「全国学生調査」に関する有識者会議(第9回)議事録

1.日時

令和6年3月11日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 「全国学生調査(第4回試行実施)」の実施について

4.出席者

委員

河田悌一座長
浅井 清文,安達励人,小方 直幸,高橋 哲也,田中 正弘,仲谷 善雄,福田 眞作,両角亜希子,山田礼子の各委員

文部科学省

(事務局)小幡高等教育企画課長,髙見高等教育政策室長,花田高等教育企画課課長補佐,渡辺高等教育政策室企画審議係長,平野教育政策室企画審議係専門職

オブザーバー

 濱中 義隆氏

 

5.議事録

(1)座長の選任等について
 委員の互選により、河田委員が座長に選任された。また、事務局から、資料2「全国学生調査」に関する有識者会議運営規則(案)について説明があり、原案のとおり決定された。また、運営規則に基づき、この時点から会議が公開された。

(2)「全国学生調査(第4回試行実施)」について
【河田座長】 ありがとうございます。それでは、御了承いただいた運営規則の第2条に基づいて、ただいまからは、この会議を公開という方式でやらせていただきたいと思います。それでは、事務局のほう、ぜひ公開で開始していただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。
 本日は、「全国学生調査(第4回試行実施)」の実行に向けて、まず昨年秋に大学と短大を対象に行われたアンケートの結果について御報告を事務局からいただく。それから、その2つ目としては、今日入っていただいた田中正弘委員のほうから、英国における全国の学生調査の状況について御発表いただきたいと思います。米国の例は割といろんなところにもありますけど、英国の例はあまり聞いたことがないので、重要な役に立つ御説明かと思いますので、そういうことでよろしくお願いいたします。
 それでは花田課長補佐、お願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 まず、お手元の参考資料1を御覧ください。前回の会議資料でお配りした、これまでの試行実施を踏まえた改善案(論点)です。こちらで、前回会議までに議論した論点について簡単に振り返らせていただきます。
 まず、(1)回答率向上です。その改善案といたしましては、マル1、質問数に関して学生の回答負担を軽減するため削減すること、マル2、実施時期に関して学生から回答が得られやすい時期に設定できるよう11月から2月の幅広に設定すること、マル3、学生への周知方法に関して回答率が高い大学の好事例を周知することを挙げておりました。
 次に、(2)大学独自の学生調査との整理・調整です。ここでは、大学独自の学生調査において、全国学生調査の質問項目をそのまま入れ込み、大学に取りまとめていただきまして、文部科学省に回答するという新しい調査方法を提示しておりました。
 次に、(3)対象学年及び実施頻度です。ここでは、対象学年を大学は2年生と最終学年の4年生、短大は最終学年の2年生とすること、実施頻度については「隔年実施」とすることが考えられるとしておりました。
最後に、今後の予定です。特に(2)の新たな調査方法の実施に当たって、そのフィージビリティーを確認した上で本格実施に移行するため、令和6年度に改めて第4回試行調査を行うこととしたいとしておりました。
 これらを受けた前回の議論では、多くの委員から、さらなる回答率向上に向けまして、特に新たな調査方法、(2)の導入を前向きに検討すべきというような御意見をいただいてございました。
 このため、文科省のほうで事前周知も兼ねまして、この改善案を踏まえたアンケート調査を実施いたしました。その結果が資料の3-1でございます。
 アンケート時に各大学にお示しした実施概要(案)が3-2及び3-3になります。3-2は、第3回試行実施の実施概要からの変更点を見え消しにしており、資料3-3は、その反映版でございます。
 内容といたしましては、資料3-2の2ページにございますとおり、先ほど御説明した改善案に従って、新たな調査方法を追加したこと、調査実施時期を修正してございます。
 また、4ページ目以降の質問項目につきましては、国研の濱中先生とも御相談しながら、質問項目を48問から33問に精査いたしました。
 主な変更点としましては、全体的に類似する質問を統合したり、学生に分かりやすい簡潔な文言に修正したこと、問2では、インターンシップや海外留学などの課題が多かった選択肢を除いて削除したこと、6ページ目では、問6の新型コロナ関係の質問項目を削除したことなどでございます。
 戻りまして、3-1でございます。こちらは、ただいま御説明いたしました資料3-2の内容を各大学に示した上で実施したアンケートの結果でございます。
 調査時期は令和5年9月29日から10月31日の1か月に実施し、下の表のとおり、大学からは80.5%、短大からは69.9%、合計70.7%の回答率を得ました。国公私別は右の表のとおりでございます。
 2ページ目を御覧ください。参加予定についてでございます。結果としては、参加予定という回答があった大学は、大学では479大学、73.1%、短大では115大学、54.5%でした。これは、第3回試行実施と比べると参加予定大学が少ないということになりますが、検討中と回答した大学を含めると、おおむね同程度になるというような状況でございました。国公私別の表もございますが、おおむね同じような結果が言えます。
 3ページ目を御覧ください。こちらが、先ほど御説明した新たな調査方法でございます。マル1がこれまで実施してきた文科省が実施するインターネット調査で、マル2が参加大学が実施する学生調査ですが、結果として多くの大学が調査方法マル1を選択しており、調査方法マル2を選択した大学は、大学では27大学の5.6%、短大では9大学、7.8%となりました。
 4ページを御覧ください。参加大学と回答した大学から得た不参加理由でございます。最も多いのが「学生の負担を考慮」で68.4%、続いて「学校独自で同様の調査を実施している」が45.8%でございました。
 続いて5ページを御覧ください。調査方法マル1の選択理由です。最も多いのが「学生への周知が容易なため」が71.5%、続いて調査方法マル2の場合、「回答結果送付作業が煩雑なため」が54.1%でした。
 6ページを御覧ください。こちらは調査方法マル2の選択理由です。「独自の質問項目が設定できるため」「学生の回答に係る負担が少ないため」が63.9%と最も多く、「大学が実施する学生調査のほうが回答率が良いため」が52.5%、「学生への周知が容易なため」が50%と続きました。
 7ページを御覧ください。こちらは、精査した33問の質問項目案をさらに削減してもよい問いはないかというようなことを確認したものです。結果といたしましては、最大でも主に英語で行われる授業の履修の3%程度でございまして、全体的に不要な問いはないというような結果でございました。
 8ページを御覧ください。調査の実施希望時期です。12月上旬を希望する割合が最も多く、その時期を頂点として、なだらかな山の形になっており、調査対象としておりませんでしたが、10月や3月を希望するような大学も一定数あるということが推察できるかと考えております。
 9ページ目を御覧ください。これまで行ってきた試行実施における学生への案内方法です。「学内メール一斉送信等による周知」や「学内専用Webサイト等での周知」が多い状況であり、「講義やゼミの前後において教員から周知」も21.4%でした。
 10ページでは、回答率の高い大学における学生への案内方法の事例をまとめました。例えばAの国立大学、回答率57%でございますが、学習管理システムに専用コースサイトを作って、回答URLを学生に通知し、アクセスしていない学生に何度も催促したというような事例ですとか、私立であればDでございますが、回答率65%でございます。調査結果を自己点検評価や教学IRに活用するため、大学全体の回答率80%を目指して、各教員を通じてゼミ単位で学生に回答を依頼したと。80%には届いておりませんけれども、大学としてその回答率の目標を設定したというところは特筆すべきかと考えております。
 続いて11ページを御覧ください。これまで行ってきた試行実施における結果の活用方法についてでございます。調査結果の活用につきましては、先ほど御説明いたしました実施概要(案)に記載がありまして、参加大学は、自大学の調査結果について、学内において共有を図るとともに、IRやFD・SD活動、自己点検・評価における活用や他大学等との情報共有、学生・社会への自主的な情報公表に活用することにより、自大学の教育改善を促進させるよう努めるものとすると、各大学に結果活用を促しておりますけれども、情報公表に関しましては、上の表のとおり、大学は1.8%、短大は0.9%、極めて少なくなっていること、教学IRに関しましても、大学21.8%、短大16.1%と少ない状況であるということが分かりました。国公私別のデータも下の表のとおりでございます。
 なお、12ページ目には、結果活用を行っている大学の事例についてまとめております。内容といたしましては、調査結果を大学コンソーシアムにおいてお互いの特徴や課題を共有するような事例、学部別や設置者別にベンチマークを行って自大学の弱みを分析している例、調査結果をFD・SDや自己点検・評価に活用している例などがございました。
これらの結果の活用方法は、本格実施に向けた課題でもございますので、情報公表や教学IR等について、第4回試行調査においても実施しておくべき事項等ございましたら、調査方法の内容や方法の在り方とともに、本日、御意見をいただけると幸いでございます。
 私のほうからは以上でございます。
【河田座長】 ありがとうございました。非常に詳しい結果報告ということで御説明をいただきました。これにつきまして、委員の先生方のほうから何か、この辺はどうだとかいう御意見がございましたらお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 高橋先生、お願いいたします。
【高橋委員】 御説明ありがとうございます。各大学アンケートのところで、調査方法の2番が非常に少なかったという件なのですけども、私、大学IRコンソーシアムというところの理事もしておりまして、まだ今回、試行調査という段階なので、大学IRコンソーシアムの調査と今回の全国学生調査を統一することがまだできないという状況です。そうなると、両方やろうとなると、要するに2回ともやらなきゃいけないという形になってしまうので、各大学からは問合せもあったのですが、今の段階だと別々の調査になってしまうので、そうなると、これ 2番でやるというわけにはいかないということです。IRコンソの調査は共通の形でやっていますので、別の調査の文科省のほうのウェブサイトを使わないと非常に手間がかかってしまうということです。コンソの加盟参加大学のほうからは多分みんな、1番で返したのではないかというふうに思っております。ちょっと背景の説明ということで。以上です。
【河田座長】 ありがとうございました。両角先生、いかがですか。
【両角委員】 両角です。ありがとうございます。今の同じところの2の方式が少ないなということで事情があるのかなということを聞きたかったんですが、この2の方式を検討したのは、1つは回収率というか、協力してくれる大学を増やすために、独自のものとのダブりをなくそうということだったかと思うんですね。そういう意味で、数は少ないんですけれど、独自のほうに手を挙げた6%ぐらいの大学というのは、今まで協力しているというか、参加している大学であったのか、あるいはそうではないところが今回は参加しようというふうに手を挙げたのかという、その辺の回答がどうなっていたかということを教えていただけますでしょうか。
【河田座長】 お願いします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 少々お待ちいただければと思います。すみません。そうすると、ちょっと時間かかるので、また後ほど回答いたします。
【河田座長】 今ちょっと調べてもらっていますので、後で結果を。
【両角委員】 すみません。ありがとうございます。
【河田座長】 お願いします。
 あと先生方、何か。よろしゅうございますか。小方先生。
【小方委員】 結構な説明ありがとうございました。最後に説明いただいた、その教学IRとかのデータを活用しているかという話で、これ活用していない理由は様々なんですけども、先ほどは結果の活用方法について御説明いただいたんですけども、これ試行を経て本当に全国展開されるのであれば、今、試行段階なので、先ほど高橋委員からもあった、いろんな事情で、まだ参加状況が芳しくないというのあるかもしれませんけども、これまで聞いていらっしゃるのであれば、ぜひ活用方法でなくて、なぜ活用しないのかという理由のほうがはるかに大事なので、それを聞いていただきたいのと、もし今後聞けるのであれば、なぜ活用しないかというほうをむしろ聞いていただいたほうが、どれぐらい答えていただけるかという問題はあるんですけども、今後の展開に役に立つんじゃないかというふうに思いながら伺っていました。以上です。
【河田座長】 なぜ活用しないのかということを聞いてほしいということで、そのほうがいいかもしれませんね。
 ほか、いかがですか。山田先生、何かありませんか。
【山田委員】 今、小方先生がお聞きになったのは教学IRとしてデータ活用のところなんですけれども、私は大学のホームページ等での情報公表の数字が非常にやっぱり低いなと思います。この低い要因というのはいろいろ考えられるんでしょうけれども、恐らく大学や短期大学側においては、ほかの大学がどうなのかとか、そういうところ非常に疑心暗鬼しつつ、自校でマイナスの方向に行っているようなことがあるとは思うんですけれども、田中先生、後の御報告されると思いますけれども、基本的に何らかの形で公表しなければいけないようなインセンティブみたいなものがないと、これってすごく上がらないままでずっといくような感じはするんですけれども、その辺はどうなのかなというところ、実はお聞きしたいところです。
【河田座長】 いかがですか。例えば、こう言っていいのかどうか分からないけど、私学事業団のほうで、その公表している大学についてはプラスで補助金出しますとか、そういうこと、罰則的にあるかと思いますし、国立大学のほうはもっと国大協のほうできちっとやっていただければ、かなり公表率は高いですし、今でも高いですし、問題ないと思いますね。
 だから、失礼ですけど、弱小の私立大学及び短期大学が、いかにこれを利用されて、うまく改善に活用されるかということが大事かというふうに思いますのですが。私が個人の意見言ったらいけませんけど、そんな感じがしております。
 どうぞ。
【山田委員】 補足してよろしいでしょうか。
【河田座長】 じゃあ、先に。
【山田委員】 今、河田……(音声途切れ)……なんかでも、UKでは学生調査というわけではなくて、金銀銅のシステムがあって、そうすると、必ずしも有名、著名な大学が金だけではなくて、非常に新しい大学で金などを取ったところというのは、もうホームページ上で、それ、金を取っていますって、ゴールドというのを出して、それがインセンティブになっている感じもあると思うんですね。
 だから、この数字というのは結局、今の4回やってきた中で、これぐらいの数字がほぼ同じような形で来るとすると、変わることはないのではないかなというところから、そう思ったわけでございます。
【河田座長】 ありがとうございます。小幡課長。
【小幡高等教育企画課長】 少し今、局内でもいろいろ議論している中ではございますけども、まさに山田先生おっしゃったとおりで、この調査をしたとして、大学側がそれをするメリットがなかなかないということかと思います。それは、つまり、出さなければいけない必要性だとか、出すことは出して、例えば公表することで何らかポジティブなことが大学側が受けるという、この2つとも、今の状況ではないと考えます。
 つまり、この調査を全国的に本格的にやるに当たっては、そういうところも含めて、併せて考えていかなければ、やる意味と意義がないのかなということは考えているところでございます。
 ですので、当然この中身も大事ですけども、それをプロセスといいますか、例えば今、ほかでも認証評価みたいな、いろんな評価もある中でございますので、そういったものとも関連して、少し総合的に考えていかなければいけないのではないかという議論は、局内でもしているところでございます。
【河田座長】 ありがとうございます。まさにそのとおりかと思います。
 どうぞ。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】 1点だけ補足をさせていただいてもよろしいですか。高等教育政策室の渡辺でございます。
 まさに今、小幡から申し上げたように、今後検討していかなければ課題なんですが、現段階において、まず大学の参加率が530校程度である、300校近くが参加していないということ、また学生の回答率が10%程度であるというところも考えますと、その結果をもって、それを公表せよというふうに文科省からなかなか強く言いづらいというところもございますし、また、その結果が意味するところというのが、10%の回答率で意義があるものなのか、そういったことも検討していかなければならないので、まずはその回答率、参加率を上げていくというところも、ぜひ御議論いただきたいと思っております。以上でございます。
【河田座長】 ありがとうございます。
 以上でございますけど、あと何か。仲谷先生、どうぞ。
【仲谷委員】 立命館の仲谷です。今の議論は幾つかの要因があると思います。立命館の例をお話しすると、ちょっと申し訳ないなと思いながらなんですけれども、こういう大学があるということで聞いていただければと思います。
1つは、大分前から独自の学内の調査をやっていて、それと時期的にかぶるというか、学生の調査は3月、卒業式のときにやっています。それと夏前にもう1回やっている。年2回やっていますので、それにプラスこれが入ると、3回やるということになります。学生からすると、同じような調査が3回あるということが負荷になって、それでなかなかその回答率が伸びない。特に外部の調査なので、伸びにくいんじゃないかというのが1点。
 それから、実は立命館には学友会という自治組織がありまして、学生と大学の執行部側が数年に1回、学費及び学費の使途について、あるいは教学、研究の在り方について議論をするという大学協議会という場があります。そこの場で議論をするベースとして、学生が独自にアンケートを取ったりするんですね。そうすると、もう1回、その年は増えるというふうなことになって、かなりの似たような、要するに成長度調査というような意味合いでいうと、同じような調査が年4回になるというようなことになってしまいます。
 そういう負荷があるかなという点と、もう一つは、そうではありながら、使わないかというと、実は今申し上げたように、学友会との大学協議会という場で相当真剣に議論をしますので、そのベースとして、その数字というのは非常に大きいんですよね。
 例えばですけど、英語の力が伸びた実感がないというふうな結果が出てきて、それでその英語の授業の在り方を抜本的に見直そうじゃないかという機運が生まれたりとか。だから、そういう有効活用はあります。なので、回答率を上げれば、恐らくそういう、さらに有効な活用というのが促進されるんじゃないかなと思っています。
だから、どう回答率を上げるかという、これは自分のところに返ってくるわけですけれども、そういう工夫を、やはりする必要があるということで、お話をさせていただきました。
【河田座長】 ありがとうございます。先進的な例として言っていただいたわけですけど、ありがとうございます。
あと何か。
【福田委員】 よろしいでしょうか。
【河田座長】 どうぞ。
【福田委員】 弘前大学ですけど。回答率が10%というのは、ある意味、意味のないアンケートかなというふうに思うんですけども。本学のアンケートの回答を見てみたら、本学は30%以上回答しているんですよね。なので、何%が目標なのかを文科省が考えていらっしゃるかを教えていただきたいんです。まずは、そこを教えてください。何%まで上がれば意味のあるアンケートとなるのか。
【河田座長】 その辺いかがですか。濱中先生。
【濱中オブザーバー】 濱中から。パーセントというよりは、学校ごとに平均値を出したりパーセントを出したりするのに意味があるサンプルサイズにしたいというのがあって、それを基準合致ということで、ちょっとずつ変えているんですけど、大体、過去、最低60ぐらいですね。60ぐらいを集めれば、それが平均として、推計値として有用なものだろうということで設定しているんですが、正直言って3回目の試行調査は、そこに達する学校が非常に少なかったんですね。それもあって公表しにくいというか、活用しにくいというのは、実際のところ、どの、学部別に見ると20票ぐらいしかないところ、かなり多くて、それをもうちょっと増やして、意味のある集計値にできたら、もう少し活用の仕方があるのかなと、そういうふうに考えています。
 もちろん回収率が高いにこしたことはないわけで、恐らく最終的には回収率みたいなものを公表していくような形になれば、自分のところだけ低いのはやっぱりどう思うかとかいうことも出てくるので、そういう形で少しずつ上げていければいいかなと思っております。
【福田委員】 すみません。60というのは60%ですか、学生。
【濱中オブザーバー】 60票ですね。学部ごとに60票というのが大体。
【福田委員】 60票。
【河田座長】 60人ということですね。
【濱中オブザーバー】 60人ですね。ええ。
【福田委員】 それは、だって学科、大学の規模によって、学部によって変わってきますよね。
【濱中オブザーバー】 パーセントは変わるんですけど、推計上は、それぐらい集まれば大丈夫だという考え方でやっているということですね。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】 今、集計基準として設けておりますのが、600人以上の学部に対しては60人以上の有効回答数があればよいというふうにしておりまして、そこでいいますと10%という形になります。規模が小さいような学部につきましては、もう少し回答率が高い20%であったり、60人未満のような大学、学部につきましては50%が必要であるというふうな、階段を設けたような基準になってございます。
【福田委員】 そうですか。それでいいんですかね。
【濱中オブザーバー】 それも含めて、この会議で今まで議論して決めてきたということなので。
【福田委員】 なので、だから、その回答率が低いのが、僕、地域性もあると思うんですよね。例えば、さっき言ったとおり本学の場合は、それこそ2,900人中886人回答していますので。特別なやり方をしているわけじゃなくて、インターネット上で回答するように、デスクネット等で案内しているだけなんですよね。なので、どうやれば上がるかって言われれば。だから、どこを目指すかだと思うんですね。どの程度の回答率を目指すかだと思うので、と思って聞いたんですけども。
【河田座長】 だから、前回から議論しているのは、何かそれによっていい点があるというあめ玉と、それから罰則はやっぱりきちっと決めて、これは文科省がやるあれである、使用するから出さないと、こういう罰則がありますよとか、何かそうすればどうかなということは、今まで4年ほど今回やっていますけれど、考えてまいりました。
【福田委員】 ありがとうございます。
【河田座長】 ありがとうございます。高橋先生、ありますか。
【高橋委員】 回答率に関しては、1つは、今までの調査方法の限界というのがあるかと思います。文科省のウェブサイトでやっているので、まずリアルタイムには回答状況は分からないというのがどうしてもあります。聞いたら教えていただけるんですけど、文科省も全大学に一々何回も教えるよって通知もできないというような状況の中で、やっているというのが1つで、また各大学は、当然、各大学の調査も別途やっているので、文科省の調査のほうは、学生に周知してリマインドを何回か送るけども、そこ以上のことはなかなか、そこまで手間かけられないというようなところで、回答率上がるという部分に関しては、今のやり方のままだと、一定以上上げるのは非常に難しい部分があるかなというのが状況かと思います。
 だから、今回、いい事例として、LMSとか使って、コース作って、そこから入れればとかいうような形にすれば、一定学内でも状況が把握できるので、そういった方法は使えるのかとは思いました。
 というところで、状況を把握して、ある程度リマインドとかも送らないといけないのと、もう1点、今度、公表が少ないのは、回答率少ないとそのデータが正しいというか、本当に学生の声を反映しているのかというようなことを、当然、学内でも主張されますので、そういったものを公表していいのかというようなことが出てきます。このままの回答率のものでは学内の公表は難しいというのは、これは回答率の低さと学内公表の割合が少ないというのは、両方絡んできてしまうものかなと思っています。以上です。
【河田座長】 ありがとうございます。その辺のことを次回までにもうちょっと詰めて考えていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
 ほか、もし御意見がなければ、次のテーマに移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、筑波大学の教学マネジメント室の教育力向上部門長であられる田中正弘先生のほうから、英国における全国学生調査について御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【田中委員】 分かりました。
【河田座長】 よろしくお願いいたします。
【田中委員】 筑波大学の田中と申します。よろしくお願いいたします。本日、ちょっと体調を崩してしまって、途中せきが出たりするかもしれません。その際は、お聞き苦しい点があるかもしれません。
 画面共有をさせていただきます。
 私からは、英国の全国学生調査、NSSと呼ばれるものについて説明させていただきます。
まず本発表の目的ですが、英国の全国学生調査、NSSの概要や特徴を説明し、日本の全国学生調査への示唆を得るための議論の機会を提供したいというものになっております。
 以下の目次に従って発表させていただきます。
 まず初めに、NSSの概要です。NSSは、実施主体は学生局という、こちらは大学の規制及び大学への助成助言を行う準政府機関となっております。この助成というところですね。お金を配分するとともに助言、指導を行う機関、こういうところが、この調査を行っています。ただし、調査自体は民間調査機関に委託しております。
 対象の学生ですが、最終学年の学生となっております。通常は3年生ですが、例えば医学部などは、5年生や6年生だったりすることもあります。
 実施方法は、オンラインになっています。
 実施サイクルは毎年1回ですが、イギリスでは大体5月に卒業試験があります。ですので、この時期に重なると忙しいので、それより前の、大体1月から4月まで、結構緩やかな幅広の設定になっているというのが特徴だと思います。
開始は2005年で、回答率は、先ほど話がありましたけど、70%を常に超えている状態になっています。
 ここに書いてあるとおり、2023年の回答率は71.5%で、回答した学生は34万人近くになっています。質問の数は27プラス1です。大学は、ほぼ全ての大学が参加しております。大学及び大学に準じる機関の計528校です。
 NSSの目的ですが、選択に役立つ情報を進学希望の生徒、高校生ですね、高校生に提供したいというのが1つ目です。2つ目が、学生の経験の向上に役立つデータを高等教育機関に提供。3つ目が、公共への説明責任を支援すると。
 この3つを見ていただければ分かるのですが、大学に対しての調査ではないということですね。あくまでも高校生、大学生、あるいはその保護者や、その後ろにいる納税者に対して、これを役立つ形で提供したいというふうになっているので、大学のための調査ではないということがNSSの特徴だと思います。
 このNSSは、公的資金を配分される高等教育機関は必ずやらなければなりません。こちらは義務となっております。ただ、もちろん学生の回答は任意となっております。
 まず、高校生ですね。大学進学を希望する高校生に対してどういうふうに情報が提供されているかといいますと、Discover Uniという、これは検索サイトで打っていただければすぐに出てくるのですが、今回はマンチェスター大学の教育学部について打ってみました。そうすると、ちょっと文字が小さくてすみません、こういうサイトが出てくるのですが、ここに幾つかプラスって書いてあるところをクリックすると、各情報を得られます。
 一番上に全国学生調査の結果というのが出てきて、これを打つと、こういう形で、各質問に対してどれぐらいの学生がどれぐらいの割合で何を答えたかというのを見ることができます。
 ただ、高校生にとって、これだけだとそんなに面白い情報ではないので、ほかにも組み合わされていて、当然、入試情報が2番目に入ってくるので、生徒としては、ここを見たいですよね。
 面白いなと思うのが、それ以外にもリテンション率、1年後にどれくらいの学生が進級できたかという値であったり、ここはイギリスならではですよね。卒業後の収入を見られるのですね。これは面白いなと思ったのですけど、教育学部の学生ってどれぐらいの収入が得られるのかなというのが、各大学ではっきり書かれていますので、これも高校生としては、へえーって思うかもしれませんね。分野を選ぶ際にも、こういうのがもしかしたら参考になるのかもしれません。
 また、離職率が高いので、卒業15か月後の就労率。すぐ辞める卒業生ばかりじゃないだろうかというところ、気になりますもんね。こういうのも見ることができます。
 また卒業生調査の結果も見られますし、最後に大学のホームページに飛べるようなところもついております。
ですので、全国学生調査の結果だけ見られるよといっても、恐らく高校生は、ほとんど見ませんので、幾つかの情報と組み合わせて、高校生が見たいなと思うようなサイトを作るのが大事じゃないかなというのが、イギリスから示唆を得られるところです。
 次にNSSのデータですが、こちらはオープンになっております。学生局のサイトからダウンロード可能です。このようなサイトに飛べます。
 例えば、オックスフォード大学について入れてみました。すみません、すごく字が小さいのですが、質問は全部で27プラス1の28問あって、それぞれについて、学士課程の学生は、オックスフォードはほとんど大学院大学に近いですので、3,175名しか1学年にいません。そのうちの大体1,589名、約半数強ぐらいが答えたよというのは分かります。それぞれが、どういう割合で答えたかというのが出てきます。
 こういうこともエクセルデータ、あるいは、各大学だとエクセルで出てくるんですが、全大学とかにすると、エクセルでは使えないような大きなデータになってしまいますので、その場合はテキストデータとして出てくる形になっております。
 では、NSSはなぜ導入されたのか、その導入の背景について説明させていただきます。
 まず1つ目、高等教育の質保証に関する議論の高まり。ちょうどこの頃、日本の認証評価に近いようなものがイギリスでも整備されました。
 二つ目に市民の情報へのアクセスに対する意識の高まりというのがあります。
 三つ目が、学生満足度調査研究。学生満足度調査は各大学で行われていて、それに対する研究の蓄積があったというのもあります。
 四つ目として私が強調したいのは、全国学生組合が、ぜひこういうNSSをやろうというふうに後押ししてくれたのがあります。
 なぜ学生を味方につけられたかというと、学生組合が匿名化された自大学のデータをもらえるためです。つまり、こういうデータをもらって、うちの大学にはこういう問題があるというのを、学生組合の代表者が執行部等とやり合う際に、このデータが欲しいんですよね。ですので、学生組合としては、組合員の学生に対して毎年、NSSに回答してねというのを常に広報している。
 NSSの質問項目は時代によって少しずつ変わっております。大きく3回、変更がありました。
 まず、現在行われている最新の質問項目は計27問になっています。プラス自由回答が1問ありますので、計28問ですね。それぞれ、例えばコースの教育について4問とか、学習機会について5問という形で、幾つかの領域に分かれて質問がなされています。
 必須と書いてありますが、これは大学側で勝手に選ぶことができなくて、必ずこの27プラス1は回答するようにしてくださいねということになっております。
 それとは別に、ちょっとこの医療関係のところはイギリスならではの事情があって、看護や福祉を専攻する学生が少ないので、こういう質問が特別にあるのですが、これはちょっと無視していただいて、任意の質問があるというのは、これは日本にとって、とても示唆になるのではないかなというふうに私は思っております。
 幾つかの領域があって、それぞれ大学側は最大6つまで選んで、これらの質問を加えることができます。ですので、例えば、うちはもう28問あれば十分だよというところは、こういう、さらに任意の質問を足す必要は全くありません。
一方で、28問しかないと、ちょっと学生に聞きたいことを聞けていないので、結局自分たちでもう1回、独自の調査をしないといけないというところにとっては、こういう自分たちが聞きたいものがこの中にあれば、それを最大6つまで入れ込むことによって、自分たち独自の調査というのをしなくても済むようにという配慮がなされているということです。
 また、これは絶対いいなと思うのですが、最大2問まで大学独自の質問を含められるというのがあります。例えば筑波大学であれば、「学問への誘い」という全員必須の科目があるのですが、それについてちょっと聞いてみたいなと思えば、大学独自でそういう質問を加えることができますので、それだけ大学としては、こういう質問、こういう調査に乗っかってしまうことで自分たちの省力化が図れるということ、こういう点はぜひ参考になるのではないかなと思います。
 NSSの質問項目、どういうふうに再考されてきたかというと、NSSのレビューが、研究者に委託されて実施されたものです。学生は、NSSの調査範囲は学生の経験や学修・教育への参画という点で狭過ぎると考えていると。アンケート調査等を行った結果は、こういう結果が出てきて、この狭さは生徒の選択に必要な情報を与え学生の学習経験を向上させるというNSSの有効性を損なうものであると考えるという、こういう結論を出したので、この指摘を受けて、2017年度の質問項目は大幅に変更されました。
 ただ、この質問項目の変更とはあまり関係ないのですが、学生からボイコットの対象になり、議会でNSSが争点になるというようなことが起こりました。なぜかといいますと、ちょうどこの2017年から「教育卓越性・学習成果評価枠組」、いわゆるTEFと呼んでいるものになるのですが、これが始まることになりました。この結果に応じて授業料上限。授業料上限は国レベルで定められているのですが、その上限を少し上げていいよということ、この評価の結果に応じて、金銀銅という話が先ほど山田先生からございましたけど、その金銀銅に値する評価を得られれば、上限を少し上げていいよということが認められたんですね。
 そうなると、これっておかしな話ですけど、NSSに一生懸命学生が答えてTEFの評価が高まってしまうと学生は授業料を高く払わなければいけないということで、学生にとってはおかしな話だったので、学生はボイコットすることになりました。
 こういうこともあって、この2017年度の質問項目も改めて変更がなされます。それが2023年度に行われました。
まず2017年度のNSSの変化ですが、それまでは、2016年度までは学生の満足度を主に測る調査になっていたんですが、満足度調査はちょっと当てにならないという結果が出てきたので、学生の経験あるいは参画を測る内容に変更がなされます。
 その後に、NSS2023からは、今までは、同意・不同意について4段階で聞くものだったんですが、それを当てはまる・当てはまらないの4段階に変更がなされました。ですので、質問項目の内容も少しずつ修正がなされております。
では、NSSの特徴です。NSSの特徴として、必須の質問項目数をできるだけ少なくする。初めは22しかありませんでした。その後、2017年度から4問増えて、27になりました。27プラス1になった。それでも30は常に超えないという形で、何かを足せば何かを消すという形にしているというのは重要な点だと思います。
 その一方、任意の質問ですね。今まで蓄えてきた質問は、これからもぜひ使えるようにしてほしいという要望が大学側からありましたので、こういうのは残しているんですね。残すことによって、そういう任意の質問を入れたいという大学があれば、それも使えるようにしております。さらに大学独自の質問も加えられるという点は、日本にとって大いに参考になるのではないかなと思います。
 あと、NSSのデータは、大学だけではなくて、学生組合にも提供されている、学生も使えるデータになっているというところは、ぜひ日本も模倣してほしいなと思っております。
 もう一つ、TEFと連動させることでNSSの価値を高めているというのがあります。
 このTEFとの連動について、どういうことかというと、TEFの審査というのは、主に3つの書類を根拠に行われます。1つは大学側が提出する書類です。それだけじゃなくて、学生側も似たような書類を提出しております。これを私は学生意見書と呼んでいるのですが、こちらでもNSSの結果を反映させて、うちの大学でこういうところに問題があると思いますというような書類が出されます。
 何で2つ出すかというと、大学側が言っていることと学生が言っていることで齟齬がある場合は、評価団のほうから面談を通じて、どういうことなんですかということが聞かれるからです。そういう意味で、大学側だけの書類では結果が誇張されている可能性がありますので、そういうところを確認したいというのがあります。
 あと、OfSが提供する指標というのは、学生数や教員数など、そういう数字です。
 評価項目「学生の経験」というのがあるのですが、そこの根拠資料は主にNSSの結果を用いています。こちらは添付資料として既にお渡ししているものの表の5、43ページのところを見ていただきたいんですが、大体、学生の経験というのは4つか5つぐらいに分かれていて、それぞれの質問項目に、それらが合致しています。ですので、その大学側や学生側の提出書類を作る際に、この「学生の経験」について書く上で、NSSの結果ではこうなっているので、うちではこういう評価をしたいと思いますという形で自己評価、自己点検が行われているということです。
 ちなみに学生意見書も添付いたしましたので、添付資料3も後ほど見ていただけたらなと思っております。
 では、まとめです。
 まず、誰のための調査なのかというところを改めて私は問いたいと思います。これが大学なのか、あるいは保護者なのか、高校生なのか、あるいは大学生なのかというところは明確にしたほうがいいと思います。イギリスは、明らかに学生及び高校生のためです。
 だとすれば、学生(進学希望者を含む)が使いやすい形で、データを閲覧できるように、または提供すべきであるというのが言えると思います。
 学生のためのデータであれば、学生にとって意味のあるデータかというのは、これは考えないといけないと思います。学生にとって意味のないデータでは、そもそもそれを閲覧できるようにしても誰も見ませんし、提供されたところで誰も使いません。ですので、この点に関しては、学生にとって意味のあるデータかというのを、もう一度改めて考える必要があると思います。
 学生が活用したいと思えるデータでなければ、調査にそもそも真摯に協力してくれないと思います。また、学生の活用を支援する体制。データがいきなりエクセルで送られてきても、それを分析する能力がなければ結局使わないと思いますので、そういう点についてサポートするような体制が各大学内にあったほうがいいのではないかなと思います。
 次に、情報開示の方法です。英国では全ての大学を学位プログラム単位で見ることができます。そのような情報を開示することは日本ではハードルが高いのかなというふうには、肌感覚では感じます。
 一つのアイデアとしては、多くの大学の賛同を得られやすい方法を考えていかないといけないのかなということで、例えば高い評価を受けた上位校(ポジティブリスト)のみにする。こういうことも考えられます。
 ただし、学生(特に進学希望者)が欲しいデータというのは、進学したいという大学だけじゃなくて、ほかの大学と比較して、進学希望大学のどういうところにメリットがあるのだろうかというのを見たいわけですよね。そうすると、やっぱり比較ができないとなかなか難しいのかなと思うので、この点に関しては考えていく必要があるのではないかなと思います。
 御清聴ありがとうございました。
【河田座長】 ありがとうございました。非常に上手にまとめられた学生調査の説明、イギリスのものでありました。これについて何か。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】 事務局でございます。先ほど両角先生から御質問いただきました調査方法別の参加大学、前回参加していたかどうかというところでございますが、すみません、田中先生の御発表の後にすぐで恐縮ですが、お答えさせていただきます。
 大学のほうが、調査方法2を選択した27大学のうち21大学が前回参加をしておりました。また短期大学につきましては、調査方法2、9大学選んでいただきましたが、そのうち4大学が前回参加していたというところでございます。
以上でございます。
【河田座長】 両角先生、いいでしょうか。
【両角委員】 はい。ありがとうございました。
【河田座長】 ありがとうございます。ただいまの非常にためになる英国の例を田中委員から御説明いただきましたけれど、そういう英国の例も踏まえまして、今回から、次回も含めて、本格実施を見据えた全国学生調査の第4回の試行──試行としては最後でしょうけど──の方向性について御意見をお願いしたいと思います。調査の内容、先ほどからあった方法、誰のためにかという在り方、それから情報公開、さらに教学IRなど、その調査の結果の活用をどういうふうにしたら促進できるのかということで、まだ時間が1時間近くありますので、意見交換ができればと思っております。委員の先生方、いかがでしょうか。新しく入られた先生。
 先ほどから弘前大学のほうとか、立命館のほうから、自校の現状についてのお話をいただきましたけど、ほかの先生方。小方先生、香川大学の何か例なんかをお話しいただければ参考になりますので、よろしくお願いいたします。
 浅井先生、じゃ、お願いいたします。
【浅井委員】 すみません。浅井でございます。今の田中先生の御発表で、もう一度確認させていただきたいんですけども、イギリスのNSSの場合は、基本になる30問以外に、この御発表の資料の13ページにありますように、49問がもう準備されているという理解でよろしいでしょうか。それで大学ごとに、それを追加したい大学は追加してもいいというということで。
【田中委員】 はい。
【浅井委員】 それは、このNSSが、もうそれを完全に準備してということですか。
【田中委員】 はい。そうです。
【浅井委員】 そうですか。分かりました。まず、すみません、ありがとうございます。
【河田座長】 どうぞ、濱中先生。
【濱中オブザーバー】 質問を1つ、させてください。このNSSを実施するのに、Office for studentsって、どれぐらいの体制で、スタッフがどれぐらいいてとか、予算まで分からないにしても、どれぐらいの規模の体制でやっているのか。
 正直、今、全国学生調査は、こちらにいる事務方のスタッフ数人でやっていて、ここまですごいことをやるには結構大変だし、システム等も、こういう公開用のシステムなんか一切ないわけなので、その調査の背景というか、実施体制みたいなものについて御存じのことがあれば教えていただけるとありがたいんですが、よろしくお願いいたします。
【田中委員】 イギリスでは基本的に、こういうものは全て民間に委託していると思います。調査自体もそうですし、公表する際、データの分析も、基本的なことは民間調査機関がしております。
【高橋委員】 すみません。高橋ですけど、よろしいでしょうか。
【河田座長】 はい。高橋先生、お願いします。
【高橋委員】 私は2015年にHEFCEのほうに、NSSというか、Unistatsを、調査しに行って、今、HEFCE は OfSになっていますけど、そのとき、まだHEFCEという資金配分団体がやっていました。HEFCEで、調査も分析も委託しているんですけど、HEFCEというところだけで、高等教育の専門職として100人以上のスタッフを抱えていました。人事とか、専門職、専門部門もあって、実際には、これは収集、回答率を上げるのは、HEFCEの担当職員等が、このときもまだ、2015年の段階では、ネットと電話と郵送、3つ全部やっていました。ネットの中でほとんど70%以上、回答を上げているんですけど、それ以上のところは、回答しない学生に対する電話とか郵送までやっていました。
ということで、あと、イギリスの場合は、HESAという統計局、高等教育の統計局があって、そこのデータの収集も、そこも猛烈に包括的、スチューデントレコードも基本的に個人単位で集めています。というところで、その辺りの高等教育に関する人材という部分は非常に豊富というのがイギリスの状況かと思います。
【河田座長】 ありがとうございました。
 あと、先生方のほうで。小方先生、どうぞ。
【小方委員】 ありがとうございました。僕もNSS初期の頃、調べたことがあって、それに比べると、最初はもっとシンプルだったと思います。ある程度質問項目が増えてきているなということと、一番最初にお話いただいた、大学のためというのは、HEFCEとしてはあるんですけど、やはり学生のためというか、学生を味方につけるというところは最大のポイントかなと伺いました。
 それで、あとは、もし御存じなら伺いたいんですけど、先ほど立命館さんのほうからもありましたけども、大学が独自にやっている調査というのがあって、それは勝手に独自にやっているというよりも、内部質保証とか、いろいろな評価のところで求められることがあるから結局やっているということがあって、日本でも文科省がやるような調査一本で全ての評価にも対応できるとか、そういうふうになれば、大学も省力化できるし、自分のとこでお金をかけなくてもできるので、かなり参加とか回答率も上がると思うんですけど、もし御存じだったら、イギリスの場合、このNSSはやっているんですけど、個別大学ではこれだけではなくて、ほかの学生調査もやっている状況なのか。追加の質問項目から選べるということが先ほど質問にございましたけども、個別大学は、ほぼこれ一本で学生調査を済ませているのか。その辺、もし情報があれば教えていただきたいんですけど。
【田中委員】 大規模大学は、ほぼ全ての大学が独自でやっていると思います。それに対して小規模のところはほぼNSS1本で、卒業生調査とかはまた別にあるのですけど、それはやっていると思います。NSSに答えていると、多くの外部評価には耐え得るものになっていまして、これがNSSが抜けてしまうと大変なんですね。NSSというのは、回答率が5割を切ると公表してもらえないんですよね。データももらえないので。ボイコットされてしまったときに、オックスフォードとかケンブリッジの学生はほぼ答えなかったのですけど、そのときは外部評価の準備が大変で、オックスフォードは急いで独自の調査をして、評価をそろえて、回答率も高くして、ちゃんとそういうことをして耐え得るものをやっていますので、大学としてはNSSがあってくれたほうが助かるというのはあると思います。大学の独自調査は、NSSでは取れないデータを取りに行くという形になっていると思います。
【河田座長】 よろしゅうございますか。どうぞ、先生。
【高橋委員】 すみません。さっきもありましたが、当時、Unistatsで、今さっき説明があったように、Uniとなっているのですが、だから、基本的にNSSはたくさんある調査の一つなんですね。卒後、18か月後の年収とかそんなものを別に、それも一応、学生は入学時に、そのときの話だと、調査に協力すると一応回答して。それでも、50%ぐらいの回答率だと思うんですけど、そういったものも含めて全体が、対象は、基本はやはり高校生というか、大学へ入学を考えている人向けのデータを提供しているというのがイギリスのやり方です。
 それから、さっきありましたけど、スチューデントユニオンが全面的に協力しています。私はそのとき、各大学、3つぐらい、大学を回ったんですけど、ちょうどその時期で、スチューデントユニオンがいろいろなポスターや何かを貼って、それでNSSに回答するようにというようなことを学生のほうでやっていました。その辺りが多分大きな、回答率を上げるためにも非常に大きく寄与していると思います。
【河田座長】 ありがとうございました。
 山田先生、どうぞ。
【山田委員】 「日本への示唆」のところでお伺いしたいところなのですけれども、本当にこういうデータというのは、学生といいますか、高校生や大学生が関心を持つというのが物すごく大事なポイントだと思うんですけども、日本でもそれこそ、私の大学の入っているのは、それこそ河田先生が前に関係されていた私学事業団などのデータベースであるとか、それから、大学改革支援・学位授与機構のデータベースがあって、そこで高校生などが大学を調べたり、いろいろなところで見るということを随分やってきているにもかかわらず、やはり活用率というのはあまり上がらない状況で、実際、入学してきた学生に聞いてもあまり利用していないんですよね。
 それが一つあることと、それから、実際、大学生が入学してきて、イギリスでは、スチューデントユニオンというところが非常に活用されるんですけれども、私の大学なんかはもうそれこそ20年ぐらい前に、先ほど仲谷総長がおっしゃいました学友団みたいなものを自らが解散したりとかそういうことをして。ちょうどそのとき学生主任だったので大変だったんですけれども、そういう大学が日本の場合、すごく多くて、結局、あまり大学の教育を組織的に関心を持ってするような組織は日本の大学にないかと思うんですけど、その辺りはどういうように考えたらよろしいんでしょうか。
【河田座長】 田中先生、お願いします。
【田中委員】 まずイギリスでは、学生側の意見を大学がちゃんと聞いてくれる制度が整っているというところがやはり一番大きいと思います。学生組合は、自分たちで、根拠にのっとって提案した改革案を執行部及び最高意思決定組織、そういう会議等において、その提案がどのように議論され、採用されるにせよ、否決されるにせよ、どういう流れでその話が議論されたかというのを全てモニターすることもできますし、そういう会議において、投票権、議決権を持つ立場として参加している学生代表が必ずいますので、学生組合からすれば、とにかく根拠が欲しいんですよね。データに基づいて提案するということをしなければ、否決されるという経験が続いてしまいますので、ですので、自分たちはこういう根拠にのっとっているということを言うためには、NSSは一つのデータとして大変有効です。
もちろん学生組合も独自に調査等を行っておりますので、そういうものも組み合わせて、NSSの結果と合致するという形で、より根拠を確かなものとして説明しているというのがあります。それを見て、とにかく学生にとってはないと困るものになってきているというのが回答率の高さにつながっていると私は思います。
【河田座長】 ありがとうございました。
 両角先生、何かございますか。
【両角委員】 ありがとうございます。今の話とも関係するのかもしれないと思ったんですが、学生をやはり味方につけてというところがすごく特徴で、本当に、本来そうあるべきだなということも改めて思ったんですが、何というんですかね。学生の組合とかいろいろなのがあって、学生の声がきちんと反映されて、教育とか、その改革が行われているというところの意味として重要だということももちろん分かるんですが、あと、情報公開もしていますよね。
この調査だけだと見ないから、ほかの情報も含めてということなのですけれど、実際にどれぐらい活用されているものなのでしょうかということを知りたくて、さっきの学生参加ということだと、どちらかというと、全学生というよりも代表として入っている学生がいろいろな声を聞いて、大学と対話しているという、その意味ももちろんあると思うんですが、多くの高校生、進学予定者とか大学生がどこまで見るのかなと。日本も本質的には同じ問題を抱えていると思っていまして、授業料も別にぼったくってなんかいないと思いますけれど、それなりにやはり高いものですし、また、就学支援の支援制度も含めると、大学に対する、高等教育に対する支出は決して少なくもなくて、本当にそれって払うだけの価値があるのかということがますます問われるようになっていっている中で、こういったものをきちんと見てもらって、よりよい大学を選んでもらうということが今まで以上に大事になっているかなと思っていまして、イギリスのこの仕組みがどこまで見られているのかなというところを知りたいなと思ってお尋ねします。
【河田座長】 お願いします。
【田中委員】 まず高校生のほうですけど、高校生が見るのは、NSSよりは、どちらかというとTEFのほうになると思います。金、銀、銅の評価ですね。自分が行きたい大学、これは日本流で言うと偏差値にかかわらず、低い学力の学生が集まるところでも金を得られるような大学はあるわけですよね。そういう大学はやはり魅力的な教育を行っているはずですし、これは専門家が評価したものだということで、社会的にも信頼度が高いものになっています。ですので、高校生にとって、やはりそこが魅力的になりますね。
あと、イギリスの高校生は、大学に入ると、学費等は基本的には自分で払います。ですので、高い学費を払ってまで行きたいか、その高い学費を払った結果、幾らぐらいの収入を得られるかというところはすごく気になるところですので、そこは日本の学生とはちょっと立場が違うのですが、そういう意味で、こういう情報というのはやはり得たいわけですよね。ですので、費用対効果の考え方が日本よりも強いというところが一つあります。
もう一つは、中にいる学生ですね。中にいる学生からすれば、やはりこのNSSを使って、いろいろな評価報告書を書く機会があります。先ほどのTEFの評価でも使えますし、QAAという、日本の認証評価機関に近いようなところが評価するときにも学生組合は、学生意見書というのを提出します。このときにNSSのデータ等は活用します。ですので、それらを使って、こういう改革案を出したということは、組合等からホームページ等で必ず書かれたりもするんですけど、それを一般の学生に周知する方法というのはピラミッド型の組織になっていまして、一番上のほうにいる学生組合の学生というのはもうほぼ職員です。給料をもらって、学業を1年休んで行っているようなプロフェッショナルですね。そういう人たちが組織を運営していて、その上で、少しずつ下の段階に下ろしていく制度が整っています。ですので、全学レベルの委員とか、学部レベルの委員、学科レベルの委員、あるいは何学年の委員というような形になっていて、それぞれに情報伝達を行って、一般の学生にも伝達して、組合はこれほど皆さんにとって役に立っているんですというのをアピールするような形になっているので、そういう意味で、一般の学生は、NSSの結果がどうのこうのというのはもちろん見ないとは思うんですけど、そういう形で、教育改善案というのは学生組合から出される際の証拠になっているというところでは分かっているとは思います。
【両角委員】 ありがとうございます。
【河田座長】 ありがとうございます。
 あと、何か先生方のほうからお聞きになりたいことはございませんでしょうか。
 小方先生、お願いいたします。
【小方委員】 これは田中さんに聞くのではなくて、自分でもうちょっと、以前もちょっと見たことがある、調べないといけないんですけど、オーストラリアも、SES、Student Experience Surveyというのをやっていて、最初見たときには、ほぼNSSと一緒だったという記憶があるんですけど、オーストラリアのケースについても、田中さん、もし御存じの部分が仮にあれば。
【田中委員】 ごめんなさい。分からないです。
【河田座長】 山田先生あるいは両角先生、オーストラリアの例は何か御存じですか。
【山田委員】 項目のことは知りませんけれども、オーストラリアも国が同じようにやっていらっしゃいますし、かなりの比率で、ほぼ全部が参加しているのではないかと思います。
【河田座長】 ありがとうございます。
 あと、浅井先生、先生の名古屋市立大学のほうではいかがでしょうか。そういう学生調査と、それから、文科省がこれからやろうとしていることと、その辺お分かりになれば。
【浅井委員】 今、本学の場合ですと、やはり独自で学生調査は行っています。やはり項目的には重なる部分がありますので、ちょうど先ほど、田中先生のお話にありましたように、NSSでやっているような基本的な調査プラス、例えば大学でエクスパンドできるような項目がもし取り込んでいただけるようであれば、例えば大学で行っている調査をそれに置き換えるということも可能になるのかなというのが一つ思います。
それとやはり大学独自でやっている調査では、どうしても大学の中の年度ごとの変遷しか見えないものですから、やはり他大学との比較とか、そういうところが全国調査ではできるという点では、今後、大学の改革を進める上でも非常に重要なデータになってくるんじゃないかなと感じています。以上です。
【河田座長】 ありがとうございます。
 倉敷市立短期大学の安達先生、いかがでしょうか。
【安達委員】 どうもありがとうございます。安達でございます。田中先生、大変勉強させていただきました。ありがとうございました。ちょっと乱暴な質問かもしれないんですけれども、お尋ねしたいことがありまして、日本の場合は、うちのような小さな短大もあって、いろいろな大学があって、それを一律に調査しようというのが今回の学生調査ということで、やはりそこに難しさがあろうかと思うんですね。ちょっと乱暴と申し上げたのは、先ほど学生組合の協力を得て、データが大変有用であるということで、回答率が高かったということですが、それ以外に、このNSSの場合、大学に対するインセンティブのようなものがあるのかないのか、その辺りのことを教えていただければと思います。
【田中委員】 研究に関しては、イギリスは本当に格差がひどいです。研究大学に対して配られるお金と、それ以外の大学。それ以外の大学に対して、公的な研究資金はほとんどゼロでしかないという中で、小規模大学が生き残るのは本当にもう教育で生きていくというところが強く出ています。頑張ってきたことが評価され、特にNSSというよりも、それを用いた結果であるTEFのほうが、いわゆる日本で言うところの週刊誌ですね。ああいうところでリーグテーブルという形で出るのですね。
 そういうのが出るとよく売れるものですから、そういう中で、注目したい、今こういう大学、地方小規模大学みたいな形で取り上げられることが多いものですから、そういう結果を踏まえて、一生懸命頑張るのは、どちらかといえば小規模大学のほうというのがあります。そういう意味で、いいかどうか、何とも言えないのですけど、このNSS及びTEFはそういう週刊誌と、あるいは新聞等にも載りますね。そういうところでアピールできる場にもなりますし、低い評価を受けてしまえば、それはそれでまた名前がどんどん出てしまうので、あまりいいかげんにはできないというところがあると思います。私から以上です。
【河田座長】 ありがとうございました。あと、弘前大学の学長先生、福田先生はいかがでしょうか。
【福田委員】 大変勉強になりました。やはり学生のためのアンケート調査でやるべきだと思うし、全国調査でも、文科省のほうから、フィードバックしていただきましたけども、結構素直な自由記載があって、非常にやる意味はあるのかなと思っています。本学の場合は、3割程度、回答してくれていますので、これを基に大学の組織改革には生かすようにしています。
【河田座長】 ありがとうございます。
【福田委員】 なので、あまり低いとなかなか活用が難しいのかなという感じがして、冒頭で話させていただきました。
【河田座長】 はい。あと、何か先生方の御意見、いかがでしょうか。
【仲谷委員】 いいでしょうか。
【河田座長】 はい、どうぞ。
【仲谷委員】 立命館の仲谷です。やはり我々としては使えるデータが欲しいということです。例えば学内調査だったら、アンケートだったら九十何%の回収率なんですね。それだとやはり学生の本当の傾向が知れるということになります。3万3,000人ぐらいの学生の九十何%というと、かなりの重みを持って我々は聞かなきゃいけなくなって、さっき1学部60とおっしゃったけど、いや、本当にそれで大丈夫かなという、本当はそこから漏れるところを知りたいなというのがあるんですよね。やる気のある学生の意見はもちろん、アンケートで聞けるんだけど、そうではない多くの学生、何を目的に大学に来ているのか分からないというような、自分でももどかしい思いをしている学生のことに寄り添おうと思うと、やはり全数に近いようなことが必要になるんじゃないかなと思うんです。
 そうだとすると、先ほどからあったような、イギリスのように学生が使いたくなるデータ、学生の自治体とか、あるいは学生が参考にしたい、うちの学部、大丈夫かとか、少なくとも学内でも、他学部と比べて、うちの学部の教育はどうなっているのだというようなことを学内比較できるようなデータがないと、やはりそれはつらいなという気がしますよね。それができるようにするにはどうしたらいいのかというのをやはり考える必要があるかなと、お話を聞いていて思いました。
【河田座長】 前回はたしかコロナの問題があったりして、割とそういう意味では本音を聞けたようには思いますけど、それでもやはり回答率というのがそれほどよくないということで、この辺はこの会議をもう一度ぐらいしなきゃいけませんし、文科省のほうでもどういう形でするのか。独自になさるのか、あるいはもう業者にお任せになるのかとか、いろいろな問題があると思うので、次回までにぜひ文科省のほうでもお考えいただければと思います。
 あと何かございますでしょうか。
【福田委員】 では、文科省に質問よろしいでしょうか。
【河田座長】 はい、どうぞ。
【福田委員】 調査方法について、マル2の確認ですけども、これは各大学において調査結果を取りまとめ、データ等で提出するということで、各大学でやっているというデータの中から、今回の文科省のデータを抽出して出しなさいということなんでしょうか。
【花田高等教育企画課課長補佐】 おっしゃるとおりです。
【福田委員】 そのデータとしては例えばエクセルデータとかでもいいんですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】 そうです。そこについては様式をつくった上で記入いただくような様式をつくろうと思っております。
【福田委員】 今、本学はForms、いわゆるネット上でのアンケート調査をやっていますので、そこに入れ込むことによる、入れ込めば、エクセルデータに簡単に落とせますので、そのデータを文科省がそのまま受け取ってくれるのであれば、恐らく各大学はやってくれるんじゃないかなと思って聞いていました。以上です。
【花田高等教育企画課課長補佐】 はい。
【河田座長】 そうですね。ぜひ文科省のほうでも、各大学が簡単に出せる、また、利用できる方法をさらに考えていただくということでお願いしたいと思います。
 あと何かございますか。あと30分ほどありますけれど、もしなければ。
 浅井先生、どうぞ。
【浅井委員】 名古屋市立大学の浅井でございます。今ちょうど福田委員からもお話があったのと、全く私も一緒で、やはり大学のアンケートとうまくマージできると、多分すごく回答率は上がるかなと思っていまして、うまく調査項目を取り込むことができれば、かなり学生に回答率を上げてもらうことは可能かなと思うところです。
それともう1点は、やはり学生にどうフィードバックして、それが学生にどうメリットを感じてもらうかというところで、なかなか、今、学生の自治会とか、いわゆる組合というのはもう大学はほとんど、本学の場合でも崩壊してしまっていて、なかなか学生と教員との間でのそういうことの意見交換ができないような状況が実際はあるので、何かそういう構築にもこのことが使えると、大学にとってもすごくメリットは大きいのかなと感じて、聞いておりました。すみません。私からは以上です。
【河田座長】 ありがとうございます。その辺のことをぜひ文科省のほうで、利便性を考えていただく。いろいろ要求が多くて、父母の方にも知っていただきたいし、高校生にも選ぶときに使っていただきたいし、大学生にもということで、いろいろたくさんの要求があると思いますけれど、できるだけその御意見に、各大学の利便性ということもよく考えてやっていただければと思っております。
 あと、山田先生、何かありますか。いいですか。高橋先生、どうぞ。高橋先生、お願いします。
【高橋委員】 今、浅井先生もおっしゃっていたんですけど、基本的には、(2)の方法を取っていただければ、大学の独自設問とかも加えて、アンケートを取った上で、文科省に送るところは、そこは削って送るというような形を取られれば1回で済みます。あとやはり各大学の中でやっていると、そのデータが学生の学籍番号等を使って、ほかの成績データ等とのひもづけができるのが非常に大きいかなと。それが文科省でどうしてもできませんので、そのためにはやはり(2)のほうでないと他のデータとの紐付けができません。また、試行のままだと、設問自体が確定していないので、各大学も当然、経年変化も見たいので、設問が変わるのも困るんですね。だから、試行でも本番につなぐ形でできるだけ早く設問を固めていただくと大学もその設問に合わせることができて、独自調査も加えた上で、自分のところのアンケートシステム等を使ったものを使って、1回で学生調査が済むと。各大学は、大学独自の調査と、いろいろなものと学内の他のデータと組み合わせて、使えば、いろいろな質保証とかにも使えるというところで、何とか早くそこの形に持っていければと思っております。以上です。
【河田座長】 ありがとうございました。
 あと何かございますか。仲谷先生、こういうことですが、いかがでございましょうか。
【仲谷委員】 やはり独自のものが使えるというのが一番やりやすいのはやりやすいですよね。時期的な問題はありますけれど、それは大きいかなと。最初の議論で、時期の話がありましたけど、11月から2月は、うちの大学の場合だと卒論シリーズがずっと学部ごとにあって、早めに卒論が終わるような、11月ぐらいに終わるような学部は国家試験モードに入ってしまうので、アンケートどころではないんじゃないかなと思うんですよね。なので、我々は、卒業式のときにアンケートを取ることをしているんですけれど。だから、学生の負荷というのがどこでかかっているのかというのを各大学がうまく配慮できるような、そういうことが必要なのかなとも思いました。
【河田座長】 ただ、短期大学もあったりして、2年間のあれがあったりするので、秋が一番いいということで前回はしたんですけれど。はい。そういうこともいろいろ考えさせていただくということで、よろしゅうございますか。
 あと何か文科省からおっしゃることはありますか。では、課長、お願いします。
【小幡高等教育企画課長】 田中先生、ありがとうございました。我々も当然、学生のためだとか、学生にとっても有用なものというのは考えていかなければいけないと思っておりますが、なかなか現実的に、今の日本における大学と学生の関係などを考えると、同じようなやり方というのはなかなか難しい。ただ、一方で、では、それをどういうふうに、学生の声を聞きながらとか、学生にとっても有用なものにしていくことが学生調査の意味のあるものだし、より学生の回答率も高まっていくものになっていくということですので、非常に重要な示唆をいただきましたので、そこは少しまた議論いただきながら、また、田中先生の御指導をいただきながら考えていきたいと思っております。
あと、試行調査で今回も聞いたときに、調査2のほうがかなり少ないということにはなっているんですが、例えば不参加の大学の理由としても、もう既に独自に調査しているとか、学生の負担が大変だからというようなことで不参加になっているわけで、この調査2にすれば、やり方もそうですが、そこら辺の理由が解消されると思いますし、もう少しこの調査2でやる場合の具体的なやり方をもう少し大学側に示していきながら、こういうやり方だったら参加できるよみたいな、そういう何か、いきなりもうやらないというだけではなくて、どうすればやれるんだ、やっていけるのかというシステム面だったり、事務職員の作業的なことだったりを含めて、もう少し具体的に考えていかなければいけないかなと思ったところでございます。
【河田座長】 ありがとうございました。
 あと、濱中先生、何か御示唆ございますか。
【濱中オブザーバー】 やり方については、高橋先生がいいと、マル2というか、各大学がやったデータを出す。イギリスは恐らく政府のほうに箱を用意しておいて、各大学がそこにアクセスして、自分の質問なりを追加できるようなシステムをつくっているということで、そういうやり方もあるのかと思って、参考になりました。
 ただ、これにどれぐらい予算が使えて、委託するというのもいいんだけど、毎年、委託業者が変わったら毎年仕様が変わるとか、そういう実務的にはいろいろな問題が多分まだあるんだろうなということを実感しました。
 もう一つはやはり質問紙の問題で、高橋先生がおっしゃるように、しょっちゅう変わっていると、というか、時々に応じて重要な課題は変わってくるので、何年か一回には見直しというのは必ず必要なんでしょうけど、やはり早く質問を固めなければいけないと思いますので、今日、質問の案も配付させていただいておりますので、ぜひ御意見を、今日ではなくても。確定は今日じゃなくても大丈夫ですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】 はい。そうですね。
【濱中オブザーバー】 なので、お目通しいただいて、御意見があれば。一応僕の意見も反映させてもらっているんですけど、最初の1回目の試行のときにはなるべく文字数を少なくというか、前回の会議の最後のときに言いましたけど、なるべくシンプルに、パッと。スマホで答えることがもうほぼ前提なので、なるべく文字数少なく、パッと見て、何が聞かれているかすぐ直感で分かるようなそういう感じで、質問数を減らす方向で、検討させていただきましたので、質問のほうについても御意見があれば、今後の会議で固めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【河田座長】 では、そういうことで、ちょっと時間が早いですが……。小方先生、どうぞ。すみません。
【小方委員】 手短に。今、濱中さんも、だから、これはマル1の方式が圧倒的に多いんですけど、マル1の方式が多いけれども、実は独自調査もやっているんだということが事実であれば、逆説的にマル2を前提としたシステムをもうつくってしまって、そちらから考えるという方向がむしろいいのではないかということで、今、濱中さんは箱とおっしゃったけど、これはこういう調査物というのは、額があるようで、ほとんどなくて、実はすごく、1万件でも5万件でもお金はほとんど変わらないんですよ。
 ですから、調査2の追加部分も同一のシステムで大学が加えられるようにやってしまって、文科省に行くところだけそこは切り分けられるようになれば、これはかなり利便性が高まるので、ぜひそういう調査設計も、この場で考えていただきながら進めていければいいかなと思いました。すみません。以上です。
【河田座長】 ありがとうございました。
 あと何かございますか。
 そうしたら、ちょっとお時間早いですけれど、これで閉じさせていただきます。
 次回、できたら、いつ頃、その辺のこと、用意しておられますか。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は非常に活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。本日御発言できなかった、先ほどの質問項目も含めて、ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
次回の会議につきましては、本日の議論を踏まえて、改めて事務局のほうで検討した上で、また御連絡させていただければと考えております。以上でございます。
【河田座長】 ということでありますので、今日は先生方、どうも活発な御意見、特に田中先生、いい発表をしていただいてありがとうございました。では、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございます。

―― 了 ――

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(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)