大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(平成28年度~)(第4回) 議事録

1.日時

平成29年9月14日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎4号館 12階 全省庁共用1214特別会議室

3.議題

  1. 看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.議事録

【浅田座長】  皆様こんにちは。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので,ただいまから第4回目となります大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開催いたします。本会議は冒頭より公開とさせていただきますことを御了承ください。なお,カメラの撮影につきましては,議事に入るまでとさせていただきますので,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は,前回の検討会を踏まえて実施いたしましたパブリックコメントで多数の意見を頂きました。その意見を反映したモデル・コア・カリキュラムの案について御審議いただきたいと思います。
 それでは,最初に本日の出席状況について事務局よりお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  座ったままで失礼いたします。まず,8月1日付で事務局の人事異動がございましたので御紹介いたします。眞鍋医学教育課企画官でございます。

【眞鍋企画官】  マナベでございます。よろしくお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  まだ秋山委員と嘉手苅委員が遅れておりますけれども,本日は委員19名,オブザーバー1名,計20名全員に御出席いただくということになっております。詳細は添付の委員名簿を御確認願います。
 なお,今回,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定ワーキンググループにおいてパブリックコメントで提出された意見に対する修正案を御検討いただいたことから,ワーキンググループの座長である内布委員にもお越しいただいております。
 また,チーム医療を担う医療人養成の観点から歯学教育及び薬学教育の有識者として前田健康参考人と市川厚参考人に御出席いただいております。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。両参考人におかれましては,歯学教育,薬学教育のお立場から適宜御意見を頂きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  本日の配付資料の確認ですけれども,まず座席表,それから会議次第,資料1が看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)になっております。資料2が看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)に対するパブリックコメント意見のまとめ及び対応について,資料3は関係団体からの意見書,資料4は今後のスケジュールの案,資料5は大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会について,それから机上資料の1としましてパブリックコメント及び大学等からの意見を冊子としておいております。机上資料2が看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)と学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標との対比表となっております。机上資料は委員のみの配付になっております。参考資料1から10は冊子にあるとおりです。机上資料1及び参考資料のファイルは持ち帰らずに置いて帰るようにお願いいたします。
 事務局からは以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。皆様,資料はそろっていますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,議事に入ります。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 では,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの案を審議していただきますが,まず事務局から前回の会議以降の動きについて説明をお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  まず資料1,資料2,及び机上資料1の方を御用意ください。6月15日の第3回検討会においてモデル・コア・カリキュラムの案について御審議いただきました後,7月5日から8月3日までのパブリックコメントを実施いたしました。パブリックコメントにおいて提出された意見を基に看護学教育モデル・コア・カリキュラム策定ワーキンググループの先生方に意見を見ていただきまして,修正作業に御協力を頂きました。
 資料2の方に基づきまして,その内容について御説明させていただきます。資料2をごらんください。「看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)に対するパブリックコメントまとめ及び対応について」ということで,実施期間は今申し上げたとおり,7月5日から8月3日まで。受領意見の概要ですけれども,意見件数は計3,867件でした。内訳はお示ししていくとおりですけれども,まず中身について御説明申し上げます。全体,構成についてというのが332件。主な意見としましては,コアカリが「看護学」という学問を教育するものであり,どのような理念をもって看護学教育を行うのかという点が示されていない。看護学の構造が分かるような枠組みにするべき。
 2,学士課程の卒業時到達目標が5群と20の看護実践能力の今後の扱いや,コア・カリキュラムとの関係について。
 3,医歯薬の教育者から見て看護学で何を学修するのかは分かる。
 4,現行カリキュラムにおいて,コアカリの内容は実行可能である。
 という主な意見です。主な意見に該当する意見の抜粋になりますが,1は医療人養成として医学,歯学,薬学に合わせた枠組みになっていますが,看護学が医療人という範疇に収まらない内容であるという議論が看護学の中でもあると。看護学の構造が分かるような枠組みにすべきと考えます。看護学は疾患だけを学ぶのではなく,対象特性に合わせて看護を展開することになるので,疾患だけを詳細に列記するのではなく,看護と結び付いた形で示すことが必要だと考えますという意見です。
 丸2は,平成23年3月の学士課程の卒業時到達目標と整合性を図ったとあるが,どのように整合性が図られたのかが分からない。
 丸3は,医歯薬と同じ記載形式となっており,医歯薬の教育者からも看護学を捉えやすい工夫がなされています。Cにおいて看護の対象理解を「生活体」と「生命体」の両方の側面から融和的に捉え,生命体の「正常」と「異常」の理解に立脚した上で,薬物治療を理解するという構成は学生にとっても教育する側にとっても分かりやすいと感じます。
 丸4に対しては,本学科の現行カリキュラムと照合した結果,看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)の内容は,本学科の現行カリキュラムにおいて既に遂行されていることを確認しました。したがって,策定内容は実行可能ですというものです。
 以上の御意見を踏まえまして修正のポイントとしましては,モデル・コア・カリキュラムの位置付けについて説明を前文に加筆させていただいています。
 看護学の独自性が社会的に認知されている現状を踏まえ,目指すものはコアコンピテンシー獲得であること,それを目指してより詳細に学修目標を示したものが本モデル・コア・カリキュラムであることを加筆しております。各大学における活用について参考にするものと位置付けを明確にもしております。
 本文につきましては,大幅な修正をしておりますので,修正部分についてこれから読み上げたいと思います。資料1の方を見ていただきまして,2ページ目の2行目,モデル・コア・カリキュラム策定の趣旨というところからになります。
 本モデル・コア・カリキュラムは,看護学系の全ての大学が看護系人材養成のための教育において共通して取り組むべきコアとなる内容を抽出し,各大学におけるカリキュラム作成の参考となるモデルについて整理したものである。もとより,大学におけるカリキュラム構築は各分野の人材養成に対する社会的要請や学問領域の特性等を踏まえつつ,各大学が独自の理念や特色に基づいて自主的,自律的に設定するべきものである。本モデル・コア・カリキュラムはこのような前提の下,平成23年報告書で示された「学士課程版看護実践能力と到達目標」の活用状況や,制度改正を含めたその後の看護学教育を取り巻く環境の変化を踏まえ,学士課程における看護師養成教育の充実と社会に対する質保証に資するため,学生が看護学学士課程卒業時までに身に付けておくべき必須の看護実践能力について,その習得のために必要な具体的な学修目標を看護学系,大学関係者を始め,広く国民に対して提示することを目的として策定したものであるとコアカリの定義,策定の目的を改定についてこのように明記いたしました。
 「学士課程版元看護実践能力と到達目標」とここで示しておりますのは,平成23年の報告書で,学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標として出された5群20の看護実践能力,コアコンピテンシーのことになりますが,このコアコンピテンシーを学士課程卒業時に習得するために学生が学ぶべき学修内容をリスト化したものであるということをここで言っております。
 また,本モデル・コア・カリキュラムの位置付けがより明確になるよう,資料1の表紙には,副題としまして「学士課程においてコアとなる看護実践能力の習得を目指した学修目標」と付けております。
 同じく資料1の2ページ,18行目からになりますけれども,各大学がカリキュラムを編成するに当たっては,教育内容だけでなく,その内容を学修するのに必要な時間数や単位数などの量的な設定も検討の大きな課題となる。本モデル・コア・カリキュラムは,カリキュラムの枠組みを規定するものではなく,授業科目等の設定,教育手法や履修順序等を含め,カリキュラムの作成は各大学が判断するものである。各大学においては,カリキュラムの編成や評価の過程において,本モデル・コア・カリキュラムに示した学修目標が含まれたものとなっているかという観点から参考として活用することを期待するというように,本モデル・コア・カリキュラムがどのように活用されることを期待しているかを明記しております。
 続きまして,資料1の方では13ページの方になっていく話ですけれども,Aの看護系人材として求められる基本的な資質と能力に対する御意見になります。これに対する御意見は532件です。主な意見としましては,到達レベルの設定が高い,重複する内容があるということへの指摘でした。その主な意見に該当する意見の抜粋になりますが,到達レベルに関しましては,例えばA-1のプロフェッショナルリズムのところで,あらゆる役割の発揮,創造を進めるとなっているのですけれども,学士卒業レベルとしては高過ぎるのではないかということですとか,A-2-2)で看護実践能力の狙いで,統合された知識,技能,態度に基づき,根拠に基づいた全人的な看護実践を学ぶというものに対しては,技能では狭過ぎという意見で,技術とすべき。実践能力ですが,学ぶだけでよいのかなど,技能のレベルを学士に求めるかなどというような意見がございました。
 また,A-7-3)の学修目標で,2と3で文化の多様性がダブっているというところで重複の意見を頂いておりました。
 修正のポイントとしましては,到達レベルの修正をしまして,例えばA-5のところで申し上げますと,「何々の役割を担う」というのを「役割を担うための基盤を学ぶ」というふうに変えております。
 また,A-3のところでは,「国際社会,多様な文化における看護職の役割」と学修目標も修正しております。
 その他,文言を「対象者」というのを「人々等」に直すようにしております。
 B項目の社会と看護学に対しましては,351件でした。主な意見としては,詳細な記載,特に括弧の中にある健康に関する概念などを示していたのですけれども,それらの表記が細かいという意見ですとか,統一した定義が不明確な文言への指摘,関連する法令の追加などでした。主な意見に該当する意見の抜粋としましては,例えばB-2の社会システムと健康のところで,学修目標の抽象度のばらばらという意見ですとか,B-2-3)の生活ライフスタイルと健康の関連のところでは,学修目標7でソーシャルキャピタルの概念と人々の暮らしや健康との関連についてということなのですけれども,ソーシャルキャピタルは概念的にも一貫した捉え方がないので,ここでは社会資源とした方が望ましいというような御意見。また,B-2-6)のところに示してある括弧の中に学校保健法というのがあったのですけれども,これは学校保健安全法に改正されたというような意見がありましたので,そういうところは直すようにしております。修正のポイントとしましては,そこにありますように,詳細に列記した表記,括弧の中を削除しまして,項目を整理しています。
 C項目の方は,「看護の対象理解に必要な基本的知識」で,782件でした。主な御意見としては,C-3の生物学的存在としての人間理解について細か過ぎる。また,生活者としての側面の項目に対する御意見もありました。主な意見としましては,Cの「看護の対象理解に必要な基本的知識」では,生物学的存在としての理解,疾病と回復過程の理解に偏り過ぎており,生活モデルから医学モデルに回帰したように受け取れ,誤解をされる内容,比重になっているというようなことですとか,生活体の方については丸2になりますけれども,C-2-1)生活過程で丸3の排せつ習慣,排せつと様式等の生活の中での排せつのありようを理解できるというようなことですとか,丸8の子供を産む仕組みについて理解できるというような表記があったのですけれども,このありようですとか仕組みといった表現が曖昧というような御指摘でした。
 これらについて修正としましては,まず,「生物学的存在」という言い方は改めまして,「生物学的に共通する人間の身体的,精神的な側面の人間理解というふうに変えております。
 また,狙いの文言で,身体的・精神的側面から人間を理解するために必要な医学関連知識を学ぶ。これらは全て看護実践において臨床推量の根拠として活用できること,知識を統合して全人的にアセスメントすることのために活用されるものであるということを追加しております。
 また,C-2については,生活者としての側面について項目を増やしまして内容を整理しております。疾患名の羅列についての御指摘については,系統でまとめております。御参照ください。
 Dの看護実践の基本となる専門基礎知識は1,305件でした。主な意見としては,到達レベルの設定が高いということ,また,各学修目標に示す内容が分かりにくいというような内容になるかと思います。主な意見としまして,到達レベルに関してですけれども,D-3-1)の発達段階に特徴付けられる看護実践のところで,いろいろ実践ができるということが書いてあるんですけれども,それぞれの実践は難しいというような御意見です。
 また,D-3-4)では,分かりにくいところになるのですけれども,老年期にある対象の看護実践で,「高齢者の健康危機を予防的にアセスメントできる」の「予防的にアセスメントできる」の表現では意味するところが分かりにくいというような御意見でした。
 修正は,到達レベルの修正をしました。「実践できる」というのを「説明できる」というふうに変えているところが多いかと思います。また,分かりやすい表現への修正で,今御指摘の「予防的にアセスメントできる」は「何々についてアセスメントし,予防する看護を説明できる」というふうに変わっております。
 E,多様な場における看護実践に必要な専門知識は386件で,主な御意見としては各学修目標に示す内容に対する修正意見,また,災害時の看護実践への意見もございました。学修目標に示す内容につきましては,E-2-1)の丸7で,「介護予防,疾病予防,健康回復,維持,子育て,障害,生活リハビリテーション,人生の最終段階における看護の必要性について理解できる」というのは,「健康増進,予防,健康危機,健康回復,維持,障害,生活のリハビリテーションといった健康レベルに応じた各段階と出生から人生の最終段階までのライフサイクルにまつわる各期の看護の必要性について理解できるにした方がよいなど,内容については詳細な指摘を多々頂いております。
 また,災害時の看護実践については,我が国が今後40年,50年以上向き合わなければならない原子力災害に関することが明示的に示されていないということで,目標の追加について御指摘がありました。
 修正としましては,地域包括ケアにおける看護について適切な表現へ修正をするなど,変えてございます。災害についても学修目標の修正をしております。
 F項目の臨地実習は157件で,主な御意見としましては,各学修項目に示す内容が分かりにくい。示された看護技術の実現可能性への御意見でした。分かりにくいというところでは,F-3-2)で,チーム医療の一員としてのケア参画の丸4,チーム医療を作るための基本を説明できるというのは,基本の内容が不明瞭で,どのような内容を想定されているのかが分かりませんが,チームメンバー間の協力と相互依存関係について説明できるというような内容も必要ではないかというような学修目標の修正意見でした。
 F-2を削除し,小項目へということですが,これは看護技術についてなのですけれども,看護技術があって,看護実践があるのではなく,看護の実践の中で技術を用いるため,小項目がふさわしいというような御意見で,これは技術については看護過程の1項目に含めるというような修正をしてございます。
 Gの看護学研究は100件で,主な意見としては,到達レベルの設定が高いということで,下にありますように,学士教育において研究者としての自立を求めることはないが,単なる知識ではなく,研究の実践を通してそのプロセスを学ぶことは重要であるG-2-3)で研究活動の実践という項目もあることから,「学士課程においては,看護学研究の成果を読み解き,より良い看護の在りようを考察し,看護学研究を介した課題解決のプロセスを学ぶことを通して,将来的な種々の研究活動の基盤を作ることが重要である」という一文は削除することが望ましいというような御意見でした。
 修正のポイントとしましては,学士課程である以上,看護研究は教育内容に含まれる必要はあるということで,どのような研究──的な取組も含みますけれども,にするかは,各大学の判断に委ねるものであるため,「指導をうけながら」という文言を入れて学生の学修過程と位置付けて,その他,分かりにくい表現を修正しております。
 続けて資料3になるのですけれども,そちらを御用意いただければと思います。各団体からの御意見になりまして,それとその対応について御説明申し上げます。
 4つの関連団体からの御意見でした。1つ目が,日本看護系大学協議会で,御意見としましては,看護学並びに看護学教育の独自性が反映されていない,本モデル・コア・カリキュラムが大学における教育内容の評価基準や大学設置基準に用いられることを危惧するという意見です。
 おめくりいただきまして2つ目が,日本学術会議第二部健康・生活科学委員会看護分科会からで,御意見としましては,日本学術会議からの報告「大学教育の分野別質保証のための教育編成上の参照基準:看護学分野」の発表を待ち,その内容を踏まえ再検討いただきたい。また,参照基準が学士課程においてコアとなる看護実践能力と,卒業時到達目標を基盤としている。コアカリも基盤を同一にした目次立てにし,看護学の学問としての自律性が明確に表現できるものとして欲しい。看護学で既に取り組んでいる医学の知識が外だしになっていることについては,看護学に統合した内容にすべきというものです。
 その次,3つ目が,公立大学協会看護・保健医療部会で,御意見としましては,コアカリが強制的な審査基準や評価基準として活用することのないように強く要望するというものです。
 4つ目が,日本私立看護系大学協会で,御意見は,看護学と医学教育,歯学教育を同列に整合性を持たせることは不適切である。指定規則よりも更に細かい狙い,学修目標となっており,コアカリとは言えないのではないか。コアコンピテンシーとの関連が不明確である。看護学教育全体のカリキュラムの構造,看護学の枠組みが不明確である。7領域になっている理由とその区分の意図が分からない。3分の2の程度を目安にすることについて,大学の主体性を脅かすことになるのではないかというものでした。
 これらの御意見も踏まえまして,先ほど読み上げましたとおり,コアカリの前文を修正しております。また,前文以外での修正と対応としましては,コアコンピテンシーとの関連については,資料1の7ページの21行目に,大項目についてとして説明を加筆しております。そこにありますように,本モデル・コア・カリキュラムは,平成23年3月に策定された「学士課程版看護実践能力と到達目標」で提示されたコアとなる看護実践能力(以下「コアコンピテンシー」という)を習得するために必要な学修目標を提示する。コアコンピテンシーは学士課程で養成される看護系人材の看護実践に必要な5つの能力群と,それらの能力群を構成する20の看護実践能力を示したものであり,これらの能力は,本モデル・コア・カリキュラムにおいて養成する人材像を示した「看護系人材として求められる基本的な資質・能力」の中に内包される。コアコンピテンシー「社会において,必要不可欠な看護実践能力に焦点を当てて概念化している」とされているところ,本モデル・コア・カリキュラムでは,コアコンピテンシーを内包させつつ,看護系人材として求められる資質・能力を獲得するために必要な学士課程における具体的な学修目標を示したものであるとしております。
 更に机上資料2をごらんいただきますと,コアカリキュラムとコアコンピテンシーの対比表をお示ししております。コアコンピテンシーが各項目の内容に含まれていることを確認しております。
 また,医学的知識の中項目に独立していることにつきましては,第1回の本検討会のときに御意見でも出ておりましたが,新人看護師で就職してすぐ困るのが実践能力で,とりわけ対象者の方の身体状態を観察したり判断できる能力というのはなかなか育成できていないという課題が指摘されておりました。そのため,25ページのところからC-3ということで,生物学的に共通する身体的・精神的な側面の人間理解から,30ページ以降32ページまでですけれども,生理学,病理学,疾病論の内容を示していただいておりました。これに対してパブコメでの御意見でも,細かいことへの御意見が多数ありましたので,詳細な記載は不要としまして系統でまとめるものについてはまとめております。また,全て看護実践に結び付けるために以下の学修目標を置くということで,狙いを修正しております。
 また,大項目がAからGの7項目になっていることにつきましては,資料1の7ページ,すみません,ちょっと前後しますけれども,32行目以降になりまして,本モデル・コア・カリキュラムの大項目は,看護実践能力の習得における段階的な学修とプロセスを踏まえて配列し,A項目に看護系人材として求められる基本的な資質・能力を置き,B項目以下はAの資質・能力の修得につながる学修目標となるよう構成した。ただし,これらの大項目自体が授業科目名を意味するものではなく,また,項目配列の順序が履修の順序を示すものでないということで明記しております。
 また,構成については,8ページにお示ししたとおりで,4行目にありますように,本モデル・コア・カリキュラムでは,「看護系人材として求められる基本的な資質・能力」で,看護者として生涯にわたり修得を求められる資質・能力を提示した。一方「A 看護系人材として求められる基本的な資質・能力」は,同じ項目で学士課程卒業時までに修得するレベルを示し,B項目以下は,繰り返しになりますけれども,Aの「資質・能力の修得」につながる学修目標となるように構成するという説明をしております。
 以上が修正についてになります。パブコメを受けまして,前文がかなり修正されておりますことと,中身は大項目の変更はございませんが,中項目以下はパブコメの御意見を反映したということで修正をいたしました。
 事務局からは以上になります。

【浅田座長】  ありがとうございました。7月5日から8月3日までパブリックコメントを実施し,3,800を超える御意見を頂きました。非常に関心が高いことを物語っていると思います。これを受けまして,そのパブコメの内容を詳細に検討いただきまして,ワーキンググループの方々がこの修正にとりかかっていただきました。また,事務局の方もそれに協力いただいたということで,非常に短期間の間にパブコメをできるだけ反映するように修正を頂いたということでございます。御苦労さまでした。ありがとうございます。
 それでは,委員の皆様から修正内容に関して御意見を頂きたいと思います。また,参考人の皆様からも適宜御発言いただければと思います。どなたか御発言ございますでしょうか。

【上泉委員】  上泉でございます。このたびは4,000件近いパブコメ並びに4つの看護教育に携わる団体からの意見等を踏まえて,大変大きな追加修正等をしていただきましたことを本当に有り難く思っております。本日は,幾つかの点で更に追加修正をお願いしたいことがございまして発言させていただきたいと思います。
 1つ目は,このタイトルについてでございます。看護学教育モデル・コア・カリキュラムとありますけれども,内容からしてカリキュラムという名称にするには少し違和感があると思っております。医学,歯学,薬学との並びということで説明を受けているところでありますけれども,私どもの提案といたしましては,「看護学教育モデル・コア・カリキュラムのための教育内容(例)」として修正をしていただきたいという点でございます。今申し上げたことがメーンタイトルとして採用していただければ副題は必要ないと思っておりますけれども,副題の方での修正というふうになりましたら,ここは学修目標ではなく,「教育内容(例)」と修正を頂きたいと思っているところです。
 もう1点は,コアカリキュラムとしての内容についてでございますが,主にCのところで幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。C-5について,こちらはページ数でいきますと30ページの7行目から,C-5「健康障害と治療の理解」というところです。説明のところで,主要な健康障害とそれに伴う医学的治療は検査に関する知識を学び,健康障害,治療に伴う人間の身体的・精神的反応を理解し,看護の実践に結び付けるとございますので,それぞれの項目のところで健康障害の概要を説明するだけではなく,健康障害と人間の反応を解説するというように,人間の反応というところをそれぞれに加えていただきたいということです。
 また,身体的・精神的とありますが,ここの中に精神機能の部分がありませんでしたので,精神機能の障害と人間の反応を概説するということを最後のところに加えていただきたいということです。
 もう1点,看護の実践に結び付けるという観点からいきますと,それぞれの機能障害という観点からだけではなく,病ということを中心に,「病に対する人間の反応」という項目を設けていただき,「病に対する人間の身体的・精神的反応を全体的に理解する」という文言を一言,目標として追加していただきたいというのがございます。中身につきましては,このC-5の部分について追加修正等をお願いしたいと思っております。
 それと,戻りますが,2ページの前文のところでございます。カリキュラムの考え方の23行目でございます。この文言は,その22行の後半の部分,として,「学修目標が含まれたものとなっているかという観点か」というものを削除していただき,「本モデル・コア・カリキュラムを参考として活用することを期待する」と修正できないかということです。
 あと,もう1点です。3ページの7行目でございますが,日本看護系大学協議会「看護学教育評価検討委員会」が提示予定の,というところで,次のかぎ括弧の部分ですけれども,名称が変わりましたので「コアコンピテンシーに基づく看護学士課程教育の構造と内容」と修正をお願いしたいと思います。
 事前に書いたものがちょっと用意できなくて大変恐縮でございますけれども,タイトルのこと,また,前文の文言の点,それから,このコアカリキュラムとしてありますC-5の点についての追加修正等をお願いしたいと思います。

【浅田座長】  よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますでしょうか。

【川本委員】  すみません,上泉先生の御発言について,タイトルのことですけれども,モデルという言葉そのものが例を意味するのではないかと思うので,それをまた内容の例とするのはいかがかなと,意見としては違うかもしれませんが,そのようなことを感じました。
 サブタイトル等につきましても,学修目標が中に入っているので,教育内容というようなことにすると,中と整合性がどうかなと少し感じましたので,意見として発言させていただきます。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 既にモデル・コア・カリキュラムということで進めていただいております歯学,薬学の方からも参考人として御出席いただいておりますので,そのあたりの状況なんかも情報提供いただくと有り難いのですが,何かございますでしょうか。

【前田参考人】  それでは,歯学の方から少しお話をさせていただきたいと思います。これは齋藤先生が行われました医学のモデル・コア・カリキュラムも同じでございますけれども,2ページのところの上から5行目に書いてあること,これがモデル・コア・カリキュラムの概念ということで共通理解になっているかと思います。もう一度読ませていただきますと,共通して取り組むべきコアとなる内容を抽出して,各大学におけるカリキュラム作成の参考となるモデルとして整理したということで,医学,歯学,薬学の共通理解というふうに考えております。
 モデル・コア・カリキュラムはアジア等々でもいろいろ注目を浴びておりまして,モデル・コア・カリキュラムという言葉でアジアの方ではもう英語として広まっているということも付け加えさせていただきたいと思います。

【浅田座長】  どうぞ。

【市川参考人】  ほぼ同じ意見ですけれども,モデル・コア・カリキュラムの取扱いの仕方,理解の仕方だと思います。私どもはモデル・コア・カリキュラムはあくまでモデルコアであって,学習範囲や授業内容の質と量についての例示と理解しています。各大学のカリキュラムはそれに基づいて自分たちで工夫して入れる。自分たちのカリキュラムのどこにモデルコアが入っているかというのを整理していって,全部入っていますよということを薬学教育評価機構にて確認するいうやり方をしております。ですから,モデルコアというのはあくまでモデルコアの概念に
すべきです。そういう意味で統一した概念をどこかで持っていただいた方が私どもも理解しやすいということで,各大学の授業カリキュラムのような理解ですとちょっとずれちゃう気がするので,できたら医療系の場合,ある程度統一の概念にしていただければ,ちょっと勝手な言い方ですけれども,よろしくお願いします。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。委員の方から御発言ございますでしょうか。どうぞ。

【江藤委員】  今の先生方の御意見も伺ったりしたんですけれども,やっぱり共通でモデル・コア・カリキュラムっていうふうに置いた方が納得できるなというふうに思いました。教育内容例といってもモデルというふうな内容に含まれているということも考えますと,やはりこのままでいいように思います。

【浅田座長】  いかがでしょうか。

【上泉委員】  通常,私どもが理解しているカリキュラムということの概念とは異なるということでよろしいでしょうか。カリキュラムとなりますと,やはり教育目標ですとか,その他,様々なものが含まれてまいりますが,ここに書かれてありますのは,教育内容と学修目標ということです。であるならば,副題に「修得を目指した教育内容と学修目標」というように,教育内容ということを明記していただければうれしいなと思います。

【浅田座長】  いかがでしょうか。タイトルは中身を表す名前ですので。

【前田参考人】  よろしいですか。

【浅田座長】  どうぞ。

【前田参考人】  これは教育内容として,この間の改訂でも医学,歯学でも話題になったのですけれども,本来ならば,教育方略も含めないと駄目なんですね。教育内容にしますと。そうすると,教育方略というのは各大学の教育資源によって非常に異なっているので,これは医学,歯学のモデル・コア・カリキュラムの前文でも書かせていただいたのですけれども,今回は教育方略までは書き込めていないということをちゃんと明記をさせていただきました。方略まで含めますと,非常にかなり困難な作業が,各大学を統一して,標準化を図る上ではなかなか難しい作業になってくるんじゃないかなと思っております。

【齋藤委員】  齋藤でございます。医学の方の話を参考までに申し上げます。そもそもカリキュラムという言葉はどういうふうな共通理解になっているであろうかというところから始めなければなりません。これはもう広辞苑を引いていただくとお分かりになりますが,学修計画書ですね。医学でしばしば使うのは,カリキュラムには3つのファクターがあると。それはオブジェクティブと,それからストラテジーとエバリュエーションの3つです。ですから,理想論からいくと,じゃあここで全部ストラテジーとエバリュエーションまで全部述べられるかというと,とてもとても各大学の都合があって,そこまでは行けないというところで,今回の28年改訂では若干,ストラテジーのことを入れてあります。ですから,それをごらんいただければ分かると思っていますので,そこまで料理するのは各大学の自治に踏み込んでしまう可能性がありますから,それは各大学のやっぱりコンペティションをしていただいて,よりいいものをパブリックに提供できればいいのではないかというふうに思いますが,医学の方ではそういう概念で作りましてございます。
 ですから,やっぱり各大学の自治っていうものにまで踏み込んじゃっていいのかどうかっていう問題があります。もちろん自治だけじゃなくて,お金も付いてきたりなんかしますけれども,その各大学の自由度を生かす。これはコアであるというふうな概念で医科の方は全部捉えているというのが現状でございます。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。モデル・コア・カリキュラムという名前は医歯薬,そして今回,看護でも,そういう名前で作ってきております。先行する医歯薬の方ではそういう名前で今,運用されているということも御説明いただきました。カリキュラムという言葉そのものが時代とともにいろいろな理解とか,あるいは使われ方が変わってきているというのは,実は私自身も感じております。大学設置の審査に関わっているのですけれども,やはり最近はいわゆる大学改革の流れの中で教育の質保証という言い方,それから3つのポリシーを定めて教育課程をしっかり組み上げるという議論があります。
 その中で,カリキュラムをそういうふうに捉える流れが非常に強くなってきていると思います。そこには体系であるとか,様々なものが埋め込まれていって,先ほどから出ているコンピテンシーであるとかもかなり議論されて,関わっている方々の理解が深まっていっているということが,カリキュラムという言葉そのものが従来と比べてかなり深く,広くなっていっているというのが一つ,背景にあるのかなというふうには感じております。
 ただ,先ほど御説明いただきましたように,医歯薬の方でモデル・コア・カリキュラムというものを定められて,それを運用されて,それを活用されているという実態もある中で,先ほど御説明いただきましたようにそれを大学教育に生かしている。一方で,カリキュラムを構成する責任は大学自身にあること,これははっきりしております。各大学が特色を出す,更に向上させる,これはもう義務でありますので,それを皆さん目指してカリキュラムを組む,それは大学の責任ですので,皆さん努力されている。そのときに今回のこのモデル・コア・カリキュラムとして作ったものをどう理解して,受け入れて,生かしていくか。250を超える看護系の学士課程が今,動いていて,今後も増える可能性がありますので,そういうところで広く理解を得て受け入れていただいて,活用していただくという,そこにつながるという意味では,先ほどから議論になっているカリキュラムという言葉の意味も含めて十分周知して,それに誤解がないようにしていくというのが大事なことかと思います。
 いかがでしょうか。皆さんの方から。

【上泉委員】  もう1点よろしいでしょうか。

【浅田座長】  どうぞ。

【上泉委員】  この2ページの3行目,4行目の文言ですけれども,「教育において共通して取り組むべきコアとなる内容を抽出し」というふうにあります。ですので,副題に教育内容というふうに含めることについては問題ない。学修目標ということも必要であるならば,教育内容並びに学修目標というふうにしたらいかがかと思います。

【菱沼副座長】  今の議論を伺っていて,医療系の学士課程で使うモデル・コア・カリキュラムというのはかぎ括弧付きの別の解釈をしないと,カリキュラムという解釈でものを考えるとちょっと整合性がないなと私は思っておりまして,今,かぎ括弧付きのような形でモデル・コア・カリキュラムをこういうふうに使うという了解があるのであればこのまま使うといたしまして,今,上泉委員の方から出ました,教育項目あるいは教育内容というような副題を入れていただいた方が,カリキュラムという教育内容,方略,エバリュエーションまでが入っているものではないと。その一部を示したものであるということがむしろ明確になるので,何がここに含まれているかという意味で,そういう副題を置いていただくというのはよろしいのかなというふうに思いました。

【萱間委員】  萱間でございます。カリキュラムという言葉をどういうふうに理解して,どういうふうに使っていくかということはとても大事なことだと思います。看護は医歯薬の最後にモデル・コア・カリキュラムを作成しようとする後発組であるので,フォーマットが決まったような形でこの作業を少し始めたところがあります。そのために今回,パブリックコメントの中で看護学の独自性ですとか,学としてどうなのかとか,そういうのが示されていないというような御意見が出ています。カリキュラムをどこまでと解釈してその言葉を使うかということの共通理解とか,それから,ほかに作業をしてきたコンピテンシーの話とか到達目標ですとか,参照基準ですとか,そういうふうなものと併せてどういうふうに使ってカリキュラムを考えていくのかということをきちんと詳しく説明をする必要があるんだろうなと思っています。そういう意味で,前文のところの3ページの4行目から9行目までに,意見にもあった2つの基準と「併せて活用することで」というふうに書いてあるのですけれども,ここをもうちょっと位置付けを詳細に書いて,このモデル・コア・カリキュラムというのは,ほかのものとこういうふうに使っていくということが分かるように,もうちょっと詳細に書いていただけるといいかなと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ほかにございますでしょうか。

【齋藤委員】  齋藤です。私ばかり申し上げて恐縮なんですけど,2ページの11行目で,「学生が卒業までに身につけておくべき」というところ,非常に明確にEPAが示されていると思います。EPAというのはエントラスタブル・プロフェッショナル・アクティビティーですけれども。ですから,これに向かってどのように進めていくかということを次のステップで各大学でお考えいただくということでよろしいのではないか。この言葉,11行目の言葉は非常に的を射た表現だと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。まず,先ほどもありましたように,カリキュラムという言葉についてきちんとした理解をしていただかないといけないというのははっきりしています。それから,タイトルをモデル・コア・カリキュラムと,医歯薬と並べるという,これは既にあるからそう置くというよりも,やはり医療全体のところで他分野の方もそれぞれが見たときに,やはり共通性を持たせてというところがかなり配慮されているのだろうと思います。そういう中で今回,モデル・コア・カリキュラムというものを定義していくならば,その中身について,やはりこれを受け取る看護界の方々がしっかり理解できるような説明をということだと思いますので,それはそうだと思います。だから,そういう副題のところでのきちんとした位置付けをしていこうという御意見だと思います。医学の方からも御説明いただいていますように,中身としてはこれが医学の方と同様に使えるものだという御意見も頂いていますので。
 いかがですか。ほかに御意見。

【嘉手苅委員】  嘉手苅と申します。先ほど,これまでに関連したいろいろな基準など,それからコンピテンシーなど,出されているものと今回のモデル・コア・カリキュラムとの関連性について丁寧に説明が必要だということは同感です。それとともに,今回,看護学モデル・コア・カリキュラムを策定する経緯の中で,先行する医歯薬のモデル・コア・カリキュラムがあって,そして看護学のモデル・コア・カリキュラムを作る必要性についてもやはり説明がもうちょっとあるといいのかなと思いました。
 これまでの説明の中で了解していることは,今後,各専門を超えたチーム医療をしていかないといけないということがどこかのところで述べられていましたけれども,今回の作業の中で看護学のモデル・コア・カリキュラムを見ていくときに,医学や歯学などのほかのカリキュラムを見ていましたら,このような見方で今このカリキュラムができているのかという,ほかの分野の理解をする手掛かりにもなったと思いますので,そういう意味ではやはり同じ医療系の大学で育成をしていく人材のモデル・コア・カリキュラムについて,ある程度同じような確認のできる項目立てというのはやはり必要なのかなということを感じました。
 ですから,なぜ今回,看護学モデル・コア・カリキュラムをほかの医歯薬と同じような形で策定しようとしたのかというところの説明もあるといいのかなと思いました。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【宮﨑委員】  宮﨑です。1ページのことでちょっと確認したいことがあるのですが,1ページに看護師という言葉が3か所出てきているように思います。まず11行目なのですが,5つの能力と20の実践能力,これは学士課程で養成される看護師の実践能力で間違いなかったですか。看護職者,看護職ではないんですね。ということの確認と,それから23行目に「看護師には」っていうのがあって,あと30行目にも今後「看護師として必要となる能力を育成するため」っていう言葉になっているんですね。
 この看護学教育のモデル・コア・カリキュラムを看護職の場合は保健師,助産師,看護師があります。それらの職種の学士としての基礎教育としての看護学教育というふうに思ってきたので,ここで看護師というふうに規定があるのは何か意味合いがあるのかどうか。つまり,ここで取り扱っている看護学教育というのが看護師教育のことなのか,それとも,私の理解では看護師,保健師,助産師の免許取得の学士としての基礎っていうふうに思っていましたので,ちょっとそこら辺を再度確認したいというふうに思いました。いかがでしょうか。

【浅田座長】  事務局,お願いします。

【眞鍋企画官】  事務局でございます。 今,宮﨑委員から御質問いただいたことにつきまして御回答させていただきたいと思います。企画官の眞鍋でございますけれども,こちらの「看護師」でございますが,1ページの11行目の「看護師」でございますけれども,こちら,平成23年の3月に取りまとめていただきました,「学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」の前文の中に「看護師」という言葉がございまして,そこは引用しているというものでございます。
 ですが,その下,23行目,それから30行目に関する御指摘もございましたけれども,このコアカリキュラム自体は看護師,そして保健師,助産師となられる,そういう方々のコアとなるものというふうな位置付けで考えてございました。そういう意味では,この下の23行目,そしてまた30行目というところは,今頂いた趣旨を踏まえて修文の余地があるのかもしれないと思っております。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【井村委員】  井村でございます。助産師教育に携わっている立場からということで発言をさせていただきます。これも用語と概念規定が難しい話になってくるかもしれませんけれども,今,共通理解されているのは,看護基礎教育とした場合には保健師,助産師,看護師の国家試験を受ける前までの教育を含むというふうな理解が1つ成立しているであろうと思います。看護教育の教科書にはほぼそのような規定がされております。
 一方で,看護師を養成するためのコアとなる基礎の教育と,実際には保健師,助産師を養成するための基礎となる,コアとなる教育というのは明らかに同一ではないという理解も成立しています。ですので,私の理解ですけれども,今回の看護学教育モデル・コア・カリキュラムは,看護師を養成する,育成するためのコアと理解をいたしておりました。助産師は看護師の免許取得を前提として,その上に助産師の免許取得が成立するということも法律上,規定されておりますので,そこは明確に区別化をして理解をしたいと考えておりますし,ここの委員会の中でも皆様がいかような理解をされているかを逆に確認させていただきたいと思いました。
 そして,これが文科省から世の中に出るときには,どういう文科省的な理解の上にこれを出すかということも非常に慎重にしなければいけない点であるということを,今のことで改めて思いましたので,ここははっきりとさせていただきたいと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【眞鍋企画官】  企画官でございます。先ほどの説明,やや言葉足らずでございました。大変失礼いたしました。今回,整理したものは3職種に必要なものプラス看護師として必要なものを加えていると。つまり,ベースと,それから看護師としての必要なものを加えていたものでございます。そのように御理解いただければと思います。

【井村委員】  ありがとうございます。確認ですけれども,看護師を育成するための学士におけるコアカリキュラム,教育内容ですか,それと保健師のコアとなるカリキュラムや教育内容,助産師のコアとなるカリキュラム,教育内容は異なっているという理解でよろしいわけですね。

【眞鍋企画官】  事務局でございます。そのような理解で結構でございます。もちろん基盤は一緒でございますけれども,それぞれ持っている専門性の部分は異なるところは理解してございますし,今回の場合も作成しております案は,その基盤プラス看護師となる部分のものを示しているというところでございます。

【宮﨑委員】  すみません,重ねて宮﨑です。ということは,基盤となるものは入っているということですよね。3職種の基盤となるもの,プラス看護師としてのコアだということで,そこら辺をやはり明確に記載していただきたいというふうに思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【野村委員】  今議論されたとおり,3職種の共通基盤,共通基礎の内容が含まれ,看護師国家試験の内容を含む,基準を満たすものであると私は理解しております。全国保健師教育機関協議会では,本検討会で話し合われた内容のところに基づき,保健師教育として上乗せする公衆衛生看護学教育のモデル・コア・カリキュラムの作成に入ったところでございます。これを基盤として更に教育の質保証に向けて努力していきたいと考えます。この看護学教育モデル・コア・カリキュラムには現在の社会に求められている地域における看護ニーズにどう対応していくかといった内容が含まれました。これらをしっかり教育していただいて,その上に積み上げていきたいと考えております。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。何かお気付きの点。

【菱沼副座長】  すみません,きょう頂きました机上資料2のコアカリキュラムとコンピテンシーとの対比表がございますが,その中で先ほどちょっと話題になっておりましたが,いわゆる体のことと,それから病気のところがとても白いんですね。対比したときに。そこがやはり少し全体の抽象度が低いというか,非常に細かい項目になっているんだなという気がいたしまして,実は,きょう皆様のお手元に別で配付させていただきました私の名前,菱沼の名前で書いてあります生活行動に人体の構造と生体機能の調節を,一部ドッキングさせてみて,そして次のページはC-3を少し書き換えまして,C-4,5,6のところの修正案を作ってみました。
 こういう方向がもし皆様が御了解いただけるならば,そういうこともやっていただけると有り難いかなと思っておりますが,先ほどのC-5の生体の反応ですか,そこまでも内容に含めてほしいという御意見が出ていて,その部分はここには組み込んでおりませんので,そこは少し考えてもいいのかなと思いましたが,非常にこちらが真っ白だったので,少しそこの抽象度を上げる作業をしてみましたので,御参照いただいて,もし御検討いただければ有り難いと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。皆様のお手元の資料をごらんいただきまして,何か御意見がございましたらお願いいたします。

【上泉委員】  看護学という観点から見た場合,生活行動という観点が大変整理され,そこに人体の構造あるいは生体機能といったようなものを絡めて作られてありまして,大変整理されて理解しやすいなというふうに感じました。私どももCにつきましていろいろ検討してまいりましたが,今,菱沼委員から御提案のこの内容について賛同いたしたいと思います。

【内布WG座長】  ワーキンググループの座長の内布でございます。コンピテンシー表との照合表なのですが,見ていただくと1から5群までしかありません。5群20という表記なのですが,実はワーキングの作業では6群24でやっておりました。最初,看護系大学協議会の方の委員会の方で改訂が進んでいましたので,群は6つに実はなっていまして,コンピテンシーも24になっています。この作業をする前から分かっておりましたので6群24で作業をしています。最初,マトリックスを作ってこちらの目次に対してコンピテンシーを横軸にしてマトリックスの中に入れていくという作業をして中身を作ってきたというプロセスがあるわけですけれど,多分勘違いされていると思うのですが,机上資料2のコンピテンシーのところは6群です。今,指摘がありました部分に関しましては,実は1群足したところで,全人的に対象を捉える基本能力というのがございまして,その中に生物学的な人間を理解するということで,解剖,生理,疾病等々がそこに入ります。そこが入れば多分,こちらの真っ白くなっていると今,菱沼先生がおっしゃった部分には対応する部分が出てくる。ただ,今の議論は議論で進めていただいて結構ですが,机上資料に関しては作業と少しずれていますので,それは足していただければいいかなというふうに思います。

【眞鍋企画官】  事務局でございます。御指摘ありがとうございました。私ども,今,内布ワーキンググループ座長がおっしゃったとおり,作業に関してはそういったものを用いまして比較表を作っていたというのは事実でございます。その上で申し上げますのは,この資料自体は既に23年にできている5群20のものが非常に広く使われているということ,そして,また今回,私どもとして案としてお示ししましたモデル・コア・カリキュラムの対比が,これは広く使われているものと分かりやすいようにという観点で御用意したものでございます。もし6群24で作成すべしということであれば,それは作ったものがございますので,お示しするのは可能でございますけれども,事務局がこれを用意した趣旨というのは,広く用いられているものできちんと比較ができるようにお示しした方がよろしかろうということで用意したものでございます。
 以上です。

【阿真委員】  今のお話で私,ちょっと分からなかったのですけれども,座長の先生のお話の中に出てきた6群24というのは,今どこから出てきたお話か,ちょっと聞き逃してしまったのですけれども。今まで5群の話は出てきていると思うんですけど,その6群24というのがどこから出てきたものか,すみません,教えていただけますでしょうか。

【内布WG座長】  それに関しては,製本されているものは平成28年度の看護系大学協議会の事業報告書に書かれています。それはもう発行されているものです。看護系大学協議会の中の教育評価の委員会の方で検討して,このワーキングのときにはもうそれが出ていましたので,それを使ってやろうということで,作業は実はそれを使ってやっているんです。ただ,広く使われているのは確かに5群20なんですね。なので,ここに表示するのはそうしたというふうに御説明なさったのですが,作業自体は6群24を使っています。

【浅田座長】  ちょっと私から内布先生に質問なのですけれども,この表は事務局が説明されたように5群20で整理され,実際の作業は6群24でされたということで,この表を6群で書くともう少し細かく対応はつくという御説明だったと思うんですけど,それはそれとして,菱沼先生が提案されたものについてはどうお考えですか。

【内布WG座長】  菱沼先生の意見に関しては,C群に関しては,私もワーキンググループの座長としては,整合性が他の部分ととれていないことが,見ても明らかだと思っています。そこを看護の軸で書き換えることは可能なんだけれども,そこが十分やりきれていないっていうのは実際あります。
 ただ,いろいろな御意見がありますので,目次立ての大きな項目は変えずに,中を調整した形でここに出させていただきました。だから,十分ではないなというふうなことは感じておりまして,だから,今,菱沼先生の御意見を伺って,そのように融合的に作られるのが看護学的には一番いいのだというふうに感じています。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【井村委員】  私も,菱沼先生の御提案で,看護の寄って立つ生活者と生活行動というところが各論的な体の機能のところと結び付くので,大変看護としていい御提案というふうに拝見しましたので,是非その方向で行っていただくことに賛成です。
 それで,ここに食生活とか排尿,様々なことがあります。もう少し照合させて私も確認したいと思ったのですけれども,今思ったのは,例えば人が生活していくには,目でも見るし,耳でも聞く,あと動くことであるとか,各論的なところの27ページのC-3-2)の13とか14あたりの生活するためには個体として生存するために環境からの侵入を防御しながらホメオスタシスを保っていくというところあたりも,もう少し生活行動としてうまく表現していただけたら,全ての要素とここに出される生活行動というのがうまく連結されるかなと思いましたので,是非に更にこの方向性で行っていただけると有り難いと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 菱沼先生の案については,皆さん,好意的に受けとめられているという印象ですので,こういう形で更に改良を加えるということで,それはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。大体議論が出尽くしたということでよろしいですか。

【柳田委員】  2点ございます。まず1点ですが,C-6の薬物治療のところです。32ページになります。C-6のところですが,ここは作業上のエラーがそのままここに上がってございまして,実はこの丸8のところをよく見ていただきますと,例えば後半の方,抗感染症薬,抗腫瘍薬,分子標的薬とあるのですが,それと同一のものが33ページの4行目とかにも出てきます。これはパブリックコメントの中で順番を変えてほしいと,その方が理解しやすいと。というのは,具体的に言いますと,何とか系に作用する薬というのは前半に置いて,抗何とか薬とか,そうしたものは後半にまとめた方が理解しやすいんじゃないかという御意見がございましたので,そうしたものを整えていく中で以前のものが重複して残ってしまったということになっております。
 ですから,こうしたところと,あともう1点は丸3のところの,「薬物の作用する仕組み」となっているのですが,これは薬理学的に言いますと,やはり作用点を説明できるというもので,薬物の作用する仕組みとなりますと,後半の丸4,丸5以降を全部含む概念になってしまいますので,ここは元どおりに,薬物の作用点を説明できるという形に修正させていただけたらと思います。これに関しては,本来あるべき姿に戻させていただきたいというお願いでございます。
 もう1点ございます。もう一つが,実はこの様々な検討をする中で,Cの項目が多いということがございましたので,幾つか一緒にしたり削除している項目があります。その中で,これは本当に削除していいのかどうか,ワーキンググループの中で随分悩んだ検討課題がございます。それが29ページのC-4-2)基本的な病因と病態ですが,実はここではもう既に削除しておりまして,前のものではここに疼痛というものが入っておりました。疼痛というのは,病因と病態という,そういう区分けでするとやはりちょっとここに並べるのはおかしいという思いがありながらも,看護ということを考えると痛みというのはやはり大事なファクターであるということで,当初,疼痛ということで入れさせていただいていたのですが,やはりちょっと整合性がとれない,あるいは削除すべき,何かやっぱり削除可能なところならば削除しようという流れの中で疼痛の項目が削除されております。結果,疼痛,痛みということに関してまとまった,独立した項目はないという状況になっておりまして,看護はやはりケアを考える上で痛みというのは非常に大事じゃないかと思いますので,ここで是非委員の皆様に御意見を頂戴しまして,いや,やはり入れるべきということであれば入れるということも大事かということで。あるいは,ほかのところに何か別の形で入れてはどうでしょうかということで,問題提起といいますか御意見を頂戴できればということで述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【浅田座長】  ありがとうございます。御意見ございますでしょうか。

【萱間委員】  萱間でございます。ワーキンググループの先生方にお伺いしたいのですが,その痛みというのが外れた理由は全体の項目の量の問題ということなんでしょうか。

【柳田委員】  2点ございます。一つは,ここの項目で少しでも減らせるものがないかということで様々な吟味をした中で検討課題として上がった中の一つであるということと,更にそこで,この基本的な病因と病態ということで,例えば循環障害,腫瘍とか,こういったものがある中で,疼痛っていうのが病因,病態といった中でちょっと同列に並ぶものかどうかという議論があり,そこで削除してはという案が出たところです。

【萱間委員】  痛みは非常に大事なものであって,どこかに項目として入っていた方がいいと思いました。ただ,病態ということとはちょっと違って,体験とか現象であるということなんだと思うんですが,例えば交感神経とか副交感神経とかとの関連でも言えるんでしょうけど,ただ,それだけでは言えない,説明がつかない痛みもあると思いますので,病態ということではないとしても項目として立てていいように思うんですが,いかがでしょうか。

【野村委員】  上泉委員から御提案があった病に対する人間の反応を項目出しするなら,その中に痛みを置いて,看護として人間の反応をどう見るかというところに入れるのもよいかと思います。

【柳田委員】  その場合の言葉なのですが,疼痛という言葉をもともと使っていたのですが,パブリックコメントの中で,看護では痛みという言葉を使ってはどうでしょうかという御意見も頂戴しています。実際,この場でも,委員の皆様は痛みという言葉をお使いなので,看護においては痛みという表現の方がよろしいのかどうか。どこかに反映させるとしたら,どちらの文言の方がより適切とお考えかということをお聞かせいただけたらと思います。

【上泉委員】  もし,先ほど申し上げました病に対する人間の反応のところに入れるとすると,ここは身体的,精神的なものということですので,痛みの方がふさわしいかなというふうに思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【井村委員】  井村です。疼痛でも痛みでも,それらを含めたものとして位置付けて,看護教育の中に入っていることは大切だと思いました。病の痛みといいますと,フィジカルなものもあるでしょうし,心理的なとか,スピリチュアルなとか,そういう苦痛ゆえの痛みということも含まれると思います。一方で,例えば分娩などの陣痛などは,本当に物理的なものであるとか,お産に伴って様々な神経が圧迫される部位が刻々変わって,疼痛部位も変わると,こういった系統のものも含まれるわけでございます。ゆえに,神経伝達の丸々であるとか,様々な身体的なものとか神経学的なもの,身体構造,自律神経,副交感神経プラスそういった,それを苦痛として感じる人間としての受けとめ方っていう,そういったものが全部入った形でどこかに位置付けていただけたら大変教育としてよいのだろうと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【小泉委員】  私も同感です。やはり看護師は医療者ですので,患者さんの疼痛コントロールというところに非常に患者さんに一番近い立場で接していますので,そこでの薬物治療であったり,いろいろな医療についてしっかりと病態をアセスメントして,治療も理解して,患者さんにとって何が最適であるかということもアセスメントする能力も必要ですので,そちらも踏まえて同時に患者さんのスピリチュアルな痛みということもしっかりと教えられるような,そういう構成になるとよいかと思います。

【川本委員】  川本です。痛みも病に対する人間の反応ということで皆様共通の認識だというように私も理解したのですが,そうなると具体的にどこに入れるかということを本日考えておかなければいけないかと思います。C-5-2)の13のところにそのような形で入れていった方がよろしいのではないでしょうか。どこかにというのは一番後で困られると思いますので,今明確に決めておいた方がよろしいのではないかなと思って発言させていただきました。

【浅田座長】  今,細かい議論をするのは,ちょっと時間的には無理だと思いますので,一応,病に対するというところが必要であるということ,それから,痛みというのは重要だからそういうものをきちんと位置付けると,そういう御意見を伺うということにして,細かい項目のところ,何番というのまではなかなか決めきれないと思いますけど,御意見は伺ったということにしたいと思います。

【江藤委員】  すみません,今のに1点追加させていただけるとすると,例えば35ページ,36ページ,D-2の基本的な看護技術のところにも痛みの緩和,安楽とかがあるので,こういうところにも関わってくるのかなというのを思いました。
 それと,ちょっと別なんですけど,35のD-2の初めのところ,「看護技術は,看護の専門知識に基づいて,看護の対象となる人の安全・安楽・自立を目指した行為」というふうに書いてあるんですけれども,もちろん治療もしているので治癒も目指すと思うのですが,そこの部分が抜けているように思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【江藤委員】  あともう1点,全然別なんですけれども,全体のところですが,3ページのところに,上の方の5,6,7,8のあたりで,評価もするというふうに書いてあると思うんですけれども,第三者評価ということも明確に文言として入れていただければというふうに思いました。
 このカリキュラムはやっぱり作り直していくということが前提で作られていると思いますので,第三者評価を受けるということに関しても,やっぱりよりよいものを作っていくということにもなりますので,その文言を入れてほしいかなというふうに思いました。

【浅田座長】  第三者評価を,このコアカリキュラムとどう関係付けるんですか。

【江藤委員】  コアカリキュラムを,第三者評価をすることによって学校の質が上がるということにはなると思うんですけれども,その第三者評価を受けることということで,そのときにこのコアカリキュラムを利用するというか,コアコンピテンシーも共に併せて使うというふうな,利用するというような形で持ってこられないかと思うんですけれども,いかがでしょうか。

【浅田座長】  第三者評価の方は,評価機関が基準を決めて独自にされるものだと思います。このコアカリキュラムはあくまで各大学がカリキュラムを作るときの参考にするものとして位置付けて,皆さんの理解が大体たどり着いていると思います。第三者評価まで広げるのは,ここに書いてあります学術会議であるとか様々な団体の方で議論されてやられていることとして,そこまで含めてしまうのは今までの議論の延長としては連続性がなくなるのではないかと思いますが。

【内布WG座長】  すみません,疼痛のところで1つ加えていただいていいでしょうか。実は,疼痛というより症状なんですね。苦痛を伴う症状ということで,例えば吐き気とか倦怠感とか,様々な症状で,症状切り口の章がないということは,実はワーキングでも話題になりましたけれども,ちょっとそれを独立して作るのは大変難しいかなということで諦めたんですね。なので,疼痛のところを作っていただくときに,痛みだけではなくて,症状なので,概念を少し広げて作っていただければ大変有り難い。ワーキングも非常に気になっておりましたので,是非よろしくお願いしたいと思います。

【川本委員】  内布先生の今の御意見を聞きまして,先ほども御意見が出ておりましたけれども,D看護実践の基本となる専門基礎知識のところでも,「D-1看護過程展開の基本」,34ページのD-1-2)ですけれども,そこにきちんと症状というところを入れていただくというのがよいと思います。症状はこれからまだ出てくるかと思いますので,そこで押さえていただいた方が実践に役立つという意味でいいのではないかと思います。
 それから,もう1点でございますが,先ほどの第三者評価の意見が出ましたけれども,先ほど団体から提出されておりました中に,公立大学協会の方から,「強制的な審査基準や評価基準として活用することのないよう,ここに強く希望します」とあるので,それを考えると,ちょっとよくないのではと思いましたので,追加発言させていただきました。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 そろそろ議論を収束させたいのですが,いかがですか。

【井村委員】  第三者評価ということとコアカリを直結させるということではないですけれども,やはり教育評価というのはしっかり行っていこうという提案はあってもいいと思います。御検討いただきたいです。あとは,このコアカリキュラムはまた改善を加えて,更によいものにしていく,よく海外のものに見られるように何年後に見直しますという,そこまでの確定的な情報を掲載することは難しいと思いますが,また,それは改訂していくものであるという文言も加えていただけるとよろしいかと思いましたので,御検討いただけると有り難いです。

【眞鍋企画官】  事務局でございます。御意見ありがとうございます。先ほどの改訂の部分についてのみ回答させていただきますが,2ページの,こちらの14行目から16行目についてでございますけれども,こちらにございますように,専門知識・技術等の変化などに伴い,必要に応じて見直しを行い,改訂することが必要であるということは書いてございます。

【井村委員】  ありがとうございます。時期までは難しいですね? はい,ありがとうございました。

【阿真委員】  意見ではなくて感想なんですけれども,このモデル・コア・カリキュラムを今まで28年11月ぐらいから皆さんと参加させていただいていて,患者として看護師さんに向かうときに,これだけのことを理解されて皆さんいるんだなと思うと,改めて専門性の高い,すごく貴重なというか,すばらしい職種だなというふうにいつも思っています。ですが,学生さんたちが,260以上ある大学がばらばらであるときには,自分が選んだ大学が,こういったものを網羅しているのかしていないのかというのは入ってみないと分からないと思うので,こういったもののベースができて,独自にそれぞれの大学がアレンジするのはとてもいいと思うんですけれども,ベースができたというのはすばらしいことではないかなと私は感想としては思っております。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。今,言われたように,そういう形できちんとこれが生かされるというのが大事だと思います。

【萱間委員】  最初の方の5ページの一番上の方のパラグラフなんですけれども,看護学生に求めたいことっていうものの中です。上から5行目のところなのですが,今,阿真委員がおっしゃっていただいたように,この内容を網羅して,よい教育をと思うのですけれども,そのときに,ここに,「さらには,看護チームの間だけで関係性を築くのではなく,看護に関わる多くの人々と積極的に関係を築くことも」って書いてあるのですが,「看護チームの中だけで関係を築くのではなく」っていうのは当然で,「看護に関わる」じゃなくて,ここは「当事者に関わる多くの人々と積極的に関係を築く」。最初の「看護チーム」も,これは看護チームももちろんですけれども,前提ですけれども,医療チームなのではないかと思ったので,ここで看護のみを中心とするかのように,重ねて使うのはいかがかと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 そろそろ時間もよろしいかと思うのですが,よろしいでしょうか。
 きょう,様々な御意見を伺いました。副題の方をしっかり,きちんと位置付けが分かるように明確にしましょうという御意見がありました。
 それから,Cのところについては,菱沼先生から改訂案が具体的に示されております。
 それから,項目のところで,病に対する人間の反応,痛みのこと,あるいは先ほど症状としてそういうものを捉えるという,そういう話がありましたので,それについては全体を見て,改善に向けた調整をさせていただきたいと思います。
 基本的にはきょうでこの検討会は最後にしたいと思いますので,いろいろ受けました意見というのは,基本的には座長,副座長に預からせていただいて,最後,仕上げたいと思います。
 非常に長期間にわたって議論を頂き,また多大な時間の作業をしていただいた方に感謝いたします。何度も出ましたように,モデル・コア・カリキュラムという言葉,この言葉をきちんと捉え,きちんと生かしていくものとしてこれを使っていく,そういうものにしていく。一方で,先ほど,第三者評価の話も出ましたし,看護教育の質向上ということで,様々な団体の方で先進的な取組もされております。そういうものと,今度,モデル・コア・カリキュラムがどういう関係性を持つのか,それがどういう役割分担をするのかということも含めてきちんと理解を求めることが大切で,混乱を生んでは絶対いけないと思います。
 今回作ったモデル・コア・カリキュラムが,250を超える看護系の大学の教育の質を支えるものとして浸透して,活用されていく。しかも,カリキュラムというのは,先ほどから議論がありましたように,各大学が自らの責任を持って,自らの特色を出すために作っていく。そのときの要素としては,これをしっかりと埋め込んで利用してもらう。そういうところだと思います。
 非常に深い議論を多くしていただいたと思うのですけれども,一応,まとめといいますか,そういうところで副座長の菱沼先生から総括的なことをお話しいただくと有り難いと思っております。

【菱沼副座長】  恐れ入ります。浅田先生には,看護の専門分野でないにもかかわらず,まとめのために大変御努力いただきましてありがとうございました。私,一番お礼を申し上げたいと思いますのは,ワーキンググループの先生方が今,何を大学教育でやっているかというのの洗い出しを短期間のうちにやっていただきまして,また,4,000近いパブリックコメント,関心が高いということでもありますが,それに対する回答並びに修正ということで,夏も全部潰していただいたのではないかと,大変御協力に感謝申し上げたいと思っております。
 既にモデル・コア・カリキュラム,括弧みたいな言葉の整理ができましたのですけれども,今後,文部科学省としては恐らく先ほど御意見がありましたように,国民に対して看護教育はこれだけのことをやっていますという内容保証をするために,この中身が使われるということもありますし,この中にありますように,学生に対しての呼び掛けとか国民に対しての呼び掛けという章が入っておりますところがそこをよく表しているのではないかと思っております。
 我々大学人は,もう恐らくこれが出たときには,これは古いということになって,その次のものを自分たちの大学でそれぞれ作っていく役割があると思いますので,今後ともどうぞお励みいただきますようによろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 それでは,議題(1)モデル・コア・カリキュラム(案)について,これで締めさせていただきます。
 先ほども申し上げましたように,様々な意見を頂きましたので,それについて座長,副座長一任という扱いにさせていただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,議題(2)でございます。その他です。事務局から何かございますでしょうか。

【斉藤看護教育専門官】  そうしますと,資料4に沿って今後のスケジュールについて御説明させていただきます。資料4を御準備ください。
 本日,様々な御意見を頂きまして,第4回,ありがとうございました。この後,座長,副座長一任ということで改めてまとめたものを10月以降に関係機関へ周知という形にさせていただきたいと思います。それのときに看護学教育モデル・コア・カリキュラムを参照して各大学でカリキュラムを検討していただくといいますか,その辺についても明確に御連絡申し上げたいと思います。
 平成31年4月以降に看護学教育モデル・コア・カリキュラムを参照して,カリキュラム変更があった場合は,そのようなカリキュラムが改正されるというような流れになろうかとは思います。
 事務局からは以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 それでは,本日の会議を締めさせていただきますが,今回の検討会をもって,昨年11月から審議を重ねてまいりました看護学教育モデル・コア・カリキュラムについてもひとまず区切りを迎えることとなります。
 最後に,松尾大臣官房審議官から御挨拶がございます。

【松尾大臣官房審議官】  ただいま御紹介いただきました高等局担当の審議官をしております松尾でございます。
 本当に1年にわたりまして精力的に御議論いただきまして,心から改めて感謝申し上げたいと思います。特に浅田座長,それから菱沼副座長,それからワーキンググループで携わっていただいた先生方には本当に長い時間,そして熱い御意見,御審議いただきまして本当に心から感謝申し上げたいと思います。
 看護系の大学も急増しております。そして,特に社会的な事情も変わってございます。チーム医療ということで看護の分野でもやはり高い教育というのが求められるわけでございまして,このコアカリキュラム,この定義はきょうもいろいろ御議論いただきましたけれども,正しく大学の方にちゃんと伝わって,それが活用されるように私どもとしても意を含めていきたいと思っていますので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 特に大学の方々,それから学生の方々,そして何よりもこれは患者さんのためでございますので,そういった方々に正確に伝わって,ちゃんとこういうことを受けた看護のチームの方々がしっかりと医療に携わっていただいているというようなことを私どもとしても引き続き周知,そしてしっかりと支援していきたいと思っていますので,大学の関係者の方々には引き続き,また,ここの委員の方々にも引き続き御支援いただくように感謝申し上げまして最後の御挨拶にさせていただきます。
 どうも本当にありがとうございました。

【浅田座長】  ありがとうございました。
 これまで看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定に向けて御尽力いただきました委員の皆様,また,多大な労力をかけていただきましたワーキング委員の皆様に改めて心から感謝申し上げます。看護学教育の質向上に向けて今後とも皆様の御協力を頂けますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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