大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(2019)(第1回) 議事録

1.日時

令和元年5月16日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎4号館12階 全省庁共用1211会議室

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 大学における看護系人材養成の在り方に関する検討の経緯と,看護系大学の現状について
  3. 看護基礎教育検討会の進捗状況について
  4. 大学における看護系人材養成の充実に向け必要と考えられる事項について
  5. その他

4.出席者

委員

秋山委員,井村委員,大島委員,釜萢委員,上泉委員,川本委員,岸委員,小見山委員,鈴木委員,高田委員,平野委員,宮﨑委員,柳田委員

文部科学省

玉上大臣官房審議官,西田医学教育課長,荒木医学教育課企画官,中湖医学教育課課長補佐,杉田医学教育課看護教育専門官

オブザーバー

島田厚生労働省医政局看護課長

5.議事録

【杉田看護教育専門官】
  定刻となりましたので,ただいまから大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開催いたします。
 私は,座長が選任されるまでの間,進行を務めさせていただきます医学教育課看護教育専門官の杉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,本日の検討会は公開とさせていただきます。また,カメラの撮影につきましては,冒頭のこの時間より文部科学省からの御挨拶までとさせていただきますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
 それでは,本日は第1回の会議ですので,文部科学省を代表して玉上大臣官房審議官より一言御挨拶を申し上げます。
【玉上大臣官房審議官】
 先生方こんにちは。この度は,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会の委員に御就任いただきましてありがとうございます。また,今日は御多忙の中,会議に御出席いただきましてありがとうございます。
 申すまでもなく,少子高齢社会ということで,これまで看護に係る様々な改革が進められてまいりましたが、今後より質の高い人材養成をするため,看護学教育の一層の充実に向けた取組が求められております。また,大学の数は,平成23年から令和元年までに194校から272校とすごい勢いで増えております。こうした状況を踏まえまして,文部科学省といたしましても,大学における看護系人材養成に関する施策や様々な予算措置を講じているところでございます。特に,平成29年10月には看護学教育モデル・コア・カリキュラムを策定して,学生が卒業時までに身に付けておくべき必須の看護実践能力の修得に向けた具体的な学修目標を提示しました。本年4月から各大学においてそのモデル・コア・カリキュラムを踏まえた教育が逐次開始されているところでございます。
 皆様にお集まりいただきました本検討会におきましては,看護系人材を養成する大学における看護学教育の更なる充実に向けまして,まずは保健師助産師看護師学校養成所指定規則を大学において適用するに当たっての課題と対応策につきまして取りまとめることを目的としております。
 一方,大学教育全体に関しましては,昨年から中央教育審議会が「2040年に向けた」ということで議論をしておりますが,その中でも現在,教学マネジメントを各大学においてどういう形で行うかということについて検討が始まったところでございます。そのようなことも踏まえまして,大切なカリキュラムでございますから,看護学において体系的な教育課程が組織的に編成される必要性について検討していただければと思います。履修科目が大変多い分野でございますので,予習復習の時間の確保が困難という御指摘もございますし,大学全体としては欧米に比べれば我が国の学生の学修時間が大変少ないという御指摘も一部にございます。また,そういったことが教育の質の低下を招く要因となっているのではないかということも指摘されているため,単位の実質化を行うということはとても大事なことだと思います。
 いずれにいたしましても,委員の皆様におかれましては,そういった社会の変化や,現在の大学,短期大学,いろいろな養成学校における教育実態を踏まえまして,社会が求める看護系人材を養成できるよう,それぞれのお立場から積極的な御意見を賜りたいと存じますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 では,カメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思います。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。まず,会議次第がございます。続きまして,資料1,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会について。2枚目に名簿がございます。資料2,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会の公開について。資料3,文部科学省における看護学教育に関する検討の経緯。資料4,看護系大学の現状の資料として,看護系大学に係る基礎データとなっております。続きまして,資料5になります。厚生労働省看護基礎教育検討会における検討状況。資料6,構成員からの御意見。
 机上の参考資料ですが,参考資料1,保健師助産師看護師法(抜粋)。参考資料2,保健師助産師看護師学校養成所指定規則。参考資料3,看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン。参考資料4,大学設置基準。参考資料5,短期大学設置基準。参考資料6,大学院設置基準。参考資料7,看護学教育モデル・コア・カリキュラム。参考資料8,「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー),「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)の策定及び運営に関するガイドラインとなっております。
 資料が入っていないなど,お気付きの点がありましたら事務局までお申し付けください。参考資料は,全てWeb上で公表されていますので,傍聴の皆様は後ほど御確認をお願いしたいと思います。
 次に,委員の御紹介をさせていただきます。資料1の2ページ目にお示ししております委員名簿の記載順で御紹介させていただきます。まず,秋山委員は少し遅れていらっしゃいますので,おいでになりましたら御紹介させていただきます。
 お二人目の方から御紹介していきます。日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学専攻教授で,公益社団法人全国助産師教育協議会会長の井村委員です。
【井村委員】
 井村でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 続きまして,豊橋創造大学保健医療学部・大学院健康科学研究科看護学科長・教授で,一般社団法人日本私立看護系大学協会会長の大島委員です。
【大島委員】
 大島です。よろしくお願いします。
【杉田看護教育専門官】
 公益社団法人日本医師会常任理事の釜萢委員です。
【釜萢委員】
 釜萢でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 青森県立保健大学学長で,一般社団法人日本看護系大学協議会代表理事の上泉委員です。
【上泉委員】
 上泉です。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 公益社団法人日本看護協会常任理事の川本委員です。
【川本委員】
 川本でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 東邦大学看護学部・大学院看護学研究科教授で,一般社団法人全国保健師教育機関協議会会長の岸委員です。
【岸委員】
 岸でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 東京大学医学部附属病院副院長・看護部長で,国立大学病院看護部長会議会長の小見山委員です。
【小見山委員】
 小見山でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 熊本大学教授システム学研究センター長・教授で,教育工学の有識者として鈴木委員です。
【鈴木委員】
 鈴木でございます。よろしくお願いします。
【杉田看護教育専門官】
 群馬県立県民健康科学大学学長の高田委員です。
【高田委員】
 高田でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 宮崎県立看護大学学長で,一般社団法人公立大学協会看護・保健医療部会会員の平野委員です。
【平野委員】
 平野です。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 千葉大学副学長・大学院看護学研究科教授の宮﨑委員です。
【宮﨑委員】
 宮﨑です。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 宮崎大学医学部看護学科教授の柳田委員です。
【柳田委員】
 柳田でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 そして,厚労省医政局看護課長の島田課長です。
【島田看護課長】
 オブザーバーで参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 併せまして事務局を紹介させていただきます。大臣官房審議官の玉上でございます。
【玉上大臣官房審議官】
 玉上でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 医学教育課課長の西田でございます。
【西田課長】
 西田と申します。よろしくお願いします。
【杉田看護教育専門官】
 企画官の荒木でございます。
【荒木企画官】
 荒木でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 課長補佐の中湖でございます。
【中湖課長補佐】
 中湖でございます。よろしくお願いします。
【杉田看護教育専門官】
 そして私,看護教育専門官の杉田でございます。改めまして,どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは,座長及び副座長の選任を審議いただきます。座長の選任方法については,事務局としては,委員の互選により選任し,また,座長が都合により会議に出席できない場合などに座長代理を務める副座長を,座長の指名により選任という形とさせていただきたいと考えておりますが,いかがでしょうか。
 ありがとうございます。それでは座長の選任を行います。どなたか御推薦いただければと思いますが,いかがでしょうか。
 では,上泉委員,よろしくお願いいたします。
【上泉委員】
 私からは,高田委員を座長に推薦させていただきたいと思います。高田委員は,平成23年度の看護系人材養成の在り方に関する検討会の委員もしていらして,また,大学設置審査のお仕事もしていらっしゃるということで,大変大学教育には造詣が深いということでございますので,是非推薦させていただきたいと思っております。
【杉田看護教育専門官】
 ありがとうございます。ただいま御推薦いただきました高田委員を本検討会の座長とすることでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,座長は高田委員にお願いしたいと思います。恐縮ですが,高田委員は座長席に御移動をお願いいたします。
 副座長選任に先立ちまして,高田座長から一言御挨拶を頂きたいと思います。高田座長,よろしくお願いいたします。
【高田座長】
 御指名にあずかりました高田でございます。少子高齢化社会ということで,その高齢化社会を担う看護系人材というのは非常に大事な人材でございます。その中で大学卒の人材というのは,本当にコアになる人材,それをここで検討するということですから,私もこの座長ということで,大変重責と感じております。是非皆様方の活発な御意見を頂いて良い会にしていければと思っております。御協力よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 ありがとうございます。続きまして,副座長の選任を行います。それでは,高田座長から副座長の指名をお願いいたします。
【高田座長】
 私といたしましては,先ほどお話がございましたけれども,前回,前々回の検討会でも十分活発にやってくださり,それから看護全般についても御経験が非常に豊富で,情報が集まっているところにいらっしゃる宮﨑委員にお願いしたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。
【高田座長】
 ありがとうございました。それでは,宮﨑委員,よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 それでは,副座長は宮﨑委員にお願いしたいと思います。恐縮ですが,副座長は副座長席に御移動をお願いいたします。
 宮﨑副座長より一言御挨拶を頂きたいと思います。宮﨑副座長,どうぞよろしくお願いいたします。
【宮﨑副座長】
 ただいま御指名いただきました宮﨑です。今回の検討会,看護系大学が300にも上ろうとする状況の中,設置主体も多様であり,また更にその中でどういう基礎教育が行われているかという状況も多様な中で,大学におけるという観点からの議論を改めてこの時代にする意義や価値ということを強く感じております。副座長ということで責任が重いというふうに認識しておりますが,座長を補佐しながら,また皆様と良い意見交換ができますよう努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 ありがとうございます。ここからの進行は高田座長にお願いしたいと思います。それでは,高田座長,よろしくお願いいたします。
【高田座長】
 本日の議事は,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討の経緯,それから大学の現状,看護基礎教育検討会,厚生労働省の会ですけれども,その進捗状況。それから,看護系人材養成の充実に向け必要と考えられる事項等について論議するわけでございます。
 議事に入る前に,本検討会の目的と検討会の公開について,資料1,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会についてと,資料2の検討会の公開について,事務局から説明をお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 では,事務局から御説明させていただきます。資料1を御覧ください。
 本検討会の目的でございますが,大学における看護学教育の更なる充実に向け,専門的事項について検討を行い,必要に応じて報告を取りまとめることです。
 具体的な検討事項でございますが,(1)保健師助産師看護師学校養成所指定規則を大学において適用するに当たっての課題と対応策について。(2)その他,大学における看護系人材養成に係る事項について。
 実施方法ですが,委員の皆様方との検討を行うことと,(2)としまして,必要に応じ,委員以外の者にも協力を求めることができることといたします。
 実施期間は,今年度末までと考えております。
 続きまして,資料2を御覧ください。本検討会の公開については,原則として,1,議事と,2,会議資料と,3,議事録については,公開とさせていただきたいと考えております。
 私からの説明は以上になります。
【高田座長】
 今の事務局からの御説明について,何か御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは,議事の,大学における看護系人材養成の充実に向け必要と考えられる事項について議論いたします。まず,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討の経緯と看護系大学の現状について,それから,看護基礎教育検討会の進捗状況について確認したいと思いますので,事務局から,資料3,資料4について説明をしていただいた後,厚生労働省の島田課長から資料5の看護基礎教育検討会の進捗状況について御説明をしていただきます。その後,事務局から,資料6の構成員からの御意見について御説明いただいた後,各委員の先生方から御自由に御意見を頂きたいと思います。
 それでは,まず事務局から資料3と4について説明をお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 では,資料3を御覧ください。文部科学省における看護学教育に関する検討の経緯でございます。平成7年の会議では看護系大学・短期大学に適用される保健婦,このときはまだ「婦」ですが,保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則,以下,指定規則といたしますが,について,平成3年に大綱化が行われた大学設置基準・短期大学設置基準の趣旨を踏まえ,その弾力化について検討を行い,この四角で囲った提言が行われてきております。
 その後,平成16年に,平成14年の第1回の検討会を経まして,第二次ということで検討会が行われ,以下の点を整理してきております。平成14年の第一次検討会では,「看護実践を支える技術学習項目」を示しております。それに続き,第二次検討会では,学士課程の教育課程について,看護実践能力の卒業時到達目標を示して,以下の5点に整理しております。
 裏面,2ページ目に行っていただきまして,平成19年に行われた会議でございます。このときは,指定規則改正案を看護系大学等へ適用する場合の課題等について検討を行い,以下の四角で囲った提案が示されております。
 続いて平成23年の検討会では,この四角で囲ったことが学士課程について提案されておりまして,保健師養成を各大学が自身の教育理念・目標や社会のニーズに基づき選択可能とすること。次の点として,「学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」を策定し,提案されております。
 そして直近の平成29年の検討会です。学士課程における看護職養成の充実と社会に対する質保証に資するため,「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」を策定いたしました。下の図を御覧いただきますと,その構成を御参照していただけるかと思います。
 次の3ページ目に時系列で看護教育行政の動きを示しておりますので,御参考にしていただければと思います。
 続きまして,資料4の説明に移らせていただきます。看護系大学に係る基礎データということでまとめております。
 2枚目を御覧いただきますと,看護師及び准看護師養成に係る学校状況ということで,皆様御存じだと思いますが,養成には複数のルート,学校があるというふうにお示ししております。赤く四角で囲ってあるところが,文部科学省高等教育局が所管している指定学校でございます。
 次の3枚目ですが,助産師及び保健師養成に係る学校状況になっております。赤の四角が同じ要領で示してあります。
 4枚目に行っていただきまして,こちらから,学校数の後に入学定員を示していくという形で資料を作っております。4枚目が看護師学校・養成所数の推移ということで,大学の割合の変化を御覧いただきますと,大学は,平成14年は8.7%でしたが,平成30年には24.7%に増えてきております。
 5枚目に移っていただきまして,今度は入学定員の推移です。大学のところに着目いただきまして,平成14年は13.1%だったのが,平成30年は34.9%になってきております。
 おめくりいただいて6ページ目に御移動をお願いいたします。今度は助産師です。助産師学校・養成所数の推移ということで,大学院,大学専攻科・別科は,平成14年の段階ではなかったのですが,現在それぞれ2割ぐらいの割合まで学校数がきております。
 7枚目の方を御覧いただきますと,この学校における養成可能人数,大学においては選択制をとっておりますので,その選択制を純粋に積み上げまして養成可能人数と示しております。御参考にしていただければと思います。
 おめくりいただきまして8枚目に移動をお願いいたします。保健師です。保健師学校・養成所数の推移ということで,大学のところを御覧いただきますと,平成14年が77.9%,平成30年が90%近くに増えてきております。
 9枚目の養成可能人数ですが,大学のところを御覧いただきますと,現在同じく90%が大学で養成されているということになっております。
 おめくりいただきまして10枚目です。これが最新の課程数になります。今年度,272大学,285課程の学校がございます。
 その大学の内訳を示しているのが11枚目でして,国立,公立,私立の色分けで示しております。
 おめくりいただきまして,次が12枚目から大学院のことになります。グリーンで示しているのが修士課程,180課程,2,73二人。ブルーで示しているのが博士課程になり,99課程の63三人となっております。
 次の13枚目から,国試の合格状況を示しております。13枚目が看護師,14枚目が助産師,15枚目が保健師を示しておりますので,御参考にしていただきたいと思います。
 そのままおめくりいただきまして16枚目を御覧ください。平成30年度看護系大学の看護師・助産師・保健師学校における単位数,全課程の単位数を示しております。この実態ですが,指定(認定)学校概況等報告書の中で「教育課程と指定規則との対比表」を添付いただいており,そこから作成してきているものです。対比表が何かというものを次の17ページに示しておりますので,参考にしていただければと思います。その実際の数値ですが,看護師学校,助産師学校,保健師学校別に示しております。
 看護師学校の大学の列を御覧ください。全部で276課程,卒業必要単位が平均126.8で,中央値,最大,最小で,最頻値が124単位です。そのまま右に行っていただき,その中でも指定規則として示している単位数が,平均が123.8,中央値,最大,最小,最頻値が124になっております。そのまま右側,一番右側になりますが,その中でも実習単位にしているのが平均23.3,中央値,最大,最小,最頻値が23単位になっております。
 そのまま下に降りていって御説明していきます。助産師学校の実習単位が,最頻値がほぼ11であること。保健師学校の最頻値がほぼ5であることが御確認いただけるかと思います。
以上でございます。
【高田座長】
 ありがとうございました。
【島田看護課長】
 続きまして,資料5に基づきまして,厚生労働省「看護基礎教育検討会」における検討状況について説明をさせていただきます。改めまして,厚生労働省の看護課長から御説明させていただきます。資料5の2ページ目を御覧いただければと思います。少し字が小さくて恐縮でございますけれども,現在開催しております看護基礎教育検討会の概要でございます。
 この検討会の趣旨といたしましては,左の上の方から掲載しておりますが,少子高齢化が一層進む中で,地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの推進に向け,人口及び疾病構造の変化に応じた適切な医療提供体制の整備が必要といったような背景。
 それから,二つ目に記載しておりますが,看護職員の就業場所が在宅や施設などへ広がっているといったことがございますのと,療養される場もどんどん多様化しているというところがございます。そうした中で,多職種と連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されているところでございまして,患者さんの多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力といったところが求められているところでございます。
 そして,五つ目のダイヤのところでございますが,さらには,医師,そして他職種間でのタスク・シフティング,業務の移管でございますけれども,そういったものの有効活用についても指摘がされているところでございまして,こういった昨今の看護職員を取り巻く状況の変化ですとか,現在の教育実態を踏まえまして,将来を担う看護職員を養成するための看護基礎教育の内容と方法について具体的な検討を行うということが目的となっております。この検討会の検討対象といたしましては,保健師,助産師,看護師,准看護師のそれぞれの教育内容と方法について議論することとしております。
 具体的な検討事項でございますが,その下にありますように,看護基礎教育を取り巻く現状と課題についての御議論をしていただいた後に,将来を担う看護職員,この場合は全ての免許を含んで申しておりますけれども,看護職員に求められる能力,そして,免許取得前に修得すべき能力を養うために必要な教育内容と方法,そして教育の多様性への対応,今後の教員や実習指導者等の在り方といったような点について検討することとしております。
 そして,ここには記載しておりませんけれども,この検討会の前提といたしまして,現行の養成制度の枠組みの中での検討ということにしておりまして,すなわち修業年限につきましては,保健師,助産師がそれぞれ1年以上,看護師は3年以上といった修業年限の中での教育内容と方法についての検討ということとしております。
 検討スケジュールでございますけれども,昨年の4月から第1回検討会を開催しております。また,それぞれ看護師,保健師,助産師,准看護師の各ワーキングを順次開催しておりまして,これまでに検討会を7回開催しているところでございます。そして,今年の夏を目途に取りまとめをするといったスケジュールで検討をしております。
 3ページ以降には,これまでの看護基礎教育検討会における検討状況をお示しする資料をお付けしております。3ページの上の方の囲みに記載しておりますけれども,この資料にお示ししておりますものは,飽くまでも今までの議論の経過をお示ししたものでございまして,この内容について,看護基礎教育検討会の方で引き続き検討していくこととなっておりますので,まだ固まった内容ではないといったところを御了承いただければと思います。
 こちらの検討会に関係する内容としましては,准看護師以外の教育内容が関係するかと思いますので,保健師,助産師,看護師それぞれについての検討状況を示す資料としてお付けしております。詳細についての御説明は省かせていただきますけれども,資料の構成といたしましては,まず,免許ごとに検討すべき事項を各ワーキンググループにおける検討事項という形でお示しをしております。その各ワーキングにおける検討事項を踏まえまして,それぞれの職種に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度をそれぞれ二つ目に付けております。そして,それぞれの三つ目に付けております指導ガイドラインでございますけれども,こちらは,厚生労働省所管の養成所に対してお示しをしております教育内容・方法に関するガイドラインでございますが,それらに関する現在の検討状況と,それに対する検討会構成員からの御意見をまとめる形でお示しをしております。
 先生方の御理解を深めていただくために若干説明させていただきますと,5ページを御覧いただければと思います。5ページは保健師ワーキンググループにおける検討事項を示した資料になっておりまして,上の※を御覧いただきますと,将来を担う保健師に求められる能力として,以下の能力を強化することを前提として検討するということで,まず,どういった能力を強化することを目指すのかといったことを,職種ごとにまとめて示しているものでございます。
 下の方に,ここでは保健師に求める強化すべき能力というものを示しておりますけれども,このそれぞれの能力が必ずしも卒業時点で全て達成できるわけではないというものであることに留意しつつ,卒業時点までではどこまでかといったことを念頭に置きながら議論を進めているところでございます。
 続きまして,7ページを御覧いただきたいと思います。7ページからは,各ワーキングにおける検討上の留意事項をおまとめして示した資料となっております。上の方の※とその中の囲みを御覧いただければと思うのですけれども,各職種の教育内容・方法を検討する際の見直しの方向性というものをまずは示しながら検討を進めていただいているところでございます。囲みの中でございますけれども,基本的には,保健師助産師看護師学校養成所指定規則上の教育内容の枠組み,すなわち“○○学”,“○○看護学”,“○○助産学”といったものを何単位,という形で示されておりますけれども,そういった“○○学”の枠組みは,基本的には維持して見直しを行っていくということを保健師,助産師,看護師共通の見直しの方向性としております。
 そして(1)では,卒業時の到達目標について議論をする際の留意点を示しているところでございますけれども,こちらにつきましては,※を二つ書いておりますが,免許取得前に修得すべきもの及び到達すべき水準を十分に吟味するということで,免許取得前の教育内容になるということを十分に念頭に置いた上で議論するということをしております。それから,二つ目ですけれども,教育実態を踏まえた目標の設定を検討するということとしておりまして,この卒業時の到達目標が教育内容や必要単位数に深く関連するものとなりますので,こういった点を念頭に置きながら留意しつつ議論を進めていただいているというところでございます。
 更に(2)以降,細かな内容になりますので説明は割愛させていただきますが,議論すべき点といたしまして,丸1 充実すべき教育内容及び留意すべき点と,丸2 整理すべき教育内容及び留意すべき点は何かといった点につきましても,留意しながら議論を進めていただいているところでございます。
 簡単でございますが,御説明は以上でございます。
【高田座長】
 ありがとうございました。
 次に,事務局から資料6,委員の方に事前に伺っていた御意見について御説明をお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 では,続きまして,説明が続いて恐縮ですが,このまま資料の説明をさせていただきたいと思います。委員の皆様には,お忙しい中,貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。現時点ではこのように整理してきております。
 1枚目から御説明をさせていただきます。構成員からの御意見ということで,番号を振っておりますが,討論していただくためにIDを振っております。1枚目は看護師関連,助産師関連,保健師関連で,2枚目の方に行きまして,いずれかに特化せず二つのこと以上,全体に関することということで整理させていただいております。少し早口になりますが,全部御紹介していきたいと考えております。
 看護師関連のN-1になります。地域包括ケアの関与等を考慮し,分野構成を見直すこと,在宅看護論に関しては,早期からの学修,内容の充実,名称の検討が必要ではないか。
 N-2,地域包括ケアの中での高い看護実践能力が求められていることから,在宅領域に関する教育内容を追加することが必要ではないか。
 N-3,これまで以上に高い実践能力を必要とされていることから,臨床判断力(臨床推論力)の修得を目指した,現行の各科目内容の充実や新規科目の可能性も検討することが必要ではないか。
 N-4,実習単位(時間)を増やすより,まず実習前後の演習の充実により,科目の目標が達成できるかの確認が必要ではないか。
 N-5,対象者の年齢特性,地域の特性,大学の特徴によって,臨地実習領域を自由に設定できる部分があると良いのではないか。
 N-6,教育内容の自由度は必要だが,「看護の統合と実践」の実習科目の捉え方が多様であり,内容について再度確認することが必要ではないか。
 N-7,臨地実習において対象者の確保に困難感があり,一定の基準を設けた上で,高機能シミュレーター等を用いたシミュレーション教育の導入を検討すべきではないか。
 助産師関連です。M-1,臨床判断能力,周産期メンタルヘルス,子供の虐待予防への対応,家族支援,地域の子育て世代へ支援できる能力の修得を目指した教育内容を強化すべきではないか。
 M-2,助産学実習として,妊娠期,分べん時に加えて,産後まで継続して受け持つ内容が必要ではないか。
 M-3,分べん件数が減少する中で,シミュレーション教育の導入等,演習の充実を図り,分べん期ケア能力の向上を担保できる演習と実習の有機的連動を検討することが必要ではないか。
 保健師関連としまして,P-1,産業保健や健康危機管理への対応等,新たな時代のニーズに対応でき,また,地域包括ケアシステムにおける施策の構築に係る教育内容を強化すべきではないか。
 P-2,学校や事業所等多様な施設での実習,継続的な家庭訪問,種々の健康課題を有する複数事例への家庭訪問,施策化や事業化した事例への関わり,同地域での一定期間の実習を実施すべきではないか。
 P-3,見学型の実習ではなく,実習の中で保健師活動を実践し,その効果を見て学生自身が自分の働き掛けの方法を振り返ることのできる実習とすべきではないか。
 2枚目に行きまして,全体関連になります。A-1としまして,指定規則は免許取得に係る必要最小限な基準を規定するものであることを再確認し,単位数を増やすより,まず各大学が教育目標に向け,カリキュラム構成や教育方法を工夫すべきではないか。
 A-2,指定規則に係る単位数が多く,大学独自の科目を設定するなど,特色あるカリキュラム編成が困難であるので,指定規則の解除の是非を検討すべきではないか。
 A-3,看護師,助産師,保健師の三つの職能の教育課程を統合したカリキュラムによる一貫した学修経験があることが,我が国の保健医療福祉の有機的な連携を目指す地域包括ケアの推進に寄与すると考えるので,今後も統合カリキュラムの継続が必要ではないか。
 A-4,看護師と助産師,あるいは保健師を同時に養成している大学があるので,物理的・時間的状況から現行の単位数を保持すべきではないか。
 A-5,3年制の短期大学では,現時点で既に大変過密なカリキュラムであるので,単位数にめり張りを付けられる等の工夫ができることが必要ではないか。
 A-6,看護師と助産師,あるいは保健師の教育内容を併せて教授する際,別表にて括弧内の数字によることができるとなっているが,単独の学校もあるので,同一の単位数が望ましいのではないか。
 A-7,助産師及び保健師の修業年限は「1年以上」とされているので,看護師学校の科目との読替えをせずに,必要な教育時間を確保すべきではないか。
 A-8,看護師教育に上乗せする形で保健師,助産師教育を実施すべきではないか。
 A-9,大学においてカリキュラムを策定する際,「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」等の外部基準を参照するなど,学修内容の網羅性を確認・確保するように推進することが必要ではないか。
 A-10,実際は見学にとどまる,臨地の時間が少ない,確保できる実習先に合わせた実習内容にとどまるなど,大学によって差があることから,実習先の条件も含めた実習のガイドラインの整備が必要ではないか。
 A-11,臨地実習前に一定の知識・技能の質を保証するため,CBTやOSCEのような共用試験の仕組みが必要ではないか。
 A-12,OSCEの重要性は理解できるが,附属の実習病院や医学部を併設していない看護系大学において,原則論だけでなくコストも含めた現実的な視点で実施可能性を議論すべきではないか。
 A-13になります。教員の質保証に向け,教員の量的確保は必須だが,学位を有していることに加え,臨床経験を問う等,検討が必要ではないか。
 そして,3ページ目を御覧ください。先ほど島田課長から御紹介いただきましたが,厚生労働省の看護基礎教育検討会にて議論されている中でも,この当検討会における議論に含まれると考えられる事項を3点まとめております。
 一つ目が,専門分野の構造の変更について。ラインを引いてあるところを御覧いただき,「専門分野1」,「専門分野2」,「統合分野」と現行では,その区分を一つにまとめて「専門分野」と整理してはどうか。
 2,在宅看護論について。「在宅看護論」を「基礎看護学」の次に位置付けてはどうか。趣旨を明確にするため,名称に「地域」の文言を追加し,「地域・在宅看護論」としてはどうか。
 3,臨地実習について。領域ごとの単位数を各学校養成所において設定できるよう最低単位を括弧内に示してはどうか。最後の丸です。臨地実習の「成人看護学」及び「老年看護学」は,人口構造の高齢化に伴い対象が重なっていることから,単位数をくくって示してはどうか。
 こういうふうに整理させていただきましたので,御検討いただくときに参考にして御議論いただきたいと思います。
 以上でございます。
【高田座長】
 ありがとうございました。
 それでは,先ほどの事務局と厚生労働省からの御説明を踏まえまして,各委員におかれましては積極的に御発言いただければと思います。
 なお,本日は,特にその意見を集約してこうだ,会としてこうだというふうに集約したり,物事を決定したりということはいたしませんで,次回以降,今日出た全体の論点を整理していくための資料ということにさせていただきたいと思います。
 御発言に当たりましては,具体的な御提案の意図するところも含めた上で御提案いただければと思います。御自由に発言していただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。各委員におかれましては,挙手の上,お名前をおっしゃってから御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,どなたかございますか。非常にたくさんのことがございましたけれども,どこからでも結構ですので,どうぞ。非常にたくさんあったので整理していらっしゃるところかと思いますけれども,いかがでしょうか。
 では,釜萢委員。
【釜萢委員】
 釜萢です。今回のこの文部科学省における検討会は,大学における看護系人材養成についてでありまして,看護職の養成は,今日も既に示されているとおり,いろいろな養成課程があって看護職を目指されるわけですけれども,大学におけるこの看護系人材というのが,例えばどのように養成所と違うのかというところについて,この検討会で明確にある程度示すことができることが望ましいと思います。今までもいろいろと議論をされておりますし,委員の先生の皆様はそれぞれお考えがおありになるかと思いますけれども,それを持ち寄って,お出しいただいて,その中で大学における看護系人材というのはどういう人材を特に求めるのか,というような意見が明確に出てくることを私は期待をいたしたいと思っております。ありがとうございました。
【高田座長】
 ありがとうございました。では,上泉委員。
【上泉委員】
 先ほど専門官から説明があった構成員からの御意見の部分で,全体関連のところのA-4ですが,「現行の単位数を保持すべきではないか」というところに私どもは賛成です。というのは,これまで統合カリキュラムということでやってきておりますので,A-7とかA-8という御意見だと多分単位数を増やす,あるいは内容を大幅に変えるということになろうかと思います。どういう前提でこれからのこの検討会を進めていくかですけれども,私は統合カリキュラムの継続というところが必要ではないかと思っております。
 先ほど島田課長から御説明のあった資料でも,かなり単位数を増やすというような御意見が書かれてあったものですから,是非単位数を増やすということについては,少し慎重に,あるいは再検討をしていただきたいと思っております。
 特に保健師教育のところでは,卒業者の9割近くが大学卒でありますので,その中でのカリキュラム,単位数の変更というのは,大変大きい議論になるかと思いますので,その辺のところを是非慎重に,再検討をお願いしたいと思っております。
【高田座長】
 ありがとうございました。釜萢委員からは,大学における看護系人材養成とはどういうものなのだ,ということをきちんとやってくださいというようなお話でございましたけれども,早速上泉委員から,統合カリキュラム,単位の問題が出ましたけれども,この辺に関していかがでしょうか。
どうぞ。
【川本委員】
資料4「2019年度看護系大学に係る基礎データ」については,貴重なデータをまとめていただき感謝いたします。その中の最後のところにあります平成30年度の看護系大学の看護師・助産師・保健師学校における単位数というのは,非常にまとめづらかったのではないかと思いますけれども,いろいろなことが見えるような形で資料をまとめていただいてありがとうございました。
 ただ,この状況でいきますと,先ほど話題になった統合カリキュラムとかそうではないところが見えづらいということがあるかと思います。
 というのは,保健師学校の平均単位数から看護師学校の平均単位数をただ単純に引けば12単位と,このような粗い形で見て良いのかどうかといった点も私には懸念がございますので,この辺のところを,今の議論をしていく上で必要なデータ等をお持ちであれば,また貴重なデータとして出していただければ有り難いし,議論が深まるのではないかと私は考えております。
 以上でございます。
【高田座長】
 ありがとうございます。事務局からこの辺について追加の御説明はございますか。
【杉田看護教育専門官】
 御意見をありがとうございます。助産師学校の中の大学,保健師学校の大学の中にそのいわゆる統合カリキュラムが含まれていることになるのですが,本当に数は少ないのですけれども,統合カリキュラムとしていない大学もありますので,それぞれをお示しすることはできるのですが,そもそも統合カリキュラムの場合は,別というふうには考えておりませんので,それを別に計上していくというのは難しいということがあります。対比表自体が,私どもが指定するに当たって保・助・看それぞれで提出いただきますので,その重なりを,単純に対比表から導き出すことができないというデータの限界がございます。統合カリキュラムにしている,いないという点からはお示しできますけれども,単純にこの課程数からいっても,全体で看護師学校が276のうち,大学においては242課程が保健師学校と両方の指定をしているので,どういうふうに示していくのがよいか,また,それをお示しして御参考にしていただけるのであろうかという懸念もあるというのが実態でございます。
【高田座長】
 どうぞ。
【川本委員】
 この資料の中の15ページにございますように,また,先ほど上泉委員も御指摘がございましたように,保健師教育のほとんどが大学となっています。実際に保健師さんの就業先で課題になっておりますのが,看護師さんのように教育体制が整っている状況ではなく,少ない人数の中で,役割をすぐに発揮しなければいけないということで,大学教育をどういうふうにしていただくかが大きな課題になっているとの現場の意見がかなり強く出てきております。いろいろな団体,協議会等もございますので,その辺の実態等を調べていただき,教育の内容を十分議論していただけると良いと思いまして,そのような発言をさせていただきました。
 以上でございます。
【高田座長】
 ありがとうございました。どうぞ。
【杉田看護教育専門官】
 途中ではございますが,先ほど秋山委員がお見えになりましたので,御紹介させていただきます。資料1の2ページ目を御覧いただきまして,株式会社ケアーズ代表取締役,白十字訪問看護ステーション統括所長・認定NPO法人マギーズ東京センター長でいらっしゃいます秋山委員でございます。
【秋山委員】
 秋山です。遅参しまして申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 ありがとうございます。では,よろしくお願いいたします。
【高田座長】
 では,岸委員。
【岸委員】
 東邦大学の岸でございます。全国保健師教育機関協議会の会長をしております。
 先ほど来,上泉委員より,保健師教育について,看護師と同時に養成している大学があるので,単位数を保持するということも検討すべきではないかという御意見でしたけれども,看護学教育モデル・コア・カリキュラムができまして,助産師,看護師,保健師共通の地域包括ケアということを視野に入れた教育の基盤というのは既にできていると思います。その上で,助産師,保健師は,修業年限が1年以上とされておりますので,看護師に上乗せする形で1年以上ということが私どもとしては考えているところです。
 先ほど川本委員が御指摘いただいたこの単位数につきましても,保健師学校の方を見ますと実習はMAXで24から7で非常に差が出ておりますのは,もしかすると看護師教育で行われているものを保健師教育の単位というふうに読み替えていたりとか,あるいは両方で読んでしまっていたりする可能性はないのかと懸念しております。
 保健師教育機関協議会で2017年度に調査した結果では,教育課程ごとに卒業時の到達目標にどの程度到達できているか,あるいは実習体験割合がどの程度異なるのかということを調査しましたところ,1年以上きちんと教育をされている大学院,あるいは統合カリキュラムではない1年間の養成所,短大専攻科というところが非常に目標到達の割合が高く,そして実習の体験割合も非常に高いということがございました。ですので,単純に物理的なことを考慮して教育を考えるということではなくて,大学の人材育成としましては,質の高い保健師,助産師,看護師をどう育成するかという点では,私は必要な時間をきちんと確保して,上乗せで教育をしていく,ライセンスの異なる職種についてきちんと上乗せをしていくということが専門性を担保する上で必要ではないかと考えております。
【高田座長】
 どうぞ。
【井村委員】
 日本赤十字看護大学及び全国助産師教育協議会の会長をいたしております井村でございます。
 今,全保協さんの方からも御意見がございましたように,そもそも日本の制度の作り込みとして,看護師を取得している上に保健師,助産師ということが法律で規定されております。まずそこがスタートラインであろうと思います。ですので,看護教育を十全に行った者が更に1年以上の教育を受ける,これが日本の看護教育制度であり,そこから私はスタートして考えるべきだと考えております。統合カリキュラムの良さも柔軟対応であろうこともいくばくかは賛同いたしますけれども,一つの国家試験を受ける独立した職業の教育,養成に関しましては,それなりにきちっと区別化した単位と教育を行うべきであるというところから議論を行っていただきたいと考えております。
【高田座長】
 ありがとうございました。保健師養成,それから助産師養成に関して,看護師プラス上積みだというようなお話でしたけれども。
どうぞ,宮﨑委員。
【宮﨑副座長】
 副座長席から。先ほどこの議論の冒頭で,釜萢委員から大学における人材養成とは何かという,私はそこが基本線であろうと思います。もちろん専門職業人養成であることには間違いないのですが,大学におけるということになると,私は統合していく力というのが物すごく大事ではないかと思います。個別の専門性の教育も必要ですけれども,看護として,看護職者としての統合力というところの教育は重要ではないかというふうに思うので,そういう点についても今後十分に議論していただきたいと思っています。
【高田座長】
 ありがとうございました。では,どうぞ。
【井村委員】
 それも非常に重要な点であると考えております。基本的に保助看を育成していることをベースラインとして,その上に,次の議論として大学における教育,大学を卒業した専門職がどういう能力を身に付けるかというところに関しましては,今,先生がおっしゃったことには非常に賛同いたしますので,それらは区別化をしながら皆様にも御議論いただきたいと考えております。学士を持つ者としての能力というのは,また私もおいおい発言もさせていただきたいと考えております。
【高田座長】
 では,大島委員,どうぞ。
【大島委員】
 私は私立看護系大学協会の会長をしております。数では大学化が急速に進んだ中,特に私学は全大学の中の3分の2を占めております。質向上の観点では,非常に担うところが多くあると思っており,良さも欠点もいろいろ携えていると思っております。
 その立場として,大学を出た看護職を考えると,大学教育の持つ意味,そしてそこを出たことで持っている能力はどういうことかと考えております。専門学校との違いは,職業的な質で言えば,国家資格を取るという段階では一緒でなければならないはずだろうとは思っています。大学の持つ意味が加味された看護職になっていく必要があると思っています。専門職として,職業教育は重んじていますが,大学教育を受けたということがすごく重要だと思っております。抽象的になりますが,私学であればそこはそろえたいと私は思っています。
  先ほどの3職種の話では,大学出身者として進む相違した専門が三つあるという感じを持っています。上乗せという感覚は,以前3年プラス1年の教育がありましたが,それが一緒になり4年間でどういう教育ができるか,例えば職種の専門性を入れていけるか,そういう発想の中で統合カリキュラムの母体ができたのではないかと思っています。この統合カリキュラム化した中で,多分先ほどの数字から見ても,質的な差は個々の大学であるとは思っています。私は,大学教育全体として上っていくために,まずは統合カリキュラムをより精選したものにしていくという必要があると思っています。大学を出ていろいろな判断が正しくできる,技術的には多分みんな同じとは思いますけれど,少なくとも全体の状況から判断できることが大切と思います。先ほど少し川本委員がおっしゃっていた,保健師で大学を出たとたんに働けるかどうかの視点に立って,もし見るとするなら,その後の伸び率はどうかも見たいと思っております。どういうことを教育しておいたらその後伸びるかを考えると,大学教育の一つの強みになると,エビデンスがあってではないのですけれども,そう思っております。
 専門職である限り,1,2年や3,4年のスパンでは完成しないので,できれば辞めてほしくない。ずっと続けてもらって伸びていく。その気持ちの土台も作っていくし,誇りもなければいけない,生涯続けていきながら伸びていける,そして,後輩たちにもその影響が与えられるというような,卒業時のDPだけではない,その先の見通しも考えた教育をしていかなければいけない,そのように育てていくのが大学だと思っております。
【高田座長】
 ありがとうございました。どうぞ。
【平野委員】
 よろしいですか。初めて参加させていただいているので,会議の目的にそぐわないかもしれませんが,公立大学協会の看護・保健医療部会として,事前に会員から寄せられた意見の中に,この指定規則ができたときの社会情勢と今とは違うということがありました。また,入学してくる学生も10年前と今では大分違うと言うのです。
 例えば,臨床の医療は高度化し複雑化してきていて,看護師の教育として学ばせなければならない範囲が広くなってきている。
 それから,助産師さんでは,出産する者の高齢化などで学生が取り上げられる正常分べん数が少なくなってきていることや,複雑な問題に対応できる助産師が求められる中で,指定規則で規定されている,分べんの介助数がやりづらくなってきているというようなことがありました。
  学生としては,以前は基礎的な知識を伝えると,それを目の前の生身の患者さんにどう適用させるかが考えられたのですが,今は学んだことは学んだこと,目の前にいる人は目の前の人みたいに捉え,相手の生活している姿等をイメージする力が弱く,教えたことを具体的に結び付けて実習に入るための指導に時間がかかる等の意見です。全員ではないということですが,学生像も変わってきています。もう少し社会情勢や医療の変化等,指定規則が制定された時代と今の情勢等を整理した上で,現行の指定規則で十分なのか,どこを修正すべきか等について議論していただけると整理しやすくなると思うのです。
【高田座長】
 いきなり単位数とか行かないで,その前の段階で,いろいろな状況も変わっているので,そこを整理した上でどうしていくかというのを考えたらどうだ,というようなお話でございました。
【平野委員】
 はい。少し大き過ぎるのでしょうか。
【高田座長】
 どうぞ。
【秋山委員】
 私は地域・在宅分野での実践の立場から。秋山ですが,この構成員からの御意見のN-1,地域包括ケアというのがもう既に用語として入っているということですが,この20年ぐらいの間,看護の対象となる人が暮らしている場所が,急速に広がってきています。在宅看護論とか,地域看護学とか,そこに成人看護学,老年看護学というのはあるのですが,看護の対象者たちが暮らしている場所が,病院だけではないというのが明らかになってきていて,今から20年先の2040年というのは,人口構成の逆ピラミッドと予想されています。非常に高齢化が進んだ中で,一体看護を提供する場がどこなのだろうかという見方をした上で,教育の重点の置き方や,教授内容というのを考えた方が良いのではないのかというのが一つです。現場感覚で。
 一般の4年制大学に本当にたくさんの看護学部が増えて,その大学教育の中での看護教育の有様は,物事を考えて組み立てて,正に統合していく力を付けないといけないというところが基本と思います。これから伸びていく人をどう教育して出していくか,という原則論を外してはいけないなと思うので,その点を一つ現場からの意見として申し上げたいと思います。
 たくさんの実習生,研修生,大学院生さんを引き受けている立場からすると,これ以上時間を増やすとかではなくて,もう少し内容の見直しをしまして,重なっている部分の統合がなされてもよろしいのではないのかという気がしますが,いかがでしょうか。
【高田座長】
 ありがとうございました。先ほど1年増やしていくというような形で,もう少し増やした方が良いのではないかというような御意見があったかと思いますけれども,今のままでいかがだろうかと。それからもう一つ,秋山委員からは,少し精選して見直していったらどうだろうか。というような,いろいろな御意見が出たと私は理解しているのですけれども,今日の会は,それでどうかを決めるということではなくて,それぞれ皆さんがいらっしゃる現場とか,そういうところからの状況に応じた御意見を全て出していただいて,その上で整理したいと思います。あと御発言になっていない方も含めて,構成員からの事前の御意見を参考にしたり,それとは関係ないことでも結構ですので,どんどん言っていただければと思います。
【柳田委員】
 宮崎大学の柳田でございます。今の座長のお言葉に甘えて少し大きなところに飛ばせていただきます。
 実は,平野委員,秋山委員とも少し関連するのですが,看護の5年先,10年先,あるいは20年先を考えたときに,この構成員からの御意見の全体関連のA-2を拝読してなるほどと思ったのですが,A-2は,要するに「指定規則の解除の是非を検討すべきではないか」と,大変大きな話題となっております。今日のこの場にはそぐわないのかもしれませんが,それを踏まえて,資料3の裏面,2ページ目のところの看護学教育モデル・コア・カリキュラムの構成,これはA,B,C,D,E,F,Gと,そしてその上に「生涯を通して」というその理念が語られているわけですが,実は,これは医・歯・薬・看護共通の構成になっているわけです。医・歯・薬・看護共通の構成のものができて,それでモデル・コア・カリキュラムを活用して教育していくものが,その大学における看護学教育であるということであれば,現時点では拙速であるとも感じますが,5年先,10年先を考えたときに,これまでのコ・メディカルの教育,その資格取得の中で指定規則の果たしてきた役割は本当に大きいと思いますが,それを十分踏まえた上で,この先を考えたときに,同じ看護職の中でも大学教育に関しては,このモデル・コア・カリキュラムをしっかりしておけば指定規則は十分にクリアしていますという時代が来ても良いのではないかと考えております。私自身は医師でもあり,あとは薬学部,歯学部でも教育の機会を頂いておりますが,このコア・カリキュラムの位置付けといったものがより大きくなって,大学教育の中で活用されてしっかり指定規則をクリアできることが担保できる時代が来れば良いなというふうに願っております。現時点においては,これが本当に大き過ぎる発言であることは重々承知しておりますが,1度はこのことに関しても委員の方々で御発言いただいても良いのではないかとは感じております。
【高田座長】
 ありがとうございました。非常にスケールの大きなお話でございましたけれども。
 今のことに関して,でしょうか。どうぞ,上泉委員。
【上泉委員】
 今,御発言があったモデル・コア・カリキュラムができたということは大変大きなことだと思っております。杉田専門官から御説明があった,経緯としての資料3のところで,もう既に平成19年,20年の報告書においてモデル・コア・カリキュラムですとか,評価の部分が整えば,この指定規則からの除外ということを検討していっても良いのではないかということがあったと思います。ただ,この時点ではまだそれができていなかった。ですが,29年度にモデル・コア・カリキュラムができ,看護系大学協議会では,コア・コンピテンシーに基づく卒業時到達目標を作りました。また,昨年,分野別評価の機構も立ち上げました。2020年から実際に評価の取組がスタートします。このようなことがそろってきましたので,私も先生がおっしゃるように,指定規則の除外ということを検討していく上では大変好機ではないかと。今すぐにということではないのですけれども,いろいろな状況が整ってきて,こういうことを検討していく良いチャンスではないだろうかと思っています。そのことを検討するには,法律のこともございますし,いろいろ踏んでいかなければいけないステップがたくさんありますが,私はこのことについても議論をしていけたら良いなと思っているところです。
【高田座長】
 大島委員,お願いします。
【大島委員】
 モデル・コア・カリキュラムに関しましては,各大学で随分その中身をもんで,例えば私の大学などでも200以上の意見が出て,文部科学省に出しました。疑問や課題に関して,大学全体でクリティークし合うのがよいと思います。したがって出来上がったものではまだないのだろうなと思っています。また,日本看護系大学協議会が出しているコア・コンピテンシーに基づいた到達目標があります。それを外壁にして,例えば今自分の大学におけるカリキュラム評価をするときに,その基準にしてみたり,なるかどうかクリティークすることも必要だと考えます。例えば,看護の本質的なことは,これはどこに入るのかといったことなど,いろいろ検討する試行錯誤が必要であると思っています。
 看護学教育は,指定規則,臨床指導者の講習会,専任教員の養成等のいろいろなガイドラインも含めて,全体の質を担保するために何年も,それこそ60年, 70年近くの歴史を持っています。それが今,理学療法など他分野もそれを始めるようになってきており,その状況を見て,長い歴史を積み重ねて今があると考えさせられます。これから看護学評価機構も動きますので, 一つの基準だけでない,違うものを持ってきても良いと思います。ただ,それは今までの歴史的なことも考えてきちんと全体を踏まえて作るべきであり,大学を出た人はこれで良いのだとかそういうことではなく,社会の中できちんとコンセンサスが得られるような,そういう体系立ったものにしていく必要があると思っています。
十年一日のごとくあるという前提でやっていくよりは,変えていく必要があるという視点に立って,角度を変えて見てみる。コア・カリキュラムをクリティークしてみることも,同じ流れでずっときたものを変えるときに必要になります。つまり,ずっと担保してきた基準を,違う担保の仕方もあるのではないかを,確かに考えなければいけない時期にあると感じております。ただ,拙速にすることではないと思います。
【高田座長】
 検討には値するけれども,少し状況をよく見た方が良いだろうという,そういう御意見でしょうか。
【大島委員】
 いろいろな角度で見る必要があると思うのです。
【高田座長】
 いろいろな角度からですね。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。この件に限らなくても,全体関連とか,看護師関連,助産師関連,それから保健師関連等で意見が出ていますし,ここに出ていないものに関していろいろお考えのところがありましたら出していただければと思います。
【川本委員】
 先ほどモデル・コア・カリキュラムのお話が出ましたが,これからの時代の中で,学士力を高めると考えたときに何が必要かということから議論が始まり,今の状況があります。かなり新しい内容も入っております。それは貴重なことだと思いますけれども,もっと充実しなければと,実習のガイドラインも出ておりませんし,まだまだ発展途上であるということを考えれば,大島委員がおっしゃったように,一つの方法として今後検討をしていくというのは大事なことかと思っております。
 また,内容のことをしっかり見て必要なことをこれから網羅していかなければいけないなと私は感じているところですが,もう一つ,これからの議論の進め方について発言させていただきたい。先ほど平野委員からおっしゃったことは非常に重要なことだと受け止めておりました。これから学ぶべき学生さんの質が変わっていくこと,それからその後の10年がどう変わるのかといったときに,どういうふうにして三つのポリシーを目指していくのか。それでできた学士力を,その後潰さないで続けていくための基礎力とは何なのかということを,少し考えていただきながら議論を進めることも重要な点ではないか今,すごく変わってきている中で,どう大事な看護の学生さんを育て上げていくのかということを是非議論していただきたいと思います。
以上です。
【高田座長】
 ありがとうございました。どうぞ。
【井村委員】
 井村でございます。今,先生方がおっしゃってくださったことと同様のことになるかもしれませんけれども,改めて申し上げます。この会が時間的には限られた会であることを重々認識しておりますけれども,社会の情勢,そして学修者のレディネス,学士力,その大きなところから,釜萢委員が最初におっしゃってくださった,大学におけるという人材育成はどういうところが重要であるか,どういう能力を伸ばした人を社会に出していくかという議論はしっかりしながら,各論的なところの議論を進めていただきたいと思いました。
 そのときに,教育内容はもちろんのこと,厚生労働省の会議でも行っております,教育方法論のこと,教員のこと等,何側面かに分けた形で項目立てしながら進めていただけると大変有り難いと考えます。
【高田座長】
 ありがとうございました。次回以降をどういうふうにするかということも含めて少し検討させていただきたいと思います。
 それから,厚生労働省の検討会にて議論されている内容から当検討会における論議に含まれる事項ということで,資料6の3ページ目のところに,専門分野の構成の変更とか,在宅看護論についてとか,臨地実習についてというようなことについての事項が示されておりますので,この辺についても何か御意見がございましたらおっしゃっていただければと思います。
どうぞ,小見山委員。
【小見山委員】
 東京大学病院の小見山です。こちらに示されている論点の三つですけれども,私はこのとおりだなと思って拝見をしておりました。
 私も現場で看護師を見ておりますけれども,今,病院の急性期主体の学習プログラムで看護師が育成されております。でも実際は,患者さんや対象となる方がお過ごしになる環境も病態も,どんどん広がっています。病院主体だけではないだろうというふうに思っておりますので,このように広がっていくのは良いと思います。
 そして,看護職として働き始めてからの職場適応という課題があります。これは臨地実習をどのように過ごしてきたかということも影響があるのではないかと思っています。時間数だけでなく,どのようにこの実習に向かってきたのかということも非常に重要だと認識しております。
 また,病院ではいろいろな学校を御卒業された職員をお迎えしております。大学を卒業した方々が,「違うな」と思うのは,いろいろな状況に,すぐにはもちろん無理かもしれませんけれども,状況に適応していく力があるということや,後々,学問の追求とか教育をする役割に進んでいくのが,ほかの教育課程を卒業された方ではなく,大学やそれ以上の課程を修了してこられた方であるということです。そういった役割を担うもととなる,育てるとか,学問への興味といったようなところもこの大学卒の方々に求められるところではないかと思っております。
以上です。
【高田座長】
 ありがとうございました。
【川本委員】
 一つ質問ですけれども。
【高田座長】
 はい,どうぞ。
【川本委員】
 今の,小見山委員が御紹介された資料6の3ページに示されたものですけれども,先ほど厚生労働省から資料5で御説明いただいた最後のうち,39ページ以降にある内容からだと思います。こちらの方は,看護師教育に関して座長(案)が示されて,それに対する構成員の意見が出たという形での整理をされたもので,ほかに保健師とか助産師教育の課程の中で出たものは入っていないのですか。
【高田座長】
 事務局,いかがでしょうか。
【杉田看護教育専門官】
 資料6の3枚目に付けさせていただいたのは,おっしゃるように看護師の養成に関することで議論されている中からピックアップしてまとめたものです。ほかはまだ検討会の下のワーキングの構成員の御意見として検討会で御紹介されていたので,今回の資料の中には入れてはございません。
【川本委員】
 保健師,助産師はまだこういうまとめはないと。
【杉田看護教育専門官】
 まだ看護師のようにまとめさせていただく段階ではないのかというふうに捉えております。
【川本委員】
 看護師教育の方もそういう意味では座長(案)のまだ検討段階のものだという認識でよろしいでしょうか。
【島田看護課長】
 厚生労働省看護課長でございます。
 資料5でお示しさせていただいた資料は,厚生労働省の方の看護基礎教育検討会で議論されている網羅的な内容を御紹介させていただきました。一方で,資料6の3ページで示されているものにつきましては,私どもの認識としましては,文部科学省さんの方で,恐らくこちらの検討会でこういったことが論点としてはかなり重要なものと認識されておまとめになった資料と承知しています。
 川本委員から御指摘がありましたように,先ほども御紹介させていただきましたが,資料5でお示しさせていただいた検討会の状況を再度申し上げますと,飽くまでもまだ検討途上のものでございまして,厚生労働省見直し案というようなものとしてはまだまだ御議論が尽くされてないというものでございますので,資料6の3ページに掲載されております内容につきましても,厚生労働省の案として示されているものではなく,飽くまでも議論の途上にあるものを踏まえてこうした形で示されたというようなものと承知しております。
以上です。
【川本委員】
 ありがとうございました。
【高田座長】
 ということで,これはこういう意見もあるということで御理解いただければよろしいのかと思います。逆に言いますと,ここでいろいろな意見を出していただければ,また島田課長もここにおいでになりますので,そちらの検討会の方でも,文部科学省の方の検討会ではこうだったということでまた御紹介していただけるかと思いますので,よろしくお願いいたします。
【川本委員】
 よろしくお願いします。
【高田座長】
 そういう意味では,ここでいろいろ意見を出していただきたいと思いますので。
では,宮﨑委員。
【宮﨑副座長】
 宮﨑です。指定規則との関連で,今日の時点で確認しておいた方が良いかと思われる点は,ちょうど構成員からの御意見の2ページ目,全体関連のA-1にあるように,この指定規則というのは,いろいろな免許取得に関わる教育課程に共通の必要最低基準であるということです。だから指定規則の内容さえやっていれば大学教育は良いのだということではなくて,これはいろいろな課程があるコースの共通部分であるという認識に立って,今後どこかのディスカッションの中で丁寧に見ていくという時間はあって良いと思うのです。ただ,大学というのは,この基準を満たすとともに,それぞれ人材養成の固有の目標があると思うのですね。それぞれの大学の設置主体やいろいろな理念だとか,地域性だとかを踏まえたものが。そういう中でどういう人材を育成していこうというところに則した教育内容が,どういうふうに付加されているのか,あるいは独自に設置されているのか,何かそういうあたりが大学教育の具体的な構成ではないかと思うので,指定規則さえ満たしていれば安心という風潮がもしあるとしたら,そういう大学教員の認識や文化も少し変えていくことが必要ではないかと感じております。
【高田座長】
 大島委員。
【大島委員】
 ここで言う話かどうか分からないのですが,資料4の看護系大学に係る基礎データの16ページ,看護師学校の卒業要件の単位数と,指定規則の単位数があります。平均のところだけ見ますと126.8,今度は指定規則が123.8で,何だか指定規則ばかりやっているみたいに,この数字を見て思いました。少しびっくりして,私の大学の対比表というものを見たのです。実は私のところの大学も恥ずかしながら同じようだったのです。
 これは書類の出し方なのかもしれませんが,どっきりしてしまったのです。でもここのミニマムを見ると97,つまりこれは指定規則の97です。それで出している大学もあるわけです。だから,すごく考え込んでしまって,国公立はもしかしたら97なのだろうか,これは設置主体別に見てみないといけないのだろうかと思ったりしました。でもここで言っているのは,宮﨑副座長がおっしゃったみたいに,同じものをやれば良いのだと思っているということを示すデータではないと私は思っているのですが,これだけを見てしまうと,ややっという感じがします。これは文部科学省に,今後その記載方法について再度オリエンテーションを受けなければいけないのではないか,全国の大学がそうなのではないのかと私は思いました。このデータが本当にショックで,卒業要件そのものが指定規則と同じということは一体どういうことなのだと考え込みました。数字だけでは読み込めないとは思ったのですけれども。それが1点です。
  先ほど平野委員がおっしゃっていた学生の相違のことですが,これはいつの時代にも「昔の人は」,「今の人は」という表現があるように,いつの時代もそれがあるように思うのです。私が何十年も昔に学生だったとき,意見は言うわ,何はやるわという学生だったので,それは上の人たちにしてみれば物すごく異様な感じだったと思われていたと思います。
 今は学生をみて私も腹立つような感じのときはあるのですが,考えたら,自分の視点だけなので,逆にあの人たちができる良い方法はないかと。これは教育のだいごみで,逆に開発できる,今の学生はメディアなどに非常に強いですから,それを利用してやろうというのもあります。ある程度対象に合わせた,いろいろなアプローチの仕方でそれは随分変わっていく可能性があるので,どんどん研究の余地があって,いつの時代でもそれはやらなければいけない教育の課題ではないかと感じています。今私どもの大学でもそれらをFDとしてやってみましょうとすすめています。本質的なことがきちんと押さえられ,どうやったら今の学生たちに伝えていくことが可能なのかを教育する側も努力する必要があると思っています。
 教育内容に関しても,時代を見なければいけないので,当然2025年問題を考えなければならない。2025年問題に向けたカリキュラムは,既に 3年ぐらい前から立てないと,学生が卒業した後, 5年ぐらいたって2025年に突入したときに困る。地域で,「あなた,一人で判断しなさい」と急に言ってできるわけではない。したがってその素地を大学教育なら大学の1年生から,そのカリキュラムの中に全部入れ込んでいく。つまり,十年一日のごとく同じようにやっていくわけにはいかない。その変化への対応に関しては,普遍的に必要なのではないのかと思っています。
【高田座長】
 この対比表の単位数の読み方について,もう1回御説明があった方が良いのかと思いますが。
【杉田看護教育専門官】
 資料4の17ページに対比表の様式を示しております。表頭に当たる位置に指定規則の教育内容が示されていて,縦の方にそれぞれの大学の授業科目名,オリジナルの名称をそのまま書いていただき,それが指定規則のいずれの教育内容にマッチするかを星取り表のような形で丸を付けていただき,指定規則上の条件がクリアされているかどうかを集計して見ていくというのがこの対比表になっています。左側の教育課程の授業科目は本当にオリジナルで考えていただき,どの科目が指定規則のどの内容に当てはまっているかという御判断は,結局は大学の判断になります。
  なお,こちらで拝見させていただくのは,新たに学校がスタートする,新規指定といいますが,そのときと,カリキュラムが変わるときにこの対比表を出していただきますので,そのタイミングで対比表の具体の中身について,申請書の内容と併せて確認しております。また,その授業概要であるとか,重なっている科目は,シラバスを添付いただきますので,その重なりが看護師学校と例えば保健師学校の両方で読める科目かどうかというのは,そこで判断させていただいております。
【高田座長】
 ありがとうございました。単純にこの数字だけ比べてどうこうというふうには,すぐにはいかないという理解でよろしいのですね。
【杉田看護教育専門官】
 先ほど大島委員から御発言がありましたように,A大学では丸が付いていて,B大学では付けなくて,というふうに,その中身が同じような感じでもそれぞれで判断されている可能性はあるかと思います。
【高田座長】
 指定規則を満たしていれば,それ以外のところでも指定規則に該当するのだけれども,あえて付けないというところもあるということですよね。
【杉田看護教育専門官】
 あるかもしれません。
【高田座長】
 あるかもしれないということですよね。分かりました。
 どうぞ。時間が大分迫ってきましたので,手短にお願いいたします。
【岸委員】
 今の単位数のところでは,例えば,保健師学校のところを見ていただくと,指定規則の実習単位が,大学のMAXが24単位,最頻値は5で,指定規則上は5単位というところですけれども,看護師学校,助産師学校と比べると大きな開きがあるというところで,本当に保健師としての実習がされているのかということを最初に申し上げたところです。
 ほかの意見といたしましては,先生方から御意見を頂いたように,今の学生の質と,それから2040年を見込んでということを考えますと,今の学生が統合する力をどの程度大学に入ったときに持っているのかということについて,統合する力というのは,私は大学できちっと養成する必要があると思っております。ただ,それと統合カリキュラムというのはイコールではないというふうに思っております。ただし,さ末な話で言うと,最近の学生は雑巾が絞れないとか,そんなさ末な話もあります。生活体験が非常に乏しいので,そういった中で看護師の教育,技術も含めた教育というのが4年間でできるのかというのを考えたときに,時代の変化からいって,保健師教育というのが学部4年間で修まるのかというところに疑問を持っておりますので,上乗せということを発言しております。
 また,2040年をにらんでということになると,秋山委員から,今後看護の教育はどうなるのかというところでは,地域という視点は絶対必要だと思っておりますので,地域在宅看護学の視点というのは看護職全部に必要なことです。ここはきちんと全看護職で統合して学ぶべきことだと考えておりますが,保健師は更にマスとして,政策形成であるとか,集団,地域全体をどうするのかということを役割として見る位置にございますので,そことはまた別なのかと考えているところです。
 私が単位のことを最初に話してしまいましたけれども,今後のことをにらんだカリキュラムのことを考えていく必要があるのではないかと思っております。統合カリキュラムということと,統合する力,大学として何の力を養成するのかというところは,分けて考えるべきではないかと思っております。
【高田座長】
 ありがとうございました。時間も大分終わりになってきたのですけれども。
ではどうぞ,平野委員。
【平野委員】
 今後の大学教育の在り方ということで,公立大学の事前の調査では,看護職の養成において含めるべき要素はきちんと示してもらうことは重要,例えばコア・カリキュラムでも良いのですけれども。ただ,それをどう組み合わせるか,どう展開するかの自由度があることが大学教育になると考えております。 例えば,今,看護の基礎教育ですと,指定規則では,基礎分野,専門分野Ⅰ,Ⅱとか分かれています。そこに書かれている中身の要素は良いけれども,これをどう組み合わせるか,どこを膨らませどこは軽くするかなどに,大学の特色や地域性を反映させたいということでした。
  成人看護学と老年看護学の実習では対象はかなり重なるので,成人・老年看護学とくくって,構成させるや,あるいは小児看護学・母性看護学を一緒にするとかです。子供の虐待の問題だと,母性看護学と精神看護学を統合する等です。何らかの基準・要素は示していただくけれども,その扱いについて,大学ではどうしたら良いかという観点を持って,今後議論をしていただけたら有り難いと思います。
【高田座長】
 ありがとうございました。まだ御発言いただいてない委員,鈴木委員,今までの論議を聞いていて何かございますか。
【鈴木委員】
 鈴木です。委員からの御意見の中で,僕は教育工学の人なので,シミュレーション教育の導入というところが二つ出ているのは,多分鈴木が書いたのではないか思われたかもしれませんが,違います。
 もちろんシミュレーション教育は大事だと思うのですけれども,導入するだけでは駄目で,シミュレーション教育をうまくやらなければいけないと思います。看護だけではなくて医療系の実践の事例を拝見すると,シミュレーションをシミュレーターとして全然使ってなくて,ただ見学しているとか,あるいはテストにだけ使っているとか,そういうのが多くて,全然スキルの効果的な養成につながっていない事例が相当多いというのが専門家からの印象でございまして,むしろ変えるべきは講義だと思っています。カリキュラムのかなり多くの時間を割いてやっている講義こそ何とかしないと駄目で,文部科学省も最近アクティブ・ラーニングと言っているではないですか。もう講義はしてはいけないのですよ,ということをいろいろなところのファカルティ・ディベロップメント,FDで言っているのですけれども,なかなか講義をやめてくれません。厚生労働省の委員会では,その教育内容だけではなくて方法も併せてということのようですが。
 僕が言いたいことは,単位時間数の確保は大事なのだけれども,それをいかにもっと効果的に使うかということで,まだまだ改善の余地はあるということです。だから同じ2単位でも教え方を工夫すればもっといっぱい教えられます。という前提になると,少しは皆さんもおおらかに議論ができるのではないかと。だから同じ2単位をもっと3単位にも4単位分にもなるのだということのノウハウはこちら側に持っていますので,機会があればそういうことをお示しできるかと思いますけれども,とにかく今の授業の時間が非常に効率的に使われていないという事実を踏まえて,何を何単位ということを議論されたら良いのではないかと思いました。
【高田座長】
 ありがとうございました。単位制というのはなかなか大変なもので,1時間の講義に対して2時間の自習で1単位,だけど実習は3時間やって自己学修はゼロで1単位という,何かおかしな仕組みにはなってはいるのですけれども,現行の設置基準等はそうなっているわけで,それに従ってやっていくということかと思っています。
 いかがでしょうか,ほかに。ほとんど時間が終わりになってきましたので,最後,もしどうしてもということがあれば一言だけお願いします。
【上泉委員】
 一言。この検討会は期間が限られているということで,焦って単位のことをまず申し上げたわけですけれども,今回のこの検討会でどこまで出していくのか方向性を明確にして,更に議論すべきことが今日たくさん出てきたので,次の検討会に是非つなげていってほしいと思います。それで,大学における看護教育について,本当にどういう人材を育てなければいけないのかとか,そういったところから検討する会を是非次につなげていただきたいと思っております。
 以上です。
【高田座長】
 ありがとうございました。もう時間が少し過ぎそうになっていますので,今後,本日頂きました御意見を踏まえまして,事務局で論点を整理していただいた上で,次回以降のこの検討会で更に論議を深めたいと思っております。
 最後,事務局から連絡等がありましたらよろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
 事務局からです。次回の検討会は6月早々に実施したいと考えております。委員の皆様には追って御連絡を差し上げたいと思います。併せて3回目以降の日程についても調整させていただきますので,よろしくお願いいたします。
【高田座長】
 それでは,本日の会議はこれで終了したいと思います。長時間にわたり,どうもありがとうございました。


―了―


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