大学入試のあり方に関する検討会議(第11回)議事録

1.日時

令和2年7月7日(火曜日)10時~12時20分

2.場所

文部科学省省議室

3.議題

  1. 外部有識者・団体からのヒアリング  1佐藤誠(島根県教育センター教育企画部 部長) 2‐1青山智恵(ケンブリッジ大学英語検定機構 試験開発部門 日本統括) 2‐2安田智恵(ブリティッシュカウンシル試験部 部長) 2‐3前田剛(IDP:IELTS Australia IELTS業務管理日本統括責任者) 3‐1込山智之(ベネッセコーポレーションGTEC開発部 部長) 3‐2塩崎修健(日本英語検定協会教育事業部 部長) 3‐3根本斉(CIEE(TOEFL日本拠点)代表理事) 3‐4三橋峰夫(国際ビジネスコミュニケーション協会調査研究室 室長)
  2. 自由討論      

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、益戸座長代理、荒瀬委員、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)山口委員(岡委員代理)、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、吉田委員、牧田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、藤原文部科学事務次官、伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官 他

5.議事録

【三島座長】
 皆様おはようございます。座長の三島でございます。定刻となりましたので,ただいまから第11回の大学入試のあり方に関する検討会議を開催させていただきます。
 今回も新型コロナウイルス感染拡大防止のためのウェブ会議方式での開催でございます。音声など不都合はございませんでしょうか。本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日,議事録をホームページに掲載することとしたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。本日は前回に引き続き,本検討会に多様な意見を反映するため,外部有識者の方からのヒアリング,意見交換を行うこととしております。御参加いただきます有識者の皆様,お忙しい中,誠にありがとうございます。
 それでは,事務局のほうから何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 委員の御出席の状況ですけど,まず,副座長の川嶋先生は本日,欠席でおられます。それから,国大協から御参加いただいている岡委員が御欠席で,その代わりに,国大協理事の山口先生に御出席をいただいております。
 今日も外部ヒアリングとなりますけれども,これまでと同様に,聞き取りやすい御発言をお願いしたいと,それから,資料を参照する際,該当箇所などを分かりやすくお示しいただければと思います。それから,ハウリングが結構すごいものですから,御発言を希望される際は挙手ボタンを押していただくのと,指名されたときにミュートを解除してから御発言をいただいて,発言後,必ずミュートに戻していただきますようお願いをいたします。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,議事に先立って,令和3年度の大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要綱の改定について,西田課長から御報告をいただきたいと思います。西田課長,よろしくお願いいたします。
【西田大学振興課長】
 6月30日に大学入試センターにおいて,令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項が策定,公表されました。
 当該実施要綱では,1月16日,17日に実施する共通テストの2週間後の1月30日,31日に実施する共通テストを,学業の遅れを理由に選択できる対象者の要件でありますとか,1月30日,31日に実施する共通テストを疾病等で受験できない者のために実施する特例追試験についての詳細等の内容が盛り込まれているところでございます。
 1月30日,31日に実施する試験につきましては,過年度卒業生を含め,1月16日,17日に実施する試験を不測の事態で受験できなかった者のほか,学業の遅れを理由にその日程を選択する者を対象としていますが,具体的には,高等学校等を本年度末に卒業見込みの者のうち,新型コロナウイルス感染症の影響に伴う学業の遅れのため,1月30日,31日に実施する試験を受験することが適当であると在学する学校長が認めた者としております。
 この大学入試センターの要項の発表を受けまして,翌日の7月1日に,私ども文部科学省において,1月30日,31日に実施する試験を選択する受験生が確実に当該日程で試験を受けることができるよう,試験会場の確保などのため,受験日に関する意向調査を開始いたしたところでございます。
 文部科学省といたしましては,不安を抱えながら大学進学を目指し,日々努力をされている受験生の皆さんが,安心して大学入試の準備ができるよう,大学入試センターとも連携してしっかり準備を進めたいと考えておりますので,皆様方におかれましても,必要な措置を最大限講じていただきますよう改めてお願いを申し上げます。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入りたいと思います。まずは,議事の1番目,外部有識者・団体からのヒアリングでございます。これからヒアリングをさせていただきますけれども,1つだけ座長からお願いでございますけれども,各有識者の方々はお願いしている時間内になるべく終わるように御留意をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,まず,お一方目でございますが,前々回に引き続き,前々回というのは6月16日の第9回に引き続き,高等学校の教育現場の視点ということで,お一方お話しいただきます。島根県教育センター教育企画部,佐藤誠部長から7分程度で御発表いただき,その後,5分程度の意見交換を行いたいと思います。佐藤部長,どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤氏】
 よろしくお願いします。島根県教育センター教育企画部長,佐藤と申します。よろしくお願いします。
 今日,私からは,「進路指導の高校現場から」と題して,意見を述べさせていただきます。資料を進めてください。
【事務局】
 事務局でございます。事務局のPCが不調で,操作が今はできない状態になってございます。佐藤先生,差し当たり先生方のお手元には紙の資料がございますので,口頭での御説明をお願いできますでしょうか。申し訳ございません。
【佐藤氏】
 では,口頭で進めてまいります。よろしくお願いします。
 本日,お話しすることは2ページ目にありますので,御覧ください。
 3ページ目を御覧ください。自己紹介は,そこに挙げたとおりでございます。高校数学を担当しております。教職歴は32年,そのうち進路指導を19年ほど担当しております。ここ数年は,管理職として特別支援学校や高校で,それぞれ進路指導の分掌管理をしておりました。今年から教員の研修という行政に関係をしておりますが,今日のお話は,昨年度まで在籍した学校現場で進路指導に関わってきたときの様子をお伝えします。
 4ページ目を御覧ください。大学入試が与える影響と題しまして,学校では生徒や保護者に学年集会や進路講演会等の機会を作りながら,高大接続改革について,繰り返し話をしてまいりました。大学入試のみならず,高校,大学を通じての学力3要素として示される真の学力の育成・評価等のことや,あるいは,そこにも挙げました英語の4技能の育成・評価,思考力・判断力・表現力の育成・評価といった理念には,保護者や生徒のみなさんに実際どの程度理解されたかというのは分かりかねるところもありますが,異論が出るということは全くありませんでした。しかし,大学入学共通テストを迎える時期に近づくにつれ,だんだん具体化に向かうに当たって,スピードからだんだん取り残されている感や実施上の問題からの不安や不信というところに,徐々に昨年度のこと辺りにつながったと感じています。
 次,5ページ目を御覧ください。象徴的な部分を挙げさせてもらえたらと思うのですが,実際には,大学入試にだんだん焦点化されたところを感じていまして,三位一体と言いながらも,だんだん大学入試というところに,保護者や生徒の意識が向かっていきました。特に,昨年6月ぐらいから,各校で生徒や保護者への説明会がされました。がされました私どもも勤務校でしました。その中で出てきた質問の中には,資料に挙げたような団体Aさんと団体Bさんの英語の資格認定ではどちらが有利ですかといったものや,資格検定に向けたときの対策は高校としてどのようなことをお取りになりますかといったものが実に多く挙がりました。アンケートでも同様した。これが実態でした。
 そのとき感じたことは,高校教育の延長線上に位置付けられていた英語資格・検定試験の認識が,だんだん別物だというようなニュアンスを保護者の方がお持ちになられたと私のほうでは感じ取った次第です。特に私どもの勤務校は地方の公立校でもありましたので,高校にそういう対策なりを期待される部分が大変多きかったです。
 次のページを御覧ください。それでは,英語の4技能について簡単に話をさせてください。主張は,英語に関しては民間英語資格・検定試験の活用の共通テスト内での枠組みに含めないことに賛成したいと思っております。そこに挙げた公平性,実施上の課題,経済的な負担というのはありますが,中でも公平性という点では,本県には離島や僻地がありますありので,そういう地域からの移動負担の声が多く挙がりました挙がり。と同時に,障害のある受験者への具体的な対応策がなかなか示されなかったことという意見も挙げられています。
 それと,実施上のところではスケジュールがなかなか,高校での教育活動のスケジュールと資格・検定のスケジュールが合わなかったということも挙げられています。ただ,高額な検定料というところ一番発言の中で多かったのが事実です。それと,最後のところで挙げておりますが,共通テストの一貫で英語資格・検定試験を実施しながらも,対策指導の上でこのような教材を、関わっている業者の方から購入するという道義的道義な部分も,若干教員は感じていたのも事実です。
 7ページを御覧ください。そこに民間の英語テストについて,アドミッション・ポリシーのもとで,共通テスト以外で利用されるとよいということを挙げさせていただきました。これは現行どおりということです。今年で言えば,総合型や学校推薦型,あるいは,一部定員枠での一般選抜の中で,これを利用されることを継続されてもいいですし,あるいは,今は3年生限定ですが,そういう取扱いをなされるのであれば,高校2年生までの結果も含めて利用されてはどうかと考えている次第です。
 次のページを御覧ください。8ページです。結果英語の4技能の評価の扱い方については,スピーキングとだけありますが,ライティングも加えて,一般選抜の個別学力試験や総合型,学校推薦型で各大学が、アドミッション・ポリシーに従いながら使用いただければよいということです。あくまで,大学共通テストでは大学入試センターで作成願いたいという思いが強いです。
 次のページを御覧ください。9ページです。数学の記述式です。ここでは記述式の問題とありますが,数学に限定して言及させていただきたいと思っています。記述式の問題を共通テストの枠組みに含めないことに賛成します。記述式テストは今入れるべきではないということです。数学は言葉ですので,数学的表現力を評価するというのは大学入学共通テストに課されている部分だと私どもは思っていますが,実際には,それを実施にあたっては,採点上のぶれや採点処理の難しさというところがあります。そういうことは高校教員も大学の先生方も採点に携わりながら知っておられることです。そこが採点の大きな課題であります。実現可能性のところを現時点で考えれば,難しいのではないかという意見を持っています。
 次のページを御覧ください。記述式の問題が各大学の個別学力試験で行われればよいということであります。確かに数学的な表現力を共通テストの中で見る考え方もありますが,現時点でも個別学力試験で行われていることであります。実際に個別学力試験の問題から高校の教員は,大学のメッセージ,つまり、入学段階に求められる力等を具体的に感じ取っています。ちゃんとつかんでいますので,そういう点で機能していますので,今までどおり記述式は個別学力試験で行われることに賛成します。
 最後に,時間も切れましたので,11ページを御覧ください。高大接続・入試改革に望むことということで,1つは,主体性評価です。今までもやってきたわけですが,高校現場では調査書の作成等の大きな負担を抱えているところが現実にありますが,大切なのはこういう合否の判定についても,いずれ時が来れば,できるだけ情報共有しながら,どのように判定に使われているかということを,高校も大学も共有できたらというところがあります。それと2番目は,2年前予告の遵守をお願いしたいということです。
 そして,最後のページを御覧ください。いろんな専門家の方の知見を活用しながら,慎重な議論をこの会議でも進めてもらったらと願っている次第です。実際,大学入学共通テストについて,選抜のみならず,全国学力・学習状況調査のような,高校の教育の質的な保障をみる役割を担っている感がこの6年間を見通しても,だんだんその色彩が強くなっています。その中で,大学入試での良質な問題が,生徒がどんな力を育むべきかやや,どんなことができるようになるかということを具体的に示すものとして,高校教員にとっては日々の授業改善に資するものに十分になっていることは御理解いただいて,発表を終わりたいと思います。
 少し延びてしまってすいませんでした。以上です。
【三島座長】
 佐藤部長,どうもありがとうございました。
 それでは,御質問,御意見がございましたら,挙手ボタンを押してお待ちいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,末冨先生,どうぞ。
【末冨委員】
 佐藤先生,御発表ありがとうございました。大変重要な御発言と思って受け止めたのですが,おっしゃっていたことの1つが,スライドの大きい3番ですね,特にスピーキングですとかライティングについては,一般選抜の個別学力試験,総合型,学校推薦型で各大学が必要に応じて実施することには御賛同するとはおっしゃられていますね。この場合,例えば,島根県の場合ですと,本当に地理的多様性がありまして,今年度入試,あるいは,昨年度入試で何かの不都合ですとか,あるいは,改善点といったものはないわけでしょうか。もしあれば,貴重な機会ですので,お教えいただきたく存じます。
【佐藤氏】
 それはスピーキングとかライティングのことでしょうか。
【末冨委員】
 スピーキングやライティングに限らず,英語の4技能試験です。例えば,民間試験を活用しながら総合型選抜などをする方針を示している大学もありますし,今までもそうだったはずですけれども,そういったことに島根県の高校生がチャレンジする場合の一般的な課題,あるいは,これまで先生が把握しておられる改善すべき点などがあればお教えいただきたいということです。
【佐藤氏】
 ありがとうございます。実際には,地理的要因が大きく、県土が東西に長くて,230キロぐらい東西に伸びていますので,その中で一番大きいのは離島の生徒たちがなかなか,民間の試験を受けるために本土まで渡るとか,そういうことをしていかなくちゃいけない実態があるというところです。その経済的な負担や体力的な部分も含めて,ここは一番大きな問題だと思っています。現に離島・中山間地の高校の校長や進路指導主事からは声が上がっていることです。
 以上です。
【末冨委員】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,次に渡部委員,お願いいたします。
【渡部委員】
 佐藤先生,貴重な御意見をありがとうございました。とても納得できるところが多々ありました。
 ご発言の最後のほうで聞き取りにくいところがあったものですから,一点確認をさせてください。ご発言の中に「色彩が強くなってきた」という御説明があったかと思うのですが,そのことをもう一度お教えいただけますか。どういう傾向が,色彩が強くなってきたと御覧になっているのかが気になったものですから。
【佐藤氏】
 最後のところですが,御指摘ありがとうございます。実際には,今まで大学共通テストは選抜が一番の目的だったという感覚が,私にはあったのですが,それが初め到達度を図るという議論を,確か,四,五年前はしてきた感がありました。それが徐々に高校の質的保証といった部分を担うようになったと捉えています。少しずつ文脈が変わる中で,英語4技能を盛り込まなくちゃいけない,記述式を入れなくちゃいけないというところの文脈がだんだん色濃くなって,大学共通テストの作りそのものが,相当役割が肥大しているという意味でお話をさせていただきました。私の主観でもありますので,すいません,以上です。
【渡部委員】
 どうもありがとうございます。とても重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,手が幾つか挙がってございますが,時間もございますので,あと一方にお願いしたいと思います。吉田委員,どうぞお願いいたします。
【吉田委員】
 ありがとうございます。原点というか,ここ数回の会議を聞いていて,私自身が理解できないので,文科省,もしくはセンターになるかもしれませんけれども,伺いたいのですが,今の佐藤先生の御提案の中にも,3番の大学入試での英語4技能の評価の3番の提案で,共通テストの枠組内で英語4技能を評価されるのであれば,大学入試センターに作成願いたいという話があるんですけども,そもそも論として,高大接続改革がスタートした段階で,センターでは英語4技能試験は作れないと。そのために,いわゆる外部試験を利用するというのがスタートであったのではないかと。
 それから,記述式の問題についても,1点刻みの入学試験から,これからはもう段階別評価の入試に変わってくるのだという方向性でスタートして,1回結論が出た中で,再度,今やり直しということになっているわけですけど,その辺でセンターとか文科省としては,センターで4技能の試験が作れるという可能性があるのでしょうか。ないのでしたらないのでし,この話をするのは止めたほうがいいのではないかと思うのですけれど,その辺のところを,佐藤先生の御意見も十分私は分かった上で,御質問でございます。
【三島座長】
 佐藤先生,今の御質問のお答えはございますか。
【佐藤氏】
 いえ,実際には現場からの願いとしてなので,CBTとか将来的な長いスパンの中でできることを願っているという意味で,すぐにできてほしいとかそういう思いは到底持っていませんので,時間をかけながら成熟してもらえればと,実はわがままなお願いでありますが、よろしくお願いします。
 以上です。
【三島座長】
 よろしいでしょうか。
 それでは,少し時間が押しておりますので,次に参りたいと思います。佐藤部長どうもありがとうございました。
 それでは,次に英語資格検定試験実施団体7団体から御発表をいただきます。まず,前半部分として3団体からの御発表をお願いいたします。3つの発表は,まず,ケンブリッジ大学の英語検定機構試験開発部門の日本統括の青山さん,それから,ブリティッシュカウンシル試験部の部長の安田様,そして,IDP:IELTS Australiaの前田様,おのおの10分程度で御発表いただきたいと思います。その後,20分程度の意見交換を行いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,初めに,ケンブリッジ大学英語検定機構の青山様,どうぞよろしくお願い申し上げます。
【事務局】
 事務局でございます。発表者の皆様,大変申し訳ございません。web会議システムで画面の共有機能がなかなかうまくいきませんので,会議資料の画面での共有は本日なしにさせていただきまして,大変お手数なのですが,何ページということを御発声いただいて御発表いただければと思います。各委員のお手元には資料が紙でございますので,御安心ください。よろしくお願いいたします。
【青山氏】
 それでは,始めさせていただきます。
 まず,表紙です。皆様,おはようございます。ケンブリッジ大学英語検定機構の青山と申します。早速ですが,英語資格検定試験の活用のあり方等について,日本統括の立場で感じていることを中心にお話しさせていただきます。私どもの機関はケンブリッジ大学の一部門であり,非営利組織です。社会に貢献するという大学のミッションを果たすべく活動しています。
 次のスライドを御覧ください。CEFRはそうした大学とヨーロッパ評議会の優れた研究の成果の一部であり,約40か国語に現在では翻訳され,日本の学習指導要領を含め,世界の英語教育に大きな影響を現在,及ぼしています。改めて申し上げますが,ケンブリッジ英語検定はCEFRと共に開発され,歴史的にCEFRにマッピングされていると主張できる唯一の英語の4技能試験です。
 その次のスライドをお願いいたします。3枚目です。こちらにありますように,先ほどにも話が出てまいりましたが,そもそも国が作問するということが検討されていた2015年の段階で,私どもは調査研究事業として問題作成イメージに関わらせていただきました。2つ,高校基礎と,あと発展問題になる大学入学希望者学力評価テスト(仮称)というものがあったと思いますが,そちら両方に携わらせていただいておりまして,その当時,どのセッションを受験いただいても受験者にとって同じ難易度になる,そういう試験であることを保証できるアイテムバンキングシステムにより作問をし,提出し,対応いたしました。
 次のスライドをお願いいたします。こちらが現在,日本で私どもケンブリッジが提供しております試験のラインナップになります。まず,赤丸で囲んでいるところがケンブリッジ英語検定,そして,その横にあります,AIが自動採点しますマルチレベル・テスト,リンガスキル,オンラインテストです。その次,IELTS,これは後ほど2つの団体から発表があると思います。これら全てケンブリッジが作っている試験です。
 これら3つの試験は,Cambridge English スケールという,下は80から上は230の数値,1刻みのスケールを介して,3つの試験のスコアを互いに比べることが可能です。そして,これまでの研究から大学入試センターが作る大学入試のレベルは,私どもの試験でいきますと,B1 Preliminary,青枠で囲んでいるもの,こちらのレベルだということが分かっています。
 次のスライドを御覧ください。ここで私が示しておりますのは,B1,そして,A2,隣接する2つのレベルのケンブリッジの試験について,時間の関係で詳しいことは割愛させていただきますが,これは2018年に,ある同一の日に複数の高校,計3,000名の成績スコアデータ,A2 KeyまたはB1 Preliminaryを受けたデータを集約したものです。これからどういうことが言えるかというと,専門家の方はお分かりだと思いますが,2つの試験のスコア分布を積み上げても滑らかな正規分布に近いということ。つまり,Cambridge Englishスケールスコア125の生徒は2つの試験のどちらを受けたとしても同じ125になる設計が,ケンブリッジ英語検定の場合はできている,そういうメッセージとなります。
 次のスライドを御覧ください。こちらは,一番新しい4技能CBTリンガスキルの例です。こちらは離島を含めて多くの,2年にわたって約1,700名の生徒さんに受けていただいたデータを集約したものです。1つの試験でPre-A1Pre-A1からC1プラスまで測れます。こちらもケンブリッジ英語検定よろしく,滑らかな正規分布に近いことが分かります。これらからケンブリッジの試験の測定精度の高さを垣間見ていただけたのではないでしょうか。
 次のスライドをよろしくお願いいたします。私どもの試験は国際的に通用するということで,このような国際比較ができます。これはGrade statisticsと言いまして,一般に私どものホームページで公開しています。2004年から2018年まで,各試験のそれぞれのグレードのパーセンテージを示したものです。これから分かることは,要するにオレンジの棒から左側が合格ラインです。B1 Preliminaryという試験について,私が任意で皆さまの興味のありそうな国と地域を選んでおりますけれども,日本の受験者は,恐らくほぼ中高生だと思います。合格率が4割に満たないです。そういう状況ですから,日本でB1 Preliminaryに合格していることは非常に意義があります。
 そして,下から2番目のマレーシア,マレーシアのスタッフにこの結果はどう思いますかと数日前に尋ねました。そうしたところ,「マレーシア教育ブループリント2013-2025年」という国家プロジェクトがあって,恐らく英語教育改革の効果が出てきているのではないかと言っていました。
 次のスライドをお願いいたします。それでは,日本の生徒さんに目を向けてみましょう。こちらは4技能の比較,過去2年間のものです。発信力が強いといったところ,「あれ?」と思われるかもしれません。ケンブリッジの試験を受ける中高生は,話すことが好き,コミュニケーションをとることが好きというプロファイルが見えてくるのではないでしょうか。その一方で,リスニングが低い。これに関しては,次のような仮説を立てることができます。
 次のスライドをお願いいたします。これは日本統括オフィスのほうで,大学入試センターの問題,特に1分当たりの読み上げ語数を比べたものです。B1 Preliminaryは平均で185,大学入試センター,そして共通テスト予想問題も136とかなり開いています。これはセンター試験のレベルで練習していると,国際基準のB1レベルのリスニングテストの問題がきつい,対応できないということが言えるとも言えないでしょうか。
 次のスライドをお願いいたします。そこで,私は個別入試の,各国で外部試験を入試に活用した例を取り上げてみました。注目したいのはイタリアの事例です。こちらも外部試験を複数,政府がまず認定し,それから十数年が進みました。現在,どういうことになったかというと,導入時はかなり反対もあったようですが,まだ続いています。そして,自然に2つの試験に淘汰されたとイタリアの同僚から聞いています。1つはケンブリッジ英語検定,もう一つはトリニティカレッジが作っているものです。いずれも留学で使いやすい,比較的安価であるという背景があるようです。そして,フランス教育省のように,公開入札で中等教育修了時に英語力認定証を付与するスキームの作問機関として,ケンブリッジを任命,ケンブリッジではなく国が認定証を発行するというパターンも,もしかしたら,今後の参考になるかもしれません。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは他国の取組から日本に目を移したものです。ケンブリッジ英語検定の認定証の場合は生涯有効になっています。大学は現在,2年間有効とされていますが,コロナ禍の特別措置として,2年以上たったものでも認めることもありではないでしょうか,という御提案のスライドです。
 次のスライドをお願いいたします。その一方で,ケンブリッジのもう一つの試験,黄色で示されていたオンラインテスト,リンガスキルは遠隔試験監督システム付きで受験し,それを入試で活用するという特別措置を今年度,ここに書いてあるような名だたる世界の大学が取り入れております。そして,数日前,日本の神田外語大学様が遠隔試験監督システム付きの試験を入試活用すると発表されています。このように,前回,登壇された先生の中に,スマホで今後,ハイステークスステークスの入試が受けられる,そういう未来が来るかもしれない,私どものケンブリッジの研究者も同じことを申しております。会場型から個別型に,2024年の段階でテクノロジーが進化している可能性はあるのかもしれません。
 次のスライドが,最後です。そうは言っても,これまで登壇された方々の意見,前の佐藤先生もおっしゃっていましたが,国が開発するという選択肢もまだあるとお話しされていらっしゃいます。開発の際は,Learning-Oriented Assessment,学習者を育てるためにテストを使う視点で,アセスメントだけの改革ではなくて,カリキュラムアセスメント,カリキュラム,教材,もっと言うと,ステークホルダーである学習者の,あと指導者・先生方の実態調査をし,指導法等、それを基に足りない部分を補うのです。例えば,エストニアがやったことですけれども,我々ケンブリッジはCEFRを意識した作問のノウハウ等,ナレッジ・トランスファー,スキル・トランスファー・トレーニングを提供しております。しておりますそして,マレーシアでありましたように,5年,10年の長いスパンで改革に臨む,もっと言うと10年,15年のスパンで日本の共通テスト用アイテムバンクを構築してみる。そうしますと,何やら「大学入試英語成績提供システム」にシフトしていったという議論はありましたが,高校基礎,中等教育修了証をどのような形で発行するのかという議論も最初にあったと思います。いきなりではなく,パイロットを経て構築してみるのもいかがでしょうか。そして,高校生に4技能を強いている状況ですが,もうそろそろ大学生にも,卒業時にはB2のレベルで,4技能試験を,と言ってもよろしいかと思います。
 そして,最後にお願いです。もう一つ,スライドをめくってください。大学入試英語成績提供システムは今,見送りになっています。実は,弊機関では,2年前から直接,無料で大学に受験者のデータを渡すサービスを行っております。まだ日本の大学の登録が進んでおりません。ぜひご登録いただいて,ペーパーレスな,地球環境に優しく,かつ受験者の負担を減らすための御協力をお願い申し上げます。
 以上,私の発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
【三島座長】
 青山様,どうもありがとうございました。
 それでは,続けてまいります。ブリティッシュカウンシルの安田様、どうぞよろしくお願いいたします。
【安田氏】
 よろしくお願いします。本日はこのような機会をいただきまして,ありがとうございます。
 2ページ目を御覧ください。まず,最初に,私どもの組織の概要と活動指針について御説明をさせていただきたいと思います。私どもは英国の公的な機関として,世界各国で文化交流と教育分野で活動しています。英語発祥の国として,また,長年,英語と母語としない生徒を受け入れ,英語教育を行ってきた経験と歴史をもって,現在,世界各地の政府や教育機関などと協働で,英語教育や子供たちのコミュニケーション力向上を目指す活動をしています。国際共通語として使われる英語を身に付けることで子供たちの発信力を高め,軍事力といったハードパワーではなく,文化交流やコミュニケーションといったソフトパワーをもって,世界的な課題を共に解決できる社会の実現を組織としては目指しております。
 次は3ページ目を御覧ください。本日は,こういった経験と英語教育に関する知見から,私たちは英語4技能評価の導入について,こちらにお示しをしております3点が,非常に大切だと考えているということを御説明したいと思います。
 まず,1点目にありますとおり,英語4技能評価の導入は,英語力向上と英語教育改革の効果測定のために必要だと考えています。大学入試の議論の中で,そもそも英語4技能の評価は必要かという御意見も出てきたところがありますので,私たちはあえてここで非常に大切だと考えていることをお伝えしたいと思います。子供たちが指導要領で目指している使える英語を身に付けるためには,英語の4技能をバランスよく伸ばす必要があります。
 次に,4ページ目を御覧ください。そして,バランスよく英語力を向上させるためには,青山さんもおっしゃっておられましたが,テストだけでは難しく,また,評価をしなければカリキュラムで目指している英語力に達成するためにどういう指導が必要か判断できません。こちらの図でお示しをしておりますとおり,カリキュラム,何を目指すのか,そして指導,どうやって導くのか,評価,どうやって図るのかという3つを,何を基準にするのですかということを明確にして,広く共有した上で一緒に検討していく必要があると考えています。
 当会議は入試の検討を行っていますので,評価を入試として議論を進めていると思いますけれども,文部科学省様のほうではゼロベースで検討しているというお話でございましたので,4技能評価をそもそも否定するのではなく,どのように有効に教育システムに導入するかも併せて御検討いただけたらと考えております。
 次,5ページ目を御覧ください。諸外国の事例なんですけれども,4技能評価の導入例をこちらにお示ししています。2ページ目のスライドに挙げました3点目にありますとおり,英語教育改革と英語4技能評価の導入は世界の多くの国で行われています。多くの国で政治的な要因,先週,御説明があったニートの例なんかがすごくいい例なんですけども,実現可能性の問題からかなり流動的な状況にはあります。ただ,英語4技能評価を行わないという積極的な決断はどこの国も避けているんです。これは,経済界を含む社会全体として,英語運用能力向上へ向けての期待が高いためだと考えています。
 こちらにお示しした3つの例の1つ目,中国なんですけれども,こちらは独自に英語能力を示す基準を設定し,そこに外部試験,TOEFLですとかケンブリッジ英検,IELTSをマッピングし,それによって外部試験の活用を教育現場で促進している例です。2例目は,英語の4技能テストをカリキュラムと指導改善の指標として利用しているケースです。手法としては,PISAと同様なやり方なんですけども,定期的に抽出したグループを対象に4技能テストを行い,その結果を検証することで,よりよい学習サイクルを作っています。ベトナムの例なんですけれども,こちらは大学と共同でスタンダードテストを開発し,大学の卒業時に受験を促進しています。このテストの導入により,ベトナムの教育省が目指しているのは,大学での英語学習の動機付けをして,よりよい学びを目指すということなんです。ベトナムの教育省は初めて国が作ったスタンダードテストなので,とてもこの試験に希望を持っているような印象を受けています。
 ほかにもヨーロッパにすごくいい例があるので,欧州議会のレポートなどでもいろいろ参考になるものがあるので御覧いただけたらと思うんですけども,どのケースにも共通する点は,4技能評価の導入には多くの課題がありますけれども,子供たちが生きるために使える英語力を身に付けるようにということで,各国とも工夫をし,実現する方法の確立に尽力をしています。
 次のページを御覧ください。諸外国の例として,少し毛色が違うものを御紹介したいと思います。私どもに多くお問合せをいただく英国の大学入試についても御説明させていただきたいと思うんですけども,英国の大学は大学入試に利用できる資格試験,A-Levelというんですけども,これを幾つかの異なる試験団体が作って実施しているんです。異なる団体のテストを使っているので,どのように公平性,信頼性,妥当性を担保しているかということを御質問いただくんですけども,御質問いただく背景には,A-Levelを日本の共通テストと同等に考え,入試であるならば一斉実施,統一問題でなければ公平ではないという認識があると思うんですけども,イギリスの考え方は異なっております。
 英国のシステムを可能にしているのは,枠組みを作って,ルールを制定し,監査認定の3つのポイントを国が管理しているという点です。国が全国資格枠組みを定め,大学入学に求められる基準を明確化していること。また,枠組みに沿って信頼性と妥当性を担保し,公平に試験が行われるように,利益相反なども含めたルールを策定して,それを監査,認定する第三者機関,Ofqualというんですけども,これが存在することです。教育システムが異なりますので簡単には比べられないんですけども,大学入試英語4技能評価ワーキンググループでも,議論の中でも何回か利益相反の問題が挙げられました。こういった問題を解決する1つの方法ではないかと考えておりまして,もし外部経験のテストを活用するのであれば,こういったシステムの構築は有効ではないかと考えております。
 次,7ページ目を御覧ください。なので,英語教育に関する様々な議論が日本で進められている中,私どもブリティッシュカウンシルとしましては,日本の入試で2つのテストが活用できるのではないかと御提案をしてまいりました。
 まず,最初になんですけれども,先ほど青山さんのほうからも御説明がありましたし,この後,IDPの前田様からも御説明があるんですけども,IELTSの試験を大学入試,英語提供システムで使える試験として登録をお願いしておりました。この試験なんですけども,世界で年間350万人以上が受けている,世界で最も受験者が多い4技能型の試験と考えていただいてよろしいかと思います。私どもが大学入試に,この試験が適していると思った点としましては,妥当性と信頼性が大変高いんです。公平性と公正性を担保するためにいろいろな工夫がされていて,こういった点から世界の1万以上の大学を含む,公的機関なども含んでいるんですけども,有効な英語力証明として広く利用しています。こういった点から,大学入試にも十分使っていただける試験ではないかと考えております。また,日本でIELTSを子供たちが受験することによって,どういった有効な点があるかという点に関してなんですけども,IELTSは実際に英語を使用する場面に即した形式で英語力を測定する熟達度テストなんです。記述中心で,スピーキングは1対1の対面形式で,対話とプレゼンテーションの両方をスピーキングテストでは測りますので,指導要領で目指している英語の4技能5領域をバランスよく伸ばしているかということを測定できるテストだと考えています。
 次,お願いいたします。次に,BCT-Sなんですけれども,これは先週,東京外国語大学の林学長からも御説明をいただいた試験でございます。東京外国語大学様と個別入試で4技能を総合的に評価できるようにということで開発した試験なんです。これは文科省が大学入試において,4技能を総合的に評価することに努めることという記載がありまして,私たちとしては,日本の受験者が対象であるという点,そして,入試に大切な信頼性と妥当性は必ず担保しながら,同時に,最初に英語教育改革が求めていた世界に通用する英語力を計れることという点を満たすことを目指して,この入試を作りました。
 特に作問の際に注力しましたのは,新指導要領で目指している知識,技能を実際のコミュニケーションにおいて活用し,思考力,判断力,表現をする英語力があるかどうか,こういった点を評価できる出題をすることに大変注力をして作成いたしました。この点は,ほかの大学でも個別入試で計りたいという御依頼をいただきまして,2021年度からは東京女子大学様でも導入が決定しています。
 以上,簡単ではありますが,今後の建設的な議論の一助になれば幸いに思います。ありがとうございました。
【三島座長】
 安田部長,どうもありがとうございました。
 それでは,もう1件,お話を伺いたいと思います。次は,IDP:IELTS Australia,IELTS業務管理日本統括責任者でいらっしゃる前田様でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【前田氏】
 IDP:IELTS Australiaの前田剛と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。今日現在も含めて,私自身は18年以上,オーストラリアに住んでいまして,海外で働く1人として感じる点などを盛り込んで,お話をさせていただきたいと思っております。
 それでは,早速2ページ目,共通項目関連事項,1のところですけども,まず,前提として,IDPとしては,文科省のほうから発表されている高大接続改革の考え方の中にある,学力の3要素,詳しく見ていきますと,知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度とありますが,こちらの学力の3要素の育成・評価の点において,IELTSを通じて国に貢献できると考えております。その根拠を次のページ以降で少しずつ紹介させていただきたいと思います。
 次のページをお願いいたします。英語によるコミュニケーション能力及び思考力・判断力・表現力の育成評価ですが,例えば,海外はもちろん,国内で日本人が活躍するために必要なスキルは,英語力のほかにもコミュニケーション力,思考力,判断力,表現力,問題分析力,問題解決力など多岐にわたります。下の表なんですけど,そこを見ていただきたいんですが,IELTSを通して培える英語力プラスアルファというところなんですが,IELTSを通して培える英語力,こちらは問題分析力,プレゼンテーション力,ブレーンストーミングスキル,4技能を総合的に使う力と書かせていただいておりますが,そもそもなんですけど,IELTSはどういうところを評価しているのか,何を見たいのかと言いますと,例えば,留学であれば,留学先の大学等で授業とか講義にしっかり付いていけるのか,そして,最終的なところで言えば卒業ができるのか,そして,海外で生活していくのに十分な能力があるのかというところを見ていきます。我々,IDP主催のセミナーなどでアンケートを取るんですけれども,「4技能の中で日本人が一番苦手なのは」という質問をすると,必ずスピーキングとライティング,この2つが挙げられます。この2つの技能に関して,IELTSではどのように行われ,評価されているのかということを少し考察したいと思います。
 4ページ目をお願いします。スピーキングテストにおける内容と評価基準ですが,まず,面接官との1対1のスピーキングテストになります。3つのパートがありまして,これは丸暗記だけでは絶対に対応できない試験になっております。例えば,「なぜIELTSを受けるんですか」,例えば「留学です」,「どうして留学しようと思ったんですか。何を勉強したいと思ったんですか」,例えば「国際ビジネスです」,「なぜ国際ビジネスを勉強したいと思ったんですか。今,関心のある国際問題は」と矢継ぎ早にいろいろな質問が出てきます。これに対して自分の意見や考えが述べられるかどうかということがポイントになっています。スピーキングテストの中での評価基準は4つの観点がございまして,発音,流暢さと一貫性,文法知識と正確さ,語彙力とありまして,もう少し細かく見ていきたいので,次のページをお願いいたします。
 スピーキングの評価基準とありまして,その中で黄色い枠で囲ってあるところ,6というのがあるんですが,6が一般的に留学生が海外の大学に必要な,例えば,最低限のバンドスコアバンドのラインだとした場合に,その中での,例えば文法の部分とか発音の部分,少し字が細かいんですけども,おおむね理解しやすいが個々の単語の間違いはまだ織り交ざっているとか,文法に関しても,間違いはまだ多々あるが理解に支障が出るほどではないと書いてあります。言い換えると,ある程度のミスがあったとしても,それはオーケーで,ポイントは自分の意見や考えが相手にしっかりと伝わるかどうかという点になります。こういった話を先生方にしたときに,前田さん,会話でキャッチボールするって今の高校生には難しいですと言われるんですけど,僕からしたら,実際,学校ではもっと難しいことをやらせていると思っています。私は18年間海外にいまして,話しながらとか仕事をしながら,文法や構文の正確性を気にしたことなどほとんどありません。
 次に,ライティングテストの内容及び評価基準のページ,次のページに行っていただきたいんですけども,ライティングに関しては,今度はTASK 1とTASK 2という2つのタスクがありまして,TASK 1は情報分析,客観的にどう説明するか,ここでは自分の意見は求められていません。一方,TASK 2はエッセイでして,自分自身の意見や考えを述べることになります。例えば,AIは人類にとって必要なのかとか,プラスなのか,マイナスなのかといったことを,自分の考えや意見を書いていくと,英語で,250字以上で書いていく形になります。例えば,ライティングの評価基準は文法の幅広さと正確さ,それから,タスクの達成,語彙の豊富さと適切さ,論理的一貫性とまとまりと,こちらも4つの観点で見ていまして,次のページをお願いします。
 細かく説明する時間はないんですけども,TASK 1,TASK 2それぞれに評価基準がありまして,こちらも同じように,例えば,留学で必要な6というところを見ると,文法などミスはあっても,理解やコミュニケーションを阻害するほどではない。スペルミスはあっても支障ではないということです。文法をミスしたら減点されると思っている日本人の子たちにこういう話をすると,分かりましたと。ミスしていいんだと。ミスしていいんですね。ミスを恐れず,思い切って話そうとか書こうとなったとしても,ところが,大体の日本人はそれでも壁にぶち当たります。なぜかというと,それが次のページをお願いします。
 次のページの思考力・判断力・表現力の育成評価の重要性というところですけど,こちらはまだ記憶に新しい方もいらっしゃると思うんですけども,OECDによって国際学習到達度調査が行われました。日本は読解力で8位から15位へ大きく後退したんですが,文科省によりますと,要は自分の考えを他者に伝わるよう根拠を示して説明することに課題があると分析していまして,ここの分析は非常に正しいと思うんですが,ちょうどこの時期,私は日本にいまして,いろんなニュースを見ていたんですけども,ほとんどのメディアでは読書が不足していると。本を読まなくなった等の課題が挙げられていて,本を読むようにどうしたらいいのかという話をされていたんですけど,そもそも国際学習到達度調査によりますと,文章や資料などから情報を理解,評価し,考える力を問う読解力とあり,つまりは思考力,考える力が不足しているからということです。
 言い換えると,日本語で自分の考えや意見が言えなければ,英語でも言えないということが,これが大前提になっていまして,本を読ませること自体は確かに大切だと私も思っているんですけども,読書感想文であらすじを書いてきたりとか,よく書けていても,どこかを書き写した,判で押したような回答を書いているものでは駄目で,例えば,読書感想文でも先生が課題を出して,主人公に共感できる点,できない点,3つの話で共通しているテーマについて自分はどう思うか等の課題に,きちっと自分が課題に対して答えているのかというところを見ていかないといけないと思っていまして,そうなると,英語の4技能そのもの以上に,まず,社会科であるとか国語であるとか,私は歴史の中でも特に日本史は非常に大事だと思っているんですけど,こういった授業で,どう思考力や表現力を育成していけるのか。
 最初に戻りますと,学力の3要素は知識や技能以外に思考力,判断力,表現力とあります。こういった育成や評価ができる学校や授業のあり方,そして,そういった先生方を国がしっかりサポート,例えば,そういった授業ができるためのトレーニングやサポート体制が必要だと思っております。採点がしやすいから暗記中心であるということで,記述や会話やディスカッションは採点しにくいからやらない,できないということであれば,日本語でさえ,自分の意見が出てこないのであれば,英語を勉強するところにおいても非常に大きな壁を作ってしまいますので,今回の国際学習到達度調査の結果においては,より高い危機感,もともと危機感は持っていると思うんですけど,さらにより高い危機感を本来は持たないといけないと思っております。
 次のスライドに行きます。IELTSに関して,もう少し説明をさせていただきますと,障害者に関しての配慮というのはIELTSは全て行っておりますので,リンクのほうを御覧ください。それから,安田委員のほうからも話がありましたが,IELTSは140か国,1万以上の大学,企業,移民局等で認定されている世界的なテストで,一番最初に説明のあった青山さんのところのケンブリッジ大学英語検定機構と,2番目の安田さんのブリティッシュカウンシルと我々,IDP:IELTS Australiaで共同開発したテストになります。
 最後のスライドになります。最後なんですけども,IDPとしてどう貢献していくか。今日のお話のポイントなんですけども,IELTSを積極的に活用してほしいと言いたいのではなく,IELTSの評価の仕方であったりとか,IELTSで使われている考え方というものが少しでも現場や学校等の参考になればと思ってお話をさせていただいております。ただ,同時に,IELTSが必要な学生さんにしっかりと情報が伝わるように、とも思っておりますので,受験生をはじめ,情報を必要としている高校や大学の先生方に対して,引き続きサポートしていきたいと思っております。
 ただ,サポートという言葉が独り歩きしてしまうケースがありますので,IDPが考えているサポートの考え方を少しお話しさせていただくと,IELTSが受験生にとってバリアになるのではなく,IELTSの学習の中でできないことができるようになっていくと。できるようなった結果,留学等の夢を実現して,自分の夢をさらにかなえてほしいという想い想いがあり,そういった意味でのサポートです。具体的には,IDPの我々の日本サイトのほうで試験準備,試験対策は,ほとんどのものが無料となっております。それから,無料セミナーも随時開催しておりますし,先生方に対しては,無料IELTSオンライン・ティーチャー・プログラム等を提供しておりますので,詳しくは我々のサイトのほうでいろいろ紹介しておりますので,こちらを御覧ください。
 では,本日は貴重なお時間,どうもありがとうございました。以上で終わります。失礼いたします。
【三島座長】
 前田様,どうもありがとうございました。
 それでは,この後,質問,御意見を承りますけれども,挙手ボタンを押していただければと思いますのと,それから,どなたへの御質問かも明確にしていただければと思います。それでは,いかがでしょうか。
 それでは,お待たせしました。芝井先生,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。それぞれ,3人の方の発表,大変勉強になりました。
 幾つかお伺いしたいんですけど,時間も限られますので,安田さんの御発表の中で,6ページのところになるかと思うんですけれども,うろ覚えで申し訳ないんですけども,こういう形のテストに関しては,基本的には限界もあるということを触れておられました。つまり共通テストとして採用される,それも複数の団体によって担われて,それは公平性とはどういう形で担保できるのかということを,それぞれの団体としては,実は単純に手を挙げて私たちもできますということではなくて,全体がうまく統御されるためには,それぞれ団体として担うべき部分があるかと思うんです。例えば,離島の生徒さんがここでもしっかりと受けられるようには,私たちの団体はどうするのか。
 幾つかの形で提案はあったと思うんですけれども,受験生のほうからすると最後の最後まで,実は私はどんな形で受けることができるのか,あるいは,様々な費用負担が生じるんだけど,それがどんなふうに賄われる可能性があるのか分からなかったというのが割と大きなポイントだったと思うんです。そういう点でいかがでしょうか。お三方,それぞれに聞きたいところなんですが,どなたでも結構ですが,お一人しゃべっていただけましたらと思います。
 以上です。
【三島座長】
 外部有識者の方,お答えどうしましょうか。
【安田氏】
 ブリティッシュカウンシル,安田でございます。
【三島座長】
 よろしくお願いいたします。
【安田氏】
 お願いします。私の名前を言っていただいたので,私が代表ではないんですけど,お答えをしたいと思います。
 地理的な要因というのは,最後まで私たちも悩んだところでございます。特に離島の学生さんたちに,申請したIELTSの試験を受けていただくことは大変ハードルが高いところでございました。いろいろな工夫をしたいと思っていたんですけども,現段階では,残念ながら,オンラインでも,こういった入試のような試験を行う技術がないということもあり,昨年の段階では,県庁所在地で集約して試験を行うという決断に至っておりました。
 学生の皆さんにとって,もし留学もその後,考えていて,IELTSを受けたいという学生さんがいた場合には,すごく負担になるということを大変心苦しく思っていたんですけども,その後,私たちとしては,システムがうまく回り,受験者の全体像が分かってきて,それで,いろいろなシステムがうまく回り始めれば対応できるとは考えておりました。
【三島座長】
 よろしいでしょうか。
【芝井委員】
 ただ,現実問題として,対象になる高校3年生,あるいは,2年生かも分かりませんが,その生徒さんからすると,自分たちが改善のためのモデルに使われているという意識を持ったと思うんです。ですから,本当はしっかりしたものを出してもらって,初めて自分たちが受けることになるはずだったのに,改善のための試行のような形で受けさせられて,それが自分の進学先と深く関わることになってしまうという構造自体に対する批判とか不信感がすごく強くなったと,そんな気がします。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,次に参ります。小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。私大協の団体代表で,北里大学の小林と申します。
 お三方に,一つ一つ質問があるんですけども,まず,青山さんの2ページ目に,ケンブリッジ英語検定はCEFRと共に開発され,CEFRにマッピングされていると主張できる唯一の英語4技能試験と,かなり強調されているんですけども,これからすると,イギリス系のいわゆるケンブリッジの英語検定,リンガスキル,IELTSはCEFRに乗っかって信頼性があると考えられるんですけど,それ以外のGTEC,TOEFL,TEAP,そういったものについては,CEFR上のマッピングというのは,どこまで信頼できるとお考えなのか,それをまず聞きたいということです。
 2番目は安田さんで,非常にイギリス流の検定試験というのは,かなりしっかりとしたやり方でやられているので,安心して信頼性もあると思うんですけども,その中で第三者機関をしっかりと立てるとありましたけども,その中の項目で利益相反がありましたけども,具体的に利益相反とはどういうことを想定していたのかということをお伺いしたいと。
 最後に前田様でございますけれども,IELTSはかなり各国で使われていると思われるんですけども,日本で,もしこれがIELTSを全て採用と,ほかの国もありましたけども,ということになると,50万人の受験生を全て面倒見なきゃいけなくなるんですけども,これは記述式試験と同じような問題が出てくると思うんですけども,その辺はいかがでしょうか。
 以上,それぞれ1点ずつお願いします。
【三島座長】
 それでは,青山様,安田様,前田様,順番に今のお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。
【青山氏】
 CEFRにマッピングされている件ですが,まず欧州評議会と一緒にヒト,カネ,モノをヨーロッパの域内で,自由な経済活動を助けるための言語の指標を作り世作りに送り出しました。その際の柱になったのがC2 Proficiency(プロフィシエンシー),そして,1939年にできた現在のB2 firstの基となる試験です。この2つが,まず骨格になり,その間を埋めるようにケンブリッジのその他の種類の試験ができていきました。いきましたCEFRの開発者は4名いますが,著書の中でケンブリッジの試験を参考に形作っていったと言っております。
 それで,御質問のケンブリッジ系の試験ですが,スタンダードセッティングを行い,マッピングができています。私どもが欧州評議会から命を受けてスタンダードセッティングのマニュアルを作りました。ヨーロッパの中で,まず,私どもがやってみて,これは英語に限らず,ドイツ語,フランス語等その他の試験団体さんがそれに倣って,各々のスコアの何がB2に当たるですとか,スタンダードセッティングを実施しています。安田さんも少しおっしゃっていましたけれども,イギリスではOfqualのような,常に目を光らせている団体があります。私どもはもちろん自助努力というか,セルフでOfqualの,ほぼ定期にやってくるaudit(査察)にすぐに対応できる形でやっておりますし,あと,ヨーロッパ言語テスト協会(ALTE)というのがあり,そちらも5年に1回,ちゃんと質の高い言語テストを世に送り出しているかどうか,チェックをするポイントがあります。
 いろいろな団体さんにスタンダードセッティングのやり方をケンブリッジがお手本になって示しましたが,それがちゃんとできているのか,そのときはできていたけれども,営々と作られている,継続して試験は続いておりますので,その他のバージョンもスタンダードセッティングをしたときと同じような,ちゃんと質が担保されているのかというのは,それは残念ながら,監督機関が日本にはないので,それがどうなんですかと言われても,その辺りは私はそれに答える,ちゃんとしたポジションにはおりません。ただ,どのようにセッティングすればいいのかというやり方は,ケンブリッジが欧州評議会の命を受けて,お示しはしております。
 すみません,長くなりましたが,私からは以上です。
【小林委員】
 ありがとうございます。監督機関がしっかりとチェックするシステムが必要だということは大切だと思います。ありがとうございました。
 では,次をお願いします。
【三島座長】
 それでは,安田様,どうぞ。
【安田氏】
 ありがとうございます。Ofqualの話が続くんですけれども,私が利益相反として挙げた例としまして,英語4技能ワーキングのほうでも御説明をしたんですけども,例えば,問題集を試験団体が出版するときのルールもものすごくもの厳しく決まっていて,承認するプロセスなども決まっているんです。その内容も,例えば,いい点を取るためだけの問題集は作ってはいけないであるとか,過去問を使う場合,それが利益になってはいけないであるとか,そういった細かいルールが決まっています。また,採点者に関しても,そこで有利にならないように無記名であるとか,採点者の管理のあり方であるとか,こういったところが細かく決まっておりまして,ワーキンググループで特に挙げられた問題集に絡む利益相反の問題などは,Ofqualのようなルールがあれば,避けられるのではないかと考えています。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,最後,前田様,どうぞ。
【前田氏】
 ありがとうございます。御質問いただいた,IELTSが例えば50万人全てを対象として採用になった場合の想定なんですけども,そもそも論になってしまうんですが,IELTSを受ける方というのは,日本においては95%以上が留学等を視野に入れて受けている方が多いです。今回の共通テスト,4技能試験を共通テストで使うのかどうかという以前からも,高校生の中にIELTSを受けている方はいまして,今回は延期になりましたけども,延期になった後も高校生の方は受けていらっしゃるんです。
 IDPとして,今回,共通テストに参画した1つの背景というか,理由としては,我々の試験,IELTSの試験というのは,クラスの中の全員に向いている試験ではもちろんないと思っています,今の段階では。ただ,クラスの中に,例えば,1人とか2人とかIELTSを一生懸命勉強して,IELTSを使って日本の大学であるとか海外の大学に進学したいと思っている方がいた場合に,IELTSというものが共通テストの4技能試験の中にないことによっての不利益にならないように,という観点が,まず1点目です。なのでIELTSを勉強したい方はIELTSを勉強して,それがしっかり共通テストでも使えるようにというのが,まず,考え方の背景にあります。
 もう一つ,文科省のほうで需要調査というのを行っていただいて,いろんな都市の中で,どこの都市で興味というかIELTSを受けたいと思っている方がいるのかという調査を行った結果,そこもベースにいろいろ考えてはいるんですけども,今現在,その結果に基づいて東京,大阪のテストセンターに加えて福岡,それから,札幌に公式のテストセンターを設置しまして,例えば,北海道においては札幌だけが都市ではないですから,北海道全体でできるように札幌を中心に回すとか,また,九州に関しては九州のテストセンターを中心に九州全体,沖縄,それから一部の中国地方をカバーする等,一応,全国でカバーできるようにということはプランニングしております。
 ただ,50万人という数字に関しては,IELTS1つの団体だけで,もちろんカバーできるものではないので,幾つかの団体が共通テストの中で参画していたと思うんですけども,今後,IELTSの需要が高まり,IELTSが50万人とはいかなくても,ある程度,一定の人数になっていった場合に,どのように運用していくのか。そこが実は,今回のコロナというのが非常にある意味,いい勉強になっておりまして,一部のテストセンターでは,今日現在はやっていないですけども,コロナ対策として,非常に,密の対策のためにスピーキングテストを,テレビ電話会議システムを使って行うことも実験的にと言いますか,実際の試験でも行ったりとかしたんですが,これは考え方を変えると,また,面接官のエグザミナーが,例えば日本国内で不足していたとしても,例えば,海外から回線をつないで行うということであるとか,これをIELTSとしてのプロダクトで考えるのか,それともスピーキングテストというプロダクトとして考えるのかというところは別になってくると思うんですが,そういった今回のコロナの教訓を得て人数が,例えば,日本のエグザミナー,面接官だけで対応できない場合にリモートを使って行うとか,ライティングの採点はもともと採点のハブがありまして,日本国内にはない海外のハブで,一斉に全世界からのライティングテストを,誰がどの受験者の採点をしているか分からない状況で採点をしているという背景がありますので,ライティングとスピーキングに関して日本で需要が一気に高まった場合,何らかの対応が今後はできていけるんじゃないかということを,今回のコロナでも学ばせていただきました。ありがとうございます。
【小林委員】
 とても参考になりました。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,時間もございますので,あとお一人だけということで,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 お三方,大変貴重なお話をありがとうございました。お三方に共通した理念,イングリッシュの普及をミッションとしておられるというのは分かりました。
 非常に具体的なお話なんですけれども,先ほど,芝井委員から離島問題,これは非常に頭が痛い問題だと思うんですけれども,その点で言いますと,3つのテストは非常にクオリティーが高いんですけれども,御説明といいますか,入っていなかったテストで,ケンブリッジさんのほうでリンガスキルというのが御説明にも入っていまして,これは高校生の学びの基礎診断にも入っていたと思うんですけれども,なぜ大学の共通検定テストには考慮なさっておられなかったのか。あるいは,これが普及すれば,離島問題はかなりの程度,軽減するのではないかという期待を持っているんですけれども,それが正しいかどうかということを青山様にお話しいただければと思います。
 以上でございます。
【青山氏】
 ありがとうございます。実は,こちらはケンブリッジ英語検定と一緒に,申込みを大学入試センターに初年度しておりますが,認められませんでした。駄目だった理由としては,高校生の受験者数が少ない新しいテストだったからということでした。また、2年目のチャンスということで,もちろん出願しておりましたが,御存じのとおり,見送りになりましたので審査も途中で止まってしまいました。ですが,今回のコロナの関係で,全世界的に自宅で受けられるテストとして提供されるようになり,これが恒常化しますと,コロナが去った後でも,おっしゃるように,離島,僻地でもインターネットさえつながっていれば受けられるテストであるということ,そして,ケンブリッジ英語検定と同じ指標を使っておりますので,その辺りも世界クオリティーということで,より多くの方に使っていただきたいと今,非常に思っております。
 実際,離島等でこれまでトライアルもしておりまして,インターネットさえつながれば,県立高校のネットワークでちゃんと稼働して,実際に,B2の結果を出した高校生さんもいらっしゃいました。まさに今後につながる未来型のテストだと思っております。ありがとうございます。
【柴田委員】
 どうもありがとうございました。先ほどのOfqual,そういうもののクオリティーコントロールもできているレベルのテストだと理解してようございましょうか。
【青山氏】
 新しいテストなので,今後,その枠組みに入ってくる予定です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,民間資格検定試験実施団体からのヒアリングは以上とさせていただきたいと思います。青山様,安田様,前田様,本当にありがとうございました。
 それでは,ここで大臣が御到着になりましたので,一言御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,おはようございます。お忙しい中,第11回大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただき,ありがとうございます。
 本日は高校現場の先生方や英語資格検定試験の実施団体の皆様から発表いただけると聞いております。特に英語資格検定試験の実施団体,また,企業の皆様には,昨年の急な方向転換によりまして,大変御迷惑をおかけしましたことを改めてこの場をお借りしてお詫びを申し上げたいと思います。ぜひ現場の状況をお話しいただくと共に,忌憚のない御意見をいただければ幸いに存じます。
 6月30日,大学入試センターにおいて,令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項が策定,公表されました。同要項には,学業の遅れを理由に来年1月の大学入学共通テストの第2日程を受験できる対象者等の内容が盛り込まれております。文科省としては,不安を抱えながら大学進学を目指し,日々努力をされている受験生の皆さんが,安心して大学入試の準備ができるよう大学入試センターとも連携して,しっかり準備を進めてまいりたいと考えております。
 本日も活発な御発表,御議論をいただきますように,よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,民間資格検定試験実施団体から御発表の後半,4団体をお願いしたいと思います。ベネッセコーポレーションGTEC開発部の部長の込山様,日本英語検定協会教育事業部長の塩崎様,それから,CIEE,これはTOEFL日本拠点,代表理事の根本様,そして,国際ビジネスコミュニケーション協会調査研究室長の三橋様にお願いしたいと思います。おのおの10分程度でお話をいただきまして,その後30分ぐらい意見交換ができればと思ってございます。
 それでは,まず,込山部長から,どうぞよろしくお願い申し上げます。
【込山氏】
 それでは,失礼いたします。ベネッセコーポレーションにおいて,GTECを担当しております,込山智之と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは,始めさせていただきます。まず,シートの2ページ目を御覧いただければと思います。
 最初にGTECの成り立ちと基本的な考え方について触れさせていただければと思います。ここにありますのは,大学入試における民間英語試験の活用が決まる前,2017年段階でGTECのホームページに掲載し,今もそのまま残っている内容となっております。2017年が,我々が英語のアセスメントを着想した1997年から数え,ちょうど20年間がたった節目でありました。97年は当時,翌年の98年に改定された学習指導要領において,生きる力を育むという考え方が注目されたタイミングでした。それまでも長年にわたって,弊社として学校教育に携わっていた中で,ますますグローバル化が進んでいく時代にあっても世界とやり取りできる人を増やしたい。これからの高校生,中学生には本当に使える英語を身に付けてほしい。これらの考え方で生きる力を育むことの1つとして捉え,GTECの前身のテストの開発に着手をしました。
 その後,先生にとっての指導と評価,そして,生徒にとっての学習と評価,これは基本的に一体でありますので,英語力の評価だけではなく,次の指導,学習につなげるための評価として,そのテストとしてアメリカのテスト会社と共同で英語検定を開発し,99年に正式にリリースをしました。それが英語コミュニケーション能力テスト,現在のGTECという形になっております。
 使える英語というテーマにこだわり続けてきました。センター試験にリスニングが導入されたのが,ちょうど2006年の1月になります。大学入試が読む1技能中心の時代から,書く,話すまでを測定し,真の英語力というところを4技能として捉え,それを伸ばすことに目的を感じ,取り組んできました。最初の4技能ゆえに広まりにくかった部分もございましたけれども,15年ほど前の文部科学省でのスーパーランゲージイングリッシュハイスクール,セルハイ事業,また,近年では2013年度からの現行の学習指導要領のスタートを経まして,学校教育の使える英語への変化と共に,多くの高校生,また中学生に受験をしていただくまでになったという形になります。まず,GTECの簡単な御紹介でした。
 次の3ページをお願いいたします。ここでは学習指導要領と英語力という観点で整理したものを説明させていただければと思います。まず,大きく3つ,赤囲みの部分を御覧ください。現行の学習指導要領を中心に英語という教科を捉えています。
 まず,右側を御覧ください。タスクベースに課題解決をするという点が挙げられます。学習指導要領で掲げる資質能力の3つの力,そのうち知識と技能,ここでいう技能に関しては英語の4技能という意味ではなく,基礎的,基本的な力という意味になりますが,知識と技能をベースとしながら初見,そして,初めて遭遇し得る状況の中でしっかり自分で考え,判断し行動,つまり英語であればコミュニケーションを取るといったところが求められます。
 そして,次に左を御覧ください。知識,技能,また思考,判断,表現を実社会の文脈でどう使っていくかということが重要になってきています。特に英語は実技になりますので,語彙や文法という基盤をいかにコミュニケーションできるか,そこを動かせるかということになります。例に書いてありますとおり,訪日した留学生との教室でのやり取り,また,自分が短期で留学に行った際の現地の先生とのやり取り,これらに近い経験をする,つまりリアルに近い英語の使用場面を想定することが求められています。
 そして,下側を御覧ください。英語においては,実技でありますので,具体的に何ができるようになるのかということが非常に重要になってきます。その意味において,CAN-DOを意識して指導する,また,学習をすることが大変効果的になります。今回の大学入試改革では,CEFRのA1からC2まで,そのレベルに注目をされたわけですけれども,CEFRの本質的な役割は外国語指導者,また,学習者にとって指針となるCAN-DOであるということで認識をしております。この10年ほど,学校現場でもCAN-DO形式の目標設定という形がうたわれてきましたが,まさに参考になるのがCEFR,そして,CEFRに基づくCAN-DOなのではないかと思っています。
 GTECとの関連に触れさせていただければと思っています。学習指導要領を中心にした,これらの3つの要素を考慮した際に,これらに合致した本物に近いオーセンティックな問題内容,そして,結果の出し方,スコア,そして,テスト理論的に言い換えれば,構成概念としているのがGTECとなっています。大学入試英語成績提供システムに参加した検定それぞれにテストの目的があると思っています。先ほどにもお伝えしましたが,英語力のアセスメントを通じて,学校における先生方の指導,また,生徒たちの学習に少しでもよりよいものになることを目指して,GTECを提供させていただいています。
 次に,4ページを御覧ください。今回の高大接続改革では,大学入試選抜が注目されましたけれども,あくまで,それは一側面であり,大学教育,そして何より高校教育を3つ連続的なものとして,生徒,学生を社会に送り出していくことであったと認識をしております。英語という教科を取り上げれば,高校における英語教育をどう充実させていくかという点も,入試いかんに関わらず,当初から重要な観点であったと思っています。先ほど御説明しましたCEFRをはじめとしたCAN-DO,能力記述文を活用して各技能,学年ごと,場合によっては,1年間の中も学期ごと区切ったりして,各学校単位で学習到達目標を定めることが,目標というところで既定となっていると考えています。
 指導カリキュラム,シラバスを基に先生方が御指導される,これは技能単発ではなく素材やタスクに応じて技能を統合して,総合的に育成していくことになると思っています。そして,指導と評価は一体となるものになりますので,学校における定期テストでの従来のペーパー2技能の評価に加えて,学校における定期テストはもちろんのこと,日常の面接や添削などによるスピーキングやライティングのパフォーマンス評価が行われることが,4技能を総合的に育成し,生徒に最終的に使える英語を身に付けてもらうことになると思っています。
 しかしながら,パフォーマンステストについて,平成30年度の文部科学省の英語教育実施状況調査の結果によれば,高校において,平均して約3割ぐらいの実施にとどまっているというデータが出ております。この点は,課題となっていると言うことができるのではないかと思っています。
 図に戻りますが,設定した目標が適切であったのか。また,指導が適切であったのか。次の学習につなげられる評価になっているのかなど,例えば,1つとしてGTECなどを用い,定期的に検証し,よりよい指導,評価につなげていく。このような円で書かれているPDCAサイクルを繰り返し回していくことで,入試制度のあり方にも関連はしてくるとは思うのですけれども,これはこれで,単体,独立したものとして日本における英語教育がより充実したものになってくると思っております。
 続いて,5ページを御覧ください。今回の大学入試に関連する動き,そして,新型コロナウイルスにより大きな影響が出てしまった,今回の受験生,高3生に対するGTECの状況についてお伝えできればと思っております。GTECの検定版は,通例,年度に3回の実施としておりましたけれども,英語4技能の学習に取り組み,大学入学共通テストの枠組みでなかったとしても,総合型選抜,学校推薦型選抜,また,一般選抜で民間英語検定を活用する高校3年生に向けて,7月と10月,これら2回の受験回を増設して,合計5回の実施を予定しておりました。しかし,新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして,年度初めてとなる,第1回6月の検定回を実施することはかないませんでした。特に,総合型選抜で結果を活用する高校3年生は,6月での受験を予定されていたこともありましたので,この第2回7月検定での結果返却を内部で様々な調整をしまして,9月中旬から2週間早めて,8月中に確実に出願できる状態でお返しする形にしております。都合が付けば,そちらで受験いただける状況にもなっております。
 今後も感染の第二波,第三波という懸念が残っておりますが,その状況に応じまして,少しでも安心して高校3年生に受験いただけるように柔軟に対応していければと思っております。
 最後になります。指導と評価の一体化の中で,生徒の英語力が効果的に伸びていくと考えています。その一体化を支えられるGTECでいられるように,今後の方向性も見据えながら,英語検定として研鑽を重ねていければと思っております。
 私からは以上となります。ありがとうございました。
【三島座長】
 込山部長,どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,日本英語検定協会の塩崎部長からお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【塩崎氏】
 よろしくお願いいたします。日本英語検定協会の塩崎と申します。本日は,文部科学省のCEFRワーキンググループで委員をしておりました弊協会制作部制作研究開発課,仲村と共にこの会議に参加をさせていただいております。
 それでは,資料の御説明をさせていただければと思います。
 1ページ目,目次でございますが,本日は5つのパートに分けて,10分以内で御説明をさせていただければと思います。
 早速,2ページに行かせていただきたいと思います。まず,当協会の御紹介でございますが,文部科学省様のほうが――当時は文部省でしたが,英語を学習する方に目標を与え,意欲を高めるために技能検定が必要であると1964年,お考えをいただきまして,その要請を受け,実用英語の普及向上を目指して誕生したのが当協会ということになりまして,今年で56年目を迎えているところでございます。
 次の3ページ目に行っていただきますと,詳しく年表で,弊会の沿革を御紹介させていただいておりますが,主なところだけかいつまんで御説明をさせていただきますと,1963年1級,2級,3級という3つのグレードのみで英検をスタートいたしました。翌年には4級,下のレベルを創設いたしまして,68年には英検の意義と実績が認められ,社会教育上,奨励すべきものとして文部省の認定を受けております。87年には1級と2級の間に,ハイレベルの準1級,それから,一番下のレベルの5級を新設させていただきました。94年には,さらに2級と3級の間に準2級,そして,児童のためのリスニングテスト,児童英検というものを実施させていただいております。
 少し飛びまして,2004年,BULATSというテスト,先ほど御登場いただきましたケンブリッジ大学英語検定機構様と連携をして,ビジネスマン向けのアウトプットを重視したテストを共同で運営を開始いたしました。現在はリンガスキルビジネスと進化をして,名称も変わっているところでございます。
 2006年,文部科学省の認定システムが廃止になりましたので,後援という形に変わっております。2010年からはIELTS,我々はブリティッシュカウンシル様と一緒に共同運営という形で,日本での運営をスタートして,今年で10年目,10年を超す運営をしているところでございます。2012年に公益財団法人となり,2013年は英検のCBT,実はこの頃から英検のCBTを運営していて,こちらはコンピューターで受けられる英検の開発実施をスタートしております。
 2014年は上智大学様と一緒に,大学教育にふさわしいレベルの英語力を正確に測定するということで,Test of English for Academic Purposes,TEAPの実施をスタートさせていただきました。この頃,大学入試のお話もいろいろとございましたので,実用英語技能検定のほうも,合否判定と共にスコアも出してほしいという要望にお応えして,CSEという形でスコアも付与するようになっております。
 2016年に2級,4級,5級の形式を変更いたしました。これは2級にライティングテストを入れて,4級,5級にスピーキングテストを入れたという形になります。同じ年にはTEAPのコンセプトを継承したコンピューターテスト,TEAP CBTというものを開発させていただき,2017年は,さらに準2級と3級にライティングテストを導入いたしまして,これにより4技能推進,教育現場では推進されて,それを正確に計るという意味で,3級以上の全ての級において4技能化を実現したところでございます。また,同じ年に,対面式のビジネスマン向けのGCASというテストを開発しております。
 このように,当協会は時代の変遷やニーズと共に,英検自体のモデルチェンジを繰り返しながら,様々な教育機関との連携におきまして,日常の社会生活に必要な実用英語の習得及び普及向上に資するために英語の能力を判定し,様々な形を通じて能力を養成することにより,生涯学習の振興に寄与することを目的とした活動というものをずっと行ってきたところでございます。
 続いて,5ページにまいりますが,こちらは英検の昨年度の受験状況になります。合計392万4,000人の方に受験をいただきました。英検ファミリー,こちらは総数の数字でございますが,特に受験者層が多いのは中学・高等学校というところで,300万人を超す方に受験いただいていたところでございます。
 続いて,6ページにまいりまして,英検を恐らく受験をしたり,指導していただいている先生方も多かったかとは思いますが,こちらはいろいろ,今は4つの方式をもって英検を運営しております。
 一番左のものが従来型と呼ばれる,ずっと50年間やってきた英検になりますが,こちらは筆記試験をやった後に面接試験をやるという形式なんですが,筆記試験を合格しないと面接試験に進めないところが大学入試英語成績提供システムの要件に合わないということで,こちらのテストは成績提供システムからは外れておりました。その代わり,右側に囲われている3つのものがシステムには採用になっておりました。
 その違いでございますが,一番右の英検CBTというのが,リーディング,リスニング,ライティングをタイピング,スピーキングを吹き込みで計る,全員が4技能を受けられて,同じ日に受けられるという形のものです。真ん中のS-CBTというのが,高校生の皆さんタイピングしてやるのがなかなか難しいという方のために,パソコンのスクリーンを見ながら問題を解いていくんですが,解答用紙にマークしたり記述したりしながら筆記試験をやり,スピーキングはまた同じように吹き込み式でやっていただくもの,そして,この2つのCBT方式の試験では,なかなか受験者への配慮というのが難しいと,一応やることはやるんですが,限定的であるということがありましたので,今,従来型の英検では非常に幅広く,障害者の方への受験上の配慮を行っておりますから,これと同じようにできるようにということで,S-Interviewが受験上の配慮を必要とする方に提供をさせていただいているところでございます。
 6ページで言い忘れましたが,これら全ての方式,問題内容,難易度,採点基準,合否判定等は同じでございますので,大学様も英検を入試要件として採用いただく場合には,基本的には全ての方式が有効ということになっております。
 7ページ目,成績ダウンロードシステムについてでございますが,大学入試英語成績提供システムの延期が確定した後,こういったシステムを提供していただかないと入試業務が非常に煩雑になるという御指摘がありまして,それによって,英語の民間試験を使わないという決定を下された大学様も多かったかとは思います。弊会のほうでは,TEAPを開発して実施した2014年以降,大学様がダウンロードして,成績を直接受け取れる,見に行けるというシステムを開発し,提供させていただいております。こちらは無料で大学様に開放しておりまして,英検全方式,TEAP,TEAP CBTの成績をダウンロードしていただけるんですが,大量にスコアレポートを受け取るような大学様は,これによって業務が非常に楽になるということ,あまりたくさんは受け取らないという大学様でも,セキュリティー上,紙のものとこちらのシステムでダブルチェックして問題ないということを確認するために非常に有効だという声をいただきまして,国立大学様,私立大学様を含め,たくさんの大学様に御活用いただいているところでございます。
 続いて,8ページ目,新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で御説明させていただければと思います。4月,5月,ここにいらっしゃるほとんどの検定団体様もそうだと思うんですが,弊会も全ての主催検定を延期させていただきました。しかしながら,入試に採用していただいている大学様,あるいは,第1回の従来型検定のために指導してきていただいた先生方,それから,こちらは受験生以外にもいっぱいいらっしゃるんですが,この日のために英語を頑張って,焦点を合わせて勉強してきた皆様から,ぜひ実施してほしいんだというお声をいただいていたものですから,本来5月31日に実施すべきであった,こちらの英検の第1回検定を1か月延期いたしまして,さらに,日程を多くしまして実施をさせていただいたところでございます。
 9ページ目を御覧いただきますと,弊会での新型ウイルス対策ということで,ヘルスチェックを受験生の方,試験監督,いろいろな方にやっていただいたり,消毒したり,マスクを付けていただいたりと,いろいろなことをやりながら実施をしておりまして,こちらは弊会が主宰させていただいている英検,TEAP,TEAP CBT,IELTS,こちらについても全て同じようにやっているところでございます。
 そして,10ページ目,コロナウイルスの状況も鑑みて,ほかの検定さんでもやられているところがあると思うんですが,在宅で受けられる英検というものも,開発に着手をして,今年度中にリリースできればと考えているところでございます。
 11ページに行きまして,TEAPの御紹介を少しだけさせていただければと思います。こちらのTEAPも大学入試英語成績提供システムの参加試験になっておりまして,上智大学と5年の歳月をかけて,じっくり大学入試にふさわしいテストということで開発をしまして,2014年度から提供を開始いたしました。問題の内容は,大学教育で遭遇する語彙,場面,分野などを想定した問題設定,内容となっております。ライティングとスピーキングについては,英国の教育機関,CRELLAの監修の下,開発をしておりまして,2016年からはTEAPの発展形であるCBT版のTEAP,TEAP CBTがスタートしているところでございます。
 12ページ,13ページは問題の内容,それから,ライティングテスト,スピーキングテストをこんな形でやっていますという御紹介ですので,お時間の関係上,割愛をさせていただきますが,最後,15ページは参考資料として載せさせていただきました。少し古い資料で恐縮なのですが,この時点で,早くから大規模に英語の民間試験を取り入れていただいた大学様に,実際にいろいろな試験を採用している中で,どの試験のスコアレポートを実際,受験生の方から提出されて受け取りましたかというアンケートで,基本的には首都圏の大学様に関しては,英検とTEAPを足すと,ほとんど9割ぐらい行っちゃうと。地方の大学様ですと英検が圧倒的に多いというお声をいただきまして,昔から入試に使われてきた検定というところを踏まえて,引き続き,厳正に実施させていただくと共に,今回のコロナウイルスを受けて,CBTの方式などを充実させて,しっかりと対応して,受験生の方に受けていただく環境を整えていきたいと考えております。
 以上でございます。
【三島座長】
 塩崎部長,どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,CIEEの根本代表理事からお願いいたします。よろしくお願いします。
【根本氏】
 今日はお時間をいただきましてありがとうございます。CIEE Japanの根本と申します。TOEFLについて,それでは,早速ですけども,御説明をさせていただきます。
 資料をめくっていただきまして,2ページ目,3ページ目に,簡単にCIEE,それからテスト団体のETSについて御説明しております。まず,私どもCIEEですけれども,アメリカに本部を置きますNPOで,国際交流を目的として設立された,アメリカでは古い団体ということになるかと思います。日本では1965年に設立されましたので,私どもは50年以上の活動を行ってまいりました。1981年からTOEFLテストの日本事務局としての活動を行っておりますので,ですので,もう40年近くTOEFLの活動を日本の中で行っている形になります。
 3枚目を御覧いただきまして,こちらはこの後のTOEICさんも同じですが,TOEFLを作っているEducational Testing Service,ETSという団体についての御紹介です。アメリカのニュージャージー州プリンストンにございまして,こちらもNPOとして活動を行っております。70年以上にわたって,試験評価に関する研究と運営を行ってきております。年間5,000万回以上の試験を180か国,9,000以上の機関で行っておりますので,世界でも最大級の試験運営・研究機関と言えると思います。テストとしてはTOEFL,それから,TOEICテスト,あるいは,TOEFL Junior,Primary,あるいは,GREといったテストを行ってきている形になります。
 TOEFLテストについての概要を簡単にかいつまんで,4ページ目以降から御覧いただこうと思います。
 5ページを御覧いただければと思います。このページで2つ,申し上げたいことがございまして,1つはTOEFLテストの目的ですけれども,留学で使われるテストと言われてきたわけですが,実際の目的,正確な言い方としては,英語を母語としない学習者が主に大学,大学院,高等教育機関で英語を使って学ぶときに必要となる英語力を測定する,そういったテストになります。1960年代から運営を始めていますので,世界でも,あるいは,日本の中でもアカデミックテストとしては最も実績が大きいテストと言えると思います。また,コンピューターのテストとしても,2000年からTOEFLの場合はコンピューターベースのテストに移行しておりますので,日本の中でも受験者は100万人を超えていると,そういう実績を持っている試験になります。
 6ページを御覧いただきます。主な特徴として幾つか書かせていただいておりますけれども,現在のTOEFL iBTテストはインターネットを介して問題が配信されます。1日で行いまして,4技能各セクション,配点は同じという形になりますので,スピーキングもライティングもリーディング,リスニングと同じようなウエートを持って測定するということです。それと,スピーキング,ライティングについては選択式ではございませんので,ルーブリックに基づいた採点を行うということで,これは後ほどもう少し御説明をさせていただきます。
 それと,昨年度からその日の受験者のスコアと,それから,それまでの有効なテストを受けたスコアで,それぞれの技能の一番よい技能を選び出したマイベストスコアが併記されるようになっています。ですので,もしカットスコアにその日のテストが届かなかったとしても,それまでに受けたテストの総合点として,例えば,80点を超えていることがあれば,それを自分のベストのスコアということで見ていただけるという形になります。
 それと,先ほどからコロナ対策のことが出ておりますけれども,私どももTOEFL iBTはもともとテスト会場で受験をしていただくものでありますけれども,4月以降,オンライン監視による自宅受験ということを導入しております。ですので,今はテスト会場の受験も再開しておりますけれども,オンライン監視による自宅受験も併用して実施しているというところが現状としてはございます。
 7ページは概要になりますので,8ページを御覧いただければと思います。8ページのところは,各技能で求められるスキルということで,かいつまんでどの技能で,どういった技能を求めるかということを解説しておりますけれども,新しい学習指導要領の中で,英語をどのように運用するかということで,もともとTOEFLについては,指導要領に沿ってデザインをされたわけではありませんが,現状としては,ほぼそれに近いスキルを測定することになっております。
 9ページを御覧いただければと思います。こちらは先ほど申し上げました,ルーブリックを用いた採点ということで,例として,スピーキングセクションの採点基準を上げております。選択肢で選ぶ問題ではありませんので,受験者が各それぞれスピーキングについても,ライティングについても出してくる答えは異なるわけですけれども,これを採点するということで,今のところ,一番最良の方法としてはルーブリックを使って採点をすることが一番合理的かつ公平な採点ということになろうかと思います。受験者はルーブリックを見ることができますので,採点基準を知ることができます。また,受験の後でも自分のスコア,それからフィードバックを見て,自分がどのレベルにあって,どこまで行かなければならないのか,そういったところを,ルーブリックを見て判断をしていくことができるという形になります。
 ですので,例えば,勉強していく中で,例えば学校で教わっている,教わっていない,あるいは,予備校で教わっている,教わっていない,そういったところで差が付くのではなく,受験者全てが同じ採点基準を同じような形で見て問題に取り組むことができるという公平な学習,それから,受験環境を,ルーブリックを使うことで,実現できる形になります。また,評価基準の設定から問題作成,そういったものを一貫して行うことがスピーキングは必要になります。
 10ページにCEFRの表がありますので,そこのところは,また時間のあるときに御覧いただければと思います。
 11ページのところですが,スコアの利用,それから登録,それからスコアのデータの受取ということで書かせていただいております。
 12ページを御覧いただきたいのですが,現在,日本の大学780校中,2018年の段階では約337校,国立大学は86校中62校がスコアを利用していただいております。13ページ以降にどういった形式かというものが掲載されておりますので,お時間のあるときにぜひ御覧いただければと思います。
 16ページを御覧いただきますと,スコアを受け取る方法ということで記載させていただいています。電子データで,無料で受け取ることができますので,受験者の手を介さず,各それぞれスコアユーザーの大学様のほうでスコアを受け取ることができるという形になります。
 最後のところになりますけれども,17ページ,それから18ページのところで,今回の論点になっているところを挙げております。英語によるコミュニケーション能力の育成・評価ということで,ここには5点挙げられておりました。
 18ページのところで,それを少し並べ替えております。今回の制度に当たって,大学入試で4技能を評価する理念,あるいは,選抜試験で使う役割とは一定の評価を持っていただいているかと思います。外部試験ですので,それは各大学のアドミッション・ポリシー,もしくはカリキュラムポリシーに基づいた,選抜として妥当かどうかということが1つ重要なことになると思いますし,それに基づいて外部の試験を使っていただくかどうかを判断していただくことであると思います。それと同時に,スコアを持って入ってくる学生の皆さんが,どういう実際の力を発揮するのか,そういったもので信頼性というものも入学後に見ていただいていくと,実際に学生の方がどういう力を持っていて,このスコアはこういう力を意味しているということを見ていただくことができるかと思います。
 2番目のところですが,こちらも様々な議論があったところだと思います。受験の時期,設定回数,テスト費用のことです。そういったものの制度設計,実用性があったのかどうかというところが,今回もいろんな議論があり,最終的には中止になったことだと思います。それらを全てみたした制度というものが成立することなのかどうかということは,実用性という意味で,その点から今後の制度設計については御検討いただければと思っています。
 個別入試への国の支援のあり方ということで,これは考え的なことになりますが,高校から大学に行く間の英語教育の中で一貫性,あるいは,効率的に語力を高めていくときには,何かそういった一貫した研究,もしくは施策がもしあるということになれば,日本人の英語力も非常に高まっていくのかということで,書かせていただいております。
 最後のところですけれども,英語を使って高等教育で学ぶ必要性ということで,テストの妥当性,信頼性,それから実用性というものにプラスして,必要性ということで書かせていただきましたが,先日,国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議というところで出されておりますけれども,英語によって日常的に教育や研究を実現すると。例えば,ダブル・ディグリーであるとか,英語による授業での卒業だとか,協定校の留学,それから,成績を付与した形での交流とか共同事業,そういったものを全て英語で学ぶことにはなります。そういった意味で,TOEFLの持っているコンテンツ,もしくは測定する基準,そういったものを活用していくことは,十分可能だと思いますし,そういったことをぜひ今後御活用をしていただければと思っております。
 以上で,TOEFLの御説明を終わらせていただきます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,4件目でございますけれども,国際ビジネスコミュニケーション協会の三橋室長からお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【三橋氏】
 国際ビジネスコミュニケーション協会,三橋と申します。よろしくお願いします。
 あえて今日は書かなかったんですけども,私どもはTOEICというテストを実施しております。2020年から当初,予定されておりました英語入試成績提供システム,こちらのほうに参加申請をさせていただきましたけども,諸般の事情により,途中でそちらのほうは参加申請を取り止めたといった経緯がございます。
 今回,大学入試のあり方に関する検討会議というところに呼ばれたわけでございますけども,まず,ここで,私どもはどういったお話をすればいいのかと考えました。と言いますのは,この検討会議におきましては,英語の4技能評価のあり方も検討すべき課題の1つに挙がっております。その中では,外部試験をどう活用するのかといったことも含まれてまいりますので,そういったときに私どものような英語の外部試験を実施している団体が,そういった検討会議において何か発言すること自体どうなんだろうかと考えている部分もございます。
 2020年のシステムに向けまして,2014,5年頃から文科省様のほうで,いろいろな会議を設置されまして,その場で,我々,試験実施団体も呼ばれて,いろいろ参加し,発言もさせていただきましたけど,当初はそれほど,そのことは問題視されませんでした。けれども,2020年が近づいてくる中で,そういったことを検討する会議に試験実施団体が入っていること自体どうなんだということが結構,批判的な意見もいただきました。と言いますのは,もし外部試験が大学入試に活用されることになりますと,私ども試験実施団体は,いわゆる利害関係者と言いましょうか,それによって利益を受ける団体になるんだから,当然自分たちにとって都合のいい話を持っていくに決まっていると。ある意味,そういった御批判をいただいた経緯がございますので,そういったことも考えますと,私ども試験団体があまりこういった検討会議の中でいろいろなことを申し上げるのは,あるいは控えたほうがいいのかということも考えまして,他社,ほかの団体様とは違った形で,このような事前の資料という形で用意させていただいております。
 本日,私からは,私どもが実際に一度は参加申請をして,そして,結果的に途中で参加申請を取り下げたという流れの中の経験を踏まえまして,大学入試に外部の試験を活用することに関する,特に実施運営面の点から少し意見を述べさせていただきたいと思っております。まず,大学の入試において,外部試験の活用ということは,以前,AO入試であるとか推薦入試等で,もう既に先行していろいろな大学様で実施されておりました。ただ,そのときは,特にそのこと自体は問題視されたことがなかったんですけども,それは,あくまでも一部の希望する受験者だけが,そういった入試において外部の試験を受験していることがあったことが一番大きかったと思います。そして,必ずしも全ての大学がAO入試とか推薦入試を活用しているわけでなく,仮に活用していても,実際の入学者全体の枠からいきますと,その中のごく一部がAO入試,推薦入試といった形で使われておりましたので,必ずしも共通テストとは全然違った意味合いのものだったことが一番大きかったのかと考えております。
 さらに,これが私ども実施団体の立場から申し上げますと,私どもはいろいろこれまでの実績,あるいは経験してきたことを基に,独自の試験実施の運営の制度を構築してきております。これまでは受験者の方々は私どもが設定した実施方式に基づいて受験いただきましたので,我々としても,大学入試のために何か特別なことをする必要は特にありませんでした。さらに言いますと,唯一ありましたのは,試験の結果を通常は受験者にお渡しして,その受験者が希望する大学に提出するという流れでございましたけども,これを受験者の手を通さずに直接,私どもから大学のほうに成績をもらえるような,そういった形は取れないかと言われましたので,その程度のことであれば,試験全体の流れから言いますと,最後の一部分だけに手を加えればいいものでございましたので,そういったことには御対応しておりました。
 ただ,これが共通テストの枠組みの中で活用されるという話が出てきましたときに,そうなりますと,大学入試を希望する全ての受験希望者が外部の試験を受験しなければいけないということで,いわゆる公平性,公正性が盛んに言われるようになってまいりました。ここの中で一番言われましたことは,全ての受験者が,自分が受験する時期に,受験する会場で受験できる受験体制を確保してくださいと。そして,いつどういう形で試験を実施されるのか,そういった情報を早く出してくださいといったことを言われました。
 ただ,特にスケジュール的な問題につきましては,結果的に発表ができなかったわけなんですけども,これは一番大きな理由としましては,私どもは試験の実施に関しましては,要するに試験を実施するための特に会場,これを外部の施設,大学を中心にしたところをお借りしていることが非常に大きい部分がございました。例えば,私どもが試験を実施するためには,いつだったらどこの大学様の校舎を会場として使わせていただくことができるのかと,この情報が確定しませんと,この日に試験を実施しますということは申し上げられなかったんですけども,当然,大学様のほうにいたしますと,まず,自分たちの大学のスケジュールが決まってからじゃないと,外部の団体に対してそれを貸し出せるかどうかは決められないということもございましたので,大体,例えば2020年4月の実施であれば,その前年である2019年の秋口までには遅くとも公表しますということで,それで当初はいいという話だったんですが,高校関係者の方からはその時期では遅いと。遅くとも,2020年の4月のことであれば,その1年前,2019年4月にはもう決まっていてもらわないと困るといったことが結構言われました。
 ただ,現実問題といたしまして,そんな1年以上も前から,どこどこの校舎を使えるかどうかといったことはとてもじゃないけど確定できませんので,その辺は外部の我々,試験実施団体としては非常に困った部分ではございました。
 2017年に大学入学共通テスト実施方針が出されましたときに,共通テストの枠組みにおいて,民間資格検定試験を活用するといったことがうたわれましたけれども,でも,実施に関わるいろいろな様々な準備というのは,結局試験実施団体が自分たちでやらなければいけない状況でございましたので,そういたしますと,なかなか事前の準備にはどうしても時間がかかる,ある程度,試験の間際になってからではないと発表できないことがあったということは,非常に大きな問題でございました。
 そして,大学入学共通テストと同様の扱いをしていただくことが必要と一番下に書きましたけれども,もし共通試験の枠組の中で使うのであれば,大学入試の中でもセンター試験といったものと同じような扱いをしてもらわないと,なかなか難しい部分も出てくるかと考えております。例えば,先日,2021年1月の共通テストの日程が発表されましたけども,1月16,17日が本試験で,追試験,第2日程が1月30,31日という発表がございましたけども,これが例年のセンター試験で言いますと,本試験の1週間後が追試験でしたので,私どもも翌週,23,24が恐らく追試験になるだろうと想定しまして,来年の1月に関しましては,1月31日に私どもの試験を実施しようと考えておったんですが,今回,このような発表がございましたので,1月31日に当初,お貸しいただけるという口頭での約束ではございましたけども,そういった大学様から,この日は貸せなくなりましたということで,今,私どもは1月31日の試験をどうしようかということを考えなきゃいけない立場になっているわけです。
 そういった状況にある我々に対して,確実に受験者がいつ受験できるのかという情報を,試験日の1年以上も前から発表してくださいと言われましても,なかなか対応するのが難しいというのが1つ,大きな状況としてはあるということはぜひ皆様には知っていただきたいと考えております。
 あと,最近はコロナの影響もございまして,オンラインにより試験会場数を少なくすることによって,少ない会場でも外部に会場を借りなくても実施できる体制というものを新たな検討課題として私どもも対応しておりますけども,それはそれで,いろいろと難しい問題もございまして,一番大きいのはオンラインの場合,難しいのはセキュリティーの確保ということがございます。試験官が目の前にて,試験の様子を必ずしもチェックできない中で,どのようにオンラインで実施した場合に,大学入試に使えるようなセキュリティーを担保するかといったことも問題になってまいりますので,そういったことは外部の試験を大学入試に使うとなったとき,当然,大学入試として使われるのであれば,こういった条件をクリアしないといけないというものは当然出てくると思いますので,そういったものはぜひ検討会議の中で御検討いただいて,大学入試として使うのであれば,こういった条件をクリアしてくださいという条件をあらかじめ示していただきたいと。
 それが私どもは2017年度に出た参加要件,要するに,この参加要件をクリアしていればいいんだろうと当初は考えて,いろいろ準備を進めてきたんですけども,結局,後から大学入試であればこうじゃないといけないといったことも出てまいりましたので,そういった中で私どもは残念ながら対応しきれない,このままで行くと受験者に御迷惑をおかけしてしまうということで参加を取りやめという決断をさせていただいたことがございますので,そういったことを,ぜひあらかじめ,大学入試でもし外部試験を使うのであれば,こういった条件をクリアしていないと外部試験は大学入試には使えないんだということを,ぜひとも事前に明示していただきたいと。そして,一度決まったら,少なくとも数年はその条件で実施していただくという体制をぜひとも取っていただきたいと私どもは考えております。
 本日,私どもが言いたいところは以上でございます。どうもありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ただいま4件のヒアリング,お話しいただきましたけれども,御質問,御意見がございましたら,発言をお願いいたします。挙手ボタンを押していただければ,順次,お話しいただこうと思いますが,時間も押しておりますので,全体で20分ぐらいのことを考えたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,芝井委員,お手を挙げていらっしゃいますか。
【芝井委員】
 塩崎さんに質問をお願いしたいんですが,よろしいでしょうか。前回,羽藤先生からお話になった中で,採点や評価がブラックボックスであることが民間の試験の最大の問題である,その他いろいろおっしゃったわけですが,採点や評価がブラックボックスであるとおっしゃったわけですけれども,今日,TOEFLの根本さんのほうでは,かなり明確な形で採点評価のことをおっしゃったんですけど,塩崎さんの英検のほうでは,採点や評価がブラックボックスであるということをもし批判されるとすると,どのようにお答えになるでしょうか。それをぜひ教えていただきたいのが1点です。
 それから,もう一つですが,根本さんには,TOEFLは御紹介ありましたように,特にアメリカを中心に海外の大学に留学するときに必須であるという受け止め方で,これまで日本の多くの若者は接してきたんだと思うんですけれども,片方で,大学入試で使うこととはそもそも目的が違うという考え方があるんです。例えば,高校の英語教育に対して,親和的な形で到達度を見ることができるテストとか,あるいは,大学がアドミッション・ポリシーの中で考えるときに必要な技能を想定しているもの,あるいは,日本ではなくて海外の大学に入学するときにより親和的なものとか,幾つか目的が相違はあると思うんですが,そのことについてどのようにお考えか,ぜひ教えていただきたいと,以上でございます。
【三島座長】
 それでは,まず,塩崎部長からいかがでしょうか。
【塩崎氏】
 御質問ありがとうございます。各検定団体,どこをブラックボックスにするのかという話があろうかと思います。我々,今日の資料にはなかなか詳細まで踏み込んで御説明はしていなかったんですが,評価の観点や基準等は公開できる範囲でウェブサイトのほうで公開しておりますというところが1点と,それから,特にこれは佐藤先生もおっしゃっておりましたが,実用英語技能検定に関しましては,問題自体を公開しているので,これ以上の公開のしようがないといったところかと思います。問題を公開しているのが一番オープンだと私は考えているところでございます。
 以上でございます。
【芝井委員】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,根本代表理事,どうぞ。
【根本氏】
 御質問ありがとうございます。目的というところですけれども,様々,今回の入試のこともそうですし,海外,それからアメリカの大学,それぞれあると思います。ETSの立場としては,基本的には,スコアユーザーがどのように英語のカットスコア,もしくは想定しているスコアを定めるかというところで,それぞれの国なり,あるいは,教育機関に任せるのが実情だと思います。
 今,例えば,CEFRで,例えば,A2以上とかB1と考えるのももちろん1つあると思いますし,ただ,それとは異なって,昔で言うと,例えば,TOEFLの紙のテストであれば500点以上だとか,450点以上とかというところで判断をしているところもあると思います。そこの中で,どのように英語力の基準を設定して,その上で,入学者をどうされていくかというところは,各それぞれの教育機関の皆様の判断と,それから,見方になると思いますし,TOEFLの場合は,全て過去問等で練習問題を構成しておりますので,問題の難易度とか,どういうものを問うかというところは公開している部分,あるいは,ワークショップ等で行っている部分がありますので,そういったものを見ながら御判断いただくというところには,一般論になってしまいますけれども,なるかとは思います。
【芝井委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続きまして,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 御報告ありがとうございました。
 私からは,ベネッセの込山様と英検の塩崎様に質問がありまして,前半部分で,Ofqualのかなり厳格な利益相反についての資料が,青山さんのスライド17,18ページにあるんですけれども,日本の中で一定の蓄積をお持ちのGTEC,あるいは英検において,例えば利益相反などについての内部ルールですとか,あるいは,もし業界団体のようなものがあれば,そうした中での基準,あるいは,監査体制といったものがあるのかどうかについてお伺いしたいと思います。この間,特に英語民間試験の実施につきましては,恐らく,ある一部の民間試験に人が流れるだろうと,それは非常に学校に寄り添ったやり方で問題を提供したり,参考書を提供したりしている面もあるけれども,それが利益相反としてどうなのかといった指摘もあったかと思いますので,その辺りの取組についてお教えいただければと思います。
【三島座長】
 どなたを御指名でしたか。
【末冨委員】
 ベネッセの込山様,それから,英検の塩崎様のほうにお願いいたします。
【三島座長】
 それでは,込山部長,どうぞお願いいたします。
【込山氏】
 末冨先生,御質問ありがとうございます。回答させていただきます。
 弊社としましては,第三者評価という形では,既にまだ昨年の制度が残っているときにも公開させていただいておりましたけれども,海外の試験団体さんとも同様に,ISO27001という情報セキュリティーマネジメントシステムの認証を会社として取っておりました。
 それは先ほど来,話がありますとおり,Ofqualという形の厳密性を考えると,これはイギリス政府の政府機関という形になると思いますので,恐らく,これを超えるものは存在しないという形になりますので,今回のナショナルテストとして,要は大学入学共通テストの枠組みの中で実施をされるのであれば,今後,その制度設計をする際に政府が主導して,そういったところを認証することは必要になってくるのではないかと思っております。
【末冨委員】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,塩崎部長,どうぞ。
【塩崎氏】
 御質問ありがとうございます。
 利益相反のところでお話をさせていただきますと,弊会,自社で出版している対策本的なものがありませんので,そもそも,それにこれは該当しないと考えております。
 以上です。
【末冨委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,続いて,渡部委員,お願いいたします。
【渡部委員】
 どうもありがとうございました。学ぶべきことがたくさんありました。三橋さんからは私の知らなかった背景情報などもいただけて,大変参考になりました。
 2件質問がございます。最初にTOEFLに関してです。このテストは高等教育機関で英語を使わなければ生き残れないといった状況で,生き残れるかどうかを試すテストだと理解しています。その際に,予測妥当性がとても重要な要件になると思うんです。テストを使わせるための情報として,予測妥当性は検証が難しいですけれども,たくさん行われているのを知っていますけれども,日本で,そういった研究をなさっているかどうか,そして,その結果がもしあるとすれば,どんな結果を示しているかということを伺いたいと思いました。
 あと,先ほど吉田委員から高大連携というお話がありましたけれども,そういうことを考えるにつけ,例えば,GTEC,英検などは高校の卒業試験に,むしろなじむという思いを強く持つんですけども,それは置いておきまして,英検さん,それから,GTECさんのほうでも,もしそのことに関して何か情報や研究があれば,どうぞお教えください。TEAPについては,ある程度理解しているつもりですので,その他のテストについて,もし情報があればお教えください。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,根本代表理事から,まず,いかがでしょうか。
【根本氏】
 御質問ありがとうございます。生き残りをかけてというところまで行くかどうかは分からないんですけども,問題の妥当性という部分では,ETSではもう研究を出してきていると思います。問題自体の妥当性のところはリサーチの結果があると思いますので,もしよろしければ,私どものほうで,幾つかETSからもらいまして,リンクが全部,ETSのサイトにリサーチの結果が上がっておりますので,そういったものを御覧いただければと思います。
 問題自体は,TOEFLの場合は,大学のフレッシュマンフレッシュマン,つまり1年生で入って,そういったところで使われる様々な教科書から素材を取っているところになります。アメリカの大学で,教育課程の1年生で使っている教科書があると思うのでのですけれども,そういったものを使って,どのように英語力を話していくのか,使っていくのか,あるいは,勉強する力を測っていくのかというところでデザインされていると思います。
 そういった中で,それは日本の大学の中で,どのように活用いただくのか,あるいは,それぞれの大学さんで教える中で,どのように活用されていくのかというところで,様々な学部,それから学生さん,様々な層がいらっしゃると思いますから,そういった中で,どこに行動を始めていくのかというところで,使い方が,今日は詳しくはお話しできませんでしたけれども,多様な形の入試というところで,その中の一環として使っていただくのがよろしいのかとは思っております。
【渡部委員】
 ありがとうございます。妥当性の研究はたくさんあるということは承知しておりますけど,今,伺いたかったのは,限られた数だと思いますけれども,予測の妥当性で,つまり入ってからTOEFLを受けて,入った学生の方たちが,その後どういう進み方をしているかと,TOEFLで得点が高かった人が本当にちゃんとした研究をやっているのかとか,聞き取り調査や,あるいは統計の結果を基にして,そういった予測が正しくできたかどうかと,そういう研究は日本であるんでしょうか。
【根本氏】
 日本では,私どものほうで聞いた,そういった形で調査されている結果と言いますか,あるいは,先生方というのはお聞きしていないです。ETSのほうで若干そういったことを追いかけているというのは聞いたことはありますが,日本の国内では,そういうものは伺ったことはありません。
【渡部委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,渡部委員から2つ目の御質問があって,込山様,あるいは塩崎様,もしお答えがあればと思いますが,いかがでしょうか。
【込山氏】
 渡辺先生,御質問ありがとうございます。込山ですけれども,今,研究についてお尋ねがあったんですけれども,GTECに関しても,海外のテスト機関と同様に,件数的にはまだこれから研究を深めていくというところにはなりますが,多層ラッシュモデルの採点のスピーキングのラッシュモデル評価というところも論文で,この数年で出させていただいておりましたり,また,冒頭,話がありましたとおり,CEFRの関連付けというところも,イギリスはそもそも,ケンブリッジさんとかはそのものがCEFRだというお話があったんですけれども,まさに欧州評議会で出された公式なものによる手続に沿ったスタンダードセッティングで研究したというところも,これは今回,我々がシステムの中に参画するときの要件の中に入っていたものになりますけれども,そういったものも含めて,今後も研究を深めていく必要があるのではないかと。採点であったり,問題そのものの妥当性というところは,引き続き,追求していく必要があるかと考えております。
【三島座長】
 塩崎様は何かございますか。
【塩崎氏】
 ありがとうございます。英検に関しましては,2級までは学習指導要領に配慮しながら作成をしておりますので,確かに先生御指摘のように,高校卒業テストにもなじむのかというのは今,お話を聞いていて思ったところでございます。GTECさん同様,我々も引き続き,研究,検証のほうを進めていきながら,どのような形がいいのかということを検討していきたいと思います。
 実は成績提供システムが延期になりまして,かなりその後,その対応が我々も大変だったということと,それに追い打ちをかけて新型コロナウイルスが来まして,できるだけ受験生に御迷惑をかけないようにということで必死にやっておりましたので,あまり今回のことについて,組織として,思い切り総括してという時間もなかなか取れないままということになりました。実用英語技能検定自体は今も入試に使う大学様もありますので,それを受けたいという受験生に適正な環境を整えることに,まずはフォーカスしたいかと考えている次第です。
【渡部委員】
 ありがとうございます。塩崎さんのコメント,どうもありがとうございます。先ほど問題公開ということをおっしゃったんですが,しかし,もし入試で使うとすれば,もっと踏み込んで,こういう回答はこういう得点というサンプルを示す必要が出てくるかと思うんです,説明責任として。
 そうすると,今度は生徒たちがそれをまねするようになるとおそれるんですが,そういうことについてはどう思われますか。何かもしコメントがあれば,お教えください。
【塩崎氏】
 ありがとうございます。問題を公開しているというところで,大学入試英語成績提供システムに選ばれた方式のほうは問題を公開しない予定ではありましたので,恐らくどの団体さんも問題を公開するのはなかなか厳しい状況だったのかとも思います。
 できるだけ回答を,ある程度,回答サンプルを示してそれをまねされてしまうという事態は完全に避けることはできないとは思うんですが,そこは実力がしっかりと出るような作問を心がけたいと意識しております。
【渡部委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,時間がもう過ぎておりますので,4団体のヒアリングは以上とさせていただきたいと思います。込山部長,塩崎部長,根本代表理事,三橋室長,どうも本当にありがとうございました。
 それでは,これで終わりますが,まず,大臣から御意見を少し,ヒアリングをされて何か御感想があればいただきたいと思いますが。
【萩生田文部科学大臣】
 本日は佐藤先生,青山様,安田様,前田様,込山様,塩崎様,根本様,三橋様から様々な観点の御発表をいただきました。特に,それぞれの団体の,言うならば生い立ちですとか目的ですとか,こういったものを改めて御説明いただいて,かなりアプローチが違う資格団体の試験を,CEFRで横串を差してひも付けをして大学入試に使うことの難しさを,お話を聞いていて改めて感じた次第でございます。
 新型コロナウイルス感染症が流行するは思っていなかったんですけれども,結果としてこういうことになってしまって,今年から実施をしていたら,さらなる混乱もあったのかという思いもしまして,皆さんには御迷惑をお掛けしましたけれども,ここは逆に各団体の知見をいろいろまた教えていただきながら,よりよいものにしていきたいと思っているところでございます。
 4技能のあり方につきまして,それぞれお立場から御意見がございました。グローバル化が進む中,英語によるコミュニケーション能力を育成することの重要性が高まっているのは否めません。委員の皆様におかれましては,本日,皆様からいただいた御意見も踏まえながら,引き続き,入試における英語4技能評価のあり方について,率直な御議論をお願いしたいと思います。
 今後も,しばらくはウェブ会議形式での開催となろうと思いますけれども,私もできる限り参加をしますし,また,参加できなかったものについては,動画や議事録を確認させていただき,皆さんの生の声を聞きたいと思っております。委員の皆様には,引き続き,活発な御議論を賜りますように,よろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,長時間にわたる意見交換,ありがとうございました。少し時間を過ぎてしまいまして申し訳ございませんでしたが,本日の検討会議は以上で閉会したいと思います。
 最後に事務局から何かございましたら,どうぞ。
【武藤高等教育局企画官】
 次回,第12回の会議,7月21日の火曜日に行いたいと思います。具体的な時間はまた追って調整の上,御連絡を差し上げます。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,以上とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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