資料3-1 法科大学院におけるICTを活用した教育の現状等について

1.検討の背景
・ 幅広い知識と教養を持つ多様な人材を法曹として輩出するためには、働きながら法曹を目指す社会人や地方在住者の実情を踏まえ、ICTを活用した法科大学院教育の在り方を検討していくことが必要である。

・ 「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日 法曹養成制度改革推進会議決定)においても、地理的・時間的制約がある地方在住者や社会人等に対するICTを活用した法科大学院教育の実施について、平成30年度を目途に、法科大学院における本格的な普及を促進することとされている。(資料3-2 3頁を参照)

2.現状(実施事例)
「法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム」や「公的支援見直し加算プログラム」などにより、現在、複数の大学においてICTを活用した教育が実施されているところ。主な事例は以下のとおり。


遠隔教育


・ 「九州・沖縄法科大学院教育連携」による遠隔授業の実施(九州大学等)
(法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに採択された取組を発展)
連携4大学(九州大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学)の間で、インターネット回線を通じたテレビ会議を応用して開発した双方向授業システムにより、一部の授業を実施。
・ 場所的・時間的障害を解消するための多様なICTを利用した授業の開発と実践     (筑波大学)(公的支援見直し加算プログラムで評価)
地方在住者に向けた「サテライト形式」の実証研究(静岡大学との連携により実施)及び有職社会人に対する「モバイル方式」による授業により、同時性と双方向・多方向性を確保したオンライン授業を実施。
・ ICTを活用した授業の導入に向けた取組(中央大学)
(文部科学省委託事業により実施(27年度)/公的支援見直し加算プログラムで評価)
遠隔授業システムを用いて、中央大学から島根大学・鹿児島大学に授業を配信し、3大学合同の授業を実施(公法総合1/法曹倫理/比較法文化論/4群特講/テーマ演習2)するとともに、タブレット端末を利用した授業や、オンデマンド形式を組み込んだ授業を実施。
28年度からは、琉球大学との連携を新たに開始。

・ 小規模法科大学院の各特色を活かした連携によるきめ細やかな法曹教育の実現  (千葉大学・金沢大学)(公的支援見直し加算プログラムで評価)
遠隔授業システムを利用した授業の実施を含め、それぞれの法科大学院において強みとする教育内容を他方の法科大学院に提供。また、学生交流などを通じ、互いの地域の法実務の特性を知る機会を提供。
※ 専門職大学院については、「十分な教育効果が得られる専攻分野に関して、当該効果が認められる授業」について、メディア教育の実施が可能となっている(専門職大学院設置基準第8条第2項)

学修支援ツール


・ 授業の録画とストリーミング配信システム(筑波大学)
(法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに採択された取組を発展)
講義をデジタル録画しストリーミング配信したり、講義で言及された事件等に関するデジタルコンテンツを補助教材として作成し、学生がweb上でこれを閲覧することができるシステムを運用。
講義の欠席フォローなど補助的な学修ツールとして活用されている。
・ E-Learning用の教育ソフトウェア・ツールの開発・利用(名古屋大学)
(法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに採択された取組を発展)
シラバスシステム(授業のレジュメや資料の公開やウェブ上での課題提出、教員と学生が投稿できる掲示板の設置)に加え、学生が提出した課題レポートの相互評価、授業の録画配信、択一試験方式による自学自修などをWeb上で可能とするシステムを運用。また、法実務教育のための先進的ICTツールを開発し、運用。

3.ICTの活用状況に関する調査について
全ての法科大学院を対象にICTの活用状況に関する実態を調査することで、今後の検討の材料とすることとしてはどうか。
調査項目としては、主に以下の内容が考えられる。
○ 遠隔授業等の実施に関する調査項目
メディア授業実施の有無/メディア授業の種別(サテライト形式orモバイル方式等)/メディア授業実施科目・開講時間帯・受講人数/導入機器/イニシャルコスト及びランニングコスト/面接授業と比較した場合の効果/成績評価の方法/メディア授業に関するFDの実施状況/補助職員の配置の有無 など
○ 学修支援におけるICTの活用に関する調査項目
オンデマンド配信の有無/シラバスシステムの概要/質疑応答及び添削指導等に関するwebシステムの活用/法律文献データベースの整備 など

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