国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議(第3回) 議事録

1.日時

平成30年10月24日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省中央合同庁舎第7号館東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 第2回会議(非公開)の概要説明
  2. 国立大学の一法人複数大学制度等の導入にあたっての意見交換(「法人の長と学長の権限と責任、役割分担」の論点を中心に)
  3. その他

4.出席者

委員

有川座長、奥野委員、金子委員、黒田委員、酒井委員、土井委員、永田委員、藤井(輝)委員、藤井(良)委員、古沢委員、村田委員、森迫委員

文部科学省

義本高等教育局長、玉上大臣官房審議官(高等教育局担当)、淵上国立大学法人支援課長、北野国立大学戦略室長、佐藤高等教育局視学官(命)大学改革官

5.議事録

【有川座長】
おはようございます。所定の時刻となりましたので、ただいまから「国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議」第3回を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、本日も会議に早朝より御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日初めて御出席いただきます委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介いたします。永田恭介委員でございます。よろしくお願いいたします。それから、カメラ撮影を御希望の方は、いらっしゃいませんね。はい。今日は第3回目ということでございまして、最初は9月26日に開きまして、そこでは手元にございますけども、国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議における論点案というのが示されておりまして、それを意識しながらどういったことを議論しなければいけないかということについて、委員の皆様方から自由に御発言いただきました。自由にということでしたが、大事なことが議論ができたとか思っています。 そして、第2回目は、10月16日に開催したのですけれども、ここはすでに一法人複数大学制度について関心をもっていらっしゃる、あるいは具体的に検討をされはじめていらっしゃるグループが四グループございましたので、そのグループの関係者、実際のところ全ての大学から御出席いただきました。現時点でのお考えいただいている状況について、御説明いただきまして、我々の側からは、これからその問題を詰めていかなければなりませんので、そういうことで実際にお考えになっているようなところを深くお聞きしたいということでしたが、そういう点でいいやり取りができたかというふうに思っております。その点につきましては、これはまだ進行中の微妙なところもあるということでございまして、非公開でやらせていただいたんですけども、公開できる部分につきましては、後ほど事務局から簡単に説明いただけると思います。今日はそういった過去二回の検討会議を踏まえ、そして、第1回目の時に先ほど申し上げましたように実質的に深い議論をされて、そのまとめと論点の整理されたものがありますけども、それと対比させながら、さらに深い話にできればと思っております。その中で、他のこと、外国のことも一通り知っておく必要があるとのことで、事務局の方でお調べいただいたものの説明等もいただけるのではないかと思っております。それでは、これからまず事務局から配布資料について御説明いただきたいと思います。

(事務局から資料の説明)

【有川座長】
はい。ありがとうございました。本日の会議から、年内の中間まとめの策定に向けて具体的な一法人複数大学制度等に関する論点について、委員の皆様には御議論いただきたいと思っております。それに先立ちまして、第1回の議論の際に委員の先生方からいただきましたこの会議における議論の範囲について整理するようにとの御指摘があったかと思います。その際に、淵上課長からももう少し御説明がありましたけども、本日は冒頭に改めて本会議における議論の範囲・対象についての文部科学省としての考え方を御説明いただきたいと思います。

【事務局】
はい。失礼いたします。前回も少し御説明させていただきましたけども、今日お手元にお示ししております論点案もございますが、私共としてこの会議でですね、具体的にどのような御議論を、御検討をお願いしたいかと、改めて御説明させていただきたいと思います。特に、第1回の際にですね、会議における御議論の範囲は、「一法人複数大学制度」に限ったものにするのか、それとも、国立大学法人一般における経営と教学の在り方についてまで議論を広げるのかという指摘があったわけでございます。この点につきましては、現在の国立大学法人制度におきましては、一つの法人が一つの大学の設置をする、そして法人の長である学長を置くという、こういう仕組みになっているわけでございます。いわばこの形態のみが法制上認められていると、こういう状況でございますけども、これに関しまして各種類似の閣議決定、あるいは前回聞き取りの中でありました国立大学法人のニーズ、また国立大学を取り巻く様々な環境の変化、こういったところを踏まえまして、多様な経営の仕組みも認められるようにする必要があるのではないか。いわば新しい選択肢といったようなものも考えていくかどうかというようなことが論点としてあるわけでございます。こうした論点につきまして、こういうふうに考えているのかというのが最初でございまして、論点1の「一法人複数大学の意義・必要性」というところで整理をしているところでございます。次に一法人複数大学というものにつきまして、どのような制度設計を行っていくのかということで、具体的な制度を御議論いただければと思います。その上で、でございますけれども、この一法人複数大学について御議論、御検討を進めていただく中で、様々な論点が出てくるわけでございます。一法人複数大学だけでなく、一法人一大学を含めた国立大学、一般にも適用することがふさわしいと思われる論点も出てくるかというふうに思います。例えば、法人の長と大学の長の役割といったようなものも今回制度設計の中で御議論いただくというようなことになっているわけです。そういうものが一法人一大学についてどう考えるべきかといったようなことが出てくるかと思いますので、それを論点3として「一法人複数大学制のメリットの一法人一大学への応用」ということで表現をさせていただいているということでございます。そのような考え方で、御議論、御検討いただければ大変ありがたいというところでございます。以上でございます。

【有川座長】
はい。ありがとうございました。それでは、この会議において説明いただいたような課題、あるいは説明いただいたような範囲、対象を検討し、討議いただくというような形で進めたいと思います。そういったことでよろしゅうございますでしょうか。当然、議論の中で様々なことに触れられていくというふうに思いますが、それはそれでいろんな形で生かしていくということができるかと思います。よろしいでしょうか。はい。ありがとうございました。それでは、本日の議題に移ります。前回非公開とされました第2回の会議の概要について、事務局から説明いただきたいと思います。第1回の際に御案内の通り、第2回は非公開の場で現在統合を検討しております国立大学法人の四つの協議体の方々においでいただきまして、その検討状況等をお伺いし、その後、それを踏まえて意見交換等をさせていただきました。会議の議事録等につきましては、本会議の公開規定により、非公開とさせていただいておりますけども、口頭で申し上げました、公開できる範囲での第2回の際の概要について、事務局から御説明いただきたいと思います。佐藤視学官、よろしくお願いします。

(事務局より資料1について説明)

【有川座長】
資料は今日のために整理して作っていただいておりますので、前回のヒアリングの際の資料からしますと少し形が変わり、もうちょっと踏み込んだようなところもあると思います。この四件につきまして、何かコメント等ありましたらどうぞ。よろしいでしょうか。
はい。それでは本日の議題に移りたいと思います。第1回では、本会議の議論を進めるにあたり、委員の皆様から現時点における様々な御意見やお考えを頂戴いたしました。こちらの頂戴いたしました御意見について、第1回会議において配布したこの会議において議論を進める論点に沿って資料2のとおり事務局において整理しております。さらに、第1回において、一法人複数大学制度等の設計に関する議論をするにあたって、諸外国のガバナンスの事例も参考にすべきとのご提案もございましたので、こちらも資料3としてまとめております。本日の議論に先立ちまして、まずは事務局からこちらの資料2、資料3に沿って説明をいただきまして、それを踏まえまして意見交換をお願いしたいと考えております。事務局からの資料に基づく説明はこの資料2、3で終わりでございまして、そのあと1時間ほどとってございますので、そこで議論していただければというように思います。それでは説明お願いします。

(事務局より資料2及び資料3について説明)

【有川座長】
はい。資料2と資料3について、説明をしていただきました。資料2は前回までに出されました委員の先生方の御意見をまとめた格好、これを論点案の見出しに沿った形で整理されたものでございましたし、資料3は、諸外国のガバナンスの例といって、簡単に御説明いただきました。これから、今の説明等も踏まえまして皆様から御意見をいただきたいと思います。本日は様々な論点の中でも、特に法人の長と学長の権限責任、役割分担等、そういったところについて御意見をいただければというふうに思っております。時間は1時間ほど、少し予定より早めに進んでおりますので、色々なお話をしていただければと思います。まずは資料2、3の説明に対しまして、何かご質問等がありましたら、確認の意味も含めまして伺いたいと思いますが。はい、どうぞ。

【永田委員】
今回、初めて出席いたしますので、これまでの検討の経緯について教えていただきたいと思います。前回の四協議体のヒアリングの中で、なぜ大学の統合ではなくて一法人複数大学としてお考えになっているのかという点について、どのような御発言があったのでしょうか。非公開でのヒアリングでしたので、どの協議体がどのように答えた、と述べるのは差し障りがあると思いますが、全体としてどのように御発言があったかをまとめると、そのまま論点整理になるかと思います。

【有川座長】
はい。ありがとうございます。どうしましょうか。四つのグループからのお話があったわけですけども、今御指摘の点、非常に大事なところだと思いますが、まず、まだ十分に議論されていないことも、それぞれのグループで考えられまして、非公開ということでやらせていただいたわけです。それぞれの説明にも表れておりますように、まだ詰め切っていないというところもあるという印象を持ちました。それから、なぜ法人ごとの統合でなくて、一法人の下で複数大学ということを考えていらっしゃるかということにつきましては、例えば、名古屋と岐阜とかっていうところに端的に表れているのかなと思いますけれども、地域に貢献するということを主に考えていらっしゃる岐阜と、それから、世界的にということで考えていらっしゃるところが一緒になるということで、その両方の効果を出そうと、そういったことだというふうに感じましたが、そこは先生の御指摘で言いますと、だったら一つの法人になったらいいじゃないかと、法人といいますか、大学になったらいいじゃないかという考え方もあるんだと思いますけれども、ここら辺は当然大学側からはおっしゃらないことなんですけれども、一つの可能性としては、これは私の個人的な印象でもあるんですけれども、一つのプロセスとしてそういったことも考えていらっしゃるのかなという、そういったこともお話を聞きながら感じた次第であります。それから、規模や予算、学生数も含めまして、似たようなところとしては、北海道の三大学の例があろうかと思いますけれども、ここはそれぞれ単科大学といいますか、そういったことでお互いに補いあいながら、一法人複数大学の良い点を出そうとしていらっしゃるのかなと思った次第です。ここもやっぱり原理的に一つの大学にできるんではないかという、そういった見方もあるんでしょうけども、地理的なことなどもありまして、現在では、そういったお考えではないということだというふうに思います。ここは一法人複数大学のコンセプトのいいところを取って、実現しようとしているのかなと思った次第でございます。それから、静岡と浜松に関しましては、ここはちょっと新しい形で、通常は多くのところが法人化に際しまして、医科大学があるところはそこにある通常の総合大学、規模の大小はともかくとしまして、統合していたわけですけども、浜松医科大とあと一つ二つがそういうことをしなかったところであったわけですけど、あそこは静岡と浜松ということで、同じ県内ではありますけども離れているところで、特に医科大の近くに工学部があって、そこに情報なんかもいらっしゃるものですから、そこをうまくつないだ格好で、一つの大学ということでやったら非常に力が発揮できるし、それから静岡の方もちゃんとやれるんではないかということでございました。事情としては、まだ議論が煮詰まっていないところがあるのかなということを思った次第でございます。それから、奈良の女子大と教育大学ですけども、これ非常にユニークなものなんですけれども、先ほどのまとめの中にもありましたけども、ああいったことで、大学まで含めて統合というよりは別にしておいて良さが発揮できるんではないかという、そういったことでございまして、その上での新しい考え等も、例えば、工学という分野等を作ることも、一つの法人に統合することによってできるんではないかと、そういったようなことでございました。ちょっとまとめみたいなことを繰り返して言ったに過ぎないんですけども、どなたか今の永田先生の質問といいますか、指摘に対しまして、第2回目に御出席いただいた方で補足等がございましたらお願いします。

【森迫委員】
今、有川先生が整理されたとおりであると思います。いずれの案、グループについても、基本的にはある程度自分たちのグループだけでは収まらない可能性を秘めているかな。要するに地域の連携ということを考えながら、その地域内の支援を有効に使いたいということで、とりあえず今手を挙げている大学でやるけれども、そのあとも考えているよというような雰囲気は匂っていたのかなというふうに思います。それともう一点。ただ今回出てきた資料は割と整理されているのかなと思いますけれども、やっぱり学長の任命のところは、法人と学長というものについての整備というのはまだ十分にできていないのかなという感じはいたしました。

【有川座長】
そこのところは、そうですね。今回整理していただいた資料を見ましても、まだ決めていないところがあると思うんですけれども、このあたりはかなり時間がかかるところだと思います。それからここでの調査検討、それから当然それをやるとしますと法律も改正しないといけないわけでございまして、その辺りも見ながら、そういった思いもあるのかなと理解した次第です。他に何かございますか。

【永田委員】
ありがとうございます。なぜその点をお聞きしたかというと、四協議体のモデルを見させていただくと、メリットとデメリット、あるいは課題が両方あるのではないかという印象を持つからです。例えば、最後の奈良の例を見てみると、一法人二大学となることによる個々の取り組みはメリットを感じるものの、学長が文部科学大臣任命となる論理が分かりません。静岡の例は、既存の大学の中でも学部の壁が越えられないと言っているものを、その壁をさらに高くしてしまう可能性があります。つまり、医学・工学を浜松の大学に集めた場合に、法人の長が相当強い権限を持ち経営力を発揮しないと、静岡の大学と並び立つことは難しいと思われます。それから、東海の名古屋岐阜の例は、ある拠点の規模の大きな大学のそばに地域大学があるというケースですが、名鉄電車で25分の距離を考えたときに、一法人一大学ではいけないのかという気がします。一方、北海道の例は、地域性から各大学の距離がかなりあるので、ここは一法人三大学なのか一法人一大学で三キャンパスなのかは結構悩ましいだろうなと思います。しかし、全ての事例について、獲得した外部資金等のリソースを考えると、複数大学を組み合わせてある一定規模の総合大学化と同じような意味合いだと思われます。そのときに法人の長は、教育研究を深く理解した上で、強い権限を持って資源配分を行うことができる、という経営力がある人でないと務まらないのではないでしょうか。法人化する前、言ってみれば全ての国立大学は一法人だったわけです。法人化直前にいくつか統合が行われ、法人化を迎えて一法人一大学になりました。経営努力もあり、個性を生かしているところもあって、今この段階にきているわけですから、ある意味で一法人一大学の努力の過程にあるわけです。こうした経緯を踏まえると、統合であれば目的が分かりやすいかもしれません。一方で、一法人複数大学については、先ほど述べたように強い経営力を持った理事長がいないと、制度のメリットを生かせないのではないかと思います。

【有川座長】
はい。ありがとうございます。何か御意見。こんな感じで全体の議論を進めていけるのがよろしいかと思いますが。四つのケース、外国の例等を意識しながら議論していきたいと思います。はい。

【藤井(良)委員】
今の永田先生の質問と関わりますが、私の印象としては、経営協議会と教育研究評議会がどういう位置付けになるかということにおいて言いますと、ほぼ全てのケースで経営協議会は法人に、それから教育研究評議会は各々の大学に別々に置くということが出てきたわけで、本来、教育も含めて法人のガバナンスを効かせようとすると教育研究評議会ももしかしたら法人にあってもいいのかもしれないとそのような気がしたのですが、いずれも教育研究評議会は大学ということはやはりレガシーを生かしつつ経営と教学をしっかり分けようという傾向がとても強くて、その中でその統合できない部分というのは各大学で、経営の部分は統合がという分け方、外国ですとユニバーシティとカレッジの関係、そういうものを目指している印象を受けました。印象ですが。

【有川座長】
はい。そうしたら、他にございませんか。

【村田委員】
質問してもよろしいですか。

【有川座長】
はい。村田先生。

【村田委員】
前回欠席したもんですから、今の質問とも関係しているんですが、今日資料を御説明いただいたときに、どの大学も法人の長と大学の長を分けるという方向で考えていらっしゃるわけなんです。この理由はどういうことなのか、といいますのは、今、国立大学法人は完全に学長と理事長が一致しているわけなんですが、それをあえて二つの大学だからどっちかがなるのはややこしいのでという極めて現実的な理由なのか、あるいは理念的な理由で法人の長と大学の長を分ける、その辺りの説明はどのようにお聞きになったのか教えていただければと思います。

【有川座長】
その説明はなかったと思います。

【事務局】
形的に、まず三つの法人の長、教学の長がそれぞれに図としては示されていますけども、それを同一の者が兼ねるのか、それとも全く別の方をお連れしてきてその方にやっていただくのかというところまでは、一つもそういう話はございませんでした。

【村田委員】
私の質問の仕方が悪かったようです。この図は全て法人の長と大学の長が分かれた形で、二つの大学であれば法人の長と大学の長が分かれているのですが、法人の長と大学の長が一致しているような図が全くないんですね。その点については、何か委員の方から御質問、あるいは向こうから説明があったのかということをお聞きしたいんです。

【有川座長】
そのような質問はなかったなと思います。はい。基本的には村田委員からございましたけど、複数大学ということですから別だってことと、そういったことと、そのプロセスがあるので、そういうことについてはあえて明示されなかったかと思います。私の考えですけど。

【藤井(輝)委員】
質問に近いんですけども、四つの例、結局法人として一つになるということなので、一番のポイントは経営が統合されるということかと思われますが、その観点でそれぞれの、つまり経営を効率化するとかいうそういうキーワードがあるわけですけども、具体的にどういう観点、例えば経営のことを考えると、「なか」をどうやりくりするかということもありますけども、「そと」からどういう形で投資なり、インプットで売り込むかということも含めて、それについて何か具体的なアイディアが示されましたでしょうか。ちょっと質問なんですけども。

【有川座長】
どうだったでしょう。なかったんではないかと思うんですけども。そういう意味ではですね。

【藤井(輝)委員】
多分、そこが一つの積極的な、つまり法人としては統合してそういう意味で経営面できちんとリソースを確保するということが、一つの積極的なモチベーションになるのではないかと思います。その上で、各大学としてはそれぞれの大学の独自性があるので、その中で教学をメインにやっていく、そういうアイディアでないかと察するんですけども。所謂経営力強化という観点で、どういう取り組みをするかということが一つ重要なポイントではないかなという、はい、これは意見であります。

【有川座長】
はい。当然その経営と教学を別にしてということでやりまして、おっしゃりましたような経営での効果も当然出てこなきゃいけないとは思うんですけども、現時点ではこのようなことをやって強化していくということは、どっかありましたかね。

【事務局】
本日の配布資料の資料1のですね、名古屋岐阜の東海国立大学機構のところをご覧いただきたいと思いますけれども、先ほど御説明した通りですね、今回、運営支援組織の一体化というところがありまして、こういったところを中心に、その産学連携施策の強化ですとかやっていって、右側の方には書いてありますけども、TOKAI-PRACTISSプラットフォーム形成とかっていうことで、経済界ですとか地元の地方公共団体というようなところを巻き込みながらやっていくという案は作られていると、構想としては持たれていると理解しております。

【有川座長】
はい、というようなことでですね、どっからか組織的にお金を持ってきてというようなことを当然考えなければならないと思うんですけども、その辺に関する御説明はなかったような気がしております。統合することによって効率化するとか、それぞれの大学ではできなかったことを協力してやっていくとかっていうこと、そういうことを通じて経営の面、効果的に、効率的にやるということにつながっていくんだろうと思いますけども。具体的にこういうことをやるんだっていうようなことについては特になかったのではないかと思います。基本的には教育研究をいかに効果的にやって、産学連携といいますか、社会貢献していくかといったようなことに関しては御説明いただいたように思っておりますが。社会貢献という面で、実際に経営というような面も出てくるだろうとは思いますけども。はい、土井先生。

【土井委員】
この議論は、一法人複数大学の意義・必要性の問題だと思うんですけれども、複数大学で連携強化することになるとすると、シンプルなやり方としては二つの典型例があります。一つは各大学が法人格、法主体性を維持した上で、協定等を結んで複数大学の合意に基づいて連携を図るという緩やかな手法。もう一つは複数大学が統合して一つの大学になる、一体化という究極の連携方法、この二つがあるわけです。この二つの手法は理論的に明確ですし、単純なものは不具合が生じにくいと言われれば、一般論としてはそういうことになるのかなと思います。ただ現実のニーズは多様ですので、その中間的手法が許されないわけではないだろうと思います。例えば、企業におきましても、百貨店や鉄道などが経営統合を図る場合には、それぞれの百貨店や鉄道がそれまで有してきたブランド力がありますし、それぞれがターゲットにしてきた顧客層もあるわけですから、それを生かしながら相互に補完的にやっていきたい、経営統合のメリットは引き出すんだけれども、しかし異なる顧客層を受け継いでいきたいといった場合には、持ち株会社、ホールディングスを作って経営統合をしながら各事業会社で事業展開をするという形態が現実に認められているわけで、まさにいくつかそういうところもあるわけです。これに近い仕組みを一定の目的の下で、国立大学の在り方としてふさわしい形で認めていく可能性があるかと言われれば、私は、それはあるのだろうと思います。ただこの場合には経営統合するメリット、各ブランドを残すことでそこから何が得られるか、またその組み合わせで何を生み出すことができるのかという点に見通しがあれば、これは有効な方法ですけれども、そこについて実質的な説明がないということになると、非常に複雑な形態をとりますので、どこまで有効性があるのか難しい状況が出てくるかもしれない。そこはそう思います。

【有川座長】
ありがとうございます。うまく整理をしていただいたというように思っています。

【永田委員】
今御説明いただいた例が、北海道の例では当てはまるのではないでしょうか。大学間の距離がかなりあり、北見工業大学は小樽商科大学のニーズを、小樽商科大学は帯広畜産大学のニーズをお互いに知らないと思いますが、地域連携の観点からは急に視野が広がります。そうなれば、北海道全体の地域のニーズを、三大学が総体として捉えなおすことが可能となります。国立大学の場合は、利益を追求しているわけではないので、このような形で教育研究上のニーズを共有できるのであれば、メリットは非常に大きいと思います。これをさらに広げて考えれば、日本全国というように捉えることも可能かもしれません。だとすれば、今おっしゃった意義が非常にあるかもしれないと思っています。

【有川座長】
ありがとうございます。他にございませんか。土井先生のお話は、北海道の考え方がそうじゃないかということだったんですけど、そういったことでよろしいですか。

【土井委員】
北海道もそうだと思いますし、他のところでも、例えば奈良ですと、男女共同参画との関係で色々議論のあるところですけれども、女子大学というブランドを持っておられるわけです。それをどう活用していくかというときに、女子大学でないところと経営統合されるとしても、一体化するというのはおそらく難しいこともあるでしょうから、その辺り色々な応用の仕方はあるかと思います。

【有川座長】
はい、どうぞ。酒井先生。

【酒井委員】
持ち株形態を選択していきたいという申請をされている大学の方におかれては、先ほどのお話のように統合や連携というよりも、当面は一法人形態で模索していくのが非常に価値があるという考えであるように推測しております。フランス型のようにトップダウンで、一定の選択肢を選びなさいというものもあるのかもしれませんけれど、我が国においてはそれぞれの特殊性や考え方をベースにして、価値創造、スケールメリット、経営の効率化等を総合的にとらえて進展していこうという動きだと思いますので、設計の自由度を、国としても考えになられた方が長きにわたりいろいろなビジネスモデルの展開をしていく上でも良いのではないかなという気がします。あまりガチガチのものを作るよりは、フレキシビリティがあるような設計がいいのではないかというのが一つです。それからもう一つはガバナンスの構造なんですけれども、教育と経営は別であるというような何かコンセプトがあるようにきているんですが、そこに違和感があります。というのは、先ほどの海外の事例でも明確にありますように、理事会、経営執行、評議会というのは基本形であると思います。今の日本の大学でもその基本形が重要と思います。ガバナンスの観点では教育の場は執行で、執行に携われる皆様が、学長を含めた理事として、ホールディングベースあるいは全体の理事会のメンバーになり、そこで経営・教育を管理あるいは評価していくという構造になっている。ガバナンスがそうして機能しているだろうと、民間企業の立場からすれば、当然のように前提されると思います。

【有川座長】
はい、ありがとうございました。設計の自由度ということをおっしゃいましたけども、我々多分、一法人複数大学という選択肢を一つ用意するということだろうと思っているんですけれども、つまり今、一法人一大学なんですけれど、それをちょっと一般化しましてもちろんそれを含めて、一法人一以上大学といいますかね、そういったことで現行の制度と矛盾なく一般化することができないかということを一つ考えているのかなというふうに思っております。今、すでに手を挙げていらっしゃるところは四グループあって、これから出てくるところもあるのかもしれませんけれど、うちは一法人一大学でこれこそが一番いいというように思っていらっしゃるところも当然おありだろうと思います。それからガバナンスの構造ですけども、大学ですので会議の初回の冒頭でも申し上げたように思いますが、基本的にはいかに教育研究をいかにうまくやっていくかということに、そこに尽きるんだろうと思いますが、ガバナンスあるいは経営とかってことを言った場合に、経営サイドからも教学を考えますと、経営の対象が大学ですので教学に関係せざるを得ないところがあるわけですね。これは別ですと言うわけにはいかないところがあって、そこのところが大学を持つ法人の経営の難しさだと私も思っているところでございます。その辺りが酒井委員からしますと違和感とおっしゃいましたけれども、そういう特別なのかなと思います。いずれにしましても大学ですので、経営的なことを考えていきますとそういう教学に当然入っていくし、それに触れずに経営ということは考えられないだろうというように思います。奥野先生どうぞ。

【奥野委員】
話が少し戻ってしまうんですけど、最初に永田先生が、なぜ法人にしないといけないかを説明し、どうでしたかと聞かれました。私の感想ですが、なかなかそのメリットをうまく説明できているところは少ない、そんな感じでした。例えば北海道の例ですと、三大学の場所は離れていますよね。そうすると、例えば銀行等が大阪と東京でホールディングスを作ったようなことになると思うのですが、そのメリットの強調はされなくて、なんとなく抽象的で、それぞれのブランド力と地域貢献のことを話しました。確かにそういう副次的効果というのはあるのかなと思うのですが、経営を強化するというようなことは言われるんですが、ではそれは何なのか。例えば企業だったら、人事も交流したり、お金もそこが配分したりとかするはずですよね。ところがちょっと口悪く言うんですけど、名古屋の例では大学が近い距離にありますから、そういうメリットはすごくあると思うんです。でも説明はありませんでした。皆さんは、ここに書いてあるように各大学の特徴やそれぞれの伝統をキープしながらするとおっしゃるんですよ。これを可能にする法律、それを今我々審議されているんですよね。例えば北海道の場合だと学生が交流することは難しいと思います。教職員はできるかもしれませんが。自分の大学はずっと今までやってきたことのまま行きたいと言われています。それはある程度許さないといけないのではないかと思いますが、そういう方法を可能にする、法令はできるんでしょうか、それを土井先生にお聞きしたいです。

【有川座長】
はい。土井先生。

【土井委員】
具体的なことは今後詰めていくという話なので、先ほど酒井委員からもありましたけども、どの程度幅を認めていくかというのは結局各大学法人にどの程度裁量を認めていくかということですので、基本的に共通の要求はどこの部分で、それぞれ独自性を認めてほしいのはどこの部分なのかということを整理をしていく必要はあると思うんですね。ただ私自身が思いますのは、一法人を作るという以上は、その法人に属するグループの大学運営に関する最終的な責任は法人が一元的に負うという体制を整備することだけは絶対に必要になるだろうと思います。その際に経営と教学を区分するというのは、抽象論としては確かに一つの考え方だろうと思いますけれども、例えば教学についても、例えばグループ大学の入学者選抜で不正の問題があったというときに、法人の長がそれは教学の問題だから私には責任はありません、知りませんと言えるかというと、多分それはできないと思うんですね。その意味では教学の部分について、直接法人でどこまで決定するのかということはありますが、監督責任を負うというのは最小限必要なことになるだろうと思うんです。ところが、この制度の難しいのは、先ほども申し上げましたように、従来の各大学が有しているブランド力とか強みを生かした連携を図ろうとするわけですから、それなりに各大学の個性を発揮する形での教育研究を認める必要もあるわけです。その意味では各大学に自主性をある程度認めませんと、そうでないんだったら最初から統合しようよという話になってくる。そこをどうするかだと思うんですね。そうしますと、やはり法人がグループ大学全体の運営方針をしっかり定める。従来は、A大学はA大学の方針、B大学はB大学の方針を決めていたのを、グループになるならそのグループの方針があって、そのA大学、B大学はグループの中でどういう役割を担うのか、という物事の決め方をするシステムにしないといけないだろうと思います。もしそういう形で法人がグループ全体の運営方針を定めて、実現のために必要な統括権限を行使しながら、しかしそのもとで各大学が自主的な運営、創意工夫を認めるという仕組みを作ったとすると、おそらくある程度各大学の学長に裁量が認められるようになると思いますけれども、それについてはやはり各大学の長が法人に対して責任を負うというシステムを作ることが必要になってくる。このあたりがどんな制度を取ろうと根幹になる部分で、あとは具体的にどの程度の権限を各大学の方に下していくのかといったようなところは、それぞれのこのグループを作られる目的等がありますので、一定の枠内で主体を認めていくというのもあり得るのかなと思います。個人的な見解ですけれども。

【有川座長】
ありがとうございます。はい、永田先生。

【永田委員】
おっしゃる通りだと思っています。先ほど、法人化前の国立大学は一法人のようなものだったと申し上げましたが、同じように考えれば、理事長を学長、それぞれA大学B大学の学長を学部長に置き換えると同じ構図なわけです。そういう信頼のもとに、実は現在学長の者は理事長の役割を果たして、という理解があればどの方針もうまくいくのではないでしょうか。理事長の役割が経営というのは当たり前なのですが、具体的な業務がどういう性格を持っているかをもっと明確にすれば、すんなりと理解できるのではないかと思います。つまり、理事長は現在の学長の役割と同じですよ、現在の学長は学部長と同じですよ、というように考えれば、どのように法律を作るかは別として、同じ構図だと言えます。なぜこういうことを言うかというと、先ほど酒井委員から経営と教学の関係について御指摘がありましたけれど、理事長の役割を企業の経営者と同じだと思うから非常に違和感があるのだと思うのです。国立大学の学長は現在、企業の経営者出身の者はいないけれども、最大限の努力をしています。それにはおそらく理由があって、国立大学がもともと持っているミッションを考えたときに、学長は教学上十分な見識があることが必要であり、その上で、経営力を持っていないといけないという、非常に難しい状況です。その二つの条件を外してしまって、教学を知らない人を理事長にすることはあり得ないと思います。ですから繰り返しになりますが、大学の経営と言った時に、教学のことを十分分かった上での経営なので、理事長が学長で、A大学B大学の学長はそれぞれ学部長と同じ構図になります。そう考えると、法律の作りは、原則について共通認識を持った上で、ある程度、柔軟、でよいのではないかというのはあるかと思います。

【奥野委員】
参考までにお話しするんですけど、公立大学の場合、最初は学長と理事長は一致しているところが多かったんですけど、今はかなりの大学で理事長と学長が別です。簡単に、こんなことをここで言うのはよくないかもしれないんですけど、私、大阪府立大学にいましたが、理事長と学長は一緒でした。知事は設置者ですので、仕組みとして非常に強い権限を持っています。つまり大阪府立大学をこうするって決めることができるわけです。簡単に言うと知事が理事長の機能を持っているわけです。言い換えると、公立大学の場合は、知事や市長が理事長になるわけです。そこが国立大学の場合とは違います。86の大学を設置したのが文部科学省になりますよね。理論的には先生がおっしゃる通りだと思うんですけど、国立大学の場合に、公立大学とすごく違うことが気になります。仕組みとして、階層が増えるだけになりませんかね?それが気になります。

【永田委員】
今の御意見を念頭に置いたときに、やはり学長の役割が重要であって、理事長が経営するとしても、学長の権限が教学上保証されていれば全然違うと思います。こういう教育研究をする、こういう社会貢献をするということを十分理解していない理事長の一存で決まることが、ないような仕組みを作ればいいわけです。各協議体の意見の中で、法人の長も学長も大臣任命にしたい、というのが分かりにくいです。英語に変えれば、諸外国の大学との関係を考えれば分かりやすいと思うのですが、国立大学の学長はPresidentと名刺に書いてありますけど、相手方の大学の学長はChancellorです。Presidentと話すことは例外的で、やはりこういうことをこれから一緒に教学上やりましょうと話すのは、教学の長であるChancellorあるいはVice Chancellorがほとんどです。まずは教学の長同士がしっかり内容を固めて、その後、理事会に上げていただいて、例えばこのデュアルディグリーをやりましょう、お金を出しましょう、ということを承認するという流れです。現場にあっては誰が任命するかとかいう問題ではなくて、学長というのは諸外国どこでも教学の長であり、それは揺るぎないです。そのような構造になっているという認識を十分持って、学長はこういう役割を持つ者であるということさえ念頭に法律を作れば、一つの法人に大臣任命者が複数いるということにならないという気がします。

【有川座長】
ありがとうございました。はい、村田委員。

【村田委員】
ちょっと話が色々な方向にいっているので戻しますと、先ほど土井先生がおっしゃった今日の御説明で、例えばスケールメリットみたいな話は出てきているんですけど、もう一つ、範囲の経済性というのがあって、おそらく土井先生がおっしゃったホールディングの話も関係あるんですけども、実は今回の四つの例のうち、岐阜と名古屋以外は範囲の経済性を持っていて、奈良女子大と奈良教育、それから北海道の三つの大学、そして浜松と静岡、この三つの例は全部分野が違うわけで、範囲の経済性を持っています。これは非常にすっきりするんですが、名古屋と岐阜の例というのは残念ながら違っていて、おそらくそうすると最終的に範囲の経済性だけでホールディングスするか否かというのはなかなか難しいわけで、先ほど土井先生がおっしゃいましたし、何人の方がおっしゃったように、最後はこの大学がこうありたい、つまりそれぞれの特性を残したまま、緩やかなホールディングスの形をとるというのであれば、ただし最終的に一大学への統合ということも将来は出てくるのかもしれませんが、その過渡期だとしても、それを認める制度としてやっていくとしても、一つはやはりホールディング制度を考えるとしても、範囲の経済性がある。実は範囲の経済性は一大学一法人で十分できるんですが、過渡期としていうふうな形で整理をして考えておくことも一つかなと思います。

【有川座長】
はい、金子先生。

【金子委員】
一つはどういう制度にするのかという、どの程度の縛りをかけるのかということですが、私ちょっとあんまり緩いのは問題があるかなと思っています。フランスの例が先ほど出ていましたが、フランスはかなり統合というのをやっていまして、この10年間くらいで。一つの大きな動機は大学ランキングに載らないんですね、フランスの大学は。だから一定のスケールを持つっていうことはやっぱり研究大学には重要だという、かなりあると思います。それからもう一つは、グラン・ゼコールという大学行革、大学ではない大学があるというところが重要なところですが。結構やっているんですが大分失敗しているんです。解いているというか、やめちゃっているところもかなりあると思いますね。やめるときは結構面倒くさいと思うんですよ。どこをどういうふうに。だから原則がないと議論は非常にしにくくなって、これは制度としてあんまりいい加減な立て付けをしておくと、もめるといいますか、やっぱり妙に非生産的なことになるのではないかなと私はちょっと考えます。もう一つ申し上げたいのは、メリットの件ですけれども、私メリットをもう一回希望している大学に具体的に書いてきてもらった方がいいかと思うんです。多分言われないことはかなりあるんです。例えば今言ったメリットの件ですけど、かなりあるんじゃないかなと思うんです。小さいからやっぱり目立たないっていう、日本の大学はやっぱりそういうふうになるので。やっぱりそれはかなり一つの動きだと思うんです。あと研究プログラムについても、こういうことができますよということはやれるんですが、これをきっかけに大学全体としてどんなものができてくるかという話ではないので、もし一か所だけでやるのであれば相当コストが大きいから学内の反対は相当出るのは当然。あとそれから、教育についても以前、国立大学はいくつも統合の話があったと思いますが、よく聞いてみると、結構、実態として教育課程が本当に足りないわけではなくて、統合したらいいだろうなという話で、二つの大学を統合したら例えば一般教育の過程で足りないところを補い合えるというメリットが本当にどの程度あるのかというのが具体的に考えられていないのではないか、というように私は思うのですが。あるのであればそういうものをやっぱり具体的に書いてきていただいた方がいいんではないかと思うんですね。もう一方で、コストの面から言えばですね、今でもキャンパスが離れている大学は相当なコストがかかっていますけれども、そういう物理的なコストだけじゃなくて、先ほどのメリットを実現しようと思えば、組織、資源財配分について、相当法人が裁量性を持つというのが前提になると思うのですが、これは実現の過程では相当大きな抵抗があるので、例えば教員一人当たりがもらう研究費みたいなものもですね、相当実態としては違うだろうと思います。一法人の中の違う大学だからそのままにしておくとか、一法人で経営統合しているから同等にするのかとか、そこら辺の具体的なイメージというのをやはりもう一回書き出していただくと、何が考えられるかというのが多分分かりやすくなるかと思うんです。非常に率直に申し上げて、今四つの申し出のある大学の全部に当てはまるようなモデルというのがあるかないか、私は非常に難しいと思います。さっき申し上げたように、あんまり甘い制度にしてしまうと、ちょっと興味があるからやってみて、次はまた考えますというのでは、本当に将来問題が生じる場合が結構あるのではないかというふうに思います。

【有川座長】
あまり甘い制度ということではないんだろうと思うんですが。国がやるわけですので、そこはちゃんとしたものになるんだろうと思います。今のメリットとかについても、質問を投げかけてみるということはしてもいいんじゃないでしょうかね。どうでしょうか。大丈夫ですかね。それはもう少し整理をして今日これから色々御意見等が出るかと思いますので、それをやっていくということにしたいと思います。はい。藤井先生。

【藤井(輝)委員】
はい。今の話に関連して、メリットっていうことなんですけれども、メリットももちろん色々あって、例えばコストの問題とかですね、あるいは職員も含めた人事的なスケールのことなど考えると、それなりにやり取りの幅は大きくなるんですね。あるいはキャンパスも離れていると色々とコストがかかるんですけれども、離れていることを生かして何かをできるかもしれないとかですね、色々なメリットは、現状の範囲内で想定できるメリットというのはあると思うんですけども、やはり先ほどの私の発言とも関係するんですけども、もうちょっとやっぱり積極、つまり今ある種ゼロサムで色々考えているので、それぞれ今例えば配分される予算をどう分けるかみたいな議論になると思うんですけども、やっぱりエクストラにどうリソースを獲得できるかという、そこのアイディアがやはり大事なんじゃないかというのが一点ですね。もし何かお聞きするチャンスがあるんであれば、そういうこともお聞きできるといいのかなというふうに思います。それが一点です。それからフランスの話が出ましたので、ちょっとコメントさせていただきますけど、フランスは今色々と統合が進んでいるんですけど、一つはやっぱりイデックスという大型の予算で複数の機関が集まるという誘導をずっとしてきているということもあって、その段階では乗っかってきていた大学もあるんだけれども、最終的なところでそっぽを向いた例もあったりしてですねということで、かなりそういう意味ではうまくいっている部分とそうでない部分とある。うまくいっている方は、確かに今年おそらく初めて100位以内にランキングが一つ、Paris Sciences et Lettersというのがランクインしておりますけども、ということがあるので、そういう外に対して見せるという意味では一定の成果を上げているという、フランスの場合はですね。ただ実情はかなりやはり複雑な構造になっていて、ある意味そういうものを全部飲み込みながら、フランスの場合はですね進められているのではないかという、これはコメントですが、と思います。

【有川座長】
はい。ありがとうございます。黒田先生。

【黒田委員】
制度設計においては先ほど土井委員が言われたああいうシステムになるのだろうと思うのですね。法人の長と学長の立場をどうするか。どのくらいの権限移譲を学長に与えるか、それは特定した大学によってそれぞれ違うと思いますけどね、私すごく心配しているのは文部科学省という国がこの法人に対してどのくらいの権限を持つかというところなのですね。その辺りをはっきりして、今の一法人一大学の国に対する権限と同じ権限を持たすとすれば、学長の任命まで文部科学大臣がしなきゃならないというふうな話になりかねないですね。ここで、法人の長も大臣任命、学長も大臣任命ということになりますと、法人の長というのは完全に浮いてしまいますね。というのは経営が主体というよりも、教学が主体で経営が成り立っているわけですね。だから教学をしっかりやった上で経営を改善していくという、そういうシステムが作られないと駄目ですから、本当に経営だけ、企業の経営みたいなことだけを法人の長がやったのでは完全に宙に浮きます。だから、その辺をどういうふうに考えるのか、やはり法人の長というのは学長以下全部を配下において責任を取るという、最終責任を取るというシステムを作るべきだと思います。そうしないと法人の長の意味がないし、法人の長の持っている権限もどのくらい各大学の学長に移譲していくのかと、そういうことなのですね。アメリカでは、法人の長は、学長に与えられた権限において、ちゃんと仕事をしているかどうかを評価するという、そういうシステムになっているのですね。法人が各大学の評価をしていくと。そういうことにしないと複数大学を維持するというのは非常に難しいのではないかと思いますので、その辺のルールの在り方、特に国立大学として継続して維持するのであれば文科省としても考えておいていただきたいと思います。

【有川座長】
ありがとうございました。法人の長も学長も大臣任命ということですけど、任命ということではなかったわけですけど、昔は誰でも助教授になると大臣発令ということで、それからだんだん教授以上になってきて、学部長以上は大臣から辞令をもらうということになり、最近は学長だけ。

【黒田委員】
確か国家公務員だったから。

【事務局】
おっしゃるとおり国家公務員でありましたので、おっしゃるように基本的には大臣が任命するという格好をとらしていただきましたけども、それを今お話にありましたように徐々に大学に降ろしていって委任している計画をとっておりました。

【有川座長】
そういうことは、あまり唐突感はなかったのかなという気がしますが、多分ここでは学長の方も大臣任命というのは学長の重み付けをしておこうということで、御指摘のように今度は法人の長がやりにくくてしょうがないという問題が出てくるだろうと思いますね。この複数の大学で協議をされる中でのことを考えますと、最初の案としてはこういったことが出てくるのかなという気がしますね。これはここでの議論などを踏まえて、整理をされていけばいいだろうと思っているところです。協議を始めるときにはしょうがないプロセスではないかという気がしております。はい、どうぞ。古沢委員。

【古沢委員】
ありがとうございます。今のお話は私も先日のヒアリングの時に非常に印象深くて、各大学の御説明で一法人になることのメリットというのが分からない一方で、学長と理事長をいずれも大臣任命にしてほしいというのがかなり要望という形で強く出している協議体が複数あったので、そうすると象徴的な問題、彼らの意向なのかなと思うんですけども、やはりせっかく一法人になること、機能させていくためにはどうするか、慎重に議論していくべきことかなと思います。先ほどから指摘があるんですけども、やはり四協議体全てではないですけれど、やはり将来的な大学としての統合というのも視野に入れているというか、想定しているというところはやはりあるのかなと思いまして、非常にいろんなパターンがあるのかなと思ったんですけども、ですからもうちょっと論点の中にその辺りの条件整備とかですね、そういうことになった場合の留意点みたいなものを踏まえた整理が必要かなと思います。

【有川座長】
ありがとうございます。

【森迫委員】
整理としてですね、今、国立大学、全て大学としてのミッションとか、人材育成の目標とかそれぞれ書いているわけですね。複数の大学を統合するというのは、一法人化するときに、法人としてのミッションは何かということと、それぞれの人材育成のことですね、法人としての人材育成、それから大学としての人材育成、それがちゃんと書けるとすれば、それがそのやり方で像がもう少し見えてくるんじゃないか、メリットもそうだと思うんですけども、そういうやり方もあるんじゃないでしょうか、そう思うのでそれを書いてもらったらどうかと思ったりはします。

【有川座長】
これは具体的にそういったことで申請というようなことをやるときには、当然書かなきゃいけないだろうと思いますね。それに従って審査されることでしょうから。この我々の調査検討の中で。

【森迫委員】
入れていったらどうなんでしょうかというか。

【有川座長】
現時点でのことということでもいいと思うんですけども、さっきのメリットの話がありましたけども、その中に法人として、あるいは大学としてのミッションというものをちゃんと書いてみてほしいということをお願いすることを入れましょうかね。

【森迫委員】
国立大学として国に対する責任というものをちゃんとしてほしい。

【永田委員】
具体的にどのようにしたらいいか分かりませんけれども、連携なり統合なり設置を認める仕組みはどうなるのでしょうか。それはこういう会議で決めるのではなくて、やはり新しくできる法律に則って判断すべきであり、何を要件にするのかという判断基準を決めておかないといけないと思います。案が持ち上がったらその都度議論して可否を判断する、というような問題ではないわけです。そうするとある一定の法律に定められた要件を備えつつ、さらに森迫委員がおっしゃられたことも踏まえて、だから今回法人を統合すること、あるいは連携することに極めて意義を認めるから可であるというふうになるのだと思います。一方、大学設置の方は、大学の教育研究の中身を見ていくことになります。今までになかった設置をするためのプロセスを考えることと同じだと思うのです。その時にメリットがないとか、一緒になっても何も変わらないというのでは認める意味がないので、森迫委員がおっしゃられたように、その要件を法律に明記しないといけないと思います。

【有川座長】
実際にスタートするときには当然そういったことを書かなきゃ駄目なんですけど、今この四つのグループが意向を示していらっしゃるわけですけど、その人たちに対して求めますかね。ちょっと気になるところですね。

【事務局】
具体的なプロセスに関してはちょっとまた協議が必要な部分もありますけど、基本的には中期計画・中期目標というところが、これは国立大学法人が国との関係を作っているので、新しい法人として中期計画・中期目標を作っていくという作業になっていくだろうというふうに考えます。それからアンケート、意見・メリットを出していただくという点についてですけれど、是非やらせていただきたいと思いますけれども、ご留意いただきたいのは、やはりそれぞれの今回四つの協議体に関しては目指している統合の時期というのが違います。32年度から34年度まで、今のところ、これもまだ案ですけども、なので協議の深度、その深まり度合いというのが、それぞれ当然にして違いますので、そこは一定程度ご留意いただければありがたいと思います。

【有川座長】
はい。

【藤井(輝)委員】
その関係で、中期目標・中期計画を多分法人単位で出すという話になるんでしょうけども、その中に設置する大学は、また個々に、その大学ごとにこういうことをやりますというのは、その法人の中期目標・中期計画の中に含まれる形で、そういう理解でいいでしょうか。

【事務局】
基本的にそういうふうになっていくだろうというふうに認識しています。ただ、具体的には多分複数のやり方があって、これはどこがどうすると具体的に決まっているわけでは全くありませんけども、既存の、例えば二つの大学の場合、二つの法人を廃止して新しい法人をさらから作るのか、それともどちらかの法人の方に寄せていくのかという問題も、これは具体的なプロセスの段階になると出てきます。なのでそこにも色々影響されるということになると思います。

【有川座長】
はい、どうぞ。

【藤井(良)委員】
基本的な質問で申し訳ないですが、実際に複数大学が一法人になる時に要件は決まると思いますが、それはどちらかで審査をして要件を満たしていれば認めるけども、そうでなければ認めないというプロセスになるのでしょうか。

【事務局】
一法人複数大学は今事例がございませんので、過去に法人同士統合した場合につきましては、特にそれは審査をしたというようなことはございませんで、各大学の意向に基づきまして法律改正をさせていただいたという形になります。

【有川座長】
今度あるとすると初めてなんですけども、提案されたらそのままどうぞというわけにもいかないんだろうと思うんですね。何らかのチェックというか、それは必要かと思いますけども。はい。

【藤井(輝)委員】
それとね、もう一つちょっと、奈良のやつの中にも書いてあるんですけど、その場合はですから、法人評価としては、中期目標・中期計画ベースで、国立大学法人に対してやるけれども、認証評価みたいなものはそれぞれ大学ごとにやる。そういう理解になるんでしょうか。その辺も、つまり機関の単位をどこにとっている、という課題ももしかしたら。

【有川座長】
現在の認証評価というのは学部別でしたっけ、そういうふうにやっているんだと思うんですけども。そこは大学という単位でやるということで、法人全体の評価とは別だと、そういったことを右の方に書いていらっしゃるんだと思います。

【金子委員】
ただむしろ、中期計画・中期目標の評価に関しては、かなり問題が生じるとは思います。大学の中に、しかもミッションにカテゴリの中でそれぞれ評価をしていますから、法人がそれを跨ぐ場合はこれは何か考えなきゃいけないんだろうと思います。

【有川座長】
そういう意味では中期目標・計画をしっかり、新たに書かなきゃいけないのだと思います。

【金子委員】
ただ今国立大学が三つ一応カテゴリに分かれていますけど、両方に跨る場合にはどうするのかという問題が残ると思います。

【事務局】
今よろしいでしょうか。中期目標・中期計画上はカテゴリを分けておりませんので、あくまで運営費交付金の評価配分の話でございます。中期目標・中期計画につきましては、例えばこれ公立大学法人の例ではございますけれども、教育研究の部分と業務面の部分と別れておりますので、教育研究の部分については大学ごと、業務面の部分については法人全体でというような書き方がございますので、そこはどのような書き方をするか、もちろん御議論いただきまして、その方針が決まった段階で、各大学に中期目標・中期計画の雛形を我々の方で示させていただくという形になるかと思います。

【金子委員】
多分そういう問題だけではなくて、実際の補助金の交付に関しては、違うカテゴリには違う評価があって、それぞれ違う評価に応じた補助金が渡されるわけですから、この場合は法人の段階ではなくて、大学レベルで渡されるわけですよね。法人としてはどうするのかという問題がありますよね。

【有川座長】
そうですね。評価の反映分というところですね。そういう問題もあると思います。

【永田委員】
設置の部分に関して、今までの事例は相談ベースで進めるということだったかもしれません。しかし、今までと違って、あくまでも色々な形態の色々なやり方でやりたいと言ってきている者に対して、国は、本当はグランドデザインの精神が含まれている設置基準により判断しないといけないと思います。今後の高等教育の在り方を全部見据えた上で、だからこういうところをやってください、というふうになっていないといけないので、構想を持ってきて相談したらその都度判断される、ということはあり得ないと思います。これまではそうだったかもしれませんが、今後はこういうことが色々な理由で加速していくと思います。スケールメリットの問題もあるかもしれませんし、教育研究の評価かもしれません。色々なメリットが出てくるときに、国が、今後の高等教育はこういう方向に進むという精神を込めた法律にならないと意味がないので、プロセスは変わらなければなりません。申請を認めるか認めないかは、十分フィロソフィカルに対応できる内容でなければならないと思います。

【有川座長】
そういったことをやるための根拠になるようなものを検討していって法律改正してそれに則ってやっていくかどうかのチェックをしていただくと、そういったことになるんだろうと思うんですけども。はい。

【事務局】
永田先生がおっしゃった点については、やはりプロセスの透明性を図っていくという観点が必要だと思いますので、それを法律上位置付けるかという問題は別として、例えば既存でも中期目標・中期計画については評価委員会にかかっているのがありますので、何らかのプロセスで評価委員会も含めて一定の形で確認いただいてゴーサインを出すというふうなことをちょっと考える余地があるんじゃないでしょうか。

【有川座長】
設置の時の話ですけど、新しい一法人複数大学というものを設置するときのことですね。申請してそれでいいかというとそうではないだろうという話ですけれども、それと評価の問題について。

【事務局】
既存のそういう場を使うか、新たにそういうパネルみたいなものを作ってそこで審査いただくかという問題はあるかと思いますけども、いずれにせよ一定のやはりそういう透明性を持って、役所だけではなくて有識者の方も入っていただいて確認したうえで進めるというふうな、それについては考えないといけない。

【有川座長】
北野室長、よろしいですか。

【事務局】
はい。

【有川座長】
国立大学同士の統合というのはたくさんあったわけで、101ぐらいのもが86とかになった、それぐらいやってきたわけですけども、そこのやり方と今回のことはちょっと違うんじゃないかと思うんですけども。それでよろしいですか。はい。

【森迫委員】
同じことを言うようなんですけど。各国立大学は今ちゃんと人材育成の目標であるとか、中期計画に書いているので、僕はそれで分かりやすいんですけども、法人としてのそういうのというのはどんなイメージで書かれようとしているのかというのをイメージで、今の段階はイメージでいいと思うんで、そういうものが書けないんでしょうかねということなんです。要は例えば北海道の場合は地域が三つあります。分野も違います。それを統合するというか、法人を統合することによってどういうことを狙っているんですかというようなことを、メリットと同じことなんですけども、それをちゃんと書いてもらう。そのときに、そうすると例えばちょっとローカルな側をやりましょう、世界的なことをやりましょうとかっていう部分もあるでしょうし、その中で例えば同じ教員だったら同じ研究費にしなきゃいけないかというようなこともですね、その中で課題として出てくるでしょう。それぞれの大学の特徴を生かしながらメリットを作ろうとすれば、そこの中で構想も出てくるので、各課題も出てくるのではないかという意味で書いてもらったらどうか、法人の側ですね、特に法人の側です。

【有川座長】
はい。そういう点では、今日の最後についてる奈良の図の右等は、さっきの学長の大臣任命というところがあったのですが、割と分かりやすく書いておられますよね。こんな感じのことですかね。

【森迫委員】
そんなきっちりしたものでなくていいんですけどね。

【有川座長】
おそらくこの我々の調査検討会議としても考えられる、今日、グループの例がありましたし、外国のもありましたし、それから議論等も踏まえまして、いくつかの形というようなものが見えてきたように思いますが、この辺は多分事務局の方で次回ぐらいまでに少し整理していただいて、そういったものを持ちながら議論を深めていくことになるのかなと思います。それでよろしいですか。負担があるかもしれませんけれども。

【事務局】
そうですね。次回はできればもうちょっと図示化したようなものをですね、いくつかパターンとして準備したいというふうに考えています。

【有川座長】
はい。

【村田委員】
今日の論点整理のところで、今ほとんどの議論が一法人複数大学の意義・必要性のところで議論が、今日はそこに集中したかと思うんですが、二番目の基本設計の在り方、若干そういう意見も出たかと思うんですが、法人の長と大学の長、この任命の件も含めて、その辺りの議論は次回になるんでしょうか。

【事務局】
そのようになります。

【有川座長】
今日の議論の中で、基本設計などについても考えなきゃいけないかという意見をいただいたかなというように思いますが、まだ何回かやっていくと思いますので、その中で議論していただければと思います。はい。

【藤井(良)委員】
各協議体からそういう御意見をいただくことはいいことだと思うのですが、より煮詰めるためにはいいと思うのですが、御意見をいただいてそれをどう活用するかということですが、先ほど設置のやり方にも関わると思うんですが、自由度が高いとすると、これはメリットが出てきたときにどういうふうに活用するのか、我々がただ知りたいということでアンケートをやるということなんでしょうか。それを生かして何かしらの縛りを作るみたいな話であれば、より意味があると思うのですが、そういう方向でそれを使うということでしょうか。

【有川座長】
現時点ではですね、それは縛りを設けるってところにはならなくて、この我々の調査検討の活動の一環として、どういうふうにお考えかをお聞きする。前回のヒアリングも実はそういうことだったわけでございまして、そういう点で色々と突っ込んだやり取りもあったかというふうに思っております。はい。

【金子委員】
私はこの委員会としてやはりこういう改革をする必要であるということを訴えるためには、基本的にはどういうニードがあるかということを知っておく必要があるだろうと思います。それから非常に現実的には、学内の中で必ずしもコンセンサスができているわけではないと思いますので、それはやっぱり各大学でも説得することができるかどうかっていうことは非常に重要で、現実的な議論として制度を作ってもできないなんてことは私十分あり得ると思うので、それはやっぱり議論されておくべきだと思うんです。それとですね、もう一つは各大学に聞くときにもう一つはっきり申し上げなかったんですけど、なぜ統合ではいけないのか、統合ではいけない理由とは何なのかということも、これは言いにくい部分も相当あるだろうと思いますが、言える限りで統合ではなくて一法人複数大学の方がいいんだという理由をやはり出していただくと良いかと思います。

【有川座長】
それぞれ表現はしていただいて、プレゼンをしていただいたんですけども、改めておっしゃっていることは、一法人一大学ではなぜできないかっていうようなことも含めてですね、お考えをお聞きする。それから学内の合意形成というのは非常に難しい中で複数大学に跨ってやりますので、意見をまとめるっていうのはすごく大変なことだと思いますけども、この辺はそれぞれの法人の代表者達がお話になって対応していただくしかないんだろうと思います。

【土井委員】
基本的に我々の会議の役割は制度を設計することであって、個々のグループの考えておられることが適当かどうかということを判断する場ではないと思うんですね。ただ制度を作る際にどこも使えないような制度を作ってしまうと、作ることに意味がないので、その限りでどういうことをお考えなのかは伺っておく必要はあると思うんです。それを踏まえた上で、我々がおそらく早くしないといけないのは、最低限制度が備えているべき基本的な考え方・仕組みを明確にして、こういう枠組みなら考えられるということを提示して、その枠組みをどう生かして、厳しい競争環境の中で単独ではなくて共同しながら競争を生き残っていこうとされるかというのは、まさに各大学の経営責任の問題になるんだろうと思うんです。なので、各グループに聞いていただくときにも、制度との関係でどうかという点を我々としては伺う。またそれを制度設計に生かす限りなんだろうなと思います。

【有川座長】
はい、これから今日ございましたようなことをするにあたって、どういうスタンスでやるかということについてご注意いただきました。他にございますでしょうか。そろそろ時間に近づいてきたんですけれど、まだ5分ぐらいございます。はい、どうぞ。

【酒井委員】
次回の議論には間に合わないかもしれないんですけれども、持ち株を持つ場合と今のままでいた場合との比較をですね、中長期的にこうなしうる、あるいは事前に評価できるようにするために、やはり一定程度の共通したKPIを考えておく必要はないでしょうか。それはおそらく従来のKPIと同様なものを使用するのかもしれませんが、数量的及び質的なところで、それぞれの大学がどのように次の展開を考えているのか、今落とし込むのは難しいかもしれませんけれども、御議論いただくことも必要なんじゃないかという気もします。

【永田委員】
今の御意見は、理事長と学長の権限を決めなければ難しいと思います。例えば、理事長に人事権があるかないかで全然話は変わってしまいます。ですから、両者の機能を決めてからでないと、現状ではKPIは出せないと思います。

【有川座長】
先ほどから出ていましたメリットの側からということにしますと、KPIというようなことがあるだろうということにつながってくるだろうと思うんですけれども、そこでやっぱり大元のところをやっておかないとそれによってずいぶん違ってきますから。

【村田委員】
よろしいでしょうか。おそらくそこまでまだ各大学の議論が煮詰まっていないんだと思うんですよね。ちょっと難しいかなっていう、もう少し煮詰まってからでないと、と思いますけどね。

【有川座長】
はい。なかなか難しいところかなと思います。調整のスタート時点は、こういうものでしょうが最終的な案を出される時には、整理されたものになるだろうと思います。
他に何かございますでしょうか。あと5分ぐらい残っておりますけども、今日は三回目ということで、最初の議論を踏まえて、そして四グループにヒアリングをして、それから外国のケース等を示していただいた上で議論していただきました。先ほど御指摘のように、足並みの不揃い等もあったかもしれませんけども、非常に大事なことについて議論できたのではないかというふうに思います。今日の検討会はこれで終わりにしたいと思います。事務局の方からアナウンス、その他ございましたらどうぞ。

【事務局】
はい。お時間ありがとうございました。次回のアナウンスする前に一点だけ、すみません、補足させていただきたいと思います。随分前の段階で、先ほど奥野委員の方からあくまでヒアリングの印象論だったと思うんですけども、奈良と北海道の流動性等についてあまりなかったとのお話があったと思うんですけども、捕捉ですけども、北海道にしても、それから奈良にしましても教員を持ち寄って何かやるとか、あと教員・職員の流動性、人材の流動性というのは明確におっしゃって、お考えになっておりましたので、捕捉させていただきたいと思います。すみません、次回の御案内です。本日はありがとうございました。第4回11月14日水曜日13時半から開催させていただきたいと思います。また詳細につきましては、改めて事務局から連絡させていただきます。ありがとうございました。

【有川座長】
それでは本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

(以上)

お問合せ先

国立大学法人支援課