障害のある学生の修学支援に関する検討会(平成28年度)(第3回) 議事録

1.日時

平成28年6月16日(木曜日)15時~18時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 本検討会での論点について
  2. 関係者へのヒアリング等
  3. その他

4.議事録

【竹田座長】本日は(資料1)「論点整理」の「大学等から就労への移行(就職)に関する考え方」に関連して、一般社団法人、企業アクセスビリティ・コンソーシアム(ACE)企業である日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の梅田人事・ダイバーシティ企画担当部長、続きまして、東京新卒応援ハローワークの佐藤室長から御説明いただきたいと思います。質疑応答、意見交換は、御両名の説明後にまとめてとりたいと思いますので、御承知おきください。それでは、最初に梅田部長、どうぞよろしくお願いいたします。

【梅田部長】ただいま御紹介にあずかりました日本IBMの人事で、ダイバーシティを担当しております梅田と申します。
本日はお時間を頂きまして、日本IBMが5年ほど前に立ち上げました企業アクセスビリティ・コンソーシアム、それと3年ほど前から日本IBM自身で行っております障害のある若手の方を対象とした6か月以上の就業プログラムを御説明させていただきます。
まずアクセシビリティ・コンソーシアム(以下、ACE)とは、ということですけれども、2年ほど任意の活動をしておりまして、2013年9月に一般社団法人となりましたが、「障害者雇用の新しいモデル確立」ということを目指して、志を1つにします企業二十数社が集まって設立いたしました。
活動は今年で3期目に入っておりまして、次のステージに向けて課題の洗い出し、更にソリューションの検討ですとか、できれば政策提言というような形で、世の中に発表していきたいと考えております。
このコンソーシアムを設立した背景としては、私どもの日本IBMは、もともと特例子会社を持たずに、ノーマライゼーションということで、障害者雇用を1960年代から積極的に行ってきましたが、社会情勢の変化と言いますか、年代の変化と言いますか障害者雇用機会の創出が厳しくなってきました。例えばそれまで、日本の中に3つほど工場、開発製造拠点を持っておりまして、多くの障害者の方を研究職、技術職、開発職で採用して、平均勤続年数19年と、1度入っていただくと長く就業していただいていたのですが、そういう工場や開発拠点が海外に移っております。それと、やはり一般事務的な仕事と言いますか、例えば人事の中だと社員の交通費精算や異動の手続といった事務系の業務は海外のIBMの兄弟会社に移しております。アジア太平洋地域全体のそうした事務的な仕事は、中国の大連とフィリピンのマニラに集約し、現地の社員が行っておりますし、大連もマニラも日本語のできる社員がかなりたくさんそろっています。そのような背景から、障害者雇用を積極的に行いたいけれども、採用可能な職種が営業職とか技術職に限定され、こうした職種に対して障害者の応募が少ない、とれないということが自社の課題としてあります、また、いろいろな企業さんから御相談を受けておりまして、やはり特例子会社を持っていらっしゃる企業さん定着率が余りよくないとか、教育プログラムについて各社で苦労しているということを、一緒に研究し、知恵を出し合って解決策を検討していこうというのがACEです。
また、ダイバーシティという考え方が世の中で広がるにつれて、障害者というものも女性、障害者、外国籍、LGBT(性的マイノリティ)など、多様性のある社員の採用・登用ということ、ダイバーシティ担当者が障害者の雇用や定着を担当するようになり、障害者採用についても、競争力として、企業としてどのように見ていくかというふうに、考え方が変わってきています。
次のページは、そういう観点で、障害者就労における企業の課題ということで、フェーズ別に当事者と、企業側の課題を洗い出したものです。現実は、採用と定着のところまで、そこもなかなか手が回っていない状況ですが、のは、IBMの場合、障害者の方を専門職として採用して、合理的な配慮の中で、普通の社員と同じように対応していくと、管理職になる障害者の方も出てきています。浅川智恵子という、全盲の障害者で、全世界のIBMでも約80人しかいない研究職の最高職についている女性、かつ、ワーキングマザーで2人お子さんがいるというような者も出ておりますので、どうやったらその浅川智恵子に続くような障害者を企業の中で輩出していけるかということをACE参加企業は考えております。
女性についての施策でも同じことが言えますがたくさん採用して定着を図るだけでは駄目で、本当に女性の活用が進んだと言えるのは、意思決定のポジションに女性がついていくことであり、障害者についても全く同じだと思います。障害者の方をいかにたくさん採用していても、管理職ですとか、取締役ですとか、そういう意思決定をする高いレベルのところに、障害者の方がなかなかついていないという現状がございますので、ACEでは、採用や定着でとどまっている障害者施策を昇進というところまでどうやって持っていくかということで、いろいろ研究や議論をしているというところです。
ですが、次のページをめくっていただきますと、それ以前に、企業側に障害者、いろいろな障害の種類別に対応していく育成プログラムを考えるためのノウハウですとか、情報がなかなか集まっていないのが現状です。
これだけ科学技術も進んできておりますので、ツール、IT等でも、もう少しサポートができないかということも検討しておりますけれども、なかなかそこの分野についている研究者が少ない。実は、浅川智恵子という人間も、彼女は、自分が見えないということを研究のテーマにしており、1990年代にウエブ、インターネットというものが入ってきて、大きな技術革新がございました。しかし、インターネットというのは視覚的なメディアなので、浅川は視覚的メディア、これはすばらしい技術だけれども、これが主流になると視覚障害者は全く情報にアクセスできなくなるということに危機感を覚えて、インターネットを読み上げるアプリケーションを開発して、それが世界中の視覚障害者の方に使われると同時に、文字が読めない方たちのために役に立ったりですとか、最初は障害者向けに開発したものでも、それ以外の方に非常に使われていきました。
特に、これから高齢化社会を迎えるに当たって、障害者のための技術というのはかなり多くの高齢者の方に使えるはずだということで、今、単に障害者向けの技術ということだけではなくて、いろいろ考えてみますけれども、そういう技術的なことのサポートというものが、まだまだなかなかないので、企業では、そういうことを本格的な導入やツールの普及がないと障害者の企業での活躍はいまだに難しいということも事実です。
それと、現実問題、大学にいる障害者の方が0.4%、人数にすると1,000人から1,500人と言われている中で2%の雇用、新卒採用の中でも障害者の割合を2%にするのは難しい状況です。障害者の方に聞いてみると、やはりその先の就職ということになかなか希望が持てないので、高等教育に進むモチベーションがなかなかない。特に大学に進むのにも、本来ですと技術者、開発者、研究職になるには、大学院でマスター、ドクターをとってほしいのですが、なかなか障害があるゆえに親に経済的な面倒をかけているということで、気が引けていて、更に上を目指せないといったこともあるようです。そういうところも、優秀な障害者に奨学金を出すとか、経済的支援というものも何かできないかということも検討しています。
これは私自身、自社でインターンシップもやりながら感じていることですが、障害者を支援する方々の育成も急務かなと思っています。
特に聴覚障害の方に対しての手話通訳ですとか、PC要約筆記などの担当者の方ですけれども、ITの専門技術に通訳や要約筆記ができる人を確保するのがなかなか難しいという現状があります。
要約筆記の会社の方とお話をしたところ、英語などの通訳者はかなり専門性の要求も高く、産業別に御担当の数もいるようですが、手話通訳、PC要約筆記となると、福祉からスタートしていることもあり、なかなか技術的なことなど、専門的分野についての通訳ができる人がいないということで、そういう部分を強化しないと、なかなか将来のある若い人たちが高等教育や専門教育に進めないと感じている次第です。
ACEの取組は、まだまだ私たち自身も勉強しなければいけないところで、今、3つの部会に分かれていまして、企業の中でのキャリア創出を考える支援と、大学との連携を考える支援、そして広報・政策渉外ということで、ACEの活動をこのような中でお話させていただいて、参加者を増やしていくというような活動を続けております。
次に、日本IBMのインターンシップについて御紹介をさせていただきます。
インターンシップと言いますか、就業訓練プログラムというのを検討し始めたのは2012年、13年ごろになります。実は、恥ずかしい話ではあるのですけれども、2013年に雇用率が1.8%から2%に上がった時に、母数が1万5,000人ほどいるため、0.2%比率が上がると、それだけでも30人追加で、障害者の方を雇わなければいけないものですから、雇用率を達成できなくなってしまいました。先ほどお話したように、なかなか新卒の中でとれないことや、あとは、社員の高齢化が進み、若返りを図る必要がありました。
ただ、いろいろな障害のある学生さんと面談していても、競争力を持っている学生さんが少ないと言いますか。何となく漠然と自分が障害者なので、長く働ける仕事を見つけたいですとか、キャリアに対する強い動機、意志を持っている人が少ないと感じていました。また、障害者の方は動くのが難しいということもあり、学生時代にアルバイトなども経験していらっしゃらないので、それではますますやはり職業に対するイメージがつかめないのだと考え、このプログラムを企画しました。
IBMの新入社員はエンジニアにしろ、営業職にしろ、約1年のトレーニングを受けます。また、企業に入りますと、シングルタスクで済むということはございませんので、毎日の学業とインターンシップと両立してもらうべく、在宅勤務や短時間勤務など、社員が活用しているフレキシブルな働き方を経験してもらうように最低6か月というプログラムをデザインしました。いろいろな大学の関係者にお話に行ったのですけれども、まずそんな長いのは無理でしょうとか、そんなのに応募する人はいないでしょうということで余り賛同が得られませんでした。くじけそうだったのですけれども、実は、本日の座長の筑波大の竹田先生だけが、「面白いじゃないですか」ということで、「プログラムをつくっていただいたら、筑波大から学生を送りますので、是非頑張ってください」とい2013年12月27日に言っていただいたのを心の支えに、2014年にパイロットで3週間のプログラムをスタートして、2015年には30人がプログラムに最長1年参加し、今年も、21人がプログラムに参加して奮闘してくれています。
2015年のプログラム参加者のプロフィールを見ていただきますと、いろいろな障害の方が参加しています。当初デザインしていた時は、やはり視覚障害の方、聴覚障害の方、コミュニケーションをお互いとるのが難しいことを予想して、それぞれの障害別に集めてクラスを運営しようということも考えたのですが、いろいろな障害の方に参加していただいてパイロットを実施したところ、いろいろな障害の方が入っている方が、お互いの学びがあって良いという実感がありましたので、あえていろいろな障害の方に入っていただくようにしています。
それと年代についても幅がある方がお互いに学び合うことが多いということもあったのですが、2015年のプログラムの学びとして、ITというものに対しての習得度は若ければ若いほど高いので、年代の幅が広過ぎると、プログラムの進行が遅くなるため、2016年は、卒業から5年以内と、多少年代を絞ってみました。
実際に参加された方は、文系の方が多かったのですけれども、例えばロジカルな考え方ができるですとか、興味があれば、大学の専攻とは関係なくITエンジニアとして活躍できることもわかっていますので、文系の方にも積極的に門戸を開いています。
次のページをめくっていただきますと、6か月のプログラムを御紹介しています。基本的にはIBMの新入社員が学ぶことをぎゅっと詰めてやっています。 それは一応こういうものを体験していると、例えばIBMにそのまま就職した時に、健常者と一緒に新入社員研修を受ける時に、一度やっていることであれば気後れなく、むしろアドバンテージを持って臨めるだろうと考えたからです。 それはやはりいろいろな当事者の学生さんたちに会っていると、自信を持っていらっしゃらないという印象が強く、最近は採用の判断基準はほとんど面談でのコミュニケーション能力だったりするものですから、そこで自分の強みですとか、はっきり自信を持って物が言えないと、なかなか就職面接を突破できません。そのため、このプログラムの中では、プレゼンテーションの時間を多くしており、障害のことも含めて自分のことを堂々と話せるようになって卒業してもらいたいと考えています。
一旦、6か月でプログラム基礎プログラムは終了するのですが、それぞれの専門性を見て、受入れ部門がOKであれば、OJTを長くするという方法で、引き続き実業の体験と言いますか、就業を継続してもらうことになっています。
2015年の実績では、最短で6か月、大多数が約1年、現在も継続しているインターン生が数名いるという状況です。
次のページは在宅勤務についてです。進行性の障害をお持ちで、ゆくゆくは動けなくなるということに対して強い不安を持っている学生さんもいます。将来の在宅勤務でのキャリア継続を視野に入れて、電話会議やWeb会議など、在宅での業務体験をいろいろしてもらいます。しかし精神障害の方は、在宅ですと、過集中になってしまったり、深夜にタスクをやってしまい不眠になる恐れもあるので、そういう方には在宅ではなくて出勤してもらうようにするなど、障害別の配慮もスタッフ側も学びながら、工夫しております。
最後のページはこれらのプログラムを通じて、当事者とIBM側のメリットを書き出したものです。企業側は学ぶことが多くデメリットを感じたことは全くありません。
ITは、障害者の方ほど使いこなしていただくと、キャリアの幅をそれだけ広げることになりますし、生活の質を豊かにするものだというふうに思っています。アプリケーションの開発も、現代では高度な技術がなくても簡単にできるようになっています。今の20代の人はデジタル世代と言いますか、物心ついた時から、携帯電話を触っているような人たちですから、簡単なアプリケーションはすぐに開発できます。去年、IBMのブルーミックスというプログラミングコンテストにこのインターンシップから参加した1チームが特別賞をもらうというような成果もありました。自分たちの障害をサポートするアプリケーションは、当事者が考えた方が、やはり実際的な、非常に有効活用できるようなアイデアが非常にたくさん出てくるので、このプログラムを通じて、技術的な分野でもIBMには多くの学びがありましたし、当事者の人たちも、自分たちでそういうことを解決すれば良いのだということに気づき、自分たちでそういうことができるというのは、非常に大きな喜びであり、仕事のモチベーションになるというようなことが、このプログラムを通じて体験してもらえたのではないかと思います。
また、障害のある女子学生の多くが福祉を専攻していらして、福祉の分野での就業を望んでいる方が多いようです。それもよくよく聞いてみると、やはり福祉が身近にあって、職業のロールモデルがそういうところにしかなかったからのようなのですが、車椅子の方が福祉の現場に行って、福祉をする側(がわ)に回る、サポートする側(そば)に回るのは、なかなか現実的には難しいと思うので、例えば福祉の分野では、ITの導入が遅れていますので、ITのノウハウを身につけて、将来的にやりたい福祉の仕事につくというふうに考えを変えてエンジニアとしてこの春、当社に入社した車椅子の女子学生がいます。今年の新人研修の中でも、高い業績を示していて、将来が非常に楽しみであり、このインターンシップがキャリアの幅を広げることができてうれしく思っています。
このプログラムを通じて、私が繰り返し、繰り返し、参加者の人に言っているのは、とにかくやってみて、たくさん失敗してくださいと言うことです。失敗を恐れて、冒険をしないのは今の若い人たちに共通していることなのですけれども、障害のある方はますますその傾向が強いように思います。 まず人に迷惑をかけないようにと言うふうに教育をされていると言うか、御本人たちもすごくそういうことを気にしているということで、やりたいことを我慢していたりとか、諦めていたりする人が多いのですけれども、失敗から学ぶことの方が多いですし、本当の職業についたら、なかなか失敗はできないですけれども、インターンシップなのだから、いろいろなことにチャレンジして、どんどん失敗しながら成長してくれればと思っています。
その中で自分の適性、意外と今までは諦めていたけれども、ITの中では、自分は結構、才能があるではないかとか、アイデアを出していくところでは、自分はほかの人に負けないというところなどで、健常者の方にまざっていると、自分ができないことにばかり目を向けてしまいがちですが、このプログラムでは全員が障害のあることが前提なので、ほかの人の障害を通じて、自分のできることに目が向くようになるので、その強みを更に広げてもらうということが1番大きな成果だったかなと思います。
それといろいろな大学から来ている、いろいろなバックグラウンドを持っている障害のある仲間とお互いに学び合い、刺激し合う成果も非常に大きいと思います。
それと企業側にとっては、こういう若い障害者の方々をいろいろな部門に配置することによって、書類上、履歴書上では敬遠されがちが重たい障害だとしても、若い人たちが一生懸命に働いている姿、何かを学ぼうとしている姿を目の当たりすることで、こういう人だったら自分の部門も受入れられるかもしれないというような、障害者の人と一緒に働く上で良い経験をしてもらうことによって、採用に結びつけられるかなと思っています。
2%と言うと、一緒に障害者の人と働いている経験を持っている社員はごく限られるので、障害者とともに働く経験を社内で増やすことは雇用機会の拡大に向けて非常に重要であり、障害のある社員にとってみると、後輩に自分の経験を伝える機会もなかなかないので、障害のある社員自身の成長にもこのプログラムは非常に役立っています。
それと、私はダイバーシティ担当として、女性、障害者、LGBT、いろいろな分野をやっているのですが、ダイバーシティの課題はジェンダーや障害の問題というよりも、ジェネレーションによる価値観の違いですとか、経験の違いというものの方が大きくなってきていると感じています。今の若い障害者の人はかなりデジタルを使いこなし、30代・40代の障害者の人とは違う価値観を持っているので、新しい世代のニーズを把握できるという意味でも、インターンシップは非常に役に立つため、これから規模も広げていきたいですし、地方にも広げていきたいとも考えますが、1社でやれるのは限りがあるため、NPOの方などとも連携して、地方での障害のある方の就職の課題や職業訓練の課題を少しでも解決できるように、こういうプログラムが遠隔地の方も参加できるようにしていけないかと考えます。 駆け足ですが、私の発表は以上とさせていただきます。ありがとうございます。

【竹田座長】梅田さん、ありがとうございます。後ほど質疑応答の方、よろしくお願いします。それでは引き続きまして、佐藤室長よろしくお願いします。

【佐藤室長】ただいま御紹介いただきました、東京新卒応援ハローワーク、佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、資料3を御覧いただきまして、御説明させていただきたいと思います。
本日は、まず、新卒応援ハローワーク、全国のハローワークの取組の簡単な御紹介と、それから東京新卒応援ハローワークの御支援の御紹介と、最後に、東京新卒応援ハローワークの中における専門支援、障害のある学生さんへの就職の支援の取組について、順番にお話していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ではまず1枚めくっていただきまして、新卒応援ハローワークの取組としまして、ハローワークは、さすがにもうこの日本に広まって、皆さん御存じかと思いますけれども、この新卒応援ハローワーク、これは学生さん向けのハローワークがあること、まだまだ我々の周知が足りない点もありまして、御存じいただいていないことがございますが、ここにも書いてございますとおり、全都道府県に新卒者等の就職を支援する「新卒応援ハローワーク」がございます。
対象者は大学院、それから大学・短大・高専・専修学校などの学生や、またこれらの学校を卒業した方の就職を支援する。大体既卒者として我々が扱いますのは、既卒3年以内、大体3年までの方は、私ども新卒応援ハローワークで御支援しているところでございます。
もちろん4年たった方を支援しないわけではございませんけれども、少し4年、5年たってきますと、私どもでまた「わかものハローワーク」というものがございますので、こちらの方に移行しながら支援しているところでございます。
主な支援メニューは、こちらに書いてございますとおり、ハローワークでございますので、全国ネットワークによる豊富な求人情報の提供であるとか、やはりハローワークの本分であります職業紹介であるとか、あとはまた、就職までの一貫した担当者制による個別支援、また、大学等と連携した出張相談、ガイダンス等をやっております。
もう1つが「ジョブサポーター」によるきめ細やかな支援ということでして、ジョブサポーターと言いますのは、民間の総務人事経験のある方ですとか、また、キャリアコンサルタント等の資格を持っている方を専門家として雇っているところでございます。
本日の問題であります障害学生への就職支援につきましては、各ハローワークの障害者の紹介窓口、学生ではなくて一般の障害者の方の紹介窓口も持っておりますので、そういった窓口、またいわゆる雇用率達成指導、こういった指導を行う雇用指導官というのもおりますので、そういった者と連携しながら実施しているところでございます。
続いてまた1枚めくっていただきまして、2ページになりますが、今度は、我々、東京新卒応援ハローワークにおける支援ということで、少し具体的なお話をしていきたいと思います。
まず1番上に、流れ、左から右に流れているのですけれども、支援が始まって、最後、就職に至るまで、ニーズに合わせた担当制による一貫した支援ということで、この「ニーズに合わせた」というのは、やはり学生さんによって、どこの段階から支援した方が良いのかというところはまちまちでございます。
御自身でかなり準備性が高くて、例えば自己分析がしっかりできているとか、情報収集がしっかりできている方については、その後、右の方、応募書類の添削であるとか、面接準備だけを行えば就職できる方もいらっしゃれば、逆に御自身はそう思っていても、実際は、自己分析が全くできていないとか、情報収集が全くできていない方は、御本人と話をしながら、ここで言うと1番手前の方から一緒にやっていこうかということでやっております。
ただ、あくまでも我々の1番の支援としましては、担当制、基本的には、ジョブサポーターが学生にずっと就職するまで、ここには書いてございませんが、全てではありませんが、定着支援のところまでの支援をさせていただいているところでございます。
我々の業務としては、大きく3つの柱がございまして、まず左の大学等支援ということで、こちら、週1回以上訪問による定期支援ということで、私どもでは、今、都内の大学76キャンパスに定期的に訪問しているところでございます。
定期的に訪問して、キャリアセンターの中に場所をお借りしまして、訪問した日は、その日は、常駐しているというふうに常駐型支援と呼んでおります。
ただ、その支援の中身はまちまちでございまして、学校さんによっては、個別の支援、個別相談しているところもあれば、学校さんによっては、個別支援は、学校のキャリアセンターの職員でやるので、逆に集団指導的な、ガイダンス的なことをやってほしいということであれば、そこはガイダンス等を中心にやっているというところで、76キャンパスあれば、本当に76とおりの支援があるとお考えいただいてよろしいかと思います。
それから今度、右の四角です。企業支援、訪問による求人の確保であるとか、また、マッチング精度を高めるための訪問等による求人詳細情報の収集、それから説明会、面接会等を実施しておるところでございます。
おかげさまで、求人は、この景気もございまして、かなりこの求人開拓ということで、外を回らなくても、かなり頂けるものですから、逆に我々としては、2番目の、更に深掘りと言っているのですけれども、頂いた求人に対して、もう1度お電話して、実際に企業様を訪問して、実際に求める学生像であるとか、そういったものを詳しく聞き取っているところが1番メインでやっているところでございます。
また、会社説明会、面接会も、1社ごとのミニ面接会等を含めれば、年間80回程度は行っているところでございますし、また、いわゆる大規模な合同面接会というのもほぼ毎月やっておりますので、昨年ですと14回やっているところでございます。
それから1番メインが、1番下です。職業相談支援、これはまさしく学生と向き合う、職業相談のところでございます。「1人にしない」「諦めさせない」というのをコンセプトとしまして、担当制による顔の見える個別支援を行っているところでございます。
当然、この支援の中では各セミナーとか、またいろいろ応募書類作成指導もろもろやっておるところでございますが、ここにもあるとおり、今年度から私どものセミナーにつきましては、昨年度までは自前でやっていたのですけれども、今年度からは外部に委託してやっているところでございます。
利用者というカウントでいきますと、年間4万人ぐらいの方に御利用いただいているところでございますが、実は、リピーターも含めて4万人なのですけれども、新卒の方が65%ぐらい、既卒の方が35%です。既卒の方もかなり多く、私どもで支援しているところでございます。
これはやはり既卒の方の支援というのは、正直、大学さんらのキャリアセンターもなかなか難しいという話も聞いておりますので、大学さんの方には、既卒の方がもしキャリアセンターに来られたら、是非私どもハローワークの紹介をしてほしいということで、そこは強くお願いしているところでございます。
それから右の方、右の四角にキャリア・コンサルティング、心理カウンセリング、専門支援とございます。キャリア・コンサルティングは、きょうは省きますが、心理カウンセリング、やはり最近は報道でもあるように、いわゆる就活鬱、就職活動がうまくいかなくて、うつ病になってしまう学生が非常に増えておりまして、私どもも、専門家を招いて、心理カウンセリングを行っているところでございます。
件数だけ申し上げると、平成25年度は年間で186件だったところが、平成26年度になると219件あって、昨年度、27年度ですと284件、実は週に2回、3枠ずつしか枠がないもので、大体、全体で300ぐらい予約枠はあるのですけれども、284ということは、ほぼほぼ埋まっているという状況でございます。
最後、この右下の専門支援コーナー、こちらの方で、障害のある学生さんの支援を行っているところでございます。
そこについて、次のページからお話をしていきたいと思います。
ちなみに、前置きで恐縮なのですけれども、新卒応援ハローワークは、全国で57か所ありまして、東京でも新宿と八王子にございます。実は、実際に障害のある学生を専門的に支援している、この専門支援コーナーがある新卒応援ハローワークと言いますと、私も全部は存じ上げませんけれども正直、非常に少ない、若しくはほぼないというふうにお考えいただいて、東京新卒応援ハローワークが、独自とは申しませんけれども、取組んでいるとお考えいただければよろしいかと思います。
ではめくっていただきまして、東京新卒応援ハローワークにおける障害学生支援ということで、私どもでは専門支援コーナーと呼んで、ここでやっております。
対象者としましては、障害者手帳を持っている大学、大学院、短大、高専、専修学校の卒業予定者及び、先ほどもお話したように、大体既卒3年以内の方となっております。また、発達障害であるとか、難治性疾患又はコミュニケーションが苦手な方等も対象にしているところでございます。
体制としましては、先ほど申し上げたジョブサポーター2名、あと就職支援コーディネーター1名、就職支援ナビゲーター1名、この役割は、本日は、時間の関係で割愛させていただきますけれども、この就職支援コーディネーターと就職支援ナビゲーターは、採用に際しては、障害のある方の支援の専門家ということで、経験等を考慮して採用しているところでございます。
また、学卒ジョブサポーター2名につきましても、実際には専門支援コーナー専従でやっておりますので、実際には経験も3年以上ございますので、専門性が高いというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
相談時間につきましては、月曜から金曜日、午前10時から午後6時ということでやっておりまして、最後に赤字で書かせていただきましたけれども、障害者手帳の有無は関係ございません。障害の特性や事情に配慮した個別支援を実施しておるところでございます。
続いてページをめくっていただきまして、相談・支援の内容、読んでいただけば、このとおりでございますが、登録から、職業相談、職業紹介、また就職、定着まで一環した担当者制、ここも、御本人がよほど嫌がらない限りは、担当者制、マンツーマンで支援を行っているところでございます。
2番目の項目としましては、面談は、1回当たり1時間から2時間、これは、私どもの一応の目途として、一般窓口につきましては、予約で相談した場合には1時間にしましょうということで、お互い取決めでやっておるのですが、専門支援コーナーにつきましては、最長2時間までは時間をかけましょうということで、支援しているところでございます。
それから4番目の項目でいきますと、必要に応じ、採用面接に同行し、配慮事項を企業に説明することもございます。年間、そんなに何十件もあるわけではございませんけれども、こういったことも行っておりまして、昨年度実績で言いますと、主にやはり発達障害をお持ちの方への同行というのが多かったです。
どんな特性があるかというところ、発達障害者の専門である就職支援ナビゲーターの方、ナビゲーターが同行して企業に説明して、理解を求めるということを行ってきております。
それから最後、就職後の職場定着のため、会社訪問や最寄りのハローワークへ支援の引継ぎ、逆に、これは我々ハローワークで障害、一般の障害者の方を支援する際は、就職した際には、基本的にはそこの会社を管轄するハローワークに引継ぐ仕組みとしております。
例えば東京のハローワークでお仕事の相談をして紹介をして、神奈川のハローワークの管内の企業に就職した場合については、その方の支援は、その企業を管轄するハローワークに引継いで、もちろん東京のハローワークで手放すわけではございませんけれども、やはり企業への定着支援ということで、近いところに引継いでいるのですけれども、同じく学生についても、学生は完全にこういう引継ぎは行っておりませんけれども、やはり必要に応じて他県のハローワーク、また都内でもほかのハローワークとも引継ぎを行っているところでございます。
ここには書いてございませんが、我々が相談した中で、よく感じることは、確かにハローワークであると、本分は当然、職業相談をし、職業紹介をして、就職していただく。これは当然、ハローワークということはよくわきまえてはいるのですけれども、正直なところ、私どもは、就職させることだけでなくて、ハローワークとして、進路相談という言葉が適切かもしれませんけれども、卒業後どういう進路が良いのかということは、我々として相談に乗っているところでございます。
当然、就職と進路はもろもろありますし、中には就労支援に移行して、少し支援した後、就職した方もいらっしゃるし、中には少し職業訓練が必要な方は訓練校に結びつけるということもありますので、本来はハローワークであれば、就職ということに結びつけるというのはやらなければいけないところではございますけれども、やはりそこは個々の事情に合わせて、そういった進路相談的な役割ということで、今、我々は取組んでいるところでございます。
それによって、我々が感じていることは、就職できなかったにしても、例えば就労移行支援につながるということで、本人の中では1つ達成感があって、その後次に就職ということで、頑張っていただく。就職だけ見てしまうと、就職できなかった学生さんは、先ほどの話ではございませんが、失敗体験しか積めないということもありますので、そういったところで、進路ということを少し意識してやっているところでございます。
下に平成27年度窓口相談、1,511件と書かせていただきましたが、平成26年度は1,240件ということで、毎年増加しているところでございます。
続いて登録状況です。簡単に申し上げます。
27年度は、次のページでございますが、新卒者98名、既卒者63名ということで、障害種別で見ていただきますと、身体障害の方が77名、それから精神障害の方が73名でございますが、この下の米印に書かせていただきましたが、精神障害のうち発達障害のある方、これは、必ずしも診断を受けているということではございません。その中で、御本人と話しながら、障害特性があるかなということを話している学生さんが、73名のうち60名いらっしゃるということになります。
それからここの161名には入っていないのですけれども、障害学生コーナーで相談している方が約30名いらっしゃる。この方々というのは、御本人はいわゆるコミュニケーションに課題はありつつも、発達障害という受容はされていない、認識もされていないのですけれども、やはり一般窓口で先ほど申し上げた1時間という枠では非常に難しいということで、専門支援コーナーでゆっくり時間をかけて相談する方が30名いらっしゃるというふうに、御理解いただければと思います。
続いてめくっていただきまして、求人情報・就職面接会というところでございますが、まず黄色い見出しのところがございます。毎年3月に、各大学等を通じて、卒業予定障害学生と、翌年度に卒業を控えた障害学生を対象に、就職希望調査を実施させていただいているところでございます。
その中で、求人情報の提供希望があった学生さんに対しては、いろいろ説明会等の御案内をしているところでございます。
ここはやはり障害学生さんたちについては、ピンポイントに情報提供した方がよろしいかということで、東京労働局が実施しているのですけれども、都内で200前後ぐらいの大学に郵便で送らせていただきまして、もし学校の中に障害学生さんがいらっしゃって、私ども東京新卒応援ハローワークから情報が欲しいという学生さんがいたら情報をくださいと言うことで、御本人のお名前であるとか連絡方法、住所、メール、ファクス、電話であったり、情報を頂きまして、それをもとに私どもから下に書いてある企業説明会であるとか面接会であるとか、そういったものの情報をお渡ししているところでございます。
また当然個人情報の問題もございますので、御本人の同意を得るにしても、多くの学校に送るのですが、そのうち実際に情報を頂ける学校はやはり50校にとどまっているところでございます。50校で約120名の学生さんの情報を頂いているところでございます。そこで頂きました情報につきましては、厳重に管理した上、なおかつ情報については、適切に提供させていただいているところでございます。
イベントの情報を、参考までに出させていただきましたけれども、28年、今年5月19日、20日、今年は大学生の面接解禁が6月だったものですから、その以前、5月ということで、これは面接ではなくて会社説明会ということでやりました。
参加者は2日間で延べ140名御参加いただいたところでございます。昨年度も同じような取組で、101名の御参加でしたので、そこはかなり増えたということでございます。来月、今度は7月8、9日と2日間、障害をお持ちの学生さんに向けた面接会を行います。2日間で104社予定しておりまして、昨年もほぼ同規模でやったところ、218名御参加いただきまして、採用が決まった方はそのうち27名と把握しております。
27名の内訳を申し上げますと、そのうちの14名が精神の手帳を持った方でございましたので、やはりだんだん最近は雇用率も上がっているところもありますけれども、精神障害者の雇用についても、かなり理解は進んでいるのではないかというところでございます。
それから下の平成27年度の求人件数193件と書いてございますが、この193件というのは、これは我々、大学生向けの求人を頂いているのですけれども、その中で、なおかつ障害をお持ちの学生さん向けということで、頂いた求人でございます。
ただ、実際私どもで職業紹介に使う求人は、この193って非常に数少ないものですから、当然、障害学生向けでない学生向け求人も活用しながら、また一般障害者向けの求人も活用しながら、学生には御紹介しているところでございます。
続きまして、学校との連携ということで、少し話をさせていただきます。
学校との連携は、右の丸の中に書いてございますが、本人同意の範囲内で情報提供・収集ということで、当然各学校から障害のある学生さんはいろいろ紹介いただくのですけれども、やはり紹介いただく上では、できればいろいろと学校での相談状況であるとか、可能な範囲で情報提供いただけるといろいろな連携がしやすいということでお願いしているところでございます。
ただ、やはりここもなかなか学校さんの事情もございますし、御本人さんの個人情報の同意というのもありまして、この連絡票というのはここに書いてございますとおり、年間でわずかと言って良いかと思います。22件にとどまっております。
この内容について見ていきますと、やはり学校さんでかなり御苦労されていると言ってよろしいでしょうか。学生さんが非常に多くて、22件の中で結果的に就職に結びついたのは5人だけだったということで、我々の支援している中では、割合は非常に低い。ただ、この22件の中から内定をもらった方につきましては、卒業して、学校さんも参加できる範囲であれば、学校にまたフィードバックして、またフィードバックをもらってということで、学校さんとは強く連携しているところでございます。
ちなみに22件の障害の内訳を少し申し上げますと、精神障害の手帳をお持ちの方は5名いらっしゃいまして、それから発達障害、ADHDと診断を受けている方が5名いらっしゃいました。それからあとは、聴覚障害の方が3名ということで、あとは、いろいろな障害にばらけておりますので、やはり精神障害であるとか発達障害の方が非常に多いということがここからも見てとれると思います。
最後、視覚障害学生の支援事例であるとか、あと発達障害学生の支援事例が書いてございますので、またこちら、機会があったら、お時間がある時にお読みいただければと思うのですけれども、少しだけ御紹介させていただきますと、視覚障害学生の支援事例につきましては、私どもだけでは支援できませんので、支援内容に書いてございます訓練機関を御案内して、パソコンのスキルアップしたりとか、また、IT企業の3週間にわたる職場実習に申し込み、職場実習という言葉を使っていますが、これはインターンシップのことを指しております。
それから1枚めくっていただきまして、発達障害学生の支援事例です。こちらにつきましては、先ほど申し上げた多機関にわたる事例でございまして、ここは我々東京新卒応援ハローワークを御利用いただいた方でございますが、実際に就職先は神奈川県相模原というところでございまして、ここに途中でありますけれども、障害者職業センターの職業評価というのも、神奈川の職業センターを利用させてもらったりとか、あと、地元、神奈川のハローワークを使ったりとか、こういった関係機関、また他県との連携もやっているところでございます。
ただやはりまだまだ学生ではない、一般の障害者の方に向けた支援に比べれば、その連携というのはまだまだ不十分かと思っておりますので、やはり各機関とか学校さんらとも連携を深めて頑張っていかなければいけないと思っているところでございます。
簡単でございますが、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【竹田座長】佐藤室長、どうもありがとうございました。
ただいまお二方から御説明いただきましたが、お二方の御説明に対しまして御質問等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言を頂きたいと思います。
梅田部長は、企業のインセンティブというようなことが、非常に印象に残っております。インセンティブというのは大学の支援の時にも、捉え方を間違えると、非常に誤解される部分ではあります。ただ、そのインセンティブは当事者の方、あるいは受入れ側にとって非常にバックするという考え方、非常に大事と思ったのですけれども、具体的に補足いただくと、本人の内容ということもありますし、ビジネスモデルとしての何かヒントだとか、アイデアとかということもあるのかなというふうに伺ったのですけれども、その辺もうちょっと補足して、追加ないしは複数展開ということで、いかがでしょうか。

【梅田部長】IBMでは、ダイバーシティの推進をしていく上で、一番効果があるのが、と言うか、まずやらなければいけないのは、当事者自身に自分たちのキャリア課題というものを認識してもらって、その解決策を自分たちで検討し、会社に提案してもらうということです。
今回、特に思ったのは、障害者の方が若いうちからずっと人に面倒をかけないようにと思ったり、言われたりして育つので、なかなか自分から積極的に何かをするということに動機を持てないでいるということです。自分で障害を受入れているか、受入れていないかでもかなりキャリアに対する考え方とか職場での定着率が違ってくるので、自分でそれを自覚して、解決策を自分で考えるというプロセスは、特に障害者の人にとっては必要かなというのを、このインターンシップを通じては感じました。

【殿岡委員】障害者の就職支援と言うと、どうしても障害の部分に着目することが多いのですが、この検討会では、合理的配慮の中身として、大学でどういった配慮を受けてきたか。情報共有という話もありましたけれども、大学でどういった手話通訳を受けたか、どういった点訳を受けたか。大学によっての合理的配慮の中身の部分ですね。どう就職先やインターンシップの中において行われている合理的配慮がそこでのモチベーションなりに、関係しているかと言うか、こういう配慮を受けてきた学生が実際にこうだったというような配慮が連動するあたりで、もし特筆するべきことがあれば、是非教えていただきたいと思います。

【梅田部長】IBMでは、人事の基本的な考え方の中に、イコールオポチュニティ(機会均等)というのがございまして、マイナスの部分はゼロのところまで、同じスタートラインに立てるように、会社が制度やプログラムでそれをサポートするという考え方があります。イコールオポチュニティはIBM流の合理的配慮です。例えば障害者の方が入社してこられた時に、その方の職場の上司と、あと施設担当者と、ダイバーシティ担当者と御本人と、その方がふだん仕事をする時に非常によく使う通路ですとか、オフィスですとか、そういうところを一緒に回って、同じ車椅子の方でも、同じ視覚障害の方、障害名は同じでも個人によってかなり違いもありますので、必要なところだけ例えば自動ドアにするとか、ドアのノブを手で回さなければいけないものを押せばあくものにするだとか、あと、自動販売機なんかにしても、身長が低い車椅子の方であれば何かサポートする棒みたいなものをつけるとか、要所要所、その人に合わせて、その人が誰の助けも借りないで、生活ができるようにと言う、ビルディング・アコモデーション・アセスメント・ツアーと言うのですけれども、そういうところでも、イコールオポチュニティを実現させます。
その後は、御本人から特にリクエストがなければ、基本的には、所属長と本人の判断にお任せしているという感じで、出張にも行ってもらいますし、業務上必要な研修であれば、障害が理由で当日の移動が難しければ前泊の費用をダイバーシティ部門がサポートなど、一律ではなく、その人、その人に合わせた配慮をします。
うちの会社、障害者に優しいとか女性に優しいという評価や表彰を受けると、当事者がものすごく怒るのです。決して優しくないから、時々差別して優しくしてくれて良いぐらいだ。しかし浅川がよく言うのは、それが結局、あなたは障害者だから、やらなくて良いよとか、女性だからやらなくて良いよと仕事を免除されなかったことが、いろいろなことに逆に挑戦することができて、自分の能力は伸びた、夢をかなえることができたということです。

【殿岡委員】ちょっと質問が伝わらなかったと思うのですけれども、大学時代での合理的配慮が、インターンシップへ来た時に、こういった合理的配慮をした学生が、どうだったかということをお聞きしたかったのです。

【梅田部長】3年ほど前にACEの活動で、いろいろな大学の障害者支援室ですとか、そういうところを回ったのですけれども、この3年で随分、御担当者が変わられたりとか体制も変わられて、特に障害者支援室というのも増えてきた。すごくうれしいことだと思いますが、実際には、余り大学とかで、障害者に向けての支援がほとんどないというような感じを受けています。
聴覚障害の方については、ノートテークの要望があるので人数が把握されていますが、実際に障害のある学生さんがどのくらい在籍しているか把握している大学がほとんどなかったという、30校ぐらい回ったのですけれども、3年前はそんな状況だったのが率直な感想です。
その中でも、筑波大学は、障害のある学生さんたちのチューター制度というのがあって、先輩が後輩の面倒を見るという仕組みがあり、例えば車椅子の人でも、手話を使えるようになっていて、聴覚障害の学生と会話ができており、そのせいか筑波大の学生さんは非常にハート強い人が多いのです。それで朗らかで明るい。なので、そういう仕組みはとても良いなと思いましたので、このインターンシップの中でも、聴覚障害の人が視覚障害の人を助けたりとかというのが、自然発生的に起きていて、あと、発達障害の人なんかもなかなか自分から積極的にコミュニケーションはとれないのですが、何かあれば助けたいという気持ちで仲間を見守っていて、障害者同志がお互いに助け合う気持ちを持つことは自立する気持ちを養う上でも良いことであり、学生時代にそういう経験がある人は企業でも活躍できると思います。
あと、立教大学は非常に障害者支援室のサポートも充実していて、御担当の方は企業勤務の経験があり、それも1つポイントだと思います。
こちらで訪問して会話させていただく時に、こちらのニーズをいち早く把握していただいて、それならこの学生は送り出せると思いますというふうに、障害のある学生さんの顔を思い浮かべてお話してくださっているなという感じがありました。ほとんどの大学では把握されていないことが多いということと、あとは、就職支援課が兼ねているところがあって、ものすごく大量の学生の就職支援をしなければいけない中で、障害の学生だけになかなか時間をかけられないという現状もあるのかなというふうに感じます。

【高橋委員】梅田さんに質問したいのですけれども、お話の中で、このプログラムの参加者の具体的に何ができるか、できないか、ということよりも、マインドセットと言いますか、要するにやろうとするかしないかですとか、主張できるかできないかとか、そういった部分が大きいなという印象を受けながら聞いておりました。
お尋ねしたいのは、プログラムの中のどういった側面が、この参加者におけるマインドの変化と言いますか。そういうふうに自分からやっていこうという方向に変えていくことに貢献していたのかなというところを聞けていければとに思いました。
どうも、これは私の印象というところもあるのですけれども、日本の障害関係の問題を取り巻く文化と言ったら違うのかもしれませんが、支援というものはやってあげるもので、そういったマインドセットが、支援を受ける側(がわ)にとって、やってもらうマインドみたいなものを促進しているのではないかなというような印象も持っております。
ただ、やってもらうというマインドでは結局、そういった企業の中で自分ができることをやっていくという形に、なかなか自分からなっていけない。そこは課題なのかなというふうに思っております。
それをいきなり、就職してからそれが急に変わるというのは難しいということを考えると、高等教育機関、大学で何ができるかなということを考えなければいけないわけですけれども、そういった点において、このプログラムの参加者の変化の中から、どういった側面がそういったマインドの変化に役立っているかということをお聞きできると参考になるかと思いました。
そもそも参加する方が、そういうマインドの方ばかりでということになると、選(よ)りすぐりみたいな感じになって、ちょっと違うのかもしれませんけれども、そのあたりいかがでしょうか。

【梅田部長】プログラムに応募してくる、6か月という長いプログラムに応募してくるというところで、結構やる気がある学生が多いかと思いますけれども、最初に会社として、皆さん、障害に対して必要な配慮があれば、事前にお知らせくださいと言うことで、入っていただく前に調査をするのですけれども、そうすると、駅まで迎えに来てほしいとか、いろいろなことを言ってくるのですけれども、基本的には、それは自分でやってくださいと突き放します。
お給料を払っているので、そのお給料を何に使ってほしいかと言うと、自立することですというふうに、オリエンテーションでもお話をします。それはまず経済的、精神的に親御さんから自立してください、そのためのお給料を使ってほしい。例えば通うにしても、最初、事前に自分で下見に来るとか、あと、タクシーを使うとか、自力で何かをするサポートにお給料を役立ててくださいと言うことをはっきり言います。
IBM社員はまず入社して教わるのが、IBMという会社は、黙って座っているだけでは誰も何もしてくれない会社ですということなのです。自分で動きなさい、自分で確認しなさい、自分で聞きに行きなさいというのと、繰り返し言われますし、常に自分の意見を求められるのです。
発言に対して、「女性のくせに」とか「若いくせに生意気だ」ということで口を封じられることはないので、それがIBMのスピリッツですということで、それをインターン生にも、繰り返し、繰り返し言います。また、障害のある社員に出てきてもらって、自分がどんな仕事をしているかとか、働いていて、何か困ったことや乗り越えなければいけないことがあったかどうか体験談を話してもらいます。すると先輩社員がまた同じことを言うのです。IBMという会社は黙って座っているだけでは、誰も助けてくれないので、障害があるなしに関わらず、自分でサバイバルする方法を見つけなければいけないし、でも助けを求めれば、みんなが快くサポートしてくれるから、それに甘え過ぎずに自力でできるところまで頑張るのだということを言ってくれます。
それと必ず発表させて、仲間の発表に対してフィードバックすることを強く奨励します。批判するのではなくて、どこが良かったかということをフィードバックするように促しますが、最初はほとんど手も挙がりませんし、黙っていますが、とにかく発言させるという経験をさせていくと、最初の自己紹介では、ほとんどの人が自分の障害を語らないのですけれども、3か月後、6か月後には、なぜ自分が障害を持つことになった経緯ですとか、それによってどういうことを自分が考えたかということを自発的に話すようになります。
1つは、やはり全員が障害者なので、先ほどお互い助け合うようになると言いましたけれども、最初は、助けたいけれども、どういうふうに相手の障害の状況を聞いたら良いのかわからないとか、どんなサポートをしてあげたらお節介にならないで済むのかということをすごく考えるようです。それと同時に、これは自分が周りにいる健常者の人が感じる気持ちなのだということがわかるようになるらしくて、やはり客観的に自分の障害だとか、障害者の置かれている環境というものを自覚するようになると、かなり違ってくるかなと感じます。
その辺が成長するポイントと、あと、OJTに出した時に、そこで障害があろうがなかろうが、うちの社員、普通にと言うか、結構乱暴に扱うらしくて、それが逆にうれしいみたいなのです。
職場で余り配慮し過ぎず、一人前に扱ってもらったとか、飲み会に誘ってもらったとかという経験があって、OJTからはものすごく成長して、スッキリして帰ってくる印象があります。

【高橋委員】ここに近藤委員もいらっしゃいますが、近藤委員のやっているDO-ITと非常に通じるところもあるなと感じながら聞いておりました。

【西村委員】佐藤さんと梅田さんに1つずつ御質問があります。
まず佐藤さんからですが、先ほど東京新卒応援ハローワークは、幾つか応援ハローワークがあるにしても、これは「東京での」というふうにおっしゃったと思うのですけれども、例えば障害者職業紹介の窓口との連携というのが、中でされていると思うのですが、外からは見えにくいところであると思うのです。
私たちのところも、発達障害であれば、就職支援ナビゲーターの方が担当してくださるのですけれども、そこから障害者の担当窓口に何となく移る感じが、外から見えないなと思っているので、そこは全国的にどういうふうになっているのかというのをお聞きしたいということ。
それから梅田さんには、ACEというものがあって、地方の場合、会員機能ってございますよね。ここに書いてありますよね。地方で、今のIBMさんが行っていらっしゃるようなインターンシップについて、やってみたいという希望が、大学としてあった場合、どういうプロセスでそのようなつながりが持てるのかどうかというあたり、地方はまだ難しいというふうにおっしゃったのですけれども、どういうふうにその可能性があるのかということをお聞きしたい。

【佐藤室長】全国のハローワークの情報、全て把握しているわけではございませんが、東京のハローワークということでお答えさせていただきますと、都内のハローワーク、私どもも例えば発達障害の学生さんが、私ども東京新卒ハローワークとしては全く問題ないのですが、例えば都内の一般のハローワーク、飯田橋だとか品川であるとか、一般のハローワークに発達障害の学生さんが来られた場合どうするかということでございますけれども、まずは御本人の希望を伺うところから入ってくると思います。
そこで御本人が、ハローワークの窓口、例えば飯田橋の窓口に行き、発達障害、多分、受容されている場合、どんな形で支援するのが1番ベストか相談します。御本人がやはり障害の専門的支援の窓口を御希望されれば、そこは連携をとるというのは、多分、そちらの窓口に今度は移して、そこでしっかりと支援するパターンが1番多いかと思います。その場合、両方の窓口で連携しないということはないと思います。
 私どもの東京新卒応援ハローワークの場合ですと、今度は他所との連携ということが出てきまして、私どもは学生さんのハローワークの窓口ですので、私どもで支援しながら、やはり例えば御本人さんが住んでいらっしゃる地元のハローワークであるとか、先ほど申し上げた、今度御本人が就職された場合については、その就職先のハローワークと連携することはあります。

【梅田部長】インターンシップのこれからの拡大の可能性ですけれども、まず大学でインターンシップを単位として認めていただけるようになると、もっと多くの学生さんが参加しやすくなると思っています。
あとは、今、ACEの中で、インターンシップをやれたら良いなと思っている企業はたくさんあるのですけれども、実際にやるとなると、すごく手間がかかりますし、参加者集めが大変です。それは健常者のインターンシップでも同じなのですが、ましてや障害のある学生さんだけを集めたりして、何かあったらどうするのだとか、ハードルが高く感じられるようです。
特に地方から来ていただくとなると、それだけ旅費もかさみます。IBMのプログラムに関西から参加している方がいるのですが、春休みと夏休みは、短期賃貸マンションを借りて、そこから通っており、それは自己負担です。そういうところをサポートすることができれば、地方の学生さんにもっと参加してもらいやすくなるかなとは思います。
あと、地方で展開する時には、やはり、私ども、東京に本社があるので、開催する人員を地方に派遣する必要があり、コスト的に難しいということもあります。
なので、例えばそういうところをローカルのNPOの人たちがサポートしてくれるとか、大学の設備を使って遠隔参加ができるようにするとか、電話会議やスカイプなど、在宅、遠隔で参加できるインフラですとか、ルートですとかというものが広がっていけば、もっと可能性があるのかなと思います。
私どものインターンシップの時も関西の方は、スカイプで参加するか、大阪の事業所の社員がOJTの面倒を見るということができたので、実現できています。

【西村委員】会員機能も、例えば地方にもいろいろ会社があるというわけで、例えば大学として障害のある学生のインターンシップは、やはり取組まねばと思っていたところ、もう少し協力関係ができれば、何らか進展があるのかなと思いましたので、お聞きしました。

【梅田部長】そういうことがやれればと、皆さん思っているのですけれども、人の手配をどうするか。そこにかかるお金をどうするかというところで、議論がとまっちゃうというのが現状かと思っています。そこに例えばインターンシップをやることに、助成金とか、何かあれば、もう少し簡単ではないですけれども、やりやすくなるかなと思います。

【竹田座長】今回の検討会において、キャリア支援、就労支援は、中核になるようなことだと思います。続けて、大島委員と鈴木委員から御説明いただきまして、村田委員もACEとの関わりをお持ちだと思いますので、その後の議論で続けてお話いただければと思います。

【梅田部長】本当は大学生になってからではちょっと遅くて、中学とか高校あたりから、訓練ができるような体制になっていないと難しいと思っています。
女性の場合、IBMは女子中学生だけのテクノロジーキャンプというのをやってもらっています。
高校生になると、進路が文系・理系と決まってしまっていたりするし、やはりそういうところに出ていこう、違う学校の子ともまじろうという動機を若い時からつけていると、こういうところに持っていきやすいかなと思います。
あとは親御さん。インターンシップに来てくださる方も、親御さんが介護者として付き添ってこられる方、なかなか自立が難しいと思います。
親御さんではなくて、介護の専門家に身をゆだねられるようになることも自立に向けては必要です。逆に親御さんも障害者の方のお子さんから少し離れるという経験をできるだけ早いうちにしていただくというのが、就労に向けては必要かと思います。

【竹田座長】ありがとうございました。続きまして、2名の委員さんに説明をお願いしたいと思います。最初に大島委員からお願いいたします。

【大島委員】日本マイクロソフトの大島でございます。
資料4-1と4-2を使って、お話をさせていただきたいと思います。
まず私は企業という立場でもありますので、まず私どもの会社としての障害のある方の就業形態というのも、少し御紹介させていただこうと思います。
まず前提として、私どもは障害のある、なしということに特に区別のない就業形態をとっております。例えば、障害のある方に向けた就労に関するウエブサイトが私どもの会社のホームページにあり、障害のある方の就労について、マイクロソフトの考え方についてなど、そこで紹介しているのですが、現在、応募している職種は何だろうというふうに見ると、障害のある、なしに関わらず、一本の、同じサイトで検索ができる形になっています。
私どもも、ダイバーシティの考え方を重視しておりますので、特に障害のある方、ない方ということで区別することではなく、一緒にこの仕事をしていくということをメインに置いている形になります。
しかし、障害のある方の採用をしていく中で、障害があって、ITの仕事につきたいけれども、ITの知識や技術力が足りない方が多いということが、私どもの人事の担当の悩みとして出てきまして、そこで2番目に書きましたITラーニングプログラムというものをさせていただいています。
こちらは最長2年間の契約社員のプログラムなのですがその2年間終わった後、IT業界などで働くことを目指して、テクノロジーのスキルやビジネススキルを学んでいく障害のある方に向けたプログラムになっています。
私どもでも、ITの資格制度などを持っていますので、私どもや他社さんのITの資格制度の勉強をして、そういった資格を取って、IT業界ですとか別の業界で社会人として就職していくための支援をするプログラムという形になっています。
また、私どもで取組んでいることとして、社員が障害のある方と一緒に働くことという経験や知識が圧倒的に不足している部分がありますので、障害のある人と一緒に働くというのは、こういうことなのだという経験のようなもの、障害体験みたいなものも含めてなのですけれども、講義やトレーニングを、特に管理職を中心に、学ぶ機会を提供しています。
ダイバーシティの考え方の1つとして、働き方も多様にというものを推進していまして、これも障害のある方、ない方に関係なく、障害のある方向けの制度ではなく、在宅勤務がとても認められています。
以前は週に3日まで、事前に言えば在宅して良いよと、会社に来なくてもお仕事して良いよという形になっていたのですが、今はそれが週5日まで認められるようになっているので、会社に来なくても、様々なところでお仕事できる制度が整っています。
スカイプを使っていただいている方もいらっしゃるかと思いますが、皆さんよく使っていただいているのは、無料のスカイプかなと思うのですが、有料でスカイプのビジネス版というのをマイクロソフトでは出していまして、それを使って是非在宅勤務をしましょうということで、在宅でなく、いろいろなところからスカイプで会議に入ったりですとか、すごく行って、まず自分たちがモデルケースになるということで、在宅ですとか多様なワークスタイルというのを推進しています。そういうのは障害のある方にも便利に使われているところがあるかなと思います。
ページをめくっていただきまして、少しお話が違うのですが、これは社員向けではなくて、一般に学生さんなどに向けた人材育成の取組というものもお話をさせていただければと思います。
幾つか行っているのですけれども、例えばなかなか知られていないのですが、1番目のDream Sparkというものは、私どものVisual Studioなどプログラミングのツールがあるのですけれども、そういったものを学生さんには無償で提供させていただいています。
また、オンラインで、そういったことが学べるVirtual Academyというサイトもオープンしています。
また、次にありますStudent Partnersというものは、学生さんのコミュニティなのですけれども、学生さんの中でも開発される方、技術者の学生さんのコミュニティというものを組織しておりまして、私どもからはスキルアップですとか、テクノロジー的なスキルアップですとか、あとはプレゼンテーションですとか、英語ですとか、そういった能力のスキルアップをマイクロソフトからはサポートをさせていただいていて、例えば学生さんに何かお願いしたい時、私どもでは小中学生のプログラミング学習イベントのようなものを行ったりするのですけれども、そういった時にはこのStudent Partnersさんに「ボランティアしない?」「アルバイトしない?」というふうにお声をかけさせていただくというような、そういったコミュニティの組織をしていたりします。
またその下はImagine Cupというもので、ITコンテスト、アプリケーションですとかソリューションのコンテストを行っています。これは、全世界的に行っていまして、まず日本では資料で審査して、その後、予選会を日本で行って、勝ち抜いたチームには海外での、その年によって開催場所が違うのですけれども、海外での決勝に臨んでいただくというようなものを行っております。
こういったものも、ただコンテストを行うとかと言うと、もちろんすぐれている学生さん、いらっしゃるとは思うのですけれども、英語でのプレゼンテーションに支障があったりしますので、そういう部分ですとか、テクノロジー的にもう少しこういう点を工夫すれば、もっと良い結果が出るのではないかというようなアドバイスをさせていただいたりしています。コンテストを行うというよりは、コンテストを通じて、その方のスキルアップのお手伝いをさせていただくというような側面が、多いかなと思っています。
これまでのお話をさせていただいた人材育成の取組、特に障害のある方向けのものでは決してなくて、一般的に行っているものなのですけれども、例えばimagine Cupでは、福祉分野の技術についてのカテゴリーがありまして、それに応募してもらったり、それに障害のある方が応募されたりとかということも、今までにはありました。
また最後に、これも障害のある方に限ったものではないのですが、障害のある方にもフォーカスしたプログラムということで、ちょうどおととい、発表させてもらったものを御紹介させていただきます。
今、プログラミング教育は様々なところで力を入れられています。ただ、その中で、そういった教育の機会になかなかアクセスするのが難しい方にもプログラミングの学習、教育に触れていただこう、技術力を上げていただこうというための「Programming for all」というプログラムになっていまして、特に女性と遠隔地在住者、障害のある方、若年無業者にプログラミングの学習機会をNPOさんと一緒に連携して、提供していくプログラムになっています。
そこで次のページになるのですけれども、こういった状況等を踏まえて、本日の議題であります就労への移行、一億総活躍社会に向けての具体的な取組のたたき台として、2つのことをお話させていただければと思っています。
まず1つ目は、一次の取りまとめにもありましたインターンシップです。本日もお話に出ていますけれども、障害のある学生のインターンシップの経験というのが、極端に少ないというのが問題だと思っています。
JASSOさんの調査で、障害のある学生にインターンシップを実施した学校が14校となっているようですけれども、文科省さんのインターンシップを推進している専門教育課さんの調査では、高等教育機関のうち740校でインターンシップが実施されているという調査結果がありますので、やはりすごく大きな開きがあると思っています。
また文科省さん全体としても、このインターンシップ、推進されていると思いますので、是非その中で、障害のある学生に向けてのインターンシップというものも、全体の取組の中に含めて、推進の実施をしていけると良いのではないかと思っています。
また、企業側もやはりダイバーシティの考えというのは進んでおりますし、先ほどもお話をさせていただいた企業の側(がわ)は、社員が障害のある方と一緒に働く経験ですとか、知識が不足しておりますので、それをインターンシップから始めるというのは、やはりハードルが低く始められやすい部分だと思いますので、是非一次取りまとめでもあったインターンシップの実施推進ということは、行っていけると良いのではと思います。
1社では難しいというお話がありましたけれども、やはりそういった部分は国として取組んでいただく必要性が高いのではないかと思っています。
続いては理系の人材の育成です。障害のある方に限らず、全世界的に、やはりこの理工系の人材育成支援というのは、話題になっているところだと思います。
文部科学省さんでも理工系人材育成戦略というものが策定されて取組まれておりますし、アメリカでもすごくその重要性を認識して、そのための教育と言うのに力を入れています。Hour of Codeというコードの時間、プログラミングの時間という、プログラム週間みたいなものがあるのですけれども、それのスポンサーがオバマ大統領なのです。そのプロモーションビデオにオバマさんがプログラミング教育の重要性を訴えていたり、一般社会でも、この必要性が言われているところだと思います。
首相が議長をしている産業競争力会議でも、第4次産業革命の時代を、日本として、勝ち抜くために、こういった理工系の人材が必要だと明言がされていますし、そういった流れも汲(く)んで、初等中等教育でのプログラミング授業の必修化ということで、検討委員会が始まったりしていると思いますので、是非この分野は力を入れていかなければいけないところかと思います。
第4次産業革命、IoTですとか、AIによる産業構造の変化みたいな形で言われることが多いと思うのですけれども、それを取扱う技術者だとか開発者が圧倒的に不足していると言われています。そうすると日本としての産業競争力も落ちてしまうということだと思いますので、一般的な流れとして、こういった社会情勢になっているということは、障害がある学生にとっても学ぶ単位のリソースですとか、環境があると言ると思いますので、それが生かせればと思いますし、また障害のある学生も、ある意味、これに乗り遅れてはいけないと言いますか、障害のある学生にとっても取組まなければいけないものだと思います。
また障害によっては、その方の特性が、例えばプログラマーにすごく向いているという学生さんもいらっしゃると思いますし、移動が難しい方でも比較的、在宅ですとか、遠隔でのお仕事というのがしやすいものだと思いますので、きょうお話のありました地方の障害のある学生さんも、やはり仕事が得やすいという側面もあったりすると思います。
 先ほどITラーニングということで、私どものテクノロジーを身につけていただくプログラミングというお話をさせていただきましたけれども、本来と言いますか、できましたらと言いますか、そういった技術は学生のうちに身につけていただいて、それをもって就職していくべきものだと思いますので、障害のある学生さんにも有効なキャリア支援を行って、活躍できる社会に向けて一緒に取組むべきだと考えています。

【竹田座長】どうもありがとうございました。後ほどあわせて御質問、意見交換をお願いいたしたいと思います。それでは続きまして、鈴木委員よりお願いいたします。

【鈴木委員】よろしくお願いします。株式会社Kaienの鈴木と申します。
資料5で説明していきます。当社は、2009年に創業した会社です。私はもともと全然このバックグラウンドはなくて、NHKにいて、MBAにアメリカへ行って、帰ってきてこの会社を興して、医療・福祉には全くバックグラウンドはなくて、今も資格はないのですが、現場でいろいろ見ながら創業して、大体社員は常勤換算だと100人弱ぐらいになっています。
発達障害、知的障害等の合併の方もいますし、精神障害の二次障害のある方も4割程度いますけれども、基本的には、発達障害がある方に向けた事業を首都圏で展開しています。
企業への人材サービス、それから障害者総合支援法に基づく就労移行支援、それから児童福祉法に基づく放課後等デイサービスというのをしております。
就労移行支援は6か所、放課後等デイが4か所で、きょうお話する「ガクプロ」というのを3か所で行っております。登録者はそれぞれ160、300、120となっております。
ガクプロというのは、当社としては最後発のサービスなのですけれども、今年で4年目に入っています。もともと就労移行支援も5年ぐらいしておりまして、次に放課後等デイと言って、発達障害の小中学生向けのお仕事体験プログラムをやっています。
そうした時に、実はTEENSという放課後等デイを使っていた高校生の親御さんから言われて「鈴木さん、大学生向け支援ってないのですよ。大学に進学するのだけれども、18歳までは放課後等デイが使える。だけど18歳で、いわゆる福祉の道へ行けば就労移行支援とかそういうのがある。だけど大学に行くと、急に何もなくなってしまうので、何かできないですか。」と言われて、今、余りよろしくないですけれども、よく新聞にも書かれていますけれども、内定塾みたいなものが発達障害の学生向けにできないかなということで、ガクプロというのをつくっています。月間大体1万から2万円ぐらい、親御さんからもらっていて、サービスを提供し始めました。
内容はこの3年間、4年間で結構いろいろと変えてきまして、今、ここの1ページの真ん中辺ぐらいのところになっています。
どういうふうに定義づけているかと言うと、発達凸凹のある大学生・専門学校生向けの「学外就活サークル」と呼んでいます。つまり大学でサークルとかに出たり、アルバイトができている学生の人は、来なくても良いかという感じなのですけれども、やはり大学でひとりぼっちになってしまうとか、アルバイトでなかなか経験ができないとか、親としては年間100万円ぐらい払ってまで、わざわざ私立の大学とかに入れて、社会経験も積ませようとするのだけれども、実は、より高校よりも構造化されていないので、発達障害の学生とかはひとりぼっちになってしまう。単位もなかなか取れない。時間割もしっかりしていないから、なかなか学校に通わなくなって、生活リズムも崩れるみたいな人がいて、そういう人たちの居場所、コミュニティになれば良いなと思いまして、サークルをしています。ただ無目的な、ただ集まるだけのサークルだとなかなかやりづらいと思っていて、目的がないと、特に発達障害のある学生ってきづらいので、就活をテーマにしています。
内容は、特性理解・職業訓練・就活支援・懇親会、飲み会ですね。毎週飲み会を開催しています。学習生活面では学生生活の伴走をしながら、ですから、時レポートを見てあげたりとか、卒論も私が書いているのではないかと思うぐらいアドバイスしたこともあったのですけれども、ということをしながら、最終学年を中心に就職活動の支援を行っています。
平日・夕方と土曜午後しておりまして、私は一応社長なのですけれども、学生は、半分程度は個別相談を受けたりとか、セッションしたりとか、私も現場でもあります。大人向けは、ある意味簡単と言うか、半年ぐらいで就職していきますし、子供向けはある程度プログラムが、学校に沿って合わせていけば良いのですけれども、やはり大学生というのは思春期と言うか、いろいろ大学の勉強とかもあるし、就活もしなければいけないし、という両にらみの支援をしないといけないので、そういう意味で私にとっては非常に学びの多い、支援者として学びの多い場になっています。
大学や専門学校に通っている方が対象で、診断がなくても利用可能にしています。職業訓練で言うと当社の中で数十の職種を体験できるようになっています。ですから、先週私がつくったプログラムは、ファイナンシャルプランナーの見習みたいな感じで、お客様からこういうようなニーズがあった時に、どういうような人生設計をお金の面からしますか、みたいなものをちょっとした見習をするとか、あとは受付の対応の練習をさせたりとか、データ入力させたりとか、営業の体験をさせたりとか、結構いろいろなことをさせながら、職業イメージをつけてあげるみたいなこともしています。
このプログラム自体を、ここにも出席されている方がいますけれども、大学に販売するというようなこともしていますし、今年から地方にも販売するということをしていて、東北と北陸は、恐らく今年中に動き始めるかなという感じになっています。
まず当社としてはプログラムづくりは結構得意と言うか好きなので、それを首都圏の大学とか学生向けにして、当社が余り、余りと言うか、ほとんどリーチできない地方にはプログラムベースで、各地でしていただこうかなと思っています。
利用者は、数字は表とグラフでちょっと違うのですけれども、この色がついたグラフの方が、多分、正しい数字ですが、3・4年生が多くて6割ぐらいです。1年生と2年生も来ておりますが、留年率というのは、この前、私が出した時は16%でしたし、これを見ても5年生以上というのが、ほぼ留年の方だと思うのですけれども、10%はおりまして、やはりまず大学で実習すると言うか、きちんと単位を取っていくところから苦しんでいる方が多いなというのがわかります。
大体、この春の時は人数が若干絞れるのですけれども、それでも今120人ぐらいいまして、今年度末は100人ぐらいになるのではないかと思いますけれども、男性が多いです。あとは、発達障害や知的障害、精神障害もいて、利用料も先ほどお伝えしたとおりです。
先ほど言ったように特性理解・職業訓練・就活支援というようなプログラムをしていくのですが、実際、就職で決まった人というのが、1ページ目の一番下で、なぜか2016年は数字が落ちてしまったのですけれども、20人から25人ぐらいが過去2年間ぐらいです。一般枠で行かれる方もいます。障害者枠で行かれる方もいます。
この両方の支援をしていくというのが、恐らくそれこそ東京の新卒応援ハローワークさんと非常に当社は関わっていただいていて、面接会があるごとに当社の一団が、スタッフ指導のもと行かせていただいているのですけれども、やはり新卒応援ハローワークさんと一緒で、どっちを受けようかなみたいな人が非常に多いです。
一般枠を受ける方の場合は、残念ながら遠距離シートが必要な大企業に受かることはまれです。やはり中小企業で、就活のピークが終わったあたりで、いわゆるリクナビ、マイナビとかには載っていない、あるいはすごくいろいろ検索しないと出てこないような企業さんに受かるか、大企業の障害者枠に行くかみたいな感じの二者択一みたいな感じになっています。
ちなみに女性の方が、利用されている方は少ないのですけれども、就活は有利です。なぜかと言うと、女性の方がやはりおしゃべりが上手な方が多いので、受かりやすいなという印象があります。
就職率は過去3年間ぐらいは、30から50%とあるのですけれども、いわゆる卒業までに就職する確率は大体このぐらいです。ちなみに残り50%ぐらいの人が、みんな就活をして落ちているのかと言うと、そんなことはないです。先ほど言ったようにぎりぎりまで卒業単位が取れるかみたいなことで、就活を全くできない人もかなりいまして、実際、就活している人の半分以上ぐらいは受かっているかなという印象はあります。
また、今の就活のスケジュール感で言いますと、障害者枠を春からしてくれるところというのは本当に限られた企業さんです。ですので、まず一般枠で受けた方が良いのではないかと言って、それでいろいろな就活の難しさとか、御本人のほかの学生との違いとか、現実を見た後、秋以降に障害者枠に転じる人が今のところ多いです。
ただし、発達障害に関しては1990年ぐらいから、子供の時の診断がかなり進んできておりまして、今、ちょうど学生になるころというのは、小さいころから診断を受けている人が非常に増えてきています。
だからこそ発達障害の学生が増えているということでもあるかもしれないのですけれども、ですので、今後は、小さいころからそういった福祉とか支援を受けることに慣れた親子が発達障害でも増えてきて、初めから障害者枠に来るという可能性は非常に高くなるかな思っています。
先ほど言ったように、一般枠の場合はほとんどが中小企業となります。
あとは、気づきとか、私なりに提起すべきポイントみたいなものを書きましたが、当社に来ている人というのは、やはり障害で来ている人であり、なかなか障害というキーワードで結びつかない学生の多さがあると思います。
親御さんが納得せず、お子さんだけが来る。だからお金を払えないというケースもありますし、逆が結構多いですけれども、親御さんはわかっているけれども、御本人が認めないというような感じで、なかなか支援につながらない、障害というキーワードで来てしまうと。
そこは、西村先生からあったと思いますけれども、障害というのを出すか、コミュニケーションが苦手みたいにするのかというのは結構、良さと悪さがやはりあるなというふうには思っています。当社の場合は、障害というキーワードでつながってくれる学生を拾っているという感じにはなっています。
また、先ほど言ったように、留年率と中退率はかなり高いと思いまして、そもそも就活にたどり着けない学生の多さがあります。ですので、逆に言うと、そういう人を本当に大学に入れるべきなのかという議論は少しあるのかもしれないのですけれども、現状を見ると、やはりほとんど入りたいと言えば、どこかの大学には入るというのは、そんなには変わらない流れだと思いますので、入った以上は、なるべく単位を上手にとって就活に結びつけてほしいなとは、支援者としては思っています。
また、大学の就職課では、障害学生の専門性の弱さ、これは批判するわけではないのですが、なかなか難しいと思います。多くの大学生の場合は、実は、名前を挙げない方が良いかもしれないですけれども、民間のこういう障害学生向けの採用セミナーみたいなのがあるから行っておいでとパンフレットだけを渡して、あとは自分でね、みたいなところが非常に多い。だけどそこに行ってみると、ここに書いてあるように、18項目の障害区分のうち、ほとんどが身体障害になっていて、今、触れている発達障害の区分というのは、ほとんど受けさせてくれるところがないみたいな形になっていて、せっかく障害者手帳を受け取ったのに、というような、障害者枠へ行こうと思ったのに、実はほとんど相手にされない、みたいなのが、特に春先、夏ぐらいは多いです。
もう1つは、当社は先ほど言ったように、子供のころから見ている人も多いですし、学生でも数年見ながら、という場合もありますし、何より良いのが大学の支援だと、卒業まで何とかしなければいけない、卒業したら、なかなかその後、どうなっちゃうかわからないからと支援者が焦るところなのですけれども、当社の場合は就労移行支援というのが控えていて、もちろんそれを使わないというのは理想なのですけれども、そんなに焦らせる必要はないということで、御本人と親御さんとかとペース配分は、常にベースとなるものができてきているとは思っています。
ポイントのところですけれども、やはりそもそも就労支援、就労移行というところに行く前に、単位がどういうふうにしたら順調にとれるかというのが結構重要なので、大学の1・2年生のところからの支援というのは、結構重要かと思います。
先ほどインターンとかの単位化とかありましたし、そういうのができれば、特にレポートを書くのが苦手なタイプの人とかは、すごく有り難いだろうなとは思っています。
2点目ですけれども、そもそも当事者である学生の皆さんに支援を求めるという視点が非常に希薄で、ですので、やはり低学年のうちから、うちみたいなプログラムを外部で使ったらと言うのでも良いと思いますし、学内でそういったコミュニティみたいなのがあっても良いと思うのですけれども、やはり上手に支援につながって、その支援につながる癖をつけておくというのは、結構、大学内では重要なのではないかなと思っています。
最後ですけれども、先ほど言ったように、就活というのは、そうは言っても1%未満の人向けの大学からすると、もうちょっと多いかもしれないですけれども、やはり少数派に対する専門的な対応というのは、なかなか1大学だけでは難しいケースも多いと思います。どのようにその地域の支援機関、例えば私は、当社もそうですけれども、自治体によっては就労移行支援、つまり普通では大学を卒業してから使うというふうになっているものを、大学にいる間から使っても良いという自治体もありまして、そういったところと上手に連携するとか、いらっしゃっている新卒応援ハローワークのところと一緒につながるとか、やはりどこにどういうリソースがあるかぐらいは、きちんと各大学が窓口ベースで把握されていると有り難いかと思います。
先ほどちょっと出ましたけれども、今は、大学として動いているというよりも、やはりその担当者が熱意を持っているというのが非常に大きいなと思いますので、それが大学としての仕組み、各大学がなりやすいような施策が打てると良いのかなと思っています。

【竹田座長】どうもありがとうございました。ただいまの大島委員、鈴木委員の御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。

【大島委員】鈴木委員に、ガクプロについて教えていただきたいと思います。先ほど御家族からというお話もあったと思うのですけれども、これに応募する、入ろうとする方って、学生さん自身からと御家族からと、どれぐらいの割合なのかなということを教えてください。また、販売という話もあったと思うのですけれども、学校さんがこれを取り入れる場合、月額料金を払ったりしているのか、一括でプログラムの提供を受けてお金を払っているのかというのを教えていただければと思います。

【鈴木委員】1点目に関しては、ほとんどが親御さん主導でいらっしゃいます。昨日個別相談した学生は、やはり御両親が両方とも来られて、女子学生と面談しましたし、実はもう1人は関西の学生で、それこそスカイプでうちに来たいと言うのだけれども、ちょっと難しいね、みたいな話を2人としましたので、やはりお金を払えるというのがありますので、最終的に使われる場合は、親御さん主導が圧倒的に多いです。
2点目、大学への販売と言うか、出前授業と言っていますが、こちらはパッケージで今、何回シリーズで、見積書を出させていただいてという形になっています。

【市川委員】鈴木委員にお聞きしたいと思っているのですけれども、今のプログラムの話なのですが、私どもの特別支援学校がお子さんを就職応募するためには、就職先の企業の方に、こういうふうな支援をすると、障害のある方でもうまく働いてもらえますよという、ある意味での企業側への訓練と言いましょうか、企業側への情報提供ということが非常に重要になってくると思うのですが、その辺のプログラムは組まれているという形なのですか。

【鈴木委員】そこは、就労移行支援で開拓した先が、もともとあるというのが大きいです。なので、そこの流れに乗っていくという感じで、当社の場合は、社内用語を使うと、「2匹目のドジョウ」と言っているのですけれども、何らかの関係でうちの就労移行支援で育てた人が他社さんに行く。そうすると、そこで結構活躍する方が多いです。そうすると、「ではKaienさんに」みたいなイメージがついて、そこの流れの1つでガクプロの卒業生が行くことが多いですので、ある程度、精緻な理解、発達障害の方にとか障害に対する理解がある企業さんのところに行く。

【梅田部長】鈴木委員にお伺いしたいのですけれども、企業で発達障害の方とか、精神障害の方を採用していく時に、私は支援者の方の力量とか、企業への支援とか、御本人のコミュニケーションもそうですけれども、非常に重要だと思っていまして、Kaienさんにも実はお世話になっていて、1例ですけれども、Kaienさんの支援者の方、すごくしっかりしまして、やりやすいのですけれども、残念ながら多くの支援者の方はスキルや経験にかなりばらつきがあります。Kaienさんは、どういうふうに社員の方、支援者の方を教育して、障害者の方にサポートするようにと言うふうなことでやっていらっしゃるのか、差し支えなければ教えていただければと思います。

【鈴木委員】昨今、話題になっているとおり、福祉はどうしても賃金が低いです。なので、それを1つの理由にするのは、本当は良くないのですけれども、やはりなかなか優秀な人が集まりにくい業界だとは思います。
当社がうまく言っているのは、正直、プログラムが云々(うんぬん)ではなくて、私は、毎日のように怒っていますけれども、ここだけ、本人たちがいない中で言うのもあれなのですけれども、優秀な人をとれているというのが、逆に言うと当社は例えば就労移行って今、全国では利用者数が減っている中なのですけれども、当社の待機者という250人ぐらいいます。待機がいる就労移行支援なんてほとんどないのですけれども、定員の2倍以上待機がいて、半年ぐらい待たないと当社に入れないような感じになっています。
わざと待機をつくっているわけではなくて、それぐらい優秀なスタッフが雇えないのです。なので、もちろん当社で一生懸命育てていますし、育てる方法は、私もきょう、昼過ぎまでは川崎でケース会議をしていて、今、600人ぐらい、私が基本的にケース会議に全部出て、こういうふうにした方が良いのではないのかと、全部言っているのですけれども、このぐらい現場で人を育てて、人の見たてとか、企業の考えることとかを知らせていかないといけないですし、それだけを吸収できる人をとっていくと、そんなに大きな成長はできない。私の考えからいくと、結構面白い分野なので、優秀な人が福祉の支援、特に就職の支援って私は面白いと思うのですけれども、に入ってもらいたいなと願うだけです。うちが何か特別なことをしているわけでは、実はないかなと思います。

【梅田部長】今、伺ったのはACEの活動の中で、支援者の方、いろいろな障害の支援の方のスキル向上、研鑽(けんさん)というのを、ACEとしても何かサポートできれば、もっと障害者の方の就労を拡大して、質も補助してということにつながるかなと思っています。当事者への支援は話題になるのですけれども、支援者の教育だとか質の担保については余り議論されていない気がしており、今後ちゃんと目を向けていかないと企業の採用努力だけでは障害者の就労拡大は厳しいと感じています。

【鈴木委員】なので、大学の方も1回目の検討会の資料で、確か常勤の方がなかなか少なくて非常勤のスタッフが多い。お金の面もあると思うのですけれども、やはりそういう苦しい中でも働いてみようみたいな、理想論ですけれども、やはり福祉と言うと、格好(かっこ)良い仕事になっていないと言うか、やはりここで働くのが楽しいよと言うか、格好(かっこ)良いよというのが、保育の分野とか動かれているとは思うのですけれども、障害福祉のところもやはりそういう人の集め方をしなければいけないかなと思います。

【村田委員】私からは、ACEの学との連携チームと御一緒することが多いので、その点についてコメントさせていただきたいと思います。京都大学では、学との連携チームの方々とよく連携させていただいており、実際にお会いして話をする機会も多いです。
具体的な活動としましても、今年2月には、ACEと京都大学の共催という形で、近隣の大学の学生も含めた数人の障害のある学生とコーディネーター、そして、ACEの方々との座談会を開きました。初めての試みでしたが、お互いに刺激があったと思います。前回の検討会でも地域のネットワークの重要性を話しましたが、1つの大学、1人の支援者というところだけで活動をするのではなく、ある一定の共同体と言いますか、そのような集まりの中で、情報共有することは大切だと思っています。就職に向けては、実際に学生が大学から企業に移っていくわけで、その移行を双方が歩み寄る中で探っていくことは、とても有効ではないかと思っています。
ここでは、私も大学でのコーディネーターという視点から今の課題、問題意識というものを情報提供させていただきたいと思います。鈴木委員からもお話がありましたが、例えば発達障害のある学生、精神障害のある学生と言っても、世代によってその状態像が異なっているという印象があります。周辺の状況変化による状態像の違いだと思っていただければと思います。
例えば、現在、就職活動の時期に直面している学生と、現在は高校に在籍していて、京都大学を志望しているので支援の話を聞きたいと言ってきている生徒さんとは、本人や保護者の認識がかなり異なるように思っています。
そこには社会的な背景があるとは思うのですが、大学での支援現場においては、そういった変化に対して柔軟に冷静に捉えていくという視点が、まず必要だと思います。現在だけの状態を見て支援を検討するということは、断片的な議論になってしまいかねません。継続的な議論をするためには、大学だけではなくて、初・中等の教育機関であるとか、あるいは企業や支援機関、そして行政、様々なリソースとの連携が非常に重要だと思っています。
また支援者としてもどかしさを感じるケースとしては、不適応が大きく、大学生活をいかにうまく過ごすかということに専念しなければいけないような学生に対して、なかなかキャリア支援としてのアプローチができないという現実です。単位をとることができないとか、そもそも大学に出てくることが難しいとか、そういった学生たちに対して、修学支援をしながら副次的にキャリア支援を行っていくようなスキルも現場では求められているように感じます。このあたりの話は、人材の育成・確保という課題にもつながると思っています。
大学の方もまだまだ経験不足なので、余裕がない。ほとんどの大学では、支援組織が設置されていなかったり、組織がある大学でも組織が立ち上がってそれほど時間がたっていない。このような状況では、キャリア支援が後回しになってしまうようなことも現実的には考えられ、結局は気がついたら就活の時期になっているようなケースがたくさんあると思います。
その中でも、幾つかの大学の先進的な取組から良いモデルケースが出てきていると思いますので、そのようなものを目指して高等教育というカテゴリーとしても、企業や支援機関としても協働していければと思っているところです。
1つだけ質問をさせていただきたいと思います。この質問は、新卒応援の方か、あるいは鈴木委員になるかもしれませんが、発達障害、精神障害のある学生が障害者雇用で就職する際の待遇というのは、率直なところどのような状況になっているのかを教えていただければと思うのですが。

【鈴木委員】たまたま昨日、うちのスタッフのブログでそれが出ていて、当社の場合は17万5,000円ぐらい、首都圏で、障害者枠での平均になっています。
一般事務が70%ぐらいで17万4,000円、ただITの専門職とかと言うと20万超えていく額です。これは実は学生に限らず、当社の就労移行支援のケースなのですけれども、大学生のケースでも、それほど変わらない。ちなみに今、やっていないのですが、軽作業とかは15万ぐらいの平均になっていまして15万、17万5,000、20万みたいな、大きく分けて3つに分かれているかなという印象です。

【村田委員】ありがとうございます。最後に1つ言い忘れたことを発言させていください。ACEの活動についてですが、今年の夏には関東圏と関西圏で、幾つかの大学が参加するACEのイベントがあります。やや試験的なところではあるのだと思いますが、大学も企業や支援機関、行政にお願いするだけでなく、先ほどから話が出ているインターンなど、キャリア支援に対して能動的にトライしていくことが望まれると思います。国の方としても、大学側がそのような支援を進められるような後押しをお願いできればと思っています。

【高橋委員】今、村田委員からの御発言にやや関連して、それで鈴木委員に質問を1つ、お願いしたいと思っているのですけれども、今の村田委員の御発言の中で、なかなか学習面、就学の時の例の支援というところが精いっぱいで、なかなか就職というところまで行かないというようなお話もあったかと思うのですけれども、私、それはもう大学の限界と言いますか、結局、特別なニーズのある学生、障害のある学生へのキャリアの支援というのが、大学の本質的な機能、中核的な機能という点からいくと、多分それはやはり優先順位としては落ちてしまうということなのだろうと思うのです。
そう考えた時に、大事なことだということはわかっていても、結局予算的な優先順位づけということを考えた時に、本当の専門知識と技術を持った支援者が、大学で特別な技術のある人へのキャリア支援をしていくということには、限界があるだろうと。そういうことを取組む大学があっても良いけれども、全ての大学に求めるというわけにはいかない。
結局、全ての大学に求めるところというのは、合理的配慮の部分は、そして修学支援の部分は、全ての大学に義務として求めるけれども、そのプラスアルファの部分は熱心な大学が取組むというところから、更に発展させていくというのは、それこそ大学の機能の再定義がない限りは難しいのではないかなという印象はあります。
それで鈴木委員への質問というのは、ガクプロというのは、差し支えなければで結構なのですけれども、ビジネスとしてどうなのか。つまり採算がとれるプログラム、要するに大学がその機能に得られないということは、学内にそういった機能をもし専門的な場所、それは公的機関であれ民間であれ、それがたくさんあれば、学内にそれを求めなければいけないということではなくなっていくと思うのです。ただ、それが要するに採算が難しいということであれば、結局、民間の取組としては限界があるかなという観点から、Kaienさんとしてはどうなのかなということでお聞きできればと思います。

【鈴木委員】まず言うと、採算はとりづらいところだと思います。当社の場合もビジネス的な考え方で言いますと、就労移行支援をするための集客の一環でもあります。うまくいけばよいけれども、うまくいかなかった時は当社に来てくれるよね、とも考えられると思います。あと、放課後等デイの人への安心感もあると。親御さんから行くと、大学生になった時に支援につながらないのだけど、というものの安心感でもある。ということで、当社としては、ガクプロは赤字でも良いかなと思っているぐらいです。
もう1つは、放課後等デイにせよ、就労移行支援にせよ、全部を見ていないと、良いサービスができないので、プログラムの開発という面からも、大学生は見ていたいなということで、赤字でも良いと思ってやっています。
 大赤字ではないですけれども、先ほど言ったように、そんなには黒になるところではないので、上手にそういった意味づけをする必要はあるかなとは思います。

【高橋委員】Kaienさんで、これが成功したモデルということで広まれば、きっとそれにまた取組もうという、後を追うところも出てくるかなと思うので、是非頑張ってやっていただければと思います。

【竹田座長】まだ御質問あると思いますが、この後、具体的な取組を促進する方策という中で、こういう関連組織間、大学と企業とかハローワークとか、あるいは外部の機関との連携については、非常に重要な点と理解していますので、そこで引き続き御議論いただければと思います。
それでは続きまして、論点整理の「具体的な取組を促進する方策」及び「『一億総活躍社会』の実現に資するために優先的に推進すべき取組」に関連して、事務局から説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】資料6と資料7について御説明したいと思います。
論点整理の資料の中の重点検討事項にある具体的な取組を促進する方策、関係者のネットワーク、専門人材の養成、配置・共有、それから更に一億総活躍社会に実現に資するために優先的に推進すべき取組、こういうものを論点として議論のために御用意したものが資料6、資料7です。
まず資料6です。こちら、5月に教育再生実行会議の第九次提言として「全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ」が取りまとめられ、その抜粋です。全文につきましては、赤いファイルの中の参考資料12にございます。
この取りまとめの中の「はじめに」の部分に書いてありますように、「今回の提言は、単に学校教育だけでなく社会全体の在り方に関わるものであり、政府が目指す『一億総活躍社会』実現の基盤となるものです」と示されております。
ここに掲げてあるように、具体的な提言としましては、その下のところ、「1.多様な個性が生かされる教育の実現」という項立ての中で、「学校での個別カルテ(仮称)の作成と引継ぎ」が提言されています。
内容はここに書いてあるとおりですが、各学校段階での個別の支援情報に関する資料、これが「個別カルテ(仮称)」になりますが、それを作成して、進学や就労の際に引継がれる仕組みを整える。更に高等教育段階においても個別カルテ(仮称)の作成・活用を推進するということが提言されています。個別カルテは、幼稚園・小学校・中学校・高等学校における、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」の活用が考えられるとされています。
それから、資料7です。
ただいま教育再生実行会議の第九次提言の御説明をしましたが、その中で、「一億総活躍社会」の実現についての記載がありました。これに関連して、「ニッポン一億総活躍プラン」、これが9月2日に閣議決定されております。全文につきましては、参考資料13にございます。
その中で、「社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者等活躍支援」ということが書かれておりまして、内容につきましては、そちらにあるとおり、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者、ここには発達障害などを含む、これに対して、個々人の特性に応じて将来の目指すべき姿を描きながら、医療、福祉、教育、進路選択、あるいは中退からの再チャレンジ、それから就労などについて専門機関と連携して伴走型の支援ということが記されています。
更にその下に書いてあることです。このプランを取りまとめるために行われておりました一億総活躍国民会議についてです。そこで、2月に馳文部科学大臣からプレゼンテーションを行いました。その資料の抜粋ですが、障害者が世の中に出て活躍する上でのネックの1つに、就労がある。そういった視点から、左側にありますけれども、現状として障害のある学生が増えている、しかしながら、就職支援といったものが必ずしも十分ではない。
結果として障害のある学生さんで、卒業後いらっしゃる方は年々あるわけですけれども、そのうちの進路としての就職者、これは半分程度にとどまっているというデータを説明させていただきました。では、どうやって対応していくのか、いろいろ方法があると思います。その中の1つとして、障害のある学生の支援、それぞれの大学でばらばらに行うということではなくて、センターとなる大学、中心となる大学を選定し、例えばそこにありますようにインターンシッププログラム、スキル向上のためのプログラムの開発とか共有など、こういったものの教育の推進をするといったことはどうかといった提示をしています。
こういったこと、今、活発な議論を頂いておりました内容、それから、今のヒアリングの内容等を踏まえまして、論点整理で挙げました具体的な取組を促進する方策及び一億総活躍の実現に資するために優先的に推進すべき取組について御議論を頂きたいと思います。

【竹田座長】ただいまの御説明と、本日のこれまでのヒアリングの内容を踏まえまして、御議論いただければと思います。
本日までの何回かの検討会の議論で、特に関係者間の連携強化の関連ですとか、教育資源の共有あるいはネットワークの構築、これは大学間の連携と思いますが、多く御発言いただいております。ただいま事務局から御説明のあった仮称だと思いますが、地域の中核となるような、センターとなるような大学を選定して、そして本日お話のあったようなキャリア、様々な人材育成まで含めた事業を展開していくというのを御参考に、優先的に今後国や大学等が何をどのように取組んでいくか。あるいは財政支援、ネットワークの構築の在り方はどうあるべきかということ、これが今回の第二次検討会の中心的な議論になるのかと思います。時間が限られておりますけれども、これについて御議論を頂ければと思います。

【西村委員】先ほどの話とも絡まるのですけれども、就職について支援する時に、富山大学では、大学の中での修学支援の中で、彼らが大学という小さな世界ではありますけれども、その中でどういうふうに自分の障害特性を受けとめながら、配慮を求めながらやっていくかというのは、自己理解とか、自分の障害特性をどう受けとめて、今後、生活していけば良いのかということをわかっていくプロセスであるのです。
ですから、一義的には、大学ですので、修学支援をきちんと行うということが大事だと思っています。修学支援のやり方がどうなのかというのは、大学によって違うかと思うのですけれども、私たちはやはり修学支援と就職支援と、社会に出てから全く分断されたのでは意味がないと思っています。そういう意味で、修学支援をしていく支援者が就職活動の支援をし、それから卒業後も3年間就職支援、それから就職した学生については、職場定着支援をしています。
もちろん就職支援とか定着支援というのは、ハローワークさんとか企業の就職担当の方と連携する必要があるのですけれども、そういうふうにつながっていく中で、彼らがどういう成長をしていくかというのは非常に関心がありますし、そのことを確かめたくて、富山大学ではフォローアップ支援をしています。
その時にインターンシップの実施が、地方だからと言いたくないのですけれども、さっきはうらやましいなと思いながら聞いていました。ただ、地方の場合、それから小規模だから、そういうふうにはいかないだろうというのも現実にあると思うので、そこのところに対して、どういうアイデアがあるかなということをずっと考えていました。
そういうことで、Kaienさんにも御協力いただき、1週間ぐらいではありますが、ここ何年間か訓練の体験をさせています。ですから、企業にインターンシップに行くのではなくて、訓練の場にインターンシップに行くと言うので、かなり違うのです。
背広を着てみなが整然と仕事をしているところに入るだけで、たった5日間でもすごく変わってくるのです。そういうすばらしい体験をさせてもらっていたので、それを地方でそういうところがないかなと探したら、NPOでやはり高次脳の発達障害の方の就労移行支援をしているところというのは結構出てきていまして、そちらと今、少しずつ連携しながら、訓練の体験をしています。そこから、NPOの方がつながった企業にインターンシップに行くということも、今、試みています。
ですので、この文科省のプランにある、インターンシッププログラムの企業との連携というふうに、即座にできない地域、大学もあるので、そこは柔軟に、富山のように、小さなステップを歩みながら、そういう理解、大卒の発達障害の方の就職ということに関心を持ってもらうような地域にしていけたら良いなと思っております。
ですので、そういうのも、資料7のところに、意味合いとして盛り込んでいただければなというふうに思っています。

【柏倉委員】先ほど来、いろいろな就職支援等のお話を伺ってきまして、大変勉強になりました。本学は毎年30名ぐらいの障害のある学生が就職していて、大体就職率を見ていますと、5、6割だったのが最近はほぼ100%就職できるようになったのです。
これはすばらしいという反面、本学もやはりフォローアップしていまして、就職先で満足度はどうかというようなことをずっと確認しているのだけれども、必ずしもうまく職場で働けていないという現状があって、公務員というような形でもとってくれるのだけれども、余り本人に高い能力を要求していない。とりあえずいてくださいと言うような職場が多いのです。
これにより、本人は非常にひどい鬱になってしまいまして、大学に戻ってきて、これで給料をもらってよいのだろうかというようなことを言うケースが多々あります。
それが先ほどのお話にありましたように、一般就職か福祉かというようなところで、高い能力を持っていても、進行性の筋ジストロフィーの学生なんかの場合は、どうしても福祉就労というところでやむを得ない。それが本人の今までやってきた自分の高い専門性というものが必ずしも評価されていないということもあって、忸怩(じくじ)たる思いを感じていて、我々もそこまでなかなか企業さんにお願いするということが難しかったりするのですけれども、梅田さんのお話にあったように、やはり企業の文化と言うのですか、IBMさんのような基本的な理念というのがあって、その中で働けるというのが本当にうらやましいなというふうに伺っていました。欧米では雇用率の次の段階に入っていると思うのですけれども、日本ではまずは雇用率という段階で、とりあえず雇ってくれるようにはなったのだけれども、この一億総活躍と言っているように、社会の中で障害のある方を生かし切れていないという現状について、大学だけではなかなか取組は難しいと思っています。インターンシップも実習もそうなのですけれども、いろいろなところで重い障害の学生というのは後回しにされているという現状があります。今の時点でまずは就職ができるようになったのだけれども、本当に実践とかということもありますけれども、やりがいのある仕事を追求していくために労働部門、あとは福祉部門といったところにも是非働きかけをしながら、この問題を考えていかないと、就職率が上がったからよいのではないですかということで片づけられそうなので、そこは是非押さえていただきたいと思っております。

【近藤委員】本日は、梅田さんからしっかりお話を聞けてとてもうれしく思います。DO-IT Japanの学生たちもインターンシップにはお世話になっています。本当にIBMさんの情熱に支えられたような取組であると、非常にすばらしいことだと思っています。
それからマイクロソフトさんの2年間の就労の取組の中にも、DO-ITの学生が参加させていただいていて、その後、無事就労に行き着けたというケースが出てきています。こういった2社の取組は非常にすばらしいもので、こういったものが多くのところに広がっていくことを強く祈っています。
一方で、先ほど柏原委員から話があったことと、少し関係することを申し上げさせていただきたいと思います。それは、私たちが様々な障害のある人たちの支援、DO-ITだけではなく、私たち東京大学の先端研で行っているのですけれども、今、最も大きな課題となっている、特に重度であったり、精神障害であったり、一部の発達障害であったり、いわゆる安定した生活パターンというのを築くことが非常に難しいタイプの人たちというのは、ほとんど就労の中での1週間の中で働かなければならない時間の壁と言うのに、道を閉ざされています。それは今、2%の雇用率に1人雇ったとして、企業が参入することができる時間数というのは、週当たり30時間以上の雇用を行わないと、1人分の就労をしたということにカウントすることができないので、現実、今、日本で言われている障害者雇用と言われるものというのは、全て30時間以上働ける人が、その場、働いているだけで、個人の例えば専門性であったり、能力であったり、そういったものとはほぼ無関係の状態であると言えると思います。
私たちのところでも、例えば筋ジストロフィーなど、呼吸器を使っていて、あとは体はほとんど動かないので、週に数時間であれば働くことができるけれども、専門的で高い能力を持っているような人たちというのもいるのですが、そういった人たちというのは、先ほど柏倉委員からもお話があったように、いわゆる福祉就労と言われる、極めて低賃金のところで働くしかありません。
就労移行支援事業と言われるものに、A型とB型という2つのパターンがありますけれども、雇用契約が存在しているのはA型と言われるものだけです。ですけれどもこのパターンも週に20時間以上働けなければ、そのA型の枠組みの中には入ることができません。
結果として福祉就労と言われているものの中でも、いわゆる昔から作業所と言われてきた、雇用契約の存在しないところでは、例えば「きょうされん」と言われるところの2012年にまとめている統計では全国平均、月当たりの工賃が13,000円だと私は記憶しておりますけれども、月当たり週30時間働いてもそれだけの収入しか得られない。
結果としてどのようにして生活保障をつくっているかと言うと、生活保障は生活保護若しくは障害者年金で、極めて低い金額の中で生きている。ほとんどこれは貧困の問題であるというふうに言って構わないと、私は理解しています。
ここの部分に、大学はどのように立ち向かうかというのは、実は、私たちはまだ見えてきていないところがあると思います。それはやはり大学が目指しているもの、過去の日本のこれまでの大学の仕組みが目指してきたものというのは、いわゆる日本型のメンバーシップ型雇用と言われる雇用の中にどれだけ大学を卒業した障害のある若者を送り込むのかということしか、これまで持ち得ていなかったというのが、これまでの大学の問題であると考えています。メンバーシップ型雇用とは、雇用年限の定めがなく、職務の明確な定めもない雇用慣例のことを言いますが、週に40時間かそれ以上働いて、ジョブローテーションで2年に1回ぐらいは職場転換があって、全く経験がなかったような部署にも職務の中で対応しなければならない。
それをどのように乗り越えるかというのは、これはもう大学だけの問題ではないと考えています。今、ちょうど同一労働同一賃金の問題など議論されています。例えば、筋ジストロフィーで、週に数時間しか仕事できないという人がいれば、週に数時間、雇ってしまえばよいと思うのです。
障害者を雇用することを、企業はコストが高いと考えたり、今後何か問題が起きるかもしないと予期不安を持ってしまう。短時間では働けるという障害者がいたと察しても、障害者を雇っている企業では、雇用率を守るために障害者を雇用することが重要な目的になっていて、特定の業務を行うことができる障害者を短時間雇用するという考えを持つことの壁になっていると感じています。
そこをどのように越えられるかというのを、果たして大学だけで議論できるかというのは、また難しいところですが、少なくとも大学が今後、障害のある若者を社会に送り出す、若者がどのようなライフスタイルで生きていくのかを全く提案できないということでは、これは大きな問題であると感じています。
例えば私のところではDO-IT Japan以外にIDEA(アイデア)というプロジェクトをやっていて、そのプロジェクトの中で、ここ2年間で80名ほどの様々な障害のある人が私の研究室で雇用しました。
そのうち半数ほど、40名ほどが私たちの研究室で働いてくれていますけれども、実際フルタイムで雇用している人も何人かいるのですが、それはごく一部です。ですけれども、1番短い人は週に3時間だけ、統合失調症があって、双極性障害があってというような形で週に3時間だけ働いてくれる人がいたりします。中にはだんだん長い時間に移っていって、いわゆる常用雇用という形で雇ったという人もいますけれども、そうでない人たちもいます。
こういう様々なライフスタイルの提案だったり、それを例えば大学の場自体も、送り出すことだけを目的にするのではなくて、大学の中そのものというのは実は雇用の現場でもあるので、そういったところに障害のある学生たちとともに働くといったような、そういうことができないかなと常々思っています。
ちなみに、この超短時間で雇用率全く関係なく雇うという取組を、私たちが2年ほどやっていたのですけれども、つい先日ソフトバンクグループさんが、超短時間で雇うということで、2%の雇用率に関係なく、非常に短い時間、発達障害、精神障害のある方を雇うという取組を始めてくださったのですけれども、そういった新しいライフスタイルと言うか、新しい社会参加の在り方というところを、大学と企業というのが連携することで何か提案できるという形をつくっていく必要がある。そうした新しい提案について、ここですぐに答えが出るものではないので、このようなことをこの場で申し上げて、果たして良いものかどうか迷いながらしゃべっているのですけれども、そういったことができないかということを、ここで強く問題提起させていただければと思って発言させていただきました。

【竹田座長】本日はオブザーバーとして、厚生労働省から専門官の方に御出席いただいておりますけれども、障害者雇用、就労支援の観点や、一億総活躍の関係で何かございましたらよろしくお願いいたします。

【三輪専門官】本日は、就労支援の観点からの提案・取組ということなので、私どももいろいろと学校と連携して、障害者の雇用を進めたいということを強く思っています。東京新卒応援ハローワークの室長さんにも来ていただいて、御説明いただきましたけれども、いろいろな取組をやってはいるのですが、まだまだ十分とは言えないというのが実際のところと思います。
今後またこういった中で、いろいろと検討していただいて、連携を深めながら、ハローワークだけでなく、例えば地域障害者職業センターというような関係団体の機関もありますので、そういったところも含めて、連携をできるように、検討していただければと思っています。
一億総活躍の話も出ましたけれども、そちらでも障害者雇用について、職場環境の整備から就職支援、いろいろなところで、取組んでおりますけれども、社会的にも非常に関心の高い分野だと思っておりますので、今後とも学校、大学とも連携しながら進めていきたいと思っております。
今、お話のあった雇用率のカウントになる労働時間、勤務時間の関係、1つだけ補足させていただきたいのですけれども、30時間以上で1人雇用とみなされるというのはそうなのですが、20時間から30時間未満までというのは0.5人分のカウントということになっております。一応念のため補足させていただきます。

【香月専門官】就労移行支援、就労継続支援A型、B型を担当しております。鈴木委員から就労移行支援については、自治体の判断が違う場合があるという話がありましたけれども、基本的に就労移行支援というのは、生産活動や職場の体験など、就労移行支援事業所に通っていただき、訓練を行うサービスになっておりますので、大学生だから駄目だということにはなっていません。ただ、本当にその人はそこに通うことができる方なのかどうか、単位をとらなければいけない方もやはりいらっしゃるでしょうから、大学生だから受けられないということではなくて、その方が必要と認められれば、当然、市町村の判断でそういった利用はできるということになっているということです。一律、大学生だから駄目だとか、良いとか、そういうことではないと思います。
また、就職できる方は、新卒応援ハローワークを使って就職する方もいれば、鈴木委員のガクプロで就職する方もいれば、障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターで支援を受けて、大学と連携しながら、就職する方もいますし、また就労移行支援を使って就職する方もおり、様々だと思うのです。その地域のいろいろな社会資源の設置状況でも違うと思いますので、そういったいろいろな条件を踏まえて、こういったサービスを使うとか、使わないということになっていると思います。
それからA型が20時間以上という話がありましたけれども、何時間以上と決まっているわけではないのです。短時間の方で、もっと短くてA型を利用している方も当然いるはずです。
ただ、昨今、短時間のA型事業所が増えているという状況があって、長く雇っていただきたいということをお願いしているのですけれども、中には全ての利用者の方が短時間しか利用できないような事業所が、今、多くあるということで、1時間、2時間の方は利用できませんということを言っているのではないのですけれども、そういった事情も今あるということです。

【広瀬委員】本日は企業や大学、NPOがこのような問題に対する支援体制が発展しているということを学ばせていただき、大変心強く思いました。
私は放送大学で仕事をしておりますけれども、ここでの議論がどうしても大学生といった時に、それこそ18歳、20歳、24、25歳くらいの年齢層しかイメージできていないという感じがします。確かに、OECDの調査の中で、日本は25歳以上の大学生の数が最も少ない国です。しかし、一億総活躍時代と言うのであれば、一生涯、学びたい時に学ぶことができ、何度でもやり直せる社会をつくっていくことがとても大切です。大学で、30歳、40歳、50歳の学生が普通に学べる。まさに放送大学がそうなのですけれども、是非、そうしたイメージを持っていただきたいと思います。
もう1つ感じたことは、例えば発達障害のある方が、いろいろな形でサポートを受けて、何とかラッキーに就職できたとします。しかし2年、3年たってどのぐらいの方が、その職場に定着しているのだろうかと考えてしまいます。数年後に仕事をやめて、鬱状態になり、引きこもる。そしてあっという間に30歳を超えてしまう。そうなると、今の社会で働ける場所、また自分を成長させる場所を見つけるのは容易なことではありません。
本日もお話にありましたけれども、18歳くらいまでならば、いろいろな形で市町村や自治体がサポートします。しかし、20歳を超え、25歳、40歳になった方たちが、社会とつながろうとした時に、一体どこに行けばよいのでしょうか。
その1つが、放送大学でもあるのです。放送大学の学生さんはとても優秀ですし、既に大学を卒業されて、また勉強を始める方もいます。その中に、人生のどこかで挫折して、その後に何とか社会に復帰したいという非常に強い思いで、放送大学で学んでいらっしゃる方たちもいます。
人生の生きがいを持つ、社会につながるということを求めているのです。そういう意味でも、大学生、高等教育の問題を扱っている時に、25歳以上、30代、40代の学生さんのこともイメージして議論していただきたいと思いました。
 実際、とても優秀な学生さんが放送大学にはたくさんおります。それこそ50代、60代、70代の方もいますが、本来だったら、1番力を出せる年代の方々が、どうか社会に復帰して、働けるような、そして社会とつながっていけるような、そういう成長を促すような機会を是非省庁を越えて、自治体を越えてつくっていただけたらと言うふうに思います。

【殿岡委員】私からは3点ほどお話したいと思います。
1つは、大学の修業年限に関するお話で、先ほど留年される方が多いという報告があったのですが、留年できる大学はまだ良い方で、事実上、留年を認めない大学がある。法的には全く問題がないはずなのに、そこで退学を迫るということが、今も行われています。結果として、大学卒業資格が取れずに退学を余儀なくされる。多くの該当年齢に発症する精神疾患の方がそういった形で入院中に退学手続をとられてしまうということが多々あります。
ですから、1つ制度的に確認しないといけないことは、留年というのはもちろんできるし、そして修業年限は、基本的な誤解があるのですが、留年することはできるし、それで退学を余儀なくされるということは第一次まとめにもあります、障害に基づくハラスメントに当たる可能性が高いということは一応つけ加えておかなければいけないかなと思います。本来は、多くの方に御指摘いただいたように留年ということはあります。
あとは介助の問題で、常時介助を必要とする人は、介助を受けながら経済活動を行うことができないわけです。その場合、(通常)の生活支援をしている介助者を、経済活動に利用するということはできません。その結果として、常時介助を使う人間は、(常勤で)働くことはもちろんですが、短時間のそういったアルバイトからも結果として排除されるという、これは法的に不当だが、日本には(制度として)存在しています。
これは通常、別に問題ではないのですが、やはりその環境で、そうではない人のためアルバイト等が行われているということが事実として含まれてきている。これはまさに、すぐどうこうではないけれども、しっかり課題として議論しなければいけないかと思っています。
最後に、一億層活躍社会が提言されているわけですが、その中で、個別カルテということが書かれています。一見すると、良いように思う部分もあるわけですが、では、本質を考えて、ではなぜ障害のない人にはそういったカルテがないのか。全ての国民にこういうカルテをつくると言うなら、また話は別です。なぜ障害のない人にはこういうカルテがなくて、障害のある人だけにこういったカルテが必要となるのか、そこの本質が見えないと、個別カルテは何を目的としようとしているのかが見えなくなってしまう。
これは一時期、不登校と言うか多様な教育法案関係でもまだ議論は早いとされて、見送られていくのですが、個別指導計画・個別支援計画の時は、これは随分前から法定化の議論はされていながら、法定化されなかった。国民的議論を考えていった時、何だかんだ言うと、やはり障害のある人だけにこういった記録簿をつくることの本質が見えないからですね。
これから今の日本がインクルーシブ社会を迎えていく中において、今、最もインクルーシブされた教育環境は大学です。全ての障害を持つ人が分け隔てなく同じ場にいる、それが大学です。
それを考えてきた時に、生かされるべき情報は何かということをきちんと考えていかなければいけない。そういう面から考えて、本質的な議論がないまま進んでいくと、かなり危険なものにもなり得るから、それよりは、今まさに全ての人から同意を得ていくことが実現できている高等教育機関、大学の在り方こそ、高校・中学がきちんと模範的に学んでいってほしいと思いますし、そのためには、合理的配慮の中身をどう引継ぐかという視点が非常に大事なのかなと。
障害を引継ぐのではなく、合理的配慮の中身をどう引継いでいくかという視点が大事で、そこのところで日本の教育機関の模範となるべきは、大学における合理的配慮である、そういう意味で、これから第二次まとめに向かっていくわけですが、私たちの責任は非常に重いと考えております。
最後、余談になりますが、企業は、一部企業から連絡が来るわけですが、非常に狭い、ピンポイントで求人を欲しがる傾向もあります。手話通訳で勉強されている方を、東北地域で何人募集しますと、そんなことを私、紹介しなければいけないのですが、一方で、そういった企業を中心に、理解が進めば進むほど、ものすごくピンポイント化してくるということも事実で、このあたりも就職支援の中で1つの課題ではあると思っております。

【竹田座長】とても大事な、今回の合理的配慮の再確認とそれから次回、不当な差別的取扱いについて議論をしていきたいと思いますし、取りまとめ事項につながる、1番大事なことだなと。また、仮称ですけれどもカルテのような形での情報等の取扱いというものの例が余りない。一方で、カルテについては個人情報の懸念もあるでしょうし、支援の質を高める上で非常に重要だという議論もあるので、その辺、何か指針のようなもの、この検討会を通じて、少しコミットできれば良いかなと考えております。また引き続き次回以降、御議論いただきたいと思います。
また、一億総活躍プランに関する国民会議等の具体的な取組については、先ほどの仮称センター構想、地域ごとの支援、先ほどヒアリングの中でもいろいろ先生方から地域格差とか大学格差という懸案が出てきておりますし、対象について広瀬委員、それから矢澤委員が関わっておられるような高専とか、いろいろな対象を想定しての支援を考えていかなければいけないということですので、また次回以降、そのあたりも御検討いただきたいと考えます。
最後に当面の検討会のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】資料8を御覧いただきたいと思います。
当面の検討会のスケジュールについて、これまでのものに加筆をしています。
本日が第3回、6月16日です。次回第4回は、7月19日午後若しくは22日金曜日の午後ということで、最終的な調整をさせていただいているところです。これにつきましては、決まり次第、皆様方にお知らせいたしたいと思います。
内容につきましては、第二次取りまとめに向けました基本的な考え方について御議論いただき、一定の方向を出していただくということをしまして、引き続きヒアリングにつきましても行いたいと考えています。
ヒアリングの対象の方につきましては、これから座長に御相談して、皆様方にはお知らせしたいと思います。
それから第二次まとめに向けた議論ということで、御意見いただいたこと、合理的配慮や差別的取扱いに関する考え方とか、御議論いただく予定にしております。

【竹田座長】本日の議事は以上ですが、そのほか、会合全体を通して御意見等ございますでしょうか。
もしなければ、私からうれしいお知らせと言って良いと思いますが、1件、議事とは直接関係はございませんが、昨日、ニューヨークの国連本部で開催されました第9回の障害者権利条約締約国会議におきまして、障害者権利委員会委員選挙が行われまして、本検討会の委員でもある石川准静岡県立大学教授が、我が国の候補として当選を果たされました。おめでとうございます。(拍手)石川委員、一言。

【石川委員】今の心境はと聞かれたので、「ひょっこりひょうたん島」の主題歌的な状況です、というふうにお答えしまして。「泣くのは嫌だ、笑っちゃおう、進め」です。
私の力量をはるかに、余りにもはるかに超えていて、不安でおののいていまして、頑張りたいと思います。皆様方の絶大なる御支援を必要としておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。(拍手)

【竹田座長】それでは事務局から説明にもありましたとおり、次回は本日までの議論を踏まえまして、第二次まとめの取りまとめに向けた中間報告について、整理し合意したいと考えております。
また引き続きヒアリングと議論を進めていきたいと考えております。これまでと同様、ヒアリングに御提案いただく方や御説明に御協力いただく方につきましては、私で事務局と調整して、委員の皆様にお伝えしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上で障害のある学生の修学支援に関する検討会の第3回を終了いたします。

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文部科学省高等教育局学生・留学生課