修と実習との整合を取っていくというところでございます。ありがとうございます。
【永井座長】  河野先生から何かありますでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
 歯学のほうでは,臨床研修と臨床実習のシームレスな連携ということを考えて,一応,学修目標を組み立てています。それで医学のEPOCに相当するものでDEBUTというものが歯科のほうにもあるんですけれども,そのDEBUTでも臨床実習の評価ができるように,シームレスな評価システムを現在構築中ですので,こちらからも開発方針に意見を出して、臨床実習でも利用できるようにお願いしているところです。
 ガイドラインに関しましては,小西先生が言われたように,臨床研修運営組織を含めて医療行為がどれぐらいできるかということを含めたガイドラインを今検討しているところです。
 以上です。ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。北村委員,どうぞ。
【北村委員】  医学の10ページをお願いいたします。前回28年の座長を務めて,この臨床推論のところを実はばたばたとつくったために,次回令和4年の時に一度見直してほしいなと思っている部門です。
 発熱というような主要症候があって,そこで考えられる鑑別疾患が挙がっています。これが十分なのか,足りないのか,書き過ぎるのか。そして順序性ですね。これでいいのかということをぜひ検討していただきたいと思っています。発熱で一番最初に挙がっているのが髄膜炎ということで,多分28年度のものを引用されたと思うのですが,何か違うかなというじくじたる思いがしますし,全身倦怠感の最初に考える疾患が結核というわけにもいかないかなと思うので,ぜひこの部門,主要症候のところ,臨床推論のところをいま一度御検討いただければと思っております。
【永井座長】  小西先生。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございました。
 北村先生のお作りいただいたものを大変参考にさせていただきながら進めております。恐らく発熱のこの順序は多分,偏頭痛等の並びとか,あるいは全身,その後でほかのものという並びになったのではないかなと思いますが,前回お作りいただいたもので,ここでまだ症候の順序性まではあまり考えが至っていなかったかもしれません。大変参考になりました。まだ次といいますか,次回ではなくて,これからまたブラッシュアップをしてまいりますので,その中で考えてみたいと思います。すいません,ここまではまだ他のところに手がかかっておりまして,完全な吟味ができていなかったかもしれません。ありがとうございました。
【北村委員】  ありがとうございます。実はこれを公表したために,これを丸暗記するというような教育あるいは学修が少なからずあったので,よくないとは思っているのですが,どうせ覚えるならば重要な順番で覚えてくれたほうがいいかなと。そういう気持ちも持っておりますので,今後よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは嶋田委員,どうぞ。その後,羽鳥委員,お願いします。
【嶋田委員】  河野先生,どうもお疲れさまでした。非常に分かりやすくて,医科・歯科・薬学,それぞれのコアカリとの一部共有化もなされ,非常にいい案だと思いますけれども,幾つか気になる点がありましたので質問させていただきます。
 まず,第2章の「B,歯科理工学」について質問いたします。御説明では,これまでの表現は、具体的な学修目標にはなっていなかったということでしたね。少し違和感がありましたので,もう一回,その辺をご説明お願いいたします。さらに歯科医師国家試験との整合性について、今回の改訂に関してはどのような検討がなされたかご説明お願いいたします。
 それから私も前回、歯学教育調査研究チームの座長を務めて,「医師と連携するために必要な医学的知識」として、代表的な医科疾患・病態を検討して例示しましたが、これについて今回はどのような検討がなされたかご説明お願いいたします。
 あと,細かいことですけれども,いろいろ文言を拝見しますと,「経験できる」,「実演できる」などの動詞の表現が多彩ですが、この辺についてご説明お願いいたします。
 以上、よろしくお願いいたします。
【永井座長】  河野先生,いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  嶋田先生,ありがとうございます。
 まず,第2章の「歯科理工学」という大項目に変えた点ですけれども,この点に関しましては他のAとB,Dの項目と大きく異なっていて,どちらかというと学修の目標が中項目に当たる項目ではないかという御意見を頂いていました。
 そこで,歯科理工学みたいな,学問名ではないですけれども,大項目として分かりやすい名称にしようということで,ずっと1年間かけて検討をしてまいりました。その中で,歯科医療工学とか,歯科理工学とか,歯科材料・器械とかというような名前が出てきましたが,他の横並びを考えて「歯科理工学」を,歯科では通常使われているのでということで採用した経緯があります。
 それと国家試験との関連性ですが,今年出題基準が改定されましたので,一応横にらみにしてきちんと含まれているかは,出題基準がコアカリの中に全て含まれるということがコアカリではないと思いますけれども,きちんとその内容が基本的に含まれているかというところを検討させていただいています。
 全身管理につきましては嶋田先生が座長の平成28年度改訂版の病名を中心に検討しまして,必要・不必要,さらに追加するかというところは検討させていただいて,現在の形になっているところです。
 最後に動詞の文言ですけれども,これは医学教育の小西先生からも御説明がありましたが,シミュレーションでする場合には「実演する」,地域医療などでは「見学をする」,帯同してもらうという意味で「経験をする」,実際にする場合には「実施する」というように,方略に即したような経験の度合い,深さを考えて動詞を決めています。
 以上でよろしいでしょうか,嶋田先生。
【嶋田委員】  ありがとうございました。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
【永井座長】  羽鳥委員,どうぞ。
【羽鳥委員】  日本医師会の羽鳥です。
 このモデル・コア・カリキュラムの立てつけが今回は連絡調整委員会ということで医科と歯科が同時にやることになったと思うので,少し感じたことをお話しします。
 一つはまだお互いの整合性が取れていないところもあるので,全体の立てつけとして,学修目標における医科の場合だと4層構造ということで,2層,3層,4層について例えば数字2桁で表すことになっておりますが,歯科の場合は1桁。それから大目標の歯科の場合ですとA・B・C・D・E,医科の場合ですとCSとかLLとか,ある意味で見れば一言で分かるような感じの分け方もしているので,その辺,合わせてもいいのかなとも思うので。もしこれが連絡調整委員会の一つの大事なところであれば,そういう御検討も頂ければと思います。
 その辺をどうぞ御検討いただければと思います。以上です。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  少しコメントしてもよろしゅうございますでしょうか。
【永井座長】  小西先生,どうぞ。
【小西調査研究チーム座長】  恐れ入ります,たくさん手が挙がっている中で。医科の小西でございます。
 今回,従来の学修目標という書き方から,もちろん学修目標は入ってまいりますけれども,それを経時的な,1年生から6年生的な書き方のところから,資質・能力別に書くというのは大変大きな変更でございました。歯科とも話し合いながら,歯科もこのようにという話もございましたが,かなり大胆な変更でございましたので,河野先生とも話し合いまして,まず医科が,今回やってみますというと大変失礼な言い方になりますが,まず取り組むことといたしました。
 ですので,羽鳥先生の御意見は全くごもっともなのですが,まずはここで一度医科がやって,これでどうかということを皆様方の御意見を受けながら,またこの後パブコメもございますので,その後を受けて調整してまいりたいと。まず医科が先行しましたということで御理解いただければと思います。ありがとうございます。
【羽鳥委員】  分かりました。
【永井座長】  よろしいでしょうか。それでは俣木委員,どうぞ。
【俣木委員】  先ほどの嶋田委員の御意見にも関連するのですが,少し文言の点で気になったところがあります。先ほども出ていましたけれども,診療録のところの記載,「作成できる」というところで,例えば歯科のほうでいえば48ページの診療記録のところで,学修目標の3項目が「実演できる」となっています。先ほど理由は伺いましたけれども。ちなみにこれについて医学系で対応するところのカルテ記載の38ページを見ますと,単純に「作成できる」とか「記載できる」という表記になっています。
 細かい点で誠に恐縮ですが,こういう点でも医学系と歯学系とで整合を図っておいたほうが分かりやすいのではないかと思います。十分にお考えになってこのように決めたという経緯については、先ほどの説明で分かりましたが、見たところ,「実演できる」というのが少し分かりにくい感じがするので,御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  河野先生,よろしいでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  俣木先生,ありがとうございます。
 カルテ記載に関しましては,厚労省のほうでいわゆるスチューデントデンティストの業務範囲がまだ決まっていませんので,現状では一応「実演できる」は、シミュレーションできる,シミュレートするという意味合いで書かせていただいています。文末の動詞については、シミュレーションでするところが「実演できる」,また見学は「経験できる」とか,動詞のところは医科との話合いで決めていきたいと思います。御意見ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。前田委員,どうぞ。
【前田委員】  歯科の3ページで第2章の分け方がございます。ここで臨床歯学をDとEに分けて,「知識」と「診察・診断と治療技能」に分けるとあります。改訂案を見せていただきますと,DとEの内容がすごくかぶって書かれている,項目がすごくかぶって書かれています。これは結局,さっき羽鳥委員がおっしゃったような,医科がアウトカムベースで書かれているとこういうことはなくなるんですよね。
 改訂案の素案を見せていただきますと,歯科でもAから資質・能力のところにかなり細かく書かれています。これが本当に後ろの学修課題と対応しているかが全く分からない。実際問題は,学修課題の改訂をして,単に臨床推論を付け加えただけということになっていますが,これで各大学で臨床推論を勉強させろと言っても,なかなかこれは難しいのではないでしょうか。
 私が言いたいのは,ちょっと難しいところもあるかもしれませんけれども,医科と同じような感じで,歯科でもある程度のコンピテンシーベースドのほうに並べ替えたほうがよろしいのではないか。素案の10ページ,11ページに資質・能力と学修目標の関連という表が添付されていますけれども,単にこれはつけられても現場では非常に困ってしまう。この手のやつは評価にいきますと,慌ててカリキュラムマップをつくりましたよというようなことになって,何の役にも立たないような気がするんですけれども,いかがでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  御質問ありがとうございます。
 まずDとEのところですけれども,「診察・診断と治療技能」は,もともと「シミュレーション実習」「臨床実習」という28年度版でありましたFとGをまとめたというところで,技能が中心になった経緯があります。先生が言われるように,臨床歯学を教える場合には技能と知識とを同時に教えることが通常ですので,そういう意味ではDの臨床歯学,知識のところと,技能・態度のところがおおむね横並びになるように関連をつけて,利用する側また学修する側が,この時にはこういう技能・態度が必要なんだなということが分かりやすいような構造としてあります。これはどういうふうにすればいいのかということで,色々と議論した結果、こういうふうに2つ,知識編,技能編というように分けた経緯がございます。
 もう一つが,医科のようにアウトカムベース,能力立てにということでしたけれども。私たちの調査研究チームで1年間どうしようかということを考えて,医科と同じ構造で初めは改訂しようかとも考えていましたが,やはりまだまだ使い勝手が悪いと。小西先生が言われましたけれども,どういうふうな形態になるかということと,利用の方法,利用がどのように行われるかということが,私たちとしては捉えることができなかったので,今回は平成28年度の構造を踏襲して改訂作業を進めた次第です。今後,医科の状況を見ながら,どう変更していくかは考えていきたいとは思っています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御意見のある方はいかがでしょうか。どうぞ江藤委員。
【江藤委員】  江藤でございますが,よろしゅうございますか。
【永井座長】  どうぞ。
【江藤委員】  コアカリの内容ではなくて,タイトルでございます。
 まず1点目でございますが,「教育内容ガイドライン」というサブタイトルが平成13年,19年,22年度版にはついておりましたけれども,28年度版では削除されております。今回の医師法,歯科医師法の改正に係る共用試験の公的化,診療参加型臨床実習における医学生・歯学生が行う医業の法制化を考えた場合,必要最小限度の知識・技能・態度を担保する意味からも,検討の必要があるのではないか。
 理由の一つは,成り立ちから見て,モデル・コア・カリキュラムと共用試験は表裏一体のものであると考えられてきました。平成11年に出ました21世紀医学・医療懇談会の第4次報告によりますと,精選された基本的内容を重点的に履修するコアカリを確立すると。それからもう一つは,各大学における進級認定のための共通の評価システムをつくるとあります。背景には,コアカリだけつくっても評価制度,言わば試験制度がなければ各大学はこのカリキュラムを使わないだろうということが想定されたことから,両者は連携された形で提示されました。連携の形が教育内容ガイドラインという名称に集約されていると。ということは,医学・歯学教育の質保証を明示するタイトルになっているということであります。
 理由の2点目は,共用試験の出題はモデル・コア・カリキュラムに基づいて,コアカリが出題基準ではなくて,それに基づいて出題基準がつくられていると。CBTはコアカリに基づいて各領域ごとに出題割合が決められている。それからOSCEについてはコアカリに基づいてつくられた学修評価項目から試験課題が選定されている。ゆえに,コアカリと共用試験の関係を明確に規定しているのが教育内容ガイドラインという名称であると。共用試験の公的化によって両者の関係はさらに実質化されるものと思われます。教育内容ガイドラインの名称はモデル・コア・カリキュラムのサブタイトルとしてやはり復活すべきではないかと考えます。それが1点目でございます。
 それから2点目でございますが,医学系のほうで研究者育成の視点の充実とございます。日本の医学界からノーベル賞を授与された山中,本庶両先生を輩出しております。医学研究の面ばかりではなくて,医学教育の面から見ても,日本の医学教育の一つの到達点を示すものであると思われます。世界に誇る日本の医療と医学を支えるのは日本の医学教育である。これは医学研究を重視してきた日本の医学教育の強みの一つと考えられる。ですから医学系におけるコアカリの改訂の基本方針の中に,研究者育成の視点の充実を加えたことは一つの見識を示すものであると。
 ですから,歯学系のほうは平成21年に出された歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第1次報告の中で,「未来の歯科医療を開拓く研究者の養成」の項で,各大学は学部教育のあらゆる機会を通して研究マインドの育成に努めると。そのためにも研究室配属など,実際の教育に関わる機会の拡充に取り組むとあります。歯学系もぜひ,この科学的探究の中に出ておりますけれども,基本方針として研究者育成の視点の充実を加えていただきたい。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。今の件,どなたか回答をお願いできますでしょうか。小西先生,河野先生,いかがでしょう。
【小西調査研究チーム座長】  では,まず小西からお答えして,河野先生にまたお譲りしたいと思います。
 江藤先生の重要な指摘,どうもありがとうございました。コアカリはどういうものかというところは大事なところだと思います。ガイドラインという考え方も一つの考え方だと思いますし,医科でも歯科でも100%というわけではなくて,このうち3分の2ないしは6割と,いろいろなパーセントが使われておりますが。医科の場合は3分の2程度をこれに沿ったものという,比較的ミニマムリクワイアメント的な書き方をしております。
 ただし,令和2年度の研究結果で皆様方にもお示ししましたように,実際の大学のカリキュラムはコアカリで結構いっぱいいっぱいになっているという現状もございます。この辺りを含めてどう考えるかというところに関しては,医科のほうでも基本はやはり3分の2程度ということをコアに考えているところが姿勢でございます。
 CBTの出題基準になっていることはもうよく存じ上げていますし,この評価があるからこそやはり学修内容が促進している,これはもう厳然としているところでございますので,ここについてCATOとの関係については,先ほど申しましたように4年生の終わりぐらいにあるCBT・OSCEとの関係性を大変重視しております。
 ただ,先ほど申し上げたように,コアカリ自体はやはり6年で書くことに医科では統一いたしました。その中で4年生はこのぐらいのことができていなければいけないねというところに関しては,CBTの,CATOの委員長の先生等も含め,協議をいたしております。その時に,医科は特に大きく変えましたので,CATO側でも場所が分からなくなったりするようなこともあり得ますので,28年度版と令和4年度版との突合表といいますか,こういうものに関してはこれからきちっと,もうかなりできておりますけれども,作ってまいります。CBTはこういうふうに恐らく担保できると思います。
 それから,OSCEに関しては知識以外の部分を結構多く含むことになりますので,ここに関してはOSCEの学評を含めてのところについては,やはり一緒に考えていかなければいけないことが今後出てくるだろうなとは思います。
 最後に研究に関しては,やはりコアという部分が何かということ,学生時代に何を身につけるべきかということについて,かなり医科のほうは研究者の先生に入っていただいて検討してまいりました。これも書き出すときりがなくなるところがございまして,学生にここまで書いちゃうと82大学全部は無理だよね,みたいなこともできてまいりますので,この辺りどこまでにするか。姿勢というようなところを含めて医科のほうでは少し言葉を選んだところがございます。これが江藤先生の意に沿っているかどうか,私も研究大学にいますものですからちょっと思うところはありますが,やはりコアカリは全国82大学ということを考えて作成をいたしました。
 医科から以上でございます。
【永井座長】  河野先生,どうでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
 歯科のほうは,コアカリの副題にガイドラインをつけるかどうかというところですけれども,歯科のコアカリを考えたときに,医科と同様に6年間のコア・カリキュラムということを前提に考えております。多分28年度改訂版の時もそうだっただろうと思います。そういう意味で,歯科は各大学が6割,全体の6割をこのカリキュラムを基に各施設で特色のあるカリキュラムをつくることになっています。
 ただ,江藤先生が言われるように,共用試験の中の出題基準になっているとか,国家試験の整合性云々というところがありますので,過去のコアカリをつくった経緯もありますので,これは副題をつけるかどうかは検討したいと思います。これも医科と合わせてなので,医学教育課と一緒に検討していきたいと思います。
 それと研究者養成に対しましては,先ほど言いましたようにコアカリは6割ということから,第1章の「科学的探究」のところに,卒業時の到達目標として研究者養成に関する項目を追加しております。各大学のいろいろな教育に関する考え方もございますので,ここで研究者育成の視点を示してあります。また,方略に関しましては研究基礎ゼミなど,こういう研究者養成に関する方略・評価についても記載する予定でおります。大方針としては江藤先生が言われるように,改訂の大方針の中には追加することに異論はございません。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。お待たせしました。齊藤委員,どうぞ。
【齊藤委員】  齊藤です。
 資料1の19ページになるんですけれども,CSのパートです。ちょっと細かなところで大変恐縮ですが,これは上のほうのブロックで「患者の情報収集」から始まって,統合,分析・評価,計画を立てて,そして「治療を含む対応の実施」があって,その後,診療経過の振り返りと改善,一連の診療計画を立ててから実践するまでの流れの順になっていると思うんですけれども,この中の「治療を含む対応の実施」という表現がちょっと何とも奥歯に物が挟まったような感じになっていて。これは恐らくこれまで学生さんだったので,表現に相当気を使われてこういうことになっているのではないかなと思いましたが。一方で,今回,医行為が法的に認められるこのタイミングにおいて,ここをもう一歩踏み込んでもいいのではないかなという気がちょっとしておりまして。
 例えば,「基本的な医行為の実践」みたいな表現にするのも一つの手。もちろんいろいろ問題があるかと思うので,よくもんでいただく必要はあるんだと思いますけれども。資料2の41ページ辺りの中身を見てみましても,基本手技だとか検査手技だとか,あるいは書類の作成だとか,要するに基本的な医行為のことを指しているんだと思いますので,そこは御検討いただいてもいいのかなと思いました。
 以上です。
【永井座長】  小西先生,いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。
 今回,私たちは診療技能という言葉をやはり少し明確化したいというところが中心にございました。どうしても技能といいますと,実は齊藤先生も私も外科系でございますが,何か手を動かして手術するみたいな技能をやはり思い浮かべますが,技能というものが例えば医療面接をしたり,それを電子カルテで展開したりとかいうような,いろいろな技能があるんだよということをこの4つの技能の中にまず提示することの重要性を考えました。
 その中で,今御指摘がありました医行為について,あるいは医業についてというところが進展してまいりまして,厚労省からも報告書が出ておりますので,ここを踏まえて臨床実習ガイドラインの中で少し触れていこうと思います。
 今日も委員として門田先生がおいでになりますが,いわゆる門田レポートを含めての整合を含めて,少しこの点についてはガイドラインの中でも展開をしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【永井座長】  文科省から説明はありますでしょうか。
【島田企画官】  ありがとうございます。先ほどの江藤委員のコメントと小西先生,河野先生からの御返答に補足をさせていただきたいと思っております。
 江藤委員からの御指摘のうち,1つ目の「教育内容ガイドライン」というサブタイトルをつける件についてでございますが,先生から御紹介いただきましたとおり,過去の平成12年度,19年度,22年度版にはあって,28年度版にはないことの経緯も含めて,文部科学省も一緒に経緯を確認させていただいた上で,サブタイトルを今回令和4年度版についてつけるかどうかは検討したいと思っております。
 そもそもモデル・コア・カリキュラムとは何なのか,その考え方ですとか意義,また大学教育における位置づけにつきましては,モデル・コア・カリキュラム医学・歯学それぞれ前文に記載いたします予定でして,今回お示しできていないですけれども,次回の連絡調整委員会ではその前文も併せて御議論いただきたいと思っておりますので,今回の江藤先生からの御指摘も踏まえまして,ここの前文の記載についても検討いたしたいと思っております。
 補足の御説明でございました。以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。柳川委員,どうぞ。
【柳川委員】  ありがとうございます。日本歯科医師会,柳川です。
 情報・科学技術分野で,歯科のところでありますけれども,7ページの下段から書いてあって,また後半部分の26ページに,先ほど御説明いただいた「保健医療情報リテラシー」で記載がございますけれども,医科のほうを拝見しましたら,医科の37ページに「診療現場における情報・科学技術の活用」というものがあって,これが非常に腑に落ちるというか的確だなと思って,こういった内容も歯科にも必要ではないかと思いました。いかがでしょうか。
【永井座長】  河野先生,お願いします。
【河野調査研究チーム座長】  御意見ありがとうございます。
 その項目については検討させていただきます。貴重な御意見ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかに御意見のおありの方,いかがでしょう。奈良委員,どうぞ。
【奈良委員】  ありがとうございます。奈良でございます。
 医科のモデル・コア・カリキュラム ではアウトカム基盤型教育にマッチした内容になっており、非常にすばらしい内容になっていると思います。特に学修項目を階層化されたり,理解の深さを示されたことは,学生にとっても、教員にとっても非常に分かりやすくなっています。
 理解の深さに対する表現ですが,原案では,「理解している」とか「概要を理解している」と明記されていることは,非常に分かりやすくなっています。以前の初版の医学教育モデル・コア・カリキュラムを作成したとき、海外の教育者と意見交換するために,私は,初版のコアカリを英訳しましたが、当時は「概説できる」とか「説明できる」とかという曖昧な文言だったため、それを英訳するのに大変極めて苦労しましたし、海外の関係者も意味が良く分からなかったようでした。今回のような方法で記載していただくのは非常にありがたいです。
 その上でのお願いです。まだ御議論中だとは思いますが,特にプロフェッショナリズムなどのところは記載が難しいとは思いますが、例えば「努める」とか「考え続ける」とかの表現が散見されます。たとえば、「PR-02-03-01 医師に求められる品格とはどのようなものかを考え、それを備えるように努める」といった曖昧な記載よりも、「PR-02-03-01 医師に求められる品格とはどのようなものかを考え、それを備える」など、修得すべき内容が理解されやすいように明示された方が良いかと思います。
また,学生が学修目標を達成しているかどうかを評価することも極めて重要です。コンピテンシーとしてのプロフェッショナリズムの到達度を評価するのは難しいとは思いますが、評価についても御検討され、御提示いただけますよう、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。小西先生,よろしいですか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございました。理解の深さをどういうふうに表現するかに対しては,かなり実はいろいろなプロセスを経て,いろいろな意見を得て決めたところです。また,達成の評価についても,特にプロフェッショナリズムについては本当に難しいことを含めて今検討中です。座長,永井先生,この点については私と一緒に副座長として動いております随行者として錦織宏が委員として出ておりますが,もしよろしければこの点に関しては彼がコメントするほうがむしろ的確なことがあろうかと思いますので,お聞き届けいただければお願いいたします。
【永井座長】  よろしくお願いします。
【錦織調査研究チーム副座長】  随行者の,副座長をしております錦織です。
 奈良先生の御指摘,本当にありがとうございました。プロフェッショナリズムの評価の難しさに関して,もうおっしゃるとおりだと理解しております。
 評価をベースに考えるとなかなか言葉が硬くなってしまうところもあり,また教育をベースに考えると,今のように「努める」とか「考え続ける」とか,ちょっとふわっとしてしまうという段階での現在地だと理解しております。先生に今日頂いた御意見も含めて,さらに改訂を重ねて,また次回の連絡調整委員会で御報告させていただきます。
 以上になります。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。まだ御発言いただいていない方々,ぜひ。南委員,どうぞ。
【南委員】  すみません。この大部にわたる資料があまり丁寧に読み込めていないので,漠然とした所感しか申し上げられないのですけれども,特に私は情報にかかわる職域におりますものですから,医学のほうの18ページの「IT,情報・科学技術を活かす能力」のところ。またこの大部にわたる資料だと36ページあたりをざっと読んだ印象についてちょっとコメントさせていただきたいと思います。
 「情報」という言葉ですが,教育・学習の対象として使用する際の「情報」という言葉の意味がややあいまいであることが気になります。患者さんの情報という話もこの後出てくるわけですが,ここではITと書いてありますからITに特化して情報という言葉を使っているものだと思われます。また細かなことですが,例えば2行目の「医療・医学研究」と書かれていますけれども,明文化するときにはやはり「医学・医療研究」とするべきでしょう。医学があって医療という順ではないか、と思います。その後のIT-01のところの「医療や研究等の場面」,これもどちらかというとやはり本当は「研究や医療」というべきなのかなと。このあたりも文言に何となく気にかかるところが幾つかありました。
 例えば医学と医療の言葉の使い分けとか,研究と医療の言葉の使い分けとかは,非常に多くの方の目に触れる資料だと思いますので,最終的に,よく遂行されるべきだと思います。
 全国的にこの情報・科学という問題はまだ未知数な部分が非常に多いので,言葉遣いも非常に難しいことが多いと思います。少し丁寧にもむことが必要な部分があると思います。さいごにこの医学のほうの18ページ,「20年後以降の社会も想定し」とあるのですが,この20年というのはどういうことを意味して,今から20年後という意味なんでしょうか。これから20年後の社会,20年という言葉に何か意味があるのかどうかを教えていただければと思いました。
 以上です。
【永井座長】  小西先生,いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。大変貴重な意見を頂いて,本当にありがとうございます。
 といいますのは,やはり南先生がおっしゃるように,これを作っている委員は,ITに強い人たちも含めて入ってもらっているのですが,やはり医師がほとんどですので,若干やはり偏るところ,あるいは文言の使い方ということで気をつけねばいけないなということを実感いたしました。御意見があればぜひお寄せいただきたいのと,今後やはり,ちょっと検証を医師グループだけではなく,一度推敲していただくといったら失礼になりますが,そういうことを考えたいと思います。
 実はこの「IT,情報・科学技術を活かす能力」というところは全くの新設でございましたので,あちこちに旧コアカリでも散らばってはいたのですが,やはりこの時代,ここは大事だろうということで一つの能力としてつけてまいりましたので,委員の先生方を含めて,最初,では医療あるいは医学,今この2つのことが出ましたが,医学においてどういう能力が要るんだろうかというところからたくさん挙げてまいりました。最初,恐らく八十四,五の能力を挙げた上で,それを絞っていき,これはまあ必要ないだろう,あるいはこれとこれとは一緒ということを考えた上で,この幾つかに落ちていったところでございます。
 ただ,やはり医師の目だけで考えているところがございますので,少し外部の目といいますか,医療者以外の目を含めて入れる必要があるんだろうなということを,今,痛感いたしました。医学と医療の使い方,あるいは研究と医療の使い方に関しては検討したいと存じます。ありがとうございました。
【永井座長】  今の,あと,20年後以降というのは,これは2040年以降ということでよろしいでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  失礼しました。この「20年後以降」というのが,10年,20年を考えてと最初書いていたのですが,この時代,もっと後もというようなことで出てきた言葉でございます。今,文科省から手が挙がりましたので,文科省と相談した上でこうなったので,またお答えいただけると思いますが。とはいいながら,もう5年後すら分からないようなこの進歩ですので,20年後がどうかということについて私が何か保証できるのかどうかと言われると,これはちょっと分かりませんというところがあります。こんな返答で申し訳ありませんが,島田企画官,何か御追加いただければと思います。
【永井座長】  文科省,お願いします。
【島田企画官】  ありがとうございます。
 「20年後以降」と書いてある理由でございますけれども,前回の連絡調整委員会,昨年度の10月ですが,もしお時間がありましたらまた参考資料2で御覧いただければと思いますけれども,医師・歯科医師の養成は非常に時間のかかるものでして,この新しいモデル・コア・カリキュラムが活用されて,大学で養成される医師・歯科医師の方々が6年間の教育の後,臨床研修や専門研修なども経て,現場で実際最前線で勤務されるのが約15年後から20年後ということで想定されております。
 加えまして,2040年が日本の高齢人口のピークが想定されている時期でございまして,それ以降の社会も想定してバックキャストして今回のモデル・コア・カリキュラムをつくるという,そういった基本方針で前回御議論いただいて御了解いただいたところでございます。
 ただし,20年後以降の情報・科学技術がどのようになっているのか,なかなか予想も難しいというところで,小西先生のチームにおいて,倫理観ですとか,原理ですとか,そういった部分について卒前の教育でも実施していこうという観点で学修目標が追加されたと承知いたしております。
 ありがとうございます。以上です。
【永井座長】  座長の永井です。
 これは私も意見を少し言わせていただいたのですが,2040年後以降になると,若年層の人口減少がどんどん進んでいて,高齢者はそろそろ頭打ちですけれども,1人の現役世代あるいは1.5人の現役世代が1人の高齢者を支える時代になるわけです。そういたしますと,社会全体の中における医療あるいは医療資源の有効活用とか,情報を上手に使って医療を行っていく,研究を行っていくことがますます求められるということを,ここで少し反映していただいたのではないかと思います。よろしいでしょうか。
【栗原委員】  栗原ですけれども,いいでしょうか。
【永井座長】  栗原委員,どうぞ。
【栗原委員】  先ほど研究マインドを養成すると。大変すばらしいカリキュラムもできていますし,今度階層化して,全体的には随分整理されたと思いますし,これをどうやって活用するかというところが今後問題だと私は思っています。
 それで教育する側も,それから学生も,これに基づいてどういうふうに学修していくかということ。この活用の方法が大事だと思います。それから,多分ここでは知識がいろいろ整理されていると思うんですけれども,研究マインドということを考えますと,どうしてそういうエビデンスが出てきたかということですね。そういうことについて,いわゆる総論に当たるところをどこの項目でも少し重視していただきたいなと思います。
 それから研究マインドに関しましては,知識だけではなくて,このカリキュラムの中で実習も入ってくると思うんです。それをどうやって活用していくか。そういうものも盛り込めるのかどうか分かりませんけれども,そういうものを考慮する。それから現実的にはMD・PhDコースなんかもあるわけですから,そういったものも含めて何か書いていただけると,そういうところで体験することが必要ではないかと,ちょっと私は考えました。
 それからプロフェッショナリズム,これは非常に重要だと思いますし,初めにこれが挙げられていることは大変私もすばらしいと思います。その中で,先日,私どもの5年生,臨床実習をやっている学生と会ったときには,細かな知識だけではなくて,もうちょっと教養に関する部分,こういったものの教育があったほうがいいのではないかという意見を言うわけですね。そういうことから,ぜひどこかでいわゆる,どういう表現をしていいか分かりませんけれども,教養教育,例えば倫理を含めてそういうものをきちんとどこかでまた分かるように,あるいは高学年になってからもフィードバックできるようになるともっといいかなと感じました。
 それと,ここで挙げられているカリキュラム,すばらしいカリキュラムにいろいろなエビデンスがここで挙げられているわけですけれども,それを今後どうやって水平統合,垂直統合していくかということについて,もし何か具体的な方法があったらば考えていただけると,一つの指針として大変すばらしいカリキュラムになるのではないかと感じました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  小西でございます。よろしければ発言をさせていただきます。
【永井座長】  よろしくお願いします。
【小西調査研究チーム座長】  栗原先生,どうもありがとうございました。
 研究マインドというところは大変重要なところ。これは先ほども申し上げたので重複になりますので繰り返しませんが,私ども,大事だということで一つの能力として取り上げさせていただきました。
 EBMに関しては幾つかのところにコアカリの中にも書いてございますが,総論としてというところで,また研究のところでも触れてまいります。
 それから研究マインドを含めての実習。実習というのは恐らく臨床実習ではなくて基礎系の,あるいは4年生ぐらいまでの間にやる実習のことを触れられたのだと思いますが。
【栗原委員】  はい,そうです。
【小西調査研究チーム座長】  すなわちMD-PhDとかいろいろなものがあります。コアカリという中でMD-PhDをどこまで書くかというところはありますが,基礎系はやはり実習がございますし,調査を前回やりましたところ,各大学の中で基礎系の実習がかなり今圧迫されていることも分かってまいりました。ただ,奈良先生のところのJACMEの調査を参考にしましても,研究の期間は恐らくほとんどの大学がきちっと持っていることも分かってまいりました。その辺りを含めて,方略の章の中でやはり基礎系の実習に関しては触れる。実習はやはりどちらかといいますと,学修目標ということもございますが,方略に書くことがふさわしいかなということで,一つの例としていい例,グッドプラクティスを含めて書こうと考えております。
 先ほどのコアカリがガイドラインなのか,リコメンデーションというものなのかということに関しては,この点に関してはこのようにしなさいという書き方は,私はちょっとふさわしくないのではないかと思いますので,よい実例のようなものをここに盛り込めればと考えております。
【栗原委員】  ありがとうございます。先生がおっしゃるように,コアでない部分はそちらに譲るとか,そこで検討するとか,あるいは方略のところで触れていただくとか,そういうことでもよろしいかと思うんですけれども,何かどこかで連携しているところがあるんだということが分かるようになっていればよろしいのではないかと。そういう意味で私は申し上げたんですけれども。よろしくお願いいたします。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございました。プロフェッショナリズム,教養。いわゆる順次性的な書き方はアウトカム基盤型ではあまりしなくなりましたので,教養部分がどうなるのかということ。それから水平・垂直統合はJACMEのところの領域2で必ず出てきますので,そういうものに関しては恐らくコアカリに書くものがあるとすれば,方略のところのいい例ということで書くような書き方になるのではないかなと,今考えております。ありがとうございます。
【栗原委員】  先生,ありがとうございます。私も,その中に書くよりは,例えばどこか補足とか付言とかいうことで,これをどうやって活用するかということについての何かコメントみたいなものがついていると,より使う側としては使いやすいのではないかとちょっと考えたわけです。
 以上でございました。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。門田先生,どうぞ。
【門田委員】  門田です。一言お話しさせていただきたいと思いますが。
 前回もやむを得ない理由で欠席しておりましたので,今回話を聞かせていただいているんですけれども。議事録を読ませていただき,そして今度,今日の話をしっかり聞かせていただいて,本当にすばらしいディスカッションというか方向性で検討されているという意味では,絶対間違いないことだと思いました。
 それからもう一点,非常に大きな問題として,先ほども話題になりましたけれども,例えば2040年ですか,ぐらいになったときに果たしてどういうふうになるのかという状態の中で,その時代のことを検討していかなければならないという,そういった意味では難しいことをやっていただいているということ。まさにそのとおりだと思うんです。
 私たち,日本医学会は4月2日に日本医学会120周年記念ということで,120年の過去を振り返り,そして未来の120年を考えようよという記念事業を開きました。その時出てきた課題として,やはり我々の医学教育の中において,ドイツ医学から入っていって,基本においてはいまだにそうですけれども医局講座制的な,その中でどんどん細分化されていくという世界の中での教育で、研究もまさにそのとおりでやむを得ずそういうような方向になっています。教育もいつまでもそういうふうな状況が続いていっている。
 ところが一方では,先ほどありましたように,その対象となる患者さんがまず数が減ってくる。しかし、お年寄りの比率が高くなってくる。そのお年寄りというのは1つの特殊な病気を持っている人はほとんどいなくて,複数の病気・病態を持っており、この様な患者さんを非常に幅広い目でもって診ることが重要で,そういうことができる医師の養成が必要になってくるということも,これは皆さん感じていらっしゃるとおりだと思います。そういった意味で,今やらなければならないこととやるべきことを追いかけていくと,非常に幅広くなってくると。何とかこれはスリム化しなければ,6年間で何がどうできるのということが,前回の時もディスカッションされていたと思いますけれども。
 そういうことから考えていったときに,私たちはこの長い歴史の中を,コアカリでやってきています,これから今もやろうとしているけれども,我々がまとめて20年,40年ということを考えていき出したときに,果たして今までのドイツ医学から始まったこの日本の医学教育の課程の中で,そこを触らずに,学生さんにこういう勉強をさせよう,こういう勉強をさせようというふうな形のディスカッションになってコアカリがあるんだと思うんですけれども。逆に今度はそれをするためには,我々大学側というのか,教育している側の改革がそこに影響が出るような,あるいはそこを改革できるようなコアカリということも考えていく必要があるのではないかなという感じします。
 先ほども話題になりましたけれども,確かに医師を育成する,そしてまたその時には,その医師から医療を受ける患者サイドあるいは一般国民の目線も必要であろうということがあったと思うんですけれども。同時にやはりこれは育成する場所の大きな課題の中に入っていることを,どこかの段階で入れていく。果たして今までやったやり方で,コアカリの中でそういうところはないかも分からないですけれども,しかしそこのところを大きく変えていくことが,実は20年,40年先のことを考えていく上で非常に重要になってくるのではないのかなという気持ちがいたします。
 ちょっと無理な発言で申し訳ないですけれども,ということを長い歴史から,そういう見方も必要ではないのかなというのを今回感じましたので,一言だけコメントとして入れさせていただきます。ごめんなさい,永井先生。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは錦織先生。錦織先生,手が挙がっています。
【錦織調査研究チーム副座長】  すいません。先ほどの栗原先生の御意見に対して,事実ベースで,情報提供として少し発言させていただきます。
 資料1-2の18ページの「科学的探究,RE」のところに,先ほど栗原先生がコメントされた研究者育成に関するまさに総論が記載してございます。現在の我々調査研究チームの到達地点がここでして,ぜひ,こちらに対してコメントをいただければ、と思いました。
 それからもう一点,教養に関して,これも随分苦労しているところです。最初のプロフェッショナリズム,同じく資料1-2の9ページのPR-04に,「教養」という項目を設けて,「人の生命に深く関わる医師に相応しい教養を身につける」という文言を書いているのが現在の到達地点でございます。ただ,ちょっとふわっとし過ぎているなと思ったり,これで実際にカリキュラムがつくれるのだろうかとか,悩んだりしながら作業を進めているところでございますので,いろいろと御意見を頂ければと思いました。
 失礼いたしました。
【永井座長】  ありがとうございます。小西先生,どうぞ。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。私のほうは門田先生のお言葉に少し答えさせていただきます。
 過分な言葉を頂き,ありがとうございます。その中で先生がおっしゃったスリム化ということに関しては,もう医学がこれだけ進んでいく世の中でどこまでやるのかということは,かなりこのグループの中でも問い続けました。社会の変化に応じてやらなければいけないことはどんどん進んでまいりますので,その中で学生レベルでどういうことかということをよく考えております。
 先ほど申しました疾患数とかというものに関しましても,今,国家試験との連絡を考えておりますのは,やはりどんどん難しい疾患が増えてまいりますので,その辺り,どこまで学生が知るべきかということは,やはり一定の考えを示すべきではないかなと考えます。先生のおっしゃられた積み上げ式のいわゆるプロセス型の教育をしていきますと,だんだん増えていってしまいますので,こういう考えの下,やはりアウトカムベースといいますか,どんな医師がこの時代に,あるいは先ほど企画官からもありましたように2040年を含めて求められるのかというところから逆算してといいますか,学生が学ぶべきものは何かということを今考え続けているところです。
 この総論で言いますとすごくきれいになりますが,なかなかこれを落としていくところは難しいところで,ぜひ今回つくりました素案に関して御意見をまた,ここではなくても賜れればと思います。ありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかに御意見,御質問はよろしいでしょうか。
 よろしいでしょうか。もしよろしければ,ちょっと早めですが本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 そういたしますと今後の予定でございますが,まず追加の御意見等がおありでしたら,事務局まで後ほど御連絡いただければと思います。また,各調査研究チームにおかれましては,ただいまの御意見等を踏まえて調査研究を進め,コアカリ案をまとめていただきたいと。次回本委員会で議論をさせていただきたいと思います。
 では最後に議題2,その他について事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 参考資料6に基づきまして,今後のスケジュールについて説明させていただきます。
 今年度,令和4年度の5月11日,本日の連絡調整委員会第3回でございますけれども,素案に関して議論をしていただきました。
 次回7月頃と記載させていただいておりますけれども,第4回の連絡調整委員会を開催したいと考えております。本日の議論を踏まえ,調査研究チームにおいて修正した学修目標や,新たに方略・評価,診療参加型臨床実習の実施のガイドラインを含めたコアカリ案を第4回の連絡調整委員会で提示し,議論していただきたいと考えております。
 その後,夏頃を予定しておりますけれども,コアカリの案についてパブリックコメントを実施する予定でございます。
 その後7月27日,こちらは文部科学省主催となりますが,医学部長や歯学部長等を対象といたしました,医学・歯学の教育指導者のためのワークショップがございます。こちらは調査研究チームの小西先生や河野先生から検討の方向性等について報告をしていただく予定でございます。
 その後,令和4年度冬頃を予定しておりますが,第5回の連絡調整委員会を開催し,連絡調整委員会としてコアカリの決定をしていただきたいと考えております。
 その後,コアカリを公表,大学等へ周知し,令和5年度は1年間の周知期間とさせていただきその後令和6年度の入学生から改訂版のコアカリが適用となります。
 以上がコアカリ改訂に関する今後のスケジュール案でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。ただいまの事務局の説明について御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 御質問がなければ,それでは本日の会議はこれで終了いたします。どうも長時間ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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