資料2 第4回 経営系大学院機能強化検討協力者会議における委員の主な御意見(概要)

【今後のビジネススクールの在り方について】


(ビジネススクールの在り方について)


・ ビジネスのコアが分かっていて、かつ時代の流れに対応したビジネスを構想できる人材を育成しなければならない。


・通信技術の発達により、IoTやAIなど、これまでの社会を大きく変革させるような技術があらゆる産業に進出している。また、eコマースがどのようなビジネスモデルにも入って来るという時代になっている。ビジネススクールの役割として、このような事態に合わせて何をすべきかということを教えていかなければならない。


・これからの企業の中核を担っていくミレニアル世代への教育が重要で、それができなければ企業は成り立っていかない。


・その国の文化をきちんと理解した上でビジネスを行う方法を教えるために、教育へ大きな投資をしなければならないと考える。


・今、市場や機会はアジアにあり、これをいかに活用するかということを知る必要がある。その必要を満たすことが、アジアのビジネススクールが取るべき道だと思う。


・アジアの世紀と言われているように、今後も成長を牽引するのはアジアだと思う。一方、アジアは高齢化の時代に入って来ているので、生産性を上げる必要があり、ビジネススクールもそれに対応していかなければならない。


・外資系企業や海外の企業に人材を供給する面では海外のビジネススクールと競争している、という観点もビジネススクールでは重要だと思う。


・海外の先進的なビジネススクールにおけるデータをベンチマークとして、日本のビジネススクールとの違いを示す資料があれば確認したい。


・今後日本のビジネススクールが国際認証を得て、ランキング入りを目指す時に、ダイバーシティや卒業生の年収についてなるべく高い得点をあげないと難しいが、多くのビジネススクールにとっては海外の有力校に伍していくというのはハードルが高いと思う。年収に関しても日本企業の賃金体系から考えると、MBA取得者に破格の待遇をすることは、中々考えにくい。


・日本のビジネススクールの全てが国際的な認証を得てビジネススクールのランキング入りを目指すというのは現実的でないと思う。むしろ、自身のコアコンピタンスをきちんと認識し、その上で戦略を立てていくことの方が現実的ではないか。

  

・ 国際認証を得て、グローバルなビジネススクールたらんとするグループ、産業界や地域のニーズを踏まえた特色をもったグループ、人生100年時代構想会議等で提唱されているリカレント教育の受け皿を担うその他のグループがあり、グループ毎に立てるべき戦略が違ってくると思う。そういった戦略について、今後この会議で議論する場があってもいいと思う。


・日本のビジネススクールが、一律に国際化を目指す論調は大変危険。ランキング自体もビジネスだという意味では、ランキングを上げるための方策に全て迎合していくのではなく、日本の在り方を考えながらビジネススクールの機能強化を考えることが非常に大事だと考える。ただ、それをいつまでも言い続けて、国際的に光るビジネススクールが無いという状況の中で、グローバルに活躍したい人材の受け皿や供給源となるビジネススクールが無いというのも非常に困る。また、全てが地方でファミリービジネスなどの特色を打ち出すというのでも困る。


・地方でのジョブマーケットと、他方ではグローバル化したジョブマーケットがあり、ビジネススクールとしては両方見なければならない。二者択一ではなく連続体の中で議論する必要がある。


・グローバルなジョブマーケットで戦える人材を、日本の教育機関が養える状況にあるか、そこから始まらないといけない。ランキングに登場することが、日本の教育機関として土台にナショナルなものを持ちながらグローバルな人材を育てることにはならないと思う。このような場で、そのような点について詰めた方がよいのではないか。


(地域におけるビジネススクールの在り方)

・地方大学と地方経済の活性化について、企業の9割以上が中小企業であり、特に中小企業の活性化が成長戦略の大きな課題になっている。中でも事業承継の問題、高齢化が進行しており、試算ではこれからの10年以内に経営者が70代になる企業は245万社になるということで、その大半が後継者未定である。地方のビジネススクールには、経営リーダー育成の担い手としての役割が期待される。


・地方大学のビジネススクールが、事業承継に果たせる役割の一つは場づくり。経営者や後継者は孤独で、事業承継の課題に直面する仲間同士のネットワークという観点。もう一つは、実践と知の体系を行ったり来たりすること。カリキュラムの中身自体はテクノロジーで安価かつ手軽にアクセスできるが、実践と知の体系を行ったり来たりすることに関し、ローカルに根差した教育機関ならではの強みがあると思う。

(ビジネススクールにおける教育について)

・古いテクノロジーを使っている教授は、学生に見向きもされない。インターネットで自分で調べて知りたいことを知ることもできてしまう時代に、学生に対し、きちんと教育者が系統立った形で教育し、学生に質問し、クラスに参加させることが必要で、そのために新しいテクノロジーを活用すべきである。


・ビジネススクールでは学修と教育が重要で、どのようにして学ぶか、どのようにして教えるかということを、学生と教員がスキルとしてきちんと持たなければならない。


・今の学生にとって、互いに教え合ったり学び合ったりして尊敬し合えるような学び方は非常に重要で、そのためにインフラストラクチャーの整備が必要。また、企業に入ってからトレーニングし直さなくても、学生が即戦力になれるようなツールに投資することは非常に重要。


・学際的なプログラムは重要で、工学系や文科系などの学部との協力が必要。

(認証評価機関の在り方について)

・認証評価機関は、ビジネスのコアを理解し、時代の流れに対応したビジネスを構想できる人材を育成しようとするジネススクールを認証し、そのような活動を強化するようアドバイスするというのが適正な在り方。

 

・ビジネススクールとしての要件を満たしているか分からない状態でビジネススクールが学生募集すると、大きな混乱を招くため、認証評価機関は非常に重要。ただし、今の時代が求めるビジネススクールの要件を、認証評価機関がきちんと把握して、それに沿って評価しているかは疑問。

 

・ビジネススクールによるプロモーションはうまくいっていないし、認証評価機関もあまり権威をもって迎えられていない。ギャップを埋めるような形で、お互いが努力していく方向性が必要だと考える。

 

・認証を得ることは、必ずしもビジネススクールの目的ではない。一方、海外から学生が来る場合、認証を得ている方が、安心感があり学生のグローバル化に非常に有効であると考える。

 

・ ビジネススクールが何をすべきか認証評価機関が考えるべきという意見があるが、それを考えるのは各ビジネススクールだと思う。ビジネススクールが自らの方向性を示し、その方向性に沿って一貫性を持っているか見るというのが、認証評価機関の役割ではないか。

 

・法定要件としての認証評価機関は、事実上ビジネススクールのネットワークとなりうる能力を持っていない。EFMDやAACSBには、民間で相互に強調しながら盛り上げていくという団体機能があるので、そのようなビジネスが成り立っている。

  

・認証評価機関が評価だけをしていてもあまり意味が無い。AACSBやEFMDには、産業界や他大学との連携等を提案、促進するような機能強化や連携促進のスキームがある。日本の認証評価機関も、そのような役割が担える団体であってほしい。

【ビジネススクールと産業界との協働の推進について】

・ ビジネスリーダーを育成するという根本、そのために世の中の動きを研究、発信し教育にフィードバックしていく仕組みが必要。各大学だけで難しい点は共同で実施し、国が方向性を示すというスキームが必要ではないか。


・特色だけを打ち出すのではなく、ビジネスリーダーとしての基本の志や知識を教えるプラットフォームがあって、その上に色々なダイバーシティはあっていいだろう。連携のような形というのが、機能強化の方向性としてあり得るかと思う。


・各大学による個別の取組にオーバーラップして何か行うということではなく、むしろ産業界の視点や国際化の進展等の中で、もう少し有効にリソースを使い、教育、研究、情報発信ができるネットワークの構築ができれば、魅力が高まるだろう。


・ ビジネススクールと産業界の連携による取組によって得られた利益の一部を連携するビジネススクールや企業に還元できる構造を考える必要がある。


・ 産業界にとって何が魅力なのかを理解し、連携していくためには、大学が相手と共生することや競争するという視点が必要。


・産業界との連携を考えた時に、認証評価機関がビジネススクールのネットワークであるならば、連携の受け皿になり得るのではないか。

【ビジネススクールにおける研究の重要性について】

・ 基礎研究と応用研究の両方を行わなければならない。ここから企業との繋がりが求められていく訳で、理論的な研究のみならず、実践的な研究もできなければならない。ビジネス界のみならず、地域社会にもインパクトを与える研究成果を発信することが非常に重要。


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